人生には幸運なことも不運なことも起こるもの。不運が続くと、運命だから仕方ない…なんて思っていませんか?実はこの運、変えることができるそう。脳科学者の中野信子さんが、科学的に解説してくれました!***運命を、科学の視点で捉えるとどうなるでしょうか。ここでは、運命を形作る要素である「運」の善し悪しについて、考察したいと思います。なぜかいつも運がいい人がいる一方で、そうでない人はつねにツイていない。そう思ったことはありませんか?こうした偏りが本当にあるのかどうかを考える手がかりとして、“コイン投げ”の法則があります。コインを投げて表が出たらプラス、裏が出たらマイナスとカウントした場合、多くの人が結果はほぼプラスマイナスゼロになると考えるのではないでしょうか。ところが、実際は不思議なことに、必ずどちらか一方に偏るのです。この現象は「逆正弦定理(ぎゃくせいげんていり)」と呼ばれ、物事の結果はランダムに、すなわち偏って生じることを意味します。つまりこの法則に従えば人の運も平等ではなく、幸運な人はハッピーなことが続き、そうでない人は不運続きということに。ちょっとショッキングですが、確率論で考えるとこれが事実なんです。では、もし運命が悪いほうに傾き始めてしまったらもう終わりなのでしょうか。答えはノー。簡単に言うなら、そのゲームをやめればいいのです。やめて、自分がより運よくいられる、満足できるゲームを始めればいいのです。人の「満足度」は、その人が属する集団が適切かどうかが、大きく関係します。もし何をやってもうまくいかない、運命に見放されている…と感じているなら、今乗っているゲームやいる場が、適切ではない可能性があります。仕事なら職場や、仕事の目標を変える、恋愛なら相手を変える。そんな「乗り換え」が必要なときかもしれません。もちろん降りたくないゲームであれば、本気でやり抜くのもありです。が、「これは勝ち目なし」と思ったらさっと場を変えることが、もっとも合理的な場合もあるのです。実際に運命を引き寄せる力がある人を見ていると、自分の強みを研究し、その都度身の置き場を変えていることがわかります。◇なかの・のぶこ脳科学者、認知科学者として教鞭をとり、多くのメディアにも出演。世界人口の上位2%のIQ所有者だけが所属できるMENSA会員。共著に『正しい恨みの晴らし方』(ポプラ社)。※『anan』2015年7月22日号より。写真・土佐麻理子(人物)、村上未知(風景) 文・新田草子
2015年07月17日インターネットイニシアティブ(IIJ)は7月13日、人工知能(AI)技術を活用したセキュリティソリューションの開発に向け、実証実験に着手したと発表した。まず、同社のネットワークにAI技術を導入し、サイバー攻撃の自動解析、判断、学習などを通し、その有用性の検証を8月より開始する。IIJは、AI技術を活用して人手を介さずに24時間365日リアルタイムで通信トラフィックの監視、異常検知を行うことで、新たな脅威の予測と迅速な対策が可能になるとしている。実験では、AI技術と高性能コンピュータ(HPC: High Performance Computer)を用いた検証システムを構築し、大量のトラフィックの監視や異常検知が行えることを確認したうえで、秋をめどにセキュリティ脅威の予兆・検知などの実用化に向けた技術検証を進め、来年度の商用化を目指す。
2015年07月14日科学技術振興機構(JST)は7月8日、科学好きのすそ野を広げるとともに、トップ層の学力伸長を目的として、全国の高校生が学校対抗で科学の力を競う「第5回科学の甲子園全国大会」ならびに、科学好きのすそ野を広げるとともに、未知の分野に挑戦する探究心や創造性に優れた人材を育成することを目的として、全国の中学生が都道府県を代表して科学の思考力・技能を競う「第3回科学の甲子園ジュニア全国大会」を開催すると発表した。科学の甲子園全国大会は2016年3月18日から21日にかけて、茨城県のつくば国際会議場ならびにつくばカピオにて開催されるもので、各都道府県より選出された代表校が、理科・数学・情報における複数分野の競技を行い、総合点を競いあう。すでに一部の県において一次選考が始まっており、順次、全国で選考会が開催されていく予定となっている。一方の科学の甲子園ジュニア全国大会は、2015年12月4日から6日にかけて東京都のBumB東京スポーツ文化館で開催されるもので、各都道府県の選考会にて選出された47チームが理科・数学などの複数分野にわたる筆記や実技の競技に取り組み、勝敗を競うものとなっている。各都道府県大会は7月下旬より、順次開催されていく予定となっている。なお、科学の甲子園全国大会優勝チームは、米国にて開催される全米の科学好きな高校生が集う「サイエンスオリンピアド」へアンバサダーチームとしての参加資格が与えられ、実際の競技に参加し、米国の高校生らと競うこととなる。また、科学の甲子園の支援パートナーである国際教育交換協議会(CIEE) 日本代表部 TOEFL事業部長である根本斉氏は、開催会見にて「世界的に見ても理数系の人材が求められている。例えばデータサイエンティストは今後、大きく不足することが考えられており、米国では理数系学士の人材育成が強化されている」と説明し、幅広い視野と理数系の知識を持つことが重要であることを強調。引き続き、科学の甲子園を通じて、世界と渡り合えるグローバル人材育成に向けた支援を行っていくとしていた。
2015年07月08日早稲田大学はこのほど、マウスを用いた実験で朝よりも夕・夜のストレスが体内時計を狂わせることを明らかにしたと発表した。同成果は同大学理工学術院(先進理工学部電気・情報生命工学科)の柴田重信 教授、同大学高等研究所の田原優 助教らの研究グループによるもので、6月15日(現地時間)に英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。ほとんどの細胞には約24時間周期の体内時計が存在し、時計遺伝子によって制御されていることがわかっている。体内時計が乱れると肥満・糖尿病やがんなどの発症リスクが高まるとされており、コルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンが影響を及ぼすことがわかっている。しかし、個体レベルでストレスが体内時計に影響をあたえるかはわかっていなかった。同研究では、ストレスによって体内時計が変化するか、いつ受けると影響があるのか、慢性的なストレスは体内時計に影響を与えるのか、さらにどのようなストレスがどうやって体内時計に影響するかをマウスを用いた実験で検討した。拘束ストレスをマウスが寝ている時刻に2時間与えたところ、肝臓、腎臓、唾液腺、副腎、脳内の海馬や大脳皮質の体内時計が早まることがわかった。また、ストレス負荷の時刻を検討したところ、朝には影響が無く、夕方では体内時計が遅れ、夜では体内時計が組織間でバラバラになった。