東京大学は、NTTドコモとの協同で、2型糖尿病患者および糖尿病予備群向けのiPhoneアプリ「GlucoNote(グルコノート)」を公開し、臨床研究を開始した。アプリはApp Storeより無料でダウンロードできる。同アプリは、iPhoneを活用して生活習慣が改善するように自己管理を支援し、同時に生活習慣(食事、運動、睡眠)と在宅測定データ(血糖値、血圧、体重、活動量)の関係を明らかにするとともに、適切な自己管理支援につなげることを目指してリリースされた。開発にあたっては、Appleが医学・医療研究および健康リサーチ向けに設計したオープンソース・ソフトウエアフレームワーク「ResearchKit」を利用している。本臨床研究は研究参加に同意した 2型糖尿病あるいは糖尿病予備群と診断された 20歳以上の日本在住者が対象で、参加期間は最長5年間。参加者はアプリを用いていくつかのアンケートに回答し、食事や運動などの生活習慣、体重、血圧、血糖値などの測定データを提供することで、本研究に協力できる。研究発表は、東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 健康空間情報学講座の脇嘉代特任准教授と、同大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻の相澤清晴教授が担当する。アプリで得られた日常生活情報の解析結果を統合的に用いることができれば、2型糖尿病患者の状況をより多面的に把握することが可能となるとのことで、患者および予備群の状況を、日常生活という観点から詳細に検討することにより、より効果的な自己管理支援を行えるようになるといった展開も期待されている。
2016年03月14日●生活習慣病や抗加齢に期待が持てるナッツ生活習慣病という言葉はすっかり世間に浸透し、市民権を得た。広義では「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」(厚生労働省)を意味するが、具体的には高血圧や糖尿病、脂質異常症などを指す。これらの疾患は、多くの中高年の悩みの種となっていると言えるだろう。ではもしも、この生活習慣病リスクを低減できる食べ物があるとしたらどうだろうか。今回は、国際アンチエイジング医学会専門医であるAACクリニック銀座の院長・浜中聡子医師に、生活習慣病予防となる食材を伺った。○強い抗酸化作用を持つビタミンE生活習慣病のみならず、老化防止に役立ちそうな食材、それはビタミンEを豊富に含むナッツ類だ。その理由として、強い抗酸化作用を持つビタミンEは、生活習慣病や老化の原因である体内の活性酸素の増加を抑制する効果が期待できるからだ。活性酸素とは、酸化させる力が活発な酸素のこと。殺菌能力もあるため、適量ならば体に害はないが、増えすぎるとくぎをさびさせるように私たちの体内をさびさせていく。このさびが細胞の老化を引き起こすため、生活習慣病や加齢、肌トラブルにつながっていく。「体内ではビタミンEは細胞膜の中に多く存在しており、細胞を保護する役割を担っています。細胞は活性酸素によってウイルスから守られていますが、活性酸素が増えすぎると逆に細胞を傷つけるため、ビタミンEが過剰な活性酸素を除去しているのです」。厚生労働省が定めた1日のビタミンE摂取量は、成人男子で9mg、成人女子で8mg。これは「必要最低限の摂取量」なので、ビタミンEの効果を期待するのであれば、少なくとも1日100~300mgの量が必要。ただし、脂溶性のビタミンEは摂取しすぎると過剰症になると言われており、成人男子で800mg、成人女子で600mgが許容量だ。「通常のサプリメントや食品での摂取では許容量を超えることはないです」と浜中医師は付け加えるが、高血圧で薬を服用している人は事前に医師に相談をした方がよいとのこと。●キャビアやいくらなどでもいいが……ビタミンEは、キャビアやいくら、うなぎといった魚介・魚卵類に比較的多く含まれている。ただ、これらの食材は価格も高く、手軽に毎日摂取するのは難しい。そこでお勧めなのが、マカダミアナッツ、カシューナッツ、ピーナツなどに代表されるナッツ(種実)類だ。ナッツ類はビタミンEだけではなく、ミネラル類も豊富でしかも安価。特にアーモンドは、日本食品標準成分表2015年版(七訂)によると、ビタミンEの含有量は100gあたり30.3g(α-トコフェロール)と、群を抜いている。さらに、ナッツの有用性に関するさまざまな研究も多数報告されている。例えば、ピスタチオとミックスナッツが最高・最低血圧に対してポジティブな結果をもたらしたり、アーモンドを6週間にわたり毎日10g摂取すると「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLが有意に増加したりするなどだ。日本の厚生労働省に相当する米国食品医薬品局(FDA)も、「ナッツ類の摂取が心疾患リスク低減につながる可能性がある」旨のヘルスクレームをナッツ製品に表示することを認めている。○余分な味付けと食べすぎは厳禁!魅力的なパワーを持つナッツだが、食べる際には注意も必要だ。まず、「砂糖をからめたハニーローストや油、塩を使っているタイプは避けて、素焼きタイプを選んでください」。余分な味付けをすることで、塩分や糖分過多になってしまっては意味がないというわけだ。そして脂質やカロリーも高いため、食べすぎも厳禁。「若返りたい一心でナッツばかり食べていた女性がニキビだらけになったこともあります」と、笑えないシチュエーションに遭遇した女性もいるそうだ。一日5粒程度にとどめるのがいいだろう。デスクワークや外回り時に小腹がすいたり、口寂(さみ)しくなったりするときもあるだろう。そのようなとき、脳に栄養を送るために甘いもの(糖分)を摂取するのも賢いが、生活習慣病予防を期待したい人はその間食をナッツに変えてみてはいかがだろうか。※写真と本文は関係ありません○記事監修: 浜中聡子(はまなか さとこ)医学博士。北里大学医学部卒業。AACクリニック銀座院長。米国抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会専門医などの資格を多数取得。アンチエイジングと精神神経学の専門家で、常に丁寧な診察で患者に接する。
2016年03月10日アミノ酸の1種であるALA(5-アミノレブリン酸)を使った研究開発を行うALAサイエンスフォーラムは2月25日、ALAと糖尿病の関連性についてメディアセミナーを開催した。ALAは、さまざまな生命体の細胞内のミトコンドリアに存在し、ヒトの体内では代謝を亢進する役割を果たしていると考えられている。ヒトでは17歳をピークに減少することが報告されており、ALAが不足することで糖代謝が低下し(血糖値が上昇し)、糖尿病につながる可能性がある。また、糖代謝が停滞するとエネルギー代謝が低下するため、加齢および疾病が進行して悪循環に陥ってしまう。これに対し、ALAと鉄を投与することでエネルギー代謝が向上するとの報告があり、糖代謝の悪循環に対する有効な改善方法になる可能性があると見られている。血糖値に対するALAの効果はヒトで確認されており、糖尿病予備軍を対象とした臨床研究ではALAが空腹時血糖と糖負荷試験の2時間後の血糖値を優位に低下させることが確認された。また、2型糖尿病患者を対象とした臨床試験でも、糖尿病と密接な関係を有するHbA1cを有意に低下させることがわかった。また、いずれの場合でも副作用は認められず、経口糖尿病薬で治療中の2型糖尿病患者がALAを服用しても安全であることが確認された。ただ、経口糖尿病薬とALAの効能を比べると、HbA1cの減少量で見た場合ALAは薬剤ほど効果があるわけではない。しかし同セミナーに登壇した東京大学医科学研究所の山下直秀 教授によれば、上記の研究結果などから糖尿病予備軍に対しては有効な成分だと言えることができるという。また、ALAは食品から効率的に摂取することが難しいことから、サプリメントとして摂取することで糖尿病の予防効果が期待できるとした。
2016年02月25日女性の働きスタイル研究家のアボカドチョコです、こんにちは!今回の冬は暖かく、インフルエンザの流行時期が遅くやってきましたね。さて、乳幼児のいるパパ、ママなら、インフルエンザのような『流行病』には、日々、戦々恐々としていることでしょう。それでも、保育園や小学校でもらってくるのが『流行病』。私自身も、家族全員で順番に『手足口病』にかかる経験をしたことがあります。「うどんを飲み込むだけで、喉がヒリヒリする」という手足口病は、なんと貴重な体験だったことでしょう……。そんな私自身のイタイ経験から痛感した、集団生活で、『流行病』にかかることを防ぐ方法を5ステップを書いてみたいと思います。●集団生活の中で、『流行病』感染を予防する方法5ステップ●(1)乳幼児の場合、インフルエンザ予防接種をしても、効果は20~30%!流行病には、早めの『予防接種』がなによりの予防対策。しかし、インフルエンザの場合、厚生労働省の調査によると、予防接種の有効率は『6歳未満の子どもに対するインフルエンザワクチンの効果は、発熱を指標とした場合、20%から30% 』だといいます。さて、予防接種をしても感染する可能性が高いとなると、気になるのが周囲の状況。身近ではやっていることが分かれば、“手洗い・うがいの徹底”や“人ごみに行かない”などの対策を強化できます。そこで必要になるのがリサーチです。●(2)“クラス”の動きをよく見よう!子どもが通っているクラスで、「お休みの子どもが何人いるか?」を毎日確認することは、「どのような病気がはやっているか?」を察知する手がかりになります。「どのような症状か?」を知ることができれば、似たような症状が出たときに早期対処ができます。●(3)“他のクラス”“他の学年”ではやっている病気がないか? も重要自治体ホームページの“学級閉鎖” 情報を見ると、流行病が広まる際、“あるクラス”や“ある学年”からその周囲へ、“他の学校”からその周辺校へ、という経路をたどる気がします。他のクラスや他の学年のママから得る情報って、結構大事なのだな、と私自身も知りました。そして、特に重要なのは、“近隣の学校情報”です。●(4)一番近い“小学校”情報を把握する一番、生徒数が多くて、まだ抵抗力が弱い年齢も多い小学校。周囲の小学校で学級閉鎖が出たら、要注意!その周辺にも波及していくことでしょう。一番近い小学校ではやっているウイルスは、その近隣でも流行 します。「うちの学校、学年は大丈夫」という状態でも、周辺校の様子を知っておくといいな、と感じました。●(5)都道府県の『流行病の多い地域の情報(地図など)』をネットで検索地域によって、流行病の『感染時期』は異なります。ある程度離れた区市町村では、流行のピークが1~2か月くらい違うのではないでしょうか。その場合、広範囲に同じ情報を流すマスメディアの情報はあまり当てになりません。「流行しているかどうか?」は、都道府県の『流行病の多い地域マップ』(自治体により名称は異なる)を探してみてください。同じ都道府県内でも、流行の度合いが違う からです。パパ・ママにとって、子育ては情報戦ですね!私自身もこの冬、痛感いたしました!【参考リンク】・季節性インフルエンザワクチンの効果(子どもの場合) | 小泉重田小児科()●ライター/アボカドチョコ(女性の働きスタイル研究家)
