アクト・ツーは5月26日、未知のウイルスからPCを守るアンチウイルスソフト「DeP(ディフェンスプラットフォーム HomeEdition)」の無償版を一斉配布すると発表した。「DeP(Defense Platform)」は、ウイルスをAPIで察知・捕捉し対処する。新型ウイルスの侵入も阻止する「情報漏洩対策」として開発された技術を搭載している。アクト・ツーによると、日本は先進国の中でもホワイトリスト型セキュリティソフトの導入が遅れているという。そのため、開発元であるハミングヘッズの全面協力の下、日本国内での認知度と普及を促進するために、無償版の配布を決めたという。また、米国でも同日に無償版の提供を開始する。日本国内で900社以上が導入する「メイドインジャパン」の技術を米国市場でも本格的に普及させることを目的としており、米国版「DeP」は「SHINOBI」という名称で提供される。使用期間に期限はないが、利用者側で操作できるリスト項目数は1000個(有償版は無制限)までに限定される。
2015年05月27日不正送金や遠隔操作など個人、法人を問わず様々なウイルスやマルウェアの被害を受ける可能性が高まるなか、家庭でもすぐに実現できる強固なセキュリティ環境の構築方法について識者らによる解説が行われたのが、去る3月15日(日)に東京・秋葉原で開催されたセミナー「あなたのPCは安全?動作が重い?自宅でもできる次世代セキュリティ対策 ― DefensePlatform書籍出版記念セミナー ―」だ。このセミナーの講演でハミングヘッズの顧問 石津広也氏は、「これまでできなかった防御を可能にする純国産セキュリティ」をテーマに、アンチウイルスソフトを中心としたこれまでのセキュリティ対策では難しかった未知の脅威からPCを守る方策を「DefensePlatform」の解説を通して披露した。その模様をレポートする。○アンチウイルスソフトの限界と現在進行形の新たな脅威創業15年の技術ベンチャーで、純国産のセキュリティソフトメーカーであるハミングヘッズ。その最大の強みは、WindowsAPI監視に関する特許を有しており、プログラムに不正動作をさせない技術を製品に実装できる点にある。Windows上で動くソフトウェアはすべてAPIを使用するため、そこを監視できれば、ソフトウェアの挙動を完全に把握し、そしてコントロールすることが可能となるのである。こうした極めて優位性の高い独自技術を背景に、同社の情報漏えい対策製品は電力、金融、官公庁といった機密性の高いシステムを扱う企業や組織を中心に約900社もの導入実績を誇る。24時間365日、サービスを停止させることが許されない重要インフラ企業でも十数年にわたって使われ続けており、そのような信頼性の高いコア技術をベースに標的型攻撃対策製品として開発されたのが「DefensePlatform」である。石津氏は、「これまでいくつものセキュリティ対策製品が守れなかった脅威であっても確実に守れるように開発したのが『DefencePlatform』です」と語る。ここで同氏は、昨今の脅威の深刻さを端的に示すマルウェア被害の実例を2つ紹介した。1つは、2013年12月に米国小売大手T社で、2014年9月には米国小売大手H社で発生した情報漏えい事件である。どちらの事件も同じ手法でPOSネットワークが攻撃され、クレジットカードなどの情報が盗み出された。その被害件数は前者が7千万件、後者が最大6千万件に及ぶ。いずれの攻撃にも同じマルウェアが使われているが、T社の事件を知っていたH社も情報漏えいを防ぐことはできなかった。もちろん、アンチウイルスソフトやIPSなど一般的なセキュリティ対策は実施済みだ。石津氏はこう力説する。「なぜ両社はウイルスに気付かなかったのか? それはアンチウイルスソフトは基本的に、過去に発見されたマルウェアが記されたパターンファイルによって検知を行うため、検知されないよう工夫された新種や亜種への対応が遅れがちであり、また攻撃先が1社の場合はそこで発見されない限りマルウェアの存在に気付くことができないからだ。さらにPOS端末は機能が限定されているために、監視項目がサーバーなどに比べて少なくなりがちなことから、被害に気づきにくい傾向にある」もう1つのマルウェア被害の実例は、昨年より脅威が叫ばれているMITB (マン・イン・ザ・ブラウザー) 攻撃によるインターネットバンキング不正送金である。警察発表によると、昨年この攻撃によって29億1000万円に及ぶ被害が発生しており、そのうち37.3%が法人口座での被害だという。MITB攻撃に用いられるマルウェアは次々と新種亜種が作られるため、やはり既存のアンチウイルスソフトでの検出が困難だ。加えて、通信先が正規の銀行サイトのため、通常のネットワーク監視を行っていても異常を検知しにくい。「つまり、既存のアンチウイルスソフトが効かず、さらにネットワーク監視でも発見できないような攻撃が蔓延していることが、今日のセキュリティの大きな問題なのです」(石津氏)実際、アンチウイルスソフトでは現在流出しているマルウェアの45%しか検出できない、と大手セキュリティベンダーの幹部が発言して波紋を呼んだことは記憶に新しい。