2014年12月20日に公開され、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など国内外合わせ通算21冠の映画賞を受賞、異例のロングランヒットとなった『百円の恋』(2014年)が、中国でリメイクされ公開から3日間で237億円を超える大ヒットを記録した。中国で製作された『百円の恋』のリメイク作品のタイトルは、『熱辣滾燙』(英語タイトル:『YOLO』=You only live once.)。東映および東映ビデオが中国サイドよりオファーを受け実現した。『百円の恋』 (C)2014東映ビデオ作品開発にはオリジナル作品の脚本:足立紳、監督:武正晴、プロデューサー:佐藤現が監修を行い、中国を代表するコメディエンヌである女優ジャー・リン(JIA Ling)が主演を務め、彼女自身が監督も務めている。なお、同じくジャー・リンが主演及び監督を務めた前作『こんにちは、私のお母さん(你好、李煥英/Hi,Mom)』(2021年公開)の興行収入は54億1300万元(約900億円)で、中国映画市場における興行収入歴代3位を記録している。『熱辣滾燙』は、2月10日に中国国内の劇場で公開され、中国全土での興行収入は12日までに11億8700万元(約237億円)、観客動員は2517万人となっており、例年消費が活発となる春節期(旧正月/2月10~17日)のナンバーワン作品に躍り出た。『熱辣滾燙』 (C)New Classics Media Corporationなお過去に中国でリメイクされた日本映画の最高興収は『ザ・マジックアワー』(興行収入26.27億元:約533.8億円)次いで『鍵泥棒のメソッド』(興行収入7.62億元:約130億円)となるが、本作は女性ボクサーを演じるジャー・リンの熱演が支持を集め、中国全土で旋風を巻き起こしており、これまでの記録を超える興行収入が期待されている。なお、『熱辣滾燙』の日本での公開は未定。(シネマカフェ編集部)■関連作品:百円の恋 2014年12月20日より全国にて公開© 2014 東映ビデオ
2024年02月14日3月10日(日)に開催されるアカデミー賞授賞式のプロモーション動画が公開された。“主演”は司会を務めるジミー・キンメル。昨年世界中で大ヒットした『バービー』のバービーランドの中で迷ってしまい、変てこバービー(ケイト・マッキノン)の家にたどり着く。タキシード姿のジミーはケンの一人だと勘違いされ、「中年の危機のケン?」「離婚してすべて失ったケン?」「サイズアップが必要なタキシード着用のケン?」と聞かれるが否定し、「ハリウッドに帰りたいんです」と訴える。変てこワゴンに乗って、オスカーズランド(ハリウッド)に向かう2人。道中、今年のアカデミー賞の作品賞にノミネートされている映画が『バービー』の世界観と変てこバービーの主観で紹介される。例えば『哀れなるものたち』は、エマ・ストーン演じるベラが変てこバービーの「いとこ」であり、「もっと変てこなバービーなんだ」と説明されるといった具合にだ。2人はなんとか無事オスカーの会場にたどり着くが、ジミーはこれで4度目の司会を務めるがいまだに「ナーバスだ」と不安な顔を見せる。すると、変てこワゴンの後部座席からアメリカ・フェレーラ演じるグロリアが登場。『バービー』の中で見せた名演説シーンを再現するかのように、ジミーに「こんな司会者であらねばならない」と説く。その後、「オスカーの司会をするのは、女性でいるよりも難しいことだ」とジミーが的外れなことを言って場をしらけさせた瞬間、今度は後部座席からライアン・ゴズリング演じるケンが現れる。オスカーの後に出席者が喜んで食べることで知られているファーストフード「イン・アンド・アウト・バーガー」の商品を手にして。ジミーに「それはオスカーの“後”に食べるものだよ。特に受賞者が」と指摘されたケンは、「それはありえないや」と商品をポイ捨て。「でも、グレタ(・ガーウィグ)は監督賞が確実だからよかったな!」と喜ぶ。グロリアは困った顔でグレタが監督賞にノミネートされていないことをケンの耳にささやき、ケンはその事実を知って絶叫する…という皮肉が効いた内容となっている。ノミネートが確実視されていた監督賞にグレタ、主演女優賞にマーゴット・ロビーが、候補入りを逃したからだ。なお、ライアンとアメリカは助演男優賞、助演女優賞にノミネートされている。(賀来比呂美)
2024年02月14日公益財団法人ソニー音楽財団は、2024年3月27日(水)、東京文化会館小ホール(東京都台東区)にて、歴代の「齋藤秀雄メモリアル基金賞」受賞者4名が一堂に会する「伊藤悠貴、上野通明、佐藤晴真、横坂 源 齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞者によるチェロ・アンサンブル」を開催いたします(共同主催:東京・春・音楽祭実行委員会)。過去受賞者たちによるチェロ・アンサンブル公演ソニー音楽財団では、日本のクラシック音楽会の礎を築いた指揮者・チェリストの齋藤秀雄に因み、若手チェリスト・指揮者を顕彰する「齋藤秀雄メモリアル基金賞」を2002年に創設、現在までに数多くのチェリストたちが受賞しております。本年2024年は、齋藤秀雄(1902-1974)の没後50年にあたり、また国内最大級のクラシック音楽の祭典「東京・春・音楽祭」の20周年にあたるメモリアル・イヤーです。これを記念し、「齋藤秀雄メモリアル基金賞」史上初となる、過去受賞者たちによるチェロ・アンサンブル公演をソニー音楽財団と東京・春・音楽祭実行委員会の共同主催にて開催する運びとなりました。出演は、齋藤秀雄メモリアル基金賞チェロ部門第17回受賞者の伊藤悠貴、第21回受賞者の上野通明、第18回受賞者の佐藤晴真、第7回受賞者の横坂 源の4名。曲目は複数のチェロ協奏曲を4人でソロを持ちまわりながら演奏するという、これまでにない独創的なプログラムで構成予定。国内外で今まさに八面六臂の活躍を見せるトップ・チェリストたちによる、唯一無二の至高のアンサンブルをお届けします。【公演概要】◆タイトル東京・春・音楽祭2024伊藤悠貴、上野通明、佐藤晴真、横坂 源齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞者によるチェロ・アンサンブル◆日時・場所2024年3月27日(水)19:00開演(18:30開場)東京文化会館小ホール(東京都台東区上野公園5-45)◆出演(※50音順)伊藤悠貴(チェロ)上野通明(チェロ)佐藤晴真(チェロ)横坂 源(チェロ)※プロフィールは別資料◆演奏予定曲ハイドン:チェロ協奏曲 第1番 ハ長調 Hob.VIIb-1Solo佐藤晴真チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲 イ長調 op.33Solo伊藤悠貴シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 op.129Solo上野通明サン=サーンス:チェロ協奏曲 第1番 イ短調 op.33Solo横坂源※チェロ四重奏にて演奏。※曲順未定。※曲目・演奏者は変更となる場合があります。◆チケット情報(全席指定・税込)4,500円U-25:2,000円※公演当日に25歳以下の方が対象(座席の選択はできません)。ネット席:1,200円(東京・春・音楽祭LIVE Streamingサイトで試聴可能)◆発売日2024年2月9日(金)10:00※U25チケットは2024年2月15日(木)12:00発売開始※ネット席は2024年2月23日(金・祝)12:00予約開始◆チケット取り扱い〈東京・春・音楽祭オンライン・チケットサービス〉〈東京文化会館チケットサービス〉03-5685-065010:00~18:00(休館日を除く)〈チケットぴあ〉◆主催/お問い合わせ〈東京・春・音楽祭サポートデスク〉Tel:050-3496-0202(月曜、水曜、金曜、チケット発売日 10:00~15:00)※音楽祭開催期間中は土日祝を含め全日営業(10:00~19:00)〈公益財団法人ソニー音楽財団(Sony Music Foundation)〉Tel:03-3515-5261(平日 10:00~18:00)(出典元の情報/画像より一部抜粋)(最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください)※出典:プレスリリース
2024年02月14日株式会社GeoDesign(ジオデザイン)は、web集客が学べる無料講座「web集客アカデミー」を提供開始いたしました。「web集客アカデミー」は、webサイトを作成してビジネスを成長させたい人に役立つ情報満載のガイドです。webサイトを作成して売上とトラフィックを増やすための重要なポイントを、わかりやすく解説しています。「web集客アカデミー」の3つのポイント● ポイント1「ニーズにあったweb設計」webサイトを作成して売上とトラフィックを増やすには、あなたのwebサイトに興味を持って訪れる可能性が高い人々(ターゲットオーディエンス)を知ることが重要です。ターゲットオーディエンスを理解することで、彼らのニーズや興味に合ったwebサイトを作成することができます。● ポイント2「反響を高めるweb設計」訪問者が簡単に目的のページを見つけられるように、webサイトの構造を明確にする必要があります。また、読みやすいテキストとわかりやすい画像を使用することも重要です。● ポイント3「集客戦略の考え方」SEOとソーシャルメディアを使用して訪問者をwebサイトに引き付ける必要があります。SEOとは、検索エンジンでwebサイトをより上位に表示させるための技術です。ソーシャルメディアは、webサイトの存在を宣伝し、訪問者を呼び込むのに役立ちます。「web集客アカデミー」では、これらの重要なポイントを詳しく解説しています。webサイトを作成してビジネスを成長させたいかた必見の無料コンテンツです。<「web集客アカデミー」の魅力>● webサイトを作成して売上とトラフィックを増やすための重要なポイントを、わかりやすく解説。● ターゲットオーディエンスの理解、webサイトのナビゲーション、SEOとソーシャルメディアの活用など、さまざまなトピックを網羅。● webサイトを作成してビジネスを成長させたい人に役立つ、実践的な情報が満載。「web集客アカデミー」を活用して、ぜひ成功するwebサイトを作成してください。【サービス概要】サービス名: web集客アカデミーサービス内容: 売上を上げるためのweb集客の知識をつける無料講座価格: 無料お申込み: サイトへアクセスするのみ(出典元の情報/画像より一部抜粋)(最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください)※出典:プレスリリース
2024年02月13日監督組合賞(DGA)が発表された。長編映画監督賞に輝いたのは、『オッペンハイマー』のクリストファー・ノーラン。DGAの結果とオスカー監督賞の結果は重なることが多く、早くからフロントランナーと考えられてきたノーランは、これでさらにオスカーへと一歩近づいた形だ。劇場用映画新人監督賞は、『パスト ライヴス/再会』のセリーン・ソン。ソンは、オスカーの監督部門からは漏れたが、作品と脚本部門で候補入りしている。ドラマシリーズ部門の受賞者は『The Last of Us』のピーター・ホア、コメディシリーズ部門の受賞者は『一流シェフのファミリーレストラン』のクリストファー・ストーラーだった。『オッペンハイマー』3月29日(金) 公開文=猿渡由紀(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年02月12日2022年・第79回ヴェネチア国際映画祭にて最高賞の金獅子賞を受賞したローラ・ポイトラス監督の『美と殺戮のすべて』(原題:All the Beauty and the Bloodshed)が、3月29日(金)より公開。日本版予告編が解禁となった。1970年代から80年代のドラッグカルチャー、ゲイサブカルチャー、ポストパンク/ニューウェーブシーンといった題材を撮影、その才能を高く評価され、一躍時代の寵児となった写真家ナン・ゴールディン。2018年3月10日のその日、ゴールディンは多くの仲間たちと共にニューヨークのメトロポリタン美術館を訪れていた。自身の作品の展示が行われるからでも、同館の展示作品を鑑賞しにやってきたわけでもない。目的の場所は「サックラー・ウィング」。製薬会社を営む大富豪が多額の寄付をしたことでその名を冠された展示スペースだ。到着した彼女たちは、ほどなくして「オキシコンチン」という鎮痛剤のラベルが貼られた薬品の容器を一斉に放り始めた。「サックラー家は人殺しの一族だ!」と口々に声を上げながら…。「オキシコンチン」とは「オピオイド鎮痛薬」の一種であり、全米で50万人以上が死亡する原因になったとされる“合法的な麻薬”だ。果たして彼女はなぜ、巨大な資本を相手に声を上げ戦うことを決意したのか。大切な人たちとの出会いと別れ、アーティストである前に1人の人間としてゴールディンが歩んできた道のりがいま明かされる――。解禁された日本版予告編は、ノーウェイブバンド「Bush Tetras」の「You Can’ be Funky」をバックに、写真家ナン・ゴールディンが斬新で生々しい題材を被写体にして時代の寵児となり、「どこの美術館も彼女の作品を欲しがる」という輝かしい経歴から始まる。しかし場面が変わると、ゴールディンは多くの仲間とともにメトロポリタン美術館で「サックラー家はウソつき!人殺し!」と叫んでいる。サックラー家は、製薬会社を営む大富豪で「オキシコンチン」という鎮痛剤を安全な薬と偽り販売し、アメリカで50万人もの命を奪った。そして、その莫大な売り上げを世界中の美術館に寄付することで慈善家として知られていた。そんな巨大な資本を相手に声を上げ戦うことを決意したゴールディン。予告編にはその途方もない戦いの道のりの一端が収められている。また、上映劇場ではナン・ゴールディンが撮影した写真のポストカード3枚がついたムビチケカードが販売中となっている(※数量限定なくなり次第終了、※一部劇場を除く)。ポストカード3枚セット付きムビチケカード『美と殺戮のすべて』は3月29日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:美と殺戮のすべて 2024年3月29日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開© 2022 PARTICIPANT FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2024年02月11日アカデミー賞に新たな部門が新設されることになった。キャスティング・ディレクター部門で、来年の授賞式からスタートする。アカデミー賞に新たな部門が加えられるのは、2001年に長編アニメーション部門ができて以来のこと。映画において重要な役割を果たすキャスティング・ディレクターにオスカーを創設することは長い間話し合われてきたが、キャスティングの決定には監督も大きくかかわっているとして、一部の監督が抵抗を示していた。スタント・コーディネーターやスタントマンも自分たちの部門の設立をずっと望んできており、今後どうなるかが注目される。文=猿渡由紀
