セレーナ・ゴメスがこの夏、腎臓移植を受けていたことをインスタグラムで明かした。セレーナは2つのベッドで友人のフランシア・ライサと固く手をつないで横たわり、希望に満ちた笑顔を見せている画像を掲載。セレーナが以前から持病の全身性エリテマトーデス(ループス)と闘っているのは周知の通り。今回、身体の回復のために腎臓移植に踏み切ったという。セレーナは腎臓を提供してくれたフランシア、手術を行った医師チーム、家族のサポートに深い感謝の意を述べている。「夏の間、新曲のプロモーションをしない私に『なぜ?』と思った人もいるでしょう」と投げかけたセレーナ。実は人生に大きくかかわる決断と向き合っていた。「ループスへの誤解はいまだ多いけれど、ぜひみんなに過程を知ってもらいたいわ」とループスに関するサイトへの訪問を促している。セレーナは約1週間前に現在付き合っている歌手のザ・ウィークエンドとのツーショットをインスタに掲載し、デートする姿が目撃されていたこともあり、この衝撃告白にファンもびっくり。勇気ある行動にファンからは「誇りに思う」、「元気になって!」などの励ましコメントが殺到している。ザ・ウィークエンドとの交際は好調で、「ETonline」によれば“一時的”ではあるものの、ニューヨークのアパートで同棲を始めたとの報道も。また、「Businedd of Fashion」とのインタビューでは「彼にとっても素敵なシャネルのバッグをもらったの」とのろけ発言もしている。(Hiromi Kaku)
2017年09月14日フリーアナウンサーの長谷川豊が4日、自身のブログを更新し、同ブログの内容に抗議文を送っていた全国腎臓病協議会(全腎協)に、謝罪文を送ることを明かした。長谷川は、9月19日付のブログに「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」というタイトルで記事を掲載。その後、タイトルなどを修正したが、多くの批判が集中し、同23日には、全腎協から抗議文が送られていた。これに対して長谷川は同25日のブログで、全腎協を「『おマヌケ』にしか見えない」と評した上で「謝罪と訂正を断固拒否する」としていたが、今回これを撤回。4日付のブログで「謝罪の文章をお送りする予定です。どうぞ私の謝罪の気持ちを伝えさせていただきたく、よろしくお願いいたします」と明らかにした。また、当初「自業自得」と指摘していた透析患者を、この日のブログでは「心を入れ替えて、真摯に治療に当たっている患者さん」と言い、そうした人たちに対し、「いらぬ偏見を植え付け、下らない誹謗中傷を誘う可能性のある内容であったことは間違ない話なのだと思います」と自身の落ち度を認めた。この騒動を巡って、テレビ大阪は9月29日、長谷川がキャスターを務めていた同局の報道番組『ニュースリアルFRIDAY』の降板を発表。翌30日には、読売テレビが、レギュラー出演していたバラエティ番組『上沼・高田のクギズケ!』の降板を決めたが、MCを務めるTOKYO MXの番組『バラいろダンディ』については、続投している。
2016年10月05日慶應義塾大学(慶大)は4月5日、米国で開発された心臓カテーテル治療後の腎機能障害をカルテ上の患者情報から予測する「統計的リスクモデル」を用いることで、日本人においても高い精度でその発症を予測することができることを明らかにしたと発表した。同成果は、慶應義塾大学医学部循環器内科学教室 猪原拓助教と福田恵一教授らの研究グループによるもので、4月4日日付の米科学誌「Journal of American College of Cardiology」に掲載された。心臓に血液を運ぶ冠動脈で動脈硬化が進行すると、狭心症や心筋梗塞といった重篤な疾患に至る。その治療にあたってはカテーテルが重要な役割を担っており、日本国内800以上の施設で、年間20万件以上の心臓カテーテル治療が実施されている。しかし、心臓カテーテル治療の合併症として、約10%の患者に腎機能障害が発生するという問題もある。