●東京オリンピックを視野に入れた技術が中心NTTは東京都三鷹市にあるNTT武蔵野研究開発センターにおいて、2月18日・19日で「NTT R&Dフォーラム」を開催する。今回、一足先にプレス向けの内覧会が実施されたので、その一部を紹介しよう。○2020年を目指した最新技術を展示NTT R&Dフォーラムは、同社グループで広く研究開発が進められている技術を一堂に会して紹介する年1回のイベントだ。基本的にはグループおよび取引企業向けで、事前の参加登録が必要だが、NTTグループの社員に紹介してもらえれば、一般ユーザーでも参加できる。NTTドコモも単独で秋に、横須賀にある同社のR&Dセンターで技術内覧会を開催するが、それをグループ全体の規模で行うものと思えばいい。今回の展示では2020年、東京オリンピックを視野に入れた技術開発が中心。イベント専用にスマートフォンアプリ(iOS、Android用)が用意されており、「アングルフリー物体検索技術」を使い、展示物をスマートフォンで撮影することで情報にリンクさせる「かざして案内」、スマートフォンの現在位置をBluetoothビーコンで把握して混雑具合をリアルタイムに表示する「混雑マップ」、同様にWi-Fi電波強度を可視化する「Wi-Fi強度マップ」などが利用できる。このほか、会場中央ではプロジェクションマッピングを利用したサイネージによる情報提示や、前述した混雑マップ、Wi-Fi強度マップなどの利用状況を確認出来る「Showcaseコックピット」が展示されている。このほかにもIoTをターゲットにしたり、AIを使った技術の展示が多く行われていた。その中からスマートフォンと関連の深いものに加え、筆者の印象に残ったものをいくつか紹介していこう。○臨場感あふれる映像配信の追求NTTグループでは2020年の東京五輪をめどに、4Kや8Kといった映像配信を、競技場にいるかのような臨場感が味わえる技術紹介も行われていた。プロトコル面から音、映像の撮影法にいたるまでさまざまな技術が展示されている。そしてこれらを「イマーシブテレプレゼンテーション技術 Kirari!」と総称し、「競技空間を丸ごと遠隔地に伝送し、再現する」体感を目指しているという。今でもスポーツ競技やコンサートなどのパブリックビューイングは行われているが、これをより高精度に、臨場感あふれるものとするのが目的。東京オリンピックでは、日本各地でこうした技術を使った観戦ができるのを期待したい。○スマートフォンで手軽な3Dホログラフィック前述した映像配信「Kirari!」のモバイル版として展示されていたのが、スマートフォン向けのホログラフィック表示システム。入り口で配布されていた紙製のキットを組み立て、上にスマートフォンを置くと、箱の中に3DCGのコンテンツが浮き上がる仕組み。構造的にはハーフミラーを使った単純なものだが、コンテンツの表示部を調整することで浮き上がる位置(距離)を制御できる点がポイント。表示する「箱」もかなり安価に作れるため、イベントなどで配布する際のコストも低くおさえられる。技術的にも複雑なことは少ないため、はやく市場に出回ってほしい技術だ。●今後に期待した技術が満載○見たものの名前を教えてくれるポータブル端末パナソニックとの共同開発として展示されていたのが「透明型ディスプレイを搭載したシンプルなポータブル端末によるおもてなしサービス」。展示では透過型の有機ELパネルと、カメラを内蔵した端末から構成されており、透過パネル内に対象を収めると、画像認識でその対象物の名前が表示されるデモを行っていた。これだけならただの「ちょっと変わった端末+画像認識技術」だが、認識技術はNTTが独自に開発したもので、対象物がどんな角度でも表示できる柔軟性がポイント。わずか6箇所の特徴を記録しているだけなので、データ容量が小さく済み、低解像度(展示ではVGA)のカメラでも正確に認識できるという。また端末側もかなりローコストに作成でき、ローエンドスマートフォンよりも安く作れる可能性があるとのことで、観光地でのガイダンス用に加え、博物館などの展示説明用にも役立つだろう。ソフトウェア的にはスマートフォンやポータブルゲーム機のアプリとしても実装できそうで、端末を問わずあちこちで使えるようになれば便利そうだ。○ロボットやIoTをつなぐ「R-env」市場にはさまざまなロボットやIoT機器が増えてきたが、外部から制御できるものでも、制御コマンドの違いやプログラミングの手間などが障害となって、カスタマイズするのは難しかった。こうした機器同士を組み合わせ、ユーザーの行動に対して処理を返すようにすれば単独で使うときよりも複雑な処理を可能にするためのソリューションが「R-env」(レンブ)だ。R-envはウェブブラウザベースで動作する一種のプログラミング環境で、制御のインタフェースを統一し、ほとんどマウス操作だけで条件分けされた反応を返したり、複数の機器が連動する動きを設定できる。R-envとロボットをつなぐAPIはオープンな規格として展開し、多くのメーカーの参加を期待したいとのこと。操作も簡単そうで、さまざまな利用法が考えられる。●ニコ生でも放送中○ドコモの11adの使い方の方向性が固まる今年、ハイエンドスマートフォンに搭載されると見込まれる60GHzのミリ波を使った無線LAN規格「IEEE802.11ad」については、通信速度こそ高速だが、距離が短く障害物などですぐ通信が切れてしまうこともあり、公衆無線LAN的な使い方には向いていない。NTTドコモとしては、電車や飛行機内での販売や、人が集まる区域などでタッチ式のデジタルコンテンツ販売端末に利用する考えだ。NFCやFeliCaと組み合わせることで決済も同時に行える。ダウンロードは350MB程度のムービーが4~5秒と、かなり高速。現時点では9GHz・4ch使える帯域のうち1ch分(2.16GHz)しか使っておらず、2Gbps程度ということだったが、むしろメモリなどがボトルネックになってこれ以上速度を上げるのは難しいだろう。○目の動きで好みがわかる?基礎技術の展示にあったのが、眼球の動きを検出することで「2つ並んだもののうちどちらが好みか」を当てる技術。確率は90%程度ということだったが、試してみたところ見事に言い当てられた。現在は正確性を増すために顔の位置も固定しているが、スマートフォンのカメラでも虹彩のパターンで個人認証ができる時代だ。デバイス側がもう少し進化すれば、スマートフォンでも同様の調査ができるのではないだろうか。やや未来よりの技術だが、大変興味深かった。この他にも多数の展示があってとても紹介しきれないのだが、運良くチケットが手に入り、会場に足を運べる方はぜひ見に行ってみていただきたい。NTTという巨大なグループの持つ底力がうかがえる展示会だ。また、今回発表された内容の一部は、ニコニコ生放送「NTT R&Dフォーラム2016 『想像していた未来』が目の前に!」として18日20時から配信される。会場に行けない方は、こちらで未来の技術を一足早く体験してみてはいかがだろうか。
2016年02月18日キーエンスはこのほど、包装機械や容器・ラベルについての基礎知識が学べるWebサイト「包装技術入門」を公開した。「包装」にかかわる技術は、製造ラインにおける生産性や、製品自体の品質を高めるために欠かせないものとなっている。その一方で、包装にはさまざまな種類があるため、製品特性にマッチした最適な包装形態を選ぶためには、それぞれの違いや特長を把握する必要がある。「包装技術入門」ではこうしたニーズに応えるため、包装機の種類ごとの解説をはじめ、容器・ラベルなどの各種包装形態の概要・特長が掲載されている。具体的には、製袋充てん機/容器成型充てん機などの「包装機械」、缶/ビン/軟包装などの「容器の種類」、シュリンクラベル/グルーラベルなどの「ラベルの種類」の3カテゴリに関するトピックのほか、賞味期限印字など、印字工程に関する改善事例集も用意されている。
2016年02月16日VSNは2月9日、IT技術者を対象に実施した、「今後、現場におけるニーズが高まると思うIT技術に関する調査」の結果を公表した。有効回答数は164件。調査期間は2015年9月16日~10月7日。今後、現場におけるニーズが高まると思うOS・サーバ・ストレージ・データベース分野におけるIT技術については、「仮想化」「クラウド」に関する技術ニーズが「1年以内」では最も高いニーズとなった。「3~5年以内」で「1年以内」よりニーズが高くなりそうな技術は「Windows Server 2016」「OpenStack」「Hadoop」が挙げられている。ネットワーク・セキュリティ・運用関連では、「1年以内」にニーズが高まる技術として「SDN」「次世代ファイヤーウォール」「総合運用ツール」が上位に挙げられた。「3~5年以内」で「1年以内」よりもニーズが高くなりそうなのは「IPv6」、「ITプロセスオートメーション」という結果となった。開発ツール・方式・言語に関しては、「IoT」が「1年以内」「3~5年以内」共に上位となる結果に。「1年以内」では、次いで「Java」「Python」が挙げられている。「3~5年以内」のニーズでは、「Java」「DevOps」のニーズが「1年以内」のニーズと比べて低い予想となった。
2016年02月09日1月12日から15日まで東京ビッグサイトで行われていたウェアラブルEXPOでは、さまざまな新技術や製品がお披露目されていた。ここではセンサー類と、技術そのものについて触れてみたい。○5cmの高低差もわかる気圧センサーやスマホから使える統合センサーオムロンブースでは圧力センサーを発表。感度を最大に上げると、5cm単位の上下移動を検知できるという。利用例としては、腕の位置で計測値が変わる血圧計に組み込み、腕の高さを合わせるというデモを行っていた。歩数計に組み込めば、「坂を上っている」と「平地を歩いている」の差を判断して消費カロリー推測に役立つと、自社のコンシューマー製品を意識した説明だった。また、各種センサー(温度、湿度、照度、音量、気圧、加速度)を、腕時計くらいの大きさに統合した環境複合センサーをコンセプト展示。現場での熱中病防止、オフィスでの環境チェック、見守り用といった応用例を紹介していた。ロームは、複数のセンサーを集めた「ロームセンサーメダル」を展示。圧力・加速度・地磁気センサーと管理用プロセッサ、そして通信用のBLE(Bluetooth Low Energy)モジュールを一体型にしたものだ。得られたデータをスマートフォンアプリで処理・表示させるという、ロームのセンサーデバイス評価キットとなっている。センサーメダルという名前が示す通り、33mmの円形だ。体のあちこちに取り付けてセンシングする使い方も想定している。○非接触給電規格の違いを気にせず使える端末用ICスタートアップブースでは、MAPSがワイヤレス給電のICを展示していた。現在のワイヤレス給電は、WPA(Qi)、A4WP(Rezence)、PMAという3つの規格があるが(正確にはA4WPとPMAが統合してAirFuelという名称になっている)、MAPSが開発したICはこの3規格すべてに対応する。使用している無線の周波数がA4WPとWPC/PMAで異なるため、3規格すべてに対応するにはアンテナが2本必要。だが、アンテナを1本にしてWPCとPMAだけ対応という設計も可能だ。ワイヤレス給電のデファクトスタンダードが確立する前に、ユーザーが対応規格を気にせず利用できるのは嬉しい。