川崎重工業は11月19日、産業用では初となる純国産独自技術の水素液化システムを開発し、水素液化試験を開始すると発表した。今回開発した水素液化システムは、兵庫県に位置する播磨工場内の水素技術実証センターに設置され、1日あたり約5tの水素を液化する能力を有するという。同システムは、水素液化機、液化した水素を貯蔵する液化水素貯蔵タンクなどで構成されており、同社がこれまで培ってきた純国産の独自技術が随所に活用されている。同システムは、圧縮した水素ガスを冷凍サイクルで冷やされた水素と液化機内で熱交換しながら冷却することで液化水素を製造する仕組み。このほど、開発後の試運転において液化水素の製造が確認され、これにより本格的な性能評価試験へと移行する。同社は、水素の大量導入を支えるサプライチェーンの構築に向けて、必要となるインフラ技術の開発・製品化に取り組んでおり、水素液化システムのほか、液化水素運搬船や液化水素貯蔵タンク、さらには水素燃料に対応したガスタービンなどの開発および製品化を推進している。
2014年11月19日奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)は、水素分子の分解反応や水素分子をつくりだす合成反応を可逆的に触媒する酵素であるニッケル-鉄ヒドロゲナーゼについて、この酵素に含まれる鉄硫黄クラスタといわれる部分がスイッチ役になって、この酵素の触媒反応を制御するメカニズムを明らかにしたと発表した。同成果は、同大 物質創成科学研究科 超分子集合体科学研究室の廣田俊教授、太虎林特任助教、兵庫県立大学 生命理学研究科の樋口芳樹教授、科学技術振興機構 CRESTらによるもの。詳細は、「Angewandte Chemie International Edition」に掲載された。ヒドロゲナーゼは、微生物が有する酵素で水素分子の分解・合成を行う。また、ヒドロゲナーゼは、その活性部位の金属錯体の構成金属の違いから3種類に分類され、それぞれニッケル-鉄ヒドロゲナーゼ、鉄-鉄ヒドロゲナーゼ、鉄ヒドロゲナーゼと呼ばれる。このうち、ニッケル-鉄ヒドロゲナーゼは、最もよく研究されてきた酵素で、大小2つのタンパク質(サブユニット)からなり、ニッケル-鉄活性部位は大きなサブユニット中にある。触媒反応が起こる時、水素分子の分解・合成により、このニッケル-鉄活性部位の配位構造は3つの状態をとる。さらに、触媒反応に関わる電子は小さなサブユニットにある3つの鉄硫黄クラスタを通って外部のタンパク質分子とやりとりされる。この酵素に光を照射すると、ニッケル-鉄活性部位は3つの状態とは異なる新たな状態になることがわかっていたが、その状態が触媒反応において意味を持つのかは不明だった。研究グループは、フーリエ変換赤外吸収分光法という分子構造を調べる方法を用い、光照射で生じる状態が触媒反応の中間体であることを突き止めた。そして、3つの鉄硫黄クラスタのうちニッケル-鉄活性部位に最も近いクラスタの電子状態を調べた結果、そのクラスタが還元されている時は触媒反応が進まず、酸化されている時だけ進むことを見出した。つまり、活性部位に最も近い鉄硫黄クラスタがスイッチ役になってヒドロゲナーゼの反応を制御していることを明らかにした。この酵素による水素分子の分解・合成反応は、現在燃料電池などに利用されている白金などの希少金属触媒と比べて高効率で行われており、今回の成果は、新規の燃料電池や水素合成触媒の開発につながることが期待されているとコメントしている。
