子どもの自己肯定感を高めるために、声かけなどのコミュニケーションや家での過ごし方など、子育ての環境を整える工夫をしているご家庭は多いはずです。では、親御さんご自身の自己肯定感はどうでしょう。じつは「親の自己肯定感」こそが、子どもの自己肯定感につながる大きな鍵になるのです。なぜ親の自己肯定感が大事なのか?その理由をくわしく解説していきます。科学的にも証明されている「親の自己肯定感=子どもの自己肯定感」昨今の「自己肯定感」ブームにより、「自己肯定感が低いとよくない」「自己肯定感が高い子どもと自己肯定感が低い子どもの大きな差」といった、不安を煽るような話題が取り上げられることも増えてきました。そのせいで、過度にプレッシャーを感じてしまい、わが子の自己肯定感を上げることばかりに注力する保護者も増加傾向にあるようです。しかし、どんなに「子どもの自己肯定感」にばかり気を配っていても、「親自身の自己肯定感」について真剣に考える機会はあまりないのではないでしょうか。「自己肯定感は親子セットで育むもの」と断言するのは、行動科学専門家の永谷研一氏です。永谷氏によると、「親の自己肯定感の低さが子どもに影響を与えることは、科学的にも証明されている」とのこと。慶應義塾大学医学部小児科教授で医学博士の高橋孝雄氏もまた、「親の考え方やふるまい、習慣などが子どもに影響することから、親の自己肯定感の低さは子どもに連鎖する」と指摘しています。たしかに、「どうせ私なんて……」「きっと失敗するから諦めよう」など、ネガティブな言葉を日々聞かされる環境で育てば、子どもの自己肯定感が低下するのもうなずけます。また、自己肯定感が低い親は、知らず知らずのうちに子どもにとってマイナスの影響を与えることもわかっています。一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会によると、「親の過去の悔しさや挫折を、子どもを使って挽回しようとする」「子どもの将来が親の希望通りに進むようにコントロールする」などのケースが見られるそう。一見すると教育熱心で、子どもの将来のために尽くしているようにも思えますが、それが「過干渉」や「教育虐待」につながってしまう恐れもあるので注意が必要です。「過干渉の親は、世間体を気にしすぎるあまり、『子どもが勉強できないと自分も格好悪い』というような、非常に狭い教育観で子育てをする傾向があります」と苦言を呈しているのは、臨床心理士の芳川玲子氏。このような親は、テストの点数や勉強の進み具合ばかり気にしているため、子どもの内面的な成長や長所に目を向けることがほとんどありません。芳川氏は、「その結果、子どもの自尊感情は育たず、子どもの心はどんどん萎縮していくのです」と言います。これらは、自分の生き方に自信がもてず、それゆえに子どもに「成功した自分」を自己投影してしまうことが原因です。『「いい親」をやめるとラクになる』(青春出版社)著者で医学博士の古荘純一氏は、「敏感な子ほど、全部それ(大人の不安)を受け止めてしまうため、大変なストレスになる」と指摘しています。子育てがつらいのは自己肯定感が低いせいかも……古荘氏によると、自己肯定感の低い親のなかには「何でこんなにつらいのだろう」「この子がいなければ楽なのに」などのネガティブな考えから、子育てが困難になるケースもあるとのこと。子育て心理学協会代表理事の東ちひろ氏も同様に、「自己肯定感が低いまま大人になった場合、子どもの自己肯定感を高めるどころか子育てそのものがつらく感じることがある」と述べています。自己肯定感が高い人は心に余裕があるため、子育て中のハプニングやトラブルに対して柔軟に対応できます。また、ネガティブな情報に振り回されずに、自分のペースで子どもと向き合うことができるのも、自己肯定感の高さゆえでしょう。子育ては決して楽しいことや幸せを感じることばかりではありません。孤独感に押しつぶされそうになったり、自己犠牲をともなったりするものです。そのような状況に置かれると、自己肯定感が低い人は「ちゃんとできないのは自分のせい」と、自責の念にかられてしまうのです。自己肯定感が低いまま親になる人は意外と多い自己肯定感を高めることができないまま大人になってしまうのはなぜでしょう。