○おまけ(あまりウェアラブルではないもの)NTTアドバンステクノロジは、高騒音下の中でもクリアな音声を伝えるマイク「R-Talk HS310」を展示。元々はソフトウェアライブラリとして発売していたが、単体製品を望む声に応えたそうだ。アミューズメント施設や工場、コンサート会場といった騒音レベルが高い場所でも、スタッフが円滑に音声連絡や音声認識を行えるという効果が期待されている。ヘッドセットには、音声収録用のマイク(2本)と環境音取得のマイク、合計3つのマイクがあり、音声のみをきれいに拾い上げる。アミューズメント施設を想定したデモでは、ややエコーなどの不自然さがあったものの、騒音が見事にカットされていた。セメダインブースでは、同社の導電性接着剤SX-ECAシリーズを使用した光る服を展示。正確には製品版ではなく、抵抗値を下げて配線として使いやすくした試作品を使用しているそうだ。単に導電性のある接着剤のほか、配線にも利用できるという。現在は一般市販されていないが、発表以来かなり反響があったため、販売を検討しているそうだ。イノテック、ローム、スター精密の合同ブースでは、電源なしのBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンを使ったソリューション提案をしていた。スーパーやショッピングモールでの行動調査として、BLEビーコンを使って位置を判断するというのはよくある話だが、提案ではカートにBLEビーコンを取り付けている。しかも、車輪の動きで発電(エナジーハーベスト)するため、電池交換が不要だという。カートが止まっているとデータが送られてこないが、止まっているカートからもデータが来ると不必要なデータが増えるので、これで問題ないという説明だった。データ収集用の機器は、蛍光灯型の照明機器に組み込むため、工事も容易だという。
2016年01月19日●各ファウンダリのプロセス技術をまとめる2015年11月に米サンタクララで開催されたARM TechCon 2015のレポートは既に3本ほどお届けした(その1、その2、その3)が、このレポートはちょっと毛色を変えて、そこで紹介された各ファウンダリのプロセス技術をまとめてみたいと思う。12月に開催されたARM Tech Symposiaの場合、日本国内の半導体メーカーの減少に加え、新規にARMのIPを使って自社専用のASICを起こそうという顧客も少なくなったので、ARMの最新技術と、パートナー企業によるARMのIPを使って製造されたSoC(アプリケーションプロセッサとMCU)の製品紹介が主になる。しかし、ARM TechConの場合、実際に自社でASICあるいはASSPを作ろうと計画しているメーカーのエンジニアがやってくる。これもあってか、Technical Sessionの中には少なからずプロセス絡みの話が入っている。特に先端プロセスに関しては、ファウンダリによるものに加えて、EDAツールベンダーとメーカーが共同で発表を行うことも珍しくない。例えば今回でいうと、TSMCの10nm FinFETプロセスに対するCPUコアのImprementationは、ARMとCadenceの共同セッションであった。ただ、ここでは普段の記事などで出てくる「xxプロセスなので消費電力が減るor動作周波数があがる」的な話はあまりない。何故ならその話をするには、あまりに多くのパラメータが絡んでくるからである。とはいえ、ファウンダリ3社(TSMC、Samsung、GLOBALFOUNDRIES)の先端プロセスの話を聞ける有意義な機会であることに間違いなく、実際Intel以外の製品はこれら3社のどれかのプロセスで製造されているから、ここで出てきた話は自ずと未来のPC向け製品の話に繋がってくる。ということで、いくつか目に付いたトピックを紹介したい。○TSMC 10FF - メリットは大きいが設計がより困難に「メモリ以外の」生産能力という意味では言うまでも無く世界最大のファウンダリとなっているのがTSMC(Photo01)。TSMC以外のデータは? ということではやや古いがこちらを参照してほしい。リンク先のFigure 2を見ると、300mmウエハのトップ4はどれもメモリベンダーで、ここからメモリを抜くと間違いなくTSMCがトップである。またメモリにはもう使われない200mmウエハでもTSMCがトップになっている。同社はGIGAFAB 12/14に加えて15も台湾に保有しており、今度は中国に16nmプロセスのFabを作るとか作らないとかいう話になっている(Photo02,03)。ここから考えると、今後も間違いなくトップリーダーの立場を維持していくだろう。さてTSMCのプロセスについて紹介すると、すでに16FFと16FF+は量産を開始している。これを利用した最終製品としてAppleのA9が広く出荷されているのはご存知の通りだ。16FFと16FF+は順調ということもあり、いまの関心は10nmに移りつつある。TSMCによると、10FFでは従来とおなじ動作周波数なら70%のリーク削減、同じリークならば動作周波数30%アップ(Photo04)としている。16FF+の場合、動作周波数を基準の1.4倍あたりまで引き上げたあたりでリークが急増、1.8倍あたりで垂直とは言わないまでも猛烈な跳ね上がり方をしているのが、10FFでは大分なだらかになっているのが分かる。一方エリアサイズ(Photo05)も、大幅に削減可能だ。もともとTSMCの16FF/16FF+もSamsung/GLOBALFOUNDRIESの14LPE/14LPPも、トランジスタは16/14nmだが配線層は20nm相当なのに対し、10FFでは10nm相当のものになるから、理屈で言えば密度は4倍になる計算だ。もっとも実際にはそこまで高密度化できない(特に配線層の制約が大きい)のだが、それでも大雑把に言って密度を倍にできるとしている。また先にLeakage、つまりStatic Powerの削減が成し遂げられるという話はあったが、Dynamic Powerもおおむね37%削減できるとしている(Photo06)。とまぁここまでは良い事尽くめの話なのだが、ここから先は面倒な話が出てくる。10nmの設計は基本的にはevolution、つまり16nmの延長線上にある(Photo07)というのだが、IR drop(配線抵抗と電流の積、つまり消費電流)が非常にクリティカルになるという。またDRC(Design Rule Check)のルール数も着実に積みあがっており、設計が壮絶に難しくなることが示されている。この設計のための指針がこちら(Photo08)なのだが、さらっととんでもないことが書いてある。これについては後で別の例が出てくるのでその折に触れるが、とりあえず設計はできても、そこから最適化に果てしない時間が掛かる(か、猛烈なコストが掛かる)という話である。そのDesign Considerationはいくつか挙げられているのだが、先のPower Gridまわりで言えばPhoto09のような話がある。これは最適化しないPower Gridと最適化したものでは、同じ動作周波数でもエリアサイズが変わるというもので、Cortex-A9の場合に何も考えずに設計するとエリアサイズが1割ほど大きくなるという結果が出ている。もっと複雑な最近の回路では、もう少し差が大きくなるかもしれない。配線層だが、10FFではPhoto10のような形になるそうである。最終的に配線層がどの程度になるかは設計次第だが、さらに層数が増える事は間違いない。余談ながら、10FFの場合M1~M3の構築にはDouble Patterningが必須となるそうだ。○10nm世代で必要とされる"Coloring"さて、10FFでもう一つ、今度はARMとCadenceによるスライドを簡単に紹介する。P&R(Place and Routing)に関して、28nm世代からDouble Patterningが必須になったが、10nm世代ではもうDouble Patterningでは限界ということで、Triple Patterningが必須になった。この結果として、新たにColoringと呼ばれる概念が導入されることになった(Photo11)。Coloringとは? という話は後述するとして、Photo12はDRCの数字だが、先のPhoto07と比べると20nm以降で急に増えているのがわかる。このあたりはEDAツールによっても変わるのだろうが、設計の際の制約条件がどんどん増え、最適解を見つけるまでの時間がより掛かる傾向にあるのは間違いない。続いてColoringとは何か? の話。Multi-Patterningの場合、隣接する配線は別々のPatternにしないといけない(でないとパターンがくっついたり変形したりしてしまう)という問題がある。これを避けるために、配線というかパターンに仮想的な「色」をつけて区別するのがColoringという技法である。これを判りやすく示したのがPhoto13である。右上が悪い例で、このままだと緑のパターン同士が隣接しているので、このままリソグラフィを掛けると2つのパターンが分離不十分になる危険性がある。これを避けるためには、Color Orderを変えるとか、Cellの構造を反転させる、あるいは間を余分に空けるなどの配慮が必要である。Photo13のような構図だけだと簡単と思われるかもしれないが、実際にはウン十億のトランジスタを集積した、ウン億近いゲートが集積される回路でこれを満たすのは(しばしば長い配線などもあることを考えると)非常に難しい。この隣接した同じ色同士の配線の接触防止をOdd cycle prevent(奇閉路防止)と呼ぶが、これも設計時には配慮する必要がある(Photo14)。ちなみにここに出てくるGigaPlaceとかNanoRouteは、Cadenceの提供するEDAツールの名前だが、10nm世代ではこういうツールを使って配置配線を行わないとうまく行かない、という域に達している事を物語っている。先のPhoto12にも出てきたが、40nm世代あたりまでは手配線部分を残して最適化という話は良く聞いたし、28nm世代でも一部のメーカーは手配線で最適化といった話をしていた。ところが16nmとか10nm世代では、Photo12のグラフにも示すようにDRCの数が飛躍的に増えており、そろそろ人間の手作業で最適化とかがかなり難しい状況になりつつあることを示しているともいえる。●Broadcom/TSMC 16FF○Broadcom/TSMC 16FFBroadcomはVulcanというARMv8-Aベースのコアを開発するという話は2013年に公表されており、2014年には内部構造の概略なども明らかにされた(Photo15)のだが、今回同社は"Optimized Implementation of 3GHz+ ARM CPU Cores in 16nm FinFET Technologies"というタイトルで、このコアの物理実装の話を紹介した(Photo16)。さてそのVulcanの設計目標だが4Pで1.2W~8P 12Wまで。コアあたりにすると0.3W~1.5Wというかなり低い数値となる(Photo17)。BroadcomはARMv8-Aのアーキテクチャライセンスを受けて独自にインプリメントを行っているので、性能/消費電力のカーブは既存のCortex-A57/72などとは異なったものになるが、性能レンジはそのCortex-A72などを上回るところに持ってゆきたいという話となっている(Photo18)。