一方、週3日間のストレス負荷を5週間続けた結果、ストレスによる体内時計の乱れは見られなくなった。また、社会的恐怖ストレスや高所不安ストレスでも体内時計が大きく乱れることも判明した。ストレスの代わりにアドレナリンなどの投与でも同様の変化が起こったことから、ストレスホルモンや交感神経の活性化がストレスによる体内時計変動の作用メカニズムであると考えられるという。これまで光や食事が体内時計リセットに重要と考えられていたが、今回の研究でストレスもそれに匹敵するパワーを持っていることがわかった。よって軽度なストレスは体内時計を正しい時刻に保つのに重要である可能性があり、アドレナリン分泌などストレスと似た生理応答を示す運動やトレーニングを、軽度なストレスとして使用できることが示唆されたことになる。同研究グループは、実際に人の体内時計がストレスで大きく変動してしまうのか、また慢性的な過度なストレスにより発症するうつ病患者の体内時計も乱れているのかなどの解明を今後の課題として挙げている。
2015年06月16日ツネイシホールディングスは6月1日、5月18日から4日間、ブイキューブによるドローンを活用した設備点検や情報収集に関する実証実験に協力したと発表した。同実験は常石造船の常石工場内で実施したもので、DJI製ドローン「Inspire1」に搭載したカメラで、建屋の天井やクレーンなどの高所部分や、工事の進捗やブロックの配置など工場の稼働状況を撮影し、リアルタイムに状況を確認することが、設備の保守点検や工程管理の効率化に向け有効であるかどうかをテストした。さらに、災害発生を想定し、任意で指定した場所への急行と映像情報の精度を確認するなど、4日間で合計40回以上の飛行試験を実施した。ツネイシホールディングスは、今後、造船事業をはじめとするグループの施設を対象に生産工程の効率化や安全性の向上を目指し、ブイキューブのビジュアルコミュニケーションとドローンを組み合わせたサービスの活用を検討していくとしている。
2015年06月01日日本気象協会と防災科学研究所は5月21日、最大10分前にEメールで情報を伝達する「10分先の大雨情報」の有効性を検討すたための社会実験を6月1日から10月31日まで実施すると発表し、モニターの募集を開始した。同実験は、関東地方の一部(北緯35°~36.4895°、東経139°~140.705°)を対象に国土交通相が運用するXバンドMPレーダーネットワークを活用し、激しい雨が上空で検知された時点で情報を発信するというもの。雨粒が上空から落ちてくるまでの時間差を利用したシステムとなっており、10分間5mm(30mm/h)以上を満たす場合に登録したアドレスに通知メールが届く仕組み。モニターは先着1000名までとなっており、指定のアドレスに空メールを送信し、折返しの登録案内メール中のURLにアクセスし、必要事項の入力や登録地点の設定を行う。詳しくは日本気象協会と防災科学研究所のウェブサイトを参照してほしい。
2015年05月21日関西学院大学は5月12日、水を張ったプールを用いた実験で、ラットが溺れそうになっている仲間のラットを助けることがわかったと発表した。同成果は同大学文学部の佐藤暢哉 教授らの研究グループによるもので、5月12日付の比較認知科学誌「Animal Cognition」オンライン版に掲載された。同研究ではペアで飼育しているラットの片方を、水を張ったプールに入れ、もう片方をプールに隣接した濡れていない部屋に入れた。プールと濡れていない部屋はドアでつながっており、プール側のラットが濡れていない部屋に行くにはもう片方のラットにドアを開けてもらう必要があった。実験の結果、濡れていない部屋のラットはケージメイトが水にさらされていない場合には助けず、水にさらされている時だけドアを開けた。さらに、以前に水にさらされている経験をもつラットは、そうでない場合よりドアを開けてケージメイトを助けることを早く学習した。これらの結果から実際に辛い経験をすることで、ケージメイトを救出する動機が高まったと考えられるという。また、別の実験では、ケージメイトのいるプール側のドアと、エサのある部屋に通じるドアのどちらを先に濡れていない部屋のラットが開けるのか選ばせると、餌よりもプール側のドアを開けることを選択した。これは、ラットにとって他固体を助けることが、エサを食べることよりも価値が高いことを示している。このように他個体を助ける行動は、ラットが溺れているケージメイトに共感するによって生じている可能性があり、共感性の進化的側面を捉える意味で重要な研究成果となった。今後は、齧歯目類において援助行動を実験的に調べることで、向社会的行動や共感に関する神経メカニズムの理解につながることが期待される。
2015年05月12日大林組は5月11日、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」で航空宇宙産業向けカーボンナノチューブ(CNT)の宇宙環境曝露実験を開始すると発表した。CNTは軽量でありながら機械強度、弾性力、電流密度耐性、熱伝導性に優れた素材として注目を集めている。現在は電池材料などとして使われ始めており、将来的には橋梁のケーブルや宇宙機の機体など、幅広い用途での利用が期待される。しかし、使用環境がCNTにどのような影響を与えるかはほとんど知られておらず、紫外線、放射線、原子状酵素などによって劣化する可能性がある。静岡大学および有人宇宙システムと共同で実施する今回の実験では、直径約20nmの多層カーボンナノチューブ繊維をより合わせた複数の試験体を宇宙環境へ曝露する。曝露期間は試験体によって1年間または2年間を想定しており、曝露後に回収し、機械的強度や外観、事前に設けた欠陥箇所の変化などを観測することで、原子状酸素、放射線、紫外線などの影響を調査する予定だ。
2015年05月11日日本科学未来館は4月28日、同館の科学コミュニケーター3名が、内閣府の「みどりの学術賞及び式典担当室」より、「みどりの学術賞」への理解促進に向けた「みどりの科学コミュニケーター」に任命されたこと、ならびに2015年5月より関連イベントを開催していくことを発表した。みどりの学術賞は、5月4日の「みどりの日」についての関心を促進し、植物、森林、自然環境などについて国民の造詣を深めることを目的に内閣府が設立した学術賞。国内において植物、森林、緑地、造園、自然保護などに係る研究、技術の開発その他"みどり"に関する学術上の顕著な功績のあった個人に内閣総理大臣が授与するもので、第9回目となる今年は、東京農業大学の進士五十八 名誉教授ならびに東京大学大学院理学系研究科の寺島一郎教授が授与された。また、同館の科学コミュニケーターは、2015年より「みどりの科学コミュニケーター」が新設されたことを受ける形で、同賞の活動に関わっていくこととなる。今回任命されたのは以下の3名の科学コミュニケーター。髙橋麻美氏本田ともみ武田真梨子また、5月より実施される各種イベントは以下のとおり。「みどりの日・みどりの月間」イベント「5月2日(土)~6日(水・祝)」ワークショップ「キミは生き残れるか?! 植物のかけ引きをゲームで体験」ワークショップ「日光を手に入れろ! 光合成チャレンジ!」観察イベント「森から川、海へ-植物プランクトンの観察」受賞者による講演イベントサイエンティスト・トーク 「みどりでつなぐ-ひと・まち・地球」(6月20日、進士五十八氏)「みどりの学術賞」記念講演会(7月中旬予定、進士五十八氏)Webサイトでの情報発信受賞内容などを、みどりの科学コミュニケーターが未来館が運営しているブログ「科学コミュニケーターブログ」にて解説を行う予定。
