サカイクがお届けする新着記事一覧 (14/34)
サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「相手を交わすキックフェイントがうまくできない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、ドリブルで相手を交わす際やシュートの時に、ボールを蹴るふりをして相手を交わす「キックフェイント」を使う場面があります。しかし、初心者はステップの踏み方がぎこちなかったり、ボールを足元でうまく扱えないため、相手をだますフェイントの動きが中々できないもの。今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、相手を交わすキックフェイントが身につくトレーニングを紹介します。【やり方】1.親子で対面して立ち、2人の中間あたりに2つの目印を置く2.子どもは片方の目印にボールを蹴るふりをして(キックフェイント)、もう片方の目印に進む3.アウトサイドを使って同じようにキックフェイントの動きを習得4.慣れてきたら、親が転がしたボールを足元でコントロールしてからキックフェイントを行う5.子どもがボールを足元でコントロールしたら親がDF役になり、ボールを奪いに行く。子どもはキックフェイントを使って親を交わすなど難易度を上げてみる【トレーニングのポイント】・右足で蹴るふりをして右のインサイドで方向を変える、という風に蹴る足のインサイドを使って方向を変える。(左も同様)・しっかり狙って蹴るふりをすることで、相手をだますことができる・間合いを大事に。相手が詰めてくるので、ボールを取られない間合いでフェイントを入れる・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年09月26日監督・コーチの話を聞かない、練習の並び順でケンカ、行動が遅い......。U-10年代の指導の指導はどうすればいい?池上正さんの書籍を読んで実践しているけど、うまくいかない。という悩みをいただきました。この連載を読んでいる方の中にも、同じような経験を持つ方がいるのでは。今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、話をじっと聞いていられないU-10年代の指導の指導のコツを伝授します。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<上手い子、そうでない子が混在するチーム。どっちにも楽しんでほしいからレベルでグループ分けしたいが、注意点は?<お父さんコーチからの質問>こんにちは。田舎の少年団で指導をしている者です。担当はU-10です。池上さんの書籍「伸ばしたいなら離れなさい」を読ませて頂き実践しているのですが、子どもたちが話を聞きません。行動が遅い、待ち時間の並び順でケンカばかりする、など、なかなか上手くいきません。池上さんの本が発売されたころとは教育、家庭でのしつけなども変わっているので子どもたちの気質なんかも変わってきているというのはあると思うのですが、(過保護なご家庭が多いと感じます......)この年代のチームがまとまる良い方法はないでしょうか?<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。先日、首都圏のある自治体で、教員の方々に「これからのスポーツを考える」というタイトルでお話しさせていただきました。そのなかで、子どもたちが主体的対話的深い学びが必要だと言われているけれど、授業でその時間をつくっていないという話が出ました。■子どもが輪に入れないとき、大人の方が焦って世話を焼いていないか午前中、ひとつの学校で6年生に指導した際、みんなの活動に入っていけない子どもがいましたが、私は最後まで声をかけませんでした。指導の後で、担任の先生から「あの子には声をかけないのですか?」と尋ねられました。私は、ほかの子どもたちの行動を待っていたのです。その子が交わらない最初の10分は、他の子どもたちは何もしませんでした。が、そのうち「入れよ」と声をかける子が出てきました。言ってもらった子は「いいの?」という感じで中に入って一緒に活動するようになりました。「どうしてあんなふうになるんでしょう?」と先生は不思議な顔でしたが、私からすればそもそも子どもの世界に大人が踏み込まない方がいいと思っています。先生がどうするか、ではないのについ声をかけてしまうようです。先生はそれが自分の役割だと考えているし、周りもそうなので、先生が行動を起こさないと周囲に「何か言ってください」と言われてしまう。そうならないためには「子どもをどう育てるか」を共有しなくてはなりません。それなのに、「自分が言わなければ!」と大人は焦ってしまうわけです。子どもが成長する余白を与えていません。機会を奪っていることも多いのです。サカイク公式LINEアカウントでイベントや最新情報などをお届け!■子どもたちをずっと動かすことがカギ「並ぶ必要のない」練習メニューを提供することさて、ご相談いただいた件です。10歳以下。けんかしたり、ふざけたり。小集団でいろいろなことをやりたくなる。この年代の特徴です。大人のほうが「この年代なら当然だ。当たり前。こんなものだ」とおおらかにとらえることが重要です。そして、もうひとつ大事なのが、並ぶ必要のないメニューを提供することです。つまり、並ぶ時間もなく、次々とサッカーをしてもらう練習にしてください。実際、ご相談者様のように子どもの私語やふざける様子が気になる指導者の方たちは、おしなべて並んで行うメニューを組んでいることが多いようです。子どもたちをずっと動かしましょう。いつもお話ししているように、練習はミニゲームを中心に。その間に、2対1、3対1など小集団で動くメニューを挟みます。コートを半分に使ったり、4分の1ずつにするなど、狭いスペースでよいので次々と行うようにしましょう。■「早くしなさい」ではなく「このままだと○分しか練習できないよ」と焦らせる方が有効そのほかに、三つほどアドバイスさせてください。ひとつめ。子どもの行動が遅いと感じるのは、指導者側の問題でもあります。子どもに対し「何やってるんだ」「早くしなさい」ではなく、「時計の小さい針が6を指したら、次のメニューを始めるよ」などと、明確な時間を示すことです。練習の時間を最初から決めておくことです。そこで「このままだと、次の練習は○分しかできないよ~」と知らせることも有効でしょう。■水分補給の時間が長すぎると集中力が切れてだらけてしまうので、時間の見直しを二つめ。水分補給の時間確保についても一考してみましょう。皆さんの練習を見ていると、水分をとる時間が長いときがあります。子どもは座りこんでしまい、おしゃべりをしながらゆっくり補給しています。そうると、コートになかなか戻ってきません。子どもたちに、水分補給は休憩ではないこと、飲んだらすぐコートに戻るよう伝えましょう。そのことをきまりにしてください。その際、水分補給を急がなくてはいけない根拠を伝えることも重要です。「試合中はボールをいつも見ていないといけないよね。練習中は試合をしているのと同じ集中力でやりましょう。試合の中で起きることに気を配らなくてはいけないのに、ぼーっとしているとどうなりますか?」そのように、子どもたちが早く集まる動機づけになるような話をしてください。「君たちの水筒は押せば出て、すぐ飲めるよね。便利だよね。だから、飲んで蓋を閉めるまで3秒でいけるね!」などと話します。そうすると、大慌てで我先にとコートに帰ってきます。例えば「前回よりタイム短縮できたね」「記録を伸ばそう」などと自尊心を刺激しましょう。急がなくてはと思えるような仕掛けをしてください。当然ながら、子どものことなので、そんなふうに毎回できるわけではありません。行きつ戻りつしながら、習慣にしていくことです。素早く行動できたときは「良かったね。みんなが早く動いたから、たくさんサッカーができるよ」と褒めましょう。■説明は短めに、練習しながら少しずつ修正ポイントを伝えよう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)三つめ。水分補給をサッとやったのに、次の練習メニューの説明が長いと、子どもたちはざわざわし始めます。上述したように、説明はできるだけ短く切り上げましょう。子どもたちがじっとしていることなく、すぐに行動できるようにします。言うことを聞かせようと思うがあまりに、じゃあ注意しようとなりがちです。そうすると余計話が長くなって逆効果です。また、練習中に1回の説明で練習がうまくできない場合があります。コーチが再度確認したり、説明したい場合は一度集めて「この練習はどう?どこが難しい?」などと尋ね、修正するポイントを伝えます。そして、また集める。そんなふうに少しずつコミュニケーションを図りながら、行ってください。最終的には、冒頭でお伝えした児童のように、子ども同士で「集中しようぜ」などと声を掛け合えるチームを目指してください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年09月23日先日最終回を迎えた、TBSドラマ日曜劇場『オールドルーキー』。綾野剛さん演じる主人公は元サッカー日本代表で、引退した選手がその後、どうキャリアを築いていくかがテーマとなり、話題を呼びました。オールドルーキーで描かれた、スポーツマネジメントの監修を務めたのが、株式会社スポーツバックス代表取締役の澤井芳信さんです。澤井さんはスポーツマネジメント会社を経て独立し、2013年に同社を創業しました。学生時代は京都成章で甲子園準優勝を果たすなど、プロ野球選手を目指していた澤井さんに、スポーツマネジメントの仕事について話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)<<関連記事:選手を支える仕事は他にも!川崎フロンターレの選手を支える「ホペイロ」の業務サカイク公式LINEアカウントでイベントや最新情報などをお届け!■アスリートをマネジメントする仕事とは澤井さんが社長を務めるスポーツバックスは、アスリートのマネジメントが主な仕事です。同社には現役メジャーリーガーの鈴木誠也選手を始め、元メジャーリーガーの上原浩治さん、元水泳選手の萩原智子さん、元新体操選手の畠山愛理さんなどが所属しています。澤井さんは業務内容について、次のように説明します。「現役選手のマネジメントに関しては、選手が競技に集中する環境を作り、結果を出すサポートをするのが主な仕事です。具体的には、練習環境を整えたり、トレーニングや身体のケアのサポート、スケジュール管理や取材の窓口、スポンサー探しなどを行っています」■現役時代の経験を活かしたサポートスポーツバックスには、澤井さんが会社を立ち上げた頃から上原浩治さんが所属しています。元読売巨人軍のエースであり、メジャーリーグ移籍後も活躍した名投手です。澤井さんは「引退した選手であれば、それまでの社会経験や競技経験を活かして、どんなことができるかを考えてマネジメントしています」と話します。上原さんは一浪して大学に入り、卒業後、巨人に入団しました。浪人してプロ野球選手になる人は珍しいですが、世の中に目を向けると、浪人経験のある人はたくさんいます。そのような視点から「ビジネスをする方との共通点があるのではないかと思い、現役時代はスポーツ誌だけではなく、ビジネス誌にコラムを書いてもらったり、引退後は、企業の社長と対談する番組にも出演しています」と、アスリートの経験を活かしたサポートを行っています。上原さんはYou Tubeでも人気ですが、澤井さんは「コロナ禍になる前に、You Tubeをしませんか? と提案したんです。おもしろいと言っていただけるのはうれしいですね」と笑顔を見せます。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは■スポーツマネジメントの世界に入ったきっかけは映画だった高校生時代は京都成章で甲子園に出場し、キャプテンとして準優勝を経験した澤井さん。スポーツマネジメントの世界に入ったきっかけは、ある映画だったと言います。「トム・クルーズ主演のザ・エージェントという映画を見て、こういう世界があるのか、かっこいいなと思ったのが、スポーツマネジメントに興味を持ったきっかけです」プロ野球選手を目指し、大学を経て社会人野球を経験しましたが、夢はかなわず。そして、もう一つの夢だったスポーツマネジメント会社に就職。経験を積んで独立し、現在に至ります。オールドルーキーをきっかけに、スポーツマネジメントの仕事に興味を持つ人も増えたそうで「学生さんからの問い合わせも多いです。弊社は新卒採用はしていないのですが、連絡をくれた人には極力会うようにしています」と話します。「スポーツの仕事は、アスリートマネジメント以外にも、球団やリーグで働くこと、栄養士になって選手のサポートをしたり、企業に勤めてスポーツに絡んだ仕事をするなど、いろんなやり方があります。学生さんたちには、視野を広げて、自分は本当に何をしたいかをしっかり考えた方がいいよとアドバイスをさせてもらっています」■競技をやりきることもマネジメント業務に活かせるスポーツマネジメントに興味を持つサカイク読者に向けて「学生時代にしておいたほうがいいこと」を尋ねると、次のようなアドバイスをくれました。「スポーツをしている学生であれば、その競技を全力でやりきることですね。僕は野球でしたが、サカイクを読んでいる方はサッカーが多いと思うので、まずはサッカーを全力でがんばること。嬉しいこと、悔しいこと、両方を経験した方がいいと思います。目標を立てて、それに向かって努力することは、スポーツでも、社会に出てからも活きると思います」さらに、こう付け加えます。「僕自身、学生時代に経験してみたかったのは、チームのマネージャーです。裏方としてマネジメントして、どうすればチームを勝たせるのか? という視点でサポートするのは、おもしろい試みだと思います」マネージャーというと、チームや選手のお世話をするイメージが強いですが、それ以外にも「どんな相手と練習試合を組むと強化になるのか」など、チームを強くなるためにどうすればいいかを考えてサポートをすることは、新たな視点と経験の獲得につながりそうです。■スポーツ選手が活躍する裏側には、多くの支えてくれる人がいるドラマ「オールドルーキー」で、スポーツマネジメントの世界にスポットライトが当たったことで「こんな仕事もあるんだ!」と知るきっかけになった人も多いはず。それと同時に、アスリートが活躍する裏には、多くの人が関わっているという発見もあったのではないでしょうか。次回の記事では、サカイクが大事にする「考える力」や「感謝の心」について、トップアスリートと身近で接する澤井さんのエピソードを紹介します。澤井芳信1980年10月26日京都出身京都成章高校時代に、春夏甲子園に出場。80回記念大会となる夏の甲子園では松坂大輔擁する横浜高校にノーヒットノーランで負け、準優勝。同志社大学に進学し、硬式野球部に所属。大学3年の時、秋季リーグ戦で遊撃手としてベストナインを受賞。その後、プロ野球選手を目指し、社会人野球の新日鐵君津硬式野球部(現在は新日本製鉄かずさマジック)に在籍するが、4年後に現役を引退。引退後、エージェントの仕事に憧れ、スポーツマネジメント会社に転職。2013年に独立し、株式会社スポーツバックスを設立する。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年09月22日子どもがサッカーを始めたら自分もハマってしまった。今では子どもと同じぐらい上達し、練習前の自主練では子どもの友達が「○○君のお母さん、1対1やろう」と声をかけてくれる。自分の上達にも活かしたくて練習を見学しているが、見に来た夫に「顔が本気すぎて声をかけられなかった」と言われた。私ってコーチ目線で見て子どもを監視する迷惑な親? とのご相談です。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとに、アドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<夫から本気過ぎると指摘され......息子のサッカーにはまり過ぎなの?問題<サッカーママからのご相談>初めまして、いつも楽しみにしています。学びや、気づきをありがとうございます。今回相談させていただきたいのは、偏った考えをもつ夫についてです。年中からサッカーをしている小4(10歳)の息子がいます。年長の頃にTVでワールドカップを観て「サッカー選手になりたい!」と将来の夢を話すようになりました。その言葉を聞いた夫が、自分もその夢に乗っかる感じで行動を始めました。「プロサッカー選手を目指すなら楽しいサッカーはするな!」と言い始め、幼稚園サッカーにもかかわらず、目立っていなかったりガツガツしていなかったら愚痴と嫌味が始まりました。自分の思い通りにいかないと、怒りが込み上げてどうしようもない状態になるようです。オンオフもほとんどなく、低学年の頃は試合後に 結果が悪いと車で数時間説教されながら帰宅するのが定番になっていました。そのたびに夫婦喧嘩も始まってしまいます。夫は、24時間スケジュールを管理して、個人レッスンを付けてプロにさせたいんだと強く思っています。そして、やる気が見えないプレーをしたときは「やる気がないならサッカー辞めれば!」 と嫌味と愚痴が長々と始まります。「プロサッカー選手になる人間は、いつもがむしゃらで、なんでも夢中になる人間なんだ!気持ちが落ち込んで動けない人間はプロにはなれないから辞めちまえ!」 という理屈らしいです。子どもはただじっと申し訳なさそうに話を聞いています。息子は何も悪くないです。サッカーを始めたきかっけは、人とのかかわりが苦手だったのもあり、仲間と一緒に楽しみを味わってもらいたいと いう思いから始めたものでした。こんな状況ですが、息子自身はサッカーは大好きです。レギュラーにも選ばれ活躍しています。ただ、練習や試合中仲間とコミュニケーションが取れず、そこはコーチや監督に指導されています。人とかかわることが苦手なことは変わっていません。サッカーを一生懸命頑張る息子を応援していますが、夫の感覚にはついていけません。私はモラハラに感じており、とても深刻な問題だと感じています。こんな夫をどうにか改善できますでしょうか。息子のためにも何とかしたいと思っています。アドバイスのほどよろしくお願いいたします。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。最悪に事態になる前にご相談いただけて本当に良かったと、胸をなで下ろしているところです。お母さんがお父さんのミステイクに気づいているのと、そうでないのとでは、息子さんが受けるストレス量が変わってきます。今現在、息子さんがサッカーが大好きで頑張れているのは、お母さんの理解と励ましのおかげかと思います。ぜひ、お父さんから浴びるストレスの盾になってあげてください。■お父さんの言動は、見方によっては虐待。しつけや教育ではないさて、お父さんの息子さんに対する言動は、見方によっては児童虐待になります。児童虐待の定義は、保護者がその監護する児童(18歳未満)に行うもので、殴る、蹴るなどの身体的虐待や、性的虐待だけでなく、心理的虐待やネグレクトが含まれます。いただいたメールを読んでいくと、「やる気がないならサッカー辞めれば!」をはじめ、「○○ができないのならサッカーをやめろ」というパターンが散見されます。これらは「言葉による脅し」です。他の言動を鑑みても、常に緊張を強いられる状態がうかがえます。つまり、お父さんの言動はおしなべて心理的虐待にあたると思われます。これらを、お父さん自身はもしかしたら「しつけ」や「教育」ととらえているかもしれません。しかし、執拗な否定、感情に任せた理不尽な怒号など、すべて息子さんに対する行き過ぎた懲戒です。この「懲戒」について、お父さんにまずは理解を求めてみましょう。サカイク公式LINEアカウントでイベントや最新情報などをお届け!■民法でも保護者は子どもの心身の健全な発達に配慮しなければならないと決められている民法820条では、親権者は「子の利益のために」子の監護・教育を行う権利を有し、義務を負うと定められています。2011年改正以降の現行規定では、懲戒権についても「子の利益のための監護・教育に必要な範囲内で」行うべき旨が明記されました。ところが、この「子の利益のための監護・教育に必要な範囲」は、それぞれの主観による部分が大きく、ハラスメントを正当化する材料になるとの懸念は強く言われていました。このため、政府は懲戒権の削除を含む民法改正の要綱案をベースとして、今秋以降の臨時国会での成立を目指すとしています。それに加え、同案には親権の行使に関して以下の文言が記されています。「親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、子の年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない」最後の「子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない」をぜひ訴えていただければと思います。■状況は深刻ひとりで抱えず周囲に頼ったり、専門家の力も借りることを考えてただし、お父さんへのこのような訴えを、お母さんひとりでしてはいけません。