元AKB48で女優の大島優子が、16日に放送されたフジテレビ系バラエティ番組『TOKIOカケル』(毎週水曜23:00~23:30)にゲスト出演。最近のAKB48は自身が在籍していた頃と比較して「かわいい」と話し、今入ったら「完全に埋もれている」と発言した。大島は「私が入っていた時と、今テレビで見るAKB48は違う感じがする」と切り出し、今のAKB48は「かわいい」とコメント。「私たちがいた時はかわいくなかった。みんなブスだった。それを集めたから」と振り返った。そして、「デビュー当時の写真を見ても本当にみんなブスで…」と笑い、「笑えるブスなんですけど」と補足。「水準が上がっている。今の時代に私がAKB48に入ったら完全に埋もれている」と言い、TOKIOの松岡昌宏に「あの時でよかったって思う?」と聞かれると、「ちょっと思いました」と打ち明けた。また、AKB48選抜総選挙で2度の1位に輝いた時の気持ちを聞かれると、「ファン投票で1位にさせていただいたので、感謝しかないですね。感激ですね」と感謝の思いを語った。
2016年11月16日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「経済波及効果」です。***「広島東洋カープ優勝による経済波及効果が331億円」だとか、映画『君の名は。』のヒットで聖地に多くの人が訪れ「モデルとなった飛騨市への経済波及効果が100億円を超える予想」など、経済波及効果という言葉をよく耳にしますね。これは、何かものごとが起きることにより商品が売れ、生産者や直接の関係者の所得が増える。周辺の関連業界への好影響、さらにその人たちの消費が伸びることで、無関係の産業でも利益を生む、二次的波及までを含めた予測を指します。総務省のホームページには、経済波及効果を算出する「産業連関表」が掲載されています。この産業連関表は1936年、アメリカの経済学者のレオンチェフ博士が最初に発表。第二次世界大戦後のアメリカの経済を予測し、高い精度を示したことから、活用されるようになりました。日本の産業連関表は1951年に、当時の通商産業省によって作成されました。経済波及効果があったと報じられれば、人々の投資意欲や消費意欲を高めますよね。そうやって景気を良い方に向かわせるのはよいことなのですが、国が経済波及効果という言葉を持ち出したときには、少し懐疑的になったほうがよいかもしれません。なぜなら、推し進めたい政策を通すための説得材料として、都合のいい情報だけを流している場合もあるからです。日本銀行の算出によると、2020年までの東京五輪開催の経済効果は、訪日観光者数が約3300万人に達し、1人当たりの消費額も増加、建設投資総額は10兆円に。実質GDP成長率も'18年まで毎年0.2~0.3ポイント押し上げると予想されています。しかし、あくまで試算ですから、そこまで楽観視してよいかはわかりません。TPPに関しても、政府は日本が参加すれば、貿易が盛んになり生産性が上がり、賃金も雇用も増え、貯蓄や投資にお金が回り…と、良い循環が生まれると言っています。しかし、良い面だけでなく、農林水産省のホームページでは、農林水産物の生産減少額が1300億~2100億円と予想されています。このマイナスの経済効果の報道は、あまり聞こえてこないんですね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年11月9日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年11月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アフリカ開発会議」です。***8月に第6回アフリカ開発会議(TICAD)がケニアで開かれました。アフリカの開発支援のために、日本が世界に呼びかけて1993年に始まった会議で、5年に一度開催され、今年初めてアフリカで行われました。アフリカは人類発祥の地といわれ、ナイル文明など、豊かな文化や歴史があります。ところが19世紀に欧州諸国が肥沃な土地を奪い合うようになり、アフリカを勝手に分割統治、植民地にしてしまいました。その後、アフリカ諸国は独立しはじめますが、欧州各国によって決められた国境は、先住民族の文化や生活を無視した線引き。その問題は現在の内戦や民族紛争にもつながっています。また、アフリカはほかにも、食糧不足や干ばつ、感染症、教育を受けられない子どもたちなど、多くの問題を抱えていますね。近年のボコ・ハラムやアルカイダなど、テロ組織の暗躍も、根底にあるのは貧困や教育問題。経済を好転させることで解消される問題は多い。今年のTICADではテロとの戦いと国際協調が訴えられ、安倍総理は日本から3兆円の支援をすることを約束しました。これに対して、中国は「国連の常任理事国入りをしたい日本が、アフリカ諸国を味方につけようとTICADを政治利用している」と批判しました。近年、中国は、アフリカに携帯電話を普及させ、携帯電話による送金システムを輸出するなど、ものすごい勢いでアフリカに進出してきているんですね。水道も電気も通ってない地域で、携帯電話だけは使われているという異様な光景も。ほかにも道路や港を作る支援をし、代わりにレア・メタルの採掘権を得ようとしています。発展途上のアフリカには、たくさんのビジネスチャンスが眠っています。日本も開発支援だけでなく、民間企業がもっとアフリカと密接につながるといいのですが、距離的な問題もあり少々及び腰です。それでも、日本で消費されるバニラビーンズやカカオ豆、蚊取り線香に使われる除虫菊はアフリカ産がほとんどなんですよ。今後、アフリカと日本は、ますます結びつきが深くなっていくことでしょう。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年11月2日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年10月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「消費者物価指数」です***「消費者物価指数(CPI)」とは、全国の消費者が購入する商品やサービスの価格の変動を時系列で測るもので、5年に一度、基準年を定めて、それと比較して算出します。毎月、総務省統計局が発表しており、景気が良いかどうかの判断基準になるので、「経済の体温計」ともいわれています。消費者物価指数を見て、政府は経済政策や年金の改定などを行うのです。日本経済の最大課題は、デフレからの脱却ですよね。デフレとは、物の値段(物価)が下がると、企業の収益も下がることになるので、企業は賃金を上げられない。なので、懐の冷えた消費者は物を買うのを控えるという状態。物が売れないので企業はさらに商品を安くする…という連鎖が起きます。これがデフレスパイラルです。改善策として、政府は金融緩和を行います。日本銀行が市場にお金を多く流して、相対的に円の価値が下がる状態に誘導するのです。市場に円があふれれば、自然と円安になります。希少価値のものは値段が高くなるけれど、世の中にたくさんあるものは安くなる、というのと同じ原理ですね。日本の主要産業は輸出産業なので、円安になれば企業は儲かります。トヨタなどの輸出企業は利益を増やし、「景気は良くなった」「アベノミクスは成功した」ともいわれますが、多くの一般市民にはあまり良くなった実感がありません。そこで実態を知るのに有効なのが「消費者物価指数」です。消費者物価指数が下がっているということは、市民が前よりも物を買わなくなった(買えなくなった)ということ。2015年の基準年に対して、今年は総合的に消費者物価指数が毎月下がり続けています。これは、一部の企業が好調でも利益が社員に還元されていない(賃金が上がっていない)ということ。非正規雇用者にはもっと回ってきていませんね。政府はこの状態を認識しており、企業に対して賃金を上げるように働きかけ、消費税増税も先送りにしました。消費者物価指数が上がれば、本当に景気が良くなっているという証拠です。毎月ニュースで発表される消費者物価指数を見ながら、自分の体感景気とぜひ比べてみてください。