2016年02月22日足が痛い!と思ったとき、あなたはどこへ行きますか? 骨にヒビが入っているかもしれないなら整形外科、タコや魚の目があるなら皮膚科でしょうか? 外反母趾があるなら…果たしてどこへ? 巻き爪の痛みなら…?そんな「足」の悩みやトラブルを総合的に診てもらえる医療機関があったらいいですよね? 日本ではまだ知られていませんが、アメリカではポダイアトリー(Podiatry:足病学)という学問があり、ポダイアトリスト(Podiatrist:足病外科医)という足だけの医師がいます。実は、日本でも足専門のクリニックがあります。それは東京・表参道にある「足のクリニック 表参道」。ここでは、日本初の足の痛みや変形に特化したクリニックで、くるぶしから下の「足」のトラブルなら何でも相談できる医療機関。「日本人は、いわゆる“靴”の歴史が短いので、昔は欧米諸国に比べて足のトラブルが圧倒的に少なかったこともあり、足の専門医学がとても遅れているのだと思います。アメリカには、目が悪いから眼科、歯が痛いから歯科、と同じように足のトラブルに対しては“足科”がある。アメリカ人が日本へ来て“足科がない”と知ると、驚くんですよ。アメリカではポダイアトリーといえばとてもメジャーなんですが、悲しいことに日本では知名度が低いんです。ドクターでさえ、その言葉を知らない方もいると思います」そう教えてくれるのは、「足のクリニック 表参道」院長の桑原靖先生です。確かに、日本の辞書には、ポダイアトリーはおろか足病学という項目もありません。あのウィキペディアにすらないのです。ポダイアトリー(足病学)とはそのままズバリ、人の足についての専門医学。診察に始まり、理学療法、生体力学、薬剤の処方、特別な靴やインソール処方、手術なども含めて足に起こるさまざまなトラブルを総合的に診る医学です。桑原 靖 先生 プロフィール「足のクリニック 表参道」院長。足病学、足病外科、形成外科など。日本には足(くるぶしから下)を専門的に診療する医療機関がほとんどないことに疑問を持ち、2013年、足の痛みや変形に特化したクリニックをオープン。足に対する専門的な診療を提供することに日々力を注ぐ。「足のクリニック 表参道」 近年多くなった足のトラブル、医師はどう対応する?日本人が、欧米人と同じようにつま先を覆う靴を履くようになったのは明治時代以降。それまでは、下駄や草履を履き、しかも家ではそれも履かなかった日本人には、足に外反母趾などのりクスを抱えていてもそれに気づかなかったことでしょう。足を締めつける靴が、さまざまな足のトラブルを表面化させるようになりました。朝から寝る直前まで靴を履く習慣のある欧米諸国で、早くから足の専門医学が発展したのはうなづけます。「日本も今では、小学生の子供でも外反母趾が多い時代。親が気づいてあげないと、そのまま成長してしまいます。幼い頃から医学的な介入で予防してあげるなど、親への教育も大切だと思っています。そのためにもやはり足専門のホームドクターが必要なんです。アメリカでは足を診る専門の医師、足病外科医の数は17,000人近くいます。そのほとんどが足専門医として開業していると言われるほど。通常の医師と同じで4年間大学で勉強した後、さらに4年間、ポダイアトリーの専門教育を受けけ、その後3年間の研修期間。それでやっと国家資格がもらえるんです。これは一般の医師免許と区別された、ポダイアトリストという医師免許。ポダイアトリストは整形外科、形成外科、外科、皮膚科、血管外科などに通じて、足の病気やトラブルについて専門的に学んだ医師だけが得られる資格なんですよ。それに対して日本では、整形外科の教科書600ページのうち、足について書いてあるのはわずか20ページほど。この差は大きいですよね」(桑原先生)桑原先生の「足のクリニック 表参道」は、アメリカのポダイアトリーの知識を元に日本で治療を行うため、必要な診療科(整形外科、形成外科、皮膚科、内科、外科、血管外科など)と連携する複数の専門医が、同クリニックに勤務する体制をとっています。これだけの医師がいるのは、患者さんが抱えているトラブルや病気がバリエーション豊かだから。外反母趾やハンマートゥなどの足の変形、足底筋膜炎、ハイアーチ、モートン病、巻き爪…他にも多種多様です。「でも、その原因はと言えばほぼ一つだけ。それは足のアライメントの異常です。顔と同じように足の骨格やそれに伴うさまざまなリスクも親から遺伝し、生活習慣や歩き方、履いている靴などがそのトラブルの悪化を助長します。また原因は骨の変形だけとは限らず、皮膚や血管、靭帯や筋肉にも関係しているんですよ」(桑原先生)寝たきり高齢者や、糖尿病で足をなくす人を減らしたい!桑原先生は、もともと形成外科医。簡単に言うと形成外科は「外観や機能の再建を行なう科」で、中でも先生の専門は「創傷治癒学」です。交通事故などによる外傷ややけど、手術などでできた皮膚の傷を治すのも専門領域。実は、先生は主に糖尿病の患者さんの足の切断、いわゆる「下肢切断」を行っていました。日本国内では毎年2万本の足が、糖尿病が原因で切断されていること知っていますか? 糖尿病の方が足を切断するようになるのに、最初はただの靴ずれや巻き爪、タコなど、ささいなことが大半の原因を占めるのだそうです。「糖尿病が重症化すると合併症で神経に障害が起き、足の感覚がなくなっていくので、進行すると痛みに気づかない。靴ずれや巻き爪になっても気づかず、放っておくと、その傷から細菌が感染して潰瘍や壊疽(えそ)を起こす。聞いたことがあるでしょう? 治療が遅れると切断につながるのです。アメリカでは糖尿病患者の下肢切断率は日本ほど高くありません。そこまで重症化する人がいないからです。日本の内科では、糖尿病になった患者さんを眼科に紹介するのですが、アメリカでは眼科に加えて足科にも紹介するのが普通なんですよ」(桑原先生)足をなくす人を減らすには、もちろん、まずは糖尿病を減らすこと。でも、放っておくと治ると思われている足のトラブルを、糖尿病になる前から早い段階できちんと治療することがとても重要です。糖尿病に由来する潰瘍や壊疽を診るドクターはたくさんいます。ただ、その要因となったタコやウオノメ、巻き爪、靴ずれ、外反母趾、水虫、足底筋膜炎などのポピュラーな病気、それと重症化した潰瘍や腫瘍まで、足をトータルに診てくれるところは本当に少ないのが現状です。「もしも、ポダイアトリー(足病学)がもっと国内に広まったら、足の切断率は確実に減ると思います。また、健康で自分の足で歩ける寿命が長くなるでしょうね。そして、寝たきりの高齢者も少なくなるはず。なぜって、転倒が減るからです。寝たきりになるお年寄りの10%は、転倒が原因と言われています。転んで骨折したことがきかっけで寝たきりになってしまうわけです。今よりもっとみなさんが足の健康を保てるようになったら、それも確実に減りますよ! 小さな足のトラブルを放っておかない。ささいなトラブルでも気軽に診てもらえるクリニックが増えたら、それも叶いますね。そのためにも、みなさんにポダイアトリーというものについて、知っておいてほしいと思います」(桑原先生)
2016年02月16日子どもが急に熱を出した、でも仕事は休めないし、周りに頼れる人が誰もいない……。そんな時、親たちの味方になってくれるのが「病児保育」。しかし、国内ではまだまだサービスが充実しているとは言えないのが現状だ。なぜ、病児保育は広がらないのか。会員制の訪問型病児保育サービスを提供している、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんに聞いた。○国は「施設型」の保育にこだわっている平成28年度の政府予算案で、国は病児保育の事業に27億円の補助金を計上。「病児保育の拠点となる施設の整備・改修」「施設での子どもたちの対応・送迎をする看護師の雇用」について、新たに補助金をつけた。――国が進めようとしている病児保育の政策をどう評価しますか。病児保育に力を入れようとしてくれていること自体はうれしいです。しかし、「施設型保育」への補助にこだわっている点で、病児保育の広がりを妨げていると思います。――というのはどういうことでしょうか。現在国が補助を行っているのは、施設に子どもたちを集めて保育する「施設型」の病児保育です。私たちが行っている事業のように、保育スタッフを家庭に派遣して子どもたちをみる「訪問型」の病児保育には、国による補助がありません。しかし、国がいくら「施設型」への補助を増やしても、施設の数は増えません。それは、現在「施設型」の84%が、小児科の病院に併設された「医院併設型」だからです。小児科の数が上限になるので、それ以上増えない。看護師の配置や施設の運営を考えると、制度設計上、そうならざるを得ない構造になっています。また、「施設型」では預かることのできる子どもの数も限られるし、インフルエンザの子については、ほかの子どもたちに感染する可能性も考えて、受け入れないことも多い。加えて、子どもが施設に来ない日も、看護師や保育士を施設に配置し続けなければならないので、人件費がかかります。経営上、投資対効果が低いのです。○自治体の事業では、病児保育は広がらない――ほかにもサービスが広がらない理由はありますか。病児保育が自治体の事業であることも、理由の1つとしてあげられると思います。補助金のある「施設型」の病児保育は、自治体が予算をつくり、事業者を公募しないとできない。しかし自治体に任せている限り、施設の数は増えないと思います。なぜなら、自治体は施設を造っても造らなくても自分たちの給料は変わらないし、何も困らない。一方で、施設を造って失敗した方が怖いわけです。だったらやらなくていい、となってしまう。――では、どうしたら病児保育のサービスが広がるのでしょうか。訪問型病児保育のサービスを増やす必要があると思います。このサービスを増やすのはすごく簡単で、利用料金の補助をする「病児保育バウチャー」を国でやればいいと思います。金額にもよりますが、施設型かそれよりちょっと高額な料金で訪問型病児保育のサービスを利用できるようになれば、参入してくる事業者はたくさんあると思いますよ。さらに、子どもたちがいつ来るかわからないのに人員を待機させる「施設型」の人件費に費用を出すより、保育スタッフを派遣するたびにバウチャーを補助した方が無駄うちがないですよね。――それではどうして国は、「施設型」の病児保育に力を入れているのでしょうか。国は今までずっと「施設型」の病児保育に補助を出してきたので、その方針を転換するのが難しいのではないでしょうか。これまでやってきたものをがんばりましょう、現状から少しよくしましょう、という方がやりやすいといえば、やりやすいでしょう。さらに時代背景も影響していると思います。今は待機児童問題がフィーチャーされているので、まずは保育所の整備をなんとかしなければいけない、となっている。病児保育にまで、理解が進んでいないのです。待機児童問題って日本全国の問題じゃないですか。