まずは周囲に助けを求めてください。家族の中の問題で片付けない、ひとりで抱えてはいけません。例えば、お母さんの兄弟姉妹、実のご両親らに助けを求めてください。ほかには、クラブ内で信頼できるコーチと一緒に、お父さんに話すことができればと思います。そして、もうひとつのSOSは、子どもに関する相談窓口です。市区町村には子育て支援センターがあります。こちらに対面で相談できれば、地域の機関ですし話しやすいかもしれません。ほかにも、「児童相談所虐待対応ダイヤル」にかけると、近くの児童相談所につながります。通告・相談は、匿名で行うこともでき、通告・相談した人、その内容に関する秘密は守られます。(児童相談所虐待対応ダイヤル=189)私が相談員として参加している「スポーツ暴力・パワハラ相談窓口相談」もあります。こちらは、「日本スポーツマンシップコーチング普及コミュニティ」が運営しており、ケースによって相談者の希望があれば弁護士さんからの助言も得られます。「児童相談所とか相談窓口なんて大げさだ」と思わないでください。お母さんが「深刻」と書かれたように、私も状況はとても深刻だと感じます。なぜならば、お父さんにお母さんからの意見に対し、今のところ聞く耳を持っていません。妻への強いモラルハラスメントもうかがえます。そして、息子さんが5年生、6年生と前思春期の期間に入れば、自我が芽生えてきます。つまり、お父さんからの暴言によって、今よりも傷つきやすい年齢になります。この主たる3つの理由を考えると、早急の環境改善が必要だと考えます。■父親によって破壊されつつある子どもの自己肯定感をどう取り戻せるか......(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)もうひとつ。私が気になるのは、息子さんが「練習や試合中に仲間とコミュニケーションが取れず、そこはコーチや監督に指導してもらっている」と書かれていることです。息子さんにとっては、お父さんから叱責され、コミュニケーションについてもコーチから言われるといった非常にストレスフルな状況のようです。これについては、コーチらに事情を話し、息子さんへのストレスを慎重に考えて指導してもらうよう伝えたほうが良いかと思います。何よりも、お父さんによって破壊されつつある彼の自己肯定感をどうすれば高められるか。それは試合で活躍するとか、勝つといった成果だけでは果たせません。お母さんやコーチや、祖父母ら周囲の大人や仲間たちが「今の君が大事な存在なんだよ」と伝えていくことが大切です。そのために何ができるか。そこをたどれば、答えは見つかると思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年09月21日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「状況に合わせたとっさの判断ができない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、状況に合わせて急にプレーを変えたり、相手の急な動きに反応して素早く対応する場面があります。しかし、初心者はどうしても相手の動きが予想しづらいもあり瞬時に判断して動くことができないもの。今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、「とっさの判断」がより早くできるようになるトレーニングを紹介します。【やり方】1.親子の中点地点にボールを置き、離れて立つ2.じゃんけんをし、負けた方がドリブルで相手の周りを一周する。あいこの場合は2人ともボールの周りをまわり、元の位置に戻る3.じゃんけんをし、負けたら先程と同じようにドリブルで相手の周りを一周、あいこの場合はボールを取り合い、どれかの目印に向かってドリブルし、ボールを止める【トレーニングのポイント】・じゃんけんの結果を見て素早く反応して動く・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年09月15日子どもがサッカーを始めたら自分もハマってしまった。今では子どもと同じぐらい上達し、練習前の自主練では子どもの友達が「○○君のお母さん、1対1やろう」と声をかけてくれる。自分の上達にも活かしたくて練習を見学しているが、見に来た夫に「顔が本気すぎて声をかけられなかった」と言われた。私ってコーチ目線で見て子どもを監視する迷惑な親? とのご相談です。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとに、アドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<息子を試合に出さない理由を、親がコーチに聞いてもよろしいか問題<サッカーママからのご相談>はじめてお便りいたします。8歳男児の母です。相談は端的に言うと「練習をずっと見学している親はあやしいですか?」です。息子は保育園の卒園間際から地元のクラブに入会してサッカーを続けているのですが、子どもがサッカーを始めるまで、私自身はあまりサッカーに興味を持っていませんでした。ですが、子どもの練習を見学するにつれ「こんな面白いスポーツがあったのか!」と目からウロコが落ちまくりの日々をいただいています。あまりにも楽しいので、割と早い時期から自分用のボールとトレーニングシューズを揃え、クラブの練習前の自己トレタイムや週末などに子どもと一緒に練習をするようになりました。そのおかげかどうか、まったくの初心者であった母は、今や子どもと同等なくらいのボールタッチができるようになり、ますますサッカーが大好きになっています。見学をしたい理由は1.子どもの怪我や体調不良への対処をしたい2.子どものサッカー練習を応援したい3.自分も上手になりたいです。1.については、職業が看護師だからということもあるかもしれません。また、超高齢出産での一人っ子ということもあり、子離れのできない過保護な母ともいえるのかもしれません練習前の自己トレタイムでは、子どものお友だちから「○○くんのお母さん!僕と1対1やろう!」と誘ってもらったり、子どもとパス練をしていたら「まーぜーて!」と仲間に入りに来てくれたりしており、私の存在はまずまず自然に受け止めてもらえているのかなと思っています。ちなみに、ほかの親御さんは練習開始5分ほどでお帰りになられるので、見学者はほぼ毎回私一人です。練習が始まったら、体調不良者やトイレに行きたいお子さんがない限りは後ろに下がって静かに見学しています。ところが、先日練習をこっそり見に来たらしい配偶者が、私が見学している姿を見て、「顔が本気過ぎて、ガードマンみたいで恥ずかしくて声をかけられなかった」と言うのです。コーチ目線からも、もしや監視しているように見えなくもないのではと思ったり。もしも「迷惑なお母さん」になっていたとしたら行動を考えなくてはいけないのかなと思って相談メールを申し上げてみました。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。最初に、私からお礼を言わせてください。サッカーを大好きになってくださって、ありがとうございます。サッカーの魅力にとりつかれたことが、お母さんが書かれた文章から伝わってきます。■親も楽しんで関われることは良いこと何も落ち込むことはないサッカーママのなかには、サッカーには興味がないので当番などが苦痛だとおっしゃる方もいます。せっかく子どもが打ち込んでいるスポーツなら、親御さんも楽しんで観られるといいですよね。その点、お母さんは息子さんと一緒に楽しめますね。ところが、見学をしている様子を見た夫から少しばかり否定的なことを言われたため、自分は迷惑なお母さんになっているのでは気にされているようです。何も落ち込むことはありません。これからも観に行って良いと思います。とはいえ、3つほど気をつけてほしいことがあります。良かったら参考にしてください。サカイク公式LINEアカウントでイベントや最新情報などをお届け!■見学したい理由をコーチに伝えておこう1つめ。メールを読む限り、お母さんはとてもピュアにお子さんのサッカーに向き合っているようです。であれば、その気持ちをまずは担当コーチの方へ伝えておきましょう。その際に、自主トレのときは一緒に子どもとボールを蹴らせてほしいこと、練習に入る前には引き揚げて静かに見守るつもりであること、自分の息子だけでなくチーム全員を応援したいと思っていることなどを話してください。そして、それについてコーチに意見を求めてください。多くの場合、まったく構わないと答えると思います。もし何か問題があるのならば、すでにお母さんに話しているはずです。ただし、この一言を忘れないようにしましょう。「子どもたちの様子を見て、ちょっと邪魔かなと思ったらお声がけください」そのくらい謙虚に伝えておけば大丈夫でしょう。練習前にお父さんが子どもとパス回しなどしてボールを蹴っている姿をよく見かけます。お父さんはOKでお母さんはNGというのはおかしいですよね。コーチのコンセンサスがとれていればまったく構わないと思います。しかも上手くなっているなんて素晴らしいじゃないですか。■「過干渉になっていないか」については見直してみよう2つめ。ご自分が過干渉になっていないか、見直してみましょう。上記のようにコーチと話をしたことを伝え、自分は純粋にサッカーが好きになったのだと伝えてください。それよりも、夫が「顔が本気過ぎて、ガードマンみたい」と表現したことが気になります。果たして、子どものサッカーにのめり込み過ぎてはいないでしょうか。今はまだ息子さんも低学年ですが、徐々に勝ち負けが気になったり、プレーの出来栄えが気になり始めるかもしれません。今現在のピュアな気持ちから結果主義になってしまうと、息子さんが苦しくなります。お母さんも自覚があるようで「超高齢出産での一人っ子ということもあり、子離れのできない過保護な母といえるかも」と書かれています。過保護だと感じるのであれば、接し方を変えましょう。そこを改めず、見たいから見に行く、世話を焼きたいから焼くという態度では子どもを尊重していないことになります。ケガをしないか、体調不良にならないかと不安になる気持ちはわかります。が、その不安はそこにいるコーチやお子さんを信頼できない証とも考えられます。不安を少しずつでも信頼に変える努力をしましょう。夫に再度、自分がどんなふうだったのかを確かめ、お母さん自身が息子さんのサッカーに多くを求めていないか。依存していないか、息子さんは心からサッカーを楽しめているのかどうかを点検してみましょう。■子どもが親の見学をどう思っているか、を聞いて行動を変えることも大事3つめ。見学するのは構わないのですが、お母さんが挙げた「見学したい理由」については少し考え直す必要がありそうです。1.子どもの怪我や体調不良への対処をしたい。この対処をするのは、子どもを預かっているクラブ側の責任です。練習が始まると親御さんたちは帰宅するようで練習当番など親のサポートは必要なさそうです。ということは、民間のクラブでしょうか。もし少年団だったとしても、練習や試合をしている時間や空間は基本的に選手とコーチのものです。もちろん、偶然居合わせ必要そうであれば手助けするのは構いませんが、基本的にチームに任せる姿勢を保ちましょう。2.子どものサッカー練習を応援したい。練習を見学するのは構いませんが、その都度息子さんの気持ちを聞いてあげてください。中学年、高学年になって思春期に近づくと、子どもによっては親と距離を置きたいと感じるケースもあります。3.自分も上手になりたい本気で上手くなりたいのなら、ママさんサッカーのチームに所属して汗を流してはいかがでしょうか。すでにお伝えしましたが、少年サッカーはあくまでも子どもの場所です。そこは認識しておきましょう。■親子ともに、楽しくサッカーの入り口に立っている。今後必要なことは......(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)以上、私の指摘はもしかしたら考え過ぎな部分もあるかもしれません。メールだけでは、お母さんがどんな態度で練習や試合を観ているのかはわからないので、少しばかりシビアな見方をしてみました。お母さんと息子さんはともにサッカーを始めたばかり。とても楽しそうにサッカーの入り口に立っているように見えます。今の気持ちを忘れずに、楽しくプレーできる環境を考えながら一緒に歩んでいってください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2022年09月14日今年の春、秀岳館高校サッカー部のコーチが男子部員を暴行する動画がSNSで拡散されました。しかし、その後に部員が顔出しで謝罪動画を公開し、暴力は日常的なものではないとメディアで報道されている内容を否定しました。その後、監督がテレビに出演し「謝罪動画は部員の主体的な行動によるもので、自分は関与していない」と釈明しましたが、数日後に監督が指示したという事実が発覚し、指導者としてあるまじきことであると大きな問題として取り上げられました。筆者は、長年育成年代を取材してきた経験からこのような問題はまだ氷山の一角で、表に出てきていないことはたくさんあると感じています。今回は、日本の育成年代で度々起こる暴力問題の本質を紐解いていきたいと思います。(構成・文:KEI IMAI)<<関連記事:「お前たちが考えていることはどうでもいい」監督にもコーチにも相談できない学生プレーヤーたちの苦悩サカイク公式LINEアカウントでイベントや最新情報などをお届け!■古いままの指導観、アップデートされない教育観まず、日本の学校教育を筆頭に教育観がアップデートされていないという問題があります。欧米ではより科学的にスポーツ指導が行われ、サッカー以前に人間性を育む指導が当たり前になっていますが、日本は未だに根性論が根強く、暴力を伴う行き過ぎた指導が散見されます。熱血指導、暴力をともなう強制的な指導は、軍隊教育の名残だと言われています。日本野球界の偉大な指導者、野村克也さんは著書「指導者のエゴが才能をダメにする ノムラの指導論」の中でこう書かれています。「私が現役の頃、『指導』には暴力がつきものだった。当時は軍隊を経験した人たちが指導者となるケースが多かった。軍隊は生死を懸けた戦いの場所だ。とくに太平洋戦争を経験された人は、さぞかし苦労されたと思う。そうしたなかでも特筆すべきことは、一般社会では例を見ないほどの『行き過ぎた上下関係』が、軍隊で行われていたことに尽きる。俗に言う『しごき』の類は、ここで体験したことを、戦後になって『教育』という名のもとに、一般社会に持ち込まれてしまったからに他ならない。」出典:指導者のエゴが才能をダメにする ノムラの指導論著者:野村克也サッカー以外のスポーツでも根強く残る、いき過ぎた熱血指導は古いままの指導観、教育観が原因であると感じています。■指導者の横暴を許容、黙認する保護者たちも問題もう一つ問題なのは、このような指導者を黙認してしまう大人だと思います。ジュニアサッカーの現場に行くと、未だに高圧的で横暴な指導者もいますが、これを後押ししているのは保護者の方だったりします。保護者世代も同じような指導を受けてきたので問題に気が付かない人が多かったりと、決して悪気はないと思うのですが、お茶汲みなどの過剰な接待をしながら「子どもたちを鍛えてください」などと熱血教育に対するニーズも残っているように思います。また、指導者に対して違和感を感じながらも黙認してしまう大人も多いように思います。同調圧力や声が大きい影響力のある人に対して意見しにくいという国民性もあるかもしれません。しかし、子供たちのためにより良い方向にいけるように考えていかなければなりません。■指導者が勝利至上主義に陥る理由また、指導者が勝利至上主義に陥ってしまう理由の一つに全国大会などの構造問題があります。負けたらおしまいのトーナメント方式中心の大会運営はその最たるものです。サッカーを含めたスポーツと呼ばれるものは本来、生涯スポーツとして楽しみ、心身ともに健康的に過ごすためのものです。しかしながら、実際には多くのジュニアチームが勝利至上主義に陥り、子どもを消耗しています。目先の勝利が最優先になり、熱血指導、先回り指導が跋扈しています。結果として暴力事件や、オーバーユース、バーンアウトが起こりやすい構造になっているように思います。行き過ぎた指導により、サッカーが嫌いになって辞めてしまう子どもの話もよく耳にします。そんなことは、あってはならないことだと思います。サッカーを楽しみながら、好奇心と主体性を育み、それぞれのレベルに合ったプレー環境が大切なのです。全国大会を廃止とまでいかなくても、その方式は早々に変えるべきだと思います。レベル別にリーグを分けて戦えるような仕組みにすること、そのカテゴリの中でトーナメントなどを行うのはいいと思うんです。既存の全国大会はそのような仕組みになっていません。レベルが圧倒的に違うチームが試合を行わなければならない仕組みも、変えていかなければならないと思います。サッカーコンサルタントの幸野健一さんの著書「パッション 新世界を生き抜く子どもの育て方」にはこう書かれています。「サッカーも、冬の高校選手権が選手の最大の目的になっているよね。勝てば天国、負けたら地獄みたいな戦いは、もちろん、選手にとってかけがえのない経験となる面もあると思う。でも僕は、それが本当に選手のためになっているのかは疑問に思ってしまうんだ。考えてほしいのは、ゲームそのものではなく、誰のためのものかということ。育成年代のスポーツの主役は、あくまで選手でなければいけない。でも現実は、選手の手を離れて、視聴者を意識したテレビ局や大会関係者のものになっているよね。ヨーロッパや南米の育成年代においては、日本のような全国大会はないんだ。あまりにも強いスポットライトを浴びることで、選手が天狗になるのが良くないという理由でやっていないんだよ。選手を保護する考えがある」出典:パッション 新世界を生き抜く子どもの育て方幸野健一■保護者ができること構造をすぐに変えることは難しいかもしれません。しかし、問題提起すること、コミュニケーションを取ることはできます。もし、自分のチームの指導者が熱血過ぎるのなら、子どもがサッカーを心から楽しむための親の心得「サカイク10か条」を思い出してください。保護者としてどうあればいいか、わかるはずです。そして、チームの保護者、指導者とコミュニケーションをとってみてください。親御さんが、間違った指導を知ることができれば問題はすぐに把握できます。まずは知ること、そして必要なアクションを考えることです。