その原因は、主にカテーテル治療の際に使用される造影剤が腎臓に集積するためとされているが、根本的な治療法は存在しない。またその発症を予測することは難しく、経験のある医師でも困難だという。米国では、全国規模のデータベース「National Cardiovascualar DatabaseRegistry;NCDR」を用いて複数の臨床的な患者情報からその発症を高い精度で予測する「リスクモデル」が開発されてきたが、この「リスクモデル」がほかの国や地域でも高い精度で機能するかに関しては、これまで検証されていなかった。今回、同研究グループは、慶應義塾大学病院およびその関連15施設で心臓カテーテル治療を施行した合計約1万1000名の手術情報を用いることで、米国で開発された「リスクモデル」が、日本人でどの程度正確に腎機能障害の発症を予測できるか検証を行った。この結果、米国で開発された「リスクモデル」は、閾値の変更など適切な統計的補正作業を行えば、日本人においても高い精度で心臓カテーテル治療後の腎臓機能障害の発症を予測できることが証明された。これにより、心臓カテーテル治療の前にこの「リスクモデル」を用いることで、腎機能障害を発症する危険性が高い集団を正確に同定することができ、事前に十分な予防策を講じることができるようになる。さらに、「リスクモデル」から推定される危険率をインフォームドコンセントの場で患者に説明することで、各個人によって異なる腎機能障害発症の危険性を具体的な確率として提示でき、手術を受けるか否かの判断材料として役立つものと考えられるという。同研究グループは、今後はこの「リスクモデル」を活用することで、どの程度腎機能障害の発症を低減させることができるかに関して検証を行っていく予定であるとしている。
2016年04月05日東京医科歯科大学(TMDU)は2月16日、これまで治療が困難だった重症の先天性肺胞蛋白症患児に対して造血細胞移植による治療に成功したと発表した。肺胞蛋白症とは、肺胞内に肺サーファクタント(肺胞の表面張力を減少させるための肺表面活性物質)が異常に貯留する疾患で、有病率は100万人あたり6人という希少疾患。そのうち先天性のものは1%とされ、極めて稀だ。今回、造血細胞移植を受けたのは埼玉県在住の1歳女児で、肺胞蛋白症の原因は樹状細胞の欠損によるものと考えられたため、同治療法による治癒が望めると判断された。女児は2015年7月に造血細胞移植を受け、移植後さまざまな合併症が生じたものの賢明な治療により回復、同年11月に退院することができた。移植後は樹状細胞が回復し、肺胞蛋白症が改善したが、なぜ女児で樹状細胞が欠損していたかはわかっておらず、同大において原因解明に向けた取り組みが進められている。今後、原因が明らかになればより安全で効果的な治療法の開発につながると期待されている。
2016年02月18日日本にも、病気を抱え、臓器移植を待っている子どもたちがいます。ですが日本では臓器移植はほとんど行われておらず、心臓に持病を抱えた子どもたちは、大金を支払ってアメリカに渡り、心臓移植の手術を受ける場合も少なくありません。しかも莫大な費用は、寄付などで賄われていることがほとんど。日本ではアメリカよりも、臓器移植の手術が20年遅れているとされています。医療先進国でもある日本で、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?背景にどのような問題が隠れているのかを探ってみました。■日本では臓器提供が難しい日本は保険制度が行き渡っており、お金のある人もない人も、少額の負担で医療行為が受けられます。一方、アメリカでは、貧しい人は治療を限定した保険にしか入れなかったり、保険そのものに入れなかったりなど、格差が大きくなっています。医療は非常に進んでおり高度な医療が受けられるのですが、お金があることが前提なのです。しかし臓器提供に関しては、日本のように意思確認が難しくないため、新鮮な臓器の供給が可能になります。