一方で、病児保育は地方でそんなに問題にならない。地方では祖父母との同居率が高かったり、周りに頼れる人がいたりするからです。それから、女性の正社員率もそんなに高くないので。しかし都市部では、ある程度休みづらい仕事をしている親、特に母親が多い。働く女性が増えているのと、病児保育の認識も上がっているので、ニーズは高まっています。フローレンスでも利用を希望する方は増えていて、2015年の夏にはこちらのサービス供給が追いつかず、入会受付を停止しなければならない事態に陥りました。去年、今年と、一時的に受付を再開しているのですが、2月1日に再開した入会受付については2分で埋まってしまいました。助けを求めている人がいるのに、助けられていない。これはうれしい悲鳴じゃなくて、真摯に反省してキャパシティーを広げなければいけないと思っています。そしてもちろん事業は拡大していきますが、一団体がやるには限界がある。ですから、訪問型病児保育を行う事業者がもっと増えないといけないと思います。○「健康で健常な子ども」以外が除外されている――フローレンスでは、障害児保育の施設も開園されていますね。たまたま相談を受けて、世田谷区(東京都)で医療的ケアが必要な子を預かってくれるところを探したんです。そしたら東京中を探してもなかった。世界有数の都市で1人の障害児も預かれないなんて、そんなバカな話はあるかと思いました。病児保育についても、障害児保育についても、実は保育士養成課程の中ではほとんど習いません。病気のある子だって子どもだし、障害のある子だって子どもなのに、今の保育所は「健康で健常な子」のみを扱っている。だから、保育所でも子どもが熱を出したら「どうしよう、お母さん帰ってきてください」ってなるし、障害があれば「預かれません」となる。本当は全ての子どもたちを受け入れるべきなのに、保育所における保育は、そういう意味で選別しているという認識を私はもっています。みんな「保育所を増やそう」って一生懸命だし、それはそれで分かりますが、同時に病児保育も圧倒的に足りないし、障害児保育も圧倒的に足りません。ここも増やしていかないと、病気の子どもも障害を持った子どもも排除され続けてしまうので、何とかしてくださいと国には言いたいですね。
2016年02月15日理化学研究所や東京大学などは1月28日、日本人の2型糖尿病の発症に関わる7つの疾患感受性遺伝子領域を新たに同定したことおよび、同領域内の遺伝子と2型糖尿病治療薬のターゲット遺伝子とのつながりを調べ、新規治療薬候補を同定したことを明らかにした。2型糖尿病は、生活習慣などの環境要因とともに、遺伝要因が発症に関与することが知られている。共同研究チームは、日本人集団のみを用いた2型糖尿病の「ゲノムワイド関連解析」(GWAS)としては最大規模となる約4万人のゲノムの「一塩基多型」(※SNP)を網羅的に解析し、別の日本人集団約1万3,000人のゲノムを用いた検証解析を行った。Biobank Japanに登録されている2型糖尿病患者1万5,463人と非患者2万6,183人の日本人集団のDNAサンプルを用いてGWASを実施。ヒトのゲノム全体をカバーする約580万のSNPを調べたところ、疾患感受性との関連を示す遺伝子領域を新たに17カ所発見した。この遺伝子領域について、患者7,936人と非患者5,539人からなる別の日本人集団で再現解析を行い、GWASと再現解析の結果を統合した結果、疾患感受性との強い関連を示す7つの遺伝子領域(CCDC85A、FAM60A、DMRTA1、ASB3、ATP8B2、MIR4686、INAFM2)を同定した。これらの遺伝子領域に含まれるSNPのうち、発症しやすいタイプのSNP(リスクアレル)を持つ人は、リスクアレルを持たない人に比べ、1.1~1.2倍程度、2型糖尿病にかかりやすかったという。研究チームはさらに、これまでに解明された疾患感受性遺伝子領域の情報と多様な生物学的・創薬データベース上の情報を照合。新たな2型糖尿病治療薬のターゲットとなりうる遺伝子を探索した。2型糖尿病に関連する83の既知の遺伝子領域と、今回新たに同定した7つを合わせた計90の遺伝子領域の遺伝子について、多様な生物学的データベースとの網羅的な照合を行った。その結果、既存の糖尿病治療薬に加え、糖尿病以外の病気に対する治療薬として開発中の薬剤の中にも、2型糖尿病疾患感受性遺伝子をターゲットとしているものが複数存在していることが判明した。その中でもKIF11、GSK3B、JUNはそれぞれがんや白血病などに対する治療薬として、いずれも臨床試験中の薬剤のターゲット遺伝子で、2型糖尿病の治療にも適応できる可能性があることがわかった。理化学研究所は、「2型糖尿病発症のより詳しい機序を解明することで、個人の体質に合わせた治療法の確立につながる可能性があります。また、今後新たに得られるゲノム情報とさまざまな生物学データベースや創薬データベースの情報を総合的に活用することで、より多くの治療薬の開発が期待できます」としている。※一塩基多型(SNP)…ヒトの染色体にある全DNA情報は、30億にもおよぶ文字の並び(塩基配列)で構成されている。この文字の並びは暗号(遺伝情報)となっているが、その99.7%は全人類で共通。0.3%程度に個人差(遺伝子多型)がみられるが、遺伝子多型の違いが病気のなりやすさなどに関係していると考えられている
2016年01月29日理化学研究所(理研)は1月28日、日本人約4万人を対象にゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った結果、日本人の2型糖尿病の発症に関わる7つの疾患感受性遺伝子領域を同定したと発表した。同成果は理研統合生命医科学研究センター腎・代謝・内分泌疾患研究チームの前田士郎 チームリーダー(琉球大学医学研究科 教授)、今村美菜子 客員研究員(琉球大学医学研究科 准教授)と東京大学大学院医学系研究科/東京大学医学部附属病院の門脇孝 教授らの共同研究チームによるもの。1月28日に英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。2型糖尿病は、生活習慣などの環境要因とともに遺伝要因が発症に関与することが知られている。これまで、疾患感受性遺伝子を見つける代表的な手法であるGWASを使って、数多くの2型糖尿病の疾患感受性遺伝子領域が報告されている。しかし、その多くは欧米人を対象に行われた解析であり、日本人での遺伝要因を解明するためには、日本人を対象としたGWASを行う必要があった。同研究チームは、約4万人の日本人2型糖尿病のGWASを行い、新たに同定された疾患感受性領域を別の約1万3千人の日本人集団を用いて検証した。その結果、2型糖尿病疾患感受性と関連するこれまでに報告されていかった7つの遺伝子領域を同定することに成功した。また、同定した7領域を含む90の疾患感受性遺伝子領域内の遺伝子について、さまざまな遺伝子情報データベースと照合したところ、既存の2型糖尿病治療薬に加え、他の病気の治療薬として開発された薬の中にも2型糖尿病の疾患感受性遺伝子領域をターゲットとしているものが複数あることがわかった。この結果によって、これらの薬が2型糖尿病の治療にも適応できる可能性があることが示された。今後、新たに同定された7つの領域内の遺伝子について、その働きを詳細に解析することで、2型糖尿病患者の個人の体質に合わせた治療法の確立につながることが期待される。
2016年01月29日国立がん研究センターは1月21日、「歩行時間と糖尿病との関連」についての研究結果を発表。1日の歩行時間が2時間以上である人に比べて、30分未満の人は、糖尿病であるリスクが1.23倍高いことがわかった。同研究は、1998年~2000年の期間に男女あわせて2万6,488名を対象に行ったもの。参加者を1日の歩行時間別に「30分未満」「30分以上~1時間未満」「1時間以上~2時間未満」「2時間以上」に分けて、糖尿病(本人が認知していないもの)の有無を調べた。すると、歩行時間が2時間以上の群では糖尿病の有病率が3.8%であったのに対し、30分未満の群では4.7%となった。この結果をもとに、居住地域や年齢、性別、BMI、糖尿病の家族歴などが結果に影響しないよう配慮して分析したところ、1日の歩行時間が2時間以上の群と比較して、30分未満の群の糖尿病であるリスクは1.23倍高いことがわかったという。国立がん研究センターは研究成果について、「歩行時間の少ない人における糖尿病のリスク上昇が示唆された」とコメント。さらに、「BMIを調整した上でも有意な関連が認められており、身体活動による体重への影響とは独立して、歩行時間が糖尿病リスクと関連することが示唆されました」と評価している。※写真と本文は関係ありません
2016年01月22日沖縄科学技術大学院大学(OIST)は12月25日、糖尿病治療に新たな道筋を示す海藻マイクロカプセルを開発したと発表した。同成果は、沖縄科学技術大学院大学とワシントン大学、武漢理工大学の研究グループによるもので、12月25日付けの独科学誌「Advanced Healthcare Materials」に掲載された。1型糖尿病患者に対する、インスリン摂取量を減らしインスリン投与への依存を断ち切るための効果的な治療として、膵臓にあるランゲルハンス島を移植する手法がある。同手法では、大規模な外科手術を必要とせず、局所麻酔ですむ場合がほとんどで、膵臓ごと移植する場合に比べ、安価で安全な手術を行うことができる。しかし、現在はヒト同士の同種移植しかできないため、移植に必要なランゲルハンス島の数は多くない。また、ランゲルハンス島の保存・輸送の際には超低温凍結法が一般的に用いられるが、細胞を冷却し続けると、細胞内部や細胞と細胞の間にある水が凍結しはじめ、氷晶を形成し、これが細胞膜を貫通して細胞を物理的・機能的に破壊するという問題がある。今回同研究グループは、微小液滴を生成するマイクロ流体装置を用いて、海藻から抽出した天然高分子「アルギン酸塩」で作られたハイドロゲルカプセルでランゲルハンス島を包み込み、凍結時の危険から保護する手法を開発。同ハイドロゲルカプセルは多孔質の微小構造が特徴で、カプセル内には自由水、凍結結合水、不凍水といった3種類の水が含まれている。とくに不凍水を多く含んだハイドロゲルカプセルでは、細胞を氷晶によるダメージから守り、凍結防止剤の使用を減らすことができる。同研究グループはさらに、酸素感受性蛍光色素を同ハイドロゲルカプセルの中に加え、ランゲルハンス島の酸素量をリアルタイムで測定するセンサーを開発。これにより、細胞の生存状態を個別あるいは細胞群として調べることができるようになる。また、同ハイドロゲルカプセルは、栄養素や膵臓からの分泌物といった小さな分子を容易に通過させる一方で、移植細胞と宿主細胞が直接接触するのを防ぐことができ、さらに患者のランゲルハンス島を破壊したそもそもの原因である自己免疫反応から移植細胞を保護することも可能となっている。同研究グループは、同ハイドロゲルカプセルが実用化されれば、移植に必要な臓器不足や、細胞の生存状態を個別に確認できる容易で安全な評価方法の欠如といったランゲルハンス島の移植にともなう重要課題を解消することができると説明している。