2022年09月13日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「ドリブルしながらパスを出せない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、ドリブルをしながら味方にパスを出す場面はたくさんあります。しかし、初心者はどうしてもボールの扱いが覚束ないので、いったん止まってしまったりドリブルをしながらパスを出す動きが難しかったりするもの。今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、ドリブルをしながらパスを出す動きを身につけられるトレーニングを紹介します。親は難しい動きはありません。【やり方】1.数メートル離れて対面して立ち、親はバックステップやサイドステップを使って動く。子どもはドリブルしながら親についていく2.親が手を上げたら子どもはドリブルしながら親にパスを出す3.スピードを上げたり、親がボールを奪うDF役として子どもに近づいてきたら子どもはそれを交わすなど、試合に近い状況を作るなど難易度を上げる【トレーニングのポイント】・ボールだけでなく、親の動きなどいろんなところを見る・常にパスが出せる位置にボールを置く・スピードを上げるとボールが足元から離れがちだが、しっかり状況を見ながらコントロール・しっかり顔を上げて状況を確認して判断・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年09月09日8月下旬に行われた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。大会2日目に、イタリアの名門ユベントスと対戦したのが、神奈川県川崎市で活動する少年団・中野島FCです。彼らは「アイリスオーヤマプレミアリーグU-11チャンピオンシップ」で優勝し、ワールドチャレンジへの出場権を獲得しました。中野島FCは、体格に優れるユベントスを相手に先制点を奪うなど高いテクニックとインテリジェンスが光るプレーを見せてくれました。試合後、中野島FCの岡本一輝監督(以下、岡本)に指導についての話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)対角に勝るユベントス相手に判断力を武器に善戦した中野島FC(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■ユベントスと対戦して球際の強さ、ボールへの執着などサッカーの本質を感じられた――ユベントス戦は1対2での敗戦でした。試合の感想を聞かせてください。岡本前半はボールを持つことのできる時間があったので、良いペースで進んだのですが、後半になると、相手にセカンドボールやルーズボールを拾われることが多くなりました。選手たちは、普段であれば通るようなパスが通らなかったり、外国人選手のリーチの長さ、球際の強さ、ボールをどちらが奪うかなど、サッカーの本質的なところを感じたと思います。今後はそこにこだわれる選手になってほしいです。■頭の中を変えると、選手たちの動きも変わる――体格に勝るユベントスに対し、良い判断をベースにプレーする姿が印象的でした。トレーニングで大切にしていることはなんでしょうか?岡本選手たちには「サッカーに必要なことは3つある」と言っています。それが見る、判断する、実行するです。この3つが備わっていないと、たとえばドリブルが上手くても、周りを見て判断するところが欠けていたら良いプレーはできないし、判断力が優れていても、正確に実行する技術がないと試合では活躍できません。なので、この3つは同じぐらい力を入れて練習しています。――選手たちのプレーから考えてプレーしている様子が伝わってきました。どのような指導で「考える力」を伸ばしているのでしょうか?岡本考える力は特に身につけてほしいので、頭の中を鍛えることは意識的にやってます。午前中に試合があったら、午後は振り返る時間に当てたりと、試合をして終わりにしないようにしています。コロナで長期間活動ができなかったときは、毎日Zoomでサッカーの勉強をしていました。「アタッキングサード」や「5レーン」などのサッカー用語を覚えたり、「どのエリアからゴールが生まれやすい?」などのお題を出して、子どもたちに答えてもらう活動を、3、4か月しました。――子どもたちの頭の中は変わってきましたか?岡本はい。試合の映像を切り取って思ったことを発言してもらったのですが、最初は「ドリブルがうまくてシュートすごかったです」などの感想だったのが、何回か続けていくと「逆サイドの選手が裏抜けをしたから相手のマーカーが食いついて、ドリブルがしやすくなった」など、ボールの周辺以外にも目を向けるようになってきました。それを3、4か月続けていざ活動を再開したときに、周囲を見ることのできる子が増えてきました。それまではボールしか見ていなかった子が、「このときはこうすればいいんだ」と、考えて動けるようになったんです。頭の中を変えると、選手たちの動きも変わるんだと感じました。サカイク公式LINEアカウントでイベントや最新情報などをお届け!■返事はタメ口でもいい、わかってないのに「はい」と言うのはやめようと伝えている――選手の考えを引き出すために、工夫していることはありますか?岡本ミーティングのときに、僕だけが話すのではなく選手たちに質問をして、発言を促すようにしています。僕が一方的に話をして「わかった?」「はい!」というのだと、本当に理解しているかどうかがわかりません。試合中も僕の指示でわからないことがあったら、とりあえずうなずくのではなく、タメ口でもいいので「なんて言った?」「なに?」みたいに聞き返そうと伝えています。「わかっていないのに、はいと返事するのは絶対にやめよう」と言っています。■ワーチャレの4日間を通じて「見て判断する」部分が伸びている子が増えた普段から選手たちにアイデアを与えて、考えさせるように指導していると語ってくれた岡本監督(C)新井賢一――ワールドチャレンジを振り返って、選手たちの成長を感じられたのはどのようなところでしょうか?岡本技術的な部分はもちろんですが、見て判断するところが伸びている子が増えたように感じます。試合を見ていても、ワンテンポ、ツーテンポ速くボールを回せるようになってきました。トレーニングでもそこは意識していて、体が大きい子、足が速い子の場合、判断がおろそかになっていても、身体能力でプレーできてしまいます。そういう子には厳し目に「こっちのスペース見えていた?」「その選択肢じゃなくて、こっちもあったよ」など、いろんなアイデアを与えて、状況に適したプレーを選べるように心がけています。――中野島FCは少年団で、近隣には川崎フロンターレや東京ヴェルディなどのJクラブがあります。そのような地域に位置するクラブとして、どのような考えで育成をしているのでしょうか?岡本中野島は父が代表をしていて、僕もOBです。僕自身、ジュニアユース、ユースは川崎フロンターレでプレーしました。ちなみに中野島の1学年下に、三好康児がいます。小学生で上手な選手は、Jリーグの育成組織に流れる傾向がありますが、そこに負けないぐらい「中野島も良い育成しているよね」と言われるチームを目指しています。中野島FC出身の三好康児選手が語るサッカーが上手くなるサッカーノートの書き方>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年09月08日3年ぶりにFCバルセロナが来日したことで注目を集めた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022。グループリーグでFCバルセロナと引き分けたのが、スペイン・バルセロナ発祥の「エコノメソッド選抜」です。サッカーの原理原則を抑えた戦術、ポジショニングを駆使し、バルサを完封したエコノメソッド選抜のアンヘル・ガルシア監督(以下、ガルシア)と選手たちに、試合の感想をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)バルサが外からしか攻められない状況を作ったエコノメソッド選抜(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■バルサが外からしか攻められない状況を作ることができた――バルセロナを相手に0対0の引き分けでした。試合の感想を聞かせてください。ガルシアバルサというヨーロッパでもトップレベルのチームに引き分けたことは、素直にうれしいです。選手にとってもご褒美になったのではないでしょうか。我々は選抜チームなので、数日しか一緒に過ごすことができませんでした。その中で、攻撃と守備のポジショニングだけは徹底して指導しました。バルサにとって、中央から前進するのは難しく、外からしか攻められない状況を作ることができたと思います。■そのチームでしか使えないプレーを学んでも選手としての将来につながらない――バルサはサイド攻撃に特徴がありましたが、サイドの守備に関しては?ガルシア相手はバルサなので、フィジカル的にもテクニック的にも優れている選手がいることはわかってました。サイドで1対1を作られると、突破されることも予想はしていました。ただし、中央よりもサイドの方がゴールを奪われる危険性は少ないので、相手をサイドに追い込んで守備をすることを意識しました。――相手がサイドを突破してくるときに、「ボールに行くと裏を取られるから、人についていこう。マークを外すな」という指示を繰り返していました。ジュニア年代でサッカーの原理原則、メカニズムを教えることの重要性はどう考えていますか?ガルシアU-12年代はサッカーを学ぶ段階です。週末の試合に勝つことだけを考えて指導をしたり、そのチームでしか使えないようなプレーを学んでも、サッカー選手としての将来にはつながりにくいと思っています。この年代で教えるべきは、いつドリブルをするのか、いつドリブルをしてはいけないのか。相手がワンツーをしてきたときにどうやって守備をするのかといった、原則の部分です。大切なのは、サッカーを理解することを優先して学ぶこと。そうすることで18歳、20歳になったときに、選手たちのポテンシャルを最大限発揮できるようになると思っています。サカイク公式LINEアカウントでイベントや最新情報などをお届け!■一人が抜かれてもカバーすればいい。集団で戦えれば個を上回れる――エコノメソッド選抜の選手たちが「1対1ではバルサの選手に勝てるときもあったけど、2対2とかグループになると全然だめだった」と言っていました。奇しくも東京五輪でスペイン代表と対戦した、日本代表選手も同じこと言っていたのですが、どう思いますか?ガルシアサッカーは集団スポーツなので、11人全員が共通の目的に向かっていく必要があります。チームとして一人ひとりの役割があり、それが積み重なって結果につながります。相手チームにすごくドリブルの上手な選手がいたとして、一人が突破されてもカバーする選手がいればいいわけで、チームとして集団で戦うことができれば個を上回ることができます。――個を活かすためにも、周囲のサポートが必要です。ガルシアそのとおりで、攻撃の才能を持った選手がいるのなら、その選手にできる限り有利な状態でボールを届けることをチームとして考えるのは重要なことです。選手の特徴やプレースタイルに応じたプレーモデルを作ることで、選手の能力を最大限活かすことができ、それが成長につながると思っています。■日本にもヨーロッパサッカーの考えが浸透し始めている日本にもヨーロッパサッカーの考えが浸透し始めていると感じる、と語ってくれたガルシア監督(C)新井賢一――エコノメソッドが日本に来て10年が経ちますが、この間、日本サッカーのインテリジェンスについての変化は感じますか?ガルシア私は日々スクールで日本の選手たちを教えていますが、新しい選手が来たときに、数回トレーニングをすれば理解して吸収してくれます。その理由のひとつが、日本にもヨーロッパサッカーの考え方が浸透し始めているからだと思います。もちろん、もっと向上できる部分はあると感じているので、我々としても選手たちにたくさんのことを伝えていきたいです。■バルサは空いたスペースを上手く使ってサポートしていたエコノメソッド選抜の選手たちに、バルサ戦の感想をうかがいました。インタビューに答えてくれたのはこの3名です。背番号 3番DF・中島昴(なかじま・すばる)背番号10番MF・市原颯馬(いちはら・そうま)背番号18番DF・水谷アルトゥール(みずたにあるとぅーる)同年代のバルセロナと戦って感じたことを語ってくれたので、彼らのリアルな言葉をご覧ください。バルサを外から攻めさせるために中盤をのスペースを締めた15番の吉村優志くん(左)と10番の市原颯馬くん(C)新井賢一・自分たちはパスで繋いでいくサッカーだけど、ほとんどパスコースを切られて前に蹴ることしかできなかった。前に蹴っても、センターバックはファーストタッチが上手いので、ボールを拾って前に運んでパスを出していた。・印象に残ったのが、アンカーとインサイドハーフの関わり。サイドバックが広がって、空いたスペースを上手く使ってサポートしていた。ボールを奪いに行ってもすぐにはがされて、守備がしづらかった。・中盤では相手が来るのをわかっていて、相手が来たらワンタッチでパスをして外したりと、めちゃくちゃ上手かった。FWもボランチがマークしづらい位置に降りてきて、パスを呼び込んでいた。・FWは最初オフサイドラインにいて、センターバックに気づかせないようにしておいて、ボールが来る直前に降りてきて、パスを受けていた。瞬間的な動きが速かった。・相手のセンターバックは、背後のスペースが空いたところを見逃さず、正確なロングボールを蹴ってきた。全部見ているんだなと思った。キック力と正確性がすごかった。・印象に残った選手は8、9、10番。体の使い方が上手で真似したい。日本のチームとは圧が違う。最初から個人技で来ないというか、みんなを使ってくる。・この選手は速いから裏に出そうとか、この選手は足下が上手いから、足下に出そうとか。個人個人の個性をみんなで活かしていた。・またバルサと対戦したい。今度は絶対勝つ。エコノメソッドで指導している認知・判断を高めるトレーニング>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年09月07日8月下旬に開催された、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022。セレッソ大阪U-12は、9~16位決定戦で鹿島アントラーズノルテジュニアから4ゴールを奪い、4対2で勝利しました。試合を通じて「中央を攻める」プレーが印象的だったセレッソ大阪U-12の久川直裕監督(以下、久川)と選手たちに、話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)「中央を攻める」プレーが印象的だったセレッソ大阪U-12(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■アカデミーに変化をもたらした風間八宏さんの教え――4対2で勝ちました。試合の感想をお願いします。久川選手たちは暑いなか頑張ってくれて、僕らが大事にしている「止める・蹴る・運ぶ」の技術は発揮できたかなと思います。――セレッソのアカデミーに風間八宏さんが来られて、指導面の変化は感じられますか?久川はい。ユース、ジュニアユース、レディースと全国大会で優勝しましたし、選手たちの変化も含めて「ボールを大事にする」という面で変わったと思います。アカデミーとしては個人の技術を重視しながら、ゴールという目的を持つ中で、常に次のプランを持ってプレーすることを意識しています。■「止める・蹴る・運ぶ」はあくまでゴールを奪うための手段、それが目的にならないように――選手に話を聞くと、全員の口から「止める・蹴る・運ぶ」という言葉がスラスラと出てきました。久川子どもたちの中にその意識があるのは練習の成果かなと思います。ただ、止める・蹴る・運ぶはあくまでゴールを奪うための手段ですので、それが目的にならないように気をつけています。その技術を、試合のどこでどう使うのかを判断することが大事だと思っています。サカイク公式LINEアカウントでイベントや最新情報などをお届け!■足元の技術に特化するのではなく、相手を見てサッカーすることが大事――試合中のコーチングでは、周りを見ることの重要性を伝えていました。久川相手を見た上でサッカーをすることが大切で、それがあるからこそ、技術を発揮することができます。どうしても「止める・蹴る・運ぶ」の技術に特化してしまう子もいるので、相手を見ながらサッカーをすることや、相手の変化を感じること、相手の動きを見て逆を取ることができるようになることが大事だと思うので、そこを意識するような声掛けをしました。――得点場面のように、中央のスルーパスやくさびを入れて落としたりと、グラウンダーのパスを中心に、狙いを持った攻撃をしているのが見て取れました。その辺りは普段から意識しているところなのでしょうか?久川はい。僕らのコンセプトに、サイドよりも中央の、よりゴールに近いところから攻撃することがあります。ゴールを奪うためには、サイドに遠回りするのではなく、中央を攻めることが一番の近道です。だからこそゴールに一番近いところから、最短でゴールを目指すことを意識しています。■風間八宏さんが来てからよりゴールへの意識が向くようになった「止める、蹴る、運ぶ」を目的にしてはいけないと語ってくれた久川監督(C)新井賢一――風間さんは以前から「ペナ幅(ペナルティエリアの幅)」をキーワードに攻撃を構築していましたが、セレッソのアカデミーも重視しているんですね。久川はい。アカデミーでも、トレーニングから「ペナ幅」は意識させています。もちろんサイドを捨てるわけではなく、よりゴールに近いところ、ペナ幅でボールを受けて前を向くことや、相手が密集する中でも、ボールを受けることができる技術を身につけることが重要だと考えています。そのためにも、止める・蹴るの正確性とスピードを上げることに意識を向けています。――トレーニング自体も、風間さんが来る前と以降では、変わったのでしょうか?久川トレーニングメニューに関しては多少の変化があります。止める・蹴る・運ぶがメインになるのですが、より早く、ゴールを奪いにいく部分は少し変わったと感じます。今まではサイドを使ったり、時間をかけて崩す形が多かったのですが、「ゴールへの最短距離は中央だよね」と、より中央からゴールへ意識が向くようになってきました。■ワーチャレは生で海外のチームを見ることができるいい機会――ワールドチャレンジの意義については、どのように感じていますか?久川子どもたちにとって刺激になりますし、生で海外のチームの試合を見ることができるすごくいい機会だと思います。今年は海外のクラブと対戦ができなかったので、来年以降チャレンジしたいです。このサッカーをさらに熟成させて、またこの舞台に戻って来られるように頑張ります。■「周りの選手と関わるところ」が身についた選手のみなさんにも、試合の感想をうかがいました。大会を通じて個人ではパスやボールを止めることにこだわったという鈴木奏翔くん(C)新井賢一背番号10番MF・鈴木奏翔(すずき・かなと)――試合の感想を聞かせてください。鈴木ボールを止めて蹴るがしっかりできて、勝てたので良かったです。――大会を通じて成長したと感じるところは?鈴木チームとしては前に関わるところで、個人ではパスやボールを止めることにこだわりました。――セレッソに入って、どのようなことが身につきましたか?鈴木練習では止めて蹴るをたくさんしているので、止める蹴るの技術は上手くなったと思います。――好きな選手は?鈴木メッシ選手です。FWとSBでプレーした伊東雅葵くんSBでは対人であまり負けなかったことが良かったと振り返った(C)新井賢一背番号7番FW/DF・伊東雅葵(いとう・あおい)――試合の感想を聞かせてください。伊東フォワードとサイドバックでプレーしたのですが、サイドバックでは対人であまり負けなかったところが良かったです。フォワードでは、動き出しでチャンスに絡むことができました。――大会を通じて成長したと感じるところは?伊東緊張してるときに、いかに自分の実力が出せるかが大事だと思うのですが、止める蹴るの部分では、実力を発揮できたと思います。――セレッソに入って、どのようなことが身につきましたか?伊東止める蹴るの他に、シュートも決められるようになったので、そういうところも上手くなったと思います。――好きな選手は?伊東メッシ選手です。相手が上手い選手でも、普通にドリブルで抜いてゴールを決めるので、かっこいいです。自分に自信が持てるようになったと教えてくれた谷口怜音くん(C)新井賢一背番号4番DF・谷口怜音(たにぐち・れおと)――試合の感想を聞かせてください。谷口勝つことはできましたが、守備のところやボールを取られた後の戻りが甘い部分もあったので、そこを修正して次は0点で抑えて勝ちたいです。――大会を通じて成長したと感じるところは?谷口チームとしては団結力とか、みんなで支え合うところが強まったと思います。個人としては、自分に自信が持てるようになりました。――セレッソに入って、どのようなことが身につきましたか?谷口周りの選手と関わるところとシュートです。――好きな選手は?谷口ネイマールです。ドリブルで相手をかわして、シュートを決めるところが好きです。金森類くんは試合を振り返って、後半はチーム一丸となってプレーできたことを良かった点としてコメント(C)新井賢一背番号8番MF・金森類(かなもり・るい)――試合の感想を聞かせてください。金森前半は慌てるところがあったのですが、後半はチーム一丸となってプレーできたので良かったです。――大会を通じて成長したと感じるところは?金森チームとしては、初めは焦って悪かったところもありましたが、最後は質が高くなってボールが回り得点もたくさん取れたので良かったと思います。――セレッソに入って、どのようなことが身につきましたか?金森止める・蹴る・受ける・運ぶ・外すの質や、動き出しを学んでいるので、そこが上手くなったと思います。――好きな選手は?金森デ・ブライネ選手です。パスもシュートもドリブルも上手いところが好きです。ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年09月06日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「ドリブル中にインサイド/アウトサイドを使ってターンすることができない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中、ドリブルしている時に相手がボールを奪いに来たら、ターンして交わします。ボールを奪われずにクルッと方向転換することは大事な技術です。しかし、初心者はどうしてもボールの扱いが覚束ないので、ドリブルで精いっぱいだったり、スムーズに回ることができなかったりするもの。今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、インサイド、アウトサイドを使ったターンができるようになるトレーニングを紹介します。親は難しい動きはありません。【やり方】1.数メートル先に目印を置き、子どもは目印に向かってドリブル。目印の所でインサイド、アウトサイド、足の裏などを使ってターン2.親がDF役として子どもについていく。子どもは親がいない場所に向かってドリブル3.親の動きをスピードアップ、子どもはフェイントも入れながらドリブル&ターンを繰り返す【トレーニングのポイント】・ボールが転がる先に足を出して壁を作り、ターンする・足の裏を使う時は、ボールを踏む感じでキュッと止めてターン・常に親の位置を見ていることで顔を上げてドリブル、ターンする習慣をつける・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年09月06日8月下旬に行われた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022。