LITALICO発達ナビがお届けする新着記事一覧 (128/132)
授業参観で10年前は想像できなかった娘の成長を実感。出典 : 発達障害の娘は現在小学6年生。今年の授業参観日では、国語の授業で詩を創作し、発表していました。それを見た私は、「こんなことまでできるようになったのか」と感心しました。なぜなら10年前には、今の姿を想像することすらできなかったからです。娘の成長が気になったのは、2歳頃でした。言葉が出始めるのが遅く、コミュニケーションも、ほとんどとることができませんでした。多動もあり、いつも自分の好きに行動していました。その頃から療育にも通っていましたが、落ち着きなく自由奔放な行動を見て、果たして療育の効果はどれほどなのか?とよく不安になったのを覚えています。診断後、療育を家でも取り入れた。最初は上手くいかなかった出典 : 療育施設に通いだした頃、娘はなかなか着席ができず、座ってもすぐに立ち歩いていました。この頃ほぼ同時期に、ABAという行動分析を家庭に取り入れている、親の会に入りました。そこで受けたアドバイスは、子どもの楽しさや主体性をとても大事にしたものでした。私は、このアドバイスを参考に、親の指示通りに椅子に座る練習を、取り入れてみることに。しかし、これまで自分の好きに立ち歩いていた娘。急に「座って」と言っても座ってくれません。座ることが嫌にならないよう、好きな遊びの最中、機嫌の良いときにイスに座らせてみました。しかしすぐ立ち上がるため、娘の膝を少しだけ押さえるなどの補助を入れましたが、やはり立ってしまいます。それでも、遊びの合間の短い時間、「座って」「立って」の声掛けのタイミングと同時に、体を支える補助を何度も繰り返しました。最初はなかなかできませんでしたが、根気よく続けた結果、2ヶ月ほど経って徐々に指示を理解し、着席ができるようになってきました。しかし、座っていられる時間はまだまだ短いものでした。まずは「机に向かう練習」から、楽しんで取り組めるように出典 : 年長になり、小学校への就学を視野に入れた私は、長時間机に向かって座っていられることを、目標にしました。これは、長時間の着席が目標なので、着席している間に飽きて集中が途切れないよう、娘の好きなおもちゃやゲームなどを活用し、遊ぶことにしました。しかし、娘1人の遊びではすぐ飽きてしまうかもしれない。そこで、私も一緒に娘と遊ぶことにしました。着席の練習と同様、娘が機嫌の良いときに、15分程度から取組みました。また、学校での学習にも慣れるよう、興味の低い活動でも少しずつ練習しました。この時も、集中ができるだけ続くよう、合間に娘の好きなお絵描きの時間を挟むなど、していました。この方法は娘には合っていたようで、着席できる時間は、少しずつ増えていきました。小学生になり、集団参加も安心…と思いきや出典 : 指示や場面に応じて着席することや、長い時間座ることに慣れてきた娘。しかし、いざ就学すると、今度は別の問題が生じてきました。それは、みんなが手を挙げるのを見て、解からない問題でもつられて手を挙げてしまうことでした。そんなとき、娘の「聞く力」を伸ばしたのはフルーツバスケットだった出典 : この問題を療育の先生に相談したところ、「指示の聞き分けを、ゲーム感覚で練習してみましょう」とアドバイスをもらいました。さっそく家で練習です。フルーツバスケットの応用で、方法は簡単です。・家族4人(2人以上が良いです)で、それぞれ違う種類の果物を持ちます。・司会の人を決め、その人に「みかんを持ってる人~?」と聞いてもらい、実際に持ってる人だけが返事をして手を挙げます。・手に持つのは、子どもが理解していれば、果物でなくても構いません。参加人数が多ければ、何名かは同じ種類を持った方が、より実戦向きかもしれません。最初は、授業中と同様に戸惑いながらも、周囲と一緒に手を上げていた娘。間違えたときには「あれ?今はみかんだっけ?」など、司会が言った言葉を確認できるような声かけをすると、娘も自分で間違いに気付けるようでした。このゲームも、学習というよりは、ちょっとした息抜きの時間に、遊ぶ感覚で取組んでいました。このような時間を家族で楽しみながら、繰り返していくうちに、少しずつ指示の聞き分けができるようになっていきました。子どもが学ぶことを楽しめるように出典 : 学校で役に立ちそうな方法を例に挙げてみましたが、コツは楽しくゲーム感覚で練習することです。療育先などでアドバイスをもらうと、つい結果を求めてしまいがちだと思います。しかし、親の気持ちを優先し、子どもの「やりたい気持ち」を置いてきぼりにしては、学習そのものが、嫌な時間に変わるかもしれません。成長を待つことが、結果として子どもの主体性を伸ばし、学習意欲につながるのではないでしょうか?我が家では、楽しさの中でいつの間にか学校生活にも順応できるようになった。そのような関わりや取組みを、心がけています。
2016年08月24日う○ちに行きたいはずなのに…!娘は絶対認めませんUpload By SAKURAそうそう、子どもって自分がう○ちしたいことを認めないんですよね(笑)。娘もそうなんです。見たいテレビがあったり、遊びをやめたくなかったり、親に言われて行くってのをプライドが許さなかったり…。でも放っておいたら漏らしてしまいます。これはピンチ…!そんなとき、我が家ではこうする。Upload By SAKURAマイワールドが強い娘は、この手のワールドにも簡単に入ってくれます。これで、我が家のトイレはスムーズです(笑)
2016年08月24日遠くからでもわかる、その音。Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子「お母さん知らない?」なくし物のありか聞くのは娘の日常出典 : 娘はしょっちゅう物をなくします。ノート、腕時計、お財布、CD、手紙、携帯の充電器…娘「ちゃんとしまったはずなのに見当たらない。お母さん、どこにあるか知らない?」私「知りません。お母さんは見張り番ではありません。」我が家ではそんな会話が1日に何度も繰り返されるのです。管理できない自分にもイライラUpload By 荒木まち子試験期間や運動会など、イレギュラーな行事の時は、特に物をよくなくします。何時間探しても見つからず、私から「決めた場所に片付けないからでしょ?」と言われ、さらにイライラして見つからない、という悪循環を引き起こすともしばしば。翌日落ち着いて探すと、あっけなく見つかる場合がほとんどなのですが…。外出先でのなくし物は毎回大騒ぎ!出典 : 屋内ならまだ良いのですが、外出中に物をなくした時は探すのが本当に大変です。弁当箱はロッカーで、上着は脱いだお店で、携帯電話は映画館の座席で見つかり、鍵は鍵穴に刺しっぱなしでした。探しても見つからなかったものには、腕時計、ボトルホルダー(3回)、お店で買ったばかりの商品などなど、挙げればきりがありません。買い直しができるものは、諦めもつきますが、大切な事を記したメモ帳や財布、鍵、携帯電話などをなくした時には、それはそれは大騒ぎです。見て気付かないなら音で気付けるように!と娘は考えたようで…出典 : そんな娘が自ら編み出した秘策は、落とした時にわかるように鈴をつけることでした。物をなくす度に、娘はその持ち物に鈴を付けていきました。最初は定番、家の鍵に鈴と大きなマスコットをつけました。次に財布にも鈴を付け、通話の時に音がうるさくなりそうでしたが、携帯電話にも鈴を付けました。定期券はもちろん、ストラップで鞄に固定。ロッカーの鍵と大切な事を書いたメモ帳にも、鈴とリール式のキーホルダーを付け、ポケットに固定していました。それでも続くなくし物、鈴がいらなくなる日を目指してUpload By 荒木まち子娘の持ち物は鈴だらけ。遠くにいても鈴の音で娘の居場所が分かるほどになりました。娘が走るとその鈴の音はまるでサンタクロースのソリを引くトナカイさん状態です。それでも、まだまだ忘れ物や落し物はあります。娘は帰宅時、玄関先でミュージックプレイヤーのイヤホンを外すので、玄関の外にはイヤホンパッドが、よく落ちています。さすがにこれには鈴はつけられない…。鈴をつけることができない腕時計も、家の中でよく行方不明になります。所定の場所に片付けることを忘れない方法を模索中の娘です。
2016年08月23日睡眠の浅い息子に付き合うも、寝不足で辛い…出典 : 乳幼児を育てていると、夜なかなか寝てくれなくて困る、というお母さんもいると思いますが、息子の寝付きの悪さは、困るというレベルではありませんでした。現在発達障害と診断されている息子は、小さい頃から眠りが浅く、ドアを閉める音や、別の部屋で使用しているドライヤーの音でも、目を覚まして泣いてしまうことが多かったです。随分敏感だなぁとは思いましたが、第1子だったのもあり、乳幼児なんてそんなものだろう、と思っていました。ところが、成長しても寝付きの悪さは変わらず、付き合わされる方の私も、寝不足で辛かったので、児童館・ショッピングモールの赤ちゃん育児相談・市の親子イベントなど、色々なところの育児相談で睡眠の改善について相談する回数が増えていきました。「朝起きたら日光を浴びましょう」「日中体をたくさん動かしたら、夜は眠くなるわよ」「毎日朝起きる時間を決めましょう」などなど、思いつく限りのアドバイスをもらっては、全て実践してきましたが、なかなか効果はみられず…。昼寝などの寝かしつけは、多動の傾向が出ていたのか、お布団に一緒に入っても動いたり、脱出したり、上手に寝かしつけるという感じにはなりませんでした。子どもも親も辛い。些細なことで涙がでるほど精神的に不安定に。出典 : 歳頃までは、夜泣きも2,3時間に1度のペースあり、1度起きると、30分以上泣くこともあったので、私もきちんとした睡眠が取れず、疲れ果てていました。息子も夜うまく眠れないせいか、日中はいつも不機嫌で、しょっちゅう泣いては、あやしてもなかなか泣き止まず、親子でしばらく辛い日々が続きました。私自身も朝起きると、気分が落ち込み、ほんの少しのことでも涙が出るなど、精神面も少し不安定な状態だったと、今振り返ってみて思います。悩んだ末に始めた服薬は、息子が2歳のとき。その決め手は医師の一言。出典 : そんな日々の中、2歳のときに小児精神科のお医者様に、睡眠の診察をして頂く機会がありました。診察の結果、息子は睡眠障害であることがわかりました。先生からは、人間の体の中で作り出されるホルモンで、睡眠導入の効果がある薬を処方しましょうか?とご提案がありました。お話を伺うと、睡眠のリズムが整うと、脳の発達にも良いということだったので、幼児の睡眠薬については服用を悩みましたが、処方してもらうことにしました。息子が処方してもらった薬は、睡眠薬と違い、人の体内でも作られるホルモンと同じ物質なので、お医者様の処方の量をきちんと守れば、副作用もほとんどないそうです。処方の量が多いと、翌日眠くなる副作用もあるそうですが、適量で処方してもらったので、息子に関しては、副作用は感じられなかったです。こちらの薬は保険適用外でしたが、通院していた病院では、自費で3ヶ月1,500円弱と、それほど高額ではありませんでした。就寝前の1時間ほど前に飲用すると、ぐずりはするものの、眠気が早く来るようで、夜中まで寝付けず辛そうな様子がなくなり、早めに寝てくれるようになりました。夜泣きも0にはなりませんでしたが、回数が減っていき、まとまって眠れる時間が長くなりました。飲み忘れると11時くらいまで起きてしまうこともあるので、息子には確かに効果があったようです。睡眠時間が増えると共に、日中の不機嫌も減っていき、親子で穏やかな時間が増えていきました。睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン息子が眠れるようになったら、子育てが変わっていった出典 : 処方されてしばらしくし、また診察に行った時のことです。「薬を飲んでから、夜しっかり眠れる分、息子さんの顔つきが良くなってきた」と、お話がありました。私も息子の睡眠改善により、夜しっかり眠れる分、精神的にも元気になっていきました。療育に通っていたこともあって、子育てを少しづつ楽しめるようになってきました。保育園に通うようになった3歳頃からは、上手にお昼寝もできるようになりました。小学2年生の現在も、転院して薬は変わりましたが、保険適用の睡眠導入剤を服用しています。困っていたら、まずは相談だけでも!親子の時間がきっとラクになっていく出典 : 生まれたときから眠りが浅い、睡眠リズムが整わない、上手く寝付けないなど、睡眠の問題がありましたが、小さい頃なら誰でもそうだろう思い、息子の辛さに長い間、気が付くことができませんでした。小さい頃から睡眠の問題で困っている場合、もし大きくなっても問題が改善されないときは、一度小児精神科で睡眠について、相談するのも1つの方法かもしれません。
2016年08月23日話したいのに話せない、場面緘黙を知っていますか?出典 : 「話したいのに話せない」と聞くと、皆さんはどんなイメージを持ちますか?強い気持ちがこみ上げて言葉にならない、というドラマのようなシーンをイメージする人もいるかもしれません。でも、ふとした挨拶や質問への受け答えですら、言葉が出ずに全く話せない人がいると言われたたら、どうでしょう?実は、私の息子はまさにその状態になったことがあるのです。今回は、話したいのに話せない、「場面緘黙」になった息子と私がどう関わったかの経験談をお話します。家の外に出た途端、様子がまるで違う息子出典 : 長男は、もともと幼少期から大人しい子どもではありましたが、家のなかではマイペースで遊んで過ごしています。ですが、家から一歩外へ出ると様子が激変。急に無表情となり、笑うことさえしなくなるのです。外出先でどうしても話す必要があるときには、私に極端に顔を近づけてささやいていました。ちょっと極端かな?とは思いましたが、家の中で兄弟で遊ぶ時には大きな声を出しながら遊んでいたため、特に不思議に思うこともなかったのです。しかし、小学校に入学するとその変化はさらに顕著になり、学校で喋ることはほとんど無く、周りからも「もっと大きい声だせよ」とからかわれるように。先生から、「学校でお友達とトラブルがあった時など、お友達に謝ることができない」と指摘されたこともありました。話さないのではなく「話せなかった」出典 : これでは安心して学校で過ごすことは難しい、と考えた私は、息子を連れて小児精神科を受診することにしました。息子の外での様子を見るたびに「何でこの子は喋らないの?」と疑問だった私は、先生からの説明を聞いてハッとしました。息子は話さないのではなくて、話すことができなかったのだと。先生からの診断は、「場面緘黙」(ばめんかんもく)でした。場面緘黙とは、話す能力はあり親しい間柄の人とは問題なく話せるものの、学校などの外の世界に出た途端に話すことができなくなるという障害でした。これまで、挨拶ができない息子に対して「挨拶は?ちゃんとしなさい」と注意していた私は、気付かないうちに「話せない」息子を傷つけていたのでした。いかに子どもの気持ちに寄り添うことができていなかったのかを痛感し、私は反省しました。今後は息子に、無理に話をさせるのはやめようと決意しました。かんもくネット話さなくても安心して過ごせる環境作り出典 : 診断を受けてから、私は息子をもっと観察することにしました。どうしたら「話せない」というストレスから息子を解放できるのかが知りたかったのです。観察し始めて気付いたのは、息子が日常生活の中で実はたくさん意思表示のサインを出していたことでした。意識しないと見過ごしてしまいそうな「まばたき」や「かすかなうなずき」は、息子なりに意思表示だったのです。この、息子からのサインに気付いた私は、積極的に反応を返し、「あなたの意思表示は伝わっているよ」というメッセージを発し、息子が安心できるようにしたのです。常に心がけていたのは、「無理に話すことはないよ」と見守ることでした。その結果、少しずつですが「イエス」なのか「ノー」なのかかすかなサインから息子の気持ちが分かるようになってきました。それから、息子に何かを聞くときには、「イエス」か「ノー」で答えられたり、2択で選択できる質問に意識的に切り替えていきました。例えば「夕飯なにがいい?」という質問は「ハンバーグにする?」「カレーにする?」という聞き方です。話せない息子でも、かすかなサインで意思表示や選択ができるようなコミュニケーションを心がけることで、息子自身にも、「自分の気持ちが伝わっている」という実感や安心を持ってもらいたかったからです。自宅での取り組みのほか、私は学校の先生にも協力を要請することにしました。まずは先生に、場面緘黙のことを知ってもらおうと、以下の絵本や漫画を紹介して読んでもらいました。出典 : 『なっちゃんの声』は絵本なので読みやすく、場面緘黙を理解してもらう為にも大変便利な絵本でした。外に出すことのできない自分の気持ちを、クラスの人たちにこの本に書かれているように表現できれば良いのになぁと思っていたものです。この本は、緘黙で悩んでいる当事者や、支援に携わっている先生方への希望のバイブルとなると言っても過言ではないと思います。出典 : この漫画本は、場面緘黙の子どもの細かな表情などをよく表している本だと思います。今回この本で、場面緘黙について初めて知りましたが、これは、うちの子の事だ。と思いました。子供もいつも通り漫画を読んでいて、読み終わったコメントが、「自分は、場面緘黙や!」今まで、「なんで、話さへん!」という質問を何度もされていました。理由が分りました。上手く説明することが難しい場面緘黙だったからこそ、本を使って理解してもらう、という方法はとても有効でした。本を読んだ先生は「とてもわかりやすいです。」と感想を伝えてくれました。「もっと早くに場面緘黙を知っていたら、同じような子どもに無理をさせなくて済んだのに。」とも言っていました。その後、先生は子どもに対して声を出す事を強制しなくなりました。話せそうな時は、話せるまで待ってくれたりもしました。見守ることに重点を置いてくれるようになったおかげで、子どもは学校生活で無理をする事が少なくなったように思います。先生の関わりの変化が安心につながったのでしょう。次第に息子は、自信のあるところだけ声を出す事ができるようになっていきました。辛さが伝わりにくい場面緘黙、本人の気持ちに寄り添って出典 : 場面緘黙は、少しづづ認知度が上がってきています。しかし、まだまだ知らない人は多く、大人の気付かないところで子どもが苦しんでいることもあるかもしれません。本人の辛さが伝わりにくい場面緘黙だからこそ、こういった本などのツールを使って、もっともっと多くの方に知ってもらい、子どもの気持ちに寄り添える大人が増えるようにと願っています。
