アイ・オー・データ機器は3日、高い信頼性を持つパイオニア製ドライブを使用し、最大16倍速の書き込みに対応したPC内蔵用ブルーレイディスクドライブ「BRD-S16PX」を発表した。出荷は6月下旬の予定で、価格は税別15,400円。1層BD-Rで最大16倍速書き込みを実現し、BDXLメディアやM-DISCにも対応。共振を抑えるスタビライザーや高精度な内部構造により、高速駆動を実現している。動画編集ソフト「Roxio Creator Premier BD」、BD/DVD再生ソフト「WinDVD」、書き込みソフト「B’s Recorder」といったブルーレイ/DVDドライブを活用するためのツールが無料でダウンロードできるようにもなっている。インタフェースはSATA、対応OSはWindows Vista / 7 / 8 / 8.1、サイズはW146×D175×H41.3mmで、重量は740g。
2015年06月03日タイガー魔法瓶は6月2日、ステンレス製カップを採用したマイコンフードプロセッサー「SKF-G100」を発表した。発売は6月21日。価格はオープンで、推定市場価格は13,000円前後だ(税別)。SKF-G100は、新たに生クリームの泡立てなどに適した「ホイップ」コースを搭載したフードプロセッサー。ホイップのほか、「みじん・ミンチ」「おろし・スープ」「パンこね」の計4コースを用意する。カップは軽量で丈夫なステンレス製。カップ内側には、食材の張り付きを抑えるためにディンプル加工が施されている。容量は600mlで、ハンバーグのたねの場合、4人分(650g)を一度に調理可能だ。消費電力は150Wで、定格時間は30分。本体サイズはW287×D179×H210mm、質量は約2.6kgだ。カラーはボルドーとブラウン。おろしカッター、ホイップブレード、パンこねブレードといったアタッチメントを本体に収納するための収納プレートが付属する。
2015年06月02日台湾Acerはこのほど、CPUに第5世代Intel Coreプロセッサ(開発コード名:Broadwell)を搭載した14型ビジネスノートPC「TravelMate P645-S」を発表した。米国で販売を開始し、価格は949.99ドルから。天板に高強度のカーボン素材、パームレストと本体の底面部分にマグネシウムとアルミニウムの合金を採用する。企業のIT管理者向けツール「Acer ProShield Manager」を備え、デバイスの保護や管理が行える。上位モデルの主な仕様は、CPUがIntel Core i7-5500U(2.4GHz)、メモリがDDR3L 8GB、ストレージが256GB SSD、グラフィックスがNVIDIA GeForce 840M 2GB、ディスプレイが14型フルHD(1,920×1,080ドット)、OSがWindows 7 Professional 64bit(Windows 8.1 Proのダウングレード権行使)。本構成での価格が1299.99ドル。下位モデルの主な仕様は、CPUがIntel Core i5-5200U(2.2GHz)、メモリがDDR3L 8GB、ストレージが256GB SSD、グラフィックスがIntel HD Graphics 5500(CPU内蔵)、ディスプレイが14型HD(1,366×768ドット)、OSがWindows 7 Professional 64bit(Windows 8.1 Proのダウングレード権行使)。本構成での価格が949.99ドル。インタフェースは共通で、USB 3.0×3、HDMI×1、D-sub×1、ギガビット対応有線LAN、IEEE802.11a/b/g/n対応無線LAN、指紋センサ、Webカメラ、マイクなど。オプションでNFCの搭載もサポートする。本体サイズは約W327.66×D236,22×H20.83mm、重量は約1.5kg。
2015年05月11日●組み込み向けのハイエンドプロセッサ「Cortex-M7」英ARMは、Cortex-A72の詳細情報などと合わせて、組み込み系プロセッサやmbed OSなどについても情報のアップデートを行った。ここでは、それらをいくつかまとめて紹介する。○組み込み向けのハイエンドプロセッサ「Cortex-M7」ARM系のプロセッサは、大きくアプリケーションプロセッサ、組み込み系、リアルタイム系と分かれていて、前回紹介したCortex-A72は、アプリケーションプロセッサの1つ。このクラスは仮想記憶や仮想マシン、情報保護といった機能を備え、高度な機能を持つOSと組み合わせてスマートフォンやタブレットなどに使われる。これに対して組み込み向けはCortex-M系列のプロセッサが対応する。このクラスは仮想記憶などを行うMMU(メモリ管理ユニット)がなく、命令体系もシンプルものになっている(Thumb-2 短縮命令セット)。わずか0.08ミリ角になるCortex-M0から、スーパースケーラー構造で浮動小数点演算も可能なCortex-M7まで5種のプロセッサをそろえる。このうち、Cortex-M7は、組み込み向けの「ハイエンド」プロセッサ。プロセッサのおおまかな構造は(図2)のようになる。PC用などの一般的なプロセッサで見慣れないのが「TCM:Tightly Coupled Memory」だ。これは、プロセッサ外部に置くスタティックメモリ(同期SRAMを最大16メガバイトまでサポート)で、命令コード用(64bit幅)とデータ用(32bit幅×2、アドレスの下位3ビット目で切り替え)がある。組み込み系では、プログラムの格納にフラッシュメモリを使うことが多いが、その読み書きの速度に対して、組み込み系のプロセッサは高速になりつつある。以前は、プログラムはNOR型フラッシュ、データストレージはNAND型といった使い分けもあったが、速度が出ないNAND型のみが大容量化したためにコストが下がったという状況もある。高速なプロセッサであるCortex-M7ともなれば、そのメモリとの速度差はかなり大きくなる。そこで、割り込みなど高速に対応するプログラムや必要なデータなどをTCMに置いておき、必要に応じて利用するわけだ。また、TCMは設定でメモリ空間に割り当てることができるため、見かけ上はプログラムやデータへのアクセスが高速化したようになり、アクセスに専用の命令を使う必要もない。ただし、事前にプログラムやデータをTCMに入れておくという処理は必要となる。また、TCMに使うSRAMが不揮発性の場合、ここから起動する機能もあるようだ。TCMはオプションの機能ではあるが、Cortex-M7を高いクロックで実行させる場合には重要となるだろう。一般に組み込み系では、フラッシュメモリなどに書き込まれた命令やデータをメインメモリに展開して実行する(アプリケーションプロセッサなどはこのようにして高速なメインメモリをアクセスする)ことはあまり行われない。その理由としては、電源オンやリセット後のシステム起動の仕組みが複雑になり時間がかかること、メインメモリ量が増えコストが上がることに加えて、用途によってはノイズによる影響の可能性や、メモリが書き換えられてしまうというセキュリティ的なリスクなども挙げられる。ただし、Cortex-M7はTCMのほか、オプションで命令用やデータ用のキャッシュを装備することも可能だ。キャッシュの場合、初回にメモリからキャッシュに取り込む時間はかかるが、1回キャッシュに入ってしまうと、高速化が期待できる。組み込み系では、あまり大きなプログラムを使うことはないため、使い方に対して適切なキャッシュを装備することで、フラッシュメモリとの速度差の問題はある程度防ぐことができる。また、キャッシュの場合、TCMのように事前にプログラムやデータをロードしておく必要はない。○Cortex-M7のさらなる詳細さて、肝心のCortex-M7のパイプラインだが、(図4)のようになる。フェッチされた命令はInstraction Buffer(写真左端のグレーのボックス)、Instruction Decorder、Intenger Register Fileを経て、9つの実行ポートへと発行される。実行ポートは、2つの32bitロードパイプ2つの整数演算ALUパイプ積和パイプストアパイプブランチ浮動小数点用演算パイプ浮動小数点、乗算、除算、ルートパイプとなっている。2つの32bitロードパイプは、組み合わせて使うことで64bitデータのロードに対応できる。また、2つの整数演算パイプは、それぞれ構造が異なり、シフトと演算が別ステージになっているものと、1ステージ分処理を遅らせてシフトまたは演算のどちらかを行うものになっている。これはロード命令と組み合わされる演算命令の処理を考慮したものだ。メモリからロードされたデータは、レジスタファイルへの書き込みとは別のパスを使って整数演算パイプに渡すことができ、このとき、1ステージずらした演算パイプだと、パイプラインをストールせずに演算に入ることができる。