2015年04月28日ソニーは4月7日、同社の柏木俊行氏が平成27年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞することになったと発表した。これはブルーレイディスクの基本構造と製法の開発によりブルーレイディスクの量産化を実現し、ハイビジョン映像などの記録媒体として同方式が広く利用され、それによりハイビジョンコンテンツが全世界に普及することに貢献した業績が評価されたもの。今回の受賞した開発技術では、CD、DVDとの互換性を保ちながら、従来DVDの5倍にあたる25GBの容量を実現するために、レーザーが透過するカバー層の厚さを0.1mmまで薄くした。これにより、屈折した光でも正確に焦点を結べるようになったため、ディスク表面のわずかなゆがみに強く、DVDで使用される赤色のレーザーの約5分の1となる記録ビットサイズを実現する青紫色のレーザーの使用が可能となった。また、この構造のディスクの製造に向けて従来の生成手法では不可能だった厚みの樹脂のカバー層を生成するために、スピンコート(回転延伸)という技術を応用をした製法を考案したことで量産化に成功した。
2015年04月07日トッパン・フォームズは3月31日、ダイレクトマーケティング総合支援ソリューション「Ugocus(ウゴカス)」の提供を発表した。同ソリューションは、脳科学やデータベースを駆使した科学的評価分析機能などをもとに体系化したもの。あらゆる課題にオーダーメイドでサポートするソリューション「ウゴカス サイクル」と、同社のさまざまな知見を基に導入しやすいパッケージとしたサービス「ウゴカス ターゲット」「ウゴカス ファインダー」「ウゴカス サーベイ」の4ラインアップでスタートする。業種を問わず、生活者へのダイレクトコミュニケーションを実施する企業へ提供し、2017年度までに関連受注10億円を目指す考えだ。
2015年04月02日日本科学未来館は4月1日、2017年11月14日~17日に世界科学館サミット(Science Centre World Summit:SCWS)を開催すると発表した。同サミットは1996年以来6回にわたり行われていた「世界科学館会議(Science Cetre World Congress)を改称したもので、科学館業界内の情報交換や協力強化を行ってきた会議の成果を業界外に広げることを目標とする。2014年に第1回がベルギーで開催され、2017年に第2回を未来館で主催することとなった。SCWS2017のテーマは「Connecting the World for a Sustainable Future」で、地球上のさまざまな生命と自分との間にある「つながり」をキーワードに、人間活動と気候変動や生物多様性の減少などの課題との関係を見つめ直す場になるという。
2015年04月01日日本民営鉄道協会は、地方民鉄の11社が3月6日から共同で実施する「使用済きっぷ共同リサイクルプロジェクト~まずはイレブンから!」の実証実験に協力し、実験実施の円滑化と効果検証などをサポートすると発表した。同プロジェクトは、産業廃棄物として処理される「磁気乗車券」、焼却処分される「乗車券・整理券」などの使用済きっぷ類を、トイレットペーパーなどの原料として再生するため、地方民鉄の各社が協力して推進する環境対策の取り組み。同プロジェクトに参加する民営鉄道は、青い森鉄道、仙台空港鉄道、山万、秩父鉄道、富士急行、豊橋鉄道、三岐鉄道、京福電気鉄道、和歌山電鐵、一畑電車、熊本電気鉄道の11社。大都市圏の鉄道では「使用済きっぷのリサイクル」が進んでいるが、地方の鉄道では、「磁性体分離技術をもつ製紙工場まで資源を搬送するコストが割高」「②個社が排出する資源の絶対量が少ない」といった理由から実績が少ないという。今回、地方民鉄の事業者が排出する紙廃棄物全般(磁気タイプを含む使用済きっぷ・ワンマン車両整理券・ポスター・機密文書以外の書類など)を、リサイクル製品の原料の一部として再利用するためのモデル(仕組み)を構築するとともに、そのモデルが、コストダウンと事務効率化に資するか否かを検証する。
2015年03月05日石川県珠洲市と金沢大学はこのほど、3月1日から自律型自動運転車の走行実験を共同で行うと発表した。同実験は珠洲市内の公道を自動走行することで、市外地環境を走行可能な自律型自動運転知能を開発することを目的とする。実験では人が車内に乗り込み、全長約7kmのコースを走る。今後、走行ルートを拡張していき2020年まで試験を続けていくという。両者は今回の実証実験について、将来の交通事故低減・高齢者などの移動支援に資する高度な運転支援システムの技術開発を促進させ、珠洲市をはじめとする地域課題の将来的な解決に貢献することが期待されるとしている。
2015年02月23日●レース競技も開催され、盛り上がった「第2回 科学の甲子園ジュニア」科学技術振興機構(JST)は12月5日(金)~7日(日)、都内で「第2回 科学の甲子園ジュニア」の全国大会を開催した。理科や数学など、理系分野の知識や応用力で挑む知的な競技会で、今年が2回目の開催。前回を上回る20,000名以上の中学生がエントリーし、各都道府県で選抜された47チーム、合計282名が全国大会に出場した。○初めてレース競技も開催「科学の甲子園ジュニア」は、高校生向けである「科学の甲子園」の中学生版として、昨年度(2013年度)初めて開催された競技会だ。団体戦になっており、1チームは6人で構成。代表の選考方法は各都道府県に一任されていて、メンバー全員が同じ中学校のチームもあれば、別々の学校の混成チームもある。競技は、筆記競技が1種類(300点)、実技競技が2種類(各300点)あって、その合計点で順位が決まる。この配点は前回と同じだが、大きな変更点は、今回、初めて実技で工作競技が導入されたことだ。高校生版の科学の甲子園には、「クリップモーターカーF1」(第1~2回大会)、「Mgホバーレース」(第3回大会)のような工作競技がある。