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04 Limited Sazabysが本日1月24日、神奈川・CLUB CITTA’で「MYSTERY TOUR 2020」の初日公演を行う。ベース&ボーカル・GEN、ギター・HIROKAZ、ギター&コーラス・RYU-TA、ドラムス&コーラス・KOUHEIによる4ピースバンド、04 Limited Sazabys。インディーズ時代から頭角を表し、2015年に1stフルアルバム『CAVU』でメジャーデビューに至った。2016年からは地元・名古屋で主催野外フェス「YON FES」も毎年開催し、昨年9月にはバンド史上最大規模となるさいたまスーパーアリーナにて「YON EXPO」を成功させた。「MYSTERY TOUR 2020」は、着実に知名度を広げている彼らの全国ツアー。対バン形式となっているが、当日までゲストが一切明かされないというミステリアスな内容だ。ファイナルは地元であるZepp Nagoyaの2デイズで、2日目は唯一のワンマンライブとなっている。今夜のCLUB CITTA’公演は記念すべきツアーの起点となる。一体ゲストとしてステージに立つのは誰なのだろうか。それは現場で確かめていただきたい。■公演情報「MYSTERY TOUR 2020」1月24日(金)CLUB CITTA’開場18:00/開演19:001月29日(水)新木場STUDIO COAST2月1日(土)高松festhalle2月7日(金)新潟LOTS2月15日(土)Zepp Sapporo2月21日(金)Zepp Osaka Bayside2月28日(金)仙台GIGS3月3日(火)Zepp Tokyo3月6日(金)BLUE LIVE HIROSHIMA3月8日(日)Zepp Fukuoka3月11日(水)Zepp Nagoya3月12日(木)Zepp Nagoyaファイナルを除き全公演2マン。ゲストは当日までシークレット。
2020年01月24日80年代のヒット映画『ベスト・キッド』がブロードウェイミュージカル化されることになった。脚本はオリジナルを書いたロバート・マーク・ケイメン。演出は宮本亜門。美術はトニー賞受賞者デレク・マクレーンが担当する。キャスティング、初演スケジュールなどは未定。『ベスト・キッド』が公開されたのは1984年。主演はラルフ・マッチオ。2年後には続編『ベスト・キッド2』が公開され、2010年にはウィル・スミス製作、ジェイデン・スミスとジャッキー・チェン主演でリメイクされた。文=猿渡由紀
2020年01月23日世界に先駆けてデジタルシネマにフォーカスし、次代を担う新たな才能の発掘・育成と、映像産業の発展への寄与を目的として、2004年に始まったSKIPシティ国際Dシネマ映画祭。その17回目となる“SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020”が、9月26日(土)~10月4日(日)の日程で開催されることが決定した。本映画祭の開催決定に伴い、本日1月23日から3月31日(火)の期間、コンペティション部門(国際コンペティション・国内コンペティション)で作品が公募される。国際コンペティションは広く世界中から、そして長編部門と短編部門の2部門に分かれた国内コンペティションは国内作品を対象に、エンタテインメント性とデジタルの新たな表現の可能性を感じる作品を募集するようだ。ノミネート作品は映画祭期間中に上映し、著名な映画人らによる最終審査を経て、最優秀作品賞をはじめ各賞が授与される。本映画祭のコンペティションは、“次代を担う新たな才能の発掘・育成”が主たる目的。これまでに、海外作品・監督では、カンヌ映画祭4冠を達成し、昨年最新作『読まれなかった小説』が日本でも公開されたトルコの巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督(『うつろいの季節(とき)』)、『シンプル・シモン』のアンドレアス・エーマン監督や、『彼の見つめる先に』のダニエル・ヒベイロ監督、『家へ帰ろう』(映画祭上映時のタイトル『ザ・ラスト・スーツ(仮題)』)のパブロ・ソラルス監督など、各国の新鋭をいち早く紹介してきた。また国内作品・監督では、『凪待ち』『ひとよ』の白石和彌監督、『浅田家!』の公開も控えている中野量太監督、『ピンカートンに会いにいく』の坂下雄一郎監督、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督、『岬の兄妹』の片山慎三監督、『サクリファイス』の壷井濯監督らが本映画祭での受賞を契機に劇場公開や商業映画デビューへと羽ばたいていった。この2020年は、どんな才能が登場するのか。早くから期待が高まる。■コンペティション公募概要・公募期間:1月23日~3月31日(火)必着・公募部門:国際コンペティション、国内コンペティション・応募方法:映画祭公式サイト内オンラインエントリーフォームから応募■公募対象作品・国際コンペティション(※長編作品のみ/国内作品・海外作品対象)※長編映画制作本数が3本以下の監督による60分以上の作品・国内コンペティション(※長編部門、短編部門の2部門/国内作品のみ対象)※長編部門:長編映画制作本数が3本以下の監督による60分以上の国内作品※短編部門:商業公開された長編映画を制作したことがない監督による、15分以上60分未満の国内作品なお、応募規約および応募方法の詳細は、映画祭公式サイトで公開される。■SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020(第17回)開催概要・会期:9月26日(土)~10月4日(日)の9日間・会場:SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ 映像ホール(埼玉県川口市)他・内容:国際コンペティション、国内コンペティション、特集上映、関連企画、イベント等予定(後日詳細発表)・主催:埼玉県、川口市、SKIPシティ国際映画祭実行委員会、特定非営利活動法人さいたま映像ボランティアの会【関連リンク】公式サイト
2020年01月23日今年生誕250年のメモリアルイヤーを迎えるベートーヴェン。彼の作品をプログラミングしたコンサートが目白押しだ。交響曲からオペラや室内楽など、あらゆるジャンルに傑作を残したベートーヴェンだけに、通常のメモリアルイヤーとは一味違うベートーヴェン尽くしの時間が楽しめる。そんな中、室内楽の世界に目を向けてみれば、「宮田大&田村響」という注目の若手共演によるベートーヴェンのチェロ・ソナタ全曲演奏会がとても気になる。共にソリストとしての実績も十分な二人の顔合わせは、(1+1=2)以上の相乗効果が生まれること間違いなし。その相乗効果が(3)になるのか(5)になるのかがライブの楽しみに違いない。しかも会場となる浜離宮朝日ホールは、室内楽を聴くにはうってつけの響きと大きさをもつ会場だ。1月28日の第一回に続いて3月3日には第二回の開催が予定される同公演を通じて、ベートーヴェンがチェロとピアノで描き出した巨大な世界をご体験あれ。●宮田 大 (チェロ)Dai Miyata, cello栃木県宇都宮市出身。音楽教師の両親のもと3歳よりチェロを始める。幼少よりその才能は注目をあつめ、9歳より出場するコンクール、第74回日本音楽コンクールを含むすべてに第1位入賞を果たす。2009年、第9回ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人として初優勝。第6回齋藤秀雄メモリアル基金賞、第20回出光音楽賞、第13回ホテルオークラ音楽賞など華やかな受賞歴を持つ。第35回江副育英会奨学生。ローム・ミュージックファンデーション奨学生。桐朋学園音楽部門特待生、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースを首席で卒業。2009年にジュネーヴ音楽院卒業、2013年6月にクロンベルク・アカデミー修了。チェロを倉田澄子、フランス・ヘルメルソンの各氏に、室内楽を東京クヮルテット、原田禎夫、原田幸一郎、加藤知子、今井信子、リチャード・ヤング、ガボール・タカーチ=ナジの各氏に師事する。これまでに国内の主要オーケストラはもとより、パリ管弦楽団、フランクフルトシンフォニエッタ、S.K.ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団、スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団などと共演している。小澤征爾、E.インバル、L.スワロフスキー、C.ポッペン、D.エッティンガーなどの指揮者や、L.ハレル、G.