感覚鈍麻があることから、学習に困難を感じている子どもは多くいる?ノートが上手く取れない、計算や漢字の書き取りが不得手、授業に集中できない…など、子どもの学習に関連する困りごとは、「限局性学習症(学習障害・LD)」が原因なのではないかと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、限局性学習症がなくても、感覚の特性や、そのほかの発達障害の特性から学習に困難を感じている子どもも多くいると考えられています。特定の領域の学習ができない限局性学習症とは異なり、環境に左右される原因によって学習困難が起こることがあります。このコラムでは「感覚鈍麻がある子どもの学習の悩み」について、原因や解決方などを解説します。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン感覚鈍麻があることで起こる学習の悩み感覚が過敏なこととは反対に、感覚刺激に気づきにくい、いわゆる感覚鈍麻な特性をもつ子どももがいます。たとえば、暑い日なのに厚手のはおりものを着たままでぬぎ着して調節できない、熱いものに触れているのに気づかないでやけどする、あざができても気づかない、といったことがあります。感覚を求める傾向が強いために、授業中に体を揺らしたり動かしたり、じっとしていられない、離席が多いなど、集中して学習に取り組めない状態となることがあります(感覚を求める傾向を感覚探求といいます)。解決策:たとえば、かめるもの・握れるものといった道具を使ったり、人工芝のついた足置きを使ったり、椅子をバランスボールにしたり、といった感覚を取り込める環境をつくることも解決策となります。それでも難しい場合は、席を教室の後ろのほうにして、動くことを許容する環境をつくってあげても良いでしょう。・授業前に身体を動かしてから始める・小テストの答えを席の後ろや廊下に貼っておき、移動して答え合わせのプリントを見られるようにするなど、時間を決めて動ける機会を作るなども有効な場合があります。暑いのに長袖を着て熱中症になる、寒いのに半袖を着て体調不良を起こすなど、服装を適切に調節できずに体調を崩すことがあります。また、発熱しているのに元気に走り回ったり、怪我をしているのに気づかず、平気な様子で過ごしてることがあります。解決策: 「熱いから素手で持たないでね」「寒いから上着を着てね」など、感覚のフィードバックをしましょう。特に危ないものに対しては視覚的に危険だと示すことが効果的です(「さわらない」の看板の掲示など)。人からの声かけに気づきにくい子どももいます。先生が話していることに気づかず連絡事項が聞き取れないために忘れ物が多くなったり、お友達の声かけに気づかずに、トラブルになったりするケースがあります。解決策:たとえば、肩を叩く、目の前に立って目を合わせるなど、注意を向けてから話しかけることで気づいてもらいやすくなります。また、口頭だけではなく、紙に書くなど視覚情報も合わせて伝えるとより伝わりやすいです。鉛筆から指先に伝わってくる感覚をうまく処理できないなどが原因で、文字や絵などがうまく書けないことがあります。解決策:文字を書くときに、鉛筆が紙に触れている感覚が分かりやすくなるように表面がザラザラした下敷きや紙やすりなどを紙の下に敷くという方法があります。鉛筆がうまく持てない場合には、握りやすくするための補助具を使うことも検討してみましょう。自分の体の大きさや、感覚を捉えにくいために、歩いているときに机や棚などに体をぶつけやすい場合があります。解決策:体のイメージがうまく捉えられない場合、たとえば狭い隙間やトンネルをくぐるような、体の大きさを意識できるような遊びにチャレンジすることで、発達を促すことができます。また、身体をぶつけやすいことに気づいてもらうことも重要です。身体の状態や周囲のものに意識を向けてもらうために、ぶつかりやすい状況などについて話し合ってみることも一つの方法です。
2022年10月29日宮城県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報LEIF仙台上杉は2022年4月に開所したばかりの、サッカーを活用した発達支援を通して自立と成長を支援する放課後デイサービスです。サッカー指導と発達支援の豊富な経験を持つスタッフを中心に、集団行動やチームワークを学んだり、荷物の管理や着替えなどの自己管理を学びます。また、お子さんのカラダを動かしたいという欲求を、サッカーを通して発散できます。活動終了後には「グリーンカード」といって活動中のお子さんのさまざまな頑張りを褒めることで、お子さんの自信をつけることも大切にしています。宮城県の放課後等デイサービスをもっとみる神奈川県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報てらぴぁぽけっと 相模大野教室は、相模大野駅から徒歩7分ほどの商店街の中ある、一人ひとりに合わせたマンツーマンの発達支援と小集団での発達支援を行っている児童発達支援事業所です。1回2時間の活動の中で、集団で音楽に合わせて円を描きながら歩く・走るなど基本動作を行い、体幹の筋緊張を高め、立ったとき、座ったときに体を安定させて姿勢変換による反射の抑制が目的のリズムウォークの【小集団での発達支援】や、ことば・社会性スキル・認知学習・生活スキルなど、お子さん一人ひとりに合わせた【個別での発達支援】を提供しています。神奈川県の児童発達支援事業所をもっとみる埼玉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報こぱんはうすさくら北上尾教室は2022年12月1日に上尾市浅間台に新規オープン予定の放課後等デイサービスです。お子さんが生きていくために必要なスキルを学びながらも、得意なことを充分に伸ばしていくことを大切にしています。将来に向けて必要になる生活力や、遊びの仲間に入れてもらうにはどうすればいいのか・仲直りするには何と言えばいいのかなどの対人行動、ゲームや遊びを通してルール通りに進めることや、ほかの人と協力、学習や宿題の補助、体を動かす機能訓練、工場見学、料理などの支援を提供しています。埼玉県の放課後等デイサービスをもっとみる埼玉県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報こぱんはうすさくら北上尾教室は2022年12月1日に上尾市浅間台に新規オープン予定の児童発達支援事業所です。同じ建物内別教室の放課後等デイサービスもあり、お子さんが生きていくために必要なスキルを学びながらも、得意なことを充分に伸ばしていくことを大切にしています。着替えやトイレトレーニングなど生活に必要なスキル、遊びの仲間に入れてもらう・仲直りするなどの対人行動、ゲームや遊びを通してルールがあることや順番を待つことの理解、ほかの人と協力、体を動かす機能訓練などの支援を提供しています。埼玉県の児童発達支援事業所をもっとみる茨城県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報Chouchouつくばでは、「ダイナミック運動」や「微細トレーニング」「リトミック」など幅広いプログラムに取り組んでいます。「ダイナミック運動」ではマット運動やかけっこなどを通し、日常生活に必要な筋力や体の使い方を学び、「微細トレーニング」では持つ、握る、つまむなどの手先の器用さを養うことを目的としています。こちらの施設では、お子さんが第2の家として安心して楽しく過ごせるように、また、保護者にとってもお子さんが施設で過ごしている間は子育ての休み時間と思えるよう職員一同日々の発達支援に取り組んでいます。茨城県の児童発達支援事業所をもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報2022年2月にオープンしたBEAR KIDSはお子さんの困りごとに向き合い取り除くことを目指した発達支援を提供する児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所です。将来を見据え、お子さんの課題や興味関心にマッチした発達支援を提供しており、応用行動分析(ABA)をベースとした個別支援、集団支援、学習支援のほか、簡単に遊びながら指先や脳に良い刺激を得られる、レゴ社が提供している教材「SPIKE™」を使用したプログラミングを活用した支援を行っています。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報Pitago Labはお子さん自身が本来持っている「柔軟で独創的な発想」をサポートし、育むことを目的としている児童発達支援と放課後等デイサービスを提供している多機能型事業所です。未就学のお子さんへの支援として、トイレトレーニング・片付け・荷物整理・衣服着脱などの生活面の支援や協調性や挨拶、ルールを守ること等、社会性を育む支援の他、運筆など遊びから机に向かう姿勢を身につけられるような学習支援を提供しています。土日祝はプログラミング・運動・料理・制作・外出支援などのイベントを行っています。大阪府の児童発達支援事業所をもっとみる福岡県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報療育支援エフ長住教室ではお子さんの将来の可能性を広げ、就労や自立した生活を見据えて、学齢期からの積み上げを目的とした発達支援をしています。お子さん一人ひとりが自身のペースで成長できるよう個別のカリキュラムを保育士や教員、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、就労支援の経験者が作成し、テキストやタブレットを使って、将来の就労スキルのベースになるワーキングメモリー向上のトレーニングとソーシャルスキルトレーニングで学校生活での困りごとや将来の不安を解消していきます。Upload By 発達ナビ施設情報療育支援エフ田島教室は、お子さんの将来を見据え、学齢期からの積み上げを目的とした発達支援の重要性をもとにサービスを提供している放課後等デイサービスです。保育士や教育はもちろん就労支援経験者など就労・自立した生活に必要な能力とそのトレーニングを熟知したスタッフが個別のカリキュラムによる一人一人のペースに合わせテキストやタブレットを使い、脳機能向上のとレーニングとSSTを用いて発達支援をし、学校生活での困りごとや将来の不安、お子さんの成長と保護者の不安を解消していきます。Upload By 発達ナビ施設情報療育支援エフ野方教室はお子さんの将来を見据え、学齢期に合わせた発達支援をしている放課後等デイサービスです。保育士や教員免許をもつスタッフの他、将来お子さんがつまづきやすいポイントや苦労する場面、身に付きにくい能力について熟知した就労支援の経験のあるスタッフが多数在籍し、お子さんの将来の可能性を広げ、就労や自立した生活をイメージした学齢期からの積み上げを目的とした発達支援をしています。お子さんの個性や特性にかかわらず、一人ひとりが自身のペースで成長できるよう、個別のカリキュラム作成を行っています。福岡県の放課後等デイサービスをもっとみる福岡県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス城野教室ではお子さんの100%の力を引き出すために「自分はすごい」と思えるような環境づくりを大切にしている児童発達支援事業所です。脳の配線を伸ばすため、お子さんの特性や課題に合わせたオリジナル教材やフラッシュカード等を使用した支援や、リトミックによる音楽教育や感覚統合を取り入れた遊びなど、楽しみながら学び、褒めて伸ばし、「学びたい、やってみたい」と思える工夫をしながら、1対1の発達支援を行っています。また、お子さんのペースに合わせたステップアップで集団での発達支援も行っています。Upload By 発達ナビ施設情報2022年7月にオープンした、療育ケアMARINE RAINBOW 久留米高校前は、作業療法士による専門的な発達支援をしている放課後等デイサービスと児童発達支援の多機能型事業所です。個別の発達支援では学習・認知面のサポートを行い、集団での発達支援では適切なコミュニケーションや集団生活面での必要なスキルなどのサポートを行っています。また、お子さんの特性に合わせて、身の回りの動作の訓練を行ったり、身体を動かす遊びや運動動作を通じて、身体の動きをスムーズにしたり、力の使い方を上手にできるようサポートを行っています。福岡県の児童発達支援事業所をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2022年10月28日どんな選択肢がある?幼児期の子どもの通園先Upload By べっこうあめアマミ私の息子は、幼稚園の入園を考える歳になっても発語が一つもなく、身辺の自立もまだまだできていない状態でした。息子は2歳から療育に通っていましたが、このまま就学まで療育だけ、というのも不安があり、幼稚園探しをすることにしました。当時、まだ息子には障害の診断も出ていなかったので、私には、就学後を見据えて息子に集団に慣れてもらいたいという思いがありました。療育には通い続けたいと思いましたが、そのころわが家が住んでいた地域では未就学児の療育である児童発達支援はいっぱいで、平日週5日通える保証はありませんでした。現実的に考えると、療育と幼稚園に並行して通うのが、最も理想的だと考えました。しかし、動き出してみて分かったのは、発達に課題がある子どもをとりまく、厳しい就園事情でした。そのとき、私立幼稚園、公立幼稚園、保育園の3つを比較検討して思ったことを、障害児の親の私目線でまとめてみたいと思います。※療育や幼稚園・保育園の状況はお住まいの地域によって異なります。このコラムでは、わが家が経験したことをもとに書いています。お住まいの地域の入園基準や園の保育内容、障害がある子どもの受け入れ状況などは、自治体の窓口にお問い合わせください。通園バスや給食、延長保育と親には助かるサービスも!でも発達ゆっくりさんには厳しいことも…私立幼稚園ってどう?Upload By べっこうあめアマミまずは私立幼稚園。私が住んでいた地域では私立幼稚園が最も多かった(※1)ため、息子の就園先として最初に思い浮かびました。自宅から通える範囲の幼稚園を調べたところ、その年に4歳になる学年、年少さんから3年間通えるという園が多かったです(2年保育や4年保育の園もあります)。私立幼稚園のありがたいところは、送迎バスや給食、保育時間のあとのクラブ活動のような活動、延長保育など、充実したサービスで親の負担が少なくなりやすいことかと思います(園によります)。しかし、どんな子どもを受け入れているかは園の方針に左右されるため、息子のように発達に課題があると、入園に難色を示されることが多くありました。私立幼稚園の場合、手厚い配慮が必要な子どもに対して加配の先生をつけることが予算上難しく、園側としても、安全に預かる自信を持てないことが多かったのかもしれません。私が入園を検討した私立幼稚園については、受け入れにシビアな印象を受けました。とはいえ、中にはどんな子どもも快く受け入れてくれる園もあるでしょうし、加配の先生をつけてくれる場合もあると思います。※1令和4年度学校基本調査(速報値)によると、令和4年5月1日現在、全国の幼稚園数は、公立2,920、私立6,152です。また、幼保連携型子ども園の普及も進んでおり、全国の幼保連携型子ども園は、公立913、私立5,742です。文部科学省令和4年度学校基本調査(速報値)公的な施設なので加配をつけてもらいやすい?ただ、数が少なくて…公立幼稚園ってどう?Upload By べっこうあめアマミ息子の入園について、私立幼稚園は難しそうだと感じた私は、次に公立幼稚園を検討しました(公立幼稚園は、自治体の教育委員会の指導の下に運営している幼稚園で、名称の頭に「○○市立」「○○区立」などとついています)。すると、驚くべき反応の違いがありました。これまで私は、私立も公立も、数えきれないほどたくさんの園に問い合わせをしてきましたが、公立幼稚園では一度も難色を示されなかったのです。最終的に私は、息子を公立幼稚園に入園させることに決めましたが、教育委員会の判断として、加配の先生もつけてもらえました。もちろん、これはあくまで息子の場合であり、障害の程度や地域によっては加配の先生はつかないこともあるでしょう。ただ、私の経験では、私立幼稚園よりも公立幼稚園のほうが、加配の先生はつけてもらいやすい傾向にあるように感じました。しかし、公立幼稚園の一番の問題は、数が少ないことです。わが家が当時住んでいた地域には公立幼稚園がなかったため、息子の就園のためには公立幼稚園がある地域に引っ越す必要がありました。そのほかにも、給食や延長保育もないことが多く、親の負担は多くなりがちかもしれません。年齢による「ここまでできないと」感は少ないかも?ただし、保活は必要で…保育園ってどう?Upload By べっこうあめアマミ次に、保育園について触れさせていただきます。保育園は、幼稚園とは入るための方法も入園の基準も対象年齢も、あらゆる面が違います。保育園には「認可保育園」と「認可外保育園」、「認証保育園」などがありますが、認可保育園の場合、入園させたいと思っても、直接園に申し込むことはしません。役所の保育課を通して申し込みます(※2)。入園できるかどうかも、園の裁量ではなく、保育を必要とする理由を数値化した点数で、役所に判断されます。つまり、どんなに入園させたい保育園があって、園側の受け入れ態勢も整っていたとしても、必ずその園に入れるとは限らないのです。保育園に入園するためには保護者側に、就労や病気、妊娠出産、親族の介護、就学など、何らかの保育を必要とする理由がなくてはなりません。でも、もし働きたいという気持ちがあるのなら、「求職中」という理由も期間限定で使えますし、検討してみてもいいのではないかと思います。実は、息子も短期間ですが、保育園に通っていました。一概には言えませんが、その時の感触として、保育園は幼稚園に比べて、子どもに求める発達のハードルが低いことが多いように感じました。保育園も、園によってさまざまだとは思います。ただ、息子が通った保育園は、息子の発達の状況を聞いても特に難色を示さず、受け入れてくれました。保育園では息子に加配の先生はつきませんでしたが、ちょうどいくつかの事情が重なり、手厚い配慮のもと、安心して過ごすことができました。1つは、できたばかりの新しい保育園だったので、園児が少なく、子どもの人数に対する先生の割合が多かったことです。だいたいいつも1人の先生が、息子の側についてくれていました。もう1つは、息子が1学年下のクラスの子どもたちと一緒に保育を受けていたことです。 息子の発達の遅れは大きかったですが、この2つの配慮を受けられたことにより、楽しく園生活を送ることができました。息子の周りの障害がある子どもたちも、幼稚園ではなく保育園に行くことが多かったです。子どもの発達とは別の面で難しい部分はありますが、保育園という選択肢を考えてみるのもいいかもしれません。※2窓口の名称は自治体によって異なりますどんな環境がいいかは子どもによって、家庭環境によってさまざま、園側とよく話し合ってベストな選択をここまで、私の経験や、幼稚園、保育園探しの中で得た知識をもとにお伝えしてきましたが、幼稚園、保育園事情は地域差が非常に大きいです。違う地域に行けば事情がガラリと変わることもありますし、家庭の事情によっても合う合わないはあります。そして、当然ながら通うのは子どもなので、子どもの性格や特性などによっても適した場所は変わってくると思います。幼稚園や保育園に関する地域の情報を集め、実際に見学に行き、話し合いを重ね、それぞれの家庭、お子さんにとってベストな選択をしていってくださいね。執筆/べっこうあめアマミ(監修:井上先生より)貴重な就園の体験談をありがとうございます。べっこうあめさんが書かれているように、幼稚園や保育園に関する実態は地域差が非常に大きいです。実際に見学に行き、園長や職員さんと話し合いを行い、できれば子どもさんも体験して、どこに就園するのか家族全体で考えていくのが理想です。地域の親の会に所属している先輩の親御さんや、ペアレントメンター(発達障害の子どもを育てた経験のある親)に相談してみるのも良いかもしれません。療育と通園の両立など、働いている親御さんにも無理のないプランが見つかると良いですね。
