はじめにーー最近の研究と活動私は東京成徳大学で心理学を教え、特に学校心理学を研究しています。子どもの自立を促進する・促進しにくい親と子の関わり方の法則・「親と子が幸せになるXとYの法則」を発見し、教師と親が一体となって子どもを援助する“チーム援助”を提唱しています。子どもの気持ちを代弁しながら心理学研究の経験をもとに分かりやすく伝えられるようカウンセリング教育に携わり、“チーム援助”は広く学校現場で実践され始めています。最近では、LD、ADHD等の当事者団体の協力を得て援助方法を研究したり、夜尿症とADHDの疫学調査を学校と協働しながら行っています。小学生になっても続いたら治療の対象に?「おねしょ」というと皆さまはどのようなイメージをお持ちでしょうか。小学生になってもおねしょが続く場合に「おねしょは病気じゃない。子どもが根性を出せば治る」「親のしつけが悪いから治らない」など、このようなイメージをお持ちの方が少なからずいらっしゃると思います。これは間違いです。しかし、「おねしょは小学校を境に夜尿症ととらえられ治療の対象となる」ということを知っていらっしゃる方は少ないと思います。さらに、おねしょは発達障害のあるお子さんにはかなり高確率でみられるということもあまり知られていないことと思います。そこで今回は、おねしょについて理解を深めていただき「おねしょの知識を得ることで気持ちが軽くなり、何をどうしたらいいのか分かる」ことを目指してお伝えしたいと思います。おねしょで悩んでいらっしゃるお子さまやご家族の皆さまはもちろんですが、学校の先生方やスクールカウンセラーなど援助者の方々にもお役に立てたら幸いです。注意:このコンテンツは皆さま方への情報提供のみを目的とするものです。一般的な事項であり、すべてのお子さまに当てはまるものではありません。また、医学的状態やその治療に関する情報が一部記載されていますが、それらの情報は、医師の治療アドバイスの代わりになるものではありません。現在お困りの事象がある場合は、すみやかに病院に相談してください。Upload By 田村 節子生まれて2歳ごろまでの子どもは毎晩おねしょをしますが、その頻度は年齢とともに減っていきます。しかし、5~6歳以降でもおねしょが月に1回以上、3ヵ月続く場合は病気ととらえて、「夜尿症」と呼びます。一般に、ときどきおねしょをしてしまう程度の子どもの比率は、5~6歳で約20%、小学校低学年で約10%、10歳で約5%程度といわれており、成長とともに減少します。また、成人まで続くケースはまれです。発達障害のある子どもでは、発達障害のない子どもに比べて夜尿症の頻度が高いことが知られています。夜尿症との関連についての報告が多いのは注意欠如・多動性障害(ADHD)ですが、ADHDで夜尿症を合併する割合は20~30%に上ると報告されています[1]。カナダで行われた調査では、6歳児の夜尿症の割合は、ADHDのない子どもで7.8%、ADHDのある子どもで20.9%と、ADHDのある子どもの方が2.7倍多いことが示されています[2]。 おねしょ(夜尿症)の原因と発達障害との関係Upload By 田村 節子おねしょ(夜尿症)の原因は、「夜間に尿をためる膀胱のサイズが小さい」や「夜間につくられる尿の量が多い」ことと合わせて、「就寝中に膀胱に尿がたまったときの目覚めの悪さ」だと考えられています[3]。成長に伴って中枢神経機能やホルモン分泌が成熟すると、就寝中の膀胱のサイズが大きくなり、作られる尿の量も少なくなるように調整されるため、夜尿症は徐々に改善します。発達障害のある子どもでは中枢神経機能の発達遅延により尿意切迫や膀胱の過活動などの排泄機能の異常が生じやすいこと[1]、睡眠の質が悪く、成長期に成熟する成長ホルモンや抗利尿ホルモンの分泌の発達が遅延しやすいこと[4]、感触の鈍麻によって下着が濡れても気持ちが悪いと思わない、お漏らししたことに気付きにくいこと[5]などが報告されており、研究段階ではありますが夜尿症に関係する染色体が発達障害とも関連する(夜尿症に関連する染色体8、23、13、22番がADHDでも関与)ことから[1]、発達障害のある子どもは夜尿症になりやすく、高学年まで続くケースも多いと考えられています。夜尿症が子どもや家族に与える影響次に、夜尿症が発達障害のある子どもや家族に及ぼす影響についてです。夜尿症が高学年まで続き、修学旅行などの宿泊が伴うような共同行事が増えてくると、夜尿症は自尊心の低下や劣等感などの心理的ダメージの原因になります[3]。夜尿症は一般に「そのうち、よくなるだろう」とされがちですが[6]、発達障害のある子どもにとっては、発達障害の症状に加えて、夜尿症があることによる心理的ダメージが加わるため、軽視してはいけません[6]。また、夜尿症は発達障害の病態にも影響を及ぼすことが指摘されています。聴性脳幹反応(音を出して脳の活動状況を確認すること)では、夜尿症のみの児やADHDのみの児よりも、夜尿とADHDを併発している児においてもっとも強く反応しており、ADHDのある子どもに夜尿症が合併すると、中枢神経の感情反応が強まり、反抗的な行動をとるなど感情コントロールの悪化を招く可能性があります[7]。また、夜尿症を合併したADHDは夜尿症のないADHDよりも、不注意の度合いが強くなり、夜間覚醒や自分で朝目覚める能力が低下しやすくなる場合があることも分かっています[8]。Upload By 田村 節子こうしたことから、発達障害があるからこそ、夜尿症を積極的に治療する必要性があると考えています[6]。夜尿症は治療することが可能な疾患です。夜尿症を治療することで明るさと自信を取り戻し、発達障害への対処や治療にも取り組みやすくなります[6]。夜尿症は、子ども自身だけではなく、その家族、特に母親の心理状態にも大きな影響を与えます。子どもの夜尿が続くことで、日常のイライラ(デイリーハッスル)が蓄積し、感情的になり子どもを強く叱ってしまうことはありませんか。そして、そうした行動を起こしてしまったことを省みて、深く落ち込んだことはありませんか。子どもは夜尿をなかったことにしようという心理的な防衛機制が働くため、実際は落ち込んでいても平気な顔でとりつくろうとすることがありますが、デイリーハッスルが蓄積してしまった母親は、夜尿をしたのに平気な顔をしている子どもを見ると、夜尿を治す気がない、反省もしていない、親の言うことを聞かないと誤解し、やがて子どもを受容できないという嫌悪感をもってしまうリスクがあります。また、家族や祖父母から子どものしつけ方が悪いと言われてしまうと、より自責感も抱きやすくなります[9]。発達障害のあるお子さんの保護者は、いろいろな事象に加え夜尿があることで、より親の責任であるかのような錯覚に囚われ、悩みが深刻化することがあります。このような嫌悪感、自罰感、自責感は「母親失格」という負の心理的刻印[9]としてお母さんを傷つけています。このように、夜尿症と発達障害の両方があるご家族では、お子さんとその親の両方が負の感情を持ちやすく、お互いの負の感情が連鎖して、より深刻な状況を引き起こすこともあります。この負の感情の連鎖を断ち切るためにも、夜尿症と発達障害の特性(原因や対応法など)を理解することが重要です。Upload By 田村 節子次回は、夜尿症の治療/対策、家族や周囲の望ましい対応、病院のサポートの受け方についてご紹介します。Upload By 田村 節子東京成徳大学応用心理学部臨床心理学科教授。東京成徳大学大学院心理・教育相談センター長。学校心理士スーパーバイザー。公認心理師・臨床心理士。学校心理学に基づく研究、および実践の専門家。現在、家庭、教育、医療との連携について夜尿や発達障害の子どもに焦点をあてて研究と実践を行っている。【引用文献】1. 石崎優子. 夜尿症研究 . 2011; 16: 11-152. Robson WL, et al. South Med J. 1997; 90: 503-505 夏苅郁子. 児童青年精神医学とその近接領域. 2008; 49: 336-3534. 夏苅郁子. 夜尿症研究. 2011; 16: 63-665. 平谷美智夫. チャイルド ヘルス. 2011; 14: 1333-13366. 大野友子. 小児看護. 2007; 30: 112-1157. Equit M, et al. Acta Paediatr. 2014; 103: 868-878 Elia J, et al. J Pediatr. 2009; 155: 239-244 田村節子. 小児科臨床. 2016; 69: 1263-127110. 田中幸代. 大阪小児科学会誌. 2011; 28: 1211. 池田裕一. 特別支援教育研究. 2016; 16: 29-3112. 石崎優子. 外来小児科. 2013; 16: 364-367
2020年04月06日電話でもいい?PCがないとできない?施設側も保護者さまも初めてだらけの「オンライン支援」を解説新型コロナウイルスの影響は、世界的にも大きくなってきています。日本でも、感染防止のための休校措置が長期化する地域が出てきています。そのような状況で、放課後等デイサービスの利用を控えるご家庭もあるなか、感染の不安なく必要な支援につながれる施策のひとつととして「オンライン支援」が可能となっています。2020年4月2日の厚労省通達でも改めて、通所が前提となる支援以外の選択肢である「オンライン支援」実施について、各エリアの感染拡大状況に応じて自治体と放課後等デイサービス双方への柔軟な対応を求める内容が記載されました。通達には児童発達支援事業も対象である旨も明記されています。お子さま、職員双方の安全と安心を守りながら、支援を途切れさせない手段としての「オンライン支援」。どのような支援の形が必要とされているのでしょうか。発達ナビでは、1、自治体承認と保護者さまからの依頼でできる放デイ・児発の「オンライン支援」2、厚労省通達の「オンライン支援」で認められている支援内容は?3、必ず必要な「自治体確認」――その手順を、実施した自治体含めて解説という項目で、支援実績になる要件、オンラインでする支援内容、実際に実施している自治体など初めての試みに対して、実施するまでのフローや自治体への確認事項、施設側、保護者さま側で大切にしたいポイントなどをまとめたコラムを発達支援施設向け特設サイトにてリリースしました。発達支援施設向け新型コロナウイルス関連情報サイトはコチラ
2020年04月06日大人だって動きたくない日もある!のんびり室内遊びUpload By 丸山さとこ家の中で1日子どもと過ごす日が続くと、「おかーさん!」「なんかヒマ…」「何したらいい?」「何かすることある?」の猛攻を受けがちな私ですが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。前回は体を使う遊びを兼ねたトレーニングを紹介しましたが、今回は“体を使わず、のんびりしながらできる室内遊び”について書いていきます。実験や工作、お絵かきやテレビゲームなど、子どもと行う“体を使わない室内遊び”は色々ありますが、それらの遊びは「子どもに合わせる」内容になりがちです。たまには母親である私の好きな遊びにも付き合っていただきたい!ということで、今回は実際に我が家で行われている「私が好きな遊び」をする私とコウの様子を書いていきます。上の句 下の句ゲームUpload By 丸山さとこ私とコウのどちらかがまず“上の句”を詠み、もう一方が“下の句”を詠むだけのゲームです。実際にあったことを詠んでもいいし、全く架空のことを詠んでもいいので自由度は高く、大喜利的な感じで楽しめます。暇な時にストックしておいた川柳や無季俳句を渡しておくと、親の休憩時間が稼げます。一見“頭を使う高尚な遊び”のようにも思える、この「上の句 下の句ゲーム」ですが、字余り字足らずOK、季語はなし、大体文字数さえ当てはまっていれば成立してしまうゆるい遊びなので結構ゆるゆると遊べます。何なら、“全く字足らず・大幅に字余り”でも大丈夫。「全然七七になってないじゃーん!」と笑えば、それはそれで盛り上がったりします。Upload By 丸山さとこまた、このゲームの良いところは、子どもさえ許してくれるのであれば「親はゴロリと横になったままで行えるゲーム」だということです!私は血圧が低く貧血もあるためなのか、どうしようもなく体を起こしていることが辛い時が珍しくありません。「これは…体を使った遊びどころかゲームやお絵かきだって辛いぞ…」という状態でも、横になったまま口頭だけで行える遊びはかなり助かります。「今はそういう気分じゃないんだよねー。」とコウが乗り気じゃない時も、「ごめんね、今起きてるの辛いから、横になってできる遊びしかできないんだよね。」と言うことができます。とにかく構って欲しい時なら「じゃぁ3回だけやる!」となりますし、運(?)がよければ「じゃあいいや、仕方ないから図鑑の模写するー。」とひとり遊びを始めてもらえます。相手の駒をはさんで取る“はさみ将棋”コウは夫と時々将棋を指します。私も基本のルールだけは覚えているのですが、もっと気楽にできる遊びの方が好きなので、コウとは主に“はさみ将棋”をしています。親の関わり度は高い遊びですが、コウの手番の間はボーッとできるので結構らくちんです。Upload By 丸山さとこはさみ将棋はシンプルな遊びです。使う駒は“歩”だけで、一方が“歩”の面を、もう片方が歩を裏返した“と金”を使います。通常の将棋やオセロのように、一手ずつ交代で進めていきます。駒は縦横に好きなだけ動くことができますが、他の駒を飛び越えることはできません。縦か横に相手の駒を自駒ではさんだら、その駒を取ることができます。通常の将棋とは違い、取った駒を手駒として再配置して使うことはできません。多く駒を取った方が勝ちです。私とコウは「3駒先にとった方が勝ち」にしているのですが、それくらいが今のコウの集中力にとってちょうど良いゲームのボリュームになるようです。似たようなシステムのゲームにオセロがありますが、オセロよりもコウにとっては楽しみやすいところがあります。まず、「折角はさんで自分の色にした石が再び相手に取り返されるストレス」がありません。その結果、相手の一手で「積み上げてきた物が一気にムダになる」と感じることが少なくなるようです。Upload By 丸山さとこ取られた石を取り返したり一気に形勢逆転をしたりできるところがオセロの面白いところだと思うのですが、その結果“一手一手の良し悪しが分かるまでのタイムラグが大きくなる”ため、衝動性が強いコウにとっては戦略が組みづらく、考える面白さが半減してしまうようです。もちろん、はさみ将棋にも「目先の一手」が後々の損を生み出す展開はあるのですが、取られたコマが取られっぱなしになることで“どの手が後々の不利に影響したのか”が見えやすくなるようです。Upload By 丸山さとこまた、負けても「取れた駒の数」で善戦が見える辺りも、「ムダになった!全部台無しだ!」という気持ちを防いでくれるようです。親の側の一手の持ち時間を短くしたり、“待った”を数回使えるようにしたりすることでハンデを設けることもできます。オセロでは一度置いた石は動かすことができませんが、はさみ将棋では一度置いた駒もどんどん動かすことができます。私は、このシステムが特に面白いなと思います。衝動性の強いコウが甘い手を指してしまった時、「これ、大丈夫?お母さんはうれしいけど…?」などとヒントを与えることで、すぐに「今の手は間違っていたこと」に気付いた上で、次の手番になったらその駒を逃がすことができるのです。はさみ将棋で得られた副産物?Upload By 丸山さとこはさみ将棋によって得られた思わぬ副産物もありました。はさみ将棋をしばらく続けた後は、衝動性で動きかけた時に「ん?これしていいのかな?」と1拍置くようになったのです。これは多分、「目先の刺激や利益に飛びつくと即痛い目を見る」という経験が染み付いたことで、一時的に衝動性に“待て”がかかるようになったのだと思います。1拍置く間に考えるという行為は、「これをしたらどうなるのだろう?」と“行動の結果を予想する”ということです。はさみ将棋では、「自分のしたいこと」の為に「相手のしたいこと」を読まなくてはなりません。コウにとって頭から抜けやすい要素である「人の気持ちや考え」を読むことの良い練習になっているのかもしれません。未来の自分も、ある意味“(今の)自分ではない別の人”です。「今の僕は面倒くさいって思ってるけど、未来の僕は『あの時やっておけばよかった』って思うのかも…?」と考えることは、“見通し”にとって重要なことのひとつだと思います。Upload By 丸山さとこ喉元過ぎれば…なのか、1~2週間やらない時が続くと、“1拍置く習慣”はスーッと消えていってしまいます。今後定着することがあるのかどうかは分かりませんが、何かしら「1拍置かないと即座に(分かりやすく)損をする、リカバリーやリトライができる」遊びを探していきたいなと思います。とは言っても、コウは思春期も始まるであろう5年生。段々と親が用意したものにホイホイ乗る子どもではなくなっていくだろうと思います。今の内に経験した「分かりやすいレスポンス」の記憶が、どこかに残っていってくれるといいな、そしてできれば今後も良い経験に恵まれていくと良いな…と思いながら、今日も「ねーねーお母さん!」の嵐に揉まれています。Upload By 丸山さとこ