2016年08月23日絵カードがあれば、1人で学校の準備ができる!出典 : 「絵カード」は、言葉を話して伝えることが難しいお子さんとの、コミュニケーションの手段として、「PECS」などの手法が知られています。ですが、もっと手軽に応用・アレンジができると、家の長男のように、見て理解しやすい子や、長女のように文字がまだ読めない小さな子などを始め、どんなお子さんにとっても分かりやすい、確認ツールとして活用できます。例えば失くし物を予防したり、学校の持ち物を準備したりするときにも、忘れ物が無いか自分で見て確認ができるので、忙しいお母さんにとっては大活躍するはずです。そして、「絵カード」は誰にでも簡単に作ることができます。私は「絵と言葉がセットになっているものは、全て『絵カード』!」…くらいの気持ちで柔軟に考え、絵カード作りを楽しんでいます。今回は、忙しいお母さんや、絵を描くのが苦手なお母さんでも手軽にできる、写真とスマホアプリを使った「絵カード作成術」を、楽々かあさんがお伝えします。とは何か?5分でできる!簡単絵カードの作り方Upload By 楽々かあさん今回作るのは、夏休みの間にあちこちに離散してしまった、子どもの「絵の具セット」の中身を、新学期までに自分で用意・確認できるよう、「持ちものカード」を作りながら、説明していきます。私が使ったアプリは「PicsPlay Pro」(有料版ですが、ここでは無料版と同じ機能のみを使って説明します)。他、落書きと文字入れ機能のある、使いやすい写真加工アプリなら、何でも大丈夫です。使用アプリ:JellyBus Inc.「PicsPlay Pro」出典 : ①素材となる写真(ない場合は、カードにしたい物を用意し、Step2で撮影します)②落書き、文字入れ機能のある写真加工アプリ③プリンター、印刷用紙等絵カード作成のポイントは、・不要な情報を減らし、見せたい部分を絞る・シンプルで、分かりやすい言葉とセットにするということだけです。余計な情報が多いと、そちらに注意が向いてしまったり、細部にこだわってしまうこともあるので、できるだけ不要な情報は減らし、見せたいものだけを見せるように、加工していきます。そして、なるべくシンプルな言葉や、分かりやすく明解な短文とセットにすることで、「絵」と「言葉」と「実際のもの」とがマッチングし、初めてのことや、複雑なこと、抽象的なことも理解しやすくなります。Upload By 楽々かあさんでは、絵カードに加工したい物の、写真を撮りましょう。後で文字を入れたい場合、余白を多めにとっておきます。なるべく明るい場所で撮るほうが良いですが、暗くなってしまった場合には、アプリの「簡易補正」「露出」などで、トーンを明るく調整できます。背景を無地の画用紙やシーツ、カーテンなどで応用すれば、Step3は省くこともできます。また、写真にしにくい表現(事故や災害のイメージ、怒りや悲しみの表情などのネガティブ・イメージなど)で、リアルなイメージに抵抗感がある場合や、お子さんが特定のイメージにこだわってしまう場合(例:「お店の人」という一般形でなく「写真のこのメガネのオジサン」等)は、イラストを使う方が良いでしょう。イラストを描くのが苦手な方でも、大抵のものはネット検索すればありますので、加工が許可されたフリー素材の使用をおすすめします。また、ドロップレット・プロジェクトが提供している、視覚支援シンボル集「ドロップス」や、無料イラストのフリー素材サイトも多数あります。スマホやタブレットの写真加工アプリを使う場合には、事前にJPEG形式等でダウンロードし、カメラロールに保存してから使います。効率的に著作権フリー素材をGoogle画像検索する方法ドロップレット・プロジェクト:視覚支援シンボル集「ドロップス」Upload By 楽々かあさん次に、素材となる写真をアプリで開き、不要な情報を減らす加工を施します。子どもに注目して欲しいのは絵の具セットです。このため、絵の具セット以外に目が行かないように、背景を塗りつぶします。この写真の場合、背景となっている家のジュータンに、夏休みの間中、私が掃除をサボッたツケで、ゴミやシミが沢山映り込んでいるので、さくっと消します(笑)アプリによっては、投げ縄・切り抜きツールなどがあれば、余分な背景を一度に「選択→カット」できますが、ここでは、簡易的に「ペンツール」を使って指で塗りつぶします。色は白などを選択し、ペンの太さを選び、塗り絵のように、まずは絵の具セットの周りをフチ取ってから、太いペンに変えてぐりぐりと塗りつぶすだけです。終わったら「適用」で、元の画像が上書き保存されます。形が複雑な場合、細いペンを選択し、画面を拡大してからフチ取りをすると、仕上がりがキレイです。Upload By 楽々かあさんそして、テキスト(文字)とフレームを入れます。この場合、絵の具セットの中身が文字情報でも、ひと目で分かるようにしたいので、複数の物の名前を「テキスト」で入れます。文字を読みやすくするために、あらかじめ太めの「ペンツール」で水色のラインを、テキストを配置したい場所に入れておきました。(お子さんにとって読みやすいよう、文字色・ラインの色を適宜お選び下さい)使いたいシーンによって、フキダシや四角形などを描いておいて、その上にテキストを配置することもできます。(アプリによっては、「シェイプ」や「スタンプ」ツールの中にフキダシ・図形等が入っています)テキストを入力してから、文字の色、大きさ、配置を自由に変えることができます。(「適用」後は変更できません)フレームを使うと、親しみやすく、見た目も楽しいです。お子さんの好きな柄、シンプルなものなど、用途によって使い分けしてもいいでしょう。さあ!これで絵の具セットの「持ちものカード」が完成しました!完成したら、加工済みの写真を保存します。Upload By 楽々かあさんUpload By 楽々かあさんできた絵カードは、写真用紙などにプリントして使います。用紙をシールやアイロンプリントにすれば、道具や布に直接貼付けることもできます。今回の場合は、印刷した紙をラミネート加工し、角に穴を開け、ヒモを通してバッグの取っ手に結びました。同様に、中身の多い習字道具の持ちものカードも、ちゃちゃっと作りました。これで、自分で確認ができるかな?「持ちものカード」のアレンジ例としては、各教科のセットを作って、透明のウォールポケット(100円ショップにあります)などに入れれば、時間割ごとに勉強道具を揃えられて、いいかもしれません。プリンターがない場合、街角プリントやコンビニ受け取りのネット・プリント出力などを利用できます。よく使うものは、ラミネーターでパウチしたり、カードケースやファイル等に入れると長持ちします。家庭用のラミネーターがなくても、写真サイズのシール状のラミネート・シートが100円ショップなどで入手できます。また、そのままスマホなどに画像を保存しておけば、携帯にも便利です。画像に音声をつけられるメモアプリを使えば、そのまま簡易VOCA(Voice Output Communication Aid=携帯用会話補助装置) としても利用できます。アナログ派の人は、写真に直接、水性顔料マーカーなどで書き込んだり、必要部分を切り貼りしてコラージュ、などの方法もあります。お子さんと一緒に工作感覚で作るのも楽しいのではないでしょうか。 Xerox「ネットプリント」 SUZUKI「描けるセルボイスレコーダーLite」まとめ出典 : どうでしたか?普段、写真を加工したりデコったりして、SNSなどに楽しんで投稿しているお母さんなら、楽勝でできちゃいます。写真やアプリを使えば、誰でも自分で簡単に作ることができるので、お子さんもお母さんも、楽しみながら自由な発想で作ってみて下さいね!次回は、こうして作った絵カードの使い方、応用編をお伝えします。
2016年08月22日就労移行支援とは?出典 : 就労移行支援は障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスです。就労を希望している障害・難病がある方に対して、働くために必要な知識・能力を身につけるトレーニングや、その人に合った職場探しのサポート、就労後の職場定着までのアフターケアを行います。就労移行支援の利用者は、就労移行支援事業所に通所してサービスを利用します。事業所は2015年2月現在、全国2952ヶ所に所在しています。社会福祉法人、NPO法人、民間企業が経営主体となっており、事業所ごとにサービス内容や雰囲気は様々です。就労移行支援の利用対象と利用期間は?出典 : 就労移行支援サービスを利用するきっかけは様々です。特別支援学校や大学を卒業した後に初めての就労に向けて利用する方や、障害や病気のためにこれまで働いていた職場を退職することとなり、就労移行支援を通して再び新しい仕事に就こうとする方もいらっしゃいます。就労移行支援では利用できる年齢や条件、原則の利用期間が定められており、サービスを受けるためには条件を満たしていることが求められます。就労移行支援サービスを利用したい場合、下記の3つの条件を満たしている方が対象になります。①身体・知的・精神障害や難病のある方②企業等での就労または開業を希望する方で、就労が可能と見込まれる方③原則18歳以上から65歳未満の方また障害者手帳を持っていない方でも、障害福祉サービス受給資格および医師の意見書等があれば、自治体の判断により利用可能な場合があります。※市区町村によって異なるので、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に問い合わせてみてください。就労移行支援の利用期間は原則2年間以内となっています。この2年の間に、職業訓練や職場探しなどのサポートを受けて就労を目指していくことが、この制度の原則です。ただし、必要性が認められれば、最大12カ月の更新が可能です。就労移行支援ではどんなことをするの?出典 : 就労移行支援サービスは「職業訓練」・「職場探し」・「職場への定着支援」の3つの役割を担い、就労を希望する方の一連の就労活動をサポートします。Upload By 発達障害のキホン一般企業等への就職に向けて、事業所内や企業に通いながら就労に必要な知識・能力の向上を図ります。プログラム内容や、得意としている就職支援の種別は事業所ごとに異なるため、自分に合ったプログラムを実施しているかどうかを事業所選びの段階で調べる必要があります。参考としていくつかのサービス内容の例をまとめました。(例)・ビジネスマナー、挨拶、身なり等の習慣づけ・コミュニケーショントレーニング・パソコントレーニング(Officeソフトのスキル向上・基本情報処理)・基礎学習(読み・書き・計算等)・個人の適性に合わせた能力開発訓練・職場見学・実習などプログラム内容は、個々人で立てられた支援計画の目標や進捗状況に応じて変わってきます。また、事業所内での訓練だけでなく、職場訪問や実習等による外部での訓練機会との組み合わせで支援が行われます。就労移行支援では、利用者の適正に合った職場探しをサポートします。ただし、就労移行支援事業所が直接、職業紹介を行うことは制度上できません。そのため、主にハローワークや障害者就業・生活支援センター、障害者職業センター等と連携し、本人にとって最適な職場を見つけるサポートを行うことが、主な役割となります。就労移行支援事業では、原則として就職後6ヶ月間の職場定着支援を行います。企業や就労した本人と定期的に面談し、それぞれの相談などに対応します。6ヶ月間かけて徐々に介入度合を下げていき、最終的には、企業と就労した本人が自立して働き続けられるようにサポートすることが目的です。就労移行支援のメリットと注意点は?出典 : 働くことを目指す障害のある方にとって、就労移行支援サービスは上記のように様々な支援を受けられるメリットがあります。障害があることを明かさないまま自力で就労活動をしたいなど、就労に向けて身につけたいスキルがあるなどの利用者本人の希望と、事業所が提供するプログラムや支援方針が合わないケースもあります。そのため、就労移行支援のメリットと注意点を踏まえた上で、自分の希望に合った事業所選びをすることをおすすめします。就労移行支援サービスは職業訓練・職場探し・職場への定着支援などの一連のプロセスをサポートしてくれるサービスです。障害があるかどうかに関わらず、就労活動を一人で行うことは孤独や様々な困難が生じます。専門的なスタッフの就労移行支援を受けることには、以下のように様々なメリットがあると言えるでしょう。・職業訓練で就労に必要な知識・能力を身につけることができる・事業所に通うことで社会性を身につけることができる・障害があることを明かして、適切な配慮を受けながら就職活動ができる・ハローワークなどと連携して、自分のスキルや障害特性に合った職業を紹介してくれる・事業所で真面目に取り組んでいた様子が企業に伝わりやすい・就職後、職場への定着支援を実施してくれる・仲間ができる参考までに、実際に利用したことがある方や就労移行支援に詳しい方々の体験談をまとめてみました。就労移行支援に通うメリット・就職するにあたっての訓練ができる(特に就労経験が乏しい人にはおすすめ)・履歴書や職歴書の添削や面接練習の指導(ハロワでもやってもらえるが、普段の訓練の様子を見てもらっている移行支援のほうが、より細かな指導が可能)・毎日出かける場所の確保、人との交流もできる・各種情報が手に入る精神障碍者だと公開して求職するなら、就労移行支援施設は有効かもしれません。履歴書等とは別に、障害症状の補足やら、施設利用実績(病欠・遅刻等を含め)を作成してくれる事もありますから。就労移行支援サービスを受けられるのは、就職を目指す、障害や難病のある方が対象です。しかし、就職活動をするに当たって、自身の障害を明かすことに抵抗がある方もいます。また、障害者雇用枠での求人条件が自分のスキルや目標とマッチしない場合もあります。従って、就労移行支援を使って就職活動をする際には、自身の障害をオープンにするかどうか、どの求人枠に応募するかなど、事業所のスタッフとよく話し合いながら進めることが大切です。また、就労移行支援事業所ごとに支援の方針や実施プログラムの内容、スタッフや利用者の雰囲気も異なるため、自分に合ったサービスを受けられるとは限りません。事前にその事業所の特徴をよく見極めて利用を決めることが重要です。周りのモチベーションが違いすぎます。週に一度来るかこないかの人や、デイケアのような仲良く話ができるようなコミュニケーションを取れるように来てるみたいな人が居ます。昨日も些細なことで他の障害の利用者が怒り出しトラブルになりまして。正直精神的に参っています。私は就労移行に半年近く通ってますが、やることはパソコンのタイピングなどの単純作業や、内職や外の企業からとってきた作業などの軽作業、事業所の掃除、SST(教えられることは挨拶の練習や癇癪をおこさない、上司に怒られたときいいわけをしないなど小学生レベル)などやることはくだらないことばかりで利用者に与えられるお金はほぼゼロ。半年も通ってるのに就活はさせてもらえず、就活をしたいといってもなにかと理由をつけてあしらわれるのが現状。就労移行とは名ばかりだと思います。就労移行支援事業所はどう選んだらいいの?出典 : 就労移行支援事業所は、全国に2952ヶ所(2015年2月現在)で開所されており、サービスの実施内容や施設の雰囲気も事業所ごとに異なります。そのため、就労移行支援事業所を利用するにあたって、本人に合った事業所を選ぶのはひと苦労です。発達ナビQ&Aにも下記の質問が寄せられていました。「27歳女です。現在無職、3ヶ月ほど経ちました。前職は障害をオープンにしていましたが、「働けるような状態ではない」と言われ、退職しました。就労移行支援、あるいはそれに準ずるものを受けたいと考えているのですが、調べてみてもあまりにも多くて、選び方がわかりません。この歳でこれ以上の失敗できないと考えると行動に移すのにも勇気が要ります。周りに頼れる人もいませんし……貯金もほとんどなく、焦りだけでどうにかなりそうです。」自分に合った事業所を選ぶために、事業所選択の前にいくつか考えておくべきポイントがあります。自分の目的や事業所の実績・雰囲気など、重視すべきポイントを整理した上で、市区町村の窓口へ相談し、事業所への見学・体験を行うと良いでしょう。自分に合った仕事に就くためにも、就労移行支援事業所選びは大切なプロセスになってきますので、慎重に考えることをおすすめします。以下では、自分に合った事業所を選ぶためのポイントと、実際に事業所を選ぶまでの見学・申請プロセスを紹介します。就労移行支援事業所を選ぶ上では、以下のポイントを参考に、就職を目指す本人の意思や理想と、実際に選ぶ環境とをすり合わせることが大切です。①事業所のプログラム内容は自分の目的に合っているか就労移行支援を利用する上で、本人が伸ばしていきたいスキルなどの目的と、事業所が実施しているプログラムの内容が合っているかどうかの見極めが大切になってきます。職業訓練や定着支援のプログラムの内容を確認することに加えて、見学・体験を行うことをおすすめします。②これまでの就労実績就労移行支援事業所の就労実績を確認し、本人が希望する職種への実績があるかなど加味して考えることをおすすめします。③事業所の雰囲気は合っているか事業所ごとにスタッフや利用者の雰囲気もさまざまです。就労に向けた訓練に集中できる環境かどうか、また人間関係が良好に築けるかなど、見学や体験を通して事業所の雰囲気を見極めることが大切です。自分に合った就労移行支援事業所を見つけるためには、実際に見学・体験に行ってみることが一番です。スムーズに事業所を見つけられるよう、下記を参考に行動することをおすすめします。①お住まいの市区町村の窓口へ相談お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口または「障害者就業・生活支援センター」で就労移行支援事業所の紹介を行っています。まずはそこで就労移行支援サービスを利用したい旨をお伝えください。地域によって事業所数は異なるため、情報収集も兼ねて相談に行ってみることをおすすめします。②いくつかの気になった事業所に見学・体験に行く目星をつけたいくつかの事業所に問い合わせて、見学または体験に行くことができます。就労移行事業所は、事業所ごとに方針や実施内容・雰囲気等が異なります。目標とする就労形態や職種、伸ばしたいスキル等に応じて、自分に合った事業所を探しましょう。③事業所を決めたら市区町村の窓口に申請に行く就労移行支援事業所を決めたら、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で利用申請を申し込むことができます。申請が承諾され手続きが完了すれば事業所に通うことができます。利用申請はお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にて行うことができます。実際にサービスの利用許可が出るのは申請から約1ヶ月程度と言われています。①市区町村の窓口に申請し、所定の用紙に項目を記入し提出する②認定調査員が本人や家族に対して聞き取り調査を行い障害支援区分の認定を行う③認定されたらサービスの利用意向聴取を受ける④サービス等利用計画案の作成(マイプラン作成)⑤個別支援計画が作成され計画に沿ったサービスを受けることができる就労移行支援の利用料金はどうなっているの?出典 : 就労移行支援サービスは、前年度の所得額に応じて利用月額料金が変わってきます。世帯ごとの利用料金の変化はありますが、ほとんどの方が低料金で利用していることが特徴です。就労移行支援サービスの利用額は世帯ごとの前年度所得に応じて、利用月額が0円に免除される場合と、1割の自己負担が発生する場合があります。世帯の範囲は利用される本人と配偶者を差しており、本人と配偶者の前年度所得を参考に負担額を決定します。親の所得は本人の前年度所得には換算されません。月額負担料金の目安として、下記を参考にしてください。・生活保護受給世帯…0円・市町村民税非課税世帯…0円・前年度所得約300万円以上~約600万円以下の方…9,300円・前年度所得約600万円以上…37,200円ただし、就労移行支援事業所に通う交通費や食費、その他就労にかかる費用は基本的には自己負担になります。事業所によって交通費等が支給している場合もありますので詳しくは各事業所にご確認ください。厚生労働省「障害者の利用者負担」就労移行支援だけではない!就労継続支援とは?出典 : 就労移行支援を利用したけれども就労に繋がらなかった場合は、就労継続支援サービスを利用することによって、福祉事業所で仕事をすることができます。就労移行支援を利用したが企業への一般就労に結びつかなった等の理由があり、ある程度の支援があれば就労することができる方を対象としたサービスです。施設と利用者で雇用契約を結び、働くことができます。就労移行支援や就労継続支援A型の利用経験がありますが、年齢や体力の面で雇用が困難な方を対象としたサービスです。施設との雇用契約は結びませんが、生産性にこだわらず自分のペースで働くことができます。まとめ出典 : 就労移行支援は2006年に障害者自立支援法に基づくサービスとしてスタートしました。就労移行支援を含め、就労系障害福祉サービスから一般就労に繋がった方は、約10年間で4倍以上に増加したと言われています。それに伴い企業の障害者雇用率も増加しています。これまで説明してきた通り、一口に就労移行支援といっても事業所ごとにプログラムは様々です。また、障害をオープンにして就職活動をするか、障害者雇用枠での求人に応募するかどうかなど、就職活動の方向性についても注意が必要です。就職に向けて様々なサポートを受けられることは就労移行支援の大きなメリットですが、何より大切なのは、就労を希望するご本人の意向に合わせた就職活動をしていくことです。事業所ごとのプログラムやスタッフの様子などをよく見た上で、ご自分に合った就労移行支援事業所を探してみましょう。厚生労働省「障害福祉サービスの利用について」厚生労働省「就労移行支援について」厚生労働省「障害者の方への施策」厚生労働省「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」ワークス(就労支援サービス)