2024年02月09日クラシックを中心とした音楽専門誌を発行する株式会社音楽之友社(東京都新宿区、代表取締役社長:時枝 正)は、2023年のクラシック・ディスクの総集編となるムック『レコード芸術2023年総集編』を発売いたします。「レコード芸術2023年総集編」表紙■背景71年あまり続いてきた月刊誌『レコード芸術』は、昨年2023年7月号をもって多くのファンから惜しまれつつ休刊しました。その直後から、雑誌の存続を求める声が多数寄せられるとともに、「おすすめのディスクを知りたい」、「どんな新譜が出ているのか情報を知りたい」、「ディスクに関して信頼できる記事をじっくり読みたい」といったご要望をいただきました。そこで今回、編集部員と執筆陣が一念発起。その声に応えるべく、来たる2024年2月28日(水)にムックとして発売するに至りました。■内容詳細『レコード芸術』誌面内で好評を博していた毎年恒例の看板企画「レコード・アカデミー賞」は、形を変えて「ONTOMO MOOKレコード・アカデミー賞」となって登場!計60回続いた音楽之友社主催「レコード・アカデミー賞」は、日本のレコード会社から発売された1年間のクラシック・ディスクの中から、選定委員の合議や投票などを経て、大賞、大賞銀賞、大賞銅賞、部門賞などが決定されていました。今回は『レコード芸術』2023年1~7月号の特選盤から、月評の各担当執筆者が1位から3位までを選定し、これまでのような投票・合議による大賞や部門賞ではなく、各執筆者単独によるランキングとして発表いたします。録音部門については、優秀録音からの選定といたしました。さらに本ムックでは、休刊以降のディスク情報も取り上げます。もしも『レコード芸術』が存続していたら8~12月号の月評に掲載されたであろうディスクの中から、おすすめを紹介。「2023年後半のおすすめディスク」として、幅広いジャンルのリリースに精通する満津岡信育氏と相場ひろ氏が、対談形式で各部門ごとに「イチオシ」を決定し、それぞれの魅力を語ります。そして長寿雑誌ならではのアーカイヴを掲載。カリスマ音楽評論家であった宇野功芳氏の過去の月評を1960年代から2010年までの中から抜粋し、さらには時代を切り開いたオペラ演出家・三谷礼二氏の記事を紹介します。おふたりのアーカイヴから批評の変遷を振り返り、音楽の本質とはなにかを改めて問い直します。豪華執筆陣、片山杜秀、舩木篤也、矢澤孝樹、喜多尾道冬各氏による渾身の記事も『レコード芸術』ならでは。ディスクの解釈を深く掘り下げた、読み応えたっぷりのものとなっています。人気連載「トーキョー・シンコペーション」、「古楽夜話」は休刊後に書籍化して好評を博しており、ここでは番外編を掲載します。また、本誌には別冊付録として「レコード・イヤーブック2023年1~7月号&補遺」が付きます。長年の読者の方々からの強いリクエストにより作成したもので、『レコード芸術』2023年1~7月号の巻末掲載分と、月評に掲載されたであろう8~12月分を分けて収載。前者に関しては例年と同じ形式で、後者については簡略化して一覧表にまとめている注目の付録です。別冊付録:レコード・イヤーブック2023年1~7月号&補遺■商品概要音楽之友社 編 ONTOMO MOOK「レコード芸術2023年総集編」別冊付録:レコード・イヤーブック2023年1~7月号&補遺2023年のCD業界を総括!特別企画:ONTOMO MOOKレコード・アカデミー賞定価 :1,980円(本体1,800円+税)判型・頁数:B5・112頁+A5・240頁発売日 :2024年2月28日(水)ISBNコード:9784276963757商品コード:963750【ご購入の方法について】全国の書店様・楽器店様、もしくはAmazonなどのインターネットショッピングサイトよりご購入いただけます。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年02月09日「2024年エランドール賞授賞式」が2月8日(木)、都内にて開催され、磯村勇斗、今田美桜、眞栄田郷敦、小芝風花、目黒蓮、堀田真由の6名が新人賞を受賞、喜びのスピーチを行った。「エランドール賞」は1956年にスタートした、優れた映画テレビの作品、プロデューサー、俳優を顕彰する制度。協会員は選考基準に基づき、候補者及び参考作品を投票によりノミネートし、エランドール賞委員会はその投票結果を参考に候補者を選出、理事会に答申。理事会はその答申を受けて、検討の結果、受賞者を決定する。なお、新人賞は一年を通じて最も活躍した将来有望な新人俳優に贈られる賞となる。磯村さんは、「昨年、たくさんの作品に携わることができて、たくさんの人たちと出会い、裏で今までお世話になったプロデューサー、製作陣と久々にお会いして。本当にここまでくるのに周りの人たちに助けていただいて、支えていただいて、この場に立てていると。本当に人との出会いを大切にしたいと改めて実感しました」と周りへの感謝をスピーチ。そんな磯村さんのお祝いに駆け付けたのは、『ヤクザと家族 The Family』以来、共演を重ねてきた綾野剛。満面の笑みで祝福し、驚く顔の磯村さんをぎゅっとハグ。綾野さんは、磯村さんのほうに「よいしょ」とマイクを向け、語り掛けた。「普段呼ばせていただいているお名前で話します、勇斗、おめでとう。あなたのあくなき姿勢と、いっときも諦めない精神力、何より心震わせるお芝居は、勇斗の作品に対する愛と、圧倒的な努力が生んだと心から思ってます」と磯村さんのお芝居への姿勢をたたえ、「敬愛と敬意と感謝をこめて。綾野剛でした」と結んだ。今田さんは「昨年は本当にたくさんの作品、スタッフの皆さまに出会って、あらためて振り返ると、とても愛ある皆さまに支えていただきながら、いろいろな作品に参加していたんだなと思います。まだまだ未熟ですが、皆さんに支えていただきながらですけど、自分のできること、丁寧に向き合って作品に携わっていけたらと思います」とスピーチ。ゲストには「ラストマン-全盲の捜査官-」で共演した同じ福岡出身の吉田羊が登場、今田さんへの愛を花束とともに送った。眞栄田さんは登壇後、深々と長く一礼。スピーチでは「正解のない表現の世界で、こうしてご評価いただけることはすごくうれしく、自信になります。またこうした場に立てるように、役と作品に丁寧に請け負っていきたいなと思います」と真摯に話す。ゲストでは「エルピスー希望、あるいは災いー」で共演した鈴木亮平が笑顔で登場。「彼の先には明るい未来しかないのではと信じて、今も出ている作品を楽しみに見ています」とエールを送っていた。続けて、小芝さんが登場し、「昨年は本当に学びの多い1年でした。賞をいただけて本当にうれしく思います!出会わせていただけた関係者の皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。この賞に恥じないように、精進します」と誓う。お祝いゲストには、「波よ聞いてくれ」で共演した北村一輝が登場。とにかく小芝さんの台詞量と、NGの出さなさがすごかったとトークを繰り広げ、小芝さんもはじけた笑顔を見せていた。目黒さんは「歴史ある新人賞を受賞できたこと、本当にうれしく思っています。ここにくるまで、本当にたくさんのスタッフの皆さん、共演者の皆さん、何より作品を愛してくださった皆様に支えられてここまでこられたので、すべての方に感謝しています」とひたむきな瞳でスピーチ。ゲストには「silent」で共演した川口春奈が登場し、目黒さんを喜ばせた。川口さんは「ひたむきに向き合う姿、忙しくてもぶれない強い芯を持っていて、すごく刺激的でまぶしかったです。チャレンジングな作品でしたし、タイトなスケジュールの中4か月間一緒に走り切れて、勝手に戦友だと思っています」とお祝いの言葉にかえていた。最後に登場したのは堀田さん。「昨年はたくさんの作品に携わって、いろいろな経験・挑戦をさせていただきました。これまでは自分自身がお芝居が好きな気持ちがそばにあったんですけど、昨年は芝居をしていて楽しいなと思える瞬間がたくさんありました。支えてくださるスタッフさん、共演者さん、応援してくれている家族のおかげだと思っています」とスピーチし、これからも恩返ししていきたいと話した。ゲストには「大奥」で共演した福士蒼汰が登場、堀田さんを喜ばせた。また、プロデューサー奨励賞映画部門を受賞した『福田村事件』では、花束ゲストに主演の井浦新が登場。小林三四郎、井上淳一、片嶋一貴に向かって「最初、テアトル新宿で直接声をかけていただきました。僕一人だけ(キャストが)決まって、キャストは全員揃うのかと不安も最初はありました。でも蓋を開けたら、自ら手をあげて参加してきたスタッフ・キャストみんなが集まった」と少しずつ輪が広がり、全員で向き合った映画だと語った。そしてプロデューサー奨励賞テレビ部門は「大奥」が受賞。藤並英樹、船田遼介に、主演の冨永愛が花束を持ち華やかに登壇。富永さんは、「人生の中で絶対心に残る作品になったな、代表作になったなと確信しています。それほどこの作品が素晴らしかったですし、素晴らしいキャストとスタッフの皆さんで作り上げました。今思い返しても一瞬一瞬が鮮明によみがえってきます」と目を細めていた。なお受賞作品、受賞者は以下の通り。●プロデューサー賞・映画部門『怪物』川村元気、山田兼司・テレビ部門「VIVANT」飯田和孝●プロデューサー奨励賞・映画部門『福田村事件』小林三四郎、井上淳一、片嶋一貴・テレビ部門「大奥」藤並英樹、船田遼介●特別賞・『THE FIRST SLAM DUNK』Film Partners 松井俊之・「ブラッシュアップライフ」制作チーム水野格、小田玲奈、榊原真由子、柴田裕基・『名探偵コナン 黒鉄の魚影』製作委員会近藤秀峰、汐口武史、岡田悠平・『ゴジラ-1.0』プロデュースチーム臼井央、山田兼司、岸田一晃、守屋圭一郎、阿部豪●新人賞磯村勇斗、今田美桜、眞栄田郷敦、小芝風花、目黒蓮、堀田真由(シネマカフェ編集部)
2024年02月08日一年を通して優秀な活躍をした俳優や映画・ドラマ等を表彰する「2024年エランドール賞」の授賞式が8日、都内ホテルで開催。目黒蓮(Snow Man)、今田美桜、磯村隼斗、眞栄田郷敦、小芝風花、堀田真由が新人賞を受賞した。目黒は「名誉ある歴史のあるエランドール賞新人賞を受賞できたことが本当にうれしく思っています」と喜び、「本当にたくさんのスタッフの皆さん、共演者の皆さん、そして何より作品を愛してくださった皆様に支えられてここまでこられたと思うので、すべての方に感謝しています」と感謝。今田は「このたびは素晴らしい賞をありがとうございます。まさか自分がこのように名誉ある賞をいただけると思ってもみなかったので、とてもうれしいですし驚いています」と心境を語った。
2024年02月08日K-1 GROUPの年間表彰式「K-1 AWARDS 2023」が7日、都内で行われ、K-1 GIRLSのうららがベストガールズ賞を受賞した。うららは、美谷間がのぞく白のドレス姿で登場し、名前を呼ばれると笑顔に。そして、プレゼンターを務めた梅沢富美男からトロフィーを受け取り、「私は2年前にK-1 GIRLSになるまで格闘技とは無縁で全く見たことがない状態からラウンドガールを始めました。初めて見た時は血が出る姿に驚いたんですけど、そこからすごくK-1にハマってしまいました。今は試合を見るたびに選手の皆さんの背景を想像して、私も頑張ろうと思えています」とK-1への思いを語った。今回で7回目の開催となる「K-1 AWARDS」は、K-1 GROUPが開催したプロ大会(「K-1」「Krush」)とK-1アマチュアのすべての大会と出場選手を対象にした年間表彰式。2023年の栄えある「最優秀選手賞」(MVP)や、最も観るものを魅了した試合に贈られる「最高試合(ベストバウト)賞」など全16部門が設けられている。
2024年02月07日宮崎駿監督映画『君たちはどう生きるか』の音楽を担当した久石譲のインタビュー映像が、アカデミー賞公式YouTube「Oscars」で公開された。『君たちはどう生きるか』(The Boy and the Heron)は、宮崎監督10年ぶりの最新作。「第81回ゴールデン・グローブ賞」アニメ映画賞受賞、「第51回アニー賞」7部門ノミネート、「第78回毎日映画コンクール」大藤信郎賞受賞など、国内外で注目されている。そして先月、「第96回アカデミー賞」のノミネート作品発表が行われ、本作が長編アニメ映画賞部門に選出。今回公開された映像では、本作の映像とともに久石さんのインタビューが収録されており、そこでは宮崎駿監督とのやり取り、青サギの登場シーンの音楽や、本作のメインテーマ曲である「Ask me why」の制作秘話が語られている。コメント欄には「本当に天才ですね」、「この一年で聞いた中で最高のサウンドトラック」、「これが作曲賞にノミネートされなかったことが未だに信じられない」などの声が寄せられている。(シネマカフェ編集部)■関連作品:君たちはどう生きるか 2023年7月14日より公開©2023 Studio Ghibli