また、浮動小数点命令も開始を1ステージずらしてあり、ロードして演算という命令の組み合わせに対応できる。浮動小数点演算は、加算などの単純演算用と乗算、除算、ルート演算用の2つに分かれており、浮動小数点の積和演算の場合には2つのパイプをつなげて演算を行う。倍精度浮動小数点演算も可能だが、Cortex-M7は、単精度浮動小数点演算に最適化されている。なお、Cortex-M7は、スーパースケーラー構造だが、実行はインオーダーで、特定の条件(整数演算と浮動小数点演算など)でのみ2命令を同時に発行できる。整数演算などは4ステージ、ストアや浮動小数点パイプは5ステージとなっている。Cortex-M7は、組み込み系にしては「リッチ」な内部構造を持つも、回路構成からするとかなり高速で、逆にフラッシュメモリとの速度差が大きく、この点ではTCMなどを使わないと高速化できないことがある。用途としては、ディスプレイを備え、タッチ操作や音声操作などが可能なものや、通信機能を持つもの、多数のモーターなどを同時制御する組み込み機器などが想定されている。家庭内でいえば、高性能な白物家電などが相当する。また、映像関連の組み込み機器(テレビやレコーダー)は、もはやCortex-Aの領域だが、オーディオ機器などのほか、工作機械や自動車の機能モジュール、ドローンといった、ある程度の性能が要求されるが高性能なOSを動かさない組み込み機器もCortex-M7の対象となる。組み込み機器でも年々、プロセッサに求められる性能は上がっており、IoTではさらに多数の組み込み機器が登場することを考えると、高性能なものはM7が使われることになると想定されている。●mbed OSのセキュリティ○mbed OSのセキュリティ続いてはmbed OSのセキュリティについて。ARMは、2014年11月に米国で開催したTechConで、IoTデバイスのための組み込みOSであるmbed OSを発表した。これは現在開発中で、特定開発者向けのプレビューが行われているところだが、2015年11月のTechConのタイミングで、Ver.3.0として正式公開される予定だ。mbed OSはイベント駆動型のOSで、基本はオープンソース(一部、外部ライセンスなどの関係でバイナリ提供のみになる部分を含む)だ。また、IoT向けの通信スタックを持ち、さまざまな物理層の上で複数のIoT向けのプロトコルが利用できる。インターネット接続が可能な機器と通信可能な無線LANといったの汎用的な物理層を持つ機器や、BluetoothなどでスマートフォンやPCを中継に利用できる機器が構築可能だ。こうしたIoT機器の管理用にARMは、mbed Device Serverを用意している。こちらは、Linuxなどの汎用OSの上で動作する。今回のアップデートでは、これらに対して、Linuxなどの上で動作し、mbed OSアプリケーションを実行可能なmbed Clientが加わった。これは、LinuxやリアルタイムOSなどの上でmbedアプリケーションを実行可能なライブラリ、ランタイムのようなもの。これを使うことで、既存のLinuxなどを使った組み込み機器をmbed対応とすることも可能になる。また、mbed Device Serverと接続が可能であり、mbed OS機器と合わせて同じように管理が可能だ。ARMは、IoTの時代では、組み込み系のセキュリティが重要であるとし、mbed OSに組み込まれたセキュリティ機能の説明を行った。簡易なリアルタイムOSなどを使ったこれまでの組み込み系アプリケーションは、通信関連の機能をアプリケーション内に含んでいるため、開発者のノウハウや技量がセキュリティ強度に大きく関係しており、一部の開発者だけが高度なセキュリティを実現できていたという。これに対してmbed OSは、通信部分をOS内に持つだけでなく、暗号化や暗号化通信などの機能を持つ。これにより、アプリケーション側は、セキュリティ関連のコードを開発したり、他社から購入して組み込む必要がなくなったという。mbed OSを使った機器のセキュリティは、 「デバイス」自体のセキュリティ、「通信」のセキュリティ、そして、ファームウェアアップデートなどの「ライフサイクル」のセキュリティに分類できる。「通信」に関するセキュリティは、mbed OSが備える通信機能と、TLS(Transport Layer Security。SSLをベースに定義されたプロトコル)のmbd TLSライブラリによって保たれる。デバイスに関するセキュリティだが、mbed OSでは、「パブリック」部分と、外部からはアクセスできない「プライベート」部分が分離されているため、従来の組み込み系デバイスに比べると攻撃に対する耐性が高い。mbed OSでのセキュリティは、内部にある「μvisor」が制御を行う。ハードウェアには、「特権アクセス制御」(特権を持つコードのみがアクセスできる)、メモリ分割(他のプログラムからアクセスできないメモリ領域を作る。ただし、メモリ保護ユニットはハードウェアオプションであるため、これを持たないプロセッサもある)、暗号化ハードウェア(構成による)などがあり、μvisorがこれを利用してプライベート領域を保護する。μvisorは、割り込みの応答速度などを考慮し、低遅延でシステム負荷が高くならないように作られている。また、mbed OSは、このμvisorを利用して、安全な「鍵」保管領域や暗号化機能、乱数発生などの機能を提供している。これにより、デバイス自体のデッドコピーを防ぎ、サーバーなどから受け取るセキュリティ関連の情報(アクセストークンなど)を保護する。また、通信に利用するTLS関連の機能もμvisorにより保護される。さらに、IoTではソフトウェアの複雑化から、ユーザーによるファームウェアアップデートが不可避だとして、フラッシュメモリのアップデートに対するセキュリティ機能を持つ。これは、mbed Device Serverと組み合わせて行われる「ライフサイクル」のセキュリティだ。mbed OS側には、フラッシュアップデートセキュリティレイヤーがあり、電子署名のあるコードのみを受け付ける。また、こうしたアップデート作業は、mbed device Serverが管理を行う。mbed Device Serverは、デバイス制御のアプリケーションとIoTデバイスの間に入ることで、セキュリティを確保する。mbed Device Serverには、webインターフェース(HTTPSサーバー機能)があり、エンドユーザーアプリ、JavaSDKにより開発されたアプリやユーティリティなどは、ここに接続してmbed Device Server経由でデバイスを管理する。高性能なシステムで実行されるmbed Device Serverであれば、セキュリティの負荷は問題にならない。mbed Device Serverは、mbed OS搭載デバイス(IoTデバイス)とは、データグラムTLS(UDPなどのデータグラム型プロトコル上のTLS)を使うCoAPトランスポート(Constrained Application Protocol:機械同士の通信を想定したHTTPを簡易化したプロトコル)を利用する。mbed OSは、2015年11月に正式出荷予定だが、すでに特定開発者向けのプレビューは開始されている。いまのところ、まだmbed OSを搭載したIoTデバイスは登場していおらず、当初は開発ボードのみだろうが、2016年ぐらいからは、搭載製品が登場するのではないかと考えられる。ただ、mbed OSの対応範囲は多岐にわたるため、必ずしもコンスーマー製品とは限らず、目にする機会も少ないかもしれない。