◇ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年10月19日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年10月18日女優の大島優子が出演する第一三共ヘルスケアの低刺激洗浄料「ミノン」洗浄シリーズの第6弾テレビCM「彼と買い物」篇が、29日より全国で放映される。映画監督タナダユキが描く「ミノン」洗浄シリーズのテレビCM。6作目となる今回は、大島演じる主人公の恋人役として俳優の坂口健太郎が登場し、恋人同士の何気ない日常のワンシーンを描いた物語を通じて、商品の魅力を伝える内容となっている。大島が演じるのは、前回に引き続き、徳島から上京して5年目を迎える一人暮らしのOL・中島麻子。麻子と坂口演じる恋人の遼介は、付き合って2年半。第4弾の「彼とケンカ」篇では、些細なケンカをしてしまった2人だが、今回CMでは楽しげなデートシーンから始まる。そして、ドラッグストアで麻子がミノンを手に取り、「遼ちゃんも買っとく?」と尋ねると、遼介はふいに「1個でいいんだよね? 一緒に暮らすと」と口にする。プロポーズとも取れる遼介の言葉に、麻子は「え…?」と動揺。帰宅後のお風呂上がりに「あれって本気かなぁ?」とつぶやきながら遼介の言葉を思い出す麻子の姿が描かれる。ミノンの前回のCM撮影以来、約1年ぶりに顔を合わせた大島と坂口は、恋人同士という設定も違和感なく、自然なやりとりが撮影できたという。大島は、プロポーズとも取れる遼介のセリフについて「あれ、いいですよね。ドキッとします」と振り返り、坂口が「思わずポロッと出ちゃった言葉ですよね」というと、「そこがずるい。乙女心をくすぐるというか」と話した。また、実際に男性から同じようなセリフを言われたら「もちろんドキッとすると思いますけど、『じゃあ、楽しみに待ってるね』って言おうと思います」と大島。さらに、プロポーズはされたいか、自分からしたいか聞かれると、「されたいですね」と答え、「間柄にもよりますが、遼ちゃんのように自然な流れの中で、さらっと、ふわっと言ってもらえたらいいなと思います」と理想を明かした。なお、12月放映開始予定の続編では、2人の進展について描かれる。
2016年09月29日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ドーピング」です。***リオ五輪の開催前、ロシアの国家ぐるみのドーピング隠蔽行為が発覚し、問題になりました。世界にドーピングの衝撃が走ったのは、1988年のソウルオリンピック。100m走で、ベン・ジョンソンがカール・ルイスに勝ち、人類初9・8秒台を切るタイムを叩き出しました。ところが、ドーピング検査で陽性になり、ジョンソン選手の金メダルは剥奪されてしまいました。ほかにも陽性の選手が後を絶たず、これをきっかけに1991年にジョンソンの祖国、カナダでアンチ・ドーピングの機関が誕生。1999年には世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が設立されたのです。ドーピングは必ずしも、選手が故意にしているとは限りません。たまたま飲んだ薬の中に禁止成分が入っていて、引っかかるケースも。テニスのマリア・シャラポワ選手が2年間の出場停止処分になりましたが「禁止薬物とは知らなかった」と提訴しています。禁止成分は随時更新されますから、ドーピングを避けるには、選手だけでなく、チームやコーチ、医師や薬剤師も正しい知識が必要。WADAやJADA(日本アンチ・ドーピング機構)はそれぞれの立場での注意を促しています。ドーピングは、製薬会社のビジネスとも密接な関わりがあると指摘する声もあります。合法的に運動能力が上がる薬となれば、ビッグビジネスになりますよね。最近はWADAと大手製薬会社が情報を共有してドーピングを未然に防ごうとしていますが、これも諸刃の剣。規制をすり抜ける新薬が開発され、後にその成分が規制されるというイタチごっこにもなってしまいます。今回のリオ五輪で、IOC(国際オリンピック委員会)が、ロシアの参加を全面禁止にしなかったことに対して、処分が甘いという意見もありました。しかし、五輪は平和の祭典。開催期間は休戦し、人種や国境を超えて皆が参加すること、五輪を続けることに意義があります。大国ロシアが抜けてしまったら、その秩序が崩れてしまう可能性も。そもそも、スポーツとは何を競い合うものなのか?原点に立ち戻り、清い戦いを見せてほしいですね。フェアな戦いこそが感動を与えてくれます。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年9月21日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年09月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「東京都知事」です。***新しい東京都知事が、初の女性知事・小池百合子さんに決まりましたね。東京がどれほどの大都市なのか、数字の面から見てみましょう。2016年度の東京都の年間予算は、13兆6560億円。日本の国家予算総額が96兆7218億円ですから、比較しても相当な額というのがわかります。また、この東京の予算額は、スウェーデンの国家予算に匹敵する(!)規模です。GDP(国内総生産)では、東京都は2015年度見込みで92兆9000億円=約1兆1326億ドルです。世界のGDP順位を見ると、1位はアメリカ約18兆ドル。2位中国、3位日本が4兆ドル台。数字上では東京は12位に匹敵し、スペインやメキシコのGDPより勝っているのです。都市別に見ると、2014年の1位は東京。2位NY、3位ロサンゼルスと続きます。東京は経済的には、国レベルといってもいい大きさなんですね。日本の総理大臣は議会が選びますが、都知事は直接民主制によって、私たちが直接選べます。つまり、東京都知事は東京という一つの国の大統領のようなもの。また、東京には、日本の全人口の約1割が集中。大企業の本社や外国企業の5割は東京にあり、日本の税収のうちの約4割は東京から集められています。これだけの人とお金が動いている少なくないんです。たとえば、石原慎太郎さんが都知事だったとき、東京の空気の浄化のために、ディーゼル車の走行を規制しました。これにより、自動車メーカーは、世界一基準の厳しい排気ガス規制に対応できるクリーンな自動車を開発。日本の技術力を上げるきっかけになりました。石原都知事はほかにも、日本史を都立高校の必須科目にしたり、横田基地の返還要請をし、航空管制の一部を返してもらうなど独自の政策を実行していきました。近年は任期が短くて、実績を残す機会は減っていますが、都知事は日本全体にも少なからぬ影響を与える存在ということに変わりはありません。予算が膨らむ東京五輪問題や土壌汚染を抱える築地市場移転問題など、小池流改革手腕でバッサリ切り込んでいってほしいなと期待しています。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年9月7日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年09月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「イギリスのEU離脱」です。***6月にイギリスは、EU離脱の是非を問う国民投票を行い、離脱派が勝利。残留派のリーダーだったキャメロン首相は辞任し、テリーザ・メイが首相になりました。投票結果は残留派48%、離脱派52%の僅差。EU離脱の選択は、世界に衝撃を与えましたが、実はイギリス国内でも「まさか本当に離脱になるとは!」と驚きの結果だったのです。離脱に傾いた大きな理由は、難民問題。離脱派の元ロンドン市長ボリス・ジョンソンは、「難民が流れ込んだせいで国内の失業率が上がり、テロの脅威にさらされている。EUを離脱し、イギリスは主権を取り戻すべきだ」と主張しました。EU(欧州連合)とは一つの大きな国のようなものです。第一次、第二次世界大戦で大きな犠牲を払ったヨーロッパは、資源争いによる敵対をやめ、まとまる必要に迫られました。EUを立ち上げ、資源を分かち合い、関税を取り払って、人・もの・お金が自由に行き来できるようにしました。ヨーロッパ全体で協力し合うことで、安全保障と大きな経済成長を得たのです。しかし、EU加盟の恩恵は国ごとに差があります。イギリスやフランスは借金の多い国々を助ける役回りになり、経済的負担は少なくありません。