現役東大生220人の「一番尊敬する人」「一番影響を受けた人」を実態調査現役東大生の3割以上が一番尊敬している人として「親」と回答Q. あなたが一番尊敬している人は誰ですか?現役東大生220人に「あなたが一番尊敬する人は誰ですか?」尋ねたところ、最も多かった回答は「親」(75人、34.1%)でした。次いで「友達」(25人、11.4%)、「歴史上の人物」(25人、11.4%)、「先輩(24人、10.9%)」と回答が続いています。「尊敬する人はいない」は16人(7.3%)でした。Q. あなたが一番尊敬している人は誰ですか?(男女別)男女別にみると、一番多かった回答は男女共に「親」(男子35.9%、女子32.7%)に。男子が女子よりも多かった回答は「兄弟・姉妹」(男子7.6%、女子4.0%)、「先輩」(男子12.3%、女子7.9%)でした。女子が男子よりも多かった回答は、「学校や習い事の先生」(男子5.7%、女子9.9%)、「経営者として活躍している(いた)人」(男子0.9%、女子3.0%)となっています。一番影響を受けた人も、「親」という結果にQ. 現在のあなたになるのに一番影響を受けたと思われるのは誰ですか?「現在のあなたになるのに一番影響を受けたと思われるのは誰ですか?」との質問でも、最も多かった回答は「親」(70人、31.8%)でした。「学校や習い事の先生」(25人、11.4%)、「友達」(25人、11.4%)との回答が続きます。「影響を受けた人はいない」と回答したのは21人(9.6%)でした。Q. 現在のあなたになるのに一番影響を受けたと思われるのは誰ですか?(男女別)男女別では、男女共に最も多かった回答は「親」(男子26.4%、女子37.4%)となっています。男子のほうが多かった回答は、「兄弟・姉妹」(男子11.3%、女子4.0%)、「友達」(男子15.1%、女子8.9%)、女子のほうが多かった回答は、「親」(男子26.4%、女子37.4%)、「先輩」(男子5.7%、女子9.9%)となっています。SNS時代の今でも、現役東大生のロールモデルは「身近な存在」今回の調査から、現役東大生が「一番尊敬する人」「一番影響を受けた人」は、一番多かった回答の「親」を含めて「兄弟・姉妹」「友達」「先輩」など、身近な存在であることが明らかになりました。YouTubeやSNS媒体、メディアなどを通して、多種多様な活躍をする人物の考えや人となりに触れることができる現在においても、現役東大生にとっては親や友人関係、学校や習い事の先生など直接触れ合える身近な存在がロールモデルであり、一番影響を与えているようです。調査概要調査実施機関:ゼネラルリサーチ調査時期:2022年2月17日〜2月19日アンケート設計:イノベーションシステム「ひまわり教育研究センター」調査方法:インターネット調査対象者:現役東大生220名(男子106名、女子101名、回答したくない13名/文系学部81名、理系学部(医学部以外)74名、医学部65名)<関連リンク>・現役東大生220人を対象にした「子どものころの過ごし方」調査を発表。東大生が「両親に勉強しなさいと言われた1日の回数」は?・こども4人を東大理三合格・佐藤ママの学びのメソッドを脳科学的に分析して分かった「学びの正解」とは?・現役東大生にとって父・母はどんな存在?現役東大生220人のリアルな声調査
2022年08月06日※写真はイメージです手術中の患者の家族が待つための部屋“家族待機室”で仮眠をとっている最中に金縛りにあい、念仏を唱える声が聞こえたり、誰もいないはずの“蘇生室”から心電図モニターの音がしたり――。これは、新感覚の怪談本『東大怪談東大生が体験した本当に怖い話』の中で紹介されている内容の一部。本書には11名の東大出身者が経験した怪異が収められており、先のエピソードは東大病院に勤務する看護師の男性の体験談だ。東大生が陥る“闇”著者の豊島圭介さんは東大出身者であり、映画監督でもあり、現在放送中のドラマ『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』(テレビ朝日系)の監督でもある。「ドラマの準備がはじまる前の去年の9月、10月あたりは身体が空きそうだったので、何か文章を書く仕事をしたいと思ったんです。ウェブ記事のようなものが書ければと思い、軽い気持ちでオカルトサイトTOCANA編集長の角さんに相談したところ、『“東大怪談”っていう本を作ったら面白いと思いません?』といわれたんです」その発案がきっかけとなって東大出身者への取材を重ね、本書が誕生した。一般的に、実際にあった出来事をもとに書かれる実話怪談の本は、“幽霊の話”、“金縛りの話”など、怪現象のカテゴリ別に章立てされており、話者の匿名性が高い。一方、『東大怪談東大生が体験した本当に怖い話』は語り手ごとに章立てがなされ、話者の実名やペンネーム、入学した年などが記載されている。 また取材を受けた東大生たちは、「この体験が偏差値に影響している度」「偏差値がこの体験に影響した度」「幽霊を信じている度」をバロメーターで示しているほか、「大学に落ちる恐怖と、心霊体験、どちらが怖いですか?」といった質問をまとめた『東大怪談アンケート』にも答えており、それぞれの回答も興味深い。「当初は一般的な実話怪談本のような体裁を考えていたんです。ただ、取材を重ねるうちに彼らが体験した怪異はもちろん、その人の持つ自意識や人生そのものにもおもしろさを感じるようになり、語り手に焦点を当てた構成にしました。というのも、東大生には“自分は優秀である”という自意識が無意識のうちにあるものですから。客観的に聞くとツッコミを入れたくなるような話でも、“この自分が経験したのだから、怪異に違いない”と自信と確信を持っているんです」実は、本書の冒頭には、次のような但し書きがある。とうだい‐かいだん【東大怪談】(名詞)一.東大生あるいは東大出身者が経験した、化け物・幽霊などの出てくる気味の悪い話。二.東大生あるいは東大出身者が経験した、真相がさだかでなく、納得のいかない出来事。三.東大生あるいは東大出身者が経験した、異常な人間がかかわる恐ろしい話。または異常な東大生本人にまつわる話。本書に登場する計11名の語り手のうち、豊島さんの印象に深く残っている人のひとりが40代の男性、Tさんという人物だ。「Tさんは子どものころから天才と呼ばれ、中学ではトップクラスで、高校時代の趣味はZ会の数学を解くことだったそうです。非の打ちどころがない年月を経て東大に入ったものの、大学院に進学後、論文が書けずに病んでしまい、精神科に入院。その後、統合失調症と診断され、3回も入退院を繰り返しています。こうした半生を眺めた時に、これはエリートといわれる東大生が図らずも陥ってしまう闇であり、“東大怪談”と呼んでもいいのではないかと思いました」Tさんが一度目の入院をするのは、『ノストラダムスの大予言』が流行する世紀末のころだった。関連書籍で「ある一人の日本人が立ち上がり、世界を救うだろう」という一節を読んだTさんは、その日本人こそが自分だと信じて疑わなかったという。「僕の取材を受けた時のTさんは、統合失調症は治っていると話していました。でも最後に、『今後、宇宙人とコンタクトする時に英語を使うとしたら、それは僕が決めたことですから』と笑って口にしたんです。その言葉を聞いた時に、“何それギャグ? それともまだ病気が治ってないの!?”と不安になりました。こうした病気のエピソードは、一般的な怪談本には絶対に載らないはずです。でも、これも立派な“東大怪談”になると思いました」とある男性が出会った“牛人間”11名の語り手の体験談のうち、豊島さんが一番、「怖い」と感じたのは2話目に登場するフリー編集者・綿谷翔さんのエピソードだという。「僕が取材をした東大出身者は壮絶な人生を送ってきた人が多く、綿谷さんもそのひとりです。彼はほぼ母子家庭で育ち、母親の再婚で地方から神奈川県へと引っ越しました。再婚相手はクリスチャンで、食事の前に両手を組んで『アーメン』と祈り、その手で綿谷さんを殴ったそうです。そうした日々を送る中、綿谷さんは家の近くの林の中で、首から下は人間、顔は牛の“牛人間”を目撃します」綿谷さんは1年後に母親とともに故郷へ逃げ戻り、その後、東大進学とともに上京した。「過酷な状況下で育ちつつも勉強ができる人は、現状からの避難先として東大へ駆け込む。僕はそうした人たちが経験したことも東大怪談であると考えているんです」豊島さんが印象に残ったというのは、綿谷さんの東大進学後の話。東大生になった綿谷さんは毎年のように、牛人間を目撃した土地を訪れているという。「得体の知れない牛人間ももちろん不気味ですが、彼にとっては負の記憶しかないような場所に、なぜ、頻繁に足を向けるのか。我々の理解を超えています。継父から虐待を受け、牛人間に出会った場所は、なぜ彼をそこまで惹きつけるのか?彼は何を見てしまったのか?そう考えると異様な恐怖を感じるんです」本書にはほかにも、過酷な環境に育った東大生たちが経験した“いろんな意味”での恐怖エピソードや、その怪異なできごとを東大生ならではの頭脳で捉えた新感覚の怪談話が数多く収録されている。監督にとっての“怖い”という感情2005年にドラマ『怪談新耳袋』で監督デビューした豊島さんだが、もともとは怖いものが苦手だったという。「10代のころは『未知との遭遇』すら、怖くて観られないほどのヘタレだったんです。でも、30代になってから心霊スポットへ行き、そこにいる霊を挑発することでカメラに映すという仕事(『新耳袋 殴り込み』シリーズ)に携わることになりました。たとえば、女性の霊が出るといわれているトンネルを夜間にひとりで自転車で走り、『ヘイ!彼女、乗ってかない?』と声をかけたりとか(笑)」暗闇の中をひとりでカメラを持ち霊が出るといわれている場所へ行くことは、死ぬほど怖い経験だったと振り返る。「でも、“怖い”というのは心が震えるベーシックな感情のひとつでもありますから。そうした経験を通して、観る人が心を揺さぶられるような作品を創れるようになりたいと思うようになりました」本書を執筆した豊島さんが、今、一番怖いものは何なのだろうか。「2020年にドキュメンタリー作品『三島由紀夫vs東大全共闘~50年の真実~』の監督をしたんです。50年前の映像には、三島由紀夫も東大全共闘の青年たちも皆、自分の名を名乗り、相手の呼吸や息遣いが感じられるほどの至近距離で言葉を交わす様子が映っていました。その姿を見て、コミュニケーションの形としては非常に健全なものだと思ったんです。翻って考えるに、今、SNS上で匿名で罵詈雑言を浴びせ合うのがコミュニケーションだとするならば、隔世の感があります。SNS空間というのはある種、非常に怖いものであると感じています」自身の持つさまざまな“怖さ”のアンテナとフィルターを駆使し、数多のエピソードを一冊にまとめた『東大怪談東大生が体験した本当に怖い話』。豊島さんは、オカルト話が好きな人はもちろん、他人の人生に興味がある人にも楽しんでもらいたいと話す。「僕は職業柄、他人の人生に興味がありますし、他人の人生をのぞき見したいという好奇心も強いんです。怪談というジャンルに関心がない方でも、この本を通して“世の中にはこんな人がいるのか!”という、ある種の好奇心を満たしてもらえるのではないかと自負しています」豊島圭介1971年静岡県生まれ。東京大学教養学部表象文化論専攻卒業。卒業後はロサンゼルスのアメリカン・フィルム・インスティテュート(AFI)の監督コースに留学。帰国後、2003年に『怪談新耳袋』で監督デビューし、以後、アイドル、ホラー、恋愛、コメディと多岐に渡るジャンルの映画、ドラマに携わる。2020年公開の『三島由紀夫vs東大全共闘~50年の真実~』では初のドキュメンタリーの監督を務める。最新作は6月17日公開の『映画 妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-』。『東大怪談東大生が体験した本当に怖い話』豊島圭介/著株式会社サイゾー1400円+税取材・文/熊谷あづさライター。猫健康管理士。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、食、本、人物インタビューなどの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。ブログ:「書きもの屋さん」、Twitter:@kumagai_azusa、Instagram:@kumagai.azusa
2022年05月25日山下崇博容疑者(産総研・出版物より)「摘発されたのはいずれも『FC2コンテンツマーケット』で動画販売していた男たち。かねて問題視されていた米国の動画サイトを隠れ蓑とし、作品にモザイクをほとんどかけず売りまくった。チェック機関の審査もなく、野放し状態だったためメスが入ったかたち。それにしてもこれほど稼いでいたとは……」と全国紙社会部記者は絶句する。わいせつな行為を撮影した自作動画を十分に修正せず販売したとして茨城県警は11月19日、つくば市内に住む産業技術総合研究所の主任研究員・山下崇博容疑者(40)と守谷市の無職・柴田恒一容疑者(47)をわいせつ電磁的記録等送信頒布の疑いで逮捕した。同県警生活環境課などによると、昨年12月ごろから今年9月ごろまでの間、インターネット上の海外動画販売サイトを利用して、わいせつな動画を不特定の人に複数回にわたって販売した疑い。■すべて本人が出演していた「山下容疑者は2017年11月ごろから約250作品をアップロードし、計約1億8000万円を売り上げていた。柴田容疑者は2017年7月から約350作品で計約1億1200万円の売り上げ。山下容疑者はすべての作品に自分が出演し、撮影と動画編集、販売まですべてひとりでこなしていた。柴田容疑者も自分で出演していたが、男優を依頼して撮影することもあった」(捜査関係者)背景には、インターネットの普及により、店舗や販売ルートを持たずとも個人間で売買するスタイルが確立したことがある。撮影機器の高性能化も進み、専門技術がなくてもプロ並みの動画をつくりやすくなった。アダルトビデオ(AV)業界の水面下では、闇に紛れるように無修正のいわゆる“裏ビデオ”がネット上で取引されている。山下容疑者は、「販売したことは間違いないが、映像を粗くしてアップロードしたのでわいせつの認識はなかった」と容疑を否認。柴田容疑者は、「お金を稼ぐためにわいせつ動画を販売していた」と容疑を認めている。一斉取り締まりによる同容疑で同じ日、警視庁は新宿区の会社役員・福田茂人容疑者(36)、足立区の海上自衛隊員・星将人容疑者(32)、同区のカメラマン・木内峻容疑者(36)を逮捕。愛知県警は名古屋市の自称自営業・田渕友浩容疑者(38)、同市の会社役員・廣井朗弘容疑者(43)を逮捕した。「逮捕された7人の売り上げ総額は約4億7000万円にのぼる。1本あたりの単価が数百円の作品もある中、ダントツに稼いでいたのは山下容疑者だった」と前出の記者は話す。山下容疑者は、社会的立場をみても出色の存在といえる。勤務先の産業技術総合研究所(つくば市=以下、産総研)は、世界最高水準の研究を推進する特定国立研究開発法人。国内最大級の公的研究機関として産業や社会に役立つ技術の創出と実用化に取り組み、事業化につなげる橋渡し機能を持つ。全国11か所の拠点で約2300人の研究者がしのぎを削るエリート中のエリートだ。学歴も申し分ない。2008年に東京大学工学系研究科(精密機械工学専攻)を修了、’12年に東大大学院の同専攻を修め、工学博士として卒業した。’13年4月に産総研に採用され、’17年には主任研究員に昇格している。仕事ぶりはどうだったのか。「道路や橋などの大型建造物の劣化診断や、不良箇所の点検を行うインフラ(社会基盤)のモニタリングの研究開発を行っていました。損傷や破損を防ぐ公共安全性向上に資するものです。これまで問題なく業務を遂行しており、特に不審な点は見受けられませんでした」(産総研報道室)しかし、想像を絶する裏の顔を持っていた。■下品すぎるハンドルネーム自分で創り出した愚劣なキャラクター「孕ませマン」をハンドルネームにやりたい放題。作品中は覆面をかぶり、避妊しない性交渉を謳ってセールスしていた。《「外に出して…」と懇願されるも××に勝手に無許可××!18歳で顔出し孕ませAVデビューで完全に人生終了》(※一部伏せ字にしています)などと醜悪な売り込み文句をSNSでつらつら。作品ごとに説明文をつけ、出演女性について「人生終了」と決めつけるパターンだった。購入者から、ヌードだけでなく着衣やコスプレを使っている点を評価されると、《オヂサンも個人的にはオールヌード派ですが、それだけだと映像的にも物足りないので女の子の私服やエロコスも多用してます笑》と調子に乗ることも。顧客サービスの一環か、「ファン感謝祭」と銘打って男優を募集することもあった。■月平均5作品とハイペース相手女性はSNSで募集。拘束3時間のギャラは当日手渡しで「〜100」と上限100万円をにおわせていたが、1作品あたりの平均売り上げは72万円。そこまで払っていない可能性があるが、月平均5作品以上をつくり上げるハイペースだった。《彼女いない歴=年齢の残念なオヂサンデス。趣味はオヂサンらしく温泉巡りカナ。一緒に行ってくれる可愛い女の子募集中。なんちゃって》と気味が悪い。業界関係者によると、産総研研究職の平均年収は1000万円程度で、お金に困って違法行為に手を染めるとは考えにくいという。自宅は築3年の小規模賃貸マンションで家賃は月約7万〜11万円。国産ハイブリッドカーで通勤し、派手な生活とは無縁だった。近所の住民が打ち明ける。「どう見ても独身のおじさんなのに、20歳前後に見えるゴスロリファッションの女の子と自宅から出てきたことがあって驚いた」本人は作品セールスに、《もともと愛人やセフレとのハメ撮りの延長で販売を始めたにすぎない》と記している。前出の産総研報道室は、「職員の逮捕でお騒がせして申し訳ありません。逮捕後の面会では、本人は反省している様子でした。今後は警察の捜査に全面的に協力するとともに、事実関係が明らかになり次第、厳正に対処します」山下容疑者は見果てぬ夢をこう綴っている。《オヂサンも人生ラストは、気心の知れた仲間たちとエロ動画や大人のおもちゃをたっぷり積んだ船『好色丸』に乗り、遊女だけが住む『女護島』目指して行方知れずとなり伝説化するのが夢!》東大大学院卒のエリート研究員の知性など微塵も感じさせない低俗な夢だった。
2021年12月01日お笑いグループのぼる塾(きりやはるか、あんり、田辺智加)が27日、都内で行われた「東大×吉本『笑いの傾向と対策 令和3年度版』」公演に登場。東大生の伴侶がほしいと猛烈にアピールした。同イベントは「笑う東大、学ぶ吉本 プロジェクト」の一環。現役東大生(学部生5人)がプロデューサーとなり、お笑い芸人らが東大生の考えたネタによる大喜利や超難問ジェスチャーにチャレンジした。“東大生が選ぶおもしろい神保町の吉本芸人ベスト3”の第2位に選ばれたぼる塾。東大生から「令和のニーズに合うおだやかな笑い」「シュールな雰囲気が貫かれていて好み」などと好評価を受けた。あんりは「頭のいいやつは気に食わねえ」と東大生を口撃しつつも、「(これまで)頭のいいやつに勝てるのは何だと思ったら笑いだと考えた。今日はそれも勝てなくて悔しかったけど、分析して褒めていただいた。嫌いだったのに最後は好きにさせられた。仲良くなりたいな、なんてこっちから思った。トータル悔しいけど、楽しかった」と話した。そんなあんりは、報道陣から東大卒の伴侶はどうかと提案されて「ぜんぜんこっちはOKですよ」と即答。田辺も「東大生のイケメンをお願いします」とリクエスト。きりやも「私も頭いい人がいいです」とおねだりした。あんりの気持ちは止まらず、東大生とやりたいことを問われて「本気で合コン。笑いとかなしで、本当に誰かが付き合わないと帰れない。ラブゲームやりたい」と鼻息を荒くしていた。イベントには令和ロマン(髙比良くるま、松井ケムリ)、ラタタッタ(古谷敦宏、渡辺ポット)、プリズンクイズチャンネル(竜大、庄田健裕)も出席。“東大生が選ぶおもしろい神保町の吉本芸人ベスト3”の1位は令和ロマン、3位はラタタッタとなった。