2015年05月07日Intelは5月5日(米国時間)、ミッションクリティカルな基幹業務やビジネスインテリジェンス/分析、仮想化などの分野向けXeonプロセッサの新ファミリ「Xeon E7 v3ファミリ」を発表した。同ファミリは22nmプロセスの「Haswell-EX(開発コード名)」として開発されてきたもので、最大18コア/36スレッドに対応し、ラストレベルキャッシュは前世代の37.5MBから45MBへと増量(1スライスあたり2.5MB)。メモリもDDR3とDDR4の両方に対応しており(DDR4の動作速度はパフォーマンスモードで1333MHz/1600MHz、ロックステップモードで1333/1600/1866MHzに対応)、インメモリコンピューティングや高度な分析などのワークロード向けに8ソケット構成で最大12TBまで搭載が可能。また、Integrated Voltage Regulator(IVR)にも対応している。Haswellコアは、前世代のIvy Brigde(開発コード名)に比べ、新命令を用いずとも、分岐予測の改良やバッファ容量の増加、TLB容量の増加、実行ユニットの増加、フロントエンドの改良などを施したことで10%のIPC向上を果たしたほか、L1およびL2キャッシュBWの倍増、および亜ラインしていないメモリ操作の改良による演算性能(Flops)の増加を実現している。Xeon E7 v3は、E7-8800/4800ファミリとしてコア数と動作周波数、対応ソケット数の違いにより12製品がラインアップ。動作周波数は最大3.2GHzをサポートし、8ソケットまで対応。それ以上のソケット数も、サードパーティ製のノードコントローラを用いることで対応することが可能となっている。Run Sureテクノロジーの拡張を実施することで、さらなるシステムアップタイムとデータ整合性を担保することが可能となったほか、DDR4に対応したことで、将来のワークロードにも対応できるようになった。また、QPIの帯域幅も1スレッドあたり9.6GT/sとなり、前世代から20%の性能向上を達成した。性能面では新たにTSXとAVX 2.0をサポートしたほか、仮想化性能の向上に向けVMCSもサポート。各種の機能追加により、運用効率の向上としては、4世代前のXeon 7400ファミリ(開発コード名:Dunnington)比で9:1のサーバ統合を可能としたほか、信頼性としてはRunSureの拡張などが施されており、性能比較としては、前世代品と比べてLINPACKで1.68倍、SAS Mixed Analyticsで1.58倍、SAP HANA 1.0と最適化したIntel TSXの組み合わせでは5.9倍の性能向上を達成したという。なお、12製品のコア数/動作周波数および参考価格は以下のとおり。
2015年05月07日COOL Chips XVIIIにおいて、東芝の宮森高氏が同社の画像認識プロセッサ「Visconti」について発表を行った。東芝は2004年のCICCにおいて第1世代の画像認識LSIを発表して以来、10年以上にわたって画像認識SoCを開発してきている。今回の発表は最新の第4世代の「TMPV7608XBG」というチップについてである。このチップは8個のプロセサコアと14個のハードウェアアクセラレータを集積し、1900GigaOps/sの性能を持っている。この第4世代チップは次の図に示すように、車、歩行者、車線、交通標識などを認識できる。これらの機能は、前の世代でも存在したが、第4世代では車だけでなくオートバイの認識や、車いすの歩行者、交通信号、一般障害物の認識機能が加わった。東芝の画像認識の流れは次の図のようになっている。前処理で歪補正やノイズの低減を行い、特徴点を抽出し、それを追跡するという基本的な流れはルネサスのSoCと同じである。また、前段の処理は比較的単純であるがデータ量が多いので、ハードウェアアクセラレータで処理し、アルゴリズムが複雑な後段の処理はマルチコアのプロセサを使うというのも同じであるが、目的が違うので処理の中身はかなり異なっている。特徴点の抽出には、「Histogram of Oriented Gradients(HOG)」という、どちら向きの線分があるかのヒストグラムを作る。次の図の右の2つの写真は人間と道路に立っている丸い看板であるが、輪郭線の傾きのヒストグラムは似ているので、HOGでは区別が難しい。これに対して、東芝は「Co-occurrence HOG(CoHOG)」という改良アルゴリズムを使っている。CoHOGは小領域の中で、2つの線分のペアの傾きがどうなっているのかのヒストグラムを作る。この方法を使うと、対象物のローカルな形が判別できるという。しかし、CoHOGの場合は、次の図のように着目しているピクセルを含む30通りのペアの傾きのヒストグラムを作るので、HOGと比べると計算処理量が大きくなり、3GHz以上のプロセサが必要であるという。なお、このアルゴリズムは第2世代から使っているという。そのため、30通りのヒストグラムをアップデートし、それぞれのヒストグラムが何を意味しているのかの辞書を格納するDictionary Bufferを読み出して並列に比較する機能などを備えたCoHOGアクセラレータを作っている。ヨーロッパの規制では、2018年から夜間でも歩行者や自転車を検知して非常ブレーキをかけることが求められるようになる。このため、第4世代のチップでは、CoHOGに色を加えたColor CoHOGという方式を開発した。次の図のグラフは、横軸が不一致のものを一致と誤認する率で、縦軸は一致すべきものを不一致とする率であり、左下に近い方が性能が高い。昼間の明るいときと比べると、夜間の暗い時には、誤認の率が高まるのはやむを得ないが、第4世代に搭載された4色を使うColor CoHOGの性能は、色を使わない昼間のCoHOGとほぼ同等の性能を示している。なお、ヒストグラムのマッチングを使う処理はCoHOG以外にもあり、これらの処理にも使えるように汎用化したアクセラレータを作っており、これをHOXアクセラレータと称している。このチップの処理速度であるが、次の図に示すように、歩行者、自転車、車、オートバイと4種の辞書とのマッチングを行う場合は3.4GHzクロックの「Core i7-2600k(1スレッド)」では2.4秒かかる。これをNVIDIAの「GTX550Ti GPU」で行うと300msとなるが、汎用アクセラレータであるHOXを使うと8msで実行でき、GPUと比べても38倍高速である。次の図は、第2世代と今回の第4世代のチップのチップ写真と諸元を示したものである。使用しているプロセスは、どちらも40nm LPであるが、第4世代チップは105.6mm2と第2世代の2倍強の面積となっている。しかし、トータルの演算性能は第2世代が464GOPSであるのに対して、第4世代は1900GOPSと4倍以上に向上している。性能/Wは数字だけを見ると、多少下がっているが、実際の動作では、第2世代が歩行者検出だけで0.87Wであったのに対して、第4世代は歩行者、車、レーンの検出を行って0.9Wと改善しているという。
2015年05月01日日立製作所は4月28日、ディスク・アレイ・システム「Hitachi Virtual Storage Platform」(VSP)のミッドレンジ・モデル5機種を発表し、全世界で販売開始した。税別価格は165万6,000円から。新製品であるVSP G800・同G600・同G400・同G200・同G100は、2014年4月に販売開始したハイエンド向けディスク・アレイ・システム「VSP G1000」と同様のストレージ基本ソフトウェア「Hitachi Storage Virtualization Operating System」(SVOS)を搭載し、同社独自の仮想化機能「Hitachi Universal Volume Manager」や「global storage virtualization」などを利用可能とすることで、ハイエンド・クラスの高い拡張性や運用性を中小規模システムにも適用可能にするというストレージ・システム。ハイエンドからミッドレンジまでの全モデルに同一のストレージ基本ソフトウェアを搭載したことで、運用や管理方法を変更することなく、上位機種へ容易にアップグレード可能になるという。これにより、新規ビジネスの立ち上げ時は下位機種を導入して初期投資を抑えつつ、ビジネスの成長に合わせて迅速かつ容易にシステムの規模拡張や処理性能の強化を図ることが可能としている。新たに、アクセスが集中しているデータを高速なデータ・アクセスが可能なフラッシュ媒体へ即座に移動できる新技術「active flash」を搭載。データのアクセス頻度に応じてデータを自動的に最適配置するため、詳細なシステム設計は必要無く、データ量の増加に合わせてフラッシュ媒体を容易に追加できる他、市場環境の変化などにより生じる予測困難なアクセス頻度の変動にも迅速に対応するとのことだ。新製品の概要と税別価格は以下の通り。