『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(KADOKAWA)の著者で家庭教育専門家の田宮由美氏は、次のことを原因として挙げています。友人や兄弟と比べられて育ったいつも完璧を求められていた選択肢をあまり与えてもらえなかった話をあまり聴いてもらえなかった共感してもらえなかった つまり、子ども時代に「親に認めてもらえなかった」「親の期待に応えられなかった」という経験が根底にあり、成長後に他者と関わり合うなかでも自己肯定感を高めるきっかけをつかめなかったことが要因となっているのです。「長年かかって形成された自分の価値観や思考を変えることは大変」と田宮氏も述べるように、親になったからといって自動的に自己肯定感が上がることはなく、むしろその根深さに気づかされることも。前出の古荘氏は、現代の子育て世代が幼少期を過ごしてきた時代背景にも関係があると分析しています。現在子育てをしている親の多くは、1970~80年代の高度成長期から安定成長期にかけて子ども時代を過ごした世代です。その後突然のバブル崩壊を経て、日本全体が長い不況に陥る様子を青年期にかけて目の当たりにしています。一生続くと思われた幸せの図式があっという間に崩れ去り、将来の見通しが立たなくなるという不安定な時代を生き抜いてきた世代だからこそ、自分たちの生き方に自信がなく、常に将来に対する不安を感じているのです。自己肯定感が育まれないまま大人になり、親となったいま、わが子のためにも、まずは自分自身の自己肯定感を上げることを目指してみませんか?親の自己肯定感を上げる5つの方法親の自己肯定感を上げるには、どのような方法があるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。1. 夫婦で日常的に「感謝の気持ち」を伝え合う自己肯定感を高める方法として有効なのは、ほめられることです。しかし、大人になるにつれて他者からほめられる場面は確実に減ってきます。そこで、前出の高橋氏は「大人同士は『感謝すること・されること』を意識しましょう」とアドバイス。「いつもおいしいご飯をつくってくれてありがとう」「食器を洗ってくれて助かるよ。ありがとう」など、親が日常的に感謝の気持ちを伝え合うように心がければ、その様子を見た子どもも「感謝すること・されること」の大切さを感じ取り、自己肯定感の土台を築けます。2. 自分に対して「魔法の言葉がけ」をする多くの保護者たちと接するなかで「親の自己肯定感の低さ」を実感したという教育評論家の石田勝紀氏は、「いまの自分を肯定できないのであれば、『楽しむ』という世界へ自分をもっていくようにするといい」と述べています。自己肯定感が低い人ほど、現状の自分を否定し、物事を悲観的に考えてしまいがち。そこで「楽しいね~!」「ワクワクするね~!」という言葉を、自分自身に向けて発してみましょう。「面倒だな、イヤだな」という方向に思考が向いてしまいそうになったとき、「どんなことが起こるんだろう?ワクワクするね~」と多少強引にでも「これから楽しくなる!」と思い込むのがコツです。3. 物事を「できたこと」で評価するようにする前出の永谷氏によると、「自分への評価が『できていないこと』という否定からスタートすると、不安ばかりが増してチャレンジしようという力が湧いてこなくなる」のだそう。反対に、物事を「できたこと」というプラスから見始めると、さらにがんばろうという前向きな気持ちが生まれます。「忙しくて夕食はレトルトのハンバーグにしちゃった……」よりも、「忙しかったけど、スープとサラダは手作り!」と、できたことに目を向けてみましょう。4. 自分時間をつくる忙しい日々を送っている人ほど、心に余裕がなくなり、マイナスの感情にとらわれてしまいがち。『自己肯定感を育てるたった1つの習慣』(青春出版社)著者で心理カウンセラーの植西聰氏は、「自己肯定感が低い人は『自分を大切にする』ということが苦手」だと指摘します。そこでおすすめなのは、すべての情報をシャットアウトする時間を作ること。1日に10分だけでもゆったりとした気持ちで瞑想したり、深い呼吸を意識して気持ちを整える習慣をつけたりするだけで、プラスの感情を増やすことができます。自分を大切にするためにも、まずは自分と向き合う時間をつくりましょう。5. やりがいや熱中できることを見つけるペンシルバニア大学ウォートンスクール名誉実務教授のスチュワート D.