2022年10月28日入学前は特別支援学校との連携準備自閉スペクトラム症と知的障害のあるほぺろうは、今年の春から新一年生として特別支援学校に入学しました。今回は、進学先決定から現在に至るまでに知った、特別支援学校の活動内容をご紹介させていただきます。進路を決める教育委員会との面談後、12~1月ごろに子どもの進学先が正式に決定したことを通知する就学通知書が届きます。ホッとしたのも束の間、ここからが特別支援学校にお世話になるための準備本番です。Upload By ぼさ子通常学級への進学との違いは、提出書類の圧倒的な多さ。2月に入ったころ、わが家にもズッシリとした分厚い封筒が届きました。生徒の支援計画にまつわるフェイスシート・病院や投薬情報・損害保険の加入などなどなど…。わが子に妨害されながらこれらを記入するのは至難の業ですが、特別支援学校はそれだけ責任を持って支援してくださるということなので、学校側にお子さんのことが伝わるように頑張りましょう!(入学式のときに提出書類がほとんどですが、中には提出期限が早いものもあるので要注意)Upload By ぼさ子特別支援学校入学時の持ち物学用品準備リストを見てまず驚いたのが、教科書・えんぴつ等のいわゆる勉強道具が記載されていなかったことでした。文房具はハサミとクレヨンを用意した程度。ほぺろうが通う特別支援学校は通学カバンの指定はありません。ランドセルでもリュックでも教材が入る大きさであればOK。お子さんによっては、感覚過敏があるため新調するより使い慣れているカバンを選ぶというご家庭もあると思います。ほぺろうはすぐカバンを壊す可能性が高いので、高級なものはもう少し大きくなってから…と割り切って、入学時は背負いやすいリュックにしました。また、学用品購入に関しては就学奨励費(※)という制度があるので、領収証の保管は忘れずに!(※)認定については所得に基づく区分があるほか、自治体によって対象となる内容も異なりますUpload By ぼさ子特別支援学校の学習内容ほぺろうが通う特別支援学校のクラス編成はおおよそ3~4人程度の少人数制。先生は特別支援の知識を持ったスペシャリストです。特別支援学校低学年の学習の基本は身辺自立などの生活訓練。登校時は学校の玄関先で先生たちがお出迎えしてくれて、靴を下駄箱にしまう…というところからすでに授業は始まっています。教室に入ってからの課題は、一人ひとりに合わせたものを用意してくれています。手先の運動を促す課題をする子どももいれば、学習ドリルで勉強する子どもも。特別支援学校内では日常的に視覚支援があふれていて、絵カード・図示・手話などを用いて生徒に伝えてくれます。視覚以外の感覚が得意な子どもに向けても、個人に合った伝わりやすい方法を模索してくれます。年齢が上がると、異性との接し方を学んだり、高等部のある特別支援学校であれば職業訓練が実施されます。Upload By ぼさ子特別支援学校はどんな子どもたちがいる?私のパッと見の印象では本当にいろんな子どもがいると感じました。知的障害がなさそうな子どももいれば、身体不自由の子どももいるし、診断名もみんなさまざまです。ほぺろうの学校の一年生は、喋れる子ども・喋れない子どもの割合は半々くらい。ちなみにほぺろうは喋れない派です。特別支援学校の生徒さんは同じ年齢でも発達に個人差がありますし、この先、急に成長する可能性もあります。手続きは必要ですが、お子さんの成長度合いに合わせて特別支援学級などへ転校することも可能だそうです。Upload By ぼさ子就学準備にあたり心強かった存在特別支援学校は通常学級と比べて情報の少ない就学準備になるかと思います。ネット上にはさまざまな情報があふれていても、学校のことは地域それぞれの方針や相性が違ってくるので、実際に進路を選ぼうとしてもネット情報だけでは不安が拭えません。不安になっていた私を救ってくれたのが、地域の先輩ママさんの存在。私の場合、地元で同じ境遇の方にお会いしたことがなかったので、お世話になっている療育先に相談して紹介していただきました。学校の話だけでなく、送迎、放課後等デイサービス、病院など…地域の情報を共有させてもらえるのは本当にありがたい!こういう繋がりを、これから就学準備をする方に私も受け継いでいけたらいいなと思っています。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:初川先生より)就学先が決まってからの就学準備の詳細のレポートをありがとうございます。とても細やかなので私自身勉強になりましたし、特別支援学校に就学予定のお子さんを持つ保護者の方には大変参考になったのではと思います。ぼさ子さんが書かれているように、学校の方針や雰囲気、在籍されているお子さんの様子などは、その地域・学校の方でしか分からない面があります。そういう意味で、横のつながり・先輩ママさんとのつながりはとても心強いものですね。ぼさ子さんがそうした方々のご助言に助けられたように、ご自身がまた後輩ママさんを助けられたらというその循環、それもまた素敵だなと感じました。
2022年10月27日2歳10ヶ月のとき、知的障害を伴う自閉スペクトラム症と診断された娘Upload By にれはじめまして、にれです。娘のまゆみは、2歳10ヶ月のときに「知的障害を伴う自閉スペクトラム症」と診断されました。「何かほかの子どもと違うかも?」と思い始めた1歳ごろ以降、こちらの働きかけに応じる様子がなかなか見られないまゆみに対し、私は娘が何を感じているのか、考えているのか全く分からないと悩んでいました。母親である私の生きている世界とは全く別のところに意識がいっているように思える子どもだったのです。Upload By にれ2歳半になっても、まゆみの口から出るのは喃語ばかり。でも行動はかなり激しく、テンションが上がると弾かれたピンボールのようにあちこちにぶつかりながら部屋中を走り回っていました。親の制止はもちろん通じません。「私がこの子にルールを教えてあげないと…」と試行錯誤するものの、成果がみられない日々にいっそう悩みは深まっていきました。そんなまゆみでしたが、療育のおかげもあってか3歳ごろから少しずつ言語や社会性の面に成長が見られるようになっていきます。Upload By にれ4歳半となった現在、ようやく社会性がでてきたような気がします。未だ意思疎通の難しいところはあるものの、少しずつ言葉も出てきて簡単な指示なら聞いてくれるようになってきました。現在のまゆみの発達は以下のような状態です。発語:ほぼエコラリア(オウム返し)と何か分からない言葉。ごくたまに自分の感じた一言も。識字:ひらがな、アルファベット大文字、数字の1~30。行動:一時よりは多動も落ち着いた傾向。でも油断すると壁に激突するので要注意。トイレ:絶賛トイトレ中!自分の便で遊んでしまうことがあるので、発見が遅れると悲惨。社会性:挨拶のやりとりや、「かして」「どうぞ」を練習中。困りごと:偏食、こだわり、多動傾向。現在まゆみは単独通所型の療育を2ヶ所利用していて、合わせると週5~6のペースで通っています。最大の課題はやはり集団生活に向けた社会性。来年4月の保育園入所に向けて頑張る毎日です。特性のある子どもを育てていて思うことまゆみが1歳半~3歳くらいのころ、「わが子と気持ちの通じ合う日は来るんだろうか」「まゆみは将来どうなるんだろう」と考えてはよく涙していました。発達に良いとされることを片っ端から試してみたり、まゆみの興味のありそうなものを見つけては飛びついたり、とにかく「まゆみを救ってくれるもの」が何かあるんじゃないかと期待しては失望することの繰り返しで、私はだんだんと疲弊していきました。神経発達症(発達障害)のメカニズムは未だ完全に解明されておらず、ネットで得られる情報も玉石混交です。何かないかと検索しては不確かな情報に踊らされまくった私は、確かな情報を得るために知識をつけようと、大学の通信学部で臨床発達心理学を学び、発達支援などに関する民間資格を取得しました。わが子のためになることなら何でもやってやろうと、鼻息も荒く意気込んでいたのです。けれどそのうち、もっと大事なことに気づきました。知識をつけることはもちろん大事なのですが、一番大事なのは、目の前のわが子をよく観察してたっぷりの愛情を注ぐことだと思うようになりました。当たり前のことなのですが、その当たり前のことに気づけなくなるくらい、「何かしなくちゃ」とかつての私は焦っていたのです。Upload By にれ障害児育児は孤独や焦燥感との戦いでもあると思います。そんな中で、自分も子どもも笑顔でいられる道があるなら、きっとそれが正解なんだと感じています。結果として、真剣に学んだことはまゆみにとっても私自身にとっても正解でした。もし目の前に当時の私と同じように悩んでいる人がいたら、「自分が納得するまでとことん何でもやってみたらいいよ!」と背中を押すでしょう。それは、子どものためというのもありますが、大きくは親としての自分の気持ちを救ってあげることにつながるから、という理由です。最初に通っていた母子通所の療育で、「こんなにやってるけど、まゆみには通じなくて空回りばかりです」とこぼした私に園長先生が言った言葉は、今も私の心の指針になっています。「自分が納得するまでやってみたらいいよ。やりきったら、もし子どもの発達に打ちのめされることがあっても『こんなにやったのに』じゃなくて『ここまでやったから』と思えるようになる」。同じ境遇で悩んでいる方の力になれたらおこがましいかもしれませんが、同じような境遇で悩んでいる親御さんに「あなただけじゃないよ」と伝えたい気持ちで漫画を描き始めました。百人いたら百通りの自閉スペクトラム症があるといわれるくらい、特性の出方に幅があるのが自閉症育児。どこまで私とまゆみの経験がお役に立てるかは分かりませんが、もし少しでも読んだ方の気持ちが軽くなる瞬間があることを願って、コラムを書かせていただこうと思います。まだまだ勉強中の身ではありますが、育児も漫画も「ここまでやった」と思えるように頑張りたいです。これからどうぞよろしくお願いいたします!執筆/にれ(監修:初川先生より)にれさん、最初のコラム(自己紹介とまゆみちゃん・にれさんのこれまでの経緯)をありがとうございます。コラムを拝読して、「分かる、分かる」と共感的に読まれた読者の方も多いのではと感じました。「わが子と気持ちが通じ合う日は来るのだろうか」、その不安と焦りから、さまざま学ばれ、資格まで取得され、にれさんご自身がさまざまな知見・知識を得られたこと。その日々の中で、大事なのは知識ではなく、目の前の子に愛情をいっぱい注ぐことだ、と気づかれたこと。「当たり前のことなのですが」と書かれていますが、しかしながらその境地は、それまでのプロセスあってのことだと思います。お子さんに障害があるとなれば、不安になるのは自然なことです。その障害について知らないことが多いと思いますので、まずは知るところから始めるというのもよかったと思います。発達障害、知的障害については、理解と手立てに関する知見・研究がかなり蓄積されています。知識として知っているだけで、育児というものは手探り感はぬぐえないですが、そうした手探りの育児に少し安心感が伴えるかもしれません。私がにれさんのスタンス・心持ちが素敵だなと思ったのは、その末に「よく観察して愛情をいっぱい注ぐ」に至っていらっしゃること。まゆみちゃんの育ちやつまずきを、すべて「自閉スペクトラム症だから」など、障害という文脈だけで捉えてしまうと、「知的障害のある自閉スペクトラム症の子を育てている」ことに集約されてしまい、お子さんからすると「家に療育の先生がいる」になってしまうこともあるだろうなと予想されます。にれさんが育てているのは、まぎれもなく「にれさんのお子さんのまゆみちゃん」であり、それは障害といった文脈だけですべてが説明できる存在というわけではありません。もちろん障害という文脈も大切ですが、それだけではない家族の営み(親子関係)やまゆみちゃんの日々の生活・育ちがあって、そうしたものすべてを「障害」で回収してしまわずにそのままに受け取っていっていただけたらと思います。これからのコラムも楽しみにしています。
2022年10月27日発達障害のある人への対応で重視したい2つのことこれまで私は児童精神科医として少年院に勤めながら、自治体の教育相談、学校コンサルテーションなども行ってきました。最近では「発達障害」への認知度が高まり、発達障害があることの生きづらさについても理解が深まりつつあります。今回は保護者や支援者の方が発達障害のある人に対応するときに、見逃さないでほしい2つのポイントについて、お話ししていきます。それは、「知的障害の有無」と「認知機能の弱さ」です。1つ目は、知的障害の有無です。社会生活を送る上での困りごとは、実は、知的な障害から生じるケースがほとんどです。逆にいえば、発達障害のある人でもIQ(知能指数)が高ければ、今の社会を生き抜いていく方法はあるでしょう。例えば、自閉傾向が強くても勉強ができたら、好きな分野での研究職に就くといった選択肢が考えられます。知的障害の認定基準は「IQ70未満」知的障害の認定基準は、都道府県によって多少の違いはありますが、おおむね「IQ70未満」です(一部では「IQ75未満」のところもあります)。さらに日常生活での援助が必要だと認められると「知的障害」と判断されます。そのうち、「IQ50~70」が「軽度知的障害」です。ただし、「IQ70未満」という知的障害の定義は1970年代以降のもので、それ以前には「IQ85未満」とされていた時期もあります。みなさん、「境界知能」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。IQ70と85の境となる「IQ70~84」が境界知能です。意外に思うかもしれませんが、境界知能は日本人の7人に1人が該当(IQ100を平均とした場合、境界知能には約14%が該当)します。勉強が苦手な子どもの中には、知的障害には該当しないものの、この境界知能に当たる子どもたちがいます。また、はっきりと発達障害と診断はされないものの、何かしらの課題を抱える「グレーゾーン」の子どもたちもいます。こうした子どもたちにも、本当はなんらかの支援があってしかるべきだと思うのですが、家庭や学校で見過ごされてしまうことが多々あります。むしろ、「軽度知的障害」と診断を受けていたほうが特別支援学級に在籍するなど、支援の手が届きやすくなります。でも、障害の診断はされていないのに、「授業についていけない」「周囲の子となじめない」という子どもの場合は、「本人のがんばりが足りない」「努力不足」「やる気がない」などととらえられてしまいがちです。先にお伝えしたように、境界知能とはIQ70~84です。IQ80あればIQ100の8割なので、同じ年齢の子と比べて8割程度の知能ということです。平均の8割あれば、そんなに心配する必要はないように思いますか?でも、考えてみてください。8割の知能ということは、10歳の子どもたちの中に8歳の子どもが混ざっているイメージです。小2の子どもが小4のクラスの授業についていくのは、しんどいことだと想像できるのではないでしょうか。認知機能の弱さが学習のつまずきにさらに、境界知能の子どもたちがしんどいのには、もう1つ理由があります。「認知機能」の弱さです。発達障害に対応するときに、重視してほしい2つ目のポイントです。認知機能とは、注意、記憶、言語理解、知覚、推論・判断といった「知的機能」を指します。見る、覚える、写すといった社会生活を営むのに必要な能力で、「学習の土台」でもあります。境界知能の子どもたちの多くは、この認知機能に弱さを抱えていることが多いといわれています(知的障害や発達障害のある子どもにも、その弱さは見られます)。例えば、「見る力」が弱いと文章を目で追いづらかったり読み飛ばしてしまったり、「覚える力」が弱いと九九や漢字を覚えられなかったり、「写す力」が弱いと板書が書き写せなかったり…学習面でのつまずきにつながります。このような認知機能の弱さを抱えながら、教科学習の知識を積み上げていくのは大変なことです。学年が上がるにつれて、学習内容は複雑になり、抽象度も増していきます。学習の土台がしっかりしていないところに、知識を積み上げても、子どもたちのつまずきが増すばかりです。子どものつまずきに気づき、手を貸してあげられる大人といえば、親御さんや学校の先生方です。とくに親御さんは、子どもが「自立」するまで、共に寄り添っていく存在です。いわば、子どもの「伴走者」です。子どもが自発的に何かをやり始めて、つまずきながらも、目的に近づいていく。それでもくじけそうになったときに、「大丈夫だよ。いつでも手伝うよ」と安心させるのが、伴走者の役割です。ポイントは、つかず離れずの距離感です。子どもにくっつきすぎて、やることを先回りして手伝ってばかりいると、自立を妨げかねません。一方で、親の子どもへの関心が薄かったり、困っているときに手伝えなかったりすると、子どもは不安になってしまいます。最後に、学習面でのつまずきを解消するには、学習の土台である認知機能をトレーニングすることが大切です。『コグトレ・パズル』は、親御さんに専門的な知識がなくても、パズルやゲーム感覚で楽しみながら、お子さんの認知機能の向上が期待できるトレーニングです。子どもの学習の「伴走者」として、保護者の方も一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。
2022年10月26日LITALICO発達ナビを「ホーム画面に追加」すると便利!LITALICO発達ナビは、発達障害の基礎知識に関する情報や体験コラムを発信しています。会員向けのダイアリー(ブログ)機能やQ&Aコーナーもあり、毎日チェックしたいコンテンツが充実しています。お手持ちのモバイル端末で発達ナビを「ホーム画面に追加」するとアクセスが簡単!このコラムでは「ホーム画面に追加」の方法をご紹介いたします。iOSで「ホーム画面に追加」する手順お手持ちの端末がiPhoneの場合はこちらの手順に沿って「ホーム画面に追加」してみてください。1. ブラウザ(Safari)で発達ナビを開いた状態で下部のマークをタップUpload By 発達ナビニュース2.上にスクロールUpload By 発達ナビニュース3.「ホーム画面に追加」をタップUpload By 発達ナビニュース4.右上の「追加」をタップUpload By 発達ナビニュース5.ホーム画面に発達ナビのアイコンが追加されますUpload By 発達ナビニュースAndroid™で「ホーム画面に追加」する手順お手持ちの端末がAndroid搭載機種の場合はこちらの手順に沿って「ホーム画面に追加」してみてください。※機種やAndroidのバージョンが異なると、画面や操作手順が多少異なる場合があります。1.ブラウザ(Google Chrome™)で発達ナビを開き右上の「三点リーダー(︙)」ボタンをタップUpload By 発達ナビニュース2.メニュー画面の「ホーム画面に追加」をタップUpload By 発達ナビニュース3.「追加」をタップUpload By 発達ナビニュース4.「作成する」をタップUpload By 発達ナビニュース5.ホーム画面に発達ナビのアイコンが追加されますUpload By 発達ナビニュース「ホーム画面に追加」して最新の情報にすぐアクセスしてみよう!発達ナビでは、今後も発達障害に関する情報の発信だけでなく、会員のみなさまの毎日を応援するコンテンツを制作していきます。発達ナビをお手持ちの端末のホーム画面に追加してぜひチェックしてください!※ iPhone、Safariは、米国およびそのほかの国で登録されたApple Inc.の商標です。※ iOS は、Apple Inc.のOS名称です。※ Android、Google Chromeは、Google Inc.の登録商標です。