2015年04月30日ARMは、2015年2月に発表した2世代目の64bitプロセッサ、Cortex-A72の内部アーキテクチャなどを公開した。Cortex-A72は、ARMv8と呼ばれる64bitプロセッサで、従来の32bit CPUであるARMv7アーキテクチャを含み、さらにモード切替で64bit CPUとして動作する。Intel系のx86/x64と違い、64bitモードの命令セットは、新たに設計されており完全に32bitとは別になっている。ARM系のプロセッサは、大きく3系統あり、スマートフォンやサーバーなど、仮想記憶を持つコンピュータシステムとして使うことを想定したのが「A」系列(製品名としてはCortex-A)で、そのほかにリアルタイム処理向けの「R」や組み込み向けの「M」などがある。Cortex-A系列には、大きくエネルギー効率を重視したCorex-A5/A7/A53と、性能を重視したCortex-A72/A57/A17/A15がある。なお、性能重視した製品でも、製造プロセスを変えることでモバイル向けとサーバー向けを作り分ける。また、ARM系のプロセッサは、シングルコア、マルチコアといった構成に加え、さまざまな周辺回路などを統合した「SoC」(System On a Chip)として作られ、そのために、メモリコントローラーやGPU、周辺回路と接続するための内部接続技術として「CORELINK」がある。このCORELINKにもプロセッサコア数などに応じていくつかの種類があり、一般的にはこれらを組み合わせてSoCを構成する。Cortex-A系列のプロセッサは、このCORELINKとの組み合わせにより、L3キャッシュやメモリコントローラー数、最大マルチコア数などが変わってくる。現在のCORELINKは、小規模な用途からサーバー向けSoCまで対応が可能なラインアップになっている。Cortex-A72は現在、プロセッサの基本的な設計が完了し、半導体製造を請け負うファウンドリ各社や自社で製造ラインを持つ半導体メーカーが自社の製造プロセスに適合させるべく、最適化などの作業を行っている最中だ。実際の製品は、ファウンドリーや半導体メーカーが自社プロセスへの適合を行い、そのうえでSoCとして製造を行う。セットメーカーは、これを利用して製品を作るという流れになり、現時点では、2016年頃には製品が登場するのではないかと思われる。設計したARMによれば、Cortex-A72は、14または16nmプロセスでの製造が想定されており、モバイル向けに製造した場合、最大クロック周波数は2.5GHz程度で、現在市場に出ているCortex-A15の3.5倍程度の性能を持つことになるという。なお、第一世代の64bitプロセッサであるCortex-A57では、現在の20nmメートルで製造された製品はA15の2倍程度とされている。また、Cortex-A15は28nmでの製造であり、これとA72を同じ処理負荷で比較すると、28nmプロセスで製造した場合でも50%の消費電力であり、16nmプロセスでの製造であれば75%も消費電力を減らすことが可能だという。また、低消費電力のプロセッサと組み合わせ、処理負荷により、プロセッサを切り替える「big.LITTLE」技術を使うと、さらに40~60%消費電力を下げることが可能になるとしている。Cortex-A72は、消費電力の削減についてはもちろんだが、シングルスレッド性能を重視して設計されたという。モバイル向けのアプリケーションプロセッサでは、ユーザーが利用するアプリケーションで見た場合、やはりシングルスレッド性能が大きく影響する。また、サーバー用途でもシングルスレッド性能は重要になる。Cortex-A72は、コア間で共有するL2キャッシュ(512KBから4MBまでの構成が選択できる)と、命令用、データ用に分離されたL1キャッシュ(命令用48KB、データ用32KB)がある。パイプラインは、以下の図ようになっていて、命令フェッチ、デコーダー/リネーム、命令ディスパッチ/リタイアと実行ユニットとなっている。また、命令フェッチユニットには、分岐予測機構が付随しており、ここで分岐命令の予測を行う。なお、A72ではプログラム内部のループなどに使われる分岐先が比較的近くにある分岐命令の予測に対して最適化が図られている。次のデコーダ/リネームでは、32bitのAArch32命令(ARMv7命令)や64bitのAArch64命令を内部的に利用するμOPSに変換する。以後の処理は、動作モードがどちらでもμOPSを実行することになる。リネームとは、命令で指定されているレジスタ番号を物理レジスタ番号(アウトオブオーダー機構を持つCPUで、アーキテクチャ上のレジスタよりも多くの物理レジスタを持つ)に変換する機構。これにより、データに関連性はないが、同じレジスタを使う2つの命令を順番に関係なく実行させることが可能になる。ディスパッチ、リタイアは、後続の実行ユニットに対して命令を発行し、その終了処理を行う部分。ここは、同時5命令の発行が可能になっている。従来のA57では3命令だけだった。実行ユニットは、「シングルサイクル命令用」、「分岐処理」、「複数サイクル命令用」、「浮動小数点/SIMD演算」、「ロードストア」の5種類あるが、このうち、「シングルサイクル」、「浮動小数点/SIMD」、「ロードストア」のユニットは、命令を受け入れるポート数が2つがあり、同時に2命令を処理できる。各実行ユニットの性能も向上しており、たとえば整数命令では、CRC演算命令が1サイクルで実行可能(従来は3サイクル)になっていたり、割り算命令の実行サイクルが半分になっている。浮動小数点演算でもサイクル数が削減されているなど、実行性能が向上している。ロードストアユニットは、メモリの読み書きを行う場合のアドレスを計算するなどの処理を行うが、こちらはロード用が1ポート、ストア用が1ポートで、最大2つの演算を並列に行える。また、L1、L2キャッシュのデータのプリフェッチ(命令の実行前にキャッシュをアクセスしてデータ読み込み処理を行うこと)機能もある。L2キャッシュがメモリにアクセスする場合、命令コードで指定されている仮想メモリアドレスを物理メモリアドレスに変換する必要があるが、そのためのMMU(メモリ管理ユニット)のアドレス変換機構が高速化されていたり、TLB(Translation Look-ahead Buffer)仮想アドレスの変換結果を保持しておいて、アドレス変換を繰り返し行うことを避けて高速アクセスを可能にする)の読み出しサイクルを短縮している。マルチプロセッサの場合、他のプロセッサによるメモリへの書き込みなどで、それぞれが持つキャッシュ情報を常に一貫性(Coherence)のある状態へ保つ必要がある。このための機構としてCortex-A72はACP(Accelerator coherence port)を持つ。A72では、より高速なCORELINKに対応するため、この部分にも強化が行われている。ARMによるパフォーマンス予測では、Cortex-A72は、A57に比べて、1.16~1.5倍程度の性能向上があるという。Cortex-A57は、最初の64bit実装でもあり、実際には、それほど性能が高くないといわれている。Cortex-A72は、全般的に性能を向上させており、メモリ空間の増大などとあわせ、これを利用したシステムは高い性能が出せるようだ。
2015年04月27日ソニーは4月7日、同社の柏木俊行氏が平成27年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞することになったと発表した。これはブルーレイディスクの基本構造と製法の開発によりブルーレイディスクの量産化を実現し、ハイビジョン映像などの記録媒体として同方式が広く利用され、それによりハイビジョンコンテンツが全世界に普及することに貢献した業績が評価されたもの。今回の受賞した開発技術では、CD、DVDとの互換性を保ちながら、従来DVDの5倍にあたる25GBの容量を実現するために、レーザーが透過するカバー層の厚さを0.1mmまで薄くした。これにより、屈折した光でも正確に焦点を結べるようになったため、ディスク表面のわずかなゆがみに強く、DVDで使用される赤色のレーザーの約5分の1となる記録ビットサイズを実現する青紫色のレーザーの使用が可能となった。また、この構造のディスクの製造に向けて従来の生成手法では不可能だった厚みの樹脂のカバー層を生成するために、スピンコート(回転延伸)という技術を応用をした製法を考案したことで量産化に成功した。
2015年04月07日富士通は4月7日、UNIXサーバ「SPARC M10-1」、「SPARC M10-4」に動作周波数3.7GHz、8コアの新プロセッサ「SPARC64 X+」を搭載し、全世界で提供を開始した。今回、同社のUNIXサーバのハイエンドモデル「SPARC M10-4S」と同水準の動作周波数のプロセッサをエントリーモデル「SPARC M10-1」とミッドレンジモデル「SPARC M10-4」向けに、同社が新たに開発して、CPUコア当たりの処理性能を強化した。新プロセッサの搭載により、CPUコア当たりの処理性能は従来に比べ約30%向上しているという。「SPARC M10」は、富士通とオラクルとの協業の下、2013年から市場に投入しているモデルで、両社は今回性能を強化したモデルを含む全機種について、Oracle Solarisと組み合わせて販売する。両社は、販売面に加え開発面でも連携しており、「Oracle Database」のオプション機能として、データ処理をメモリ内で行う「Oracle Database In-Memory」は、富士通製プロセッサ「SPARC64 X+」に実装した「ソフトウェア・オン・チップ」と連携し、高速な分析処理を実現する。