2021年09月27日マンガ『汚部屋そだちの東大生』より数年間開けていなかった壊れた冷蔵庫の野菜室からは悪臭が立ち込め、台所ではいつでもゴキブリたちが大行進――。そんな“汚部屋”に、美しいけれどもどこかおかしい母と2人で暮らしてきた“東大生”の主人公、ユウ。「自分だけ幸せになろうなんて、ママ許さないからね!」子どものころから過干渉をし続け、ときには手を上げる“毒親”の母。さらには、もともと別に家庭がある父――。汚部屋、東大生、毒親、不倫。現代のパワーワードで構成されつつ、ひとりの女性が母を捨て自立に至るまでを描いた漫画『汚部屋そだちの東大生』が、いま話題だ。■毒親をもった作者の今積み重なるゴミ、汚れきったトイレ、ゴキブリ……。交流するほかの東大生たちとは違いすぎる主人公の私生活。この部屋に存在する電化製品たちのように“壊れた”母のエピソードも淡々と続き、底知れぬ恐怖が続く。とはいえ、そういったグロテスクなシーンは落ち着いたタッチで描かれており、主人公の心のあきらめぶりを表しているかのようだ。しかし、主人公がドアを開けるラストは、読者にもその瞬間の外の光が見えるかのように輝かしい。しかもこの話、時系列を多少変えている以外はほぼ「実話」なのだという。スマホ向けコミックサイト『マンガよもんが』『LINEマンガ』で連載中から反響を呼び、このたび3月10日にコミックスも株式会社ぶんか社から発売されることとなった。そんな主人公、もとい作者は現在、どんな思いを抱いているのか。作者のハミ山クリニカさんに話を聞いた。「主人公は大学卒業と同時に家を出たということにしていますが、実際に家を出られたのは、就職して2年ほどしてからでした。私がいなくなってすぐは、親戚経由で連絡をとってこようとしたり、役所に行って私の現住所を調べようとしたらしいんですが、やったことはそれくらいだったみたいです。本気を出せば興信所に頼んで調べることもできるのに。携帯番号を変えたということもありますが、今はまったく連絡は来ません。そこまで私に執着はしていなかったんだと、拍子抜けしましたね」■驚くべき半生でも“不満はなかった”ワケ現在は結婚し、平和に暮らしているというハミ山クリニカさん。会社員と漫画家の二足の草鞋(わらじ)を履く。ほかにも漫画と決定的に違うのは、実際は東京藝大に入学・中退してから、母親の意向もあり、東大(理科二類)に入り直していた、という点だという。ますます壮絶な話だ。漫画家として活動し始めたのは、2年ほど前から。そして、家を出るまでの自分の半生を振り返れるには脱出から6~7年はかかったという。「(漫画の)担当編集者さんが、打ち合わせの際に話した私の半生に、ものすごくびっくりして。“それを漫画にしませんか”と言われて、それまではちょっと違うくらいだった認識が、やっぱりおかしかったんだと確信しました。子どものころからそんな状況で暮らしてきたのと、母親があまりほかの友達と遊ばせてくれなかったこともあって、ほかの家の様子を知らなかったんですよ。だから“○○ちゃんの家には○○があっていいな”といった、ほかと比べての不満は持ったことはなくて。でも“うちはエアコンが壊れていて使えないから寒くていやだな”とか“机がまともに使えないから、布団やゴミの上でものを書くのは書きづらいからいやだな”という不快な感情に対する不満はありました」片づけはできず、常にだらしない。かつ支配的な母親に対しての不満はなかったのだろうか。「母は、断続的ではありましたが、会社勤めをしていたんですね。洋服は買い漁(あさ)っていたくらいで、いつも同じものを着て出勤していたわけでもなかった。おそらく、あんな汚部屋で暮らしていると想像できた同僚はいなかったのではないでしょうか。一応、私を育ててくれているということもあって、いくら理不尽な思いをして“めちゃくちゃだなあ”とは感じつつ、感謝しなくてはいけないと思っていたところもあったんです。素直に憎しみだけ持てれば、もっと早く母のもとから飛びだしていたかもしれません。あと、私がいい成績を取っていれば機嫌もよかったので、怒らせたくないから勉強をしていましたね。いろんなやり方を考えてなんとか成績を落とさないようにがんばっていました」そんな努力が実り、東大の門もくぐることができた。「もちろん母は喜びました。“いい会社に入って、ママを養ってね”と。母としては、恋人でしかなかった父に見放されていたし、私が大企業に入れば確実にお金を持ってきてくれるから安泰!くらいの感覚だったんでしょうね。みなさんが“東大、すごいね”と言ってくれるんですが、実際は入れる人数も多い。がんばれば奨学金ももらえるし、授業料も免除になる。ある意味、間口が広いんですよ。私は母にお金の負担をさせたくなかったから、東大に入ったともいえます」■「親と連絡したくないし、会いたくない」私たちは、東大生という言葉についひるみがちだが……。「私も、どんな人が東大では“普通”なんだろうと思っていたところがあります。でも実際は、ウチみたいに母子家庭や、お金がないという環境で育った子もけっこういたし、めちゃくちゃお金持ちの留学生も多かった。だから“こんな家庭が普通”ということはなかったですね。むしろ東大に入っていろんな人と交流するにつれて、世の中にはいろんな事情を背負った人がいるんだなと、初めて知りました。地方出身で頭がよくて、家にお金があって、東大に入れたけれども、上には上がいて、その人たちと自分を比べて挫折してしまう人たちは何人も見てきました」ハミ山さんがもうひとつ気づいたのは“親に押しつけられた価値観を守らなくていい”ということだった。「うちの家庭の話をすると、みんなにドン引きされたんですね。その姿を見て、自分も無意識に我慢していたことだったって気づいたんです。ああ、これ、我慢しなくていいんだ、と」自分が変だな、嫌だな、と思ったことに、ふたをしなくていい。自分の意志を尊重していい――。価値観を変えることは勇気がいる。しかし、その勇気は、新しい世界への扉でもある。そこから数年の時を経て、母を捨て、穏やかな生活を手に入れることができたハミ山さん。今は夫、子どもと暮らしているが、その壮絶な経験から家庭を持つことに不安はなかったのだろうか。「夫は他人のことをあまり気にしない性格で、“親と連絡取ってないし会いたくない”と伝えたら、すんなり受け入れてくれました。子どもを持つことは、自分と母のような関係が再生産されるのではと不安でしたが、いろいろ勉強したりカウンセリングに通ったりしてから産んでみて、今のところ楽しく過ごしています」最後に、この漫画をどんな人に読んでほしいかをうかがった。「表面だけでは人って、わからない。普通だとか、立派な肩書があったとしても、だから正しいというわけではないし、幸せというわけでもない。特に家庭の中に違和感がある場合、自分の感情を押し殺しがちになりやすいと思います。自分がちょっと嫌だと思っていることって、どうなんだろう。このまま我慢をしたほうがいいのかな。そんなふうに感じている人に読んでほしいですね。その我慢は、たいていの場合、する必要のないものだったりするので」ハミ山さんの母親が、期せずして娘に与えたものは、その自立する心と、何事も俯瞰(ふかん)して見ることができる視線だろう。いちばん、渡したくなかったものでもあったのだろうが。(取材・文/木原みぎわ)
2021年03月20日クイズ番組『東大王』で才女ぶりを発揮している、現役東大生の鈴木光さん。クラシック音楽にまつわる問題も得意分野で、今回ソニー・ミュージックでリニューアルされた名盤100枚シリーズ「ベスト・クラシック100極」のイメージ・キャラクターを務めることに。クラシック音楽という豊かな世界の扉を開く、ベスト100選!「4歳でピアノを始めて、クラシック音楽は演奏する側から入ったので敷居の高さを感じたりはしませんでした。といっても当時はクラシック音楽として認識していたわけではなく、魅力を知るきっかけになったのは小学生のとき。『カルメン 前奏曲』を学年全員で合奏することになり、いろんな楽器が合わさって曲を作り上げる楽しさを実感しました」クラシック音楽は作曲された時代や国、楽器によって多種多様。鈴木さんが「勉強しながら流しても集中力がそがれないし、寝る前に聴いても落ち着きます」と言うように、いろんなシチュエーションで聴けるのがいいところだが、そのぶん“入り口”がわからないという人も。「最初から全曲通して聴かなくてもいいと私は思っています。誰もが知っているようないわゆるサビから聴いてみると、興味を持ちやすいかもしれません。あとはたとえば、ベートーヴェンが難聴に苦しみながらも『運命』を作曲したのは有名な話ですが、そういったエピソードから入るのもおすすめです」シリーズの中から鈴木さんがおすすめ10タイトルをセレクトしているので、そちらを入り口にしても。「まずは何も考えずに好きな曲を選んでみたら激しい曲が多くなっちゃって(笑)。最終的には楽器や曲調など、バランスを重視しました」最新技術でより原音に忠実になり、通も満足できる内容が実現している。「このシリーズの良さは、それぞれの作曲家の代表作をひと通りカバーしていること。網羅性が高いので、クラシック音楽を知らない人でも基本が押さえられますし、これまでのCDから一歩進んだ遠近感のある繊密でクリアな音質の再現は聴きごたえがあると思いますよ」「ベスト・クラシック100極」鈴木さんのおすすめ10タイトルの一枚、セルゲイ・ラフマニノフ『ラフマニノフ自作自演~ピアノ協奏曲第2番&第3番』。1600円。前半50タイトルが発売中で後半50タイトルは12月9日に発売。(ソニー・ミュージックレーベルズ)すずき・ひかる1998年生まれ、東京都出身。東京大学法学部4年生。2015年、アジア太平洋青少年リーダーズサミットに参加し、Stanford e-Japan Programで最優秀賞受賞。TBS系『東大王』にレギュラー出演。ワンピース¥32,270(TED BAKER/Sojitz Infinity Inc. TEL:0120・998・321)※『anan』2020年12月9日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・森本美砂子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年12月06日近藤宏樹さん数学なんていまさら必要なし。加算乗除ができれば生活に支障はないと思っている人は多いだろう。歌の文句にもあるけれど、「サイン・コサイン何になる!」なのだ。「いやいや、ちょっと待った!」と一声を発したのが数理学博士の近藤宏樹さん。■数学は毎日の暮らしの中にあふれている近藤さんは幼少期から数学が好きで、高校生のときには国際数学オリンピックに日本代表として出場し、3年連続してメダリストになった数学脳の持ち主。数学が苦手な側からすると、なんで数学が好きなのか不思議でならないが、「特別な教育を受けたわけではなく、ただ小学生のときに公文式の塾に通っていて、計算は得意でした」それが長じて、東大では数学科で学んだという数学大好き人間になったそうだ。「毎日の暮らしの中に数学はあふれています。例えば、新型コロナウイルスの陽性者数が毎日発表されていて一喜一憂していますが、患者数だけをとらえるのではなく、陽性率などの数字を多面的にとらえていくことが必要なんです。コロナだけではありません、もっと身近なところでは、スーパーに買い物に行けば、物の値段や、ポイント加算で計算力が必要になります。天気予報だって数学が関係しています」というわけで、天気予報で発表される降水確率ってどういう意味なのか、宝くじって本当に当たるのか、自分はあと何年くらい生きられるのか、電子レンジのワット数についてなど、学校の数学では習わない、生活に役立つ数学の知恵を近藤さんが教えてくれます。「少しでも数学っておもしろいと思ってもらえたらうれしいですね」◎降水確率30%のとき、雨は降るの? 降らないの?天気予報でよく耳にする降水確率。「例えば降水確率30%とは、同じ気象状況が何回もあったとしたら、そのうち雨の降る日の割合が約30%あるということです」。つまり10回に3回の割合で雨が降るということ。次に降水確率30%のときに、洗濯物は取り込むべきか、それとも干しっ放しで出かけていいのかを考えてみよう。まず取り込むのに20分、雨に濡れてしまって洗い直すのに60分を要すると仮定。毎回取り込んでいれば、雨が降っても降らなくても1回にかかる時間は20分。干しっ放しにしておくと、10回に3回は雨が降って洗い直すことになり、1回にかかる平均時間は18分(写真ページの表を参照)。つまり、毎回取り込むよりも、取り込まないほうが効率はよいということになる。「このように長い目で見たときの平均的な値を、期待値と呼びます。期待値を使って天気を判断すれば、家事も合理的にこなせそうですね」降水確率が他の数値の場合はどうなのかは、同じく写真ページの表を参照してほしい。この結果から、40%以上になったら、洗濯物は取り込んで出かけたほうがよさそうだ。■300円の宝くじの期待値は150円!?◎億万長者になりたいけれど、宝くじは当たる? 当たらない?降水確率で覚えた期待値で、宝くじについて考えてみよう。第731回年末ジャンボ宝くじの本数は5億本。1等は7億円で当せん確率は0・000005%、最下位当せんの7等が300円で当せん確率は10%。当せん金のすべてと確率を計算して期待値を割り出すと、当せん金の期待値は150円。長い間買い続けていれば、300円で購入した宝くじからは150円の当せん金が戻り、半額の150円分は損失になる。「極端な話、売り出された5億本の宝くじを全部買っても、購入金額の半額しか戻ってこないということですよ」やっぱり宝くじは損する?「期待値は長い目で見たときの平均的な値。現実的には全部買い占めるなんてこともできませんから、期待値のとおりになるかはわかりません。期待値では損という結果が出ても、1回試して大当たりということは否定できません」数学的には損するようにできているけれど、もしかしたら大当たりもあるってことだ。損は承知で、やっぱり夢を買ってみますか。◎自分の手を使って、来年の今日は何曜日かを割り出す「お母さんの誕生日は何曜日だっけ」なんていうときのように、曜日を知りたくなったとき、指を見るだけでわかるというのが、曜日計算術。(1)まずは月の位置を覚えよう(毎年変わらない)指の関節に1から12までを振り分け(左右どちらの手のひらでもOK)、位置を覚える。この番号が1月1日、2月1日……12月1日の曜日になっている。(2)曜日の位置を覚える(毎年変わる)写真ページの図に示した曜日は、2021年の曜日の位置。1月1日は人さし指のいちばん上で金曜日、2日はその下で土曜日と続いていく。2月1日は中指のいちばん上で月曜日、2日は火曜日となる。ちなみに2022年は、曜日を1つずらして人さし指のいちばん上が土曜日になる。「カレンダーも見ずに、何月何日は月曜日ですよ~と簡単に答えられるので、みんなから驚かれるかもしれませんね(笑)」■自分の余命を詳しく知りたいなら◎平均寿命はあてにならない!?よく勘違いされているのが、平均寿命と平均余命。令和元年に発表された女性の平均寿命は87・45歳。このときの平均寿命とは、令和元年に生まれた子どもが平均で何年生きられるかなのだ。では自分はあと何年くらい生きられるかを知るには何を見ればいいのか。もちろん、年齢だけでなく現在の健康状態にもよるが、自分と同じ年齢の人たちが、あと何年生きられるのかは厚生労働省が発表している平均余命(写真ページ参照)でわかる。0歳では平均寿命=平均余生なのだが、例えば、40歳女性が平均して何歳まで生きられるかは、現在の年齢40歳+余命48・11歳=88・11歳となり、この年齢までは生きられると、おおよその見当がつけられる。◎スーパーでたくさんの荷物を同じ重さに振り分ける方法スーパーで買い物をして、2つの袋に同じくらいの重さに分けるには、さてどうしたらいいのか。「これは数学でいう組み合わせ術。荷物を重い順に並べ、重いほうから順番に交互に袋に入れていく。その際、入れるときは軽いほうの袋に入れるのがコツですよ」こんな簡単な方法で、ぴったり同じ重さにならないまでも、少ない誤差でバランスよく振り分けることができるのだ。数学のこんな知恵、知っていると本当に役に立つ。◎頭の中でササッと足し算、引き算ができるようになる暗算は得意だろうか。2ケタくらいはできるにしても3ケタ以上だと難しいが、スーパーで買い物しながら、いくらくらいかかるか足し算ができる。あるいは支払いのとき、いくら払えば、お釣りの小銭を少なくできるか引き算ができる。主婦ならこのくらいはササッとできるようになりたい。●お釣りの計算が得意になる引き算とは1000-658の計算をやってみよう。繰り下がりが多くて、頭の中で計算するのはかなり面倒なのだが、引き算の速算には、各ケタの9から引いて、最後に一の位にだけ1を+という方法がある(写真ページの図1)。この計算式は1000=999+1と考えるところがポイント。10000から引く場合も、10000=9999+1と考えればよいわけだ。「引き算が素早くできれば、お釣りの小銭を増やさないようにすることもできるでしょう」●買い物金額がすぐに計算できる足し算とは足し算の速算に挑戦してみよう。988+378の計算では、繰り上がりの計算をするよりも、988に12を足すと1000になることを利用したほうが簡単だ。(同・図2)「速算の計算法はいくつもありますが、基本的な2例です。ぜひマスターしてください」■レンチン時間の割り出し方も解説◎500Wのレンジで3分のとき、600Wだと何分になるの?冷凍食品に記載されている電子レンジの加熱時間の目安。でも家にあるレンジはそのワット数が対応していなかったら、どうする。数学的に難しく言うと、ワット数と加熱時間は反比例の関係にあるということになる。これを近藤さんに計算してもらったのが下表の対応時間。500W3分の目安の冷凍食品を600Wでチンするときは、1分について10秒縮めることになる。「計算では、ワット数に応じて時間を変えねばなりませんが、それは面倒ですよね。そこでおおよその目安として、1分強につき20秒と考えて、セットするとよいでしょう」でも、「確かに概算ですが、料理に影響が出ない許容範囲内であると考え、これも数学的な考え方なんですよ」《電子レンジのワット数による目安時間の変更》・500Wの時間を600Wにする→1分につき10秒縮める・500Wの時間を700Wにする→1分10秒につき20秒縮める・500Wの時間を1000Wにする→目安時間のおおよそ半分*逆の場合は目安時間を増やす。《「女性は数学が苦手」って本当?》脳の構造の違いから、女性は言語機能に長けていて、男性は抽象的に思考することが得意なことから数学に強い、という説がある。しかし最近の学説では脳には男女差はないという研究発表も出ている。また近藤さんも、「高校生に数学を教えていますが、数学が得意な女生徒もいます。ただ女性は、自分は数学が苦手なんだと思い込んでいる傾向があります。その背景には、男女の役割期待の違いで、女性に数学を求めなかったこともあるのかもしれません。先入観にとらわれず、数学的センスを磨いてほしいですね」と数学女子に期待。すっかり頭が固くなってしまった中高年女性はどうしたらいいのが、「脳トレによいと計算ドリルが人気ですが、ドリルだけでなく実践でも頭を鍛えてください」《大ざっぱに把握するのも数学的知恵》多くの人は「数学の答えはただひとつ」だと考えている。数学の好きな理由に答えがはっきりと決まることがわかりやすくていいともいう。「しかし、答えははっきりと出さないという手法も数学にはありなんです」と近藤さん。例えば、レンチンのワット数は正確でなくてもこのくらいという見当がつけば問題はない。ここで大切なのは、このくらいの範囲をどのくらいにするか。適当でいいと長時間かけていれば、食品は食べられなくなってしまう。おいしく食べられる範囲内で、おおよその見当をつけるのも数学の知恵だ。また降水確率や宝くじの当せん確率も、期待値という数字で表すことで、絶対ではないけれど、こう考えられるという方向性は見えてきます。数学の知恵をもっと気楽に生活に活用していきたいもの!〈取材・文/水口陽子(つきぐみ)〉【PROFILE】近藤宏樹さん◎東大卒の数理学博士。東京大学理学部数学科卒業、同大学院修士課程修了。博士(九州大学数理学)。現在は数学教員、また国際数学オリンピック日本委員会副委員長を務める。