2022年10月25日療育での進路面談Upload By まる息子は現在、週に1回集団療育に通っている。年度末も近づいてきた3月、進路面談を行うこととなった。息子の成長したところなどの話をしつつ、最近個別療育も気になっていることを先生に相談したところ、「リュウちゃんできることも増えてきたし、うちとは違うタイプの施設に通ってみてもいいかも…」と先生に言われた。今通っている集団療育は毎回動きが決まっていて、登園→朝の支度→自由遊びと設定遊び(その日によって平均台が出ていたり、鉄棒が出ていたりと変わる)→リトミック→椅子に座っての作業(お絵描きや工作)→園庭遊び→お弁当→帰宅といった感じだ。1年以上通っている息子はこの流れを熟知し動けるようになっている。リトミックが嫌いだとか、椅子に座っていられない、集中力が続かないなど問題もあるが、去年より息子本人の理解能力も上がっているため、そのあたりを個別療育で強化したほうがいいのではないかとのことだった。漠然と未就学のうちはここに通うものだと思っていたので私はハッとさせられた。確かに成長に合わせて施設を変えた方がいいかもしれない、集団での動きは保育園に通っているのでそこで学ぶこともできる。今の息子なら先生と一対一でやりとりをする環境の方が伸びるのではないか?ただ、ちょうど今まで通っていた保育園が2歳児までの園だったため、翌月から転園することが決まっていた。保育園も療育も一気に変更となると息子が疲れてしまうので、とりあえず療育はこのまま通わせてもらい、夏ごろに個別療育に移ることを先生と話した。個別療育の見学へUpload By まる新しい保育園に慣れてきた6月ごろから、個別療育を行っている施設の見学に行くことにした。1件目は、息子の友人も通っている施設。見学に行きたいと思い、予約の電話をかけた。すると、現状教室の空きがなく、このまま予約して順番が回って来たら見学に行ける、しかしいつになるかは分からないとのこと。ちなみに放課後等デイもやっているが、そちらは今5年待ちと言われて衝撃を受けた。ここで嫌な予感がし始める。…もしかして…動くの遅すぎた…?現在通っている集団療育の見学へ行ったのは、夏~秋くらいだった。4ヶ所ほど見学に行ったが、どの施設も曜日さえ選ばなければ入ることはできそうだったから油断していた。集団と個別はこんなに違うのか。2件目は、施設の見学予約が取れたので訪問し、息子を交えていろいろお話を聞けた。とてもいい雰囲気だったのでぜひ入れたら…!と思ったのだが、体験授業を受けてからの申し込みとなり、その体験授業が今予約待ちでいっぱいらしく、順番が来たら連絡を入れますと言われ帰ってきた。ちなみにいまだに連絡は来ないので、常に満員の状態のようだ。3件目は、見学予約も体験授業もすんなりいけ、どの曜日でも空きがあり、通わせることが可能だった。しかし気になったのがそちらの療育、個室での授業ではなく一室をパーテーションで区切って4組くらい同時に授業を受けている。話を聞くと未就学児から高校生まで幅広い層が通う場所のようだ。集中が途切れやすい息子にとってこの空間はあまり良くない気がする…。そして体験授業を見ていると、今行っている集団療育とあまり変わらないことをしている気がして、せっかくだがやめておくことにした。個別療育の体験授業Upload By まる普段仕事もしつつの毎日なので、家から通いやすい施設…となると数も限られてくる。ここがダメなら4月まで待つしかないな…と思い電話をかけた4件目の施設は、いきなり体験授業を受けさせてもらえた。個室で先生と一対一、その様子を親はマジックミラー越しに外から見る。すぐに飽きる息子に先生も次々と教材を変えて対応してくれ、約30分間ほぼ座ってやりとりをしている姿が見れて、環境によってこんなに違うんだと驚いた。普段の集団療育では30秒座っているのが限界なのに…!ぜひ通わせてもらいたいと思い話を聞くと、ある曜日の1時間1枠しか現在空きがないとのこと。ちょうど今通っている集団療育と同じ曜日と同じ時間だった。同じ時間なため、仕事には支障はない。今乗り換えるでもいいかな…と思ったのだが、息子が現在通っている集団療育へ行くのをとても楽しんでいるのでためらってしまった。空きが出るのを待つことにUpload By まる新しく通い出した保育園へは行きしぶりをするのに、今通っている集団療育へはウキウキで行くのだ。息子が毎週楽しそうに通うので、私の仕事との兼ね合いが大変だが、今年度は週一集団療育、週一個別療育へ通えたらいいなと思っていたところだったのだ。私も慣れた先生、お友達がいて悩み相談ができる環境を急に手放したくなくて、「他の曜日に空きが出たら連絡をください。」と苦渋の決断をしてきた。療育は一度入ったら卒園まで辞める人はほぼいないだろう。実際に個別療育に入れるのは次の4月かなと思っている。個別療育でこんなに入れないなら、小学生になったときにひとり親でできればフルタイムで働きたい私は、放課後等デイなんてどうなってしまうんだ!? 今から見学予約をした方がいいのか!? と頭を抱えている。執筆/まる(監修:鈴木先生より)療育先を変えることでお子さんの環境が変わります。本来は療育先を変えるのではなく、それぞれのお子さんの成長に合わせて療育の仕方を変えてあげるのが理想です。療育の中にも特別支援学級があればいいのです。療育とは少し違いますが、学校の特別支援学級も同じです。初めはサポートするために特別支援学級を利用していたお子さんも、学年が進むにつれてADHDの治療などで落ち着きを取り戻して通常学級でも可能になった場合には特別支援学級をやめてもいいのです。逆に、通常学級で途中から授業についていけなくなったり、感覚過敏などで集中できなかったりする場合には、特別支援学級の利用もありなのです。小学校からは各市町村の教育委員会が主導となるので就学前とは状況が異なります。そのギャップで小1問題が浮上するわけです。お子さんの成長に合わせて学校を変えることはほとんどありません。療育の規模や内容と先生との相性(知識と経験)の問題もありますが、まるさんが検討されているように、集団と個別と併用するのもありかと思います。事務手続きの煩雑さや分かりにくさ、施設側のキャパシティの問題などさまざまな要因により、子どもに必要な療育や教育がなかなか受けづらいことも多くありますが、こどもファーストの考えで、その子に合った療育や教育ができるようにしていかなくてはいけないと思っています。
2022年10月25日二人目の子どもにも障害が!?わが家の長女、いっちゃんは2007年生まれ。発達障害(ASD)のあるお兄ちゃんのタケルとは6歳違いになります。いっちゃんは、赤ちゃんのころから眠りが浅く、幼児期に入っても夜中に何度も目を覚まして泣いていたりとか、ほとんど言葉が出なかったりとか、とても体の動かし方が下手で走ると2~3歩で転んでしまうとか、気になる様子が多々見られていました。何らかの障害があるんじゃないかと思った私は、いっちゃんが3歳のときに県の療育センターで診察を受けました。Upload By 寺島ヒロいくつかの検査を受け、やはり発達障害の傾向があること、そして特に発話と粗大運動に遅れがありそうだということが分かりました。支援プログラムもすぐに作っていただき、同じ療育センターで感覚統合訓練なども受けることになりました。療育センターで訓練を受けるいっちゃん、しかし...療育センターには未診断のまま2年半ほど通いました。体の動かし方はずいぶんサマになってきて、走っても転ばなくなっていましたし、言葉のほうも、5歳ごろには流暢に喋れるようになっていました。ただ、言葉も滑らかに発音できるようになってきたというだけで、指示を聞いての受け応えや、なにか共通の話題について会話ができるというレベルではありませんでした。ほかに子どもがいても関心を持たず、絵を描いたり歌ったりしながら常にうろうろしています。また、睡眠が安定しないことは相変わらずで、幼稚園にも月の半分ぐらいは遅刻です。小学校は通常学級在籍で通級指導教室を利用?それとも特別支援学級?2月生まれという事もあり、同級生の子どもたちと比べるとあまりに幼く見えるいっちゃん。小学校進学を前に、大丈夫だろうか?と心配になりました。療育センターでは月に1回程度、担当医師とOTさんによる診察と面談を受けていました。折に触れ、就学についての話はしていて、医師からは「通常学級に通うのは無理かもしれないですね」と言われてはいました。しかし、当時は今より情報が少なかったこともあり、自分で進学先を選ぶという考えがなく、振り分けられたところに通うしかないものと思っていました。そのため、事前に小学校の見学に行ったり、教育相談に行ったりして、さまざまな選択肢を検討する機会もなかったのです。Upload By 寺島ヒロまさかの判定!?通常学級に通うことになったいっちゃん就学時健康診断の面談では、療育センターに通っていることや、決まった時間に起きられないことを伝え、5歳のときに療育センターで検査をしてもらったWISCの結果(スコア)も持って行って、何らかのご支援をいただけないかと訴えてはみたのですが、約10年前の当時は、できることはないとの返答でした。私たちが住んでいた地域での当時の基準では、IQや発話があるかどうかが重要視されており、いっちゃんの場合は支援対象の「障害」に当たらないという判断になったようです。4月から学区内の公立小学校の通常学級に通うことになりました。やはりみんなと一緒には通えない...とはいえ、月の半分は遅刻してしまうので、いっちゃんの「特性」は、小学校でもすぐに問題になりました。毎日のように先生方から「明日は遅刻するなよ!」と声を掛けられ、いっちゃん本人も「どうして私夜眠れないの?どうして昼間起きていられないの?」と悩むようになりました。寝よう寝ようと一生懸命になればなるほど、頭が冴えて眠れなくなって、また遅刻してしまうのです。Upload By 寺島ヒロ結局、小学校の高学年に差し掛かるころ、いっちゃんは不登校となり、中学校は通常学級に在籍しながら通級指導教室に通うこととなりました。今当時を振り返って思うこと今思えば、いっちゃんが就学時健康診断を受けた2012年ごろは、まだ発達障害の専門以外の医師も、学校の先生方も、発達障害についてあまり詳しくはご存知ではなかったのかもしれません。また、当時は私も「通常学級が無理だから特別支援学級?」と単純に考えていたのですが、もし特別支援学級に入れてもらっていたとして、いっちゃんの特性に合った指導が受けられていたのかと考えると、大変ぼんやりとした考え方だったな、もっといろいろな選択肢をしっかり調べておけたらよかったなと反省しています。中学校の間もほとんど登校せず卒業したいっちゃん、今は通信制の高校生です。「遅刻するなよ!」と誰かに言われることもなくなり、今は自分のペースで寝起きしています。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)親にとって、子どもの就学先に関する悩みは、10年前も今も変わらないと思います。今では、医師や就学担当の先生方も発達障害に対する理解が進んできているので、通常学級に在籍していても個別の教育支援計画を作ることができ、さまざまな合理的配慮も申請することができるようになりました。高校は、選択肢が多く、悩まれたと思いますが、お子さんに合った学校を選ぶことができて良かったですね。
2022年10月24日年長春放課後等デイサービスを調べ始めた市の就学相談を受け、特別支援学級を希望していた自閉スペクトラム症のあるけんとは、こども園に通いながら週に4日、園が終ったあとに通うタイプの発達支援施設に通っていました。集団行動、体を動かすことなど、苦手なことがたくさんあったので、小学生になったら放課後等デイサービスに通わせたいと思い、年長の春ころからどこに通うか調べ始めました。Upload By ゆきみ専門職の先生方がたくさんいらっしゃる人気の施設に問い合わせると、2年待ちくらいとのこと。待機の予約をさせていただくことにしました。ほかの施設にも問い合わせてみると、状況や予約の方法がそれぞれ違うようで「新1年生の予約は受け付けないので2~3月ごろに電話をしてください」というところもありました。運動特化型、お勉強特化型、集団行動を通していろいろな体験をする…などたくさんの施設がありましたが、送迎サービスを行っていないところでは弟の迎えの時間と照らし合わせたりする必要もあり悩みました。そして、いくつか見学に行くことに。環境の変化が苦手なことを考慮し決めたことUpload By ゆきみ夏ごろから、いくつかの放課後等デイサービスに見学に行きました。療育内容、時間帯、送迎の有無などを聞かせていただき、悩む日々。そんなとき、家のポストに入っていた地元のフリーペーパーで「新規オープン」の施設を発見!見学に行くと、けんとの課題である指先を使った制作、粗大運動、ビジョントレーニング、などの課題を行いながらSST(ソーシャルスキルトレーニング)を学んでいけそうで、送迎もあるとのこと。ココだ!と思い、週に4日通うことにしました。体を動かすのが苦手なので、本当は運動特化型の放課後等デイサービスにも通いたかったのですが、小学校生活が始まるだけでも環境の変化で大変そうな気がしたので、まずは1ヶ所の施設にすることに。小学生になり、そこに実際に通ってみて、毎日とても楽しそうにしています。夏休みには公園、消防署、展望室、工場や科学館などへ社会科見学にたくさん連れて行ってくださり、経験を重ねることができました。受け皿がない?構音障害リハビリ探しUpload By ゆきみけんとは構音障害があり、何を言っているのか聞き取るのが難しい子どもです。病院で言語訓練(ST)、作業療法(OT)を月に1回ずつ受けていましたが、小学生からは年齢制限で対象外。年長の春ころから、小学生になってからも受けられるところを探し始めました。インターネットで調べたり、発達支援センター、病院の先生方、発達支援施設の先生方、担当の相談員さんなど、心当たりがないか、とにかく聞いてまわりました。しかし、住んでいる地域には、言語聴覚士さんがいらっしゃって、空きのある放課後等デイサービスも、自費で受けられるところもありません。小学校で受けられるという「ことばの教室」は通級指導教室の子どもだけということで対象外。地域によって制度は異なるかもしれませんが、うちの地域では特別支援学級に通う子どもは、受け皿がないという状況に絶望しました。それでもあきらめずに支援者の方々に何度もお聞きしていたら「そういえば…あそこならいけるかも」と思い出した方が話を通してくださり、ついに見つかりました。家から離れた病院ではあったのですが、とてもありがたく、現在通わせていただいています。保育所等訪問支援を利用して思ったこと児童発達支援事業に通っていたころ、そこに通うほかのお子さんが「保育所等訪問支援」を利用していました。日中多くの時間を過ごしている園や小学校などに、支援員さんが訪問し、担任の先生と直接お話をしてくださったり、子どもの困りごとを見つけてくださったりするということで気になっていました。小学生から利用したいと思い、お世話になっていた児童発達支援事業の方にお願いさせていただき契約。Upload By ゆきみ小学校に通い始めてからのお話ですが…正直、もっと早くこの制度を利用していればよかったと後悔しています。専門の知識をお持ちの支援員さんが対応してくれるので説得力があり、親の立場からお願いしづらい部分もフォローしてくださっているように感じます。私自身も、支援員さんの見解をお聞きして、とても勉強になることや新発見も多いです。子どもが年長になってから、普段の生活に加え、就学に向けての準備が本当にたくさんありました。考えることも多く、頭が混乱してしまうことも正直ありました。そんなときは大好物のお菓子を少し食べてリフレッシュ。とにかくあっという間の1年間でした。執筆/ゆきみ(監修:井上先生より)就学に際して学級選択以外に、お子さんに合った放課後等デイサービスの情報集めや見学など、さまざまな選択を一度にしなければいけないというのは大変だったと思います。ゆきみさんのように、お子さんの特性やニーズに合わせた事業所を地域で探されることは、場合によっては難しいこともありますが、相談支援専門員さんなどに相談していくことで保育所等訪問など、現時点で使えるサービスを発見できることもあります。先輩の親御さんから地域の情報を聞くのも良いかと思います。
2022年10月24日子ども病院の先生に言われた言葉に傷ついて今は大学生になった息子。未就学時代は多動気味で通院となるとその傾向が顕著になりました。息子は軽い食物アレルギーがあり、子ども病院のアレルギー科にかかっていました。息子が3歳くらいのころでしょうか。年度替わりだったのかもしれません、今までの先生とは違う先生が担当医になりました。その日も落ち着かない様子の息子は、診察室の中を歩き回ったり、出て行ってしまったり…。その様子を見て、先生は「こういうお子さんは日本の恥です」と言いました。「こういう子どもが海外に行ったときに、マナーを守らなくてはいけないレストランとかで走り回るんだよ。日本の印象を悪くするんだよね」と。落ち着かせられず焦っていた私は、驚きと悲しさで「申し訳ありません」としか言えませんでした。そしてなぜ、ここで海外のレストランの話が出てくるの…と混乱もしました。ママ友たちにその出来事を相談をすると「無理して通うことないよ。転院したらいいよ」とすすめられました。それ以降、アレルギーは地元のクリニックで診てもらうことにしました。「どんなに名の知られた大きな病院であっても、担当の先生との相性が悪ければ、無理していく必要はない」と思えたからです。Upload By ユーザー体験談地元の小児歯科では治療を断られいつも走り回っていた息子は、よくけがをしていました。家の屋内階段はもちろん、商業施設のコンクリートの外階段を何十段も落ちて、救急車で運ばれたこともあります。激しく転ぶので、とうとう前歯4本が折れてしまい、仮の歯をつくらなくてはいけなくなりました。そこで地元の小児歯科に行ったのですが、治療中じっとしていられず、親や歯科助手さん数人がかりでおさえつけても暴れてしまい「うちでは診られません。大学病院にかかってください」と言われてしまいました。Upload By ユーザー体験談身体拘束はしません、彼ならきちんとできるはずですそこで紹介された大学病院の小児歯科にかかることにしました。そこでも、初診時に暴れそうになったのですが、一番最初に担当してくださったベテランの先生はとても厳しく、暴れる息子を治療台からおろし、廊下で待っている私のところまで一緒に戻ってきて、「うちの病院は、どんなお子さんに対しても治療中身体拘束はしない方針です。4歳なら、言って分かるはずです。治療中に暴れたらけがをして危険なんです。分かりますね?」と、はっきりと言いました。その有無を言わさぬ様子に息子も何かを感じ取ったのか、先生と二人で診察室に戻ったあとは、母子分離で身体拘束もなく、驚くほどきちんと治療を受けることができたのです。正直なところ、あまりに厳しい様子に、母である私も委縮してしまったほどだったのですが…。Upload By ユーザー体験談その後、息子は初診時の大暴れが嘘のように、2回目以降は歯科治療への拒否感はなくなり、きちんと受診できるようになりました。初診時にきちんとできたことが自信になっていたのかもしれません。大学病院の小児歯科では担当医が2回ほど変わり、数年後には大学病院から独立して開業された先生のところで治療を受けるようになりました。もちろんその先生も、身体拘束はしない方針の先生です。クリニックのホームページには「歯医者につれてくる時に噓をつかないでください(買い物に行くなど嘘をついてつれてこず、治療に来ることを話しておいてください)」「日常生活の中で歯医者にかかることを脅しの材料にしないでください」と記載されています。治療方針を明快に説明し、子どもも納得の上で治療してくれる先生です。息子はそのクリニックで習った通りに歯磨きに精を出し、親以上に丁寧に磨き、今も虫歯はありません。Upload By ユーザー体験談成長した息子を見て15年以上たった今も、子ども病院のアレルギー科の先生に言われた言葉は忘れることはできず、時折思い出されます。そしてまた、息子が通院に不安を感じていた未就学時代、どうしたら通院時の不安な気持ちを軽減させることができるのかが分からず、適切に対応してやれなかった自分の力不足もふがいなく思います。一方で、大学生活を謳歌し、毎日さぼることなく勉強に励み、きっと日本を支える立派な技術者になるだろう息子を見ながら「息子は、今も昔も恥なんかじゃないぞ」とも思うのです。そしてまた、たとえ厳しくても、患者のことを思う芯のある厳しさであれば、子どもも何かを感じ取って治療を受けられるのだということも、心に刻まれています。そんな、息子が幼いころの通院の思い出です。イラスト/taekoエピソード参考/あっきー(監修:三木先生より)とても良い歯科の先生に出会われましたね。「嘘をつかない」「子どもを脅迫しない」は、子どもに対峙するときにとても重要なことなのですが、日常生活に追われているとついついやってしまうこともあります。子どもにとって都合が悪いときほど、こういうことを意識してみると良いかもしれません。