2016年08月22日息子にとって「近寄りがたい存在」だった祖父が天国へ。こんにちは。『〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子です。3年前から膵臓がんを患っていた私の父が、6月17日天国へ旅立ちました。享年82歳でした。昭和1ケタ生まれ。終戦の時は中学1年生だった頑固な父。子どもの授業参観日や運動会などの行事には一切顔を出すことなく、仕事一筋だった父。私の息子が自閉症とわかっても、障害に対する理解もあまりなく、息子がパニックを起こしたり、ひと時もじっとしていられずに歩き回ったりする様子を見て、よく怒鳴り散らしていました。Upload By 立石美津子そんな父に対して、孫である息子は「近寄りがたい人」、「怖い存在」と思っていたようです。今回は、父の死に際して息子がどのように反応したかをお話しながら、自閉症児が人の“死”をどう受け止めているのかを考えたいと思います。葬儀への参列は、息子にとって初めての経験。出典 : 父の入院先である緩和病棟に何度も見舞いに行き、葬儀、告別式に参列したこの一週間。自閉症児の息子の脳にとっては、予期せぬこと、初めての人、場所の連続でストレス満載だったと思います。そもそも、子どもが「人の死の場に立ち会う」経験をすることは、あまりありません。私も50歳を過ぎてからは、結婚式に呼ばれるよりもお葬式にいく回数の方が増えましたが、子ども時代に葬儀に参列することはありませんでした。このように葬儀はただでさえ子どもにとって馴染みのない場面なのですから、初めての事が苦手な自閉症の息子が落ち着いて葬儀に参列など出来ないことは容易に想像できました。実際、息子が葬儀や告別式に参列することに対して、私の母も「走り回ってみんなに迷惑をかけるから、来させないでほしい」と反対していました。けれども私は、ヘルパーを付けて息子を葬儀に参列させました。焼き場で焼かれて骨になって、それを箸で拾うところまで全ての過程を含め、この一連の人の死の場に立ち会うという、またとない機会を息子に体験させたかったのです。涙する家族。ウロウロと歩きまわる息子。Upload By 立石美津子私たち家族は、父の死に目には会えず、病院に駆け付けたとき身体は冷たくなっていました。みんな号泣していました。そんな状況なのにも関わらず、息子は病室内をウロウロと歩き回り、ファンタジーの世界に没頭しているのか、場にそぐわない笑みまで浮かべていました。看護士が「どういうお祖父様でしたか?」と尋ねても、「怒る人、怖いおじいちゃま」と言葉を飾ることなくそのまま答えていました。病院の近くにある実家に寄った時も、玄関に付いている「立石信義(=祖父の名)」の表札をいつ変更するのかということばかりを気にしていて、一切涙をすることはありませんでした。こういう態度を見て「やっぱり自閉症なんだなあ」とつくづく思いました。「お祖父ちゃまが死んで悲しくない?悲しい?」息子に問うてみるUpload By 立石美津子周りが泣いているのにも関わらず自分の世界に没入する息子。「自閉症児がする典型的な態度だが、だからといって、息子が人の死に対して何も感じていないはずはない。」そう考えた私は、葬儀までの一週間の間、息子に何度か質問してみました。はじめに、「おじいちゃまが死んで悲しい?」と聞くと、息子はオウム返しに「悲しい」と答えました。続けて「おじいちゃまが死んで悲しくない?」と聞くと、これまたオウム返しに「悲しくない」と答えます。いつもこのパターンで、相手の言ったことをリピートするのです。聞き方を変えて、選択肢を与えながら「お祖父ちゃまが死んで悲しい?悲しくない?」と問えば、本心が聞き出せるかというとそうでもないのです。この質問の仕方ですと、印象に残りやすい後者のフレーズ「悲しくない」を機械的にリピートすることが予想されました。そこで順番を入れ替えて「お祖父ちゃまが死んで悲しくない?悲しい?」と、淡々と聞いてみました。こういう風に、意図的に文中の言葉を選ばなくてならない状況にさせて意思確認をすると本心が言えることを、自閉症の息子を15年間育ててきた経験上、私はわかっています。すると息子は、「悲しくない」と答えました。はっきりとした意思を持って前者のフレーズを選んだのです。息子は何かと自閉症を理解できない父からよく怒鳴られていたので、それは正直な気持ちだったのかもしれません。いつまでも裏表のない子どもなのです。でも、いつも通っているプールでコーチから「お祖父様、亡くなったんだね」とお悔やみを言われたときには、「大変なことが起こった」と答えていたらしいです。彼にとっての「祖父の死」というのは、そんな感じ方だったのです。私たちから見たらそっけない態度ですが、心の中ではきっと色んなことを感じていたのだろうと思います。私の葬儀のとき、息子はどんな態度をするのでしょうか?順番的には私が先に死ぬのですから、いつかその時はやってきます。その後、一体誰が息子を支え育ててくれるのだろうか。そんなことを思うと、とても暗い気持ちになってしまいます。生きている間にこうして息子にできるだけ多くの体験をさせ、社会との関わりを増やしていく。母である私ができることは、それぐらいしかないのかもしれません。出典 :
2016年08月22日新版K式発達検査とは?出典 : 新版K式発達検査は、子どもの心身の発達の度合いを調べ、それを療育などの子どもの発達支援に役立てるための検査です。1951年に嶋津峯眞、生澤雅夫らによって、京都市児童院(1931年設立、現・京都市児童福祉センター)で開発されました。最近では、おもに自閉症などの発達障害の診断に使われています。新版K式発達検査の歴史をたどると、1980年に「新版K式発達検査」が刊行されたときの適用年齢は0歳~10歳でしたが、1983年の「新版K式発達検査増補版」では、12歳、13歳までに拡張され、さらに2001年に刊行された「新版K式発達検査2001」では成人までに拡張されていることが分かります。このように、新版K式発達検査は改訂を重ねながら、徐々に適用年齢が拡張されてきています。この記事では、新版K式発達検査2001について紹介していきます(以下、新版K式発達検査と表記します)。発達障害児支援とアセスメントに関するガイドライン国立特別支援教育総合研究所発達検査そもそも「発達検査」とは?「知能検査」との違い出典 : 発達検査は心理検査の一つであり、おもに、乳幼児の発達状態を適切に把握するための判断材料として使われています。発達検査と同じように使われている心理検査に知能検査というものがありますが、発達初期にある乳幼児の発達状態を、通常の知能検査によってとらえることは困難だと考えられています。なぜならば、乳幼児は心理的、身体・運動的、社会的側面の発達が十分でないため、知能のみを検査によって測定することは難しいからです。最近では発達検査や知能検査の検査結果を基に、その人に合った支援や学習指導の方向性のヒントを得ることを目的として、ウェクスラー知能検査や田中ビネー知能検査、KーABC知能検査、新版K式発達検査などが日本でよく使われています。では、知能検査と発達検査の具体的な違いはなんでしょうか。知能検査は、知能を精神年齢、IQ(知能指数)、知能偏差値によって測定するための検査です。これに対して発達検査は、被検査者の精神年齢を示す発達年齢(Developmental Age:DA)と、認知面・社会性・運動面などのいくつかの観点から発達の度合いである発達指数(Developmental Quotient:DQ)を調べ、それを療養に役立てるために行う検査です。なお、どんな場合にどんな検査が適切であるかどうかの判断基準は、検査を実施する機関によって異なる場合が多いです。発達検査と知能検査、どちらを受けるべきか、まずは専門機関に相談して判断しましょう。てんかん情報センター発達検査とは?国立特別支援教育総合研究所発達検査新版K式発達検査の特徴出典 : 新版K式発達検査では、被検査者の発達の状態を、精神発達の全面的な進みや遅れ、バランスの崩れなどさまざまな諸側面においてとらえることができます。検査は、「姿勢・運動」(P-M)、「認知・適応」(C-A)、「言語・社会」(L-S)の3領域について評価されます。なお、3歳以上では「認知・適応」面、「言語・社会」面に重点を置いています。また、乳幼児向けの検査用具には、振ると音が鳴るガラガラや積木、ミニカーといった乳幼児にとってなじみのある材料が使われています。このような検査用具を使うことによって、子どもの自然な行動が観察しやすい検査となっています。検査者は検査結果だけでなく、言語反応、感情、動作、情緒などの反応も記録し、総合的に判断します。新版K式発達検査の対象や実施頻度出典 : ここでは、新版K式発達検査が対象とする年齢の範囲、実施時間や頻度について説明します。■適用年齢の範囲:生後100日から成人新版K式発達検査の適用年齢は成人までとなっています。ただし、知能の発達程度が生活年齢(CA)の何歳に相当するかを示した精神年齢の適用範囲では、14歳、15歳級までとなっています。(生活年齢とは、暦年齢を指します。)なお、どのような発達段階であっても適用可能です。■実施時間:15分~60分程度生活年齢(CA)によって検査用紙が異なるため、実施時間も年齢に応じて異なります■実施頻度:検査結果による検査の結果、とくに発達が遅れていると考えられる子どもの場合は、1回の検査で障害の有無を決めず、検査を受けた後の経過を観察することが必要です。経過観察のための間隔は、1歳未満は1ヵ月以上、1歳~3歳未満は3ヵ月以上、3歳未満は6ヵ月以上、学童期以降は、1年~2年以上あけることが望ましいとされています。経過観察を終えて、再検査する場合が多いようです。発達障害児支援とアセスメントに関するガイドライン国立特別支援教育総合研究所発達検査新版K式発達検査2001の課題と有用性 ─精神遅滞の定義の視点から─新版K式発達検査の検査方法出典 : 新版K式発達検査の検査形式は1対1(検査者と被検査者)の個別式検査です。検査実施の際には、被検査者と検査者は向かい合うのではなく、隣に座ることが原則となっています。新版K式発達検査では、生活年齢(CA)にしたがって、検査用紙が第1葉(よう)から第6葉までの6枚に分かれています。また、検査課題に対し、被検査者が過度に緊張している場合は強要せず、興味や注意が持続させられるよう気を配り、十分に力を発揮できるよう配慮されています。検査では、検査結果だけでなく検査用紙の空白の部分などを利用し、できる限り被検査者を観察した内容を書き留めることが望まれています。『発達障害児支援とアセスメントに関するガイドライン』によると、新版K式発達検査の検査用紙に配置されている検査項目の生活年齢(CA)は以下のようになっています。・第1葉0歳0ヶ月~0歳6ヶ月・第2葉0歳6ヶ月超~1歳0ヶ月未満・第3葉1歳0ヶ月~超3歳0ヶ月未満・第4葉3歳0ヶ月超~6歳6ヶ月未満・第5葉6歳6ヶ月超~14歳0ヶ月未満・第6葉10歳0ヶ月超~成人(第5葉と第6葉は一部重なりがある)実施時間は、検査用紙によって異なります。第1葉は比較的実施時間が短く、第5葉や第6葉は、実施時間が長い場合が多いようです。発達障害児支援とアセスメントに関するガイドライン検査を受ける前にまずは専門機関で相談を出典 : お子さんやご自身の発達検査、または知能検査の受診を検討する際は、まずはお住まいの地域にある身近な相談窓口に行くといいでしょう。事前に予約が必要な機関もありますので、相談機関に問い合わせてみてください。また、子どもか大人かによって、行くべき相談機関が違うので、以下を参考にしてみてください。【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童相談所・発達障害者支援センターなど【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所など自宅の近くに相談機関がない場合には、電話での相談をすることができる場合もあります。新版K式発達検査の受検方法・費用など出典 : 発達検査や知能検査は、公的病院や民間病院で受けることができます。精神科や臨床心理士による検査が受けられる病院を受診するといいでしょう。「児童発達支援センター」などで受けることもできます。発達検査や知能検査の受け方、費用は、検査内容や病院によって異なります。総合病院などの公的病院で新版K式発達検査を受ける場合は、保険内診療となり、その際は、診療報酬点数の規定に基づき、負担費用はおおよそ840円(3割負担の場合)となります。また、診断書もしくは報告書を書いてもらう場合には、別途料金がかかります(「検査報告書」については後述の『検査報告書の活用』をご覧ください)。こちらの料金は病院ごとに異なりますので、直接病院に問い合わせてみてください。一方、個人のクリニックなど民間病院で検査を受ける場合には、すべて自費での診療となります。検査は基本的に誰でも受けることができますが、特に発達に関して気になる点がない場合は自費となります。こちらの料金設定も各病院ごとに設定されていますので、受診する病院に問い合わせてみてください。診療報酬点数表サクセス・ベル株式会社医科診療報酬点について日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」発達評価(アセスメント)について出典 : 新版K式発達検査の発達評価(アセスメント)では、被検査者の生活年齢(CA)に合った行動発達がみられるかどうかを観察することによって、発達が標準的な過程をたどっているかを判断します。たとえば、標準的な発達だと1歳前後で歩行を獲得しますが、同じ年齢で獲得していない場合は標準的な過程をたどっていないと判断されることが多いです。また、新版K式発達検査では、検査用具を子どもがどのように扱うか、あるいは検査者の教えに対して被検査者がどのように応答するかといった点にもとづいて、発達の評価をおこないます。なお、この検査は、乳幼児や児童の精神発達の状態をとらえるための検査であって、発達スクリーニングを目的としているものではありません。発達スクリーニングとは、精密検査を要するものと要しないものとをふるい分けることです。つまり、この検査は発達状態を細かく分析するものではなく、精神発達の全体的な進みや遅れ、バランスなどの全体像をとらえるための検査になります。国立特別支援教育総合研究所発達検査国立特別支援教育総合研究所アセスメントについて発達スクリーニング検査検査報告書の活用出典 : 新版K式発達検査には、検査後にやるべきことを示してくれる「検査報告書」というものがあります。機関によっては、検査後に具体的な数値や詳細を示した「検査報告書」を作成していただけない場合があるようです。よって、確実に具体的な数値や詳細を確認したい場合は「検査報告書」の作成を依頼する必要があります。以下に、実際に「検査報告書」を依頼した例として、発達ナビ『家庭での具体的な配慮が分かる!発達検査の「検査報告書」とは?』の記事から引用させていただきます。検査結果の詳細が知りたいと病院へ伝えたところ、有料(2700円)で「検査報告書」を作成することができると聞き、その作成を依頼しました。「検査報告書」には次の内容が書かれていました。(1)数値結果(2)検査結果から言えること(3)日常生活上配慮していただきたいこと(2)では、各課題での取り組み方と課題の通過・不通過の理由について詳しく記載されていました。例えば「ことばのみの質問では、そもそも相手のことばに注目を向けること自体が難しかったり、注目を向けることはできても”何が求められているか”という課題の意図を把握しきれないと言えます。」といった具合です。ここから、次女への問いかけ・指示を言葉のみで伝えた時に理解するのは難しいということを理解することができました。(3)では、日常生活で必要な具体的配慮が10項目も記載されていました。例えば「働きかける際には、何をすべきか、何か求められているのか、が把握しやすい見る手がかりに簡潔なことばを添える形で示していくよう心がける」などです。それまで次女が私の指示を聞かないことに苛立つ場面も多かったのですが、「本人が理解しやすい方法で伝える」必要があることがわかりました。このように、「検査報告書」を依頼すれば、詳しい検査結果を知ることができます。無料で「検査報告書」を作成してくれる機関もありますが、検査形態や「検査報告書」の費用は機関によって異なりますので、詳しくは受診する病院に問い合わせてみてください。まとめ出典 : 新版K式発達検査は、ウェクスラー知能検査(WISC・WAIS)や田中ビネー知能検査などの知能検査と同様に、その人に合った支援や学習指導の方向性のヒントを得ることを目的としています。検査を受けて診断結果を知るだけではなく、被検査者の得意不得意を見極めて、ひとりひとりに合った困りごとへの対応を心がけることが大切です。なお、検査を受ける機関によって診断方法や費用が異なりますので、受検を検討される方は、相談機関に相談してみてください。発達ナビQ&A新版K式発達検査で1歳ほど発達が遅いという結果が出ました