決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)で実現したのが、西宮サッカースクール対YF NARATESOROの関西対決です。試合は西宮が先制するも、後半同点に追いつき、PKを制したYF NARATESOROが勝利しました。子どもたちが伸び伸びプレーする姿が印象的だったYF NARATESORO。試合後、杉野航監督(以下、杉野)と選手たちに話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)PK戦で勝ち上がりを決め喜ぶ選手たち(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■止める、蹴る、運ぶのベースを向上させながら、中学以降で活かせる指導をしている――PK戦の末に勝利しました。試合の感想をお願いします。杉野相手に有利に進められた中で、粘って1点返すことができたのが良かったです。先制された後にベンチも含めて、もう一回パワーを出して追いつこうという姿勢が出せたのは、成長したところかなと思います。――選手たちのプレーから、技術や判断を大切に指導されている様子が伝わってきました。どのような考えのもとで指導しているのでしょうか?杉野ボールを止める、蹴る、運ぶを大事にしています。それらのベースを上げながら、選手個々の武器や特徴を大切にし、中学、高校と次のカテゴリーで活かせるような指導をしているつもりです。ベースのところも含めて足りないところはありますが、この大会を通して少しずつ成長してもらえればと思っています。■ワーチャレは普段の大会にはない良さがある――この大会に臨むにあたって、選手たちにはどのような話をしたのでしょうか?杉野今回、久しぶりに海外からチームが参加して、本来のワールドチャレンジが戻ってきましたよね。バルセロナなど海外のクラブが来ることで、プレーを見るのもそうですし、それを見に来たお客さんの近くでプレーできるのも普段の大会にはない良さであり、規模的にも特別な大会だと思います。サカイク公式LINEアカウントでイベントや最新情報などをお届け!■自分が得た知見を選手にも還元できれば、との思いから選手との対話を大事にしている――選手たちに杉野監督のイメージを聞いたところ「芸術家」という声があがっていました。杉野そうですか(笑)。僕はサッカーを教えるのが仕事なのですが、サッカーコーチっぽいコーチじゃなくてもいいのかなと思っていますし、僕がいろんなことを見たり、知っていたりすることで、選手に還元できることもあると思います。そういう対話の中で、選手もアンテナを張ってくれれば、人間性も豊かなると思うので、そのあたりは大事にしています。■子ども本来の姿を大事に、一生懸命だけでなく「どれだけ楽しめるか」を大事にしている締めるところは締めつつ、子ども本来の姿とサッカーを楽しむことを大事にしていると語ってくれた杉野監督(C)新井賢一――先程、選手たちにもインタビューしましたが、みんな元気で明るかったです。杉野うちのクラブはある意味、放牧状態なので、子どもたちは何かをもらえそうなら集まってきますし、どこかに行きたいときは、行ってしまいます(笑)。それも含めて、子ども本来の姿が出るように心がけているので、それでいいのかなと思っています。その分、締めるところを締めるのは大変ですが、それも自分たちの楽しみや自由に繋がるので、日頃からスタッフ一同、サッカーを一生懸命真面目にやるだけではなく、どれだけ楽しめるかも大事にしています。――プレー面で大事にしていることはなんでしょうか?杉野止める蹴る運ぶ、見て考える。それが全てです。うちのクラブには身体的に優れた選手はいないので、走り合いや体のぶつけあいになると分が悪いです。その中でどうやって優位に立つかを考えています。それには見て考えることや、あらかじめ情報をとっておくことが重要になるので、選手の頭の中と僕たちコーチの考えをシンクロさせて、すり合わせることの積み重ねでしかないと思っています。サッカーは急には上手くなりませんからね。■小学生年代の結果はジュニアユースでは関係ない。結果ではなく取り組みや努力の姿勢が大事――子どもたちは来年からジュニアユースに上がりますが、この年代で大事にしていることは、どのようなことでしょうか?杉野正直、小学生の時に全国大会に出たり、選抜に入ったといったことは、ジュニアユースに行ったら何も関係ありません。ただ、そこへ行くまでの過程でどのような努力をしてきたのか。どういう取り組みをしてきたから成功したのかといった、成功体験があることは大切だと思います。当然、ジュニア年代で壁にぶつかったりと挫折することもあると思いますが、早いうちに挫折を経験した選手は立ち上がるのも早いと思います。ジュニアユースに行って頭打ちになったとしても、そこでめげない選手になってもらいたいです。それは進路選びも同じで、Jクラブの育成組織に行っても思うように結果が出ない選手もいますし、反対にJクラブに行けなくても中学時代に頑張って、高校になるときに、Jクラブに行った子以上の評価を受ける子もいます。それはユース年代でも同じことなので、サッカーに向き合って努力する姿勢は大事にしてほしいなと思います。■選手たちは大会が進むにつれ声が出せるようになった選手のみなさんにも、試合の感想をうかがいました。後半のプレーが良かったと振り返った竹添大祐くん(中央)(C)新井賢一背番号5番DF・竹添大祐(たけぞえだいち)――試合を振り返って、感想をお願いします。竹添最初に1点決められてしまって、ピンチだったんですけど、後半にクロスからシュートを決めて取り返したので良かったです。――自身のプレーはどうでしたか?竹添後半のクロスは良かったけど、前半はそこまで上がれませんでした。後半のプレーは良かったと思います。個人としての成長だけでなく、チームとしての成長も教えてくれた大田琉維くん(C)新井賢一背番号9番FW・大田琉維(おおたるい)――この大会で成長したなと思えるところは?大田チームで成長したのは、失点しても取り返せるようになったこと。個人では、点が取れるようになったことです。今大会は5点取りました。得意な形はクロスから、ワンタッチ、ツータッチで決めることです。――好きな選手は?大田ハーランドです。ゴリゴリのところが好きです。大会を通じてチームとして声が出るようになったことが成長と語ってくれた金子卓豊くん(C)新井賢一背番号3番DF・金子卓豊(かねこたくと)――今大会で成長したところは?金子大会が始まるまでは、チームとしても自分としても声があまりなかったけど、大会が始まってからは声が出るようになったので、成長したと思います。――チームの良いところは?金子個性豊かな人たちがいて、明るいところです。仲嶋大翔くんはチームの良さを教えてくれました(C)新井賢一背番号14番FW・仲嶋大翔(なかじまはると)――今日の自身のプレーはどうでしたか?仲嶋前半はあまりプレーが良くなくて切り替えも遅かったけど、後半になると抜け出しとかが早くなりました。――チームの良いところは?仲嶋みんなが明るいことです。小柄ながら俊敏な動きでチームを救った川瀬瑛大くんは、バク転も披露してくれました(C)新井賢一背番号12番GK・川瀬瑛大(かわせえいた)――PKを止めましたが、PKのときの気持ちは?川瀬最初はとても緊張したけど、気合を入れて声を出したら止められると思いました。止めた瞬間の気持ちは、とてもうれしかったです。――身長はチームでも小さい方ですが、GKをする上で工夫しているところは?川瀬背が小さいのをジャンプ力でカバーできるように、ジャンプ力を鍛えています。体操をやっていたので、バク転もできます。ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年09月05日日本サッカー協会(JFA)はこの度、全国の巡回指導先の保育園・幼稚園を対象に無料でボールとミニゴールを贈呈する新規事業を開始しました。■ポケモンオリジナルデザインのボール・ゴールを贈呈これは、子どもたちが日常的に楽しく身体を動かす中で、丈夫な身体や豊かな心を育んでもらうための活動で、新規・既存の巡回指導先に、ポケモンオリジナルデザインの幼児向けのサッカーボール10球とミニサッカーゴール2台(据置型:モルテン社製、折畳型:アルファギア社製から選択)を贈呈するプロジェクト。9月2日、仙台市の認定こども園ナザレト愛児園では、ボールとゴールの贈呈開始を記念し贈呈式が行われました。式には、サッカー日本代表としても活躍した佐藤寿人さん、ポケモンを代表してJFAキッズアンバサダーも務めるエースバーンが出席。巡回指導にも参加した佐藤寿人さんは、「蹴るのが得意な子もいれば、そうでない子もいますが、どの子も目がキラキラしていて、たくさんの笑顔を見ることができました。蹴るだけではなく、ボールひとつでいろんなスポーツができます。この園庭で、遊びながら、スポーツへの入口に立っていると思いますので、楽しいという思いで身体を動かし続けてほしいです」と話していました。また、横岩眞希子園長は、「子どもたちが楽しめればいいなという思いで申し込みをしました。遊ぶのが大好きな子どもたちですので、こういったボール、ゴールが園にあることでその活動がさらに豊かになればと思います」とコメント。佐藤寿人さんと一緒にプレーした子ども達も夢中になってボールを追いかけていました。■2022年は子どもたちへのアプローチを強化この新規事業の発表に伴い、JFAの田嶋幸三会長は、「私たち日本サッカー協会は、スポーツの楽しさに出合い、生涯にわたってスポーツ、サッカーに親しむ人を増やしていきたいと考えています。子どもたちの体力・運動能力が年々低下し、高齢者の医療費が増加し続ける中、われわれサッカー協会は何ができ、社会に対してどう貢献できるのかを考え、さまざまな施策を講じてきました。その中でとりわけ今年は、子どもたちへのアプローチを強化しています。ボール遊びは一人でも、大勢でもできる全身運動です。まずは、身体を動かす楽しさに気づいてほしい。その思いから、保育園・幼稚園へのボール、ゴール配布に踏み切りました。全国の園から、このボール、ゴールを使った子どもたちの笑い声、歓声が聞こえてくることを心待ちにしています」とコメントを発表。■子どもたちが安全に安心してサッカーに打ち込める環境をJFAの巡回指導は2003年に始まり、現在は、年間で約 5,000(※2019年実績)の保育園・幼稚園・小学校で行われ、約50万人の子どもたちにスポーツの楽しさを伝えています。JFAは、今後も未就学児・小学生年代を対象にした施策を展開し、その活動を拡大していく方針とのこと。2022年に入り、小学校体育への取り組みとして、JFAインストラクターを派遣した学校単位の「小学校体育サポート研修会」を開始し、7月にはウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社と小学校低学年の女性を対象とした「JFA Magical Field」発足。8月には未就学児にスターターキットをプレゼントする企画をスタートするなど積極的な普及事業を展開しています。今後も引き続き、JFAでは子どもたちが年齢や成長に合った指導が受けられるよう指導者の養成を推し進めるとともに、キッズ巡回指導やキッズフェスティバルの活性化、スモールサイドゲームの推進、校庭の芝生化、JFAセーフガーディングポリシーの周知徹底を図るなど、子どもたちが安全に、安心して、サッカー/フットサルに打ち込める環境を広げていく予定です。
2022年09月02日関西有数の育成クラブとして知られ、堂安律選手を始めとするプロ選手を輩出する西宮サッカースクール。U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022では、決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)でPK戦の末に敗退しましたが、随所に高い技術が光る好チームでした。U-12の監督を務める上野洋輔さん(以下、上野)と選手たちに、試合の感想と選手育成について話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)随所に高い技術力を見せつけた西宮サッカースクールだったが、惜しくもPK戦で敗れた(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■ワーチャレは中学生年代に繋げる良い大会――ラウンド16はPKで敗退となりました。試合の感想をお願いします。上野前半はリードして折り返したのですが、もう1点取るチャンスがあった中で決めきれなかったのが残念です。ただ、初戦は負けから入って、引き分け、勝ちといい流れを作ることはできたかなと思います。子どもたちも初めての11人制でしたが、一戦一戦自信を持ってやってくれました。中学生年代に繋げる意味でも、いい大会だったと思います。■ピッチを大きく使うとゴールまでの距離が遠くなるので、「逆の発想」で戦った――ボールを保持して攻める場面も多かったですが、チームとしての狙いはどのようなことだったのでしょうか?上野11人制のフルコートとなると、ピッチがかなり広いです。最初はピッチを大きく使ってプレーしようとしていたのですが、この年代のフィジカル、走力は大人とは違うので、ピッチを広く使うとゴールまでの距離が遠くなってしまいます。そこは試合をするごとに修正しながら、「逆に距離を狭くしてやろう」と言いました。選手同士の距離を近くして、狭いスペースの中でプレーすることで、日頃トレーニングしている足元の技術や、自分たちの良さが活きてくるのではないかと考えました。距離を近くすることで点も入るようになりましたし、選手の特徴も発揮しやすくなったのではないかと思います。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■年代に応じた指導、低学年のうちはパスを使わない試合もする狙い――西宮SSは技術を重視する指導で有名ですが、どのような考えで育成しているのでしょうか?上野外国人と試合するとなると、日本人はフィジカルで勝つことはできません。どこで勝負するかというと、狭いスペースであったり、局面の技術だと思っています。そのために、低学年のうちはドリブルやリフティングの練習ばかりしますし、パスを使わないで試合をすることもあります。高学年になるとパスも使うようになり、相手がパスを警戒するとドリブルが活きてきます。まずはドリブルができないと、パスも活きてこないと思っているので、パスを活かすためにもドリブルは必要です。――年代に応じて、すべきことを分けて指導しているわけですね。上野はい。低学年と高学年では、少しずつサッカーが変わってきます。それは、年代に応じてやるべきことが違うからです。低学年のときは足元の技術、ドリブルを中心に、試合の結果にはこだわらないスタンスで指導しています。私はジュニアを11年見ていますが、1年生から6年生まで続けて指導して、その後1年生に戻るという形なんですね。なので、いまは2周り目です。それも踏まえて「この年代ではこうしていきます」という方針のもとでやっています。■中学年代に繋げる上で、12歳時点で重要なこと年代に応じてやるべきことが違うので、それぞれの年齢に合わせた指導を行っていると語ってくれた上野監督(C)新井賢一――中学生年代につなげる上で、小学6年生の時点で重要なことはなんでしょうか?上野ジュニアユースになっても、技術が必要なことに変わりはありません。中学年代を見ていると、ジュニア年代で技術をやっている子と、蹴るサッカーやフィジカルに頼ったプレーをしていた子では、差が出るように思います。足元の技術があることで、狭いところでもプレーできますし、ジュニアユースで求められる、いろんなサッカーに対応できるのかなと思います。■年代に応じた指導、低学年のうちはパスを使わない試合もする狙い――OBとして、堂安律選手が有名ですね。上野うちに来てくれる子たちは、足元の技術が上手くなりたい、ドリブルで抜けるようになりたいという子が多いです。うちでサッカーをするとは、そういうことなので、中学生になったときに伸びる選手が多いのかなと思います。小学生年代でBチームだったとしても、中学、高校で活躍している選手もたくさんいます。長い目で見て指導していますし、Bチームの子にも「しっかりと伸びるサッカーを教えてます」と、自信を持っています。――ジュニアユースからJクラブのアカデミーに進む選手も多いですが、どのようなところが評価されていると思いますか?上野Jに行く子は武器があります。西宮の選手はベースとして足元の技術はありますが、それに加えてスピードがある、強い、視野が広いなどの武器がある選手が、Jクラブの育成組織に行っている印象です。Jクラブに限らず、全国の強豪校でプレーしている選手もいるので彼らの活躍は嬉しいです。■中学にあがる前に11人制を経験できるのは良い体験――あらためて、ワールドチャレンジという大会を振り返って、感想をお願いします。上野この大会に出られるのは、すごく光栄なことだと思います。予選から勝ち上がり、強豪チームと試合をすることができて、いい経験になりました。海外のクラブと試合ができなかったのは残念でしたが、ワーチャレの良さは、中学校に上がる前に、11人制を経験できることです。そこも含めて、良い経験ができた大会だったと思います。■選手たちが4日間の大会を通じて得たもの選手にも話をうかがいました。大会を通じて「戦う気持ち」を得られたと語った鹿島正成くん(C)新井賢一背番号20番・MF鹿島正成(かしままさしげ)――ラウンド16の試合を振り返って、感想をお願いします。鹿島前半からペースをつかんでいましたが、そこで決めきれなかったのが敗因だと思います。――大会を通じて得たものはありますか?鹿島メンタルというか、戦う気持ちが得られました。――西宮SSのサッカーの特徴は?鹿島高い技術とパスワークで、相手ゴールに襲いかかるところです。――憧れの選手はいますか?鹿島遠藤航選手です。守備の要で、ボールを奪って攻撃につなげていくところが好きです。ワーチャレを通じて選手間の会話が増え、一人ひとりが意思表示できるようになったと語った上原颯介くん(C)新井賢一背番号23番・MF上原颯介(うえはらそうすけ)――試合を振り返って、感想をお願いします。上原全体的にラインを上げて、自分たちの流れが来ていましたが、決めきることができませんでした。カウンターの場面で、最後はボールを奪うことができたけど、はっきりするところと、中途半端になるところがあったので、もっと明確にやればよかったです。――大会を通じて得たものは?上原チームワークです。Bチームの子たちと話す機会が増えたことで、一人ひとりが意思表示できるようになったのは良かったです。――憧れの選手は?上原特にいなくて、自分らしくプレーできたらいいなと思います。「自分たちで勝利を失った感じ」と試合を振り返った林祐未くん(C)新井賢一背番号10番・DF林祐未(はやしゆうみ)――試合を振り返って、感想をお願いします。林先制点を決めて流れをつかめたけど、相手に決められた後、流れがちょっと悪くなって、シュートを打てるタイミングで打たずにPKに持ち込んでしまいました。自分たちで勝利を失った感じです。――西宮SSで身についていることは?林ボールタッチや技術、パスワークなどが身についていると思います。岡部遥希くんは「決めるところで決めきれなかった」ことを悔やんだ(C)新井賢一背番号7番・FW岡部遥希(おかべはるき)――試合を振り返って、感想をお願いします。岡部全体的に押し込めたけど、決めるところで決めきれませんでした。自分のプレーとしては1対1で負けてしまい、ゴールに結びつけられなかったのが悔しいです。――憧れの選手は?岡部グリーリッシュ選手です。ドリブルで切り込んで、シュートを決めるところが好きです。先制点を決めた野山悠行くんは、将来「わかっていても止められない」選手になりたいと語った(C)新井賢一背番号21番・MF野山悠行(のやまゆあん)――試合を振り返って、感想をお願いします。野山自分が先制点を決めることができて嬉しいですが、負けてしまったので悔しいです。――大会を通じて得たものは?野山自分の得意な、スピードを活かすドリブルはできたかなと思います。この大会は強い相手が多かったので、メンタルを強く持ってプレーすることができました。――憧れの選手は?野山エムバペ選手です。足が速くて、わかっていても止められない。僕もそういう選手になりたいです。西宮サッカースクールのトレーニングを紹介>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年09月02日2022年8月下旬に行われた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022。3年ぶりに来日したFCバルセロナと決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)で戦ったのがバディーサッカークラブ(バディーSC)です。2019年の全日本U-12サッカー選手権大会で日本一に輝くなど、強豪として知られるバディーサッカークラブ。GK松本大駕選手を中心に体を張った守備を見せ、攻撃力が持ち味のバルサを無失点に抑えました。試合は惜しくもPK戦で敗れましたが、最後まで勇敢に戦った姿にピッチは大きな拍手で包まれました。