フリードマン氏の研究によると、「親が自分の仕事にやりがいを感じていたり、自分自身をケアする時間をとったりすることは、子どもの感情面に良い影響を与える」とのこと。子どもの情緒面においても、親の自己肯定感を高めるためにも、やりがいや熱中できることを見つけたいものです。「何か新しいことに挑戦したい!」という熱意が湧いてきたら、気軽にチャンレンジできるものから試してみるといいでしょう。たとえば、子育て中のママに嬉しい短期集中型のスクールやレッスンなどがおすすめです。今後のキャリアのためにも、Webデザインを学びたい方には、「Fammママwebデザイナースクール」がぴったり。「1ヶ月で完結」というカリキュラムなので、集中して取り組めます。さらに、シッター常駐のキッズスペースや、急な欠席に対応してくれるオンライン講義など、小さい子をもつ母親向けのサポート体制も嬉しいですね。「せっかくだから英語を学習したいけれど、何から始めればいいかわからない」とお困りの方には、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」の「1 week ENGLISH COMPANY」がおすすめです。このプログラムは、言語習得や英語教育に関する豊富な知見をもった「英語のプロ」が、あなたの課題やつまずきを的確に発見し、「いまどんな勉強やトレーニングをすべきか」を教えてくれるというもの。「1週間・2回のみの受講」という超短期間で、効率よく英語学習を進めていくためのヒントが見つかります。自己肯定感を高めたい人におすすめの本最後に、親の自己肯定感を高めるのに参考になる本をご紹介します。◆『お母さんの自己肯定感を高める本』コロンビア大学で修士号を取得した心理学者による「母親が幸せになる14の行動習慣」を紹介している本著。NYで流行しているポジティブ心理学をベースに、12項目のバランスチェックシートや14のワークなど、論理的かつ具体的に「幸せになるための方法」を教えてくれます。◆『子どもの将来は「親」の自己肯定感で決まる』ドキッとするようなタイトルですが、中身はとても読みやすい小説形式になっています。「自己肯定感」をテーマに執筆活動を行なっている人気カウンセラーによる本著は、読み進めるうちに「子どもに対する罪悪感」がスーッと消えて、親子で自己肯定感を育むための気づきが生まれる不思議な感覚を得られます。◆『「自己肯定感低めの人」のための本』無意識の心のクセ=「心のノイズ」に着目した、自己肯定感を上げるための具体的な方法を示した一冊。これまで8,000人の心のクセを直してきた人気カウンセラーが、そのメソッドをぎゅっと詰め込んだ本著では、自分のなかに潜む「無意識のノイズ」に気づくことで不安を解消する方法が紹介されています。***2017年に逝去された児童精神科医の佐々木正美氏は、「愛されてきた人しか人を愛することはできないように、自分の言うことをよく聞いてもらってきた経験を持たない親は、幼い子どもの言うことをゆっくり聞いてあげることはできないのです」という言葉を残しています。親自身が誰かに受け入れてもらっていること、そしてありのままの自分を認めてあげることこそが、子どもの自己肯定感を伸ばす土台になるのです。(参考)AERA with Kids 特別編集,『自己肯定感を高める本』, 朝日新聞出版.たまひよ|親の自己肯定感が低いと、子どもに影響が、まず親から高めることを【小児科医】一般社団法人 日本セルフエスティーム普及協会|親の自己肯定感の低さが、子どもへの過度の期待を引き起こす学びの場.com|芳川玲子 子どもの折れやすい心を語る。古荘純一(2009),『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか』, 光文社新書.東ちひろ(2019),『子育てが上手くいく!「ママのココロ貯金」のすすめ 親と子の自己肯定感を上げる33のポイント』, メイツ出版.東洋経済オンライン|「自分はダメ親」と悩む人を変える“魔法の言葉”ダイヤモンドオンライン|コロナ禍を乗り切るために「自己肯定感」を上げる習慣とは?Harvard Business Review|親のキャリアは子どもの成長にどんな影響を与えるかFamm|1ヶ月で完結 子どもと通えるママ専用WebデザイナースクールENGLISH COMPANY|1week ENGLISH COMPANY佐々木正美(2021),『子どもが喜ぶことだけすればいい』, ポプラ社.