2015年12月28日いつもデスクで仕事中のみなさん、日頃運動をしていますか? 運動不足は太ること以上に、座りっぱなしでいることことそのものが糖尿病や心臓病といった病気のリスクを高めることが近年の研究で明らかになり、注目されています。週末にまとめて運動をしても、平日座りっぱなしの姿勢でいるとリスクは変わらないそうです。軽くてもいいので、日頃から身体を動かす習慣を身につけることが重要です。そんな習慣作りに、Apple Watchをうまく活用してみましょう。身に付けているだけで活動状態が分かる内蔵アプリの使い方と、運動を楽しくするアプリをご紹介します。○アクティビティ「アクティビティ」は、日常的な身体の動きを記録するApple Watchの内蔵アプリ。Apple Watch上で常に動作しているので、身につけているだけで1日の身体の状態を記録できます。赤のリングは活動による消費カロリーを表示する「ムーブ」、緑は早歩き以上の運動や「エクササイズ」(後述)の時間を表示する「エクササイズ」、青は1時間に1分以上立った回数を表示する「スタンド」です。記録を増やしてリングを完成させれば目標達成、という仕組みです。座りっぱなしの弊害を防ぐ第一歩は、まずスタンドのリング完成を目指すこと。1時間ごとに少し歩いたり軽くストレッチをして筋肉を動かすだけでも効果があるそうです。度々通知が届いて面倒だと思っていた方も、ちゃんと理由があってのことなので、ぜひ積極的に活用してみてください。○エクササイズ「エクササイズ」はランニング、ウォーキングなどの積極的な運動を記録するApple Watchの内蔵アプリ。iPhoneとの接続が切れていても単独で動作するので、大きなiPhoneを持たずにApple Watchだけを身に付けて外へ走りに行くことが可能です。ジム通い派の方向けに室内ランニングや自転車、エリプティカルといったメニューも用意されています。ワークアウトの記録はiPhoneのアクティビティの他、「ヘルスケア」でも確認できます。なお、長時間のランニングやサイクリングで使用する際には、iPhone側でワークアウトアプリの「電力を節約」をオンにしておくとバッテリーの持ちが安心です。○Runtastic Pro「Runtastic」は様々な形でスポーツを楽しめる運動記録アプリ。ランや自転車の他、サッカーやテニスなどの球技、スキー、ダンス、サーフィンといった多彩な種目に対応しています。最近注目されているインターバルトレーニング機能も搭載。運動強度の時間設定やインターバルゾーンをカスタマイズし、自分の体力に合わせたレベルで始めることができます。また、友だちと運動記録を競ったり、今運動中の人に「いいね!」を送るといったコミュニティ機能も搭載。様々な形でトレーニングをサポートしてくれます。Apple Watch単体で記録することはできませんが、ワークアウトのスタートから終了まではApple Watch上で操作可能。iPhoneには触れなくていいので、ホルダーなどに入れっぱなしでOKです。アプリを起動し、ワークアウトを選んで「スタート」をタップすると、進捗を表示する画面に切り替わります。画面をスライドすると心拍数やペースを表示。感圧タッチで「終了」または「一時停止」できます。○Seven「Seven」は7分間のワークアウトをコーチしてくれるアプリ。腹筋、腕立て、スクワット、踏み台昇降など、12種類のメニューを30秒ごとにこなしていくプログラムです。カウントのスタート、終了、次のメニューの準備、とアプリがインストラクターになって次々にメニューを出してくれます。しかも、インストラクターには鬼軍曹やチアリーダーなど5種類のキャラクターが用意されており、いろいろなパターンのセリフで激励や応援の声をかけてくれます。英語ですが、言葉は分からなくても雰囲気で分かります。自分が頑張れる気分づくり、大事です。Apple Watchからもワークアウトの開始が可能。画面上に現在のメニューと継続時間のリングが表示され、切り替えの際には振動で知らせてくれるので、iPhoneを見ずにトレーニングが可能(音声はiPhoneから出ます)。トレーニングを続ける自主性に自信がない人も、コーチしてくれる存在があれば心強いはず。インストラクターの音声もなかなか面白いので、楽しむつもりでトライしてみてください。同様のトレーニングを日本語でご希望の場合は「7分間エクササイズ」がおススメ。有料ですが、動画・音声・テキストで正しい動作がよく分かります。○Pocket Yoga「Pocket Yoga」はヨガの動作を指導してくれるアプリ。アニメーションと音声でポーズの取り方や呼吸法を説明しながら、30~60分のプログラムをこなします。BGM付きでそれらしい気分になれます。ただし、全て英語なので全くの初心者にはちょっと難しいかも。多少ヨガの経験があって、自宅でもやりたいという方にお勧めです。プログラムはiPhone側で動作させますが、Apple Watchでは同時進行でポーズのアニメーションや時間を表示。iPhoneが見えにくい場所にあってもポーズをすぐに確認できます。プログラムは5種類で、それぞれ時間や難易度の異なるものが用意されているので、これ1本でかなり使いごたえがありそうです。
2015年12月15日何歳になっても健康で楽しく暮らしたい――誰しもに共通する願望だと思います。でも病魔は、我々のほんのちょっとした油断を見逃さずに襲いかかってくるもの。最近、それを証明するような研究結果が発表されました。糖尿病ってどんな病気?糖尿病は簡単にいえば、血糖値が高くなってしまう病気です。血糖とは血液中のブドウ糖を指し、体内でエネルギー源として利用されています。健康な状態であれば、血糖値を下げる役割を担うホルモン「インスリン」が作用し、血糖値は一定の範囲に保たれます。しかし、糖尿病になると、このインスリンがうまく分泌されません。糖尿病は大きくふたつの種類にわけることができます。1型糖尿病:膵臓の細胞が破壊されることで、インスリンがつくられなくなる。若年層に多く見られる2型糖尿病:インスリンの分泌量が少ない、または膵臓の機能不全糖尿病になると、一般的に喉が渇きやすくなる、疲れやすくなるといった症状が現れることがです。睡眠が2時間伸びると糖尿病に?つい先日、糖尿病と睡眠に密接な関係があるという研究結果が発表されました。それは、1日の睡眠時間が通常よりも2時間以上長くなると、糖尿病の発症リスクが高くなるというもの。今回の研究では、約6万人のアメリカ人女性を対象に、15年間もの長期追跡を行い、睡眠時間と糖尿病の発症について調べたそうです。この結果で、睡眠が2時間伸びたから確実に糖尿病のリスクが高まるとは言い切れませんが、糖尿病が気になる方は頭の片隅に入れておくとよいかもしれませんね。特に、2型糖尿病は以前より生活習慣と深い結びつきがあると言われてきました。みなさんも睡眠時間や食生活などを一度見直してみましょう。睡眠不足が原因という説も……実は、糖尿病と睡眠の関係にはさまざまな説があり、「睡眠不足が糖尿病を引き起こす、または糖尿病を悪化させる」という説もあります。睡眠不足はインスリンの働きを鈍くすると言われています。つまり、睡眠不足が続くとインスリンがうまく働かず、血糖値が上昇。結果、糖尿病に……ということも考えられるのです。ちゃんと睡眠時間を確保しているのに日中眠くてたまらないという人は睡眠時無呼吸症候群など、本人が自覚していない睡眠障害を抱えている可能性もあります。睡眠に悩みがあるという方は、一度、お医者さんに相談してみるとよいかもしれませんね!photo by YUE MANAMI
2015年12月04日千葉大学医学部付属病院(千葉大学病院)は11月17日、2014年9月より取り組んでいる糖尿病治療薬「ナトリウム依存性グルコース共輸送体-2(SGLT-2)阻害薬」の内臓脂肪減少効果を評価する臨床試験の参加者を募集すると発表した。近年、2型糖尿病の薬物療法では「DPP-4阻害薬」という薬が用いられることが多いが、体重および血糖のコントロールが十分ではない場合がある。同研究で使用する「SGLT-2阻害薬」は、体重および内臓脂肪を減少させることが期待されている。試験の内容は、指定の糖尿病治療薬を服用し、前後の半年間、内臓脂肪の変化をCTスキャンで確認するというもの。DPP-4阻害薬(ジャヌビアまたはグラクティブ)を単剤で内服していて、HbA1cが7%以上かつ標準体重以上の2型糖尿病患者が募集の対象となる。定員は約100名で、現在、57人の患者が参加しているため、あと40名程度の空きがある。なお、申し込みの締め切りは12月末を予定しているが、応募の状況によっては今年度末まで締め切りを延長する場合があるとしている。臨床試験へ参加を希望する場合の問い合わせ先は以下の通り。問い合わせ先: 千葉大学医学部附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科 医局TEL: 043-226-2092
2015年11月17日SBIアラプロモはこのほど、アミノ酸の一種、「ALA(5‒アミノレブリン酸)」を含んだサプリメント「アラプラス」を11月9~15日の期間、東京都・銀座の東京国際クリニック/歯科にて無料で提供する。同サプリメントは、加齢に伴い生産性が低下するアミノ酸「ALA」を含んだもの。今回、健康維持に役立ててもらおうと、全国糖尿病週間にあたる11月9~15日の期間、東京国際クリニック/歯科に来院し、治療を受けた人に同商品を無料でプレゼントする。同社によれば、歯周病治療が成功すると、歯周病が原因の炎症を引き起こす物質が減少し、血糖値が低下するという研究成果※が発表されているとのこと。同社は「歯周病の治療が糖尿病の予防にもつながると考えられ、糖尿病予防啓発キャンペーンを実施することで、健康意識を再認識していただけることを期待しております」とコメントしている。※「口腔内バイオフィルム デンタルプラーク細菌との戦い/奥田克爾著」による
2015年11月09日サンスターはこのほど、日々の血糖値や食事内容などを記録できる「糖尿病管理手帳 WITHNOTE 2016」を抽選で1,000名にプレゼントすると発表した。「糖尿病管理手帳 WITHNOTE 2016」は、糖尿病患者の意見をもとに2014年版から製作されているもの。日々の血糖値や食事内容に加えて、血圧、体重、歩数などが記録でき、血糖値のコントロールに活用することができる。2015年版利用者へのアンケートでは、「自身の生活習慣改善のヒントが得られた」などの声が寄せられ、回答者の90%が糖尿病管理に役立っていると回答したという。2016年版では、糖尿病・歯科検診の検査結果に対しての目標記入欄や、糖尿病のお役立ち情報コラムなども付いている。メモページを追加したり、月間カレンダーの表示を改良したりするなど、さらに使いやすさを高めた仕上がりになっているとのこと。同社が運営するウェブサイトから応募が可能。締め切りは11月25日となっている。