2022年10月23日触覚の過敏さから、学校生活や学習に困難を感じている子どもは多くいる?ノートが上手く取れない、計算や漢字の書き取りが不得手、授業に集中できない…など、子どもの学習に関連する困りごとは、「限局性学習症(学習障害・LD)」が原因なのではないかと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、限局性学習症がなくても、触覚の過敏さなどの感覚過敏の特性やそのほかの発達障害の特性から学習に困難を感じている子どもも多くいると考えられています。特定の領域の学習ができない限局性学習症とは異なり、環境に左右される原因によって学習困難が起こることがあります。このコラムでは「触覚過敏がある子どもの学習の悩み」について、原因や解決方などを解説します。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン触覚の過敏さがあることで起こる学習の悩み触覚刺激に敏感な子どもの場合、苦手な触感のものを触れずに授業に参加できなかったり、肌に触れている服の着心地などが気になって授業に集中ができなかったりすることがあります。理科の実験や図工の授業など、学校生活にはさまざまなものを触る機会がたくさんあります。触覚が過敏な場合は粘土やのりなどのベタベタしたものが手に触れることがいやで、授業にうまく参加できなかったり、苦手な刺激に気を取られて先生の話に集中できなかったりする場合もあります。解決策:苦手なものを無理やり触らせようとせず、触る場合には、少しずつ試してみましょう。それでも触れない場合にはゴム手袋の使用など、直接触れなくてすむ工夫をすることで授業に参加できるように相談してみてください。着ている衣類の素材が合わないと、肌への刺激が気になることがあります。タグや縫い目、あるいは靴に入った細かい砂などが気になると、学習に集中しにくくなります。解決策:服を選ぶときに、材質、タグの位置、縫い目の具合など、本人と一緒によく確認して快適なものを選びましょう。タグが気になる場合には、根元からタグをしっかり切ると、気にならずに着られるようになることもあります。
2022年10月22日30年以上、発達障害のある子どもたちをみてきた精神科医の言葉今回は、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授を務める本田秀夫先生のコラムをまとめてご紹介します。これまで執筆いただいたコラムでは、発達が気になるお子さんの進路選びや、発達障害子育てのポイント、インクルーシブ教育の実現に向けた考えなど、保護者の方に向けた力強い言葉をつづっていただいています。30年以上の臨床経験がある本田先生の言葉は、私たちの心に深く届くものばかりです。ぜひ、この機会にまとめてご一読ください。障害のある子どもと障害のない子どもに別々の教育を行うのではなく、全員が共に学べるような形で教育を行うことを意味する、インクルーシブ教育。本田先生は、合理的な考え方であり、そのような環境設定をすることに対して全面的に同意しているものの、現在の学校教育にはまだ課題を感じると言います。共生社会をつくるために必要な姿勢とは…。本田先生は、発達に特性のあるお子さんの進路について話していると「通常学級で大勢の中に入ったほうが、いい刺激を受けるんじゃないですか」と言われることがあるそうです。この記事では、保護者の方に向けて通常学級に在籍することで受けるプラスとマイナスの刺激について解説いただいています。発達に特性のあるお子さんの就学や進路選びでは、通常学級、通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校など、さまざまな選択肢の中から検討されるかもしれません。特に、小学校入学前に受ける就学相談で「通級指導教室や特別支援学級が適当」という判断が出た場合に悩む保護者の方が多いと本田先生は言います。発達障害子育てで感じる、さまざまなお悩み。どのように対応すればいいのか迷われている保護者の方に向けて、子育てを考えるきっかけになるクイズを本田先生にご用意いただきました。ぜひ、お子さんをイメージしながら答えを選んでみてください。発達障害のあるお子さんには、さまざまな特性があります。本田先生は、「得意なこと」「苦手なこと」「好きなこと」「嫌いなこと」などを一般常識にあてはめないで、ありのままに理解していくことが大切だと言います。この記事では、発達障害のある子どもの育て方のポイントを解説いただいています。発達が気になるお子さんの子育てをする中で、「できないこと」に目が行きがちだと感じている保護者の方も多いかもしれません。本田先生は、「平均値に届く・届かない能力が必ず存在する」「苦手の克服を最優先課題にするのは、発達障害のある人たちにとってはしばしば逆効果となり、特訓すればするほど嫌いになってしまうことがある」と言います。発達障害の当事者やそのご家族の方から、「発達障害と個性はどう違うの?」と質問をよく受けてきた本田先生は、「発達障害の特性と個性の間に境界線はない」「発達障害の人が向き合う困難はマイノリティ問題と共通している」と考えているそうです。それはなぜでしょうか。本田先生は30年以上の臨床経験から、発達障害と診断された人たちのなかで、割合が大きいけれど十分に理解されず困っている人がいると感じているそうです。それは、発達障害が「重複」するタイプの人であり、発達障害のある人の悩みを理解し支援するためには、その人たちのことをぜひ知っておいてほしいと言います。
2022年10月21日声かけが最高潮に面倒だったときのことUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)の有無に関わらず、子どもの保護者をしていると『子どもへの声かけ』をすることはたくさんあるのではないかと思います。「手は洗った?」「宿題やった?」「トイレに行って」「座って」「前を見て」「しまって」「確認して」などなど…同じセリフが何度も繰り返されているご家庭も多いのではないでしょうか。私も毎日同じセリフを何度も繰り返し言い続けています。私とコウの日常風景を見た親族や友人が「これは凄いね…大変だね…」とみな驚いていたので、客観的に見てもかなり声かけは多い方なのかもしれません。そんな風に日々を過ごしている中で、心底「何度も同じことを言い続けるの、もうイヤだな~!」と思ったこともありました。コウが小学5年生だったころだと思います。あまりに毎日同じことを言い続けているため、「実際のところ1日あたり何回同じセリフを繰り返しているのだろう?」と、ふと素朴な疑問が沸いてきました。「確実に毎日10回以上は促してるな…」と思うセリフをピックアップしてみたところ、大雑把にまとめても20個はあることが分かりました。単純に考えると20×10で1日あたり最低200回は声かけをしていることになります。「これは言う方も言われる方も大変だな」と思いました。同じことを言い続けるのだから、もう録音でいいんじゃない?文字通り「飽きるほど繰り返したセリフ」の数々が嫌になってきた私は、「同じことを言い続けるんだから、もう録音でいいんじゃない?」と思うようになりました。Upload By 丸山さとこということで、スマートフォンの録音機能を使い実際にやってみることにしました。使いやすさを考えて、10個程度のバリエーションだったと思います。それらの音声データはスマートフォンの買い替えにより現在は手元に残っていませんが、大体以下のような内容でした。・出かける時間です・片付けてください・支度してください・宿題してください・お風呂に入ってください・時計を見てください・タイマーは使っていますか?・確認してください・寝る時間ですこれらのセリフを状況に合わせて再生するようにしたところ、声かけの負担が激減するのを感じました。録音した音声を再生することで「何度も言っては無視される」「最後の1回以外聞き流されるセリフを言い続ける」などの精神的な負担が減るのは予想していましたが、声を出すことそのものの負担が減るのは意外な成果でした。Upload By 丸山さとこそれまでの私は、声かけによる疲れといえば「言っても言ってもやらない!」という徒労感からくる疲れがほとんどだと思っていました。スマートフォンの力を借りることで『声を出すのって結構負担がある行為なんだな~』ということをハッキリと認識し、「疲れの内訳にはいろいろな要素があるのだな」と改めて実感しました。その後どうなったかというと…私としては結構気に入っていた声かけ録音再生システムでしたが、コウから「ちょっと不気味」「お母さんに声をかけてほしい」「人からの声じゃないと響かない」との物言いがあったため、数日であえなく終了となりました。短い『声かけ休業期間』でした。とはいえ、仮にコウからの要望がなかったとしても、ほどほどのところで直接の声かけに戻そうとは思っていました。人からの指示を聞き流さないことは、コミュニケーションとして大切なことだろうと考えていたからです。Upload By 丸山さとこ私は、『人からの声かけを耳に入れた上で自分のレスポンスを決める』ことが『聞き流さない』ということなのではないか…と思っています。そういう意味では、指示に沿った行動だけでなく、反発することや無視することもまた『聞き流さないこと』であるのだろうと思います。コウは、今まで癇癪はあっても「うるさいな~分かってるよ!」という反抗をしたことがありません。声かけを『自分に対する、人からの働きかけ』であると感じているかどうかも分からないところがあります。そんなわけで、「お母さんに声かけをされたい」コウと「言うの面倒だな~」な私の2者の要望の間をとって、コウのための『やることリスト』を作成することにしました。リストを声かけに活用すると、たとえコウが声かけを無視したとしても、物理的に目に入る「リスト」が声かけのあとも残ります。そのため、私は「リスト使った?」「リストでチェックした?」と声をかけるだけでよくなりました。音声の再生ボタンを押すよりは手間ですが、「いろいろな声かけ」をたくさんしていたときよりグッと楽になりました。Upload By 丸山さとこ例えば、帰宅時など「手を洗う・水筒を流しに出す・連絡帳と宿題のチェック・かばんを片づける・プリントを渡す」のように複数の促しや確認が必要になるシーンは生活の中でたくさんあります。今までであれば一つずつ順番に声かけしていたであろうそのような状況でも、やることリストがあれば「リスト見た?」だけで終わります。言う私も楽ですし、言われるコウも多分楽なのではないかな?と思います。今までにもリストを活用しようとしたことはあったものの効果がなく、ここ数年は全く試したこともありませんでした。今でも自発的に使うことは少ないですが、促されてチェックすることはできるようになったので、この数年の間にコウも少しずつ変化しているのかもしれないな?と感じました。Upload By 丸山さとこくどくどガミガミ「あれやった?これは?」と聞けば緊張感が走るであろうコウと私の関係を、『やることリスト』が和らげてくれているのではないかと思います。執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)毎日の声かけは多くの親御さんにとって大きなストレスだと思います。声をかけてもやらないことではなく、声をかけること自体のストレスの大きさに気づかれたのですね。あらためて声かけの大変さについて考えさせられます。コウ君もいったん録音音声になったことで、お母さんの声かけのありがたさや重要性に気づかれたのではないでしょうか。また、やることリストをお母さんと一緒に使っていくことで、改めて自分のすべきことも意識できたかと思います。将来的には、カレンダーアプリで必要なお知らせが時間になったら届くように設定し、使えるようになると良いと思います。
2022年10月21日集団行動をとりたくない次男。学校生活でトラブル続き…わが家の発達に凸凹のある次男は現在小6で、通常学級に在籍し、週1日特別支援教室に通っています。次男が学校に行きたがらないということはあまりなかったのですが、「こだわり」「衝動性」「不注意」「感覚過敏」などの理由から、情緒不安定になることが多く、学校での集団行動は非常に難しいものでした。就学してからの6年間で、数えきれないほどヒヤヒヤする場面がありました。Upload By スガカズまた、次男は、自分が納得できないことはやりたがりません。みんなで同じことをするという場面で、それに共感できずトラブルに発展してしまったり、気もちの切り替えが苦手なことが原因でトラブルになることもありました。嫌な気もちをうまく言語化できず、相手の心を傷つけることも…Upload By スガカズ例えば小1のころに、このようなことがありました。次男が通っている小学校では、別の学年の児童と縦割りで班をつくり、活動を通してお互いにソーシャルスキルを学ぶという授業があります。当時小1の次男は小2の男の子と2人組になり、手をつないで近くの公園に遠足に行くことになりました。遠足の当日、次男は「学校を出発して長い時間(十数分間)歩き続けること」にやる気を見いだせずにいました。加えて「ほかの学年のあまりよく知らない男の子と一緒に行動しないといけない」「手をつながないといけない」のがどうしても嫌だったようです。ですが、次男は嫌な理由をうまく言語化できず、その場に座り込んでしまい、機嫌も悪くなっていました。次男と一緒に行動する予定の男の子は困っていたのですが、「行こう」と手をつなごうとしたところ、次男はその男の子の心を傷つける言葉を放ってしまいました。Upload By スガカズ次男の感覚過敏は強くはないものの、集団生活を送る上で嗅覚や聴覚の過敏さが強く出る場面があります。例えば柔軟剤の香りが苦手で、もしかすると男の子の衣服から、その苦手な香りがしたのかもしれません。次男がそのとき男の子に言ってしまった言葉は、非常にセンシティブで人を深く傷つけてしまう言葉でした。実際に、言われてしまった相手の男の子は深く傷ついてしまったようでした。後日学校からの連絡帳には、その日にあった出来事が書かれていました。相手の親御さんからの連絡帳で、その日の出来事が発覚したのです。私は遠足の日、所用がありどうしても見守りができなかったのですが、所用を調整してでも見守りをできなかったことを後悔しました。すぐさま学校に電話をして、次男の担任の先生に「相手のご家庭に謝罪をさせていただきたいのですが」と申し出ました。すると、担任の先生からこのように言われました。「相手のお母さまは連絡帳で、『謝罪は必要ない。ただ、本人が深く傷ついているので、もうあの子(次男)と同じグループにしないで欲しい』とおっしゃっています」私は相手のお母さまの意向に沿い直接の謝罪をしないようにしました。自分の子どもの心を誰かが傷つけたのなら、傷つけた相手を遠ざけたい気もちは十分理解できます。相手のお子さんにも、お母さまにも申し訳ない気もちでいっぱいになりました。次男は性格上、「人を傷つけたい」と悪意をもって言っているわけではありません。さまざまな特性からくる困難に対してクールダウンができていないことが課題だと思いました。次男には、私から「その人の体に関係することを悪く言うと、言われた人はとっても悲しくなるから絶対に言っちゃダメ」と伝えました。また、イヤな理由をうまく言語化できないことに対しては、すぐに解決する課題ではないと思ったので、「授業に参加したくない理由があるなら、無理に参加しなくてもいいよ」「イヤな気もちになりそうな時点でその場を離れていいよ」「先生に気もちを伝えよう」と、普段から言っている言葉を繰り返し伝えました。この一件があってから先生は、縦割り班活動での次男のグループは、2人ではなく3人になるように配慮してくださいました。また活動に参加することを無理強いせず、「気が向くならおいで」と言ってくださいました。次男も気が向かない場合は保健室や空き教室で過ごしていたようでした。配慮していただいたお陰で、次男のペースで参加できるようになりました。小6になった次男。心の変化を感じるようにUpload By スガカズ現在、次男は小6で、最高学年になりました。今も集団行動は好きではありませんが、私は本人の中に変化を感じています。次男の通う小学校では、登校班編成を取り入れています。朝は同じエリアに住む児童で集まって決まった時間に登校するのですが、現在6年生の次男は副班長になり、決まった時間に集団登校しています。初めのうち次男は、副班長という役割はイヤだと言っていました。自分が納得できないことは基本やりたがりませんし、みんなと同じことをする良さをあまり感じていないところがあるので、そう思うのは無理もありません。ですが、特別支援教室での小集団活動や、学校全体での縦割り班活動など、たくさんの経験をもとに、「上級生は下級生のお手本となる」ことに少しずつ適応してきたようです。集団登校班では、班長が基本的に先頭に立ち、人数確認をしたのち学校まで下級生たちを先導していきます。副班長(次男)は一番後ろに立ち、列の乱れがないか、確認しながら後をついていったり、班長がいない場合は副班長が先頭に立ちます。本人に、なぜ副班長を今も続けられているのか理由を聞いてみると、「面倒だから、本当はやりたくないんだけどね」と一言。前向きでなくとも、自分の中で折り合いをつけて、不満を言わず継続できていることが私は偉いと思います。次男には悪意はないものの、そのときの言動で相手の心を傷つけてしまうことがあったり、相手の親御さんにも申し訳ない気持ちでいっぱいになることがさまざまありました。ですが、何年も同じ学校で過ごすうちに、親御さん方から「理由なく行動を起こす子ではない」という言葉をいただいたり、「弱い立場の子を守ろうとする優しい子ども」と理解してくださる先生にも関わっていただけました。学校での集団生活は、本人にとって大変なことの連続でしたが、さまざまなことを経験しながらも「成長したな」と感じずにはいられません。執筆/スガカズ(監修:三木先生より)頑張って適応されたんですね。「縦割り班」という集団行動の中で、自分になりに「下級生のお手本になる」という理由や目的を見つけて行動が取れるようになっているのはたいしたものです。このように同じ行動であってもその子が納得できる切り口を見つけて適応的な行動が取れるようになると良いですね。