○プログラムの「今」の挙動を監視する「DefensePlatform」の実力とは既存のアンチウイルスソフトやネットワーク監視ソリューションが限界に達している中にあって、その限界を突破する新たなソリューションとして登場してきたのが「DefensePlatform」だ。これまでのアンチウイルスソフトは、前述のように過去に発見されたマルウェアと突き合わせて検知を行うという、過去の事例に依存する方式を採用している。「ビルの管理にたとえるならば、入り口に警備員が立っていて、来訪者と犯罪者リストを照らしあわせ、リストになければ通すということになります。これでは、もしリストに記載されてない悪意を持つ人間がいたとしても入り放題となってしまう。それがパターンファイルの限界なのです」(石津氏)対して「DefensePlatform」の仕組みは、Windows内部のプログラムの動作を監視し、プログラムが自動で破壊・改ざん・漏えいしようとする動きを制止するというものだ。そのため、マルウェアが新種であろうと亜種であろうと (さらにはたとえ正規のプログラムであろうと) 一定の疑わしい動作をすればそれを見つけて止めることができるのである。「ビルの監視で言えば、ビル内の人々の行動を監視していて、悪いことをしたら即座に捕まえるということ」と、石津氏は表現している。○ホワイトリスト方式のセキュリティを支援する豊富な機能現在は、毎日20万件ものマルウェアが新たに登場していると言われており、もはやアンチウイルスソフトのように過去のデータと突き合わせる「ブラックリスト方式」では脅威を防ぐことはできない。「DefensePlatform」のように、あらかじめ許可したプログラムだけに動作を認める「ホワイトリスト方式」への発想の転換が切実に求められているのだ。とはいえ、これまでにあったホワイトリスト型と言われるセキュリティ製品は、使うアプリケーションをすべて把握して登録設定が必要となり、実用性の面で問題があるといった事例が多数あった。しかし「DefensePlatform」の場合、WindowsのOS本体や国内企業でよく使用されているビジネスアプリケーションはあらかじめホワイトリストに登録済みなので、基本設定だけで高度なセキュリティを実現することができるのである。さらに、新たにアプリケーションをホワイトリストに追加登録する際も、ダイアログのボタンで簡単に行えるようになっている。また、アプリケーションごとに「他のユーザーがどのような選択をしたのか」という情報が、グラフなど視覚的に提示されるため、判断に迷った際の参考になる。他にも、端末に負荷がかかるスキャンが一切不要であるため、性能が不足しがちなタブレット端末でも快適に使用できる点も特筆に値する。「これまでできなかった対策ができるようになる反面、カバーできない部分も存在します。UTMなど他のセキュリティ製品と組み合わせることで、本当の意味で安心できるWindows環境を作っていける製品だと自負しています。Webサイトでは評価版も用意しているので、ぜひその効果を実感してください」──石津氏は会場に向けてこう訴えかけ、セッションを閉じた。なお、「DefensePlatform」を活用した家庭でのセキュリティ環境構築方法の詳細については、今回のセミナーの題材となった書籍(マイナビムック)「PCセキュリティ“超” 向・上・計・画」を参照するといいだろう。
2015年03月27日ニフティは2月3日、@nifty会員向けサービスとして、各端末にウイルスソフトをインストールすることなく、同社の「@niftyセキュリティセンター」にてウイルススキャンを行い、ネットワークに接続された機器の通信に対してセキュリティ機能を提供する「スマートサーブセキュリティ機能」を備えた「常時安全セキュリティ24プラス」の提供を、同日より開始した。同社では2003年より、3つの端末までウイルス対策ソフトをインストールできる「常時安全セキュリティ24」を提供しているが、セキュリティソフトがインストールされていない端末は保護できないという課題があった。「常時安全セキュリティ24プラス」では、この課題を解決するため、IoT時代を見据え、セキュリティソフトがインストールされていないネットワークカメラやゲーム機、スマートデバイスにも対応する(HTTP通信、SMTP通信、POP通信が対象)「スマートサーブセキュリティ機能」を追加した。月額料金は従来と同じ500円だが、別途初期費用が5000円必要(いずれも税別)。「スマートサーブセキュリティ機能」では、インターネット接続する際、「@niftyセキュリティセンター」を経由し、ここでウイルススキャンを行う。そのため、「@niftyセキュリティセンター」経由でインターネットにアクセスされるデータに関しては、端末を問わず防御できる。この機能は、同社が従来から提供していたスマートサーブ機能を活用したもの。