クレーメル、Y.バシュメット、M.ヴェンゲーロフ、A.デュメイ、日本を代表する多くの演奏家・指揮者と共演し、国内外の音楽祭やソロ活動を活発に行っている。マスメディアへの出演も多く、「小澤征爾さんと音楽で語った日~チェリスト・宮田大・25歳~」(芸術祭参加作品)、「カルテットという名の青春」「NHKワールド "Rising Artists Dai Miyata"」などのドキュンメントのほか、「クラシック倶楽部」「らららクラシック」「題名のない音楽会」などにも複数回出演している。CDは「Dai First」、「宮田大/チェロ一會集」、SACD「宮田大/チェロ一會集」、DVD&ブルーレイ「小澤征爾指揮 水戸室内管弦楽団 2012 ~チェロ独奏 宮田 大~」をリリース。使用楽器は、上野製薬株式会社より貸与された1698年製ストラディヴァリウス"シャモニー(Cholmondeley)"である。オフィシャルサイト: ●田村 響 (ピアノ)Hibiki Tamura, piano(c)武藤章愛知県安城市生まれ。3歳よりピアノを始める。18歳でザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学に留学。2015年大阪音楽大学大学院修了。これまでにクラウディオ・ソアレス、クリストフ・リースケほか各氏に師事。2007年10月ロン・ティボー国際コンクールにおいて弱冠20歳で第1位に輝き、一躍世界に注目されるに至った。以来、ザルツブルク・モーツァルテウムで研鑽を積み、国際的な演奏活動を展開している。2009年2月ビシュコフ指揮ケルン放送交響楽団の定期演奏会デビューと日本ツアーを行った他、これまでに、N響、都響、新日本フィル、名古屋フィル、京響、大阪フィル、仙台フィル、群響などと共演。また、ライプツィヒ、パリ、ザルツブルクなどを始めとするヨーロッパ各地でのリサイタル、日本各地でのリサイタルを活発に行っている。室内楽活動にも力を入れており、マキシム・ヴェンゲーロフ、堀米ゆず子、篠崎史紀、宮田大、三浦文彰の各氏等と共演している。また、2019年3月にはマニュエル・ルグリがプロデュースするバレエ作品にも出演し、自身初となるダンス・ステージとのコラボレーションを果たした。2002年、エトリンゲン青少年国際ピアノ・コンクールB部門第2位及びハイドン賞、第26回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、第18回園田高弘賞ピアノ・コンクールにて園田高弘賞第1位を受賞。2004年デビューCDをリリース、2008年8月には「ロン・ティボー国際コンクール優勝記念」と称した2枚目のCDを、2010年2月には3枚目のCDをトリトンレーベルにてリリースした。受賞歴としては、2003年アリオン賞、第14回大幸財団丹羽奨励生、(財)江副育英会奨学生、2006年第16回出光音楽賞、 2008年文化庁長官表彰・国際芸術部門、2009年第10回ホテルオークラ音楽賞、2015年第70回文化庁芸術祭音楽部門新人賞、2017年度京都市芸術新人賞などがある。京都市立芸術大学専任講師。
2020年01月23日累計発行部数50万部突破を誇るミステリー小説『罪の声』の著者・塩田武士が、あの大泉洋を主人公に当て書きし、2018年本屋大賞にランクインするなど、世間の注目を集めたベストセラー小説『騙し絵の牙』が実写映画化。もちろん大泉洋を主演に迎え、6月19日(金)より全国ロードショーされる本作の特報映像が公開し、あわせて場面写真も公開された。本作の監督は、『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』などの吉田大八。国民的俳優と日本アカデミー賞監督の最強タッグで、邦画界最高峰のエンタテインメント作品が誕生。舞台となるのは、大手出版社・薫風社。かねてからの出版不況に加え、創業一族の社長が急逝し、次期社長を巡って権力争いが勃発する。その中で、専務・東松(佐藤浩市)が進める大改革で、雑誌は次々と廃刊のピンチに。会社のお荷物雑誌『トリニティ』の変わり者編集長・速水(大泉)も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされることになる。しかし、一見頼りないこの男、実は笑顔の裏にはとんでもない“牙”を秘めているのだ。公開された特報映像では、大泉、松岡茉優、佐藤のほか、宮沢氷魚、池田エライザ、中村倫也、佐野史郎、木村佳乃、和田聰宏、坪倉由幸、斎藤工、塚本晋也、リリー・フランキー、小林聡美、國村隼ら日本を代表する超豪華俳優陣の姿が次々と映し出され、重厚感のある映像になっている。廃刊の危機が迫る編集部で、速水は雑誌を立て直そうと奮闘する一方、國村演じる超大御所作家や、佐藤演じる改革派の専務・東松らからは「戦争だな」「狸黙らせろよ」などと、なんとも不穏な雰囲気。さまざまな陰謀が渦巻く様子がうかがえる。一体どんな裏切りや逆転劇が繰り広げられるのか。超豪華な“クセモノ”キャストたちが展開する、仁義なき騙し合いバトルを予感させる映像だ。またあわせて公開されたのは、大泉演じる速水の姿を収めた場面写真。一癖も二癖もありそうな表情から、大泉がどんな演技を見せてくれるのかに期待が高まる。さらに、デスクや資料が乱雑に積まれ、使い込んだ様子のホワイトボードのあるオフィスからも、リアルな編集部の空気感が伝わってくるものとなっている。『騙し絵の牙』6月19日(金)より全国公開
2020年01月23日1975年に天児牛大によって創設され、世界各国で公演を行っている舞踏カンパニー、山海塾。特にフランスでの評価は高く、1982年以降の作品はすべて、コンテンポラリーダンスの殿堂と言われるパリ市立劇場との共同制作となっている。1999年よりその共同制作に加わり、数々の作品を日本初演してきたびわ湖ホールが、1月25日(土)に『ARC 薄明・薄暮』を上演する。前作から4年を経て昨年3月に北九州芸術劇場で初演されたばかりの最新作で、関西では初上演となる。過去にたびたび山海塾の舞台美術を手がけ、2016年に逝去した画家、中西夏之へのオマージュでもあるという本作。演出・振付・デザインの天児が中西の「着陸と着氷」シリーズから着想を得て、「二重の舞台、ふたつの鏡、ふたつの弧から成る“3つのダブル”の世界」を構築する。福岡での初演後、既にパリとサンパウロで上演され、「荘厳で静謐なこの舞踊は、初めて山海塾を見る人々をもとりこにするに違いない」(フィリップ・ノワゼット/仏レゼコー紙)と評された『ARC 薄明・薄暮』。舞踏ファンならずとも要注目と言えそうだ。山海塾『ARC 薄明・薄暮』は、1月25日(土)に滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 中ホールにて上演。文:町田麻子
2020年01月23日岸田國士戯曲賞を受賞した『わが星』以降も、さまざまな場所で作品を生み出し続けてきた劇団、ままごと。今回は2018年に横浜を皮切りに国内各地で公演を行ってきた『ツアー』と、初演となる新作『タワー』の2本が、1月25日(土)・26日(日)に愛知県・長久手市文化の家 森のホールで上演される。作・演出の柴幸男は愛知県出身であり、会場の文化の家で開催された演劇のイベントでグランプリ(劇王)に輝いている。その彼が今回初めて、ままごととして凱旋することになる。『ツアー』は子供をなくした女があてどなく車で走り出した先で「イヌ」に出会う物語。新作『タワー』はタワーマンションに住むため、自ら建てはじめた男がもうひとりの男に出会う話になるという。『ツアー』では車という無機物が人とおなじような重さでステージに存在していた。新作では、もしかしたらマンションが『ツアー』の車のように存在するのかもしれない。車で走る=並行に進む、マンションを建てる=垂直に進むという対比も面白くなりそうだ。ままごとの大石将弘と小山薫子が2作ともに出演し、さらに『タワー』には同じくままごとの石倉来輝が、『ツアー』には宝塚出身の秋草瑠衣子が参加する。いずれも、たった3人のキャストで紡がれる1時間ほどの作品だ。けれどもそのステージには、旅を通じて作品を生み出し、作品の中に旅を表現してきたままごとならではの気持ちのよい風が吹いていることだろう。文:釣木文恵
