話し込むほどに、とてもよい音楽家だと感じさせる人だ。ヴァイオリニストの山根一仁が2月、埼玉、静岡、京都、そして東京をめぐるリサイタルを開く。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番《春》とフランクのヴァイオリン・ソナタを核に、シュニトケの《古い様式による組曲》、ストラヴィンスキーの《イタリア組曲》というプログラム(順不同)。【チケット情報はこちら】ベートーヴェンやロシア音楽は、彼の音楽との関わりの原点のような作品でもあるのだそう。「2~3歳の頃、音楽に興味を持ったきっかけが、家にあったプロコフィエフの《ピーターと狼》のバレエのビデオ。そして4歳でヴァイオリンを始めたきっかけが、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番。その後も、(ロシアの大ヴァイオリニストである)オイストラフ門下のオレグ・クリサ先生に教えていただいていたので、ロシア音楽にはずっと親近感を持っています」ベートーヴェンに夢中になったのも、音楽好きのご両親が録り溜めていたビデオがきっかけ。「小学1年生の頃、カルロス・クライバーが1986年に東京で指揮した交響曲第4&7番にハマりました。とくにティンパニ。親にスコアを買ってもらって、学校から帰ると毎日、菜箸で座布団を叩いてました(笑)」共演は同い年のピアニスト小林海都。昨秋、ミュンヘンの山根の自宅で、プログラムを相談しながら、いろんな曲を弾きまくった。「とにかく、ただ音楽に触れているような楽しい時間でした。海都くんは、互いに意見をぶつけることを楽しめる、大好きな相手です。ぶつける時間を取れること自体が大切で、効率を求めればぶつからない。でも妥協が生まれ始めたら、それは絶対にいい音楽につながりませんから。ふたりでこのプログラムを演奏できることが楽しみだし、全部の曲が、“僕ら”にすごく合っている。いい4曲が選べたかなと思っています」演奏家でも、作曲家・作品でも、表現者の人間性が強く出ていることに惹かれると話す。たとえばヴァイオリンのギドン・グレーメルや先述のクライバーの唯一無二の個性。「彼らは自分を出しきりながらも音楽を尊重しています。クレーメルが、『美しさを求めたことはない』というようなことを過去に話しているのですが、もちろん、彼は美しい音でも弾くんですけど、それは音楽を求めた結果だということなんですね。音楽の中の美しさを見つけるのが音楽家の仕事であって、美しさを求めたらダメなんです。音楽の中には、汚い部分、くさい部分もあります。それを出せる音楽家になりたいと思っています」「つねに音楽に正しくあれ」これが、現在ミュンヘンで師事するクリストフ・ポッペンの教えだという。演奏はもちろん、音楽を語ることにも、飾ることなく真摯に誠実に向き合う山根は、まさにそれを体現している。もちろん「正しさ」はひとつではないだろう。2月のリサイタルは、彼の現在の解答を示してくれるはずだ。取材・文:宮本明
2020年01月31日ネット上に存在する最大の仮装通貨、「ビットコイン」。夢があるけど失敗も全部含めて楽しい!昨年末頃から芸人さんの間で広まった仮想通貨ブーム。その先駆者の一人が、自称「仮想通貨芸人」のハニートラップ・梅木一仁さん。ビットコインなど仮想通貨での投機を、いち早く始めていた。「昨年の2月くらいかな。先輩芸人のガリガリガリクソンさんに、『仮想通貨が絶対にくる!』と、すすめられて一緒に始めたのは。それで当時、1枚6円くらいだった『リップル』と『ネム』を15万円分買ったら即10倍に。でも、株をやっていた感覚から、これ以上はないと踏んで売ってしまったんです。そのあとぐんぐん上がって、結局50倍くらいになって。このあり得ない伸び幅は、仮想通貨ならではやな、と。取り損ねたのに150万円って、スゴイでしょ」初っ端から仮想通貨の恩恵を受けた梅木さん。ところが最近、何やら“怪しい仮想通貨”に手を出して、20万円が2日で1万2000円になるという大暴落も…!「『上がるから』という情報が嘘やったんです(汗)。仮想通貨のシステムは信頼できるけど、何があるかわからないのも本当で。いろんな意味でセキュリティの意識は必要です。お金の管理はとくにそう。僕は仮想通貨をUSBで保管したり、ペーパー化してハッキング対策をしています。