スマートサーブは、自宅のネットワーク(LAN)に接続された機器を外出先から操作できるネットワークサービスだ。「@niftyセキュリティセンター」と自宅間はVPNで接続することにより、安全性を担保する。そのため、自宅のVPN端末としてスマートサーブ機能も合わせ持ったサービスアダプタ(NV900W)を設置する必要がある。初期費用の5,000円はこの端末代だ。サービスアダプターは、ルータ機能も備え、無線LANも利用できる。なお、「スマートサーブセキュリティ機能」は台数の制限はなく、サービスアダプター配下の端末はすべて保護される。また、「スマートサーブセキュリティ機能」として、2015年2月25日から「@niftyセキュリティセンター」にて「安全評価機能」も提供する。この機能はサービスアダプターの配下の機器が、詐欺サイトやフィッシングサイトなどの悪質なサイトに接続されることを防ぐ機能。ウイルススキャンおよび「安全評価機能」はシマンテックのウイルススキャンエンジン「Symantec Protection Engine」と、悪質な活動の発生源、新種の脅威などに関する情報を提供する情報サービス「DeepSight Datafeed」を活用している。シマンテックによれば、「DeepSight Datafeed」を利用したサービス提供は国内初だという。なお、同社ではサービス開始を記念して、2015年3月31日までに「常時安全セキュリティ24プラス」に申し込んだ場合、初期費用を無料にするキャンペーンを実施する。
2015年02月03日嘔吐(おうと)や下痢などのつらい症状が現れるノロウイルス。寒い冬の季節になるとよく耳にするウイルスのひとつだが、どのような特徴があるのだろうか。ライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんに話を伺った。○ノロウイルスの発生時期は近年、ニュースに取り上げられることも多いノロウイルスだが、感染しやすい時期や流行時期はあるのだろうか。「ノロウイルスは、2002年に命名されたウイルスで、それまで一般の人にとっては、単に『おなかの風邪』として認識されることが多かったようです。1年を通じて発生していますが、秋ごろから感染報告が多くなり11月~1月ごろがピークとなります。ノロウイルスは自然界での抵抗力が強く、空気中で長く生きることができます。気温が低くなるとさらに長く生存できるようになるため、冬場に感染した患者が多くなります」。自然界での抵抗力の強さからか、ノロウイルスは集団食中毒の原因となることも多い。気温が低くなってきた時期が、感染に注意したい季節となる。○10~100個のウイルスで感染では、ノロウイルスにはどのような特徴があるのだろうか。「ノロウイルスはウイルスの中でも比較的小さく、空気中に浮遊しやすいです。また、手のシワなどにも入り込みやすいので、丁寧に手洗いしないと残留してしまいます。たった10個から100個のウイルスで感染するとされており、発症後、症状が治まった後も2週間から4週間ほどはウイルスを排出し続けるため、感染が広まりやすいと考えられます」。感染しても症状の出ない場合(不顕性感染)もあり、本人の自覚が無いままウイルスを排出しているケースもあるという。「ノロウイルスは、宿主であるヒトの小腸上皮細胞でのみ増殖します。つまり、増えるのはヒトの体内のみで、食べ物の中などでは増えません。そのため培養して特性をつかむことも難しく、類似の代替えウイルスによる研究がされています」。培養が難しいウイルスの場合、ウイルスを分離して特定することも困難となるため、食品中のノロウイルスを検出することが難しい。そのことが、食中毒の感染経路や原因の究明をより難しくしているという。○感染はほとんどが経口感染自然界での強い抵抗力をもつノロウイルスだが、ヒトへの感染経路は限られるという。「ノロウイルスはほとんどが経口感染で、予防には口からウイルスを入れないことが大切です。『手洗いをきちんとする』『加熱された食材を摂(と)る』などを心がけることで、感染のリスクは減らすことができます。また、体力のある人は軽症で済む場合も多いので、普段から免疫力の高い、健康的な生活を心がけておくことも大切です」。万一感染しても、より軽症で済ませるためには普段の生活で免疫力や体力をつけておくことが肝要。栄養のある食事、適度な運動などでノロウイルスに負けない体作りもしておきたい。写真と本文は関係ありません○取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。