2021年03月31日「◯歳までに勉強させないと手遅れになる!?」「脳の発達には◯◯がオススメ!」——子どもの教育に関する情報は、育児アプリやブログ、SNSなどで、いつでもどこでも大量に得られる時代です。それらで得たすべての情報を鵜呑みにし、ひとつひとつノルマのように実践してはいませんか?このように、親が子どもの教育に関して完璧に行なおうとする「100点満点の教育」は、子どもの成長を邪魔してしまう可能性があることをご存知でしょうか。今回は、「100点満点の教育」を目指してはいけない2つの理由についてお話しします。「100点」を目指してはいけない理由1:過度な期待が子どもを苦しめる「100点満点の教育」を目指す背景には、「自分が“よい親”にならなくては」という思いと、「我が子を“よい子”に育てたい」という願いがあると考えられます。その思いと願いを叶えるために、自分のやりたいこと・欲しいものは我慢し、子どものことを最優先に行動する——そんな親の姿を、子どもはしっかり見ています。そして、子どもはそんな親の期待に応えようと努力します。たとえば、学習面で期待されていると思えば、テストでよい成績が取れるよう自ら机に向かい、一生懸命勉強するでしょう。しかし、その目的は、「自分の目標を達成すること」ではなく、「親の期待に応えること」になってしまいがちです。そうすると、親の目を気にしすぎて情緒不安定になってしまったり、頑張りすぎて途中で燃え尽きてしまったりすることも。青山学院大学教育人間科学部教授で小児科医の古荘純一氏は次のように説明しています。親の要求や期待に応え続けるということは、子どもにとって、本来の自分を否定され続けることに他なりません。そうした経験を積み重ねると、子どもは精神に変調を来しやすくなります。児童や思春期の子どもというのは、実は精神疾患を最も発症しやすい時期。すぐに異変が出なかったとしても、精神疾患を発症する下地がつくられます。すると、進学や就職など、環境が激変するタイミングなどで変化に対応できなくなり、不安障害やうつ病を発症してしまう、といったことは少なくありません(引用元:日経DUAL|親の過剰な期待子に取り返しつかない弊害もたらす)さらに、将来的には、親の敷いたレールの上しか歩けなくなったり、逆に親の期待に反発する生き方を選んだりしてしまうこともあります。つまり、親が子どものためによかれと思ってしたことが、結果的に子ども自身を苦しめたり、親子関係を悪くしてしまったりする可能性があるのです。「100点」を目指してはいけない理由2:親のストレスが子どもに悪影響“100点満点の教育”を目指していても、必ずしもうまくいくとは限りません。子どもの教育によさそうなことをあれこれ実践してみても、子どもがそれに対応できず嫌がったり、親自身が手いっぱいになってしまったりして、筋書きどおりにいかないこともあるでしょう。それが、完璧主義な親にとってはストレスとなってしまうことがあります。特に、自分の子育てが他人からどう思われているかを気にすると自信がなくなり、ストレスが増すという説も。また、他人のブログやSNSを見て、自分と比較してしまうタイプの人も要注意です。最近では、下記のような研究結果が発表されています。In my lab’s research on new parents, we found that mothers showed less confidence in their parenting abilities when they were more worried about what other people thought about their parenting. The popularity of social media has likely exacerbated this phenomenon because parents can look at what other parents are doing – even in ostensibly private moments – and judge themselves in comparison. In fact, recent research has linked greater Facebook use to feelings of depression due to the way individuals tend to compare themselves to others.