さて、ここからはインプリメント側の話をいくつか。Photo19はIR Dropを最適化する技法を比較したもので、なるべく精度を高めたほうがIR Dropの無駄なマージンを減らせるという話である。ただ、当然これには時間がかかってしまう。このIR Dropの設計サイクルをまとめたのがこちら(Photo20)。要するにもうひたすら配置配線以下の作業を繰り返すことで少しづつ最適化を図ってゆこう、という話である。この技法をいきなりVulcanにやるのもアレだと思ったのだろうか、同社はVulcanの物理設計に先立ち、Cortex-A15やCortex-A72を使っての実装のテストを行っていた。Photo21は28nmプロセスを使い、12 TrackのCell LibraryでCortex-A15を実装した結果だが、普通にやると1.5GHzあたりが限界で、その先は消費電力が急増して使い物にならないと判断された。ただしそこからClock Treeに繋がるFlipFlopの構造変更(Photo22)やClock Treeそのもののやり直し(Photo23)、L2やRegister Fileなどの手配線による最適化(Photo24)、配置の見直し(Photo25)などを行った事で、エリアサイズを縮小しつつFmaxを向上させることが出来たとする(Photo26)。この知見を元に、Cortex-A72を16FF+で設計したところ、当初の2.5GHz駆動から3GHzまで動作周波数があがり、エリアサイズを7%縮小し、消費電力も0.34W削減できた(Photo27)というのがBroadcomの発表の〆である。つまり16FF+を使っても、3GHzまでの動作周波数を実現するのは可能であるが、ただしそのためには物理設計の最適化に半年掛かる、という事も明らかになった形だ。大雑把に配置配線→最適化の一巡に2カ月掛かるという話で、これを長いと思うか短いと思うかは難しいところだ。●Samsung 14LPP○Samsung 14LPPTSMCに対抗するのはSamsung/GLOBALFOUNDRIESの14LPEと14LPPである。こちらはTSMCよりも若干立ち上がりが遅れつつも、第1世代である14LPEはやはりAppleのA9に採用されており、間もなくこれを改良した14LPPの量産が始まると思われる。すでに複数のAMD製品が14LPP向けにTapeoutしたことがアナウンスされており、これは次世代CPUコア「Zen」と、場合によってはGPU製品も含まれている可能性がある。ちなみにこの製品がGLOBALFOUNDRIESだけでなくSamsungで生産される可能性があるといったニュースが昨今出ているが、そもそも両社は同一のプロセスを提供しているから、これは不思議でもなんでもない。さて今回GLOBALFOUNDRIESは14LPE/14LPPに関するセッションは一切行っておらず、その代わりにSamsungが何回か14LPPに関するセッションを行ったので、この内容をご紹介したい。以前の記事でも触れたように、14LPPは14LPEの高性能版という扱いであったが、どう高性能化したか? というのがこちら(Photo28)だ。要するにFinの高さを引き上げる事で、より駆動電流を増やした形だ。このあたりは、Intelの22nm世代ではHigh-Speed Logic向けとSoC向けでFinの高さだけでなく幅も変えたことと対照的だ。ただ14nm世代ではそもそもFinが薄くなりがちで、高さを引き上げるのはそれなりに難しい筈だが、今回は流石にそのあたりの話はなかった。いずれこのあたりは学会あたりで何かしら発表があるかもしれない。さてその14LPPを利用してSoCを製造するための最適化技法(DTCO)のスライドを何枚か紹介する。何度か言われてきたことだが、FinFETの世代ではゲートの幅などを微調整するといった技法は使えないため、基本的にはFinを何本構築するかという形による性能調整しかできない。そのため性能値は離散的な振る舞いになる(Photo29)。問題は14LPE→14LPPでは、そのまま高さが増える形になるので、例えば14LPEだったら3Finが必要だったところが14LPPでは2Finで済むといった事も起こりえる。なので設計をやり直すのであれば、よりエリアサイズが縮小できる場合もある。またSRAMに関しては、これもFinFETの寸法をいじれない関係で、それほど構成が取れず、性能に関するパラメータが限られるという制約があるが(Photo31)、これに関しても14LPE→14LPPで安定性を増す方向に特性が変わるとしている(Photo32)。さてここからはその14LPPのもう少し詳細だが、14LPEでは9TrackでCPP(Contacted Poly Pitch)は78nmのみが提供されたのに対し、14LPPでは10.5TrackのCell Libraryが提供され、またCPPには78nm以外に84nmも提供されるようになった(Photo33)。Samsungはそれぞれを次のように分類している(Photo34)。9T/78CPP:High-density9T/84CPP:High-Performance10.5T/84CPP:Ultra High-Performanceただ、一般的に言えばスマートフォンなどのSoC向け:High-densityGPUなどの高密度/高性能向け:High-PerformanceCPUなどの高性能向け:Ultra High-Performanceといった使い分けになるかと思われる。ちなみに78CPPと84CPPでは、必ずしも78CPPが小さくなるとは限らないという説明がこちら(Photo35,36)。そのため、実際には78CPPと84CPPのエリアサイズの差は、もう少し小さくなる可能性がある。最後に、これはSamsungではなくSynopsysの講演であるが、16コアのCortex-A53を集約したNetwork向けのSoCを構築した場合のトライアルの結果が簡単に触れられていた。曰く、9Track Libraryを使ってのQuad Core Cortex-A53のCPU Clusterのインプリメントはおよそ4週間で可能だったとの事(Photo37)。これを9Trackのままと10.5Trackに移植して最適化を行った結果がこちら(Photo38)。10.5Trackだと電圧を変えずに4%ほどの性能改善が可能になったが、エリアサイズでは1割ほど増えているという試算になっている。○GLOBALFOUNDRIES 22FDX2015年7月、GLOBALFOUNDRIESは22nm FD-SOIを提供することを発表したが、今回はこの22FDXに関する詳細のセッションがあった。まずFD-SOIの位置付けがこちら(Photo39)。2015年7月の説明でも14nm FinFETを補完する位置付けとあったが、実際に22FDxは28SLPと同等のコストで、14LPPよりやや遅い程度の性能を提供できるとする。その22FDXであるが、ベースとなるライブラリはinvecasが提供する8 TrackのCell Libraryで、Power ManagementやCacheなどに関してはGLOBALFOUNDRIESからライブラリやマクロが提供される形だ。今回の発表はこれを利用して、Quad CoreのCortex-A17を実装したという話である(Photo41)。Floor Planは28SLPのケースと余り変わらない(Photo42)そうである。さて、問題のBody Bias。Lower LayerにBody Bias用の電源層を1層追加し、ここから各トランジスタにBias電圧を供給する形となる(Photo43)。で、本来のトランジスタの駆動電圧よりもずっと電圧が高い関係で、このBody Bias用のネットワークの間隔は広めに取らないとまずいとの話であった(Photo44)。では実際にBody Biasを使うと特性がどうなるか? というのがPhoto45である。FBB(順方向ボディバイアス)を使うと、スイッチング速度が上がるので動作周波数を引き上げ可能で、逆にRBB(逆方向ボディバイアス)を掛けるとリークが減るので省電力に向いている。具体的には、同じ消費電力なら30%性能アップ、同じ動作周波数なら45%の消費電力ダウンが期待できる(Photo46)ということで、さらに配線も22nm相当にシュリンクされるから、エリアサイズも削減できる。実際FD-SOIウェハのコストアップ、あるいはBody Biasを実装するためのコストアップは、このエリアサイズ削減で相殺できるというのが同社の主張である。もっともこれに関しては、現時点では少なくともDesign Inしたというアナウンスは皆無である。一応Cadenceはこの22FDXに対応したEDAのToolchainを提供するとしており、設計フローはBulk CMOSとほぼ同等とGLOBALFOUNDRIESは説明してはいるが、それをそのまま字義通り受け止めるユーザーは居ない、ということだろうか。ということで、ARM TechConに絡む形で最近の先端プロセスの動向をご紹介した。これが実際の製品にどう反映されてゆくか、という話は(恒例の)新年特集でも触れる予定だ。
2015年12月28日バンダイより、12月18日に映画最新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が公開となるSF大作「スター・ウォーズ」のキャラクターを独自の技術でデザインしたアパレルブランド「STAR WARS plastic model apparel」の新商品が発表された。現在、「プレミアムバンダイ」にて販売がスタートしている。「STAR WARS plastic model apparel」は、バンダイが展開しているプラモデルシリーズ「STAR WARS plastic model」をモチーフとしてデザインしたアパレルブランド。プラモデル組み立て前のパーツの状態である「ランナー」をモザイク状に組み上げてデザインされたDARTH VADER柄や、高画質プリント・ラメプリント・発泡プリントを使い分けることで、キャラクターらしさやプラモデルらしさを表現したSTORMTROOPER柄など、すべてオリジナルでデザインされている。ラインナップは「STAR WARS DARTH VADER ランナー柄Tシャツ」、「STAR WARS 1/12 scale STORMTROOPER柄Tシャツ」、「STAR WARS PLASTIC MODEL ランナー柄Tシャツ」(各4,212円/税込)、「STAR WARS PLASTIC MODEL ランナー柄ロングTシャツ」(5,292円/税込)、「STAR WARS PLASTIC MODEL ランナー スタートロール柄トレーナー」(6,372円/税込)、「STAR WARS DARTH VADER ランナー柄パーカー」(6,372円/税込)の全6種。商品サイズはM/L/LLの展開となる。なお。12月18日からはヨドバシカメラ、ビックカメラ(一部店舗)、LOFT(一部店舗)、ヤマシロヤなど一般店頭でも発売が開始される。(C) & TM Lucasfilm Ltd.
