妙なる美の布に出会う旅 〜インドネシア ジャワ島中部〜
インドネシアの三大バティック企業のなかでも、中国系ではなくジャワ系オーナーによる経営で知られ、館内には、貴重な古いバティックが数多く展示されている。中部ジャワを中心に、インドネシア各地のバティックの歴史を、クロニクル的に知ることができるのが興味深い。中部ジャワの伝統紋様は、ジャワ王家に由来する幾何学模様が多いのが特徴。短剣クリスを図案化した、王権を象徴するS字の連続模様『パラン』。若芽や発芽を意味する『スメン』は、ジャワの精神世界観を表現し、植物の芽を様式化した点描とともに、霊山、炎、玉座、船、生命の樹などが描かれている。すべてのバティックの紋様は、美しいだけではなくて、深い意味を持っている。
ダナール・ハディ アンティーク・バティック博物館 著者撮影
ジャワ美術の中心ジョグジャカルタへ
ジョグジャカルタの王宮 著者撮影
ソロから車で約1時間のジョクジャカルタは、伝統的なジャワ美術の中心地。まずは、ジョグジャカルタ王宮を訪ねてみよう。王宮内には、インドネシア独立に貢献した名君ハメンク・ブオノ九世の博物館のほかに、バティック博物館もあり、王家とバティックの関連性がよくわかる。ショッピングなら、繁華街のマリオボロ通りへ。