2015年11月06日西友は10月28日、「西友、惣菜ビジネス戦略発表会・試食会」を東京都・八重洲にて開催し、日本糖尿病協会が監修した糖尿病になりにくい「8品目のヘルシー弁当」(398円・税別)の発売を発表した。○カロリーと塩分をおさえた弁当が発売同商品は糖尿病を予防したい人、健康志向の人などを対象にしたお弁当。カロリーや塩分をおさえ、野菜を中心とした栄養バランスのいいおかずを取りそろえている。商品づくりにあたってメニューを監修したのは、糖尿病予防の啓発活動などを行っている日本糖尿病協会。発表会では、実際に監修を担当した同協会理事で秋田大学大学院 医学系研究科教授の山田祐一郎氏が登壇し、どのような点に留意しアドバイスを行ったのか解説してくれた。まず指摘したのは「エネルギー量」だ。山田氏によれば、標準的な糖尿病患者の摂取エネルギー量は1食あたり500kcal。同商品はそれを下回る※464kcalに設定されている。さらに山田氏は低カロリーの効果について「長寿につながる」とコメント。「一般的な人が摂取している標準的な1日のエネルギー量は2,000kcalと考えると、1食あたりの(平均摂取エネルギー量と比較して)同商品のエネルギー量は2~3割減となり、 同商品は長生きにつながる健康食といえる」という。また塩分量は※2.3gに設定 。厚生労働省によれば、塩分摂取量の1日あたりの目標値は成人男性で8.0g、成人女性7.0gとなっていることから、毎日3食同商品を食べても目標値を達成できることになる。加えて、脂肪やたんぱく質、炭水化物のバランスも重視した。最後に山田氏は「糖尿病患者の食事というのは特別な病気の人に対する食事というよりは、一般の人にとっても健康にいい食事。結果として糖尿病にもなりにくいので、食事をとる際にどういうことに留意する必要があるか、意識づけるという意味でも食べていただけたらと思う」と述べた。※関東エリアで販売される商品の栄養成分値○薄味……かと思いきや、満足感たっぷり!さて、気になるのはそのお味だ。早速提供されたお弁当のふたを開けると、彩り豊かでボリュームたっぷりなメニューが並んでいた。品目は8種。野菜ばかりなのかと思いきや、お肉もしっかり入っている。メインディッシュの「チキントマト煮」は、「満足感を感じてもらいたい」とカロリー制限がある中でも味付けなどを工夫して盛り込んだという1品。実際に食べてみると、トマトの味がしみこんだジューシーな味わいが口の中に広がり、空腹を満たしてくれた。くわえて「小松菜のおひたし」や「野菜の煮物」は、塩分控えめながらしっかりとした味付けになっている。同社によれば「煮込みや冷やしこみの時間を工夫した」とのこと。ごはんも「十六穀米御飯」と「五種豆と五穀入り御飯 」の2種を用意。栄養価が高いだけでなく、かむ回数が増えることで腹持ちが良くなる効果もあるという。同商品は全国の西友341店舗で11月6~30日の期間販売される予定だ。○6人に1人が糖尿病&糖尿病予備軍「糖尿病が強く疑われる人」の割合は近年増加傾向にあり、男性で16.2%、女性で9.2%。このうち65歳以上の高齢者は73.3%を占めている(2013年国民健康・栄養調査: 厚生労働省)。さらに日本糖尿病協会によれば、日本の総人口の6分の1にあたる約2,210万人が糖尿病、またはその予備軍に該当するということで、予防のための食生活や食習慣の見直しがますます求められているといえるだろう。11月14日は「世界糖尿病デー」、11月9~15日は「全国糖尿病週間」となっている。この機会に、普段意識することが少ないかもしれない糖尿病について関心を持ってみてはいかがだろうか。
2015年10月29日九州大学はこのほど、マウスをモデル動物として妊娠前糖尿病が胎児に先天性心疾患を引き起こすメカニズムを解明したと発表した。同成果は同大学大学院医学研究院の目野主税 教授、蜂須賀正紘 医師らの研究グループによるもので、9月8日に「米国科学アカデミー紀要」に掲載された。これまでの研究から、妊娠前糖尿病が胎児・新生児に対し、臓器形態の左右非対称性の異常である内蔵錯位を伴う先天性心疾患の発症リスクを増大させることが知られている。臓器の左右非対称性は、胚発生初期に形成される左右軸によって確立されることから、今回の研究ではマウス糖尿病モデルおよび全胚培養によって糖尿病が左右軸・心臓形成に与える影響を解析した。解析の結果、糖尿病雌マウスでは、最初の左右非対象形態形成である心臓ルーピングなどの左右性が逆転した胚が出現し、臓器の左右情報に関わるPitx2という遺伝子の胚左側の発現が消失していた。Pitx2発現消失は、左側臓器形態の右側化および先天性心疾患につながることが知られている。さらに、左右軸異常に至るメカニズムを解析するため、グルコースを高濃度に添加した培養液で高血糖状態のマウス胚を発生させた結果、この高グルコース胚では、左右軸情報が生み出されるノードという構造におけるNodalという遺伝子の活性が激減していた。NodalはPitx2を誘導する遺伝子であるため、その活性が抑制されることが、左右軸形成異常に至る原因であることがわかった。また、Nodalなどの発現を誘導するNotchシグナルも抑制されていたことから、高グルコースは左右軸形成期のNotchシグナルを抑制し、これが妊娠前糖尿病における先天性心疾患を伴う内蔵錯位発症の一因になっている可能性があると考えられるという。同研究グループは「本研究から、ヒトにおいても血糖値の逸脱が一過的であっても先天性心疾患が発生する可能性が示唆されます。また、妊娠前糖尿病では様々な種類の先天異常の発症リスクが高まることが知られていますが、その原因の多くは不明のままです。本研究の知見が、他の局面における高血糖の作用を解明する糸口となり、妊娠前糖尿病における先天異常の予防につながることが期待されます」とコメントしている。
2015年09月14日イギリスでは、糖尿病患者が増えているそうです。肥満が原因となる糖尿病の場合、毎日の食生活で予防することができます。でも「健康な食事」といわれても、なかなかピンときませんよね。そこで参考にしたいのが、栄養士のケリー・マッケイブさんが考案した1日2,000kcalの平日5日分のメニューが紹介されている『The Guardian』の記事。このメニューを見ると、2,000kcalの食事がどれくらいの量で、なにが食べられるのかが具体的にわかります。2,000kcalというと「物足りないかな?」と思いますが、満足感もありそうなメニューばかり。栄養たっぷりで、お手軽なものも多いです。「多めにつくって翌日も食べる」など、実践的なアドバイスも盛り込まれています。おいしく健康に、糖尿病を予防しちゃいましょう!■1:月曜日朝食はベリーとナッツを入れたヨーグルト。ヨーグルトは100グラムくらいで、ミックスベリーをひとつかみ、ナッツはお好みで入れます。昼食はスモークサーモン、低脂肪のクリームチーズ、ほうれん草のサンドイッチ。パンは大豆とアマニのパンで、チェリートマトもひとつかみつけます。夕食はサツマイモとほうれん草、レンズ豆を煮込んだカレーです。多めにつくっておけば、翌日のランチにも食べられます。■2:火曜日朝食はバナナがゆ。オーツとスキムミルク、スライスしたバナナとブラジルナッツでつくります。昼食は前日の残りのカレーです。夕食はサーモンのパルマハム巻き。アスパラとペストソース、クレームフレーシュ、ジャガイモを添えます。■3:水曜日朝食は大豆とアマニのパンの上に、スクランブルエッグ、スモークサーモン、そしてアボカドを乗せます。昼食はお惣菜のトマトスープを買いましょう。ひとつかみのレンズ豆か、ささげ、そしてほうれん草を足します。栄養価がぐっとアップしますよ。夕食はチャーハンです。鶏モモ肉と大きめのエビ、卵を入れます。翌日の昼食用に2人前つくっておきましょう。■4:木曜日朝食は穀物やドライフルーツたっぷりのシリアル。リンゴジュースとヨーグルトを足してさっぱり仕上げます。昼食は前日のチャーハンをお弁当に持って行きましょう。夕食は野菜たっぷりのイタリア風オムレツ。玉ねぎとチェリートマト、ほうれん草、バジル、リコッタを卵に混ぜ込んで焼きます。卵6個で多めにつくっておけば、翌日も食べられます。ほうれん草とロケットのサラダも添えて栄養価を上げます。■5:金曜日朝食は月曜日と同じ、ベリーとナッツのヨーグルト。昼食は前日のオムレツとサラダです。夕食は淡水魚のティラピアをスパイシーに焼き上げます。つけ合わせにはインゲン豆とサツマイモをつぶしたものを添えましょう。*2,000kcalでもおいしそうな料理がたくさん。売っているお惣菜でも、少し野菜を加えるだけでぐっと栄養豊富になります。この通りにつくるのは難しくても、使えるメニューを1品からでも毎日の食事に取り入れて、健康な食事を始めましょう。(文/スケルトンワークス)【参考】※The anti-diabetes diet: a 2,000 calorie-a-day food planner-the guardian
2015年09月13日マキノ出版はこのほど、新刊『糖尿病は歯ブラシで治せる』を刊行した。糖尿病は、予備軍も含めると日本国内の成人6人に1人にあたる2,050万人もいると推定されている。糖尿病対策は、食事療法と運動療法が2本柱であったが、長続きせずに挫折する人が多かった。同書での著者は、全国の実証実験において、歯周病と糖尿病の相関関係に着目。以来、研究を重ね、「オーラルケアを徹底すると糖尿病が改善する」という結論を導きだした。同書では内科医と歯科医師による画期的なセルフケアを紹介している。同書では、歯の汚れが血糖値を上げる要因であるという点から、「歯周病‐脂肪肝‐糖尿病」の負のスパイラル、血糖値とプラークをコントロールするための食事と運動について解説。歯周病のセルフケアとして正しいブラッシングの方法、歯磨き剤の選び方、補助アイテムの使い方などをわかりやすく紹介している。価格は1,404円(税込)。
2015年08月26日サンスターはこのほど、同社が運営する「糖尿病とうまくつきあう」サイトにおいて募集していた「第3回 糖尿病川柳」の入賞作品を発表した。「糖尿病とうまくつきあう」は、糖尿病患者とその家族を支援することを目的に2012年に同社がオープンしたサイト。同サイトでは、6月2日~30日まで糖尿病に関わる川柳を募集していた。投稿テーマは糖尿病と関連していれば何でもありの「糖尿病×○」、糖尿病管理と食事についての川柳「糖尿病×食事」、糖尿病管理と運動についての川柳「糖尿病×運動」、糖尿病と関係している口腔(こうくう)の健康についての「糖尿病×口腔ケア」で、期間中は約430作品の応募があったという。その中から各投稿テーマにつき1点、「ザ・ベスト川柳賞」を選出した。「糖尿病×○」川柳で選ばれたのは、「減らないで 預金年金 インスリン」(韓流スターさん)。「糖尿病×食事」川柳で選出された作品は「ダメダメと 言われて増える 爆食いよ」(もりこさん)。「糖尿病×運動」のテーマでは、「ランニング コーチの妻は 肥満体」(かる太さん)が選ばれた。「糖尿病×口腔ケア」川柳で選出されたのは、「腹回り 歯周り注意 糖尿病」(八十日目さん)。そのほか、同社が発行している糖尿病管理手帳「WITH NOTE」の2016年度版に掲載する川柳として「WITH NOTE賞」受賞作品も選出した。同賞の作品は、「インスリン 打ってヒーロー 草野球」(モークンさん)、「断捨離で 甘い美味しい 断ち切るぞ」(ねこまるさん)、など50句。また、食事・運動・口腔ケアの各テーマから、抽選で「ありがとう賞」も選出。「おっかない 妖怪並みの 血糖値」(ナフナさん)、「ダイエット 説いてる妻は ビール腹」(nobuさん)、「ウォーキング 減らない体重 減るやる気」(さぼさん)など。このほかの川柳や入賞者の声は、「第3回 糖尿病川柳 ~糖尿病 川柳祭りで 楽しもう~ まとめページ」で紹介している。