試合後、チームを率いる佐野裕哉監督(以下、佐野)に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)技術やフィジカルで上回るバルサを、ボールの出しどころを潰す戦い方で抑え込んだバディーサッカークラブ(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■「縦を切る」ことに絞ってボールの出どころを潰した――スコアレスドローからのPK戦と、バルサをあと一歩のところまで追い詰めました。試合を振り返って、感想をお願いします。佐野40分を通して厳しい戦いでしたが、子どもたちは「チャンスがあれば点を取ってやろう」という気持ちでプレーしてくれました。前半から「まずは給水タイムまで耐えよう」と話をして、前半が終わったときには「俺らやれてるよ」という気持ちになったんじゃないかと思います。後半も良いモチベーションの中でプレーすることができました。――バルサは両ウイングにスピードのある選手を揃え、サイド攻撃が特徴的でした。どのような対策をしたのでしょうか?佐野バルサには早生まれの子も多く、うちの選手よりもフィジカル的、技術的に高い部分があります。まずはそこを認識した上で、ドリブルを仕掛けてくるスピードのある選手に対しては、前に持ち出されないように縦を切ること。横にドリブルされたり、パスはOKだと割り切りました。あとは粘り強く、守備から入ることを伝えました。バルサはグラウンドを広く使ってボールを動かすので、全部追い回すと体力的にきつく、ボールを奪えないと思いました。そこで縦パスのところ、ボールの出どころはしっかり潰していこうという話をして、いい距離感で奪えた場面もありました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■「楽しんでいこう」と選手たちに声をかけた――攻撃に関して、どのように攻めるイメージを持っていたのでしょうか?佐野バルサがボールを保持する展開になるのは予想していたので、まずはしっかり守備をすること。ボールを奪うことができたら、足下でつなぐと奪い返されてしまう危険性があるのでなるべく相手の背後を狙おうという話はしました。フルコートの11人制は数回しかしていないので、まずはボールを相手陣地に入れて全体をコンパクトにして戦うことは、練習を通じて取り組んできました。――バルサ戦でしたが、選手には何と言って送り出したのですか?佐野「バルサと試合ができる機会なんてない。楽しんでいこう」と言って送り出しました。子どもたちもバルサが相手ということで、気持ちが高ぶっていたり、緊張していたと思いますが、見ていて楽しい試合をしてくれたと思います。■サッカーを通して人として成長させていくことを掲げているサッカーを通して人間性を育てることを大事にしていると語ってくれたバディーサッカークラブの佐野監督(C)新井賢一――バディーサッカークラブは2019年の全日本U-12サッカー選手権大会で優勝するなど、強豪の地位を築いていますが、育成面で大事にしていることは?佐野まずは子どもたちの個性を潰さないことです。そしてサッカーを通じて、人間性を育てることを大切にしています。ただ勝つだけではなく、もちろん勝った喜びもありますが、勝った負けたの中で、サッカーを通して人として成長させていくことが、全カテゴリーで共通した狙いです。――バルサ戦のハーフタイム。最初に子どもたちだけで話し合っていて、監督とコーチが、少し離れたところで見守っていました。すごくいい距離感だなと感じました。佐野プレーしているのは選手たちなので、話したいことがあればまずは選手同士で話をするようにしています。僕らコーチは、遠目で話を聞きつつ「選手交代どうする?」などの相談をしていました。――試合中のコーチングの仕方や内容を見ていると、子どもたちを尊重しているように感じました。上から押さえつけるような声掛けは、ほとんどありませんよね?佐野そこに注目していただけてうれしいです。時には厳しく言うこともありますが、先程も言ったように人として成長することを第一に考えているので、子どもに対する言葉遣いや表現には気をつけています。強く言う場面があったとしても、乱暴な言葉ではなくちゃんと子どもが理解できるような言葉を使うおうと。接するときの態度も含めて、スタッフみんなで気をつけている部分です。■バルサと引き分けたことは自信につながったのではPKを外してしまった仲間を慰めに行く選手たち。日本のチームはライン上で待っていることが多いが、この大会で見られた仲間を大切にするシーンの一つ(C)新井賢一――試合をしてみて、バルサの印象はいかがでしたか?佐野トップチームのイメージはパスサッカーですが、サイドからの仕掛けも含めて、個の打開力がすごいと感じました。これも、ワールドチャレンジに参加できたからこそ、感じることができたものだと思うので、大会に参加できたことに対する感謝の気持ちでいっぱいです。――選手たちには、この経験をどのように活かしてもらいたいと考えていますか?佐野子どもたちは、まだまだこの先の未来があります。中学生、高校生、大人になったときに「バルサと試合をしたんだ」という人生の財産になるのは間違いないと思います。試合に出た子は、実際に戦ってみて、様々な印象を感じたはず。世界との差を感じたのか、それとも全然やれるぞと思ったのか。人それぞれだとは思いますが、大舞台でバルサと戦って引き分けたことは、みんなの自信に繋がったのではないかと思います。バディーサッカークラブのトレーニングを紹介>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年09月01日8月25日に閉幕した、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022。大会の目玉、FCバルセロナは、ヴィッセル神戸との準決勝で姿を消しました。2番のギウ・マルティネス選手、11番のルスナン・エルナンド選手を中心に、サイドから迫力ある攻撃を仕掛けるもヴィッセルの固い守備を崩すことはできず。50分の対戦では0-0のドロー。勝ち上がりを決めるPK戦で3人連続して失敗し、涙をのみました。3年前も監督としてチームを率いたアルベルト・アルカイデ監督(以下、アルベルト)に、準決勝の感想とこの年代の指導で重視していることを聞きました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)有償を本命視されていたバルセロナだったが、準決勝でヴィッセル神戸にPKで敗退(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■ヴィッセル神戸が中央のスペースをしっかり埋めたのでボールが回せなかった――ヴィッセル神戸との準決勝はPK戦で敗退しました。試合に関して、どのような感想を持っていますか?アルベルト相手がしっかりとブロックを作って守備をしてきたことで、中央にスペースがなく、うまくボールを回すことができませんでした。そのため、相手の背後のスペースにロングボールを出すことや、サイド攻撃を仕掛けたのですがなかなかうまくいかず......。この大会に来る前に練習や練習試合ができていれば、もう少し良いプレーができたと思います。――ヴィッセルの守備陣が中央を固める中で、打開するための指示はしたのでしょうか?アルベルト特に指示はせず、この状況でどのようなプレーをすればいいかを選手たちに考えさせました。7人制のときは相手が引いて守ることが多く、我々が常に攻めています。相手のチャンスはわずかしかありません。ですが11人制になるとそうもいかず、スペースがあるので、見るべきことがたくさんあります。選手たちは11人制に慣れていないので、判断を間違えることがありました。試合の中で何度も間違える中で「中央をドリブルで崩すことはできないから、もっとボールを動かそう」といったように、選手たちが考えてプレーすることをうながしていました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■ワールドチャレンジはバルサにとっても有意義な大会――ヨーロッパは9月から新シーズンが始まるので、このチームは立ち上がったばかりということでしょうか?アルベルトはい。このメンバーはU-12で7人制をしていた2つのチームから集まってきた選手たちです。プレシーズンが始まったのが日本に来る1週間前で、まったく一緒にプレーできていない選手もいました。7人制から11人制に慣れる時間もなく、大きなスタジアム、観客の前でプレーするのも初めてだったので、選手たちにはいろんなプレッシャーがあったと思います。――毎年プレシーズンにワールドチャレンジに参加していますが、この大会はバルサにとって、どのような意味を持ちますか?アルベルトバルサとしては新シーズンが始まる前に、短期間でたくさん試合ができる、有意義な大会だと思っています。多くの試合をすることで、プレーの仕方を早く学ぶことができます。初めて顔を合わせるメンバーもいるので、遠征という形で遠い国に来て多くの時間をともに過ごすことで、よりよいコミュニケーションをとることができる場になっています。■バルサもユベントスも日本チームに負けた。3年前より日本のレベルも上がっている日本のレベルが高くなったこと、バルサの選手がピッチ内外で大事にしなければならない心得などを語ってくれたアルベルト監督(C)新井賢一――アルベルト監督は、3年前のワールドチャレンジにも監督として出場しています。3年前と今大会を比べて、日本サッカーの印象で何か違うものを感じたことがあれば教えてください。アルベルト3年前の大会は、日本チームのレベルが拮抗していました。あまり差がなかったので良い競争ができていました。3年前は海外のチームが多く彼らが準決勝、決勝と勝ち進んでいきました。(※ワールドチャレンジ2019大会:バルサはラウンド16でタイ代表U-12に敗退)。今年はバルサとユベントスだけでしたが、我々は引き分けが2試合あって、ユベントスも負けました。そのことから、日本のチームのレベルも上がっていると思います。■審判に抗議した選手たちには注意した。選手は個人でなくクラブのイメージを考えて行動しなければならない審判への抗議については選手たちに注意したそう(C)新井賢一――今大会はヴィッセル神戸を始め、プレーモデルがあり、守備の組織を作ってバルサに挑んでくる日本のチームが多い印象があります。それについてはどう感じていますか?アルベルト正しい事だと思います。小さい頃から同じメソッドで育成をすると、ファーストチームまで行くチャンスが多くなります。もしそのチームでプロになれなかったとしても、その下部組織にいたという、クラブへの愛着も強くなりますから。――ピッチ外で、バルサが大切にしていることを教えてください。アルベルト我々の選手たちが準決勝で審判に抗議をしていましたが、あれはやってはいけないことです。選手たちにも「それはいけないことだ」と言いましたし、これからも言い続けるつもりです。アカデミーの選手が審判に対して異議を唱えることは、個人のことではなくバルサというクラブに影響をもたらします。選手個人ではなくクラブのイメージを考えて行動する必要があるのです。■バルサが考える「12歳のプレーにおける大事なこと」――12歳という年代において、育成する中で何を一番重視していますか?アルベルトこの年齢で大事なのが、7人制から11人制の変更に慣れることです。バルサのU-13は、普段U-14チームと試合をしています。この時期の1歳差は、フィジカル面で大きな違いがあります。その相手に対してもしっかりとプレーすること、相手のプレーの仕方に慣れる事を大事にしています。――最後に、日本の選手とバルサの選手とのコミュニケーションで印象に残っていることがあれば教えてください。アルベルト日本の子たちが「Hola(オラ)!」とあいさつをしてくれて、バルサの子たちが「ありがとう」と日本語で返したり、バッジやボールペンをあげたりしながらコミュニケーションをとっていたことが印象に残っています。【独占取材】バルサ監督がU-12年代の選手に求める「FCバルセロナの一員」としてのふるまい>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月31日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「前を向いてドリブルすることができない」を克服するトレーニングをご紹介します。サッカーでは、パスやシュートをするために顔を上げて前を向いた状態でドリブルできなければなりません。しかし、初心者はどうしても足元のボールを見ながらドリブルしてしまい、なかなか前を向けないもの。今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、常に顔を上げて前を見ながらドリブルできるようになるトレーニングを紹介します。親は難しい動きはありません。【やり方】1.2つの目印を置いて、子どもはその目印をグルグル回りながらドリブル2.動きに慣れたら、親がどこかのタイミングで手を上げ、子どもはそれを見たらボールを止め、手を下ろしたらドリブル再開3.右足だけ、左足だけなど片足だけでドリブルし、親が手を上げたら止まるなどアレンジする4.親が鬼になり、子どもを追いかける。子どもはボールを取られないよう逃げながらドリブル【トレーニングのポイント】・最初はゆっくりでいいので、顔を上げて前を向くドリブルの動きに慣れる・常に親の位置、手の上げ下げを見ていることで顔を上げる習慣をつける・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年08月30日低学年から自分たちで出場メンバーや戦い方を決めたり、試合分析も行うなど主体性や自分で考えて動くことを大事にしていることでも知られる強豪街クラブ、センアーノ神戸。この春からサカイクサッカーノートを3年生以上の年代で導入しています。元からサッカーをよく理解している選手が多いチームですが、ノートを導入したことで、更に深く考えるようになったり、課題がはっきりして上達に繋げることができているようです。選手だけでなく、各学年のコーチも選手たちの意図が分かるようになってコミュニケーションが深まったと高評価をいただいています。前編では、3、4年生の声をお届けしましたが、今回はより高いレベルでサッカーをしている5、6年生の声をお届けします。(取材・文:貞永晃二)サカイクサッカーノートを書き始めてどんな変化、成長を感じるかセンアーノ神戸の5、6年生に伺いました子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>前編:「振り返り」ができるようになって上達を実感、強豪街クラブ・センアーノ神戸が導入したサッカーノートは何が違う?■監督やコーチに言われたことを整理して試合に臨めるようになった――サカイクサッカーノートを使ってどうですか?●天野陽真くん(あまのはるま・5年生)前のノートよりも目標を書くスペースが多くなったので、それを試合前に見て、考えて試合に臨むことができるから、首を振って周りを見られるようになったと思います。●大西春之介くん(おおにしはるのすけ・5年生)このサッカーノートを使って監督やコーチに言われたことを整理して、前からの守備ができるようになりました。●村上翔二郎くん(むらかみしょうじろう・6年生)このサッカーノートを使って、監督からアドバイスをもらったことを意識してキーパーとの1対1とかシュートなど上手くできるようになりました。●大塚渉生くん(おおつかわたる・6年生)前のサッカーノートでは、あまり目標を達成することができなかったけど、サカイクサッカーノートだったら目標を書けました。僕の目標は「間でボールを受ける」なんですけど、前日に目標を見ることができて、コーチからのアドバイスもあって試合で役立ちました。それぞれが、サカイクサッカーノートを使ってどんなふうに成長したのかを教えてくれましたが、動画に収録できなかった意見の中には、要望的な意見もあったのでご紹介します。「自分の目標を書くと、『書いた以上はやらなあかんな』みたいな気持ちが出てくる。ちょっとだけ責任感が出ます」「サカイクノートではいろいろな質問が出てくるので、動画を振り返って考えながら書くことができて、このノートに変わってよかったなと思います。自分としては、コーチに言われたところを書くスペースが欲しいです。自分に対して言ってくれたことを書き残しておきたいからです」「攻撃面で良かったこと、守備で良かったこと、悪かったところとか、項目を分けて試合が終わった後のことをちょっと書きたいから、そういったスペースをもうちょっと増やしてもらったらいいです」など、自分の成長記録のためにこんな項目があると良いな、という声を聞かせてくれました。普段から試合を振り返る習慣があるからこそ、記録して残すことでより成長につながると感じているようです。■目標を書きだすことによって、プレーのイメージを明確に持てるようになった6年生担当コーチに、このノート導入後の選手の変化を伺いました。6年生担当の田代コーチは、しつもんが用意されている分、書きやすくなったようだと語ってくれました●田代浩樹(たしろひろき・6年生担当)(以下、田代)――この春から使ってもらっていますが、6年生に変化は感じますか?田代しつもんが具体的に書いてあるので、それに則って考えて書いていることが多いと思います。前のノートでは、書く内容を決めているわけじゃなかったんです。自由に得点のことを書いてもいいし、思ったこと、感じたことでもいいよ、というやり方でしたが、しつもんがある分、サカイクサッカーノートは書きやすくなったのかなと思います。――逆にこういう部分はサカイクサッカーノートでは書きにくいなという点はありますか?田代たぶん何も考えていない子だったらサカイクサッカーノートのようにしつもんがある方が良いかなと思います。6年生にもなると、自分の考えをしっかり持っている子も多いので、中には『自由度が減って書きにくい』という子もいましたね。――何かプレーが変わったなと感じるようなことは?田代目標を書くことによって、プレーのイメージを自分なりに持って練習や試合に臨んでいる子も増えた気がします。チームによっては全員でミーティングしてからノートに書いて、トレーニングやゲームに入ったりしているというのも聞きます。そういった使い方も良いかなと思いますね。――「目標を書いたら書いた以上はやらなあかん、というちょっとした責任感が出た」と言っている選手がいましたが、どうですか?田代そうですね。漠然とやるよりは、自分で書くことによって自分の中で整理されて、やれますから良い事だと思います。――6年生という高学年担当として、こんな項目があった方がいいなみたい要望はありますか?田代そうですね。僕らは対戦相手の分析をしたり、「フォーメーションをこういうふうに掛け合わせてやろうね」って試合前に話し合ったりするので、そういうページがあったりしてもいいのかなと思います。現在の仕様は、個人の事を振り返るようになっていますが、僕たちは試合の時に「もうちょっと相手を見て考えながらやろうね」といった話もしますので、相手チームの情報を書く項目があったら、高学年はチーム全体としての内容を書いてくるかもしれないですね。■選手の目標が分かるので、指導としてもアプローチしやすくなった5年生担当の高橋コーチと、3年生担当の滝口コーチからもそれぞれの年代での変化、成長を伺いました。――サカイクサッカーノートを書くようになって子どもたちが変わった点や、成長が見られた点があれば教えてください●高橋和久(たかはしかずひさ・5年生担当)(以下高橋)高橋以前は、選手が思ったことを、整理できてなくてもそのままノートに書いてくるという感じでした。サカイクサッカーノートは、しつもんに答える形式で書けるので考えが整理されていて、こちらも読みやすいです。選手が今日の目標は何だと考えているのかわかるため、それに対してどうアプローチしていくのかというのを明確に示せて、僕らも指導しやすくなったと感じています。●滝口竣也(たきぐちしゅんや・3年生担当)(以下、滝口)滝口やっぱり文章でダラダラ書かれるよりは、箇条書きみたいな形でまとめて書いてくれると、こちらも分かりやすく読みやすいですね。3年生ぐらいだと、普通のノートでは内容があちこち行ったり来たりしちゃうんですよね。5年生を指導している高橋コーチは、ノートに書いたことでプレーにも責任感が生まれたと感じるそうです――このサッカーノートをサッカーに活かせていますか?高橋5年生だと、もう自分たちで考える力は身につけ始めているので、当然書いたことに対する責任が生まれて、プレーも徐々に一人一人責任感を持ち始めているな、と思いますね。後でノートを確認したときに「ああ、こんな目標を持ってやってたんやな」と思ってその子のプレーを振り返ると、確かにそうだな、と思うことが結構あります。今後は試合前に提出してもらって、「こんな目標を持って臨んでるんだな」というのを確認してからゲームさせてあげるのも、より責任感を増すために良いかなと、ちょっと思っています。滝口3年生は、なかなか喋れない子が多くて、試合中も自分の要求とかも一切しないような受身の子がちょっと多かったんですけど、サカイクサッカーノートを書き始めてからはだいぶ自分の意見をしっかり言えるような子も増えたかなというのもあります。文章にして書いてくれると、「こんなこと考えてくれてたんやな」とか、こちらもわかりやすいので接するときに役立っていると思います。