2014年10月21日物質・材料研究機構(NIMS)は10月16日、バルクでは合金にならず、また各々単独では水素吸蔵金属でもない銀-ロジウム(Ag-Rh)合金ナノ粒子が、なぜパラジウム(Pd)のように水素吸蔵特性を示すかを調べるため、その電子構造を観測したと発表した。同成果は、NIMS 中核機能部門 高輝度放射光ステーションの坂田修身ステーション長、京都大学大学院 理学研究科の北川宏教授、九州大学 稲盛フロンティア研究センターの古山通久教授らによるもの。詳細は、「Applied Physiscs Letters」に掲載される予定。元素の周期表中でPdの両隣りにあるRhとAgは、それぞれ水素を吸蔵する能力を持っていない。バルクでは合金になり得ないAg-Rhは、十数nmの大きさにして初めて合金化することができ、AgとRhが1:1のAg0.5Rh0.5合金ナノ粒子はPdと同様に水素を吸蔵する。しかし、なぜ、このような特性をAg0.5Rh0.5合金ナノ粒子がもつかは不明だった。今回、Ag-Rh合金ナノ粒子の価電子帯の電子構造を高輝度放射光の高分解能光電子分光測定、および、理論計算により調べた。直径十数nm粒子の内部の電子構造を実験室のエネルギーの低い(軟)X線を使った光電子分光測定で調べるのは難しいため、大型放射光施設(Spring-8)にあるNIMSビームラインでエネルギーの高い(硬)X線を用いた。また、電子系のエネルギーの計算スペクトルから、実験結果を精密に解釈した。その結果、Ag-Rh合金ナノ粒子は、AgとRhが微視的に分離した混合物ではなく原子レベルで混成しており、その電子構造はPdの電子構造と極めて類似していることがわかった。Ag-Rh合金ナノ粒子に水素が吸蔵されるのは、この電子構造の類似性と関係していると考えられるという。今回の成果から、Ag-Rh合金ナノ粒子は、その電子構造の観点からPdと同様に水素吸蔵のみならず有用な触媒となる可能性も示唆される。今後、その性質と物性などに関して共同研究を進めていく一方、同合金ナノ粒子の他、様々な新機能性物質が産業に展開できるよう、電子構造や原子配列に関するデータを提供し、データを活用した設計型物質・材料研究(マテリアルズ・インフォマティクス)の基盤を形成していくとコメントしている。
2014年10月20日日本原子力研究開発機構(JAEA)とJ-PARCセンター、東北大学は9月26日、高温高圧力下において鉄中に高濃度に溶けた水素の位置や量を観測することに成功したと発表した。同成果は、JAEA 量子ビーム応用研究センター、J-PARCセンター、東北大 金属材料研究所の研究グループによるもの。東北大 原子分子材料科学高等研究機構、中央大学 理工学部、愛媛大学 地球深部ダイナミクス研究センターと共同で行われた。詳細は、英国科学雑誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載された。水素は鉄などの金属中へある温度、圧力条件で溶け込む。溶けた水素は、例えば材料強度を弱めるといった機械的な特性変化(水素脆性)を引き起こすが、その現象を理解するには、水素がどこにどのくらい存在するのか、という情報が重要になる。鉄中に水素は、数万気圧という高圧力下でしか高濃度に溶け込むことができない。材料中の水素を観測する方法は限られ、また高温高圧力下での測定は技術的に困難なため、これまで実験的に観測できなかった。今回、水素を観測することができるJ-PARCの大強度中性子線を利用して、高温高圧力下の鉄中に高濃度に溶けた水素の位置や量を、実験的に決定することに成功した。そして、これまで面心立方構造の鉄中においては、鉄原子が作る八面体サイト(隙間)の内部のみに水素が存在すると考えられていたが、高温高圧力下における中性子回折実験により、八面体サイトに加えて鉄原子の作る四面体サイトの内部にも水素が存在することを明らかにした。今回の成果によって、鉄中に溶けた水素に関係する特性の変化に対する理解がより一層進むと期待される。また、各種鉄鋼材料の高品質化・高強度化に向けた研究開発や、地球内部のコア(核)に存在する鉄の研究などの進展にも役立つことが期待されるとコメントしている。