2020年11月15日忘れ物が異常に多く、些細なことでキレ、列に並んでいることもできなかった息子が、東大大学院に。母は「私の子育ての何がよかったの?」というが、実は数々の工夫と、何より息子への変わらぬ愛と信頼があった――!「いろんな人からよく聞かれるんですけど……、正直、なんであの子が東大に入れたのか、母親の私にもわからないんですよね」秋田県潟上市在住の美容師・菊地ユキさん(51)は苦笑しながら、何度もこう繰り返した。菊池さんは、地域で初めて発達障害(ADHD)の診断を受けた長男・大夢(ひろむ)くん(23)を、女手一つで育て上げたシングルマザーだ。母の苦労の甲斐もあって昨年春、大夢くんは見事、北海道大学を首席で卒業。そして、東大大学院に入学を果たした。先日、子育ての思い出をつづった手記『発達障害で生まれてくれてありがとうシングルマザーがわが子を東大に入れるまで』(光文社)を出版した菊地さん。冒頭のコメントは「どうして息子さんは東大大学院に入れたのか?」という記者の問いに答えたもの。「いったい私の子育ての、何がよかったんですかね~」と、何度も首をひねる菊地さんだが、著書を手に大夢くんの幼少期を振り返ってもらうと、いくつかの特徴的な子育て法が見えてきた。■「わが子は発達障害」と公に「保育園時代から、とにかく忘れ物が異常に多くて。それに、些細なことでキレては友達に手をあげる。団体行動も苦手で、列に並んでいることもできなくて。発表会では大騒ぎした揚げ句、1人だけ退場させられたこともありました」小学校に進んでも、状況は一向に改善しなかった。「授業中、じっと席についていることができなくて、私はしょっちゅう、学校に呼び出されていました。ほかのお母さんからも苦情や嫌みを言われっぱなしでした」菊地さんは1年生になった息子を連れ病院を受診。そこで大夢くんは「ADHDの疑いあり」との診断を受けるのだ。「ショックというか、私自身、ADHDや発達障害について何も知らなくて。すぐに専門書を何冊も取り寄せて勉強したんです」さっそく、学校にも出向いた。「担任の先生に本を何冊か持参しました。大夢に近い特性が紹介された箇所や、どんなとき困ったことになるかが解説された部分にペンで線を引いて、『ここだけでも読んでください』とお願いしました」担任から「クラスの子にも公表していいですか?」と聞かれ、菊地さんはこう即答した。「いいですよ、恥ずかしいことじゃないですから」包み隠さず公にしたことで、大夢くんを取り巻く状況は、少しずつ好転していった。菊地さんの著書には、当時の担任教諭が次のようなコメントを寄せている。《お母さんが大夢くんに診断を受けさせて、それを学校や保護者に報告、公表されたことで、私たち教師や学校は、大夢くんが学校生活を有意義に過ごせるよう配慮することが可能になりました》子どもたちも彼の特性を変わった個性と認め、「大夢はああいうやつだから」とクラスの一員として受け入れるようになったのだという。■「1人で生きていく術を教えるだけでいい」と主治医は言った小学校2年生のとき、県立の療育センターを受診した大夢くんは、脳波測定などを経てADHDの診断が確定。「といっても、大夢の状態が急によくなるわけもなくて。相変わらず授業はまともに受けられないし、落ち着きをなくすと、ところ構わずゴロゴロ寝そべるし……」長男の将来を悲観ばかりしていた菊地さんは、’97年に神戸で発生した連続児童殺傷事件の犯人・少年Aの両親の手記を読み、彼もADHDだったと知り、絶望のどん底に突き落とされた気分になった。「大夢を残して先に逝けない、ならば、2人で死んじゃったほうが……、そう、思い実行に移しそうになったこともありました」なんとか、思いとどまった菊地さんは、療育センターの主治医につらい思いをぶつけた。「ちょっとしたことでキレて手をあげる大夢には、友達ができません。勉強だって授業をまともに受けられないから、きっとダメです。そんな子にこの先、生きていく価値なんてあるんでしょうか?」すると、主治医は諭すようにこう教えてくれたという。「たいがいの悪いことは、友達から学ぶもの。だから友達なんていなくたっていい。お母さんは勉強も教えなくていい。友達と遊ぶことも教えなくていい。ただ1つ、将来彼が1人で生きていけるように、その方法だけを考えて、教えてあげればいいんです」菊地さんは当時をこう述懐する。「先生の言葉に、どれだけ救われたか……。だから私は、あの子に勉強を教えたことは、ただの一度もありません。そのかわり、お米の研ぎ方など家事全般を、小さいころからきっちり覚えさせました」菊地さんは、「私はなんにもしていないのに、気づけば東大大学院生になった」と笑う。だが、母の愛、それに数々の工夫が、彼の才能を花開かせたことだけは、間違いない。「女性自身」2020年9月22日号 掲載
2020年10月04日「いろんな人からよく聞かれるんですけど……、正直、なんであの子が東大に入れたのか、母親の私にもわからないんですよね」秋田県潟上市在住の美容師・菊地ユキさん(51)は苦笑しながら、何度もこう繰り返した。菊池さんは、地域で初めて発達障害(ADHD)の診断を受けた長男・大夢(ひろむ)くん(23)を、女手一つで育て上げたシングルマザーだ。母の苦労の甲斐もあって昨年春、大夢くんは見事、北海道大学を首席で卒業。そして、東大大学院に入学を果たした。先日、子育ての思い出をつづった手記『発達障害で生まれてくれてありがとうシングルマザーがわが子を東大に入れるまで』(光文社)を出版した菊地さん。冒頭のコメントは「どうして息子さんは東大大学院に入れたのか?」という記者の問いに答えたもの。「いったい私の子育ての、何がよかったんですかね~」と、何度も首をひねる菊地さんだが、著書を手に大夢くんの幼少期を振り返ってもらうと、いくつかの特徴的な子育て法が見えてきた――。「保育園時代から、とにかく忘れ物が異常に多くて。それに、些細なことでキレては友達に手をあげる。団体行動も苦手で、列に並んでいることもできなくて。発表会では大騒ぎした揚げ句、1人だけ退場させられたこともありました」小学校に進んでも、状況は一向に改善しなかった。「授業中、じっと席についていることができなくて、私はしょっちゅう、学校に呼び出されていました。ほかのお母さんからも苦情や嫌みを言われっぱなしでした」菊地さんは1年生になった息子を連れ病院を受診。そこで大夢くんは「ADHDの疑いあり」との診断を受ける。「ショックというか、私自身、ADHDや発達障害について何も知らなくて。すぐに専門書を何冊も取り寄せて勉強したんです」小学校2年生のとき、県立の療育センターを受診した大夢くんは、脳波測定などを経てADHDの診断が確定。「といっても、大夢の状態が急によくなるわけもなくて。相変わらず授業はまともに受けられないし、落ち着きをなくすと、ところ構わずゴロゴロ寝そべるし……」■けむたがられても何度でも学校に。親の意見をしっかり伝える小学校3年生になった大夢くん。その担任となったのは、昔かたぎのベテラン教諭だった。「その先生は『甘えはダメ』『怠けているだけ』と、大夢の特性を理解しようとしてくれませんでした」さらに不安定になった大夢くんは教室で失禁してしまったり、体育の授業中に失踪してしまったり。「以前の私なら、また悲観することしかできなかったかも。でも、このときはその頭の固い先生の態度に、どうにも反発心が芽生えてきて。『負けてたまるか』って(笑)」全校集会など大勢の人が集まる場所が大夢くんは苦手。じっと座っているのが苦痛なのだという。「だから、学校に行って先生に『全校生が集うイベントの日は休ませます』って宣言したんです」教諭は「親が諦めてどうするんですか?」とあきれ顔だ。しかし、母はひるまず、こう続けたという。「あの子にとって大勢の人のなかで椅子に座っているのは、先生のような普通の人が椅子の上で逆立ちするのと同じぐらい大変なんです。先生、校長先生のあいさつが終わるまで、椅子の上で逆立ちを続けること、できますか?」菊地さんは「モンスターペアレントと思われてたかも」と笑う。それでも、この決してあとには引かない母の姿勢が、頑なな教諭の気持ちをも動かしていった。「先生も、本当に少しずつですが大夢の特性に理解を示し、配慮してくれるようになったんです」■何事も予行演習が大事「大夢をよくよく観察して気がついたのが、あの子が失敗するきっかけの1つが『初めて』ということ。初めて行く場所、初めて会う人、初めてすること……初めては極端に落ち着きをなくすんです、とにかく大夢にとって何事も初めては、鬼門だとわかったんです」そこで菊地さん、忙しい美容室の仕事の合間を見つけては、息子の「初めて」に付き合うことに。「何でも予行演習をしたんです。学校の音楽鑑賞会の前には、たまたま入手したチケットでコンサートに連れて行きました。『今日2時間、我慢できたら鑑賞会も大丈夫』と。遠足も事前にコースを教えてもらって、2人で歩きました。『ここを見学して、あそこでみんなでお昼を食べるから』と教えながら」運動会も予行演習は欠かせない。「見知らぬ大勢の保護者が応援に来ますからね。それだけであの子が落ち着きをなくすのは目にみえてる。だから、前日までにグラウンドに2人で行って。みんなでここに並んで、先生の『ヨーイ、ドン!』であそこまで走るんだよ、と」幼いころから記憶力だけはよかったという大夢くん。小1、小2……と予行演習と本番を経験していくうちに、運動会そのものに慣れていった。小学校高学年になると、予行演習は不要に。「徒競走で、よその保護者は『目指せ、1等賞!』と声援を送りますが、私は大夢に前の晩『頑張って、ちゃんとビリになれるかな?』って。実際、大夢は足も遅く毎回最下位でしたけど。それでも、予行演習なしで参加できるようになった大夢のことが誇らしかった。私たち親子は、みんなとは違う競技に参加してた、そんな気がしてます」こうして大夢くんは、多難な小学校時代を乗り越え、徐々に勉強に打ち込めるようになり「私はなんにもしていないのに、気づけば東大大学院生になった」と、菊地さんは笑う。だが、母の愛、それに数々の工夫が、彼の才能を花開かせたことだけは、間違いない。「女性自身」2020年9月22日号 掲載
2020年10月04日出典: PRTIMES東大に行く人は特別な頭脳をもった人だと思っていませんか?実は、東大生は、一般的な家庭で育った子どもが多く特別な勉強法や特別習いごとをしていた訳ではないそうでう。では、どのような環境や勉強法で育った子どもが東大に行ったのか、ちょっと気になりますよね。そこで今回は、東大脳を作れそうなヒントが隠されている「東大卒ママたちに教わる、「東大脳」を育てる3歳までの習慣」をご紹介します。ポイントは3歳までの育ち方株式会社小学館が発売している「東大卒ママたちに教わる「東大脳」を育てる3歳までの習慣」は、実際に東大卒のママたちが親から受けた教育を振り返った内容をまとめた本です。改めて話してみて気がついたこと、習慣づけは共通してどの親も実践していたり、そして、それらが3歳までの育ち方だったりなど興味深い内容になっています。さらに、ママ達が親にしてもらったことをベースに、今、自分たちが子どもに実践している育脳の取り組みなども掲載されています。東大脳を作るヒントが盛り沢山の本書、気になる方はチェックしてください。東大卒ママたちに教わる「東大脳」を育てる3歳までの習慣 内容(一部)おむつ替え時のマッサージで「記憶脳」を育てる「今日は特別ね」はダメ。親はぶれずに一貫した態度を!親が勉強する姿をどんどん子どもに見せよう!知育時間は1日合計30分あればいい! 働くママやパパが不利だと思わないで出典:PRTIMES東大卒ママたちに教わる「東大脳」を育てる3歳までの習慣概要著者:東大卒ママの会定価:1,100円(税抜)紹介ページ:出典:PRTIMES出典:
2020年07月11日東京大学医学部附属病院(東大病院)の放射線科医である前田恵理子さんが2020年4月12日、Facebookに新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)について投稿。前田医師の「収束まで何年?親の覚悟」という文章はネットで拡散され、その内容に多くの人が考えさせられました。前田恵理子医師、コロナウイルス収束には10年かかると予想発生から4か月経った今、世界中で猛威をふるっているコロナウイルス。感染者は日々増加しています。前田医師は、コロナウイルスが収束し、街や職場や学校にまた人が集まることができる生活になるにはあと5~10年かかると踏んでいるそうです。感染症の終息に必要な戦略は、ウイルスの感染力や病原性の高さによって異なります。コロナウイルスの場合、潜伏期間が長い上に無症状者や軽症者の伝播力(でんぱんりょく)が強く、重傷者は医療を必須とするため、社会コストがもっとも高いのだとか。制御に必要な条件について、前田医師は「人口の7~8割が感染し集団免疫を獲得するか、ワクチンができ集団接種が進むかの2つしかない」といいます。前田医師は、集団免疫の獲得についてこのように持論を展開しました。100年前なら、こんなウイルスが流行っても、医療は当てにできず多くの患者さんが亡くなって数年で収束しました。しかし、人類、とくに先進国は高度医療という魔法の力を知ってしまったたために、「医療を崩壊させずにゆっくりじんわり集団免疫を獲得する」道を選ぶしか選択肢がなくなりました。これはある意味、医療を諦めて感染爆発を許容するより困難な道のりです。医療崩壊させずに、日本人9000万人が感染するには、50年くらい時間がかかるのではないでしょうか。よって、収束に必要な条件は、ワクチンができて集団接種が進む、の1択になります。前田恵理子ーより引用(原文ママ)現在、世界各国でコロナウイルスのワクチン開発が行われています。前田医師は、2~3年ほどでワクチンが実用化される可能性はあるといいます。しかし、ワクチンの安全性の保障や量産化には長い時間がかかるのだとか。世界中の人がワクチン接種をできるようになるには5~10年かかると予想しています。未知のウイルスと闘うには世界中の研究者の努力や、膨大なお金と時間が必要なのです。今後の日本社会についての予想続いて、前田医師は今後の日本社会についてこのようにつづっています。このような状況ですので、5月6日で緊急事態宣言が解かれて仕事や学校がいつも通りになるか、というとそれはありません。少しでも、接触を許容すると、このウイルスはあっという間にぶり返しますから、年より及ぶ抑制生活を強いられることになります。多少集団免疫の獲得が進んでも、局所的な流行で自粛を繰り返す、不安定な生活が続くことになると予想します。むしろ、10年の間に社会がすっかり変わると思います。職場はリモートワークが当たり前になり、オフィスに通う生活をする人は激減、一方第一次、第二次産業とケアワークは、海外依存できなくなるために仕事が増えるはずです。産業構造は40年前の日本にちかづうのではないでしょうか。学校はホームスクーリングが基本になり、集団授業は過去のになるでしょう。日本型の一斉入試は不可能になり、オンラインを通じたエッセイテストのような、欧米型AO入試をアレンジしたものが主流になると予想されます。この変化に対応できた学校や教育システムだけが生き残ることになるでしょう。息子も高校生になるころまではまともに学校がない生活を覚悟してますので、ノートPCを与えてクリエイティブに使えるように指導します。コロナ後の世界では、日本型の受験勉強より重要なことだと思います。前田恵理子ーより引用(原文ママ)【収束まで何年?親の覚悟】シェア、ご自由にどうぞ!先ほども投稿した通り、コロナの終息は10年仕事だと思っています。そ〇ウイルスの病原性と収束に必要な期間感染症の終息に必要な戦略は、ウイルスの感染力や病原性の高さによって異なります...前田恵理子さんの投稿 2020年4月11日土曜日※投稿全文は上記Facebookの投稿へもちろんこれは前田医師の見解であり、実際にどうなるかは誰も分かりません。しかし、1人の医師の予想を1つの可能性として頭に入れることは大切でしょう。前田医師の投稿は多くの人にシェアされ、いろいろな意見が上がっています。・10年かかる可能性もあるなんて…。まだ幼い子供たちへの影響が心配です。・「最低1年」くらいに考えていたけど、長引く可能性も頭に入れておかないとね…。・まだ先のことは分からないけど、長い目で見た時に何をするべきか考えるのが大事なのかな。・最初は数か月で収束するって甘く考えてた。世界が変わることを受け入れなければ。これまでも人間は新型のウイルスによって多くの人の命が奪われ、その時代を生きた人たちは長い間、必死に闘ってきました。コロナウイルスが1日でも早く終息し、世界中の人が元の生活に戻れるよう祈るばかりです。※記事では『終息』を完全に終わることとし、『収束』をある程度事態が落ち着くこととしています。[文・構成/grape編集部]