やっぱり文字にするのはすごく大事ですね。試合後にプレーを振り返って、選手はこういうことを意識してやっていたんだと分かると、次の指導にも繋がりますし、間違いなく選手たちの力にはなってくれているなと思いますね。■課題に気づかせるようなアプローチも――逆に、この子はこういうことを書いているけど、この子の課題はそこじゃないんだよなというようなこともありますか?高橋ずれることは当然ありますけど、そこは僕がコメントに書きますね。「ここはこうした方がいいよ」という感じで書いて、こっち側から課題をちょっと与えると、自分で見つけると思うんです。当然、まだ自分では見られない部分もあるので、こちらが見て伝えてあげるというアプローチもやっています。滝口3年生は、まだまだ上級生ほど理解度がないので、試合中に自分が言ったことも忘れちゃう子も結構多いんですが、このノートを使いだしてから、試合後とかコーチからの意見とかも結構求めてくれるようになりましたね。「早くコメント書いて~」と言われたりするのは嬉しいです。――ノートを保護者の方々は見られているのでしょうか?高橋たまに保護者の方からも「優しい言葉を書いていただいて」と言われることがあります。親御さんにも見られているので、下手なこと書けないなと思ったりします(笑)。子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>■口下手でもノートなら書ける子もいて、コミュニケーションに役立っている――大木監督は、しゃべるのが苦手な子もサッカーノートはしっかり書いていると言っていましたが、みなさんの学年ではどうですか高橋そうですね。どちらかというと、ちょっとおとなしめの子の方が書いてきますかね。まずは文章で人に伝えて、それから成長したら言語化ができるようになるのかなとは思うので、コミュニケーションの向上の一つのきっかけになってくれたらなとは思いますね。滝口3年生も、中には濃い内容のもありますよ。文章もすごく長くて、細かいところまで考えてやってるというのも見受けられるので。なので、口では表現できなくても、実はどんなことを考えているか分かって、面白い発見があったりします。子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>■相手分析をするチームなので、そういった項目もあるとデータベースになって便利――コーチたちから見て、こういう項目があればいいなというのはありますか?滝口現状のノートにもフォーメーションを書く欄がありますが、うちのチームは相手のシステムを見て選手たちが立ち位置を変える、というのを自然にやっているので、相手チームのフォーメーションを書く欄があると、見直したときにはわかりやすいかなというのはあります。高橋公式戦では選手たちが分析します。当日相手チームを見ているので、できたら例えばノートの後ろの方にまとめてそういうページを作っていただけたらすごいありがたいですね。例えば相手の何か強みと弱みとか、例えば10番は足が速い、といった相手チームの特徴を書いておけば、そのまままとめやすいかなと思います。取材を行った日の5、6年生の練習風景5、6年生になると、より思考力が深まり、サッカーへの取り組みも高度になっていくので、サカイクサッカーノートを書き始めてどう成長できたか、だけでなく、チームとして成長していくためにノートをこう変えてほしいという要望も聞くことができました。センアーノ神戸が注力している子どもたちの主体性を育てるという目標にサカイクサッカーノートが貢献できる可能性を感じられる意見がたくさんありました。サッカーノートを書くことは、サッカーの成長につながりますが、ただ何となく書くだけでは「記録」でしかありません。自分で考える力を高め、行動に移すことでサッカーが上手くなっていることを、センアーノ神戸の選手たち、監督、コーチたちから実感として聞くことができました。選手の思考力を高め、サッカー上達につながるサカイクサッカーノート、みなさんのチームでも使ってみませんか。子どもたちも成長を実感!サッカーが上達するサッカーノート>>
2022年08月30日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022で、ベスト4に進出したのが湘南ベルマーレアカデミー選抜です。攻守にバランスのとれたチームで、準々決勝では播戸竜二監督率いる大和ハウスDREAMSを撃破しました。準決勝では、優勝を果たしたmalva future selectに1対3で敗れましたが、選手個々の能力を活かした戦いでベスト4に輝きました。湘南ベルマーレアカデミーでは、どのような考えのもとに選手を育成しているのでしょうか?チームを率いる太田隆一監督(以下、太田)と、エースとして攻撃を牽引した、背番号10番の末廣大翔選手(以下、末廣)、守備の要として活躍した背番号13番の建脇獅音選手(以下、建脇)に、準決勝終了後に話を聞きました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)常に全力を尽くす湘南スタイルで戦い抜いた湘南ベルマーレアカデミー選抜(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■クラブのOB・遠藤航のように1対1のデュエルはこだわる――準決勝は1対3の結果でした。試合の感想をお願いします。太田前々から理解はしていましたが、マルバさんの高いスキルは素晴らしかった。完敗です。――ハーフタイムにもっと戦うこと、局面のプレーを頑張ろうという話をしていました。後半の立ち上がりはその姿勢を見せて、1点返しましたね。太田連戦ということで疲労はあったと思いますが、湘南ベルマーレとしては、常に全力を尽くす、100%を出すことはアカデミーからトップまで一貫してやっていることです。その部分で、前半の入りは少し残念でした。――ベルマーレの育成について聞かせてください。ジュニア年代で大事にしていることは、どのようなことでしょうか?太田クラブとして「湘南スタイル」がありますので、最終的にそれをトッププロとして表現できる選手を育成したいと思っています。そのベースを作るジュニア年代では、インテリジェンスやテクニカルな部分、100%を出し切るところは意識しています。あと、OBである遠藤航選手がドイツでデュエル王になっているように、1対1のデュエルはこだわってやっています。準決勝では出し切れませんでしたが、そこの重要性は、育成年代でしっかりと伝えていきたいと思っています。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■ただプロになればいいわけではない、長く活躍するためにはU-12年代から主体性が必要な理由――選手たちに「自分でチャレンジすること」の重要性を話していた姿が印象的でした。太田彼らは未来ある選手です。これからジュニアユース、ユース、トップと目指してい中で、厳しい状況でも全力を尽くすことや、主体性を持ってプレーすることを求めています。ただプロになればいいわけではなく、トップレベルで長く生きていけるサッカー選手になるためにも、ピッチ内外でしっかりとした人間でなければいけません。ですので、この年代から、主体性の部分を求めています。――主体性を高めるために、どのようなアプローチをしていますか?太田ジュニア年代なのでまだ子どもではあるのですが、ひとりの大人として扱うことを心がけています。彼らには、ひとりの人間としていろんなものを感じ取って判断し、行動に移すようになってほしいです。今大会の目標も、選手たちに決めさせました。自分たちで決めたのであれば、実行していくために何が必要かを、主体的に考えるようになります。プレーにおいても「湘南スタイル」というクラブのモデルがありますが、もしかしたらこちらが求めていることよりも、子どもたちの方が良い選択をする可能性もあるので、その部分では余白を持ちながら、見てあげたいと思っています。■ピッチに立った瞬間から研ぎ澄まされた状態を作らないと痛い目に遭うバルサなど普段は戦えない海外勢へのチャレンジがこの大会の魅力と語った太田監督(C)新井賢一――ワールドチャレンジという、海外にチャレンジする大会の意義はどのように感じていますか?太田目の前に世界があるというモチベーションは、他の国内の大会とは違います。選手にとってすごくいい刺激になったんじゃないかと思います。――この時期に、11人制の大会に出ることに関して、どのようにとらえていますか?太田個人的には、6年生のうちにもっと11人制を経験した方がいいと思っています。ただゴールキーパーにとっては、ゴールが大きすぎると感じたので、大人用と少年用の間のサイズのゴールでもいいのではないかなと思います。11人制でプレーをすると、8人制のときとは違った一面を見ることができます。「こんなことができるんだ」と、新たな発見があるのも、面白いところだと思います。――選手たちに、この大会の経験をどのように生かしていってほしいですか?太田準決勝に関して言えば、ピッチに立った瞬間から研ぎ澄まされた状態、アラートな状態を作り上げなければ痛い目に遭うと肌で感じたと思います。この思いを忘れずにいてほしいと思います。■大会を通じて、サイドへのボール展開など試合運びの面で成長もエースとして攻撃を牽引した、末廣大翔選手。守備の要として活躍した、建脇獅音選手にも話を聞きました。攻撃をけん引した末廣大翔くんと守備の要として活躍した建脇獅音くん(C)新井賢一背番号10番・MF末廣大翔(すえひろだいと)――準決勝を振り返って、感想をお願いします。末廣後半からシステムを変えてマンツーマンにして、最初は良かったんですけど、徐々に疲れが出てきて崩されました。悔しいです。――後半開始直後、クロスから素晴らしいアシストをしましたね。末廣キックは自分の特技でもあるので、出せてよかったです。――大会を通じた、自分のプレーの感想を教えてください。末廣最初の方は全然だったのですが、徐々に上がってきたのは良かったです。他の試合ですが、得点のシーンで自分がサイドに開いたときに、サイドバックが外に開いたので、中でボールをもらったところから、2点を取ることができたので良かったです。――この大会で成長したと感じるところはどういうところですか?末廣これまでは縦に仕掛けることが多かったのですが、逆サイドにもボールを展開できるようになったことです。――好きな選手は?末廣日本代表では本田圭佑選手。海外ではロベルト・カルロス選手。ベルマーレでは杉岡大暉選手です。杉岡選手のプレーは自分と似ていて、縦にくさびを入れるプレーが好きです。13番の建脇くんはこの大会屈指の快速、malva future selectのオツコロ海桜くんと対峙する場面も(C)新井賢一背番号13番・FW/DF 建脇獅音(たてわきしおん)――試合の感想をお願いします。建脇立ち上がりから相手にペースを握られてしまって、そこからやられてしまったのでとても悔しいです。――この大会で成長したと感じるのはどういうところですか?建脇コーチのアドバイスを試合で意識することで、相手に通用するようになってきたので良かったです。――相手の7番(オツコロ海桜)とマッチアップすることが多かったですが、守備に関してはどうでしたか?建脇相手にセカンドボールを触られることが多く、そこからやられてしまうことがあったので、次はしっかり改善して戦えるようにしたいです。――大会を通じた、自分のプレーの感想を教えてください。建脇空中戦は結構自信があるのですが、1対1の対応はまだ足りないなと感じました。――好きな選手は?建脇ベルマーレの高橋諒選手です。たくさん走って、ドリブルで相手をかわすプレーが好きです。湘南ベルマーレ出身、遠藤航がプロサッカー選手になるために大切にしてきたこと>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月30日8月22日から4日間にわたって行われた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022。準優勝に輝いたのが、ヴィッセル神戸U-12です。準決勝ではFCバルセロナをスコアレスドローからのPK戦で破り、決勝に進出しました。チームを率いる坪内秀介監督のもと、4-3-3のシステムを用い、最終ラインからビルドアップして攻めるスタイルは、大会有数の完成度でした。8月上旬に行われたフットサルの全国大会「JFA バーモントカップ 第32回全日本U-12フットサル選手権大会」に続き、準優勝に輝いたヴィッセル神戸U-12の坪内秀介監督(以下、坪内)と、準決勝でPKを3本止めたGK田口創一朗選手(以下、田口)、的確な守備でバルサを無失点に抑えたDF浅田連選手(以下、浅田)に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)PK決着で決勝進出を決め喜ぶヴィッセル神戸の選手たち(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■子どもたちがファイトし、チャレンジしてくれたことが一番嬉しい――準決勝、PK戦とはいえバルサに勝ちました。試合を振り返って感想をお願いします。坪内素直に嬉しいです。勝ったこともそうですが、子どもたちがすごくファイトしてくれて、チャレンジしてくれたことが一番嬉しいです。そのご褒美として、PKとはいえ勝つことができたのかなと思います。――PK戦で3本止めた、1番・GK田口創一朗選手の活躍については?坪内順位トーナメントの試合でもPKを止めているんです。だから、ここまで4本中4本を止めています。自信を持って臨んでくれたと思いますし、よく頑張ってくれました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■バルサと試合をしただけで満足するのではなく、「いま」の自分たちの力を知れた――バルセロナはウイングに突破力のある選手がいましたが、サイドの守備対応についてはいかがでしょうか?坪内選手たちには「DFラインとFWまでの距離をコンパクトにしよう」と言ってきました。サイドは1対1になってもしょうがないので、そうなったときにインサイドマークやカバーの意識を高くすること。何よりも、ファーストディフェンダーになった人が抜かれないように、粘り強く対応しようと伝えていました。――大会を通じて、最終ラインからのビルドアップ、中盤の関わり、ボールの出口の作り方など、すごく良いオーガナイズをしている印象を受けました。普段から、そのような指導をしているのでしょうか?坪内ヴィッセルにはアカデミーのメソッドがあります。まずはしっかりと立ち位置を取ってマークを外すことや、相手と駆け引きをすることで、リアクションではなくこちらからアクションを起こすスタイルを目指しています。ドリブルにしても、相手に向かって行って相手の意識を割らせることや、ドリブルで進入することで、相手の守備をどう迷わせるかといった練習を行っています。メソッドには、状況を見て判断する要素も入っているので、アカデミーではそれらを共通して指導しています。■バルサに勝ったからといって過信してほしくないバルサと対戦しただけで満足するのではなく、積極的にチャレンジしたことを評価したいと語った坪内監督(C)新井賢一――今大会、そのあたりの成果は出ていますか?坪内選手たちは本当に頑張ってくれました。今大会に臨むにあたり「バルサと試合をする」「優勝する」という二つの目標を立てました。準決勝でバルサとやれるところまで来たので、「今までヴィッセルのジュニアに入って、やってきたことを表現しよう」と言って送り出しました。選手たちはバルサと試合をしただけで満足するのではなく、積極的にチャレンジをすることで、いまの自分たちの力がどのぐらいなのかを感じることができたので、その基準をひとつ上のレベルに引き上げることができるのではないかと思います。――彼らはまだ12歳。これからのサッカー人生は長いですが、この経験をどのように活かしていってほしいと考えていますか?坪内変に過信して欲しくないと思っています。「バルサに勝ったから、俺たちすごいんだ」ではなく、いやもっと行けるよ、まだまだできることはあるよと伝えたいです。この年代は成長期に個人差があります。現状できているからといって、そこで満足するとすぐに抜かれてしまいます。なので、満足しないように求めていきたいです。■諦めずに戦い切った選手たち。PK決着は誰も責められない坪内監督には、決勝戦終了後にも話をうかがいました。――惜しくもPK戦の末に準優勝となりましたが、決勝戦の感想をお願いします。坪内選手たちは2度のビハインドの中、諦めずにプレーして、最後に追いついてくれました。PKはしょうがない。誰も責められません。普段ユースに帯同しているトレーナーが遠征に来てくれて、朝から体重を測り「きみは何グラム落ちているから、これぐらいは食べよう」「水分を取らないと明日、動けないよ」というアドバイスをしてくれたのはすごく助かりました。それもあって、最後まで戦い切ることができたと思います。■11人制の練習ができてないなかで挑んだ大会だったが、選手たちが上手くやってくれた――大会を通じて、プレーモデルに基づいた組織的なプレーが印象的でした。11人制の練習はどのぐらいしたのでしょうか?坪内フットサルの大会(バーモントカップ)が8月7日まであったので、そこまではフットサルをやっていました。その後、8人制の大会に出たりと、11人制の練習はあまりできていない中で、あのぐらいやってくれたので、繋がってるんだなと思いました。立ち位置の話は常にしていますし、マークの外し方や相手を引き付けて一歩ずらしてパスを出すとか、そういう細かいところは出せていたと思います。――最後に、大会を振り返って感想をお願いします。坪内バルサが来てくれて、彼らと試合ができたことは、すごくいい経験になりました。大会関係者のみなさんに感謝したいと思います。「バルサと試合をする」という目標を掲げる中で、勝ち進むことで選手たちが手に入れた権利なので、そこも含めてよく頑張ったと思います。■PKは蹴る瞬間に分かった準決勝のFCバルセロナ戦で活躍した、GK田口創一朗選手とDF浅田連選手に、話を聞きました。PKストップなどで活躍したGK田口創一朗くんとセンターバックとして守備で活躍した浅田連くん(C)新井賢一背番号1・GK田口創一朗(たぐちそういちろう)――PKを3本連続で止めて、勝利に導きました。PKのときは、どんなことを考えていましたか?田口PKになったときは、自分が止めないといけないなと思いました。1本目の結果によって、相手の蹴る方向が変わるので、自分の立場に置き換えて考えたら、止めることができたので良かったです。1本目は蹴る瞬間にわかって、2本目と3本目は蹴る前に「こっちに来るかな」という気がしました。――バルサの印象は?田口一人ひとりの技術が高いので、どっちのコースを切るとか、体の向きを指示しながらやりました。攻撃はサイドからクロスを上げて来たので、クロスの対応に気をつけました。――チームの守備については?田口最終ラインを上げることを意識しながらやりました。PKでも勝ち切れたので良かったです。勝ったときの気持ちは最高でした。でも、あまり実感が湧いていません。背番号8番・DF浅田連(あさだれん)――バルセロナとの準決勝を振り返っていかがですか?浅田バルセロナはいままでやったことないぐらい圧がすごかったです。日本のチームとは違って冷静なところがあったり、一発で背後に蹴ってきたり、ひとり剥がしてからサイドチェンジをしてきたりと、とてもやりにくかったです。――どんなことを考えてプレーしていましたか?浅田センターバックだったので、クロスが上がったときは責任を持って競ること、ひとりが抜かれてもカバーに行けるように、準備することを考えていました。バルサに勝ったことは信じられません。ヴィッセル神戸のトレーナー推奨ケガ予防&レベル向上に期待!子どもの可能性を無限に広げる「他の運動」のススメ>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月29日誰でも入団できる街クラブだから、レベル差が激しい。単純に学年で分けて練習すると上手い子、そうじゃない子、どちらかに合わせるか、中途半端になって「サッカーってつまんない」となりかねない。どっちの子も楽しく感じてほしいから、指導者で話し合って2学年ごとのレベル別でグループ分けをすることにしたけど、トレーニングで注意することはある?というご相談をいただきました。今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、事前説明から実際のトレーニングまでどんな所に気を配ったらよいかアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<たくさん練習することを「頑張っている」と喜ぶ親や指導者がいるけど、正しいの?練習しすぎの影響を教えて<編集部からの質問>池上さんこんにちは。街クラブで指導している者なのですが、今回はレベル別グループ分けについて教えてください。現状ウチのチームではセレクションもなく、手続きさえ踏めば誰でも入団できます。なので、同じ学年でもレベル差がある状態です。これまでは各学年ごとにコーチがついていましたが、レベル差があることによって上手い子は物足りない、上手くない子はついて行けなくてしんどい・つまらない=サッカーが嫌になるという、どちらにとっても良くないと感じることが増えました。