2014年09月30日「炭」の優れた機能に注目した、ダイエットや美容に役立つ商品!炭プラスラボ株式会社は、このほど「水素イオンダイエット 炭+」を登場させた。水素サンゴパウダーに加えて、高い吸着性など、炭のさまざまな機能に注目して開発された商品だ。炭と水素のコラボレーションによる、すばらしい相乗作用で、若さや美しさ、また健康をサポートしてくれる。パッケージは「炭」のロゴ文字が消費者に興味を持たせる、シンプルで理解しやすいデザインだ。また炭と水素サンゴパウダーを調合させた新商品を開発中で、3月「健康博覧会2014」で発表する予定だ。炭の利点と、商品に配合されている「水素サンゴパウダー」の特質この商品は、安全性もあり、必須微量ミネラルも豊富で、高い浸透力や持続力、還元力を持つ「水素サンゴパウダー」と、世界中の炭のタイプから、厳選された最も吸着力の強い「炭」が調合されている。また水素サンゴパウダーの原料は、100%純粋なサンゴで、主要な成分のサンゴカルシウムは、健康を補助する為の食品などにも使用されている。また炭プラスラボ株式会社によれば、自然の植物から作られる炭には、水分や栄養の通り道の為に使用されていたミクロの孔がたくさん空いていることにより、体内の腸の汚れを多量に吸収して、体の外に排泄してくれることで、腸内の活動を改善してくれる。また殺菌作用や解毒作用もある。さらに消臭作用もあり、よくない匂いの原因になる悪性の物質を分解また吸収してくれるという。(炭プラスラボ株式会社HPの炭についてより)。このような働きによって炭は、ダイエットや美容などの強い味方になってくれる。【参考リンク】▼炭プラスラボ株式会社
2014年01月13日東京大学(東大)は11月6日、液体の水の水素結合が作り出すネットワーク構造は「ミクロ不均一モデル」であることを裏付けることに成功したと発表した。同成果は、東大物性研究所附属極限コヒーレント光科学研究センター 軌道放射物性研究施設・東京大学放射光連携研究機構 准教授の原田慈久氏、同 丹羽秀治 特任研究員、理化学研究所放射光科学総合研究センターの德島高 技師、同 堀川裕加 基礎科学特別研究員、東大物性研究所附属極限コヒーレント光科学研究センター 軌道放射物性研究施設・東京大学放射光連携研究機構 教授で理研放射光科学総合研究センター チームリーダーの辛埴氏、および広島大学、高輝度光科学研究センター(JASRI)、アイスランド大学、ストックホルム大学、SLAC国立加速器研究所らによるもの。詳細は「Physical Review Letters」に掲載された。水分子(H2O)が持つ、同様な構造の分子と比べた時の沸点、融点の高さ、あるいは固体が液体より密度が小さいなどの独特な性質は、水分子を引き付ける水素結合により説明されるが、水素結合が作り出すネットワーク構造については良くわかっておらず諸説入り乱れており、中でも歪んだ水素結合で水全体がつながっているとする「連続体モデル」と、異なる水素結合の状態の混合であるとする「ミクロ不均一(混合物)モデル」が有力とされてきたが、どちらのモデルがより的確に液体の水の水素結合を表したものであるかは明らかになっていなかった。今回、研究グループは、大型放射光施設SPring-8の東京大学放射光アウトステーションビームラインBL07LSUおよび理研ビームライン物理科学III BL17SUを利用して、水素結合の切れた水分子のみを選択して観測する手法を用いることで、この謎の解明に挑んだ。水分子(H2O)は酸素原子(O)と2つの水素原子(H)で構成され、1分子あたり合計4つの水素結合を形成することができ、その結合の特性が複雑かつ多様な性質の根源となっていると考えられている。例えば氷の場合は、水素結合がしっかりと結びつき水分子をきれいに整列させているが、液体の場合は、水分子同士がさまざまな距離、角度で隣接し、場合によっては水分子同士を結び付けている水素結合の紐が切れたものもある。すでに研究グループは、これまでの研究から、液体の水の中に水素結合に違いのある2成分の構造が存在するというモデルを提唱し、「氷によく似た微細構造」が1nm程度の大きさを持つミクロ不均一構造を持っていることを報告してきていた。