2020年04月03日発達障害に関する本が無料で読める!「発達障害啓発週間」に合わせたキャンペーンUpload By 発達ナビBOOKガイド翔泳社が出版する発達障害に関する電子ブックが無料で読める、昨年大好評だったキャンペーンが今年も開催されます。期間は4月2日から8日までの「発達障害啓発週間」の1週間。昨年の5冊から対象となる本を増やし、計7冊が期間中読み放題です。※ダウンロードすることはできません。ブラウザ上で、ネット環境があるところで読むことができます。※無料公開の利用にはSHOEISHA iDへの登録(無料)が必要です。7冊の対象書籍!学齢期〜大人まで、知りたい情報がいっぱい対象となるのは、翔泳社が出版する次の7冊。お子さんの生活や学習のサポートに活用できる本から、大人のお金の管理の問題を扱うものまで、実用的な内容の本が並びます。気になるものを電子ブックで読んでみて、日々活用したいものは購入してご家庭の本棚に入れてみてはいかがでしょうか。対象となる本の概要身だしなみやスケジュールの管理、性教育、家庭学習やゲーム...大人になるための準備がはじまる思春期のお子さんと接する中でうまれる課題について、療育や障害児・者支援に長年携わる著者が具体的な考え方や手立てを紹介しています。第3章では他の家庭が困りごとにどのように向き合ったかも紹介。悩みが多い思春期子育てを乗り越えるヒントを見つけられそうです。療育・福祉現場のベテランが、発達が気になる子の「自立」を重視したトレーニングを家庭で実践しやすいかたちで紹介しています。食事やトイレなど生活動作に関する工夫や、お金や時間の概念に通じる“数字”の理解についてなど、生活に役立つ力を身につける方法が多数。「誤学習」や「未学習」を防ぐためのポイントも解説されており、日々関わる中で意識したいことも知ることができます。30年以上障害者支援に携わる福祉のプロと、ファイナンシャルプランナーとして第一線で活躍する家計のプロがタッグを組み、知的障害がある人が自分でお金を管理できるようになるトレーニング方法を紹介。おこづかいを見える化するカレンダーなどの工夫や、楽しみながらお金を賢く使う力を育む“ミッションゲーム”の方法から、お金のトラブルを防ぐ教育、保護者ができる備えや家計管理のコツまで、障害がある子どものお金にまつわる内容が幅広く盛り込まれた1冊です。『一度に複数のことを処理できない』『コミュニケーションが苦手』『仕事の段取りが分からない』など、発達障害がある人が働く中で抱えやすいお悩みを取り上げ、原因と解決のためのアイディアを具体的に分析、解説しています。パソコンの活用方法、メモの使い方、コミュニケーションの練習方法など、日常に取り入れやすい工夫が多く紹介されているので、働く中で悩みがある人もこれから社会に出る人も、自分にあった仕事術を見つけるために読みたい一冊です。スケジュールやお金の管理、部屋の片付けなど日常生活をスムーズに送るためのスキルはどのように身につけたらよいでしょうか。この本では、日常の困りごとを場面に分けてそれぞれ複数の解決方法が提案されています。スマートフォンアプリの活用方法、メモやメールの文面など、さまざまな暮らしのアイディアを具体例とともに知ることができ、自分でも実践できそうな方法を見つけられそうです。働く上での困りの中でも、人間関係の困りごとに特化した一冊です。仕事上での人間関係は関わる人の幅も広がる上にマナーも複雑。この本の中では、上司や取引先の相手など、職場で関わるさまざまな立場の人にどのように接したらよいのか、場面や相手に分けて細かく解説されています。イラストも付いているので読むだけでもイメージしやすいところもポイントです。こんなときどうしたら?と思ったときに都度手にとって学びたいですね。もらった給与の使い方、クレジットカードや電子マネーを使用しながらのお金の管理、保険や税金のこと...大切だけれど学ぶ機会がなかなかない「お金の問題」を仕組みから付き合い方まで分かりやすく解説してくれます。iDeCoやNISAなどの金融制度についても取り上げています。自分に合ったお金の使い方、貯め方、備え方を考えるときに役立ちそうです。著者からのメッセージ今回のキャンペーンにあたり、各書籍の著者から読者に向けたメッセージも届いています。『未来に飛び立て!発達の気になる子の大人になるためのチャレンジ〈学齢期編〉』「発達の気になる子」シリーズの学齢期編は、主に「思春期」の子どもへの接し方をまとめています。思春期は大人になるための準備期間。服装や行動、身体の変化や異性への関心など自我が芽生える反面、大人から見ると「おかしな行動」も目につきます。この本では、子どもたちが自分で考えて取り組みながら、自立して生活する力を伸ばすためのヒントをたくさん紹介していますので、この機会にぜひご一読ください。『誤学習・未学習を防ぐ!発達の気になる子の「できた!」が増えるトレーニング』食事や睡眠、読み書き、数、人とのやりとり――療育や障害児・者の現場での実践を家庭で取り組めるような形で紹介した本です。取り組みによる子ども達の成長や変化のほか、親御さんの声なども収録しています。療育は「方針を持った丁寧な子育て」。子どもによって、より細かい工夫や配慮が必要なので具体例をたくさん入れました。子どもの発達に気になるところがあり、「どうすればよいか?」と悩む親御さんや保育・教育現場の方々へのヒントになれば幸いです。『今日からできる!障がいのある子のお金トレーニング』知的障がいのある子どもの未来を「安心」なものにする。その想いから誕生したのが、福祉と家計のスペシャリストが贈るこの1冊です。「お金の種類を知る」「おこづかいの見える化の仕方」など、日々成長する子どもの特性に合わせて家庭で実践できる内容をたくさん盛り込みました。「子どものために、できるだけのことをしてあげたい」と考える親御さん自身の家計管理の知恵も詰まっています。『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に働くための本』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が会社の人間関係で困らないための本』障害とは病気や劣っていることの別名ではなく、今の社会とのギャップがあることです。知ってもらうということはその過程で反発も生みますが、まず知ってもらわないことには理解も生まれません。また理解は、相互的でなければ意味がありません。社会に知ってもらうとともに、こちらも社会を学んで歩み寄ることが、ギャップを埋める近道になります。お互いの理解を進めるために、この本が少しでもお役に立てるなら嬉しく思います。『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手にお金と付き合うための本』社会には人々が快適に暮らすためにさまざまな約束事があります。しかし、発達障害の特性が強いと約束事はとても分かりづらいため、思わぬミスをして非難や攻撃を受けます。無理難題を突きつけられ、困惑することもあるかもしれません。『ちょっとしたことでうまくいく』シリーズには当事者の私が思春期から青年期のころに知っていたらよかった、ということばかり書いてあります。まさに生きるためのテーマ別攻略本といってもいいでしょう。登録するだけで全文無料で読める!2020年4月2日~8日の間、無料公開ページにアクセスして、SHOEISHA iD(※)を登録(無料)すると、無料で全文を読むことができます。必要なのは次のステップだけ!1.無料公開ページにアクセス2. 読みたい本の「全文公開」ボタンをクリック(会員登録がまだの場合はSHOEISHA iD登録場面へ遷移。登録後に読むことができるようになります)3.全文公開ページへ※【SHOEISHA iDについて】翔泳社の各種メディア・サービスを利用するユーザーへ、より良い体験を提供することを目的として「SHOEISHA iD」を構築しました。「SHOEISHA iD」に登録すると、翔泳社が運営するさまざまなジャンルの専門メディアの利用、およびイベントへの参加、会員特典などのサービスを受けることができます。また、登録された情報の閲覧/管理をすることもできます。
2020年04月02日時差通勤の理由より、15分前集合を優先する『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。新型コロナウイルスの感染防止のため、通所している就労移行支援事業所から「10時30分から作業開始」の連絡がありました。Upload By 立石美津子息子は満員電車で通所しているので、少しでも通所時間が遅くなればラッシュを避けられて安心です。でも、いつも「15分前集合!10時15分時間厳守!」と念仏のように唱えています。そもそも、感染防止のための時差通勤なのだから、「少しでも遅く家を出た方が電車の混雑は少なくなり、感染予防になるから。9時25分に家を出て、10時25分に到着すればいい」と何度も説明をしても…「社会人マナー!時間厳守!」と言って聞き入れません。応用のきかない真面目な人です。最終的には、私と言い争いになってパニックを起こし、自傷行為に陥りました。「ずっとマスクをしていなさい」というとUpload By 立石美津子更に…「新型コロナウイルスやインフルエンザが流行っているから電車内だけでなく、ずっとマスクをしていなさい」と伝えたら…真顔で「ごはんを食べるときはどうしたらいいのか?」と聞いてきました。「ごはんのときはマスクを取らないと食べられないでしょ!」と私がイラッとして答えると、「わからない!わからない!お母さんの言うことわからない!」とふたたび自傷しました。遅刻より忘れ物のほうが重要――重要度の低い忘れ物を取りに戻る息子新型コロナウイルスの影響による時差通勤が始まる前、就労移行支援事業所に出かけるため、息子は家をいつも9時に家を出発していました。ある日、いったん家を出てから20分後(9時20分)に戻ってきました。家を出てから7分後には電車に乗っているので、この時刻に戻ってきたということは…いったん電車を降りて戻ってきたのでした。そして「テッシュペーパーを忘れた!」というのです。ティッシュペーパーを取りに戻ったら遅刻してしまうのに、それでも忘れ物を取りに帰ってくる、ものすごく真面目です。融通がききません。Upload By 立石美津子更に!事業所では欠席する場合の連絡を9時30分~10時の間に本人が入れることになっているのですが、テッシュペーパー取りに戻ってからすぐに家をでると、9時30分~10時の間は電車内にいて、欠席の電話をすることができません。ということで…9時30分まで家にいて、自分で電話していました。さらに遅刻してしまうというのに…就労移行支援事業所に通えるのはあと1年だけれど言われたことを字面通り受け取ることは、本人にとってはいたって当たり前のことですが、社会はそうではありません。「猫の手も借りたい」と叫んだ上司に、猫を探しに行き手渡したら叱られます。「胸に手を当てて考えてみろ」と言われて胸に手を当てたら「俺をバカにしているのか」と上司から思われます。就労移行支援事業所に通っているので、私は忘れ物のこと、時間厳守の件で起こったことを面談の度に支援員に伝え、指導の中に入れてもらうことにしています。就労移行支援事業所には2年間しか通えません。もう1年経過してしまいました。まだまだ不安なことがたくさんあるので、通所するの人のニーズに合わせて通所年数も調整できたらいいのに、もっと長く通所させてもらえたらいいのに、と思っているこの頃です。
2020年04月01日3種類のゲームで学習『みんなの怒りスイッチをさがせ!ゲームで身につくアンガーマネジメント』学校や日常生活の中で人と関わる場面を取り扱った60枚の『怒りのできごとカード』を使った、『怒りの温度当てゲーム』『3重丸ゲーム』『こんなときどうする?ゲーム』の3種類のゲームで遊びながらアンガーマネジメントの方法について学習していくことができます。『怒りの温度計カード』、そのできごとを自分が許せるどうかを視覚化する『3重丸シート』、『こんなときどうする?箱』など、場面にあった自分や他人の怒りを具体的に分析できるツールも用意されています。自分の怒りの度合いに気づくこと、人との感じ方の違いに気づくこと、そして怒りを感じる場面でどうしたらいいのかを考えることと、アンガーマネジメントを身につけるために必要な要素を総合的に学べる教材です。シングルマザーの著者の実体験を綴った『うちの子、へん?発達障害・知的障害の子と生きる』シングルマザーの著者、知的障害がある息子「ぽんちゃん」、ぽんちゃんの姉のみいちゃんの3人の家族のエピソードが漫画で描かれています。ぽんちゃんに障害があると知り母は絶望しますが、それでも持ち前の愛嬌で言葉がなくても誰とでもすぐに仲良くなりみんなに愛されるぽんちゃんを見て前向きに過ごしていきます。そしてそんな母やぽんちゃんを見て育つ、お世話好きな姉みいちゃんの頼もしい様子にも心がほっこりして、読んでいて元気が湧いてきます。間に挟まるコラム部分では、障害児を育てるにあたって知っておきたいことが解説され、また巻末には日常生活で活用できる絵カード『準備カード・きもちカード』もついていて、ぽんちゃんと家族の前向きな日々に触れながら、ご自身の子どもとの関わりにも役立てられる一冊です。女性ならではの困りごとを具体的に解説『こころのクスリBOOKS よくわかる女性のADHD 注意欠如・多動症』遅刻や忘れもの、うっかりミス、衝動買いなど、ADHDのある人の困りごとについて取り上げ、中でも女性ならではの困りごとに焦点をあてて解決方法を紹介する書籍です。仕事や家事で使えるライフハック術の提案や忘れもの防止策から、『いい恋愛をするために』『夫との関係を平和に保つには』『子育てが苦手と感じたら』など女性の視点にたってピックアップされた困りごとまでを取り扱っています。例えば『時間の管理』に関する困りごとは、『専業主婦で子どもがいない場合』『子ども0歳代の育休中の場合』などライフスタイルごとに生活の枠組みを提案するなど、女性の生活に寄り添いながらより実現可能な対策を考えられるよう工夫されているので、いろいろなライフハック術をうまく機能させられないという方にも手にとっていただきたい書籍です。イラストつきで関わり方のポイントがわかりやすい『保育園・幼稚園のちょっと気になる子』保育園・幼稚園にいる『ちょっと気になる子』――みんなが過ごしやすくなるための「目で見て分かる支援」や「分かりやすい話し方」など、関わり方の工夫が解説されています。「こんなときどうすればいい?」の章では、園生活の中での外遊び、自由遊び、登園渋りなど、さまざま場面での"ちょっと気になる"行動が取り上げられており、保育者も保護者も子どもの行動について考えるヒントを得られそう。たくさんの工夫、関わり方のポイントが詰まったこの本では、子どもの過ごす場所は成長とともに変わっていくことを踏まえて、園生活だけでなく就学後の生活の見通しについても触れられています。子どもが安心して過ごせるための丁寧な関わりをこの本を通して考えたいですね。子育て×科学!?『科学的に考える子育て エビデンスに基づく10の真実』子育てに関する疑問に対して、科学的な視点から回答しているこの本、目次に並ぶ10の真実も『結局、「叱る」は大人の負け』『ほめるのはタダだが、技術が必要』『「学校は社会の縮図」ではない』など気になるものばかりです。科学的なエビデンスのある内容が記載されているので、例えば「ほめる」という行動についても、どのようなほめ方が・なぜ良いのか・ほめることが持つ機能とは...など解説が非常に具体的で読んでいて納得感があります。"科学"というと難しいように感じますが、イラストも交えたシンプルで分かりやすい説明で、サクサク読み進めることができますよ。苦しんだ子ども時代から、話せるようになったあとの苦労までーー『かんもくの声』家では元気でよく話すのに、学校では話せない――そんな子ども時代を経て27歳になった著者は、インターネットで偶然『場面緘黙症』という言葉に出会い、「この悩みは世界で自分だけのものではなかった」と大きな衝撃を受けたそう。そこから場面緘黙症について調べ、同じ経験をしている人たちと出会い、人生を通して場面緘黙について考えていきます。話せないことで苦しんでいた子ども時代だけではなく、話せるようになったあとの苦労についても書かれており、場面緘黙が「治る」とはどういうことかについても著者の考えが綴られています。話せる・話せないという表出している状態のみではなく、内面的な部分も含めて知ることができる書籍です。
2020年03月31日「ちょっと気になる子」を理解できると関わり方が変わるこの本には、「ちょっと気になる子」を理解するために必要なことが書かれています。1章「ちょっと気になる子の理解」では、「ちょっと気になる子」は、具体的にどんな子どもなのかが見えてきます。発達障害の名称をつけるのではなく、たとえば「こだわり・興味の狭さが気になる子」とか、「ことば(コミュニケーション)が気になる子」として、園でよくある風景の描写から、どんな様子が見える子なのかがこまやかに紹介されています。そして、こういう子に共通して想定される「脳の中のちょっとした不具合」について、感覚統合の考え方から分かりやすく説明されています。Upload By 発達ナビBOOKガイド大脳が働くとは、豆電球がピカピカ光ることなのですが、そのためには、豆電球に向かって電気がスムーズに流れるよう電線を整備しなくてはなりません。「脳の働き方に、ちょっとした不具合があるかもしれない子どもたち」は、電線が細くて電気がうまくながれなかったり、つまりぎみだったりする可能性があります。そういう子どもたちには、意識的に体を動かして元気に遊ぶことで、電気が通りやすいよう電線を整備することができます。これが、感覚統合を進めるかかわりということです。(P66)この「配線」について理解することが、気になる子の理解に通じることになります。2章「子どもを支える配慮と工夫」では、「ちょっと気になる子」に有効な支援「目で見て分かる支援」と「分かりやすい話し方」について、簡潔に説明されています。また、それは「ちょっと気になる子」だけでなく、特に気になるところのない子も含めて、すべての子どもたちにとって、いいことだと述べられています。たとえば、「ひとりへの配慮が、みんなのために」として、こんなエピソードが紹介されています。ちょっと早口なある先生が、難聴の子どもがクラスにいたときに、はっきりゆっくり分かりやすく話すように心がけていたことがあったそう。そのときは「クラス全体が落ち着いて、子どもたちも授業に集中してくれていたような気がします」(P68)と書かれています。また、「目で見て分かる支援」では、いくつもの工夫が示されていますが、「お部屋の中の装飾を見直す」として、こんな例もあります。先生の説明に注目したくても、お部屋の飾りつけやロッカーからはみ出したバッグ、床に散らばっているブロックなどが視野に入って注目を阻害していることもあります。カーテンはひもで固定してはためかないようにする、室内装飾は少なめに、ロッカーの整理かごは色をそろえるなど、過剰な刺激を避ける工夫をします。(P78) By 発達ナビBOOKガイド絵を見ると、一見落ち着いているように見えた子も、部屋がすっきりすると前よりちゃんと先生の方を見ていることが分かります。すべての子どもは「地続き」で、白黒はっきりわかれているのではない、ということも伝わってきます。3章「こんなときどうすればいい?」では、さまざまなシーン別に、対処法が紹介されています。「席から離れてしまうとき」「大人から離れられないとき」「外遊びに出たがらないとき」など、保育の日常の中にありそうな、子どもの姿と、具体的にどうしたらいいか、について書かれています。「登園しぶりがあるとき」では、もしかしたら先生の声かけが元気すぎるのかも、ということから、子どものそばに行って小さな声で「おはよ」と言ってみたり、Upload By 発達ナビBOOKガイド自由遊びは「ほんとうの自由を保障する」時間として、お友だちの輪に入りたがらない子には、無理をさせずに見守ってあげたりといった保育者からのアプローチが提案されています。Upload By 発達ナビBOOKガイド4章「つながりの中で育てる」では、ここまでの3章を受けて、子どもたちの園以外の場にいるときの姿へとつながっていきます。子どもの居場所だけでなく、過去と未来についても考えられています。