順位をレースで決めるため、会場が最も盛り上がる看板イベントになっていたのだが、ジュニアの第1回大会にはこうしたレース競技が無く、どちらかといえばちょっと地味目な印象だった。今回、ジュニアで実施されたのは、自作のヘリウム飛行船を操縦して、的に当てながらゴールを目指すという新競技。前述の高校生版の工作競技では、予選で速い機体が大体決勝でも勝っていたが、ジュニアの場合、「人間の操縦」という不確実な要素が加わるため、決勝では大番狂わせも。生徒は大変だろうが、会場は大いに盛り上がった。筆記競技は非公開で進められたため、本レポートでは、2つの実技競技の様子を紹介しよう。●濃度が分からないアミラーゼ酵素水溶液の濃度比率をどう求めるのか?○実技競技1「酵素の濃度を決める」1つめの実技競技は化学実験だ。この実験では、アミラーゼ酵素水溶液、デンプン溶液、ヨウ素溶液などを使用する。濃度が分からないアミラーゼ酵素水溶液が3本用意されているので、マイクロピペットという特殊な器具も使いながら、この濃度の比率を求めるのが課題だ。デンプン溶液にヨウ素を入れると紫色に変色する。これがヨウ素デンプン反応だ。小学生のときに、ジャガイモなどで実験したことを覚えているだろうか。一方、アミラーゼ酵素は、デンプンを分解して糖に変える。この酵素は人間の唾液などに含まれているものだ。デンプン溶液とアミラーゼ酵素水溶液を混ぜた場合、酵素の濃度が高ければ、デンプンをたくさん分解するため、ヨウ素デンプン反応の色は薄くなる。色の濃淡から、濃度の違いが分かるわけだ。濃度の比率は、2:1、4:1、6:1、8:1、10:1のいずれかと決まっているので、濃い方のアミラーゼ酵素水溶液を2倍、4倍、6倍、8倍、10倍に希釈したものと比較すれば、そのどれかと紫色が同じになる。そこから、濃度の比率を求めることができる。この競技で難しいのは、自分たちで実験の計画を立て、結果を考察するところまで行うということだ。中学校の授業では普通、そこまではやらないそうなので、ちょっと苦労したかもしれない。濃度の比率を出すところまでは多くのチームができていたのだが、時間が足らず考察までやれなかったチームも多かったようだ。●###実技競技2「ヘリウム飛行船」2つめの実技競技は、前述のとおり工作競技だ。まずは、用意された材料と工具のみを使い、制限時間(30分)以内にヘリウム飛行船を作る。飛行船の形は自由だが、速さ、操作性、作りやすさなど、様々な要素を考える必要がある。同じ材料で作った飛行船なのに、チームごとに個性が出ていて面白い。飛行船には、プロペラモーターを2つ搭載することができる。それぞれに手回し発電機が付いており、これで飛行船を動かす。エンジンでもあり、ハンドルでもあるわけだ。コースの長さは15m。5m間隔に3つのターゲットが浮かんでいるので、1つ1つ飛行船でタッチしていき、最後のターゲットに当てることができたらゴールだ。ターゲットの高さは、スタート側から、120cm、80cm、200cm。最後のターゲットで急上昇する必要があり、ここで手間取ってしまうチームが多かった。ところで、この競技のポイントは、プロペラモーターが2つしか無いことだ。もし3つあれば、前後、左右、上下と、3次元的に自由に移動できるが、2つなので、どうしても平面的な動きになってしまう。これを解決するには、例えば、前進しながら上昇するように作っておいて、下降したいときは向きを変えて、バックで進むような工夫が必要になる。予選レースで最速を記録したのは茨城県チーム。全47チーム中、制限時間(2分)以内にゴールできたのはわずか9チームという難易度の高さだったが、同チームは唯一、1分を切ったタイムで、2位以下を30秒近くも引き離した。だが決勝レースでは、その茨城県チームにまさかのアクシデント。機体トラブルで出遅れてしまい、予選2位の山口県チームが1位……になるかと思われたのだが、最後のターゲットにギリギリでタッチできず、モタついた間に予選6位の岩手県チームがゴール、大逆転で1位となった。○激戦を制し優勝したのは…総合成績は以下の通り。全競技で安定して上位の成績を収めた茨城県チームが1位で、以下、福岡県チームと愛知県チームが続いた。総合成績1位 茨城県チーム(茨城県立並木中等教育学校)2位 福岡県チーム(久留米大学附設中学校、福岡教育大学附属福岡中学校)3位 愛知県チーム(海陽中等教育学校)ロボットの街、つくばの中学生らしく、茨城県チーム・キャプテンの菱田草平君は「小さい頃からロボットが好き。将来の夢はロボットの技術開発」だという。優勝という結果は「想像もしていなかった」そうだが、「本当に嬉しい」と喜びを爆発させた。記者会見では、主催者を代表し、JSTの中村道治理事長が挨拶。「ノーベル物理学賞の受賞、小惑星探査機はやぶさ2の打ち上げ成功など、日本の科学力は世界的にも高いレベルにある。このような国づくりをもっと強力に進めないといけない」とし、そのために「子供の頃から理科・数学に関心を持ち、大きな夢に向かってのびのびと育つような環境を作るのが我々のつとめ」とコメントした。ところで、ジュニアの優勝チームは、高校生の科学の甲子園に招待されるのだが(工作競技に出場)、今年度の開催地はなんと地元・つくば市(昨年度までは兵庫県西宮市だった)。会場は自転車でも行けるような距離なわけで、旅行にならないのは気の毒としか言いようがないが、ともかく、地元の利を活かして頑張ってもらいたいところだ。
2015年02月19日ブイキューブとパイオニアVCは2月16日、ドローン(小型無人飛行機)を活用した新たなコミュニケーションスタイルの実現を目指した実証実験をパートナー企業とともに開始すると発表した。ブイキューブは、ドローンの商用利用に必要な技術を開発するRapyuta Roboticsに出資し、鉄鋼所など高所や煙突があるプラントや設備の保守点検、橋やトンネルなど社会インフラの点検、市区町村における災害対策分野において、年内のサービス提供開始を目指し、共同でのサービス開発に取り組んでいる。ブイキューブは開発中のサービスを利用した実証実験を進めていくため、災害対策分野において国土交通省などをはじめとした官公庁での実績をもつパイオニアVCと連携した。今回、「鉄鋼所やプラントの設備保守点検における活用」「橋やトンネルなど社会インフラ点検における活用」「市区町村の緊急災害対策における活用」を実証実験する。実験を行うにあたり、国内に研究・活動拠点を有する法人、市区町村を対象に、パートナーを募集する。応募は、ブイキューブのWebサイトで行える。