2020年04月16日令和最初の全国高校サッカー選手権で優勝を果たした静岡学園高校。足元の技術やドリブルなどの個人技で観客を魅了するスタイルのチームでしたが、連覇をかけた青森山田高校に先制点を許しながらも逆転劇は印象的でした。試合をご覧になった方はご存知かと思いますが、前半は劣勢だった静岡学園のプレーが後半にガラッと変わり、チームが勢いにのって逆転勝利につながったのです。劣勢を跳ね返すことができた理由の一つが、試合後の川口修監督のインタビューで語られた「選手たちに整理する力があった」こと。サッカーでも勉強でも役に立つ「整理する力」とはどんなスキルで、静岡学園ではどう身につけさせているのか、川口修監督にお話を伺いました。(取材・文:元川悦子写真:森田将義)<<齊藤興龍コーチに聞いたタイムマネジメント術近年は東大合格者も生んだ静岡学園が取り組む1日、1週間の効率的な時間の使い方状況をよく見て頭の中を整理できたからこそ、後半戦い方をガラッと変えることができたのです■劣勢でもブレずにスタイルを貫けた理由1月13日に行われた第98回高校サッカー選手権大会決勝で、2019年高円宮杯プレミアリーグ王者・青森山田に前半から2点のリードを許しながら、3点を奪って逆転勝利し、初の単独優勝を飾った静岡学園。彼らのアグレッシブな戦いぶりは多くの高校サッカーファンを大いに勇気づけました。劣勢で折り返したハーフタイム。指揮を執る川口修監督は「ブレるな」と語気を強めたといいます。「青森山田はフィジカル的に強く、強固な守備をベースにセットプレーやロングスローで点を取ってくるチームです。彼らに勝ちたいと思うなら徹底的に相手を分析して、ストロングポイントを消すのが早い。しかし学園は勝利よりも個人の力を伸ばすことに主眼を置いていますから『1対1で負けるな』『個々の力を押し出せ』というベースをあえて曲げずに戦いました。自由度の高いサッカーをするのは選手たちにとっては難しいものです。あの大舞台ですからなおさらでしょう。でも僕らは高い目標を持ち、時間をかけてコツコツと技術と戦術眼を磨いてきた。そういう自信があったから、最後の最後で勝ち切れた。選手権決勝は『静学スタイル』を貫いた1つの成果ですし、埼玉スタジアムに集まった人々や全国のファンが喜んでくれたのも、その姿を目の当たりにしたからだと思います」■指導者の言葉を何でもかんでも鵜呑みにしない、情報取捨選択も必要川口監督が井田勝通前監督(限総合監督)の下でプレーしていた頃から、静学の哲学は変わっていません。96年末に藤枝明誠から母校に戻ってコーチになり、2009年に監督に昇格してからも「自分で考えて行動する力」をつけさせようと意識的にアプローチしてきたといいます。「『選手に教えすぎてはいけない』というのは、井田さんが指導現場に立っていた頃から言い続けていたこと。戦術を1~10まで事細かに教えなくてもサッカーができるようになると僕は考えています。実際、選手権で優勝したチームもこの1年間は課題の改善というのを重要テーマに掲げ、つねに取り組んできました。試合後は必ずミーティングを行って、何が問題だったのか、どうしてうまくいかなかったかをフィードバックし、それを選手たちに考えてもらうように仕向けたんです。それを踏まえて、彼らは選手同士のミーティングもよくやっていましたね。今回のチームはインテリジェンスとアンテナの感度が高く、それぞれ意見を言い合える自主性とコミュニケーション力があった。僕たち指導者が何か言わなくても、『自分たちで変えていこう』と決断してチーム全体に発信することもできましたね。課題改善のサイクルを通じて、状況に応じた良いプレー、良くないプレーの判断基準を身につけることが頭の中を整理することにつながります。監督やコーチの指示も、何でもかんでも鵜呑みにせず、ピッチ内の状況を考え、その時の状況に合わせて取捨選択できるのもスキルの一つで、このスキルは年々高まっていると感じます。実際今回のチームでも、青森山田戦の時も僕が『ブレるな』と言った後、キャプテンの阿部健人が中心となって『前半は自分たちのサッカーができてない。ここからは普通にやろう』と声を掛け合っていました。その姿を見て大丈夫だと感じました。自立心の高い選手たちに恵まれて本当に感謝しています」と川口監督はしみじみと語っていました。■指導者に言われたことを理解し、課題を克服してピッチで実現できることが大事課題の改善に関しては、試合やビッグトーナメントの時だけに行っていたわけではありません。日々の練習の時から地道に取り組んでいたのです。思ったようなパフォーマンスが出せなかったり、技術・戦術面で足りない部分があったり、メンタル的な問題を抱えている選手がいたら、川口監督や齊藤興龍コーチはその選手を呼んで意思疎通を図ることを忘れませんでした。「気になる選手がいれば練習前後に声をかけて『何か不安なことがあるのか』と聞いたり、『もっとこうした方がいいんじゃないか』とアドバイスするようなことは日常的にやっていました。練習の中で意識させるのが選手を伸ばす一番のポイント。指導者に言われたことを理解し、自分なりに努力して課題を克服し、ピッチ上で表現できる選手が最終的に選手権でメンバー入りし、大舞台で活躍するんです。そうやって目覚ましい成長を遂げる選手は『アドリブ力』も高まりますね。サッカーは止める蹴るの基本が最も重要ですけど、余裕が出てきたらもう一段階レベルの高いプレーをやっていい。それこそが個性だと僕は思います。思考力のベースがあって初めてアドリブができるようになる。そこまで行けば、静学の育成としては一応の成功かなと感じます」■高校以降も「伸び続ける力」のベースを身につけさせるのが静学のモットーそんな川口監督が口癖のように言っているのは「武器を大きくしろ」ということ。静学は技術・戦術・フィジカル・メンタルが全て平均点の選手を育てるチームではないという強い自負があるからなのです。「選手の特徴は千差万別。いろんな選手がいていいんです。例えば、今年川崎フロンターレに入った東京五輪代表候補の旗手怜央なんかは1対1とスピードには絶対的な自信を持っていました。本人は順天堂大学に進んでから『守備のプレスのかけ方が分からない』と苦労したようですが、そういうことは自分で考えて判断していけばいい。それによってプレーの幅と思考力が伸びていく。高校年代は個人のベースとなる技術とストロングポイントをしっかりと身に着けていくことが大事、それが伸び続ける力の原動力になる。それを身に着けさせるのが静学のモットーなんです」川口監督が強調する哲学に魅了され、入学希望者は年々増加しています。2020年春にはサッカー部員が280人体制になる見通し。その大所帯で個の力を磨くことは難しいですが、それにあえて取り組んでいくことで、彼らはさらなる高みを目指すつもりなのです。<<齊藤興龍コーチに聞いたタイムマネジメント術近年は東大合格者も生んだ静岡学園が取り組む1日、1週間の効率的な時間の使い方川口修(かわぐち・おさむ)1973年6月生まれ、沼津市出身。92年春に静岡学園を卒業後、プロを目指しレブラジルに渡る。95年4月から藤枝明誠高校でコーチになり、96年12月に母校・静学のコーチに。2009年から監督となり、2020年正月の第98回高校選手権で全国制覇。
2020年03月09日世界中から優秀な学生が集まるハーバード。同学年に日本人は高島さんともう1人だけ日本随一のエリート輩出校である東京大学。しかし昨今では、そんな東大を蹴って海外のトップ校を目指すツワモノもいる。東京大学を中退し合格率4・5%の超難関校、ハーバード大学へ進学した高島崚輔さん(21)。名門・灘高校を卒業後、’15年に東京大学文科1類に合格、進学を決めた直後にハーバード大学にも合格。同年秋に東大を中退しハーバード大学へ。現在、休学を経て3年生となった。■ハーバード以外は受からなかった環境やエネルギー政策に興味を持っていた高島さん。「高校2年のとき、ハーバードに進学していた先輩から“高島は海外大学に向いていると思う”と言われて初めて興味を持ちました」先輩の強いすすめを受け翌月、ボストン近郊のハーバード大学に見学へ。日本の大学は、受験の際に学部を決めて、その専攻を中心に学ぶことが一般的だが、アメリカの大学は半年ごとに授業を選択し、幅広い角度から興味を深められる。このような教育システムにも惹かれて受験を決めた。出願に必要となるのは、ハーバード大学の場合、高校の成績と高校の先生の推薦状、SATという適性試験とTOEFLのスコア、それからエッセイだ。「最も難しいのがエッセイで、“あなたの失敗経験と、そこからの学びを教えてください”などの設問があり、エピソードを交えながら英語で答えます。これで何を判断しているのかというと、“どんな人物で、校風に合っているか”。高校までの成績がよくても、“うちの大学には合っていない”と判断されれば不合格になります」アメリカの名門イェール大学とプリンストン大学も受験したが、合格したのはハーバード大学のみだったそう。「海外の大学は特に個性が強いので、大学を訪れたり学生に会ったりして校風が自分に合っているか確かめるのは大事だと思います」気になるのは学費。ハーバード大学では、寮費や学費、生活費込みで年間約7万ドルかかる。日本円で約770万円、4年間で約3000万円となる計算だ。■“払える分だけ払ってくださいね”しかし、同大学は卒業生の寄付が多く、奨学金などの支援制度が充実している。年間所得が6万5000ドル(日本円で約700万円)以下の場合、寮費や生活費を含め、留学費用が無料に。学生の約20%はこれに該当、約70%が何かしらの奨学金をもらっているという。「アメリカの奨学金には、能力のある学生に与えられる『メリット型』と、家庭の収入に応じて与えられる『ニード型』があります。ハーバードは完全に後者で、“払える分だけ払ってくださいね”というスタンス。アメリカの大学の奨学金は基本的に返済不要なんです。僕自身、留学費用の多くは、この奨学金でまかなっています」学費以外にも、アメリカで学ぶことのよさはある。「ハーバード生は、大学の授業だけでなく、自ら積極的に学外に行って活動します。アメリカの場合、こういった活動も学業の一環だととらえられていて、研究資金が出たりサマープログラムに参加すると単位が与えられたりするケースも。学びたい欲求をバックアップしてくれる環境は非常に整っていると感じます」高島さんは世界の再生可能エネルギーについて学ぶ傍ら、海外進学を目指す高校生を支援するNPO法人『留学フェローシップ』の理事長も務める。全国の教育委員会や高校で進路を考えるセミナーを開催中だ。最後に、海外の大学に行くために必要なことを聞いてみた。「ひと言でいうと自立心、つまり自分の力で歩んでいける力があるということ。あとは、どんなシーンでも自分の意見を持つこと。英語ができないからと尻込みされる人もよくいますが、英語が話せないのは語学力の問題ではなく、意見がないからという場合が多い。話す中身さえあれば語学力はいくらでもカバーできます」
2019年06月07日高学歴女子は、「仕事で苦労する」「モテない」「結婚できない」……そんなイメージがメディアなどを通して流布されるなか、実際にハイスペ女子の極致ともいえる「東大女子」はどのように大学卒業後の人生を歩んでいるのか?はたして彼女たちは、幸せになれたのか?「東大出たけど苦戦中!」収録の様子本日23時から放送のAbemaTV「Wの悲喜劇〜日本一過激なオンナのニュース〜」では、「東大出たけど苦戦中!」と題して、MCのSHELLYさんが「東大女子」のみなさんのホンネに切り込みます。スタジオに出演した『東大を出たあの子は幸せになったのか』(大和書房)の著者でノンフィクションライターの樋田敦子(ひだ・あつこ)さんに「東大女子の“幸せ”の行方」について書いていただきました。「東大女子」とは努力の人昨年12月に出版された拙著『東大を出たあの子は幸せになったのか』(大和書房)の取材で、日本では最高の大学とされる東京大学を卒業した女子30人以上に話を聞いた。年齢はさまざまで、現役の東大女子学生から、60年以上前に東大を卒業した80代の女性までである。“頭のいい”彼女たちの半生を描くルポルタージュなのだが、共通質問事項として、「東大を目指した理由」からはじまり、「受験勉強のやり方」「東大女子のメリット、デメリット」、そして「勉強は幸せをつかむ手助けになるか」まで、10項目を設定した。そんな質問をぶつけながら、見えてきた彼女たちの共通の像は――。小さい頃から勉強ができ、特に英語の点数は高かった。先生にもクラスメートにも一目置かれ、周りの期待に応え、自分でも勉強ができるということがアイデンティティーだった。そして、私立中学を受験する、小学校の高学年ともなると、将来の目標を定めて、それに向かって努力を始めている。まれに天才型の人もいたが、大半は努力の人である。「きょうだいに東大の人いるし、きっとDNAだよ」「地頭がよかったのでは」と、とかく考えてしまうが、けっしてそうではない。「地頭だよと言われて腹が立ちましたね。だって友達の電話にも出ないくらい勉強したんです。努力したんです。それを地頭で片づけられたら、納得がいきません」(40代)真面目で努力家なことを忘れてはいけない。「東大なのに仕事ができない」というイジりさて東大女子は、東大にいる間は、周囲がみな東大生なので楽しく過ごせるが、問題は社会に出た後の話である。医師や弁護士の資格を持つ職業人は、学歴をほとんど意識しないというが、一般企業に入った人の大半が、「あなたは東大だから頭がいいんでしょ」「東大なのに仕事ができない」というステレオタイプに悩まされた経験があった。しかも多くは男性上司や男性同僚からだった。東大だからと“イジられる”筆者はイジるという言葉は好きではない。からかう意味以上に重い、いじめに近いこともあるからだ。社内でイジられて、落胆し、涙し……。実際に、会社の環境に耐えられず退社した女性もいた。「あなたがイジられるのは、あの上司が学歴コンプレックスだからだよ、と同僚から言われたことがありました」(30代)退社できればまだいい。電通の高橋まつりさんのように、過労自殺にまで追い込まれた女性もいる。ここまでくるとイジり、などではない。パワハラ、セクハラ、複合的に作用して、優秀な新入社員を追い込んだのである。東大女子の場合は、学歴コンプレックスのある男性社員による、ジェンダーの問題が複合的に絡み、とんでもない状況になることだってある。20代、30代ほど「東大ゆえの生きづらさ」を感じている確かに「東大ゆえの」生きづらさを感じて思い悩む人は多い。しかし世間で言われるように、生きづらさを痛切に感じているのは、20、30代が中心だ。転職や結婚出産を経て、徐々に自分の立ち位置を明確にとらえ、周囲や社会の状況を理解しつつ、うまく生きている人が出てくる。むしろ東大女子が真骨頂を発揮するのは、30代以降、40歳を超してからのケースが目立った。もともと目標を定めて、一つクリアしたらその次、と努力するのが得意な人たちである。もうこの会社で、この場所でやることは終わったと得心できれば、必ず次を目指す。その姿は実に多彩だーー。専業主婦となり、東大卒の夫を助け、子どもを私立の御三家中学に合格させた女性。東大の人脈を使いながら、起業した女性。大手商社でばりばり働く管理職の女性。テレビ局でドラマを演出していた女性は、落語が楽しめる小料理屋の女将になった。また、『進ぬ!電波少年』で有名になったケイコ先生こと、春野恵子さんは浪曲師になった。浪曲を再びメジャーにしようと、ロックンロールナンバーに乗せて、浪曲を歌うという試みも行っている、強烈なキャラの女性だ。彼女たちは東大の看板を脱ぎ捨て、自分の世界を構築していくことで、東大とは無縁のところで、世界を広げている。拙著のタイトルにある“幸せ”なんて、その人次第。何が幸せで、どれくらい幸せかの尺度は自らが決めるもの。東大に入ったことが人生のピークになるのではなく、東大を出てからが勝負なのである。6割以上が東大卒同士のカップル生きづらさの一つに、恋愛や結婚を掲げる人もいる。東大卒ママの同窓組織「東大ママ門」のアンケート調査によると、東大卒女性の約6割が東大卒男性と結婚しているそうだが、そうでない人は、確かに恋愛では不利かもしれない。「東大の女だからとひかれる」「合コンでは客寄せパンダ」の声も聞こえてきたが、それにも物申す女性がいた。大手商社に勤め、そこからMIT(マサチューセッツ工科大学)でMBAをとった女性(37歳)が話す。「婚活の場では“東大+MIT”と明かすよりも“国立四大卒”のほうが、会いたいといってくる男性が多い。でも学歴で判断し、それでおじけづくこの国の男性は、どうなんだろうと思います」恋愛においても、学歴コンプレックスとジェンダーを絡める人たちって、残念だが、さすがジェンダーギャップ110位の国である。ともあれ、恋愛に重きを置くのならそれもいい。仕事に生きるのも素晴らしい。家庭に入るのをよしとするのも選択の一つだ。東大女子は、努力した分、ストックした知識で多様な道が開けるだろうと思うから……。それぞれの生き方は様々だが、彼女たちを追いながら思ったことは、特に女子は、勉強が必要だということ。自分の道を切り開くためにも、搾取されないためにも、勉強は必要だと思っている。いくつになっても勉強を始めるのに、遅いことはないのだ。樋田さんの最新著書はこちら『東大を出たあの子は幸せになったのか~「頭のいい女子」のその後を追った』(大和書房)■番組情報男子は見なくて結構!男子禁制・日本一過激なオンナのニュース番組がこの「Wの悲喜劇」。さまざまな体験をしたオンナたちを都内某所の「とある部屋」に呼び、MC・SHELLYとさまざまなゲストたちが毎回毎回「その時どうしたのか?オンナたちのリアルな行動とその本音」を徹底的に聴きだします。#64「東大出たけど苦戦中」視聴予約
2019年02月02日学園祭シーズンの秋。11月には、日本最高レベルの頭脳を持つ東京大学の学園祭、東大駒場祭も控えている。今回は、株式会社リッチメディアの調査結果をもとに、東大男子のスキンケア事情を紹介したい。東大生のスキンケア率は?今回の調査では、東京大学の比較対象として「青山学院大学」と「慶應義塾大学」をピックアップ。3大学の文系3年生の男子学生各50人(計150人)を対象に調査が実施された。まず、青山学院、慶應義塾、東京大学の3大学の中で、スキンケアに気遣っている男子大学生が多いイメージを1校だけ選んでもらうと、「青山学院」(64.7%)が最も高く6割強を占めるのに対し、「東京大学」はわずか2.0%という結果に。そこで、実際にスキンケアを実践(※1)しているか?と聞いたところ、「東京大学」のスキンケア実践率は72.0%。スキンケア実践率が78.0%と高かった青学男子と並ぶ結果に。高校生が選ぶおしゃれ大学ランキング(※2)で上位を占める青山学院大学と慶應義塾大学に負けるとも劣らないスキンケア率の高さが明らかとなった。※1スキンケア:化粧水・乳液・クリーム・オールインワンなどを利用し、顔・肌の保湿をしている※2:「進学ブランド力調査2018」リクルート進学総研調べ男子がスキンケアをする理由は?スキンケアを実践していると答えた120人にスキンケアをするようになった理由を聞くと、次のような結果に。同じスキンケアでも、身だしなみを意識する慶應生と女性目線が気になる青学生に対し、東大生は友達を見て気づく傾向があることが読み取れる。東大OBで初代バチェラーの久保裕丈さんもコメント東大OBで初代バチェラーの久保裕丈さんは、これらの結果について「各大学とも、スキンケアを行う理由として、「身だしなみとして必要〜」がダントツのトップということは、スキンケアが特別の目的意識を持った行為ではなく、当たり前の習慣・文化として根付いてきている、という証拠かと思います。」とコメント。「私が東大在学中などは、あくまでも実感値でデータを取っているわけではないのですが、スキンケアをしている割合は高々2〜3割、というくらいでした。(中略)当時と比較すると格段に身だしなみに対する意識が上がっているのだろうと感じます。」と学生時代を振り返った。「スキンケアに気を遣ってなさそう」という東大男子のイメージが大きく変わることになった今回の調査結果。今まで意識してこなかったという人も、これを機にスキンケアを始めてみてはいかがだろうか。【参考】※リッチメディア
