更新日:2021/05/24
収入保障保険の保険金にかかる税金とは? シミュレーションで徹底解説!
- 収入保障保険の特徴
- 収入保障保険の課税パターン
- 課税額のシミュレーション
- 収入保障保険の節税対策
- 二重課税の問題
内容をまとめると
- 収入保障保険とは、被保険者の死亡時に一定額の年金が受け取れる保険
- 収入保障保険は一時金形式・年金形式のどちらで受け取るか、契約者・被保険者・受取人の関係などの契約内容によって税金の種類が異なる
- 保険金には相続税・贈与税・所得税・住民税などが課税されるが、控除制度により税金は微々たるもの
- 収入保障保険には生命保険料控除が適用されるため、節税対策になる
- 2011年に生活保障特約の保険で相続税と所得税の二重課税が認められたため、現在は税制改正されている
- 収入保障保険にかかる税金をもっと詳しく知りたい人は生命保険のプロに計算してもらうのがおすすめ
- 今ならスマホ1つで無料オンライン相談できるので、この機会に保険の悩みを解決しましょう!
目次を使って気になるところから読みましょう!
収入保障保険とはどんな保険? 特徴をチェック!
収入保障保険は、被保険者が死亡したとき、保険期間の満了時まで一定額の年金が受けとれる保険です。死亡が理由の保険金受給は課税対象になります。受け取り方法や契約内容により課税方法が異なるため、注意が必要です。
通常は毎月の受け取りになるため、お金を使いすぎる心配がありませんが、受取人の希望により一時金として一括で受け取ることも可能です。
収入保障保険は死亡時だけでなく、永久的な両目の失明やそしゃく機能を失うなどの高度障害時にも適用されます。高度障害が理由で保険金を受け取る場合、税金はかかりません。
また、収入保障保険の特徴として保険料の安さが挙げられます。通常の生命保険と比べて、保険期間満了に近づくにつれ保険金が減少していくため、保険料が低く設定されているのです。
安い保険料で必要最低限の保険金を受給できる点から、以下のような人に適した保険商品です。
- 保険には入りたいが、払うお金を減らしたい
- 自分以外に妻やまだ小さい子どもがいる
- 人よりも事故にあうリスクが少ない生活スタイルだ
収入保障保険の保険金を分割受け取りした場合にかかる税金をシミュレーション!
収入保障保険を分割の年金形式で受け取る場合、保険金にかかる税金の種類は以下のパターンにわかれます。
【被保険者死亡時】
- 契約者=被保険者、かつ受取人が他の親族の場合は相続税
- 契約者、被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合は贈与税
- 契約者=受取人の場合は課税なし
【保険金受け取り時】
- 一年目に課税された分の保険金は非課税
- 二年目以降の保険金には所得税(雑所得)と住民税がかかる
被保険者死亡時にかかる税金(契約者本人=受取人以外)|相続税・贈与税
被保険者が死亡すると権利評価額が課税対象になります。権利評価額とは、加入している年金保険金を一括でもらう場合、どのくらい価値があるかを表した価格です。
例えば、月々の保険金が10万で20年間もらえるとすると、権利評価額は2,400万円より少し少ない額になります。権利評価額が年金の総額より少なくなるのは、保険会社による運用益が省かれているためです。
契約者=被保険者かつ受取人が他の親族なら、税の区分は相続税になります。たとえば、契約者=被保険者=夫、受取人=妻のような場合です。
相続税の場合、評価額のうち「500万円×法定相続人の人数」を非課税にできます。
契約者、被保険者、受取人がいずれも異なる場合、かかる税金は贈与税です。契約者=夫、被保険者=妻、受取人=子のような場合ですね。
また、契約者=受取人ならば死亡時に課税されません。
保険金受け取り時にかかる税金|所得税(雑所得)・住民税
分割で受け取る給付金にも所得税(雑所得)や住民税などの税金がかかります。しかしここでポイントになるのが、所得税・住民税が課税されるのは、月々の年金総額から権利評価額を差し引いた分の保険金額ということです。
分かりやすく式にすると以下のようになります。
所得税・住民税が課税される金額=月々受け取る場合の年金総額-権利評価額(一括で受け取る場合の金額)
相続税・贈与税と所得税・住民税の二重課税を防止するため、複雑な計算方法になっているのです。
収入保障保険の保険金を一括受け取りした場合にかかる税金をシミュレーション!
収入保障保険を一時金形式で受け取る場合、保険金にかかる税金の種類は以下のパターンにわかれます。
- 契約者=被保険者かつ受取人が他の親族のときは相続税
- 契約者=受取人のときは所得税・住民税
- 契約者、被保険者、受取人がそれぞれ違うときは贈与税
一時金形式で受け取る際、死亡時の権利評価額は非課税なことが年金形式との大きな違いです。また、年金形式の受け取りと比べて保険金総額が減少します。
税金計算のシミュレーション前に、各パターンの課税対象を覚えておきましょう。
相続税の対象となるケース
年金形式での受け取りと同様に、契約者=被保険者かつ受取人が他の親族のとき、相続税の対象となります。例をあげると、契約者=被保険者=夫、受取人=妻のような場合です。
契約者と被保険者が同一人物であり、受取人が親族なので相続扱いになります。この場合も、「500 万円×法定相続人の人数」を非課税にできるルールが適用されます。
所得税・住民税の対象となるケース
契約者=受取人のとき、所得税・住民税の課税対象です。契約者=受取人=夫のような場合があてはまります。
契約者と受取人が同一人物となり自身の一時所得と判断され、所得税扱いになります。
保険金を一括で受け取るときは税金の種類が分かれないため、受け取る全額に所得税・住民税がかかります。
贈与税の対象となるケース
契約者・被保険者・受取人が異なるとき、贈与税の課税対象です。契約者=夫、被保険者=妻、受取人=子のような場合があてはまります。
実際には110万円の基礎控除が受けられるため、かかる税金を少し下げることが可能です。
一時金として受けられる保険金額は年金形式とは異なるため、契約する保険会社へ問い合わせていくらになるのか聞いてみましょう。
収入保障保険の保険金にかかる税金額をシミュレーション!