2020年01月23日建て替えに伴い3年半休業していた東京・渋谷のPARCO劇場が、いよいよ再オープン。演劇ファンの熱い期待に応えるように、今年3月から来年5月までは“オープニング・シリーズ”と銘打った豪華ラインナップが続く。それに先駆けての幕開け公演“こけら落とし”として、まず上演されるのが、落語家・立川志の輔による『志の輔らくご〜PARCO劇場こけら落とし〜』だ。同劇場での1月公演といえば、『志の輔らくご in PARCO』が毎年の恒例。今回も人気演目『メルシーひな祭り』と『こけら落とし噺』の2席で、1月24日(金)、華やかに再開場の幕を開ける。『メルシーひな祭り』の舞台は、成田空港からほど近い商店街。人形師の島森が作るひな人形を見に、フランス特使夫人とその娘が、外務省の役人・武田を伴ってやってくる。ところが島森はひな人形の頭専門の人形師。大慌ての武田をみかねた商店街の人々は、フランスからの“お客様”に日本のひな飾りを見せてやろうと奮闘するが……。「日本人だってめったに来ない」と自分たちでボヤくほど寂れた商店街で、それでも頭を寄せ合い協力する魚屋や薬屋、仏具屋のオヤジたち。バリバリの役人・武田とのコントラストに笑っているうちに、意外な結末へとたどり着く。終演後、どこか温かい気持ちになるのも、志の輔らくごの魅力だ。PARCO劇場での公演では、新作落語を創作するなかで、舞台装置や照明などの演劇的手法も取り入れてきた志の輔。座席数が458席から636席に増え、舞台空間も拡張されたという同劇場で、『メルシーひな祭り』も新しい表情を見せるに違いない。もちろん、このタイミングで聞く『こけら落とし噺』も期待大。志の輔師匠の世界をたっぷりと味わいたい。2月20日(木)まで。文:佐藤さくら
2020年01月23日ブリヂストン美術館を前身とする新美術館「アーティゾン美術館」が1月18日に開館。開館記念展として「見えてくる光景コレクションの現在地」が3月31日(火)まで開催されている。株式会社ブリヂストンの創業者、石橋正二郎が収集した美術品を展示するため、1952年に開館したブリヂストン美術館。2015年から建て替えのため約5年間の休館を経て、この度「アーティゾン美術館」という新たな館名でリニューアルオープンした。新美術館は、23階建ての高層ビル「ミュージアムタワー京橋」の低層階3フロアを展示室とし、その展示面積は旧ブリヂストン美術館の約2倍に。最新の照明や空調設備を備え、快適で明るく開放的な空間が広がる。アーティゾン美術館1階部分の吹き抜け開館に先駆けて行われたプレス内覧会では、館長の石橋寛氏が登壇。新美術館では「創造の体感」をコンセプトに、単に観賞の場を提供するだけでなく、見る、感じる、知ることにより作品の創造性を体感し、そのインスピレーションが新たな時代を切り拓くきっかけとなることを目指すという。アーティゾン美術館石橋寛館長同館では、利用者がより快適に「創造の体感」を味わえるような工夫が随所に施されている。例えば、チケットは日時指定予約制を導入。入館までの待ち時間の短縮や館内での混雑緩和が期待できるほか、一部の作品を除き作品の写真撮影もOK。美術館の情報を閲覧できるインフォルームやレクチャールームが併設され、鑑賞後に湧き出る探究心も満たしてくれる。そして今回、開館記念展として開催されているのが『見えてくる光景コレクションの現在地』だ。約2,800点の石橋財団コレクションの中から、選りすぐりの206点を紹介。第1部「アートをひろげる」で近現代美術を一望し、第2部「アートをさぐる」で古今東西の美術を7つのテーマで掘り下げていく。第1部「アートをひろげる」会場エドゥアール・マネ《自画像》1878〜79年ほか第1部「アートをひろげる」メアリー・カサット《日光浴(浴後)》1901年ほか第1部「アートをひろげる」ピエール=オーギュスト・ルノワール《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》1876年ほか第1部では、1870年代のマネの作品から2000年代のスーラージュまで、約140年間の東西の名品が並ぶ。印象派、ポスト印象派、象徴派、ナビ派、フォーヴィズム、キュビズム、抽象美術、ダダイズム、シュルレアリスム、抽象表現主義と、次々に展開したヨーロッパ美術の系譜を、ルノワール、セザンヌ、カサット、青木繁から、ピカソ、ブラック、カンディンスキー、マーク・ロスコ、猪熊弦一郎、草間彌生まで、石橋コレクションが誇る数々の名作で辿ることができる。第1部「アートをひろげる」左:青木繁《海の幸》1904年中央:ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904〜06年頃右:オーギュスト・ロダン《立てるフォーネス》1884年頃第1部「アートをひろげる」ヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》1924年ほか展示がスタートする6階はフロア全体に柱がなく、それぞれの作品はゆるやかに空間を仕切る可動式の壁に展示されている。アーティゾン美術館の教育普及部長である貝塚健氏によると、その壁を利用することで、作品同士の響き合いを感じとってほしいと言う。「ある地点から見ると、セザンヌによる山の絵と、青木繁の《海の幸》を同時に眺めることができる。場所は違えど同時代に活躍したふたりの、異なる個性がぶつかり合う様を楽しんでほしいと思います」(教育普及部長貝塚健氏)また、注目したいのが休館中に新収蔵された作品。モリゾ、カサット、ボッチョーニ、カンディンスキー、ジャコメッティ、松本竣介など31点が今回初めてのお披露目となる。続く第2部「アートをさぐる」では、「装飾」「古典」「原始」「異界」「聖俗」「記録」「幸福」という7つの視点からアートを掘り下げていく。5階では、人が身の回りを飾りたいという欲望から生まれた「装飾」のアートに始まり、多様な造形を整理しスタンダードを確立した「古典」、人間の欲望や欲求の源となる「原始」、ふとした時に立ち現れる「異界」をテーマに持つ作品を紹介していく。第2部「アートをさぐる・装飾」イランテペ・シアルク《幾何文台付鉢》紀元前4千年紀ほか第2部「アートをさぐる・古典」小杉未醒(放庵、放菴)《山幸彦》1929年第2部「アートをさぐる・異界」古賀春江《素朴な月夜》1929年ほか続く4階フロアでは、聖なるものと俗なるものを併せ持つ「聖俗」、自画像や街の風景を描きとめた「記録」、そして、人と人との出会いによって生まれるアートの「幸福」をテーマに展示は締めくくられる。第2部「アートをさぐる・聖俗」《洛中洛外図屏風》江戸時代・17世紀第2部「アートをさぐる・記録」小出楢重《帽子をかぶった自画像》1924年ほか第2部「アートをさぐる・幸福」青木茂《わだつみのいろこの宮》1907年ほか今後のアーティゾン美術館では、鴻池朋子が石橋財団コレクションと“共演”するインスタレーションを発表するほか、ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館展示帰国展など、現代美術の紹介も積極的に行なっていく予定。この先どんな「創造の体感」をさせてくれるのか。新しいアートの発信拠点として、これからも目が離せない。【開催情報】『開館記念展「見えてくる光景コレクションの現在地」』
2020年01月23日キルト愛好家が集まる「第19回東京国際キルトフェスティバル-布と針と糸の祭典-」が本日開幕する。会場では様々な招待作家の作品が展示される。今年の特別企画のテーマは“キルトが奏でるミュージック”で、最前線で活動するキルト作家8人の作品が登場。キャシー中島は少女時代からあこがれてきたロックスターにオマージュを捧げる作品を、上田葉子は椿姫の世界を布で表現した作品を出品する。また、国内外・プロアマ問わず集まった1122点の中から選ばれた入選・入賞作品約300点が展示される「日本キルト大賞」や、トークショーなどのステージイベント、ワンポイントレッスンも開催。タイトル通り、布と針と糸で描き出される心安らぐ世界を堪能できるイベントだ。第19回東京国際キルトフェスティバル-布と針と糸の祭典-1月23日(木)から29日(水)まで9時30分から18時(初日は11時から、最終日は17時30分まで)東京ドーム当日券 2200円(税込)
2020年01月23日ブラッドリー・クーパーが監督と主演を兼任するレオナルド・バーンスタインについての映画を、Netflixが世界配信することになった。当初はパラマウントが配給する予定だった。プロデューサーには、『アイリッシュマン』でNetflixと組んだばかりのマーティン・スコセッシも名を連ねる。映画は、バーンスタインと妻の関係に焦点を当てるものらしい。脚本はクーパーと、『スポットライト 世紀のスクープ』のジョシュ・シンガーが共同執筆した。撮影は来年開始の予定。今作は『アリー/スター誕生』に続く、クーパーの監督作第二弾。『アリー』は8部門でオスカーにノミネートされた。文=猿渡由紀