2015年12月18日●端末間をLTEでつなぐ11月26日と27日、NTTドコモは横須賀のドコモ R&Dセンターにおいて、最新の技術動向を展示するプライベートショー「DOCOMO R&D Open House 2015」を開催した。5G関連の展示については別記事で紹介したが、そのほかにも商品化の有無を問わず、さまざまなドコモによる新技術が展示されていた。ここでは展示内容の中から、筆者が気になった面白い技術について紹介していこう。○LTEによる端末間直接通信通常、LTEでの通信は基地局と端末を介して行うわけだが、これを端末間で行おうというもの。はじめは、PHSのトランシーバーモードのようなものを想像したのだが、そういった使い方のほか、端末同士の協調までは基地局を介して行い、データ通信だけを端末間で行うようにできるとのこと。これにより、たとえば屋外で対戦型ゲームのマッチングをしたり、特定の基地局の範囲内にある端末の情報をチェックして、その割合から最適な広告を表示する(たとえばサラリーマンが多いから髭剃りのCMを流すなど)といった使い方が想定されているという。同様の技術としては無線LANを使った「Wi-Fi Direct」などがあるが、LTEなので到達する距離が非常に長い点などが優位だという。展示されていたのはクアルコムのモデムのファームウェアを書き換えて機能が使えるようにしたものだということで、技術的にはいつ搭載されてもおかしくないところまできているようだ。あとは走査の際のパケット消費をユーザーがどこまで許容するかなど、気になる点もあるが、技術的には面白そうだ。●実用性の高い技術もたくさん○SNS翻訳で世界中に口コミ情報をNTTメディアインテリジェンス研究所が開発した「崩れ日本語正規化技術」を使い、崩れた日本語もかなり正確にニュアンスを含めて翻訳できるというシステム。東京オリンピックを前に、日本語SNSに流れている日本語の情報を外国人にも利用しやすくしようという試みで、来年中のサービス開始を目指しているとのこと。ドコモはこのほかにも翻訳サービスをいくつか展示しており、外国人とのコミュニケーションを円滑化するという意味では有効なツールになり得るだろう。○WiGigは来年登場?「ミリ波非接触高速転送システム」として展示されていたのが、60GHzのミリ波を使い、SUICAなどのように一瞬タッチ(実際には非接触なので触らなくてもいい)すれば動画などの大きなコンテンツも瞬時に転送できる機能。ここまで書いてお気付きの方もいらっしゃると思うが、これはWi-Fiアライアンスが策定したIEEE802.11adこと「WiGig」そのものだ。実際のところ、QualcomのSnapdragon 810は内部的にすでにWiGig対応しているそうで、来年のハイエンド端末はWiGig対応してくる可能性が非常に高い。300MBクラスの動画が2~3秒で転送できるそうなので、かなり実用性は高そうだ。○VoLTEにBGMや効果音がつけられるVoLTEでは「EVS」という高音質な音声コーデックを使っているが、これを単に音声通話の品質を高めるためだけでなく、通話にBGMや効果音を付けてみたら?という発想で開発中。実際に試してみたが、仲のいい友人となら、LINEのスタンプのような感覚で色々な突っ込み系効果音を鳴らしてみたくなる。BGMと効果音を同時に使えたらさらに面白いことになりそうだ。○スマホをエージェントにして電動車イスのトレーニング今年のグッドデザイン大賞にも選ばれた電動車イス「WHILL Model A」にスマートフォンを取り付け、インタラクティブなトレーニングシステムにしてしまおうという仕掛け。人員コストの削減に加え、走行ログなどから上達に合わせたトレーニングの提案が行えるというもの。シニア世代の生活に寄り添うパーソナルエージェントを目指しているとのことで、大変楽しみ。横須賀市の「ソレイユの丘公園」で実証実験を行っているそうなので、行かれる方はWHILLの乗り心地も含めて体験してみてはいかがだろうか。●いい意味でドコモらしくないアイディア○最もドコモらしくない?「イノベーションチャレンジ」最後に、社内の有志で開発され、ハッカソンなどに出展されるなどした、業務とは関係ない個人的なプロジェクトが「イノベーションチャレンジ」としてまとめて展示されていた。個人的にはこのコーナー、ドコモという大企業のイメージからかけ離れた自由な発想と熱意に溢れていて、非常に居心地がよかった。細かい説明はキャプションに譲るので、写真を中心にご覧いただきたい。***1日ではちょっと回りきれないほどの展示物があり、ここでは紹介しきれなかった技術発表も多数あった。プライベートショーにしておくのはもったいないと思ったほどで、ドコモという企業への印象がかなり変わった1日でもあった。それにしてもユニークな技術が多数、商品化もされないままになっているのは少々もったいない。ぜひ、周辺機器メーカーなどにも開示する機会を設けてもらいたいと思った。
2015年12月01日ドラマ「相続者たち」や映画『チング 永遠の絆』などで、その才能を開花させたキム・ウビンが、最強の犯罪プロ集団のリーダーを演じる主演最新作『技術者たち』。このほど、本作からキム・ウビンの禁断の(!?)シャワーシーンを収めた、ファン垂涎の特別映像が解禁となった。本作は、金庫破りに人材調達、天才ハッカーと優れた技術を併せ持つ最強の犯罪チームが仁川税関に隠された1,500億ウォンの強奪に挑む犯罪アクション・エンターテイメント。本作と、「2PM」のジュノ&カン・ハヌル共演の『二十歳』が異例の同日公開となるキム・ウビンのほか、名バイプレーヤーのコ・チャンソク、『シークレット・ミッション』のイ・ヒョヌ、大御所キム・ヨンチョルらが出演。これまでの犯罪アクション映画を凌ぐスケールとエンターテインメント性が魅力だ。今回解禁となったのは、韓国の次世代を担うスターといわれるキム・ウビンのシャワーシーンを収めた本編映像の一部。シャワーシーンでは、キム・ウビンの鍛え抜かれた上半身裸姿はもちろん、その肉体美が夜景で窓ガラスに映し出されている。その後のバスローブ姿も必見!このシーンは、警察の任意聴取から解放され、何か思いにふけりながらひと息つく場面で、その姿は「セクシー」とひと言では片づけられないほどの色気と、“大人の男”を感じさせるシーンとなっている。キム・ウビンはこのシャワーシーンのために体を鍛え、撮影中はご飯の量も控えたというほど気合の入れよう。ファンにはたまらないキム・ウビンの肉体美は、劇中でのキレのあるアクションにも生かされているので、新たな魅力を振りまくその姿をスクリーンでもチェックしてみて。『技術者たち』は11月28日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年11月27日ルネサス エレクトロニクス(ルネサス)は11月26日、人工知能ベンチャーであるクロスコンパス・インテリジェンスの人工知能技術を導入したソリューションを開発し、ルネサスグループのルネサス セミコンダクタ マニュファクチャリングの那珂工場の製造ラインで試験運用した結果、製造装置や産業機器などのリアルタイム異常検知が可能となる技術的な見通しが立ったと発表した。ルネサスが開発したソリューションは、同社のR-INプラットフォームに人工知能技術を実装したもの。同社のR-INエンジンは低電力で高速通信・高速処理が可能なため、大量のデータを上位のネットワークに低電力かつ高速で転送することができ、CPUの処理余力に人工知能技術を実装することで、データを高度な解析モデルで処理し、上位が必要な情報のみを送信することが可能となる。これにより、これまで見ることができなかった異常をエッジデバイスで検知し、リアルタイムに生産に反映させることができるようになるとする。また、上位の分析・解析との連携で装置間状態を詳細にモデリングすることで柔軟な生産が可能となり、エッジデバイスの解析結果を上位で時系列に解析し高度な予兆保全を実現することができる。なお、同社は12月2日から4日まで東京ビッグサイトで開催される「システム コントロール フェア2015」に出展し、那珂工場で検証した異常検知の成功事例および人工知能技術によって異常検知を簡単に確認できる技術のデモンストレーションを披露する予定となっている。
2015年11月26日ブリヂストンは11月25日、同社のタイヤセンシング技術「CAIS」のコンセプトに基づく路面状態判別技術の実用化に成功したと発表した。同社によると、このようなタイヤセンシング技術の実用化は世界初だという。同技術は、タイヤのトレッド(路面との接地面)内側に装着した加速度センサにより、タイヤのトレッドの振動を検出し、その情報を無線で車載解析装置へ送信するというもの。タイヤ内に装着された独自の発電装置を用いて駆動している。この技術により、降雪などによる路面状態の急激な変化をリアルタイムに感知することが可能で、「乾燥」「半湿」「湿潤」「シャーベット」「積雪」「圧雪」「凍結」といった7つの路面状態を車載解析装置によって判別できる。また、路面状態の判別結果は車内ディスプレイを介して、ドライバーへタイムリーに伝達される。同社は、2011年11月からネクスコ・エンジニアリング北海道と共同で同技術の試験を進めており、今回ライセンス契約を締結した。
2015年11月26日11月18日~20日、組込み総合技術展「Embedded Technology 2015」およびIoT総合技術展「IoT Technology 2015」が神奈川・パシフィコ横浜にて開催されている。本稿では富士通グループのブース展示についてレポートする。○非接触で人の視線を検出できるシステム「EyeExpert」富士通コンピュータテクノロジーズが提供する視線検出システム「EyeExpert」は、人の視線の位置を非接触で検知することができるものだ。同システムは7.1cm × 1.2cm × 1.2cmの小型視線センサーと制御ソフトウェアから構成されており、たとえば小型視線センサーを店舗に設置し、得られたデータを分析することで、陳列改善や商品開発などのマーケティングへ活用するなどといった利用方法が考えられる。ほかにも、作業時の視線を記録して見落としを防止するなどといった業務支援、ユーザーが機器操作をする際のアシストに役立てるといった利用例が想定されている。小型視線センサーは50~80cmの距離にある視線を検出。また1個につき60cm × 40cm程度の範囲の認識が可能で、最大4個の視線センサーから収集したデータを記録することができる。同社は導入支援サービスなども提供するとしている。○手のひら静脈センサー「PalmSecure」現在、本人確認の手段として「バイオメトリクス(生体)認証」が注目されつつあるが、そのなかでも手のひらや指などの静脈パターンを読み取る「静脈認証」は、高精度でかつ偽造やなりすましなどの不正行為に対する技術として有力だ。 富士通が開発した非接触型の静脈認証は、静脈認証装置から離れた位置にある手のひらに近赤外線光を照射することで、皮下組織にある静脈中の還元ヘモグロビンが近赤外線光を吸収し、黒く映し出される。このパターンと比較照合することで本人認証を行うものとなっている。センサーに直接触れる必要がないため衛生的であり、またIDカードも不要なので災害などに強いソリューションであるといえる。