また、EU内には法律があるので、国内で勝手に物事を決められない不自由さも出てきました。ジョンソンが「主権を取り戻す」と言ったのはそういう理由です。ジョンソンは有力な次期首相候補でしたが、離脱が決まると立候補を取り下げてしまいました。他にも、国民投票後に現場を退いた離脱派の政治家もいました。つまり、覇権争いのために、離脱の主張をしていた議員が少なからずいたということ。それだけ、国民の不満は募っており、支持を得るには格好のテーマだったのです。首相のなり手はなかなか見つからず、残留派だったメイが名乗りをあげます。メイ首相は22人の閣僚のうち7人に、ジョンソンを含む離脱派の閣僚を据えました。離脱のニュースの後、ポンドは下落、円高ドル高の流れに。世界経済にも影響を及ぼしています。イギリスがEUを離れ、どんな政策で問題解決していくのか世界が注目しています。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年8月31日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年08月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「核なき社会」です。***みなさんは、8月6日、9日が何の日かわかりますか?71年前のこの日、世界で初めて、原子爆弾が投下されました。8月6日は広島に、9日は長崎に。一瞬にして街は焼け焦げ、その年の12月までに広島では約14万人、長崎では約7万人の方が亡くなりました。数年後に白血病やガンを発症したり、子供に原爆症が出るケースもあり、総被害は数知れません。日本は原爆の恐ろしさを知る、唯一の被爆国なんです。現在、核保有国はアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルの9か国。これほど恐ろしい兵器を、なぜ皆持ちたがるのか?悲しいことですが、核を保有することで、敵対する国同士の抑止力になっている、というのも現実なんです。とはいえ、核兵器がこのまま増え続けたら、地球規模の危機に晒されます。2009年、オバマ大統領はプラハで、核保有国として初めて「核なき社会を目指そう」と国際社会に訴えかけました。その後、アメリカ・ロシア間では核軍縮の合意が取れ、処分後もテロリストに核兵器が渡らないよう、注意を払っています。一昨年、国連総会で「核兵器使用禁止条約」がオーストリアから提案されました。化学兵器や生物兵器は国際条約で、使用したら戦争犯罪として裁かれることになっています。それに核兵器も加えようという提案。賛成125か国、反対50か国、棄権7か国で可決されましたが、実は日本はこのとき棄権しました。日本は自国では核兵器を持ちませんが、同盟を結ぶアメリカに、中国や北朝鮮の脅威から守ってもらっている立場。その手前、賛成することができなかったと言われています。今年5月、アメリカの現職の大統領としては初めて、オバマ大統領が被爆地の広島を訪れ、平和を訴えましたね。これが実現したのも、毎年、原爆記念日に世界に向けて平和のメッセージを発信し、核保有国の首脳に手紙を送り続けた広島市の不断の努力の賜物です。原爆の惨劇を伝えられるのは、世界で日本だけです。戦争体験者が次々いなくなる今後、二度と悲劇が起こらないよう、8月6日、9日のことを私たちは忘れてはいけないと思います。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年8月10日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年08月05日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ふるさと納税」です。***ふるさと納税とは、好きな自治体に寄付をする制度です。寄付をすると、その額から2000円を引いた額が、所得税と住民税から控除されます。日本は東京が中心となり、大都市ばかりに人もお金も集まってしまっています。地方にお金が回るようにと、ふるさと納税制度は2008年に公布されました。寄付した人には地方の特産品などのお礼の品が送られます。理念は素晴らしいのですが、年々、自治体ごとの寄付金獲得競争が加速、返礼品がエスカレートして豪華になってきてしまいました。自治体の方でも返礼品が重荷になったり、返礼で受け取った金券を転売する寄付者が出てくるなど、本末転倒な事例も。公布から8年たち、そろそろ制度の見直しが必要なのかもしれません。また、ふるさと納税を使って、高額所得者が高額の寄付をし、寄付額がほとんど還付される、節税対策に使われていることを問題視する人もいます。いわば、日本のタックスヘイブンです。ただ、都市と地方の格差は広がる一方。地方は財源を得るのが本当に大変です。ですから、たとえタックスヘイブンになったとしても、地方にお金が回るのは良いことなんじゃないかと思います。最近では被災地にふるさと納税する人も増えていますね。熊本への寄付金も増えて、復興に役立っています。問題は、寄付をする側の姿勢ですね。ただの節税対策や、返礼品目当てのショッピングモールになってしまうのは残念。集まった寄付金の使い道は各自治体で公開していますので、寄付をしたら、ぜひチェックしてください。また、一度その土地に足を運んで、実際に見てきてほしいですね。都市部はどうしても消費が中心。地方が生産を支えています。農業、林業、水産業の「生産者を守る」という意識で地方を応援していきたいですね。実際に生産の現場の大変さを知ると、無駄な消費をしなくなります。日本はレストランでもコンビニでもたくさん食品を捨てていて、食品ロスが多いんです。過剰な消費から生まれる社会問題は少なくありません。生産と消費、都市と地方のいいバランスを目指していきたいですね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年7月20日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年07月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「参議院選挙」です。***皆さんは「三権分立」を覚えていますか?法律は立法権を持つ国会で作られ、法律に基づいて政治を行う内閣は行政権を、法律に基づいて裁判する司法権は裁判所にあります。これらは暴走しないように互いに監視し合う、ということになっていますが、実際は行政府と立法府が一本化しているよう。内閣が望む法案が、成熟した討議のなされないまま、数の論理で決まることが多い印象があります。国会答弁の数は与党が1割、野党が9割と割合が決まっていますから、これには反論する野党側の責任も少なくありません。大統領と上院下院が対等に、緊張感を持って存在し、常に意見を戦い合わせているアメリカとは大きく違いますね。日本の場合、総理大臣や各大臣は、立法府(国会)で議席を多く取った党内から選ばれます。また、「党議拘束」といって、党員は政党の方針に従わねばならないという規則があります。自分が所属する政党と違う意見に票を入れると、体制に逆らったと罰せられたり、党の公認を得られなくなったり、除名処分になることも。そのため、全体が数の多い与党の意見に流れることが構造的に起きてしまうんですね。国会には衆議院と参議院があって、衆議院で可決された法案を、参議院で再討議します。参議院は衆議院のように途中で解散することなく、任期は6年。半期ごとに半分の議員が選挙で選ばれます。衆議院とは別の角度からじっくり法案に取り組むことが求められています。しかし、党議拘束は参議院にもかかりますから、残念ながら、衆議院との役割の違いがあまり見えてきません。選挙前には国民が喜ぶような聞こえの良い法案が掲げられたり、結局、「選挙に勝つための政治になっていないか?」という疑問も拭えず、国民の政治離れが進んでしまいました。7月10日は参議院議員通常選挙の投票日です。代表演説やマニフェストをチェックして、ぜひ政策の中身で政治家を選んでください。日本は、お上の決定に民が従う歴史が長かったものですから、政治を政治家にまかせる慣習が染みついています。でも今、当事者意識を持って、政治家に働きかける積極性が求められているんです。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年7月13日号より。