「子どもたちは成長とともに居る場所が変わる」ということをふまえ、今まで受けてきた支援や配慮、これから入って行く学校生活への見取り図が示されています。ここでは、なんとなく敬遠してしまいがちな、保護者と保育者が、お互いに協力していくための具体的な話し方も示されています。1秒だって気を抜けない息子のことを「まったく疲れちゃうんです」と愚痴った時、保育園の先生は笑顔でこう言ってくださいました。「○○ちゃんの頭の中、開けてみてみたいって、私たちはいつも言ってるんですよ。次々と新しいことを思いついて、ほんとうにおもしろいから!」。(P156) By 発達ナビBOOKガイド同じ子どもでも、保育の場からと家庭からでは、違う角度で見えるものです。子どもの未来、特に就学を考えるときに、「就学までにできるようにしておかなければ」と焦るのではなく、「就学してからも、支援を受けてのびのび育っていけばいいんだ」と思えてくる、希望を持つことができる。この本にはそのためにできる具体的な工夫や例が、たくさん登場するのです。保育と療育の間にいる子どもたちをどう見守るか、という課題ところで、この本の内容はもともと、臨床育児保育研究会発行の隔月刊誌「エデュカーレ」で、特別支援教育をテーマに連載されていたものだそう。実はこの「ちょっと気になる子」というタイトルとも、関連しているそうです。著者の中川信子先生にお話を伺いました。Upload By 発達ナビBOOKガイド発達ナビ編集部(以下――)「気になる子」は、保育と療育の間にいる子どもとして、この本では書かれていますが、もう少し詳しく、「気になる子」はどんな子どもなのか、あらためて教えてください。中川先生:『気になる子』とは『気にしている大人の目から見て気になる』です。はっきりした障害名がつき、『気になる子』が『障害のある子』になると、大人の中では気にならなくなるということもあります。でも、障害名の助けを借りなくても、どういう子なのかが理解でき、どう接してあげればいいのかが分かれば『気にならない、かわいい一人の子』になるのではないかと思います。『気になる子』という名称は、『エデュカーレ』の発行母体である『臨床育児保育研究会』と関係があります。保育の現場から上がってきた『子どもたちにもっと的確な保育ができるようになりたい』という願いから始まった『気になる子研究会(気に研)』が発展して『臨床育児保育研究会』になりました。私はずっと『障害』の側から子どもたちを見てきたので、『気になる子』がいたら、可能性のある障害特性を仮定し、それにもとづいた適切な対応をさぐろうとしました。それに対して、保育者の方たちは、子どもたちの行動を見て『なぜ?』『どうして?』『どうしてあげたらいいの?』と『気になる』様子だったのです。『気になる子研究会』では、『気になる子』について、『あてはまる障害名を探す』『白黒はっきりさせる』ではなく『気になる』行動の背景に想定される、さまざまな行動特性や障害の特徴などを、私からお伝えしました。そのことで、目の前の子どもたちが単に『気になる子』ではなく『こういうふうに対応したらいい子ども』となっていく。連載を依頼されたときには、そのことを読者にお伝えしたいと考えて書きました。「気になる子」には、安心できる環境が必要――現状では、療育は、保育とは別の場所で行われていることが多いと思います。このことについてはどう思われますか。中川先生:本来、障害児保育と一般保育は同じところを目指すはずだと思います。私は発達障害ということばをあまり使いたくないので、「発達系」と呼んでいるのですが、この発達系かも?という子が増えて、今、療育はパンク気味です。これを転換期ととらえ、今後は、保育園・幼稚園などの生活の場で、療育に近い関わりが行われ、わざわざ別の場所での訓練に通わなくてもすむようになればいいと思います。保育園、幼稚園での「療育に近い関わり」「ていねいな配慮のある関わり」をこの本では提案したつもりです。でも、そのためには、集団の人数の問題は避けてはとおれません。どうしても大人数だと配慮は行きとどきにくいし、子どもの側の集中もとぎれがちになるからです。また、『分からない』と声をあげればちゃんと助けてもらえる環境があって、安心して『分からない』『教えて』と言えることが大事なんですよね。そこで子どもの学びは進むのですから。それはやはり、大人数のクラスでは、かなえられないことだと思っています。安心できる環境はとても大切です。『アタッチメント』ということばは、日本語では愛着と訳されて、何だか「母の愛」というようなイメージがありますね。でも本来アタッチメント(attachment)とは、しがみつくという意味。風が強いときに飛ばされないように柱のようなものにしがみつく、そのことがアタッチメント。困ったときや不安なときでも、頼れる人がいれば安心していられます。集団生活の中でも子どもが安心して過ごせるかどうか、園の先生の態度が大きな意味を持つと思います。感覚の違いを理解できたら、「気になる子」の理解は進むはずUpload By 発達ナビBOOKガイド――本の中には、感覚が敏感な子どもへの理解についての話も登場します。過敏さを理解するには、どんな風に考えたらいいですか。中川先生:たとえば、私たちだって、押し入れに頭をつっこんで探し物をしているようなときに、急にうしろから背中をたたかれたりすれば、びっくりして飛び上がりますよね。でも、後ろに人がいることが分かってさえいれば、そんなにびっくりはしないものです。過敏さがある子たちはいつもこんな感じなのでしょう。不安な環境にいるからびっくりして、大人から見ると気になる行動に出てしまう。でも、安心できる環境にいれば、そんなに過敏にはならずにすむ。本の中でふれた、感覚統合の考え方を知ると分かりやすいと思います。保育士さんは、元気な人が多いので、大きな声で『おっはよー!』って挨拶なさいますよね。でも、耳が敏感で音に過敏な子は、その声にびっくりしてしまうわけです。前向きな方には、遊びが嫌いな子、みんなのところに参加したがらない子の気持ちも分かりづらいんじゃないかなと思います。この本を読んでくださる保育者には、『気になる子』はこう感じているかもしれないと気づいていただけたら、と思っています。子育てには正解はないから、保護者がひとりぽっちにならない子育てを――ところで、保護者の方たちは、保育者よりも長い時間子どもと接する中で、どうしていいか分からなくなることも多くあります。そんなときはどうしたらいいでしょうか。中川先生:保護者の方は、子どもの発達について『自分の育て方が悪いのではないか』と悩むことが多いのも事実です。だからこそ、脳の働きについて正しく理解することが、すべての子どもの育ちがよく見える助けになるのではないでしょうか。それでも、こうしたことは頭で理解していても、日々の子育ての中でやっぱりイライラしたり怒ってしまうことはありますね。人間は感情の動物、カッとなることはありますよ。でも、手はあげないでください。もし、つい手が上がってしまったら、その手はそのまま自分の頭にのせておいてくださいね。腹が立ったときは、じょうずに感情を別のところに吐き出して。クッションや枕に口を当てて『もうやだー!』って20回くらい叫んでごらんなさい、だんだんクールダウンしますよ。つらいことは、体で表現すると楽になります。理屈をこねても鎮静しません。『怒っている私』を、子どもに当たる以外の方法で解放してあげてほしいです。子育てには、正解はありません。叱って育てても、その子らしさを受け入れて育てても、結果は親子ごとに違うかもしれない。でもあとになって、できなかったことをいろいろと引っ張り出してもしょうがないことなんです。『みんなとちがう』ことが心配になるのは親であれば誰しもですが、どうか、分かってくれる人や、同じ思いをしている人を見つけて、『ひとりぽっちじゃない』状態で、長丁場の子育てに取り組んでいってほしいと願っています。そして、保護者の方はお子さんのことがよく分かっていても、先生に伝えるのはなかなか難しい場合がありますよね。この本の中に、お子さんにあてはまるような例があったら、コピーを先生に渡していただき、『こんな風に書いてある本がありました。うちの〇〇と似ているので、お持ちしました』と、『さりげなく』お伝えになる助けになればと思います。「気になる子」を理解することが、幸せにつながってほしい――気になる子は、その子自身が困っていることが多いです。どうしたら、気になる子自身も周りのお友だちや大人たちも、困ることがなくなるでしょうか。中川先生:昔から、『いっぷう変わった子』や『元気過ぎる子』や『ひとつのことに熱中すると他のことが目に入らない子』というのは、たくさんいましたし、今もいます。私自身もそうです。私は家族全員がちょっと変わった人たちだったので、特に問題視されない恵まれた環境だったと思いますが、それでも悩み深い少女でした。自分のそういう部分を、もしかしたら心理学を勉強したらコントロールできるかな?と思い、『人の幸せのために役立つ心理学』を学ぶことができたことで、今の私があります。ところが、今はちょっとでも『みんな』から外れていると、親も保育者・先生方も『発達障害ではないでしょうか?』と、心配するようなご時世になってしまいました。『多様性の尊重』とか『一人ずつに合わせた教育(保育)』と言いながら、その一方で社会の規範がどんどん狭まり、そこから少しでもはみ出た子には『障害』のレッテルを貼って『特別な支援』につなげなくては!と焦る風潮が強まっていると感じます。障害は、英語ではdisorderで、これは本来、列の乱れ、列からちょっと外れた状態を意味します。今の日本では、ちょっとでも列から外れると、列に入れようと、ぎゅーぎゅー引っ張るやり方をしていますが、ほんとうは、列には入ったり、戻ったりすればいい。列への参加のしかたはいろいろでいいはずなんです。『全ての子を、こういうふうに見て、こういう配慮をすればいいのね』と『集団の中での個別配慮』についての認識を、子どもを理解することで深めていってもらえたらと願っています。そのために、例えばこの本の中の一つのお子さんの例を題材に、保育の場で先生方同士でお話しいただき、『○○組さんの○○くんのこともこんなふうに見ると分かりやすいね』と共通認識を持つために役立てていただけることもできるのではないかと思います。ある意味『ふつうとは違う』側の中に、人間としての豊かな可能性や、人と協力し合いながら生きていく大切さが潜んでいると思います。これから育っていく子どもたちと、そのご家族が『幸せだなぁ』って思っていただけるといいなと思いながら、この本を書きました。Upload By 発達ナビBOOKガイド絵によっても、子どもへの理解がより深まるこの本には、たくさんの場面についてのイラストが登場します。子どもがどんな風に感じているのか、子どもの表情や、ちょっとした体の使い方に表現され、「こういう子、いるね」「こういうことある!」というリアルさがあります。大人の接し方によって、子どもはこう変わるといった様子も、おおげさではなく描かれています。また、実は表紙には違うイラストが入る予定だったそうです。子どもはニコニコして前を向き、ママもスカートをはいていて余裕が感じられる様子でした。(p148にあります)。でも、中川先生は「ちょっと気になる子は、なかなかこうはいかないでしょう」と提案され、その結果、ちょっと不機嫌そうな子どもの様子と、笑いつつもちょっと困り顔のお母さんの表情の絵となったのだそうです。こういう子いるね、うちの子と似てる、と思ったら、そのページからまずは読んでみてもいいかもしれません。育児する人、保育する人へ、「この子はこんな風に感じているかもしれないから、こうしてみたら?」という温かい提案を、少し先の成長した姿とともに見せて、安心させてくれる「保育園・幼稚園のちょっと気になる子」です。取材・文/関川香織写真/鈴木江実子
2020年03月31日発達凸凹息子の中学受験、前回までのあらすじ2020年4月から私立中学に通うことになった長男。私立に進むのか、公立に進むのかに悩んだ小5、小6のころから入試までのあれこれをご紹介していきます。前回は、どのように志望校を決めたかについてご紹介しました。子どもの学校生活で大事にしたいことUpload By スガカズ前回は私立中学校に決めた理由や学校探しについてお話ししましたが、中学受験すると決めた小6の5月より半年以上前の、小5の10月から公立中学校選びもはじめていました。部活動体験や説明会は小6からですが、各中学校の希望者の内訳を小学5年生の10月に確認。通える4つの中学校のうち3つが受け入れ可能数を超えた申請だったようです。ただ、この中には「私立受験をする子ども」も含まれているため、なんだかんだ希望の中学校には通えると思いながらも、少し心配になったのは否定できません。小5の10月の時点では、まだどの公立中に通いたいかはっきりと決まっていなかったのですが、長男が小6になったころから、本人のためになる環境について深く考えました。校風、友達、家との距離などなど…どれも重要ですが、長男の学校生活に必要なのは「自分の居場所がある」ことだと思いました。そして長男にとっては、通級での時間が必要だろうと考えたのです。そのため公立中学校では、通級に通い続けられる環境にしようと決めました。受験勉強や私立中学校選びが本格的に始まったころに、長男に対して、公立中学校の話もしました。Upload By スガカズ本人との会話は「4つの学校の候補を減らしていく。減った候補から決める」という非常にざっくりとした内容でした。学習を定着させる時期だったので、勉強へのモチベーションが下がらない様に、公立中学校の話を必要以上にしないようにしていました。子どもは勉強をがんばり、親は学校選びをする…といった風に、役割を分けることに。とは言っても、公立中の部活体験や学校見学をしない事には話が進まないと思ったので、私立中学校に進学しない場合は公立中学校学校見学や部活体験は公立中学についても必要という事は本人に理解してもらいました。そして決めた中学校は…Upload By スガカズどうやら令和2年より4校全てで通級が受けられるようになるとの事でした(※見学した令和元年時点では、拠点校へ通級のために通う形でしたが、令和2年からは通学している学校に特別支援教室が設けられるようになるということ)。ですが、特別支援教室を新設する中学校は前例を聞くことができないため、見通しをつけづらい長男にとっては拠点校の特別支援教室で支援を受ける方が安心できそうだと感じました。実際に見学に行ってみると、設備が整っているし、特別支援教室の職員室があるので本人が相談をしやすい環境だと感じました。また、クラスの数も3クラスと、小学校と同じ数なので、比較的落ち着いて過ごせそうだと感じました。部活体験では在校生と話す機会がありましたし、特別支援教室の体験では、本人は落ち着いて行動できました。支援の先生方の進め方や話し方は穏やかで、大人しい長男に合っていそうでした。長男は「私立じゃなかった時、ここなら大丈夫そう」と言っていました。学校公開や説明会で事前に学校の様子を見ていたので、特に困る事もありませんでした。また、各中学校の希望者の内訳を見ても、A中学の立地から希望者が多くはない様で、希望通り通えそうでした。私立中学校に進学しなかった時のためにした事拠点校であるA校で特別支援教室の説明会があった時に、「中学受験をして入れなかった場合、4月から特別支援教室で支援を受けられるようにしたい」と相談しました。Upload By スガカズわが家は6月〜8月は私立中学校選びと塾に明け暮れた日々だったので、本格的に公立中学校選びをするまでに時間がかかってしまいました。(この辺りの時期は本当にドタバタでして、毎週何かしら学校、療育などの用事で私の仕事もセーブしました)2月の判定会議に向けて書類を準備しておけば、私立中学に合格せず、公立中に進学する場合でも間に合うとのことでした。Upload By スガカズこうして公立中学校が無事に決まりました。あとは前回決めた第1希望と第2希望の私立中学校どちらかに合格できるようにがんばるだけ…!なのですが…ADHDの子の勉強は、一筋縄ではいかないですよね。次回は、療育センターで言語の先生に支援していただいた受験対策についてお話しします。
2020年03月31日自閉症啓発デーって?2007年、国連総会「4月2日は世界自閉症啓発デー」にすることが決議されました。この日には、それぞれの加盟国が、自閉症についての理解が進むように意識啓発の取り組みを行うことなどが求められています。世界自閉症啓発デーは、自閉症に関する理解を深めたり、自閉症のことについて知ったりすることで、自閉症のある人を含めたすべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日です。例年、日本では東京タワーなどのランドマークが青く染まるほか、NYやパリ、ロンドンなどさまざまな都市のランドマークも同様に青く染められ、イベントが行われます。昨年・一昨年も、発達ナビではその様子をリポートしています。タイムラインを青に染めよう!オンライン上でのイベント「Warm Blue 2020」を開催Upload By 発達ナビニュース2020年の自閉症啓発デーは、新型コロナウイルスの影響により、リアルイベントの開催は中止となりました。そこで、自閉症のテーマカラー「ブルー」でタイムラインを染め上げようというイベントが開催されます。参加の方法は以下の通りです。「私たちの4月2日」「青いものを身につけた写真」「青をテーマにした写真」「自閉症啓発デーを応援する活動・パフォーマンスの動画」などを投稿してください。投稿の仕方は以下2つです。1、直接以下の公式アカウントに投稿実行委員会-101651501470359/Warm Blue キャンペーンFacebook 公式ページ Blue キャンペーンTwitter 公式ページ2、みなさんご自身のTwitterやFacebookなどで発信青いものを身につけた姿や、青いグッズを撮影して、SNSに投稿しましょう。その際、以下のハッシュタグを使用すると、Warm Blue実行委員会が公式FBとTwitterでシェアをします。#2020TT#WB_2020#MAZEKOZE#LIUB皆さんの投稿で、タイムラインを青く染め上げましょう!出典 : 多様性を認め合える社会へ出典 : 自閉症がある人だけでなく、どんな人も皆、色とりどりの個性をもっています。どんな人も自分らしく生きていけるように――自閉症啓発デーを通して、多様性を認め合える社会へ近づけるよう、一人ひとりができることを始められたらいいですね。