2015年08月03日少し前に、猫ひっかき病で米国の女性が失明したというニュースが波紋を広げていました。猫ひっかき病とは、猫だけでなく人間にも感染する病気(人獣共通感染症)です。猫ひっかき病という名前ですがひっかくだけでなく噛まれても感染することがあります。眼症状は猫ひっかき病の一般的な症状ではありませんが、脈絡網膜炎を起こすことがまれに報告されています。このケースでは、「猫が自分の眼をなめた」と女性は話しています。猫ひっかき病の原因菌(バルトネラ・ヘンセラ)に限らず、眼に細菌やウィルスが感染した場合、失明することは起こり得ます。不衛生なものが入ったときはしっかり洗眼し、眼科医に相談した方が良いでしょう。猫ひっかき病は、ちょっとかわいらしい(?)名前の病気ですが、重症例では脳炎や数週間痛みが続くこともあるので気をつけなくてはいけません。猫ひっかき病の症状、感染ルートや危険性について解説していきましょう。○原因はバルトネラ・ヘンセラという細菌バルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)という細菌が原因菌です。猫自身はこの細菌に感染していてもほとんど症状を呈さないので、感染しているか否かは抗体検査や遺伝子検査をしてみないとわかりません。日本の報告では7.2%の猫が猫ひっかき病に感染していたという報告があり、外出する猫や3歳以下の若い猫で感染率が高いことがわかっています。この菌は猫の体内では赤血球の中に潜んでおり、感染猫の血液を吸ったノミによって、または喧嘩により猫から猫へ感染が広がります。○人間への感染ルート感染している猫にひっかかれる、咬まれることにより感染します。ノミの糞に含まれる細菌が猫の牙や爪につくのではないかと考えられています。そのため、創部を舐められることでも感染する可能性はあるでしょう。○症状上記の通り、猫は殆ど症状を示しませんが、発熱、食欲不振、傾眠などがみられることがあります。人間の症状の場合は、猫による受傷後3~10日目に虫刺されのように赤く腫れ、その後リンパ節が大きく腫れてくるのが典型的です。猫にひっかかれた直後に傷に沿って赤く腫れるのは物理的な刺激に対する炎症反応であり、猫ひっかき病の特徴ではありません。腕をひっかかれた場合はけい部、腋窩(えきか・わきの下)のリンパ節が腫れ、足の場合は鼠径部(そけいぶ・太もものつけね辺り)が腫れます。全身症状としては、発熱、悪寒、けん怠、食欲不振、頭痛など。その他の症状では、リンパ節炎を発症した後に脳炎、心内膜炎などに進行することもあります。多くの場合は自然に治癒しますが、重症例では数週間症状が続くこともあります。○まとめこの病気の特徴から、多くの猫と接触する仕事(シェルター、動物病院)で感染リスクが高いです。この細菌の抗体を持っている率が一般的な人では4.5%だったのに対し獣医師は11.0~15.0%であったというデータがあります。この細菌に対するワクチンはなく、ノミ予防の徹底、爪切り、猫を触った後は手を洗う、警戒心が強い猫に近づかないなどの基本的な対策が感染予防になります。免疫力が低い子供や高齢の方は特に気をつけましょう。■著者プロフィール山本宗伸獣医師。Syu Syu CAT Clinicで副院長を務め、現在マンハッタン猫専門病院で研修中。2016年春、猫の病院 Tokyo Cat Specialistsを開院予定。猫に関する謎を掘り下げるブログnekopediaも時々更新。
2015年07月14日新潟大学は6月18日、糖尿病治療で使われるインスリンなどの血糖降下薬による低血糖脳症に対し、新たな動物モデルを作成し、用いることで低血糖脳症の治療薬を発見したと発表した。同成果は新潟大学脳研究所神経内科の下畑享良 准教授を中心とする研究グループによるもので、6月18日の国際科学誌「PLOS ONE」に掲載された。低血糖脳症は、糖尿病の治療でインスリン注射や内服の血糖降下薬を用い血糖値を下げたときに、薬が効きすぎることで起きる。糖は脳にとってのエネルギー源であるため、低血糖脳症は重度の脳障害や認知症の原因となる。近年、その数が増えていることが問題となっているが、ブドウ糖注射を除くと治療薬がなく、治療薬の開発が望まれているが、良い動物モデルがないという課題があった。従来の動物モデルは低血糖におる脳のダメージによって呼吸が止まるため、人工呼吸器を使用していたが、難易度が高いという問題があった。今回の研究では、脳波をモニターしながら脳の傷害をチェックする方法を用いることで、人工呼吸器を使用しないで済む動物モデルを確立した。また、このモデルを用いることで、低血糖の治療として行うブドウ糖注射のあとに、脳内にアルデヒドのひとつである4HNEという物質が蓄積し、神経細胞を傷害すること、その障害の程度は低血糖の時間が長いほど高度になることを発見。アルデヒドを分解する酵素を刺激する薬剤「ALDH2 アゴニスト」をブドウ糖と一緒に注射したところ、脳内のアルデヒドが減少し、神経細胞の障害も抑制されることを確認した。このアルデヒド分解酵素刺激薬が実用化されれば、低血糖脳症患者の一部の予後を改善する可能性がある。同研究グループは今後、今回開発した動物モデルを用いて、さらに低血糖脳症の治療薬候補の同定を進め、最も効果が期待される治療薬を用いた治療の実用化を目指すとしている。
2015年06月18日慶應義塾大学(慶大)は6月16日、北里大学との共同研究で、遺伝性パーキンソン病患者由来のiPS細胞を樹立し、分化誘導した神経細胞を用いてパーキンソン病患者の脳内における病態を解明したと発表した。同成果は慶大学医学部生理学教室の岡野栄之 教授、北里大学医療衛生学部再生医療・細胞デザイン研究施設細胞デザイン研究開発センターの太田悦朗 講師(慶應義塾大学医学部共同研究員)、小幡文弥 教授らの研究グループによるもので、6月8日(現地時間)に医学誌「Human Molecular Genetics」に掲載された。同研究グループは全患者の10%を占める遺伝性パーキンソン病患者の発症メカニズム解明を目的に、原因遺伝子LRRK2に変異を有する優性遺伝性パーキンソン病家系内の患者2名からiPS細胞を樹立し、これらのiPS細胞から神経細胞のもととなる神経幹細胞を作製後、分化誘導した神経細胞について機能解析を行った。LRRK2に変異を持つ患者は、全患者の90%を占める孤発性パーキンソン病と臨床症状や発症年齢、治療薬に対する反応など似た特徴を示すことがわかっている。解析の結果、iPS細胞から誘導した患者の神経細胞群では、健常者の神経細胞群に比べ、酸化ストレスに対する脆弱性があったほか、ドーパミンの放出異常あること、細胞内のAKT/GSK-3βシグナル伝達経路の異常によってリン酸化タウが増加することも明らかとなった。また、iPS細胞を樹立したうちの1名の患者の死後脳を調べたところ、GSK-3β活性化によるリン酸化タウの増加、そしてそれが脳内に沈着して引き起こされる神経原線維変化が確認された。同研究グループは「今後、この患者由来のiPS 細胞を用いることで遺伝性だけでなく孤発性も含めたパーキンソン病の病態解明や治療のための新薬開発が期待される」とコメントしている。
2015年06月17日大阪市立大学の研究グループが、睡眠障害と糖尿病の関係性に関する新たな事実を発表しました。それによると、不眠の治療が心筋梗塞や脳梗塞の予防につながるかもしれません。この研究は、米オンライン科学誌プロスワンに発表されたもの。その研究内容についてご紹介します。睡眠障害と糖尿病今年4月に大阪市立大学医学研究科のグループは、「糖尿病によって血糖値をコントロールできなくなると、睡眠障害が起こることを脳波計による実験で立証した」と発表しました。以前から、睡眠障害を患っている人は糖尿病を抱えていたり、将来的に高確率で糖尿病を発症するということはわかっていたそうです。糖尿病患者には、健常者に比べて約2倍の不眠が見られると言われています。これは肥満による睡眠時無呼吸症候群を除いた数字で、これまでいろいろな原因が指摘されてきました。過去の研究では、睡眠障害と糖尿病の関連が示唆されていたものの、糖尿病による血糖コントロールと睡眠障害の直接の関与は明らかにされていませんでした。血糖コントロールとは?大阪市立大学の研究グループが、糖尿病の血糖コントロール指標のHbA1cが睡眠第1相の時間、および深睡眠である徐波睡眠の時間と関連があるかどうかを調べたそうです。この研究は、63人の糖尿病患者に脳波計をつけて、睡眠の質を測定し、血糖コントロール指標との関連を調べるというもの。その結果、血糖コントロール増悪により深睡眠の徐波睡眠相が減少すること、および深睡眠指標であるレム睡眠潜時の短縮をもたらすことが明らかになりました。この研究によって、深睡眠の障害(時間短縮)は動脈硬化の進展につながる可能性がある、ということが示唆されました。糖尿病の重要な治療方法になる可能性がある!睡眠障害の治療によって交感神経系疾患の改善がもたらされることや、それに伴い、血糖の改善が期待できるという結果も得られたそうです。ただ、今回の研究では、血糖コントロールについてのみの少数の症例による結果しか得られていないそうなので、現在は血圧や血管障害指標の改善の有無についても検討しているそうです。今後、研究が進展していき、睡眠障害の治療によって血糖コントロールの改善、高血圧の改善、血管障害の緩和を期待できる結果が得られた場合、睡眠障害治療が糖尿病の重要な治療方法になる可能性があると言われています。この研究が睡眠障害の治療目的を新たに位置づけるうえで、重要な研究になるかもしれないそうですよ。photo by Nuclear Refulatory Comm