2020年01月22日全世界で大ヒットを記録した『マレフィセント』の続編『マレフィセント2』が、本日1月22日(水)より先行デジタル配信される(2月5日(水)にMovieNEX(4,200円+税)、4K UHD MovieNEX(6,000円+税)が発売)。この度、配信開始にあわせ、約9分もの本編プレビュー映像が公開された。ディズニー・アニメーションの金字塔として、半世紀以上も世界中で愛され続けている『眠れる森の美女』に隠されていた誰も知らない“本当の物語”を、ドラマティックに描き出した『マレフィセント』。その続編『マレフィセント2』は、再びアンジェリーナ・ジョリーを主演に迎え、美しきヴィラン・マレフィセントの“究極の愛”を描いたファンタジーアドベンチャーだ。舞台は、マレフィセントが“真実の愛”を見つけてから数年後。永遠の眠りから目覚めたプリンセス、オーロラ姫とフィリップ王子の結婚は、人間と妖精の間に平和をもたらし、世界を幸福に導くはずだった。しかしその婚礼には、マレフィセントとオーロラ姫の絆を引き裂き、妖精界を滅ぼそうとする恐るべき罠が隠されていた……。公開されたプレビュー映像の見どころは、壮大なファンタジー世界の美しい表現。色鮮やかな花がひしめく美しい森や、本当に存在するかのようにリアルな妖精たち、映像では再現することが難しい水の粒など、最新鋭の技術を駆使して製作された映像美が楽しめる。視覚効果スーパーバイザーを担当したゲイリー・ブロジニックは、「(映像表現において)妖精の3人はどれも同じくらい難しかったです。今まで誰もやったことのないことにチャレンジするとき、完璧を目指すのは難しいことです。クオリティの高さや複雑なプロセスを必要としたので、結果がどうなるかは賭けでした」と、急激なVFXの技術の進歩に苦労しつつも、満足のいく仕上がりになったと、胸中を明かしている。『マレフィセント2』先行デジタル配信中2月5日(水)よりMovieNEX、4K UHD MovieNEX発売
2020年01月22日東京都美術館では、『ハマスホイとデンマーク絵画』展が1月21日(火)より開幕。デンマークを代表する画家、ヴィルヘルム・ハマスホイの作品約40点とともに19世紀デンマークの名画が、3月26日(木)まで紹介されている。柔かな光が差し込む、静まり返った室内。開け放たれた扉、控えめで上品な家具、後ろ向きの女性——。デンマークの画家、ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864〜1916)は、音と光が閉じ込められたような静謐な室内世界を描いたことから、「北欧のフェルメール」と称される。ハマスホイとデンマーク絵画()
2020年01月22日昨今の演劇界でよく目にする「イマーシブシアター」という言葉。Immersive=没入型の、という単語が示している通り、客席からただ観るのではなく、観客が何らかの形で舞台に参加する形の演劇を指す。ロンドンやニューヨークでは10年ほど前から既に多数の成功作が生まれているジャンルで、6階建ての廃墟ビルの中を歩き回りながら『マクベス』の物語を体験する『スリープ・ノー・モア』などは特に有名だ。日本でもイマーシブを謳う公演が徐々に増えているなか、日本最古の歴史を持つ京都の劇場、南座が同ジャンルに初参戦。数年前からイマーシブシアターに力を入れてきたダンスカンパニー「DAZZLE」を脚本・演出・振付に迎え、歌舞伎の『桜姫東文章』に材を取ったオリジナル新作『サクラヒメ』を上演する。1階は客席がすべて取り払われ、舞台と完全に一体化したアクティングエリアとなり、観客は自ら移動しながら鑑賞。2・3階からは着席鑑賞となるものの、物語の結末を決める投票に参加することになるという。意に添わぬ縁談から逃れるため、心中によって恋を成就させたひと組の男女。生まれ変わって花魁となったサクラヒメ(純矢ちとせ)は、運命の相手との再会を望むなかで5人の男性(川原一馬、荒木健太朗、世界、平野泰新、Toyotaka)と出会う。果たして、結ばれるべきふたりは誰なのか……。観るたびに違った景色と結末が楽しめる“マルチエンディング演劇”は、1月24日(金)から2月4日(火)までの上演だ。文:町田麻子
2020年01月22日「おっさんずラブコンサート」が本日1月22日から2日間、東京国際フォーラム ホールAで開催される。田中圭演じるモテない独身のダメ男・春田創一と、吉田鋼太郎演じる黒澤武蔵、林遣都演じる牧凌太の三角関係を描き、2018年に大ブームを巻き起こした『おっさんずラブ』。昨年も、『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』、シーズン2となる『おっさんずラブ-in the sky-』の放送など人気はいまだに衰えない。この作品を彩った音楽が聴ける企画が「おっさんずラブコンサート」だ。シーズン1、2から選ばれた楽曲を、音楽監督を務めた河野伸とオリジナルのオーケストラ「おっさんずラブオーケストラ」が生演奏。20名以上のメンバーによる豪華なサウンドに合わせて、名場面が映し出されるという。なお、前売チケットには非売品オリジナルリコーダーが付属。公演中には、このリコーダーを使って来場者と一緒に「春」を演奏するコーナーも準備されている。楽譜はコンサートの公式サイトでチェックしてほしい。■公演情報「おっさんずラブコンサート」会場:東京国際フォーラム ホールA1月22日(水)開場18:00/開演19:001月23日(木)開場18:00/開演19:00<セットリスト(予定)>01.OPENING02.おお、神様!03.STORMY SATURDAY04.天空不動産東京第二営業所05.乙女、武蔵だお?06.Groovy MARO07.なになに、どゆこと?08.HARU TAN TAN09.おっさんずタンゴ10.キラキラ☆デート日和11.オープニングタイトル~君を好きになってよかった~12.Genius 713.MAMIANA OLE!14.合言葉はジャスティス!15.薫子、降臨!16.LOVE or DEAD17.おさななじみ18.Revival ~ピアノ ver.~19.冗談ですよと飾りをつけて20.好きになっちゃいけない人なんていないんじゃないかしら21.春リコーダーコーナー22.ご搭乗の皆様に申し上げます!23.TAKE OFF24.おっさんずラブ -in the sky- メインテーマ25.シノメシ26.黒澤ダンディズム27.別れの旋律28.ようこそ天空ピーチエアラインへ29.恋の嵐は突然に30.前略コックピットより31.MY GREAT CAPTAIN32.君に打ちあけよう33.君に会えてよかった。34.おっさんずラブメインテーマand ENCORE
2020年01月22日演出家・杉原邦生の活躍が止まらない。昨年は市川猿之助とももにスーパー歌舞伎II『新版 オグリ』の演出を手がけ、自ら率いる「KUNIO」では上演時間10時間にも及ぶ大作ギリシャ悲劇の大作『グリークス』に挑んだ。そんな彼の最新作『少女仮面』が1月24日(水)から2月9日(日)まで東京・シアタートラムにて開幕する。『少女仮面』は唐十郎が1969年、鈴木忠志が主宰する早稲田小劇場に書き下ろしたものであり、数ある唐十郎戯曲の中でも傑作と名高い作品。伝説の宝塚の大スター・春日野八千代(若村麻由美)に憧れて、地下の喫茶店「肉体」にやってきた少女貝(木崎ゆりあ)と老婆(大西多摩恵)。そこにはボーイ主任(大堀こういち)とタップを踊りながらでてくる不思議なボーイふたり(井澤勇貴、水瀬慧人)、腹話術師(武谷公雄)、水飲みの男(田中佑弥)。一体これから何が始まるのか……?喫茶店を舞台にめくるめく“唐ワールド”が展開されてゆく。この作品が書かれた1969年は高度経済成長期の真っ只中であり、学生らを中心に安保闘争が盛り上がるなど、社会が大きな熱気とうねりを持った時代でもあった。唐らが中心となり一時代を築いたアングラ演劇は、そんな時代背景と人々の持つエネルギーの流れの中で生まれていったもの。初演化から50年を経てこの作品を上演することに関して、杉原はプレスリリースで「唐十郎が 1969年に生み出した『少女仮面』には、現代(いま)だからこそ迫ってくる切実さが満ち溢れている。今回はこの作品を、現代を生きる僕たちの〈実在〉のための物語として、クールかつスタイリッシュに描き出したいと考えている」と述べている。オリンピックという大きな祭りを控えてはいるものの、当時とはまた異なる色で不安と閉塞感が満ちたこの時代に、若き演出家は唐の言葉、そして“肉体”をどう立ち上らせるのか。そこには現代だからこそ見られる、新たな“アングラ”があるに違いない。文:川口有紀※木崎ゆりあの「崎」は正式には「たつさき」