2020年03月30日保護者420名以上が申し込み!すべて専門家が監修した、特別支援教材を自宅学習に活用発達ナビが行ったアンケートでは、新型コロナウイルスの影響による休校措置で、お子さまの学びの機会が減ってしまうことに不安を抱く方が多くいることが分かりました。そこで、通常、発達支援施設向けに有償でご提供している特別支援教材の一部を、保護者さま向けに開放する取り組みを期間限定で始めました。2020年3月27日時点で、420名以上の保護者さまからお申し込みをいただいています。このコラムでは、さまざまな教材の中でも、どのようなものが多く利用されているかについてご紹介します。レッスンプログラムで人気の教材は?Upload By 発達ナビニュースレッスンプログラムの中でもっとも参照されていたのは、気持ちの切り替えをサポートするツールや方法についてご紹介したものでした。突然の環境の変化で戸惑うお子さまにどう対応すればいいのかのヒントや、具体的なツールをご提供しています。Upload By 発達ナビニューストラブルが起きてしまった場面について、どういう風に振り返ったらいいのかが分かりやすくまとまっているレッスンが、2番目によくみられていました。やはり環境の変化の中で戸惑うお子さまをどうサポートするのか、その方法を学びたいという方が多くいらっしゃったのではないかと思います。Upload By 発達ナビニュースいまはどんな気持ち?うまく言葉で伝えられない場合も、視覚支援ツールがあれば周囲に伝えることができやすくなります。表情カードの活用方法についてのレッスンが、3番目に多くみられていました。実際に使えるツール、何が人気だった?Upload By 発達ナビニュースいまどんな気持ち?どんな体調?を指差しだけで伝えることができる、気持ちの温度計。気持ちを見える化するうえで役立つツールです。この「気持ちの温度計」が最もダウンロード数の多いツールでした。Upload By 発達ナビニュースずっと家の中で一緒にいると、興奮したりイライラして声が大きくなったりして、きょうだいなど家族とトラブルになることも…そんなとき、どのくらいの大きさの声で話したらいいのかを伝えられる視覚支援ツールが「こえのものさし」です。お子さまの状況に合わせて、動物バージョン、数字バージョン、人バージョンの3パターンがあります。Upload By 発達ナビニュースリアルなやきいもの教材は、やぶってみるなど、手先をつかう練習をたのしくできるツールです。こうした工作ツールも人気が高く、多くダウンロードされていました。教材の無償開放は4月5日まで。春休み中の自宅学習にひきつづきご活用くださいお子さまの学びの機会をサポートするため、4月5日までの期間、ひきつづき教材の無料開放を行っています。詳しくは次のコラムをご覧になった上で、お申し込みください。
2020年03月27日新型コロナの影響で不安な資金繰り…放デイ対象の助成金・融資・補助制度放デイ・児発で活用できる、新型コロナウイルス感染症の特別措置が設けられているのは以下の5つの施策です。1、雇用調整助成金(特例措置)2、小学校休業等対応助成金3、新型コロナウイルス感染症特別貸付と特別利子補給制度4、独立行政法人福祉医療機構 福祉貸付事業による融資制度5、セーフティネット保証制度(4号)活用するにあたっての概要と留意点をこちらからお伝えします。
2020年03月27日睡眠障害で学校に行けていない...いっちゃんの学習面は我が家の長女いっちゃんは、10歳ごろから睡眠障害の症状が現れ始め、小学校6年生で登校日のおよそ半分を欠席し「不登校」になりました。中学に進学しても1/3ほど登校するのがやっとといったところです。一応プリントなどもらってきて、家で勉強もしていますが、自発的にするのは自分が興味を持ったものだけです。テストの出来も良くはないし、ノートの提出も全くできない…通知表の評定もそれなりです。Upload By 寺島ヒロお兄ちゃんのタケルは、読んだ文字や聞いた言葉をそのまま覚えておいて、頭の中から取り出すことが得意だったので、学校を多少休んでもテストの成績は問題ありませんでした。でも、いっちゃんは映像や音楽などイメージに変換して記憶するタイプのようで、ものの名前や単語を覚えるのが苦手。社会の穴埋め問題などはほとんどできません。記述テスト向きではなさそうだなーとは、かねてより思っていました。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ将来のことは「よくわからない」このままでは心配!?でも...さて、そんなテストが苦手ないっちゃんは「将来のこと」についても、中学校などで聞かれるとあまりしっかりした返事はしていないよう。「高校とか、就職とか言われてもよくわからんし興味ない」だそうで、「このまま大人になっちゃいけないの?」と、逆に答えにくい質問を返したこともあったそうです。学校にろくに行けていないわけなので「このまま…となると、高校に行っても不登校、就職しても通勤できないってことだろう。何とかしないと!」という考えに一瞬私も傾きかけたのですが、いやいや!?と思い直しました。Upload By 寺島ヒロ高校も会社も興味がないと聞くとニート一直線か!と、つい心配してしまうところですが、いっちゃんは実は性格的にはとてもアクティブなのです。将来何も仕事をしないで暮らすとか、無気力になっているとは考えにくい…。固有名詞が苦手ないっちゃん、もしかして将来のことを大人が求めるような「どの高校に行く」とか、「どこの会社に入る」という考え方で捉えてはいないのではないか?そこで、ずばり12歳のいっちゃんに「将来どんな大人になって暮らしていけたらいいと思う?」と聞いてみました。すると「絵を描いたり、曲を作ったり、歌ったり、ナレーション?とかもして、こういうことで仕事にならないかなと思ってる。何って決めてないけど、やるからにはすっげーってみんなが言ってくれるようになりたい!あと料理も自分で作れるようになりたい!」と言うではないですか!意外と具体的な内容が出てきたのです。一般的には、子どもが絵描きになりたいとか歌い手さんになりたいと言ったら、夢みたいなことを…と思うかもしれません。例えば高校3年生になった子どもが「アニメが好きだから声優の専門学校に行く」と職業について深く調べもせず急に言い出したら、正直不安しかないでしょう。しかし、いっちゃんは、物心つく前の本当に小さいころから、"努力"とは意識もせず、ずっと絵を描いたり、曲をつくったり、ピアノを演奏したり…「創り表現すること」を続けてきたのです。そのため、私はいっちゃんの言葉を聞いて「確かに!そのままでいい!」と思いました。Upload By 寺島ヒロ学校以外での「名前のない学び」も大切に見守ること13歳になった今のいっちゃんは、描画ソフトで絵を描くことはもちろん、MMDという有名なコンピュータアニメーションを作成するCGソフトを使って3Dキャラクターの改変モデルをつくったり(さすがに丸ごとはまだつくれない)、AviUtlというソフトで動画編集をしたりしています。ボイストレーニングや演技の勉強も続けていて、中学校にこそ行っていませんが、しっかり学んでいる様子が見て取れます。Upload By 寺島ヒロとはいえ、学校で数学も物理も学んでいないので、動画制作はしばしばカン頼みです。もし誰かと一緒に協力してつくるとなると、基礎教養や共通言語がないので相当苦労することでしょう。でも、今そのことを心配して「同級生のみんながやっていること」を無理やりやらせても効率は良くないような気がします。本人が必要だと思い知ってから学んでも、きっと遅くはないはずです。おそらく、いっちゃんのような子どもにとっては、高校や、会社のような「名前のあるもの」は、そういう毎日の学びと創作の延長線上にたまたまあるものなのでしょう。「名前のないこと」をやっている子どもを見守る力が、親には求められているのかもしれません。
2020年03月26日順調に活躍していたイヤーマフ。聴覚過敏で体調不良を起こしていた娘。試しに使ってみたイヤーマフは、大活躍してくれました。嫌な音を遮断できるということですっかり気に入り、常に持ち歩いて、放課後等デイサービスで集中したいときや学校で一人になりたいとき、家で読書をするときなどに愛用していました。Upload By SAKURAイヤーマフがきっかけで目に留まった言葉。そんなある日、放課後等デイサービスお迎え時…Upload By SAKURA私はドキッとしました。すると、娘は続けて…Upload By SAKURA「自分が発達障害か」を聞いてきました。今まで私は、娘に『発達障害』という言葉を使って娘の特性について話したことはありませんでした。娘の特性について話した経緯。言語訓練に通う理由を聞かれたので…Upload By SAKURA簡単に理由を話しました。娘は「言葉が苦手」というのを、マイナスには捉えなかったようで、気がつけば周りの人に対しても「私はね、言葉が苦手なんだよ」と自ら説明するようになっていました。2年生から特別支援学級に在籍になった娘は、慣れるために1年生の後半から特別支援学級の教室に行くことになりました。そのときに、『特別支援学級に行く理由』を説明しました。Upload By SAKURAその後、2年生から本格的に特別支援学級在籍になったときに、もう一段階詳しい話をしました。Upload By SAKURA娘は気にするどころか、長い時間特別支援学級にいられることを喜んでいました。「障害」という言葉を耳にすることが多くなってきて…それから時間は経ち…2〜3年生になると「障害」という言葉を授業やテレビで聞くことが増え、障害のある人が世の中にいるということを知るようになりました。Upload By SAKURAこのときから私は「いつか娘に『発達障害』について話す日がくる…」と考えていました。どんな状況で聞かれるのか…どんな風に答えようか…想像し、ずっと頭の中でシミュレーションし続けていました。そして、聞かれたときのために決めていたことがありました。そのときのため、決めていた3つのこと。『発達障害』のことを話す最良のタイミングは、聞かれたとき。あまりに幼いときは話す必要はないと思いますが、娘はもう小学生。専門的な話はしなくても、そういう特性について、言葉を選べば説明していいと考えていました。Upload By SAKURA真剣な顔や暗い表情で話してしまうと、これは悪い話だと思われてしまいます。話すときは、普段の会話のときと同じトーンで、なるべく表情は変えない!少しでも誤解を与えたくないと思いました。Upload By SAKURA『発達障害』に対して、「これ以上聞かないで」という対応は絶対したくないと思っていました。聞きたければいくらでも話す、聞いてはダメなことではないと娘に態度で示そうと思いました。Upload By SAKURA何度もシミュレーションして、これは絶対に守ろうと決めていたことでした。シミュレーションは完璧だったはずだけど…しかし、そのときは思った以上に突然やってきました。まさか、イヤーマフから繋がるとは…!イヤーマフを購入したときは、そんなこと想像もできませんでした。Upload By SAKURAあんなにシミュレーションし続けていたのに…いざ聞かれると私の心臓はドキドキ音を立て、動揺が一瞬で全身に広がりました。しかし、動揺してはいけない!返事に間を空けたら、娘に変に思われる!と決めていたことを思い出し、自分に気合いを入れ、ついに娘に話すことにしました。続く…。
2020年03月25日突然の休校で子どもも保護者も不安定に。一人で抱えがちな悩みをシェア新型コロナウイルスは、子ども達の学校生活、そしてその子ども達を育てる保護者の生活にも大きな影響を与えています。先日行った発達ナビユーザーへのアンケートでは、さまざまな悩みや不安を抱えている様子が分かりました。そこで、発達ナビができることとして、オンライン保護者会を実施。すでに、3月18日、19日、23日の3回を行いました。多く挙げられた悩み別にテーマを設定――同じ悩みや不安を抱える仲間とのシェア、そして専門家からのアドバイス今回の保護者会では、お悩みとして挙げられたなかで多かったものを中心に、4つのテーマを設定しました。「不安定になっている子どもとの関わり方」「保護者のストレス緩和の方法」「子どもの生活リズムの乱れへの対応方法」「家庭学習の支え方」それぞれのテーマに沿って、現在の状況現在の対応質問したいことを事前に寄せていただき、参加者でシェアし、臨床心理の専門家の先生からのアドバイスもそれぞれに頂く形で進めています。Upload By 発達ナビニュースはじめて関わる仲間同士。でも、すぐに打ち解けて…Upload By 発達ナビニュースオンライン保護者会はZOOMミーティングでのグループで行うテレビ会議形式です。初めて話をする方同士ですが、画面を通じての会話でも、同じような困りごとで悩んでいる仲間同士ということもあり、悩みや対応策がそれぞれヒントになり、話すだけで気持ちが楽になる、という声もいただきました。また、いつもとは違うイレギュラーな状態なうえ、親子で過ごす時間が多くなる今だからこそ、いつも以上に課題に気づけるという視点も。一緒にいる時間が多い、ここまでイレギュラーなことが起きる状態は珍しい、だからこそこの機会を活用してイレギュラーなことに対応する練習をしてはという専門家からのアドバイスに、思い切り向き合う時間にしたい、という前向きな意見を寄せてくれる方もたくさんいらっしゃいました。無料オンライン保護者会は、4月3日まで実施Upload By 発達ナビニュース今後も、週に2~3回の頻度での開催を予定しています。【今後の開催日時】3/25(水) 16:00~17:00(テーマ:家庭学習の支え方)3/27(金) 14:30~15:30(テーマ:不安定になっている子どもとの関わり方)4/1(水) 10:30~11:30(テーマ:子どもの生活リズムの乱れへの対応方法)4/3(金) 10:30~11:30(テーマ:家庭学習の支え方)今後のオンライン保護者会に参加希望の方は、下記のフォームよりお申し込みください。発達支援施設向けに通常有償でご提供している特別支援教材についても、4月5日までの期間限定で無料でご提供しています。オンライン保護者や教材のご提供について、詳しくはこちらのコラムにてご案内しています。
2020年03月24日年中の時に保護者教室へミミが就学する2年前、次男ふーが産まれました。育休中だった私は、療育の先生に教えてもらった区が主催の保護者教室(区の特別支援教育の説明会)へ行きました。Upload By taeko通常学級の他に特別支援学級があることぐらいは聞いたことがあるけど、ほとんど知識のない私には、説明会の内容を理解するのに時間がかかりました。「学級」と「教室」って何が違うの?どっちも授業を受ける部屋じゃないの?今でも間違えてしまいます。学校公開日にミミと3校訪問Upload By taekoミミと一緒に、3校を訪問しました。その時のメモの一部をご紹介します。地区の特別支援教育拠点校特別支援教育の拠点校で、この学校の中にも特別支援学級がある。子ども達は下校していたので授業風景は見られなかったが、教室や個室などを見せてもらう。一番気になる「いじめ」について聞いてみると、「周りの子にも、なぜ〇〇君が別の教室に行くのかちゃんと説明しているので皆協力してくれます」とのこと。そうか...と思いつつ心配は尽きない。学区のA校いわゆる授業参観で、授業の様子を教室の後ろから見学。土曜日で特別支援教室は行っていなかったため見られず、通常学級と特別支援学級を見学。通常学級は1クラスに生徒が35人程いてギュウギュウ。先生とサポートの先生の2人体制だけど、人数が多すぎてミミは落ち着かないかもしれないと思った。特別支援学級は1クラスに8人程度で先生は3人。得意な子が朝礼をやり、先生の目も行き届いていてミミには特別支援学級で学ぶのが良いな、と思った。学区外B校通常学級は1クラスのみで30人。特別支援学級が5クラスもあり、ぜひ見たかった学校。校長先生が案内してくれ、学校の様子を聞くことができた。特別支援学級が多いので、通常学級からの移籍がしやすいそう。B校なら発達障害のある子どもに慣れた先生が多いし、いろいろな子がいてミミも受け入れてもらえるかも、と思った。どこまで本気かわからないけれど「この学校にする?」と聞くと、「うん」とミミ。この時点では私はB校が良いなと思いました。当時4歳のミミは、トイレが苦手、団体行動ができない、偏食...などがありました。実際には付きませんでしたが、療育の医療相談で精神科医に「保育園で加配を付けた方が良いでしょう」と言われていました。小学校を決めるまであと1年半あるので、月1回の療育と週1回の民間療育を続けて、ミミの成長を見守りながら考えることに決めたのです。Upload By taeko年長になり就学相談開始、9月に希望校を決定!年長になり、いよいよ就学相談が始まりました。区の広報誌で就学相談のための説明会を知り参加。翌日朝イチで就学相談の予約をし、3日後に最初の面談へ(親のみ)行きました。ざざざっと流れをご紹介します。Upload By taeko5月子どもの面接。初めての人と初めて入る部屋で検査。その後少人数で数人の職員さんと面談。どちらも親は見られない。部屋に入るのを嫌がるかな?と思ったけど、ニコニコで行ったので驚いた。6月親子で精神科医と面談。困りごとや私生活を話す。終始ニコニコな先生は、「(子どものことを)怒る必要ない」「怒らず、近くに呼んで普通に話せば大丈夫」と教えてくれたのが印象的だった。7月区役所で結果報告を聞く(親のみ)。通常学級に在籍し、週に2時間ほど特別支援教室で指導を受けることを勧められる。この頃、就学相談とは別に、小児精神科で初診を受ける。療育の精神科医との面談で、就学に向けて診断書を用意して小学校に提示した方が良いとアドバイスを受けたため。※文部科学省が「特別支援教室構想」を掲げて全国各地でモデル事業が行なわれており、2016年4月から東京都内の小学校で特別支援教室の本格的な導入が始まっています。8月小児精神科2回目の診察時に診断書を発行してもらう。9月学区の小学校から学校選択の書類が届く。一年前はB校が良いと思っていたけど、ミミがだいぶ成長してきたことや、家から近い方が親も子も負担が少ないと考えてA校で「特別支援教室で指導を受ける」を希望のチェックをして返信。10月学区の小学校で健康診断。計測後の先生との面談で発達障害があると伝えると校長先生が対応してくれた。発達障害児の特性を理解されていて私も安心した。11月就学相談とは別に、学童の説明会。発達障害のある子どもも受け入れてくれるところ。12月親子で学童面談。1月特になし2月小学校で新一年生保護者会(うちは親のみ参加)。特別支援教室に指導に来てくれる先生の拠点校での体験教室へ。子どもは3人、先生はたくさんいたのに皆の前で自己紹介をしっかりできたミミに感動!成長したね!Upload By taeko就学までの活動は一通り終了。3月は保育園の卒園イベントも無事に開催されました!ミミがお別れの歌を家で口ずさむので、それだけで切なくなる...。残りの保育園生活を楽しんでね!!