2015年06月12日5月の連休明け、新入社員や新入生に多いといわれるのが五月病。何となくやる気がでなかったり、体がだるくなったりする症状です。でも、社会人にとっては、5月より6月が要注意。GWの余韻も消え去った今の時期に心身の不調を訴える人が多く、「六月病」とよばれているのです。■「六月病」とは一体どんなもの?六月病は、気持ちが沈んでやる気が出ない、体が重くてだるい、食欲がなくなる、なかなか寝付けない、不安やイライラなど、五月病と同じ症状があらわれます。六月病は、五月病と同様、真面目で責任感の強い人、内向的で自分の感情をあまり表に出さない人がなりやすいといわれています。さらに、真面目で几帳面な性格の人ほど、やる気が出ないのを自分のせいにしてしまったり、些細なミスで落ち込んでしまったり…と、症状を悪化させてしまうことが多いようです。五月病も六月病も正式な病名ではなく、医学用語でいうと「適応障害」にあたります。新年度から入社や異動、新プロジェクトなどで、これまでとは違った新しい環境がスタートし、その中でたまったストレスによって、心身の不調をきたしてしまうのです。■なぜ6月に不調があらわれるの?これまで一般的には五月病といわれていたこれらの症状が、6月にあらわれるようになったのには理由があります。新入社員の場合は、最近では新人研修期間を長く設ける企業が増えているため、6月頃に正式に配属が決定になり、実務につくことになります。また、たとえベテラン社員であっても、業務の専門化やIT化などによって、新しい仕事に慣れるまでには時間がかかります。新しい仕事や人間関係の中では、自覚はしていなくても、毎日を緊張状態の中で過ごすことになります。環境に慣れてきた今の時期に、緊張の糸が切れ、「何だかやる気が出ない…」という六月病となってあらわれてしまうのです。さらに6月は毎日雨が続く梅雨の時期。ジメジメとした天気が、憂うつな気分がさらに加速させてしまうのです。■六月病を解消する方法とは「もしかして六月病かも」と思ったら、まず見直したいのが食事と生活習慣。暴飲暴食や睡眠不足は、症状をさらに悪化させます。バランスのよい食事と、規則正しい生活を心がけてください。中でも、ストレスから体の細胞を守るとされるビタミンCを積極的にとるようにしましょう。朝食や間食にフルーツを食べるようにしたり、コーヒーの代わりに野菜ジュースを飲むのもおすすめです。休みの日に体を休めようと、“寝だめ”をするのはNG。普段と違う睡眠サイクルが体のバランスを崩し、逆効果になってしまいます。睡眠時間は5~8時間程度とるようにして、休日に寝坊する場合も普段のプラスマイナス2時間までにとどめましょう。また、「やる気が出ない」というときに有効なのが、新しい目標を立てることです。「毎週1冊ずつ本を読む」といったような、仕事とは関係ない目標であれば気分転換にもなります。適度な運動は六月病対策にも有効なので、「朝、出社前にウォーキングをする」「寝る前にエクササイズをする」という目標を立てれば、ダイエットにもなって一石二鳥です。六月病を放置していると、うつ状態が長引くことにもなりかねません。上手にストレスを発散させて、気持ちをスッキリさせたいですね。
2015年06月02日突然ですが、あなたは恋愛における「ナイナイ病」を知っていますか?恋愛エッセイストの潮凪洋介さんが提唱する「ナイナイ病」とは、女性が男性に対して起こす、「してくれない、成長しない、できない、謝れない、頑張らない、感謝しない」といった「ナイ」がつくマイナスアクションのこと。「私それ苦手なんだもん。できないよ」とほっぺたを膨らませてかわいくお願いすれば、たいていの男性は快く助けてくれる。もしあなたがそんな風に思っているとすれば、それは「ナイナイ病」にかかっている証拠です。そしてそれは逆に、女性のかわいらしさを台無しにしてしまう行為だと知っておくべきでしょう。今回は、潮凪洋介さんの著書、『「かわいい」と思われる女 50の習慣』より、かわいい女になるために卒業すべき「ナイナイ病」についてご紹介いたします。■1.~してくれない「(『してくれない』は、)すべて男性に何かをやってもらおうとする。やってもらうことによって男性からの愛を確かめる。自分の重要度を確かめるといったような悪い習慣です。」「電話もメールも返してくれない。私と仕事どっちが大事なの!?」と彼氏に詰め寄るような女性は、「自分を愛しているなら当然○○してくれるはずだ」と、相手の行動を勝手に自分への愛情の大きさにすり替えてしまっています。筆者も昔このパターンに陥りましたが、このような時はたいてい、自分がどれだけ愛されているのかということばかりに目がいって、相手を愛することはすっかり忘れているんですよね。■2.~できない「(『できない』に関しては、)何事もやる前から諦めてしまうような考え方です。向上心のある男性からすると、一緒にいてとてもつまらないと感じてしまいます。」苦手なことや分からないこと、考えるだけで気が重くなるようなことは誰にだってありますが、「できない」自分を認め、どう向き合い、どう乗り越えていくのか。そこにその人の強さや本来の姿が現れます。苦しい過程を放棄して、すぐ「できない」と口にする女性は、何でも人任せでやる気のない人だと思われてしまうでしょう。■3.謝れない「通る筋と通らない筋が大人になってまでわからない、そんな女性です。自分が悪いと思ったらスポーツのルールのように謝る。そして、次の行動に切り替えればいいところを絶対に謝らない。醜態を晒してしまう、そんな女性です。」ミスを犯した時、他人に迷惑をかけてしまった時、「ごめんなさい」「すみません」の一言を言えば収まるのに、最後まで意地を張っていたり、はたまた逆ギレしたり・・・いくら外見が良くとも、謝罪の言葉が言えない「面倒で自我の強い女」だと敬遠されてしまいます。■4.頑張らない「(次に、『頑張らない』は、)努力したり、目標を持ったりすることを全くしないという女性です。癒やしは、もちろん大切なのですが、頑張りどころを持たない女性は、男性から見て、徐々に物足りない存在へと変わっていくのです。」穏やかで平凡な毎日ももちろん大切ですが、時には仕事なり、スキルアップのための資格の勉強なり、自分に負荷をかけて踏ん張ることも必要です。目標に向かって頑張る姿を見て、お互いに高め合っていこうとする関係性を求めている男性の場合は特に、頑張らない女性では刺激が足りなくなってしまうのでしょう。■おわりにいかがでしたか?「女はでしゃばらずに男に甘えた方がかわいらしい」という考えをお持ちの方も多いのではと思いますが、このように何事も受け身な姿勢では男性に負担をかけるばかりで、そのうち捨てられてしまうかもしれません。してもらって当たり前、の「ナイナイ病」は卒業し、「自分でやる、努力する、人に与える」ことが自然にできるようになりたいですね。そのように自ら考え、アクションを起こせる女性は、男性の目には魅力的に映るのです。引用文献:潮凪洋介『「かわいい」と思われる女 50の習慣』(成瀬いづみ/ハウコレ)
2015年05月22日長いゴールデンウィークも終わり、普段の生活が再び始まったものの、どうにもやる気がでない、モチベーションが上がらない、集中できない、といった、いわゆる「五月病」の症状を感じている人も多いと思われます。実際、五月病の症状を感じる人は、7割近くに及ぶ、という調査結果もあります。昔から「病は気から」とも言われており、近年の研究から神経系が免疫系に対して分子レベルで調節を行う機構の一端が判明するなど、心と身体の関係が解明されつつありますが、古くは1980年代に、「腸」が「第2の脳(セカンド・ブレイン)」として機能していることを米国コロンビア大学医学部で解剖細胞生物学の教授を務めていたマイケル・D・ガーション博士が発表し、世界的に話題となりました。なぜ腸が第2の脳なのか?、ということを簡単に述べると、腸は約1億個の神経細胞が集まり、独自の神経叢ネットワークを構築しているほか、人体で生成される精神を安定させる神経伝達物質「セロトニン」(一般向けには、幸せホルモンと呼ばれる場合もあります)の90%超を生み出す場所でもある、といったことが挙げられます。そんな腸内の環境を整えてあげることで、心も身体も元気になる、と語るのは、順天堂大学医学部付属 順天堂医院 総合診療科・病院管理学 教授で、日本一行列ができる便秘外来としても知られる小林弘幸先生です。小林先生は「一見、元気に見えても腸内環境が悪い人は多く、そうなると血液の質も落ちます。疲れが出てくるとメンタルも落ち込み、腸内のセロトニンの量も減っていきます」と、腸内環境の悪化が精神面にも影響を及ぼすと語ります。実際、先生はスポーツドクターとしても活動されており、メンタルトレーニングではなく、基本的な部分で強い身体を作り上げることで、精神面の好調を促す、という指導を行っているそうです。では実際に、どうやって肉体の内部、特に腸を鍛えるのでしょう。「腸内には腸壁に600~1000兆個ともいわれる細菌が生息し、"腸内細菌叢(腸内フローラ)"と呼ばれる集団を形成しています。通常、それらの細菌は"善玉菌""悪玉菌""日和見菌"と分けられ、20:10:70の割合が良いとされていますが、このバランスが崩れるとセロトニンが作られなくなり、不足していきます」(同)と、3種類のバランスを整えてあげることが重要であることを指摘します。この善玉菌ですが、子供の方が多く、年代を重ねるごと、特に40代から、特にビフィズス菌が減少してくるとのこと。自律神経も30~40代から働きが鈍くなってくるため、腸の働きも落ちて、便秘になりやすく、悪玉菌が増える環境になりやすくなってきます。「善玉菌が減る理由として、エサとなる食物繊維が不足するためだけでなく、腸の粘液などの量が減り、細菌の活性が落ちることも考えられます。ストレスも30~40代あたりから増えるので、そういったことも要因として考えられます」。「腸内の環境が荒れると、炎症が生じ、セロトニンが減ります。そうなると、便秘にもなりやすくなります。ちなみにうつ病患者は基本的に便秘です」(同)であり、腸内環境を整えるためには、内側と外側の両方からの取り組みが重要だといいます。「内側は食事、外側は運動で整えますが、運動はしたくないという人も多いと思います。ですが、過度な運動は不要で、3~4秒程度息を吸って、口をすぼめて6~8秒間で吐く、といった呼吸法を1日3分もやれば十分です。これをやると、副交感神経の働きを高めて、腸の運動が促されるのです」。では、内側に向けた食事はどうすればよいのでしょう。答えは腸の外部から「菌」を連れてくる、ということになります。どんな菌が良いのか、というと、「発酵食品であればなんでも良いです」とのこと。「最近の研究では、新たな菌を外部から腸内に投入してやると、もともと腸内に居た菌が刺激を受けて活性化し、動きが鈍っていた菌たちの動きが改善されるのではないかという、考えになっています」ということで、どんどん菌を外部から取り入れることが良いとします。ちなみに菌には殺菌などによって死んだ菌(死菌)と、生きている菌(生菌)がおり、かつては胃酸や胆汁酸などにより、胃や小腸で死んでしまうので、どちらでも良く、むしろ死菌の方が効果があるとも言われていましたが、近年の研究では、実際に技術の向上などにより腸に生きたまま届けられるようになり、それによって新たな効果を得られるのではないか、という報告も複数の企業から(資料1、資料2、資料3、資料4)だされるようになっており、小林先生も「生きた菌を腸まで届けた方が良いかもしれない」としています。この菌の摂取量ですが、ヨーグルト換算で1日あたり200gが目安だとのことで、1カ月くらいですんなり改善してしまう人もいますが、基本的には少なくとも3カ月は継続する必要があるとのことです。200gというと、結構な量のように思えますが、「朝晩で100gずつでも良いし、食べるものは変えても良い」とのこと。ちなみに、上述の資料でも触れているダノンは、4月27日よりダノンビオのカップタイプドリンクを発売したそうで、これを飲んでも良いかもしれません。また、「腸内細菌のエサになる食物繊維の摂取も重要です。特にお勧めは水溶性食物繊維の多い食物」とのこと。水溶性食物繊維が豊富な食物というと、もやしやゴボウ(これらは不溶性食物繊維も含んでますね)、寒天、ひじき、キウイフルーツ、りんご、イチゴなどがあります。ちなみに、キウイの輸入販売で有名なゼスプリが、酸味を抑え、甘みを強くした新品種「サンゴールド」を今年から本格販売をしていますので、興味が沸いた人はスーパーなどのキウイコーナーを見ていると良いでしょう。従来の「ゴールド」に代わって、しれっとサンゴールドになっている場合が筆者の周りではかなりありました。「腸は、腸に良いものを食べてあげれば、しっかりと動いて、結果を出してくれます。暴飲暴食はもってのほかです。せっかく食事をするのだから、おいしく食べることも必要です。そうしたことを意識し始めれば、おのずとそうした食物を摂取するようになるはずです。便秘は病気ですので、もし、そうした取り組みを進めても、腸が元気にならないようであれば、診療も考えてもらった方が良いと思います」(同)。なお、うつ病は脳のセロトニン不足が原因とされていますが、腸内で生成されたセロトニンは脳の血管内部にある血液脳関門という仕組みにより、直接は脳に入れません。しかし、腸内のセロトニンが脳にも有効であるという説もあり、腸と脳のセロトニンの関係性については、仮説の域を出ないということです。