仮想通貨は自己責任。楽しむために自分のお金は自分で守る。これが鉄則です」そしてイチオシの仮想通貨を聞いて挙がったのが、「ニューロメーション」。人工知能系の仮想通貨で、ロシアなど海外の取引所でしか買えないものだとか。「最低でも600倍になると聞いて、サラ金から借りて60万円ぶち込みました。来年には3億6000万円ですよ!夢があるのはこういう無名の銘柄。ただ、初心者は大ケガをしないためにも、ビットコインみたいに人気も安心感もある銘柄から始めて、仮想通貨に慣れるのがおすすめ。まずは1万円とか、なくなっても諦められる金額から。少額でも大化けするのが仮想通貨の醍醐味だし、値動きのドキドキ感はけっこう楽しいですよ。僕は60万が消えないように、切実に祈るのみですが(笑)」ハニートラップ梅木さん近日、「梅木カブチェンコ」名義で仮想通貨の歌をリリース予定。ツイッターに最新情報やおすすめの銘柄情報も。@honeytrap_umeki※『anan』2018年3月21日号より。写真・中島慶子イラスト・3rdeye取材、文・熊坂麻美(by anan編集部)
2018年03月17日1920年に大分県で生まれ、現在96歳の梅木信子先生。18歳のときに出会った夫梅木靖之さんと23歳に結婚しますが、結婚式は遺影と行うことに。婚約者だった夫は、戦死してしまったからです。その後「戦地に赴き、死んで婚約者と一緒に靖国に往く」ことを目的に、東京女子医科大学に入学。それから壮絶な人生を経て女医となり、いまなお現役でいらっしゃいます。先生が新著『ひとりは安らぎ感謝のとき』(KADOKAWA)のなかで語る健康や食についての考え方は、現代を生きる私たちにも必見です。■梅木先生が語る「ドクターの選び方」50年も地域医療に向き合った梅木先生から見ると、日本ではどうしても大病院志向の人が多いのだとか。たとえば夜中に卒中発作を起こしたとき、いつもかかっている大病院が遠い場合、救急隊員が必死に診察を受け入れてくれる近くの病院を探します。しかし、そうして受け入れられた病院では病歴がわからないため、改めて検査をすることに。ところが、その間に亡くなってしまうことも多々あるそうなのです。そのため、梅木先生はホームドクターを持つことを強くすすめています。常に全身を診てくれて、でも専門外はさっさと紹介状を書いてくれる先生がいいと。また、病院やドクター選びの注意点として、先生自身なら「患者さま」と呼ぶ病院はまず敬遠するそうです。そういう病院は、経営面ばかりが前面に出ているものだから。かといって、患者に気が回らない病院もダメ。まったく診察に呼んでくれなかったり、フォローがなかったりするドクターはその典型だそうです。そして、診察のときにパソコンばかり見ている先生もNG。なぜなら診察室に入ってくるときの患者の歩き方や顔色を見るだけで、だいたいの診断はつくものだからだといいます。これは、すぐにでも参考にできるポイントですね。■梅木先生が考える「食で大切なこと」そして梅木先生は、人生を健康で豊かに楽しむため食にもこだわっています。といっても、食との向き合い方はいたってシンプル。できる限り自然のものを、あまり手を加えず食すことがモットーなのだといいます。また自然に任せ、空腹になれば食べる、空腹にならないと食べないそうです。さらに料理をするという行為は段取りや分量のことで頭を働かせるので、認知症予防にもつながるといいます。そして、好き嫌いはあってもOK。バランスよく食べることが健康にいいのはたしかだけれど、「健康にいいから」と無理して好まないものまでを食べる必要はないというのですから驚き。その前提として大切なことは、「不足しているものは自然に体が要求するから、その自然の声に耳を傾けて従う」ということなのだそうです。現代の私たちは忙しすぎて、体や自然の声に向き合うことがなかなかできません。しかし、それがいちばんの問題かもしれません。著書のなかには、ときに厳しい言葉も並びます。しかし、先生の歩んでこられた険しい人生の上に並ぶこの言葉たちは、これからも伝えられていくべきもの。本書を通じ、「愛とは?」「老いとは?」「健康とは?」ということをいま一度考えてみていただければと思います。(文/料理家・まつながなお) 【参考】※梅木信子(2016)『ひとりは安らぎ感謝のとき』KADOKAWA
2016年04月04日