2016年07月11日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「待機児童」です。***条件を満たし、入所申請をしているにもかかわらず、保育所に入れない「待機児童」の数は2015年4月の段階で約4万5000人。キャンセル待ちの多さに諦めて、最初から申請していない家庭もあるので、潜在的な待機児童数を含めるとその数はもっと多くなるでしょう。待機児童問題は、保育所の数を増やすだけでは解決にはなりません。というのも、保育士さんの数が足りないんですね。保育士の資格を持ちながら現場を離れた「潜在保育士」の数は全国で約80万人。離職した大きな理由は、賃金の低さと言われています。保育士の賃金は、35歳平均で月額21.9万円。全産業の平均は33.3万円ですから、かなり下回っています。安倍総理は4月に一億総活躍社会の一環として、保育士の賃金を2%、月額約6000円アップを宣言。潜在保育士をなんとか呼び戻そうと対策を立てています。保育所が足りないのは、近隣の反対により建てられないというケースもあります。「子供の声がうるさい」といったクレームも聞きますが、それだけではなく、道が狭くて、子供の送り迎えの車や自転車が来ると住民の移動ができないという切実な理由も。街づくりやインフラ面から抜本的に変えなければいけません。また、保育所開設の規制緩和も必要でしょうね。企業内に保育施設がもっと開設できれば助かりますよね。待機児童問題は、すぐには解決しないでしょう。これから就職や転職を考えている方は、育児休業のあるなしだけでなく、バリエーションをチェックしてみてください。1年フルに休めなくても、時短で働ける時期を長く取れる方がありがたい場合もあります。今から約100年前に母性保護論争が起きました。女性解放運動家の平塚らいてうは「子供を産み育てることは国のためでもあるから、国が保護するべき」と主張。対して歌人の与謝野晶子は「女性は男性にも国にもよりかかるべきじゃない。自立して稼ぎなさい」と意見しました。子育てのお金は、国か個人、どちらが出すべきなのか。子供は誰のものなのか?100年前の論争の答えはまだ出ていないんです。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月22日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月19日19日に最終回を迎えるTBS系ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』(毎週日曜21:00~)の公式ツイッターで、主演を務める嵐・松本潤の人柄が伝わるエピソードが明かされ、話題を呼んでいる。公式ツイッターでは、「今日の潤様」と題して、頻繁に松本の撮影現場での様子を紹介。この日は、「明日撮影するクライマックスシーンの台詞について、どうするのがベストか、この1週間ずっとやり取りを重ねているのですが、先ほど『はい、これ』と一枚の紙を渡された。これまでやり取りして、手書きでたくさん書き込んだ台本を、PCで全部打ち直して台本形式にしたものだった」というエピソードを明かした。続けて、「『いろいろ考えて書き直したんだけど、手書きのものを見せるのも失礼かなと思って』とのこと」と説明。「誰よりも忙しく、誰よりも寝ていないのに、スタッフに対してさえこの気遣いをしてしまう、気遣いができるところが、松本潤である所以なんだなと、改めて思いました」とつづり、「うちの座長は素敵な人です」とたたえた。この投稿に、「さすが潤様」「やっぱり潤様ステキすぎ!!」「潤くんの人柄がにじみ出る素敵なエピソード」「涙が止まりません」「感動で涙が溢れます」「座長素敵すぎます…涙出てきた…」とファンは感動。また、「座長とスタッフさんがたくさん考えて作った最終回、すっごい楽しみです!!」「そんな考え抜いた最終回は正座してみないと!!」「どんなラストになるかワクワクしてます」と最終回への期待の声や、「ぜひセカンドシーズンを!」という声も寄せられている。(C)TBS
2016年06月15日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「タックスヘイブン」についてです。***タックスヘイブンとは日本語で「租税回避地」。税金を免除、またはとても低い税率にして、海外資本を獲得している国や地域のことを指します。ヨーロッパの小国、モナコ公国やサンマリノ共和国、カリブ海の英領ヴァージン諸島やケイマン諸島などが有名です。それらの国や地域が税率を下げるのは、もともと産業や鉱物資源がなく、税金をとる先がないからなんですね。海外企業を誘致できれば、雇用が生まれ、富裕層が集まれば消費が活発になり、その地域の利益につながります。企業にとってみれば、世界に展開するのに、本拠地をタックスヘイブンに登記し、収益を集約できれば、国によって税率が異なることを気にせず、円滑に取引が進められます。必ずしも誰しもが税金逃れのために使っているわけではないんです。ただ、麻薬や人身売買、テロ、政治家の汚職などのマネーロンダリング(資金洗浄。口座を転々とさせて、資金の出所を不明確にする)の温床になりやすいのも事実。北朝鮮やロシアなど、欧米諸国から経済制裁を受けている国のお金のやり取りに使われているともいわれています。4月に「パナマ文書」がニュースになりました。パナマの法律事務所から、タックスヘイブンを利用する企業の、過去40年分の膨大なデータが流出。それによると、約21万の企業の関係者リストのなかに、プーチンや習近平、アイスランドの首相など、国の要人も含まれていました。文書はドイツの新聞社と国際調査報道ジャーナリスト連合に送られ、現在詳しく調べている最中ですが、リストのデータベースは誰でも見られるよう5月にネット上で公開されました。タックスヘイブンに集められた企業の税逃れ額は、約500兆円あるとか。それらが国税として支払われれば、社会保障に使えますよね。日本では早い時期からタックスヘイブン対策税制を設け、法人税率20%以下の国に登記している会社は、国税庁に届け出ることになっており、国内の子会社から、相応の税がとられています。世界の格差問題につながるテーマ。今後、各国がどう対策をとるのか、要注目です。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月15日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月14日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「一億総活躍社会」についてです。***去年の10月に第3次安倍改造内閣が発足したときに内閣は「一億総活躍社会」というプランを掲げました。安倍政権の経済目標の一番大きい規模のものって、何だかわかりますか?それは2020年までに日本のGDPを600兆円に引き上げるというものです。現在、日本のGDPは500兆円前後。‘80年代の後半に400兆円の大台を突破し、約15年かけてやっと500兆円になりました。バブル期を含んだ成長ですから、今から4年で約100兆円を上げるというのは、簡単ではない数字なんですね。GDPを上げるには方法は2つ。移民に積極的に働いてもらうか、国内に眠っている労働力を掘り起こすか。安倍さんは保守派ですから、移民の受け入れにはあまり積極的ではありません。そこで、女性やお年寄り、障害のある方、難病の方などでも、働ける人を総動員して、国の経済成長を促したいと考えているんです。バブル崩壊後、リーマンショックの起きた2008年頃までは、働きたくても働き口がない、という状況でした。けれども今、日本は人手不足です。サービス産業、製造業、介護や医療の現場で働き手を求めています。「一億総活躍社会」は言い換えてみれば「一億総労働社会」。少子高齢化で、働く年代の人口が減っているのに歯止めをかけたいんですね。今後は定年も延び、年金の受給開始年齢も引き上げられるでしょう。ただ、見方を変えれば悪いことばかりではありません。家庭、地域、職場で個性を生かした多様な働き方を社会全体で支援する。男性女性、障害のあるなし、年齢に関係なく、皆がいきいきと働ける社会を目指すということ。