2015年11月18日NECはこのほど、人工知能(AI:Artificial Intelligence)技術の開発や、AI技術を活用したソリューション展開を強化すると発表した。これに伴い体制面の強化も図り、研究・開発やコンサルティングなどに関わるAI関連要員を、2020年度までに約1000人に拡充していくという。本稿では、NECのAIへの取り組みについてお届けしたい。○AI要員を1000人体制に拡充NECはAI技術の定義について、「学習」「認識・理解」「予測・推論」「計画・最適化」といった人間の知的活動をコンピュータで実現するものとしている。1980年代から関連技術の開発を進めるなど、同社のAIへの取り組みの歴史は長く、音声認識、画像・映像認識、言語・意味理解、機械学習、予測・予兆検知、最適計画・制御等の主なAI関連技術に関して、世界初もしくは世界トップレベルの技術を有しているという。同社の執行役員を務める江村克己氏は、AI関連事業への注力について次のようにコメントした。「当社は社会価値創造の取り組みを進めており、社会課題を解決する社会ソリューション事業に注力している。その中核となるビッグデータ・IoT・セキュリティなどの分野に、長年にわたり研究開発を続けてきたAI技術を積極に取り入れ、進化させていきたい。こうしてAI関連事業の強化を図るとともに、安全・安心な社会づくりなど、より大きな社会価値創造を実現していく」○防犯やマーケティングへの期待が高い新たなAI技術とは?NECは同日、「一歩進んだAI技術」として、新たに開発した「時空間データ横断プロファイリング」も発表した。この技術は、複数の場所で撮影された長時間の映像データから、特定のパターン(時間・場所・動作)で出現する人物を高速に分類・検索するというもの。NECが得意とする顔認証技術などと組み合わせることで、AI技術としての利用が可能となる。時空間データ横断プロファイリングは、大量の映像データから顔の「類似度」をもとにグループ化し、特定の出現パターンに合致する対象の発見が可能なアルゴリズム。この技術により、顔の類似性から同一人物と見なせる出現パターンを分類し、出現時間・場所・回数等での検索を行うことが可能となる。例えば、カメラ映像中の「同じ場所で頻繁に出現する人物」や「複数の場所に現れた人物」を発見し、防犯や犯罪捜査など、従来人手ではできなかった新たな知見や気づきを見いだす高度な解析を実現する。街角に設置されたカメラ映像中ののべ100万件の顔データを時空間データ横断プロファイリングにより解析したところ、同じ場所に長時間・頻繁に現れる人物の検索・抽出をたった10秒で行ったという。「この技術のポイントは、未知の事象を検出できることにある」と江村氏は強調した。NECは2016年度中に時空間データ横断プロファイリングを実用化し、今後、道に迷った観光客へのおもてなしや、振る舞い・表情から心情を理解するマーケティングなどへも展開していく予定。そのほか、江村氏は11月2日に発表した、予測に基づいた判断や計画をソフトウェアが最適に行うAI技術「予測型意思決定最適化技術」について解説を行った。同技術を適用した水需要予測に基づく配水計画では、浄水・配水電力を20%削減する配水計画を生成できたという。最後に江村氏は、将来を見据えた取り組みとして、脳型コンピュータの開発に向けた学術機関との連携の取り組みについても言及。「こうした新しいAI技術も非常に重要だ。NECとしてはオープンイノベーションで推進していく」と力強く訴えた。
2015年11月18日PFUは10月28日、標的型サイバー攻撃対策として新たな検知技術を開発したと発表した。新技術は、多くの技術が採用している、マルウェア自身の特性や振る舞いに基づくものではなく、攻撃者の行動に着目したものだという。標的型サイバー攻撃は一般的に、侵入前に標的組織の情報を入手する「情報収集」から、標的型メールのURLをクリックさせることで、ツールをダウンロードさせて遠隔操作し、情報を窃取する「組織内部侵入」といったプロセスを踏む。これに対して同社の研究チームは、組織内部侵入における攻撃者の行動プロセスに着目した「攻撃者行動遷移モデル」を構築した。このモデルを利用したものが、標的型サイバー攻撃の検知を実現する新たな検知技術「Malicious Intrusion Process Scan」となる。複数の協力組織において実証実験を重ねており、セキュリティ対策が施された実際の業務環境(合計約10万端末)における複数の標的型サイバー攻撃を検知し、効果を確認しているという。検知技術は「リアルタイム把握」と攻撃者行動遷移モデルを特徴としている。攻撃者は標的とした端末と通信して攻撃活動を行うため、端末の通信を監視する。エージェントレスで監視することで、攻撃者に気づかれることなくリアルタイムに攻撃者の行動を把握できるとしている。攻撃者行動遷移モデルでは、前述の攻撃行動の通信が通常の業務上行われる通信を装っているケースがあり、正しく検知できないことがありうるという。そのため、侵入直後から攻撃行動に移るまでの流れを「攻撃者行動遷移モデル」と照合し、検知精度を高める。この新技術は、千葉県・幕張で行われる情報セキュリティEXPOのPFUブースで公開される。
2015年10月28日○10年間で大きく進化したPCB設計フロー「Xpedition」メンター・グラフィックス・ジャパンは2015年8月25日、プリント基板(PCB)開発に携わる技術者および管理者を対象に自社の戦略や最新の技術動向、ユーザー事例などを紹介する「Mentor Forum 2015 - PCBシステム開発ソリューション」を開催。基調講演には、米Mentor Graphicsのシステムデザイン部門市場開発マネジャーである石川実氏が登場。「メンター・グラフィックスのPCB戦略」をテーマに講演した。石川氏は、まず現在の新製品開発を取り巻く課題を指摘。ビジネス面での課題としては、大きく分けて(1)市場競争力のある商品開発、(2)タイムリーな市場への投入、(3)パートナーとの協調、の3つがあり、技術的な課題としては、(1)複雑化する設計、(2)設計期間の短縮、(3)信号周波数の増加、(4)設計・製造会社との協調、の4つがあるとしたほか、「基盤面積は小さくなっていますが、1平方インチあたりのピン数は増えています」(石川氏)といったPCBにおける技術的なトレンドを紹介した。「1994年の平均的な基盤面積は101平方インチで、1インチあたりのピン数は42でした。2014年の平均的な基盤面積は53平方インチと小さくなっていますが、1インチあたりのピン数は304に増えています。こうした背景のもと、システム設計定義からPCB製造までを統合したPCB設計フローであるXpedition Enterpriseも、この10年間で大きく進化しています」(石川氏)と語る。Xpeditionのこの10年間の進化としては、まず2005年にリリースされた「Xpedition 2005」で、回路とレイアウトの統合を実現。次に2007年にリリースされた「Xpedition 2007」で、全社規模のIT化に対応し、2009年にリリースされた「Xpedition 7.9.x」で、アーキテクチャを大幅に変更。そして2014年にリリースされた「Xpedition VX」では、最新の設計手法や組織間の協調設計を強化している。具体的にXpedition VXでは、スケッチ・ルータと呼ばれる新しい概念、ライブラリ・設計仕様管理、設計検証など、30種類以上の新機能を搭載し、6つの新製品を発表。導入してすぐに使える1万1000種類のジャンプスタート・ライブラリを提供している。また顧客からアイディアサイトに寄せられた175件のエンハンス要望、および1291件のバグに対応。トップ100件のエンハンス要望の42%に応えている。石川氏は、「Xpedition VXの新機能を紹介する265種類以上のビデオコンテンツ、9種類のオンライントライアル環境、59種類のリリースドキュメントを提供しています。またXpedition VXのリリースにあわせて、個人向けPCBソリューションであるPADSも一新しました。Standard、Standard Plus、Professionalの3つのバージョンの展開により、PADSによる個人利用からXpedition VXによる世界展開までの完全なスケーラビリティを実現しています」と話している。現在の基板では、70~80%の配線が高速配線であることもめずらしくない。プリ・シミュレーションにより制約条件を設定し、ポスト・シミュレーションで動作を保証するのが従来の設計手法である。しかしこの方法では、最後に大きなやり直しが発生する危険があり、設計時間を短縮できない。新しい設計手法では、各フェーズでチェックを行うことで、手戻りを最小限にし、設計時間を短縮できる。ここで重要になるのが「HyperLynx DRC」である。HyperLynx DRCを中心とした設計・検証プロセスを高速に検証することができる。またシミュレーションモデルの準備や設計ルールの作成には、熟練したエンジニアが必要になる。この解決策として同社では、「HyperLynx Alliance」を設立している。HyperLynx Allianceでは、同社と半導体メーカーのパートナーシップにより、HyperLynx上ですぐに使えるシミュレーションモデルおよびHyperlynx DRCのルールを提供する。HyperLynx Allianceの成果の1つとして、AlteraのWebサイトからHyperlynx DRCのルールがダウンロードできるようになっている。○今後も最先端の技術でPCB設計を支援最新技術を紹介する前に石川氏は、「これから紹介する新しい技術は、開発中のものであり、リリースを約束するものではないことをご理解ください」と前置きした後、システム設計の強化、部品検索・部品ライブラリ、3次元設計へのさらなる対応、ルータのさらなる進化、簡単にして強力なリユースについて、デモを交えて紹介した。たとえばシステム設計の強化では、同社の「Xpedition xDX Designer」とPTCの工学技術計算ソフトウェア「Mathcad」を連携することで、ドキュメント作成の容易化を実現する。また部品検索・部品ライブラリでは、DigiKeyと「PartQuest」と呼ばれるサービスを展開。DigiKeyが取り扱う43万点の部品のシンボルおよびフットプリント情報を検索できる。さらに3次元設計の拡張では、FPC(フレキシブルプリント配線板)やリジットフレキシブル基板に対応したスタックアップの設定が可能になり、ルータではスケッチ・プランナーに対応。リユースには、すでにあるレイアウトをコピー&ペーストする方法と、レイアウトをライブラリに登録して共有する方法の2つがあるが、それぞれ一長一短がある。この課題をダイナミック・リユースで解決。リユースプロセスを自動化する。石川氏は、「今後のEDAツールは、複雑なシステム設計をシンプルにし、迅速かつ正確に対応できる新しいチャレンジが必要になります。メンターでは、今後も最先端の技術でPCB設計ソリューションを支援していきます」と話し、講演を締めくくった。
2015年09月08日富士フイルムは9月3日、カラーネガフィルム「フジカラー F-II400」が国立科学博物館の「重要科学技術資料(未来技術遺産)」に登録されたと発表した。未来技術遺産の登録制度は、科学技術の発展を示す技術的な資料や、国民生活や社会、文化に大きな影響を与えた科学技術資料の保存と次世代への継承を目的に、2008年から実施されているもの。昨年度までに184件が登録されている。このたび登録された「フジカラー F-II400」は、富士フイルムが1976年10月に発売したカラーネガフィルム。それまでのカラーネガフィルムに比べて、感度を約4倍に引き上げ、世界初の高感度(ASA400)を実現した製品だ。フジカラー F-II400によって、ストロボがなければ撮影できなかった室内でも明るく撮れるようになったり、シャッタースピードを4倍速くできたことで手ブレの解消につながったり、とカラー写真の撮影領域拡大に貢献した。