2018年11月21日今回はマンションとピアノについてお話したいと思います。東大生の多くがピアノを習っていたといわれ、実際に「東大家庭教師友の会」が実施したアンケートによるとピアノを習ったことのある人は東大生100人中47人いたそうです。大人気のピアノですが、実はマンションにとっては悩ましい存在です。■ ピアノを子どもに習わせたい親は多いマハロ / PIXTA(ピクスタ)音域が非常に広いピアノは「楽器の王」と呼ばれ、オーケストラで使用するどの楽器よりも高い音や低い音が出すことができます。また10本の指で同時に違った音を出すことができるので、様々な楽器の組み合わせで美しいメロディーを奏でるオーケストラを一人で演じてしまうことも可能です。ピアノを演奏するためには楽譜を読み込んで、その内容を指で再現しなければなりません。その際には右手と左手が異なる動きをしなければならず、さらに足でペダルを踏む必要もあり、脳に与える影響が素晴らしいと脳科学者たちが絶賛しているといいます。そのため子どもにピアノを習わせたいと考えている親は多いようです。習い事として大人気のピアノですが、集合住宅であるマンションにおいては実に悩ましい存在です。■ 最も多い問題は音さなさな / PIXTA(ピクスタ)マンションとピアノの関係で最も問題になるのはやはり音です。マンションにおける音の問題といえば上下階の足音ばかり取り上げられがちですが、実は音というものは両隣や周辺地域にも伝わりやすいのです(フロント時代に近隣の戸建から苦情を受けたことは何回もあります)。ピアノの音はペットの鳴き声とともに苦情になりやすく注意が必要です。ピアノに限らず楽器は音が大きいため、今では物件ごとに独自のルールを定めている事例が大半ではないかと思います。私がフロントをしていたマンションにおいては演奏可能な時間帯を使用細則において定めていましたが、それに加えて「打楽器は不可」といったように楽器の種類を限定しているような物件もあるようです。完全な「防音ルーム」が設置された物件は筆者はまだ1例しか見たことがありません。■ 床材に多大な影響を与えるピアノの重量yakiniku / PIXTA(ピクスタ)ピアノが持つ意外な問題点は、その重量です。ピアノは大きくて重く、アップライトピアノでも180kg前後から重いものでは200kgを超え、グランドピアノともなると200kg以上があたりまえです。その重さをアップライトピアノでは4点のキャスター、グランドピアノでは3点の脚とキャスターで支えているため、それぞれの支点では相当な重量がピンポイントにかかってきます。yakiniku / PIXTA(ピクスタ)床材に与える影響は甚大なものがあるため、特に賃貸においてはピアノを禁止している物件も数多く存在します。こういった問題を解決するため、インシュレーターや床補強ボードといった様々なものが開発されています。またアップライトピアノにおいては、地震における転倒防止策も必要です。■ 最大の問題は室内への搬入マンションにおけるピアノの最大の問題は搬入です。マンションの共用廊下は広々としていますが、ピアノは厚みがあるため角を曲がりにくく立ち往生しがちです。たとえ廊下を抜けることができたとしても、今度はエレベーターには入るかどうか微妙です。さらには玄関ドアから室内まで通過させられるかという問題もあります。そのため現在では、クレーンで釣り上げてバルコニーからリビングへ搬入する場合が多いようです。この場合はバルコニー側にクレーンが停車できるだけのスペースが必要となってきます。しかし無関係な住戸では本来何もないはずのバルコニーの奥にいきなりクレーンの先端が出現し、度肝を抜かれることになります。あらゆる手段を尽くしても搬入が無理な場合、いったん解体して室内で組み立てたりするそうです子どもに楽器を習わせるのは悪いことではありませんが、これがピアノとなると派生する問題が大きくなります。「東大に入るための最強の習い事はピアノ」などという見出しに踊らされることなく、くれぐれも冷静に判断することをオススメします。
2018年08月24日「東大で首席になるような人は生まれつき頭のデキ=地頭が違う」と思っていませんか?実はその地頭は勉強習慣でつくられるものだったんです。自然と伸びていく子どもが育つメソッドを「東大首席」で卒業した、山口真由さんに教えてもらいました。子どもの勉強への取り組みは、親の腕の見せどころ■子どもをうまくのせてやる気にさせるには「勉強しなさい!」「宿題を終わらせなさい!!」─毎日毎日、同じことを言わせる子どもにイライラ。テストではケアレスミスの多さにまたイライラ……。「この先もずっと叱り続けなければいけないの?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。でも、大丈夫。きちんとした習慣さえ身につけさせれば、“言われなくてもやる子”に育っていくのです。「私は“勉強しなさい”といったことを、親から言われたことはありません。共働きで忙しかったこともあり、自分のことは自分でやるのが物心ついたときから当たり前で、勉強するのも受験するのも自分の意思で決めてきました。でも、振り返ってみると、うまく両親に誘導されていたと思います」(山口真由さん)ガミガミと叱るよりも、自分で決めさせることが大切。とはいえ放っておいても自発的に勉強を始めるわけではありません。自分で決めたように感じさせる。それこそが親の腕の見せどころなのです!まずは親子で毎日の生活から見直しましょう!■規則正しい生活で勉強習慣を身につけさせる「うちはとても規則正しい生活をしていました。そのため、勉強する時間も否応なく決まり、結果的によかったと思っています。起床、食事、就寝といった生活の時間割の中に家庭学習も組み込むことで、勉強も習慣になっていくからです。そのためには毎日同じリズムで規則正しく生活する必要があるのです」(山口さん)山口さんの家では就寝時間が遅くならないよう、夕飯は18時から18時半と決められていました。17時まで働いていたお母さまは前日の夜か当日の朝に夕食の下準備をすませていたそうです。「日常生活のルーティンが身につくと、勉強など決めたことをやらないと違和感を覚えるようになってきます。これが習慣づけです」(山口さん)■時間がかかっても自分のことは自分でさせる規則正しい生活を送るためにも、また、将来の受検に備えるためにも健康な身体を維持することはとても大切です。「例えば、寝るのが遅くなり睡眠不足になると、朝ご飯があまり食べられず、学校での集中力が続かないなど、不調は1日中続きます。規則正しい生活は健康な身体づくりの第一歩、睡眠は最低6~8時間はとり、早めに就寝するようにしましょう。そして、バランスのいい食事を心がけることも大切です」(山口さん)自発性を身につけさせるためには、自分のことは自分でやるようにすることも大切。「勉強を教えていたころ感じたのは、とても過保護な親が多いということ。例えば、子ども本人はやるべきドリルがどこに置いてあるかさえわからず、親御さんが用意する。いつも親がかりで何かをするくせがつくと、自分で考える力が失われてしまいます。自分の生活まわりのことは自分でする。これを当たり前にしましょう」(山口さん)■ルールはまず親が守るもちろん、すぐに何でもできるようにはなりません。しかしやり方を教え、一緒にやってみたら、次からはひとりでやらせる。できるようになるまではきちんとできているか観察をして、できなかったところを教えてあげる。それを繰り返しているうちに必ずできるようになります。「一時的に手間がかかっても、自分でやる習慣をつけてあげてください」(山口さん)子どもにルールを守らせるためには、親も約束は絶対に守るという姿勢が大切。「約束したら相手が誰であれ必ず実行するということは、親の態度から学ぶもの。週末に一緒に出かける約束をしたら、どんなに忙しくても守りましょう。逆に守れない約束はするべきではないと思います。どんなにささいなことでも、誰かと取り決めたことを、“まっ、いいか”と反故にする姿を見せておいて、子どもに“ルールを守れ”と言ってもそれは無理です」(山口さん)子どもの就寝時間を決めているのに、自分はママ友の食事会が長引いてうやむやにしてしまうなんてこと、していませんか?子どもの生活を正すためには親の姿勢が重要なのです。■男の子と女の子は勉強面でどんな違いがある?「男の子はめんどくさがりで計算問題の検算をするとか、漢字を何度も書いて覚えるという手間のかかることを嫌がります。しかし、そこで叱っては逆効果。検算をしなくてテストで間違えたら、“本当は〇点多く取れたはずなのに、もったいない!やればできるから頑張って”“1回でここまで理解してるなら、もう1回頑張ればすぐ覚えるよ!”と、褒めてやらせるのが正解。子どももやる気になります。女の子の場合はまじめだけど、融通がきかない面が。1度順番を決めたからと、優先順位が低いものから始めていたり、やる必要がないことを続けていたりします。この場合も、“何いつまでやってるの!?”と頭ごなしに言うのではなく、“あのときはこういう状況だったからやったほうがよかったけど、今は違うからやらなくていいのよ”というように、気づかせてあげると、一歩前に進むことができます」(山口さん)家族全体の生活習慣が「勉強する子」が育つかどうかを左右します。親も一緒に自分の生活を見直してみるいい機会になるでしょう。山口真由さん東大法学部を首席で卒業。大学3年時に司法試験に合格。卒業後は財務省に。退官後、弁護士として勤務。ハーバード・ロースクールに留学、修了しニューヨーク州弁護士資格を取得。現在はテレビのコメンテーターや執筆活動などを行っている。大学時代は塾講師や家庭教師も多く経験。近著に『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える合格習慣55』(学研プラス)
2018年07月21日受験シーズン真っ盛り。期待と不安を胸に試験に臨む受験生に、現役東大生が熱くメッセージ!TBS系クイズ番組『東大王』(日曜夜7時)に出演する東大生4人に聞いた名言とは。受験生を抱え、合否が気になる親にとっても支えになるかもしれません。左から伊沢拓司さん、鈴木 光さん、鶴崎修功さん、水上 颯さん■「1年頑張ったら、人は神にでもなれる。」(医学部4年/水上 颯)受験勉強にとりかかるのが同級生よりも遅かったので、出典は忘れましたが、この言葉を思い出して自己暗示をかけていました。神というのは語弊があるけど、そのときは真に受けて頑張ることができた。人より遅かったけど、1日1日できることを頑張れば、自然と力がついてくる。結果が悪かったとしても、それまでの過程が全力投球できたのかが、いちばん大切だと思います。■「やれば、できる。」(教養学部1年/鈴木 光)勉強は、やればやっただけ伸びるものだと思っています。自分で限界を決めずに、コツコツと学べば、合格に近づくと考え、支えにしていました。言葉ではないですが、家族の支えも大きく、試験当日のお弁当にカツサンドが入っていたのはうれしかったです。ストレスがたまったときも、“自分で決めたことから逃げ出さない”とアドバイスされ、また頑張ることができました。■「無知であることは恥ずかしくない。無知に甘えることこそが恥ずかしいのだ。」(大学院修士課程1年/伊沢拓司)中学生くらいのときに本か新聞で読んだ、落語家・桂文枝さん(5代目)の言葉です。戒めとなるいい言葉だと感じ、それ以来、座右の銘にしています。受験勉強でも知らないことを恥ずかしがっていたら、前進も上昇もないと思います。クイズ番組でも知らないことがあるけど、取り繕うことはしないで、何事も前向きに知ろうとする姿勢で出演しています。■「わからないことは、すぐに聞く。」(理学部4年/鶴崎修功)自分で考えてもわからないことは、他人に頼ります。高校のときには、苦手なことを得意な同級生に教えてもらい、職員室にも入り浸って先生に質問していました。わからないことは、そのままにせずに、解決するまで聞きます。わからないことをわかるまで調べたり、考えたりするのは、親が辞書などで調べている姿を見ていて、影響を受けたと思います。東大受験で自身を支えて合格に導いてくれた名言や、その言葉との出会い、エピソードをまとめた日めくりカレンダー『日めくり 現役東大生を合格させた名言』から、厳選した金言の数々をさらにご紹介!■「人にできて、きみだけにできないなんてことあるもんか。」(文学部3年/平澤瑞樹)こう言われたのび太が、ひみつ道具に頼らずに竹馬をマスターできたという、ネットで見つけた言葉です。高3の秋ごろ、周りに比べてなかなか数学の成績が伸びずに悩んでいたのですが、この言葉と出会って前向きになりました。いつものび太にあきれている印象のドラえもんが言ったため、さらに心に刺さりました。■「努力は必ず報われるとは限らないが、報われた人は努力した人の中にしかいない。」(教養学部1年/高木美咲)東大にすでに進学していた、ある先輩の言葉です。私のクラスでは数人しか東大を受けなかったのですが、そういう環境において、とにかく努力し続けて絶対合格しようというモチベーションになりました。■「基礎に戻るタイミングに、遅すぎるなんてことはない。」(教養学部2年/伊東 潤)数学が苦手で悩んでいるとき、父に言われました。続けて、「自信がなくなったら、得意科目でも恥をかなぐり捨てて、基礎に戻るべきだ」と。そこで、高3の夏にもかかわらず、高1がやるような問題集を進めていきました。おかげで、少しは数学の成績がマシになり、気もラクになりました。■「段取り八分。」(教養学部1年/島田真志)幼少期から受験期に至るまで、母にずっと言われ続けていました。何ごとも段取り、つまり準備が第一で、それを徹底すれば、事の8割は終わったようなものだという意味です。この言葉のおかげで、受験中も常に準備やスケジュール管理を意識し、徹底できました。■「貪欲であれ、愚直であれ。」(法学部1年/宮村 颯)友達が持っていた英語のリスニング教材に、式典でのスティーブ・ジョブズのスピーチ内容が収録されていて、この言葉を知りました。たった4単語(Stay hungry. Stay foolish)でここまで多くの人の心をつかめるのかと感動し、励みにした覚えがあります。
2018年02月24日お笑いコンビ・オードリーの春日俊彰(38)が2月8日、『得する人損する人』(日本テレビ系)に出演。東大受験挑戦の第1段階選抜の結果が発表された。その結果に、受験生を中心に驚きの声が上がっている。 昨年6月からという急なスケジュールで始まった今回の東大受験。春日は試験直前には正月も関係なく、1日13時間勉強していたという。 この日の放送では、二次試験に進めるかどうかがかかる、1月に受験したセンター試験の結果が発表された。 春日が出願したのは、東大文系のなかでも最も難しいと言われている文科I類。2月7日に東京大学公式HPで発表されていた文科I類の合格者最低点は582点。東大の科類の中で唯一の500点台だったため、「この点数、もしかして春日なのでは?」とネット上で噂になっていた。 だが、この日の放送で発表された春日の得点は900点満点中、約5割の448点。 内訳は、国語148点(現代文92点、古文35点、漢文21点、200点満点)、英語76点(200点満点)、数学IA32点(100点満点)、数学IIB20点(100点満点)、地理B66点(100点満点)、日本史B51点(100点満点)、生物基礎30点(50点満点)、地学基礎25点(50点満点)だった。 現代文では92点と高い数字を叩き出したものの、ボーダーラインには届かず。また東大合格に必要なセンター試験の得点は8~9割と言われているため、必ずしも惜しいとは言えない結果となった。 ただTwitterでは《春日に国語ぼろ負けしたんだけど笑笑》《すげぇよ春日は……》《半年で時間ないなかすごい。お疲れさまでした》と、結果に衝撃を受ける受験生の声が続出。Yahoo!急上昇ワードランキングにも、「春日」が1位に輝いた。 共演の羽鳥慎一アナウンサー(46)から「他の大学なら行けているかもしれない点数」と告げられると、「いや、やっぱり東大って言ったから」と潔く答えた春日。「無謀」と言われていたなかでの挑戦だったが、この結果を受けて《自分も勉強やろうかな》というツイートも。春日の挑む姿は、少なからず学生を勇気づけたようだ。
2018年02月08日親は子どもに勉強してほしいという思いがありますが、現在の世の中にはゲーム機があふれています。据え置き型、持ち歩けるもの、さらにはスマホなど…、ゲームを子どもから遠ざけることは難しい時代です。ゲーム機は与えたくない、与えるとしてもまだ早い、何歳からにしようなどと考えるママは多いでしょう。我が家にもゲームを欲しがる年頃の子どもがいます。昨年のクリスマスにどうしようか考えた末、希望のゲームを与えました。その後の体験を記したので、参考にして下さい。ゲームを与える?与えない?親の葛藤いつからゲームを与えるかということについては、様々な意見があると思います。例えば園児については「ゲームのことばかりになってしまうので与えない」という意見や、「比較的親の意見に耳を貸す幼児のうちからルールを覚えてもらう」という意見もあるでしょう。私は少なくとも小学校に入学してからと思っていました。しかし上に兄弟のいるお友だちからゲームの話を聞いたり、年上の従妹の家でゲームをしたりする機会があることで、本人がゲームを欲しがるようになりました。欲しくなるといつもゲームの話をするようになりました。与えずに我慢をさせるという選択もありましたし、与えたことで更にゲーム熱が高まってしまうのでは?という不安もありました。しかし抑えつけすぎてかえって反発するかもしれない、避けていてもこのような時代にはいずれ与えることになるのではと思い夫婦で話し合った上、年長のクリスマスに据え置き型のゲーム機を与えることにしました。ゲームを与えた後の変化ゲームを与えるにあたっては、1日1回、時間を決めること、ゲームの前後どちらでも構わないのでワークを必ずやることを約束しました。まずプレイ時間については、ゲームの状況で数分オーバーすることはありますが心配していた「終わりたくない」「もっとやりたい」などのように愚図ることはありませんでした。終了時間については始める前に「何分まで」と本人の口から言わせ、前に時計も置いてプレイしています。ゲームに夢中で終了時刻を私が教えることが多いですが、徐々に自分で終われるようになってほしいと考えています。ゲームを始める時間についても、1日1度と決めているので午前中にやりたくても「今はまだやらない」と自分でいつやるかを考えるようになりました。また、意外だったのは普段の生活にも変化が表れたことです。ママからのお願いについて張り切って行うようになり、ワークも以前よりしっかりと取り組むようになりました。ゲームを与える以前は描く絵もゲームのことばかりだったのですが、ゲームに熱を上げる前と同様に色々な絵を描くようになりました。好きだった図鑑離れを心配していましたが、より熱中して読むようになりました。すごろくや百人一首、トランプなどのアナログな遊びも楽しんで行っています。あくまで私の考えですが、やりたいことを我慢ばかりするのではなく満たされることでゲーム以外の生活も楽しめているのかなと感じています。成長につれ変化もあると思いますが、極力本人の意思で管理できるよう見守っていきたいと思います。東大生もゲームをやっていた「東大生は子どもの頃ゲームをやっていた子が多い」というのを以前聞いたことがあり、今回調べてみました。2016年に東大新聞社が現役東大生357人に調査した結果では、「小学生の頃ゲームについてのルールがあったか」という問いで、ゲームを禁止されていたのはわずか20人。「ルールがない」という答えが約44%の158人と一番多いものでした。次いで多いのが「時間制限」で119人でした。ゲームについてルールを設けず遊ぶ子や、時間だけ決めていたという子が多かったことが分かります。「親とゲームの関わり方について話し合ったか」については「はい」という答えが半数以上の196人。ルールを決める際は親が一方的に押し付けるのではなく、子どもも納得した上で決めることが気持ちよく取り組める要因ですね。更にゲームをした場所については、リビングが最も多く65%という結果でした。リビングで行うことで親の目が届くだけではなく、「ゲームの話題で親睦が深まった」などコミュニケーションツールとなる場合もあるようです。子ども2人を東大に入れたことで有名な大岸良恵さんも、子どものゲームについては制限を設けなかったと語っています。大切なのは親が口出しをしないことで、自分で管理・コントロールする力を養うことなのですね。ゲームの扱いについてはそれぞれの意見があると思います。私も悩みましたが結果的には今のところ後悔はしていません。環境や子どもの性格なども様々だと思います。こんな例もあるということで、1つの参考にしていただければ幸いです。