2022年10月20日場所見知り・人見知りのある娘Upload By 古都 コト子(koto)発達障害のある娘は、療育に行き始めたばかりの幼児期に場所見知り&人見知りがあり、1年近く行き渋りをすることがありました。療育園だったので、娘にとって過ごしやすく楽しい場所になるようにたくさんの配慮がなされていたのですが、それでもこの世の終わりのように泣き叫び、そんな娘を無理矢理連れて行くことに疑問を感じる日も多々ありました。これが学校のように義務とされている場所だったら、行き渋りはとても悩ましい問題だったと思います。通っていた療育園では、行き渋る子どもはパジャマのまま登園しても許され、活動に参加できないときも寄り添ってくれる先生がいました。そのうちに、娘も安心して心を開けるようになったのか、3年目からはむしろ喜んで行くようになりました。家族以外の人に心が開けるようになったのは良かったですが、時間が必要でした。行き渋りから登園拒否へ娘はどの療育園でも大好きな先生やお友達と楽しく過ごせるようになりましたが、年齢が上がるにつれ、合理的配慮や手厚い支援の少ない場所で過ごすことに対し、不安感や拒否反応を示すようになりました。療育園での過ごしやすさと比べてしまい、娘にとって居心地の悪さを強く感じる場所だったようです。みんなと同じように過ごすため、最初はかなり頑張っていましたが、徐々に「行きたくない」とこぼすようになりました。そして、それは行き渋りから登園拒否へとつながっていきました。コロナ禍ならではの不安もUpload By 古都 コト子(koto)朝起きると「行きたくない」と言い、朝ごはんを食べさせたり着替えをさせることが困難でした。それでも園に行けば楽しいこともあるので、必死に説得しながら身支度をしていました。また、ご褒美を用意しておくことが有効だったので、毎朝、行き渋る娘に「今日は帰りに〇〇(娘の好きなおやつ)を買って帰ろう」「次のお休みは〇〇(娘の好きな場所)に連れて行ってあげる」と声を掛け、やる気を引き出していました。コロナ禍では、「健康な児童であっても休めるときはなるべく休ませてください」といった休園要請が出たためお休みする子どもが多くなり、娘もその影響で休園要請が終わっても休みたがる日がグッと増えました。今日は休めるのか休めないのか、クラスメイトは誰が来ているのか、当日になるまで分からないコロナ禍での日々は、ルーティーンを大事にする娘にとって、とても不安な毎日です。行き渋る理由が深刻で解決が難しい場合はUpload By 古都 コト子(koto)行き渋りや登園拒否があっても、未就学児の場合は休ませたり、まだ体が小さいので抱っこをしたりして行かせることができる場合もありますが、小学生以上になってくると、体も大きくなってきて精神面でも成長しているので、無理に学校に行かせようとしても難しくなってきます。先生やクラスメイトとの人間関係が原因だったりすると、簡単に解決できる問題でもなくなります。行きたくない理由を正直に話せる子どももいますが、本心を話せない子どももいます。現在はフリースクールや通信教育を受けられる機会も増えているので、行き渋る理由が深刻で解決が難しい場合は、それらを検討してみようと思っています。また、日ごろより意識して、先生から話を聞ける関係性をつくっておくと、対策が考えやすくなるのではないでしょうか。友達だと言っていた子どもと実は仲が悪かったり、トイレに行くのが苦手だったり、意外な理由のこともあるようです。行き渋り、不登校は親子で追い詰められる場合が多いので、同じ悩みを抱えている人たちと情報交換をしたり、感情を共有することも大事にしたいです。家と学校以外に居場所があることは、保護者にも子どもにも良い影響があるのではないでしょうか。執筆/古都 コト子(koto)(監修:初川先生より)娘さんの行き渋りについての思いをありがとうございます。古都さんの思いを読んで、なるほど、保護者の方がお子さんの行き渋りに対してできることは、どのように行かせるか(朝説得をするなど)、帰ってきたときにどんな対応をするか(ご褒美を用意する、それを朝から予告しておくなど)がまずは取り掛かりやすい部分なのですね、ということでした。古都さんは、お子さんの園での行き渋りについて書いてくださいましたが、私が現在小学校でスクールカウンセラーをしており、就学後のお子さん・ご家族の登校渋りに際してのご相談を受けることが多くあります。そこで、就学後の対応についてもご紹介したいと思います。スクールカウンセラーとして多くの登校渋りや不登校のお子さんや保護者の方と関わっていますが、お子さんにとって学校が過ごしやすくする環境調整がとても大切だなと感じます。教育機関では学校と保護者との協働作業なのだと考えると分かりやすいでしょうか。たとえば、お子さんについての「こういうときにはこうなる」という情報を学校に伝えます。そのうえで、例えば学校での1日の流れや各授業での内容を細やかに予告する、難しい単元については家庭とも連携して予習してもらう、トイレ休憩や休み時間の過ごし方の打ち合わせをしておくなどの手立てを取ることができます。担任の先生や特別支援コーディネーターの先生などとの密な打ち合わせが初期には必要です。その中で、学校という環境の中でお子さんがどんな苦手さを持っているのか、どんな場面なら楽しく過ごせるかについて、学校側も理解を深めていくことができます。あまりに渋りが激しい、あるいは、お子さんが登校するととても疲弊してしまうなどの場合には遅刻・早退や別室対応が可能かどうかなども検討するかなと思います。そうした中で、大事なのは、お子さんが学校で楽しかった・勉強が分かってよかったなど、何かしらの「よかった」経験をすることです。集団生活なので、すべてがよかったとなることは難しいです(これは発達特性の強めなお子さんだけでなく、誰しもそうだと思います。万事うまく過ごせてよかったと思う日はそうそうあるものではありません)。だからこそ、少しの戸惑いや嫌なことがあろうとも、総じて、今日もそれなりであったと思えるようにするための土台として、お子さんがつらくない環境をベースとしてつくっておくこと、そこに学校と一緒に取り組んでいただけたらと思います。まずは、担任や特別支援コーディネーター、あるいは養護教諭、管理職の先生、またはスクールカウンセラーなど、お子さんの様子も見ることができ、環境そのものに働きかけることができるポジションの方と一緒にそうした環境調整やトライアンドエラーによるうまくいく・いかないことの積み重ねを進めていただけたらと思います。
2022年10月19日保育園の参観日で…夏の初めごろ、保育園で久しぶりに参観日がありました。その参観日で、しのくんは私の方に駆け寄って来てしまい…。クラスの活動に参加することができず、私は落ち込みました。Upload By keikoほかにも「順番が守れない」「座っていられない」などと保育園から指摘があり…。「ただでさえ発達がゆっくりなのに、このまま小学校へ入ったらどうなっちゃうんだろう?」という不安が私を襲います。Upload By keiko「勉強についていけなくて、つらい思いをするのはしのくんなんだ…」と思った私は…お家で通信教育や市販のワークをする!『お勉強』をすることを決意しました!じっと座れない元々、興味のないことはしない子しのくん。そのため最初はワークをやろうと誘っても5分も経てば逃げ出そうとしました。Upload By keikoそこで私は、夫と連携して、しのくんが逃げないようにし、しのくんの好きなサメや魚を使って声掛けを工夫しました。Upload By keikoそれが良かったようで、次第にワークに取り組めるようになりました。また、ワークも、しのくんの好きな海の生き物のイラストがたくさん描かれているものをチョイスし、イラストを見せて→何がいた?何匹いた?など質問を繰り返すことを行いました。そうすると、質問した内容に答えを返す、というやりとりができるようになってきました!しのくんがついに…!ワークを始めたころはすぐに逃げ出していたしのくんでしたが、だんだん椅子に座っていられる時間も長くなり、一対一で向き合って、提案したものに取り組めるようになってきました。そのうち、「おべんきょうのじかんよ〜!」としのくんのほうから言ってくれるようにまでなりました。そして、ついに自分の名前が書けるようになったのです!Upload By keiko保育園での様子にも変化が…ワークを始めてからちょうど2ヶ月ほど経ったころ、療育センターのかたに来てもらい、保育園での様子を見てもらう機会がありました。様子を見てもらった当日…療育センターの先生がしのくんの変化に「驚いていた」と、担任の先生に教えていただきました。なんと、しのくんは、順番を守ったり、絵本の時間もきちんと座れていたそうです。私はその話を聞いてホッとしました。「もしかして、ワークを始めてからの変化なのかな?」と思いました。最後に好きなことを入り口にすると、今まで興味が持てなかったことや、嫌がっていたことにもチャレンジできることが分かりました!それに、保育園での生活にもよい影響が出てきている様子なので、しのくんが楽しんで取り組めるように工夫しつつ、これからもワークを続けていこうと思います。これからのしのくんの成長が楽しみです!執筆/keiko(監修:初川先生より)就学を見据えて、ワークを始めたというエピソードをありがとうございます。幼児期は発達のペースも早いのと(単に右肩上がりに育つというより、印象としては、ぐんとできるようになる時期が来る感じがあるのではと思います)、その度合いも個人差が大きいので、変化の大きな時期です。ワークに取り組ませるにあたって、しのくんの好きなサメや魚を使って工夫されたのですね。初めてのこと、そして難しそうなことに取り組む際にはそうした工夫はとても良いと思います。ワークの内容そのものが(単独で)、集中力を伸ばし、順番を待てるように作用したかどうかは分かりません。ですが、保育園という集団場面ではなく、家庭での個別場面で、しのくんにとって取り組みやすい課題(量、難易度)であり、取り組むための工夫(サメくんが応援してくれる)があり、さらに、できたらめいっぱい褒めてもらえる。そういった構造が良い作用をもたらしたことを感じました。好きなことを入り口として、自分に合った課題を、取り組みやすい環境設定で行い、そして取り組む間も終わってからも褒めてもらえるという構造は、お子さん自身にとっては、とても達成感を得やすく、「自分はできるぞ!」と感じやすくなるものです。自分はできる、大丈夫と思っていると、多少苦手な場面でも心に余裕を持つことができ、うまく立ち振る舞えることが出てきます。学習(ワーク)そのものを1つの「ツール」として、そうした「良い循環」を生む関わりを始めるということは、大人側からしても取り組みやすい面がありますね。お子さんに合ったものを楽しく取り組んで、いっぱい認められ、「できるぞ!」を積み重ねてゆく関わり、ぜひ継続していただければと思います。
2022年10月18日小5で障害の診断。「どうしてそんなに発覚が遅かったの?」という言葉が心に刺さり…わが子に軽度知的障害、ASD、場面緘黙などがあり、その診断を受けたのが小学5年生だと他人に伝えるとよく言われるのが「どうしてそんなに発覚が遅かったの?」という言葉です。親戚にも、見学に行った中学校の先生にも言われました。その人は純粋な疑問で聞いているのかもしれないのですが、私の心にはチクリと刺さります。子どもがこの年齢になるまで障害に気づかないなんて保護者失格じゃないかと言われている気持ちになるのです。でも実際のところ、小学4年生のころに担任の先生から勧められるまでわが子に発達検査が必要だと感じたことがなかったのです。ゆいが人と話すことが苦手なのも、勉強が苦手なのも個性の範囲だと本気で思っていました。この特性は家庭で過ごしている分には問題を感じないので、私の交友関係が狭く、同い年の子どもたちと比べる機会が少なかったのも影響があるかもしれません。Upload By 吉田いらここのようにとてつもなくずぼらな私ですが、ゆいが生まれたころは育児雑誌をよく読み発達のことを気にしていました。やはり第一子ということで少し神経質になっていたと思います。ですが、当時ゆいには特に心配になる遅れはありませんでした。母子手帳の年齢別ページの「できること」を確認しても、特に引っかかる項目はなく安心していました。このように最初は私なりに気を配っていましたが、ゆいが3歳くらいになると気が緩んで「健康ならそれでいいか」と思うようになっていました。発達に関して全く気を配ることをしなくなっていったのです。そのころから感じ始めたゆいの人見知りの強さも「恥ずかしがり屋さんなのね」といった程度にしか感じていませんでした。ここでピンときていたら、療育につなげることができて何か変わっていたのかもしれません。Upload By 吉田いらこ勉強の遅れが目立ち始めるゆいは小学2年生の終わりころからテストの点が取れず、勉強が苦手な子なのだなと感じるようになりました。もしかしたらこのタイミングで子どもに何かあるのかもしれないと気づく方も多いのかもしれません。けれども私はお勉強系の習い事をさせたり励ましたりするだけで、ゆいを発達検査に連れて行こうとは思いつきませんでした。ある人に言われた「小学校低学年の子がテストで80点以下を取ることはめったにない。そこでなぜ知的発達に何かあると気づかないの」という言葉は、今でもナイフのように私の胸に刺さって抜けません(もちろん80点以下を取っていたとしても障害のない子どももいると思います)。Upload By 吉田いらここれからのことこのように私が子どもの発達の遅れに気がつくのが遅れたことで、幼いころに療育につなげることができず、結果ゆいにはつらい思いをさせてしまいました。勉強はどんどん難易度が上がっていき、通常のクラスで勉強していくことはとても気疲れしたと思います。反省点はたくさんありますが、過去に戻ることはできないので、これからは先のことを考えていきたいと思います。少しでもゆいが快適に生きていけるように、周りの人の手を借り相談しながら進んでいこうと思います。執筆/吉田いらこ(監修:初川先生より)いらこさんご自身の、ゆいちゃんの発達の遅れに気づくことが遅くなってしまった経緯と思いをシェアいただきありがとうございます。周りを巻き込むような行動面の大きな課題(例えば、授業中どこかへ行ってしまう、トラブルになりやすくお友達に手が出てしまうなど)がなく、学校や日常生活の枠組みに入り、それなりに過ごせていて、学習面やコミュニケーションで苦手さやおとなしさがあるという場合、たしかに発達の遅れに気づきにくい面はあります。おとなしく、そして静かに困っているお子さんはなかなかそのつまずきが見えにくいです。周りの大人が「どうしてもっと早く気づかなかったの?」と素朴な疑問を何の気なしに口にされると、「(今となっては)もっと早く気づいてあげたかった」と思っているいらこさんにとっては刺さりますね…。小学校低学年の学習の単元確認テスト(いわゆるカラーテスト)は、たしかに満点や高得点を取るお子さんがかなりの数います。なので、そこで点数がふるわない場合、「おや…?」と思うきっかけになる面はあります(とはいえ、学習のつまずき、テスト場面での集中が難しかった、興味関心のムラが大きいなどさまざまな可能性が考えられるので、あくまでも、「何らかのつまずきがあるかも、そのあたりよく見ていくと良さそうだ」というサインだと捉えるとよさそうです)。お子さんの学習に対して、その到達度や定着をどのくらい求めるかは、保護者の方によってさまざまであると相談場面を通して感じるところです。学習が苦手なのは個性の範疇だと捉える方もいらっしゃれば、少し間違えるだけでもお子さんに厳しく指導されたり、とても心配されたりする方もいらっしゃいます。一般的に、学習の遅れを見つけたらかなりの量の勉強をさせたり、厳しい声掛けをされたりすることが多く、厳しく教えたら誰でも勉強ができるようになるわけではないですが、結果的にお子さんになかなかの負荷がかかってしまうことが懸念されます。まずはお子さんの知的発達の特性を知って(検査に限らず、どういうときにどう間違えやすいかについて情報を集めて傾向を見ることから始めましょう)、お子さんに合う学習方略を検討できると望ましいですね。いらこさんの大らかな眼差しによって、おそらくゆいちゃんは救われてきた面もあると思います。ただ、いらこさんも感じているように、ゆいちゃんは静かに困っている場面があり、そこに早く手立てを取ることができなかった面もあるのかもしれません。子育ては、自分とは別の人(子ども)をどう健やかに育てるかという課題で、どれだけ考えても理解が及ばない(気づくことができない)領域はあります。そういう意味で、お子さんへのまなざしを固定することなく、学校の先生などお子さんに関わる方に、その方から見るとお子さんがどう見えているかについて聞いてみる(多角的にお子さんを見る)、そして、お子さん自身に折々に困ったことがあるかを聞いてみることは、自分が気づけていない視点に気づくための方法として持っておくとよいかもしれません。いらこさんは「もっと早く私が気づいていたら」と後悔される気持ちも強いようですが、これまでのゆいちゃんの育ちにはうまくいっているところ、ちょっとつらいところどちらもあるはずです。誰しも満点の子育てはできるものではありません。「いつ気づくか」よりも「気づいてからどう理解してどう手立てを取るか」のほうがよほど大事です。ゆいちゃん本人の思い、先生方の視点、家庭での様子やこれまでの育ちを誰よりも知っている保護者ご自身の視点を活かしながら、ゆいちゃんの充実した学校生活のためにできることをしていきましょう。
2022年10月18日自閉スペクトラム症のある息子にとって虫歯予防は困難ばかり!Upload By みん幼いころのPはおやつなどの間食も多く、一日中冷蔵庫の前やお菓子を置いている戸棚の前で、自分が食べたい物を私に要求していました。私は毎日24時間Pへの対応に疲れ果てていたころだったので、少しでも癇癪を防ぐため、大人しくしてもらいたいがために、おやつを欲しがるだけ与えてしまっていた時期もありました。そんな食生活を続けていたので、いつしかPに虫歯ができてしまいました。Pの虫歯に悩んだ私は、保健センターに問い合わせて障害児の治療も可能な近所の歯科医院を教えてもらい、通院することにしました。そこでは「治療をするにはまだ危険で難しい」という話になり、まずは場所や人に慣れることから始めることになりました。何回か通っていくうちにPも少しずつ慣れて、やっと診察台に乗れるようになったのですが、仰向けになって口を開けて先生に歯磨きをしてもらう段階になると拒否して暴れるので、身体を抑えつけて先生に進行止めの薬を塗ってもらったり歯磨きをしてもらったりしていました。そんなことを繰り返しているうちに、Pは歯科医院への道を通るだけでパニックを起こすようになり、最後は歯科医院の中へ入ることすらできなくなってしまいました。Upload By みんせっかく慣れた歯医者がトラウマになってしまい困った私は…慣れるために時間をかけて1年以上も通っていたはずだったのに、力ずくで抑えつけるという間違った対応の仕方のせいで、歯科医院に慣れるどころか結局はトラウマだけが残ってしまい、虫歯もどんどん進行してしまいました。こうして近所の歯科医院へはこれ以上通院することができなくなり、先生に紹介状を書いてもらって「障害歯科」を予約し、全身麻酔での治療に進むことを決意しました。障害歯科は1日に4組までしか予約を取っていないので、すぐには診てもらえず、予約をしてから3〜4ヶ月ほど待ちました。全身麻酔での治療になるので、事前に麻酔についての説明があり、前日から私もPもしっかりと準備をして、障害歯科へと向かいました。初めて行った障害歯科の雰囲気は、待合室にはPのほかには1人しか来ていないので、とても静かでほかの人に迷惑がかかることもなく周りを気にすることもなく、落ち着いて過ごすことができました。そして対応してくださる先生たちも、障害のある人に対して知識や経験のある先生ばかりで、親子ともにとても安心できました。治療のために全身麻酔をしてPを眠らせるときに、私はとても後悔をしていました。こうなってしまったのもPに虫歯を作った私の責任だ…と、眠ったPの顔を見ながら申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。それから約2時間後、無事に虫歯治療は終了し、Pが麻酔から目覚めると帰宅することができました。私は治療が済んだ安心感と、とりあえずはこれで虫歯の悩みから解放されるのでホッとしていました。1年以上も治療ができない歯科医院へ苦労しながら通って悩んできたけど、もっと早くに障害歯科で治療をする決断を私がしていれば良かったなと思いました。Upload By みんわが子にとって「今」何をどう選択するべきなのか?を親が見極める必要性。思えば長男は虫歯を作ったことがありません。歯磨きをするのも歯科医院へ行くのも親子ともに全く苦労をしたことがなかったのです。でも障害のあるPの虫歯予防と虫歯治療は、どれだけ大変でどれだけ苦労をしたか…と思い返しながら難しさを痛感していました。まずは歯磨きや歯科医院に慣れてほしいと思う私の願いよりも先に、Pの場合はとにかく治療をして、慣れるのはあとから時間をかけてゆっくり始めても良かったのかもしれません。実際、あんなに難しかった歯磨きも、Pが療育を受けながら成長すると、徐々にスムーズにできるようになり、今では自分から「歯磨き」と私に伝えにくるほどになりました。Upload By みん何をするにも、何を選択するにも、その子その子のタイミングがあるのだと思います。Pの発達や状況をしっかりと観察し、今のPの発達段階では何が可能なのか?何が難しいのか?を考え、親の希望するタイミングではなく、P自身のタイミングを見極めながらさまざまな選択をしていけるようになりたいです。執筆/みん(監修:藤井先生より)歯磨きができないならせめてうがいだけでも、とPさんには負担をかけたくないけれど、虫歯予防もしなくてはと、頑張ってこられたみんさん、後悔しながらも、諦めずに向き合われて、今があるのだと思います。Pさんの成長とともに、今では自ら歯磨きをするようになったとのこと、この体験談を通じて、歯磨きを嫌がるお子さんを育て中の親御さんに励ましとなりますね。