アメリカでは、ボランティア活動をすることが当たり前。そこで、経済的な理由で病気の治療を断念した人が「自分の臓器が使われれば」と臓器提供するケースが多いのです。そのため、臓器移植を受ける側にとって有利な環境にあります。そもそも日本では、終末医療において、死亡時以外の医療行為の停止は認められていません。この点について、神戸大学大学院法学研究科の丸山英二氏も自身のサイト上で指摘しています。どんな人でも限界まで最大限の医療を受け、治療を長引かせるため臓器の状態が悪くなり、移植に対応できる臓器の供給が難しいという面があるのです。いま、「異色の漫画」として注目を集めているナガテユカさんの『ギフト±』では、女子高生が犯罪者の臓器を闇ルートで販売に関与します。ドラマ化もされた大人気漫画『エンジェル・ハート』では、主人公が心臓移植で一命をとりとめます。フィクションでは驚くほど簡単に臓器移植をしていますが、現実の日本ではほとんどありえない状況なのです。■日本では脳死が死ではない臓器移植の問題は、脳死の問題でもあります。みなさんは、脳死を人の死とするかについては医者の間でも議論が分かれていることをご存知でしょうか。日本では特に倫理上、脳死をまだ人の死とはみなさず、臓器移植は人道に反する行為だと感じて反対する考え方もあるのです。たとえば哲学者の梅原猛氏は、脳死は人の死ではないとして反対しています。この問題は国会議員も巻き込んで大論争となり、脳死を人の死とする立法を目指す活動もはじまりました。ですが、脳死は脳死後ただちに臓器の移植が始められるという誤解が一般に浸透しています。アメリカではむしろ、人の死よりも「人の生のはじまりはどこか」という議論が主流で、妊娠中絶などについて激論が交わされています。そういった文化の違いもあって、日本では議論そのものがかなり欧米に比べて未成熟なのだといえるでしょう。そこが日本の臓器移植が遅れている点でもあります。社会全体がこの問題に向き合い、正確な医学的知識を持って、命と死に関して向き合っていく必要がありそうです。日本人には、「できるだけ死に向きあいたくない」という国民性もあります。しかし、いまこそ議論を進めるべきなのではないでしょうか。(文/渡邉ハム太郎)【参考】※(社)日本看護協会・神戸研修センター「終末期医療とこれからの課題―救急医療から緩和ケアまで―」-神戸大学大学院法学研究科 丸山英二※脳死は人の死か-永井俊哉ドットコム※臓器移植と人工中絶-RELNET(レルネット)
2016年02月02日国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)はこのほど、日本医療研究開発機構(AMED)および先端医療振興財団との共同研究により、再生医療用の移植細胞の製造中に混入または発生するがん化のリスクを持つ悪性形質転換細胞(がん細胞)を超高度に検出する「デジタル軟寒天コロニー形成試験法」を開発したと発表した。同成果は同研究所再生・細胞医療製品部の佐藤陽治 部長とAMEDリサーチ・レジデントの草川森士 博士を中心としたグループによるもので、2015年12月8日に英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。再生医療に用いられる移植細胞の製造工程管理では、がん細胞が混入してしまった場合にそれを高感度で検知し、移植細胞の品質を確保する必要がある。がん細胞の特性である足場非依存性増殖を利用する従来の「軟寒天コロニー形成試験」は、正常細胞への混入を比較的短期間かつ簡便に評価することができるが、従来のアッセイ法におる検出感度は低く、正常細胞中に微量に混入したがん細胞から形成されるコロニーを検出することは困難だった。これに対し、同研究では画像解析によるコロニー検出に挑戦し、細胞の核、ミトコンドリアをそれぞれ青、赤に染める生細胞染色試薬を用いてコロニーを染色し、コロニーの形状、大きさ、蛍光輝度などを指標とすることで1個のコロニーを高精度に認識することが可能となった。