「“一見まともに見られる既婚女性”にしがみつくしかない」雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第24回
はい、やけどしないように気をつけて……。
サミーさんの文章には、大きな矛盾がいくつかあります。「独身生活を満喫している人たち(私、雨宮を含む)が羨ましい」と言いながら、「結婚している、夫がいるという地位を手放したくない」とうところなどはその典型です。
おそらく、「独身生活を満喫している人が羨ましく思える」というのは、サミーさんの本心でしょう。でも、外部からそういう人たちがどう見られているか、自分自身がどう見られているかを考えると、「結婚している、夫がいる」という地位のほうが、「高く」見られることを知っているから手放せない、ということなのではないでしょうか。「一見まともに見られる既婚女性」という言葉は、それを象徴していますよね。独身女性を羨む気持ちがありながら、独身女性がどんなにまともに見られないか、サミーさんはよく知っているはずです。
サミーさんの苦しみを分解していくと、「社会的にどういう視線を向けられるか」というところにたどり着くものと、「今、自分自身がつらいと感じていること」の二つに分けられると思います。
例えば、サミーさんを責めてくるご両親や妹さんの論拠は「社会的な視線」でしかありません。