2015年09月04日パイオニアは9月2日、レーザーディスク(LD)プレーヤーの3機種が、国立科学博物館の「重要科学技術資料(未来技術遺産)」に登録されたと発表した。未来技術遺産は、科学技術の発展を示す技術的な資料や、国民生活や社会、文化に大きな影響を与えた科学技術資料の保存と次世代への継承を目的に、2008年に制定された制度。昨年度までに184件が登録されている。今回、未来技術遺産として登録されたのは、世界初の業務用LDプレーヤー「PR-7820」、家庭用のLDプレーヤー「LD-7000」、そして世界初のコンパチプレーヤー(LDのほかにCDの再生も可能)「CLD-9000」だ。レーザーディスクは、パイオニアが開発した光学式ディスクの規格。アナログで記録されている映像と音声を、レーザーピックアップで読み取る方式を採用している。1979年に業務用プレーヤーの「PR-7820」を発売した後、1981年に民生用の国内向けモデル第1号として「LD-1000」を発売。映像を再生できるディスク媒体として一時代を築いた。その後、DVDやBDなどの普及に伴い、2009年にプレーヤーの製造から撤退しているが、レーザーディスクプレーヤーの開発によって培われたピックアップ技術やサーボ技術などは、現在でもさまざまな製品に生かされている。
2015年09月02日国立科学博物館は9月1日、「国立科学博物館重要科学技術仕様(愛称:未来技術遺産)」に、ソニーの「AIBO」など25件を選定した。「未来技術遺産」は日本の科学技術の歴史を示す事物で、科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの、ならびに国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたものを、国立科学博物館が選定し登録するというもの。2008年から毎年発表されており、昨年は日本初の噴流式洗濯機「電機洗濯機 SW-53」や富士フイルムの「フジカラー 写ルンです」などが選出された。今年は「AIBO」のほか、世界初の産業レーザディスクプレーヤであるパイオニアの「PR-7820」、海軍航空本部が製作した「海軍航空機用塗料識別標準(色見本帳)」などが登録された。2015年度登録の「未来技術遺産」は以下の通り:
2015年09月01日韓国の次世代スター、キム・ウビンの主演最新作となるスタイリッシュなクライム・クション『技術者たち』。最強の犯罪プロ集団による大金強奪計画と緊迫の心理戦、さらにキム・ウビンを始めとする役者たちの個性がぶつかる予告編が、シネマカフェにて解禁となった。ジヒョク (キム・ウビン) は、優れた頭脳を持つ金庫破り。同時にあらゆる方法で人を惑わす詐欺師でもある。仕事に応じた人材調達のプロ、グイン (コ・チャンソク)、どんなセキュリティシステムでも破れる天才ハッカー ジョンベ (イ・ヒョヌ) と手を組んで宝石店を襲い、一夜にして有名になった彼ら。そんな彼らに目をつけたのは、財界の大物、チョ社長 (キム・ヨンチョル)。彼らに、北東アジアで最高のセキュリティを誇る仁川税関に隠された1,500億ウォンを制限時間40分以内に盗むという計画を持ちかける。金庫破りに人材調達、天才ハッカーと優れた“技術”を併せ持つ最強の犯罪チームが、1,500億ウォンもの大金強奪に挑む本作。主演を務めるのは、ドラマ「相続者たち」や「2PM」ジュノらと共演する『二十歳』などで才能を開花させたキム・ウビン。共演に映画、ドラマに引っ張りだこの名バイプレーヤー コ・チャンソク、『シークレット・ミッション』で演技力が高く評価された注目の若手イ・ヒョヌ、監督が何度もオファーのラブコールを送ったという大御所キム・ヨンチョルら、フレッシュな俳優から安定したベテラン俳優が息の合った熱演を繰り広げている。公開された予告編は、激しいギター音にのせて緊張感あふれるアクションシーンを次々と映し出し、まるでハリウッド映画を彷彿とさせるスタイリッシュな映像。キム・ウビンがカリスマ性たっぷりに演じるジヒョクたち犯罪チームが、裏の世界の大物チョ社長から「かつてない依頼」を知らされる場面から物語は急展開。前代未聞のターゲットとなる1,500億ウォンが隠された仁川税関の広大な敷地を舞台に、誰も成功したことがない金庫破り、巨大セキュリティへのハッキング、倉庫街での激しい爆発に壮絶なカークラッシュなど、手に汗握る躍動感あふれるアクションシーンを繰り広げていく。また、強奪計画の陰で繰り広げられる犯罪プロ同士の心理戦の中で、チームは大金を手にすることができるのか!?優れた頭脳と華麗な身体能力を併せ持ち、セクシーな魅力あふれるリーダー像を築き上げるキム・ウビン。ちらりと登場するシャワーシーンとともに、次世代スターの熱演に目が離せない。『技術者たち』は11月28日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2015年08月28日大分キヤノンは8月4日、デジタルカメラおよび交換レンズの生産技術力強化を目的として、大分キヤノン安岐事業所内に総合技術棟を新設すると発表した。2016年内の稼働を目指す。高性能かつ高品質の製品を継続して生産するために、キヤノンでは生産の国内回帰や内製化を推進し、カメラ生産技術をさらに高めていく必要があるとしている。こうした状況を踏まえ、大分キヤノンでは総合技術棟を建設することを決定。2016年年初に着工し、稼働予定は2016年第4四半期内だ。総合技術棟には生産技術部門、製品技術部門、生産工機部門などを集結させ、効率性の高い生産体制の確立を目指す。
2015年08月04日楽天は7月29日、インターネットの未来を予測し、新たなテクノロジーを創出するための研究機関「楽天技術研究所」の海外拠点を、シンガポール(楽天技術研究所 Singapore)と米国ボストン(楽天技術研究所 Boston)に新設した。「楽天技術研究所」は、所属する研究者たちの専門性を生かした活動を支援し、インターネット全般における先進技術を革新的なサービスにつなげる研究機関で、インターネット企業の技術研究所として産学連携にも積極的に取り組んでおり、教育機関と人材交流を図りつつ、アカデミックな知識を取り入れながら研究を進めている。同社はこれまで、東京以外の研究所として、2010年6月にニューヨーク、2014年2月にパリに設立しており、今回の新設で4カ国5拠点での展開となる。今回新設した「楽天技術研究所 Singapore」は、心理学や行動科学、モバイルソーシャル分野を研究領域の主体とし、これらの知見に基づいた顧客満足度を高めるインターネットサービスの研究を実施。同成果は同社の各事業にフィードバックし、さらなるサービスの向上を図る。一方、「楽天技術研究所 Boston」の研究領域は、機械学習や深層学習、AI分野を主体とし、特に人工知能分野の研究を推進。世界の各開発拠点にいるビッグデータチームとも連携し、ビッグデータ活用のさらなる高度化を図る。また、新設の両研究所は、シンガポールおよびボストンを中心とした海外の大学・研究機関と積極的に連携し、海外における研究者の採用を進める。その第一弾として、「楽天技術研究所 Singapore」では同日より、アジア各国・地域のデータサイエンティストを対象に、楽天の子会社となるVikiの保有するデータを用いた課題解決のコンテスト「Rakuten-Viki Global TV Recommender Challenge」を行っていく。
2015年07月30日技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)主催のシンポジウム「ひらめきを形に!設計が変わる新しいモノづくり」が6月30日に開催される。TRAFAMは少量多品種で高付加価値の製品・部品の製造に適した三次元積層造形技術や、金属などの粉体材料の多様化および高機能複合化技術などの開発を通じて、次世代のものづくり産業を支える三次元積層技術システムを核とした新しい日本のものづくり産業の創出を目指して昨年4月に設立された技術研究組合。組合員には産学から32法人が名を連ね、近畿大学にレーザ方式、東北大学に電子ビーム方式の金属積層用の要素技術研究機を製作し、設置するなど、2018年度末までに世界最高水準の装置を完成させることを目標に研究を進めている。今回のシンポジウムは3Dプリンタの将来性および開発の必要性について理解を深めることを目的としており、TRAFAMの研究成果報告のほか、産業技術総合研究所の金山敏彦 副理事長をはじめとする有識者による3Dプリンタに関する講演や、パネルディスカッションを行う予定となっている。参加費は無料で、現在TRAFAMのホームページにて参加申し込みを受付けている。「ひらめきを形に!設計が変わる新しいモノづくり」シンポジウムの開催概要開催日時:6月30日(火) 10:00~17:25会場: TKPガーデンシティ竹橋(2階)大ホール/東京都千代田区一ツ橋1-2-2参加費: 無料参加者数: 200名 (予定)申し込み方法: TRAFAMのホームページより事前登録 (先着順)
2015年06月11日技術開発による進歩が日々行われている医療技術の分野。医療の発展はすなわち人々の生活を豊かにすることでもあるが、一方で医療機器の発展が人の技術を不要にし、仕事を奪う現実もあるという。今回は歯科用機器専門メーカーであるシロナデンタルシステムズ田澤氏に最新の歯科用機器業界の動向についてインタビューを行った。○最新技術が人の仕事を奪う!?――今回ご紹介いただくのはこの「歯科用CAD/CAMシステム」ということなのですが、これはどのような機械なのでしょうか?これまで入れ歯や補綴物(ほてつぶつと読む。差し歯などのこと)の制作加工は『歯科技工士』と呼ばれる資格を持つ専門職の方たちの仕事でした。しかし、この歯科用CAD/CAMシステムを使用することで、カメラを歯牙上で動かすだけで3Dフルカラーイメージを生成するなど設計や加工工程の一部をコンピュータで行うことができるようになりました。――これまで人の手で行っていたものを機械が一部行うようになったのですね。弊社では『セレックACオムニカム』という歯科用CAD/CAMシステムを販売しています。セレックは来院1回でオールセラミックの修復が可能な『チェアサイドソリューション ワンデートリートメント』を提供することが可能で、これは歯科用CAD/CAMシステム導入による効率化がもたらしたものです。――このように歯科用機器の技術が進むことは、一方で歯科技工士など人の手が不要になることとイコールでもあると思います。歯科技工士の資格や技術が不要になる将来がくるのでしょうか?弊社のセレックのケアに携わる求人に応募された歯科技工士の方の中でも、『セレックのような歯科用CAD/CAMシステムは歯科技工士の仕事を奪う”敵”だと思っていました』と話される方もいました。確かに歯科診療・歯科技工の現場においては、既に歯科技工士の仕事を一部機械が引き受けるようになっています。それは確かに、一面的に見ると人の仕事を奪っているというふうにも見えます。ただ、その現実は『人間』と『機械』の対立があり、機械が人間の仕事を奪う……というようなものでは決してありません。先ほどお話した歯科技工士の方も、『料理教室の先生が包丁の使い方を生徒に教えるように、歯科用CAD/CAMシステムの使い方を歯科医に教える人が必要だ……と気付いたときに、自分の将来の展望が見えた気がしました』と話してくださいました。私はこの半年で延べ400名以上の応募者と面接してきましたが、『歯科用CAD/CAMシステムは敵だ』思っていた歯科技工士・歯科衛生士たちが弊社に入社し、結果として活躍している現状もあることをお伝えしたいですね。――単に機械が仕事を奪ったわけではないのですね。実際には歯科技工士・歯科衛生士さんを必要とする新たな仕事が生まれ、これまでの仕事がより高度で創造的な仕事へと変化し、歯医者さんや患者さんに素晴らしいサービスを提供する仕事へと進化しているという側面もあるということです。――機械と人間の対立は、おそらくどこの業界でも起きている問題だと思います。一方で単に対立構造で見るのではなく、機械の導入により新たな業務が発生するということもあるということですね。どうも有難うございました。