2024年02月07日本年度・第96回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートを果たしたドイツの新鋭イルケル・チャタク監督最新作『The Teacher’s Lounge』(英題)が邦題『ありふれた教室』として、5月17日(金)より公開。若き女性教師の悪夢のような極限心理をあぶり出す本作から、ティザーチラシ、特報が解禁された。仕事熱心で正義感の強い若手教師のカーラは、新たに赴任した中学校で1年生のクラスを受け持ち、同僚や生徒の信頼を得つつあった。そんなある日、校内で相次ぐ盗難事件の犯人として教え子が疑われる。校長らの強引な調査に反発したカーラは、独自の犯人捜しを開始。するとカーラが職員室に仕掛けた隠し撮りの動画には、ある人物が盗みを働く瞬間が記録されていた。やがて盗難事件をめぐるカーラや学校側の対応は噂となって広まり、保護者の猛烈な批判、生徒の反乱、同僚教師との対立を招いてしまう。カーラは、後戻りできない孤立無援の窮地に陥っていく…。ある新任女性教師の視点で進行する物語は、校内で発生した小さな事件が予想もつかない方向へと激しくうねり、わずか数日間で学校の秩序が崩壊してしまう異常な事態へと突き進んでいく。第73回(2023年)ベルリン国際映画祭パノラマ部門でワールドプレミアされW受賞を果たしたのを皮切りに、ドイツ映画賞最多5部門(作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞)の受賞を達成、米映画レビューサイト「ロッテン・トマト」では99%FRESHという高い数字を獲得しており、世界の映画祭を席巻。さらに先日、本年度アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートを果たした本作は、これが日本での劇場公開は初となるドイツの新鋭イルケル・チャタクの長編4作目にあたる最新作。チャタク監督は教育分野で働く様々な人々へのリサーチを行い、自らの子ども時代の実体験も織り交ぜてオリジナル脚本を執筆した。誰にとっても馴染み深い学校という場所を“現代社会の縮図”に見立て、正義や真実の曖昧さをサスペンスフルに描ききったその試みは、ミヒャエル・ハネケやアスガー・ファルハディといった名匠の作風を彷彿とさせる。また、主演のレオニー・ベネシュはハネケ監督の代表作『白いリボン』で注目され、「THE SWARM/ザ・スウォーム」「80日間世界一周」などのTVシリーズで活躍。次々と重大な選択や決断を迫られるカーラの葛藤を生々しく体現した本作でドイツ映画賞主演女優賞の受賞を果たし、ヨーロッパ映画賞女優賞にもノミネートされた。本作『ありふれた教室』が追求した多様なテーマは、教員のなり手不足や過酷な長時間労働、モンスター・ペアレンツなどの問題がしばしば報じられる日本社会とも無縁ではない。教育現場のリアルな現実に根ざし、世界中の学校やあらゆるコミュニティーでいつ暴発しても不思議ではない“今そこにある脅威”を見事にあぶり出す、極限のサスペンス・スリラーが誕生した。今回解禁となったティザーチラシでは、主人公の教師カーラがメインに捉えられ、目元には赤いアザのようなものが見受けられるが表情が全て見えないため、謎めいた不気味さを醸し出している。裏面では人混みのなかカーラが呆然とした表情で佇み、「窃盗」「絶望」「崩壊」等の不穏なキーワードが散りばめられ、両面ともにただならぬ空気が漂うビジュアル。併せて公開された特報では、ある盗難事件をきっかけにカーラが次第に追い詰められていく様子がうかがえる。生徒や同僚教師との対立、そして教室での叫び声…。学校の<不都合な真実>とは何か。緊迫感漂う音楽も相まってカーラの混乱が垣間見える特報となっている。『ありふれた教室』は5月17日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2024年02月07日ミュージカル映画『カラーパープル』に起用された、実写版『リトル・マーメイド』アリエル役で知られるハリー・ベイリーとグラミー賞&アカデミー賞受賞のH.E.R.が本作に込めた思いを語った。38年の時を経てスクリーンへ蘇る不朽の名作『カラーパープル』。ミュージカル映画として大胆にリメイクされた本作には、ブロードウェイミュージカル版のキャストほか、次世代の歌姫たちが次々と起用されたことで話題となっている。主人公セリーの妹ネティの若き日を演じたのは、ハリー・ベイリー。ディズニー映画『リトル・マーメイド』(2023)で主演のアリエル役に大抜擢され、大ブレイクした。音楽活動でも知られており、姉のクロイ・ベイリーとの姉妹デュオ「クロイ&ハリー」として活躍、その歌唱力は折り紙付きだ。キャスティングに携わった製作総指揮のオプラ・ウィンフリーは「ネティの存在は姉妹の密接な関係により重要な役割を果たします。手紙を通してしか妹のことを思い出すことができない映画の大部分で、空間を保持するような存在感が必要です」と語り、その役柄の重要性から、類まれな才能と存在感をもつベイリーの起用を決めた。ベイリーはネティ役で出演が決まった当時のことを、「『カラーパープル』は私と私の家族にとって昔から大きな意味を持つ作品でした。幼い頃からのこの作品にまつわる話はいくらでもあります。何世代にもわたって、うちの家族にとってこれほど大きな存在だった作品に今こうして参加できることが、とても意義深いです」と、どんなことがあっても未来を諦めない登場人物たちの姿を家族総ぐるみで見つめていたとふり返り、本作参加への喜びを表した。ベイリー演じるネティが登場する物語冒頭では、若き日のセリーを演じたフィリシア・パール・エムパーシと共にその歌声を高らかに響かせる。また、セリーの義理の息子ハーポの恋人で、酒場の歌手として働くスクイークにはグラミー賞歌手のH.E.R.が起用された。5年間で25回グラミー賞にノミネートされ、5度の受賞を果たしたR&B歌手のH.E.R.は、2016年にデビューEP「H.E.R. Vol.1」をリリースし、たちまち話題に。2017年には「H.E.R.」でグラミー賞に輝く。2021年、「I Can't Breathe」でグラミー賞のソング・オブ・ザ・イヤー賞と最優秀R&Bソング賞を獲得、『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』の主題曲「Fight For You」でアカデミー賞歌曲賞を受賞する快挙を成し遂げている。歌手として輝かしい経歴をもつH.E.R.は、本作で俳優デビューを飾った。出演を打診されたときH.E.R.は、「(ブリッツ・)バザウーレ監督のエネルギーやこのプロジェクトに対する熱意に惚れました。彼からは、この作品が再構築された楽しい作品になるという説明を受けました。私にとって今回が演技の世界での公式デビューになるので重要な作品です」とコメント。「オプラとウーピーというパワフルな女性二人が共演しているのを観たことは決して忘れません。その作品に今自分が参加しているなんてめちゃくちゃすごいことです」と、新たなミュージカル映画へのバザウーレ監督の情熱を称賛、スピルバーグ版に出演したウーピー・ゴールドバーグとオプラ・ウィンフリーヘのリスペクトを胸に秘めて出演を決めたと語っている。今回のミュージカル版『カラーパープル』では、素朴でありながらも心を打つ歌曲「Huckleberry Pie」、毎回拍手喝采が起きる「Hell No!」などの歌を通して、キャラクターたちの感情や内なる思いを表現してきた。バザウーレ監督が新たにクリエイトした本作では、ブロードウェイ版に加え、初収録となる楽曲も使用されている。ハリー・ベイリー&H.E.R.、次世代の音楽シーンとスクリーンを輝かせる2人にも注目だ。『カラーパープル』は2月9日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:カラーパープル(2023) 2024年2月9日より全国にて公開© 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
2024年02月05日第96回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演女優賞など11部門にノミネートされたエマ・ストーン主演『哀れなるものたち』から、豪華キャストの存在感をより一層際立たせる、華麗かつ大胆なオリジナリティ溢れる衣装の数々を生み出したアカデミー賞ノミネートデザイナーの手腕が光る特別映像が解禁された。<生まれたての女性>として蘇り、世界を吸収しながら、真の自由を手にするために力強く進む主人公・ベラ(エマ・ストーン)の冒険を描いた本作。この度解禁となったのは、ベラをはじめとした登場人物たちの華麗で大胆な衣装の数々に迫った特別映像。ストーンは撮影中の衣装合わせを振り返りながら「ホリー(・ワディントン)の案はどれもすばらしい」と、本作で衣装デザイナーを務め、同じくアカデミー賞にもノミネートを果たしたホリー・ワディントンに絶賛を贈る。続けて、ヨルゴス・ランティモス監督は「いわゆる歴史映画ではないので通常では見られない華麗な衣装を使った」とこだわりの衣装コンセプトを明かす。監督のその言葉を裏付けるように映し出されたのは、マンゴーイエローと淡いホワイトで統一されたオリジナリティ溢れる2着のドレス。それらのドレスは、ともに肩に大胆なリボンが施されている。ワディントンが「この時代のドレスは肩を膨らませることで、女性らしい線を強調した」と説明するように、彼女は時代背景を組み込みつつも、各キャラクターに合わせて、他にはない唯一無二のコスチュームを作り上げていったようだ。また、マーク・ラファロも「ヴィクトリア朝時代の男は派手好きだ。衣装合わせは15回ほど。全部オーダーメイドだ」と、洗練されたスタイリングの数々にご満悦な様子。最後にストーンは「彼女のアイデアはどれも挑戦しがいがあり、考え抜かれていて、見事に作り込まれてる」とワディントンのデザイナーとしての手腕に賛辞を贈った。一流スタッフたちがその才能を惜しみなく注ぎ込み、<生まれたての女性>という前代未聞の設定を持つベラの空前絶後の冒険を描いた本作。世界を急速に吸収しながら自由な存在として成長するベラが、冒険の果てに見つけた結末は見逃せない。『哀れなるものたち』は全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:哀れなるものたち 2024年1月26日より全国にて公開©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2024年02月04日第96回アカデミー賞にて最多13部門にノミネートされている映画『オッペンハイマー』の公式メイキングブックが、3,500部限定にて5月に緊急発売されることになった。クリストファー・ノーランが脚本、監督を担当、IMAXカメラによって撮影された『オッペンハイマー』は、世界の運命を握ると同時に、世界を破滅する危機に直面するという矛盾を抱えたひとりの男の知られざる人生を、実話を元に描いたドラマ。プロデューサーはエマ・トーマス、チャールズ・ローベン、そしてクリストファー・ノーラン監督。オッペンハイマー役はキリアン・マーフィー、妻のキティ役はエミリー・ブラントが務め、オスカー俳優のマット・デイモンがレズリー・グローヴス将軍を、ロバート・ダウニー・Jr.はルイス・ストローズを演じる。本書では、『オッペンハイマー』の脚本段階から資料集め、美術セット建設、撮影、完成までの道のりをマーフィー、ブラント、ダウニー・Jr.などの主要キャスト、監督、スタッフの膨大なインタビューと図版を交えて紹介。オッペンハイマーのトレードマークであるハットなど衣装をはじめ、愛用のタバコも年代に合わせてパッケージまで完全再現。帽子をかぶる角度はノーラン自ら細かく調整を行ったという。宿敵ルイス・ストローズを演じたダウニー・Jr.は、髪の薄いストローズに合わせ前髪の生え際を剃って役作りをした。ノーラン監督を驚嘆させたラミ・マレックのアドリブ、トム・コンティは誰もが振り返るほどの再現性でアインシュタイン役に臨んだ。各キャストを実在の人物に仕上げるノーランの精密すぎる人物設計(たとえばオッペンハイマーのヘアスタイルに合わせるため、ノーランは5時間をかけてキリアン・マーフィーのヘアカットを監修したなど)、原子の周りを電子が移動する映像をプラクティカルエフェクツで実現する裏話、撮影の2日前に「すべてをもっとクレイジーで浮世離れにした白」に塗り直された、製作費300万ドルのロスアラモスのTセクションセット、コンセプトアート、調査資料など見応えのある写真や資料も満載。さらに、ノーラン監督がとらえた「オッピー」についての深い考察も。本書から、ノーランの新たな傑作がいかに誕生したかが明らかにされる。「オッペンハイマー クリストファー・ノーランの映画制作現場」は5月25日(土)より発売。定価:6,000円(税別)仕様:B4横変型判 272ページ出版元:株式会社ボーンデジタル■目次まえがきクリストファー・ノーラン著者覚え書き序章極秘のプロジェクト第1章紆余曲折第2章オッピーを探して第3章ドリームチーム結成第4章プリプロダクション第5章撮影開始第6章ポストプロダクションエピローグ『オッペンハイマー』は3月29日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:オッペンハイマー 2024年3月29日より全国にて公開© Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年02月04日タイカ・ワイティティ監督と第92回アカデミー賞脚色賞を受賞した『ジョジョ・ラビット』の製作スタジオ、サーチライト・ピクチャーズが再びタッグを組んだ最新作『ネクスト・ゴール・ウィンズ』。力強い演技で観る者の心を揺り動かすオスカーノミネートの名優マイケル・ファスベンダーが、本作では強烈なキャラクターのリーダーを演じている。2001年、ワールドカップ予選史上最悪の0-31の大敗を喫して以来、1ゴールも決められていない米領サモアチームに、破天荒な性格でアメリカを追われたコーチ、トーマス・ロンゲンが就任し、立て直しを図るが…。