2015年04月07日ロームは4月2日、Intelのタブレット用次世代Intel Atom プロセッサ向けとして開発されたパワーマネジメントIC(PMIC)「BD2613GW」の量産出荷を開始したと発表した。同製品は、現行のIntel Atom プロセッサ「Z3700シリーズ」のタブレット用プラットフォーム必須のパワーレイルだけでなく、プロセッサとの連携に必要なシステムの制御とモニタリング機能を集積化し、従来品と同じWLCSPパッケージに封止することで、実装面積の小型化とコスト最適化の両立を実現している。なお、同社では垂直統合型企業として、民生機器、自動車、産業機器分野のカスタマに向け、迅速かつ効率的にコスト効果の高い方法で、高度にカスタマイズされた製品を開発していくとしている。
2015年04月03日Intelの日本法人であるインテルは4月2日、同社第5世代となる「Broadwell(開発コード名)」ベースの「Intel Core vProプロセッサ」製品ファミリを発表した。同ファミリである「Core i5-5300U」を用いたノートPCは、4年前の製品である「Core i5-520UM」を搭載したノートPCに比べて、最大2倍のバッテリー駆動時間や2倍以上の性能を実現しているほか、最大3分の1の薄さ、50%軽量な2 in 1、Ultrabook、超薄型クラムシェル、ミニPCなどのクライアント端末を選択することを可能としている。また、「インテル Pro ワイヤレス・ディスプレイ(インテル Pro WiDi)」と「インテル ワイヤレス・ドッキング」のオプションの組み合わせを活用することで、クライアント端末がモニター、キーボード、マウス、USB機器に自動的に接続されるようになるため、従来のようなドッキングステーションを不要にすることができるようになる。なお、インテルでは、このインテル Pro WiDiに対応製品を自社の会議室に2015年代2四半期に導入し、先進の仕事術を実践していくとしている。
2015年04月02日米Microsoftは3月16日(現地時間)、同社のブログで、Windows 10において2つのアプローチの採用により、必要とするディスク容量を大幅に削減することを明らかにした。具体的には、システムファイルの圧縮機能を改善し、リカバリイメージをPCのHDDに保存することをやめることで、ディスク容量の削減を実現する。同社によると、新たな圧縮機能によって、現在のテクニカルプレビューの32ビット版では約1.5GB、64ビット版では約2.6GB増えるという。この機能は、スマートフォン向けのWindows 10にも採用される。また、現行のWindowsでは、再インストールを行う際などに必要なリカバリイメージをPCにプリインストールされている。その容量は、PCのメーカーやモデルによって異なるが、4GBから12GBに及ぶという。この2つのアプローチにより、64ビット版Windows 10では、6.6GBのストレージが自由に使えるようになる。
2015年03月17日ロームは、需要が拡大するダイオードなどディスクリート製品の生産能力強化のため、マレーシアの製造子会社であるROHM‐WAKO ELECTRONICS(MALAYSIA)(以下、RWEM)に新棟を建設することを決定したと発表した。RWEM新棟は、地上3階建てで、延べ床面積38250m2。現在、詳細設計を進めており、2015年7月より着工し、2016年8月に竣工する予定。新棟は、LED照明や高効率の空調設備の導入などで省エネ化に努めるとともに、洪水対策など、万全のBCM(事業継続マネジメント)体制を整える。なお、新棟建設により、RWEMにおけるダイオードの生産能力は約2倍となる。
2015年03月16日Intelは、「Xeonプロセッサ」製品ファミリとして初めてのSoC製品となる14nmプロセス技術を採用した「Xeon プロセッサ D」製品ファミリを発表した。14nmプロセスにより小型化と省電力を同時に可能にし、クラウド/通信サービス・プロバイダやウェブ・ホスティング事業者向けに、サーバ使用に最適化された高密度かつ低消費電力を実現する。同製品は、Xeon製品ファミリとして初めてとなるSoC製品で、マイクロサーバ、ストレージ、ネットワーク、IoT(Internet of Things)向けとしては第3世代となる64ビット対応のSoC製品。第2世代64ビット対応SoC製品「Atomプロセッサ C2750」と比較して、ノード当たりの性能が最大3.4倍、1W当たりの性能を最大1.7倍に向上している。マイクロサーバに最適化された4/8コアのSoC製品を提供開始。4コア品「D-1520」は動作周波数2.20GHzで価格は199ドル、8コア品「D-1540」は動作周波数2GHzで価格は581ドルとなっている。なお、2015年後半にはネットワーク、ストレージ、IoT向けに最適化された包括的な製品ポートフォリオを提供開始予定。
2015年03月12日Freescale Semiconductorは2月24日、マルチマーケット向け高集積アプリケーションプロセッサ「i.MX 6SoloX」の量産出荷を開始したことを発表した。同製品により、コネクテッド・ホームやモノのインターネット(IoT)、コネクテッド・カーといったアプリケーションにおけるセキュリティを高める。同製品は、ARM Cortex-M4コアとARM Cortex-A9コアが同一チップ上に統合されているため、Cortex-M4コアの優れたリアルタイム応答性というメリットを享受しつつCortex-A9コア上でリッチなユーザーインタフェースのOSを実行する。CPUコアは電力ドメインが複数に区分されており独立した電力状態制御が可能で、低消費電流を実現しつつスリープ・モードから高速でウェイクアップできる。また、SoCのシステムアウェアアーキテクチャによりCortex-M4コアがローレベルのシステムモニタリングタスクを継続している最中でもCortex-A9コアの完全シャットダウンが可能なため、電力効率がさらに高まる。また、SoCには暗号化エンジンのほか設定可能なリソース・ドメイン・コントローラが組み込まれており、各ペリフェラルをCPUコアに対してロックするのか共有するのかを選択できる。ドメインコントローラはセキュアなメッセージセマフォユニットによって補強されており、協調的なマルチOSソフトウェアが安全に共有ペリフェラルにアクセスできるようになっている。また、プロセッサには先進的なセキュア・ブートやデータ・ストレージ保護機能など、堅牢な物理的セキュリティ機能も搭載されている。これらの先進的なハードウェア機能により個々の市場要件に応じたカスタム・セキュリティ・ソリューションを設計することができる。なお、i.MX 6SoloXアプリケーションプロセッサは、現在量産出荷中。包括的な開発ツール/ソフトウェアサポートセットも用意されており、Cortex-A9コア向けAndroid/Linux OSやCortex-M4コア向け「MQX」リアルタイムOSなど、幅広いARMコミュニティのサポートを利用できる。また、i.MX 6SoloXをベースにMMPF0200 PMICを搭載したスマート・デバイス向けSABRE開発ボードも用意されている。
2015年03月02日富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(富士通SSL)は2月12日、PC1台から利用可能なクラウド型サービス「ディスク暗号化サービス」を2015年4月上旬に販売開始すると発表した。参考価格は300ユーザーで月額324,000円から、3年間で3億円の販売を目指す。同サービスはハードディスク暗号化ツールの提供を始め、緊急時の暗号化解除や日々の問い合わせ対応などPCの情報漏洩対策を総合的に支援する月額制のサービス。PCの管理サーバとして富士通のパブリッククラウドサービスを利用し富士通ソーシアルサイエンスラボラトリで運用管理することで、ユーザーは運用コストを軽減できるという。同サービスは必要な期間、必要な台数だけ契約可能な月額制であり、最短3カ月・PC1台から利用可能。同サービスでは、PCのOSなどのシステム領域を含む全てのディスク領域を暗号化する。暗号化解除は同社ヘルプデスクのみ実施可能なため、万一パソコンが紛失・盗難にあった場合でも、第三者によるデータの暗号化解除を阻止し情報漏洩を防止できるという。富士通のパブリッククラウドサービス「FUJITSU Cloud IaaS Trusted Public S5」を管理用サーバとして使用するため、ユーザーのサーバ設置が不要。同社のディスク暗号化の専門家がヘルプデスクとして直接対応し、日々の運用に加えて万一の問題発生時も迅速な解決を支援する。契約中のPCの一覧情報および暗号化状態などを確認できるログを毎月1回提供し、オプションで特定のパソコンに絞った詳細ログの提供も可能といった特長を持つ。導入にあたっては、暗号化ツールをPCにユーザーがインストールするだけで導入出来るという。トライアルサービスも提供中とのこと。