2014年12月10日東京大学と科学技術振興機構(JST)は11月21日、インフルエンザウイルスの増殖に関わる約300個の宿主タンパク質の同定し、それぞれのウイルス増殖サイクルにおける作用を決定することに成功したと発表した。同成果は同大学医科学研究所の河岡義裕 教授と渡邉登喜子 特任准教授らによるもので、11月20日付け(現地時間)の米科学雑誌「Cell Host and Microbe」オンライン版に掲載された。現在、インフルエンザの治療薬としてタミフルなどの抗ウイルス薬が使われているが、それらの薬剤は特定のウイルスタンパク質の働きを抑えるため、遺伝子の変異によって薬が効きにくくなる耐性ウイルスが発生してしまう危険性がある。そのため、ウイルスのタンパク質に作用せずにウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の開発が求められている。ウイルスは宿主細胞内のたんぱく質の働きを利用して増殖するため、宿主細胞のタンパク質とウイルスの相互作用を抑える薬剤があれば、有効なインフルエンザ治療薬となる可能性がある。同研究グループは、インフルエンザウイルスタンパク質と結合するヒトタンパク質(宿主因子)を網羅的に探索。その結果、11種類のインフルエンザウイルスタンパク質と相互作用する1292個の宿主因子を同定した。次に、それらの宿主因子がインフルエンザウイルスの増殖とどのように関係しているのかを調べたところ、ウイルスの増殖効率に影響を与える323個の宿主因子を同定した。また、それらの宿主因子の機能を阻害する薬剤が抗ウイルス薬として有効であるかどうかを検討した結果、いくつかの薬剤に抗ウイルス効果があることが確認された。今回得られた成果は、インフルエンザウイルスの増殖や感染のメカニズムを明らかにするために有用であるとともに、インフルエンザ治療薬開発の重要なターゲットになると期待される。
2014年11月21日TANAKAホールディングスは11月18日、田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業が、粉末焼結式積層法による3Dプリンタに対応する白金基金属ガラスの粉末を開発し、造形に成功したと発表した。また、白金およびイリジウム添加ニッケル基合金の白金族金属粉末材料も開発し、造形物の作製に成功した。田中貴金属工業は、2004年に白金基金属ガラスの組成で特許を取得しているが、今回、独自の加工設備を用いて粒径や流動性などを調整することで、既存の粉末焼結式積層法に用いられる3Dプリンタ装置で使用可能な白金基金属ガラスの粉体化に成功した。加えて、白金とイリジウム添加ニッケル基合金の2種の粉末材料も併せて開発した。また、大阪府立産業技術総合研究所と共同研究を行い、粉末の材質と、形状に適したレーザエネルギーの照射条件を解明することにより、白金、白金基金属ガラス、イリジウム添加ニッケル基合金の造形物の作製に成功した。3Dプリンタを用いた白金基金属ガラスの造形は世界初になるという。これにより、田中貴金属工業では、白金族金属粉末材料の提供に加え、ユーザーの要望に合わせた白金族金属粉末の粒径サイズ加工、白金族合金製造における組成の提案、および造形物の製造を実施するとしている。これまで、白金族金属は高融点で耐久性があるが、特に合金は切削加工や塑性加工などの加工性が低いものも多く、既存の造形法では形状に限りがあった。これらの材料を3Dプリンタでの造形を可能にすることで、複雑形状の造形や、溶融温度が異なる異種材料を複合した製品の作製が可能になる。今回の開発により、耐食性が要求される医療材料の多品種少量製造や、耐熱性が要求される自動車産業および航空宇宙産業分野における、特殊部品の工業用製品の展開が期待されるという。田中貴金属工業は、3Dプリンタ用白金族金属粉末材料の提供で、2020年度までに年間売上4億円を目指すとしている。
2014年11月18日Trend Microはこのほど、「『Shellshock』関連の脆弱性をさらに確認|トレンドマイクロ ブログ|トレンドマイクロ セキュリティ ブログ (ウイルス解析担当者による Trend Micro Security Blog)」において、現在のところ、bashの脆弱性(通称:Shecllshock)を悪用した、HTTP、SSH、DHCP、FTP、SIP、SMTP、VPNなどのプロトコルを経由する侵入経路が存在すると伝えた。利用できるプロトコルは今後さらに増えるおそれもある。9月24日に広く知られるようになったShellshockに関連するCVEは現在6つになっている(CVE-2014-6271、CVE-2014-7169、CVE-2014-6277、CVE-2014-6278、CVE-2014-7186、CVE-2014-7187)。これらを悪用されると、ユーザー権限がない状態でも遠隔からのコマンド実行が可能とされている。環境変数が指定できる仕組みになっている通信プロトコルがいくつか存在しており、今後影響範囲はさらに拡大する危険性がある。組込み機器などでbashが使われているケースでは、アップデートされないままボットネットの構築などに悪用される危険性も高い。bashを使用している場合、引き続きShellshockに関する最新の情報を入手するとともに、常に最新の状態へアップデートすることが推奨される。
