「博士」役は串田和美 舞台『博士の愛した数式』が上演へ
撮影:五月女菜穂
欠落や喪失をテーマとした作品を描き続けている作家・小川洋子によるミリオンセラー小説『博士の愛した数式』が舞台化される。
交通事故による脳の損傷をきっかけに、記憶が80分しか持続しなくなってしまった元数学者の「博士」と、彼の新しい家政婦である「私」と、その息子のぎこちないながらも驚きと歓びに満ちた日々を、美しい数式と共に描いた悲しくも温かな奇跡の愛の物語。気鋭の演出家として注目を集める「劇団た組」の加藤拓也による脚本・演出のもと、「博士」役を80歳を迎えた串田和美、「私」役を演技力に定評のある個性派女優の安藤聖、「ルート」役は元乃木坂46で現在は女優として活躍している井上小百合が務める。
実は、脚本と演出の加藤は2015年に本作を舞台化しているのだが、「はじめてこの作品をやったときは、今よりも目が届かなかった部分がたくさんあるし、今改めて取り組んだらもっといい作品になるんじゃないかと思ったんです」と話し、「原作者の小川洋子さんが書いた言葉のニュアンスは大事にしたいと思っています。空間に小説の匂いみたいなものが残るようにできれば」という。
加藤とは2019年に『今日もわからないうちに』という作品でタッグを組んだ串田。