2018年02月08日左から、井沢拓司、鈴木光、鶴崎修功、水上颯史上最強の頭脳バトルが展開される『東大王』(TBS系)。現在、大人気の東大生チームから、鶴崎修功(22)(初代東大王など)、伊沢拓司(23)(『高校生クイズ』2連覇など)、水上颯(22)(『頭脳王』2連覇など)、鈴木光(19)(「スタンフォードeジャパンプログラム」優秀賞)に話を聞いた。◇◇◇伊沢毎回プレッシャーが積み重なっていくんですよ。注目度が高まるほど現場の緊張感も大きい。鶴崎いろんな人と戦えて楽しいけど、番組もグローバーさん(東大文学部出身のミュージシャン)みたいな強い人を連れて来るので、こっちも対策しないと勝てない。水上テレビ局側がドSというか“絶対勝て。こんなところで負けるんじゃないぞ”って収録前に言われるんです(笑)。鈴木今までサブメンバーチームの応援席で見させていただいて、やっぱり3人とも圧倒的に強いなって。これからお三方に割って入るのが負担が重いかなと思いつつも頑張ります。伊沢辰巳琢郎さんチームに『47都道府県』のテーマで敗北したのは圧倒的な体験でしたね。水上技術だけでは勝てないことを痛感した。今までの経験値がものを言う戦いでしたよね。鶴崎辰巳さんは本当にスゴいですよ!──クイズ番組の思い出や魅力についてひと言。鶴崎僕がよく見ていたのはちょうど『Qさま!!』が始まったころ。両親と問題がわかるかを競ってました。“そんなのもわからないの?”とか煽ってくるんですよ。水上小学生のころ『高校生クイズ』を見てた。親が答えがわかるとすぐ答えちゃうんです。鈴木映像に映しておもしろいものを問うてくるのがテレビクイズ。記憶に残っているのが『世界一美しいスターバックス』からのクイズ。視聴者が見て楽しいもの、行きたいなと思わせるものが出てくるのも特徴ですね。伊沢クイズから広がった好奇心もすごく大きい。普通見ていて関心がなさそうなものでも、クイズに出そうだなと思うとプラスの後押しがあるので、いろんなものに対しておもしろ味を見いだせる。鶴崎僕の得意な分野って理系なんですけど、進学校の人はみんな理系にも強いから、それだけでは競技クイズに勝てない。勝つ対策のため見始めて、興味が出た分野も。例えば野球がそうです。水上クイズをやってる人たちはそれぞれに得意ジャンルがあって、そういう人たちの専門分野に関する話はおもしろいし、興味の幅を広げてくれる。そんな知り合いとの触れ合いで知識を仕入れていくことが僕は多いかな。──さて、次なる戦いは?全員絶対勝ちます!※次回放送は1月21日
2018年01月21日世の中にたくさんある、不思議なこと。それが、なぜ起こっているのかを考えるとき、科学という言葉が使われたりしますね。子どもたちが日ごろ感じる「なぜ?」「どうして?」といった疑問は、ここに通じることも多いかもしれません。そこで、今回は未来の科学者を生みだすかもしれぬ(!)、サイエンスイベントをご紹介。親子みんなで楽しめる科学体験で、冬もホットなおでかけを楽しんでみてはいかがでしょうか。■東大・駒場祭で科学を伝えあう「なるほど実感!サイエンスミュージアム@駒場」11月24日(金)~26日(日)、東京大学駒場キャンパスでおこなわれる学園祭「駒場祭2017」。そこで体験できるのが「なるほど実感!サイエンスミュージアム@駒場」です。企画を主催しているのは東京大学のサイエンスコミュニケーションサークル「CAST」。テレビドラマ『ガリレオ』・映画『容疑者Xの献身』の実験監修や、テレビ番組『世界一受けたい授業』にも出演経験のある理科教育の第一人者、滝川洋二先生らが講師をつとめるゼミの受講生が中心となって2009年に結成されました。今回、参加無料・出入り自由で開催されるこのミュージアムでは、私たちが感じる「冷たい」という感覚にスポットをあてたドライアイス実験や、おもちゃに隠された科学の力を知る模型実験などを見ることができます。イベントは、東京大学の教室でおこなわれるので、小学生のお子さんは「いつも行っている学校とは違う雰囲気」にワクワクするでしょう。東京大学の学園祭は全国的にも有名で、来場者数も13万人以上。日本最高峰の学び舎がどんなものか、実際に見てまわれるのもいいですね。 ・東大CAST@駒場祭2017 ■実物大ロケットを間近で! 体験型展示がスゴイ科学館「つくばエキスポセンター」茨城県つくば市にある「つくばエキスポセンター」で11月中の土日に開催されるのは、「さかさま水コップ」「見えないチカラ! 大気圧」といったサイエンスショー。コップをたおしたら、中に入っているものがこぼれるというのは当たり前。でも、ここで目にするのは「さかさまにしてもこぼれない」という常識破りの状態です。普段、こうだと思っている事実が逆転する光景に「なんで!?」「どうやってるの!?」と大きな好奇心をはたらかせて、子どもたちは大いに不思議がってくれそうな予感。なんとなくわかっていても、その原理についてきちんと息子に説明できないパパ・ママの学びの場にもなりそう…。つくばエキスポセンターには体を動かしながら光、電気、力といった科学のおもしろさを体感できるサイエンスゾーンのほか、水力、火力、電子力などの秘密を学べるエネルギーゾーン、科学者のお仕事にクローズアップしたサイエンス・ワークスなど、常設展示の内容も豪華!屋外には、高さ50mもある純国産ロケット「H-II」の実物大模型もあり、真下から眺めることも可能。模型好きな子どもやパパが感動してしまうかもしれませんね。 ・つくばエキスポセンター ■天体望遠鏡で空の不思議を体感! 「はまぎん こども宇宙科学館」横浜市磯子区にある「はまぎん こども宇宙科学館」では、当日参加できるイベントが毎週多数開催されています。たとえば、好きなパーツを中に入れて宇宙のようなジェルキャンドルをつくるワークショップでは、ろうそくの炎が無重力ではどうなるのかをクイズ形式で解説。また、水に関係する浮力を確かめる実験や、磁石の力を利用した装置やおもちゃの実験など、すぐに体験できる自由参加イベントがたっぷり。施設全体が巨大な宇宙船をイメージされ、フロアごとに違うテーマのもと、科学や宇宙のおもしろさを体感できます。息子と訪れたことがありますが、1日いてもまったく飽きませんでした!気になっているのは、わが家もまだ経験したことのない「星空観察会」! 夜に開催されるこのイベントは、普段、肉眼で確かめるだけの小さな星たちを天体望遠鏡を使って見られるチャンスです。宇宙や星に興味がそれほどない子どもでも、ズームアップしてみる迫力ある星の姿に「え、近くで見たらこんな感じなの!?」と、感激してしまうのではないでしょうか。寒くなると、おうちの中で過ごすことが多くなりますが、キラキラ輝く星の下で楽しむ星空鑑賞は、冬のおでかけにもぴったり。星空観察会は事前の申し込みが必要なので、気になったらすぐに公式サイトでチェックしてみてくださいね! ・はまぎん こども宇宙科学館 ■人間の未来と科学をつなぐ! 150プログラムが体験できる「サイエンスアゴラ2017」11月24日(金)~26日(日)、お台場にあるテレコムセンタービルでおこなわれる「サイエンスアゴラ2017」は「あらゆる人に開かれた科学と社会をつなぐ広場」。私たちが豊かに暮らしていくために科学技術は何ができ、どう取り入れていくのかを考えるものです。最初は「ちょっと子どもと行くには難しすぎるかもなぁ…」と思っていましたが、公式サイトをのぞいてみると、そんなことはありませんでした! 数学がもっと楽しくなる「お笑い数学ライブ」、せんたくのりから作る「ぷよぷよスライム」、本物の岩石を用いた標本作り、自分の口の中にいる微生物の顕微鏡観察、実験・工作・観察を含む科学絵本100点の展示(手にとって読めるそう)など、小さな子どもでも参加できるプログラムがたくさんありました!わが子がとびつきそうと思ったのは「オエカキ ロボットに挑戦!」という企画。手のひらサイズで回転する、ペンを取りつけたロボットにキレイな円を描かせるために、ブロックやギアを自分で組み替えて改造していく…というもので、重心、摩擦、遠心力などの原理を子どもの発想と試行錯誤を通過点として深めていけるそう。子どもを楽しませるためにきたものの「なるほどなぁ…」と、うなってしまうママやパパも多いかもしれませんね。 ・サイエンスアゴラ いかがでしたか? 寒くてもおでかけしたくなる、ワクワクのサイエンスイベントを4つご紹介しました。この冬はぜひ親子で、楽しい科学体験をしてみてくださいね。
2017年11月19日日本テレビ系のバラエティー番組『得する人損する人』の企画で、東大受験に挑戦することとなったお笑いコンビ「オードリー」の春日俊彰(38)。過去にもボディビルやフィンスイミング、レスリングなど多くの挑戦を続けてきたが、受験勉強は20年ぶり。最終学歴は日本大学商学部卒。現役時代から古文は得意だったが、英語と数学は大の苦手。最初に手渡されたのは、小中学生レベルのドリルだったという。 受験勉強を開始したのは、3カ月前。さすがに今回は難しいのでは……。だがそんな下馬評をよそに、“超人”春日は自信満々。「偏差値35の生徒を現役で東大に合格させた」というカリスマ講師・時田啓光氏も驚くほどの成長ぶりをみせているという。いったいなぜ、彼は無謀な挑戦を続けるのか。そこには学生時代の経験が影響していた。 「春日は学生のころから本気を出せば東大に合格できると思っていました。でも当時は勉強する意味が見出せず、本気を出さなかったんです。日大系の附属高校だったので大学に上がるには内部進学試験で合格点を取れればよかったのですが、それがダメだったので一般受験に切り替えることに。試験はより難しくなりましたが、結局、合格できました。勉強したのは3カ月くらい。だから本気を出せば、もっと上に行けると思っていました」 高校時代から“超人”の片鱗を見せていた春日。その意志の固さは、同級生だった相方の若林正恭(39)をも驚かせるほどだった。春日は当時をこう振り返る。 「若林が後ろの席にいて、毎日少しずつハサミで春日の髪を切ってくるんです。でもここで反応したら負けだと思って黙っていました。ほかにも学生時代に『絶対死なない』と言ったら、友だちに『だったら立ちこぎした自転車から飛び降りろ!』といわれたこともありました。もちろん、やりましたよ。渓流の渦に放り込まれたこともありましたが、無事生還。友達の運転する車でひかれそうになったこともありましたが、ボンネットに飛び乗ってピースしてやりました。まあ友だちというのは全部、若林ですけど(笑)」 一歩間違えれば“殺人事件”レベル……。だがそんなドン引きするほど無茶な経験も笑って話す春日。そして当時の経験も、今と繋がっているのだという。 「春日には昔から“受ける美学”があるんですよ。たとえ何があっても、耐えることができます。今回の受験やエアロビ挑戦も同じです。無理なことを言われても『そっちがその気なら、やってやろうじゃないの!』と思ってしまう。決して楽ではないですが、できたら逆に面白いでしょう?だから言われたことは、全部やってみようと思っています」
2017年09月30日夏休みの宿題のなかでも、親子共々苦労するのが“自由研究”。発表する機会もあるだけに、他の子はいったいどのような研究をしているのかも気になるところ。そこで、小学生の頃から優秀であったであろう、現役東大生たちを直撃。かつてどのような“夏休みの自由研究”をしていたのか、実際にアンケートを実施してみたところ、独自の着眼点光る回答が次々と──。気になるその研究内容とは?◇◇◇●大学院情報理工学系研究科・塚田特任助教小学6年生のとき、夏休みの約2か月間毎日、朝日新聞の『天声人語』を書き写して、その論評に対する感想文を書きました。中学2年生のときは海外の絵本の絵を模写して、文を日本語に翻訳しましたね。ドリルなどの宿題とは違って押しつけじゃないので、それなりに楽しんでやっていたと思います。東京大学大学院・塚田特任助教●文学部4年・K.Oさん母の実家が大阪で東海道新幹線に乗る機会が多く、車窓の景色を眺めるのが好きでした。小学3年生の自由研究で東海道新幹線の主要駅の車窓から見える景色の違いをビジュアルで見せる研究をしました。約1週間、写真を撮ったり、画像を収集。実際の地理と同様に写真を配置し、自分の地図ができたので達成感がありましたね。●法学部4年・S.Kさんビンを使って大気圧の実験をしました。大きいビンに少し湯を入れて湯煎で温め、水蒸気で満たし、ゆで卵でフタをします。湯煎から取り出してビンを水で冷やすと、ビンの中の水蒸気は水に戻りビン内の圧力が下がるため、卵が変形しながらビンの口をすり抜けていくもの。ネタ探しは本からでもいい。トライすることが大切では?●文系学部修士2年・S.Jさん着色料を混ぜたゼリーを何層も重ねて、地球の層を表現しました。大変でしたが、ほとんど母が張り切ってやっていたと思います(苦笑)。当時私は米国にいましたが海外では経済的にできない子もいるので、自由研究はやりたい子だけでOK。日本は強制力があってかわいそう。余計に理科嫌いの子を増やす気がします。●文学部3年・R.Fさん小学6年生のときニュース番組で『世界の絶滅危惧種の動物』を知って、ユネスコが公表している絶滅危機度を示したリストを参考にレポートにまとめました。旭山動物園に絶滅危惧種の狼を見に行ったりもしました。親は放任主義だったのでひとりでやりました。ひとつのことに熱中する経験は多くないので、よかったと思います。●教養学部卒業生・S.Mさんスケッチブックに読んだ本の絵日記をつけました。上のページに挿絵の写し絵を描き、下のページに感想を書きました。テーマやフォーマットは母に決めてもらい、あとは自分で。当時大好きだったポプラ社の怪盗ルパンシリーズや『ポアンアンのにおい』という本について書いた記憶があります。ルパンの顔をかっこうよく描くことに心血を注ぎました。●文系学部修士1年・S.Iさん小学1年生で「アリの観察」をまとめて先生にほめられました。巣穴の周辺に円を描くように砂糖を散布して、動きを観察しました。最初は父親も一緒でしたが、僕が飽きずに3時間ほど巣穴の前から動かなかったので「いい加減にしろよ」と帰ってしまいました(苦笑)。行列からはずれたり後ろ向きに歩くアリがいておもしろかったですね。●文学部・Y.Iさん小学4年生のとき「紙飛行機を遠くに飛ばすには?」という研究をレポートにまとめました。いくつかのパターンで作って、それぞれ何メートル飛んだかを記録したほか、羽根の部分の抵抗がどうなっているのか扇風機にあてて調べました。●理学部修士2年・Y.Kさん宇宙飛行士が宙に浮く映像をテレビで見て「カッコいい!」と思って以来、宇宙が大好きになりまして。宇宙を解説したポスターを作りました。図鑑を読み、プラネタリウムに出かけ、国立天文台で職員に話も聞きました。実は今も宇宙の研究に取り組んでいます。東京ドームにある『TeNQ宇宙ミュージアム』を運営しているのでぜひ、遊びに来てください!(笑)
2017年08月28日「尊敬できる上司がいない」「管理職になりたくない」「がんばりが認めてもらえない」「やりたい仕事ができない」などなど、会社という組織の中で働く私たちが感じている煩悩の数々。いい上司もいないし、憧れる女性の先輩もいないし、ああ、なんて私は運が悪いんだろう……。と、自分の置かれた境遇をうらめしく思ってしまうこと、ありますよね。でも、実は私たちがこうして悶々としていることのなかには、すでに研究され尽くして法則や理論になっているものも、少なくないんです。全5回シリーズでは、人材マネジメント・人材開発を専門とされている東京大学准教授の中原淳(なかはら・じゅん)先生に、私たちが職場で感じている数かぎりない煩悩をわかりやすく解説していただきます。「なんで、自分だけ……」と理不尽に感じていることも、あらゆる組織に見られる「法則のひとつ」とわかれば、気がラクになるかも?最終回のテーマは「マネジメントをやりたくない」です。第1回:「尊敬できる上司がいない」東大の先生にグチったら…第2回:入社5年目以降の女性がやる気を削がれる本当の理由第3回:チームがギクシャクするのは当たり前第4回:「社会とつながる仕事がしたい」会社の中で叶うのか?「マネジメント、やる気ある?」と聞かれる年頃——いよいよ最終回になってしまいました。最後の煩悩は「マネジメントをやりたくない」です。このお悩みは、アラサー以降のウートピ読者をヒアリングしていると、とてもよく聞かれますね。やっぱり、そろそろ上から聞かれちゃう年齢なんですよ、「マネジメント、やる気ある?」って。中原淳先生(以下、中原):そうでしょうね。国が進めている女性活躍推進でも女性の管理職比率はフォーカスされてますからねえ。「指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%にする」という目標もありますし。——まあ、聞かれたら一応「やってみたいです」とみなさん答えるみたいなんですが、本心ではそんなにやりたくないんですよね。現場から離れちゃうとつまらなさそうだし、仕事は大変そうだし……。中原:一般的にも「女性は管理職になりたがらない」とよく言いますよね。実際に約5000人の会社員を対象にした調査では、「昇進したい人」は男性57%、女性48%という結果でした*。これを差があると見るか、ないと見るか。——意外に差は小さいかも……。男女ともだいたい半分。思ったより、マネジメントをやりたい女性はいるわけか……。リーダー職は「意外にいいもんだ」中原:しかも調べていて、おもしろいな、と思ったのが、「マネジメントをやりたくない」と言っていたとしても、実際になってみると、女性は案外「やってよかった」と思ってるんですよね。例えば、こんなデータがあります。リーダーになってから「リーダーになってよかったと思う人」は、男性67%、女性74%*。自分中心で仕事を決められるし、転職するにしても女性で管理職経験ありだとぐーんと市場価値が上がりますしね。女性自身は「意外にいいもんだ」と感じてるみたいですよ。——なるほど、自分では積極的にやりたいわけではなく上司から説得されたりして、しぶしぶやってみたけど、「あれ?結構いいじゃん」と。中原:そうそう(笑)。女性の場合、「マネジメントをやってみない?」と上から言われた時、「Why me?(なんで、私が?)」と反応する人が多いんです。男性の場合、「Give me!(オレによこせ!)」なんですけどね。全然、積極的じゃない。実際、上司などに説得された「やむなく管理職になった人」は女性が32%、男性が23%というデータも出ています*。——「やむなく」って、なんかすごくリアルな感じがします。ウートピ読者にも、「そろそろなったら?」と言われながら逃げ回ってる人が少なくありません。中原:向き不向きもあるから、昇進のラインを踏み超えるかどうかは自分で決めればいいんだけど、踏み越えた時に見えた景色は意外に悪いもんじゃなかったよ、と。それが数字にハッキリ表れていると言えますね。女性にとって最大のハードルは「頭を下げること」中原:さらに、「なってみたら、意外にいいもんだ」っていうのは、実は女性本人だけじゃないことが、データで出てきているんです。たとえば、担当する部下の間で「離職者が減った」「人間関係のトラブルが減った」「メンタルヘルスの不調が減った」「作業能力が上がった」の4つすべての項目に関して、女性のマネジャーの方がプラスの変化を起こせていたんです*。——ほお、「女性のマネジャーって、未知数だよな……」と思っていた周囲の人にとっても「案外いいもんだ」という結果になった、と。中原:そういうことですね。しかも、女性マネジャーの場合「つまずき」が男性よりも小さいことも調査でわかっています。——つまずき?中原:初めてマネジメントをすると、男女関係なく誰でもつまずくんですが、実はつまずくポイントが全然違ったんですよ。男性は「多様性」につまずくんです。部下にワーママや外国人がいるという状況に適応できなくて、悩んじゃう人が結構いる。対して、女性は「衝突」につまずくんです*。要はいろいろ揉めごとが起きて、自分が頭を下げたりして丸く収めなきゃいけないという状況がしんどくなっちゃう。——部下が起こしたトラブルで自分があたふたしなきゃいけないのはイヤですよね。中原:でもね、つまずきとしてどっちが深刻かと言えば、断然「多様性」につまずく方です。「衝突」なんて、たいしたことはないんです。「リーダーシップ=謝罪屋」という側面もありますから、マネジャーの役割行動として「頭を下げること」を覚えさえすれば解決します。その意味で、男性の方が深刻です。——確かに、多様性の方が深刻化も。そもそもチームのメンバーを理解してコミュニケーションを取ることにつまずいてるということですもんね……。女性は女性と働きたい?中原:今回のテーマに関しては、ご紹介できるような法則や理論はないんですが、最後にもう一つおもしろいデータがあるのでお見せしましょう。「同性と一緒に働きたいか?」という質問に対する男女の差がかなり興味深いんです。実務担当者時代、つまり役職のないペーペーの時代に、同性の上司と働きたいと思っていたか?という質問を管理職やリーダーをしている女性にしてみたところ、なんと8割が「そうは思わない/あまりそうは思わない/どちらとも言えない」と答えたんです*。——つまり、女性は必ずしも職場に女性がいてほしいとは思っていないと?中原:そうなんです。男性は男性と一緒に働きたいと思っているけれど、女性は同性がいいとは思っていない。——前回で「女性のロールモデルが必ずしも女性である必要はない」という話と似てますね。男性が男性と働きたいから、女性も女性と一緒に働きたいよね?という発想は、かなり男性的な感覚から生まれているのかもしれませんね。中原:そうなんです、当の女性はそれほど自分の上司や同僚が女性かどうかは気にしていないようなんです。これ以外にも、「女性は自己評価が低いから昇進しにくい」といったこともよく言われるじゃないですか。確かに、実際の能力よりも自己評価を低くしてしまいがちな「インポテンツシンドローム」と呼ばれる現象はあって、女性により強くあらわれるんですが、性来のものではないと思うんです。——というと?中原:女性は本当に自信がないんじゃなくて、「自信がないように振る舞う」ことを後天的に身につけただけなんじゃないかな、と。自信満々で自分の能力を見せつけても妬まれたりするだけで何もいいことがない、だったら、自信なんてないふりをしておいた方がトク。そういう心理が働く社会になっちゃってるというだけの話ではないかと。——それはありますよね。女性活躍社会ということで、最近よく言われる「女性のロールモデルがない」「女性は自己評価が低いから出世したがらない」といった話も、まずは疑ってかかった方がいいのかもしれませんね。ここまで全5回にわたり、私たちの仕事の煩悩におつきあいいただき、本当にありがとうございました。スッキリ解決!とはいかないけれど、少し視野が広くなった気がします。*トーマツ イノベーション×中原淳女性活躍推進研究プロジェクト (2017)「女性の働くを科学する:働く男女のキャリア調査」ウートピ編集部