2015年02月16日トッパン・フォームズは1月21日、ダイレクトメール(DM)に関する脳科学実験を国際医療福祉大学教授の中川雅文医学博士監修のもと実施し、その結果を発表した。実験では、DMに盛り込まれる要素を分解し、その技法の効果を検証。A4用紙にそれぞれ「こんにちは」と「山田さん(被験者の名前例) こんにちは」と書かれたものを被験者に別々に見せ、その反応を測定した。同社によると、一般的に印刷物の文面や内容などテキスト情報を読み込むとき、左側頭葉が活性化するという。一生懸命に読んでいる状態では、近赤外分光法(NIRS)で左側頭葉は活性化を意味する赤で表示され、テキストに興味や関心が向けられてない状態では、不活性化を意味する青で表示されるようだ。実験の結果では、名前入りは名前なしに比べ左前頭葉部位での強い活性化が生じていることが分かる。これにより、自分の名前のような「パーソナライズされた情報」が記載された印刷物を提示されると、「パーソナライズされていない情報」よりも高い「注意」を向けることが判明。人は、DMにおけるパーソナライズされた情報に、強く読み込むことなくごく自然に関心を持つということが、脳の生体反応レベルで証明されたという。
2015年01月22日ヴァル研究所と丸紅情報システムズ(MSYS)は1月15日、スマートフォンアプリ「駅すぱあと for Android」とBeaconの実証実験を名古屋と大阪で行うと発表した。名古屋市・大阪市共に3月1日まで実施する予定になっている。実証実験では、駅周辺案内看板に設置されたMSYS製のBeacon端末「RapiNAVI Air」から、Androidスマートフォン用アプリ「駅すぱあと for Android」最新版へ、各駅周辺のMAPや周辺に立地する店舗の情報を発信する。「駅すぱあと for Android」最新版は、「RapiNAVI Air」SDKを組み込んでおり、「RapiNAVI Air」からの駅周辺情報受信に対応する。実際の店舗にも「RapiNAVI Air」を設置することで、駅周辺案内看板から駅周辺情報を受信した人数および、実際の店舗の来店数を計測し、駅周辺情報受信者に対する周辺店舗への誘導効果を測定。実証実験の期間中には、同じく「RapiNAVI Air」からの駅周辺情報受信に対応したiPhone用アプリ「駅すぱあと for iPhone」最新版もリリースし、あわせて効果を測定する。名古屋市内の駅周辺案内看板に「RapiNAVI Air(ラピナビ エアー)」100台の取り付けを既に完了しており、大阪市内の駅周辺案内看板にも1月23日までに98台の取り付けを完了する予定。名古屋と大阪、双方で3月1日まで実施するという。今回の実証実験では、全国の公共施設(約500カ所)・駅周辺(約3000カ所)などにおいて、案内看板「NAVITA(ナビタ)」での広告事業を展開する表示灯による協力を得ている。
2015年01月16日ゼブラは1月8日、シャープペンの芯折れによる集中力への影響を調べることを目的とした脳波を計測する実験の調査結果を発表した。同実験では、どれだけ力を込めても芯が折れないシャープペン「デルガード」と従来のシャープペンを使って、集中力に違いが出るかどうかを、脳科学的に検証した。具体的には、高校3年生男子1名に脳波記録用電極を装着してもらった後、従来のシャープペンと「デルガード」を使って計算問題を解いてもらい、計算問題に取り組んでいる最中にランダムに短い雑音を聞かせ、脳がどれくらい反応(注意散漫)するか、を脳波で計測した。この実験では、集中していればしているほど「外界からの刺激(雑音)」に対して人間の脳が反応する度合いが小さくなることが予測されるという。問題は、マークシート式計算問題150問で、シャープペンシルは両条件とも、3回ノックして芯を出した状態で使用した。実験の結果、従来のシャープペンを使用して芯が複数回折れる状態では、雑音に対して脳が反応しやすく、集中力が大きく低下する様子が見られたのに対し、「デルガード」を使用して芯が折れない状態では、実験中の雑音に対する脳の反応が従来品と比べて、36%抑えられたという。
2015年01月09日ナビタイムジャパンは、阪神高速道路にて「安全、安心で快適な走行を支援する情報配信実験(プロジェクト名:Project Z NAVI de HANSHIN!)」を12月17日より実施すると発表した。Project Z NAVI de HANSHIN!は、ドライバーの"安全・安心"で"快適な"走行を支援するための情報をわかりやすく配信する取組み。ナビタイムジャパンが国土交通省国土技術政策総合研究所、ゼンリン、ゼンリンデータコム、一般財団法人日本デジタル道路地図協会、阪神高速道路、本田技研工業とともに実施するもの。本実験の第1弾として、平成24年度に、阪神高速道路に関する「交通事故多発地点情報」「分合流部における安全運転に関する情報」「工事予定情報」の3種類の情報を阪神高速道路の一部路線を対象にナビタイムが提供するスマートフォン向けのカーナビアプリケーションにより配信した。今回の実験では、実施エリアを阪神高速道路全路線に拡大して実施。平成24年度と同様の情報について、ナビタイムが提供するアプリケーションに加え、ゼンリンデータコムが用意するWebサイトを用いる。本実験を通じ、ドライバーの安全・安心、快適な走行をサポートする情報配信の効果、「道路の区間ID方式」の利用による情報流通効果を検証するとのこと。なおナビタイムジャパンでは、本実験にご協力いただける参加者(実験モニター)を随時募集している。詳細は本実験の案内ページで確認できる。
2014年12月19日クレディセゾンは12月9日、アクセンチュアとコイニーが復興庁の委託を受けて実施するスマートフォンやタブレット端末を使ったカード決済の実証実験に参加し、カード決済の導入支援と利用促進のキャンペーンを展開すると発表した。同実験は、スマートフォン等でのカード決済の導入を通じた地域経済活性化プロジェクトで「新しい東北」先導モデル事業の一環。スマートシティ推進協議会を設立しICTを活用した地域づくりに意欲的に取り組むなど、情報通信技術との親和性が高い福島県・会津若松市にて実施する。9月21日~23日まで鶴ヶ城にて開催された「會津十楽」においてスマートフォン決済端末「Coiney」を導入したことを皮切りに、今後も、事業者を対象とした導入支援セミナーなどの開催を行っていく。これにより、事業者側の初期費用を抑えることでカード決済可能店舗を増加させるほか、旅行者にとって便利な決済手段の提供により、消費者の旅行消費額の増加を図りたい考えだ。今回発表したクレディセゾンの参加では、実証実験に参加する店舗の拡大やクレジットカードの利用促進を目的に、「会津地域のセゾンカード加盟店を対象に実証実験への参加の呼びかけ」と、加盟店にてセゾンカードを利用すると「永久不滅ポイントが通常の5倍貯まる期間限定キャンペーン」を実施するという。