2015年02月13日インテルは4日、都内で記者説明会を開催し、同社が2015年1月に発表した第5世代Intel Coreプロセッサ(開発コード名:Broadwell)の概要を紹介した。製品の発表時には公開されていない技術情報もいくつか解説されたので、説明会の内容と合わせてお届けしたい。第5世代Intel Coreプロセッサは、最新の14nm製造プロセスを採用したCPU。2015年1月のCES 2015に合わせて発表された14製品は、型番に"U"が付いたTDPが15Wもしくは28Wに設定されたモデル(開発コード名:Broadwell-U)で、クラムシェルの薄型ノートPCや大型ディスプレイを備えた2in1デバイス、オールインワンデスクトップPCをターゲットとしている。SKUや詳細なスペックに関しては発表時の記事を参照してほしい。製品概要の説明を担当したIntel クライアント事業開発部マーケティングマネージャー 小澤剛氏によるとBroadwell-Uは、前世代の低電圧版第4世代Intel Coreプロセッサ(開発コード名:Haswell-U)と比較して、性能やバッテリ持続時間が向上しているという。パフォーマンス面では、内蔵グラフィックス(iGPU)の強化やV8/V9、HEVCといったデコーダのサポートが大きく寄与し、3Dグラフィックスの性能で最大22%、動画変換で最大50%の性能向上をはじめとして、オフィスにおける生産性でも最大4%のパフォーマンス向上が得られるとしている。一方で、バッテリ駆動時間はSoCそのものの消費電力削減に加えて、PCH(Platform Controller Hub)でも省電力化を進めることで、最大で1.5時間のバッテリ駆動時間延長を実現したとのことだ。○Haswellからさらに進化した省電力技術さて、今回の説明会ではBroadwell-Uに搭載されたテクノロジー関して、Intel 技術本部技術部長 竹内健氏からいくつか解説が行われた。1つ目がIntelターボ・ブースト・テクノロジーについてだ。ターボ・ブースト・テクノロジー自体、何回かバージョンアップされ、より効果的にクロックを上げられるようになっているが、BroadwellではノートPCに内蔵されるバッテリへの負担を軽減する仕組みが取り入れられている。従来のターボ・ブースト・テクノロジーでは、定格時の電力を「PL1」、ターボブーストによって上昇する電力のしきい値を「PL2」(バーストリミット)と設定している。ターボ・ブースト・テクノロジーによってクロックと消費電力が上昇していくわけだが、しきい値である「PL2」を超えると、「PL2」に近づけようとして消費電力が急激に増減するという現象が起こっていた。バッテリからすると短い時間に大量の電流が何回も流れる。竹内氏によるとこの動きは内蔵バッテリに対してよくない状態だという。このため、場合によっては「PL2」の値を引き下げて対応しているそうだが、これではCPUが持つ力をスポイルしてしまうことになる。Broadwellでは、新たにバッテリ保護のために「PL3」(バッテリ・プロテクション)というパラメータを用意した。電力が上昇し「PL3」に達すると、PL2付近に電力を抑えるように動作を調整する。これにより急激な消費電力の上昇、それに伴うバッテリへの急激な電流の流れを抑制してバッテリの負荷を減らすことができるようになった。竹内氏は続けて、Broadwellでの省電力技術についても解説。Broadwellでは、内部に実装された統合電圧レギュレータFiVR(Fully Integrated Voltage Regulator)も第2世代となり、低電圧動作時の効率性を改善しているが、システム全体で省電力化を推し進めているという。CPUがSoCの電力消費を監視して、あらかじめ設定された電力の上限に基づき、PCHのスロットリングを行う。SATAやPCI Express、USBといったインフェースでは、スロットリングによってスループットは落ちるが、消費電力は削減できる。ただ、通常のノートPCで、頻繁にPCHのスロットリングが起こることはなく、竹内氏も「2in1デバイスにおけるタブレット形状のように、USBなど接続するものがないときに駆動時間を延ばすという使い方を想定している」という。また、Broadwellでは、Bay Trail(開発コード名)世代のIntel Atomで採用された熱制御技術「Intel Dynamic Platform & Theram Framework」(Intel DPTF)も、より機能が拡充された形で利用できるという。Intel DPTFは、パフォーマンスを発揮しつつ、PCやタブレットの筐体温度を低く維持するための技術で、筐体内に用意された複数の温度・電力センサーを使ってソフトウェアで温度管理を行う。Intel DPTFでは優先事項を決めて、CPUやPCHだけでなく、メモリやワイヤレスLANモジュール、システムファンといった各種パーツを細かく制御できる。例えば、利用している電源がACなのか内蔵バッテリなのかというPCの状態だけでなく、動作しているアプリケーションによっても、動的に挙動を変更することができるという。
2015年02月09日古河電気工業(古河電工)とUACJは1月29日、HDD向けアルミニウムメモリディスク用ブランク材の販売、技術サービス、開発マネジメントを行う会社を設立することで基本合意したと発表した。急激な成長を遂げているクラウドサービスを支えるデータセンターや、高画質のテレビ番組などを録画する家庭において、HDDの需要は年々増加する傾向にあり、HDDの高密度化が求められ、メモリディスクの要求品質も高まっている。現在、ブランク材については、UACJがアルミニウム素材を古河電工に供給し、古河電工がブランク材に加工して販売している。両社は、品質、技術対応、材料開発に関して、連携しながら取り組んでいるが、さらなる高品質化への対応には、より連携を強化し、素材から加工まで一貫した品質、技術サービスを提供する体制の構築が必要となってきた。そして今回、ユーザーの要望に、より的確かつタイムリーに応えていくため、ブランク材についての販売、技術サービス機能を統合し、開発マネジメント機能を付加した新会社「株式会社 古河UACJメモリーディスク」を設立することで基本合意した。なお、新会社は4月1日より営業を開始する予定で、初年度の売上高は約60億円を見込んでいる。
2015年02月02日STMicroelectronicsは1月14日、Bluetooth SMART対応ネットワークプロセッサ「BlueNRG-MS」を発表した。同製品は、最新のBluetooth 4.1をサポートする他、1.7Vの電源電圧に対応しているため、バッテリ駆動機器の長寿命化に寄与する。また、2.4GHz帯に対応したBluetooth PHY(物理層)、Bluetooth 4.1プロトコルスタックを動作させるARM Cortex-M0コアおよびAES-128ビットセキュリティ専用コプロセッサを集積している。さらに、API、パワーマネジメント、フラッシュメモリも内蔵されており、これらはネットワークプロセッサとホストマイコン間を明確にソフトウェアパーティショニングするシンプルなSPIバスを介し、アプリケーションのホストコントローラから直接制御が可能となっている。そして、Bluetooth 4.1では、電力効率のさらなる向上と、マスターとスレーブとして動作するデバイス双方のデュアルロールトポロジーへの対応が仕様に明記されている。加えて、Low Duty Cycle Directed Advertising(既知のデバイスに対する間欠的なアドバタイジング)が、接続時における消費電力を最小化する。また、多チャネル通信時の柔軟なデータ交換を実現するL2CAP(Logical Link Control and Adaptation Protocol)を導入している。さらに、センサからのデータを収集するとともに、データをスマートフォンに送信する周辺機器としても動作するハブなどの機器に電力を供給できる他、1台のスマートフォンで制御可能な通信範囲に制限のない超大規模センサネットワークを構築することもできる。この他、同製品はIP通信に関する最新技術にも対応しているため、IoT機器の将来に焦点をあてた開発が可能になる。なお、パッケージは5mm×5mm×1mmサイズの32ピンQFN。価格は1000個購入時で約1.50ドル。すでに販売を開始している。4月以降には、2.6mmx2.6mmx0.56mmサイズのCSPパッケージでの提供も予定されている。