2022年10月17日ご自身や家族が精神疾患かな?と思ったらUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン診察はどのように行われるの?精神疾患とは、なんらかの脳の働きの変化により心理的な問題が生じ、感情や行動などに著しいかたよりがみられる状態のことです。もしご自身や家族が精神疾患の症状が出ていたら専門機関の受診をおすすめします。診察では、医師はまず患者本人およびその家族から、主訴(何に困っているのか)、現病歴(いつからどのような症状があり今に至っているのか)、既往歴(以前かかっていた病気のこと)、家族歴(家族の精神疾患、ないし同じ症状の人がいるか)、生活史、家庭環境や職場環境などを聞き出します。次に、集めた情報や診察室で観察される症状、さらには病院によっては検査結果などから、総合的に診断を決めていきます。おおむね以上のような流れで進みますが、医師により異なる手順をとる場合もあります。各診療科の特徴精神疾患をみる診療科は精神科や精神神経科、心療内科や神経内科など、かなり名称にばらつきがあります。精神科と心療内科の診察の対象となる病気は、現時点では明確な区別はありません。ただ、心療内科には「内科」とついていることからも分かるように「身体症状」に対する対症療法などの経験が豊富な医師が多いようです。精神科、精神神経科、神経科は、名前が異なりますが診ているのは精神科医です。精神症状なら精神科医の方が経験豊富ですが、医師の資質・経験の差が大きい場合もあるので、自身にあった医師を見つけることが重要です。心療内科は、心理的な問題が原因で、頭痛、倦怠感、不眠、胃潰瘍などの身体的な症状が出ている場合(いわゆる心身症)を対象としています。神経内科(脳神経内科)は、脳や脊髄、神経、筋肉の病気を主な対象としています。認知症やてんかんなどは精神科だけでなく神経内科(脳神経内科)でも診ています。一般的には看板ごとに以上のような住み分けがされていますが、診療科名からどのような病気を対象としているのか確かめにくいこともあるので、あらかじめ電話やホームページで確認するとよいでしょう。どの科においても薬の「飲み心地」などについて話し合えるのが、「良医」であることの1つの指針となります。不安なことや、悩みがある場合、気軽に相談できる病院を選べるとよいでしょう。精神疾患の治療法精神疾患の治療法は、大きく分けて身体的治療と心理的治療の2つに分かれます。以下、それぞれについて紹介いたします。代表的なものが、薬物を用いた薬物療法です。他に、高照度光刺激療法、修正型電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激法(けいとうがいじきしげきほう)などの身体に物理的に働きかける療法もあります。身体療法とは対照的に、心理的な手段を用いて患者の心身に働きかけるもので、さまざまな理論・アプローチがあります。たとえば、認知に働きかけて気持ちを楽にする「認知行動療法」、精神分析を基本として、患者の問題や時間、場所などの条件にあわせて行う「精神分析的心理療法」、重要な他者との関係を見つめ、その対処法を見つけていく「対人関係療法」などが代表的です。医療機関で精神科医が行う面接や心理的治療を「精神療法」、心理士が行うセラピーを「心理療法」と呼ぶことが一般的です。まとめ精神疾患の経過は人によってさまざまです。今はネットなどでいろいろな情報を調べることは出来ますが、悲観的になりすぎないことが必要です。ご自身が精神的な不調に長らく苦しまれているのなら、少し勇気をだして一度医療機関を受診することをおすすめします。自分だけでは分からなかった解決策が見えてくるかもしれません。また、家族がこころの不調で悩んでいると、周りの人、とりわけご家族は責任感を感じてしまうこともあるのではないでしょうか。しかし、精神疾患の原因は複合的なもので、決して一つではありません。たとえ家庭内に少し問題があったとしても、それだけが唯一の原因ではないのです。ご自身を責め過ぎず、疲れを感じた場合は休むことも必要です。一人で抱え込まないためにも、医療機関や福祉サービス、家族会などに救いの手を求めましょう。
2022年10月16日夫は単身赴任、小5娘からは性別への違和感を告げられ12歳のときにASDグレーゾーンと医師から言われた娘。性別の違和感や不登校、友達とのコミュニケーションが上手く取れないなどの課題もあります。娘の特性が気になりはじめたのは小5のころでした。誕生日にクラスメイトの女子からプレゼントを渡されたのですが、「プレゼント交換の意味が分からない」と突き返してしまい、友達に不快な思いをさせてしまいました。それからは友達との関係を「面倒くさい」と言って、自分から関係を切ってしまいました。その出来事をきっかけに、私は、娘は相手の気持ちが読み取れなかったり、空気が読めないといった特性があるのではないかと考えるようになりました。また、小6のころには「水着になりたくない」という理由からプールの授業を拒否しました。そのときに娘から「身体の性は女だと思うが、心は違うようだ」と打ち明けられました。Upload By ユーザー体験談これまでの育児の中で性同一性障害かもしれないと考えたことはなかったので、母としては娘は”身体の成長に心がついていってない”状態なのではないか、そして友達付き合いがうまくいかない理由に性への違和感があると考えるようになったのではないか、と思いました。※もちろん、これはあくまでも現在の私の意見なので今後の娘の意見は尊重はしたいと思っています。自分を曲げない。周囲に合わせるのが苦手。でも、本人なりに合わせようとする(過剰適応)。その結果、疲れてしまい何もかもが嫌になってしまう。こだわりが強く、聴覚、視覚、触覚、嗅覚過敏がある娘。さらに夫はその当時単身赴任中だったこともあり、相談する相手もいなく、私は娘にどう接するのが正解なのか分からなくなっていました。夫が単身赴任から帰ってきて小6になるころに、学校からは「娘さんは精神的にとても混乱している」と指摘され、精神科の受診を勧められていました。そんなとき、娘が8~11歳の間単身赴任をしていた夫が、自宅に帰ってきました。私は娘のことについて相談をしました。学校からの指摘もあり、私も精神科を受診をした方がよいと思っていたので、そのことを夫に話すと「いいんじゃない」と一言だけ…。夫があまりにも他人事のようなので、児童精神科のある病院をネットで探してほしいと頼んでみたり、当日同席して欲しいと伝えました。わが子の問題に父親として向き合ってもらいたい、情報を共有することでいつでも相談できるようにしておきたかったのです。児童精神科受診日、夫の行動に失望児童精神科受診当日、夫は待合室で居眠りしたり、院内をウロウロ歩き回ったりしていました。夫は買物や行事などでも一緒に行動せずウロウロと何処かに行ってしまうし、普段からいろいろなところで居眠りをするのですが、まさか娘の病院で?とショックを受けました。診察のときも話すのは母親の私だけ。夫は単身赴任だったからと子どもの事は分からないという態度でした。Upload By ユーザー体験談診察の結果、娘はASDグレーゾーンだと医師から言われました。そして娘は私達両親の前で「性別の違和感のため性転換したい。名前も変えたい」と医師に言いました。以前にも娘はそのようなことは言っていましたが…娘は本気なのだと思いました。医師に詳しく話を聞いたところ、実際に性転換を行うなら東京の専門医を紹介してもらう必要があるとのこと。娘はまだ小学生、決断するのは早すぎないだろうか。あとで後悔することにはならないだろうか。また、地方に住んでいて専門医の受診も簡単にはできないし、下の子のことや、費用のことまで…さまざまなことが頭の中で渦を巻き、胃が締め付けられるようでした。受診後、私は不安な気持ちでいっぱいでした。しかし夫は、病院をでるなり「焼肉でも食べて帰るか!」と何故かハイテンションでした。私はついに爆発。相談に乗ってくれない夫に「あなたは傍観者なの!子どもが心配じゃないの!」と切れてしまいました。Upload By ユーザー体験談怒った私を見た夫の反応は怒っている私をみた夫は急にぶっきらぼうな態度になりました。私の気持ちが理解できず戸惑ったり、面倒くさいと感じている様子で「子どもの問題をオレに振るな」「子どもの問題なのになぜ自分が責められなければならないのか」「病気だから仕方ないだろう。放っておくしかない」「病院にも連れて行ったし、やることはやった」「何かやらせようとするのは親(母親)のエゴだ」と言われました。その後、夫は食事やお風呂以外は自室にこもってしまいました。夫が自室にこもる状態は、最初の通院で言い争ってから5ヶ月ほど続きました。私は我慢ができなくなって、娘のこと、そして私の気持ちを伝えようと泣きながら話しました。その日は戸惑い、反応もなかった夫でしたが、次の日に「今まで言ったことは本心じゃない。うまく伝わらない。」とLINEが。夫なりに状況を変えたいのだと私は感じました。そこで、私は子どもの日々の生活について伝え、子どもの現状を共有するようにしました。しかし、やはり返ってくる反応はいつも同じ。「了解。引き続きよろしく」だけです。私の心には澱が溜まるだけでした。ある日、ASDグレーゾーンの娘への対応方法などを調べているときのことです。ASDのある大人の日常での様子について書かれた記事にたどり着き、読んでみると「もしかして夫もそうなのかもしれない」と気づきました。ネガティブな話になると突き放される、給与の詳細を教えてくれない、一方通行な話し方…記事に書いてあるさまざまな場面が夫の様子と重なったからです。Upload By ユーザー体験談夫のこと、子どものこと、現在も悩みは続き…行き渋りのある娘は登校へのプレッシャーがあるようで、精神的に不安定。親としては登校を強いることなく見守っています。とにかく話を聞いてあげることを意識的に行い、娘の心の安全基地になれるように努めています。そして夫は…現在も自室にこもりがちです。家族とのコミュニケーションが面倒のようで、エアコンの効いたリビングではなく暑かったり寒かったりする(電気代が勿体無いらしくエアコンをつけません)自室で一人で過ごしています。私も、家族で過ごすことが夫にとってストレスになるなら、夫が一人で過ごすことを受け入れようと思う…というか諦めるようになりました。娘と同様、夫に対しても、強いることはせず見守るようにしています。夫は娘の登校渋りや発達の問題には触れてこないので、私も話を振らないようになりました。しかし、私の中に溜まるイライラや不満、寂しさは消えないしなくなることはありません。子どもたちも私の状況を薄々感じているので、子どもたちへの悪影響が心配です。特にきょうだい児である下の娘(小3)はいろいろと我慢させがちなので、私と二人だけの時間を意識的に作り、アクティブリスニングをするようにしています。家族の問題を解く鍵になりそうな書籍を読んでみたり、心理学も学び始めました。また、自助会に参加してみたり、スクールカウンセラーを利用したり、SNSで同じ悩みを持つ方々と交流してみたり…。夫に相談できない分、学校や精神科の先生も含め助けてくれる外部との繋がりを大切にしています。今後どうなっていくのかはまだ分かりませんが、母として子どもたちを守り、どうにか乗り切っていければと思っています。イラスト/SAKURAエピソード参考/たろう(監修:井上先生)思春期になり子どもさんの発達や性に関する違和感、登校渋りと心配なことが続く中でパートナーである夫との間での理解や共有ができないのはとてもつらいと思います。その分、外部の専門機関や学校との連携を密にしたり気持ち的な悩みを共有できる仲間や友人を作ったり自分自身だけで問題を抱えないようしていくことが大切かと思います。そうした支えを持つことでパートナーの状態を理解しコミュニケーションの取り方を考えていく余裕が生まれるのではと思います。
2022年10月16日精神疾患とは?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン精神疾患とは、なんらかの脳の働きの変化により心理的な問題が生じ、感情や行動などに著しいかたよりがみられる状態のことです。この意味合いで、一般に「心の病」や「精神病」「精神障害」などと呼ばれるものを、より医学的に言い表すときに使われることが多い用語です。ですが、精神医学の領域においても「精神疾患」という言葉は、普遍的かつ確立された定義がありません。使われる場面や診断基準、医師によっても定義や概念にばらつきがあり、いまもなお見解の違いで議論が行われることもあります。精神疾患の症状は?精神疾患の症状にはさまざまな種類がありますが、そのほとんどは精神疾患でない一般の人でも経験するよくあるものです。ちょっとした気分の落ち込みや漠然とした不安感を経験したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?疾患であるかどうか医師の診断によって決まるのは、症状の組み合わせと症状の程度、そして症状が続いている期間です。また疾患名ごとにそれぞれの度合いや組み合わせは異なります。以下において、精神疾患の代表的な症状の一部を紹介します。症状それ自体は健康な人にも生じうるものであって、これがあるから精神疾患だ、ということではありません。あくまでも参考程度にとどめていただき、もし少しでも不安になった場合は専門機関に相談するようにしましょう。・抑うつ気分:憂鬱・むなしい・もの悲しいなどの気持ちになり、気力がでない状態。・幻覚:実際には刺激や対象が無いのに、それについて生じている知覚のこと。幻聴が代表的だが、幻視、体感幻覚などもあり、幻聴にもさまざまな種類がある。・妄想:根拠が無い非合理で訂正不能な思いこみ。本人は妄想とは認識しにくい。・離人:自分が自分であるという実感がしない、あるいは外界と自分との間に奇妙な隔たりを感じてしまう状態。・強迫:止めたい気持ちがありながらも、一方でそれをやらなければ気が済まないようにも感じ、同じ思考や行為を繰り返してしまうこと。精神疾患の原因は?遺伝との関係はあるの?原因の一つとして挙げられるのが「本人の特性と環境のミスマッチ」です。精神疾患の成り立ちを説明するモデルとして、ほとんどの精神疾患にあてはまるといわれているのが、ストレス脆弱(ぜいじゃく)性モデルです。すなわち「その人が元来もっている病気へのなりやすさ(脆弱性)と、病気の発症を促す要因(ストレス)の組み合わせにより、精神疾患は発症する」という仮説です。ここでいう脆弱性とは、遺伝などの先天的な要素と、どのような環境でどのように対応してきたかという後天的な要素により決まるといわれています。一方、ストレスには家庭や職場、学校における人間関係といった日常的なものだけでなく、戦争、災害、家族の死などがありますが、個人により何にどの程度ストレスを感じるかは異なります。思春期という、身体が急激に変化する時期は思春期であること自体がストレスの要因にもなりえます。同じストレスを受けた場合でも、精神疾患を発症する人としない人がいるのは、その人がもつストレスへの脆弱性が低いか高いかによると考えられます。・遺伝のしくみ遺伝には、親から病気の遺伝子を受け継ぐ場合と、親から正常な遺伝子を受け継ぎながら子どもの代で遺伝子に変異が起こる場合(突然変異)があり大きく3つに分かれます。・メンデルの遺伝法則に従って遺伝する単一の遺伝子の異常・複数の遺伝子が作用した上に環境要因も加わり発症する多因子遺伝・突然変異によるもの精神疾患のなかでも遺伝が関与するもののほとんどは、多因子遺伝によるものと考えられています。言い換えれば、特定の病気を引き起こす遺伝子というものはなく、誰もが持っている複数の遺伝子の組み合わせにより、脆弱性が左右されるということです。・遺伝だけが発症を左右するわけではない脆弱性(病気のなりやすさ)には遺伝も関係しますが、環境も大きな要因の一つです。精神疾患のなかでも遺伝の影響が強いとされる統合失調症でさえ、遺伝だけが発症の原因というわけではありません。実際、双生児を対象にして、「一方が統合失調症を発症した場合にもう一方が発症する確率」を調べた研究では、遺伝子が完全に一致する一卵性双生児でも48%、遺伝子が通常のきょうだいと同じ程度に異なる二卵性双生児の場合は17%という結果が出ています。この結果は、遺伝の影響だけが発症原因ではないことを意味すると同時に、その人を取り囲む環境が発症に関係する場合もあることを示しています。参考:6.社会と精神医学|日本医学会 100 周年記念シンポジウム原因探しは必ずしも解決につながらない自分の病気の原因を探し求めても、解決につながるとは限りません。仮に、遺伝や、親の育て方などの環境が関与していることが分かったとしても、そもそも一つないし少数の要因だけで病気が発症するわけではありません。目立つ要因があったとしても、必ずそれ以外にもいくつもの要因が病気の発症には関与しているものです。まして、その要因が今更変えられないものであるなら、そこにとらわれていても解決にはつながらないのです。過去ではなく未来に向かい、今何ができるのかを考えることが必要なのではないでしょうか。