2014年12月10日●がっつり写真で紹介マイナビニュースでも幾度となく紹介している無料の科学イベント「世界一行きたい科学広場」。11月8日・9日の2日間、福岡市のホークスタウンモールを会場に開催された。数々のテレビ番組でもお馴染みの滝川先生によるサイエンスショーをはじめ、大学などの教育機関、協賛企業など、会場内のブースはどれも見応え十分。カシオ計算機も協賛企業として文教用のデジタルカメラ「EXILIM EX-SC100」を出展、多くの家族連れが会場を訪れ、楽しく不思議な最先端科学の世界と物作りの魅力に夢中になっていた。○興味をそそられる科学展示・体験が目白押し!同イベントはNHK「大科学実験」の監修などでお馴染みの滝川洋二先生率いるNPO法人ガリレオ工房と大学などの教育機関、そして市町村が共催する地域密着型科学イベント。2010年に福岡県・宗像市で開催した第1回を皮切りに、飯塚市、静岡市、浦安市などを毎年巡回開催して好評を博している。今年は熊本でも開催された。イベントが掲げるコンセプトは、「子供たちがモノ作りの楽しさ、科学や自然現象の不思議さを発見・体験する」だ。ロボット、昆虫、微生物、宇宙、気象、物理運動、化学反応など「誰もが興味を持つけれど、なんだか難しそう」なテーマについて、身近なものを利用しながら、子供でも分かりやすく、かつ楽しく(ココ重要!)触れることができるのだ。今回の展示や体験内容を一部紹介すると、「レモンやお酢で電池を作る」「スライムを作ろう」「電子顕微鏡でのぞく30,000倍の世界」「世界最先端の超電導技術」「最強金属VS超綱ドリル」「真空を体験しよう」「電気も火も使わない光とは?」などなど、我々大人も思わず興味をそそられてしまうものばかりだ。●水風船が割れる様子をハイスピード動画で撮ってみよう○水風船が割れる様子をハイスピード動画で撮ってみよう本イベントに立ち上げ当初から協賛し、多くの会場でブースを構えているカシオ計算機も出展。ハイスピード撮影が可能なEXILIMの文教モデル「EX-SC100」を使用した撮影体験が人気を集めていた。カシオブースのテーマは「時間を自在に操るカメラ」。480コマ/秒のハイスピードムービーで水風船が割れる瞬間を撮影したり、折り紙を折る間をタイムラプスで撮影して、(まるで早送り再生のように)一瞬で折り鶴やだまし船を完成させる動画を撮るというもの。普段、テレビ番組でしか見られない特殊な映像に目を輝かせる子供たち。しかも、それらは自分の手で撮影した映像なのだ。カシオ計算機の担当者「親子で気軽に参加できて、最先端の科学に分かりやすく触れられる、そのイベント趣旨と意義に賛同して出展しています。大学など研究・教育機関の方々からお話が聞けたり、そこから気付きを得られることにも価値を感じています。でもやっぱり、子供たちが喜んでくれるのを間近で見られるのが何よりいいですね。現場で見ていると、子供たちの関心って意外なところにあったりするんですよ。こういった生の現場で得たことを、EX-SC100のような文教製品の開発に反映させたりもしています。」知識欲を満たすツールとしてのデジタルカメラ。その視点は、日頃から同社が主張している「デジタルカメラだからできることの追求」に、まさしく合致しているといえそうだ。カシオ計算機の担当者「記念写真を撮るだけが、カメラの役割ではないですよね。何を撮るのか、撮った画像や映像をどう使うのか。そのひとつのアウトプットとして、こんな使い方も面白いと思うんです。EXILIMは、コンシューマ機器でありながら、ユニークな特長のあるカメラでありたいと考えています。」●世界一行きたい科学広場の名物「滝川先生のサイエンスショー」○爪楊枝の先に、爪楊枝を立たせられる!?センターステージでは、滝川先生のサイエンスショーが行われた。これは世界一行きたい科学広場の名物。今回のテーマは「バランス」だ。「爪楊枝の先に、爪楊枝を立たせることができると思いますか?」ステージ前に集まった子供たちに問いかける滝川先生。子供たちは、圧倒的に「できない」に手を挙げる。確かに、我々大人が考えても、とてもできるとは思えない。先生は続ける。「確かに、爪楊枝だけではできません。でも、このプラスチックのフォークを組み合わせるとね、できるようになるんです。」ステージ前に集まった子供たちに、先生お手製の実験キットが配布される。中には爪楊枝とプラスチックのフォークをはじめ、ステージショーで使用される道具が入っており、子供たちは滝川先生の実験を見て、その場で自分でも試してみることができるのだ。この実験キットの配布も、もちろん無料。楽しくためになるお土産として、親御さんにも喜ばれている。ステージではこのほか、バランスコマ(回すと自分で逆立ちして回転するコマ)が逆立ちする様子をEX-SC100のハイスピードムービーで撮影した様子を見せたり、缶コーヒーの缶を油性マジックのキャップ先端に斜めに立たせるなど、バランスの面白さを紹介。釘や接着剤を一切使わず、木材を組み合わせただけで大人が乗れるほどの強度を持つ「レオナルドの橋」の実物も展示した。世界一行きたい科学広場は、福岡では今回が初の開催だ。中心となって企画と運営を手がける滝川先生は「(福岡を)ゆくゆくは同イベントの九州における天王山的な位置付けに育てたい」と意気込む。滝川先生「宗像市で最初に開催したときは、来場者が約1,000人でした。それが、4年を経た今年、宗像会場では5,000人を超えました。少しづつでも、こういうイベントの良さ、科学の楽しさを理解してくれる人が着実に増えているというのはありがたいですね。」このイベントが順調に集客を増やしているのは、やはり滝川先生の為人(ひととなり)とビジョンだろう。それをしっかりと理解したサポートメンバーと団体・企業が「科学ってこんなに身近で楽しいんだ!」と感じさせる出展を行っているからこそ、毎年リピーターが増えていく。滝川先生「これはね、科学の遊園地なんです。でも、普通の遊園地みたいにただ楽しいだけで終わらない。子供がね、何かにチャレンジしてみたくなる、その動機付けになるんです。入場無料で、しかもあちこちのブースでいろいろなお土産や記念品が貰えて、さらに賢くなるんだから、親にとっても大歓迎ですよね(笑)。お近くで、世界一行きたい科学広場が開催されたら、ぜひお子さんと一緒に足を運んでみてください。」こうした意義あるイベントにより多くの企業、団体が賛同し、子供たちがひとりでも多く科学に魅力を感じてくれるよう、また彼らが技術立国日本の未来を力強く支えてくれることを願ってやまない。
2014年12月05日JR東日本は12月2日、iPhone向けアプリ「東京駅構内ナビ」を試験的に公開して、ナビゲーションサービスの実証実験を行うと発表した。同アプリは、Beaconを用いて利用者の現在位置を表示し、目的地までのルートを、案内サインを目印に案内する。アプリの対象端末は、iPhone(iOS 7.1.2以上)。実験期間は2014年12月18日から2015年2月28日までの予定で、案内対象はJR東京駅1階、地下1階 改札内コンコース。東京駅構内の1階、地下1階の約160カ所に位置検出用のBeaconが設置される。アプリは12月18日から提供が開始される予定で、App Storeでダウンロードできるほか、同社のアプリの「実験に参加する」、「東京駅構内ナビ」公式サイトからもダウンロードページにアクセスできる。同社は、利用者へのアンケートや利用状況の調査を通じてサービス内容を評価し、今後の実用化を目指す。