また、画像解析のハイスループット化にも成功した。さらに、同技術を応用して、細胞試料をマルチウェルプレートに分割、播種して軟寒天培養を行い、各ウェル内での細胞コロニー形成を解析し、足場非依存的に増殖するがん細胞の混入を評価する「デジタル軟寒天コロニー形成試験」を考案。同試験法は大量の細胞からなる試料であっても、複数に分割したウェル毎にコロニー形成の有無を解析するため、高シグナル/ノイズ比が確保され、試料中に微量に存在するがん細胞を高感度に検出することが可能となる。同試験法を同グループが評価したところ、HeLa細胞相当のがん細胞が混入する細胞試料であれば0.00001%の感度で検出可能であることが示唆されたという。また、細胞試料を分画、播種するウェル数および培養細胞数を調節することで、検出感度を適宜向上させることが可能であることに加え、細胞数にかかわらず、高検出感度を保持する同試験法の適用が可能だと考えられている。同研究グループは今後、再生医療用の移植細胞の製造工程における品質評価のための標準的な試験系にすることを目指し、試験系の自動化などもふまえ、試験方法の最適化に向けた研究を進めていくとしている。
2016年01月18日東京大学や科学技術振興機構などは1月5日、血液中のタンパク質・AIMが急性腎不全の治癒に役立つ可能性を示唆した研究成果が得られたことを明らかにした。腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として排せつする役割を持つ。その機能が低下すると血液中に老廃物がたまり、身体のさまざまな臓器の働きに支障をきたす。一方で、出血による腎臓の虚血や細菌感染、薬剤などの原因により、急速に腎機能が低下する状況を急性腎不全と呼ぶ。急性腎不全は自然に改善する場合もあるが、致死率も高く、これまでに確実な治療法が確立されていなかった。東京大学大学院医学系研究科の宮崎徹教授らの研究グループは今回、血液中のタンパク質・AIMが直接腎臓に働きかけ、急性腎不全を治癒させることを明らかにした。急性腎不全が生じると、腎臓の中の尿細管に細胞の死骸が詰まり、この詰まりが腎機能の低下を招く引き金となる。通常、AIMは血液中に存在するが、腎臓の機能が低下すると尿中に移行し細胞の死骸に付着。この付着したAIMが"目印"となって、周囲の細胞が一斉に細胞の死骸を掃除することで、迅速に詰まりが解消され、結果的に腎機能が速やかに改善される仕組みとのこと。研究グループは、マウスでの比較実験を実施。AIMを持たないマウスが急性腎不全になると、細胞の死骸が掃除されずに死んでしまったことや、AIMを正常に持っているマウスでも、重度の急性腎不全が起きた場合は、腎臓内の詰まりが解消されないまま、その多くが死んでしまうことも発見した。ただ、いずれの場合でも、AIMを静脈注射することで、尿細管の詰まりは劇的に解消され、腎機能が速やかに改善。致死率が著しく低下することを見いだしたという。腎機能低下時の血中AIMの尿中への移行および細胞の死骸への付着は、ヒト急性腎不全患者でも同様に観察される。そのため、研究グループは「マウスだけでなくヒト急性腎不全患者においても、AIMによる治療は有効であると考えられる」としている。なお、同研究成果は、「Nature Medicine」オンライン版にて公開されている。