本作の主人公となる実在の監督トーマス・ロンゲンを演じるのは、『X-MEN』シリーズで知られ、『SHAME -シェイム-』で各国の映画賞を席巻し第68回ヴェネチア国際映画祭で男優賞を受賞、『それでも夜は明ける』で第86回アカデミー賞助演男優賞に、『スティーブ・ジョブズ』で第88回アカデミー賞主演男優賞にそれぞれノミネートを果たしたマイケル・ファスベンダー。様々な背景を持つ複雑なキャラクターの数々を、ディテールに気を配った巧みな表現力と、ときに観客を圧倒するほどの力技も交えながら、魅力たっぷりに演じきる実力派だ。本作でも自身の力強い感性と、洒落たユーモアと大胆な演出で知られるワイティティ監督の唯一無二のセンスがかけ合わさり、説得力抜群のキャラクターを快演している。ワイティティ監督も「私たちは毎日、さまざまなアイデアや、どうすれば物事を変えられるかについてじっくり話し合いました。私たちはとても似た感性とユーモアのセンスを共有しているのです」とファスベンダーとのタッグに充実のコメントを寄せているように、“サッカーキャリアも人生もどん底な気難しいコーチ”と“1ゴールさえも夢のまた夢な世界最弱チーム”の化学反応がおこす奇跡と成長、思い悩みながらたどりつく幸せを描く本作にピッタリの関係性が窺い知れる。近年の映画シーンでは、成長過程にあるチームと伝説級のリーダーが出会い、感動の結末を迎える話題作・ヒット作が相次いでいる。2022年公開、トム・クルーズ主演『トップガン マーヴェリック』が老若男女から絶賛の嵐を受けながら映画史の新たな1ページを刻む歴史的ヒットとなったのは記憶に新しい。ここ日本でも、累計興行収入400億円という特大ヒットで日本歴代興収ランキング1位の記録を大幅に塗り替えた『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』もまさにこの構図で、いまや歴史上の偉人や時代の寵児たちとならび「理想のリーダー像」として”煉獄さん”の名が挙がることも。強烈な個性に衝撃を受けながらも刺激し合い、互いを受け入れる寛容さと信頼で繋がり合ったとき、信じられないほどパワーと充足感があふれ出し、かつてない“幸福”へと到達するこれらの物語は、日々いろいろな苦悩と向き合いながら生きている人々の心を揺り動かす。この方程式を進みながら、強烈リーダーを体現するファスベンダーは「コメディは観客の緊張をほぐすいいツールだと思います。とても緊張感の高いものを演じている場合、観客が息抜きできる場面が必要ですし、そうするために私も楽しんでいます」と語っている。『ネクスト・ゴール・ウィンズ』は2月23日(金・祝)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ネクスト・ゴール・ウィンズ 2024年2月23日より全国にて公開©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2024年02月03日本年度アカデミー賞に作品賞、主演男優賞、助演女優賞ほか5部門ノミネートされている『ホールドオーバーズ』(仮題/原題:The Holdovers)が、6月21日(金)より全国公開決定。併せて、場面写真3点が解禁された。『サイドウェイ』のアレクサンダー・ペイン監督とポール・ジアマッティが再びタッグを組んだ本作。1970年冬、ニューイングランドにあるバートン校を舞台に、それぞれの事情で寮に残り、クリスマスと新年を過ごす孤独な3人の物語。誰もが浮かれるクリスマスに弾かれ者たちが寄り添い合い、小さな絆を築き上げていく。主演のジアマッティは、古い価値観で教鞭をとる古代史の非常勤教師で、生徒からも教師たちからも嫌われているポール・ハナムを演じる。第81回ゴールデン・グローブ賞をはじめ各映画賞で助演女優賞を受賞してきているダヴァイン・ジョイ・ランドルフは、ひとり息子のカーティスをベトナム戦争で亡くした学校の料理長メアリー・ラム役に。映画初出演となるドミニク・セッサは、頭が良く、傷つきやすく、トラブルメーカーだが心根は悪くないバートン校の生徒、アンガス・タリーを演じている。本作では誰もいない学校での自由気ままな生活の中、ちょっとした冒険や災難を通じて、この3人に小さな繋がりが生まれていく様を描き出す。監督は、『サイドウェイ』と『ファミリー・ツリー』でアカデミー賞脚色賞を2度獲得しているアレクサンダー・ペイン。脚本はブラッドリー・クーパー主演のテレビドラマ「キッチン・コンフィデンシャル」の企画を手掛けたデヴィッド・ヘミングソンが担当。本作により、第81回ゴールデン・グローブ賞のミュージカル・コメディ部門でジアマッティとランドルフが主演男優賞と助演女優賞を受賞。さらに第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞、編集賞、主演男優賞、助演女優賞の5部門にノミネートと、現在、全米の映画賞を席巻し続けている。ダヴァイン・ジョイ・ランドルフこの度解禁する場面写真は、飾り気のないクリスマスツリーを背景に、クリスマスディナーを囲む3人の姿と、古代史の授業をするハナム先生(ポール・ジアマッティ)と本を片手に怪訝な顔をする料理長のメアリー(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)の写真。雪に閉ざされたバートン校で、3人きりで過ごすクリスマス…それぞれの曇った表情に明るさは宿されるのか、注目だ。『ホールドオーバーズ」(仮題)は6月21日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2024年02月02日第96回アカデミー賞にて作品賞、監督賞ほか最多13部門ノミネートを果たしたクリストファー・ノーラン監督最新作『オッペンハイマー』から、渡辺謙がナレーションを担当した日本版オリジナル予告編とポスタービジュアルが解禁となった。本作は、世界の運命を握った天才科学者の実話に基づく物語。クリストファー・ノーランが監督、脚本を務め、主演のキリアン・マーフィーほかエミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナーらが出演する。ナレーションを担当する渡辺さんは、ノーラン監督作品『バットマン ビギンズ』『インセプション』に出演してきた。渡辺謙日本版予告編では、先日アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたキリアン・マーフィーが演じるオッペンハイマーの顔をとらえ、渡辺さんによるナレーションが「ひとりの天才科学者の創造物が世界のあり方を変えた。その世界に私たちは今も生きている」と語りかける。戦時下、世界の運命を握ると同時に、世界を破滅する危機に直面するという矛盾を抱えたオッペンハイマーの独白、さらにケネス・ブラナー扮するオッペンハイマーの師、ニールス・ボーアの「君は人類に滅ぼす力を与えたこの世界には早すぎた」というセリフからも、この科学者の創造物が世界に与えた影響を感じさせる予告編となった。同時に完成した日本版ポスターは、「この男が、世界を変えてしまった」のコピーが配され、ロスアラモスの砂漠に建てられた鉄塔の前で、オッペンハイマーがスーツにトレードマークの帽子をかぶっている姿が切り取られている。『オッペンハイマー』は3月29日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:オッペンハイマー 2024年3月29日より全国にて公開© Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年02月01日本年度アカデミー賞作品賞&脚本賞ノミネートの話題作『パスト ライブス/再会』より、本国ロング予告が解禁された。A24と『パラサイト 半地下の家族』配給の韓国のCJ ENMが初の共同製作で贈る本作は、ソウルで初めて恋をした幼なじみの2人が、24年後の36歳、N.Y.で再会する7日間を描くラブストーリー。この度解禁された予告映像には、ノラとヘソンが24年ぶりにN.Y.で再会した瞬間の、互いの気持ちが溢れ出す表情や言葉にならない声で喜び合う姿が瑞々しく切り取られている。そしてこの再会に、ノラの夫・アーサーは「この物語で、僕は運命を阻む邪悪な米国人の夫だ」、「彼は13時間かけて来た。会うなとはいえないよ」と、ヘソンに対する複雑な気持ちを妻であるノラに率直に吐露しながらも、彼ら2人の関係性を尊重し見守る。1人の女と2人の男、複雑な気持ちと緊張感を保つ3人。言いようのない“縁”に導かれた彼らが、再会の数日間を経ることで、「もしもあの時…」と過去に選ぶことができた人生の分かれ道、そしていま歩んでいる日々の生活にそれぞれの想いをめぐらせる。本作のキーワードは、映像の冒頭にも出てくる、“縁ーイニョンー”。“摂理”または“運命”という意味をもつ韓国語で、ノラのセリフにも「見知らぬ者同士が道ですれ違い、袖が偶然軽く触れたら、8000層もの“縁”が結ばれたということ」という言葉が登場する。セリーヌ・ソン監督は、この言葉の概念について、「東洋の文化では“縁”について語るとき、必ずしも行動に移せるものではないことが多いんです。時には、突然現れるような場合もあります」と説明した上で、「“縁”はロマンチックな概念ですが、結局のところ、人と人との関係性や、その親密さを表すもの」だと語る。また、「この作品は、時間と場所の隔たりをも超えた結び付きについて描いたもの」と明かしている。12歳・24歳・36歳と3つの時代を描くとともに、ソウルとN.Y.の国境を越えて繋がる、“縁ーイニョンー”。本作は、24年ぶりのノラとヘソンの再会の物語でありながら、36歳の現在、N.Y.でノラと人生を共にしているアーサーも含めた3人の“縁”に纏わる物語である。ソン監督はこの物語を“愛”だと語り、「愛とは、相手のことを尊敬し、その人生を理解してあげること。守ってあげる価値がある、存在する価値があると理解してあげることです」と解説している。『パスト ライブス/再会』は4月5日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:パスト ライブス/再会 2024年4月5日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開2022 © Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved
2024年01月31日Prime Videoの2月に配信開始する新着作品が発表。完全版連続ドラマ「沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~」や映画『イチケイのカラス』、韓国発の謎解きバラエティー「アパートメント404(Apartment 404)」ほか、第96回アカデミー賞にて作品賞はじめ5部門にノミネートされている『アメリカン・フィクション』が独占配信される。『アメリカン・フィクション』は、しがない作家モンクがペンネームを使ってステレオタイプな「黒人」小説を書いたところベストセラーとなってしまい、彼を偽善と狂気の中心へと駆り立てることになるコメディ。第96回アカデミー賞にて作品賞、主演男優賞(ジェフリー・ライト)、助演男優賞(スターリング・K・ブラウン)、脚色賞、作曲賞にノミネートされている。『アメリカン・フィクション』 ©2023 MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.同じく第96回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされている『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は、2月2日(金)より見放題独占配信。選び抜かれたスパイダーマンたちが集うマルチバースで、愛する人と世界を同時に救うことはできないスパイダーマンの哀しき運命を知り、その運命に抗う決断をしたマイルスとスパイダーマンたちの史上最大の戦いが描かれていく。『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』© 2023 Sony Pictures Animation Inc. All Rights Reserved. MARVEL and all related character names: © & TM 2024 MARVELそのほか、浅見理都の同名コミックを原作とする映画『イチケイのカラス』を2月13日(火)から見放題独占配信。同作はテレビドラマで描かれた、型破りな裁判官・入間みちお(竹野内豊)が東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称・イチケイ)を去ってから2年後を描く。人気絶頂の中で謎の死を遂げた〈キング・オブ・ロックンロール〉エルヴィス・プレスリーの人生を、バズ・ラーマンが監督、オースティン・バトラーの主演で映画化した『エルヴィス』が、2月26日(月)から見放題独占配信。きらびやかな映像と時代を代表する音楽に彩られた、バズ・ラーマン監督のラブストーリー『ロミオ&ジュリエット』と『ムーラン・ルージュ』も2月23日(金・祝)から見放題配信される。『アメリカン・フィクション』は2月27日(火)よりPrime Videoにて独占配信。(シネマカフェ編集部)■関連作品:エルヴィス 2022年7月1日より全国にて公開© 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reservedイチケイのカラス 2023年1月13日より全国にて公開©︎浅見理都/講談社 ©︎2023映画「イチケイのカラス」製作委員会スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース 6月16日(金)全国の映画館で公開© 2022 CTMG. © & ™ 2022 MARVEL. All Rights Reserved.