2014年12月03日東北大学は11月28日、アインシュタインとボーアの論争で思考実験として提案された2重スリット実験を、酸素分子の2個の酸素原子を2重スリットに置き換えることによって実現したと発表した。同成果は、同大 多元物質科学研究所の上田潔教授、フランスのソレイユシンクロトロン放射光施設のCatalin Miron研究員のグループ、スウェーデン王立工科大学のFaris Gel’mukhanov教授らによるもの。詳細は、英国の科学雑誌「Nature Photonics」のオンライン版に掲載される。アインシュタインとボーアは20世紀前半、光や電子があわせ持つ波としての性質と粒子としての性質の2重性の解釈について、論争を繰り広げた。彼らが論争の際に用いた手法は思考実験で、実際には実験を行うことなく、理論的思考によって実験結果を演繹するものだった。彼らの思考実験は、当時、実現できないものばかりだったが、のちの研究者の想像力を大いに掻き立てた。そして、現在もさまざまな実験的検証が行われている。今回、研究グループはアインシュタインとボーアの論争でも主要な位置を占める2重スリット実験を分子レベルで実現した。まず、フランスの中型高輝度放射光施設ソレイユの最先端の軟X線ビームラインにおいて、酸素分子を励起し、放出された電子と電子放出の結果生成されたイオンの運動量を同時に計測した。この実験の結果、酸素分子または解離生成した酸素原子と高速電子との間の運動量の交換を測定することに成功した。ここで、2つのシナリオが考えられたという。第1のシナリオは、高速電子の放出が酸素分子の解離の前に起きる場合で、このとき、2個の酸素原子、つまり2つのスリットはつながっている。この場合、2個の酸素原子が受ける反跳運動量は同じである。従って、どちらの原子が電子を放出したかは決定できない。第2のシナリオは、分子が解離してから高速電子が放出される場合で、この場合、一方の酸素原子が高速電子の反跳運動量を受け取るため、どちらの原子が電子を放出したかを決定できる。研究グループはこの2つのシナリオに相当する現象をそれぞれ観測し、第1のシナリオの場合には有名なヤングの2重スリット実験のように干渉縞が現れ、第2のシナリオの場合には干渉縞が消えることを実証したという。この結果は、ボーアの反論を支持するものだったとしている。
2014年12月02日すべての女性には美しさという本能がある。「ポーラ(POLA)」から新たに誕生した、スキンケアブランド「レッド ビー・エー(RED B.A)」のコンセプトだ。そのポーラが製作した動画が注目を集めている。日頃は夫や子供から「ママ」と呼ばれ、母親としての慌ただしい日常を送る女性達にとっては、自分の美容に手を掛けることは後回しになりがち。そんな毎日を送りながらも女性としての美の本能はきっと身体に息づいているはず。もしも母親達がふとしたきっかけにより、もっときれいになることができるなら?もう一度ファーストネームで呼ばれるようになれば、その本能はどのように変化するのだろうか。ポーラはその思いから、女性が持つ潜在的な美しさと可能性を証明するための実験を実施した。YouTubeで10月2日に公開された動画「Call Her Name」は、普段ママと呼ばれている女性達をもう一度、名前で呼ぶところから始まる。「もえ」「あい」「さやか」「あゆ」……。子供が生まれる前の呼び名で夫に呼ばれるたびに、驚いた表情、照れくさそうな表情、でも嬉しそうな笑顔を浮かべる女性達。その身体の中では、美のホルモンと呼ばれる“オキトシン”が増えていた。「Call Her Name」は公開以来、2ヶ月足らずで27万回以上再生されている。1人の女性として見られる、ママよりもっと前の自分を思い出すこと。そんな小さなきっかけで、人はもっと美しくなれるのかもしれない。
2014年11月25日ソフトバンクモバイルは11月14日、ウエアラブル端末を利用した実証実験を、2015年1月中旬に福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)で実施すると発表した。この実験は、ウエアラブル端末関連産業の育成を目的とする福井県の「ふくいe-オフィスプロジェクト補助金(ウエアラブル関連実証実験支援分)活用事業者募集」の公募に、同社の企画案が採択され実施するもの。メガネ型ウエアラブル端末「Google Glass」や腕時計型端末を用いて、AR(拡張現実)技術による恐竜の映像の表示(素材提供:セガトイズ)や、展示の解説、館内のナビゲーションなどを行い、今後普及が見込まれるウエアラブル端末が新しいサービスや付加価値を生み出す可能性について検証する。今回の実証実験には、ACCESSのiBeacon(アイビーコン)を用いた位置連動型コンテンツ配信ソリューション「ACCESS Beacon Framework」を開発したサービスプラットフォームを活用。また、ウエアラブル端末などで撮影した画像とクラウドや端末内に登録した画像データを照合して物体の名称や詳細情報を画面に表示する、NECが独自開発した世界最高水準の画像認識サービス「GAZIRU(ガジル)」も利用する。
2014年11月17日日本にはいろいろな研究施設があり、自分が知らないだけで、ある特定の分野を徹底的に研究している人達というのは確かに存在します。睡眠科学もその1つ。今回はこの組織がどのような活動をしているのか紹介したいと思います。日本睡眠科学研究所という組織がある「日本睡眠科学研究所」という組織をご存知ですか?知っている! という方はかなりの睡眠マニアに違いありません。ほとんどの人はまだご存知ないかと思いますが、この研究所を運営する母体であれば知っているという方はたくさんいると思います。その母体とは西川産業株式会社。そうです、あの「ふとんの西川」が1984年に設立したのが日本睡眠科学研究所だったのです。西川産業の「睡眠への質」へのこだわりは当時から凄まじく、「健康は睡眠から、快適な睡眠を提供するのが寝具業界の使命である」という考えのもと徹底的に快適な睡眠を求めていったと言われています。母体は「ふとんの西川」当時、「睡眠を科学する」という発想は非常に前衛的だったそうです。そこで社員だけでなく、大学教授など外部スタッフも招き入れ、業界初の取り組みとしてスタートしました。睡眠の質を上げるためであれば睡眠環境(部屋や寝具)を改良することが頭に浮かびますが、この研究所の凄いところはそこにとどまらず、「寝床内(しんしょうない)」と呼ばれる身体と寝具の間にできる空間をも科学で分析し、研究したというところかもしれません。本当に徹底していますよね。この研究所の結果をもとに西川の寝具は開発され、ユーザーの手元に届けられているのだそうです。4つの研究活動現在、日本睡眠科学研究所の研究活動は下記の4つに定めています。1. 睡眠整理の研究2. 寝室環境の研究3. 寝床内の研究4. 寝具の研究開発1は科学の観点から眠りを解明する研究のこと。どうしたら人はより良い眠りを得ることができるのかを解き明かしているのだそうです。2は快適な寝室環境を解明する研究です。寝室環境といっても、広さや色、照明、湿度など条件はさまざま。それら一つひとつを解析しています。3は身体と寝具の間の温度や湿度などのベストな数値を研究するというもの。4は新しい技術や素材を用いた寝具開発の研究です。今後どのような最新研究が進められていくのか、睡眠に興味のある方は注目してみては?Photo by Nic McPhee