2015年06月10日NTTとOKIは、波長多重技術と組み合わせた新たなPON技術「WDM/TDM-PON技術」を共同開発したと発表した。同技術を用いて、40kmの伝送距離と従来の40倍に当たる40Gbit/sの総伝送容量、32倍のユーザー数にあたる1024ユーザーの収容を可能とする光アクセスシステムのフィールド伝送実験に成功した。今回の研究開発は、総務省の委託研究「超高速・低消費電力光ネットワーク技術の研究開発(アクセスネットワーク(加入者・局舎ネットワーク)高速大容量化・低消費電力化技術)」を受託し実施したもの。ブロードバンド化に伴う大容量化、広域化、収容ユーザー数の増加に対応するため、従来の時間多重を用いたTDM(Time Division Multiplexing)-PON技術の限界を超えるさらなる技術革新が求められており、NTTのアクセスサービスシステム研究所とOKIは、従来のTDM-PON技術と、コア、メトロネットワークで活用されてきた長距離伝送用の波長多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)技術とを組み合わせた「WDM/TDM-PON技術」の確立を目指し研究に取り組んできた。今回、開発した「WDM/TDM-PON技術」は、波長可変型バースト光送受信器、波長多重バースト光増幅器、波長切替制御プロトコルから構成される。両社はこれらの新規開発技術を実装したOLT(局内装置)、ONU、光増幅器を用いてフィールド実証実験を実施。実験は、札幌の複数のNTT東日本ビルを光ファイバで結び、総伝送距離40km、1024分岐の広域加入者系光ネットワークを模擬したテストベッドを構築。OLTとONUとの距離40kmにおいて、1024分岐のファイバ構成で、ONUの接続動作を世界で初めて確認した。また上り下りで総帯域40Gbit/sとなる良好な伝送特性とフレーム損のない波長切替が行えることや、トラフィック量が少ない場合は稼働波長数を減らすことで、OLTの消費電力を削減できることを確認、実証した。同技術開発で得られた成果は、ITU-T G.989(通称NG-PON2)の標準化活動にて提案し、採択される見込み。なお同成果の一部については、米国ロサンゼルスで3月22日~26日開催された光通信に関する国際学会OFC2015(Optical Fiber Communication Conference 2015)において、ポストデッドライン論文として発表された。
2015年03月30日富士通は7日、名古屋で同社の最新PCを体験できるイベント「春だ! FMVでワクワクをはじめよう! 体験イベント」を開催した。会場はJR名古屋駅からも近いナナちゃんストリート イベントスペース。同会場で明日3月8日まで開催しており、開催時間は各日11時から19時まで。同イベントは、東名阪の主要都市を会場に3回にわたって連続開催を予定しており、今回は2月末に東京・秋葉原で最初に開いたものに続く2回目の開催。最後の3回目は3月14日から3月15日の2日間、大阪の阪急梅田駅 ビッグマン前広場を会場に、11時から19時までのスケジュールで開催する。イベント概要はこちら、富士通の特設Webサイトを参照してほしい。各会場での展示内容などは同様で、ここ名古屋でも秋葉原と同じく、富士通が今春の新モデルとして投入したラインナップ豊富な最新PCを、タッチ&トライで直接触れて体験できる。展示はオールインワンデスクトップPCから薄型ノートPC、新たなフォームファクタの2in1や、流行のタブレットまで、富士通の新製品が10機種ズラリと並ぶ。また富士通FMVは、絵本などで子供に人気のフランス生まれのキャラクター、「バーバパパ」ファミリーをイメージキャラクターに採用している。富士通の今春モデルは、例えば女性ユーザーを強く意識したノートPC「Floral Kiss」など、個性を前面に出したラインナップになっていることも特徴だが、今回のイベントでも、お父さんのバーバパパが大人の男性向けのデザイン・機能に特化した「GRANNOTE」、おしゃれ女子のバーバベルは「Floral Kiss」、絵を描くのが好きなバーバモジャはタッチペン対応でペイント作業に適した画面傾斜に変形可能な「ESPRIMO WH」というように、個性豊かなキャラクターと上手く組み合わせて紹介しており、各製品のポイントがわかりやすい。各製品Intelの新世代プロセッサを採用による性能向上はもちろん、会場展示には先進UIなどに活用できるIntelの新技術「Intel RealSense」を国内で初めて採用したPCなども用意。会場担当者も「特に新技術のRealSenseなどは、実際に触ってもらうと楽しさがわかりやすい」と説明していたが、当日の会場展示は、体験してこその、カタログだけではわかりづらい新しいPC体験を楽しめる工夫がされていた。RealSense 3Dカメラを内蔵する「ESPRIMO WH77」を使い、来場者が自分の顔のリアルな3Dデータをつくれたり、ハンドジェスチャでゲームのキャラクターを操作できる体験などは、大人だけでなく、PCに初めて触れるような子供まで興味を持って楽しんでいるようだった。ちなみにイベントでの一番人気のPCは、富士通が"New Style PC"と呼ぶ「LIFEBOOK GH77」のようだった。15.6型フルHDのワイヤレスディスプレイとPC本体の機能を集約したスタンドからなるPCで、デスクトップPCとしての利用のほか、ワイヤレスディスプレイを取り外してタブレットのようにも使うことができる。家中の様々な場所で、多様な使用シーンに対応できる新しいコンセプトの製品で、実際に触れてみた体験者からも「今のパソコンはこんなことができるのか」などと注目されていた。なお、当日の会場でPCを体験してアンケートに答えると、バーバパパ・ファミリーをデザインしたオリジナルトートバッグがもらえる。あわせて、イベント会場近隣の指定店舗で富士通FMVを購入すると記念品セットをプレゼントするキャンペーンも紹介していた。イベントの名古屋開催は明日8日が最終日となるが、次回は大阪の阪急梅田駅 ビッグマン前広場を会場に3月14日~15日、各日11時から19時に同様のイベントを開催する。
2015年03月07日東京ビックサイトで開催(1月14日~16日)のイベント「ウェアラブルEXPO」。実際の製品以外にも、ウェアラブルにまつわる様々な技術の展示も行われている。ここでは、将来の機器で使われるであろう技術や部品を紹介したい。○脈拍チェック程度の装置で血圧をチェック日本大学工学部の尾股定夫教授は、近赤外線LEDを用いたセンサーを開発。照射した近赤外線LEDの反射から血液量(ヘモグロビン)の変化を検知し、その変化を解析して血圧を測定する。血圧といえば、腕に巻き付けるカフ(圧迫帯)と脈拍の音を使った測定が一般的だが、そのような手間と時間をかけず、高精度(誤差5%程度)に血圧を測定できるという。今回は試作チップとBluetoothでスマートフォンと接続する試作機を展示していた。将来的には、スマートフォンや健康器具への利用を想定する。実際に試作機を見たところ、「こんなに手軽に血圧が測定できる」と驚いた。ウェアラブルの用途のひとつとして健康管理があるので、商品化を期待したい。○指の動きも検知できる、伸びを測定するセンサーヤマハは、ゴムのように伸縮して、その伸びを抵抗値の変化として確認できる「薄型ストレッチャブル変位センサー」と、それを利用した手袋型デバイスを展示していた。このセンサーは伸ばすと抵抗値が上がり、直線性と高速応答性に優れているという。試作した手袋センサーを付けたまま、電子ピアノの演奏を行うデモを行っており、演奏の妨げにならずに入力が行えることをアピールしていた。○エナジーハーベストにもなる発電ウェア拓殖大学前山研究室、ムネカタ、コーンズテクノロジーは共同で、圧電素子を使った無線モジュールのバッテリレス化を検討する発電ウェアを試作、展示していた。トレーニング時など、連続したデータ収集を行うにはバッテリレスが望ましいが、現在はバッテリ寿命を延ばすための試みだ。可動部に圧電素子を設置し、エナジーハーベスターを通じてバイタルセンサーなどへ電力を供給する。なお、エナジーハーベストとは、環境中の何らかのエネルギーを電力に変換する技術や概念をいう。「バッテリレス」を実現する技術として注目されている。○尿や植物からもエナジーハーベスト立命館大学の道関研究室とセイコーインスツルの共同による、エナジーハーベスト活用の例。おむつに仕込んだ尿発電電池(60μw)で尿漏れ検知を行い、得られた電力を使ってワイヤレス通信を行うというものだ。同様に、植物の導管を通る水分から発電する(0.6μw)電池を使ったワイヤレス通信もデモしていた。○「ウェアラブル」を支える導電繊維服にセンサー類を入れる場合、高い柔軟性と強度、導電性が求められ、配線が重要となる。三ツ富士繊維工業は、ナイロンやポリエステルの糸に銀メッキを施したAGpossを展示していた。表面がすべて銀で分量が多いため、導電性の高い配線材料としての利用も可能だという。
2015年01月15日NECは12月9日、道路橋などの構造物の内部劣化状態をカメラで撮影した表面映像から、計測・推定できる技術を開発したと発表した。同技術は、独自の超解像技術、映像・画像鮮明化技術、および4K超高精細映像高圧縮技術の開発などで培った映像・画像処理のノウハウを応用して実現したものである。具体的には、映像中の物体の微小な動き(振動)を高速かつ高精度に検出できる被写体振動計測アルゴリズムを開発した。同技術は、微小な振動の解析に必要な"カメラ画素数の100倍の解像度での動き解析"において、データ量が多く、従来時間がかかっていた解析処理を、映像圧縮などで培ったノウハウを用いて高速化した。これにより、高いフレームレートで撮影された映像の高速解析を可能とし、構造物表面の多数点の微小振動の同時計測を実現した。さらに、亀裂、剥離、空洞など、内部劣化が生じている箇所の振動パターンの違いを発見・検出できる独自の振動相関解析アルゴリズムを開発した。これにより、目視で発見できない構造物内部の劣化状態を高精度に推定できるようになったとしている。これらの技術により、カメラ映像から物体内部の劣化状態を推定できるため、点検による設備の一時停止など事業機会損失の低減が望まれる工場・プラント内の大型設備や、道路橋などの構造物インフラに加え、他の分野への応用も期待しているという。今後、同技術の実証を進め2015年度中の実用化を目指すとコメントしている。