これから日本の労働環境が大きく変わるのかもしれませんね。政府は緊急政策として、「希望出生率を1.8」「介護離職ゼロ」を掲げ、保育や介護のサービスの拡大を目指しています。今、日本では、働いても生活が楽にならないという貧困の問題がありますね。一億総動員はするものの、市場原理にのまれて、ただ安い賃金で働かされ、ちっとも暮らしが豊かにならない、というふうにならないことを祈りたいですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年5月18日より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年05月15日女優の大島優子が出演するチョーヤ梅酒の新CMが、28日に公開された。今回大島は、「さらりとした梅酒」の新発売となるボトルのCMに出演。ドレスコードの白の衣装に身を包んだ大島が、緑の映える屋外パーティーでこのボトルを振る舞い、同世代の女性たちと笑顔が絶えない、楽しい時間を過ごしている姿が描かれている。ウェブでは、メイキング動画も公開。大島がまるで本当にパーティーを主宰しているかのように、アドリブを交えて出演者を盛り上げる様子が映し出されている。また、このボトルに大島が直筆のサインを書き入れている様子も公開。サイン入りボトルは、さらりとした梅酒の20周年キャンペーンで、20人にプレゼントされる。
2016年04月28日東野圭吾のベストセラー小説を阿部寛主演で映画化する『疾風ロンド』のキャスト陣が発表になった。大倉忠義(関ジャニ∞)がスキー場のパトロール隊員、大島優子がオリンピックを目指すスノボードクロス選手を演じ、重要な任務を背負ったスキーが下手な主人公を手助けする重要な役どころで出演する。その他の写真映画は、大学の研究所施設から何者かによって盗まれた生物兵器“K-55”を捜す重大なミッションを担った主任研究員・栗林和幸が、日本最大級のスキー場というヒントを手がかりに奮闘するサスペンスとコミカルなエッセンスを吹き込んだエンターテイメント作品。大倉と大島が演じるパトロール隊員・根津昇平と、スノーボードクロス選手の瀬利千晶は、主人公・栗林から、「あるワクチンが盗まれ、このスキー場に隠された。それを捜している」という秘密を打ち明けられ、人命救助になるならと、どこか怪しげで頼りない中年の研究員に協力するという。大倉は劇中で野沢温泉スキー場のパトロール隊が実際に着ているウェアを、自身のサイズに合わせて作り直したものを着用し、スノーモービルに初挑戦しており、「スノーモービルの運転は初めてだったのですが、坂道とかは限界までスピードを出して挑戦しました」とコメント。大島の役は、オリンピック候補になる実力がありながら、競技を続けるか否かで葛藤している女性で、スノーボードについて「実は、9歳からやっていたんです。もはや、この作品のために、私は9歳からスノーボードをやっていたのだと思って、満を持してこの作品に登場させて頂きました(笑)」と語っている。阿部についてふたりは「撮影現場での立ち振る舞いだったり、ストイックさだったり、自分も見習わなければいけない部分がたくさんありました」(大倉)、「身長差があるのにキチンと目線を合わせてくださいますし、真剣にその一つの内容にむきあって話して下さいました。もっとお話させていただきたいと思いました」(大島)とコメント。一方の阿部は「大倉君は飄々としているというか、本当にかっこいい。それでいてなんか掴みどころのないお芝居をするし、不思議な面白さがあります。大島さんはもうとにかく本当に元気で、野沢温泉の町中に点在する公共温泉全部に入ったんじゃないだろうか?!アクティブですね。これがAKB48でセンターを張ってきた人のパワーなんだなと思いました」と語っている。本作には阿部、大倉、大島のほか、ムロツヨシ、堀内敬子、戸次重幸、濱田龍臣、志尊淳、野間口徹、麻生祐未、生瀬勝久、柄本明らが出演する。『疾風ロンド』11月26日(土)全国ロードショー
2016年04月26日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会の時間」。今回のテーマは「ブラック企業」。***ブラック企業とは、労働基準法に明らかに違反している会社のことを言います。残業の未払いや過重労働の末、不当に解雇されるとか、労災隠しなどなど。ただ実際には、たとえサービス残業が多くても、その分ボーナスの上乗せや、休日の優遇などのフォローがあったり、将来のキャリアアップにつながる場合は、働き手はブラック企業とは考えませんよね。問題なのは、そういうフォローが何もなく、働き手の未来を潰してしまうような企業です。最近はSNSなどの発達で、ブラック企業問題が明るみに出るようになりました。牛丼チェーンの『すき家』のように、それをきっかけに労働環境が改善されたケースもあります。『すき家』では、深夜に「ワンオペ(ワンオペレーション)」という、たった一人で仕入れから調理、接客までを行うシステムを導入し、24時間営業の店舗を広く展開しました。しかし、長時間トイレにも行けず、明らかな過重労働。深夜には強盗に入られるトラブルも多発。従業員のSNSでの悲鳴が世に広まり、株主らの忠告を受け、『すき家』はいくつかの店舗を閉め、深夜営業も制限しました。もしもあなたが、不当に過重労働を強いられている、労働基準法に大きく反していると思われたら、一人で抱え込まずに誰かに相談してください。会社内部の通報窓口も企業側にたっていて、あてにならない場合もないとは言い切れないので、第三者機関に相談することをお勧めします。会社に労働組合がない人のためのユニオンや、「派遣ユニオン」など正社員でない人のためのユニオンもあります。今は「ブラック企業大賞」が毎年発表されていますし、厚生労働省も長時間労働など、年に3回以上勧告をした大企業の名前は公表すると発表しました。企業もいきすぎると自分の首を絞めかねません。とはいえ、人件費を抑えて利益をあげようとするのが企業の常…。もしも、割に合わないと思うならば、心身を壊してしまう前に他を探したほうがよいでしょう。自分の将来につながるかどうか考えてみてください。幸い、今は人手不足。今いるところが全てではないはずです。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月23日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年03月21日連続ドラマ史上初の刑事専門弁護士の巻き起こす痛快逆転劇を描くドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」。本作で、自身初の日曜劇場主演を務める「嵐」の松本潤の代表作「花より男子」が、この度、「春休み!!特別編集版」として放送決定!毎放送後には、「99.9-刑事専門弁護士-」の特別映像に加え、キャスト陣に直撃する現場レポートが放送されるという。探偵役や料理人役、御曹司役など様々な役どころを演じてきた松本さんが、自らが納得するまでとことん追及する超型破りな若手弁護士・深山大翔役を演じる本作。共演者には、深山とひょんなことからチームを組むことになる弁護士・佐田篤弘役の香川照之と、佐田同様に深山とチームを組むことになる立花彩乃役の榮倉奈々、そのほか「相棒」シリーズの岸部一徳、「龍馬伝」「平清盛」の青木崇高、多方面で活躍する奥田瑛二、片桐仁、マギー、渡辺真起子ら豪華俳優陣が名を連ねる。この度、初弁護士役に挑戦することで注目を集める松本さんの代表作ドラマのひとつ「花より男子」&「花より男子2(リターンズ)」が、「春休み!!特別編集版」として放送されることが決定。「花より男子」は、少女漫画誌「マーガレット」(講談社)にて連載された神尾葉子氏による人気コミック。超お金持ち名門高校に通う主人公の貧乏少女が、学園を牛耳る御曹司4人組「F4」とぶつかり合い、様々なトラブルに巻き込まれながらも、持ち前の明るさと雑草魂でたくましく生きていく姿が描かれた痛快青春ラブストーリーだ。2005年、松本さんをはじめ、いまや大河ドラマ「花燃ゆ」で主演を務め上げる井上真央や小栗旬、松田翔太、阿部力ら若手俳優たちを迎えて実写化ドラマ化。シーズン2、劇場版まで制作され人気を博した。今回の特別編集版では、2005年10月期放送「花より男子」を、3月12日(土)14時~、13日(日)15時~、19日(土)15時~、20日(日)15時~の4回に渡り放送。2007年1月期放送「花より男子2(リターンズ)」を、4月2日(土)16時~、3日(日)16時~、9日(土)14時~、16日(土)16時~、17日(日)14時~の5回に渡り放送される。また、放送の最後には、4月17日(日)21時からスタートする日曜劇場「99.9-刑事専門弁護士-」の特別映像や、主演・松本さんが共演者たちに直撃する現場レポートを、放送日ごとに異なるバリエーションで放送することも決定。名作ドラマと、期待度MAXの最新ドラマの特別映像を一気に堪能できることになりそうだ。日曜劇場「99.9-刑事専門弁護士-」は4月17日(日)21時よりTBS系にて放送。「『花より男子』春休み!!特別編集版」は3月12日(土)から4月17日(日)まで、土・日曜の午後帯にて放送。(text:cinemacafe.net)