(私の研究所が保護者に関して行なった研究によると、自分の子育てが他人からどう思われているか気にするほど、自分の子育てに自信をなくすことがわかりました。SNSの普及がこの状況を悪化させたと思われます。なぜなら、ほかの保護者たちが何をしているのか、明らかにプレイベートな場面でも見ることができるようになったため、他人との比較で自分を評価してしまうようになったからです。事実、最近の研究では、Facebookの頻繁な利用と抑うつ感に因果関係があることがわかっています。自分と他人を比べてしまうことが原因です。)(引用元:THE CONVERSATION|Worrying about being a perfect mother makes it harder to be a good parent※和訳は筆者が補った)親のストレスは、子どもにも悪影響を与えます。イライラしているとき、子どもの変化に気づかなかったり、子どもに適切な対応ができなくなったりした経験のある方は少なくないでしょう。子どものためを思っての行動がストレスになって、自分のことも子どものことも苦しめていては元も子もありませんよね。60点くらいでいい! 我が子に合わせた教育をとはいえ、「100点満点の教育」を目指さずに、子どもを賢い子に育てることはできるのでしょうか。東大卒のお母さんたちが集まる同窓組織「東大ママ門」が行なった調査によれば、東大卒のお母さんたちが育った家庭の教育方針で最も多かったのは、「教育熱心」でも、「しつけに厳しい」でもなく、「放任主義」「自由に/好きなようにやらせてくれた」という回答でした。つまり、親がつきっきりで勉強を見たり、あれもこれもと先回りして与えたりする家庭でなくても、賢い子は育つということです。また、いつも親が先回りしているようでは、お子さんが将来「指示待ち人間」にもなりかねません。行動科学の専門家であり株式会社ネットマン代表取締役社長の永谷研一氏は次のように述べています。「親の思い通りに動くことが大切なのか、自分で考えて動ける人間に育てることが大切なのか、改めて考えてみましょう」(引用元:AERA dot.|「時間管理力」が子どもの人生を変える!親が意識すべきたった3つのこと)永谷氏いわく、これからの時代は仕事において単純作業が減るため、複数のタスクをこなす時間管理能力が求められるようになっていくそう。親としては、「○○が脳に良い」「1日○時間勉強したほうが良い」といった情報を耳にすれば、あれもこれもと全てやらせたくなってしまうもの。しかし、何から何まで実践して「100点満点の教育」を目指しても、結果的に子どものためにならないことも多いのです。大切なのは、子どものことをよく見て、その子に合わせて取捨選択すること。たとえば、「ピアノが脳に良い」という情報を耳にしても、自分の子どもがピアノに興味を示さなければ無理にやらせる必要はありません。「脳に良い」と言われているものは、習い事や家庭教育、食材などさまざまなジャンルごとにたくさん存在します。その中から子どもに合いそうなものだけを選んで取り入れれば良いのです。「100点満点の教育」を目指すことは親にとっても子どもにとっても負担になります。「60点くらいで良い」と少し肩の力を抜いてみてはいかがでしょうか。***大切なのは、世間一般の“よい親”になることではなく、子どもにとっての“よい親”になることです。子どもの教育に関する情報を調べるのもすばらしいことですが、時々は、その時間の一部を、子ども自身と向き合う時間に変えてみてはいかがでしょうか。もしかしたら、本当に必要な情報が得られるかもしれませんよ。(参考)THE CONVERSATION|Worrying about being a perfect mother makes it harder to be a good parent東洋経済ONLINE|珍種?「東大女子」はいかにして育ったか日経DUAL|親の過剰な期待子に取り返しつかない弊害もたらすAERA dot.|「時間管理力」が子どもの人生を変える!親が意識すべきたった3つのこと