2022年10月15日ダウン症のある息子の保活問題!以前のコラムで、ダウン症のある幼児期の子どもが辿る大体の進路は①保育園に行く②幼稚園に行く③療育園(障害のある子どもに特化した園)に行くというパターンに分かれると書きました。Upload By 星きのこうちは保育園希望だったのですが、当時、障害のある子どもを受け入れる体制が整っている園がとても少ないのが現状でした。ですので、認可保育園の加配枠(※)には「まずは入れないと思って下さい。」と市役所の職員の方から伝えられ、ショックを受ける始末。※加配枠:障害のある子ども一人、もしくは二人に一人の先生がついてくれる枠(自治体によって人数や体制などは違います)そして私立保育園も障害があっても入れるかどうか片っ端から電話で聞いてまわったのですが、ほぼ全滅。唯一、一駅先の私立保育園だけがきいちゃんを受け入れると言ってくれました。遠いけど、ここに申し込んで受かったら通うしかないと思っていた矢先ー…ダメ元で申し込んでいた認可保育園の加配枠に通ったと市役所から連絡がーー……!!これにはビックリしました。絶対に入れないと諦めていた認可保育園にまさか通ったなんてーー……!!夫と一緒に喜んだのもつかの間、その通った保育園はうちからとても遠いことが分かりました。認可保育園の申し込みの時期は私が出産直後だったこともあり、代わりに夫が申し込みに行ってくれたのですが、なんでも希望の園を書く欄にめいいっぱい(15園くらい?)、とにかく書けるだけ書いたらしいのです。その一番最後に書いた希望の園になんと今回、通ったらしいのです。私がその園の名前を見た瞬間、口から思わず出てしまった言葉は「え……?どこ…!?」でした…。Upload By 星きのこ認可保育園と私立保育園…どちらを選択する?電車も通っておらず、移動手段は駅まで歩いて行ってそこからバスか、自転車でなら行ける距離。夫も私も正直、仕事をしながらそこに毎日、往復で通うのはかなりキツイです。雨の日なんて想像したらゾッとします…。でも…それでも認可保育園に入れたのは奇跡としか言いようがないことです。今思えば、たまたまタイミングが合ったということと(加配枠はそれぞれ園によって何名までと決まっているので、卒園児が出ないと入れない)、きいちゃんが0歳のときに申し込んだので競争率が多少なりとも下がっていたのかもしれません(私の周りの同じダウン症のあるお子さんを持つ親御さんは、園に入れるのは1~2歳を過ぎてからという方が多い印象でした)。そして、ここに通うしかないと思っていた私立保育園も、やはり激戦だろうということは予想でき、必ずそこに行けるという保証はないのです。せっかく通った認可保育園を「家から遠いから」という理由だけで断ったら、次はいつ通るのか、いや、ずっと通らない可能性もあり得ます。そうやって考えていくと、残された選択は一つしかありません。「せっかく通った認可保育園に通うしかない!!」です。Upload By 星きのこ保育園にきいちゃんが通えるということは、私が仕事復帰できるということ以外にも、きいちゃん自身にとってもプラスになることがたくさんあると思いました。保育園だけではなく、幼稚園、療育園にも言えることですが、集団の中に入ることはそれ自体が子どもの療育にとてもいいと言われています。障害があってもなくても子ども同士だからこそ学び合うことは多いはずです。Upload By 星きのこ保活問題を振り返って、今思うこと私が妊娠中に保活し、夢見ていた保育園とは全く違う選択や展開になりましたが、今振り返ってみてもこれがあのときのベストな道だったと思います。そうやって長かった私の保活問題は終止符が打たれました。その後、きいちゃんは保育園で刺激を受け6年間でたくさんの成長をしていきました。しかし、その遠さから保育園に通うのがあまりにも大変だったことや、きいちゃんが当時心臓病が原因で肺炎を繰り返し、ほとんど保育園に通えず、保育園を辞めなければいけないかもしれない危機に陥ったりといろいろと大変なことは続いたのですが、またこのことは違う機会に書ければと思います。執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)全ての保育園で障害の区別なく受け入れてくれる世の中が理想です。保育士は学校で「小児科学」という講義を受け、ダウン症に関する知識もそこで学びます。しかし、障害がある子どもの保育を実際に行う際には、より深く掘り下げた知見が必要になるでしょう。そして、各県に障害児専門にみてくれる療育園がありますが、医療と連携しているところがまだまだ少ないのも現実です。障害児の療育や教育には、医療・教育・保健・福祉という連携がとても重要なのです。これらが一堂に集まって最新の知識を共有し、さまざまな問題点を解決していけるように各自治体が現場の声を聴く必要があるのです。
2022年10月15日東京文化会館、11月19日(土)に「リラックス・パフォーマンス~世代、障害をこえて楽しめるコンサート~」開催Upload By 発達ナビニュース東京文化会館は2022年11月19日(土)に「リラックス・パフォーマンス〜世代、障害をこえて楽しめるコンサート〜」を開催します。「リラックス relaxed」とは“寛容な”という意味。「リラックス・パフォーマンス」は、障害の有無や年齢などにかかわらず、あらゆる人が安心して音楽を楽しめる公演です。聴覚障害のある方、発達障害があり劇場や音楽ホールでの音楽鑑賞に不安がある方、小さなお子さん(4歳以上)、そのほか「クラシック音楽公演は鑑賞マナーが厳しくて行きにくい」と思っている方でも安心して鑑賞できる公演です。リラックス・パフォーマンスには、以下のような特徴があります。●客席の照明を完全に暗くしません。●上演中に休憩が必要になった場合は、客席外に出ることができます。●公演の約3週間前に、プログラムとご家族・介助者のためのガイドをウェブサイトに公開します。●聴覚障害のある方も楽しめるよう、ヒアリングループ席や身体で音楽を感じられる体感音響席があります。これまで劇場や音楽ホールでの音楽鑑賞には不安があった方も、このコンサートでは、安心してプロの音楽演奏を楽しむことができます。この機会に親子や友人どうしなどで参加してみるのもおすすめです。※クリックすると発達ナビのサイトから東京文化会館の公式サイトに遷移します<詳細>日時:2022年11月19日(土)14:00~15:00(13:15開場)※休憩なし場所:東京文化会館 小ホール対象:4歳以上の方料金:指定1,100円(車椅子席、車椅子移乗席、体感音響席、ヒアリングループ席〈受信機貸出あり/貸出なし〉あり)●体感音響席振動を身体に伝える体感音響システム「ボディソニック」が使用されており、難聴の方は、ヘッドフォンやヒアリングループ(磁気ループ)からの音と一緒に全身で音楽を楽しむことができます(ろうの方は、振動によって音楽を楽しむことができます)。●ヒアリングループ席「ヒアリングループ」(「磁気誘導ループ」、「磁気ループ」とも呼ばれます)を用いると、マイクを通した音声を直接補聴器や人工内耳へ伝えることができ、声や音楽をクリアに聞くことができます。ループの音は補聴器や人工内耳のTモード、または専用受信機で聞くことができます。主催:東京都/公益財団法人東京都歴史文化財団 東京文化会館特別協力:パイオニア株式会社申込はこちらから※クリックするとチケットぴあの購入ページに遷移します【発達ナビ×フェリシモ CCP】発達ナビユーザーの声からコラボ商品開発進行中!過去大人気商品のリニューアル発売もUpload By 発達ナビニュース発達ナビとフェリシモCCPがコラボし、困りごとをサポートする商品づくり第4弾がスタートしました。200名以上の発達ナビユーザーの方から回答いただいたアンケートの内容から、『バッグインウォレット』と『透ける収納ボックス』の2アイテムの販売が予定されています。『バッグインウォレット』は中身が見やすいお出かけ用バッグで、じゃばらポケットやループ、マチ付きポケットがついており、収納がしやすくなっています。また『透ける収納ボックス』は、名前の通り中身が透けて見える収納ボックスで、間仕切りが調整できる、薬袋が立てて入れられる、などの工夫が施されています。また、新商品開発に伴い、これまでに販売した商品の中で、特に大人気だった2アイテム、『ポケットの中が見えるメッシュリュックインナー』と『タスクチェッカー』のリニューアル発売が決定しました。便利なツールを使用する、などの環境調整により、発達障害特性による苦手なこと、難しいことは軽減されることもあります。今回ご紹介したような商品を使用することで、日常生活の困りごとが少しでも改善されるかもしれません。※クリックすると発達ナビのサイトからフェリシモCCPのオンラインストアに遷移します。活字の読み上げを行う視覚支援デバイス『OrCam Read(オーカムリード)』販売開始Upload By 発達ナビニュースオーカムテクノロジーズは9月1日に新商品「OrCam Read(オーカムリード)」を発売しました。「オーカムリード」とは、高齢の方、学習障害(ディスレクシア等)のある方、視覚障害のある方など、文字を読むことに困難のある方々のために、活字の読み上げを行う視覚支援デバイスです。レーザーを当てることで、新聞、本、ディスプレイ、レストランメニューなどあらゆる活字を、瞬時に読み上げることができます。オーカムリードには以下のような特徴があります。●インターネット環境が不要●有線イヤホン、Bluetoothイヤホンとの接続が可能●日本語と英語の2言語の読み上げが可能(翻訳不可)●撮影したテキストの中から、知りたい情報だけを抽出して読み上げる「スマートリーディング機能」搭載●44.5グラムのコンパクト・軽量設計。図書館や自治体などでも導入が検討されているほか、日本語と英語を読み上げることが可能なので語学教育分野での活用も期待されています。文字を読むことに困難がある方々は、こうした商品を活用することで、日常生活の不便さが改善されるかもしれません。※クリックすると発達ナビのサイトから「オーカムテクノロジーズ」の公式サイトへ遷移しますヘラルボニー、10月19日~阪急うめだ本店にて原画展やアートプロダクトが楽しめる「ヘラルボニーアートコレクション」を開催Upload By 発達ナビニュース「異彩を、 放て。」をミッションに、 福祉を起点に新たな文化の創出を目指す福祉実験ユニット、ヘラルボニーが、2022年10月19日(水)~10月31日(月)の期間、阪急うめだ本店9階祝祭広場にて、「へラルボニーアートコレクションーー異彩と出会う、新たな感動。ーー 」を開催します。ヘラルボニーは、主に知的障害のある作家とアートライセンス契約を結び、さまざまな事業を展開し、作品を通して社会実装を進めています。今回のイベントでは、関西在住の作家を中心とする原画の展示のほか、アートライフスタイルブランド「HERALBONY」の出店、「アートクルーズイベント」などの関連プログラムが複数開催されます。大阪初出店となるヘラルボニーのイベントに足を運び、力強く自由なアートの世界を堪能してみるのはいかがでしょうか。<詳細>タイトル:「へラルボニーアートコレクションーー 異彩と出会う、新たな感動。ーー」期間:2022年10月19日(水)〜2022年10月31日(月)場所:阪急うめだ本店 9階祝祭広場内容:・原画展 「HERALBONY GALLERY in Hankyu」・作家アトリエスペース「異彩衣笠泰介のアトリエ・HERALBONY(ファッション・インテリア)POP UP出店・スペシャルコラボレーション(ファッション)POP UP出店・そのほか、会期中毎日、会場をめぐる「アートクルーズ」が開催されます。(10/29(土)は手話通訳付きでの開催予定)■ヘラルボニー両代表の松田崇弥氏・松田文登氏がガイドを務める「アートクルーズ スペシャル」日時:2022年10月19日(水)11:00-11:30 / 16:00-16:30場所:阪急うめだ本店 9階祝祭広場参加費:無料■公開アート制作「異彩 衣笠泰介のアトリエ」日時:2022年10月19日(水)13:30〜 アトリエ制作活動開始(終了時間未定)場所:阪急うめだ本店 9階祝祭広場 「異彩 衣笠泰介のアトリエ」ゲスト:京都市の「ギャラーミラクル」で活動する作家・衣笠泰介氏※10/20(木)以降、月・水・土・日制作予定( 時間未定)国連障害者権利委員会、日本政府に対し「障害児の分離教育」の中止を要請2022年8月、スイス・ジュネーブの国連本部にて、日本政府は「障害者の権利に関する条約」に関する審査を受けました。これを踏まえ、9月9日に国連の障害者権利委員会は日本政府に総括所見(勧告)を出し「特別支援教育により、障害児は分離され、通常の教育を受けにくくなっている」ことから、特別支援教育の中止を日本政府に要求し、「すべての障害のある児童生徒が、すべての教育レベルで合理的配慮や個別の支援を受けられるよう」国家的な行動計画を採用することを求めました。障害者権利条約は、障害がある人の権利を保障するための条約であり、2006年に国連が採択、日本は2014年批准しました。条約締約国は、定期的に条約の内容に反していないか審査を受ける必要があり、日本は今回、2014年の批准以降、初めて審査を受けました。審査は通常、障害者権利委員会の質問に政府が回答する形式で行われるのに加え、当事者の声を反映するため「別枠」が設けられています。今回日本からは審査に際して、当事者約100名が渡航し、障害者教育を取り巻く日本の現状について訴えました。国内でも現在、さまざまな意見が交わされています。日本の教育制度は、一学級あたりの生徒数が多く、教師の数が少ないなど、さまざまな課題があります。この勧告を機に今一度既存の教育制度全体を見直す必要があるのかもしれません。国連障害者権利委員会からの総括所見(勧告)はこちらからご確認ください。知的障害のある人の自立のためのコインケース『ニコニコイン』株式会社夢育て&NPO法人ユメソダテが販売開始Upload By 発達ナビニュース「数字として金額の大小」は分かるのに、「硬貨の種類・枚数の情報」を数字に変換することが難しく買い物ができない。知的障害のある人の中には、このように「自分でお金を扱うことができない」という困りごとを抱えている人がいます。こうした困りごとを解消するために、2021年から、株式会社夢育て&NPO法人ユメソダテで開発が進められていた『知的障害のある人の自立のためのコインケース』の販売がスタートしました。コインケースは、横から見ると笑顔に見えることから、「ニコニコイン」と名づけられました。左から百の位、十の位、一の位と硬貨を並べられるため、硬貨の種類・枚数が視覚的に分かりやすく、金額への変換がしやすいという特徴があります。障害のある方だけでなく、小さなお子さん、高齢者、視覚障害のある方、などさまざまな方にとって使いやすいコインケースになっています。※クリックすると発達ナビのサイトから株式会社夢育て&NPO法人ユメソダテのオンラインストアに遷移しますニコニコインの使用方法はこちらからご確認いただけます。※クリックすると発達ナビのサイトからNPO法人ユメソダテの公式YouTube動画「ニコニコイン」に遷移しますまた、株式会社夢育て&NPO法人ユメソダテでは、実際にニコニコインを使っている様子を撮影した動画を募集しています。詳細はこちらからご確認ください。※クリックすると発達ナビのサイトからREADYFORのサイトに遷移しますLITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年10月14日嗅覚や味覚の過敏さから、学校生活や学習に困難を感じている子どもは多くいる?ノートが上手く取れない、計算や漢字の書き取りが不得手、授業に集中できない…など、子どもの学習に関連する困りごとは、「限局性学習症(学習障害・LD)」が原因なのではないかと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、限局性学習症がなくても、嗅覚や味覚の過敏さなどの感覚過敏の特性やそのほかの発達障害の特性から学習に困難を感じている子どもも多くいると考えられています。特定の領域の学習ができない限局性学習症とは異なり、環境に左右される原因によって学習困難が起こることがあります。このコラムでは「嗅覚や味覚に過敏さがある子どもの学習の悩み」について、原因や対応策などを解説します。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホン嗅覚、味覚の過敏さがあることで起こる学習の悩み学校の教室はさまざまな活動をする場なので、多様なにおいがあります。例えば、チョーク、古い本、床のワックス、給食、栽培・飼育しているものなど、さまざまなにおいがあるために、嗅覚過敏がある人にとって学校は苦手なにおいに遭遇する可能性の高い環境です。また、それらのにおいが混ざり合って空間特有のにおいとなる場合もあります。嗅覚過敏のある子どもは、こういった特有のにおいによって活動に支障をきたすことも多いです(例:理科室のにおいが苦手で、部屋に入れないなど)。解決策:マスクをすることでも、ある程度においを隠すことができます。また、好きな香りつきのタオルを巻いたりすることも良いでしょう。また、授業ではありませんが、特定の味やにおいに対して過敏さがあり、給食がつらくて食べられないというケースもあります。食物アレルギーだけでなく、においや食感、温度、見た目などさまざまな感覚に対する過敏さによっても、食べられないものが多くなります。完食しないとペナルティが課せられるような場合は、給食がストレスとなって体調を崩す可能性もあります。解決策:給食は無理をせず、食べられるものだけでよいというルールにできるように相談してみましょう。食器やカトラリーの感触が苦手という場合もあるかもしれません。いずれにしても、無理をさせずに本人がどうしたいのか要望を聞いてあげるようにしてください。嗅覚過敏については、学校以外の場所であれば、ガムをかむことなども有効です。
2022年10月13日4歳10ヶ月次男、なかなかトイレトレーニングが進まない…!Upload By taekoなかなかトイレトレーニングが進まない発達グレーゾーンの次男、ふー。4歳10ヶ月になり、保育園のクラスメイトはほとんどオムツを卒業しています。兄のミミは4歳6ヶ月でオムツが取れたのでついつい比べてしまい…。「そのときが来たら早そう」「本人の気持ちに任せましょう」と周りは言ってくれているけれど、かたくなにトイレもトレーニングパンツもおまるも嫌がるふーを見ているとそんな優しい言葉も気休めにしか聞こえなくなってきていて…。いつになったらふーはオムツが取れるの?小学校までには取れる?とふーのことを信じてあげなきゃと思う一方で途方に暮れてしまう瞬間もありました。Upload By taeko8月のある休日…なんとおまるで成功!?8月のある休日。テレビで動画を見ていたふーに、おまるに座ることを勧めるとそのまま座ってくれました。しばらく様子を見ていると………なんと「出た!」とふーの報告が!たくさん褒めてあげた…と言いたいところですが、ふーは過度に褒めると逆に嫌がってしまうので、気持ちを抑えて「やったじゃん!」と声をかけました。そして今がチャンス!とばかりにふーにご褒美を買ってあげました。ご褒美に大喜びのふー。次の目標として「おまるで5回できたらまたご褒美を買ってあげるよ」と約束をするとなんと翌日にはクリア!ふーはガチャガチャをゲットして満足そうでした。Upload By taekoその翌日、兄のミミがなんとコロナに感染。ふーも濃厚接触者として保育園を休むことに。私も夫も在宅で仕事をしているので「この間にもトイレトレーニングが進められる!」とプラスにとらえるようにしました。仕事中におまるや濡れたトレーニングパンツを洗ったり…なかなか仕事には集中できないけれど、ふーのトイレトレーニングは確実に進んでいきました。しかし1週間後、今度はふーがコロナに感染。3日間まともに食事ができずに日中もおむつに戻ってしまいました。熱は下がっても気持ちは沈んだままなのか、起きるとシクシク泣いていてかわいそうでしたが、4日目くらいからはすっかり元気に。日中のトレーニングパンツも復活しました(うんちと寝るときだけはおむつを履かせていました)。Upload By taekoその後おまるからトイレにもスムーズに移行でき、1人で行くことができるまでに急成長!寝るときはまだまだオムツだけど、日中はトイレに行けるようになり私の気持ちはとってもラクになりました。保育園でも「トイレに行けたよ!」とうれしそうに話してくれて成長を感じました。ふー、頑張ったね!Upload By taeko執筆/taeko(監修:藤井先生より)トイレトレーニングの相談は外来でもよくされます。「そのときが来たら」「本人の気持ちに任せましょう」という言葉に、途方に暮れていたtaekoさんでしたが、結果的には、ふーさんの気持ちに任せて、そのときが来たら、トイレトレーニングは進みましたね。その背景には、過度に褒めずにサラリと声かけして褒めたり、ふーさんが喜ぶご褒美をあげるなど、ふーさんのタイミングに合わせたtaekoさんのサポートがあったのですね。taekoさんも、ふーさんも頑張りましたね。