2016年03月10日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「人工知能(AI)」です。***人間の知能的な働き、学習、推測、判断などをコンピューターが行う人工知能。身近なところでは、googleやFacebook、iOSのSiriなどで、次の行動を予測し、興味のありそうな情報をあげて提案するというのは、AIの技術によるものです。コンピューターが大容量を計算できるようになったため、過去のデータを蓄積し、それを瞬時に計算・分析。データ量が多いほど、より正確な予測が可能になります。私たちがGoogleやFBを無料で使えるのも、代わりに、検索結果や写真などの大量の情報をAIに与えて、より賢くなるよう、トレーニングし続けているからなんですね。株取引でも、プロの投資家が儲け続けられるのは、株の値動きをAIが判断して、的確な売り買いをしているからなんですよ。人工知能の発達は予想以上に早く、「人工知能が人を追い抜いて、支配する世界が来るかもしれない」とスティーブン・ホーキング博士は警鐘を鳴らしています。ビル・ゲイツさんも昨年取材した時に「医療、医薬品の開発には極めて有効に働くだろう。でも、労働部門では多くの仕事が失われることになるので、対策をしないと取り返しがつかなくなる」と話していました。オックスフォード大学でAIを研究するマイケル・A・オズボーン准教授は、702の業種について将来どれだけ自動化されるかを調べたんです。すると10~20年の間に、アメリカの総雇用者の47%が自動化されるリスクがあると、衝撃的な発表をしました。今後、電話オペレーターや保険の審査、レジ、ホテルの受付、薬を処方するなどの簡単な医療サービスはとって代わられるでしょう。介護の現場でも、感情に左右される人間よりも、献身的に働くAI搭載のロボットの方がよいという説があります。また、過去の判例を分析すれば弁護士や検事もAI化が可能に。軍事ロボットも開発されていますし、今後はAIを使う側の倫理観が問われますね。将来、機械に仕事を奪われる不安に怯えるのではなく、じゃあ、人にしかできないことは何だろう?と考えることが、新しい価値を生むチャンスになるかもしれません。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月9日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2016年03月02日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「GDP」です。* **この連載でも頻繁に出てくるGDP。正式名称は「Gross Domestic Product」で、国内総生産と訳されます。国内で、一定期間内に新たに生み出された商品やサービスの付加価値の合計を指し、経済成長を測る指標になります。りんご農園にたとえると、初年度の収穫が50個だった。翌年、ビニールハウスを作り100個に増やした。するとGDPは2倍ということ。収穫の半分をジャムにして、りんごのまま売るより利益をさらに上げたら、その分GDPに反映されます。何の工夫もせずに同じ個数しか収穫できなかった場合は、経済成長ゼロとなるのです。GDPには名目GDPと実質GDPがあり、物価の変動を反映させたものが実質GDP。GDPが2期連続して下がると、景気後退と判定されます。現在、世界のGDP1位はアメリカ。2位が中国、日本は3位。日本はずっとベスト3に入る経済大国でした。ただし、これは国全体の話。日本の1人当たりの名目GDPは、3万6000ドルで前年比6%減少。1996年には主要国中3位でしたが、2000年代から下がり続けて現在20位。上位にはルクセンブルクやノルウェー、スイスが入っています。資源を持っていたり、金融サービスに長けていると上位に入りやすい。ちなみにアメリカは7位。シェールガスを持っていますし、莫大な利益を生む新しい金融商品も開発しています。政府が規制緩和をして、新しい産業が生まれやすくしていることも功を奏していますね。対して日本は、開発できる資源には限りがあり、広い意味でのサービス業が中心です。デフレだと、サービス業全体が安価競争になり、懸命に働いても得られる利益が少ない。また、GDPはドル計算なので、円安も不利になっています。国の経済成長を促すには、個々の変革も大切です。あなたは前年に比べ、新しい付加価値を生む何かをしましたか?収入の一部を使って英会話学校に行くことが、転職時に役立って高いお給料をもらえようになるかもしれません。投資信託を始めるでも何でもいいんです。未来のための自己投資が、経済の成長につながるかもしれません。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月2日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年02月27日元AKB48の大島優子が5日(金)、都内で行われたフジテレビ系特番「大島優子のアイスランド オーロラ舞う火山島」の記者発表会見に出席。久々の水着ショットをアピールした。毎年テレビ静岡が放送する「地球感動スペシャル」の第26弾。大島さんが旅人となり、北太平洋に浮かぶ島・アイスランドを訪れる。ヨーロッパ最大の氷河ヴァトナヨークルトや北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界ギャウ、オーロラなどを目にする。地熱を利用した温泉を体験した大島さんは「水着も旅に出る前に“これがいいかな?”と選んだもの。色は発色の良いオレンジピンクですが、期待されない方がよろしいかと思います」と控えめにお色気ショットをアピールするも「温泉は最高です!」と声を弾ませた。完成した番組について大島さんは「素っ裸にされた自分を見ているようで、アイスランドの力で素っ裸にされて、無垢な自分を見て恥ずかしくなった」という一方で「自然体でいることがいいなと思えた。自然のままにありのままに自分が思うままに自分と向き合って生きたらいい。肩の荷が下りて楽になりました」と旅を通して心境も変化。人生初のオーロラも目撃し「今でもすぐに思い出せるくらい感動した」と目を細めた。マダラ漁にも挑戦したが「“釣りで魚を取って来ないと、夜のゴハンはない”とサバイバルゲームのような宣言をされた。釣れて良かったと思ったら、今度は“自分で料理して”と言われた」と過酷ぶりを回想。魚を上手くさばくことが出来なかったようで「料理はするんですよ、でも魚はさばいた事がなくて。得意料理?鍋です。料理じゃないか…」と肩を落としていた。フジテレビ系特番「大島優子のアイスランド オーロラ舞う火山島」(テレビ静岡制作)は、3月6日(日)16:05~放送。(text:cinemacafe.net)
2016年02月05日東海汽船は1月19日、伊豆大島で開催される「第61回大島椿まつり」(1月31日~3月21日)にあわせ、静岡県東伊豆町稲取港と大島の間にまつりの期間、高速ジェット船を運航することを発表。 同路線は2003年7月に休航して以来の復活となり、稲取=大島=館山(千葉県)を「海のフラワーライン」として結ぶ。同社は2015年9月より、高速ジェット船4隻のうちの1隻「セブンアイランド愛」に対して内外装ともにリニューアルを行っている。このセブンアイランド愛は新たな試みとして、船内階段や1階フロアの壁に「消しゴムはんこ」の第一人者である津久井智子氏による大掛かりな壁画作品を制作する。その他、照明のLED化、手洗いも真空吸引式となり、壁・じゅうたん等も一新する。また、外装は柳原良平氏によるハートを模したデザインはそのままにクリア塗装を施し、より明るいデザインとなる。なお、館山=大島航路に関しては、2月6日~4月3日のみの運航となる。