2024年01月30日エマ・ストーン主演映画『哀れなるものたち』より、脚本を務めたトニー・マクナマラのオフィシャルインタビューが到着した。本作は、自ら命を絶った不幸な若き女性ベラ(エマ・ストーン)が、天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)の手によって奇跡的に蘇生したことから、“世界を自分の目で見たい”という強い好奇心に導かれ壮大な大陸横断の冒険の旅へと出ていく物語。ストーンはプロデューサーも兼任。『女王陛下のお気に入り』でもタッグを組んだヨルゴス・ランティモス監督がメガホンを取った。先日発表された第96回アカデミー賞ノミネートでは、脚色賞のほか作品賞、監督賞、主演女優賞など全11部門で候補入りを果たしている。<脚本:トニー・マクナマラ インタビュー>ランティモス監督の前作『女王陛下のお気に入り』でも脚本を担当されましたが、一緒に仕事をすることになったきっかけを教えてください。初めて会ったのは確か、『女王陛下のお気に入り』について10分ほどのズーム会議をやったときだったと思います。私が以前に執筆した脚本を気に入ってもらえ、『女王陛下のお気に入り』の脚本を依頼されました。その作品を我々がそれぞれどう考えるのかについて手短に話し合ったのですが、お互いの見解が全く同じだったため、あまりにも短いミーティングだったのです(笑)。プロデューサーたちは、「まさか!わずか10分でもう終わるなんて!」と驚いていましたよ。その後、私がロンドンに渡り、一緒に作業を開始しました。私たちはただひたすら一緒に過ごしたのです。二人とも食べるのが大好きなものですから、何度も昼食を共にしていきながら、親交を深めていったというわけです。彼とはとにかく気が合いますね。私たちは世界の見方がとても近いのです。ご存知のように、彼の世界観は非常に独特です。また、ユーモアのセンスという点でも我々はよく似ていますね。お互いのことが手に取るように分かるのです。ヨルゴス・ランティモス監督お二人は、きっと波長が合うのでしょうね?そう、本当に波長が合うのです。アラスター・グレイの小説は独創的で、ある種荒唐無稽とも思われる設定の物語ですが、この作品の映画化を知らされたときの印象を教えてください。ヨルゴスから電話があり、「この本を読んでみてほしい。ぜひ映画化したいと思っているんだ」と言われたので、私も読みました。あなたがおっしゃったように、非常に独創的な世界観ですし、映画にうってつけの設定があります。また、これまで見たことのない形で複数のジャンルを組み合わせたものでもあり、自分にとって手強い作品であるように感じられたので、挑戦したいと思いました(笑)。というのも、私は難しいと思われるもの、自分にできるかどうか分からないと感じられるものを好むのです。自分にとって大きなチャレンジになると感じたので、この作品に惚れ込みました。また、ヨルゴスと一緒の仕事だということもありました。彼は間違いなく偉大な映画監督の一人です。そして、私の友人でもあり、一緒に仕事をするのが楽しいので、その決断に至るのは考えるまでもないことでした。「ええ、やるに決まっています」という感じでしたよ(笑)。オリジナル脚本と原作のある場合の脚本化の違いはどこにあるのでしょうか。オリジナル脚本だと、何もないところから全てを自ら構築していかなくてはなりませんが、原作のある場合の脚本化は、他人の作品を取っ掛かりとし、個々のアイデアを取り入れながらも、同時に作品を自分のものにしていくわけです。ただ、原作によって、作業するための材料が提供されます。まず物語の設定が与えられますので、そこから始めるのです。原作では、全てが男性の視点からとなっていますが、私はこれをベラの視点に変更しました。そこが違う点だと思います。これは、どちらも良いものですね。片方は大きなチャレンジで、全てを自ら創造する難しさがあり、もう一方は原作の中から何を紡ぐのか、何を再現するかを選び、原作に敬意を払いながら、その精神を尊重するという技術的な難しさがあるものです。また、ヨルゴスはグレイに会っており、彼に対して尊敬の念を抱いていましたから、私としてはそれを尊重したいと思いました。原作通りの作品とするわけではないことは分かっていましたので、我々ならではの作品としつつも、荒唐無稽で独創的、奇想天外でユーモアもある原作の精神が感じられるものとしたかったのです。それさえ押さえていれば、良い作品になると思いました。仕事として特に面白いと感じられるのは、まさに今おっしゃったようなところなのでしょうか?はい、そうです。私は原作のある作品の脚本を書くのが大好きです。いや、オリジナルの脚本を書くのも好きですよ。それもまた良いですね。どちらも好きなのです。どちらかだけをやりたいとは思いません。どちらもやるというのが良いのです。自分一人で書くのが良いと思うときもあります。原作を脚本化するのは難しいもので、あまりにもたくさんの要素がありますので、その中のどれを排除し、どれを残すべきかの判断がつきにくいこともあり、うまくいく方法を模索しなければならないからです。そういうのは、ちょっと厄介なものですからね。それでは本作の脚本化についてお聞かせください。ランティモス監督とはどのように脚本開発をされたのでしょうか。原作を初めて読んだとき、小説の構造が素晴らしいと思ったのですが、映画ではこの物語を男性の視点から語ることはできないと考えました。この役をエマ・ストーンに演じてもらいたいということも我々は分かっていましたので、彼女の視点で紡ぐ物語にしようということになりました。というわけで、我々が話し合ったのは主に、どのようにしてこの物語を描くべきか、ということについてでした。ベラがどんな世界で旅をするのか、どの国に行くのか、などといったこともありました。ただ、我々はとても波長が合うものですから、いつもあまり多くを語ることはしません。私が脚本を少し書いては、それについて二人で話し合うという感じでしたね。視覚的にどうなるかについて、彼が思うところを話してくれました。それは具体的にはどのようなことだったのでしょうか。うーん、思い出せない……。彼が言っていたのは確か、これはファンタジーであり、リアルな世界ではないということについてだったと思います。そして、グラスゴーではなく、ロンドンを舞台とすることに決めました。それ以外に何を決めたんだったかな……。やはり、主な点は、この物語をベラの視点で語るということについてでしたね。また、これが現実離れした世界であるということもあります。そして、エンディングも変えました。そういった原作とは異なる一連の要素についてだったのですが、よく覚えていません(笑)。ベラとダンカンが訪れる場所も原作と少し違っていて、リスボンは原作にはありませんでしたよね。その通りです。ベラのために世界一周旅行の構想を練っていたのですが、そこが原作から離れ始める箇所でした。つまり、それ以降、「さあ、ここからは映画版の物語を始めよう」ということなのです。映画は2時間ですから、それをどのようにして簡潔に語りつつ、楽しく、笑いもあり、観客にとってコンテンポラリーなものとするかということに、かなり時間を割いて入念に取り組みました。それからまた、話し言葉についてもそうで、ベラがどんな話し方をすべきか、といったことについても時間をかけましたね。原作の精神を取り入れることについて言及されましたが、原作のどんなところを大切にされたのでしょうか。原作には非常に巧妙なアイデアがあると思います。哲学的な要素の中には感銘を受けるものがあるのです。また、ベラの言い回しの中にも素晴らしいものがあり、そういった要素を取り入れたいと思ったので、原作のセリフをそのまま引用することもありました。これまでランティモス監督とお仕事されてきたあなたから見て、彼の個性はどのような点だと思われますか。彼が非常に特異な世界観を持っており、その実現に向けて全力を尽くし、断固たる信念を持って取り組んでいるということが、彼の個性を際立たせているのだと思います。偉大な監督で、映画制作の全ての要素を熟知しています。それを知る監督は他にも大勢いますが、彼の場合は自身も卓越した撮影監督で、脚本家としても優れている上、素晴らしいデザイナーでもあるというふうに、映画制作のあらゆる面で優れているのです。脚本という言語を真に理解しているだけでなく、撮影という言語も理解しているので、彼と共に仕事をするのは良いものです。そうではない監督もいますからね。彼はまた、俳優からも非常に慕われており、誰もが彼と仕事をしたがります。自身の職人芸に没頭し、それを愛し、断固として自分が思い描く通りに創作しようとします。だからこそ素晴らしい映画が作れるのだと思います。そんな彼が原作を読んで魅了されたというキャラクター、ベラについてお伺いしたいと思います。主人公ベラをどのような女性として描かれたのでしょうか。私にとってベラは、自立を求め、自分が何者であるかを自らが決め、自分自身を創造していく能力を追求するキャラクターでした。彼女がそういったことに対してとても勇敢であると、私には思えました。どんなときでも非常に楽観的で、いかなる経験をも恐れない、信じられないほど勇敢なキャラクターだったのです。また、自分の経験を悪いと決めつけるようなこともせず、それは自分の人となりのある一つの側面に過ぎないと考えています。私は彼女のそんな楽観的で勇敢なところや、人生という経験をしているだけであって、その過程で自分という人間が形成されるものだと考えているというのが気に入りました。彼女はそれを、社会の規範にとらわれることなく、非常に勇敢な形で追求していくのです。社会の決まりごとを知りませんので、ある意味、それを自ら創造することが可能であり、何をやっても自分を批判的な目で見ることはありません。何が正しくて、何が間違っているかも分かりませんので、彼女はただ、自分にとって何が正しくて、何が間違っていると感じられるのかという感情を知るようになるというわけです。私は彼女のそういった要素の全てが、とても気に入ったのです。また、彼女のキャラクターを通じて伝えたかったことは何でしょうか。うーん、私は作品を通して、あまり何かを伝えようとはしません。ただ、脚本を書くだけであって、物語を書くことを、ただ楽しんでいるだけなのです。正直なところ、何についての作品かといったことも、考えることはありません。そういうことは一切考えず、ただ「このキャラクターに惚れ込んだ。このキャラクターが望むものは何だろう?どのようにしてそれを手に入れようとするのだろうか?」と考えるだけです。というわけで、そういったことはあまり考えないですね。ただ、本作が世界に支配されないようにすることについてだということはあります。自らの運命を自分でコントロールしようとすること、そして誰もがお互いを支配しようとすることについてなのです(笑)。本作で描かれる解放、自己発見といった側面がとても素晴らしいと思います。はい、そうですね。本作がそれについてであるというのは大きいと思います。自分が何者であるかというのを、他人は支配したがるものです。ですから、恐れることなく、自分が何者であるかを自らの意思で決めなければならないということを描いています。ただ、それでも他の人間を避けることはできませんし、他の人間たちにもそれぞれの思惑があるのでどうしようもない、と。そういうことなのです。まさに、そうですね。さて、エマ・ストーンとは『女王陛下のお気に入り』や『クルエラ』などで、これまでも何度かお仕事をされていますが、彼女をどのような俳優だと思われますか。彼女は偉大な女優の一人だと思います。実に素晴らしい。人間的にも素晴らしい上、大胆不敵な役者でもあります。だからこそ、あそこまで見事にベラ役を演じられるのだと思います。彼女は恐れを知りません。ただひたすら演じる役に身を投じ、素晴らしい演技の体験をしたいという一心なのです。彼女が映画を背負っているわけですし、本作の精神は彼女そのものです。ヨルゴスとの間には素晴らしい協力関係があり、二人は最高のパートナーです。また、とても面白い人で、人間性にあふれ、親しみやすいと感じられます。彼女がまるで私たちと同類であるかのような錯覚に陥りますが、実はそういうわけではない(笑)。そこが彼女の良いところなのです。脚本を執筆している段階で、彼女が演じることはすでに分かっていらっしゃったのですか?いや、当初はそうではなかったと思います。『女王陛下のお気に入り』の後に、判明しました。というのも、『女王陛下のお気に入り』以前にすでに草案を書いており、その後、同作品でエマに会ったのです。ヨルゴスがエマと会って一緒に仕事をするようになると、彼はすぐに『哀れなるものたち』でも、ぜひ彼女に演じてもらいたいと思ったようです。本作で彼女はプロデューサーも務めていらっしゃいますが、彼女と役柄についてなど、話し合われたりしましたか?ええ、彼女はプロデューサーの一人です。ただ、私は脚本家ですから、自分の部屋に隠れているだけなのです(笑)。もちろん、彼女と会うことはよくありますが、話し合いはもっぱら彼女とヨルゴスの間で行われましたね。彼女は本作に不可欠な存在ですから、ヨルゴスは伝えたいことがあったようです。そうは言っても、彼はギリシャ在住、私はロンドン在住、エマはアメリカ在住ということもありますからね(笑)。ヨルゴスとエマはよく会っていましたが、彼と私は脚本のことで会いました。我々全員による素晴らしい共同作業だったのです。そこが、ヨルゴスが素晴らしい所以で、ロビー・ライアン(撮影監督)やナディア(・ステイシー/ヘア、メイクアップ&補綴デザイン)もそうですし、同じスタッフが戻ってくることが多いので、一同の間で意思の伝達法が確立されています。つまり、それほど多くを語る必要はないのです。その後、役者たちも一緒にリハーサルし、それを私も見ていて、現場で質問されることもあります。人はお互いを支配しようとするものだというお話が出ましたが、ベラを支配しようとするゴッドウィン、ダンカン、マックスのキャラクター造形についてもお話しいただけますか。そうですね。彼らはそれぞれが異なる人物ではありますが、私には誰もがベラを支配しようとしているように思えます。マーサ(・フォン・カーツロック)やスワイニーにしてもそうです。出会う相手が誰であろうと関係なく、誰もが何らかの形で彼女を支配しようとする。そのほとんどが男たちだったものの、男だけではなかったという点が、私にとっては重要でした。誰もが皆そうだったのです。あえてそうしたわけではありませんでしたが、男たちがそうだったのはもちろんのことです。中でも最も酷かったのは最後に登場するアルフィー(・ブレシントン)でしょう。ダンカンは愚か者のようなところがある人物です。ゴッドウィンはベラのことを愛してはいるものの、そこには支配という彼なりの愛の解釈があります。ラミー(・ユセフ)が演じるキャラクター、マックス・マッキャンドレスは、ベラと出会った時点で、少し非力な弱者という感じです。そんなふうに、私は彼ら全員を欠陥のある人物としたかったのです。人間的に素晴らしいわけではありませんが、邪悪な人間として描きたくもありませんでした。ある種の愚か者としたかったのです。彼らは皆、自分が愛に突き動かされていると思っていますし、実際そうだったのですが、それは全て「支配」という形で現れます。