2016年01月06日京都大学は7月22日、急性腎障害マウスにヒトiPS細胞から作製した腎臓の前駆細胞を移植することで、腎機能障害や腎組織障害が軽減することを発見したと発表した。同成果は京都大学iPS 細胞研究所(CiRA)の長船健二 教授グループとアステラス製薬によるもので、7月21日に「Stem Cells Translational Medicine」でオンライン公開された。同研究では、ヒトiPS細胞から「OSR1」と「SIX2」というタンパク質を指標に腎臓の前駆細胞を作製する方法を確立し、その細胞が腎臓の尿細管様の3次元の管構造を作る能力を持ち、腎臓の前駆細胞として十分に機能することを明らかにした。さらに、この方法で作製した腎臓の前駆細胞を、腎障害マウスの腎皮膜下に移植した結果、移植した細胞はマウスの腎臓に一部にはならなかったが、腎機能の検査値である血中尿素窒素値や血清クレアチニン値が、細胞を移植しなかったマウスとくらべて顕著に低下していることがわかった。また、腎臓の組織切片を観察したところ、尿細管の壊死や線維化など、腎臓が障害を受けた時に発生する現象もかなり小さく抑えられていた。この成果について同研究グループは「腎移植を必要とするような人工透析を受けている慢性腎不全の方の場合、腎臓の細胞がほとんど壊れているため、治療には腎臓そのものを作製して移植することが必要であり、今回の方法だけでは治療は困難です。しかし、急性腎障害を負った方の腎機能を回復し、腎障害の慢性化を防げる可能性を示しており、腎疾患にも細胞移植を使った治療が適応できることを示唆しました。」とコメント。今後は、今回の方法を活用した臨床応用の可能性を探りながら、慢性腎臓病や慢性腎不全の治療に向けた研究も進める予定だとしている。
2015年07月22日京都大学は6月16日、新しい細胞移植法を開発し、ラットの聴神経の機能を再生することに成功したと発表した。同成果は同大学医学研究科の関谷徹治 研究生(医師)らの研究グループによるもので、6月16日に米国科学アカデミー紀要に掲載された。脊髄損傷や神経変性疾患では、中枢神経細胞が次第に死んで神経変性が起きるため、手足の麻痺などが発生する。こうした問題に対し、細胞移植治療による神経機能の回復が試みられているが、現状では、移植された細胞の大部分が短期間で死んでしまうという課題がある。移植した細胞が短期間で死んでしまうのは、中枢神経細胞が死んでいく際に硬い「瘢痕組織」ができるためだと考えられている。同研究グループが開発したのは、従来の細胞を神経内に注入する方法とは異なり、細胞を神経の表面に置く手法。ラットの聴神経瘢痕化モデルを用いた実験では、表面に移植された細胞は、瘢痕化した神経内に次々と入り込み、瘢痕組織を利用しながら形を変えつつ、長期間生き続け、3カ月後にはラットの聴神経の機能が改善していた。顕微鏡による観察でも、移植された細胞がシナプスを介して元の神経と連結していることが確認された。今回の研究は、神経組織の再生にとって瘢痕組織は有害であるという従来の考え方を覆すもので、新手法は筋萎縮性側索硬化症(ALS)やポリオで障害された運動神経の表面に細胞を移植することなどへ応用できる可能性がある。
2015年06月16日富士フイルムは3月19日、再生医療に向けた細胞培養・移植に必要な足場素材「リコンビナントペプチド(RCP)」のマイクロサイズのペタロイド状微細片(petaloid μ-piece)を開発したと発表した。これを細胞と組み合わせて、モザイク状の三次元細胞構造体「CellSaic」を作りマウスに移植すると、細胞だけを移植した場合に比べて、生存効率が大幅に向上するという。生体に移植した細胞を機能させるには、移植した細胞や組織を効果的に生体内に生着させることと、移植した組織や細胞において栄養・酸素の供給や老廃物排泄を可能にすることが重要となる。細胞を生着させるためには細胞の足場となる素材使うこと、栄養・酸素の供給や老廃物の排泄を可能にするためにはその通り道となる血管を早く導入する方法が有効とされている。しかし、細胞塊が大きくなると中心まで栄養や酸素が供給されず、老廃物の排泄も困難になるため血管導入までに細胞が死滅してしまうという課題がある。富士フイルムが開発した「RCP」のペタロイド状微細片を用いて作製した「セルザイク」では、細胞の足場が確保されるとともに、内部に空間が形成され、その空間を通じて栄養・酸素の供給、老廃物の排泄が可能となり、生体からの血管系の通り道が形成される。マウスで行った実験では細胞のみ移植した場合と比べて生存率が約2倍に向上した。