2020年03月24日感覚過敏、アレルギー、疲れやすさ発達障害の特性として、感覚過敏(五感が敏感すぎる)や、それとつながっていると思われる疲れやすさがあります。私も小さなころからこれらの特性には苦労していました。生活の中でつらい刺激に耐えなければならないことが多くあったのです。家にいても、特定の服を着ているだけで疲れてしまう。学校では教室の環境だけでもつらく、陽の光や土埃といった刺激の強い校庭の環境はさらに過酷に感じました。私には、どうにも不快で着られない服がたくさんありました。当時は気づいていませんでしたが、感覚過敏の中の触覚過敏によるものだったと思われます。素材がチクチクする、首や肩がきつい、縫い目がゴロゴロする、タグが痛痒くなるなど、いろいろな要素が気になりました。周囲の大人はわがままによる選り好みと勘違いし、私を叱責することが多かったので、私は自分が悪いのだと思って、必死に我慢して着ていました。でも、そうするとすぐに疲れてしまったり、具合が悪くなったりする。皮膚が乾燥しやすく、アトピーもあったため、実際にいつも身体のどこかが皮膚炎を起こしているような状態でした。休み時間などは図書室などの、ほかの児童生徒のいないところに逃げ込みたくなることがありました。私が逃げ込んでいたところの共通点を考えると、音が静か、雑多な匂いがしない、光が明るすぎないといった、感覚過敏にやさしい環境だったことに気づきます。最近国内の空港で導入されつつある、カームダウンスペースのようなものですね。皮膚や粘膜が過敏という意味で触覚過敏とつながっていると思われるのが、原因不明のアレルギー症状です。土埃や花粉、気温差などですぐに目鼻が痒くなったり、のどが詰まるようになって息苦しくなったり、鼻水が出たりしました。こういうときには耳の穴や陰部まで痒くなり、難儀でした。冬の寒い日のマラソンや、少しでも水が冷たい日のプールでは「喉がヒュッとなる」のが怖かったのもあって、頑なに参加を拒否したことがあったのを覚えています。いまでも花粉の時期になると症状が出ますし、埃も苦手。50項目ぐらいあるアレルゲン検査を受けてみたら、なにひとつアレルゲンが出ませんでした。ここ10年ぐらいで2度検査してみましたが、結果は同じ…… あるアレルギー内科医によると、「特定のアレルゲンに反応するアレルギーというよりも、刺激全般に過敏な過敏体質という感じではないか」とのことです。自分の世界観と周囲の人たちの世界観とのギャップ中学からは私立の進学校に進んだためもあるのかかなり楽になったのですが、私は子ども時代、周囲の人たちの持っている世界観と自分の持っている世界観とのギャップに苦しんでいました。特に小学校時代は、「自分のようなものの考え方をしているのは私だけ」と感じることが多くありました。「ものごとの筋が通っていない」ことについての苛立ちを言語化できるだけの語彙もまだ与えられていなかったので、強い孤立感と不自由感を感じていました。「子羊と戯れたあとにジンギスカン鍋を食べた」エピソードは心に残っています。確か小学校低学年のころ、とある農場に遠足に行ったとき、午前中みんなで子羊と戯れたあと、昼はジンギスカン鍋を食べることになっていました。私はまず、聞いたことのないこの鍋の肉がなんの肉なのかが気になって担任に聞きました。すると、羊の肉だと言う。私はその瞬間、さっきまで皆で遊んでいた子羊が首を矯(た)められて捌(さば)かれるイメージに頭を占領されてしまいました。人間って残酷だなあという思いにかられ、周囲のクラスメートに「ねえ、この鍋の肉、羊のなんだって」と言ってみると、みんな「ふうん、それで?」という感じで反応したのみで、楽しそうにキャッキャしています。周囲のだれも、自分が食べる珍しい鍋の肉がなんの肉なのかに興味を持たないばかりか、羊と戯れたあとになんの引っかかりも感じず上機嫌で羊の肉を食べるなんて…私はそれですっかり食欲を失ってしまったのでした。小学校5年ぐらいだったか、太めだったAくんが一人だけお弁当を持ってくるようになりました。そのとき担任の先生が、「Aくんは健康上の理由でお昼にお弁当を食べることになりました。『脂肪』という成分がAくんの身体によくないんだそうです」と言ったのです。私は、脂肪のカロリーが高いことはすでに知っていたので、「後半がよけい! Aくんが肥満の治療のためにお弁当を持ってくるようになったことがバレバレじゃないか! 小5の理解度をバカにしてるのか?」と思いました。でも周囲を見てみると、何か特別な反応をしている子はひとりもいなくて、みんな「ふーん」という感じで聞き流していました。また、同じ担任の先生だったとき、クラスの男の子が出し物で「プロレスをやります」と言い出しました。そこに担任の先生はわざわざ、「プロレスというのはプロの選手がやるレスリングのこと。プロ以外はプロレスを名乗れないから、レスリングと言いなさい」と指摘しました。いまの語彙でなら、「子どもは概念としての『あのプロレス』、マスクをつけた悪役がいたりするあのプロレスをやりたいのであって、そこにそういう突っ込みを入れるのは興ざめなだけだ。教師が不必要な指摘で子どもの興を削いでどうする」といった表現になるでしょうか。ただ当時はこのような語彙がなかったので、ひたすらにモヤモヤと腹が立ちました。でもこの状況に歯向かう子は一人もおらず、クラスのボスクラスのやんちゃな男の子さえ「レスリングをやります」と素直に言い直したのです。よく言われる、「お友達とみんなで楽しく遊びましょう」という表現にも腹が立ったものです。友達とは双方が互いに友達と考えて成り立つもので、単に同級とか同学年とか同年代とかで決まるものではない。遊びは本人のためにあるもので、それが楽しいかどうかも本人にしか決められないはず。なのに「楽しい遊び」を他人から指示されてするなんて意味がわからない。それに、これはどうも指示とか命令みたいだけど、なぜか「しましょう」の形で言うのは嫌な感じだなあ…… などと私は思っていました。運動会かなにかの練習で、「ワーと声をあげて、盛り上がった雰囲気でグラウンドに入場しなさい」と先生が指示すれば、子どもたちは「ワー」とカタカナで書けるような平坦な声をあげて入場します。なんだかもう、本当に辟易としました……学校の授業も易しすぎて、私はよく苛立っていました。私には、みんなが「わからないほうが、答えないほうが人間として上」かのように、我先に「わからない、わからない」と言い、先生から当てられることから逃げているように見えるのです。らちが開かないので私が手を挙げると授業が進む。先生の側も、授業を進めたいときに意識的に私を当てたりして、便利に思っているようでした。しかし、授業参観のとき、先生がなぜかいつもみたいには私を当ててくれない事態が起きます。いくら手を挙げても先生は無視してほかの子を当てようとするので、私は意味がわからず混乱し、最終的に怒りながら泣きだして、教室をざわつかせたのでした。今だったらもちろん、「ほかの子にも華を持たせよう」という先生の意図が理解できます。しかし、「それなら事前にひとこと説明してくれればよかったのに。周囲に対する手前もあってその場では説明しなかったのだろうけど、ちょっとそれは子ども個人の気持ちを軽んじてはいないかな?」とも思います。自習の時間、自由帳の、以前にボールペンで描いた絵のあるページを広げながら本を読んでいたら、学級委員の男の子が「自習の時間なのにお絵かきして、いけないんだ」と言い出しました。いま描いたのじゃない、以前描いたやつだと言ったら、男の子は絵を指でこすって「インクが滲んだから今描いたやつだろう」と食い下がります。出典 : 「昔描いたやつもインクが滲むかもしれないし、滲むか滲まないかをいま確認する方法はないよね?」と言いましたが、どうも意味が通じないので面倒になって「あなたが私がズルしたと思いたいならそう思っておけば」みたいに言って終わらせたように記憶しています。傲慢だったかもしれないのですが、このようにして私は小学校時代、「大人も含め、幼稚園のお遊戯のようなことをみんなでやっている」「そこにたった一人異質な者として説明もなしに投げ込まれて、逃げられない」ようなつらさを感じていました。いわゆる、落ちこぼれよりも「浮きこぼれ」の状態だったように思います。落ちるのだろうが浮くのだろうが、こぼれるつらさは同じ。「成績がいいからってお高くとまってる」と言われたり、「キモい、汚い」とバイ菌扱いされたり、クスクス笑いながら噂されるなど、いじめを経験した私。小学校5、6年のころにはすでに、いま思えば二次障害と思われる精神症状(人が怖い、皆が自分の悪い噂をしているように感じるなど)を感じるようになっていました。当時は十分に言語化できないモヤモヤをたくさん抱えていて、私はいつも不機嫌でした。自分がなぜいつも不機嫌なのか、また自分が不機嫌であったこと自体、自分ではわかりませんでした。「抽象的理解力の高さと、義務教育で与えられていた語彙の小ささとのギャップに苦しんでいたのだ」と言語化できてすごく楽になったのは、高校生になって小論文対策にと評論用語を覚えてからです。「幸福の絶対性」とか「比較実験」とかいった言葉を覚えて、パァッと目の前が開けていくような気がしたものです。本人の中での能力のギャップ周囲の世界観と自分の世界観との間にギャップがあっただけではなく、私は自分自身の中での能力のギャップも抱えていました。まずは、知的な面と社会面での成熟度にギャップがありました。ともかく、「暗黙のルール」に気づけないのです。こうこうだからこうしてはいけないんだよ、ときちんと説明されれば理解できるのですが、説明されないかぎり理解できない。たとえば、思ったことが事実なら全部言う、理詰めで他の子を論破してしまう。注目を浴びたい気持ちが先行してしまって、ほかの子に譲ることを思いつかない。ほかの子がいじめられていることに気づかない、など。私は勉強しなくても(算数と体育以外は)いつもほぼ満点の好成績をおさめていました。発達障害の知識が普及していなかった当時ですから、周囲の大人が「こんなにできる子なのだから、社会的なルールだってよく理解できるはず→ 理解できているのにルールを破るような言動をするのだから、わざとだ」と、私に悪意があるように勘違いしてしまったのも無理はなかったのかもしれません。ただ、こちらはいつも精一杯誠実にまじめに生きているつもりなのに、周囲からわがままだとか性格が悪いだとか努力が足りないだとか言われつづけるので、そうとうに傷つきました。相手が子どもでも大人でも同じように接し、おかしいことにはおかしいと主張する私に、暴力や暴言といった虐待を行う担任教師もいたのです。また、口は達者ですが、動作はのろく、教室移動時などビリっけつ。体育のときはどこか変な動きをするらしく、よく周囲に真似されていじめられていました。算数にだけものすごい苦手意識を覚えていて、「国語で学年1位、算数で学年ビリ、平均がちょうどまんなか」という伝説を作ったこともあります。当時の小学校教育との相性の悪さ当時の小学校教育と私はとても相性が悪かったように思います。環境のしくみ自体が、私を不自由にし、苦しめるものでした。全教科を担任が教える学級担任制は、私には合いませんでした。たとえば、算数に強烈な苦手意識を持ったのはもしかすると、丸呑みさせられるような形で算数を教えられたからかもしれません。というのは、私はずっと算数や数学の成績がさんざんだったので、「私は計算が異常なほどできない」と思っていたのですが、30歳を過ぎて受けた知能検査の結果について、心理士さんから「数の処理の能力は普通程度。算数障害ということはないと思う」と指摘されたからです。思い出してみれば、小学校で算数を教えられたときはたとえば以下のような感じでした。「分数の割り算ではひっくり返してかけるのはなぜか、どういうしくみなのか」などと聞くと先生が「そういうものなんだ」などと言う。納得できないから質問しつづけていると「教師の指導は素直に聞くべきだ」などと怒りだす。そのうち私は「こういった疑問を抱くのはいけないことなんだ。こういった疑問から脱出できない私は算数に向いてないし、先生を怒らせる理屈っぽすぎるダメな子なんだ」と思い込むようになってしまいました。いま思えば「割り算はなぜひっくり返してかけるのか」の理屈は、先生本人がよく理解しないまま丸呑みで覚えてきたところで、自分のわからないところを繰り返し聞かれるのがプライドに障ったのかもしれません。だからといって指導者が子どもに対してこのように、子どもが理解できないのを子どものせいにしていいとは思いませんが。学級制自体も私と相性が悪かったように思います。学級制はそれぞれのクラスでがっちりグループができてしまい、その中で一度それぞれの立ち位置が決まってしまうと立ち位置を動かすことは容易ではありません。また、学級担任に嫌われてしまえば終わりみたいなところもありました。当時の私のように、場へのなじみにくさ、ときに大人から嫌われやすい要素を抱えた子にはなかなか過酷でした。私は個人的には、学級制を解体してしまえば、それぞれの子に多様な立ち位置や居場所ができて、いじめや、担任による虐待はほとんど解消するのではないかと思っています。当時私がいた地域でさかんだった管理教育も、私にとってかなり厳しいものでした。管理教育は、「いわゆる、『企業・団体の労働者として雇用しやすい、標準的な人』」を養成することがベースにある教育だと私は感じています。そこで、私のように標準的でない子はまず「矯正」の対象とされてしまうのです。なんでも「論理的な理由が納得できないと前に進めない」タイプだったので、「大人・目上の人の言うこと・決まっていることは素直に飲み込め」という指導とは相容れないものがありました。いま振り返って思うこといま振り返ってみて何度でも強調したいのは、「社会や周囲の大人にもっと発達障害についての知識が広がっていれば…」ということです。発達障害についての知識の普及も含め、私のような子どもがもっと多様な居場所や情報源に触れられる環境があったら良かったのに、と思います。当時の私には、学校と家しか所属できるコミュニティがありませんでした。趣味や習い事、部活に打ち込めるだけの余剰の体力がなかったことも災いしたと思います。当時からインターネットやフリースクール、さまざまな特性に対応する特別支援学級、たとえば情緒学級や通級、ソーシャルスキルを学べる療育施設などが普及しており、いろいろな居場所が気軽に選択できるような環境であれば、私はもっと違った人生が送れたことでしょう。いまの子どもたちには、私が子どもだったころと比べてずいぶん環境が整いつつあります。私は、いまの子たちを多少羨ましく思いながらも、希望を持って応援しているところです。困難を抱えた子どもたちが、少しでも楽に軽やかに人生を歩んでゆけますように。
2020年03月22日何をしたらいいのか分からない?Upload By 丸山さとこ家の中でお子さんと過ごすことも多いこの頃、時間も体力も持て余した子どものエネルギーをどう消費させるかに頭を悩ませる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ASD(自閉スペクトラム症)の子の中には、余暇を過ごすのが苦手な子がいるそうですが、コウもよく「何か楽しいことしたい」と言いつつ何をすれば“楽しいこと”になるのか分からず、気分が不安定になることがあります。「つまんなーい」とグダグダし始める内はまだよいのですが、次第に不安になったりイライラソワソワしだしたりします。一緒にいると私も何だか落ち着きません。お母さん(の気力体力)は、限りある資源!Upload By 丸山さとこ家で「何したらいいか分からない」になった時など、退屈や落ち着かなさを埋めるための「ねーお母さんお母さん」が止まらなくなることは多く、休日は私がグッタリしてしまうこともしばしばです。常にコウのペースと付き合っていては心身がもたないので、ゲームや動画鑑賞・読書・工作・図鑑の模写などの“1人でできる遊び”や簡単なお手伝いなどを提案しつつ、“お母さんの関わり度”が高い遊びは私が好きなことをするようにしています。体を使った遊び…のフリをした筋トレ達Upload By 丸山さとこ発達障害のある子どもは体幹が弱かったり協調運動が苦手だったりする子が多いといいますが、コウもやはりその辺りに弱さがあります。更に、親の私も成人の発達障害者として体幹や協調運動にまつわることが苦手だったりします。そんな私は筋トレをすることで姿勢を保ちやすくなります。コウも、姿勢を保つのに必要な筋肉が勝手についてはいかないようなので、一緒に筋トレをするようにしています。Upload By 丸山さとこヨガの立ち木のポーズや英雄のポーズ、プランク、アームレッグクロスレイズなど、“体幹やバランス感覚が弱いと保持するのが難しいポーズ”を一緒に行います。より長く立っていられた方が勝ち!…としても良いのですが、コウは勝負となるとムキになりやすいところがあります。一度勝ち負けにこだわり始めると筋トレを楽しめなくなってしまう時があるので、様子を見ながら勝負にしたり、「30秒キープしたらクリア」などの目標を設定したりして行うようにしています。Upload By 丸山さとこコウは足裏のアーチが自然にはできませんでした。全然歩かない子というわけでもないのですが、足裏を地面にドンドンとつく“幼児のような歩き方”をしがちなため、正しく足を使えないことからアーチが形成されないのだろうと思います。根本的には正しい歩き方を身につけることが必要ですが、必要な筋肉がないことで「正しい歩き方は難しいし快適ではない」と感じていると、中々正しい歩き方も身につき難いのではないか?と考え、遊びがてらトレーニングをしてもらっています。脱力もトレーニングのひとつ?Upload By 丸山さとこ筋トレをした後は、軽くストレッチをしてから「しかばねのポーズ」をとり、しばらく静かに脱力します。体幹はグニャグニャでも、首肩や手足は過剰に緊張していたりするコウです。そんな彼にとっては意外と難しい脱力ですが、筋トレ後は疲労のおかげで自然と脱力することができます。脱力した時の「リラックスした感覚」を体感していけたらいいなと思っています。親子でする筋トレは一石二鳥?Upload By 丸山さとこトレーニングを始めた頃は、姿勢によっては手を離した瞬間にコロンと転がったりしていたコウでしたが、コツコツと続けることで少しずつ長い時間キープできるようになってきました。足指でのジャンケンも、最初はチョキなのかパーなのか分からない動きしかできなかったところから「明らかにチョキ」「パーをしようとしていることは分かる」ところまで動かせるようになりました。グーも、以前より指の根元から握り込めるようになってきています。そして、私自身もコウの筋トレに付き合うことでサボり癖を防ぐことができています。親子で筋トレをすることで、「親と子それぞれの筋力キープ」と「一緒に何かをする楽しさ」の両方が得られて、一石二鳥で中々いい感じです!Upload By 丸山さとこ筋トレは体に良いものですし、体を動かす遊びは充実感があって楽しいものです。とはいえ、「今日はずっとノンビリ静かに過ごしたいな…」「ゴロゴロしながら相手をしてお茶を濁したいな~!」という時もありますね。私はしょっちゅうです。ということで、次回は「体を使わず、のんびりしながらできる室内遊び」について書いていきます。
2020年03月20日無料のハンドブックをぜひ活用して。発達が気になるお子さまのためのストレスケアブックを制作出典 : 休校措置が長引く中、自宅での学習や施設での長時間預かりなど「いつもと違う」日々を過ごすことで、ストレスを感じているお子さまは少なくありません。このような状況下で過ごすお子さまは、過度な不安感を持つ、衛生管理に過敏になる、こだわり過ぎるあまりに周囲への言動がきつくなってしまう…という状態になりがちです。自分と周りにとって辛い状況にならないよう、発達ナビでは「子ども専用の心と身体のケアブック(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策版)」を制作しました。放課後等デイサービスや、学童、学校、ご家庭でもご利用いただける無料のハンドブックです。お子さまへのストレスケアについて、小さなサインへの気づき方や関わり方の具体例などをまとめた記事とともにご紹介します。無料で使用できる「子ども専用の心と身体のケアブック」を詳しく知りたい方は特設サイトから!特設サイト
2020年03月19日家で過ごす毎日に...手先を使う遊びをやってみよう「ゲームやテレビもいいけれど...家の中でいつもと違った遊びはできないかな?」そんなときに家にあるものでできる、手先を使った遊びを動画でご紹介。小さなお子さんにも楽しんでいただける内容を集めました。遊びながらいろいろな感覚に触れたり道具を使ったりもでき、子どものスキルや好みにあわせて難易度の調整もできるところが手づくりならではのよさです。お子さんと一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。よく見かける小麦粘土、家にあるものでカンタンにつくれるんです。自分でつくると、つくる過程から楽しむことができます。サラサラした小麦粉、水を混ぜたらベタベタしてきて...混ぜていくうちに変化していく触感もおもしろいですよね。できあがった小麦粘土はたくさん触って、いろいろなかたちをつくって遊んでみてください。過敏さがあって触るのが苦手なお子さんは、手袋をつけたりスプーンなどの道具を使ったりして、直接触らずに遊んでみることもできます。好きなイラストを描いた台紙に洗濯バサミをたくさんつけて、指先の力を使いながら遊ぶことができる手づくりおもちゃです。イラストは大人が描いて、「洗濯バサミをつけたら何になるかな?」とお子さんに想像してもらいながら楽しむのもよし、好きなイラストをお子さん自身が描くのもよし!厚紙でつくると繰り返し遊べます♪折り紙は見本通りに折る必要があって、手先が不器用だと難しいですよね。でも、切って飾りをつくるのであれば、折り紙への苦手意識があってもチャレンジできるかも。切るたびに違う模様ができあがって自由に取り組めるので、どんなかたちになるかワクワクしながらつくることができます。たくさんつくったら、飾りとして家の中に貼るのもいいですね。