2014年10月06日赤ちゃんの初めての発熱として、もっとも多いのがこの突発性発疹。はしかや水ぼうそうのウイルスほど感染力は強くないものの、季節を問わず発生し、ほとんどの子が1歳までに突発性湿疹にかかります。そうしたことがわかっていても、生後まもない赤ちゃんが「さっきまで普通だったのに突然40度近い高熱!」となると、心配になりますよね。そこで今回は、突発性発疹にかかった時のケアや回復までの経過をお伝えしたいと思います。■突発性発疹の原因と症状突発性発疹には2種類あり、ほとんどがヒトヘルペスウィルス6型(HHV-6)の初感染による症状ですが、一部ヒトヘルペスウィルス7型(HHV-7)も存在します。そのため「突発性発疹は一度かかると再びかかることはない」といわれていますが、まれにもう一度かかる場合があるようです。感染後の潜伏期間は10日から2週間。突然40度近い高熱を出すわりには元気で、発熱期間は3~4日。平熱に戻った翌日くらいからお腹や背中を中心に赤い発疹が出て全身に広がると、血中に中和抗体が現れるため完治と診断されます。数日間かけて発疹は消えますが、かゆがることは少ないです。また、発熱しても比較的機嫌が良く、元気もあるのが特徴ですが、数日間は夜寝付きが悪かったり、ぐずったりすることもあります。病院へ行くと薬が処方されますが、発熱で食欲も落ちやすいため、食べ物に混ぜて服用させようとすると全量飲めないことがあるので気をつけましょう。服用薬以外に解熱剤の座薬を入れても、数時間後に高熱に戻ってしまうこともよくあります。水分補給をこまめにし、脇の下などリンパがある場所をやさしく冷やして、「大丈夫だよ」と安心させてあげてくだ下さい。■こんな時は要注意一般的な突発性発疹とは症状が少し違ったり、生後4ヵ月以下で「突発性湿疹と診断されるには少し早いかも…」という場合、腎臓の病気の可能性も考えられます。その見極めには、採血やおしっこの検査が実施されます。わが家の次女も生後4ヵ月で突発性発疹を発症し、採尿や採血をしました。その際、一緒にアレルギー検査をしてもらうこともできたので、お子さんのアレルギーが心配な方はお医者さんに相談してみるのもよいかもしれません。突発性湿疹は発疹が現れた時点で完治となりますが、赤ちゃんは発熱で体力をかなり消耗しています。1ヵ月近くは抵抗力の低下からほかの感染症にかかりやすいため、できるだけ人混みを避け、無理がかからないよう気をつけてあげましょう。「突発性発疹はどの子も必ず経験する」と言われていても、わが家の長女は2歳半まで熱ひとつ出さず、「いつ来るの…?」と待っているうちに幼稚園生になってしまいました。このような場合もある一方で、次女は早く(生後4ヵ月)にかかったので「発熱した時はしっかり見守る」ということを、子どもから改めて教わった気がします。親も常に知識をブラッシュアップさせながら、子どもの様子を見守っていくことが大切なのですね。
2014年08月22日猫がかかる病気には様々なものがあります。今回は、その中から恐ろしい病気の一つであるFIPの基礎的な情報について解説いたします。○FIPとはFIPとは猫伝染性腹膜炎(feline infectious peritonitis)の略称です。猫コロナウィルスの感染が原因とされている、若い猫に発生しやすい致死率が非常に高い病気です。FIPは発症する原因が未解明なこと、確定診断が難しいこと、有効な治療方法がないことから飼い主さんにご説明するのが最も難しい疾患の1つです。今回は、非常に混乱しやすいポイントについて解説します。○FIPの原因FIPは猫コロナウィルスが原因ですが、猫コロナウィルスに感染した猫全てがFIPになるとは限りません。これは動物病院でFIPについて説明される中で、最初に混乱しやすいポイントです。猫コロナウィルスに感染していてもピンピンしている猫は日本に沢山います。なぜなら猫コロナウィルスは本来感染してもほとんど症状がでない、病原性の低いウィルスだからです。しかし、稀に猫コロナウィルスが猫の体内で突然変異を起こし、FIPウィルスに変化することがあります。猫コロナウィルスがFIPウィルスに突然変異してしまった猫のみがFIPを発症します。昔は、猫コロナウィルスとFIPウィルスは全く別のウィルスだと考えられていましたが、最近の研究で猫コロナウィルスが体内で変化してFIPを発症していることが分かりました。○なぜFIPウィルスに変化するか?猫コロナウィルスが、なぜ突然変異を起こすのかはわかっていません。若齢の猫で多いこと、免疫が弱った猫で発症しやすいことから、猫コロナウィルスに対する免疫反応が関係していると考えられています。○よくある症状FIPの症状も、混乱しやすいポイントです。腹膜炎という名前が付いていますが必ずしも腹膜炎の症状がでるとは限りません。FIPは体の様々な場所で炎症を起こすので症状も様々です。よく見られる特徴的な症状としては、お腹や胸に水が溜まる(胸水、腹水)、発熱、神経症状(ふらつきや眼振等)、黄疸、眼の異常などです。しかし、中には食欲不振や、元気がない、痩せてきたなど、他の病気でも一般的にみられる症状しかでないこともあります。