つまり、彼らは自分が思うようなベラであって欲しかったということです。最終的には、バクスターもマックスも、自分たちが間違った形で彼女を愛していたのだと悟るのです。そういった側面が男にはあるもので、それは歴史を振り返ってみても見てとれるものだと思います。そして今も尚、男は女を、もしくは男同士が相手を支配しようとするものですから、そこには確かに性別による特性はあります。しかし、一方で人間なら誰でもそうだということもあるのです。人は誰もがお互いを支配しようとする。それが人の性だということです。それこそが、本作のタイトルが『哀れなるものたち』という所以なのかもしれませんね。我々は誰もが哀れなる人間たちで、自らの愚かさはどうしようもないのです。登場人物が皆、自分たちの考える女性像をベラに投影しており、やがて今おっしゃったように、一部のキャラクターたちがそうではなかったことに気づく。一方彼女は、そのような経験を通して人間として成長していくというのが素晴らしいと思いました。そうなのです。それこそがまさに、私がこのキャラクターに惹かれた点だったのだと思います。そして彼女が世の中のことを何も理解していないのはなぜか、ということもありました。何が正しくて、何が間違っているか、何が支配されるべきで、何がそうではないのか、そして自らのセクシュアリティに関してなど、彼女は何も知りません。ルールというものを一切理解していないので、そこがいいと思ったのです。彼女には、支配するという発想は一切ありません。「みんなはなぜ私のことを支配しようとするのだろう」などと不思議に思うのです(笑)。「全く解せない。理解に苦しむ」という感じです。というわけで、その考えを掘り下げていく自由があると感じましたし、ベラは実に自由奔放なキャラクターのように思えました。世間に教育されたわけではないので、彼女はとても自然で、誰もがそうするように、この世界で自分のアイデンティティを模索しているだけなのです。ただし、誰もが自分の生い立ちを背負っているものです。ところが、彼女の脳内には、生い立ちというものがありません。そんなわけで、楽しかったですね。この作品に世界が刮目していますが、完成した作品をご覧になっていかがでしたか?最高ですよ。心の底から素晴らしいと思いました。<作品情報>『哀れなるものたち』公開中公式サイト: 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2024年01月30日第58回アカデミー賞で10部門11ノミネートされたスティーブン・スピルバーグの名作が38年の時を経て、ミュージカル映画として蘇った『カラーパープル』のジャパンプレミアが1月29日、都内で行われた。本作は、父に虐待され10代にして望まぬ結婚をさせられた主人公セリーが、最愛の妹と生き別れ、不遇な日々を送る中でも不屈の精神で人生を変えていく物語。新鋭ブリッツ・バザウーレ監督が、《希望》と《自己肯定感》を求める女性たちの姿をエモーショナルにとらえ、圧巻の歌声が観る者の心を奮い立たせる力強いミュージカルとなっている。プレミアには、映画コメンテーターのLiLiCo、お笑いトリオ“3時のヒロイン”から、ゆめっちとかなでが出席。LiLiCoさんは「映画によって満たされるって、こういうことなんだなと思った。映画を観てから、ずっとこの作品に浸っているし、女性が声をあげられるパワーももらえる」と本作にノックアウトされた様子。「遠い国、遠い時代の話って思っちゃうかもしれないけど、家族ってそれぞれだから、共感できる部分もあるはず」と話していた。LiLiCoまた、ミュージカル映画としてリメイクされた点には「ミュージカルにしたくなる気持ちは分かる。こんなに素晴らしいものになるんだから。辛いことが描かれたり、訴えたいメッセージもあるけど、ポップな楽曲で希望を持たせてくれる」と独自の分析を披露した。「喜怒哀楽、感情がいろんなところ行くけど、女性って素晴らしいと感じましたね」(ゆめっちさん)、「すごく心が揺さぶられた。曲もダンスも素晴らしくて、ずっと目が離せないし、最後は涙してしまった」(かなでさん)と“3ヒロ”の二人も、本作の魅力を熱弁した。ゆめっち、かなでまた、二人が「映画を観ながら、思わず体が動いちゃった」とふり返る楽曲について話題が及ぶと、かなでさんが劇中歌「Push Da Button」に合わせて、激しいダンスを披露する場面も。ゆめっちさんが手拍子を、LiLiCoさんがパワフルな歌唱で、かなでさんを盛り上げ、会場を熱気に包んでいた。『カラーパープル』は2月9日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:カラーパープル(2023) 2024年2月9日より全国にて公開© 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
2024年01月29日スティーブン・スピルバーグ監督が1985年に手がけ、アカデミー賞10部門11ノミネートされた名作をミュージカル映画としてよみがえらせた『カラーパープル』のジャパンプレミアが1月29日(月)、都内で行われ、映画コメンテーターのLiLiCoが「映画に満たされるって、こういうこと」と本作を絶賛した。父に虐待され10代にして望まぬ結婚をさせられた主人公セリー(ファンテイジア・バリーノ)が、最愛の妹と生き別れ、不遇な日々を送る中でも不屈の精神で人生を変えていく物語。型破りな生き方の女性たちとの出会いと絆によって、自分の価値に目覚め、自らが輝く場所を見つけていく。ピュリッツァー賞を受賞したアリス・ウォーカーの同名小説と、ブロードウェイでロングランヒットを記録したミュージカル版をもとに再映画化されている。大きな拍手に迎えられたLiLiCoは、「皆さんが期待している以上のものを、期待してもらって大丈夫」と来場した映画ファンにアピール。自身も本作を鑑賞後「ずっと、この作品に浸っている」といい、「それくらい素晴らしい作品。女性が声をあげられるパワーをもらえる」と魅力を熱弁した。また、今回ミュージカル映画として生まれ変わったことについては「だって、どれもめちゃくちゃいい曲で、思わず拍手したくなるもの。ミュージカルにしたくなる気持ちも分かる」と納得の表情。本作では、スピルバーグのほか、オリジナル版にも出演したオプラ・ウィンフリー、オリジナル版でアカデミー賞作曲賞と歌曲賞にノミネートされたクインシー・ジョーンズらが製作総指揮を務めており、「作品に対する強い愛、手放せない魅力があるんだと読み取れる。訴えたいことが、ポップな楽曲で希望いっぱい伝わってくる」と分析した。お気に入りのキャラクターは、セリーが出会う自立した強い女性ソフィア(ダニエル・ブルックス)だといい「彼女の心情を読み解くと、笑っていないと崩れちゃうんだと思う。自分にも、笑顔じゃないと泣いちゃう、そういう時期があったし、みんなにとってもあることだと思う」と共感を示した。イベントには、お笑いトリオ・3時のヒロインから、かなでとゆめっちも駆けつけ、劇中歌「Push Da Button」に合わせて、ダンスパフォーマンスを披露。それにつられて、LiLiCoも同曲を歌い上げ、来場者を大いに盛り上げていた。取材・文・撮影:内田涼<作品情報>『カラーパープル』2024年2月9日(金) 公開製作総指揮:オプラ・ウィンフリー、スティーブン・スピルバーグ、スコット・サンダース、クインシー・ジョーンズ監督:ブリッツ・バザウレ原作:アリス・ウォーカー出演:ファンテイジア・バリーノ、タラジ・P・ヘンソン、ダニエル・ブルックス、コールマン・ドミンゴ、コーリー・ホーキンズ、H.E.R.、ハリー・ベイリー他
2024年01月29日『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーンが再集結して描く映画『哀れなるものたち』が日本公開され、興収1億円を突破。アカデミー賞に絡んだ『ブラック・スワン』、『シェイプ・オブ・ウォーター』に次ぐサーチライト・ピクチャーズ史上第3位の大ヒットスタートとなった。昨年行われた第36回東京国際映画祭以外、一切の一般試写を実施せず、1月19日に1回限りの“有料試写”となる先行上映を全国200館で実施。1月26日の公開日目前、1月23日にはアカデミー賞11部門にノミネートと期待の高まりの中、待望の劇場公開となった本作は、公開3日間(特別先行含む)で公開中洋画1位となる興行収入9,615万800円、動員6万5,445人を記録(355スクリーン。18Dolby Atmos含む)。1月19日の先行上映を加えると公開初週成績は興行収入1億189万4,860円、動員6万9,168人とすでに1億円を突破。アカデミー賞受賞の『ノマドランド』や『ジョジョ・ラビット』(ともに最終興収4.3億円)を大きく上回り、『ブラック・スワン』(最終興収23.9億)、『シェイプ・オブ・ウォーター』(最終興収8.9億円)に次ぐ数字となった。SNS上でも「問答無用の大傑作!!」「映画館で観て良かったなあと心底思った」「間違いなくエマ・ストーンの代表作になる」「美しく、痛快。」「生涯ベスト級!」「いろいろ話したくなる作品!」「エマ・ストーンがかっこよかった。序盤の演技と終盤の演技の振り幅に痺れます」「衣裳、美術、ストーリー何をとっても最高!」「既に2024年の1位が決まってしまった」といった絶賛と熱狂の声が上がっている。なお、北米では公開8週目となる今週末に一気に2,300スクリーンに拡大公開され、興収ランキング7位に浮上。同週末公開のスペイン、イタリア、メキシコも大ヒットを記録、公開中のイギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアなどでも驚異的な支持で客足が衰えず、このヒットは世界的な現象となっている。<生まれたての女性>という前代未聞の設定を持つ主人公ベラ。「世界を自分の目で見たい」という強い欲望に駆られ、身を投じたベラのヨーロッパ横断の旅は激動の果てにどんな結末をもたらすのか。鑑賞者からは日本時間3月11日(月)発表の第96回アカデミー賞でも、ベラを演じたエマ・ストーンの2度目の主演女優賞受賞を有力視する声が高まっており、作品賞も、ゴールデン・グローブ賞で作品賞を分け合った『オッペンハイマー』との一騎打ちに注目が集まっている。『哀れなるものたち』は全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:哀れなるものたち 2024年1月26日より全国にて公開©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2024年01月29日ムロツヨシが主演で、吉良上野介とその弟の二役を演じる時代劇『身代わり忠臣蔵』が2月9日、全国公開される。大ヒットし、日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した『超高速!参勤交代』の土橋章宏による同名小説を映画化した作品。大石内蔵助役は、ムロとは『サマータイムマシン・ブルース』(2005) 以来の共演となる永山瑛太。赤穂浪士に討ち入りされた吉良上野介は、実は身代わりの影武者だった! という破天荒なコメディなのだが、なるほどと、おとなが観ても納得でき、十分楽しめるエンタテインメントになっている。『身代わり忠臣蔵』製作統括と配給は東映。昭和の東映時代劇黄金時代には、大作といえばオールスターの『忠臣蔵』が鉄板だったが、1978年に萬屋錦之介が大石内蔵助を演じた『赤穂城断絶』(監督:深作欣二)以来、なんと45年ぶりに手がけた忠臣蔵映画という。忠臣蔵は、今から250年前の江戸中期、五代将軍綱吉治世におきた「赤穂事件」が元。幕府の公式行事の運営をまかされた浅野内匠頭がノウハウを持つ上役吉良上野介のいじめに耐えかね、江戸城で斬りつけ、とり押さえられて切腹。そのため、お家取り潰しとなった赤穂藩・浅野家の家来たちが雌伏ののちに、仇討ちに成功する……。いまの言い方でいえば実話のドラマ化だが、歌舞伎、講談、浪曲、落語……映画では外伝などの関連ものをいれると100本はあるという強力コンテンツだ。最近みかけない理由は、お金がかかるわりに、それほど受けないというコスパの悪さかと思う。もちろん、耐えて忍んで「主君のために仇討ち」といったテーマが現代人のメンタリティにあわなくなっているのも作られないもうひとつの要因。だが、忠臣蔵、あなどってはいけない。江戸城松の廊下での刃傷沙汰から討ち入りまで。どこをとっても話の膨らませどころが多く、登場人物も多種多様。大作が無理ならアイデアで勝負。本作は嫌われ者の悪役、吉良上野介に着目した。この手は前代未聞ではないか。しかも、上野介は江戸城で斬られたダメージが大きく、わりとあっさり他界してしまい、よく似た末弟が、影武者となるなんて、意表をついた設定だ。これは金勘定の視点から描いた『決算! 忠臣蔵』(2019) の上を行く発想だ。上野介が、幕府の儀式などを司る高家筆頭という職を利用して、賄賂をとるごうつくばりで、意に沿わない大名をサディスティックにいじめぬくというキャラはこれまでと同じ。一方、末弟の孝証はなまぐさ坊主で、金の無心にきては上野介にうとまれている。五人兄弟のなかでもことのほか姿形がよく似ていて、旅暮らしの苦労で顔もくたびれていて、髪を整え、ちゃんとしたみなりにすればうり二つ。だが、兄貴と違って、ちゃらんぽらんだが、人にやさしく、おつきの女中・桔梗(川口春奈)に恋い焦がれるという純な一面もある。浅野内匠頭(尾上右近)の江戸城での刃傷で、赤穂・吉良両家は、将軍綱吉(北村一輝)、側用人柳沢吉保(柄本明)にとってはともに不快な存在。実力者上野介がいなくなれば、赤穂家同様、吉良家も断絶の可能性がある。危機をのりきろうと上野介の側近斎藤宮内(林遣都)が考えたのが、身代わり作戦というわけだ。この二役にムロツヨシを持ってきたところが、大正解。企画・プロデュースの橋本恵一は初めて企画書を書いた段階から主演はムロツヨシに決めていた。「ムロさんって、すごくムカつく役をやられても、なぜか愛される不思議なオーラがある。本作は吉良上野介というイヤな奴と、孝証という最初はダメだけど変化していく奴の二面性、いや三面性が必要。それにはムロさんしかいなかった」という。ムロツヨシが演じる、身代わりとなった孝証の「間違えたら謝ればいいじゃん」といったりする現代的な感性、いい加減さ、軽快さが、ドラマを思いもかけぬ方向へ引っ張っていく。さらに大胆なのは、この身代わり上野介が、こともあろうに、大石内蔵助と顔見知り、どころか、親友といってもいい関係だったというのが、2番目のぶっとびどころ。せしめた身代わり料で、遊郭に繰り出し、どんちゃん騒ぎをする孝証は、なんとその店で、これまた大宴会中の侍と出会う。偽名を名乗り、おたがいの実の姿を知らないで意気投合。後日、ふたりは再会し……。ここからは、とんでもない展開、と申し上げておきましょう。荒唐無稽! でもありえるかもと思わせるストーリーだ。永山瑛太が大石内蔵助、ときいて、ちょっと若すぎなのではと思った。永山は41歳。が、調べてみると、大石は諸説あるようだが、討ち入りのときは、44歳前後のようで、それほど無理はない。古くは長谷川一夫とか、萬屋錦之介、三船敏郎といった、大御所で、貫禄たっぷりの俳優が映画やテレビで演じた役なので、もっと年をとっていると思い込んでいた。吉良上野介は61歳。ムロツヨシは48歳になったばかりだが、二役で演じる吉良家五人兄弟の末弟ということなので、こちらもわりと自然。ともに、カジュアルでのりもいい。特にムロツヨシは、登場するだけで何かやらかしてくれそうなわくわく感を感じさせる。永山の大石も、主君の仇討ちに命を賭けるという悲壮さよりも、路頭に迷って行き場のない家来たちの行く末を考えての、行動というところが、これまでとちがう大石像だ。できた映画は、さすが時代劇の東映製。京都撮影所最大のスタジオに建てられた江戸城松の廊下、吉良邸セットは立派。京都各地の寺社、風景を活用したロケ地選びも、撮影所スタッフの持つノウハウを駆使したもの。衣装や小道具、大道具など、まさにアナログ映画技術、職人技の魅力がつまっている。そのクライマックスは討ち入りシーン。永山瑛太の大石内蔵助はじめ、浪士には、森崎ウィンの堀部安兵衛、廣瀬智紀の片岡源五右衛門、濱津隆之の奥田孫太夫……。吉良側では、寛一郎の清水一学、本多力の堀江半右衛門……。若い出演陣のチャンバラと、意表をつくアクションシーン、そして東京スカパラダイスオーケストラのエンディングテーマまで、軽快にぶっとんだまま突っ走る。監督はNetflixドラマ『全裸監督』や映画『総理の夫』の河合勇人。文=坂口英明(ぴあ編集部)(C)2024「身代わり忠臣蔵」製作委員会