2020年03月19日長男入学時、初めての保護者説明会でのこと長男が特別支援学校に入学して、初めての保護者説明会のこと。「入学後に必要なものリスト」という資料が配布されたのですが、その中に「個人備蓄品」とありました。何だろうそれ、頭の中が?です。通常学級に通う双子の次男が入学した学校では、そのようなものはなかったからです。すると先生から説明がありました。「特別支援学校には通学バス、あるいは公共交通機関を使って遠方から来ている子どもたちが多いです。万が一地震などの災害が起きて交通インフラがストップした場合、親御さんが引き取りにくることが困難になるかもしれません。3日間は学校で過ごせるように、各自非常食を3日分用意してください」Upload By シュウママそういうことか、と納得しました。けれど非常食はどのようなものを用意すればいいのか分かりません。好き嫌いの多い長男に合うものはあるだろうか、そう思っていたときでした。先生が机の上に何やら並べはじめたのです。種類もさまざま!どれが子どもの好みなのかそれはいろんな種類の非常食でした。Upload By シュウママ乾燥したお餅とセットされた水、そしてあんこやきなこ顆粒をふりかけるタイプのもの(トレーや箸もついています)、袋を開けてすぐ食べられる煮込みハンバーグやおでん、肉じゃが、あるいはビスケットにつけるチューブ入りのチョコなどいろいろあります。先生はそれを袋から出して皿にあけ「試食して、これを参考にご家庭で準備してください」と言われました。私も試食したのですが、食べてびっくり!非常食はパサパサしていると思い込んでいたのを覆し、なかなかに美味しかったのです。Upload By シュウママちょっと多めに非常食を取り寄せて、食べさせてみる私はさっそく非常食を取り寄せ、長男に食べさせてみました。自閉症で好き嫌いの多い長男のこと、やはり試食させて正解!食べられないものも何点かありました。けれどあんこの入ったお餅は気に入ったようで、パクパク食べること食べること。Upload By シュウママそれと何点か長男の好きそうなものを学校から配られた非常用持ち出し袋に入れました。この非常用持ち出し袋は毎年、学年末に学校から戻されて中身を確認します。そして賞味期限の切れそうなものは都度入れ替えます。4月で6年生になる長男。今年もまた非常用持ち出し袋が戻ってきました。他にもある!特別支援学校での取り組み長男が通う特別支援学校では、他にも防災訓練の一環として、学校の体育館、教室、テントなどで生活する体験会を計画しているようです。発達障害のある子どもは予想外の事態に柔軟に対応することは難しいと思います。そういった取り組みはとても必要でありがたいことだなと思います。自宅でも、食料品や水をストックしているのですが、これは地震が起きたときに使うものだよと長男に説明しています。さて、あっという間に小学校最後!の年がやってきました。大きくなった長男、どれくらいの量食べられるだろうか、そんなことを考えながら、新しく買った非常食を詰めている母なのでした。Upload By シュウママ
2020年03月18日前回までのあらすじむっくんが小学校進学後に在籍する学級に悩み、就学相談を受けた私たち。むっくんの特性を客観的に考え、担当者との面談を経て、「むっくんに用意したい環境」をイメージすることができるようになりました。小学校訪問そして、いよいよ小学校訪問です。当日は私、夫、むっくんの3人で小学校を訪問。校長先生とゆっくりと話す機会はなかなかないので、貴重な1日になりました。Upload By ウチノコ自閉症・情緒障害特別支援学級の見学むっくんの小学校は自閉症・情緒障害特別支援学級2クラス、知的障害特別支援学級が1クラスあり、定員は各クラス8名、先生は5名につき1人という規定で運営されていました。まずは特別支援学級3クラス合同の体育の授業を見学。1年生から6年生まで、情緒障害特別支援学級の子も、知的障害特別支援学級の子も交ざっての体育は発達や感覚統合の考え方を取り入れてある内容もあり、見学して初めて小学校でもこういう取り組みがあることを知りました。次に自閉症・情緒障害特別支援学級の教室の見学です。教室にはあちこちに子どもたちのための合理的配慮が取り入れてあり、TEACCHを使った支援が掲示してあったりと、工夫の様子を見ることができました。これらは話だけでは分かりえなかった情報で、見学することはとても大切だと感じました。むっくんの通う小学校は特別支援教育にとても力を入れている様子で、校長先生自身も発達障害に対する知識をしっかりお持ちで、質問に対しても専門的に回答していただくこともできました。ここまで熱心に取り組んでくれている小学校もあるのかと、涙が出るくらい嬉しく同時にとてもホッとしたのを覚えています。Upload By ウチノコ通常学級の見学通常学級の見学ではむっくんも授業に参加させてもらい、楽しい時間を過ごすことができました。発達障害の勉強をされていらっしゃる先生も、まだ経験不足を感じる先生もどちらも見ることができ、先生によってクラスの雰囲気が異なる様子を体感。これはむっくんの進路を考えるうえで大きな情報になりました。知識のある先生のクラスでは、できる限りの環境調整もしてあり、通常学級での努力も知ることができました。ひょっとしたらむっくんは通常学級に通うことができるかもしれないなぁとも感じましたが、なんとか通常学級に適応できたとしても集団活動に苦手意識のあるむっくんにとってその環境が幸せなものであるかは疑問だとも思いました。Upload By ウチノコ進路決定学校からは、「どちらに決めてもいつでも進路を変えることはできる。しかし年度途中で通常学級から特別支援学級に変更する場合、先生の人数を急に増やすことは難しいので、理想的な環境をすぐに用意できないケースもある。逆に特別支援学級に籍を置いて、ほぼ100%通常学級に通う子もいる。こちらのケースの方が学校としては環境は整えやすい。」という運営上の事情も正直に教えていただきました。おかげでむっくんの小学校では通常学級よりも、特別支援学級のほうが汎用性が高いことも理解できました。以上を踏まえて、現在のむっくんに少人数でひとりずつ向き合ってもらえる特別支援学級の方が向いていると確信しました。相談しやすい小学校の雰囲気を感じ、成長による変化があればまたその時々で相談しようと思えたことで私の気持ちも楽になりました。そして何より、特別支援学級の丁寧な運営が「私も通いたかった!」と思うほどだったことで、私は安心してむっくんの進路を自閉症・情緒障害特別支援学級に決めることができました。Upload By ウチノコむっくんの気持ちを確認する私の気持ちが決まっても、通うのはむっくんです。私とむっくんは「どちらに通いたいか?」という話を学校訪問前から度々交わしており、むっくんの気持ちは「今は自分で決められない」ということだと確認してありました。見学後もむっくんの気持ちに変化はないよう。そこで、私の思いを正直にむっくんに伝えました。すると、むっくんなりに理解してくれたようで、お互い納得のうえ、1年生は特別支援学級の希望を出すことになりました。Upload By ウチノコ就学相談を終えてここ数年、私の頭の中はむっくんの小学校での進路でいっぱいでした…。今思えばあれこれ考えるよりも早く見学に行っていたらよかったなぁと思います。百聞は一見に如かずとはよく言ったもの。実際見学し、先生方と直接不安について話せたことで、頭の中で思い描いてたモヤは晴れ渡りました。子どもにとって良い選択を、と求められたところで、その答えはずっと先にならないとわかりません。特別支援学級にした方が良いと言われながら通常学級にきめることもありです。また通常学級と言われながら特別支援学級にすることもありです。もっとほかの道を模索することもありです。違うなぁって思ったらまたそこで立ち止まって考えたらいいと思っています。私は特別支援学級と決めましたが、今後問題が起こらないわけでもないし、そもそも集団が苦手なむっくんが小学校に通い続けるかすらわかりません。きっとむっくんの小学校生活は驚くような出来事でいっぱいで、その度に先生たちと相談し合うことになると思っています。だけど、私が自分でしっかりと考えて決めたのだからこれがいいのだ。何が起こってもなんとかなる!という覚悟をきめて、私なりにむっくんの小学校生活を支えられるよう頑張っていきたいと思っています。
2020年03月17日「逃げる・噛む・暴れる・口を開けない」。嫌がる子どもの歯磨きを変える歯ブラシがあります。「そもそも口を開けてくれず、歯磨きの体勢にすらならない…」「歯磨きはさせてくれるけど、途中でふざけたり暴れたり…」「歯磨きを最後までさせてくれず、磨きのこしがある」毎日の子どもの歯磨きで、このような悩みを持たれている発達ナビユーザーの方は多いのではないでしょうか?子どもにとっては一定時間じっとしていなければいけない歯磨きは、大人が想像する以上にハードルが高いもの。かと言って歯磨きを諦めてしまうのは虫歯も心配だし、暴れる子ども心を鬼にして歯磨きをすることは、おうちの方にとっても負担の大きいものです。そんな大変な親子の歯磨きを、楽しい時間に変えてくれる歯ブラシがあります。Upload By 発達ナビ編集部「Sony Startup Acceleration Program」を通じて、京セラ株式会社とライオン株式会社が共同開発した子ども向け仕上げ磨き専用歯ブラシ「Possi」。こちらの動画では、「Possi」が変えていく親子の歯磨きの未来が描かれています。「Possi」はブラシの振動による骨伝導で、歯を磨いている間だけ音楽が聴こえる設計になっています。大好きな曲をスマートフォンなどで流してあげることで、大人しく歯を磨かせてくれる状態を目指す歯ブラシです。Upload By 発達ナビ編集部子どもが好きな音楽を聴くために、口を開けてくれる。今まで大変だった子どもの歯磨きが、なんだか楽しい。そんな風に、みんなを笑顔にしてくれるのが「Possi」です。クラウドファンディングでは2か月間で目標額2000万円を達成し、親子の大きな期待と共に今後一般販売されていきます。Upload By 発達ナビ編集部自主的に歯磨きしたくなるように、子どもの好きな曲でプレイリストを作ってみてください。また、ブラシを子どもが噛んでしまったらミュートボタンで音をストップすることで、「ブラシ噛んだから音が止まっちゃったよ」とスムーズに口を開けるためのコミュニケーションをすることもできます。暮らしに馴染むようなデザインに仕上げ、細かな所まで親子のための設計が行き届いた「Possi」。この歯ブラシには、開発者の「親子の歯磨き時間」に対する想いが丁寧に込められています。「歯磨きを親子の楽しい時間にしたい」。自身も歯磨きで苦労していた開発者の願い。「子どもが通っている園の中でも、『虫歯ができた=親がちゃんと子育てしてない』となってしまうような風潮があって、それってとても辛いことだなと感じていました」3児の父親でもあるプロジェクトリーダーの稲垣さんは、子どもの歯磨きで毎日苦労していました。嫌がる我が子に無理やり歯磨きをしなければいけないことに頭を悩ませる日々。決してサボッている訳ではないのに、もし虫歯ができたら親子の関係性にまで拡大解釈して見られてしまうようなことにも。多くの親が大変な思いをしている歯磨きですが、当時はこの課題について解決してくれる商品が見つかりませんでした。1日の中でお風呂と同じくらい子どもとのコミュニケーションの時間となる「歯磨き」を、もっと楽しいものにすることはできないだろうか。Upload By 発達ナビ編集部「育児に参加できないパパたちにこそ「Possi」を使ってほしいと思って、開発をしてきました」稲垣さんの描く未来に、京セラ、ライオン、ソニー3社の想いも重なり、オープンイノベーションで「Possi」の開発が進められます。その中でも稲垣さんが大切にされたのは、パパでも歯磨きに参加しやすいこと。シンプルで使いやすい設計で、役割が限定されがちなパパが育児に参加するきっかけにもしたいと考えていました。自身と同じく歯磨きに苦労しているパパにとって、子どもとの歯磨き時間を今よりもっと豊かにしたい。開発途中では体験イベントも実施し、最初は半信半疑だった保護者の方からも喜びの声が寄せられることで、自信に繋がったといいます。クラウドファンディングでも約1300人の方の支持を集めたことで、その自信は確信へと変わっていきました。Upload By 発達ナビ編集部「「Possi」は単なる歯ブラシではなく、親の気持ちにゆとりをつくってくれるもの。今しかない親子の歯磨きの時間を、楽しく過ごしてほしいです」歯磨きという日々のルーティンに楽しいコミュニケーションが加わることで、きっとその時間は親子にとってかけがえのない時間になるはず。「Possi」には生活習慣としての歯磨きの域を超え、親子の関係性や一緒に過ごす時間までをより良く変えていきたいという願いが込められています。毎日大変な思いをしていた「歯磨き時間」が楽しく変わることで、どれだけ親の心に余裕が生まれ、子どもの笑顔が増えていくでしょうか。そんな「Possi」をもっとたくさんの人に使ってもらいたい。稲垣さんの想いを受け、今回特別に、発達ナビで先行モニターを募集いたします。発達ナビユーザーに嬉しいお知らせ!一般販売に先駆けて「Possi」を使ってみませんか?今回、「Possi」のモニターにご協力いただける、2〜12歳のお子さまの保護者20名を募集いたします。ご家庭で「possi」を使っていただき、どのように役立ったか教えてください。ぜひこの機会に、「歯磨きが親子の楽しい時間になる」という体験をしていただければと思っています。■調査概要【対象】2〜12歳のお子さまの保護者【人数】20名程度【「Possi」使用期間】2019年4月25日~5月8日の14日間※期間は変更する場合がございます【条件】「Possi」モニター募集につきまして、①特別な理由がない限り、2週間使い続けるお約束ができる②事後アンケートへの回答が可能③モニター終了後に必ずご返却いただく④Possiは仕上げの歯磨き用なので親子でご利用いただくことを推奨している商品である⑤アンケートの内容やエピソードは匿名で開示する予定です(Possiのホームページ、パンフレット等、SNSやオウンドサイト、その他プロモーション利用)。という5つの条件に該当しますか?【調査の流れ】・モニターをお願いする方に郵送で商品をお送りします。・商品到着後、ご自宅でご使用いただきます。・調査期間終了後にWEBアンケートへのご回答をお願いいたします。なお、アンケートの内容は匿名で開示する予定です(コクヨ株式会社のホームページ等、SNSやオウンドサイト、その他プロモーション利用)。・今回モニターで使用する「Possi」はテスト用商品のため、調査期間終了後、ご返却いただきます。【応募〆切】2020年4月9日(木) 18:00※応募者多数の場合、応募時に頂いた情報を基に選定させていただく場合がございます※当選のご連絡は、商品の発送をもってさせていただきます。【費用】無料すでに活用された方からも、喜びの声が届いています。■2歳の女の子のママ【使用前】「歯磨きはときどき嫌がります。そういうときは『虫さんがいるよーやっつけよう!』と言って、なかば無理やりやってますね。パパがやったときにすごく痛かったことがあったみたいで、それ以来はママがいいと言われますが、なかなかうまくやらせてもらえなくて・・・」【使用後】「はじめこそ嫌がっていましたが、少し体験したら、落ち着いてきました。いつもより全然素直にやらせてくれました!助かります!」■1歳の女の子のママ【使用前】「自分で磨くのはやってくれるんですけど、仕上げ磨きをしようとするとめちゃくちゃ嫌がります。もう毎日ギャン泣き(苦笑)なかなかさせてもらえないので、だいたい押さえつけたり、羽交い絞めみたいな状況でやるのですが、こっちも力が入っちゃって血が出ちゃうこともあります」【使用後】「全然おとなしくてびっくりです。こんなに変わるとは・・・。これは感動しました」後日、ママから「Possiを一度体験してから、歯磨きへの抵抗が少なくなったみたいで、やめると、もっともっとって言うようになりました」と連絡がきました。多くの方々のご協力をお待ちしております!
2020年03月16日神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ブロッサムジュニア川崎平間教室は、2020年4月オープンの新しい施設です。感覚統合やソーシャルスキルなどのさまざまな集団プログラムから、お子さんに合わせた個別プログラムを用意しています。個別プログラムでは、お子さんの様子を別室でモニタリングすることが可能。また、土日や長期休暇も利用可能となっています。『笑顔で咲かせる、ひとりひとりの「できるよろこび」』を理念に、「できた!」という体験を積み重ねながら、経験豊富なスタッフがお子さんをサポートします。神奈川県の放課後等デイサービスをもっと見る神奈川県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報ブロッサムジュニア川崎平間教室では、感覚統合・知育・ごっこ遊びなど、豊富な集団療育プログラムを行っています。また個別療育では、それぞれのお子さんに応じたオーダーメイドのプログラムを作成しており、マンツーマンで療育を行うための専用ルームも用意。オープンは2020年4月を予定しており、3月には見学会等も開催予定です。経験豊富なスタッフが保護者に寄り添い、教室での様子やご家庭での過ごし方などを一緒に考える、親子で安心できる教室づくりをしています。Upload By 発達ナビ施設情報ヨリドコロ横浜三ツ沢は2020年4月オープンの新しい施設です。色彩をベースとしたアートデザイン療育中心のカリキュラムを通して、お子さんの表現力や想像力を培い、無限の可能性を引き出すサポートを行います。保護者と一緒にお子さんにとって何が一番良いのかを考え寄り添うスタッフが揃っており、お子さんと共にアートを完成させることでできた喜びを共有、自信に繋げることができる環境を提供します。食育の観点から、毎回おやつ作りも実施。三ツ沢下町駅から3分の距離とアクセスもよく、近隣地域の送迎にも対応しています。神奈川県の児童発達支援事業所をもっと見る大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報あっぷるtreehomeでは、お子さんの特性をとらえる中で、お子さんに合ったさまざまプログラムが用意されています。つまずきや学習効果を分析し発達段階に合わせた学習支援ができるiシステムの導入や農業体験や地域交流などを通して、お子さんの成功体験を増やします。施設内には茶室や習字ができる環境も用意。児童発達支援に通うお子さんと同じ空間で活動し、年下の子の面倒を見る中で、責任感や思いやりの心を養います。Upload By 発達ナビ施設情報かけはしは発達障害はもちろんのこと、重症心身障害のあるお子さんも利用できる施設です。看護師が在籍しているので、医療的ケアにも対応できます。曜日ごとにカリキュラムを組み、音楽療法士による音楽療法、室内サーキット、創作活動などの活動を行っています。近くには公園や畑があり、野外での集団遊びや、季節に応じた農作業もしています。定期的に行う保護者との面談では、「今、この力をつけたい」「ここに困り感がある」などの想いをくみ取り、支援に繋げています。大阪府の放課後等デイサービスをもっと見る大阪府児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報あっぷるtreehomeは幼児から取り組めるプログラミング、ロボット教室、学習、運動、外出などさまざまなプログラムで、自主性や生活能力を培う施設です。お子さんの特性をとらえるため得意・不得意をグラフ化し、そこから支援計画作成、自宅での取り組みについても一緒に考えていきます。また、放課後等デイサービスに通うお子さんと同じ空間で活動することにより、年上の子の真似をしていろいろなことにチャレンジしたり、年下の子との関わり方を学ぶ機会を作っています。Upload By 発達ナビ施設情報かけはしは「集団活動」「個別活動」「日常生活動作訓練」の3つを軸としたプログラムを用意しています。作業療法士などの専門資格を持ったスタッフも多数在籍しており、重症心身障害のあるお子さんも利用できるような、医療面の手厚いサポート体制も整っています。少人数制のため一人ひとりにきめ細やかな指導が可能で、お子さんごとに目標を立て、スモールステップで目標達成できるよう日々療育を行っています。大阪府の児童発達支援事業所をもっと見る「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2020年03月16日きょうだい児への支援を考えるお子さんの発達の心配や育児の悩みをサポートする「発達障害児家族支援講座」。第4回目は、「きょうだい児の気持ちって?~当事者の経験から~」をテーマに、・きょうだい児支援の現状・きょうだい児当事者の話・参加者の皆さま同士のグループトークを実施。