2023年7月3日 14:30
フランス開催「Japan Expo Paris」より招聘された和太鼓表現師・池脇晋輔が、若者の海外演奏渡航への支援を募る
「この2、3年実施できなかったことで、新しい舞手を増やすことができなかった」とも語っておられました。
新しい担い手が増えないということは、将来、その演者にあこがれて道に進む次々代の担い手の可能性も摘むということを意味しています。
たかが2、3年。されど2、3年。大人にとっての2、3年と、子どもにとっての2、3年は大きく違います。能を大成させた世阿弥は、その著書『風姿花伝』のなかで、「7歳ごろの稽古は、自然にやることの中に風情があるので、稽古でも自然に出てくるものを尊重して、子どもの心の赴むくままにさせたほうが良い」と語り、また「12~13歳の少年は、稚児の姿といい、声といい、それだけで幽玄を体現して美しい」、「17~18歳の少年は声変わりという身体上の変化が加わり、その愛らしさがなくなるこの時期は、人生で最初の難関」とも語っています。
舞台に立つ機会を奪われたこと。
成長期に稽古をはじめることができなかったこと。
舞台を見て伝統文化に憧れる、次代の担い手が増えなかったこと。
このことが真綿で首を絞めるように、伝統文化をじわじわと苦しめていくことを危惧しています。
▼海外渡航への壁
池脇晋輔氏のもとで指導を仰ぐ若手和太鼓奏者たちは、学生たちが大多数。