なので、チームで話し合い、低学年、中学年、高学年と2学年ずつでレベルごとのグループ分けをしようという事になりました。上手い子たちに刺激を与え、現状上手くないグループにいる子たちを切磋琢磨してみんながサッカーを嫌いにならないように伸ばしていきたいのですが、トレーニングで気を付けることはありますか?また、どの学年でも良いので、おすすめの練習メニューを1つ教えていただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。<池上さんの回答>ご相談ありがとうございます。2学年ずつでレベルごとのグループ分けをすることについては、まったく問題ありません。■選手と保護者には、事前にグループ分けの意図を丁寧に説明しようただし、日本人の価値観や文化を考えると、上手いか下手かという表層でしかとらえてもらえないことでしょう。したがって、技術レベルで分けることは、子どもたちひとり一人がサッカーを学ぶために重要であることをまずは保護者に伝えてください。ボールの扱いが上手いとか、何かができるから上手い子という印をつけているのではない。それを理解してもらったうえで進めてください。当然ながら、この事前説明は選手たちにも丁寧にやったほうがいいでしょう。子どもたちの疑問にも誠意をもって答えてください。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■欧州では、習熟度が遅い子は下の学年のカリキュラムで練習させている欧州の指導書でも、指導カリキュラムは年齢に合わせています。カリキュラムに合わない、つまり少し追いついていない子をどうするかと考えたとき、欧州のコーチたちは下の学年のカリキュラムで練習させています。そうすれば簡単に理解できるし、マスターできます。例えば中学年でサッカーをやり始めたばかりの子どもを低学年と練習させたとします。彼らは、技術はおぼつかないけれど、体は大きくなっているし理解度も高いため、低学年の子より上達スピードは速いはずです。そのように、カリキュラムを一段下げて取り組むのが重要です。■習熟度や身体の成長スピード、モチベーションなどを見逃すと、成長に必要なピースがそろわない同時期にサッカーを始めたとしても、個人差はあります。理解度や習熟度が早い子、ゆっくりな子、肉体的な成熟度のスピードも違います。早く上手になったからといって、ずっとそのスピードで上達するわけではありません。そしてサッカーに対するモチベーションも違います。これは目に見えない部分なので、よく見てあげてください。そうしなければ、本来身に付けるものが置き去りにされ、そのあとの成長に必要なピースが揃わなくなります。例えば、ポジショニング。どこに動けばいいのか。どこを見ればいいのか。仲間をどう使うのか。そのようなサッカーを認知する力を、多くの指導者がうまく伝えられていません。ドリブルや、止める、蹴るといった個人のスキルが中心になりがちです。上述した「味方をどう使うか」のイメージは、中学年になったときは当たり前にできる子に育っていてほしいと私は考えます。■選手の評価項目に「考える」「インテリジェンス」を追加してそれなのに、中学年、高学年とドリブルが上手い子が評価されがちです。ドリブルのテクニックなど、下の学年であっても上の学年で通用するものだけに評価する項目が絞られがちです。評価項目に「考える」という視点が欠けているようです。自分でよく考えられる子。よくパスを出せる。そのあたりを視る指導者は決して多くありません。選手を選別するという点からみると、トレセンも同じです。トレセンの選手を選抜する際、コーチの皆さんが見る点は「大きい・速い・強い」になります。皆さんはどう考えるでしょうか?日本では、小学生年代のスカウティングの観点は、そこにサイズが入ってきます。ところが、海外のセレクションでは第一に「インテリジェンス」をみます。賢そうかどうか。次にテクニック、スピード。最後にフィジカルです。実は私のチームに、2年から入ってきて、すごくよく考えられる子がいます。キックもドリブルもままならないのですが、相手が来るとうまくかわしてパスを出したり、まわりを見られます。恐らく他のチームにいけば、目立たない選手で上手くないほうの部類に入れられてしまうでしょう。このような「自分で考えられるかどうか」という視点を持って、レベル分けしてほしいと思います。■低学年までは多少子どもたちの思い通りになるよう調整するのも、サッカーが楽しくなる方法(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)練習については、選手のレベルに応じて難易度をうまく調整してあげましょう。例えば、ドリブルが上手くない子に、ゴールに向かっていけと言ってもなかなかできません。2対1をしていて点が入らず楽しくなさそうであれば、ゴールを二つにしてあげましょう。ゴールを2つ設けるだけでもゴールの確率は上がります。点を取りやすくすることを考えると、幼児だからといってミニゴールにすることはありません。大人のゴールにするといっぱい入ってうれしくなります。幼児から低学年にかけては特に、楽しくするためにどうしたらいいかを考えましょう。多少子どもたちの思い通りになるようにすることです。3対3であれば外にフリーマンを設けるなど、人数を調整するのもひとつの方法です。練習を、子ども自身が「難しい」と感じているかどうか。そのあたりを指導者は感じ取れなくてはけません。今日はこれをやれ、と命じるのではなく、その日の選手たちとどうアジャストさせていくのか。簡単にするのか、難しくするのか。さじ加減をどうするかが、コーチの腕だと思います。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年08月26日4日間にわたって行われた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022。今大会は3年ぶりにFCバルセロナ、ユベントスといった海外勢も参加しました。まさに「ワールドチャレンジ」の名前にふさわしい今大会、優勝を飾ったのは、マルバサッカースクールの選抜チーム、malva future selectでした。malva future selectは、圧倒的な個人技をベースに局面で優位に立つとともに、エースのオツコロ海桜くんを中心に高い決定力を見せ、優勝を果たしました。マルバサッカースクールは、個人の技術と戦術を磨くトレーニングに定評があり、上田綺世選手や大津祐樹選手、古賀太陽選手などのプロ選手を輩出するとともに、JクラブのJrユースや強豪街クラブに、多数の選手を送り出しています。決勝戦終了後、マルバサッカースクールの代表であり今大会で監督を務めた浅野智久さん(以下、浅野)に、大会の感想とマルバの育成について、話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)普段はそれぞれ別のスクールに通う選手が集まったスクール選抜malva future selectがPK戦を制して優勝(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■守備の練習をしたこともなければ、11人制の大きなグラウンドでプレーしたのもこの大会が初めて――優勝おめでとうございます。終了間際に勝ち越しましたが、直後に追いつかれ、PK戦で9-8という熱戦でした。浅野いやあ、最後、盛り上がりましたね。オツコロ海桜(かいおう)の70メートルのドリブルからのゴール、やばくないですか?――あのゴールはスーパーでした。まずは決勝戦の感想を聞かせてください。浅野ヴィッセル神戸さんはとってもいいチームで、決勝で試合ができて、すごく良かったです。というのも、予選の最終戦で僕らがバディさんに負ければ、決勝トーナメントの初戦でバルサと試合をすることが決まっていたんですね。負ければバルサと試合ができるのか......と思って、試合の朝まで悩んで、どうしようかと考えていたのですが、最終的には僕も子どもたちも「決勝まで勝ち上がって、バルサとやろう」という気持ちになりました。なので、準決勝で「バルサ負けちゃったの!?」みたいな気持ちもありましたが、ヴィッセルさんは、連戦の最終日の決勝であれだけピッチを広く使うサッカーをしていて、とってもいい戦いでしたよね。しかも僕らって、守備の練習をしたことがないし、この大きいグランドでやったのもこの大会だけなんです。(スクール選抜チームなので)システムを教えたことは一度もないですし、「自分たちでどうボールを取りに行くか」をミッションとしてやろうと言ってきたので、決勝戦に関して言うと、その部分では分が悪かったです。ヴィッセルさんはやることが決まっていて、しっかりポジショニングをするチームだったので、難しい試合でした。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■バルサのように一人ひとりの役割をもってプレーできるようやってきた――その中で、さすがマルバという個人技から2点が生まれました。浅野子どもたちが工夫をしながら狙いを持って、1人、2人が絡んでどうボールを奪うかというところはやれましたし、攻撃を見せる部分では、ドリブル、パス、フリーランを絡めて、その大きさが20m、30m、50m、60mと広がって、大きな展開になると楽しいですよね。バルセロナを見ても、一人ひとりの役割がすごくて、あんなふうに躍動できたらいいなと思ってずっとやってきたので、ワーチャレで表現できたかなと思います。あとは、7番のオツコロ海桜、10番の郷内煌生を始め、マルバの選手たちを、たくさんの人に見てもらうことができて良かったです。■指導者の考えより選手のアイデアの方が良い場合もあるスクールの代表を務める浅野さんは、時に指導者より子どもたちの方が優れたアイデアを持っていると言います(C)新井賢一――マルバの何人かの選手は、バルサに勝るとも劣らないクオリティでした。一方で、ここから先13~15歳で彼らとの差がつくこともあるわけで。そこをどう埋めていくかが、日本サッカーにとって重要な部分だと思いますが、浅野さんはどう考えていますか?浅野U-12の年代もそうですが、中3ぐらいまでは、個人のアイデアを尊重する部分があっても良いと思っています。たとえば、「デュエル」にしても、いまの日本のやり方は、身長130cmの小学生と175cmの小学生が、同じようにデュエルで戦うことを求めます。でも、それでいいの? って、僕は疑問に思っています。たとえば守備にしても、相手への寄せ方、プレスのかけ方、かけなさ具合などは、それぞれ体格に寄って適したやり方があるはず。足の長さもスピードもみんな違う中で、統一するのが本当に良いことなのかなって。マルバには小さい子もたくさんいますが、彼らなりの行き方、ボールの奪い方を考えてやっています。あとは僕がシステムを作って、やり方を決めて、強制するのは避けたい。子どもたちの考えやアイデアの方が勝っていて、「お前のそっちの考えの方がいいじゃん!」っていうのも普通にありますから。でも、ゲームを成立させるために、ある程度この辺はこうしようというのはあります。だからポジションは決まっていなくて、13番(笠井作彌選手)が1人で守れそうだから、この辺は1人で守ろうね。じゃあこの子が出て行ったときは、周りが気にしてあげた方がやりやすいよね。じゃあ君はこうやった方がいいけど、この子が気づかなかったら、前の子が気づけばいいよねっていう形です。準決勝では「前でボールを奪う」というミッションを作りました。ベルマーレは前線の9番(三枝己剛選手)、10番(末廣大翔選手)にボールを入れてくるので、その二人に入れさせないためには、前からどうプレスをかけていけばいいのか。前でボールを奪えたら、いい攻撃になるのでやってみようと。そこでエラーが起きたときに、「なんでだろう?」と、子どもたちが考えますよね。僕が試合中に「ナイス!」と言っていたのは、プレーが成功したからではなく、考えてプレーしていた子に対して、ピンポイントに「ナイス!」という言葉をかけていたんです。その繰り返しが彼らを成長させてくれるし、バルサだったり、世界に行けるような選手になっていくのではないかと思っています。■マルバが実践する「個々が何をすべきか」というプレーモデル――日本では近年、「プレーモデル」という言葉が使われていますが、マルバにはオーガナイズのプレーモデルではなく、相手を抜く、かわす、はがす、駆け引き、コンビネーションなど、個々が何をすべきかというプレーモデルが、十年以上前からあるわけですよね。浅野おっしゃる通りで、まず1対1でボールが運べて、ボールを運ぶことによって、周囲の選手のマークにどう誤差が生まれるかを感じられるようになればいいなと。それはボールを持っている選手も、周りにいる選手もそうで、それを感じられるようになれば成立します。あとは何が切られていて、何が切られていないなど、それも見ることができればいいですよね。意識としては、このプレーのほうが得かなとか、相手が困ってるなとかを感じることです。――改めて、ワールドチャレンジはどのような大会でしたか?浅野選手も僕も、成長できた場でした。実は僕、11人制のサッカーの監督をするのが初めてなんです。練習場所も40m×20mのフットサルコートですし。大会前に、11人制の練習試合を2試合だけやっただけでした。選手の適正ポジションも、配置も見つけられないまま、大会を通して、選手の良いところを見つけていきました。その積み重ねで、ここまでやれるんだなと感じました。――普段一緒に活動していなくても、マルバのプレーモデルの中で練習してきたことをチームとして発揮できると、これだけ強いチームになるんだと驚きました。浅野ありがとうございます。僕としても、そこは今の日本のサッカー界に対して良い考え方というか、これでもいいんだな、これでもいけるんだなと見せることができたんじゃないかと思います。あとは、MVPに選ばれた7番と10番は去年もワーチャレに出ていて、早まれなので来年も出ることができます。先の話ですが、来年も楽しみです(笑)。大会MVPに選ばれた、オツコロ海桜(以下、海桜)くんにも話を聞きました。圧倒的なスピード、しなやかな身のこなしとボールタッチでチャンスを作り、準決勝、決勝と連続でゴールを決めました。■仲間が守備でサポートしてくれたことに感謝したい大会MVPに選ばれたオツコロ海桜くん(C)新井賢一――準決勝、決勝とゴールを決めましたが、今大会、何点取りましたか?海桜9点です。――決勝戦を振り返って、感想を聞かせてください。海桜みんなと一緒に力を合わせていつもよりガンガン攻めて、勝てて良かったです。――終了間際に、勝ち越しゴールを決めたときの気持ちは?海桜みんながボールを託してくれたので、ありがとうという気持ちでした。ゴールを決めたときは(PKならずに)勝てると思いました。――決勝の相手、ヴィッセル神戸の印象は?海桜裏抜けが上手だったので、ディフェンスをしなければいけないときもあったけど、仲間がみんな守ってくれたので、僕が攻めることができました。――得意なプレーは?海桜2点目のゴールシーンのような、ボールを持って仕掛けるプレーです。――好きな選手はいますか?海桜クリスティアーノ・ロナウドのように、どんどん攻める選手が好きです。――将来の夢は?海桜海外で活躍する選手になりたいです。行きたいチームはバルセロナかパリ・サンジェルマンです。――決勝戦はバルサの人たちも見ていましたね。海桜目にかけてくれたかなというか、ちょっとは覚えてくれたらいいなと思います。――大会を通してチームの成長を感じられた部分は?海桜普段は中学生と一緒にやっているので、できないところもあるのですが、このピッチに立って、前よりは成長できたと感じることも多かったので、とても良い経験になりました。――年齢的には来年も出場資格があります。もし出たらどんなプレーをしたいですか?海桜どんどん攻めて、得点王になりたいです。――マルバで身についたことは、どんなことがありますか?海桜一人ひとりの個人技がとても上手いので、自分も上手くなれるように頑張ろうという気持ちが身につきました。マルバサッカースクールのトレーニングを紹介>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月26日FCバルセロナやユベントスといった海外勢が参加した、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022。25日に最終日を迎え、準決勝、3位決定戦、決勝戦が行われました。夏の終わりにふさわしい熱戦が繰り広げられたこの大会。栄冠に輝いたのはmalva future selectでした。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)ヴィッセル神戸とのPK戦を制して優勝カップを手にしたのは、スクール選抜チームのmalva future select(C)新井賢一<<関連記事:前回大会は強豪街クラブ・センアーノ神戸が初優勝!■スクール選抜のmalva future selectが湘南ベルマーレを撃破会場をフクダ電子アリーナに移して行われた準決勝。第1試合は、湘南ベルマーレアカデミー選抜対malva future selectです。高い攻撃力が持ち味の両チームの試合は、malva future selectが攻勢に出ます。個人のドリブル突破に秀でたmalva future selectが攻撃的な姿勢で主導権を握ると、前半15分にエースの7番オツコロ海桜(かいおう)選手のシュートが炸裂し、先制点を奪います。直後の前半18分には、フリーキックがクロスバーに当たり、跳ね返りをmalva future selectの乾大我選手が押し込み、リードを広げます。後半に入ると、湘南ベルマーレアカデミー選抜のエース・末廣大翔選手のピンポイントクロスに反応した上市竜生選手がヘディングで押込み、1点を返しますが、後半16分にもmalva future selectのオツコロ海桜選手がミドルシュートを決めて3対1。malva future selectが決勝に進みました。■ヴィッセル神戸GKがバルサのPKを3連続ストップPK決着で2位となったヴィッセル神戸。準化粧ではバルサのPKを3連続ストップするなど会場を沸かせた(C)新井賢一準決勝第2試合は注目のFCバルセロナが登場。ヴィッセル神戸との試合は、互いに決定打を欠き、スコアレスドローでPK戦に突入します。ここで輝きを放ったのが、ヴィッセル神戸のGK、1番の田口創一朗選手。なんとPKを3本連続でストップ。チームを決勝に導きました。決勝戦の前に行われた3位決定戦では、FCバルセロナが準決勝のうっぷんを晴らすかのように、攻撃が爆発。大量8ゴールを奪って勝利しました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■マルバVSヴィッセル神戸は大会史上初のPK決着となったそして迎えた決勝戦。個の力を全面に押し出し、攻撃を仕掛けるmalva future selectに対し、チームとして対抗するヴィッセル神戸の試合は、前半2分にmalva future selectが小林龍聖のミドルシュートで先制します。しかし、粘り強く戦うヴィッセル神戸は、後半18分に畑野陸十選手が鮮やかなヘディングシュートを流し込み、追いつきます。そして終了間際、malva future selectのオツコロ海桜選手が、ドリブルから勝ち越しゴールを決め、勝負あったかに見えましたが、ヴィッセル神戸は池田惇羽選手のロングシュートで追いつき、PK戦に突入。9人が成功したmalva future selectが、PK9-8で勝利し、ワールドチャレンジ初優勝に輝きました。大会MVPに選出されたオツコロ海桜選手(C)新井賢一大会MVPには準決勝、決勝戦でもゴールを決めた、malva future selectのオツコロ海桜選手が選ばれました。4日間にわたって、激闘が繰り広げられたワールドチャレンジ。大会名の「チャレンジ」にふさわしく、子どもたちが積極果敢にチャレンジする姿が印象的でした。この大会に参加した選手も、客席から観戦した子どもたちも、たくさんの刺激と学びを得たことでしょう。ワールドチャレンジ2022最終結果はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月25日千葉県のフクダ電子スクエア/フィールドで開催中の、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022。大会3日目は、ラウンド16と準々決勝が行われました。準々決勝終了後、大和ハウスDREAMSを率いる播戸竜二監督にお話をうかがいました。元気で明るく、勝負にこだわるチームを作り、選抜チームをワーチャレ史上初となるベスト8に導いた播戸監督は、子どもたちと過ごした4日間で何を感じたのでしょうか?(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)播戸竜二さんが監督を務めた大和ハウスDREAMSは選抜チーム史上初のベスト8進出(C)新井賢一<<関連記事:前回大会は強豪街クラブ・センアーノ神戸が初優勝!■4日間チームとして戦ってくれたみんなに「ありがとう」――前回に続き、二度目の監督でした。大会を振り返って、感想をお願いします。