「楽園」離島に暮らす女たちが浮き彫りにする現代社会
を意識して与えられた呼称であることがわかる。
閉鎖的な“ムラ社会”ならではの因習やいざこざが面白おかしく描かれるのかと思いきや、そんな狭い話ではない。村は日本社会の縮図であり、結婚、出産、不妊、離婚、介護、セックスレス、パワハラ、ブラックな労働環境、男らしさの押し付け…など、彼女たちの会話を通じて見えてくるのは、都会も地方も関係なく、現在進行形で多くの女性たちが直面している(そして、多くが男性中心の社会に起因する)様々な問題である。
稽古場で演出の眞鍋は、俳優陣の提案を聞き入れつつ、ひとつひとつのセリフのニュアンスを細かく微調整していく。山田の本の面白さはもちろん、言い方ひとつで、“毒”の含有量、ユーモアのバランスが大きく変わりそうなセリフが盛りだくさんであり、どんな味付けに仕上げていくのか完成が楽しみだ。
取材・文:黒豆直樹
ロングコートダディ兎「いやん!悲しい!