2016年01月19日販売開始!福岡市に本社を置く株式会社エバーライフは、2015年12月10日(木)より初の機能性表示食品である「栄潤(えいじゅん)」の販売を開始している。「栄潤(えいじゅん)」は、「非変性2型コラーゲン」を配合しており、ひざの関節の可動性や柔軟性を助けることを目的とした商品だ。初の機能性表示食品「栄潤」はエバーライフにとって初の機能性表示食品。栄潤に含まれているコラーゲンは、「非変性2型コラーゲン」であり、アメリカのハーバード大学や、ヒューストン大学、インターヘルス社らと共同開発をおこない、天然に近い形での原料化を実現している。ひざ関節の成分といえば、「コンドロイチン」や「グルコサミン」などの印象が強いが、実はこれらが全体に占める割合は、3~5%程度。しかしながら、「非変性2型コラーゲン」は全体の15%~20%をも占めるという。「120日間応援定期コース」同社では、実験で「非変性2型コラーゲン」を120日間継続飲用した結果、ひざの可動域が改善したとの結果がでていることから、「120日間応援定期コース」を用意。120日間連続での連続飲用をサポートする。(画像はプレスリリースより)【参考】・「健康食品皇潤」でおなじみのエバーライフより非変性2型コラーゲンの働きで、ひざ関節の柔軟性、可動性をサポートする機能性表示食品「栄潤(えいじゅん)」を新発売
2015年12月29日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「日米同盟」です。* **日米同盟とは、日本とアメリカの同盟関係のこと。日米安全保障条約が基本になっています。日米同盟の歴史は、第二次世界大戦にまで遡ります。日本は戦争に負けたあと連合国軍のGHQに占領されました。そして1951年にサンフランシスコ平和条約が結ばれ、民主主義国家として主権を回復します。そのとき、日本軍を再編するかどうかが問題になったのですが、GHQのマッカーサーが許可しませんでした。日本が軍隊を作らないかわりにアメリカ軍が日本を守ることになり、他国の軍隊は撤退。このとき、「日米安全保障条約」が結ばれました。ところがそれは、米軍が日本を治めるという不平等な内容だったんですね。その後、本来の主権を取り戻そうと、’60年に改定。「日米地位協定」が結ばれました。集団的自衛権を使って、引き続きアメリカ軍は日本を守る。そのかわり日本は米軍に土地を無料で提供する。しかも、基地内の事件を日本の司法は裁くことができません。これも不公平と、反米、反戦運動がさかんになりました。学生のデモ隊と警官が衝突する「安保闘争」のニュース映像はみなさんもご覧になったことがあるでしょう。その後アメリカは何度か軍の撤退を匂わせたんですが、実は撤退してほしくない事情が日本にはあった。というのも米軍がいるおかげで、日本は防衛費をかけずに経済成長に集中できたんですね。また、米軍が日本にいるということでロシア(旧ソビエト)や中国、北朝鮮など周辺諸国に対して抑止力になっていました。’78年からは通称「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)として、日本に駐留する米軍の経費の一部を日本が持つという気遣いもはじめました。戦後70年たってもアメリカの傘下にあり、強く言えない立場のままでいいのか、という意見もあります。でも、日米関係を本当にフェアにしようとしたら日本は軍隊を持ち、危険にさらされながら自分で身を守らなければいけなくなります。少ない財政のなかから、それだけの軍事費を何を削って捻出すればいいのか?日米同盟は、「日本を誰が守るか」という問題に直結する、いままさに転換期にきているんですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年12月9日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年12月07日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「混合診療」です。* * *来年の春から、混合診療が解禁になります。混合診療とは、みなさんが通常病院で受けている「保険診療」と、保険外の自費でなされる「自由診療」を合わせた名称。今後、希望者は保険診療のほかに自由診療も受けられることになり、公式には「患者申出療養制度」と呼ばれています。これまで日本は、自由診療を禁じてきました。自由診療を認めてしまうと、お金持ちの人はいくらでも高い料金を払って医療を受けようとする。すると、病院側も儲かるほうにシフトして、お金のない人が十分な医療を受けられなくなってしまう。お金がないために助かる命が助からなくなる、そんな命の格差が生まれるのを避けようと、認めてこなかったのです。収入に関係なく、誰もが同じような医療サービスを受けられるようにしていました。唯一の例外は、歯科医療。歯医者さんで詰め物をするときに聞かれませんか?「保険なら◯○円ですが、保険外のインプラントなら◯万円です。どちらを選びますか?」と。自由診療では金額は基本、病院の言い値ですから、病院によっても値段は変わります。これまでは薬も、厚生労働省の厳しい基準をクリアしたものしか使えませんでした。ところが患者申出療養制度の導入によって、厚生労働省が承認していない薬も、今後は使えるようになります。難病の人やガン患者にとっては嬉しいニュース。混合診療に門戸が開かれるようになったのは、安倍政権の成長戦略の一環です。規制を緩和することによって、製薬メーカーは新しい薬を次々に売り出せるようになります。国立がんセンターの調べでは、来年に投入できる抗がん剤は42剤。大半は、1か月あたり100万円を超える薬剤費が自己負担になるだろうとのことです。従来の医療は国のお墨付きがありましたが、自由診療になれば患者は医師を信じるしかありません。万一、医師が製薬会社や医療機器会社と癒着して法外な医療費を請求しても、患者には判断できない。TPP協定が結ばれれば、海外の製薬会社の薬もさらに入ってくるでしょう。医療の選択肢は広がりますが、リスクも否めないんですね◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年12月2日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年12月01日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「憲法」です。***11月3日の文化の日は、70年前に日本国憲法が公布された日です。ところでみなさんは「憲法」と「法律」の違いはわかりますか?「憲法」とは国家をしばるもの、国民をしばるものが「法律」です。「国民の人権を尊重すること」「誰もが等しく教育を受けられる権利を与えること」など、国家権力が国民に対して何をするべきかを定めたものが憲法。一方、窃盗を禁じたり(刑法)、遺産の分配を決めたり(民法)など、国民が守らなければいけないルールが法律です。憲法は国家をしばるものですから、強大な力を持っています。憲法を変えるというのは大変なこと。改変の手続きは国によりますが、日本の場合、衆議院、参議院の3分の2以上による可決と、国民投票で過半数の賛成がないと、改憲できません。日本は制定以来一度も憲法を変えていません。たとえばドイツでは59回改憲が行われました。EUに参加したり、東西ドイツが統一したりと国に大きな変化があったので、対応する必要があった。時代に合わせてその都度改正をしてきましたが、骨格は変わっていません。自由民主党は結党以来60年間、改憲を訴えてきました。来年の参議院選挙の後には憲法改正にとりかかると安倍総理は公言しています。いま、戦争の放棄をうたう憲法9条の改憲問題に注目が集まっていますが、僕は12条も要注意だと思っています。12条には、国民の自由と権利が侵されないように国民は「不断の努力」をしなければならず、濫用してはいけないこと。