今回の研究では、高分解能の軟X線吸収・発光分光を用いて、軟X線照射によって起こる水分子の振動を精密に観測。水分子の振動は、通常の赤外吸収分光やラマン散乱分光でも観測することができるが、軟X線では照射する光のエネルギーを選ぶことによって特定の水素結合環境にある水分子を選ぶことができ、液体の水の酸素の軟X線吸収スペクトルには、特徴的なピークが確認された。水のミクロ不均一モデルでは、このピークが水素結合のつながっていない水分子に由来すると考えてきたが、その実験的な証拠が掴めていなかったことから、さらにそのピークに照射する軟X線のエネルギーをあわせることで、水素結合がつながっていない水分子を選択し、軟X線発光スペクトルに現れる水分子の振動エネルギーを観測する実験を実施。入射した光のエネルギーを原点にとって表示した軟X線励起の振動スペクトルから、最も低いエネルギーの振動を、既存の振動分光手法で得られる振動エネルギーと比較したところ、はっきりとした違いを確認することに成功。これにより孤立した水分子のOH伸縮振動エネルギーに近く、ピークAで選択された水分子は確かに水素結合が切断されていることが示され、この結果から、水の中に水素結合様式の異なる状態が共存するというミクロ不均一モデルが裏付けられたこととなった。さらに研究グループは、水素結合がつながっていない水分子を選択して観測できるという特徴を活かし、通常の水素で構成される水素結合と重水素(D)で構成される水素結合の違いを調べることを目的に、HとD(重水素)を1つずつ持つHDOの振動スペクトルの測定を実施。H2O(軽水)とHDO、D2O(重水)の振動スペクトルを比べたところ、もしH2OとD2Oで水素結合のしやすさが一緒であれば、HDOの振動スペクトルはH2OとD2Oの1:1の和で表されるはずであったが、実際にはH2Oの寄与が大きく、水素結合がつながっていないHDO水分子は、OH側、つまり通常の水素で構成される水素結合の方がつながっていない確率が高いことが判明したという。これは通常の水素で構成される水素結合の紐が、重水素で構成される水素結合の紐よりも切れている確率が高いことを示唆するもので、研究グループでは、H2OとD2Oを比較すると、H2Oの方が融点や沸点がD2Oに比べて低いことが一般に良く知られているが、今回の結果を用いることで、この水の物理化学的性質をよく説明することができるようになるとしている。なお、研究グループでは今回用いられた軟X線励起による実験手法を活用していくことで、水素結合が重要な役割を果たしている種々の化学反応や触媒反応、生体中の水の研究が進展することが期待されるとコメントしている。
2013年11月13日肌に負担の少ない“水素”に着目した美容スティックJIMOSは、オリジナル化粧品ブランド「マキアレイベル(MACCHIA Lb.)」から、「シミ、くすみ等を早く改善したい」という女性の願いをかなえるため、肌に負担の少ない“水素”に着目して開発した美容スティック「SUI‐SO Eraser(スイソイレイザー)」を、5月1日より数量限定で発売する。*画像はニュースリリースより新開発成分“水素化マグネシウム”が働きシミを改善「SUI‐SO Eraser」は、肌に負担がない水素に着目し、日本医科大学、太田教授との共同研究により開発された、シミの原因であるメラニンの塊を分解できる効果的な新成分“水素化マグネシウム”が、肌の水分と反応して水素を発生させ、水素がメラニンの塊を分解してシミを改善するという、美容スティック。“水素化マグネシウム”は微量の水分でも反応するため、手を介さず、気になる箇所に直接塗ることができ、持ち運びにも便利なスティックタイプを採用。気になる箇所に直接塗ることができ、肌の上で直接“水素化マグネシウム”が働き水素が細胞にすばやく浸透しシミの原因にアプローチする。元の記事を読む
2013年04月24日