2016年08月22日うちの子、発達障害かも?でも診断を受けるのは怖い…出典 : 子どもの発達が気がかりだけど、病院に行く程ではないだろう。障害だなんて…そんな風に思う方もいるかもしれません。でも、大人が思う以上に子ども自身が困っているかもしれません。私の娘は、療育施設に1年ほど通い、その後保育所へ3年通って、現在は地域の小学校に通っています。どの施設でも行事に参加したことがありますが、保育所や小学校の通常クラスであっても「この子、発達障害じゃないかなあ」と思える子が1人、2人ほどいました。しかし保護者会に行くと「まだ子どもは診断を受けていないんです」と言う方もいらっしゃいました。私自身は、親の「発達障害かもしれない…でも、もし障害だと判明したら怖い…」という気持ちが、子どもの得意不得意をちゃんと知れる機会を遅らせしまうのも1つだと思っています。不安な気持ちは、私もよくわかります。療育手帳を持つことに「抵抗がある」という知人もいました。そう簡単に子どもに障害があると受け入れることはできないと思うのです。私たち親子が診断を受けるまで出典 : 確かに、病院へ行って発達障害だと診断を受けたら、気持ちが落ち込むかも知れません。私の場合も、娘の様子が何かおかしいと最初に気づいたのは妻でした。でも私は「ただちょっと遅れているだけだろう」としか思いませんでした。誰しも自分の子どもの成長を、発達障害を前提にして考えてはいません。しかし、インターネットや関連本などで調べていくうちに、その症状が当てはまることに気付いてからは、きちんと病院で調べてもらう気になりました。診断が出たときは、薄々気づいていたとはいえやはりショックでした。でも、娘が大人になった時、社会の一員として暮らしていけるように親として今出来る限りの手助けをしてあげないといけない、と考えなおしました。きちんと診断を受けたからこそ、行政から支援を受ける事ができるならそれは利用するのが得策だとも思いました。誰のための診断なのか、ゆっくり考えてみよう。答えを出すのは家族のペースで良い。出典 : 病院へ行き、診断を受けるのは子どもです。親ではありません。現実を受け止めることは難しいかもしれませんが、親の都合や気持ちで子どもの自身の成長のキッカケを遅らせてしまう一方では、子ども本人のためにはならない、と考えるようになりました。診断を受けるということは、その子に必要な支援がどんなものか?周囲はどう支えたらよいか?をきちと知る機会なのです。診断に行くことは、「障害のラベル」を子どもに付けることじゃない。出典 : 私も診断を受けた直後はショックでしたが、時間の経過とともに大事なことに気づきました。診断名だけにとらわれず、まずは子どもが困っている事にきちんと注目するということです。診断の有無に関わらず、子どもの成長は人それぞれです。。理解のはやい子・ゆっくりな子、運動の得意な子・苦手な子、おしゃべりな子・大人しい子…。子どもの苦手なことが見えたら、どうすれば伸びるかを考えますよね。発達障害の診断がある子どもに関しても、基本的には同じような考え方でいいのではないでしょうか?診断名にとらわれすぎず、今目の前にいる自分の子どもが困っていることや、苦手なところに寄り添い、サポートをしていけばいい。そう思っています。もし、発達障害かもと心配していながらも、病院に行く一歩を踏み出せずにいる方…少し立ち止まってゆっくり考えてみませんか?「診断を受ける」ということは、子どもに「障害」というラベルを付けることではないと思います。診断は、子どもが困っていることに気付き、子どもに合ったサポートや学び方をきちんと考える為のもの、なのですから。
2016年08月21日なんでボクだけ怒られるの!?納得できない息子Upload By かなしろにゃんこ。ツライけれど伝えないといけないこともある!?Upload By かなしろにゃんこ。些細なことでイライラしやすい息子は、学校でトラブルがある度に「周りのみんなは分かってくれない、自分だけが責められる」と泣いて訴えます。苦しんでいる息子を見ていると、つい情けない気持ちや可愛そうな気持ちになります。しかし、普段からイライラしやすい息子に対し、日頃から我慢しているクラスメイトのことも先生からよく伺っていたので、冷静に考えると「揉め事は気性の荒いお前も悪いんじゃ!」と思うのです。担任の先生からは、「揉め事が起こったときはみんなが学べるときなので、すぐ介入したり助けたりせず、見守っています。一方で、いつももめ事を我慢している周りのみんなは、リュウ太くんが弱っているときに、うっぷんを晴らすように集中攻撃してしまうこともあります。」と教えて頂きました。「揉め事の原因はボクではないのに、ボクだけが怒られることに納得がいかない!」この気持ちは分かります。しかし、集中攻撃される原因を本人が知らないと、この先も同じようなことがあったときに不平等感にイライラするのではないかと考えた私は、マンガにあるような図で説明をすることにしたのでした。その後、中学になったときに同じようなもめ事がありイライラムシャクシャする息子に「あの図覚えてる?アレだよアレ!」と言うと、「あーーハイハイあーそうですかー」と思い出してくれました。ここでも中学生の息子に「大変だったんだね」と一言優しい言葉をかけて終らせれば良かったのですが、私は「世の中にはあまり平等はない!平等を求めないこと」も大事だと伝えたかったのです。人間関係は本当にいろいろな経験しないと学べませんね。Upload By かなしろにゃんこ。発達障害 うちの子、人づきあい だいじょーぶ!? (こころライブラリー)
2016年08月21日つまり「キライ」っていうこと??息子が通うスイミングスクールでは、上の級へあがるためのテストがあります。テストの前日、こんなやりとりがありました。Upload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナUpload By ラム*カナどうやら息子は、ホットケーキはあまり好きではないようでした(笑)実は息子、日頃から「きらい」というワードをあまり使わない子です。息子は意識していなかったようですが、これはとても大切なことだと思いました。息子は自然とできていた!ふわふわ言葉とチクチク言葉出典 : 「ふわふわ言葉とチクチク言葉」をご存知でしょうか。発達障害センターの先生によると、チクチク言葉は・「きらい」・「うるさい」・「やだ」という尖った言葉です。これを、・「すこし苦手」・「元気で声が大きい」・「あまりしたくない」など、柔らかい表現にしたものがふわふわ言葉です。ふわふわ言葉を使うことで、家族や周りのお友達を嫌な気分にさせずに自分の気持ちを伝えることができます。私は大学の授業や発達障害センターでこれを知ったのですが、息子はなんと自然に「ふわふわ言葉」を使っていたのです。ふわふわ言葉を使って、発達障害を前向きにとらえよう出典 : ふわふわ言葉は日常会話だけではなく、性格や特性を表わす言葉にも応用できます。発達障害の子どもが持つ・落ち着きがない・忘れんぼう・多弁・集団行動が苦手などの特性は、一般的にはマイナスなイメージかもしれません。しかし私はこれらの特性を、・とにかく元気!体力がすごい!・過去は振り返らず、「今」に全力!・頭の中に広がる想像力・創造力が壮大!・周りにとらわれず自分を貫く!というように、ふわふわ言葉に変換してとらえています。もちろんこれから社会に出て、息子の特性が短所になりうる場面も出てくるかもしれません。でも、息子には自信を持っていてほしい。自分の持っているものは力なのだと。そのためには、私たち親が子どもの特性をもっとプラスにとらえることが大切だと思うのです。息子のようにふわふわ言葉を使うことで、自分も周りも発達障害をポジティブに考えられるようになると良いなと思っています。
2016年08月20日不安だらけだった2歳までの育児出典 : 私には発達障害の息子がいます。息子が2歳までの間、私には気持ちが休まる時間というものはありませんでした。多動で動き回る息子を追い回し、癇癪で泣き続ける声にどうしたら良いのか分からず、思わず「うるさい!!」と泣いてしまったこともありました。発達障害の診断が出て、その瞬間は少しホッとしました。実態の見えなかった不安に解決の糸口が見えたからです。「よし、息子のために頑張ろう!」出典 : 診断後、私は発達障害についての情報収集に、空いている時間の全てを投入しました。様々な実践を繰り返す中で、「言葉かけ次第で、子どもの困った行動がなくなっていく」ということがわかっていきます。これはとても救いになりました。そしてそこから、私は「こういうときはどうやって声かけをしようか」ということを常に考えながら、行動をするようになりました。また、発達障害の情報収集をする上で、沢山の人と繋がることができました。そして、私の生活には発達障害に関する情報が、間断なく入ってくるように。雪崩のように流れ込んでくる情報を分別しながら、ためになりそうなことは、すぐ取り入れていました。気が付くと、私の生活はネット検索も、SNSも、「支援」と「配慮」の情報だらけ。息子の診断が出てからの4年間、私は起きている間ずっと、頭が高速回転している状態でした。1番大変だった息子の多動がやっと落ち着いた頃に、突然訪れた気の緩み出典 : 歳手前で、それまで1番辛かった息子の多動が落ち着いてきました。私は思っていたよりも、息子の多動に気力体力を削がれていたということに、このとき初めて気が付きました。そして、それまでずっと張りつめていた心がふっと緩んだのです。「発達障害」という言葉をもう見たくない…!発達障害の情報を見るだけで疲れる…!息子への言葉かけを考えようにも、頭が回転しない…!!私は、ネット上の情報をチェックしては、「発達障害」の文字が目に入るだけでイライラするようになりました。息子への「支援」や「配慮」も、あれだけ熱心に頑張っていたのに、息子のために頭を使おうとすると、思考がまとまらなくなってしまうのです。ここで私は気付いたのです。自分が「支援疲れ」に陥っていたと。6年間、常に頭を高速回転させてきた結果、ふと気が緩んだのと同時に、緊張の糸が切れてしまったのでした。「支援疲れ」で気付いた、支援よりも大切なこと出典 : 私は今も、この「支援疲れ」から、完全には脱出できていない状態です。けれども、Twitterで誰かが呟いていた言葉に、私は気持ちが楽になれました。「どんな支援が必要とか、療育は何がいいとか、そういうことばかり考えさせられるんだけど、ただうちの子可愛い!じゃダメなのかな?本当に本当に可愛いよ。それじゃダメなのかな?」この言葉に、私はハッとしたのでした。「うちの子可愛い!」と言えたら、それでいいじゃないか、と。「うちの子可愛い!」は、どんな実践にも勝る「支援」であるはずです。私は、ずっと「支援」と「配慮」で頭がいっぱいで、「うちの子可愛い!」という気持ちが置いてけぼりになっていた気がします。心が疲れている今は、「うちの子可愛い!」を堪能しようと思います。
2016年08月20日いつも注意されていた子どもの頃を振り返る…Upload By モンズースー私は子どもの頃、「挨拶をする理由」がわからず、挨拶を求められることにとても違和感がありました。いつ、どのタイミングで、誰に、何と言えばいいのかがわからなかったのです。わからないまま、「しないと注意される…だからしなきゃ…」と思っていたので挨拶が段々嫌いになっていきました。声をかけられたときは、相手の挨拶を真似してオウム返しをすればその場は何とかやりすごす事ができます。ですが、一体そのフレーズで合っているか、そもそも自分に声をかけられているのかがハッキリとわからないときは、うまく挨拶できないこともありました。今思えば、大人から挨拶をしようねと注意されても、私が困っていたことを教えてもらえる機会はなく、私はずっとどうすればいいのか困っていました。大人になった今でも、タイミングをはかったり、自分から言うべきかどうかなど考えることが多いので挨拶は得意ではありませんが、それでも経験を重ねれば、昔のように不安になることはほとんどなくなりました。今、息子の幼稚園や遊び場で挨拶が苦手な子を見かけると、「あの頃の私と同じような気持ちなのかな…」とたまに考えてしまいます。
2016年08月19日娘が学校に行かなくなった出典 : 一見普通に学校に通っているように見える子ども。でも、人間関係がうまくいかない、いじめにあっている、授業についていけない、部活がつらい、進路に不安があるなど、隠れた悩みを持っているかもしれません。特に発達障害のある子どもは、特に心が繊細で学校という場に潜む問題にいち早く気づくようです。発達障害に理解のない先生から適切な支援を受けられず、つらい状態で頑張って学校に通う子どもも多いでしょう。アスペルガー症候群のある私の娘は、「どうしてみんなは先生の言うことを聞かないのか」、「どうしてケンカばかりするのか」、「なぜ先生はケンカや言うことを聞かない子を放置するのか」といった学校の問題に悩み、心を痛めていました。そして学校という場になじめなくなり、力尽きるように行けなくなってしまいました。今回は、不登校になってしまった娘と私の夏休みについてお話します。夏休みの終わりに娘が出したSOSサイン出典 : 私の娘は不登校になってから7年が経ちます。娘が学校に行かなくなったばかりのころは、「本当は怠けているだけなのではないか?」「頑張れば行けるようになるのではないか?」と考えていた時期がありました。夏休みの終わりごろは特に、「新学期になれば娘は学校に通うのではないか」と期待する自分がいました。今思うと、これは無意識のうちに娘へのプレッシャーになっていたでしょう。不登校の娘も、「新学期になったら行かなくちゃ」と親の期待に応えようと苦しんでいたと思います。学校へ行かない娘にとって、夏休みはやっと来た休暇であり、ホッとできる期間でした。でも2学期がいよいよ始まるという夏休みの終盤は、娘はとてもストレスを抱えていたようです。例えば娘は、・宿題をやっていない・気力がない、腹痛や頭痛がよく起こる、体調不良を訴える・夜に眠れず昼間に寝てしまい、昼夜逆転生活になる・身なりに構わなくなる・視線を合わせないといったSOSサインを出していました。夏休みが終わることにおびえていたのです。9月1日、子どもは追い詰められている娘がSOSを出していたにも関わらず、私は「また学校に行って欲しい」という期待をもとに娘に厳しく接してしまいました。すると娘はますます学校に行く気力を失い、心身ともにどんどん弱っていきました。実は、夏休みが終わった次の日の9月1日は、18歳以下の子どもの自殺が1年の中でも多い日になっています。Upload By ヨーコ夏休みが終わるころ、子どもたちはそれほどまでに追い詰められているのだと思います。私が参加している不登校の親の会でも、私と同じように子どもに厳しく接してしまい、子どもが不登校のままという方が大勢います。みなさん「あの時厳しく子どもを責めなければ良かった…」と言っています。SOSを出している子どもに厳しくしてしまうと、親子の信頼関係が崩れてしまうのだと痛感しました。子どものSOSサインに気づいたら、決して問いただしたりはしないで、さりげなく「困ったことがあったら話してくれてもいいんだよ」と伝え、注意深く見守ってあげてください。親に必要なのは、子どもを休ませる勇気出典 : 去年話題になったこの記事。覚えている方も多いかもしれません。「学校が死ぬほどつらい子は図書館へいらっしゃい」。夏休みが明けるころに子どもの自殺が増える傾向があることから、神奈川県鎌倉市立の図書館の公式ツイッターが26日、こうつぶやいた。共感を呼び、13時間で4万回以上もリツイートされている。私は、図書館だけでなく家庭こそ、「学校が死ぬほどつらい子」を受け止める場所でなければならないと思っています。でも子どもが「学校へ行かない」と言った時、親が怒ったり、責めたり、泣いたりしていたら子どもは家で心を休ませることができません。自分の子どもが学校に行かないことを認めるのは簡単なことではありません。そこには、「学校へ行かないと学力がつかない、社会生活ができなくなる、集団生活ができないと社会人として生きていけない。」という親自身の価値観があるのだと思います。そういった価値観は社会が親に押し付けているものでもあると私は思います。だからこそ、周囲や学校からの声に親もつらい思いをするのです。私も子どもの不登校を7年経験していますが、正直言ってまだこの「普通の価値観」を捨てきれていないと思います。だけど、心身ともに疲れ果てている子どもには、せめて家で休むことを認めてあげることが必要なのではないでしょうか?子どもの不登校を認めるのは大変なことですが、どうか子どもを休ませる勇気を持ってほしいと思うのです。エネルギーがたまると子どもは動き出す出典 : ストレスや恐怖から解放されて、再びエネルギーがたまるまでゆっくりと休むと子どもは変わります。娘も、学校へは行かないけれど長い間しなかった勉強を少しずつ始めました。今は進路も子どもによって様々です。学校に行かなくても仕事についている人はたくさんいるし、道は一つではないのです。生きていてくれてこその未来です。
2016年08月19日広汎性発達障害(PDD)とはUpload By 発達障害のキホン広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリでは、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という5つの障害が含まれています。広汎性発達障害の中でも特に自閉症やアスペルガー症候群がよく知られていますが、自閉症の半数以上が知的障害を伴うのに対して、アスペルガー症候群は言葉の発達の遅れが伴わない「知的障害のない自閉症」と言われています。また、知的障害のない自閉症は「高機能自閉症」とも呼ばれますが、アスペルガー症候群との定義の違いが曖昧で、専門家によって異なります。さらに、広汎性発達障害は、最新の診断基準であるアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害というカテゴリに変更されています。広汎性発達障害の障害名、症状の中には自閉症スペクトラム障害の概念では除外されたものも含まれています。ですが、行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、本記事では『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明します。広汎性発達障害の子どもの生活での4つの困難と対処法出典 : 広汎性発達障害の主な症状は・対人関係・社会性の障害・コミュニケーションの障害・特徴的なこだわりや興味の3つが挙げられます。その他、広汎性発達障害のある人の多くに「視覚」「聴覚」「味覚」「触覚」などの感覚に対して特定の刺激に苦痛や不快感を感じる「感覚過敏」や感覚の鈍い「感覚鈍麻」という症状が見られると言われています。このような特徴を持つ広汎性発達障害の人は、どのようなことを困難に感じるのでしょうか。以下に4つの困難と対処法を述べたいと思います。広汎性発達障害のある子どもは、人の感情を読み取って人の気持ちに共感したり、想像したりすることが難しい傾向にあります。また、比喩やたとえ話も理解しにくい傾向があります。そのため相手の気持ちを考えずに、思ったことをストレートに口に出してしまって相手を傷つけたり怒らせたりしてしまうこともあります。対人関係を築くのが苦手でコミュニケーション障害もあることから、広汎性発達障害の子どもにとって友達を作ることは困難な作業です。例えば、一緒に遊びたいなと本人が思ったとしても、友達を誘う方法自体が分からないこともあります。【対処法】「君太ってる」「あのひと臭い」など、相手を傷つけるような発言をした場合は「そんなこと言っちゃダメ!」と抽象的に叱らずに「太ってると言われると○○さんは悲しいと思うから言わないで」と相手の気持ちを推測できるように促し、具体的に何を言ってはいけないかを提示してあげましょう。相手の気持ちを理解する練習をすることで、言っていいことと悪いことの区別をつけさせるのが大切です。他人とのコミュニケーションをとるのが難しい場合、具体的に友達の誘い方を教えてあげたり、親が遊びの場を作ってあげることも大切です。例えば療育機関などで、社会的スキル訓練や、集団療育を行うことも有効です。広汎性発達障害のある子どもの多くは感覚の過敏性や鈍さを抱えています。電車の音や騒音などにとても強く反応してしまうことがあります。赤ちゃんの泣き声などにも強い拒否反応を示し、自分が癇癪を起したりパニックになったりする子もいます。また、体に触れられることを嫌ったり、温度に敏感でお風呂に入りたがらなかったりなど、少しの刺激でも本人のストレスに繋がってしまい、パニック状態を起こしてしまうこともあります。【対処法】無理に触ろうとはせず、機嫌がいい時や心の準備ができているような時に声かけをしてあげましょう。「今からお風呂にはいろうね、お風呂で○○して遊ぼうか」「今から背中を触るね」など、いきなり体を触らずに声かけしてあげると心積もりができるようになります。にぎやかな場所へいく場合はイヤーマフを使用してみたり、なぜその音が鳴るのか、どうして賑やかなのかを落ち着いているときに説明してあげるとよいでしょう。