2015年01月15日Cadence Design Systemsは1月12日(現地時間)、第11世代の「Tensilica Xtensa」プロセッサを発表した。今回発表された「Xtensa LX6」、「Xtensa 11」プロセッサでは、革新的なカスタムプロセッサの命令セットをユーザーが定義することができ、さらに、プロセッサコアの消費電力を最大25%、ローカルメモリの面積と電力効率を最大75%改善するという。具体的には、「Xtensa LX6」のFLIX(Flexible Length Instruction Extensions)が拡張され、4から16バイトまでの任意の命令長のVLIW(Very Long Instruction Word)命令が使用可能となった。これにより、従来の「Xtensa」と比較してコードサイズを最大25%削減することができ、パフォーマンスを維持したまま、ローカルメモリやキャッシュのサイズを最大25%削減可能になった。また、キャッシュメモリを動作中にパワーダウンするオプションにより、動的にキャッシュウェイ数を制御し、ローカルメモリの消費電力を最大75%削減できる。さらに、データキャッシュのブロックプリフェッチは、MemCpyのような関数を6.5倍高速化し、システムバスからの読み出し回数を23%削減することで、システムの消費電力を削減し、システム性能を向上させる。この他、プロセッサコアのダイナミックスイッチングパワーを最大25%削減できる。なお、最新版の「Xtensa」カスタマイザブルプロセッサは、すでに入手が可能となっている。
2015年01月14日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は1月8日、同機構の助成事業の成果としてPEZY Computingが開発した高性能プロセッサが小型スーパーコンピューター(スパコン)「Suiren(睡蓮)」に搭載され、昨年11月の「SC14」国際学会で、スパコン省電力性能ランキング「The Green 500 List」の世界第2位を獲得したことを発表した。搭載されたプロセッサ「PEZY-SC」は、1チップ内に1024個の演算コアを有することで超並列演算を可能とし、倍精度浮動小数点数演算1.5TFlopsの演算能力を有している。「Suiren(睡蓮)」では同プロセッサを256個使用し、システム全体として理論性能395TFlopsの演算能力を有し、絶対性能を競うTop500リストでは178.1TFlopsで369位にランクインした。一方、省電力性能が高い順に並び替えたGreen 500リストでは、1Wあたり演算性能4.946GFlopsをを記録し、世界第2位を獲得した。現在、HPC分野においては、演算能力だけでなく、電力効率の改善がより一層強く求められている。NEDOは「高性能と低消費電力を両立させた『PEZY-SC』プロセッサを用いることで、小型ながら省電力・高性能なコンピュータシステムが実現できることが実証された」とコメント。今後、PEZY Computingでは今回実証された消費電力性能の高さを活かして、HPC分野の実アプリケーションの実装と性能検証を進めていく予定だという。
2015年01月08日GIGABYTEは6日、小型PCベアボーン「BRIX」「BRIXs」の新モデルとして、第5世代Intel Coreプロセッサ搭載モデルを発表した。それぞれに対して、Intel Core i3-5010U搭載モデル、Intel Core i5-5200U搭載モデル、Intel Core i7-5500U搭載モデルをそろえる。発売日や価格、日本国内での展開については未定となっている。メモリとストレージ、OSを追加することで1台のPCとして完成する小型PCベアボーン。「BRIX」は薄型筐体を特徴とするモデルで、「BRIXs」は2.5インチストレージの搭載が可能なモデルとなる。今回発表された新モデルでは最新の第5世代Intel Coreプロセッサを採用し、CPUや内蔵グラフィックスの性能が向上。HD動画の編集や高解像度でのゲームプレイなどが可能になるとしている。また、新機能としてNFCに対応、NFCを搭載したデバイスとの通信が行える。搭載する主なインタフェースは、USB 3.0×4、HDMI、miniDisplayPort、ギガビット対応有線LAN、IEEE802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.0、オーディオポートなど。
2015年01月06日Intelは1月5日(現地時間)、第5世代Intel Coreプロセッサ・ファミリーを発表した。同社の14nmプロセス技術の採用により、前世代と比較して、トランジスタ数を35%増加させたと同時に、ダイの大きさを37%縮小することに成功。また、アーキテクチャの強化だけでなく、グラフィックス性能を最大24%向上し、動画変換の最大50%高速化も実現した。さらに、電源管理や設計面での強化によりバッテリ-駆動時間を最大1.5時間延長した。同ファミリーは、IntelのHDグラフィックスを搭載したTDP(熱設計電力)15Wプロセッサの10モデルと、Intel Iris グラフィックスを搭載したTDP 28Wプロセッサの4モデルの合計14モデルで提供される。Intelワイヤレス・ディスプレイ5.1を含む 4K Ultra ディスプレイに対応したほか、Intel RealSense 3D テクノロジーと組み合わせて、パスワードを使わずに音声認識機能を用いてログインしたり、ジェスチャーによる操作などが可能となる。同社は「第5世代Intel Core プロセッサ・ファミリーは、ノートブックPC、2 in 1、Ultrabook、Chromebook、オールインワン・デスクトップPCやミニPCなどの、様々なクライアント・フォームファクターや市場の拡大が進むIoT分野などへ、次世代のコンピューティング・デバイスの設計に向けた広範な選択肢を提供します。これにより、同ファミリーに採用される14nmのBroadwellマイクロアーキテクチャは、Intelのモバイル分野において、最も速く、アーキテクチャーの移行が進むと期待されています」とコメント。同ファミリーを搭載したシステムは、様々なメーカーから1月より発表される予定となっている。
2015年01月06日今年7月、Freescaleとエルイーテックは、高信頼プロセッサ・ソリューションの共同開発に関するプレスリリースを発表した。この話はこちらの記事でも触れているが、実はこの記事を読んでもいまひとつピンと来なかったのだが、幸いFTF Japan 2014のTechnology Showcase会場でエルイーテックがブースを出しており(Photo01)、ここで細かい話をお聞きすることが出来たのでご紹介したいと思う。先の記事にもある通り、このソリューションは煩雑にリセットを掛けることで高信頼性を確保する、というものである。同社は元々Z80ベースのMCUを利用したシステムを手がけており、このレベルで高信頼性を確保する方法として同社が「FUJIMI」と呼ぶ今回のテクノロジを開発している。では同社にとって高信頼性とは何か? という話を。同社の定義によるMCUの動作状態はとなるとしている。レベル0が正常な状態で、同社によれば99.9999%以上はこの状態で動作するとしている。レベル1は割込を禁止した状態でも、要因の無い割込が発生するというもので、これはNMIとはまた違った話である。レベル2-1は周辺回路の設定異常が発生し、CPUによらず変な出力をしたり、逆に変な入力を受け取るというもので、2-2はこれがRAMに発生したというものである。レベル3が今回の主眼で、CPU回路そのものにノイズが入って動作が異常になるというケースだ。ちなみにレベル4は電源からのサージなどで発生するとされ、システム全体の再起動が必要になる。レベル5は物理的に破壊という話なので、これは速やかに電源を落とすしかない。さて、今回の技術はそんなわけでレベル3の異常が起きた場合にどう対処するかというものである。一般にこうした用途ではWatchdogが利用されるが、こちらはアプリケーションソフトウェア側の対策が必要だし、一度Resetが掛かると通常は初期化から始まることになるので、長時間の処理を行っている場合には、実行中の処理が元の木阿弥になってしまうという欠点がある。別の解はDual CoreのLock Stepであるが、こちらはシリコンコストが倍増する上に、99.9999%以上の正常動作時は2つ目のコアは無駄に動くことになるため、消費電力の観点からお得な解とは言いがたい。ではFUJIMIはどんなものか? というのがこちらである(Photo02)。FUJIMIは一定期間ごとにリセットを掛けるが、それに先立ちアプリケーション情報の保存を毎回行っている。正常動作中は常に情報退避→リセット→情報復帰を繰り返すから、リセットを挟んで処理が継続できる。ところがCPUに何らかの異常が発生した場合、次のリセットに先立つ情報保存ができない。なのでリセットが掛かると、その前の段階で保存した情報を元に再度復帰することになる。これにより、異常が発生しても、処理のやり直しを最小限に抑えられるという訳だ。