また、1型糖尿病モデルマウスを用いた実験も行った。1型糖尿病など、血液中のブドウ糖を調節する役割を持つ膵島の機能不全によって血糖値の制御が困難な場合には、ドナーから膵島を移植するという治療方法が存在する。その際、間葉系幹細胞(MSC)と共に移植することで治療効果が上がることが報告されている。同実験では、hMSCと「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」を膵島と共に1型糖尿病モデルマウスに移植したところ、正常レベルまで血糖値を下げることができた。これは、移植したhMSCが生体内で多く生存しているため、膵島移植の効果が高まったことによるものだと考えられるという。「RCP」のペタロイド状微細片を組み合わせた「セルザイク」は今後、細胞移植や細胞再生、臓器再生などさまざまな再生医療への活用が期待される。
2015年03月20日NTTデータはこのほど、レセプト(診療報酬明細書)データ等を活用した糖尿病性腎症重症化予防対策を埼玉県にて開始したことを明らかにした。糖尿病は現在、1,000万人が罹患(りかん)している病気だが、初期は自覚症状が出にくく、医療機関を受診しない人が4割近くいるという。そのまま放置して病状が進むと、目のかすみや手足のしびれ等の症状が出るだけではなく、重症化すると人工透析等のリスクも高まる。人工透析に移行すると週3回(1回当たりの治療時間4~5時間)ほどの頻度で治療をする必要が生じ、QOL(生活の質)が低下する可能性もある。さらに重症化すると、失明や壊疽(えそ)による足の切断などのリスクも高くなる。糖尿病の重症化を予防することは、生活の質を維持するとともに医療費適正化の効果もある。そこで埼玉県下18市町(※1)在住の国民健康保険の被保険者約100万人を対象に、糖尿病性腎症重症化予防対策事業を行う。すでに10月から糖尿病の重症化リスクが高い人を抽出する準備を進めており、今後、医療機関未受診者や治療中断者に対する受診勧奨および通院中の方に対する食事・運動等の生活指導を行う。このように、レセプトデータ等を活用して複数の市町村が共同して実施する糖尿病性腎症重症化予防対策事業は、全国で初となる。※1川越市、所沢市、飯能市、狭山市、羽生市、鴻巣市、上尾市、草加市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、八潮市、三郷市、日高市、鳩山町、幸手市、さいたま市の計18市町(入間市は市単独で4月から同様の事業を行っている)。
2014年11月26日東京医科歯科大学と科学技術振興機構(JST)は8月16日、マウスをモデルとした実験で体外に取り出して培養した小腸上皮細胞を消化管(大腸)へ移植することに成功したと発表した。この成果は、同大学大学院医歯学総合研究科 消化管先端治療学の中村哲也 教授、同 消化器病態学分野の渡辺守 教授、同 水谷知裕 特任助教、同 福田将義 医員らの研究グループによるもので、米科学誌「Genes & Development」にて発表された。同研究グループは2012年に、大腸の最も内側にならぶ上皮組織の幹細胞を体外で増やし、移植することで傷害を受けた大腸の修復が可能であることをマウス実験で確認していた。しかし、小腸について同様に体外で増やした細胞の移植による上皮組織の再生が可能かどうかはわかっていなかった。今回の研究では、肛門付近の大腸に上皮の欠損を生じる大腸傷害マウスモデルを作成し、全身で蛍光を発する別のマウスから小腸上皮細胞を取り出して増やした後に、大腸傷害マウスへ移植。その後経過を観察して体外で増やした小腸上皮細胞を別のマウスへ移植し上皮組織が再生可能であるか、移植片内で再生する細胞はいかなる性質を示すのかを調べたという。大腸傷害マウスを調べたところ、移植直後から蛍光で識別できる移植小腸細胞が大腸組織に接着して新しい上皮を形成し、2週間後には、移植細胞が生体内で分裂・増殖を繰り返すことが判明。