それでも嫌がる場合は無理をせず、苦手なものを避けてあげるのも一つの手です。広汎性発達障害のある子どもは、こだわりが強く、変化が苦手な場合が多いです。規則や法則など、一定の安定したルーティーンを好むため、少しでも自分のマイルールが侵されることを嫌がることがあります。よって、イレギュラーな対応や予定の変更についていくことができず、癇癪やパニックを起こしてしまうこともあります。【対処法】「○時になったら○○するよ。約束ね」と一緒に時計をみて確認し、一つひとつ理解を促すようにスケジュール管理を行うようにしましょう。言葉で言っても理解しづらそうなときはイラストや写真などを使うのも有効です。見通しが立つと安心することが多いので、予定をあらかじめ把握し、お子さんに伝えてあげるようにしましょう。広汎性発達障害のある子どもは、集団内で暗黙に共有されている「常識」や"空気"を理解するのが難しい傾向にあります。人との距離感や場に合った振る舞いなど、抽象的で境界線がはっきりしないことについて理解が難しく、友達が表情で悲しさや怒りを伝えてきても、感情を読み取れないこともあります。【対処法】指示は分かりやすく伝えるようにしましょう。例えば静かにしなければいけない場面の場合、具体的にルールを短い言葉や文字で示してあげることが大切です。また、「会場内は静かにしましょう」というアナウンスだけでは、何をすべきかがわからないので、「お絵描きしながら静かに待ちましょう」など具体的にどうすればいいかを指示の中にいれると良いです。広汎性発達障害の子どもへの日常の接し方のコツ9選これまで、広汎性発達障害の子の困難とそれらの対処法をご紹介してきました。以下では、広汎性発達障害の子の日常生活の子育てにおいて、どのようなことに気をつければ良いかを紹介します。出典 : 広汎性発達障害のある子どもは聴覚刺激よりも視覚刺激を利用すると効果的な場合もあります。紙に文字を書いて説明するのもよいですが、言語能力の発達に遅れが見られる場合は絵や写真、図表にして説明すると理解しやすくなります。例えば、時間管理をする際はタブレット上に大きいタイマーを表示して、視覚的に「あと何分あるか」を提示しながら取り組んだりするといいと思います。耳よりも目から入った情報の方が記憶にも残りやすいと言われているので、遊びやスポーツのルールを伝える際も紙に書いて説明するとよいでしょう。曖昧な表現を理解することが難しいため、できるだけ具体的な表現や手順を使うことが大切です。例えば、「ちょっと」ではなく「何分、何個」という具体的な数を使って話したり、片付けの際も「ちゃんと片付けて」「キレイにして」ではなく「おもちゃ箱におもちゃを入れる」といった具体的にやるべきことを伝えます。ついつい曖昧な表現を使いがちですが、どうすれば伝わりやすくなるかを常に頭に入れて指示するようにしましょう。その際、上記で挙げた絵や写真を使うのも効果的です。広汎性発達障害の子どもを持つ保護者は、できないことや、やめさせたい行動が多く目につき子育てが不安になってしまうこともあるかもしれません。ですが否定的な言葉を使ったり、大声で叱ることは控え、できるだけ褒めることを心がけることも子育てのコツの1つです。褒めることで「褒められた→嬉しい→またやろう」とやる気を促すことにも繋がります。また、子どもによっては大げさに褒められることを嫌う子もいますので、その子にあった褒め方をしていきましょう。広汎性発達障害のある子どもは、他人と比べて自分ができていないと感じて自信を失ったり、自暴自棄になってしまうケースもあります。子どもの得意分野を見つけて、できることをさらに増やし、成功体験を積むことが大切です。例えば食べ物が好きな子であれば調理やお菓子作りを教えたり、家事を手伝ってもらったりすることも今後の生活に役立ちます。広汎性発達障害のある子どもは、人の気持ちを理解するのが苦手な傾向があります。そのため、嬉しいことは嬉しい、嫌なことは嫌と、気持ちをはっきり言葉にして伝えることも大切です。友達とケンカした際も相手がどう思っていたかを伝え、どう対処すれば良かったかなどを、絵や文字にして具体的に教えることが大切です。頭ごなしに否定してしまうと、やる気をなくしたり、物事自体を拒否するようになってしまいます。まずは子どもの気持ちに寄り添い、なぜそういうことをしてしまったのか子どもの考えを聞いたり、どうすればよかったのかを一緒に考えることが大切です。子どもが興奮したり、泣きわめいてしまった場合、落ち着いてから話をするようにします。広汎性発達障害のある子どもは、急な予定の変更や初めての場所が苦手です。場合によってはパニックとなってしまう可能性もあります。こういった状況を避けるため、できるだけ予定を早めに伝えておき、初めての場所でも子どもが安心できるように、事前に写真やビデオを見せるなど、工夫をしてみましょう。広汎性発達障害のある子どもは、推測することが苦手な場合が多いです。そのため遊びの中でルールを自然に理解することが難しいこともあります。あらかじめ、絵や図にしてルールを予習をしておくと、子どもが理解しやすくなります。また、自由時間といった何をすればよいか曖昧な時間も不安になってしまうことが多いので、何をするとよいか、選択肢を提示したり、選ばせてあげるとよいでしょう。自分ひとりだと子育てのコツが掴みづらい場合は、ペアレントトレーニングのような子育てトレーニングや療育相談を受けることも有効です。専門的なトレーニングを受けた講師から、子どもにあった子育て方法を学ぶことができます。これらのプログラムでは、子どもが危険な行動をとったときに上手に止める方法や褒め方のコツなどを知ることができます。広汎性発達障害の子どもに接する際に注意するべきこと普通の子には当たり前にとる対応や反応でも、広汎性発達障害の子だとパニックを起こしてしまうこともあります。以下のポイントを頭に入れておいて、広汎性発達障害の子とよりよいコミュニケーションがとれるようにしましょう。出典 : ついつい大声で叱りたくなる気持ちも分かりますが、大声は広汎性発達障害のある子どもにとってトラウマとなる可能性があります。怒られるという恐怖心で何もできなくなってしまうこともあります。一度深呼吸をして落ち着く、感情的になったら一度その場を離れるなどして、冷静になってから具体的に悪いことを伝えて、どうすればいいかを指示するようにしましょう。手をひらひらさせたり、ぴょんぴょん飛び跳ね続けたりするなど、広汎性発達障害のある子どもの中には同じ行動を長時間続ける常同行動が見られる場合があります。これらは視覚支援によって見通しを持てる環境を作ったり、コミュニケーションスキルを学んだり、適切な遊びにかえることなどで改善することが多いです。無理に止めさせようとするとパニックに陥ることもあるため、何回やったら終わりと決めたり、何か違うことに集中するための課題などを与えてあげたりするとよいでしょう。何度伝えても伝えたことができない場合、「どうしてできないんだろうか」と悩んでしまう人もいますが、「今日はできなかったな」ぐらいの気持ちで受け止めてみることも大切です。また、自分では上手く伝えていると思っていても、子どもにとっては理解しづらい可能性があります。絵や図などを使い、伝え方を変えてみるなど工夫してみましょう。他の子にとっては当たり前でも、広汎性発達障害のある子どもにとって困難なことは多々あります。親としてはつい他の子と比較したり、同じことができないことに悩んだりすることもあると思います。しかし大切なのは、子どものできることや、頑張っていることに目を向けることです。それらのことを褒めたり認めていくことは、子どもの成長に繋がっていきます。まとめ出典 : 広汎性発達障害のある子どもの子育ては、その子の特性を理解し、視覚的な情報の活用や事前の予告など、工夫を学んでいく必要があります。一人で悩まずに、療育機関や支援センターなど周りの環境を上手く利用しましょう。ペアレントトレーニングや療育相談など、様々なサービスがありますので、地域の情報を探してみましょう。参考文献: 田中康雄 (2014) 『発達障害の子どもの心と行動がわかる本』 西東社
2016年08月18日言語IQは150。アスペルガー症候群で、常に頭の中はフル回転。出典 : 娘は、言語能力が突出しているアスペルガーです。言語IQは150を超えており、頭の中は常にフル回転状態なので、休む暇なくいつも話し続けています。良くも悪くも娘の大きな個性の一つとなっています。そんな娘は、自己肯定感が低く自分を否定しがち。誰かが自分のことを話していると「否定されてる…」と感じてしまうのです。自分に以外の話題は、まさにアスペルガーの特性通り「言葉通りに受け取り、意図が読めない」のに、自分に関することとなると、反応が全く異なるのでした。否定的な考え方は、昔の私に似ていた。他人のアドバイスを上手に受け取れない時がある出典 : 娘は、「いい笑顔だね!いつもそんな風に笑ってるとステキだよ!」と褒められると、「どうせ私はいつもちゃんと笑えていないから。いつもの私はダメってことでしょ!」と怒ります。「すごく上手にできたね!」と褒めらると、「いつもいつも失敗して、たまたま上手く行っただけ!頑張ってもなかなか上手く行かない私なんて全然ダメ!」と泣きながら訴えます。そんな娘を見ていて、ふと、私自身も長年同じような思考のパターンだった事を思い出しました。昔の私は、そもそも「アドバイスされる」という事がとても苦手。自分から「どうすればいいと思う?」と相談した場合はアドバイスを素直に聞けるのですが、相談をしているわけでもないのにアドバイスされると、その内容よりも「今のままではお前はダメだ」と否定されているという風に捉え、そこのみを強烈に受け取っていたのです。「適当に受け流せばいいじゃない」と言われることもありましたが、一度入ったマイナス要素は頭の中で何度もリピート再生されるため、「受け流す」ということもできないのです。私を知っている人が、私を否定的に見ている。その事実に猛烈に怒りを感じるとともに、傷つき、とどまることのない思考の中で深く深く自己否定に紐づけてしまう。私はこの思考のパターンにずいぶん長く苦しんできました。娘もそうなのでは…と思い、長年苦しんだからこそ娘にはなんとかこの思考をコントロールしてもらいたい。この苦しみから逃れさせてあげたい。そう願って、対応を模索してきました。【1】言葉でほめるのをやめて、代わりに「はなまるノート」を作った出典 : まず、娘の自己肯定感を高めるために「はなまるノート」を作りました。「このノートには、ママが本当にいいと思ったことしか書かない」と宣言し、毎日の生活の中で些細な“はなまる”な出来事を具体的に記入しました。自分で探し物を見つけられたこと、泣きながらも諦めずに最後まで取り組めたこと、怒ってしまったけど小さな噴火で済ませられたこと…娘はこの「はなまるノート」に書かれていることは、とても素直に受け止め、何度も読み返しては顔をほころばせています。というのも、娘の場合は「耳から入る言葉(音声言語)」には、思考のフィルター「なぜその人は、そのような発言をしたのか」を通して背景を深読みし、「これを単純な褒め言葉と受け取ってはいけない」と考えてしまうのです。一方で、「目から入る言葉(文字情報)」は、思考のフィルターを通さずに済むようで、素直にほめ言葉も受け取れるようです。とにかく、文字に書いてほめれば素直に受け止められるという法則を見つけてからは、娘をほめやすくなりました。自己肯定感も少しずつ上昇に向かっているように思います。親としても、はなまるノートを書こうと子どもの良い所に注目できるようになったので、これもいい収穫でした。言語優位|文字は思考を凌駕する「言葉は人を作る」プロジェクトで見えた娘の特性【2】ほめられたらまず最初に何を言うのか、明確に決めた出典 : ほめられたらどうするのか、を娘と話し合って決めました。「ほめられたら、ありがとうと言う」というシンプルなルールです。今まで、ほめられたらまず最初に口をついて出てくるのは自分を否定する言葉でしたが、まず「ありがとう」を言うと決めてしまったのです。ルールは厳格に守るというアスペルガーの特性を逆手にとったこの作戦は大成功。これを決めて以来、娘がほめられた後に怒りをあらわにすることは、ほとんどなくなりました。また、ほめられた瞬間に自己否定をしてしまう前に「ありがとう」と発することで、この音声言語が娘の思考のフィルターを通り、「ああ、自分はほめられて嬉しいんだ」という信号が脳に送られているのではないかと思っています。ネガティブすぎる、と言われても余計自信がなくなるだけ。色々試してみよう出典 : 私自身、幼いころからこの思考パターンでずいぶんと苦労をしてきました。考え過ぎだ、ネガティブ過ぎる、被害妄想が激しい、堅苦しい、真面目すぎる…。周囲から様々な言葉をかけられ、その言葉に傷つき、さらに自己否定を行う、という悪循環の中で暮らしてきたのだと思います。今回はたまたま、自分の経験を活かして娘を理解しながら対応策を考えることができました。これは本当にラッキーでした。子育ての中で、どうすれば良いのだろう?と頭を悩ませることは尽きませんが、あれこれ考えてトライしてみることに無駄な事はひとつもないはずです。「試してみて合わなければ、また考えよう」そんな風に、ひとつずつ子どもたちと実験をして幸せに近づけたらいいなと思います。
2016年08月18日「娘は自閉症かも」と母に打ち明けた日Upload By こころ娘が発達障害かもしれないということは、1番身近な存在である義両親にはすぐに話していました。実の母は住んでいる場所も遠くて、ほとんど会うことはありません。それでも話さなくちゃと思い、私はSNSを使って報告することに決めました。「発達相談にも行ってきたんだけど、娘は自閉症かもしれない……」そう送るとすぐに返事が返ってきました。「大丈夫」と言われるのがつらかったあの頃Upload By こころ「1人目だからそんな風に思うんじゃないの?ずっと2人で一緒にいるからそんな風に考えてしまうのよ」「そんなこと言ったら皆がストレスを感じてしまうじゃないの」「3歳まで話さない子なんて沢山いるし、考えすぎ」母から来たのはそんな返信内容でした。その時の私は娘に障害があるかもしれないことを否定されることにうんざりしていました。保健師や心理士、誰に話しても「大丈夫、大丈夫」と言われていたからです。私は娘がただ話せないだけならきっとこんな風に疑ったりしなかったと思います。話せないだけじゃなくて、言葉自体が通じないことや指差しだってしないのに……大丈夫って、一体何が大丈夫なの?自閉症の特性などを話しても母は聞く耳を持ちませんでした。でも母は、自分の知らないことや分からないことはすぐに調べる性格です。今思えば、あの時もきっとすぐにパソコンを使って検索していたのだと思います。診断結果を母に連絡。返ってきたのは意外な反応だったUpload By こころ「診断がおりたよ。やっぱり自閉症だって」母に連絡するとまたすぐに返信が届きました。「そうなんだ。普通に生まれてきても虐待を受けたりして殺されてしまう子だっているでしょう。障害があっても娘は娘だよ。生まれてきたことには何か意味があるんだから」最初は娘の発達の遅れを認めようとしなかった母でしたが、診断を機に娘に障害があることを受け入れてくれました。そういえば、私が娘の自閉症を疑う前に母と電話したとき、母はこんなことを言ってきました。「その歳になってもまだ一言も喋らないって、義両親は何も言ってこないの?」信じたくなかっただけで、本当は母が1番最初に娘に違和感を感じていたのかもしれません。滅多に会うことはないけど、娘のことを少しでも分かってくれる、それだけで充分だと思いました。
2016年08月18日広汎性発達障害(PDD)の原因は?出典 : 広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の診断基準である『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリでは、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という5つの障害が含まれています。広汎性発達障害は、最新の診断基準であるアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害というカテゴリに変更されています。また、広汎性発達障害の障害名、症状の中には自閉症スペクトラム障害の概念では除外されたものも含まれています。ですが、行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、本記事では『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明します。広汎性発達障害のはっきりとした原因はまだ解明されていませんが、脳の機能障害がその原因と考えられており、親の子育て方法が原因で起こるものではありません。このうち、レット障害(レット症候群)についてはX染色体上に存在する遺伝子の突然変異が原因であることが分かっています。ほかの障害についても最近では遺伝的要因の関与が有力視されていますが、必ずしも単純に親から子どもへ遺伝するという意味ではありません。遺伝的要因と環境要因が複雑に相互に影響しあっていることが原因ではないかと言われています。しかしながら具体的な障害の原因やメカニズムは分かっておらず、様々な説が議論されている段階です。広汎性発達障害って治療できるの?出典 : 広汎性発達障害を根本的に治療する薬や手術といった医学的な方法はありません。しかし、広汎性発達障害による困難を緩和・解消するための教育・療育によるアプローチは存在します。本人が困難への対応法を学んだり、困難を未然に防ぐための環境調整をすることで、生きやすい環境を作っていくことが可能です。広汎性発達障害のある人はその特性ゆえに、生活する中で様々な困難にぶつかりがちです。他者の感情の読み取りが困難なため、会話の意図を誤解して受け取ったり、コミュニケーションがかみ合わなかったりする場合があります。抽象的な指示が理解できないために同じミスを繰り返したり、こだわりのため順番やルールを守れずトラブルになったりすることもあります。中には自分に自信をなくしたり、周りに強い被害者意識を持ってしまうこともあります。こういった日々の困難さが引き金となって、うつ病やひきこもりなどのいわゆる二次障害が発現することもあるのです。特に思春期以降の不安障害や気分障害の予防が大切です。広汎性発達障害の特性による困りごとを緩和するのに加え、こうした二次障害のリスクを極力なくすためにも、周りが障害の特性についてよく理解し、どのように対応すれば本人が行動しやすいか、生きやすいかなどを考えていくことが必要です。また、てんかん発作や感覚過敏など、一部の症状に対しては薬物療法によって症状を緩和できる場合もあります。うつ病や睡眠障害などの二次障害に対しても精神安定剤などの薬物治療が行なわれることもあります。これらの二次障害に対する治療の一つとしては、心理療法である認知行動療法の有効性が示されています。広汎性発達障害の治療の判断基準は?出典 : 広汎性発達障害は主に「社会性・対人関係の障害」「コミュニケーションや言葉の発達の遅れ」「行動と興味の偏り」の3つの症状が現れると言われています。専門機関においても上記の3つの症状が見られるかを本人や保護者への問診や本人の行動観察などから評価・判断します。親が気づく子どもの症状としては「視線を合わせない、または避ける」「言葉の発達が遅い」などの症状がよく挙げられます。また、広汎性発達障害のある人のほとんどに何らかの感覚過敏が見られます。例えば、小さな物音を怖がったり(聴覚過敏)、抱っこされることを嫌がったり(触覚過敏)、偏食が多い(味覚過敏)などの感覚過敏があります。