腹水や、発熱などの特徴的な症状がなくてもFIPの可能性はあるので注意が必要です。腹水などの水の溜まる症状がでるFIPをウェットタイプ、それ以外の症状しかみられないFIPをドライタイプと呼ぶことがあります。しかし、FIPの猫は多かれ少なかれ両方のタイプが組み合わさった症状がでます。そして、どちらかのタイプはそれぞれ他のタイプに変化することもあります。○FIPの検査FIPは様々な場所で炎症を起こすので、血液検査、レントゲン検査、エコー検査など全身の検査が必要です。これらの検査で、FIPによく見られるような検査結果が多いとFIPの可能性が高まります。また、FIPの診断の助けとなる検査にウィルス検査があります。「抗体価測定」や「PCRによる遺伝子検査」などがそうです。そしてこのウィルス検査が最も混乱しやすい点です。これらの検査は、猫コロナウィルスに感染しているかどうかを調べる検査です。しかしウィルス検査ではFIPウィルスと普通の猫コロナウィルスのどちらに感染しているか区別ができません。ウィルス検査結果が陽性であっても猫コロナウィルスに感染しているだけでFIPとは限らないのです。そして、FIPであってもウィルス検査で陰性のこともあるので注意が必要です。○なぜウィルス検査をするの?ウィルス検査は、診断の補助のために行われます。例えば猫コロナウィルスの抗体価では、抗体価がすごく多いという結果がでると、よりFIPの可能性が高いと言われています。反対に抗体価が少ないのならFIPの可能性が低いと考えられます。ここまでの文章で、ずっと「FIPの可能性が高い」と書いているのは、これらの検査結果がFIPと一致しても、まだFIPと確定診断することができないからです。多くの場合、FIPを診断するには猫ちゃんの年齢や、症状などのプロフィールに全身検査とウィルス検査等の結果を加味してFIPと暫定的に診断しています。○確定診断はできないのか?最も診断精度が高いと言われている検査は組織学的検査です。組織学的検査というのは手術でFIPが疑われる病変を一部摘出して行います。そのため全身麻酔をかける必要があります。しかし、FIPが疑われる猫は、総じて状態が悪いため麻酔のリスクを考えなければいけません。そして、病変が脳や眼など、組織検査に適さない場所にしか現れないこともあります。また仮に、組織学的検査によってFIPと診断されたとしても有効な治療方法がないことから、この検査を希望されない飼い主さんが多いです。こういった事情が重なり、多くの猫はFIPと確定診断することが難しいのが現状です。○FIPの治療FIPの根本的な治療方法は「ありません」。治療の目標としては、症状を緩和させてあげることになります。副腎皮質ステロイド製剤や他の免疫抑制剤が使われます。FIPの猫の多くは1~2カ月で亡くなってしまいます。しかし、中には治療の反応が良く数年間生きる猫も報告されています。そして、高齢でFIPに罹った猫の方が、病態の進行が遅いことが多いです。○本当にFIPの治療はないか?FIPは非常にやっかいな病気なので、世界中で多くの獣医師が西洋医学、東洋医学を駆使してFIPの治療法を研究しています。論文でも、少数の研究でFIPのより良い治療法が報告されています。しかし、症例数が少なかったり、他の研究者が同じ治療法をやってみてもうまくいかなかったりなど、獣医師全体の見解が一致する効果的な治療法は現在のところ報告されていません。しかし、これらの少数の報告から効果的な治療方法がみつかる可能性もあるので、色々な治療法をチャレンジすることは無駄だとは思いません。○「FIPの猫が治ったと聞いたのですが?」「FIPの猫が治ったと聞いたのですが?」。確かに、グーグル等で「FIP治った」と検索するといくつかのページがヒットします。FIPの致死率は非常高いですが、どんな病気でも100%とは断言できないので、治ることもあるかもしれません。しかし、注意点としてその猫は「本当にFIPだったのか」と考えなくてはいけません。なぜなら上記のようにFIPは診断がすごく難しい病気だからです。若齢で、黄疸や腹水などFIPの症状に一致しており、全身検査でもFIPを疑う検査結果が多かった猫がいます。猫コロナウィルスの抗体価も高く、これらの情報から考えるとFIPの可能性が高いですが、その猫は治療で元気になりました。その猫は組織検査をしていませんが、FIPではなくFIPのような症状が重なっていただけだった可能性も十分にあると思います。つまり、FIPの可能性が高いと動物病院で言われても、FIPではないこともあります。FIPの可能性が高いと言われたので治療を諦めてしまうのは、判断が早すぎるのではと思います。○予防猫コロナウィルスに感染しないことができれば、それが一番の予防です。しかし猫コロナウィルスは日本国内にも蔓延しており、ブリーダーさんやキャッテリー等猫が集まる施設では、完全に猫コロナウィルスを根絶することは非常に難しいと言われています。