2020年01月22日別冊「根本宗子」第8号『THE MODERN PLAY FOR GIRLS 女の子のための現代演劇』が、1月22日(水)から26日(日)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて上演される。昨年末に代表作『今、出来る、精一杯。』で新国立劇場 中劇場に進出。息つく間もないスピードで10周年イヤーを駆け抜けた演劇モンスターが、今度はKAATで新展開を見せる。この別冊「根本宗子」とは、根本宗子が主宰する劇団、月刊「根本宗子」の派生ユニット。これまでも月刊「根本宗子」とはひと味違ったチャレンジングな試みに挑み続けてきた。今回のチャレンジは、まず2本連続上演であること。そしてそのうちの1本『Whose playing that “ballerina”? そのバレリーナの公演はあの子のものじゃないのです。(English ver.)』はタイトル通り全編英語(日本語字幕あり)だ。この作品に関しては初演を観ているのだけど、ぼっちの女の子が3人の女友達と出会い、孤独から救われていく……というストーリー。だけども、それだけじゃないのが、根本宗子のすごみだ。自虐と妄執が自家中毒を起こしながら、笑えないはずの人生を爽快に笑い飛ばしていく終盤のカタルシスは、天下一品の破壊力。あの疾風怒濤のセリフ量が英語劇になったとき、どんな変化を見せるのかは一見の価値ありだろう。そしてもう1本は新作『超、Maria』。こちらは根本宗子と、姉妹の音楽ユニット「チャラン・ポ・ランタン」のボーカル・ももによる二人芝居。それを、同じく「チャラン・ポ・ランタン」の小春の生演奏と共に上演する。根本宗子と「チャラン・ポ・ランタン」と言えば、『愛犬ポリーの死、そして家族の話』で劇中楽曲の提供を受けるなど、その相性の良さはすでに証明済み。タイトルの『超、Maria』が文字通り聖母マリアのことだとしたら、これまで女性の内面を切っ先鋭いセリフで過剰なぐらい饒舌に描いてきた根本が、聖母をモチーフにどんな二人芝居をつくるのか興味が尽きない。タイトルに掲げる通り、今回はまさに女の子による女の子のための演劇。ニットブランド『縷縷夢兎』の東佳苗の舞台装飾など、そのガーリッシュな世界観は夢見る女の子たちの心を、時にスイートに、時にビターにくすぐるはず。そして男性は恐る恐る足を踏み入れつつ、彼女たちのパワーにねじ伏せられてほしい。文:横川良明
2020年01月22日王室離脱を宣言したハリー王子とメーガン妃に、Netflixが目をつけているようだ。Netflixのチーフ・コンテンツ・オフィサー、テッド・サランドスが、L.A.でのイベントで、記者から聞かれ、「もちろん興味がある。当然だろう」と答えたことから、メディアの想像を掻き立てたもの。Netflixは、オバマ前大統領夫妻とも製作契約を結んでおり、同じようなコラボレーションを提案する可能性は大きいと思われる。オバマ夫妻が関わった最初の作品は、オスカーのドキュメンタリー部門に候補入りした『アメリカン・ファクトリー』。メーガン妃は早くも、声の出演と引き換えにゾウのためのチャリティに寄付してもらうディールを、ディズニーと結んでおり、これからハリウッドでどのような活動をしていくのか注目される。文=猿渡由紀
2020年01月21日人間同士のセックスは、愛情を表現し合うもの夫婦って、なんだろう。セックスって、なんだろう。上映が終わったばかりのざわめく劇場で、そんなことを密やかに考える極上の映画が誕生した。それが、1月24日(金)から公開の『ロマンスドール』だ。物語に登場するのは、ある嘘と秘密を抱えた1組の夫妻。ひと目で恋におち、幸せなゴールを迎えた哲雄と園子。しかし、ハッピーエンドのその先には時間と共に少しずつ愛情が目減りしていく現実が待っている。そんな夫婦の10年を、監督のタナダユキが繊細にすくいとっていく。セックスの本来の目的は、あくまで生殖行為。だけど、劇中で描かれる夫婦のセックスを見ていると、何かもっと別の意味合いがあるのだと感じずにはいられない。「僕も同じことを感じました。実は魂のようなものは人間だけに託されているんじゃないかと。命が物理的なものだとしたら、魂はもっと精神的なもの。たとえ命がなくなっても、魂は残り続ける。そういうことを思考する能力を与えられているのは人間だけなのではないのかと感じました」そう夫の哲雄役を演じた高橋一生は、静かに語りはじめた。「人間同士のセックスは愛情を表現し合うものであり、肉体を重ねているわけだけれども、重ねているのは肉体だけではない気がします。そんなことを感じながら、試写を観ていました」劇中では、妻の園子との夫婦の営みの場面が何度か描かれる。それは、生々しく、官能的な香りをたたえながら、それでいて優しく、不思議な儚さに満ちていた。「ベッドシーンに関しては、下品なものにはしたくないという気持ちがありました。タナダさんなら、きっとファンタジックになりすぎず、過剰に生々しくもなりすぎないものを撮ってくださるだろうという信頼を皮膚感覚で感じていたので、何も考えずに現場に行くことができました」特に終盤で描かれる夫婦の営みは、ある種の神秘さえ感じてしまう。「不思議な感じです。なんだか哲雄の中でも世界が分断されているような感覚でした。園子と同じ世界に住んでいるようで、住んでいない。この映画は哲雄のモノローグから始まっているので、もしかしたらここに出てくる園子は哲雄によって美化された園子なのかもしれないと思っていて。ある意味、“哲雄にとってのミューズ”の側面が強く出ていたりもするんですが、そもそもそういうものなんだと思うんです、人が人を見るときって。そういう奇妙な生々しさが伴っているシーンだと思います」会話はキャッチボールじゃない妻の園子を演じるのは蒼井優。ふたりのシーンで特に強く印象に残るのが、夫婦がテーブルを挟んで離婚について話し合う場面だ。高橋一生と、蒼井優。優れた俳優ふたりの見えない糸を引き合うような演技が、緊張感とおかしみをつくり出す。「あそこは監督から『一連(カットを割らないこと)でやっていい?』と聞かれて。『もちろんいいですよ』と答えて、何パターンか一連で撮ったんです。会話はキャッチボールじゃないんだ、ということがわかるシーンでした」よく息の合ったお芝居はキャッチボールに例えられる。けれど、高橋一生の考えは違う。「キャッチボールと言うと、相手がフォームをとって投げてくるまでの間、僕はグローブを構えたまま。けれど、本来、会話は同時進行でいろんなことが進んでいる。敢えて例えるなら、卓球台の上で1つの球を打ち合いながら、台の下で球を5〜6個同時に投げているようなもの。そういうお芝居ができたのは、相手が蒼井優さんだからこそでした」蒼井優とは、『リリィ・シュシュのすべて』以来、映画では実に19年ぶりの共演となった。「優ちゃんが素敵だなと思うのは、自分のことを女優だとは思っていないんです。あくまで俳優部の一員という感覚で。その姿が見ていて気持ちいいですし、シンパシーも感じます。映画づくりには、演出部、衣装部、メイク部など、たくさんの作り手の方々がいて、僕たちはたまたま表側の見えやすい部署に立っているだけ。それを過剰に持ち上げられたりすると、気持ち悪くなってしまうこともあるんですが、この現場はそういう居心地の悪さをまったく感じなかった。職人たちが集まった、気持ちのいい現場でした」何か足りないものがあるとわかった上でドールをつくっている「職人」で言えば、高橋一生が演じた哲雄もまた職人だ。哲雄は、ラブドールをつくることで生計を立てている。ラブドールとは、不思議だ。単純に快楽だけを目的とするなら、人間の形をしている必要はない。けれど、人はそれに人間の形を与え、そして人間の形をしたそれをまるで本物の恋人のように愛する。欲望や愚かさ、いとおしさ。そんな人間の業そのものを形にしたのが、ラブドールと言えるのかもしれない。「ただの道具では足りないものがあったとして、それが人型になったところでどれだけ変わるのかと言ったら、想像力で補って本当の人間のように思う人もいれば、もしかしたらとてつもない虚しさが襲ってくる人もいるのかもしれません。どう捉えるかによってドールの価値が変わってしまうところは、おっしゃるような業につながるところなのかもしれないと感じます」そう前置きをした上で、高橋一生は撮影前に指導を受けたドール造形士の人々の姿を思い返した。「しっかりとお話をしたわけではないのでわからないですが、造形士の方も『決定的に何か足りないものがある』ことを気づくためにドールを作っている気がしました。血管まで見えて、まるで本当の人間のようなドールが目の前にあっても、やっぱりわかるんです、欠落した何かがあることを。魂がないですから」限りなく人間に近づけるために、できる努力と工夫はすべてする。だけど、どれだけ知恵と技術を尽くしても届かない領域があることを、造形士たちは自覚しながらドールづくりに臨んでいる。そう感じたと高橋一生は言う。「ちらっと『機械工学のスペシャリストとタッグを組めば、ドールが動くことも可能ですね』という話をしたら、『そうなってしまったら怖いですけどね』とおっしゃっていました。それを聞いて、やっぱりそこに命を宿らせようとするところまでは行き着かないようにしているのかなと思ったんです。なぜなら、完全なものができてしまったら、人は想像力がなくなってしまうから。