広汎性発達障害の症状は上記のように複数存在しますが、特定の症状がでたら治療が必要という明確な線引きはできません。また症状ごとに対処法や治療プログラムは異なります。本人が特性による困りごとに直面している場合、専門家による何らかの治療や支援が必要になると言えるでしょう。障害ではないかと気づいた場合には、まずは近くの保健センターや子育て支援センター、児童発達支援センターなどの専門機関に相談するようにしましょう。広汎性発達障害の治療法と治療を行う年齢は?出典 : 広汎性発達障害の根本治療はできませんが、症状を緩和するためには療育的アプローチと薬物療法の2つが効果的です。■療育療育は何歳からでも始めることができ、なるべく早くから通うことが推奨されます。療育とは、以下のように定義されています。療育とは医療、訓練、教育、福祉などの現代の科学を総動員して障害を克服し、その児童が持つ発達能力をできるだけ有効に育て上げ、自立に向かって育成することである。■薬物療法広汎性発達障害そのものを根本的に直す薬はありませんが、特定の症状を緩和するために使用することがあります。薬によって開始できる年齢や症状が決まっており、人によって副作用がある場合もあるので、主治医とよく相談し、用法用量を守って服薬していくことが大切です。薬物療法は、症状を一時的に抑えるためのものであり、症状が軽減している間に、教育や支援を行うと効果的であるともいわれています。治療を終える判断基準については、根本治療ができないため、はっきりと決まっているわけではありません。ですが、本人が特性への対処法を習得したり、環境調整を行ったりすることで困りごとが緩和されれば、治療が必要のない状態になることも少なくありません。しかし、進学や引っ越し、転職などの大きな環境変化によってさまざまな困難が再発する可能性もあるため、十分なフォローが必要です。広汎性発達障害の具体的な療育法・治療法出典 : 療育の遊びを通じてコミュニケーションの取り方を学んだり、友達を作ったりすることができます。また、ストレスを抱えがちな親にとっても療育の場は相談できる場所であり、同じ悩みをもつ親同士の交流の場所にもなっています。療育の効果は個人差があり、子どもに合った療育が必要となりますが、子どもにとっても親にとっても療育は心の面の大きなサポートになると言えるでしょう。広汎性発達障害の療育方法は様々ですが、下記の4つがよく知られています。それぞれの位置づけは異なりますが、ここでは簡単に概要のみを説明します。■ABA(エービーエー、Applied Behavior Analysis/応用行動分析)人間の行動を個人と環境の相互作用の枠組みの中で分析し、問題解決に応用していく理論と実践の体系です。広汎性発達障害に対する療育だけでなく他の障害や教育、福祉、医療、スポーツ分野でも利用されています。■TEACCH(ティーチ、Treatment and Education for Autistic and related Communication handicapped Children)米国ノースカロライナ州で生まれた、自閉症スペクトラム障害の当事者とその家族を障害支援する総合的なプログラムです。※自閉症スペクトラム障害とはレット障害を除く広汎性発達障害を指します。■PECS(ペックス、Picture Exchange Communication System)絵カードを使ったコミュニケーション援助プログラムです。上記のABAの原理に基づいて作成されています。■SST(エスエスティー、ソーシャルスキルトレーニング)対人関係をうまく行うための社会生活技能を身につけたり、障害の特性を自分で理解し自己管理をするためのトレーニングの総称です。紹介した療育方法はごく一部ですが、療育機関ではこれらの療育理論や方法を複数組み合わせたり、独自のプログラムを利用して、子ども1人ひとりにあった療育方法が行なわれます。広汎性発達障害の根本的な治療としての薬物療法はありませんが、一部の症状に対しては対症療法として薬を使用することがあります。例えば、パニック症状を緩和するためには抗精神病薬、てんかん発作や感覚過敏には抗てんかん薬などが処方される場合もあります。その他様々な症状に対して薬物療法が行なわれますが、薬は一時的なもので、症状が完全になくなるというわけではありません。また薬には副作用が出ることもあります。薬の使用は必ず医者の指示を守りながら使うようにしましょう。適切な治療やサポートを受けられない場合、広汎性発達障害の主症状とは異なる合併症や状態を引き起こしてしまうことがあります。このような症状や状態を、一般的には「二次障害」と言うこともあります。注意すべき症状・状態には以下のようなものがあります。・気分障害(うつ病など)・不安障害・睡眠障害・不登校やひきこもり・アルコールなどの依存症などこのような症状や状態が現れた場合には専門の相談機関や医療機関で早期に相談・治療を開始しましょう。二次障害の治療には、それぞれの症状によって認知行動療法などの心理療法的アプローチや薬物療法などが用いられます。二次障害の予防のためには環境調整や周囲の理解、親や家族以外にも本人が信頼して相談できる人間関係を作ることなどが大切です。接し方で大きく変わる!広汎性発達障害の子どもへの接し方のポイント出典 : 広汎性発達障害のある子どもの中には、使っている言葉の意味を理解していなかったり、遊びのルールを理解するのに時間がかかってしまう子もいます。その際は絵や写真を使うと、理解しやすくなる場合があります。また、あいまいな表現は苦手なので、できるだけ具体的な言い方をするようにしましょう。何度叱っても同じことを繰り返してしまうために、親もイライラしてつい大声で叱ってしまうかもしれません。広汎性発達障害のある子どもは恐怖心でトラウマになりやすい傾向にありますので、大声で叱ってしまいそうになったら一度その場を離れるなど、冷静になるよう心がけてみてください。広汎性発達障害のある子どもが適切な行動を習得するまでには、根気強く教える必要があることを理解しましょう。叱るときには感情的にならず、具体的に注意する方が効果的です。上記でお伝えしたように写真や絵を使うなど、どうすれば上手く伝わるかを試行錯誤することも大切です。手をひらひらさせたり、ぴょんぴょん飛び跳ね続けたりするなど、広汎性発達障害のある子どもの中には同じ行動を長時間続ける常同行動が見られる場合があります。これらは視覚支援によって見通しを持てる環境を作ったり、コミュニケーションスキルを学んだり、適切な遊びにかえることなどで改善することが多いです。無理に止めさせようとするとパニックに陥ることもあるため、何回やったら終わりと決めたり、何か違うことに集中するための課題などを与えてあげたりするとよいでしょう。広汎性発達障害の子どもを持つ保護者は、できないことや、やめさせたい行動が多く目につき子育てが不安になってしまうこともあるかもしれません。ですがマイナス面ばかりに目がいかないように、得意分野を見つけて、できることを増やすことが大切です。また、ちょっとしたことでも褒めることが子どもの自信につながります。広汎性発達障害のある子どもの子育ては通常に比べて少しコツが必要になってきます。家族だけで解決しようとするとつまづくことも多いため、プロの手を借りて、子育ての仕方を学んでいくのもおすすめです。ペアレントトレーニングでは褒め方のコツや上手な指示の出し方、危険な行動を予防する方法などを学ぶことができます。まとめ出典 : 広汎性発達障害の根本的な治療方法はありませんが、療育によってコミュニケーションを取りやすくなったり、生活の困難に対処しやすくなります。そのためできるだけ早く療育をスタートしたほうが、本人の生きづらさも減ると思います。日常生活において不安に思ったりすることもあるとは思いますが、何かあった場合は身近な専門機関に相談してみてください。また、本人にとってよい環境を整えて生きづらさを少しでも減らせるように、周囲の人たちは障害の特性を理解した上でサポートするようにしましょう。
2016年08月17日言葉が理解できない娘に、予定を伝えるときはUpload By SAKURA娘には広汎性発達障害があります。2歳半の頃は自分が今からどこに行くかが分からないと、不安でパニックになってしまいました。この頃の娘は、私の言葉も理解できなかったので、次に行く場所の絵や関係したものを見せて、どこに行くかを伝えようとしていました。でも予定が突然変わると大パニックに…Upload By SAKURAしかし、突然の予定変更で行く場所が変わったときは、いくら説明しても娘には理解できませんでした。娘の行きたいところを後回しにしようとすると、娘はそこに連れて行ってもらえなくなると勘違いして癇癪を起してしまうのです。娘の大泣きに、私もとても苦労していました。数字を理解し始めた娘に、私はひらめいたUpload By SAKURAUpload By SAKURA3歳になったばかりの頃、娘は数字を理解するようになりました。そこで私は、これからやることの順番を数字を使って教えることにしました。娘は「順番」が大好きになった!Upload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURAこの方法が娘にはとても合っていました。娘は「順番」が気に入ったようで、幼稚園に迎えに行くと、毎日毎日今日この後することの「順番」を聞くようになりました。そして、私が言った順番をきっちりと守って行動していました。順番を聞くことで、先の行動をきちんと理解することができ、また先が見通せる安心感につながっていたようです。一つひとつ順番をこなしていく娘は、とても満足そうでした。予定が突然変更になったときでも…Upload By SAKURAこの順番を伝える方法は、以前困っていた突然の予定変更にもとても役立ちました。娘がやりたかったその項目は、なくなったわけではなく、「順番が後になっただけ」と娘に分かるのです。最初は、私が順番を突然変えたりすると娘は怒っていましたが、少しずつ変更を受け入れてくれるようになりました。娘なりのペースで、少しずつ成長しているUpload By SAKURA娘は3歳から4歳半過ぎぐらいまでの約1年半、順番を毎日聞いてきました。「いつまで続くんだろう…」と私はちょっと心配していましたが、5歳になる頃には、娘は私に順番を全く聞かなくなりました。5歳5ヶ月になった娘は、私の話だけで先の見通しを立てられるようになったのです。そして、突然の予定変更にも癇癪を起すことなく、説得だけで理解してくれるようになりました。時間はかかりましたが、娘に合った方法で、娘のペースに任せてゆっくり成長できてよかったなと思います。
2016年08月17日そのカミングアウトは誰のため?出典 : 発達障害とわかったら、周囲の人に伝えるべきなのだろうか?子どもの特性をどういう言葉で伝えるか?…と、頭を悩ませる方も多いかと思います。しかし、「何のために、そして誰に、どう伝えるのか?」と整理して考えると、答えが出てくることがあるかもしれません。紆余曲折を経て、「息子のために伝えよう」と思えるようになった、私なりのカミングアウトをお話します。息子の障害を隠し続けた理由出典 : 息子が発達障害と診断されたのは7歳のとき。今から7年前のことです。当時は学校の先生へは診断名を伝えたものの、周囲の人にはひた隠しにしていました。学校の先生からは「同じクラスの子どもたちには、伝えたらどうか?」という提案がありました。ですが私はそれを断り、通級指導教室に参加するために、息子がクラスを抜ける際も、「毎週病院へ行っている」と、苦しい言い訳をしていました。周囲にバレないように、細心の注意を払い、息子の通級の送り迎えをしていたのです。当時の私には、息子の障害をどう伝えたら良いのか分かりませんでしたし、何よりも親としての余計なプライドを捨てられず、周囲の偏見を恐れていました。今思えば、息子の障害を受容したつもりでいましたが、気持ちの根底には障害を認めたくない自分がいたのかもしれません。もうこれ以上は誤魔化せない!出典 : そんな中、あるきっかけで息子の障害をカミングアウトすることになりました。通級のたび「病院へ行くので授業をお休みします」と説明されることに混乱した息子が、「ぼくは病院へ行っていない!」と学校でパニックになってしまったのです。息子に予定を偽るなんて、この頃の私は自閉症の子どもの苦手な事を、まるで分かっていなかったのだと思います。このまま偽り続ければ、息子がまたパニックを起こす可能性があります。こうして私は、クラスの同級生に「担任の先生から伝えてもらう」ことを決めたのでした。相手は同級生でしたし「自閉症」という障害名ではなく「苦手なことがあって、それをお勉強しに行っている」という通級の説明を中心に伝えることにしました。「子どもたちを通して、保護者の中で噂が広がるだろう!」私は内心、とてもハラハラしていました。しかし、そんなネガテイブな考えとは裏腹に、噂や誤解は広がりませんでした。少なくとも私の耳には入りませんでした。それどころか、困っている息子を積極的に手伝ってくれる同級生が何人も現れたのです。通級へ行く息子を見送ってくれる子、通級から戻ったときに先生を呼びに行ってくれる子、教室に入れず、1人で給食を食べている息子に、おかわりを持って来てくれる子…。こんな同級生の様子を見て、息子よりもむしろ私が救われたのです。伝えることが息子のためになる、とわかり…出典 : 息子と同級生との関わりを見て、「カミングアウトすることで生きやすくなる場合がある」と知り、私は息子の障害を隠さなくなりました。でも、はじめから障害名だけを伝えることや、懇談会などで大勢を前に伝えることは、ほとんどありません。大切なのは、息子のために、協力者となって欲しい人に、分かりやすく伝えるという視点。また、伝え方も工夫しています。「あれが苦手」「こういう配慮は混乱しやすい」など、ネガティブな言葉だけで終わらずに、療育で学んでいる話など前向きな情報も一緒に伝えるようにしています。ネガティブで深刻な話というのは、聞くだけでも気持ちが重くなり、相手が負担に思うかもしれません。私の経験から言うと、周囲の人は、親が子どもの障害と向き合っているという事実に安心するような気がします。怖かったカミングアウトだけれど、伝え方を考えることで深まったのは…出典 : 診断前は、息子の行動や私のしつけに関して、批判されることもありましたが、障害を受容し、療育に励むことで周囲からの批判は収まってきました。私は今、発達障害児の保護者のコミュニティを運営していますので、息子の障害については、かなりオープンにしています。不思議なことに息子の障害をオープンにしてから、あれ程心配していた嫌な思いをしたことは、ほとんどありません。そしてオープンにするにつれて、私自身の障害への理解、そして障害を受容することも、深まってきたと感じています。カミングアウトは、家族それぞれの形があって当然ですし、私の経験は一例にすぎません。場合によっては、言わないということが賢明なこともあるでしょう。ですが、言う言わないはひとまず考えずに、「伝え方」だけイメージしてみるのはいかがでしょうか。子どものために、「学校に」「友達に」「保護者に」、そして「身内に」、どうやって伝えるか?それは様々な場面にいて、子どもが過ごしやすい環境を考えることでもあります。子どもにも周囲にも、メリットをもたらす伝え方を考えることで、そのプロセスがより子どもを理解し、受容させてくれるかもしれません。
2016年08月17日みんなの遊びに入らない息子に、保育園の先生は…出典 : アスペルガー症候群の息子(ハル)は現在小学1年生。今では、友達と鬼ごっこなどにも喜々として参加していますが、保育園の頃は集団に入らずに、よく1人で数字を書いて遊んでいました。保育園の担任の先生は、その様子を見て、息子の友達との関わり方が独特かつ積極性に欠けること、それを問題視しているようでした。気になった私は、息子の普段の様子を聞いてみることにしました。私「お友達と遊ぶことを息子が拒絶する、ということですか?」先生「そうではないのですが、遊びに誘ってもみんなと関わりたがらずに、1人でずーっと数字ばかりを紙に書いているんです」私「それがお友達や先生方のご迷惑になっているのでしょうか…?」先生「いいえ。ただ、もしかしたらハル君は発達障害の特性だけではなく、何か不安を抱えているのではないかと心配で…」後日、息子とほぼ同時期に、アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)の診断を受けることになる私には、このとき先生がおっしゃったことの何が独特かつ消極的なのか、イメージすることができませんでした。「みんなと遊んでるの?」息子に聞いてみることに出典 : その後、先生がおっしゃった「息子の不安」がわからなかった私は、息子に直接聞いてみることにしました。私「みんなと保育園で遊んでる?」息子「ハルは一緒に遊んでいるよ」私「え?どういうこと?先生は『電車ごっことかになると加わらない』って言ってたけど…」息子「電車ごっこの電車には入らないけど、同じ部屋にいて楽しいって思ってるもん」私「なるほど。でも先生やほかの人はそういうのを“一緒に遊んでない”って思うみたいだよ。じゃあ、聞き方を変えようか。みんなと同じように電車の輪に入らないのは、何か理由があるのかな?」息子「見てるのは楽しいけど、入りたいって思わないから。だって、入らなくちゃいけないわけじゃないでしょう?」私「うん、そうだね。私もそう思うよ」息子「じゃあどうして先生はそんなことを聞いたのかなあ?」私「ハルが何かを心配していて、仲間に入りたくても入れないんじゃないかって心配だったみたい」息子「あ、そうなんだ。でもね、別にハルがいなくてもみんな楽しそうだからね、ハルは別の遊びをしながら見ていたいんだ」そのさっぱりした口調からは、「仲間に入りたいけれど入れない」と嘆いているようには感じませんでした。翌日、先生への不信感は増すことに出典 : 息子に本心を聞いた私は、翌日先生に大まかな会話の内容を伝え、私自身はこの現象を息子らしい「個性」と捉え、のんびり見守ることにしました。しかし今度は、担任の先生より「協調性がない」という視点で問題視されました。これまでも、息子の意志をできるだけ尊重してきた私は、「みんなと仲良く一緒に遊びなさい」などの無理強いをするつもりはありません。この会話の後、先生との価値観の違いを感じた私は、ストレスから次第にノイローゼ気味になっていったのでした。年長になり、担任の先生が変わったことで対応にも変化が出典 : 新年度が始まってからしばらくは、保育園の先生方全員に対し、まだ不信感で一杯だった気がします。そのため、新担任のY先生に「今日、みんなでごっこ遊びをするときに、ハル君を誘ったのですが…」と話しかけられたときは、思わず身構えてしまいました。私「…何か問題でもありましたか?」Y先生「いえ、そうではなくて、誘ったんですけど、ハル君は加わりたくないみたいで、ずっと数字を書いていたんです」ああ、また「協調性がない」とのご注意を頂くのかな…とうつむきかけたところ、Y先生「ハル君、すごい集中力ですね!」まさかの褒め言葉が。私「へ…?」Y先生「一緒に遊べなかったのは残念なんですけど、周りが賑やかなのを気にせずに、一所懸命に数字を書いているハル君を見て、すごいなって思ったんです!好きなことにそうやって取り組めるハル君、素敵ですよね!」邪気が一切ないY先生の笑顔に、毒を抜かれた私は、「あああありがとうございます。ここここれからもよろしくお願いいたします」と、どもりながら頭を下げてしまいました。それからもY先生から、協調性の無さを問うような言葉を聞くことは、一切ありませんでした。しばらくして、みんなの遊びに自ら参加した息子。その参加の仕方が息子らしく…出典 : ある日のこと、「今日はハル君も電車ごっこに参加したんですよ!」とY先生からご報告がありました。いつものようにY先生が「一緒に遊ぼう」と声をかけて下さってもそれに乗らず、黙々と紙に数字を書き続けていた息子。今日も見学だけで、遊びには参加しないのかと思いきや、息子は立ち上がってお友達に近づき、数字を書いた紙を配り始めたのだとか。不思議そうにしているみんなに向かって、息子はポツリ。「電車に乗るには切符がいるし、切符を買うにはお金がいるでしょ?」そう、造幣局と切符を売る駅員さんの、二役を買って出たのだそうです。驚きながら話を聞いた私は、息子は自分なりの関わり方を模索していたのかもしれないのだと気づいたのでした。息子が大事にしたかった思い、それは出典 : その日、家で息子に「普段はどんな心境で、みんなが遊ぶ様子を見ているの?」と質問してみました。息子「(自分なりの関わり方を)ずっと考えていたわけじゃないけど、切符とお金を作る役を思いついたときは、嬉しかったよ」私「嬉しかったってことは、電車ごっこに加わりたいって気持ち、少しはあったの?」息子「うん。でもね、運転士さんやお客さんにはなりたいって思えなかったの。それなら見てる方が楽しいから」私「そうか」息子「…あのね、ハルはね、数字を書くのが大好きなんだよ。みんなが電車ごっこをするのと同じぐらい大好きなんだと思う。それはどっちも同じぐらい大事なことだと思ってたんだよ。だから、電車ごっこに入らないで数字を書いていることは良くないみたいに言われるのは、本当に嫌だったんだ」私「そりゃそうだよな、どっちが上でどっちが下とかないもんね」息子「でもね、Y先生はそういうのを言わなかったんだよ。ハルが数字を書くのを『いいよ』って言ってくれてたから、ずっと数字を書いていられたし、だからお金と切符を作る役を思いつけたのかもしれないなあ」相手の「好き」を尊重し、自身の「好き」も尊重されたいと願っていた息子。そんな彼が自分なりの関わり方を発見できたのは、Y先生が息子を尊重し、見守って下さったからでしょう。子どもの「やりたい」を尊重することで見えてくる可能性出典 : 学校などの集団生活で協調性が求められるのは、ごくごく当たり前の話だと、私は思っています。とはいえ、右向け右に従えない子どもにも思いがあり、言い分があるのです。それを無視して「みんなと同じようにしなさい」と押し付けられると悲しくもなるし、場合によってはできることも意固地になって、やらなくなるかもしれません。自分の過去を振り返ると覚えがあります。「できない」「やりたくない」の裏側にある「できる」「やりたい」を尊重することで、欠如しているように見えていた協調性が意外な形で発揮されることもあるのだな、と感じられた電車ごっこの一件。それを思い返すたび、Y先生への感謝の気持ちが、私の心に湧き上がるのでした。