ご自宅の猫がまだ猫コロナウィルスに感染していないのであれば、室内飼育を徹底しウィルスとの接触を避けることが重要です。新しい猫を迎える場合は、その猫が猫コロナウィルスに感染していないかチェックしてから迎えましょう。既に猫コロナウィルスに感染していても、焦ることはありません、猫コロナウィルスに感染している猫の殆どはFIPを発症しません。FIPの発症にはストレスが関係していると考えられていますので、ストレスのかからない生活を心がけましょう。多頭飼育では、FIPの発症率が特に高いことがわかっています。5匹以上の同時飼育は避けた方が良いです。また、猫の飼育頭数の基準の1つに、「部屋の数以上に猫の飼育数を増やさないこと」というものがあります。例えば3LDKにお住まいならば、飼育する猫の数は3匹までになります。猫は生まれもっての単独行動動物なので、どんなに同居猫と仲良しでも1匹で休まる部屋を確保してあげて下さい。○ワクチンはないのですか?FIPは、単純なウィルス感染ではなく免疫が関係した病気であるため、ワクチンの開発に苦労しています。アメリカおよび欧州の数カ国でFIPワクチンが販売されていますが、日本国内ではこのワクチンは未承認です。このワクチンは有効性に疑問があるため、海外でも必ず摂取を推奨されるワクチンではありません。FIPはまだまだ未解明なことが多く「予防、診断、治療」全てが難しいのが現状です。2013年に突然変異したFIPウィルスに関する新しい発見が報告されました。近い将来、組織学的検査を行わなくても診断できる検査や、よりよい治療法が発明されるかもしれません。○その他の執筆記事・猫がいる家でアロマをたくと命にかかわる!?・人用の市販薬を猫に飲ませても大丈夫なのか?・猫にも利き手があるって、本当?・猫にもニキビができるって知ってた? -予防とケアを解説■著者プロフィール山本宗伸職業は獣医師。猫の病院「Syu Syu CAT Clinic」で副院長として診療にあたっています。医学的な部分はもちろん、それ以外の猫に関する疑問にもわかりやすくお答えします。猫にまつわる身近な謎を掘り下げる猫ブログ「nekopedia」も時々更新。
2014年01月14日毎年、12月頃に猛威をふるう「ノロウイルス」。下痢や嘔吐(おうと)を引き起こし、8人に1人が感染しているという推計もある恐怖のウイルスだ。予防方法はいくつかあるが、先ごろノロウイルス対策商品としてにわかに脚光を浴びた商品がある。その正体とは―。○ウイルス界のフェラーリノロウイルスは主に腸管で増殖し、腸管の粘膜上皮のポンプ機能を破壊することで腹痛、嘔吐(おうと)、水溶性の下痢などの症状を引き起こす。インフルエンザウイルスの3分の1ほどの大きさで、口から10~100個ほど入っただけで感染が成立するとされており、その感染スピードの速さから「ウイルス界のフェラーリ」とも呼ばれている。感染症に詳しい、東京医科大学の松本哲哉微生物学講座主任教授は「ノロウイルスの感染経路としては、食中毒よりもむしろ人から人へとうつるケースが多いことがわかっています。ただし周囲に感染者がおらず、どこで感染したかわからない場合もあります。また、インフルエンザと違って、ノロウイルスの場合はワクチンも治療薬もありません。以前、ノロウイルスに感染した人でも繰り返し感染を起こすので、毎年ノロウイルスへの備えをしておかないといけません」と話す。○救世主の名はラクトフェリン30秒以上の手洗い、食品や調理器具などの加熱といった対策手段がある中、注目されているのが「ラクトフェリン」という成分だ。ラクトフェリンはたんぱく質の一種で、母乳、特に初乳に多く含まれており、赤ちゃんを感染症から守る役目を果たしている。「ラクトフェリンはヒトの免疫力を高める作用と病原体を弱める作用の2つの側面を持っています。その相乗効果がノロウイルスの感染を防ぐと考えられています」。○棚から消えた「森永ラクトフェリンヨーグルト」そのラクトフェリンを配合した商品の中で今最もホットなのは、森永乳業が販売している「森永ラクトフェリンヨーグルト」だろう。今月9日にNHKの番組でノロウイルス対策としてラクトフェリンが紹介された途端、スーパーなどの小売店に消費者が殺到。一部店舗では売り切れ状態になったり、買い占めを防ぐための購入数制限が設けられたりするなどの現象が起こった。森永乳業によると、「今年ならではのノロウイルス対策法」として紹介されたことにより、放送直後(12月9~15日)の森永ラクトフェリンヨーグルトの売り上げは、前年同期間比で770%となっているという。森永乳業は、ラクトフェリンの有効性を科学的にも分析しており、今年9月に461人(平均年齢59.3歳)を対象にした調査結果を発表した。試験では100mgのラクトフェリン含有食品の摂取頻度ごとに6つのグループに分けて、ノロウイルス感染性胃腸炎と思われる症状(腹痛、吐きけ・嘔吐(おうと)、下痢)での医療機関の受診者割合や医師の診断結果などについて調査した。その結果、ノロウイルス感染性胃腸炎と思われる症状で医師の診断を受けた人の割合は、摂取頻度が「ほぼ毎日」の人は「週1回程度」の人に比べて7.1%も減少しており、有意な差が見られた。