できれば想像力をのりしろとして残しておきたいと無意識の内に思っていらっしゃるんじゃないかなと」僕らのやっていることは、どこまでいっても「ごっこ遊び」そう考えると、造形士と俳優のやっていることは通じるものがあるのかもしれない。ドールが完璧な人間ではないように、俳優もまたどれだけ役に近づこうと全身全霊を傾けても、あくまでそれは架空の世界だ。「僕らのやっていることは、どこまでいっても『ごっこ遊び』だと思います。その『ごっこ遊び』にどれだけ自分が没入できるか、自分を騙せるか、であって。極端な例を挙げれば、人殺しの役をやるからと言って本当に人を殺してしまうわけにはいかない。あくまで役との間に冷静さを持つことは必要だと思います」高橋一生は、今や余人をもって替えがたい俳優だ。憑依する、とはまた違う。圧倒的な集中力と研鑽を積んだ技術で、与えられた役を人肌が感じられるまでにリアルに造形する姿は、まさに職人的ですらある。そう伝えると、高橋一生はくしゃっと笑ってから、控えめにかぶりを振る。「そんな高尚なものだとは思っていないです。役者は、ひとつの人格をつくるんだなんて似非オカルトチックなシャーマニズムみたいなものを引き合いに出すつもりもまったくないですし。僕が目標にしていることは、監督やプロデューサーの方に『一生くんでよかった』と喜んでもらえるような仕事をすること。自分に仕事を与えてくれた方々に『高橋一生だからこの世界観が成立した』と言ってもらえることが喜びです。そのために淡々とやるべきことをやっていくだけ。そして、それをそのまま撮っていただくだけです。これといった大仰な何かは自分の職業に対して思っていないんです」俳優は、オファーを待つのが仕事。だからこそ、自分にオファーをくれた人のために、できる限りのことを尽くす。高橋一生が作品の中で常に絶妙な存在感を示しているのは、そんなスタンスに由来しているのかもしれない。そして、この『ロマンスドール』で高橋一生はその役目を果たした。幻想的でありながら奥行きをもった世界が奇跡のバランスで成立した理由のひとつは、間違いなく高橋一生が担っている。『ロマンスドール』1月24日(金)公開撮影/高橋那月、取材・文/横川良明
2020年01月21日ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで本日から「ユニバーサル・クールジャパン 2020」が開催される。世界中にファンをもつ日本作品を題材にしたアトラクションが次々に登場。日本だけでなく世界各地からファンが集結することになりそうだ。本イベントは、日本の人気作品をUSJの圧倒的なクオリティでアトラクション化し、作品世界に入り込み、新たな体験を楽しめるもの。今年は4作品が登場する。360度に作品世界が広がり、スリルとスピード感が楽しめる超体感VRコースター「進撃の巨人 XRライド」や、劇場版最新作のプロローグとして描かれるオリジナルストーリーを楽しめる「名探偵コナン・ザ・エスケープ」、ストリート・ライブ・エンターテイメント「ルパン三世・ザ・ライブ」、VR映像と特殊効果が目の前に広がる「モンスターハンターワールド:アイスボーン XR WALK」など魅力的なアトラクションが次々に登場。また、作品世界をモチーフにしたレストランや、人気の「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」と『名探偵コナン』の豪華コラボレーションなど盛りだくさんの内容で、今後さらに新企画や新情報が発表になる。なお、「モンスターハンターワールド…」は3月20日(金)から開催され、「名探偵コナン・ミステリー・レストラン」は、6月14(日)までの開催となる。ユニバーサル・クールジャパン 20201月21日(火)から6月28日(日)までユニバーサル・スタジオ・ジャパン
2020年01月21日「ふざけた社会派」を標榜する劇団チャリT企画の次回公演は、2014年初演の『それは秘密です。』の再演だ。ある日、ひとりの中年男性が逮捕された。男の名は、小島圭。職業は、売れないお笑い芸人。お笑いコントグループ・TKFの一員として長年活動するものの一向に芽の出る気配はない。そんな小島に、最後のビッグチャンスが訪れた。芸歴20年以上の売れない芸人を対象としたお笑いコンテスト・O1(オーワン)グランプリで決勝まで進出したのだ。ここで優勝すれば賞金1000万円。一躍時の人としてブレイクするのは必至だ。どん底人生に舞い込んだ逆転への切り札に張り切る矢先、小島は突然逮捕されてしまう。しかも、容疑は「秘密」。なんとしてでも小島を救い出し、O1グランプリに出場すべく、同じTKFのメンバーである田村と美紀、そしてマネージャーは奔走する。そんな不条理劇を、軽妙なセリフの応酬でテンポよく紡いでいくところが、本作の面白さ。突然音信を絶った小島を探そうとする田村たちの前に、次々と現れる謎の人物たち。そのたびに、自分たちの知らない小島の素顔を明かされ混乱する田村たちの様子がコミカルに描かれていて、観る人を飽きさせない。劇団チャリT企画『それは秘密です。』初演(2014年)より 撮影:鈴木淳誰にだって「秘密」はある。どんなに長年連れ添った相手でも、自分から見えている部分はその人間の一面に過ぎず、それが本性とは限らない。そうした人間関係の脆さや得体の知れなさを笑いに変えていくところに、作・演出の楢原 拓のウィットを感じる。「社会派」と聞くと堅苦しいイメージが湧いてくるけれど、そこに「ふざけた」とつくのがチャリT企画の妙味。飛び交うユーモラスなやりとりにゲラゲラと笑っているうちに、自然と劇世界に惹きこまれていることだろう。そうやってお腹を抱えているところで、ふと喉元に刃を突き立てられるから、この作品は面白い。本作が初めて上演されたのは2014年。特定秘密保護法が施行された年だ。当時はこの法律をめぐって盛んに議論が繰り広げられたが、今やすっかり国民の関心は失われた。しかしあれから6年経って、世界をめぐる情勢はますます混沌としている。そんな今だからこそ、もう一度、本作を観て大いに笑おう。そして、衝撃のラストに打ちのめされてみるのもいいかもしれない。劇団チャリT企画『それは秘密です。』は1月23日(木)から30日(日)まで東京の座・高円寺1にて上演。文:横川良明
2020年01月21日東京・京橋にある国立映画アーカイブで本日から大規模な特集上映「戦後日本ドキュメンタリー映画再考」がスタートする。タイトルの通り、戦後の日本で制作されたドキュメンタリー作品を上映し、その意義やメッセージを、現代の、そして将来の社会を視野に入れながら再考できる貴重な催しだ。映画はその誕生時から数多くのノンフィクション映画を残してきた。テレビやインターネットがない時代、映画はニュースを伝える主要な媒体のひとつとして進化を続け、プロが手がけたもの、個人映画なども含めるとその数は膨大なものになる。さらに作家的な視点を持ち込んだドキュメンタリー映画も存在する。発展する科学の最前線を伝えるもの、社会に異議申し立てをする者、失われていく歴史をフィルムに刻もうとする者……そこにはある時代を生きた“人間の視点”が確かに存在している。今回の特集は主に1950年代から2000年前後に発表された日本のドキュメンタリーを上映する。高度成長期の日本のある側面を記録したダム建設記念映画群や、日本のドキュメンタリー映画界にその名を刻む小川紳介、土本典昭らの作品、最新作『れいわ一揆』も話題を集めた原一男監督の第2作『極私的エロス・恋歌1974』、柳町光男監督が暴走族の世界にカメラを向けた刺激的な傑作『ゴッド・スピード・ユー BLACK EMPEROR』、菌や生物の世界を記録し高評価を得た樋口源一郎の作品など66作品が集まった。いずれの作品も単なる“記録”にとどまらず、その時代を生きた人々の視点や思考、訴えが描かれており、この特集を通じて過去を見つめるだけでなく、現代の社会や未来について考えることもできる内容になっている。戦後日本ドキュメンタリー映画再考1月21日(火)から3月8日(日)まで国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU(2階)月曜休館