2016年08月16日ゲームにあまりにも夢中になる息子…もしかして中毒?出典 : 息子はパソコンで遊ぶのが大好きです。プログラミングのような作業も交えながら、いつも集中して落ち着いた時間を過ごしています。しかし、勝負ごとが絡むゲームになると、状況は一変!負けそうになると、キーボードやマウスを連打しながら「うおーーーーーーっ!!!」「ぎゃーーーーーーーっ!!!」と叫んだり、暴言を吐いたり、泣きながら呼吸を荒くして髪をかきむしったり、その場を歩き回ったり…そんな息子の姿を見るたびに、私はいつも「ゲームだけでこんなに取り乱してしまうなんて、もしかしてゲーム中毒…?」と心配になっていました。発達障害の特性がこんなところにも!?息子の行動の意外な理由出典 : ゲームが大好きなのは分かりますが、暴れるまでのめりこむ息子を見て、私は少し怖くなってしまいました。ある日、「ちょっと、そんな風になるまでハマっているのは、良くないんじゃないかな?」と息子に恐る恐る聞いてみました。ところが息子の口からは、思いがけない返答がありました。「違うよ!予想外のことが起こったり、予想外の所から予想外のタイミングで予想外のものが出てくるんだよ!!!」えええええっ?!そういう事だったの?!私は息子がゲームに熱中するあまり、うまくいかないときに暴力的な行動をとっているのだとばかり思っていました。でも、単に発達障害の特性からくる「予想外の事が突然起こったことによるパニック」が連続して起こっていただけだったのです。納得すると同時に、ちょっと拍子抜けしてしまいました。確かに、予想外の出来事や、思っていた見通しと違う方向に事が進むというのは、発達障害の息子にとっては苦手なことですよね。分かっていたつもりでしたが、まさか娯楽の中でもそういうストレスを感じていたとは思いもしませんでした。パニックはどんなときに起こる?息子に実際に聞いてみた出典 : 息子は映画も大好きなのですが、映画ではパニックを起こすことはありません。映画も予想外の連続があると思うのですが、なぜ映画ではパニックを起こさないのでしょう?息子に聞いてみたところ、映画は自分がストーリーを操作しているわけではないから、予想外のことが起きても「そういうことも起こるだろうな」と落ち着いていられるけれど、ゲームは自分で操作しているため、予想外の事が起こると「自分がこうやって操作したのに何で?!」とパニックになってしまうそうです。パニックを起こす息子を見て、私もストレスを感じていましたが、原因を知るだけでも少し安心することができました。自分とは違う息子の独特な感性を、また興味深く思えた出来事でした。
2016年08月16日支援級の先生と相談して決めた、運動会のゴールは…出典 : 急な予定の変更や、予期しない場面への対応が苦手な子どもにとって、大きな学校行事は緊張の連続だと思います。我が家の長男の場合、1年生の時は、母親の付き添いが無くては、学校へ通うのも精いっぱいでした。この年の運動会では、練習はほぼ見学のみ。当日は大音量、人の多さ、暑さ、緊張感等々で気分が悪くなり、早退しました。2年生進級時に、支援級に所属することになり、今度の運動会は学びの機会として、いろいろ作戦を練ることにしました。最初の全校練習では、500人余りの生徒が集まる中で行われました。整列、行進、体操などは、先生の指示通りに動くことはまだまだ難しく、行進1つとっても、周囲とずれると注目を浴びたり、前後の子に手や足がぶつかってプチトラブルになったりします。こうした様子を踏まえ、「開会式から閉会式まで参加する」を長男と先生と私の3人の仮の目標(ゴール)としました。そのゴールにむかって、難題を小分けしたり、長男の身体の感覚に合った難易度に調整していこう、ということになったのです。どうすれば団体競技に参加できるだろうか?出典 : 徒競走や団体競技への参加にもいろいろ知恵をしぼりました。入学をきっかけに、空間認知がより鋭敏になった長男は、練習の待ち時間に押しあいへしあいになると、「やめて!」と言えずに強い力で同級生を押し返しすことが頻発しました。感覚統合セラピーや、コンディショニングなどのアプローチで、感覚を和らげつつ「慣れるまでは、最後尾や端っこに並ばせてもらったり、顔なじみの子の隣にしてもらったりするとありがたい」と、先生に相談しました。綱引きでは、長男が握りやすいようにと、特別に細いロープを継ぎ足し、それを引っ張ることになりました。こうして、もろもろの配慮と参加する度合いは、支援級の先生が「少し頑張ればできる?」として提案したものを、長男自身が「できそう」「無理そう」と判断して全て決めていきました。ダンスの練習で見えてきた、課題と長男に合った支援出典 : 学年で行うダンスの練習では、まず壇上で先生が見本を見せます。多くのクラスメートは自然に真似をしていますが、長男はただ見ているだけで、全く身体を動かしません。この様子から、私は「動かさない」のではなく「動かせない」のだと認識を変えることにし、どうしたら長男が理解しやすいのかを考えてみました。人の動きを見るのに目がついていってない?脳から手足に指令が出るのが遅れてる?目と耳と体を強調させて動かすのが極端に苦手?見て真似しにくい代わりに、「腰に手を当てて天井を見る」「これは”元気だよ”の表現」という具合に、口頭で動きや意味を伝えると、少し動きやすいようでした。これらを踏まえて学校では、・一通りできあがるまではプリントアウトした歌詞を見ながら支援級の先生としっかり見学する(誰が一番上手かな?など見るポイントがあると集中しやすい。)・キーになる音の聞き分けや、わかりすい決めポーズからチャレンジ・隊列変化は図示してもらう・可能な範囲で踊りやすいポジションを選ばせてもらうといったアプローチを試してもらいました。家庭でも、テーマ曲の動画を見るなど、とにかくダンスの音と動きに慣れる工夫をしました。少しでも当日の緊張を減らすため、取り組んだのは…出典 : だんだんと運動会当日に近付いてきました。少しでも急に入る情報を少なくするため、私は1日の流れとBGMの一覧表を先生からもらい、動画サイトで聴きながら、「この曲が鳴ったら入場だね」など、長男と何度もシミュレーションしました。見通しを少しでも楽しめるようにと、先生は「何組が優勝するかなぁ?」と、長男と予想勝負もしていました。練習がラストスパートに差し掛かると、生徒たちもだんだんと一生懸命な雰囲気に。このタイミングで、最初に決めた目標をあらためて、長男と確認することにしました。合わせて、「運動会はお祭りの意味もあるんだよ。当日は観戦、応援を楽しもうね」と伝え、できるだけ長男の気持ちをほぐすよう心がけました。たとえ完璧じゃなくても、いい経験だったと思えるように出典 : いよいよ運動会当日です。徒競走は、直前でやっぱり「あかんわ…!」と出場できず。ダンスでは衣装を着ることができました。輪からはみ出したり、振りを間違えたりもありましたが、将来チャレンジする、高学年の組体操などは、リラックスして見ることができました。そして長男は、当初の目標だった閉会式まで参加することができたのです。「今年はぜんぜん緊張しなかったわ。」「目標、クリアできたな。」そのあと「1番おもしろかったのは?」と訊ねると「まあ、綱引きやな~。負けたけど」。そうか、そうか。運動会以外でも、しょっちゅう飛び出す「無理やもん。僕は出なくていい」という言葉。まずは受け止めて、そのうえで、親としては「ちょっとやってみたら」とも言いたいものです。その時、どこまでを「ちょっと」とするのか、加減が難しいのですが、私は、そのつど長男の表情を見ながらエイヤッと決めています。それでも「あかん!」となることも受け止めながら。残暑厳しく、課題の難易度も年々上がってくるので、来年の運動会はどうなるのか、まだわかりません。でも、せっかくなのでこれからも運動会は、「体を動かす」「ハレの場に慣れる」「勝ち負けを経験する」いい機会として、活かしていけたらなと思っています。
2016年08月15日アメリカ合衆国在住教育関係のITベンチャーでプログラマーとして働く編集部:まずは現在のお仕事からお聞きしてもいいですか?上杉:職種はプログラマー、アメリカで学校関係者が使うシステムを作っています。アメリカの授業って日本と少し違って、先生たちは授業準備のときにプリントや教科書だけでなく、自分の学校に合ったITアプリを探す場合も多いんですね。例えば「この1時間の授業をどう作ろうか」と考えたときに、20分講義、20分グループワーク、最後は20分でデジタル教材で学ぶ、とか。ほら、マインクラフトを使って算数を学ぶのが面白かったりしませんか?編集部:え、そうなんですか?マインクラフトってあのオンラインゲームの?いま、日本の子どもたちにもすごい人気ですよね。上杉:そうそう、それです。そうやって学校の先生が、授業に合ったツールを選ぶんです。先生たちがツールを探す際に使うシステムを、僕は作っています。編集部:どうして現在のお仕事に?上杉:キッカケは偶然ではあるんですけど、僕は中学生のときにアメリカに引っ越してきてからはずっとこっちで育ちました。漠然と、シリコンバレー(AppleをはじめITベンチャー企業の聖地と言われるアメリカの地域)で働きたいなという気持ちがあったので、大学生のときにAppleやFacebookでインターンをして、新卒でシリコンバレーのベンチャーに就職しました。そこから色々とご縁あって今に至ります。算数は得意だったけど、図工はバカにされた記憶しかない(笑)編集部:プログラマーとして働くようになったのは、昔からそういう分野に興味があったんですか?上杉:…しいて言えば、昔からものづくりは好きだったような気がします。ものづくりと言うよりも、ゲーム性のあるものを攻略して、自分で作る事ですね。編集部:例えば…上杉:うーん、あ、小6の夏休みに、自分でRPGを作った事がありました。(RPG:ロールプレイングゲーム)その頃はまだプログラミングが出来なかったので、サイコロを2つ使って出る目の確率を計算しながらゲームを設計していきました。ゲームのストーリーはもう忘れてしまったけど、システムはポケモンに近かった気がします。当時からプログラミングできればよかったんですけどね…出典 : 編集部:確率って、中学の数学で習いますよね?それを小6から?上杉:算数は昔から出来るほうで、低学年のときには中学受験の参考書を読んでいました。教科書が簡単だったから…まぁ友達があまりいなかったので、結果的に自分でゲームを作るとかインドアな遊びにはまっちゃったんですよね(笑)編集部:そうでしたか。上杉:でも得意なのは算数だけで、他は大体苦手でした。国語、体育、図工…暗記系はほとんど出来なかったですね。図工なんか、馬鹿にされた記憶しかないです(笑)編集部: なんだか意外です。上杉:小学校ではクラスに馴染めずいじめられていて、中学から引っ越したアメリカでは英語が喋れずにずっとクラスから浮いていました。勉強も得意不得意の差が激しくて、成績は芳しくありませんでした。いつだって「子どもなりの主張」にきちんと耳を貸してくれた母がいた編集部:親御さんは、学力の差に何ておっしゃっていたんですか?上杉:とくに色々言わなかったですね。でも、僕の興味を遮るような事はなくて、むしろ没頭できる状況をつくる手助けをしてくれたと思います。たとえば、僕はゲームをするよりも攻略本を読んで「ゲームの仕組みを知る」のが好きでした。なので、1つのゲームにつき何種類もの攻略本を欲しがっていました。それを「こないだ買ったでしょ」「全部同じでしょ」なんて言わずに買ってくれました。子どもなりにそれぞれの攻略本が欲しい理由があるってことを、ちゃんと理解してくれたんですよね。そんな風に自分の主張を聞き入れてくれた親には感謝しています。振り返れば、こうやって友達とは遊ばず、1人遊びが好きだったのは失敗を恐れていたからかもしれません。人と比べなければ失敗もなにもありませんしね。自分だけなら、成功するまで続けられるから。そんな上杉さんが「人生の転機」と語る大学時代について、詳しくお話をうかがっていきます。
2016年08月15日発達障害者支援センターとは?出典 : 発達障害者支援センターとは、発達障害のある子ども、大人の方々、またその関係者をサポートするための専門機関です。都道府県や指定都市、社会福祉法人、特定非営利組織によって運営されており、現在は全国に67個のセンターがあります。保健・医療・教育などの機関と連携を取りながら、発達障害のある方や、そのご家族に最適なサービスを提供しています。障害についての相談ができる場所は、市町村の保健センターや、子どもの場合は児童相談所などもありますが、発達障害者支援センターは、発達障害についての相談に特化していることが特徴的です。どのような人が利用できるの?出典 : 基本的に利用対象者は、センターのある都道府県に在住している、発達障害がある本人またその関係者となっています。ここでの発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものを指すことが多いです。対象年齢は各センターごとに異なり、子どもから大人までを対象とするところと、大人の方を中心にサービスを提供するところとがあります。ご利用の際はお住まいの地域にあるセンターにお問い合わせください。発達障害者支援センターの提供するサービスとは?出典 : 発達障害者支援センターは発達障害に関する様々なサービスを展開しています。以下に紹介する3つの他にも、発達障害への理解をより多くの人に広めるという活動もしており、発達障害に伴う問題・課題解決に尽力している組織です。発達障害についての相談をすることができます。「他人とのコミュニケーションがうまくいかない」や、「集中することが苦手」、「物覚えが悪い」など、日常生活で感じる「生きづらさ」を相談することが可能です。発達障害に伴う様々な課題について適切な支援を受けることができます。例えば知能テストや生活スキルに関する発達検査です。検査を受け、日常生活において得意なこと・不得意なことを確認することにより、これからの課題と対応策を考えて行くことができます。また家族や教育関係者など、発達障害者に関わる方からの相談にも応じており、発達障害のある人への対応の仕方や教育・療育方法についての助言が受けられます。就労に関する相談をすることができます。就労を希望している発達障害者の相談に応じ、ハローワークなどの労働機関と連携することによって発達障害者が就労するのに必要な支援をしています。発達障害者支援センターは、どのように利用するの?出典 : 発達障害者支援センターは基本的に無料で利用することができます。利用の流れは一般的に以下のようになります。まずはセンターに電話をして問い合わせをします。そこで解決が可能な内容もあれば、センターへの来所を求められる場合もあります。初めから来所を希望する場合も、予約が必要なセンターが多いため初めに電話をすることをおすすめします。問い合わせには電話が一般的ですが、センターによってはメールやファックスでの問い合わせも受け付けています。またお近くの発達障害者支援センターを探す際は、以下のウェブサイトをご活用ください。発達障害者支援センター一覧センターに直接行き発達障害についての相談をします。上手く説明ができるように自分の相談したい内容や自分の生育歴について、あらかじめ整理をしてから来所すると良いでしょう。相談内容によっては、引き続き来所をしたほうが良いと考えられる場合や、病院で診察を受けた方が良いと考えられる場合・他の専門機関の支援を受けた方が良いと考えられる場合などがあります。発達障害者支援センターは、必要に応じてそれらの専門機関の紹介を行います。発達障害者支援センターを実際に利用した人は?出典 : 実際に発達障害者支援センターを利用した人はどのように感じているのでしょうか。以下の記事は、発達障害のあるお子さんを持つ母親である、発達ナビライターのヨーコさんによる体験談です。発達障害のあるお子さんを育てる上での悩みを発達障害者支援センターに相談しました。そこで納得できるアドバイスをもらったり、自分の子育て方法を認めてもらったことによって、それまでよりも前向きに子育てに向き合うことができるようになったと言います。「生きづらさ」に悩んだら?発達障害者支援センターという選択肢。発達障害は見た目では分かりづらく、その辛さは他の人から理解されにくいものです。発達障害者支援センターはそんな「生きづらさ」に対して、適切なアドバイスや支援、選択肢を提供してくれる場所です。「辛いのに誰に相談してよいかわからない」、「でも病院に行くのはためらわれる」そんな場合は一人で抱え込まず、一度センターに相談してみてはいかがでしょうか。発達障害情報・支援センター東京都発達障害者支援センター参考書籍:中山和彦・小野和哉/著『図解良く分かる大人の発達障害』(ナツメ社,2011年)