2014年11月09日科学技術振興機構(JST)は10月28日、全国の中学生がチーム対抗で科学的思考力や技能を競う「第2回 科学の甲子園ジュニア全国大会」の47都道府県の各出場チームが決定したことを受け、2014年12月5日から7日までの期間で、東京・江東区にあるBumB東京スポーツ文化館で開催することを発表した。同大会は全国の中学性を対象に、6人で構成されたチーム内で役割を分担し、科学的な課題に対し、科学的思考力や技能をもとに工夫して挑戦し、解決の方法を探り、その得点を競うというもの。各地での代表選考会には、前回のエントリー数を5000名ほど上回る総計2万名を超す生徒のエントリーがあったという。全国大会に出場する生徒の数は合計282名(男子215名、女子67名)で、各チームともに中学校1、2年生6名で構成されている(複数の中学校の生徒で混成されたチームも複数ある)。競技内容は、筆記競技が1つ、実技競技が2つ予定されており、各300点の配点となっている。競技の概要としては、理科・数学などの複数分野において、実生活・実社会との関連・融合領域に配慮して出題され、生徒の修得済みの知識に加え、競技に新たに示された情報を活用して課題を解決するとしているほか、実技競技は、ものづくりの能力、コミュニケーション能力などを用いてチームで協働して課題解決するの能力を競うとしている。ちなみに実技競技2は事前公開競技として課題、仕様、コースが提示されている。競技名は「ヘリウム飛行船」で、自作の飛行船を自在に動かすことを課題としているが、操縦課題があるほか、飛行時間やコースの長さ・制限時間などは当日提示されるとのこと。仕様としては、動力は2個までで、バルーンとヘリウムガスの上限は大会当日に提示される予定だという。なお、参加47チームの構成は以下のとおり。混合チームが多いことから、チーム数は47だが、参加校数は80校となっている。また、女子のみチームや全員1年生のチームもあるという。
2014年10月28日NECとオランダのIT企業であるDacomは10月24日、共同でDacomの農業ICTソリューションを活用した実証実験をルーマニアのじゃがいも農場で行ったと発表した。同ソリューションは、農場の温湿度や風向・風速などを測定、収集する環境センサーと、収集したビッグデータを分析するソフトウェアで構成されている。具体的には、Dacomの気象センサー(気温、湿度、風速、風向き、降雨量、日照時間)と土壌センサー(水分量、地温)を農場に設置し、24時間365日にわたって計測した環境データ、現地の気象予報、過去数年の栽培履歴などを、インターネットを通じてコンピュータ上に集約する。これらのデータは、現地の農作物成長率や肥料・殺虫剤・吸水などのモデルと照合・分析されて、農作物の植え付け時期、肥料・農薬・殺虫剤など化学薬品の使用量、農業用水量、気象災害からの保護方法、収穫時期などのアドバイスとして、農家に提示される。今回、ルーマニア中央部に位置するブラショフのじゃがいも農場において、実証実験が行われた。実験の結果、同ソリューションを導入しない農場と比べ、農薬・殺虫剤などの化学薬品の使用量を1ヘクタール当たり最大40%削減したという。また、形状が左右対称など、高品質なじゃがいもが栽培可能なことも確認された。NECは今後、同社のビッグデータ分析技術を活用して、Dacomの収集した多種多様なデータを解析し隠れたパターンを発見することで、農業生産に必要な資源の使用量をより抑えコストを低減するなど、同ソリューションを改善する取り組みを進める。また、農業投資を検討する銀行の意思決定支援や、食品取引所への正確な農作物情報提供などを目的に、農作物生産量データサービスについても提供を検討する。
2014年10月24日日産自動車は10月16日、電気自動車「日産リーフ」と電力供給システム「LEAF to Home」を活用したエネルギーマネジメントの実証実験を10月より開始したと発表した。この実証実験は、エナリスのインセンティブ型ディマンドリスポンス(DR)実証実験に、日産が参加するものである。日産は、神奈川日産自動車の店舗で「リーフ」と「LEAF to Home」を使い、実証実験に取り組み、エネルギーマネジメントにおけるEVバッテリの有効性を検証する。DRとは、エネルギーの供給状況に応じて、需要側の消費パターンを変化させることで、より効率的な電力システムを構築するための方策で、東日本大震災以降、電力のピーク時間帯の需給ひっ迫が顕在化したことにより、注目を集めている。具体的には、電力会社の依頼に基づき、アグリゲータが需要家に節電要請を行い、その対価としてインセンティブを支払う仕組みのことである。節電要請時にエアコンや照明の操作によって節電を行うことが一般的だが、V2H(Vehicle to Home)ではEVから建物に電力を供給すると照明などを消灯することなく、系統電力の負荷を低減することが可能であり、商業施設などの節電が困難な施設においても有効な手段になると考えられている。なお、実験ではV2Hを活用したピークカットの有用性、およびインセンティブ(報酬)による経済性の効果・検証・分析を行う。例えば、営業中に点灯している店舗ショールームなどの照明にV2Hを接続し、節電要請があった際にV2Hから照明に電力を供給することで、系統電力の負荷を低減し、その対価としてインセンティブを受け取る。今回の実証期間となる2014年10月~2015年1月では、平日8時~20時の間の3時間、月2~3回の節電要請を受ける予定という。今後、さらなる再生可能エネルギーの有効活用や、発電設備の効率化による、環境負荷を低減したエネルギーマネジメントが求められる。その中でも、EVが持つ大容量バッテリを活用したエネルギーマネジメントはグローバルに行われている実証実験により、その有効性が確認されつつある。また、節電行動に対するインセンティブによってEVオーナーの経済性向上も加われば、EVの普及がさらに促進され、社会全体の低炭素化にもつながるものと見込まれるとしている。
2014年10月17日