2024年01月29日「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」をテーマにした大阪アジアン映画祭が今年も開始祭。作品ラインナップが発表された。今年で19回目となる当映画祭は、今回もアジアの人々に関連する多彩な映画を、世界または日本の他都市に先駆け上映、多くのゲストに登壇していただくほか、ポスター展、字幕講座、ワークショップ、ブックフェア、シンポジウムなどの関連イベントを実施。なお、作品ラインナップのうち、スペシャル・オープニング作品と、クロージング作品については2月上旬の発表が予定されている。作品ラインナップ概要●スペシャル・オープニング作品、クロージング作品を除いた作品数は53作品(うち、世界初上映13作、海外初上映10作、アジア初上映5作、日本初上映17作)。上映作品の製作国・地域は、21の国と地域(アメリカ、イギリス、インドネシア、オーストラリア、オランダ、カタール、韓国、シンガポール、スペイン、タイ、台湾、中国、ドイツ、バングラデシュ、フィリピン、フランス、ポルトガル、香港、マレーシア、モンゴル、日本)。タイ『Solids by the Seashore (英題)』●グランプリ、来るべき才能賞を競う「コンペティション部門」ジャパンプレミア以上となるアジア映画(日本映画を含む)およびアジアと深い関係を有する映画を上映。審査委員により、グランプリ(最優秀作品賞)、来るべき才能賞などが選定。★アカデミー国際長編映画賞の各国代表が3作品。・祈祷師の少年の恋と成長を描いた青春ドラマ『シティ・オブ・ウインド』(モンゴル代表)『シティ・オブ・ウインド』・"口のない”青年が幼少期のトラウマと闘うアニメーション『行方不明』(フィリピン代表)『行方不明』・亡き級友の短編映画を作ることになった高校生の青春ドラマ『親友かよ』(タイ代表)『親友かよ』★世界初上映作品は日本からの3作品+海外1作品。・『においが眠るまで』:『ほとぼりメルトサウンズ』などで「OAFF2022焦点監督」に選出された東かほり監督作。近年なくなっていく映画館と、父親の匂いを探す、17歳の少女の旅を描く。『においが眠るまで』・『スノードロップ』:国内外の映画祭で高い評価を受ける吉田浩太監督作。監督自らの生活保護経験を鑑みて、矛盾をした生活保護の在り方を描くヒューマンドラマ。『スノードロップ』・『水深ゼロメートルから』:『アルプススタンドのはしの方』(OAFF2020)に続く、高校演劇リブート企画第2弾。『カラオケ行こ!』などの山下敦弘監督が描く、プールの底から始まる新たな青春群像劇。『水深ゼロメートルから』・『未来の魂』:先天性疾患のある胎児の命の選択を巡る人間の尊厳と愛を描く(オーストラリア、中国)『未来の魂』★そのほか、アプリでの苦い恋を経て自分を愛することを知る女性の物語『サリー』(台湾、フランス)、作詞の才能を信じた女子高生のコメディ奮闘記『作詞家志望』(香港、台湾)、ADHDの少女を演じたオードリー・リンが歴代最年少(12歳)で金馬奨主演女優賞を受賞した『トラブル・ガール』(台湾)、釜山国際映画祭NETPAC賞受賞の『Solids by the Seashore (英題)』(タイ)など、13作品を上映。『トラブル・ガール』●特に注視しておきたい潮流、才能を厳選「特別注視部門」・『珈琲哲學~恋と人生の味わい方~』『あの日のことをあなたに』(Netflix)などのヒットメーカー監督によるアクション大作『ジャカルタ13爆弾』(インドネシア)『ジャカルタ13爆弾』・人気歌手、ファン・チヨルの弾き語りが心にしみる短編ヒューマンドラマ『同行』(韓国)など、8作品を上映。『同行』●斬新で挑戦的な作品を紹介する「インディ・フォーラム部門」気鋭の監督による12作品を上映。監督名:クリス・ルッツ、真利子哲也、松林麗、蘇(金ヘンに玉)淳、江本純子、ヘソ、湯浅典子、塩田時敏、福岡佐和子、渡邉りか子、岡崎育之介(崎の「大」は「立」)、楫野裕真利子哲也『Before Anyone Else』●特集企画《タイ・シネマ・カレイドスコープ2024》と題された、「Fish Upon the Sky」などで日本でも人気沸騰中のプーウィン・タンサックユーン出演の『フンパヨン呪物に隠れた闇』日本初上映を含むタイ映画の特集のほか、台湾、香港の多様な作品を上映。『フンパヨン呪物に隠れた闇』●「特別招待作品部門」・江口のりこ、中条あやみ、笑福亭鶴瓶ら関西出身の豪華キャストが共演、苦境の中から立ち上がる家族の姿を伝える『あまろっく』『あまろっく』・本年度日本アカデミー賞「協会特別賞」の受賞が決定した日本の怪獣造形界におけるレジェンド的存在、村瀬継蔵が総監督を務めた特撮映画『カミノフデ(仮)』の2作を上映。『カミノフデ(仮)』●その他特別上映、協賛企画・神戸女学院大学文学部英文学科の学生が字幕翻訳を手がけた、バングラデシュ映画『リキシャ・ガール』を特別上映。『リキシャ・ガール』・芳泉文化財団の2022年度助成3作品に加え、学部生の卒業映画を対象にした表彰で受賞した4作品を上映。(入場無料)・1970年大阪万博に関連した貴重な短編映画(作品は後日発表)も特別上映。第19回大阪アジアン映画祭(OSAKA ASIAN FILM FESTIVAL 2024)は3月1日(金)~10日(日)、ABCホール、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館にて開催。(シネマカフェ編集部)
2024年01月28日俳優のザック・ゴッツァーゲンはアカデミー賞授賞式でプレゼンターを務め、モデルのマデリン・スチュアートはニューヨークのランウェイを闊歩、ジェイミー・ブルーワーは人気ドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』の常連キャストに……。アメリカではダウン症でありながらさまざまな分野で活躍するセレブは多い。そして日本でも、一人の“ダウン症のあるスター”が生まれようとしている。(全3回、前編)■「障がいのある役は、その当事者が演じる」エンタメ界に変化が「タカシく~ん!」「お、でらちゃん!耳タブ、触るか?」巨匠、ヴィム・ヴェンダース監督による現在公開中の映画『PERFECT DAYS』。同作でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞した役所広司(68)が演じる平山は、タカシ(柄本時生)の耳タブを触りに来る不思議な少年を穏やかな表情で見つめる。この映画で“ダウン症の少年”を演じているのが吉田葵(17)、本人もダウン症のある少年だ。昨年5~7月に放送された連続ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK BSプレミアム)でもメインキャストに名を連ねていた。「障がいのある役はその当事者が演じる」。エンタテインメントの世界ではそんな変化が起き始めている。とはいえ、日本で実際にダウン症の役を当事者が演じた例は少ない。日本ダウン症協会理事の水戸川真由美さんが語ってくれた。「単発のドラマにダウン症の人が出ることはこれまでもありましたが、連続ドラマは葵君が日本初でしょう。撮影が長期間にわたることに加えて、連続ドラマは第1話と最終話のロケを同じ日にするなど、パートごとに撮影することも。健常者なら理解できますが、ダウン症の人だと混乱したり、理解するのに時間がかかったりすることがあります。また、シーンごとの感情の作り方もとても困難です」ダウン症の俳優・吉田葵は、どのように誕生したのか──。■「草太をダウン症ではない人が演じたら、まったく別のドラマになってしまう」「映画とドラマでは、キャストさんの数も違ったし、映画は一日の撮影で、あっという間に終わったけど、ドラマは長くて(’23年)1月から5月まで。休まず行くことができました。撮影では関西弁のセリフを覚えるのが大変でした。『かなしい』という言葉も、強く言うポイントが違うので、ノートに一言ずつ書いて練習しました」葵は連続ドラマの撮影を、そう振り返った。『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』は、中学生のときに父親を亡くし、母親も下半身不随で車いす生活、弟はダウン症という主人公の視点から家族についてつづった、岸田奈美さんのエッセイをもとにした連続ドラマ。葵は主人公の弟「草太」役だ。制作統括の坂部康二さんに葵の起用理由を聞くと──。「草太をダウン症ではない人が演じたら、まったく別のドラマになってしまう。そんな重要な存在だから、当事者に演じてもらいたかったのです。僕も含めて多くのスタッフも、ダウン症の人と接したことがないなか、最初は“お客さま”扱いでした。でも、それは僕たちが障がいについて知らなかっただけ。撮影が進み、お互いを知ることで、スタッフの彼への接し方がフランクになり、ときには様子を見ながら強い口調で指示が出たりすることも。葵さんはそれに応えてくれました」初めてダウン症の俳優をキャストに加えるにあたり、葵専属の“サポート役”を用意した。その役を務めたのが俳優の安田龍生さん(25)だ。「葵の魅力は素直なところ。柔軟に表現することができるんです」そう語り始めた安田さん。サポート役といっても、これまでダウン症の人との接点は少なく、このような形でドラマに携わるのも、もちろん初めて。当初は、葵に受け入れられるよう、仲よく、楽しくということだけを心がけて撮影に臨んでいたのだが……。「たしか撮影が始まって5日目、母親役の坂井真紀さんが倒れたところを草太(葵)が見つけて、隣の部屋にいる姉の七実(河合優実)に助けを求めるというシーンがありました。『七実ちゃん、お母さんが倒れちゃった』というだけのセリフですが、本番では『七実ちゃん』ではなく『七実』と言ってしまう。葵はカッコいい人が好きで、(共演した)錦戸亮さんも大好き。自分もそうなりたいという気持ちがあるのか、葵の中で作られた草太はとてもカッコいい草太なんです。で、『七実ちゃん』と呼べない。声もすんごい太くて、『ななみ、ななみ』という言い方をしちゃう」当然、カット。監督から「緊迫したシーンだから」と言われてもNGを連発し、何度も何度も撮り直しをすることになった。「最後には、カメラの後ろで僕が『七実ちゃん』とセリフを言って、葵が僕のまねをして『七実ちゃん』と言う。そんな形で乗り切りましたが、そのシーンだけで1時間以上かかってしまいました」翌日、安田さんはプロデューサーに呼び出された。「プロデューサーから言われたのは、『お芝居を教えてあげてほしい』『ダメなことはダメと厳しく言ってほしい』、そして『(先日の撮影が)できていなかったことを伝えてほしい』ということでした。その日からですね、一人の俳優としての葵をサポートすることになったのは。実は、それまでは葵が気持ちよく撮影に臨めればいいと思って、高価な撮影機材や小道具に触ったり、『本番!』がかかってからおしゃべりしていても注意しなかったんです。現場のスタッフにも、しょうがないという空気がありましたし……」安田さんの仕事は、現場のルール、しきたりなど教え、葵を一俳優として育てることに変わった。「葵はダメと言えばしなくなるんです。ただ、ほかのスタッフが許しちゃう。僕からもスタッフに『ダメなことはダメと言ってほしい』と伝えてもらいました」スタッフの間で葵に対してどう対応していくか話し合った結果、現場は、いきなり厳しくなった。「極端な話ですが、特別扱いをしないでくれと言うと、今度は、付き合い方がわからなくなってしまうんです」演技については、知的障がいがあり、時間や数字が苦手な葵にさまざまな方法を試したという。「どういう気持ちで演じればいいか、台本を見ながら一緒に話し合ってから撮影に臨みました。葵が演じる役は10~25歳と幅があり、何歳のときにどんな出来事があったかを理解させるのが大変。ノートに年表を書いて、当日、演じるのが何歳でどんな気持ちなのかを理解できるように確認していきます。そのうちに、葵は順を追って説明すれば覚えられることがわかってきました。そこで、(1)りんごを見る(2)『いただきます』と言う(3)台所を見るというように番号をふって本番直前に見せるようにしました」安田さんのサポートを受けて、葵は俳優としてどんどん成長していった。「葵が演技できるようになると、スタッフの要求もより厳しくなりました。本当に、普通の俳優になった。そこから、スタッフの間にも普通の俳優として接するような距離感がつかめたという感じです。僕の仕事はどんどん減っていって、最後のほうは楽でしたよ」【中編】ダウン症の俳優・吉田葵(17) 「『この子は将来、ドラマに出るんだよ』と話しても、絶対に信じないでしょうね」障がいのある子を持った母の葛藤 へ続く