2017年06月12日「尊敬できる上司がいない」「管理職になりたくない」「がんばりが認めてもらえない」「やりたい仕事ができない」などなど、会社という組織の中で働く私たちが感じている煩悩の数々。いい上司もいないし、憧れる女性の先輩もいないし、ああ、なんて私は運が悪いんだろう……。と、自分の置かれた境遇をうらめしく思ってしまうこと、ありますよね。でも、実は私たちがこうして悶々としていることのなかには、すでに研究され尽くして法則や理論になっているものも、少なくないんです。全5回シリーズでは、人材マネジメント・人材開発を専門とされている東京大学准教授の中原淳(なかはら・じゅん)先生に、私たちが職場で感じている数かぎりない煩悩をわかりやすく解説していただきます。「なんで、自分だけ……」と理不尽に感じていることも、あらゆる組織に見られる「法則のひとつ」とわかれば、気がラクになるかも?第4回のテーマは「やりたいことをやらせてもらえない」です。第1回:「尊敬できる上司がいない」東大の先生にグチったら…第2回:入社5年目以降の女性がやる気を削がれる本当の理由第3回:チームがギクシャクするのは当たり前「おもしろい仕事」は報酬の一部——このシリーズも残すところあと2回となりました。今回は会社のなかで「やりたいことがやらせてもらえない」という煩悩を受け止めてください。中原淳先生(以下、中原):はいはい(笑)。もう何なりと。——では、お言葉に甘えて。社会人経験も5年を過ぎると、だいたいの仕事はできるようになってくるので、「そろそろおもしろいことやらせてもらいたいな」って思い始めるんです。例えば、社内起業的な新規プロジェクトとか、海外のプロジェクトとか。でも、なかなかやらせてもらえなくて、腐っちゃう人はウートピ読者のなかにも少なくないようです。中原:なるほど。まず大前提からお話させていただくと、組織のなかには、みんながやりたがる「おもしろい仕事」と、誰もやりたがらない「つまらない仕事」の2種類があります。そして、同じ人に「おもしろい仕事」ばかり与えていたら、「つまらない仕事」ばかりやらされる人はイヤになって辞めてしまいます。そこで、たいていの企業は、社員に「つまらない仕事」と「おもしろい仕事」を交互にローテーションで与えるようにして、腐っちゃう人が出ないように一応工夫してはいるんです。——いや、でも、こうして腐りかけている人間は実際にいるわけで……。中原:はい。どういう人に「おもしろい仕事」をさせているかといえば、「つまらない仕事」をきちんとやり遂げた人に、ご褒美として与えているんです。会社が、労働の対価として支払う報酬は、給料や昇進といった外的なものだけじゃないんです。「おもしろい仕事」も報酬の一部なんです。——なるほどー。その発想はなかったですね。中原:そして、メンバーがひとりも腐らないように上手に「おもしろい仕事」と「つまらない仕事」を割り振れる人がグッド・マネジャーと呼ばれるわけですね。「社会とつながる仕事」は取り合いに——「つまらない仕事」をちゃんとこなす前に、「おもしろい仕事をやらせてよ」というのが間違っていると。中原:そうなりますね。ここでいう「おもしろい仕事」というのは、難しい言葉でいえば、「経験資本が大きい仕事」となります。つまり、物事や他者と関わりながら、社会的に意味のあることをなし遂げられるような経験のことです。たとえば、新規プロジェクトでメディアを立ち上げたり、サービスや商品を開発したりといった経験が、これに当たると思います。こうした経験は、昇進や転職の際に高く評価されますし、さらに「よい経験」を呼び込んでくる「資本」としても機能します。——「会社の歯車としての仕事」じゃなくて、「社会とつながってる実感が持てる仕事」ってことですよね。中原:簡単にいえば、そういうことです。先ほど、会社は社員に「つまらない仕事」と「おもしろい仕事」を交互で与えていると言いましたが、実は最近はそうでもなくなってきているんです。——というと?中原:つまり、一部の優秀な人に「おもしろい仕事」が集中するようになっているんです。私はこれを「経験獲得競争社会」と呼んでいるんですが、経験資本が大きな「おもしろい仕事」を一度経験すると、その次にはもっと「おもしろい仕事」が転がり込んでくる可能性がある。すると、その人はもっと有利に競争を勝ち抜けるようになるけれど、最初に「おもしろい仕事」にありつけなかった人は、ずーっと「つまらない仕事」ばかりやり続けることになる。要は、経験資本の格差が最近とても大きくなっているわけです。——むむむ、ちょっと難しいですが、平たく言えば、口を開けて待っていても「おもしろい仕事」は与えられないということ?中原:ですね、以前のようにローテーションで「おもしろい仕事」が降ってくることはなくなりつつあります。なぜかというと、現場のマネジャーがプレイヤーも兼ねるプレイングマネジャーばかりになって、「面倒みきれないから、おもしろいけどリスキーな仕事はデキるやつにしか振りたくない」と考えるようになったからという理由が大きいですが、本題から逸れるのでこのくらいにしておきましょう。自分と会社の「ズレ」を意識してみる——私たちが抱えている煩悩に話を戻せば、どうやったら「やりたい仕事」「おもしろい仕事」をやらせてもらえるようになるんですか?中原:うーん、難しいですね。一つは「いつまでにやらせてもらう」と期限を決めることですね。3年とか5年とか、自分の中でリミットを設けて、それまでに繰り返し繰り返し面談でアピールし続けてもやらせてもらえなければ転職しようと線を引いてみるとか。——それは確かに現実的な策ですね。中原:あとは、会社がやろうとしていることと、自分がやりたいことがどのくらいズレているかも意識してみた方がいいかもしれませんね。どんなにがんばってもやらせてもらえないほどズレているのか、アピールし続けて成果を出せばやらせてもらえるくらいのズレなのか。このズレを図にするとこんなイメージです。中原:これからの時代は経験資本が大きな「おもしろい仕事」をやった方が、将来のキャリアはぐんと広がります。このズレがうまく30度くらいに収まるように仕事を振ってくれるマネジャーの下で働ければラッキーですが、そうでなければ、自分の経験資本を増やすためにも、ずるずる今の会社にいないで次を探した方がいいでしょうね。——いつまでも「やりたいことをやらせてもらえない」とぐずぐず言っているうちに、経験資本を増やしていくチャンスを逃しちゃうよ、ということですよね。中原:そういうこと(笑)。——次はいよいよ最終回。「マネジメントをやりたくない」というお悩みをお願いします。ウートピ編集部
2017年06月08日「尊敬できる上司がいない」「管理職になりたくない」「がんばりが認めてもらえない」「やりたい仕事ができない」などなど、会社という組織の中で働く私たちが感じている煩悩の数々。いい上司もいないし、憧れる女性の先輩もいないし、ああ、なんて私は運が悪いんだろう……。と、自分の置かれた境遇をうらめしく思ってしまうこと、ありますよね。でも、実は私たちがこうして悶々としていることのなかには、すでに研究され尽くして法則や理論になっているものも、少なくないんです。全5回シリーズでは、人材マネジメント・人材開発を専門とされている東京大学准教授の中原淳(なかはら・じゅん)先生に、私たちが職場で感じている数かぎりない煩悩をわかりやすく解説していただきます。「なんで、自分だけ……」と理不尽に感じていることも、あらゆる組織に見られる「法則のひとつ」とわかれば、気がラクになるかも?第3回のテーマは「チームがまとまらない」です。第1回:「尊敬できる上司がいない」東大の先生にグチったら…第2回:入社5年目以降の女性がやる気を削がれる本当の理由あらゆるチームがたどる4段階——このシリーズも、もう3回目まで来ました。今回は「チームがまとまらない」という煩悩を受け止めていただきたくて(笑)。中原淳先生(以下、中原):もちろん、受け止めて差し上げましょう。詳しく聞かせてください。——ありがとうございます。ウートピ読者は、社会人5〜10年目でまだ管理職じゃないけれど、チームのリーダーとして数人の後輩がいるという状況にあります。私自身も、ちょうど3人のメンバーを束ねていかなきゃいけないポジションにあって。チームが発足して1年ほど経ちましたが問題が次から次に噴出していて……。中原:ほうほう。——この1年、本当にいろんなことがありました。最初はみんながなかなか本音で話してくれないから不安だったし、そのうちメンバー間でケンカが起きたり、「KPI(評価指標)がわからない」「ビジョンがない」と突き上げられたり、「私のやりたいことじゃない」と離脱するメンバーも現れたりで。ここ数ヵ月でどうにかこうにかまとまりだしたような気はするんですが……まだ確信は持てないですね。中原:ああ、それはまさに「タックマンモデル」を地でいってますね。——ひょっとしてこの煩悩もすでに説明されている?中原:はい、とっくに(笑)。アメリカの心理学者、ブルース・W・タックマンが提唱したもので、「あらゆるチームは、【1】形成期→【2】混乱期→【3】統一期→【4】機能期という4段階をたどって形成されていく」というモデルです。これがそのままきれいに当てはまると思いますよ。ちょっと詳しく説明してみましょう。【1】の形成期は、チームのメンバーが集められた最初の段階ですね。チームの目的を確認して、ひとつの目的のために一緒にがんばっていきましょう、というところです。【2】の混乱期は、その名の通り嵐が訪れる段階です。メンバー間でいろんな認識のズレが明らかになって混乱が生じます。「これは私のやりたいことじゃない」とメンバーが離脱したり、「何がやりたいかわからない」とフォロワーのやる気が落ちたり、いろんな問題が噴出して綱渡り状態が続きます。【3】の統一期は、混乱を抜けてルールができたり、メンバーの役割を再確認したりして、ようやくスムーズにチームが回りだします。カオス状態を脱し始めて、「ちょっと先が見えてきた」とホッとする段階ですね。【4】の機能期は、チームに一体感が生まれて、目的達成に向かいます。それまでウンウン言いながら毎日やっと回していた仕事が、ルーティン化されてムダが減りラクに感じられるようになります。——どのチームもこの4つの段階を踏むんだということが最初にわかっていれば、どんなに気持ちがラクだったことか……。つまり、今のチームは【2】と【3】の間にいるんですよね?中原:おそらくそうでしょう。まさにがんばりどころですね。チームの規模やメンバーの状況にもよるので、一概には言えませんが、チームが【4】の機能期に入って全体が自動的に回るようになるまで、早くて1年はかかると言われています。要は「プロジェクトが軌道に乗った」という段階ですね。——早くて1年……。まだまだ先は長いということですよね。中原:でも、すでに【2】の混乱期に突入しているんですから、大丈夫ですよ。一番よくないのは、メンバーとの葛藤を恐れて、なかなか【2】の混乱期に入れないこと。いいチームをつくるためには、実は混乱期が一番大事なんです。できるだけ【1】の形成期から【2】の混乱期までの期間を短くした方がいいんです。——とりあえず嵐は乗り越えたということですか。中原:そうそう、一番しんどい時期は抜けてますから、がんばって!完璧なチームにリーダーは要らない——どんなチームでも混乱はつきものということはわかったんですが、それでもやっぱり「私にリーダーシップがないからダメなんだ」とか、「もっといいメンバーが集まれば、こんな苦労はしなくていいのに」とか、グズグズ考えちゃうことはあるんですよね。中原:気にすることないですよ。「すべてのチームは不完全」ですから。リーダーはみんな「優秀なメンバーが集まれば、もっとうまくいくのに……」とぼやくものですが、「完全なチーム」なんて、そもそも存在しないんですよ。——メンバーがそれぞれ心から自然と湧き出るモチベーションを発揮して、みんなで仲よく和気あいあいと仕事に取り組んで、どんどん成果が出るみたいな、「すんごいチーム」はありえない、と?中原:そんなのあるわけじゃないですか(笑)。だって、もしリーダーが「完全チーム」を与えられるなら、リーダー不在でもチームは機能してしまいます。預かるチームが「不完全」で「難あり」だからこそ、リーダーが必要とされるんです。でも、まあ、そうは言っても、すべてのリーダーは完全チームの夢をみちゃうものですよね。デコボコ、バラバラのメンバーに対してあの手この手で働きかける。「動かない人」をそそのかし、「動きすぎる人」を押さえ込み、「暴走するメンバー」の方向性をただし、「微動だにしないメンバー」にささやき……。そうやってしんどい毎日を送っていると、ふと「完璧なチームが与えられたら」と夢想しちゃう。——しちゃう、しちゃう(笑)。中原:でもね、くどいようですが、この夢が叶えられることはないし、もし叶うようなことがあれば、リーダーは要らなくなっちゃう。だって、完璧なチームならおのずとメンバー同士が意思疎通をはかりながら、各々がリーダーシップを発揮して仕事を進めちゃいますから。「完璧なチーム」と「リーダーの存在」は両立しないんです。——デコボコ、バラバラだからリーダーが必要なんですよね。頭ではすんごい納得しました。中原:そうですよ。リーダーが率いるのは、いつも「不完全なチーム」であるというのは普遍の真理です。グズグズ言っていても、文句たれてても、しゃーないんです(笑)。目の前のデコボコ、バラバラをうまく動かして成果を出すしかありません。——う、救いがない……。でも、この煩悩もチームの成長過程とわかれば、少しは気がラクかも。1日でも早く機能期に突入できるようにがんばります。次回は「やりたいことをやらせてもらえない」という煩悩をぶつけさせてください。ウートピ編集部
2017年06月06日「尊敬できる上司がいない」「管理職になりたくない」「がんばりが認めてもらえない」「やりたい仕事ができない」などなど、会社という組織の中で働く私たちが感じている煩悩の数々。いい上司もいないし、憧れる女性の先輩もいないし、ああ、なんて私は運が悪いんだろう……。と、自分の置かれた境遇をうらめしく思ってしまうこと、ありますよね。でも、実は私たちがこうして悶々としている事柄のなかには、すでに研究され尽くして法則や理論になっているものも、少なくないんです。今回から始まる全5回シリーズでは、人材マネジメント・人材開発を専門とされている東京大学准教授の中原淳(なかはら・じゅん)先生に、私たちが職場で感じている数かぎりない煩悩をわかりやすく解説していただきます。「なんで、自分だけ……」と理不尽に感じていることも、あらゆる組織に見られる「法則のひとつ」とわかれば、気がラクになるかも?第1回のテーマは「尊敬できる上司がいない」です。「不運な個人の経験」じゃなかった——実は今回の企画は、私自身が中原先生の本を読んで救われたことからスタートしたんです。普段自分が仕事で悩んでいることは、過去に数え切れないほどたくさんの人が同じように悩んできたことで、すでに法則や理論になっている。先生の研究を読んで「私だけじゃなかったんだ」とわかって、とても気がラクになりました。中原:おお、それはよかった(笑)。——はい、とっても救われました。「不運な個人の経験」だと思っていたことが、「普遍の法則」だってわかって、「そうか、こういうものなんだ」って、受け入れられるようになったんです。というわけで、今回は社会人5〜10年目のウートピ読者が抱えている、仕事に関する煩悩の数々を持ち込んで、先生にわかりやすく解説していただこうと思います。よろしくお願いします。中原:こちらこそ。がんばって、みなさんの煩悩を受けて止めてみましょう。「尊敬できる上司」は幻想——第1回は「尊敬できる上司がいない」という煩悩について教えてください。20代の頃は、まだ自分が何も知らないペーぺーなので、「上司」や「先輩」といえば、結構無条件に尊敬できたんです。でも、社会人として経験を積むと、だんだんダメなところが目につくようになって、気づいたら「尊敬できる上司がいない」という状況に……。中原:なるほど、つまり「上司が無能に見えちゃう」ということですね。——そうなんです。尊敬できる上司や先輩が目の前にいたら、もっとがんばれるのに……と思っちゃう。転職して、もっと勢いのある職場に移れば、「この人みたいになりたい!」ってやる気が出る上司に出会えるのかな、と夢想しちゃうこともありますし。尊敬できる上司に出会えない私って、運が悪いな、って落ち込むことも。中原:あはは、それはないですよ(笑)。「尊敬できる上司」なんて、幻想ですから。そんなものは、そもそも存在しないんです。——そ、そうなんですか!?中原:はい。「ピーターの法則」というものがあるんです。1960年代にアメリカの教育学者、ローレンス・J・ピーター博士が提唱した法則で、「能力主義の階層社会においては、人は無能になるまで成長する」というものです。——私のお悩みは、半世紀前に説明されていたんですか……。