ミュージカル『SUNNY』80年代J-POPで蘇る青春は、輝かしくも切なくて
それでも「SUNNY」は再び手を取り合い、今の自分たちにできる精一杯のことをしようと前向きに歩き出す。そんな、さわやかな幕切れが印象的だ。
花總や瀬奈をはじめ、キャストは皆好演。小林、馬場園、佐藤も含め、それぞれの持ち味に合った配役も魅力だ。花總と瀬奈の『待つわ』、瀬奈の『飾りじゃないのよ涙は』、10代と現在の「SUNNY」全員による『想い出がいっぱい』など、思わず聴き入ってしまう。韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』(2011年)を原作としながらも、舞台を日本に置き換えたことの意味がよくわかる。
さらに、奈美の渡邉美穂、千夏の須藤茉麻、「SUNNY」と対立する美樹(伊藤彩夏)など、10代の彼女たちを演じたキャストがとてもキラキラしている。だからこそ、誰もが経験しているに違いない友だち同士の関係、衝突などが胸に迫るのだ。
渡邉と花總、須藤と瀬奈の“10代→大人”という2人1役も、ごく自然になじんでいた。
一方、男性陣は多くの役柄をこなして大活躍。特に片桐の早替わりは、この作品の明るさやテンポの良さに貢献しているのではないだろうか。多幸感にあふれた本作は7月5日(水)まで。その後、大阪公演あり。