2015年05月21日4月はやる気満々だったのに、5月を迎えたら、何となく気持ちが晴れない…ということはありませんか? あまりに不調であれば専門家に相談すべきですが、ちょっと落ち込んでいるくらいなら、気分をスカッと爽快にしてくれるDVDを観て、モチベーションをアゲましょう。“よっしゃ~っ!”っと弾みがつけばしめたもの。お薦めの映画3本をご紹介します。あり得ない展開に快哉を叫びっぱなし▼最強のふたり監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ出演:オマール・シー、フランソワ・クリュゼ2012年公開のフランス映画ですが、“フランス映画界 歴代1位”という呼び声を聞かなければ、普段なら観ないかもしれないマッチョな邦題。原題はというと「intouchables」で、直訳だと「触れることのできないものたち」という意味です。舞台はパリ。不慮の事故で首から下がマヒした、大富豪フィリップの介護者選びの面接に、スラム街出身の黒人青年ドリスが、生活保護の申請に必要な不採用通知を目当てに訪れるところからスタートします。おためごかしを一切言わないドリスに新鮮味を感じたフィリップは、彼を採用。そこから展開する、背景も趣味も真逆の二人が織りなす破天荒な冒険譚のおもしろいこと! 最初は衝突ばかりだった二人が、次第に共犯者意識を深め、驚異のカーチェイスやパラグライダー体験も。「彼だけは私を対等に扱う」というフィリップの言葉が刺さります。おすすめは、フィリップが招いたオーケストラ演奏の後に、ドリスがアース・ウィンド・アンド・ファイアーをかけてダンスを見せつけるシーン。ドリス役のオマール・シーは、最初はテレていたのにいざとなったら体が自然に動いて、奇跡的なダンスシーンをワンテイクで決めたそう。実話がもとになっているというのが驚きの、元気になれる1本です。不自然なほど多発するホームラン数にスカッ!▼ナチュラル監督:バリー・レヴィンソン出演:ロバート・レッドフォード、ロバート・デュバル野球に特に関心もなく、スポーツオンチのわたしが唯一、ハマッたスポーツ映画が『ナチュラル』です。名優ロバート・レッドフォードが若い頃、といっても40代前半、訳あって30代半ばでメジャーリーガーになる夢を叶え、“伝説の人”となった野球選手を演じています。アメリカの作家バーナード・マラマッドの小説を映画化した、1984年の作品。天才野球少年だったロイは20歳になり、愛する女性アイリスにしばしの別れを告げた後、プロ球団のテストに向かう途中、とんでもない事件に巻き込まれます。10数年のブランクを経て、ようやくスカウトに見いだされ、最下位の球団に入団した彼は、とにかくホームランを打って打って打ちまくり、球団はトップに。ところが、なぜか女性の色香に迷うと打てなくなり、彼本来のナチュラルな生き方に戻ると、またホームラン…という展開。どこか神話めいたファンタジーを感じながらも、投げる球全部をホームランで打ち返すという、文句なしにスカッとする映像から目が離せません。アイリスとの再会、最後のバッターボックスの奇跡…レッドフォードゆえの誠実さ、真摯さがリアリティをもたらす感動映画です。武闘派シャーロックのカッコよさに脱帽▼シャーロック・ホームズ シャドウゲーム監督:ガイ・リッチー出演: ロバート・ダウニー・Jr.、ジュード・ロウロバート・ダウニーJr.扮するホームズ、その相棒ワトソンはジュード・ロウと、イケメン二人が登場する『シャーロック・ホームズ』(2009年)。『シャドウゲーム』(2011年)はその2作目となります。わたしはもともとコナン・ドイルの原作への思いが深く、「イマドキのチャラい映画だったら許さないぞ」みたいな色眼鏡で観たのですが、とんでもない! すっかりファンになってしまいました。1作目を観ていなくても問題なく楽しめます。世界各地で多発する連続爆破事件を追う、天才的名探偵ホームズは、“もう一人の天才”宿敵モリアーティ教授との決戦へ。書斎派探偵のイメージが強かったホームズが、武闘派のやんちゃさが強調され、ダイナミックな展開は007も真っ青のカッコよさ。ガイ・リッチー監督のセンスに度肝を抜かれたのは、銃口から向こう側を覗くなど、細部からズームする独特の映像美。そして、今まで見たことがないエッジの効いた森の中の銃撃シーン。全編をエキゾティックに彩るロマ(ジブシー)風の魅惑的な音楽。新感覚アクション・エンタテインメントと謳われるのも納得です。気分がアガること間違いなし!もちろんこの3本、五月病でない方もぜひご覧くださいね。・ 「最強のふたり」 ・ 「ナチュラル」 ・ 「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」
2015年05月21日座りっぱなしを長時間続けると、体に悪影響があります。腰痛はもちろん、心臓病や糖尿病にもつながります。「1日に6時間座っていると死のリスクが40%増大する」なんて話も有名ですよね。とはいえ、デスクワークはどうしても一日中座ったままになりがち。不健康だとわかっていても、なかなか改善できないですよね。しかし今回、そんなオフィスワーカー方に朗報があります!なんと、1時間にたった2分のウォーキングをするだけで、座りっぱなしが体に与えるダメージから解放されると海外で話題になっているのです。20分歩くのは難しそうですが、2分だけなら簡単ですぐにできますよね。この健康法の詳細を一緒に見ていきましょう。■2分ウォーキングで死亡リスクが33%減るユタ大学が、アメリカの健康栄養調査のデータを元に“1時間ごとに2分間、周囲を歩き回ることを続けるだけで、座りっぱなしの健康リスクから解放される”という研究結果を発表しました。座りっぱなしで体を壊さないようにするためには、スポーツや激しいエクササイズが必要なイメージがありますよね。でも、苦労や我慢は一切不要!1時間に2分のウォーキングを実践すると、病気による死亡リスクが33%も軽減するのです。こんなに楽で健康的な体になれるなんて、嘘みたいですよね。一体なぜだと思いますか?それは、トータルを換算すると、意外とカロリー消費しているからなのです。■2分ウォーキングが毎週400kcalの消費に睡眠時間を8時間として、それ以外の16時間に2分ずつのウォーキングを実践すると、1日32分ですよね。これを1週間続けると、ざっくり400kcalのエネルギーを消費することになります。この、週あたり400 kcalの消費が毎週見込める点が、健康維持におおいに効果を発揮するのです!ちなみに、1時間のエアロビクスで400~600kcal、水泳だと400~800kcalの消費になります。1時間に2分歩くだけで、意外とエネルギーが消費できていることがわかりますね。このミラクル健康法の最大の利点は、無理なく実践できること。毎週エアロビクスや水泳に通うのは、少々根気が要ります。なかなかハードルが高く、意志が弱いと続けられないですよね。しかし、1時間ごとに立ち上がって2分間、周囲を歩きまわるだけなら、覚悟も根気も要りません。職場で企画を考えながら、プレゼンの最終確認をしながらでも、家庭では子どもとおしゃべりをしながら、テレビを見ながらでもできます。注意するべきことと言えば、“忘れない”ということだけでしょうか。忘れっぽい人は、“毎時●分から2分間”などと時間を決めておきましょう。研究結果を発表したユタ大学の研究者は、「この1時間ごとに2分のウォーキングをベースに、週末などを利用して2.5時間ほどの無理のないエクササイズを組み合わせれば、なおよい」と語っています。2分のウォーキングは、健康へのリターンが絶大!さっそく、今から始めてみませんか?(文/よりみちこ)【参考】※Walking For Two Minutes An Hour Can Offset Damage Done By Sitting-AskMen
2015年05月16日札幌グランドホテルはこのほど、糖尿病やメタボリック予防を応援するランチメニュー(ブルーサークルメニュー)の提供をホテル内レストラン3店舗で開始した。販売するメニューは、糖尿病専門の「萬田記念病院」と共同開発したもの。ホテルの料理長と萬田記念病院の栄養士長とが、おいしく食べられることはもちろん、量や栄養バランスにも配慮したメニューに仕上げた。総カロリーは500kcal以上~600kcal未満、食塩相当量は3g未満に収めている。ガーデンダイニング 環樂(本館4F)では、旬のグリーンアスパラガスのごま和えやかつおのたたき、季節野菜の炊合わせ、かれいの素焼などがセットになった「カロリーコントロール御膳」(エネルギー505kcal)を用意する。価格は2,200円。チャイニーズダイニング 黄鶴(東館2F)では、油を抑えた中華料理のセット「カロリーコントロールランチ」(エネルギー588kcal)を提供。くらげのサラダや根菜と豚肉の蒸し物、肉を使用しない麻婆茄子豆腐などを食べることができる。価格は2,200円。北海道ダイニング ビッグジョッキ(別館1F)からは、ボリュームがありながらヘルシーな「カロリーコントロールランチ」(517kcal)が登場。豚しゃぶ肉と春雨のサラダや小海老とほうれんそうのスープ、帆立貝ときのこの昆布蒸しなどがセットになっている。1日10食限定で、価格は1,300円。同ホテルでは、開発途上国の子供たちの学校給食への支援を行う『TABLE FOR TWOプログラム』に参画している。これらのメニューの販売数に応じ、1食につき20円を同プログラムに寄付するとのこと。※価格は税込
2015年05月13日