2014年10月21日 14:37
NAISTなど、水素の分解・合成酵素の反応を制御するスイッチの機構を解明
奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)は、水素分子の分解反応や水素分子をつくりだす合成反応を可逆的に触媒する酵素であるニッケル-鉄ヒドロゲナーゼについて、この酵素に含まれる鉄硫黄クラスタといわれる部分がスイッチ役になって、この酵素の触媒反応を制御するメカニズムを明らかにしたと発表した。
同成果は、同大 物質創成科学研究科 超分子集合体科学研究室の廣田俊教授、太虎林特任助教、兵庫県立大学 生命理学研究科の樋口芳樹教授、科学技術振興機構 CRESTらによるもの。詳細は、「Angewandte Chemie International Edition」に掲載された。
ヒドロゲナーゼは、微生物が有する酵素で水素分子の分解・合成を行う。また、ヒドロゲナーゼは、その活性部位の金属錯体の構成金属の違いから3種類に分類され、それぞれニッケル-鉄ヒドロゲナーゼ、鉄-鉄ヒドロゲナーゼ、鉄ヒドロゲナーゼと呼ばれる。このうち、ニッケル-鉄ヒドロゲナーゼは、最もよく研究されてきた酵素で、大小2つのタンパク質(サブユニット)からなり、ニッケル-鉄活性部位は大きなサブユニット中にある。触媒反応が起こる時、水素分子の分解・合成により、このニッケル-鉄活性部位の配位構造は3つの状態をとる。