2024年01月28日【前編】ダウン症の俳優・吉田葵(17) 「七実ちゃんが言えなかった」プロのダウン症俳優が生まれた瞬間 より続く俳優のザック・ゴッツァーゲンはアカデミー賞授賞式でプレゼンターを務め、モデルのマデリン・スチュアートはニューヨークのランウェイを闊歩、ジェイミー・ブルーワーは人気ドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』の常連キャストに……。アメリカではダウン症でありながらさまざまな分野で活躍するセレブは多い。そして日本でも、一人の“ダウン症のあるスター”が生まれようとしている。(全3回、中編)■いつもの葵君は胸を張っている。でも、ドラマでは背中を丸めていた「葵君らしくなかった」とは、ドラマを見た「こどもの城児童合唱団」を主宰する吉村温子さんの感想。葵は小学3年生からこの合唱団の中にある、ダウン症などの障がいのある子どもたちのクラス「おんがく大好きミュージックパーク」に所属している。「いつもの葵君は、ハツラツとしていて、下を向かないで胸を張っている。それはなかなか大変なことなんですよ。でも、ドラマの葵君は背中を丸めていて……」葵が草太になりきっていた証拠だった。出会ったころから葵の表現力には目を見張るものがあったと吉村さんは続ける。「葵君は、見学に来たときから、物怖じしないで、ほかの団員に交じって踊りだすような子でした。順応性は高かったですね。私が指揮をしていると、歌を歌いながら、まねをして指揮を始めてしまう。いつしか前に出てきて、客席に向かって自分で表現しながら指揮をやってしまうことも。『私がやるより全然いいじゃない』というものがあった。表現する能力は、ダウン症の人のなかでも優れていると思いますね。だから葵君に指揮を頼みました。30年以上合唱団を率いていますが、指揮を任せられたのは葵君だけ。葵君は誰よりも説得力のある指揮をするから、合唱団の子も誰も文句を言いません」小学4年生から通い始めたモダンバレエでは、違う才能を光らせている。「平多正於舞踊研究所」代表の平多実千子さんが語る。「ダウン症の人は、前かがみの姿勢の子が多いのですが、バレエの基礎として背筋が伸びていることが基本。それは口うるさく指導しました。また、バレエでは股関節や背骨の柔軟性が不可欠。体が硬かった葵君は苦労したはず。でも、レッスンごとに体が柔らかくなってブリッジもできるようになり、脚もどんどん開くように。背筋もピッとなったから、自宅でそうとう練習したのでしょう」障がいがある人を受け入れたことがなかった平多さんだが、葵の努力する姿勢に舌を巻くこともあったという。「葵君の頑張りが目に見えるから、こちらも指導に力が入ります。練習で失敗すると、葵君はすごく悔しがります。『もう一度やる?』と聞くと、ほかの子は『疲れました』と言うことが多いのですが、葵君だけは『やります!』と。彼の努力と根性に刺激されて、ほかの生徒たちが目の色を変えるくらい」ダウン症の人は自分と他人を比べないといわれるが、葵はよく悔しがる。自身がダウン症であることを母に告げられたのも、「悔しがった」ことがきっかけだった。■「悔しい、悔しい」と言う葵に「ダウン症だから筋力が弱いんだよ」と「葵に、ダウン症であることを告げたのは、彼が小学5年生のとき。当時、徒競走で1位をとりたかったのですが、どうしても勝てずに『悔しい、悔しい』と。そのときに『ダウン症だから筋力が通常より弱いんだよ』と丁寧に説明しました。健常者とダウン症の人の体の違いを伝えると、葵も『筋肉が違うから、オレは速く走れないんだ』と。それでも、1位をとれないのは悔しいと言うから、葵はバレエも踊れるじゃない、指揮だってできるじゃない、駆けっこで1位になれなくても、ほかにも得意なことがあるんだからいいんじゃないの、と言いました」葵の母、佐知子さんは優しくほほ笑んだ。現在、特別支援学校高等部2年生の葵は、’07年1月4日に京都市で生まれた。母・佐知子さんと父・和史さん、7歳上の兄・匡志さん(25)の4人家族だ。葵がおなかの中にいるとわかったときは葵祭のころだった。つわりを和らげるために散策した下鴨神社の神紋が葵の葉だったこともあり、生まれてくる子には「葵」と名付けようと考えていた。出産直後に葵を抱いた佐知子さんには、長男のときとは違う感覚があったという。「やけに体温が低くて大丈夫なのかなと思いました。病院の先生は今思うとダウン症もネガティブに考えていなかったと思うのですが、葵の顔と耳の形を見て、『ダウン症かもしれないな』と言ってふっといなくなってしまったんです」葵には心雑音と黄疸があり、NICU(新生児特定集中治療室)のある別の病院に移った。「ダウン症だとわかったのは出産から1カ月くらいしてから。いろんな特徴をネットで検索して、ほぼ当てはまるから、たぶんダウン症だと。でも、はっきり告知されたときは涙がこぼれてきました。当時は、まさか自分が障がいのある子の親になるなんてと思ったし、障がいのある子どもが生まれたことでお兄ちゃんの育児ができなくなったらどうしよう、自分たちの生活はどうなっちゃうんだろうと……。葵を見ながら、泣いていたときの私に『この子は将来、ドラマに出るんだよ』と話しても、絶対に信じないでしょうね。夫も1回は泣いたと言っていました。でも、せっかくこの世に生まれてきたのだからと覚悟して、ダウン症の子をどのように受け入れていこうかとすぐにシフトできていたようです」しばらくの間、泣き続けていたという佐知子さん。「小学1年生だった長男は、私がいつも泣いているのを見て、いったいどんな子が生まれたのかと不安だったでしょう。私が泣き続けていて、お兄ちゃんが『障がいがある人って生まれちゃいけないんだ』と思ってしまっては大変だと思い、長男の前では泣くのをやめました」佐知子さんが、葵と一緒に歩いていこうと強く思ったのは、彼が7カ月のころ、心臓に穴があいている(心内膜欠損症)ことがわかり、手術を受けたことがきっかけだった。「あの小さな体に、信じられないくらいの数のコードがつながれて、肋骨を切って手術する。しかも手術中には心臓をいったん止めるというのです。こんな小さな体の子が、こんなに頑張って生きようとしている……、あの姿を見ると、拒否する気持ちはなくなります。『ママのところに生まれてよかった』と思えるような母になろうと心に決めました」手術は無事成功したが、それでも心臓の僧帽弁に閉塞不全があり、年1回の定期検診を受けること、これから先、何度も入院する可能性があることを医師に告げられた。「でも、その後は、一度も入院することも、大きな病気をすることもなく、想定外なほど元気に育ってくれて、びっくりです」【後編】ダウン症の俳優・吉田葵(17) 「はい!アメリカ、行きたいです!!」つぶらな瞳が見据えるのはエンターテインメントの本場 へ続く
2024年01月28日第96回アカデミー賞の受賞作品が発表。宮﨑駿の『君たちはどう生きるか』が長編アニメ映画賞を受賞した。さらに、山崎貴監督『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞受賞を果たした。作品賞は『オッペンハイマー』また、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』が最多の13部門ノミネートを果たし、作品賞に輝いた他、監督賞、キリアン・マーフィーの主演男優賞、ロバート・ダウニー・Jr.の助演男優賞、撮影賞、編集賞などを受賞。11部門でノミネートされた『哀れなるものたち』は、エマ・ストーンの主演女優賞、美術賞、衣装デザイン賞などにおいて受賞を果たしている。作品賞◆アカデミー作品賞受賞:『オッペンハイマー』『American Fiction(原題)』『落下の解剖学』『バービー』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『マエストロ:その音楽と愛と』『パスト ライブス/再会』『哀れなるものたち』『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』『関心領域』監督賞◆アカデミー監督賞受賞:クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』ジョナサン・グレイザー『関心領域』ジュスティーヌ・トリエ『落下の解剖学』マーティン・スコセッシ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』ヨルゴス・ランティモス『哀れなるものたち』主演男優賞◆アカデミー主演男優賞受賞:キリアン・マーフィー『オッペンハイマー』ブラッドリー・クーパー『マエストロ:その音楽と愛と』コールマン・ドミンゴ『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』ジェフリー・ライト『American Fiction(原題)』ポール・ジアマッティ『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』主演女優賞◆アカデミー主演女優賞受賞:エマ・ストーン『哀れなるものたち』アネット・ベニング『ナイアド ~その決意は海を越える~』キャリー・マリガン『マエストロ:その音楽と愛と』リリー・グラッドストーン『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』ザンドラ・ヒュラー『落下の解剖学』助演女優賞◆アカデミー助演女優賞受賞:ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』アメリカ・フェレーラ『バービー』ダニエル・ブルックス『カラーパープル』エミリー・ブラント『オッペンハイマー』ジョディ・フォスター『ナイアド ~その決意は海を越える~』助演男優賞◆アカデミー助演男優賞受賞:ロバート・ダウニー・Jr.『オッペンハイマー』マーク・ラファロ『哀れなるものたち』ロバート・デ・ニーロ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』ライアン・ゴズリング『バービー』スターリング・K・ブラウン『American Fiction(英題)』国際長編映画賞◆アカデミー国際長編映画賞受賞:『関心領域』『Io Capitano(原題)』『PERFECT DAYS』『Society of the Snow(英題)』『The Teachers’ Lounge(英題)』長編アニメ映画賞◆アカデミー長編アニメ映画賞受賞:『君たちはどう生きるか』『マイ・エレメント』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』『ニモーナ』『ロボット・ドリームズ』脚本賞◆アカデミー脚本賞受賞:ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ『落下の解剖学』ジョシュ・シンガー、ブラッドリー・クーパー『マエストロ:その音楽と愛と』サミー・バーチ、アレックス・メチャニク『May December(原題)』セリーヌ・ソン『パスト ライブス/再会』デヴィッド・ヘミングソン『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』脚色賞◆アカデミー脚色賞受賞:コード・ジェファーソン『American Fiction(原題)』グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック『バービー』クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』トニー・マクナマラ『哀れなるものたち』ジョナサン・グレイザー『関心領域』撮影賞◆アカデミー撮影賞受賞:『オッペンハイマー』『伯爵』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『マエストロ:その音楽と愛と』『哀れなるものたち』編集賞◆アカデミー編集賞受賞:『オッペンハイマー』『落下の解剖学』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『哀れなるものたち』『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』美術賞◆アカデミー美術賞受賞:『哀れなるものたち』『バービー』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『ナポレオン』『オッペンハイマー』衣装デザイン賞◆アカデミー衣装デザイン賞受賞:『哀れなるものたち』『バービー』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『ナポレオン』『オッペンハイマー』メイクアップ&ヘアスタイリング賞◆アカデミーメイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞:『哀れなるものたち』『Golda(原題)』『マエストロ:その音楽と愛と』『オッペンハイマー』『雪山の絆』音響賞◆アカデミー音響賞受賞:『関心領域』『マエストロ:その音楽と愛と』『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』『オッペンハイマー』『ザ・クリエイター/創造者』作曲賞◆アカデミー作曲賞受賞:『オッペンハイマー』『American Fiction(原題)』『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『哀れなるものたち』歌曲賞◆アカデミー歌曲賞受賞:『バービー』What Was I Made For?/ビリー・アイリッシュ、フィニアス・オコネル『ジョン・バティステ: アメリカン・シンフォニー』It Never Went Away『バービー』I’m Just Ken『フレーミングホット!チートス物語』The Fire Inside『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』Wahzhazhe (A Song For My People)視覚効果賞◆アカデミー視覚効果賞受賞:『ゴジラ-1.0』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: VOLUME 3』『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』『ナポレオン』『ザ・クリエイター/創造者』長編ドキュメンタリー賞◆アカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞:『20 Days in Mariupol(原題)』『Bobi Wine: The People’s President(原題)』『Four Daughters(原題)』『The Eternal Memory(原題)』『To Kill a Tiger(原題)』短編ドキュメンタリー賞◆アカデミー短編ドキュメンタリー賞受賞:『The Last Repair Shop(原題)』『Island in Between(原題)』『Nai Nai & Wài Pó(原題)』『The ABCs of Book Banning(原題)』『The Barber of Little Rock(原題)』短編アニメ映画賞◆アカデミー短編アニメ映画賞受賞:『WAR IS OVER! Inspired by the Music of John and Yoko(原題)』『Letter to a Pig(原題)』『Ninety-Five Senses(原題)』『Our Uniform(原題)』『Pachyderme(原題)』短編実写映画賞◆アカデミー短編実写映画賞受賞:『The Wonderful Story of Henry Sugar』『Invincible(原題)』『Knight of Fortune(原題)』『Red, White and Blue(原題)』『The After(原題)』
2024年01月26日