2019年09月06日「10歳の壁・9歳の壁・小4の壁」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。9~10歳のころに、子供が勉強面や心理面でつまずいてしまうのは珍しくありません。「壁」を乗り越え、将来、自立した大人になるためには、この時期に自分に自信をつけることが大切です。今回は、子供が自分に自信を持つべき理由と、そのために親ができることを2つ紹介します。劣等感が生まれる!?「10歳の壁」とは10歳の壁とは、10歳前後の子供が直面する課題として、よく知られています。「9歳の壁」「小4の壁」と言われることもありますね。文部科学省は、この時期の子供について、次のように説明しています。対象との間に距離をおいた分析ができるようになり、知的な活動においてもより分化した追求が可能となる。自分のことも客観的にとらえられるようになるが、一方、発達の個人差も顕著になる(いわゆる「9歳の壁」)。身体も大きく成長し、自己肯定感を持ちはじめる時期であるが、反面、発達の個人差も大きく見られることから、自己に対する肯定的な意識を持てず、劣等感を持ちやすくなる時期でもある。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:文部科学省|3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題)子供の考え方は9~10歳の時期に大きく転換します。この転換によって、抽象的な「5-2=3」という式を、「5個のミカンを2つ食べたから残りは3個」などの具体例を介さずに理解できるようになります。また、抽象的な概念だけでなく、他人の目から見た自分の姿も理解し始めます。抽象的な考え方ができるようになるまでの期間は個人差があるので、子供たちは自己と他人を比べてしまい、自己肯定感を失いがちです。そして、このときに自己肯定感を失ったままだと、その後の成長に大きな影を落としかねないのです。10歳の壁を壊す「自己肯定感」の大切さ多くの企業・学校で活用されている行動習慣化メソッドを開発した人材育成研究家の永谷研一さんは、自己肯定感の大切さを次のように述べます。自己肯定感が高い人は、楽観的に物事を考えることができるので、少々不安であっても前向きな行動を起こすことができます。また自分の気持ちを開示することができるので、周りからのアドバイスも受けやすく、ぐんぐん成長することができます。その逆に自己肯定感が低い人は、悲観的に物事を考えてしまう傾向があります。新しい行動を起こそうとしてもリスクを考えて踏みとどまってしまい、前に進むことができません。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:東洋経済ONLINE|「自己肯定感」が低い人に現れる”残念な症状”伸びる人と停滞する人の差にもつながる)自己肯定感を失ってしまった子供は、「どうせ頑張ったって、できないんだ」と考えるようになり、次第に挑戦をしなくなります。自分から行動を起こすことはなくなり、将来、指示待ち人間となってしまう可能性もあるでしょう。そして、人の後をついてゆくだけの人間にとって、これからの時代を生き抜くには厳しそうです。「東大・京大で一番読まれた本」として知られる『思考の整理学』の著者・外山滋比古さんは次のように述べます。僕が本に書いたのは、“墜落してもいいから飛行機になれ”ということです。グライダー型人間はモノマネが得意だけれど、新しい事態や時代の変化に対応できません。しかも現在は30年前よりはるかに時代が進み、学校で学んだ知識がより通用しなくなった。人工知能(AI)やITなどが発達した今こそ、他人に引っ張ってもらって飛ぶグライダー型人間ではなく、自力で自分のめざす場所まで飛べる飛行機型人間が求められています。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:NEWSポストセブン|外山滋比古氏の提言「墜落してもいいから飛行機になれ」)子どもが将来活躍するためには、主体性を持って行動する必要があります。