2016年08月15日障害者手帳がないとサービスを受けられない?出典 : 障害者手帳とは、身体障害者手帳、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳を含む、障害のある人が取得する手帳のことです。障害者手帳を取得することで、障害の種類や程度に応じて様々な福祉サービスを受けることができます。ただ、障害のある人が全員持っているわけではなく、取得の基準に満たなかったり、取得に対する心理的ハードルなどが理由で、障害者手帳の取得申請をすることができない/しない人もいます。一方、障害者手帳がなくても、申請して必要性が認められれば受けられるサービスも存在します。しかし、そのサービス内容や利用条件を詳しく知らない方も少なくありません。障害のある18歳未満の子どもへの支援は児童福祉法によって定められています。また身体障害者・知的障害者・精神障害者(発達障害者を含む)・難病等がある方への支援は障害者総合支援法(平成25年4月1日に障害者自立支援法から改正)に基づき、行われています。今回はその法的根拠の解説と共に、障害者手帳がなくても受けられる、障害のある子ども・大人向けのサービス内容をそれぞれご紹介します。Upload By 発達障害のキホン児童福祉法に基づく障害児への支援出典 : 児童福祉法とは、障害のある児童に対する支援に関する法律です。この法律において、障害児は障害のある18歳未満の子どもと定義されています。この法律によると、サービス内容は障害児通所支援と障害児入所支援の2つにわけることができます。障害児通所支援は市町村、障害児入所支援は都道府県が実施主体となります。サービスの利用にあたり、手帳の有無は問われません。障害児通所支援は障害のある子どもが施設に通ってサービスを受ける事業の総称です。未就学児を対象とした児童発達支援、就学児が授業後や休みの日に通う放課後等デイサービスのほか、医療型児童発達支援や保育所等訪問支援などがあります。Upload By 発達障害のキホン■ 児童発達支援・医療型児童発達支援児童発達支援・医療型児童発達支援とは、障害児やその家族、事業主に向けて身近な地域で支援を行うサービスです。児童発達支援センターと児童発達支援事業の2類型に大別されます。・児童発達支援センター/医療型児童発達支援センター通所支援や身近な地域の障害児支援の拠点として、障害児やその家族、事業主に向けた支援を行います。医療の提供の有無により、児童発達支援センターと医療型児童発達支援センターに分かれます。・児童発達支援事業通所利用の未就学の障害児に対する支援を行う身近な療育の場です。■放課後等デイサービス学校教育法に規定する学校(幼稚園、大学を除く)に就学している障害のある子ども向けのサービスです。放課後や夏休み等の長期休暇に訓練などを行うとともに、居場所を作ります。■保育所等訪問支援保育所、幼稚園、小学校などに在籍している障害のある子どもを訪問し、訪問支援員が集団生活の適応のための専門的な支援を行います。児童相談所、市町村保健センター、医師などにより療育の必要性が認められた障害のある児童を施設に入所させ、サービスを行います。福祉型障害児入所施設と医療型障害児入所施設の2種類があります。障害のある児童を入所させて、保護、日常生活の指導及び自活に必要な知識や技能の付与を行う施設です。福祉サービスを行う「福祉型」と、福祉サービスに併せて治療を行う「医療型」があります。障害児に対する施設は、以前は障害種別ごとに分かれていましたが、複数の障害に対応できるよう平成24年度より一元化が行われました。ただし、これまで同様に障害の特性に応じたサービス提供も認められています。 By 発達障害のキホン障害児支援サービスの利用方法出典 : 障害児通所・入所支援を利用するには、通所受給者証または入所受給者証を取得する必要があります。通所受給者証はお住まいの市区町村の福祉担当窓口・障害児相談支援事業所などに申請を行い、サービス支給の決定後に事業者と契約することができます。入所受給者証は児童相談所との相談の上、各都道府県の児童相談所に申請し、交付の決定後に指定障害児入所施設などで当該指定入所支援を受けることができます。自治体ごとに申請方法が異なりますので、お住まいの地域に確認しましょう。詳しくは次の関連記事をご覧ください。障害者総合支援法に基づく障害者への支援出典 : 障害者総合支援法は、障害者に対して障害福祉サービスの充実を図り、総合的に支援する法律です。平成18年度に施行された障害者自立支援法を改正することで、障害者総合支援法は創設されました。サービス内容は大きく分けて、自立支援給付と地域生活支援事業の2つにわけることができます。対象者については、次のように定められています。法が対象とする障害者の範囲は、身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害者を含む)に加え、制度の谷間となって支援の充実が求められていた難病等(治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者)としています。※平成27年7月時点で、332疾病が対象です自立支援給付とは障害のある方のニーズに応じて個別に行われるサービスです。訪問サービスや施設への通所・入所を利用するサービス、また自立促進のための就労支援などがあります。障害福祉サービス(介護給付・訓練等給付)、自立支援医療、相談支援事業、補装具の大きく4つに分けられます。Upload By 発達障害のキホン■障害福祉サービス□介護給付日常生活に支障がある人や介護を必要としている人に対して支援を行います。内訳としては以下のようなサービスがあります。・居住介護(ホームヘルプ): 入浴や食事などのお手伝いをします。・重度訪問介護: 重度の肢体不自由者である、または重度の知的障害もしくは精神障害があるために介護を必要とする方に、総合的な支援を行います。・同行援護: 視覚障害により移動するのが難しい方に対して支援を行います。・行動援護: 判断能力が制限されている方に対して、危ない目に合わないように支援を行います。・重度障害者等包括支援: 介護を大変必要としている方に対して、居宅介護など複数の介護サービスを行います。・短期入所(ショートステイ): 普段介護している方に変わって短期間、代わりに介護をします。・療養介護: 医療行為と介護を常に必要とする方に対して、医療機関で訓練や介護などを通して生活支援を行います。・生活介護: 介護を常に必要としている方に対して、介護を行うことに加え創作的活動又は生産活動の機会を与えます(夜間)。・障害者支援施設での夜間ケア等(施設入所支援): 施設に週初している方に対して、介護を行います(夜間・昼間)。□訓練等給付自立した生活もしくは就労することを目指し、訓練などの支援を行います。内訳としては以下のサービスがあります。・自立訓練: 自立した生活を送ることができるよう、身体機能と生活能力の向上を目指して訓練を行います。機能訓練と生活訓練の2種類があります。・就労移行支援: 一般企業などで働くことを希望する方に対して、就労に必要な知識・能力の向上を目指して訓練を行います。・就労継続支援: 一般企業などで働くことが難しい方に対して、働く場所を提供し知識・能力の向上の向上を目指して訓練を行います。雇用契約を結ぶA型と、雇用契約を結ばないB型の2種類があります。・共同生活援助(グループホーム): 共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を行います。また介護などの必要性が認められた場合には介護サービスを提供します。さらにグループホームを退居し、一般住宅等への移行を目指す人のためにサテライト型住居があります。■自立支援医療自立支援医療は心身の障害を取り除くためにかかる医療費の自己負担額を軽減する制度です。障害の種類や所得に応じて、ひと月当たりの負担額に上限が設定されています。・育成医療: 障害の改善が確実に期待される治療に対して、治療費の一部を公費が負担する制度です。心身障害を改善するもしくは治療を行わないと大人になっても障害が残ってしまうような障害児が対象となっています。・更生医療: 更生医療とは障害の改善が確実に期待される治療に対して、必要な医療費が給付される制度です。・精神通院医療: 精神通院医療は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する統合失調症、精神作用物質による急性中毒、その他の精神疾患(てんかんを含む。)を有する方で、通院による精神医療を継続的に要する病状にある方に対し、その通院医療に係る自立支援医療費の支給を行う制度です。■相談支援事業相談支援事業とは一連のサービスの利用にあたり、様々な相談や質問に対応するものです。各区町村は基幹相談支援センターを設置し、幅広い相談に総合的に対応しています。相談に対する中核を担う役割として多くの自治体で設置されています。・基本相談支援: 障害者やそのご家族からの相談に対して情報の提供や支援サービスの利用支援などを行います。・地域相談支援: 障害者施設を利用する18歳以上の方に対して地域以降支援計画の作成や相談、関係機関の調整などを行う地域以降支援と、単身で暮らしている障害者に対して連絡体制の強化を図る地域定着支援の2つがあります。・計画相談支援: サービス等利用計画案等を作成するサービス利用支援と、支給されたサービスなどに対してモニタリングし業者と調整をする継続サービス利用支援の2つがあります。■補装具補装具とは補装具の購入にかかる費用を支給する制度です。利用者の負担額は所得などに配慮して決定されます。障害のある人が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう身近な市町村を中心として以下のような相談支援事業を実施しています。地域の状況に応じて柔軟な事業形態をとれることとなっておりますので、詳細については、最寄りの市町村窓口にお問い合わせください。地域生活支援事業とは、障害のある方が自立した生活を送るために、地域の特色や利用者の状況に応じて支援を受けられるサービスです。移動支援や日常生活用具の給付又は貸与、相談支援、意思疎通支援、成年後見制度支援などがあります。Upload By 発達障害のキホン特色のある任意事業として、日中一時支援事業というものがあります。日中一時支援事業とは日中に事業所や施設などを活動の場を提供し、見守りや訓練といった支援を行うものです。日中一時支援事業には2種類あり、タイムケアとレスパイトがあります。・タイムケア(就労支援): 障害児の家族が仕事などで、面倒をみることができないときに預けることができます・レスパイト: 障害児を日常的にサポートしている家族に、一時的な休息をつくることができます東京都豊島区での取り組みを一例としてご紹介します。日中一時支援事業通常介護しているかたが、疾病・出産・休養等の理由で一時的に介護できないときに、障害福祉サービス事業所等で障害者(児)のかたに日中活動の場を提供し、入浴・排せつ及び食事の介護等その他の必要な支援を行います。対象者身体障害者(児)、知的障害者(児)のかた利用者負担障害者のかたは費用の1割を負担していただきます。障害児(18歳未満)は、24時間までは無料、24時間を超え40時間まではサービスに要した費用の1割を負担していただきます。このほかにも自治体により様々な支援があるので、ご興味のある方はお住まいの市町村に確認しましょう。障害者支援サービスの利用方法出典 : ■障害福祉サービス(介護給付・訓練等給付)障害福祉サービス(介護給付・訓練等給付)を利用するには、市区町村の窓口で申請を行い、支給決定を受ける必要があります。詳しい利用方法は次のサイトをご覧ください。利用までの流れ(WAM NET)■自立支援医療・相談支援事業サービス対象者、利用料など事業内容の詳細などは自治体により大きく異なります。最寄りの市町村又は都道府県窓口に問い合わせましょう。■補装具障害ある本人または児童の保護者がお住まいの市町村に申請にします。そして身体障害者更生相談所や指定自立支援医療機関の判定・意見を参考に、市町村長が補装具費の支給の有無を決定します。お住まいの市町村に問い合わせましょう。まとめ出典 : 手帳の有無という制度の谷間に落ち、支援を必要としながら適切な支援を受けられない人が出てしまっていたことという反省点から、障害者総合支援法などの公的支援が整備されました。また利用者の自己負担については収入に応じた応能負担へと変えることで、サービスを受けやすくなりました。障害者手帳を取得できないからといって、国からの支援を諦めてしまうことはありません。これを機に、障害児・障害者支援サービスの利用を検討してはいかがでしょうか。障害児支援の強化について(厚生労働省)サービスの体系(厚生労働省)障害のある人に対する相談支援について(厚生労働省)障害者手帳・受給者証(発達障害のある小中高生向け 放課後等デイサービス)障害福祉サービスの 利用について(全国社会福祉協議会)障害児入所施設(WAMNET)
2016年08月15日ADHDと診断される前、息子の行動を叱る日々だったが…Upload By かなしろにゃんこ。これは息子がまだ発達障害の診断を受ける前、小学校2年生か3年生くらいのときのお話です。注意するとすぐに反抗してくる子を「ワガママな子」だと思い込み、甘やかさないように注意して接していました。ある日、息子があまりにも言うことをきかないので、ついついブチッと来てしまい、「ちび捨て山に捨てるから!」と外にある神社に連れ出してしまいました。あんなに口答えしていた息子が必死になって見せた底力Upload By かなしろにゃんこ。捨てられる!と思うと猛ダッシュして親に追いつく息子の足は、大人の走りと同じくらい速かったのです。息子は運動が苦手で、普段は体育の授業はまともに受けないような子です。そんな息子が私をブチ抜く姿を見て驚き、真剣に走る姿がいい感じで「コイツやるな!」と後から笑いがこみ上げてきました。この速さを運動会で出したらきっと一等賞間違いない!本当は運動が苦手じゃないのでは?と思ったのでした。小学校6年間は体育が苦手科目でしたが、中学ではそれ程でもなく、体を上手く動かせるまでに人より時間が必要だっただけなのかもしれません。あの時の私が気づけなかった、育児のコツ。このときの私の行動を振り返ると、子どもを捨てる行為は脅しですから一番やってはいけないことですから、反省しています。私は家を出ていって近所を軽く一周してクールダウンすればよかったのかもしれません。あまりの育児のしんどさに、この子を捨てたい、母親やめたいと思うことも、正直何度もありました。今となっては、当時何に怒っていたのか思い出せませんが、一度離れれば冷静になれるという育児のコツに、このときはなかなか気が付くことができませんでした。ちび捨て山の帰り道に仲直りしたことは、今では親子で笑える思い出話です。
2016年08月14日息子の体力は無限大!Upload By ラム*カナ今年から小学校に入学した長男は、外へお出かけして遊ぶのが大好き。公園で何時間でも走り回ることができる、底なしの体力を持っています。普段の生活ではまず「疲れた」などと口にすることはありません。そんないつも元気いっぱいの息子ですが、唯一“疲れること”があるのです。外遊びが大好きな息子が、唯一苦手なお出かけ先とは…?Upload By ラム*カナ息子が唯一疲れてしまうお出かけ、それは…お買いもの!!公園ではあんなに走り回っていたのに、買い物に付き合わせるとものの30秒でぐったりしてしまいます。「歩いているだけなのにどうしてこんなに疲れてしまうのだろう?」と思った私ですが、・自由に動きたいのに、他人のペースに合わせなければならない・特に物欲もないので、スーパーに興味がなく楽しくないという理由から、公園を何時間も走るより、スーパーを数分歩くほうがよっぽど疲れるそうです。いよいよ夏休み!息子が毎朝言うセリフに、母は思う…8月になって、夏休みになりました。息子は相変わらず早起きして、朝ごはんを食べる前から外でひと遊び。そしてお腹がすいてくると、母を起こしがてら、毎朝こう聞いてきます。Upload By ラム*カナそして私は毎朝思うのです。「買い物♪」って言ってみたいなー!!と。でも、スーパーに連れて行くだけであんなにぐったりした息子を思うと、「買い物だよ!」とは言えなくなってしまいます…いつか息子と楽しくお買い物ができる日を夢見ながら、結局毎日のように公園に行くことになるのでした(笑)
2016年08月13日就学前の知能検査で知った、息子の一面出典 : 先日、小学校入学まで一年を切った息子の知能検査を受けに、病院に行ってきました。今回受けた検査はWISCというもの。絵や言葉を使いながら子どもの知的発達を調べるものでした。このテストの特徴は、問題のレベルが年齢相応のものからだんだんと年上の子用のものにまで上がっていくところでした。そのため、6歳の息子にとっては分からない問題が出てくるのは当然です。ところが、検査中に、驚きの問題が発生しました。10歳から12歳程度の子どもの問題に取り組んだ息子は、何を聞かれているのかすら分からない問題を前に、何も言わずにイライラしながらいつまでも頭を絞り続けるのです。なかなか「分からない」という言葉を発しない息子に、私も先生もハラハラしました。そんな息子を見かねた病院の先生は、「分からない?別に分からないなら分からないって言って良いのよ」と声をかけます。すると息子から出てきたのは…「分からないって言ってもいいんですか?」「分からないって言っても怒られない?」息子の「分からない」の一言を待っていた私たちは、この言葉に唖然としてしまいました。・WISCとは?ウェクスラー式知能検査の特徴、種類、受診方法、活用方法のまとめ息子の発言に驚いたとき、発達障害特有の捉え方に気がついた出典 : 「分からないって言ってもいい?」息子の一言に驚いた先生は慌てて言いました。「このテストはね、あなたよりもずっとお兄さんお姉さんがやる問題も入ってるから、分からないときは分からないって言っていいのよ。誰も怒らないよ。」これを聞いて、息子はちょっとホッとした顔をして、絞り出すように「…分からない」と言いました。ところが言った後に突然頭を抱えてしまったのです。そして、「やっぱり僕はダメなんだね。僕ってバカなんでしょう?」と言うではありませんか。見えないところで苦しむ子ども。私たち大人は何ができる?出典 : 「分からない」=「バカ」「ダメ」息子は、物事をとらえるときに0か100かのどちらかで考える傾向があります。これは、発達障害児の特性の一つでもあるのですが、何かをしたときに、「成功」か「失敗」、「褒められる」か「怒られる」など極端にとらえてしまうのです。難しい問題にぶち当たった息子は、「問題が分からない自分」を「ダメでバカな子」だと考えたのです。そんなとらえ方をしてしまう息子にとって、「分からない」という言葉を発すること、さらに相手に助けを求めることは、私たちが想像する以上に難しいことだったのです。分からないことを「分からない」と言えないとき、息子はその気持ちを別の形で表現しようとします。イライラして癇癪を起したり、パニックを起こして全部投げ出して逃げ出したり…。ひどいときには「出来た」と嘘をつくことさえあるのです。そんな状況に陥らないためにも、「分からない」と言うことはとても大切な行為なのです。私たちができることは、「分からないことには分からないと言っても何も怖いことは起きない」、「分からないと言えることはすごいことなんだ」ということを子どもに伝え続けていくことだと思います。実際に「分からない」と自分から言えるようになるまでは、長い道のりかも知れません。本人にとってそれは「恐怖」でしかないのですから。でも、いつか「分からない」と言えるようになったとき、彼らは今よりもずっと心穏やかに日々を過ごせるようになります。その日を信じて。
2016年08月13日