2022年10月13日発達障害があるお子さんの保護者や支援者へのメッセージ集今回は、「こころとそだちのクリニックむすびめ」院長を務める精神科医の田中康雄先生のコラムをまとめてご紹介します。これまで執筆いただいたコラムでは、田中先生が考える精神科医の仕事の役割や、お子さんに発達障害の診断名をつけることより大事にしていること、思春期のお子さんとの関わりのポイント、登園・登校渋りへの対応など、幅広いテーマで保護者や支援者のみなさんへの思いを綴っていただいています。発達障害の特性があるお子さんとその家族、関係者と、つながり合い、支え合い、認め合うことを大切にした治療・支援を実践されている田中先生の言葉は力強く、そして温かい眼差しが感じられます。ぜひ、ご一読ください。日々、発達障害のあるお子さんと保護者の方の言葉や思いを受け止めている田中先生。保護者の方には、「よく、ここまでそだてましたね」「この子に上手に寄り添っていますね」「この子も安心していることでしょうね」「お疲れさまです。ちょっと休んでよいかと思います」…いくら言葉にしても足りないくらいであると言います。田中先生は、診察室で「子どもの発達の診立て」を行いながら、同時にわが子の育ちを心配する親や家族の思いも診立てていくと言います。それは、向き合っているのが「発達障害」ではなく、多彩な個性の持ち主である一人ひとりの子どもであり、家族であるからです。思春期のお子さんがSNSやオンラインゲームにはまったり、部屋にこもりがちになって口をきいてくれない…そんなお悩みのある保護者の方も多いかもしれません。田中先生は、思春期は親子の関係が、「上下の関係」から「水平の関係」に近くなると言います。発達が気になるお子さんについて、精神科に相談に行きたいけれど、様子がよく分からないから躊躇してしまうという声がよく聞かれます。この記事では、田中先生に、「そもそも精神科ではなにをしてくれるの?」という疑問に答えていただいています。発達の気になるお子さんが、「発達障害である」と診断されると、少なからずショックを受ける保護者の方も多いかもしれません。そのような場合、田中先生はどのように保護者の方に寄り添い、多職種の専門家の方との連携を大切にしているのでしょうか。長期休暇明けは、お子さんの心身に影響が出やすい時期であると言われています。田中先生のご経験から、お子さんが園や学校へ行きたくないときによくあるSOSの例や、保護者の方へのメッセージをお届けします。発達が気になるお子さんの保護者の方にとって大きな悩みの一つが、お子さんの将来のことかもしれません。「親が先に死にます。その後、誰がこの子を守ってくれるというのですか」という親の言葉を受け止め、孤立無縁な状態から抜け出してほしいと願う田中先生の言葉をお届けします。
2022年10月12日カサンドラ症候群になりやすい人は?治療や対処法などあるの?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンカサンドラ症候群になりやすい人は?カサンドラ症候群とは、家族や身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)があることでコミュニケーションを築くことが難しく、対人関係の問題や心身の不調が生じている状態のことです。※カサンドラ症候群は世界的に広く用いられている精神疾患の診断基準『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)には記載がなく、医学的な疾患名ではありません。カサンドラ症候群になりやすい人は、性格的に、真面目、几帳面、完璧主義、忍耐強い、面倒見が良いなどの事例が多いようです。自閉スペクトラム症(ASD)の発現は男性に多いため、パートナーとなる女性側にカサンドラ症候群の発生割合が高いといわれていますが、必ずしも女性だけがカサンドラ症候群になるとは限りません。自閉スペクトラム症(ASD)のある家族が、社会性に欠けた言動をしたとしても、怒ったり放り出したりせず我慢し受け入れようとする忍耐強さがうまく機能せず、偏った関係性が固定化して、カサンドラ症候群へと進行してしまうことがあります。カサンドラ症候群の治療や対処法はあるの?カサンドラ症候群の治療法として、まずは症状として現れている抑うつ症状や不安障害について、薬物療法や認知行動療法などによるアプローチをすることが可能です。ただ、あくまで対症療法です。自閉スペクトラム症(ASD)のある家族や友人との関係性の改善や変化を目指さなければ、根本的な解決にはつながりません。まずは、パートナー同士や家族で孤立しないこと、カサンドラ症候群のある人は相談先を持つことが肝心です。・家族や友人に自閉スペクトラム症(ASD)の診断を強要しない自閉スペクトラム症(ASD)のある人は社会的に適応していることも多く、自身の特性に気づいていない場合もあります。そういった際に、無理に医療機関での受診をすすめると、本人の気持ちを傷つけてしまい、関係がこじれることもあるかもしれません。診断を検討する場合は、特性や症状について話し合ったり、理解している段階を経た上で医療機関に行くようにしましょう。・自閉スペクトラム症(ASD)の特性や対応方法について知る自閉スペクトラム症(ASD)の特性について書籍や情報サイトなどで調べてみましょう。自閉スペクトラム症(ASD)のある人が苦手だったりつらくなったりするきっかけやこだわりへの理解を深めることで、環境調整や自閉スペクトラム症(ASD)のある人が理解しやすいコミュニケーションを行う際に役立ちます。ただ、特性について学んだ知識を自閉スペクトラム症(ASD)のある人に押し付けると、反発を招くことがあります。特性はその人それぞれなので、その人に合った対応方法を取るようにしましょう。・行動の理由を相互理解し、生活上のルールを決めるお互いに話し合いながら行動の理由を教え合い、相手の行動に関する理解を深めます。また、生活の上での決め事、ルールをつくることで相手の意見を尊重することにつながります。・距離を置くことや関係性を変える、相談できる第三者とのつながりをつくる家の中にお互いの個別スペースを持つなど、住環境の変更など物理的な接触回数を減らしてみることも、関係性を変えるきっかけをつくる一つの方法です。また、親子の場合も含めて、発達障害の相談機関のカウンセラーや、主治医など相談にのってもらえる第三者を入れての話し合いをすることなども有効かもしれません。お互いに理解していくための一歩をカサンドラ症候群には医学的な疾患名でないこともあり、自分と自閉スペクトラム症(ASD)がある人との間の個人的な問題であると捉えられて理解が得られず、一人で悩みやつらさを抱え込む方も多いようです。もし、抱えている悩みやつらさがあったら、自閉スペクトラム症(ASD)への理解や知見のある発達障害者支援センターや、発達障害専門外来を持つ精神科などの専門機関に相談してみるとよいでしょう。また、全国にはカサンドラ症候群当事者による自助グループもあり、相談や共感を得ることで、治療につながる例もあるため自分に合う場を探してみるのもよいかもしれません。カサンドラ症候群は、どちらか一方が悪い、どちらか一方が正しいというものではないため、自分や相手を責めたり背負いすぎず、お互いに理解しあうための一歩を踏み出してみましょう。イラスト/taeko
2022年10月11日カサンドラ症候群とは?どんな症状なの?原因は?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンカサンドラ症候群とは?カサンドラ症候群とは、家族や友人などの身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)があることでコミュニケーションが難しく、対立や人間関係での満足感の低下、心的ストレスから不安障害や抑うつ状態に陥っている、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの心身症状が起きている状態を指す言葉です。特に妻や夫といったパートナーに起こる場合が多いといわれていますが、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもを育てる親がカサンドラ症候群になる場合もあります。なお、世界的に広く用いられている精神疾患の診断基準『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)には記載がなく、医学的な疾患名ではありません。カサンドラ症候群以外にも、「カサンドラ情動剥奪障害」「カサンドラ状態」などと表現されることもあります。カサンドラ症候群の症状自閉スペクトラム症(ASD)やカサンドラ症候群に関する研究が多くある英国の心理療法家マクシーン・アストンによると、カサンドラ症候群には以下の要素があるとされています。・少なくともいずれかの家族に、自閉スペクトラム症(ASD)特性などによる、共感性や情緒的表現の障害がある・ 家族との関係において情緒的交流の乏しさを起因とした激しい対立関係、精神または身体の虐待、人間関係の満足感の低下がある・精神的もしくは身体的な不調、症状(自己評価の低下、抑うつ状態、罪悪感、不安障害、不眠症、PTSD、体重の増減など)がある参考書籍:アスペルガーのパートナーと暮らすあなたへ:親密な関係を保ちながら生きていくためのガイドブックさらに、カサンドラ症候群の命名者シャピラの定義では、ここに「その事実を他の人に伝えても理解をしてもらえない、信じてもらえないこと」が加わります。カサンドラ症候群の原因カサンドラ症候群を引き起こす発端には、身近な人の自閉スペクトラム症(ASD)の特性によるトラブルがあるといえます。では一体、カサンドラ症候群の発端となる自閉スペクトラム症(ASD)の特性とはどのようなものなのでしょうか。自閉スペクトラム症(ASD)には「社会性と対人関係・コミュニケーションの困難」「行動や興味の偏り」といった特徴があるといわれています。表面上は問題なく会話できるのですが、その会話の裏側や行間を読むことが苦手です。明確な言葉がないと理解がむずかしく、比喩表現などをそのままの意味で鵜呑みにしてしまう傾向があるため、人の言葉を勘違いしやすく、傷つきやすい面があります。具体的な例としては、曖昧な表現が苦手だったり、不適切な表現を使ってしまうことなどがあります。また、場の空気を読むことに困難さがあり、相手の気持ちを理解したり、それに寄り添った言動が苦手な傾向にあります。そのため、社会的なルールやその場の雰囲気を無視をしたような言動になりがちで、対人関係を上手に築くのが難しい場合がみられます。具体的な例としては、気持ちの理解が苦手なことで相手を傷つけたり、自己中心的と思われる言動や行動をしてしまうことなどがあります。いったん興味を持つと過剰といえるほど熱中する傾向があります。法則性や規則性のあるものを好み、異常なほどのこだわりを見せることもあり、その法則や規則が崩れることを極端に嫌う傾向があります。一方、この特性は逆に強みとして活かすこともできます。具体的な例としては、自分のルールがあったり、興味のあることに対して話し続けてしまうことなどがあります。周囲の人たちは、自閉スペクトラム症(ASD)の特性だと分かっていても、自閉スペクトラム症(ASD)のある人と接していくうちに、うまくコミュニケーションがとれないことに自信をなくしてしまったり、周囲に相談しても理解をしてもらえず、孤独を感じてしまう場合があります。特に、家族は毎日の生活の中で接する機会が多く、家族であればなおさら、心を通わせたいと思う気持ちは強いでしょう。それが難しいときストレスを感じるのは、ある意味当然のことかもしれません。その結果、体調不良や抑うつ状態に陥ってしまうことがあるのです。イラスト/taeko
2022年10月10日ゲーム感覚で楽しめる読み書き指導ーー『マンガでわかる読み書き指導: スモールステップで読めない、書けない子どもを伸ばす』「もしかして読み書きが苦手かもしれない」と思ったとき、どこに相談し、どのような支援をしていけばいいのでしょうか?この本では、読み書きに困難のある5歳のそらちゃんとそらちゃんのお母さんが、作業療法士の児玉先生による読み書き指導を通して少しずつ文字に対する苦手意識を克服していく様子が描かれており、作業療法士の視点から、読み書き困難のある子どもへの指導について分かりやすく紹介されています。文字の読み書きには、文字と音を結びつける、文字と意味を結びつける、文字の形を的確にとらえる、など子どもにとっては難しい要素がたくさん詰まっています。あいうえお表に沿って読み書きの練習をするのではなく、絵カードなどを用いて、語彙を豊かにする、図形を模写する力をつける、絵や音と文字を結びつけたり、文字の数や形、意味を認識する力をつける練習をするなど、読み書きに必要な基礎的な力をスモールステップで身につけていくことが重要です。大切なのは、文字に興味を持てるようにすること。この本では、読み書きが苦手な子どもの特性に合わせ、ゲーム感覚でできるトレーニング、お家でできるトレーニングもたくさん紹介されているので、遊び感覚で一緒に実践してみるのはいかがでしょうか。発達障害のある子どもたちの学校生活について考える、本田秀夫先生の新刊ーー『学校の中の発達障害 「多数派」「平均値」「友達」に合わせられない子どもたち 』発達障害のある子どもの特性を本人や家族がどんなに理解していたとしても、学校の中で多くの人の理解を得ることは難しい、そんな悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この本では、発達ナビにもご寄稿いただいている本田秀夫先生により「発達障害のある子どもの学校生活をサポートするコツ」が紹介されています。厳しい校則、授業を受ける際のルールなど、発達障害のある子どもたちは「学校の標準」に合わせることに苦労することもあります。発達障害のある子どもが安心して学校生活を送れるようにするために、親や先生ができることとは何か、また現在の教育に必要なことは何か、など、さまざまな視点から「発達障害と学校生活」について考えられる一冊になっています。また「子どもが教室を飛び出してしまったら?」「ほかの子どもをたたいてしまったら?」「子どもが宿題をやらないときは?」など学校生活で生じやすい困りごとについて、親ができること、先生ができること、協力してできることがそれぞれ紹介されています。集団生活、たくさんのルール…学校生活は発達障害のある子どもたちにとってハードルが高いことも多く、その過程でつまづいてしまうことも少なくないでしょう。子どもたちやその家族が「学校の標準」に合わせることができないことで悩まずに済むように、また多様な特性を持つ子どもたちがのびのびと学校生活を送れるようにするためには、どんな支援、工夫が必要なのでしょうか。発達障害のある子どもを持つ保護者の方だけでなく、発達障害のある子の支援に関わるさまざまな職業の方におすすめの一冊です。自閉スペクトラム症のあるスバルくんの成長記録ーー『スバルくんは 頭の中 全部言いたくてしょうがない: わが家のハッピーBOYは自閉スペクトラム症』この本では、自閉スペクトラム症のあるスバルくんのお母さん、星あかりさんが、子育ての中で発見したほのぼのエピソードを四コマ漫画で紹介しています。スバルくんは3歳のときに自閉スペクトラム症と診断されました。診断を受ける前のスバルくんの様子、また診断を受けてからの、幼稚園や特別支援学級での様子に至るまで、スバルくんとご家族の笑いあり、涙ありの日常がこと細かに描かれています。星あかりさんはスバルくんが自閉スペクトラム症と診断されてから、さまざまな本を読み自閉スペクトラム症について知識をつけようと奮闘しますが、結局得意なことや苦手なことは一人ひとり異なるのだから「一周まわってスバルはスバル」と受け止めます。発達障害、自閉スペクトラム症と一言で言っても、症状や特性は一人ひとり違います。発達障害のある子どもの子育てにおいては、大変なこともあるけれど、楽しいことや驚かされることもたくさんあるでしょう。誰かと比べるのではなく「この子はこの子」と、個々の子どもの特性に向き合いながら、一日一日を大切に過ごしていけるといいですね。自分の困りごととうまく付き合うには?ーー『特別な支援が必要な子たちの「自分研究」のススメ: 子どもの「当事者研究」の実践』発達障害などの特性があり、日常生活の中で困りごとを抱える子どもたちは、自分の特性を自覚していく過程で、「なんで自分だけできないの?」「自分は普通じゃない」と悩んでしまうこともあるそうです。成長するにつれて、自分の得意なこと、苦手なことを把握することが求められる場面も増えてきますし、困りごとに対する適切な対処方法を知らないと、「できないのは自分のせい」だと思い込み、自己肯定感がどんどん低くなってしまうことも考えられます。この本では、子どもたちが、自分で自分の困りごとを研究する「自分研究」について、実際の例と共に紹介されています。「泣き虫ゴースト」「ペラペラノドン」など自分の困りごとをキャラクターにして、それはどんなとき、どんな場面で表れるのか、どうすればそれを軽減することができるのか、どんな環境、道具があると安心できるのか、などについて、ほかの子どもたちからのアドバイスも踏まえながら、自分で研究します。子どもたちは「お守りをつくる」「ストップと書かれたカードをつくる」「運動する」など多様な対処方法を考えます。イヤだと感じること、苦手なこと、安心できること、落ち着けること…それらは一人ひとり異なります。自分の特性にしっかりと向き合うことで、苦手なこと、困っていることに対する自分なりの対処法を前もって考えておくことができ、「次にこういうことがあっても大丈夫」という安心感を得ることができるのではないでしょうか。児童養護施設や非行少年をテーマに境界知能について考えるーー『傷ついた子を救うためにマンガでわかる境界知能とグレーゾーンの子どもたち4』「もしも同僚が全員ノーベル賞をとっていたら、その中で仕事をしていくことができますか?」この本の主人公、大頭先生は、児童養護施設の職員からこう問われます。発達障害グレーゾーンの子どもや境界知能の子どもたちは、このように求められる「普通」のレベルが高すぎる、負担の大きい環境の中で生活しているとも考えられます。この本は、小学校の先生である大頭先生が、児童養護施設で暮らす生徒の家庭訪問にいく場面から始まります。児童養護施設にはさまざまな理由・背景で入所している子どもたちがいますが、約半数に被虐待経験があるといわれています。この本の中で、虐待を受けた子どもたちは「必要な時に必要なだけ、充電をさせてもらえない」「充電器が当てにならない」状態にあると表現されています。さらに本書では、同じ児童養護施設の卒業生キノシタくんが登場します。キノシタくんは母親からのネグレクトが原因で児童養護施設に入所します。キノシタくんは境界知能レベルにあることが分かっていましたが、適切な支援が行われず、次第に非行に走り、少年院に入ることになります。キノシタくんが非行に走る理由は、決して彼個人の問題だけではないはずです。どのような環境が彼を非行へと追い立てたのでしょうか。この本はベストセラー「ケーキの切れない非行少年たち」の著者である宮口幸治先生によって書かれました。「ケーキの切れない~」でもテーマとなっていた境界知能、グレーゾーンの子どもについて理解を深めるためのシリーズ第4弾がこの作品です。大頭先生と一緒に境界知能や発達障害グレーゾーンの子どもたちの困りごとについて学んでみましょう。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2022年10月09日