また、「公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」と書かれています。「公共の福祉」とは、Aさんの自由をBさんも保障する義務がある。公の利益のために個人が犠牲になるのではなく、国民が互いに目を光らせて、個々の自由や権利が奪われないようにしましょうという意味です。自民党の改正案にこの言葉はなく、「公益及び公の秩序に反してはならない」となっています。主体が国になりますから、意味は大きく変わりますね。憲法は私たちにとってとても重要。次の参議院選は、今後の憲法を左右しますから、じっくり考えて投票しましょう。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年11月11日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年11月04日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「中国経済」です。***中国のバブルがついに崩壊したのか、と騒がれています。バブルとは、過剰に資金が市場にあふれ、実際のモノの価値を上回り、お金がお金を呼ぶ状態をいいます。たとえば100円のペットボトルの水が、300円でも買う人が出てきて、やがて600円で転売されるというような、正当な価値を越え高額で取引されてしまうのです。中国のバブルはこの10年くらい。まず、不動産バブルが起き、過剰な土地開発がなされるようになりました。昨年春ごろから不動産の値崩れが始まり、やがてお金は不動産から株の投資に回されました。上海の株式市場は時価総額500兆~600兆円規模の取引、1071社が上場し、東京証券取引所を大きく上回る規模になっています。株は儲かる、という話は中国の農村部まで広がりました。中国では、借金をして株取引ができるので、自分の持つ以上のお金を投資に回す個人投資家が倍増。短期間に大きな利益を得ようと賭博のような投資が増え、株相場の動きが極度に激しくなりました。普通、為替レートは市場で決まり、故意にコントロールはできません。ただ、極度な円高や円安になると市場全体が不安定になるので、国際協調策として、国が介入し、自国の通貨を買い上げることがあります。ただその場合も自由勝手にできるわけではなく、主要関係国に事前に打診をしてから行います。国際通貨である円、ドル、ユーロ、ポンドはその手続きを踏みますが、中国は国際市場から切り離されているので、中国政府が勝手にレートを決めてしまうんです。ニュースで出てきた「人民元切り下げ」というのは、中国政府が操作をして元安にしたということ。元安になれば、中国の輸出産業が儲かります。中国は共産主義なので、国の操作も多く、実態は不透明。やがて中国経済に破綻が起き、リーマンショックのときのように、世界経済に波紋を及ぼすのでは、と投資家たちは疑心暗鬼になっています。でも、中国国内だけの問題にとどまるだろうという意見もあります。国際市場が不安定になると、安定している円を買う人が増えるので、自然と円高に。すると日本の輸出産業は損をしてしまうんですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年11月4日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年11月02日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「オリンピック」です。* **まもなく体育の日。体育の日は、1964年東京オリンピックの開会式が開かれたことにちなみ、国民の祝日となりました。5年後に再び開催される東京オリンピック、パラリンピック。残念ながら、新国立競技場やエンブレムデザインなど、トラブルが続きましたね。そういうことが起きるようになったのも、オリンピックに大きくお金が絡むようになったからなんです。近代オリンピックは、古代ギリシャ・オリンピアの精神を引き継いで、19世紀に復活したアマチュアスポーツの祭典。国家や人種の違いを超え、スポーツを通じて多様性を認め合うという高い理念を掲げています。それがやがて、国の威力をアピールする「国威発揚」を目的に使われていきました。最たる例が、ナチスドイツの行ったベルリン五輪。定番の「聖火リレー」は、この時に始まったんです。そして、年々演出が華やかになっていきました。昔は、開催資金はすべて開催国が負担することになっていて、モントリオール五輪では、10億ドル(当時のレートで約3000億円)の大赤字に。小さな国では開催ができなくなってしまうので、民間スポンサーをつけてよいことになり、’84年のロサンゼルス五輪からは1業種1社のみに絞るシステムになりました。すると広告料が競り上がり、テレビの放映権も高額に。ここから商業ベースにのったオリンピックがスタートしたんです。2020年の東京五輪も、既存の施設を使うとはじめは打ち出していたのに、これを機に景気回復に拍車をかけようという流れに変更。白紙になったザハ案の競技場の予算2500億円は、過去に開催された競技場代の4大会分にまで達していたんですよ。オリンピックに比べ、パラリンピックの報道はまだ少ないですね。でも、いまパラリンピックが熱い!義手や義足などの器具が発達し、オリンピックと差異ない記録が出始めています。「多様性を認める」という理念を掲げるなら、健常者と一緒になって戦える、オリンピック・パラリンピックの混合競技を作るとか、東京オリンピック発信で、新しい価値観を提案できたらいいと思いませんか?◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年10月14日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年10月13日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「ドローン」です。***総理官邸の屋上で発見されたり、テレビ局のドローンがイギリス大使館に落下したり、善光寺ご開帳のときに15歳の少年が飛ばして落下させたなど、ドローンに関するニュースが立て続けに流れました。「ドローン」とは、無人航空機、マルチコプターのこと。ラジコンのように操作をし、高度なものはGPSを複数搭載していて、位置を指定すれば、自分で目的地を測定して向かうことができます。ただ、風にあおられやすいのが弱点。事件が続いたあと、一気に規制が始まりました。現在は、周辺重要地域、住宅密集地で飛ばすことは禁止されていますし、都の条例では公園での飛行禁止、実質東京23区内では飛ばすことはできません。もともと日本はドローン大国なんですよ。山間部の農地など、狭くて人が行きづらい場所で農薬をまくのによく使われています。いま、ドローンは撮影や測定など、「目」の役割を主に担っていますが、やがては「手足」、モノを掴んだり、作業するのに使われるようになるだろうといわれています。たとえば、火山の、ガスまみれで人が入れない火口の砂を入手して、噴火の具合を調べるというようなことに使われるでしょう。ブラジルやインドネシアでは、輸送に使うことを検討中です。アマゾンの森林を切り開いたり、インドネシアの島々に橋をかけるなど、大掛かりなインフラ整備はコストも時間もかかり環境破壊にもつながり、実現が難しいのですが、ドローンでモノを運べるようになれば便利ですよね。現在、ドローンの操作に免許はいりません。誰でも自由に購入できますが、届け出制にすることも検討されています。今後の課題は空の交通整理を誰がするのかということ。飛行機には国際的な航空法があり、管制官が管理していますが、ドローンの飛行を整理する方法はいまのところありません。OK Goの「I Won’t Let You Down」のMVをご覧になったことはありますか?原野守弘さんがディレクションした作品で、ドローンを使った一発撮りなんです。こんなふうな豊かな使い方もあるのかと衝撃を受けますよ。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年10月7日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年10月03日