2020年01月21日ヨーロッパ企画に2005年から参加し、以降、舞台の脚本・演出ほかラジオの構成やドラマ・映画の脚本も数多く手がけている大歳倫弘。彼が2009年からスタートさせた劇団内ユニット・イエティの新作が1月22日(水)に東京の下北沢・小劇場B1にて開幕する。ヨーロッパ企画と言えば、上田誠が描くSFチックかつトリッキーなコメディで観客を沸かせるが、こちらのユニットは、テレビ通販や都市伝説などのジャンクカルチャーをテーマにしたコメディが特徴だ。本公演とはまた違った味わいの笑いを展開し続けており、今回は“ヤンキー”と“サブカル文化”の対比を量販店の店内を舞台に描いた2011年初演作『ドンキーヤング』の続編を上演するという。『ドンキーヤング』初演(2011年)より「9年前は、サブカルに目覚めたヤンキーが三面六臂の活躍を見せる活劇でしたが、今回はその続編をやります。それも、9年前の作品とニコイチにして。前作はサブカルを商売にしようと企む人がまだ残っていた時代の話。そして今作はサブカルという言葉が死語となった時代(つまるところの現代)が舞台です。時代なんて言葉を使うと壮大な話のように思えますが、きわめて小さいお話なのでお気軽にぜひ」と大歳。出演は劇団メンバーから石田剛太、酒井善史、角田貴志、中川晴樹。彼らが本公演とは違った一面を見せてくれるのも楽しみ。ほか呉城久美、藤谷理子、木下出が参加する。ヨーロッパ企画 イエティ♯14『スーパードンキーヤングDX』は、1月22日(水)から26日(日)まで小劇場B1、1月30日(木)から2月3日(月)まで兵庫・AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)にて上演。文:伊藤由紀子
2020年01月21日東方神起が1月22日(水)、ニューシングル『まなざし』をリリースする。日本デビュー15周年を迎えた東方神起。昨年はそれを記念したアルバム『XV』の発売など、充実した1年となった。11月からは4度目となる全国5大ドームツアー「東方神起 LIVE TOUR 2019 ~XV~」をスタートさせ、1月19日に大阪・京セラドームでファイナル公演を成功させたばかり。さらに、会場では4月25日、26日に東京ドームでの追加公演、日本デビュー日である4月27日にイベントを開催することも発表された。2020年も更なる飛躍が期待される。本日発売の『まなざし』はこれまで多くのファンの「まなざし」に支えられてきた、という感謝を込めて贈るバラード。カップリング曲として『Your Song』も収録される。『まなざし』のミュージックビデオはすでにYouTubeで公開中。楽曲のコンセプトでもある「まなざし」を温かな映像で表現するために、横浜の街並みやイチョウ並木をフィルムで撮影しているという。親子や恋人など様々な人々による「まなざし」に注目だ。さらにシングルの初回限定豪華盤は特殊ジャケット仕様で、フォトブックなどの特典が付属。オフィシャルファンクラブから注文できるBigeast盤ではメンバー手書きコメント付きブックレットが同梱されるという。それぞれに合ったパッケージでぜひ手にとってほしい。■CD情報東方神起『まなざし』1月22日(水)発売収録曲1.まなざし2.Your Song3.まなざし-Less Vocal-4.Your Song -Less Vocal-・初回限定特典ジャケットサイズカード(全6種のうち1枚ランダム封入)
2020年01月21日「ぴあ」調査による2020年1月17日、18日公開のぴあ映画初日満足度ランキングは、人気TVシリーズのその後を描いた新作『メイドインアビス 深き魂の黎明』が第1位になった。ベスト10は以下の通り。1位『メイドインアビス 深き魂の黎明』92.6点2位『ジョジョ・ラビット』92.5点3位『mellow』92.0点5位『太陽の家』91.1点6位『オルジャスの白い馬』90.8点7位『記憶屋 あなたを忘れない』90.2点8位『劇場版 ハイスクール・フリート』88.8点9位『リチャード・ジュエル』88.3点10位『ラストレター』87.9点『メイドインアビス』の原作はつくしあきひとの人気漫画で、謎に満ちた不思議な秘境“アビス”を舞台に、孤児のリコと人間そっくりのロボット・レグが、その謎を解き明かそうと冒険を繰り広げるダークファンタジー。2017年にTVシリーズが放送され、2019年には総集編が前編と後編にわけて劇場公開された。後編はPG12指定がついたが、今回の劇場版はR15指定になった。劇場にはTVシリーズを見ていた人や原作を読んでいると話す作品のファンが集結。出口調査を行ったEJアニメシアターでは満席の回がでる盛況ぶりだった。観客からは「原作を読んでいて、本当に映像化できるのか半信半疑だったが、期待以上の出来だった」「困難を乗り越えていく姿は応援したくなるしワクワクするが、辛い部分もある」「気を抜けない。ずっとハラハラしっぱなし」「すべてがヤバかった。最後は感情がグチャグチャになった」「“愛”とは何かを考えさせられる」などの感想が寄せられた。また「印象的なシーンがありすぎてひと言では表せない。R15指定作品だが、確かにそうでないと描けないと納得した」「やりすぎなくらいの理不尽さとエグさがあって、一回観ただけでは全容をつかめないくらいおもしろい」と話す人もいた。ベスト10に入った作品の中で、20代から70代までの観客から多くの感想が寄せられたのがクリント・イーストウッド監督の新作『リチャード・ジュエル』。本作は、1996年に起こった爆破テロ事件の実話を基にした作品で、爆破テロを未然に防ぐも、容疑をかけられ、国中から疑いの目を向けられる主人公のリチャード・ジュエルと、彼をとりまく人間模様が描かれる。観客からは「今だったらSNSなどで拡散されそうなメディア・リンチを描いていて、20年前の出来事だがタイムリーな話で怖いと思った」「司法はみな平等に同じ権利があるが、日本はほんとうにそうなのか考えさせられた」「過剰でなく淡々とした物語の運び方がイーストウッド監督らしくてよかった」「冤罪をテーマにした作品で、現実から乖離しておらず脚本に無駄がない」などの声があがった。(本ランキングは、1/17(金)、1/18(土)に公開された新作映画17本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2020年01月20日「BS10スターチャンネル」が、‟STAR CHANNEL MOVIES”のスペシャル企画として、ベネディクト・カンバーバッチ主演・製作総指揮映画『チャイルド・イン・タイム』をBS10スターチャンネルで独占日本初公開(無料放送)することが分かった。本作品は『つぐない』や『追想』などの原作者であるベストセラー作家、イアン・マキューアンの小説「時間のなかの子供」を映像化した感動作。主人公は、児童文学の作家スティーヴ。娘のケイトと一緒にスーパーマーケットに買い物へ出掛けるが、店内で少し目を離した瞬間、彼は娘の姿を見失ってしまう。失踪してしまった娘に対する罪悪感に苛まれ、その悲嘆からスティーヴは酒に溺れていくことで、妻ジュリーとの関係も悪化してゆく。彼は教育委員会の仕事に従事するも、娘のことがひと時も忘れられず、やがて街中でケイトの幻影を追い求めるようになる……。字幕版は2月29日(土)18:15~、吹替版は3月6日(金)20:00~で無料放送される。また、同日にメイキング映像も無料で放送されることも決定している。『チャイルド・イン・タイム』BS10スターチャンネル独占日本初公開字幕版2月29日(土)18:15~吹替版3月6日(金)20:00~
2020年01月20日1月18日、19日の全国映画動員ランキングは、『アナと雪の女王2』(全国382館)が公開9週目も首位をキープした。また公開2週目の『カイジ ファイナルゲーム』(全国333館)は2位、公開5週目の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(全国379館)は3位につけておりTOP3は先週と変わらず。続いて岩井俊二監督の新作『ラストレター』(全国262館)が初登場4位に入り、公開2週目の『パラサイト 半地下の家族』(全国137館)は先週と変わらず5位になった。そのほか新作では、織守きょうやの小説を山田涼介の主演で映画化した『記憶屋 あなたを忘れない』(全国327館)が初登場6位。クリント・イーストウッドが、爆破テロ事件の実話を基に映画化した『リチャード・ジュエル』(全国244館)は初登場8位。2017年に放送されたTVシリーズのその後を描く劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』(全国50館)は初登場9位。2016年に放送されたTVシリーズを映画化した『劇場版 ハイスクール・フリート』(全国96館)は初登場10位に入った。タイカ・ワイティティ監督の異色作『ジョジョ・ラビット』(全国143館)は初登場11位につけている。次週は『映画 おかあさんといっしょすりかえかめんをつかまえろ!』『風の電話』『キャッツ』『サヨナラまでの30分』『シグナル100』『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』『his』『ロマンスドール』などが封切られる。全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)1位『アナと雪の女王2』2位『カイジ ファイナルゲーム』3位『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』4位『ラストレター』5位『パラサイト 半地下の家族』6位『記憶屋 あなたを忘れない』7位『フォードvsフェラーリ』8位『リチャード・ジュエル』9位『メイドインアビス 深き魂の黎明』10位『劇場版 ハイスクール・フリート』