LITALICOジュニアのジュニアサポート室・井田と、LITALICOジュニアで指導員をしている4名がきょうだい児当事者として登壇しました。障害のある子がきょうだいにいる子どものことを、「きょうだい児」と言います。初めに、きょうだい児支援の現状について確認しました。厚生労働省の「放課後等デイサービスガイドライン」に、父母の会の活動を支援したり、保護者会等を開催したりすることにより、 保護者同士が交流して理解を深め、保護者同士のつながりを密にして、安心して子育てを行っていけるような支援を行うことも望まれる。家族支援は保 護者に限った支援ではなく、きょうだいや祖父母等への支援も含まれる。特にきょうだいは、心的負担等から精神的な問題を抱える場合も少なくないため、例えば、きょうだい向けのイベントを開催する等の対応を行うことが望 ましい。と書かれているように、家族支援を行うことが望ましく、また家族支援には保護者だけでなく、障害がある子のきょうだいも含まれると書かれています。しかし、キャンプ等の居場所づくりや成人後の語り合いの場等が少しずつ始まっているものの、きょうだい児への支援は制度化されていないのが現状です。気を付けたいのが、きょうだい児の支援は、お子さんやご家庭の状況に合わせて考えてみることが大切だということ。「こうするのが正解」というものはありません。きょうだい児の気持ちきょうだい児がどんなことを感じているのか、気になるけれど直接聞くことができない、ほかに知る機会がないというお声をよく聞きます。今回の講座では、きょうだい児についてそれぞれのご家庭で考えるときの参考としていただくために、LITALICOジュニアで指導員をしている4名が、発達障害や身体障害のあるきょうだいがいる、きょうだい児当事者として話をしました。その一部をご紹介します。「今の仕事に出会えたこと。少しでも人の役に立てている実感や、やりがいを持ちながら仕事ができています。きょうだいがいることが仕事の活力になっています」「福祉の道に進もうと思ったきっかけをくれたことです。また、(障害のあるきょうだいがいることで)大人との関わりが多くあり、きょうだいのおかげで出会えた人たちがたくさんいます」「この業界を知り、働くことができていることです」「世の中にはいろいろな人がいることに早くから気付くことができました。先回りして行動する力が付いた気がします」「1対1で出かけたり、遊ぶ時間を設けてくれたりしたことが嬉しかったです。きょうだいともいろいろな場所へ連れて行ってもらい、さまざまな体験ができました」「自分の将来のことを全力で応援してくれました。常に(障害のある)きょうだいと同じように自分のことも大切に思い、対応してくれていたことが嬉しかったです」「行先は限られ、外出先も近場が多くはありましたが、きょうだいも一緒にいろいろな場所に連れていってもらえて楽しかったです。きょうだいの体調不良で急に予定が中止になることもありましたが、違う形で時間を作ってくれました」「家族の1番は常にきょうだいだと感じて、自分だけを見てほしいと思ったことがあります。母がきょうだいの入院に付き添っていていないことが多くあり、寂しい思いをしました」「『きょうだいは~だから仕方ない』『あなたが我慢しなさい』という気持ちを、なんとなく感じることがありました」「使えるサービスや資源をできるだけ活用して、頑張りすぎないで欲しいです。きょうだい児だから...と考えすぎないでいただきたいです」「保護者さまとお子さんの心身の健康を1番にして欲しいです。『頼れる人・場所・情報』をたくさん作っておいていただくといいと思います」「母を見ていて思うことは、保護者同士の繋がりが心の支えになっているということです。きょうだいが特別支援学校を卒業して10年以上経ちますが、まだ繋がりがあると聞いています。学校の仲間や通所先の仲間が多いと、保護者さまも心強いと思います」「中学生のときに詳しい話を聞きました。後から母に聞いてみたら、私がきょうだいについて質問するのを待っていたそうです。私自身は小学校2年生ぐらいから、他の家族との違いを感じ始めていました」「中学2年生ごろです。詳しいことは大人になってから聞きました。保護者さまからご質問いただくことがあるので、母に聞いてみたら、『いつ・どうやって』伝えるのが良いのか悩んだそうです。特に見えにくい障害だと、伝えるタイミングに悩まれるかと思いますが、私自身は保護者さまが伝えたいタイミングで良いのかなと思います」「きょうだいの身体の障害について小さいころから気づいていたので、母や父になんとなく聞いていたと思います」「両親は都度、私の質問に答えてくれていました。詳しく聞いたのは、高校生~大学生のころです」きょうだい児支援の講座を終えてUpload By 発達ナビ編集部きょうだい児にスポットをあてた場はまだまだ少なく、アンケートでも「当事者の方のお話を聴ける機会はなかなかないので、とてもよい時間でした」というお声をいただきました。今回お話してくださった方のお話は、それぞれ違う境遇や思いがありながらも、共通する部分があったのではないかと思います。「きょうだい」としてではなく、ひとりのお子さんとして接することや、1対1の時間をつくることの大切さ、ネガティブな出来事はゼロにはできないが、家族の楽しい時間を増やすこと…具体的なエピソードは違いますが、どの方にも参考にしていただけると思います。アンケートでも、「小さいころはよいこと嫌なことがあると思いますが、それを引け目に感じることがない工夫をしてあげたいと思いました」というお声をいただきました。また、当日は保護者さま同士のシェアもとても盛り上がりました。お話の中にもあったように、保護者さまの相談できる場所を増やすこと、心身の健康を保つことが、ご家族、ひいてはきょうだい児のためにつながっていくと思います。
2020年03月14日息子が警察を恐れる理由は…『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。息子を叱るときに、悪いことをしたら警察に逮捕されるよ!などと言った覚えはありません。でも息子は警察を「市民を守ってくれる存在だ」とは思っておらず、「僕を逮捕しにくる怖い存在」だと感じているようです。なぜ、怖がるのか考えてみました。そして2つの理由に思いあたりました。1つ目は、息子は、以前パニックを起こしたときに近くに止まっていた車を蹴り、「警察を呼ぶぞ!」と怒鳴られた経験がある。なので、ニュースで「○○の犯人が警察に逮捕されました。」と流れると、犯人側の立場に立ってしまうのかもしれないこと。2つ目は、自閉症で知的障害がある友達(30代の男性)が、悪意なく「遊びたい」という気持ちで幼い子に近づいたら、110番されて、警察に連行されたことを知っていること。Upload By 立石美津子毛玉を取ったら逮捕される!?昨年、特別支援学校で保護者と警察との交流会がありました。ある母親が「うちの子は毛玉にこだわりがあり、電車内等で周りの人が来ているニットに毛玉がついていたら、きっと毛玉を取ろうとすると思います。痴漢扱いされ逮捕される可能性はあるのでしょうか」と質問しました。警察は「あくまでも相手が嫌な思いをしたら、障害児であっても逮捕される可能性はある。犯意があったかどうかが焦点となるが、障害があるから絶対に逮捕されないということはない」と答えました。息子は幼いころ、あるブランドのバック、それもベージュのロゴに執着していました。(私はそのブランドのバックを持っていなかったのですが、なぜかこだわっていました)電車内でそれを持っている女性を見ると、ペタっと触りに行きました。当時は幼かったので許されていたのでしょう。幸い現在はそのこだわりはないのですが、19歳の今もこれが続いていたら、スリと思われ通報されていたかもしれません。人づてに聞いた話です。「人に会ったら挨拶しなさい!」としつけられていた自閉症の人がいました。その言葉に素直に従っていました。そして、夜道で誰もいない場所で女性に「こんにちは」と声をかけました。相手は恐怖を感じてしまいました。空いているバス、乗客はたった3人でした。そういう場合は大抵、わざわざ奥から詰めないで、ガラガラの車内にバラバラに離れて座ることが多いですが、「奥から順番に座りましょう」「座席は詰めて座りましょう」と学校で教えられてきたルールを遵守して、女性の横に間をあけずに座りました。空席はたくさんあるというのに、見知らぬ男性がすぐ横に座ってきたので、当然、女性は恐怖におののきました。Upload By 立石美津子毛玉を取りたいというこだわりがある人、教えられてきたルールの応用ができない人…これらのことで注意されたら混乱し、また警察を怖がることにつながってしまうかもしれません。オウム返しで誤認逮捕の可能性も…?発達障害の人が逮捕されたとき、誘導尋問にかかりやすいと聞いたことがあります。逮捕された場合…刑事「君がやったんだね?」本人「君がやったんだね」のように完璧なオウム返しをすれば、「あれ、おかしな日本語だな、もしかしてこの人は自閉症かな」と知識がある刑事はわかるかもしれません。また、大人になってもこの状態だったら、おそらく療育手帳を幼児期から持っているでしょう。これで障害者であることが証明されます。けれども、知的障害が軽度で手帳を持っておらず、刑事の言葉の後半部分、更に「ね」を省略して「やったんだ」とオウム返したり、刑事から「君がやったんだね」と詰め寄られ、条件反射で「やりました」と反応したりしたら?もしかして、誤認逮捕されるかもしれません。日本の福祉は自己申告制です。親が我が子の障害に気付いて積極的に動くことで取得できます。療育手帳が取れなくても受給者証などを取って福祉とつながり、発達の凸凹があることを第三者に知らせておくことが大切だと思いました。参考:罪を犯した知的・発達障害者への弁護活動を通して思うこと|「ノーマライゼーション障害者の福祉」2011年4月号李下に冠を正さず警察官も痴漢と間違われないように“李下に冠を正さず”で、電車に乗るときは、手を上にしたり、自分の胸の辺りで組んでいたりするという話がありました。「疑われるようなことはあえてするな!」ということです。「毛玉を取るのは自分とお母さんのニットだけにしよう」「空いているバスの場合は知らない人と離れて座ろう」「同じマンションに住む人にはマンション内では挨拶しても、外で知らない人には挨拶しないようにしよう」など具体的に教えていかなくてはならない、と感じた警察の方を交えての交流会でした。
2020年03月13日「困りごと」を誰かに伝えることはおとなになっても難しい出典 : 発達障害の診断を受けてから、発達障害当事者としてインタビューを受ける機会が何度かありました。そこではおおむね、当事者として発達障害の「困りごと」についてお話をすることが多いです。しかし、たとえば以前視覚過敏についての「困りごと」を聞かれたとき、私はうまく答えることができませんでした。というのも、“視覚過敏がない状態では周りの景色がどう見えるのか”を知らないため、何をどう伝えればいいのかうまく考えをまとめることができなかったからです。視覚過敏がある状態が私にとっての通常の見え方なのです。結局その場では、強い光を浴びると目が開けられないとか、夜は街灯や車のライトが拡散して見えるといったお話くらいしかできずにインタビューを終えました。これをきっかけに、こういう「周りからは困っていそうに見えるが、本人はそれに気づいていない・あるいはうまく説明できないこと」というのは多いのではないかと考えはじめるようになりました。そこで今回は、世の中でいわれている発達障害の特徴や困りごとと、自分が実際に感じている困りごとについてを書き出してみようと思います。多分疲れやすいほうだし、そもそも自分の疲れぐあいに気づけない出典 : さまざまな本やホームページなどをみてみると、“発達障害当事者は疲れやすい”と書かれることが多いと感じています。私も体感として、毎日仕事が終わって家に帰るとぐったりしてしまって何もできない時間が数時間あるし、自分はかなり疲れているんだろうなと感じています。その疲れやすさが他のひとと比べてどうなのかと聞かれると、「言われてみれば自分は疲れやすいのかなと思う。ただ、他のひともこのくらい疲れるだろうと考えているので、自分が特別疲れやすいのかどうかはどうにも判断できません」という回答になります。そもそもこのくらいの活動をしたからこのくらい疲れているかな?などと他人の疲れ具合を想像することも難しいので、比較して考えることも難しいのです。また、自分自身だけに視点を向けて、自分の疲れについてどう認識しているか聞かれるとすると、「多分いま疲れてると思うけど、正直よくわかりません」という回答になります。そもそも自分の状態に気づくということがとても苦手なのです。たとえばお酒を飲んでいるときも自分がどのくらい酔っているのかわからずに飲みすぎてしまったり、体調が悪いときに自分に食欲があるのかがわからなかったりします。周りから見ても明らかに足元がフラフラしてからようやく酔っていることに気づいたり、すぐにお腹がいっぱいになって全然食べられなくなってから初めて食欲がなかったことに気づいたりします。発達障害の当事者(というか私自身)が疲れやすい原因として、この「自分の状態に気づけない」というところも大きく影響しているのかなと感じています。自分の疲労に気づけないためにペース配分を考えなかったり休憩をとらなかったりして、エネルギーを使いすぎてしまうという側面もあると考えているからです。発達障害のない人は、自分の体調に自分で気づいて適切にコントロールしていることが多いのかなと思います。それができる人から見ると、私のようにペース配分ができず疲労を溜め込んでいる人は「疲れやすい人」に見えるのでしょう。空気を読めない・・・の背景にあるもの出典 : これはASDの特徴になりますが、「周りの空気を読めない」とか「人の気持ちを想像できない」というものがあります。周りから見るとたしかにそう映るのだろうなと思うところではあるのですが、私としてはちょっとニュアンスが違うのかなと感じています。私の場合、子どものころは「他人の気持ちが存在することを想像していなかった」ということはありましたが、思春期のころからいまもずっと周りの空気がどういう状態かとか、自分がどう振る舞うべきかを自然と察することが難しく、毎回意識的に考えるようにしています。考える練習を繰り返してきて、「何かやらなければいけない場面である(どうすればいいかはわからないけれど...)」ということと「結果、その場面がどうなったか」はある程度適切に理解できているのではないかと自分では思っています。しかし肝心の「自分がどう行動するのがその場にふさわしいのか」というところのすれ違いが本当に多いです...結果として周りからは「空気を読めない」とか「人の気持ちを想像できない」というように映るのかなと思います。空気を読んだつもりが…新入社員時代の失敗たとえば私が新卒で入った会社でのできごとなのですが、入社してすぐに新人研修が開催されました。その研修講師の方は私たちの上司や同期にもウケがよかったこともあり、研修の全日程が終わったあとに新人主催で講師を交えた飲み会が開かれました。半月後、別の研修があったのですが、その講師の方は私たちの上司や同期からのウケがあまりよくありませんでした。ところが「この前は飲み会があったし、今回もやるんだろうな」と思った私は、講師の方に「今日の飲み会はいらっしゃるんですか?」とダイレクトに質問してしまいました。慌てて他の同期がフォローしていたのですが、後日その同期から「きみが空気読まずに講師の方に飲み会の話をするからびっくりしたよ」と冗談交じりのクレームを受けました。私としては『研修が終わったら講師を交えて飲み会をするもの』なのかなと思っていたのですが、いま振り返ってみると私たちの上司や同期が“一緒にお酒を飲みたいなと思うかどうか”がポイントだったのです。そのとき私以外の社員の中では「今回の講師は一緒に飲みに行きたいタイプの人ではないな」という空気ができていたようなのですが、私は全く気づいていませんでした。私なりに新人として研修後の飲み会のことで率先して動いたつもりが、そのときの周囲の気持ちとはズレた行動になってしまったのです。発達障害のない人は、自分自身から一歩離れて客観的に考えて状況を把握し、適切な振る舞いをすることが自然とできるのだと思います。当事者である私も適切に状況を判断しているつもりなのですが、もしかしたら自分の疲れに気づけないのと同じように、周りの状況にも気づけていない部分がたくさんあるのかもしれません。私の本当の困りごとは「周りの状況を適切に把握できないこと」なのか「自分が適切だと考えている振る舞いが実際には適切ではないこと」なのか、あるいはその両方なのか。正直なところ自分ではわかりませんし、周りから見たら結果としては同じ「困りごと」として映ることでしょう。自分のことに気づききれていないこと、周囲の状況を適切に捉えられていないかもしれないこと。それぞれ解決していくとしてもまったく異なるアプローチとなってしまうため、ひとりで克服していくのはかなり難しいなと感じています。周りから見える困りごとの奥に本当の困りごとがあるかも?出典 : ここまで私自身が感じている困りごとについて書いてきましたが、もしかしたらこの記事を読まれている方の周りにいる当事者の方も同じように、周りから見えている困りごとと本人が感じている困りごとが、実はちょっと違うことがあるのかもしれません。表面化している事象だけでなく、根底にあるその人の特性や苦手に関してのサポートが必要な場合もあります。当事者をサポートしていてあまりサポートの効果がないなと感じるような場合、もしかしたら当事者の方が本当に困っている部分とサポートしている部分がずれているのかもしれません。そのような場合、その困りごとに直面しているときに本人がどう感じているのかを確認したり、普段の様子を観察して他に困っているポイントはないかを探ったりすることも必要かもしれません。当事者としてもこのあたりをうまく言葉にして伝えるのはかなり難しいところなので、サポートする際に「どう感じているの?」と質問して、本人の困りごとや必要なサポートについてすり合わせをしていくことが大切だと思います。ただ、感覚的な部分などは自分にとっては“当たり前”になっていて、困りごととして認識していない場合もあります。そのため当事者が自身の困りごとについて言語化するのはなかなか難しいと思いますが、言語化する機会を増やしていくことで、自分の感じ方や考え方を振り返る機会も増えます。自分の状態を他のひとに伝えることができるようになると、対処法が見つかったり環境面の工夫で解決できたりと、当事者の生きづらさが軽減されるのではないでしょうか。どういうところに困っているかとか、困っているときにどう感じているのかというところは、自分ひとりではなかなか考えることが難しいところになるのかなと思っています。そのあたりを考えたり言葉にして話したりする機会があると、当事者にとってはとてもありがたいサポートになるのではないかと思います。
2020年03月12日専門家に質問!悩みをシェア!オンライン保護者会を実施子どもと親のみで家の中で過ごしていると、不安な気持ちになったり、不安定になっている子どもをどうサポートしていいか分からない…と感じている皆さまも多いと思います。先日LITALICO発達ナビがユーザー向けに行ったアンケートでも、子どもが不安定だという回答に続き、保護者自身もストレスを感じているという声が多くありました。Upload By 発達ナビニュース寄せられた声の中には、次のようなものもありました。「気持ちのバランスを崩し、特に寝付きが悪い。一日に何度も突然のハイテンションと突然の沈黙を繰り返したり、ADHDの困り事が急増。慣れたと思っていた社会性が必要な場への緊張感が増してしまい、自傷行為が目立つ」「課題を親が管理しなければならない。あれこれやれと言えばキレたりして物に当たる。本人もどう手をつけて良いか分からなくなっている」「兄・姉・妹トラブル。常に衝突をする。3人共に発達障害がありトラブルの連続」「暴れないかヒヤヒヤ。服薬させお腹を満たしあまり強く言わない」など、休校措置が続く中、家の中で精神的にもぎりぎりの状態で過ごしている様子が見受けられます。そこで、希望される保護者さま向けに、オンラインの保護者会を実施いたします。1回45~50分程度の開催です。臨床心理の専門家が皆さまのお悩みにこたえ、発達ナビ編集長・牟田がファシリテーターをつとめます。各回10~15名程度で行う予定です。オンライン保護者会は次のような流れで行います。なお、保護者会にはZOOMを使用いたしますので、ZOOMアプリのインストールが必要となります。1、オンライン保護者会希望フォームに入力参加希望の日程、質問したい内容、お名前、ご連絡のとれるメールアドレス等必要な情報をご入力いただきます。なお、ご質問いただいた内容について事前に専門家が確認をさせていただきます。2、ご参加いただける日程とZOOMミーティングのURLをメールでご連絡いたします。3、指定の日時になったら、アプリからミーティングにアクセスし、ご参加いただきます。他の保護者の皆さまも参加しているグループ形式のミーティングです。※ご希望多数の場合はすぐのご案内が難しい場合がございます。※開催日程は平日日中となります。※2020年3月16日~4月5日の間の開催予定となります。応募者多数の場合途中で締め切る場合があります。※ご利用方法はご参加者に事前にご案内予定です保護者アンケートで「心配ごと」1位は「子どもの学びの機会の喪失」先日実施した、発達ナビユーザーへのアンケート。その中で聞いた「心配なこと」の1位は、「子どもの学習機会が大きく減ること」でした。Upload By 発達ナビニュース発達ナビでは、放課後等デイや児童発達支援事業所などに向けて、研修・教材サービスの提供を行っています。すべて専門家監修の特別支援教材です。今回、このサービスの一部を急遽長時間開所に対応することとなった全国の事業所向けに開放することとなりました。そしてさらに、保護者の皆さま向けにも、その一部を無料でご利用いただけるようにします。ご利用いただけるのは次のカテゴリーの教材です。「3歳〜小学校低学年まで楽しめる難易度別の楽しい工作」「かず、ひらがなの楽しいプリント」「ソーシャルスキルサポートのアイテム」<参考>【無料提供】全国の児発・放デイ・学童を応援! 発達ナビの研修教材サービスを一部無料提供ご利用を希望される保護者の皆さまは、申し込みフォームへアクセスしてください。お申込みいただいた方専用のサイトから、必要な教材をダウンロードしてご使用いただくことができます。Upload By 発達ナビニュース施設向け研修教材サービスの一部無料開放についてはコチラ