2014年12月10日Bluetooth Special Interest Group(Bluetooth SIG)は、Bluetooth無線技術の最新コア仕様としてBluetooth 4.2を策定したと発表した。最新バージョンは、消費電力を抑えるだけでなく、政府機関に要求される高レベルのセキュリティ基準(FIPS)に対応することで、業界標準となるプライバシー保護を実現する。同機能は、Bluetoothを介したデバイスの不正トラッキングを防ぎ、プライバシーの制御をユーザー自身で管理できるようにする。例えば、ビーコンを使用している小売店で買い物をする際、ビーコンからの通知をあらかじめデバイス側が許可しない限り、トラッキングはされないという。また、Bluetooth Smartデバイス間のデータ転送速度と信頼性を向上させている。Bluetooth Smartパケットの容量をBluetooth 4.1に比べて10倍に増やしたことで、デバイスのデータ転送速度が最大2.5倍向上した。速度とパケット容量が増えたことで、送信エラーの発生を減らし、電力消費量を削減できるため、より高効率な接続が実現する。さらに、Bluetooth 4.1にすでに構築されていた基盤とBluetooth 4.2の新機能によって、IPSPでBluetooth Smartの各種センサをIPv6/6LoWPANを介してインターネットに直接接続できるようになる。これにより、既存のIPインフラをBluetooth Smartの周辺デバイス管理に活用できる。これは、ユーザー個人のコントロールと広域コントロールの両方を必要とするスマートホームには理想的な機能であるとしている。同プロファイルは、2014年末までに策定される。
2014年12月05日エプソンは、同社が保有する独創的なコア技術と、その技術開発に挑む姿を紹介するアニメーションシリーズをYouTubeの公式チャンネルや同社の特設Webサイト上で公開した。同アニメーションシリーズは、同社の長期ビジョン「SE15」で掲げる4つの領域(「生活の質向上-センシング技術」、「プリンティング-マイクロピエゾ技術」、「ビジュアルコミュニケーション-マイクロディスプレイ技術」、「ものづくり革新-ロボティクス」)におけるコア技術に向けた同社の取り組みを、実際の社員をモデルにした人物たちのやり取りを通して紹介していくシリーズ作品で、ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダースのナレーションなどで知られる大川透氏やONE PIECEのナミ役などで知られる岡村明美氏、SLAM DUNKの安西先生役や魔神英雄伝ワタルの剣部シバラク役などで知られる西村知道氏といった人気声優陣を起用したことでも話題になっている。第1弾となるコアテクノロジー・アニメーション「センシング三本の矢」篇(2分39秒)は、同社が保有するセンシング技術を、センシングシステム事業部長 森山佳行と若手技術者が、その核となる"三本の矢"と、そうした技術を活用することで見えてくる未来の姿を思い描くという作品で、11月18日に公開されて以降、公開2週間で再生回数は約22万回を記録している。ちなみに同社が今回、センシング技術の"三本の矢"としているのが、わずかな傾きや振動を察知することを可能とする「モーションセンシング」、GPSなどの測位衛星を用いて目標の居場所を高精度かつ低消費電力で特定する「ポジションセンシング」、そして腕の血流にLEDの光を照射し、脈拍を高精度に計測する「バイタルセンシング」だ。いずれも高性能かつ長寿命な腕時計を実現するために活用されてきた水晶デバイスや半導体デバイス技術を発展させたもので、今後、本格的な普及期を迎えるIoT社会の実現に必要不可欠なものとなっており、特にタイミング分野などでシリコン以上の性能を実現できる素材である水晶とMEMS技術を組み合わせた独自技術「QMEMS」は、高精度・高性能センサとして様々な分野に採用されている。エプソンでは、今回のシリーズの開始にあたり、「世の中・お客様の要望に耳を傾けて、必要となる事業領域を見"究め"、その事業の核となる技術を"極め"続けるという、エプソンの基本行動を貫くことで、より良い未来を描いていきたい」という意思を込めた「究め極めた技術の先に、未来が見える」というコミュニケーションワードを設定したという。また、今回、アニメーション中に登場する森山氏は、「エプソンと言えばプリンタを思い描く方が大半かと思いますが、プロジェクターやスマートグラス、ロボット、そして先日発売した脈拍計測活動量計など様々な商品・サービスを世界中にお届けしています。私が担当しているセンシングシステム事業は、エプソンが長年培ってきた各種センサー技術をとことん研ぎ澄ませ、人々の暮らしをもっと便利に快適にする"なくてはならない製品・サービス"を実現するために日々挑戦しています。実際に担当している技術者は今回登場しているような熱い思いを持つ者ばかりです。この動画については個人的にもどう仕上がるのか興味津々でした。私を表現しているキャラクターは実際より大分美化されていますし、こんなに良い声ではない(CVは西村氏が担当)ので少し恥ずかしい気もしますが、エプソンの新しい一面を表現できているので、みなさまにもぜひご覧いただきたいと思います」とコメントしている。なお、同アニメシリーズは2015年3月までに新たに3編が公開される予定となっており、YouTubeや特設Webサイト、公式Facebookなどで視聴することが可能。同社では、自社で保有するコア技術の詳細や、技術開発にかける想いなどを様々な視点から紹介するコンテンツを掲載した技術情報Webサイトも有しているので、今回のアニメーションを見て、同社の技術が気になった人は一度、訪問してみると良いだろう。特設Webサイト技術情報WebサイトYouTubeエプソン公式チャンネルFacebookエプソン公式ページ
2014年12月05日日本オラクルは12月2日、高速分析専用マシンの最新版「Oracle Exalytics In-Memory Machine X4-4」の国内提供を開始した。同製品は、ビジネス・インテリジェンス・ソフト、インメモリ分析ソフト、ハードウェアを最適化したもの。執行役員 BI/EPM事業統括 伊藤健治氏は冒頭に、同社が高速分析専用マシン「Exalytics」を提供する理由を説明した。伊藤氏によると、日本では、情報分析システムを評価する際、ユーザー・インタフェースにフォーカスが絞られがちだが、実際には、データマートの乱立、パフォーマンス・チューニング、データの整合性など、さまざまな要素に目を向けなければならないという。同社は情報分析システムを「情報蓄積基盤」「情報活用基盤」「定型レポート/探索・解析/経営・事業計画」という3つのレイヤーでとらえており、情報活用基盤がROIの最大化とTCO削減のかなめとしている。この情報活用基盤を担う製品として、伊藤氏は「Exalytics」の重要性を訴えた。さらに、企業においてプロセス統合を目的に導入されているERPは限界に来ている今、情報活用基盤によって企業全体の情報を統合する必要があると指摘した。新製品については、BI/EPM事業統括 ソリューション本部 ビジネス推進部 担当シニアマネジャーの枇榔貴子氏が説明を行った。新製品はハードウェアとソフトウェアの両面から機能強化が図られている。ハードウェア面では、インテルと共同開発したオラクルのエンジニアド・システム用専用のIntel Xeon E7-8895 v2シリーズのプロセッサ4個を搭載しているほか、最大4.8TBのPCleフラッシュメモリ、7.2TBのハードディスク容量をサポートする。ソフトウェア面における最大の特徴としては、「Oracle Database In-Memory」に対応したことが挙げられる。これにより、マシン1台当たり最大3TBのメモリと合わせて、データマート全体をメモリ上に格納でき、ハードウェアを含むシステム全体を更改することなく、高速な分析処理を提供できる。新製品には、Oracle Database In-Memoryのほか、「Oracle Business Intelligence Foundation Suite」、「Oracle Database In-Memory」、「Oracle Endeca Information Discovery」、「Oracle Business Intelligence Applications」、「Oracle Real-Time Decisions」、「Oracle TimesTen In-Memory Database」、「Oracle Hyperion Enterprise Performance Management」といった、レポーティングや分析に関する機能が搭載されている。枇榔氏は、同製品による情報活用基盤の投資対効果を「コスト構造の見直し」「分析の高度化」「導入・運用リスクの低減」という3つの視点から語った。コスト構造の見直しという視点については、同製品がソフトウェアとハードウェアが最適化された状態で出荷されることから、従来、専門家の手が必要だった「パフォーマンス・チューニング」「レポート開発」「基盤構築」「設計」に必要な工数が削減されるという。利用頻度が高いデータを自動でインメモリにロードしておく「サマリー・アドバイザ機能」も、マシン・リソースの効率化と処理の高度化という点から、コスト構造の見直しと分析の高度化に寄与する。また、新製品ではサマリー・アドバイザ機能にインメモリ・データマートを作成するが、そこでは高速な処理が行われるため、2次データマートを作成する必要がなく、従来のBIシステムでデータマートが煩雑化している状態を回避できる。導入・運用リスクについては、「自動発行機能」「運用管理ソフト」「運用支援サービス」によって、ユーザーの負担を低減する。加えて、将来のユーザー数を見越して、導入後にソフトウェアのライセンスを増やすという運用が可能となっている。
2014年12月03日トヨタ自動車は11月20日、駐車場での安全・支援技術として2つの新技術を開発したと発表した。今回、事故全体の約30%が発生している駐車場での安全性向上のため、ペダル踏み間違い・踏み過ぎによる事故被害を軽減する「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」に、アクセル・ブレーキペダル操作に関係なく低速取り回し時における衝突回避・被害軽減を支援する新たな機能を追加した。さらに、車体周囲の安全確認をサポートする「パノラミックビューモニター」に障害物の確認をより容易にした新たな画面モード「シースルービュー」機能を追加した。「ICS」では、機能を拡張し、踏み間違いなどによる急発進時に、クリアランスソナーで障害物を認識して衝突被害の軽減を図る。具体的には、センサの増設と検出距離の延伸により、検出範囲を拡大するとともに、制御ソフトを改良し、従来のペダル踏み間違いによる衝突被害の軽減だけでなく、駐車場内の低速での移動や、車庫入れなど、ペダルの誤操作がない場合にも隣接車両や障害物との衝突回避や被害軽減を支援できるようにした。また、駐車支援機能「インテリジェントパーキングアシスト2(IPA2)」では、従来のIPAにICSと連携した自動ブレーキによる「衝突回避/被害軽減支援機能」の他、複数回の前後移動が必要な狭い駐車環境において、自動でステアリング操作を行う「切り返し支援機能」、前後が狭い縦列駐車空間からの出庫を半自動で行う「縦列駐車時の出庫支援機能」を追加した。これらにより、駐車場での使用性を大幅に向上させている。そして、ナビ画面に表示する機能として、従来の車両を上から見下ろしたような映像の「パノラミックビューモニター」に、「シースルービュー」を新たに追加した。スイッチ操作で車両の外側から見下ろしたような映像を表示する従来の「ムービングビュー」と、ドライバーの視線で車両を透かしたような映像を表示する「シースルービュー」が選択できる。シースルービューでは、ムービングビューと比較して、障害物を大きく見やすい映像として表示できる。なお、これらの新技術は2015年に発売する新型車に採用される予定。
2014年11月21日