また、医師からノロウイルスの疑い、または検査でノロウイルス確定と診断された人の割合に関しても有意な差が見られた。摂取頻度が「週1回程度」の人に比べて、「週4~5回」の人で6.1%、「ほぼ毎日」の人で6.5%の減少が確認された。○チーズ200gかラクトフェリン強化商品か松本主任教授は、ラクトフェリンはノロウイルスだけでなく風邪やインフルエンザにも有効かもしれないと話す。「実際、冬の流行期に行われた調査で、ラクトフェリンを摂取していたグループは、ラクトフェリンを摂取していなかったグループと比べて、発熱や鼻水など感染症の症状の発症率が有意に低かったという結果が認められています」。ラクトフェリンは冬場に摂取しておいて損はない成分なのだ。ラクトフェリンは、生乳やナチュラルチーズなどからでも摂取可能だが、有効量の目安となる100mgを摂取しようとなると「チーズでは100gとか200gの単位で食べる必要があり、毎日食べるのは現実的ではないと思います」。基本的には、ラクトフェリンが重点的に配合されている製品を食べた方が継続もしやすいという。チーズ200gかラクトフェリン強化食品か―。どんな方法にせよ、きちんと毎日ラクトフェリンを摂取することが、寒い冬を健康に過ごすためのコツとなりそうだ。
2013年12月24日内閣広報室は13日、首相官邸ホームページに「インフルエンザ&ノロウイルス特集ページ」を新設した。同特集ページは、冬に流行のピークを迎えるノロウイルスとインフルエンザへの注意喚起を目的として、家庭や職場でできる予防対策や政府の取り組みなどをまとめたもの。「インフルエンザにかからないためには」「政府が取り組むインフルエンザ対策」「ノロウイルスによる感染を防ぐには」などを閲覧できる。「インフルエンザにかからないためには」では、感染経路を断つこと、予防接種を受けること、免疫力を高めることなどを推奨。「正しい手の洗い方」など、インフルエンザから身を守るために気をつけるポイントを紹介する。ノロウイルスについても、家庭でできる予防対策の3つのポイント、「手洗い」「人からの感染を防ぐ」「食品からの感染を防ぐ」について、具体的な方法を示すなど、感染の拡大防止を呼びかけている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月17日富士フイルムは10月17日、「サラシア」の免疫調整作用について発表した。同社は京都府立大学と共同で、マウスを用いた試験研究を実施。サラシア属植物抽出エキスを摂取すると、免疫力の指標となるNK細胞の活性が高まり、インフルエンザ感染時の症状が軽減されること実証した。サラシアはインドやスリランカなど南アジア地域に自生するサラシア属植物の総称。インドに古くから伝わる伝承医学(アーユルヴェーダ)でも使用されてきたという。同社はサラシア属植物の抽出エキスを摂取することで、腸内環境が改善され、生体内の免疫力が高まることをこれまでに確認してきた。このほど、同社は京都府立大学と共同で、マウスにサラシア属植物抽出エキスを摂取させた試験を実施。インフルエンザウイルスに感染させた時の免疫に関連する細胞の活性、臨床的な症状の観察、病理学的解析を行い、感染症に対する同植物抽出エキス摂取の作用解明を試みた。その結果、同植物抽出エキスを摂取すると、インフルエンザウイルス感染時にNK細胞活性が上昇すること、インフルエンザウイルスに感染したときの症状が軽減したことを確認できた。同植物抽出エキスを摂取することで、ウイルスに対する防御力が高くなったと推察される。同社はこれらの研究結果をもとに、今後サラシア属植物の新たな応用を検討していくという。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月19日スイスのノバルティスファーマは、米食品医薬品局(FDA)が、結節性硬化症(TSC)に伴う腎血管筋脂肪腫のうち、直ちに外科手術を必要としない成人患者に対する治療薬として「アフィニトールR」を承認したことを発表した。結節性硬化症とは、重要な臓器に良性腫瘍を引き起こす可能性のある遺伝性の疾患。世界で約100万人から200万人の患者がいると推定されている。腎血管筋脂肪腫は結節性硬化症患者の最大80%で発生する症状で、腫瘍は時間の経過とともに大きく増殖。重度の内出血を引き起こす、塞栓(そくせん)術や腎摘出といった緊急の外科手術が必要になるなどのほか、腎不全を引き起こす可能性もある。「アフィニトールR」は、こうした患者の治療に対して初めて承認された薬剤となる。日本では根治切除不能または転移性の腎細胞がんに対する治療薬として2010年4月より販売されており、2011年12月に膵神経内分泌腫瘍の治療薬として承認されている。結節性硬化症に対しては現在申請中となっている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月15日