2020年03月11日聴覚過敏で、苦しんでいた娘だったが…広汎性発達障害の娘(小学3年生)には、聴覚過敏という特性があります。弟が産まれたばかりのころは、その泣き声を嫌がり、苦しむ姿が見られました。赤ちゃんを大人しくさせることは難しく、私は頭を抱え、苦しむ娘と泣きわめく息子の間でオロオロしていました。Upload By SAKURAしかし娘も段々と弟の泣き声に慣れていき、自分で止めようがない不快な音が聞こえたときにどうすればいいかを繰り返し伝えていったことで、音で苦しむことはほとんどなくなりました。外食時に起きた、原因不明の体調不良。娘が小学3年生になったある日、家族で外食した私たち。食事をしていると、娘の顔色がよくないことに気がつきました。Upload By SAKURAすぐに娘を車へ連れていき、料理を頼んでしまっていたため、夫と娘の付き添いを交代で行いつつ食事を済ませました。車にしばらくいると娘は「気分、良くなった!」とケロッとしていました。後から娘に聞いても…Upload By SAKURA結局原因はわからず、そのままになりました。それからしばらく経ち、また外食したときに「気分が悪い」と言い出した娘。Upload By SAKURAこのときも同じように、しばらくしたらケロッとしていました。帰宅後、この謎の症状の原因を、夫と推理しましたが…Upload By SAKURA娘に聞いてはみたものの…またしても「わからない」の一言。どこか悪いんじゃないかと心配になりましたが、具合が悪くなるのはこのときだけで他のときは元気いっぱいなのです。授業参観で気がついた、体調不良の共通点。娘のこの謎の体調不良が気になりつつ過ごしていたとき、小学校の授業参観がありました。この日私は、特別支援学級の授業を観に行きました。授業参観には他の学年の子も何人かいて、娘が先生と授業を進める中、両サイドで大きな声を出したりしていました。Upload By SAKURAその瞬間、授業参観の光景と外食のことがぱっと繋がりました。もしかして、娘は音がうるさくて気分が悪くなったのかもしれない!そのとき、思い出したあのコラム。学校から帰宅後、すぐに娘に確認すると…Upload By SAKURAやっとわかった原因!そのとき…発達ナビで読んだ、ひらたともみさんのコラムを思い出しました。聴覚過敏で頭痛を訴えていたイロハちゃん。娘も同じではないのだろうか!?私はすぐに動きました。Upload By SAKURA病院にかかったわけではないので、本当に聴覚過敏が原因か、イヤーマフで本当に解消するのか、確信はありませんでしたが、そうかも!と思ったらじっとしてはいられず、試してみたかったのです。届くまでの間に、特別支援学級と放課後等デイサービスに使用許可をもらいました。購入した後の使用許可…って順番めちゃくちゃかもしれませんが、それほど待てなかったのです(笑)イヤーマフの説明書を作成!そして落ち着いた娘。そしてついに届いたイヤーマフ。Upload By SAKURA私は特別支援学級の先生と話して、他の子どもたちが不思議に思わないように、ひらたともみさんがコラムで紹介していたようなイヤーマフの説明書を作ることにしました。説明書には「イヤーマフとはなにか」「娘がなぜこれが必要か」そして「大事なものであること」を書きました。Upload By SAKURAそして、通常学級の教室と職員室に貼らせてもらいました。初日だけいろいろ聞かれたそうですが、説明書のおかげか、その後は娘がイヤーマフを着用してもからかわれたりすることはなかったそうです。Upload By SAKURA周りの声が聞こえないおかげか、特別支援学級の先生は「あーさんの集中力が上がった」と言っていました。イヤーマフは毎日ランドセルに入れて持ち帰り、放課後等デイサービスや自宅でも使用しています。自宅で宿題をする様子を見ても、周りの音が入ってこないので解くスピードが上がったように感じました。娘にとって安心感につながった。外でも使えることを想定していたのですが、イヤーマフを使い始めてから、外食時に周りが騒がしくても体調不良を訴えることはなくなりました。Upload By SAKURA娘にとっては音が不快だということを、私たちが認めて声掛けができるようになったからかもしれません。そして、聴覚過敏自体がそれほど強いものではなかったのかもしれませんが、イヤーマフは娘にとって「いざというときは、音を遮断できる」という安心感にも繋がったようでした。イヤーマフを使いこなす娘を見てほっとした私たちでしたが、このイヤーマフがのちにあーさんにとって…私たちにとって…大きな岐路に立たされるきっかけになるのでした。続く…
2020年03月11日発達ナビユーザーから寄せられたニーズを紹介。特設ページも開設しましたLITALICO発達ナビでは「新型コロナウイルスによる休校措置についてのアンケート」(実施期間:2020年3月4日(水)から3月8日(日)、回答数279)を行いました。発達が気になる子どもの保護者の声が多数寄せられました。仕事への影響、親子のメンタルへの影響、そして情報不足に悩む姿――このコラムでは、調査結果から分かったことを紹介。また、アンケートで浮かび上がったニーズから、特設ページを開設。特設ページの内容についてもお伝えします。発達ナビユーザーから、約280の声が集まりました今回アンケートに協力してくれたユーザーのうち、72.8%が小学生の保護者、うち44.1%が低学年でした。特別支援学校小学部に通う子の保護者は1.8%でした。11.5%が中学生、5%が幼稚園でした。Upload By 発達ナビニュース71.7%が共働き、9.7%がシングル世帯です。その他18.6%の中には、母親が専業主婦もしくはシングル世帯で現在休職中などが含まれています。約40%が保護者と在宅、約15%が子どものみで留守番。放課後等デイ利用は約17%Upload By 発達ナビニュース共働き、シングル世帯が8割を超えているものの、全体の4割は保護者と過ごしているという状況が明らかになりました。また、どうしても都合が付けられず、子どもだけで留守番をしているという家庭、祖父母に見守りをお願いしている家庭もあります。学童や学校預かり、放課後等デイを利用できていても、通常よりは預かり時間が短く、仕事の調整をしてしのいでいる家庭も多そうです。Upload By 発達ナビニュースアンケート結果からも、31.6%が通常の勤務とは違う形で就労していることが分かります。具体的には、給与減を伴うシフト調整などで対応している家庭が15.8%、テレワークが6.1%、時短等が4.7%、有給等が5%という状況でした。保護者の心配ごととは?子どもの学習機会減や生活リズムへの影響、家庭内でのトラブル増への懸念が大きいUpload By 発達ナビニュース最も多かったのが「子どもの学習機会減」でした。学校のみでなく習い事なども中止となる中、子どもの学びを保障できる機会が減っていることに大きな危惧を抱いている様子が分かります。また、学校だけでなく「習いごともすべて中止になり体力を持て余している」「ゲームづけの毎日に」「未就学児保護者への優遇はあっても障害児保護者への理解はなく早く帰れない」「普段は学童だが今回は低学年優先で対象外に」といった声もあげられていました。平日日中、子どもはどのように過ごしている?Upload By 発達ナビニュースゲームをしているという答えが最も多く、次に学校から出た宿題、漫画や本、動画配信サービス、ドリルや教材という順でした。勉強もさせているものの、どうしても一人で楽しめる遊びに傾きがちな様子が浮かび上がります。家での生活、それぞれの家庭ではどんな工夫をしている?「タイマーを使って、学校の時間割のように、勉強時間を区切り、学校でのリズムを真似ている」「毎日、やるべきこと、遊びの選択肢を箇条書きして見える場所におく」など見通しをつけやすくしたり、「子どもがいかに課題に取り組めるか課題を小分けにしたり、声かけ」「なるべくしりとりやクイズ、逆にクイズ(問題)つくりなどやって一緒に楽しむ」といった課題の出し方の工夫、「朝、親が出かける前に、今日やっておいてほしいことを伝える。skypeなどで連絡がとりやすい状態にしておく」「休憩時間に電話やメールで安否確認と指示。どうしても困ったら連絡するように伝えている」など保護者が不在でも不安にならないようにするという声が多くありました。「なるべく会話をするようにしている。テレビも見せっぱなしではなく、感想を言い合ったりしている」など、動画配信サービス等も一人だけで完結しないよう関わるようにしているというユーザーもいました。「夕飯のメニューやおやつを子どもにリクエストしてもらい、イベントにして機嫌を良くする」「ひたすら子どもの好きなメニューをつくる」と、食事面でメンタルを安定させる工夫をしているという方も。「和室にテントを張ってレジャー気分。秘密基地にもなって楽しそう」など、屋内であっても小物などを使いいつもと違う雰囲気にしているというご家庭もありました。メンタルへの影響大。子どもも保護者も不安定に子ども自身も不安定になり、そうした子どもと一日中過ごす保護者自身もストレスを感じているという状況が浮かび上がりました。また、適切な情報が入ってこないことも保護者の不安を大きくさせています。子ども自身「気持ちのバランスを崩し、特に寝付きが悪い。一日に何度も突然のハイテンションと突然の沈黙を繰り返したり、ADHDの困り事が急増。慣れたと思っていた、社会性が必要な場への緊張感が増してしまい、自傷行為が目立つ」「スケジュールに対するこだわりがより強くなって、混乱している」など不安定になっています。また、外出できないストレスなどに加え「課題を親が管理しなければならない。あれこれやれと言えばキレたりして物に当たる。本人もどう手をつけて良いか分からなくなっている」「家庭学習を集中して行える環境になく(テレビ、本、おもちゃなどが見える)、大人が見守っていないと課題をやらない。親の疲れが増大」など、通常学校で行っている学習を保護者が管理・確認することで子どもとの摩擦がおきているという状態もあるようです。また、「今は休みで嬉しいと言って過ごしているが、日中留守番で見守りできない状況の中、テレビやゲームを長時間やっており、体を動かさないこともあり夜には疲労が蓄積している様子。イライラや不機嫌などが長く続くと精神的な不安定さが増すと考えている」など、生活リズムの乱れから健康面で影響が出てきているという心配も。きょうだいも24時間一緒にいることから「きょうだい児へのストレス」「兄・姉・妹トラブル。常に衝突をする。3人共に発達障害がありトラブルの連続」など、家庭内でのトラブルが起きています。子どものメンタル面をサポートするため、スキンシップをとったり、細かく言いすぎない、好きなことをできる時間を多く設けたりといったことを心がけているご家庭も多くありました。また「暴れないかヒヤヒヤ。服薬させお腹を満たしあまり強く言わない」「刺激しない、親ががまんする」など刺激しすぎないようにしているという声も。保護者へのストレスも大きくなっている現実があります。Upload By 発達ナビニュース情報はどこから得ている?必要な情報は届いている?Upload By 発達ナビニュース「保護者の皆さんは地域の状況の情報はどのように入手していますか?」という設問に対し、自治体や学校からのメール連絡、テレビのニュース、自治体のホームページを見るという回答が多い反面、「必要な支援はなんですか?」という設問に対して、最も多くあげられたのが”学校や自治体からの速やかな情報連携(115名)”でした。なかなか十分な情報が届いていない様子が感じ取れます。発達障害のある子と家族向けの特設ページを開設!地域情報のシェアや最新関連コラム情報をまとめて紹介発達ナビでは、2020年3月10日より、新型コロナウイルス関連情報をまとめたページを開設しました。発達ナビユーザー同士での情報シェアができる非公開コミュニティ(匿名制)や、関連コラムのアーカイブなどがまとめてみられます。ユーザーアンケートから明らかになった「適切な地域情報が手に入らず不安」「家での過ごし方が分からない、トラブルが増えて困っている」「親子ともにメンタルが不安定になっている」という皆さまに向け開設しました。新しく開設したコミュニティは「47都道府県別コミュニティ」のほか、「家での過ごし方、人込みを避けた過ごし方」「こんな支援が必要です」「親も子も不安定、そんなときは…」「昼間の子どもの居場所は?預け先は?をシェア」です。ぜひご活用ください。関連コラムは、今後も随時配信予定です。また、発達ナビでは、ユーザーの皆さまが必要とするメンタル面でのサポート、お子さまの学習機会に寄与する支援なども充実させていきたいと考えています。こうした情報を、ひきつづきお知らせしていきます。
2020年03月11日休校で自宅待機...不安やストレスを感じやすい子どもたちへの対応はこんにちは。「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」他・著者、楽々かあさんこと大場美鈴です。世の中、大変なことになってきましたね。新型コロナウィルスの世界的な拡がりに伴い、日本では園や学校が突然休校となり、春休みまで自宅待機をしているお子さんも多いですよね。こういった状況では、どんな子もストレスを感じやすいと思いますが、特に、発達障害・グレーゾーンで、「いつもと違うこと」「予測できないこと」に不安を感じやすいお子さんや、活発でエネルギッシュで活動的なお子さんが、変化の多いイレギュラーな状況や行動範囲が制限される期間が続くほどストレスをためがちになるのも無理のないことだと思います。また、親のほうも、やむを得ず子どもを一人で留守番させたり、学童や放課後等デイサービス、高齢のご家族に預ける中で相互の感染リスクが心配になったり、ご自身の仕事のことや今後の世界経済や物流への影響、学校再開の目処などへの、不安要素は尽きないことでしょう。こんな時に少しでも子ども達の不安とストレスを減らす方法を、うちの経験を踏まえて紹介します。保護者の方にも負担なく、手軽に簡単におうちでできる工夫をできる限り紹介しますので、少しでもヒントになると嬉しいです。不安な気持ちを安心させる工夫Upload By 楽々かあさんまずは、安心させる工夫から。「いつもと違う」ことが不安な時には、できるだけ、小さなことでもいいので、「いつもと同じこと」を続けると、安心できるかもしれません。お子さんが毎日習慣にしていたことは、同じようにできるといいでしょう。例えば…・朝、学校に行く時と同じ時間に起床し、同じ時間に朝食を食べる…など。いつもと同じ「朝のルーティン」をこなすだけでも違いますし、親が朝はバタバタして難しくても、お風呂や就寝時間などの生活習慣を「いつもと同じ」にしたり、家族が毎日決まって行う習慣(挨拶、ゴミ出し、コーヒーを淹れる…など)を目の前で続けるのも、安心感があると思いますよ。その他、お子さんが「いつもやっていること」があれば、可能な範囲で続けさせてあげると、落ち着きやすくなるでしょう。また、不安感が強い時やお留守番の時なども、お子さんが慣れ親しんでいる「安心グッズ」を身近に用意しておくとGood!感覚が敏感な子は特に、「いつもと同じ」色やニオイ、音、さわり心地、味・食感などがあると安心感を得やすいので、例えば…・肌触りの良い毛布や、使い古しの布団でくるむ・愛着のあるぬいぐるみ・キャラグッズなどを見えるところに・落ち着く音がするモノ(ノイズ音、波の音など)や、お気に入りの音楽をBGMに・お昼ごはんに給食メニューを一部再現(紙パックの牛乳、ソフトめん、冷凍みかんなど)…などなど。うちでは、愛犬の肉球や、母のぷにぷにの二の腕、パパの加齢臭の染み込んだ枕などが、子ども達に人気の「安心グッズ」です(笑)。そして何より、子どもが不安な時には、保護者の方と一緒に過ごせれば落ち着きやすいと思いますが、諸事情でなかなか難しい場合には、・時々、見守りカメラやスマホのビデオ通話などで、お互いに顔が見えるようにする・遠方のおじいちゃん・おばあちゃんと電話でお話しする・親の仕事中の様子などを動画で撮って、メッセージで送信…など、「離れていても一緒にいるよ」というメッセージが伝わる方法を、ご家庭に合った方法で工夫できるといいでしょう。持て余したエネルギーを有効活用する工夫Upload By 楽々かあさん次に、活発なお子さんなどが、エネルギーを持て余している場合(…日頃から、大変ですよね)。ただでさえ、じっとしているのが苦手な子が、「家から出てはダメ」「近所迷惑になるから、家の中で騒いでもダメ」「くれぐれも、勝手にゲームセンターなどには行かないように!」…など、やむを得ない非常事態とはいえ、「あれもダメ、これもダメ」ばかりでは、当然ストレスは溜まりますよね。ここは「やってはいけないこと」より、「やっていいこと・できること」を教えてあげるといいでしょう(ちなみにうちの長男は一日中オンラインゲームでも全く飽きないようですが、それはそれで、親の小言も増えがちに…苦笑)ご存知のように、軽く体を動かすことは、ストレスを和らげてくれます。既に、家の中でできるあそびや運動・体操などは、ネット上でも沢山動画などがアップされていますが、ここではシンプルな方法を。・親子ストレッチ、深呼吸、くすぐりあそび・お風呂そうじ、床の雑巾がけ、窓拭き、庭の草むしりなどのお手伝い・トランポリン、バランスボール、フラフープ、エアロバイクなどの室内器具を使った「ながら運動」…などが、手軽でオススメです。園児〜小学校低学年くらいのお子さんには、・夏場のビニールプールを出して、ボールプールに(ボールがなければ、ぬいぐるみプールやレゴプールなども)・浮き輪やダンボール、椅子の脚、マットレスなどを組み合わせて、簡易アスレチック…などの工夫もできます。中高生のお子さんがヒマそうにしていたら…・家具の配置換えや家の補修、DIY、粗大ごみの解体、車の洗車を手伝ってもらう…などもいいでしょう。また、「絶対に、一歩も家から出てはいけない」ワケではないので(2020年3月10日時点)、人混みを避けた、空いている時間帯や場所を選んだ上で、少し外の空気を吸ってくるのもいいと思います。うちでは、人の少ない早朝の時間帯に、犬の散歩に行ったり、自転車やランニングで近所を軽く一周してくるなどで、リフレッシュしていますよ。親子でストレスをスカッと解消できる工夫Upload By 楽々かあさん自宅待機が長期化してくると、子ども達の(そして親も)ストレスが爆発することもあるでしょう。そんな時に、「怒ってはダメ」「みんなガマンしているんだよ」なんて言い聞かせても、納得できない子もいますよね。ここは、正論よりも親子でスカッとできる方法を工夫するのが現実的。手軽にできるストレス解消法は…・空き缶・ペットボトルつぶし!・クッション、サンドバッグ、パンチボールなどをパンチ!キック!・お風呂で水風船を叩き割る!・穴を開けた箱や重ねた紙袋に向かって「あ”ー!!!」と叫ぶ!…などなど。親も一緒にやると、結構スッキリして楽しいですよ。サンドバッグは、布団や毛布をくるくる丸めてヒモなどで縛るだけでも自作できますし、パンチボールは、家にあるゴムボールや丸めた服などを、ネットや体操袋に入れて吊るせば代用できます。市販のボクシング用のミットとグローブ(なければ、重ねた手袋と小さめクッションでも可)で、親がスパーリングの相手になってあげると、お互いいい運動になりますよ。また、うちでは長女の要望で床一面に模造紙を広げて落書きOKにしたり、3兄妹で大量に作った紙飛行機でサバイバルゲームを始めたり、自分達で次々とあそびのアイデアを思いついては、意外と飽きずに楽しく過ごせています。子どもはあそびの天才ですからね。子どもに笑顔が戻ったら、ストレスが解消されたサインです。未知の経験は、誰もが不安になるからこそ…こんな時には、誰だって、不安になるのは当たり前です。でも、そんな中だからこそ、できることや気づくこともあります。これからを生きる子ども達には、もしかしたら、今後も新型コロナウィルスだけでなく、地球環境の変化や、グローバル化や情報化社会のメリット・デメリットとも、共存しながら工夫して生きていく、柔軟でたくましい力が必要とされるのかもしれません。一刻も早く、子ども達が(大人達も)、何事もなく平穏無事に過ぎていく、当たり前の日常を取り戻せますように…。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2020年03月10日