4週間あるいは4カ月経過後にも、小腸細胞が移植を受けたマウスの大腸に安定して組み込まれていることがわかり、移植細胞が体内で上皮組織を再生する幹細胞として機能することが確認されたという。次にこの移植片を詳しく調べたところ、増殖を繰り返す細胞群とともに通常の小腸上皮に含まれるすべてのタイプの細胞を含むことから、移植された細胞が個体内で小腸型の上皮幹細胞として機能していることがわかったという。それに加え、移植片内に通常小腸に見られ大腸には見られない特徴が含まれること、その細胞が示す遺伝子パターンも大腸とは明らかに異なることもわかり、実際に小腸型上皮幹細胞に特徴的な形態と機能を持つ細胞を確認することができたとのこと。同研究グループは、これらの結果から、「体外で増やした小腸上皮幹細胞が、たとえ自身が由来する小腸と異なる(大腸)環境に長期間おかれても、小腸型幹細胞としての性質を維持できることも明らかとなった」と結論付け、今後この発見がさまざまな細胞を利用する消化管上皮再生医療技術の基礎となることが期待されるとしている。
2014年08月18日なくてはならない男らしさと威厳の象徴トルコで男性の健康や美容をテーマにしたツアーが急成長中だ。中でもヒゲの移植を目的としたツアーに人気がある。12月26日、イギリスの the guardianが報じた。(写真はバブルマッサージを受けるツアー客)口ヒゲと顎ヒゲの移植がポピュラーになってきたのは2年ほど前。国内だけではなく中東アラブ諸国からのツアー客も多い。アラブ諸国では男性の口ひげは男らしさと威厳の象徴であり非常に重要なものだ。ヒゲのないスポーツマンのような顔ではビジネスもうまくいかないという。当然結婚にも影響する。2人、3人、4人と妻を迎える度に移植を繰り返すリピーターもいる。しかし、女性パートナーからの勧めで移植を決める人はほとんどなく、みな自分の意志で施術に来るのだそうだ。移植後、ヒゲが増えたからと言ってそれまで以上の手入れが必要になるということはなく、ほぼ放置状態だという。アラブ諸国からツアー参加西欧にも?4日間イスタンブールに滞在し、移植施術料込みのツアー料金は2,300ドル。アラブ首長国連邦、クウェート、サウジアラビア、イラクからの参加者がある。ツアー・マネージャーの Irfan Atik は、今後はイギリスなどにもツアーを広めたいが、アラブ諸国とはファッション感覚が違い、西欧の方がファッショナブルだ。と話す。トルコ・イスタンブールはアラブ諸国の中で最も観光客が多い。訪れる観光客は2001年には約70万人だったが2011年には400万人に増えた。カルチャー、ファッションの面でも近隣諸国へ与えている影響は大きく、トルコの俳優や歌手は各国のテレビで見ることができる。彼らにももちろん立派な口ひげがある。元の記事を読む
2012年12月30日スイスのノバルティスファーマは、米食品医薬品局(FDA)が、結節性硬化症(TSC)に伴う腎血管筋脂肪腫のうち、直ちに外科手術を必要としない成人患者に対する治療薬として「アフィニトールR」を承認したことを発表した。結節性硬化症とは、重要な臓器に良性腫瘍を引き起こす可能性のある遺伝性の疾患。世界で約100万人から200万人の患者がいると推定されている。腎血管筋脂肪腫は結節性硬化症患者の最大80%で発生する症状で、腫瘍は時間の経過とともに大きく増殖。重度の内出血を引き起こす、塞栓(そくせん)術や腎摘出といった緊急の外科手術が必要になるなどのほか、腎不全を引き起こす可能性もある。「アフィニトールR」は、こうした患者の治療に対して初めて承認された薬剤となる。日本では根治切除不能または転移性の腎細胞がんに対する治療薬として2010年4月より販売されており、2011年12月に膵神経内分泌腫瘍の治療薬として承認されている。結節性硬化症に対しては現在申請中となっている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月15日