そのため、主体性を生みだす自己肯定感はとても大切な要素なのです。では、10歳の壁に負けず、子供に自己肯定感を身につけさせるためにはどうすればよいのでしょうか?叱ってばかりだと、自己肯定感はボロボロに……一番大切なのは、親が子供を信頼し、行動を見守るということです。子供が行動するとき、失敗しそうで不安になり、あれこれ口を出していませんか?「早く宿題をやりなさい」や「部屋をきれいにしなさい」などと、子供の行動に毎回口をはさみ叱っていると、子供はどんどん挑戦する心を失っていってしまうのです。教員出身の教育評論家、親野智可等(ちから)さんは次のように述べます。待てない親や先生は必ず子どもを傷つけます。目先のことばかり見て「○○ができてない。ちゃんとやらなきゃダメでしょ」と否定的に叱り続け、結局は子どもの自己肯定感をボロボロにしてしまうのです。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:親力|やる気のスイッチが入る人と入らない人、その差はどこに?)子供は自分で必要だと感じたら、その時に自分で考えて、何とかしようと行動します。そして、その行動をやり遂げることによって、子供たちは「自分なら大丈夫だ、自分もできるのだ」と思えるようになるのです。したがって、自己肯定感を身につけさせるには、まず、子供の行動を見守ってあげることが大切なのです。「頭がいいね!」で自己肯定感は伸びないまた、親が子供をきちんとほめてあげることでも、子供の自己肯定感は高まります。その際、ほめ方に注意が必要です。褒めるときは子供の能力ではなく、行動を褒めましょう。スタンフォード大学で行われた実験によると、能力をほめられた子供は学習意欲が下がってしまうのだそう。ドゥエック教授は、子どもを対象としたテストで「頭がいいから成績がよかった」と能力をほめたグループと、「がんばったから成績がよかった」と努力をほめたグループのその後の行動を観察しました。すると、能力をほめたグループの子どもは新しい課題に消極的になったり、なかなか解けない難題に対して「楽しくない」「自分はできない」とあきらめてしまったりしたそうです。一方、努力をほめたグループは新しい課題にも積極的に取り組み、難問にも根気よくがんばる姿勢を見せ、最終的にいい成績を収めたといいます。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:サイバーユニバーシティ株式会社|能力ではなく「努力」をほめる!効果的なフィードバックの方法)人間は能力を評価されると、その「能力が高い」という評価を維持するために行動してしまうのだそう。「頭がいいね」と褒められた子供たちは、「自分が問題をとけない、つまり頭がよくない」という評価を避けるために、「そもそも挑戦をしない」という決断をしてしまうのですね。また、米カリフォルニア大学サンディエゴ校とカナダのトロント大学、中国杭州師範大学の研究者らが行った研究では、「頭がいいね」と褒められた子供たちは、不正行為をする可能性が高くなるという結果でした。したがって、子供を褒めるときは、子供が努力した姿に注目してあげるようにしましょう。***9~10歳の子供は、勉強・身体の成長・人間関係などあらゆる面で大きな変化を迎えます。そんな子供がのびのびと挑戦し育ってゆくためにも、親はどーんと構えて子供を見守ってあげましょう。そうすることで、子供は主体性のある大人に成長できるでしょう。文/村瀬裕一(参考)文部科学省|3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題ダ・ヴィンチニュース|225万部突破! なぜ『思考の整理学』は東大生から根強く支持されるのか?AllAbout|「10歳の壁/小4の壁」子供がぶつかる勉強の見えない壁への対策3つ親力|やる気のスイッチが入る人と入らない人、その差はどこに?AERA dot.|「9歳・10歳の壁」を乗り越える3つの法則帝京科学大学学術リポジトリ|児童期の認知発達と心理発達の特徴と支援について産経新聞|写真で褒める「ほめ写」子供の自己肯定感アップJ-CASTニュース|子どもを「賢い」と褒め続ける教育ご用心!インチキする子になりますよ
2019年05月07日