前回は「楽しみながら、みんなで戦う」をテーマにしていました。それを経て、今回は勝負に徹するというか、結果にこだわってやろうという話をしました。なるべく全員を試合に出そうとする中で、状況によっては出られない選手もいます。僕自身、現役時代は常にスタメンで出て、順風満帆にプレーしたタイプではなかったので、試合に出られない選手の気持ちもわかります。その中で、試合に出ている選手は、出ていない選手の気持ちを背負って戦うことや、チーム全体で戦うことを意識して、このチームを作りました。4日間という短い時間でしたが、選手はみんな戦う気持ちを押し出して、プレーしてくれたと思います。試合が終わった後、みんなに「ありがとう」と言いました。■大会史上初、選抜チームがベスト8進出――選抜チームの過去最高位はベスト16でしたが、播戸さんのチームはベスト8進出。歴史を塗り替えました。選抜チームでベスト8に行けたことは、選手にとって大きな自信になったと思います。僕自身も結果にこだわってきた中で、この成績を残すことができたので良かったです。チームづくりの大変さや難しさを学ぶことができて、最高の経験になりました。4日間しか一緒にいない選抜チームとは思えないほど選手同士意見を出し合い、チームとして連携を高めていた(C)新井賢一――子どもたちには、どのようなことが伝わったと思いますか?これはオシムさんが言っていたことなのですが、サッカーは人生そのものです。仲間と一緒に勝って喜び、負けて悔しがり、しんどい思いをするのも、人生と似ていますよね。僕自身この短い時間で、子どもたちにどう活躍してもらうか、どうすれば相手に勝てるのかをたくさん考えました。人生において貴重な経験でしたし、そんな経験ができるサッカーというスポーツは、本当に素晴らしいものだと思います。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■海外勢と試合ができるワールドチャレンジの意義――初戦でユベントスと試合をしました。海外勢と試合ができる、ワールドチャレンジの意義はどのように感じていますか。この大会はバルセロナやユベントスなど、誰でも知っているチームと試合をするチャンスがあります。同じ年代の子たちがどういうふうなサッカーをしているのか、どういうふうなメンタリティをしているのかを、外から見るのはなく、直に戦う中で感じることができたのは、彼らの人生において大きな財産になったと思います。■指導者も保護者も、サッカーに関わるみんなが成長することが大切――試合後、選手の保護者に向けてメッセージを送っていましたが、サッカーをする子どもを持つ親御さんにとって、どのようなスタンスが大切だと思いますか?自分の子どもはかわいくて仕方ないでしょうし、いろいろ言いたいこともあると思います。それは指導者に対しても同じで、言いたいことがあったとしても、子どもや指導者を信じてぐっと我慢して、サポートする体制、温かく見守るスタンスが大事だと思います。日本のサッカーがもっと上に行くためには、選手だけでなく、指導者も保護者も、みんなが成長していくことが大切です。サッカーに関わる人みんながどうすればいいのかを、建設的に考えながら、コミュニケーションとってやっていくことを大事にしていきたいです。■親やコーチ、チームメイトがいるからサッカーができる。感謝の心を忘れずに――最後に、子どもたちにメッセージをお願いします。1日1日、全力を出して、上手くなることを目指してやってほしいです。その中で親御さんやコーチ、チームメイトがいるからサッカーができているんだという感謝の心も忘れずにいてほしいなと思います。あとは、大会中にも伝えましたが「戦うこと」です。サッカーだけでなく、社会に出ても戦わなくてはいけない場面はあります。全力を出し切って、戦いに挑んでほしいです。当然、負けることもありますが、また次、起き上がって戦えばいいわけです。僕自身、戦うことや負けても立ち上がることの大切さを、子どもたちに教えてもらいました。自分もそのような姿を見せることで、お互いに頑張ることができたらいいなと思っています。――ご自身の今後の活動について、どのようなイメージを持っていますか?僕自身、監督をするというよりも、クラブのマネジメントや経営を始め、JリーグやWEリーグ、サッカー協会の仕事などを通じて、サッカー界を良くするためにどうすればいいのかを、勉強しながらやっていきたいと思っています。――ワールドチャレンジ、3回目の監督オファーが来たらどうしますか?この大会を通じて、サッカーや指導以外にも、人として様々なことを勉強することができました。素晴らしい機会を与えていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。もし次回、オファーをいただいて、タイミングが合えばぜひやりたいですね。■初めて会う人とチームになって戦う楽しさを感じられた監督だけでなく、選手たちにもインタビューを行ったので、その声をお送りします。選手たちも大会を通じて自分の成長を感じていた(C)新井賢一――大会を通じて成長したところは?また、播戸監督に言われて印象に残っていることを教えてください背番号1番・GK阪井海斗(さかいかいと)初めて会う人とチームになって、強豪チームと試合をして勝つことの楽しさを感じることができた大会でした。大きな舞台で緊張はしましたが、格上の選手の強いシュートを止めることができたので、大会を通じて、少しは成長したと思います。播戸監督が「試合に出ていない人も含めて、みんなで戦って得た勝利や」と言っていたのが印象に残っています。みんなと戦ったことを忘れずに、準決勝、決勝を見て学んで、自分のプレーに活かしていきたいです。背番号3番・DF寺山晟也(てらやませいや)バルサやユベントスの選手は楽しそうにプレーしていたけど、僕は100%でやることや、結果に集中しすぎて、目標が勝つことになっていました。今後はバルサやユベントスの選手のように、楽しんでプレーすることを心がけて、成長するために、どんどんチャレンジしていきたいです。播戸監督からは「負けたことを次に活かすことが大事」と言われました。負けた試合からも学んで、成長につなげていきたいです。背番号4番・DF金淳優(きむすうん)播戸監督から「大会が終わっても、みんなが仲間ということには変わりはない」と言われたのが印象に残っています。サッカーは個人競技ではなく、チームスポーツなので、みんなでしっかりコミュニケーションを取りながらプレーできたことが良かったです。これから、ワールドチャレンジの勝った試合、負けた試合を振り返って、良かったところや改善点を確認して、自分のチームに戻ったときに、チームのみんなに伝えられたらいいなと思います。ワールドチャレンジ20223日目の結果と最終日の対戦カードはこちら>>サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年08月24日FCバルセロナやユベントスなどの海外勢が参加する、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。3日目が終わり、準決勝に進む4チームが決まりました。それが湘南ベルマーレアカデミー選抜、malva future select、ヴィッセル神戸U-12、FCバルセロナです。最終日となる25日は、フクダ電子アリーナにて準決勝、3位決定戦、決勝戦が行われます。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)播戸竜二さんが監督を務めた大和ハウスDREAMSはPKの結果、選抜チーム史上初のベスト8進出(C)新井賢一<<関連記事:前回大会は強豪街クラブ・センアーノ神戸が初優勝!■播戸竜二さんが監督を務めた選抜チームがベスト8進出大会3日目はノックアウトステージということもあり、緊張感の中で熱い試合が繰り広げられました。播戸竜二監督率いる大和ハウスDREAMSは、鹿島アントラーズノルテジュニアをPK戦の末に下し、選抜チーム史上初となる、ベスト8進出を決めました。湘南ベルマーレアカデミー選抜は3-1でセレッソ大阪に勝利(C)新井賢一湘南ベルマーレアカデミー選抜は、前線、中盤、最終ラインに能力の高い選手を揃え、セレッソ大阪U-12を3対1で撃破。強烈な個を擁し、大会屈指の攻撃力を誇るmalva future selectは、組織力に定評のあるジェフユナイテッド市原・千葉U-12に3対0で完勝します。西宮サッカースクール対YF NARATESOLO(前回大会3位)という関西対決は、PK戦でYF NARATESOLOが勝利。埼玉の強豪・江南南サッカー少年団は、本田圭佑選手がプロデュースするSOLTILO SELECTに2対0で勝利を収めました。ヴィッセル神戸U-12は千葉県トレセンU-12に1対0、バディサッカークラブ対柏レイソルU-12はスコアレスドローからのPK戦で、柏に軍配が上がりました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■GKの好セーブでバルサとスコアレスドローも、PK戦で涙GKの好セーブなどで大会本命のバルサをあと一歩のところまで追いつめたバディーサッカークラブ(C)新井賢一そしてたくさんの観衆を集めた、FCバルセロナ対バディーサッカークラブの試合は、バディーGK・1番の松本大駕選手の好セーブもあり、0対0でPK戦に突入。FCバルセロナをあと一歩のところまで追い詰めたバディーでしたが、PK戦で涙を飲みました。準々決勝第1試合、大和ハウスDREAMS対湘南ベルマーレアカデミー選抜は、湘南の10番末廣大翔選手の鮮やかなミドルシュートを含む、3ゴールで快勝。同時刻に開催されたmalva future selectは、YF NARATESOLO相手に攻撃力が爆発し、4対0で勝利。江南南サッカー少年団対ヴィッセル神戸U-12は、神戸の雄が1対0と僅差の試合をものにします。■バルサがゴールラッシュで準決勝に弾みをつけるそしてFCバルセロナは柏レイソルU-12から大量5ゴールを奪い、ゴールラッシュで大会3日目を締めくくりました。準決勝に進んだ、湘南ベルマーレアカデミー選抜、malva future select、ヴィッセル神戸U-12、FCバルセロナは、いずれも攻撃力に特徴のあるチームです。準決勝以降も、個人の打開力、スピード、突破のアイデアなど、見ごたえあるプレーが飛び出すはず。夏休み期間ということもあり、3日目もたくさんの観戦者が会場でサッカーを楽しんでいました。試合は入場無料なので、ぜひ間近で見て、日本の、そして世界トップレベルの選手達のプレーから、たくさんの刺激を得てはいかがでしょうか?ワールドチャレンジ20223日目の結果と最終日の対戦カードはこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月24日3年ぶりにFCバルセロナやユベントスFCなど海外勢が参加する、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジの2日目が終了。ベスト16が出揃いました。グループリーグが終わり、明日は各グループの1、2位が決勝トーナメントへ、3、4位は下位トーナメントに進みます。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)中野島FCはユベントスと対戦、開始早々先制するも逆転を許してしまった(C)新井賢一<<関連記事:前回大会は強豪街クラブ・センアーノ神戸が初優勝!■開始早々に先制も、ユーベが逆転勝利1試合目に登場したのは、今大会初参加となるユベントスFC。対するは、U-11アイリスオーヤマプレミアリーグ・チャンピオンシップで優勝し、ワールドチャレンジへの出場権を獲得した中野島FC(神奈川県川崎市)です。中野島FCを率いる岡本一輝監督は「ユベントスとやれる機会なんて、普通はありません。萎縮して自分のプレーを出せないのはもったいないので、いままで培ってきたものを最大限出そうという話をしました」と、選手たちの背中を押す声掛けで送り出しました。試合は中野島FCが開始1分に先制しますが、フィジカルに優れた選手を揃え、選手層の厚いユベントスが徐々に主導権を握ると、前半6分に11番のガブリエレ選手のシュートで同点に。後半8分には、16番のエドアルド選手がミドルシュートを沈め、ユベントスが逆転勝利を収めました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■認知・判断を高める指導でおなじみの「エコノメソッド選抜」はバルサと引き分けエコノメソッドスクール選抜はバルセロナと引き分けた(C)新井賢一第2試合では、初戦で2連勝を収めたFCバルセロナが、スペインのバルセロナで誕生した「エコノメソッド」のスクール選抜チームと対戦しました。両チームとも個人戦術、グループ戦術を駆使した戦いを繰り広げ、15分ハーフの試合では決着がつかず。0対0のスコアレスドローに終わりました。試合後、エコノメソッド選抜のガルシア監督は「バルサという、ヨーロッパでもトップレベルのチームに引き分けたことは、選手たちのご褒美になったと思う」と笑顔で試合を振り返りました。■2度目の監督となる播戸竜二さんのチームもラウンド16進出播戸竜二監督率いる、大和ハウスDREAMSは、本田圭佑選手がプロデュースする、SOLTILOファミリアサッカークスールの選抜チーム「SOLTILO SELECT」に1対0で勝利。3試合を終えて2勝1分けで、ラウンド16進出を決めました。大会2日目が終わりベスト16が決定。明日は、準決勝進出をかけた対戦が行われます。選抜チームとして初めてベスト16に進出した大和ハウスDERAMS対鹿島アントラーズノルテジュニア、FCバルセロナ対バディーサッカークラブ、ユベントスFC対バルサアカデミージャパン選抜など注目のカードが並びます。同年代の上手なプレーを見てわくわくしたり、刺激を受けることもサッカー上達につながるものです。入場無料ですので、ぜひ会場に足を運び、世界トップレベルの選手のプレーを間近で見てみてください。ワールドチャレンジ20222日目の結果と3日目の対戦カードはこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月23日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「ボールに合わせた動きがうまくできない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中は、ボールに合わせて素早く反応して身体を動かさなければなりません。しかし、初心者は動きがぎこちなかったり、運動経験があまりないと、ボールの位置を見てどこに動けばいいか素早く判断して位置取りをするのが難しいもの。今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、ボールに合わせて移動し、素早く反応して身体を動かせるようになるトレーニングを紹介します。親は難しい動きはありません。【やり方】1.親子で対面し、子どもは膝立ちの姿勢をとり、親が転がしたボールに素早く反応し、蹴って返す2.慣れてきたら、子どもは長座やうつ伏せの姿勢でスタート。手を使って素早く身体を起こす3.上記も慣れたら、親子の中間地点にボールを置き同じ姿勢を取り、じゃんけんをしてあいこになったら、素早く反応してボールを奪いに行くなど難易度を上げてみる【トレーニングのポイント】・ボールをよく見て、どこに転がってくる/バウンドしてくるを予想・ボールの位置に合わせ、素早く身体を動かす・あくまで最初はボールの扱いに慣れることが優先なので、楽しみながら行うこと・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年08月22日今年も熱戦の季節がやってきました。8月22日、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジが開幕し、3年ぶりとなるFCバルセロナや初出場のユベントスが登場。夏休み期間という事もあり、会場である千葉県のフクダ電子スクエア/フクダ電子フィールドにはたくさんの観客が詰めかけました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)3年ぶりの出場となるFCバルセロナは初日2連勝と好発進(C)新井賢一<<関連記事:前回大会は強豪街クラブ・センアーノ神戸が初優勝!■初出場のユベントスは、播戸竜二さんが監督を務める大和ハウスDREAMSと対戦開幕ゲームで顔を合わせたのが、ユベントスと大和ハウスDREAMSです。大和ハウスDREAMSを率いるのは、前回大会に続いて監督を務める播戸竜二氏。この大会初出場となるユベントスは、開幕ゲームで元Jリーガーの播戸竜二さんが監督を務める大和ハウスDREAMSと対戦(C)新井賢一「過去、選抜チームはベスト8に入ったことがないので、選手たちには『結果にこだわろう』という話をしました」と気合十分。播戸監督は初戦のユベントス戦(0-0)、2戦目の中野島FC戦(1-0)と、熱のこもったコーチングで選手を鼓舞し、2試合を終えて勝ち点4を奪取。上々のスタートを切りました。2大会連続で選抜チームの監督を務めた播戸竜二さん(C)新井賢一■急造チームならではの難しさと楽しさがあるもう1つの選抜チーム、大和ハウスFUTURESは、初戦でバルセロナと対戦し(0-2)の結果となりました。京都サンガF.Cなどの監督を務めた経験を持つ中田一三さんは「選手たちとは、試合前日に顔を合わせました」という急ごしらえのチームながら「ゲームを成立させる意味では、それなりにやってくれたと思います」と振り返り、「選手たちの自主性を出していかないと成立しないので、難しいけど楽しいです」と、充実感をにじませていました。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■「バルサらしさ」を随所に披露し観客を沸かせたテクニックに優れ、高いレベルでの連携プレーなど随所にバルサらしさを見せ、観客を沸かせた(C)新井賢一注目のバルセロナは、初戦の大和ハウスFUTURES戦、開始1分にゴールをあげると、前半終了間際に追加点を奪い、2対0で完勝。テクニックとフィジカルに優れた選手が、高い連携の中でプレーするという"バルサらしさ"を随所に披露し、詰めかけた観衆を沸かせました。2試合目のジェフユナイテッド千葉戦では、前線からの激しいプレスを個の技術とグループの連携でかいくぐると「相手が前から来たので、後ろにスペースがあった」(アルベルト監督)という言葉どおり、ディフェンスラインの背後を突いたパスから、スピードとテクニックに優れたウイング、11番のエルナンド選手が2ゴール。さらには、ジェフ守備陣のミスを見逃さず、19番のクシギャンファー選手がゴールを決めて、3対0で完勝。組織力と個の力に定評のあるジェフを相手に、堂々たるプレーで勝利を収めました。■同年代の世界トップレベルを見ることで、たくさんの発見があるU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジの最多優勝を誇るバルセロナですが、今年のメンバーも強力の一言。センターバックの4番バラオナ選手、ウイングの2番マルティネス選手、20番カンテ選手など、どのポジションにも能力の高いタレントが複数いて、メンバーを大幅に替えてもチーム力は落ちません。入場無料ですので、ぜひ会場に足を運び、世界トップレベルの選手のプレーを間近で見てみてください。きっと、たくさんの発見があるはずです。ワールドチャレンジ2022初日の全チーム対戦結果はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月22日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回はサッカー初心者の悩み「ボールに合わせた動きがうまくできない」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中は、ボールや相手の状況に合わせて動きながら、ももや足元、胸でコントロールしてパスを出すことが必要です。しかし、初心者は動きがぎこちなかったり、運動経験があまりないと、ボールに合わせて移動しながらももや足元、胸などでコントロールして自分の蹴りやすい位置にボールを置くことが難しいもの。今回は、広いスペースがなくても親子で遊びながら、ボールに合わせて移動し、コントロールができるようになるトレーニングを紹介します。親は難しい動きはありません。【やり方】1.親子で対面して立ち、親が転がしたボールを子どもは足元でコントロールして返す2.もも、胸、足の裏など親が指定した箇所でボールを触って足元にコントロールして返す3.親がボールを持ち、親子ともに動きながらコントロールする箇所を指定してボールを投げる、子どもは指定された箇所でコントロールしてボールを返す【トレーニングのポイント】・ボールの落下地点に合わせて身体を動かす・自分が蹴りやすい場所にコントロールする・あくまで最初はボールの扱いに慣れることが優先なので、楽しみながら行うこと・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年08月19日