中原:そうなりますね(笑)。たとえば、下から順にA、B、Cというポジションがあって、あなたが「尊敬できない」と思っている人がBのポジションに就いているとしましょう。その人がBにいる理由は「Aとして優秀だったから」であって、「Bとして優秀だったから」ではないんです。もし本当にBとして優秀だったら、早々にCに昇進しているはずですから。だから、特に長年そのポジションにいる上司は、尊敬できない「無能な人」である可能性は高くなります。——おお、今たくさん目からウロコが落ちました。次々に出世していく特別な人を除けば、ほとんどの上司は、今のポジションで「デキる人」ではないんですね。そう思うと、「いい上司にめぐり会えない私は、なんて運が悪いんだ……」と落ち込むこともないかも。すべての上司は「煮え切らない人」中原:「尊敬できる上司がいない」という問題に関しては、「すべての上司は無能に見えるようになっている」という構造も関係してるんです。——どういうことですか?中原:どうしても下の人は、上の人に「問題を解決してほしい」って期待しますよね。だから、問題をスッキリ解決できないままのらりくらりとしている上司や、解決策を「これ!」とスパッと決められない上司を「無能」と呼びたくなる。——ですね。呼びたくなります。「なんで決めてくれないの?」って。中原:でも、上司って、そもそも「問題を解決してくれる人」じゃないんです。ここでは「上司=マネジャー」ですが、マネジャーとは「やりくりする人」であって、「解決する人」じゃない。そりゃ、「解決できる」に越したことはないですよ。でも、多く中間管理職には、不可能なんです。上からは「この目標を達成しろ」、下からは「この問題を解決して欲しい」といろいろ言われて、双方の要求を聞きながらやりくりする人、それがマネジャーです。決めることは最初から役割に含まれていないわけです。——上司に「決めてほしい」と期待する方がおかしいと?中原:そうですね。やりくりする人だから、常に割り切れない。それに上司しか知りえないこと、部下には言えないことを抱えているから、さらに常に煮え切らない。それが上司なんです。無能に見える人ほど年収が高い?——「私よりずっといいお給料もらってるんだから、ちゃんと決めてよ!」って思ってました。「それが、あなたの仕事でしょ!」って。御門違いだったというわけですか。中原:まあ、そうなりますね。さらに付け加えれば、「無能に見える上司がたくさんお給料をもらっている」という、部下にしてみればムカつく状況も、すでに組織論の世界では説明されているんですよ。それが「ホステージ理論」です。加護野忠男先生(経営学)が唱えている理論で、「ビジネスパーソンは、若い頃は生産性に見合う賃金を受け取っておらず、ある時期から生産性と賃金が見合うようになり、年を重ねていくにしたがって生産性を上回る賃金をもらうようになる」というものです。こう言うと、難しいので図にしてみました。明快でしょ?——こんなことまで理論化されていたんですね……。中原:若い人が「給料が少ない」とぼやくのも、いろんな職場に「働かない給料泥棒のおじさん」がはびこっているのも、この「ホステージ理論」で説明できちゃうんです。「ホステージ」というのは「囚われの身」という意味ですから、この理論は本来、本当はもっと自分を活かせる職場に転職したいんだけど、お給料がいいし、仕事もラクチンだから出るに出れないという40代以降のビジネスパーソンの悲しい現実を説明したものなんですよね。つまり「飼い殺し」ってことです。——怖い、怖い。でも、そういう上司を見ていて、「このまま今の会社にいてもなあ」って考えちゃうのは正直なところなんです。中原:心配しなくても大丈夫ですよ。これからの日本では、この「ホステージ理論」もだんだんと成立しなくなってきていますから。次第に、「Pay for performance(成果に応じた給与)」の方向に変化しています。長期雇用を前提にした「ホステージ」と、「Pay for performance」の間のどこに落としどころを見出すかの岐路にあるんです。もし、「Pay for performance」の方に振れてしまえば、みなさん自身が今「尊敬できない」とぼやいている上司くらいの年齢になる頃には、そういうポジション自体がなくなってるということですね。——そうか……「あんなふうになりたくない」と思っていても、実際のところなろうとしてもなれないから心配しなくていいよ、ってことか。「尊敬できる上司がいない」という煩悩がちょっと軽くなったような気がします。次回は「なんか、頭打ち感がある」という煩悩について教えてください。ウートピ編集部
2017年06月02日偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さん高3の秋に受けた数学の模試が、まさかの偏差値29だったという杉山奈津子さん。普通なら、そこで東大合格をあきらめてしまいそうですが、彼女は違いました。「周囲には“東大なんてやめろ”って止められたんですが一切聞きませんでした(笑)。私の人生は私のものだし、人の意見をいつも聞いていたら、やりたいことはできません。それに、自分が東大なんて無理……と思った時点で可能性がゼロになるんです」そう語る杉山さんは、一般常識を破るオリジナルな独学によって、見事、東大薬学部に合格。「予備校も学校も不要」と語る杉山さんの勉強法とは一体、どのようなものなのでしょうか?最新刊の『コミック版偏差値29からの東大合格超勉強法』では杉山流の必勝勉強法をマンガで伝授しています。今までにも、東大合格のための本を数多く出版し、大きな反響を呼んできた杉山さんですが、今回、コミック版の本書を書いたのには大きな理由があります。「この本の中にも書いているのですが、受験生は時間に追われています。ムダに過ごす時間などありません。ですから、活字の本をじっくり読む時間もないと考えました。マンガなら気軽に読めるし、すぐ読み終えることも可能です。活字の本はいわゆる積ん読になってしまうことが多いですよね。買っただけで満足して、後で読もうと。マンガはすぐ読んで、すぐ頭に入る。そこが表現形式としていいと思いました。本書の中でも、歴史の勉強に歴史マンガが有効な理由を紹介しています」マンガを読むのも描くのも大好きという杉山さん。最新刊では、「かてきょ」と名づけられた謎の家庭教師のキャラクターと桜来咲という高3女子との掛け合いを通して、漫才のように「東大合格のための勉強法」を伝えています。■受験勉強は“質×量”卒業式当日、東大構内で「ツイッターなどで何度も聞いたのが、勉強の方法がわからないという悩みです。勉強の方法がわからないのは、重要なものとそうでないものの取捨選択ができていないから。東大合格という目標があるなら、当然、最も優先すべきなのは“合格する”という結果ですよね。その結果のためには“どう受かるか”という戦略を練らねばなりません。だらだらと勉強時間を長くしたり、予備校に通っているだけで安心したりしていては合格には結びつきません。勉強を公式で表すなら“質(クオリティー)×量(時間)”です。時間はどの受験生にも平等に流れていますから、東大に行きたいならほかの人より“質”を上げなければなりません。私がそれに気づいたのは、落ちこぼれで受験勉強を始めたのも遅く、最初に受けた模試の判定は最低のE判定(合格率20%以下)という底辺からのスタートだったからです。これでほかの人と同じように普通に勉強していたら受かりっこないですよね。そこで、短期間で効率的かつ急速に偏差値をアップさせる方法はないかと、勉強法の本を読みました。そんな中で、自分なりの効率的な勉強法を編み出していきました」費用対効果や効率。これらを抜きにがむしゃらに勉強してもダメだと杉山さんは繰り返します。「精神論は何の意味もありません。私は学校の授業中も内職をしていました。先生の気持ちが全く気にならないわけではありませんが、高校は義務教育ではないのですから。それに先生は、その時点での生徒の成績からものを言うしかありませんが、効率のよい勉強をしていたら、成績は飛躍的に上がります。そういう意味では、東大なんかムリという先生の意見は無視していい。それと、学校の授業や予備校の講義は意外と効率が悪いんです。通学にかかる時間や板書、雑談などで、実質的な勉強時間は減っていきます。それなら自分ひとりでやったほうが効率的ですよね。私の友人は、予備校には通わず、予備校のテキストだけを使って独学で東大に入りました」国語、英語、歴史など、教科別の勉強法でも、杉山流ノウハウが詰め込まれている。「英語の長文読解ができるようになるために何をすべきか、国語の読解にはルールが存在するなど、マンガでわかりやすく絵解きしています。ノートの使い方については、マンガならではの表現でわかりやすくビジュアル化できたと思うので、ぜひやってみてもらいたいです」■最初から限界を設定しないで東大の門の前でさらに、偏差値29から飛躍的に偏差値を上げた杉山さんが重要視するのは「暗記」です。「数学の問題でも、考えて解くことはしません。私は基本例題の解き方を丸暗記しました。数学が苦手な人は、数学って考える教科だと思っているんです。でも受験数学は出るパターンが決まっているから、パターン暗記したほうが効率的なんです。パターン暗記で理系の大学の数学でもわりと解けてしまう。そして覚えることで理解は後からついてきます。問題が解けるようになれば、自信もつきます。時間がない受験生がムダな試行錯誤をする必要なんてありません。もし学校で渡された問題集に回答冊子がなかったら、書店で同じものを注文して、回答冊子をこっそり手に入れてしまっていいんです。そしてパターンを暗記してください」そのための暗記法として、『コミック版偏差値29からの東大合格超勉強法』では、「チラポイ法」や「書き殴り法」などを提唱しています。「チラポイ法」を使って、ハーバード大学に特待生で受かった人もいるのだとか。東大を目指す受験生とその親御さんに伝えておきたいことは、と聞くと、「え〜、東大なんかムリだよと、最初から限界を設定しないでほしいです。もう少し普通に東大に入ることをイメージしてもらいたい。例えば、名門の灘校の学生たちなんかは東大に入るのが当たり前の環境じゃないですか。だから気負わずに東大に入るものと考えている。そうして実際に入ってしまう。『コミック版偏差値29からの東大合格超勉強法』(杉山奈津子=著本体1000円+税主婦と生活社刊)*画像をクリックするとamazonの購入ページにジャンプします子どもが東大を志望したら、親のほうも、あ、そうなのって感じで普通に受け止める環境づくりが大事だと思います、特別に気負ったりしないで。私が今までに書いた東大合格のための本は、わりと親御さんから読んでいただいていたんですけど、この本は受験生に読んでもらいたいと思っています。もし親御さんがお子さんに読ませたい場合は読みなさい!と強制せず、面白そうだから読んでみたら?ぐらいの感じですすめてもらえたらいいと思います」<プロフィール>すぎやま・なつこ静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業。作家・イラストレーター・心理カウンセラー。高校では劣等生だったが、独自の勉強法を確立し、東京大学に合格。卒業後は、勉強法などをテーマに執筆や講演活動を行っている。
2017年04月15日そろそろいい歳だから一応婚活はしてるけど、いくら合コンに顔を出しても「いい男」いないし、もういい加減疲れた……。そう感じている女性は少なくないはず。そもそも、私たち、なんで結婚したいんだっけ?婚活に疲れたら、一回くらい合コンはキャンセルしてちょっと考え直してみませんか?「いい男がいない理由」を社会学の観点から解き明かした前回に引き続き、今回も、歴史社会学やセクシュアリティ研究がご専門の東京大学准教授・赤川学(あかがわ・まなぶ)先生と一緒に考えていきます。キャリア女性におすすめは「アカヒモ」?——前回「私たちのまわりにいい男がいない理由」を痛いほど理路整然と教えていただきました。私たちが求める「フツーにいい男」がどれほど要求水準の高いものか、よーくわかりました。今回は、前回の前提をもとに、私たちがとるべき戦略を教えていただきたくて……。赤川:わかっていただけましたか。それはよかった(笑)。——「フツーにいい男=3高のイクメン」は諦めるとして、私たちはこれからどのラインを狙っていけばいいのでしょうか?赤川:ということでしたら、「アカヒモ」とかいかがですか?結構おすすめですよ。——アカヒモって何ですか?赤川:「アカデミック・ヒモ」の略称です。つまり大学の研究者志望だけど、まだアカポス(アカデミック・ポスト)に就けていない男性たちです。みなさん軒並み高学歴ですし、草食系が多いのでわりとマメに家事をやります。職に就いたとしても一般の会社員ほど忙しくないので、育児をやる余裕もありますし。なかなかのおすすめ物件ですよ。——なるほど、前向きに検討する余地がありそうですね。赤川:実はこのあいだ私が所属している東大の卒業式がありまして。その時、これから就職していく東大女子のなかで、「アカヒモ」でもいいという人が、少数ながらいました。もし彼女のような方がいるなら、「アカヒモ、飼ってみませんか?」とおすすめしたいです。——で、どうでした?恋は実りましたか?赤川:いいえ、残念ながら(笑)。「合コンやろうよ」とお誘いしてみたんですが、立ち消えになりました。やっぱりキャリア女性(予備軍)にとっては、高学歴で家事と育児ができるだけの男性はダメみたいです。——ああ、やっぱり(笑)。いくら高学歴で家事と育児ができても「ヒモ」は求められていないんですね。赤川:ですね、なかなかに世知辛い。でも、「家事ができる」は絶対条件赤川:とはいえ、東大女子を見る限り、「家事ができる」というのは絶対条件のようです。——わかりますー!自分だって結婚しても出産しても、ずっとやりがいのある仕事は続けていたいので、家事や育児は五分五分で分担してくれる人じゃないと困ります。「ゴミ捨てやってエッヘン!オムツ替えてドヤ顔!」みたいなイクメンぶりっ子はムリです。赤川:でも、家事と育児が完璧にできるだけでも、ダメなんですよね?——ダメです(笑)。赤川:私、思うんです。ひとりで生きていける条件を身につけた女性が、このまま増え続けたら、結婚する人がいなくなるんじゃないかって。だって、自分で稼げてシングルライフを楽しんでる女性が、結婚するメリットって、どこにあるんですか?家事や育児をしてくれるという理由だけで、男性を飼うなんていう面倒くさいこと誰もやりませんよね。——まあ、家事も育児もお金を払えばアウトソーシングできますから、わざわざそのために結婚するメリットは正直ないですね。赤川:「収入と学歴は自分も手にしちゃってる」「家事や育児ができるだけの男は要らない」となると、あとはもう純愛の世界になってきます。「この人と一緒にいたいから」という気持ち一つ。その場合、もはや条件は関係なくなってきますよね。結婚はリスクでしかない赤川:最近、学生の中に「離婚保険」なるものを提案している人がいました。——離婚保険ですか……?赤川:離婚した時に、保険金が下りるという制度です。自動車保険に加入して、事故が起きた時に保険金がもらえるのと同じ仕組みですね。——確かに、子どもができてから離婚した場合、女性が親権を持ってシングルマザーとして育てていく場合が大多数ですから、保険金がもらえるのは助かるかも。最近は元夫から養育費がもらえないケースもよく聞くし。赤川:ポイントは、「保険でもないと、結婚する気になれない」と考えている女性が少なくないという点です。自動車保険がなければ、いくら快適でも怖くて誰も車の運転なんかしませんよね。それと同じで、保険でもないと結婚も出産もリスキーすぎてできない、と。結婚はリスクでしかないという考えかたです。みんな、ホントに結婚したいの?赤川:今って、よく少子化対策が叫ばれるじゃないですか。女性活躍社会しかり、保育園問題しかり。政府がやろうとしていることのすべてに、「みんな結婚して子どもを作りたいのに、それができないからなんとかしなきゃ」っていう前提が埋め込まれているんです。でも、本当にそうなのかな?って私は疑っていて。——どういうことですか?赤川:みんな、政府が考えてるほど、結婚もしたくないし、子どもが欲しいわけでもないんじゃないの?と。——ああ、それはあるかもしれませんね。ウートピ読者も、「結婚しなきゃ」というプレッシャーに晒されてはいるけれど、妥協してまで結婚したいかといえばそうじゃない。適当に結婚するくらいなら、このままおひとり様で自由を謳歌するのも悪くないな、って感じです。今も十分楽しいんで。赤川:そうでしょ。実際のところ、そうなんですよ。政府が考えてるほど、みんな結婚したいわけじゃない。——ちょうど先日生涯未婚率が過去最高を記録して「男性23%、女性14%」になったという調査結果も発表されましたしね。女性は婚活市場から降りたがってる?赤川:みなさん、お気づきでないかもしれませんが、これでも世界的に見て日本って、結婚しない人にやさしい社会なんですよ。よくフランスや北欧が「理想郷」みたいに語られますよね。子育てに関する社会保障が充実していて、長時間労働がないのでみんながワークライフバランスを実現できてる、みたいな。——確かに、よく見ますね。赤川:でも、あれって、「みんなが結婚して子どもを産むこと」に最適化した社会なんです。逆に言えば、それ以外の生きかたをしたい人は居づらい社会、子どもを産むことに対するプレシャーがとても強い社会ということ。どこに行くにもカップルが前提ですし、納めた税金のかなりの部分が子どもを産んで育てることに回されちゃう。——そう考えると、私たちみたいに東京でおひとり様を謳歌している女性にとっては、かなり住みにくい環境かも……。赤川:みなさん「結婚したいのに、いい男がいない」とおっしゃるけれど、本心から結婚したいと思っているんでしょうか?——なんか、わからなくなってきましたね(笑)。赤川:おもしろいデータがあるんです。スウェーデンは政府が子どもの社会福祉に関する支出を増やすと、子どもは増え、減らすと子どもも減るんです。つまり出産、保育、教育などにいろいろと手当がつくことが、女性にとって産むインセンティブになっているわけです。ところが、日本って、全然そうじゃないんですよね。少子化を食い止めようと、結婚して子どもを産みやすくなるような経済的施策をしても、結婚する人も出産する人も全然増えません。日本の女性はそんなに甘くないと思うんです。「いろいろ手当がついておトクだから、結婚して子どもを産もう」とはならない。——確かに、「手当がついておトクだから結婚しよう」はないですね。赤川:でしょ。本当はもう婚活市場から降りたい女性も少なくないんじゃないか?そう感じるんですよね。今の時代は「少子化対策=善」みたいな空気なので、「結婚したくないし、産みたくもない」という声が圧殺されちゃってますけど、案外、「面倒くさいだけだし、別に結婚しなくていいや」という女性はいるんじゃないかな。——ああ、なんか、今めっちゃ心にずしんときました。人生のパートナーは欲しいけど、絶対に結婚したいかといえば、そうでもないかもしれません、私たち。もう、「合コン行け」とか、「婚活しろ」とか、「妥協するな」とか、いろいろ言われすぎて疲れちゃったんです。ただ、今日あったことを笑いながら話して、夜ごはんを一緒に食べてくれる人がいればいいだけなんだけどな、ホントのとこ……。赤川:まあ、まあ、まあ。アカヒモなら、いつでもご紹介しますよ(笑)。前後編でお届けした赤川先生のインタビュー、いかがでしたか?まわりが次々に結婚して焦りますが、ホントのところ、「なんで結婚したいんだっけ?」「どんな相手が欲しいんだっけ?」という根本部分を一度見つめ直してみてもいいかもしれませんね。ウートピ編集部
2017年04月13日