ここからは実際の金額を仮定して、収入保障保険の保険金にかかる税金を以下のパターン別にシミュレーションします。
- 相続税が課税される場合
- 所得税が課税される場合
少し複雑ですが、時間を書ければ誰でも理解できますので、一つずつシミュレーションしてみましょう。
収入保障保険にかかる相続税額のシミュレーション
相続税のシミュレーション例として、以下の条件でシミュレーションしていきます。
- 保険料:4,000円
- 保険金:月10万
- 受け取り期間:10年
- 被保険者:夫
- 受取人:妻
- 法定相続人の人数:一人
まず、受け取り期間が10年のため、10年間にわたり月10万円が受け取れることになります。そして相続税が課税されるのは一年目のみで、課税対象は「一括で受けとった場合の権利評価額」です。
保険金を年金形式で受け取る場合は、10万円×12ヶ月×10年=1,200万円ですが、一時金で受け取ると少し低めの金額になります。保険会社に聞くと教えてくれますが、ここでは1,000万円としましょう。この場合、1,000万円に相続税が課税されます。
前項で紹介した500万円×法定相続人の人数(一人)の金額を控除すると、1,000-500=500万円が課税対象です。
しかし、相続税の基礎控除として、3,000万+(600万×法定相続人の人数)という計算があります。仮に相続人を一人としても、最初の3,000万円だけで課税対象の1,000万円を超えているため、相続税はかからないという結果になります。
収入保障保険にかかる所得税額のシミュレーション
相続税と同じ条件でシミュレーションしてみましょう。一年目に課税された保険金には所得税がかからないため、年金形式で受けとれる保険金から権利評価額を差し引いた額が所得税の課税対象です。
シミュレーションでは、1,200-1,000=200万円が所得税の課税対象になりますが、一年間で受けとれる金額は20万円です。ここから所得税の基礎控除48万円を差し引くと、相続税と同じように課税されないという結果になります。
厳密にいえば、保険金にかかる所得税は一定ではなく年々増えていく仕組みですが、それでも数千円~数万円以内になることがほとんどです。保険金の相続税や所得税は高いと思われがちですが、実際には心配するほどの額ではないことがシミュレーション結果からも分かります。
収入保障保険は年末調整や確定申告の生命保険料控除で節税しよう!
生命保険料控除とは、1年間に支払いをした生命保険料を所得の課税対象から差し引ける制度です。生命保険料控除を利用すると、所得税と住民税が安くなるので、ぜひ利用しましょう。
生命保険料控除は2012年以降と2011年以前の契約で計算方法が異なります。たとえば、2012年以降に月々3,000円の保険内容で契約をしたと仮定します。すると、一年間で36,000円支払ったことになり、そのうち所得税28,000円・住民税23,000円を控除できます。
生命保険料控除は年末調整や確定申告のときに行いますが、保険会社が発行する生命保険料控除証明書が必要ですので、注意しましょう。また、生命保険料控除の詳しい計算方法は国税庁のページからご確認ください。
参考:年金形式の保険金における二重課税問題とは? 結果はどうなった?
保険金の税金計算が複雑であることが理解できたと思いますが、その背景には年金形式での受け取りに対する二重課税問題が隠れています。
2011年に保険金の年金受け取りに関する二重課税の裁判が行われました。
一年目の保険金受け取りの際に、相続税・所得税が課税されたという内容の裁判です。現在の課税制度からわかるように、判決は二重課税であることを認め、年金受け取り一年目の所得税・住民税は課さないという結果になりました。
死亡保険金を年金形式で受け取る場合、かなりの税金が引かれていた
この事件の問題点として、二重課税により通常より多くの税金が支払われていたことがあげられます。
二重課税とは、個人が得たお金に対して同じ種類の課税が二重でされてしまうことです。厳密に言えば意味が異なるのですが、2011年の事件では相続税と所得税の税金をどちらも払わなければならない恐れがありました。
その場合、せっかく手に入れた保険金額も減少してしまい、結果として保険の意味がなくなってしまうことになりかねません。
裁判の結果、保険金に対する源泉徴収もなくなり、課税が緩和される
裁判の判決は二重課税を認め、年金受け取りに対する所得税・住民税の課税を緩和するという結果でした。
さらには保険金の源泉徴収も緩和され、今まで税金を理由に一時金として受け取っていた人にも、年金形式として受け取れるメリットが出できます。
一時金として大金を一度にもらうよりは、毎月一定額を少しずつ受け取る方がお金の管理がしやすく便利という人は、今後年金形式の受け取りが増えていくのではないでしょうか。
収入保障保険は保険金にかかる税金をシミュレーションすることが大切!
収入保障保険の税金に関して、以下のポイントを説明しました。
- 収入保障保険の税金は契約内容によって課税対象が異なる
- 受け取り方式によっても税金の計算が異なる
- 税金計算のシミュレーションによりある程度めどが立つ
- 収入保障保険の保険料には生命保険料控除が使える
- 二重課税問題があったことから税制改正された背景がある