2020年01月20日オスカーを予測する上で鍵となるプロデューサー組合(PGA)賞が発表された。長編映画部門を受賞したのは、『1917 命をかけた伝令』。この部門には、オスカー作品部門の9本の候補作すべてがノミネートされていた。PGAがオスカーの作品賞と食い違ったのは、過去10年で2回だけ(ただし2013年は、オスカーを取った『それでも夜は明ける』と『ゼロ・グラビティ』がタイだったため、これも違ったほうに入れると、3回となる)。『1917〜』は、これでまた一気に勢いを増した形だ。長編アニメ映画部門は『トイ・ストーリー4』。テレビシリーズ部門(ドラマ)の受賞作は『キング・オブ・メディア』、テレビシリーズ部門(コメディ)は『Fleabag/フリーバッグ』だった。文=猿渡由紀『1917 命をかけた伝令』2月14日(金)公開
2020年01月20日おとな向け映画ガイド今週のオススメはこの4作品。ぴあ編集部 坂口英明20/1/20(月)イラストレーション:高松啓二今週公開される作品は20本(ライブビューイング、映画祭を除く)。100スクリーンを超える全国のシネコンで拡大上映されるのは『キャッツ』『サヨナラまでの30分』の2本。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が18本です。この中から、おとなの映画ファンにオススメしたい4作品をご紹介します。『風の電話』岩手県東部、大槌町に住む庭師が海辺の高台にある自宅の庭に建てた電話ボックス。『風の電話』とよばれています。置かれた電話は繋がっていません。他界した従兄ともう一度話をしたいとの思いで作った、象徴的なボックスです。その後震災がおき、家族や知り合いを亡くした人たちが、この電話のことを知り、天国へ想いを伝えようと訪れるようになりました。その姿がテレビなどで報道され、話題になりました。年間3万人が訪れる鎮魂の場所です。この電話をモチーフに映画が作られました。主人公は、大槌で罹災、家族をすべて失い、呉の叔母の家に身を寄せる高校生ハル。映画は、叔母の入院でパニックのようになったハルが、突然故郷をめざし、ヒッチハイクで始める旅の物語です。計画もない、いきあたりばったりの旅。その途上で出会った大人たちとの交流が、自分はひとりぼっちだ、と絶望していたハルの心を癒していきます。彼らは様々な事情をかかえて生きていて、他人のことなどかまっているひまなどないのですが、ハルの様子をみて、思わず声をかけ、手を差し伸べてくれます。演じているのは、三浦友和、西島秀俊、西田敏行といったベテランの役者たち。諏訪敦彦監督は、役者が台本通りにセリフを読むのではなく、状況を理解した役者が自分の言葉で話す「即興芝居」というスタイルの映画作りをする演出家です。それに応えた、名優たちに、存在感、リアリティを感じます。食事のシーンが多いのも面白いです。悲しいことは多いが、人はまず食べなきゃ生きていけないのです。そして主演、ハル役のモトーラ世理奈が素晴らしい。最初は言葉少ないメソメソした孤独な少女ですが、次第に他者との関係性にめざめていきます。ゆっくりと、自分の言葉でぽつりぽつりと話しはじめます。ロードムービーのように、旅をしながらの撮影だったそうです。終盤近く、10分近い長いモノローグは、この旅の中で彼女自身が人間として成長したかのような、心の叫びが感じられ、圧巻です。『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』年明けから、たて続けにおとな向けのミステリー映画が公開されます。いずれも仕掛けが凝っています。例えばこの作品。世界的なベストセラー小説の出版にからむミステリーサスペンスです。大人気シリーズの最終章出版に向けて、フランスの豪邸に世界9カ国から翻訳家が集められます。携帯もパソコンも没収、ロシアの富豪が作った核シェルターのような密室に、いわゆる「缶詰め」状態にされ、翻訳にとりかかります。原稿も毎日20ページ分しか渡されません。そんな徹底した秘密保持策にも関わらず、本の一部が流出、犯人から法外なお金を要求する恐喝メールが版元に届きます。犯人は9人の中にいるというわけです。大ベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』、その4作目『インフェルノ』の出版に際し、アメリカの出版元が各国の翻訳家を秘密の燃料庫に隔離して翻訳作業を行ったという出版秘話にヒントを得ています。この缶詰めに、アジアの翻訳者は対象外だったようです。映画では、中国からも参加、イギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、ロシア、デンマークから高いギャラで集められます。それぞれ個性的であり、お国柄も違えば、仕事の仕方も異なります。本の内容を知るのは彼らと、作者、そしてこの異常な環境を考えついた出版社の社長だけ。やがて内輪もめが始まり、犯人探しが始まり、思いもつかない展開が……。密室ミステリーの一種ですね。お楽しみに。『イーディ、83歳はじめての山登り』人生を変えてしまう映画とは、実はこういう作品なのかもしれません。30年間介護した夫に先立たれ、ひとりになった83歳のイーディ。身辺整理をしていて、昔父からもらった山の絵葉書を見つけ、山登りか、それもいいなと思いますが……。この年ではとても無理だろうと悩む彼女が吹っ切れたのは、馴染みのフィッシュ&チップスの店での会話でした。「追加の注文には遅い?」と聞く彼女に、「何も遅すぎることはないさ」。店員のこの言葉で彼女はにっこり微笑むのです。マンガなら、頭の上にランプが灯った感じです。ロンドンからスコットランド・インバネス行きの夜行列車に乗り、めざすはスイルベン山。絵葉書に父の自筆で「この変な山に登ろう」と書いてあった山です。イーディを演じるのは、舞台出身の大女優シーラ・ハンコック。綿密なトレーニングを積み。撮影に臨んだとのこと。高齢の役者にとっては大変なチャレンジだったと思います。遅すぎる、ということはない、どんな世代にとっても。一歩踏み出したい人への応援歌のような映画です。首都圏は、1/24(金)からシネスイッチ銀座で公開。中部は、3/7(土)から伏見ミリオン座で公開。関西は、3/20(金)からテアトル梅田で公開。『彼らは生きていた』日本では2月14日(金)に公開される『1917 命をかけた伝令』という第1次大戦を舞台にした戦争映画が評判です。このドキュメンタリーの日本公開が急遽決まったのは、その関連作品とみなされて、のようです。確かにこの2本を観ると、第1次大戦の理解は倍加どころではありません。なんともすさまじい、戦争の記録です。戦争勃発は1914年。映像の世紀は始まっています。戦争の一部始終は映像として残っています。イギリス帝国戦争博物館に保存された数千時間に及ぶそういう戦争の記録映像をデジタル修復、1本の映画にまとめたのは『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督です。フィルムは、傷を取り除き、現代の1秒24フレームに修正し、動きがスムーズになり、着色も加えています。100年前に観たのとは比較にならないリアルさだと思います。サイレント画像に、BBCが収録保存していた退役軍人のインタビュー音声素材、再現音も組み合わせて構成。戦争終結100周年記念行事として、2018年のロンドン映画祭で上映されました。開戦が伝わると、熱病にかかったように軍を志願する10代の少年たち、それを煽るのは宣伝ポスターや国全体の好戦ムードです。彼らは。あまり考えもなく軍隊に入り、軍服に身を包み、軍事訓練に励みます。表情は楽しそうで、どこかピクニック気分です。それが、フランスに派遣され、ドイツと対置する西部戦線に送り込まれたあたりから、微笑みは消え、悲惨な様相を呈してきます。広大な塹壕を堀り、そこをベースにした小競り合いでしかばねを重ねていきます。敵の狙撃により隣にいた戦友の首がふっとび、腕が、足がなくなっていきます。遺骸はそのままにされ、死臭がただよう、この世の地獄です。近代戦の装備がどんどん登場します。まだ飛行機の戦いは主ではありません。戦車が現れ、毒ガスも使われます。毒ガスにどう対処したか、聞くと絶句します。壮絶な、まさに壮絶な戦争です。首都圏は、1/25(土)からシアター・イメージフォーラムで公開。中部は、2/22(土)から名古屋シネマテークで公開。関西は、2/14(金)からテアトル梅田で公開。
2020年01月20日