もっとも当然ながらこんな煩雑にリセットと、その前後の情報退避/復帰には処理コストが掛かる。説明によれば、現在はリセット期間が10ms程度にされており、この場合の処理コストはCPU性能にして2~3%程度とか。ちなみに最初にインプリメントされたZ80の場合は2msだったらしい。この期間を短くすれば障害時の暴走時間を短く出来る反面処理性能へのインパクトが大きいし、逆に長くすると処理負荷は減るものの、障害時の暴走時間がそれだけ増えるので、あとはアプリケーション要件とのバランスということになるのだろう。ちなみにこのFUJIMIを利用するためには、Photo03の様な構成が必要になる。ポイントはグリーンの部分で、要するに「CPUだけ」にリセットを掛ける回路があるかどうか。これが無いと、リセットのたびにシステム全体が初期化されてしまうので、迅速な復帰が不可能になる。こうした構成をとっているのは、FreescaleではQorIQ LS1020Aのみで、あとは元富士通、現Spansion(というか、来年にはCypressになる)のFM3/FM4シリーズの一部製品、およびDragonchipの8051ベースのMCUのみということであった。ちなみにここまででお分かりの通り、ソフトウェアのエラーなどには効果がないし、熱暴走などの状況では短期的に解決しない。あくまでもレベル3の一時的なエラーのみに、このFUJIMIの効果がある形だ。とはいえ、WatchdogとLockstepの間を埋める、低価格の割に効果的なソリューションと言えそうである。
2014年12月10日長年PCを使い続けていると、気付かぬうちにディスクドライブの空き容量が足りなくなることがある。撮りためた画像/動画ファイルは外付けHDDやNASなどに待避すべきだが、それでも足りない場合はどうすればいいのだろうか。今回は「ディスクのクリーンアップ」を使った方法を紹介する。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○標準ツール「ディスク(の)クリーンアップ」の重要ポイントとはディスクドライブのプロパティダイアログには、以前から「ディスク(の)クリーンアップ」という機能が用意されている。Webページ閲覧時に発生するインターネット一時ファイルや、ごみ箱(フォルダー)の中身などを1ステップで削除するツールだ。Windows 9x時代から備わってきた機能のため、Windows OSを使い続けてきたユーザーならまず知っているだろう。デスクトップアプリが生成する一時ファイルや、OSが生成したエラーレポート、OSアップグレード時の一時ファイルも対象とするため、月に1回くらいは実行するとよい。だが、重要なのは標準ユーザーの管轄下にあるファイルではない。システム管理者レベルでしか削除できないシステムファイルのクリーンアップである。Windows Updateで適用した更新プログラムやデバイスドライバーパッケージ、一部のログファイルを対象とし、これらも一緒に削除しないと、ディスクドライブの容量を無駄に消費してしまうことになるのだ。○不要なファイルをすべて削除するまずは「ディスククリーンアップ」を実行するが、前述したGUI操作だけではなく、コマンドラインからも起動可能だ。「システムファイルのクリーンアップ」ボタンを押してモードを切り替えれば、すべてのファイルが削除対象となる。各項目の概要は「説明」セクションを参考に選択してほしい。ポイントは「その他のオプション」タブにある「システムの復元とシャドウコピー」セクションだ。そもそもWindows 8.1(を含む以前からのWindows)は、一定時間ごとや更新プログラム、アプリケーションインストール前に復元ポイントを作成し、システムファイルの保護を行っている。そのため、復元ポイントの数はディスク容量が許す限り(または、ユーザーが指定した領域をすべて使うまで)増えていく仕組みだ。そしてもう1つのシャドウコピーは、ユーザーファイルやシステムファイルなどを対象にファイルのスナップショットを作成する機能である。本機能は前述した復元ポイントの作成やバックアップ時に利用するが、これらがディスクの空き容量をひっ迫するケースが少なくない。ここでいうスナップショットとは、ある時点のファイルを保存しておき、もし不具合が起きても復元できるようにするもの、と考えておけばよい。上図の手順で不要な復元ポイントとシャドウコピーを削除したことになるが、筆者が普段執筆に使っているPCの場合、7GBほど増えている。この操作を頻繁に行う必要はないものの、ディスクドライブの空き容量が心もとなくなった際に思い出してほしい。阿久津良和(Cactus)
2014年11月29日STMicroelectronicsは11月14日、オーディオ用SoC「STA1052」をベースに開発されたカーオーディオ用プロセッサ「Accordo2」ファミリを発表した。同ファミリは、メディアデコーディング、オーディオルーティング、音声処理、アナログ音声入出力などを完全に統合したオーディオサブシステムとともに、独立したセキュアCANマイコンサブシステムを提供する。また、これまで複数の製品を必要としていた車載用インフォテインメント機器を1チップで実現する。さらに、顧客における部材コストの最小化に加え、ミドルウェア、メディアプレーヤ、オーディオコーデック、サウンドエフェクト処理を含む独自のソフトウェアターンキーソリューションにより、製品開発期間の短縮を加速させる。そして、同ファミリの大半の製品は、アプリケーションの拡張性を有しており、基本的なカーオーディオからネットワーク接続型カーオーディオやディスプレイオーディオに至るまで、さまざまな設計に対応することができる。一方で、あらゆるケースで同一のハードウェアならびにソフトウェアアーキテクチャを再利用できるため、設計コストが大幅に削減される。この他、32ビットで動作周波数が最大600MHzのARM Cortex-R4コアを搭載しており、メディア管理、通信およびオーディオデコーディングの全ての役割を果たす。さらに、フラッグシップ製品の「STA1095」には、リアルタイムCAN/車載インタフェース処理専用のARM Cortex-M3コアの他、Bluetoothによるハンズフリー通話用の音声増幅アルゴリズムとエコー/ノイズ除去(ECNR)をサポートする強力なDSPが搭載されている。なお、「Accordo2」ファミリ製品は、16mm×16mm×1.7mmサイズの361ピンLFBGAパッケージ(0.8mmピッチ)で提供される。現在サンプル出荷中で、2015年第2四半期より量産が開始される予定。
2014年11月17日Spansionは11月13日、次世代マイコンならびにシステムソリューションへの搭載を目的にARM Cortex-M7プロセッサのライセンスを取得したと発表した。同社はこれまでCortex-M0+/3/4を搭載したマイコンを提供しているが、今回のCortex-M7のライセンス取得により、これらのマイコンのほか、同社が提供するアナログ半導体、フラッシュメモリ、エナジーハーベティスティング製品などを補完するマイコンの提供が可能になるとしている。なお同社では、これらのCortex-M7マイコンは、今後発展が期待される産業/民生/IoT/ワイヤレス通信分野におけるカスタマニーズに対応するものになるとコメントしている。
2014年11月13日東芝は11月10日、活動量計、スマートウォッチ、ブレスレット型やメガネ型などの各種ウェアラブル端末向けのアプリケーションプロセッサ「TZ1000」シリーズとして、新たに「TZ1021MBG」を製品化したと発表した。同製品は、省電力通信規格であるBluetooth Low Energy(BLE)通信機能、加速度センサおよびフラッシュメモリを内蔵した「TZ1001MBG」から通信機能および加速度センサを外し、プロセッサ部分とフラッシュメモリのみを残すことで、小型・薄型パッケージを実現したという。また、演算処理として、DSPと浮動小数点演算ユニットをもつARM Cortex-M4Fを搭載しており、内蔵センサや外部センサから取り込んだ複数情報の統合的な処理(センサフュージョン)も可能なほか、高精度のADCも搭載しているため、脈波や心電などの微弱な生体信号を計測することも可能だという。なお同社では、すでに「TZ1001MBG」に角速度センサを追加した「TZ1031MBG」と、角速度センサと地磁気センサを追加した「TZ1011MBG」の開発を進めており、今後も「TZ1000シリーズ」のラインアップ拡充を目指すとしている。
2014年11月13日東芝は11月13日、次世代画像認識用プロセッサ「Viscont 4シリーズ」を開発し、第1弾としてカメラからの入力映像を処理し、自動車周辺の車線、車両、歩行者、標識などを認識する車載向けの画像認識用プロセッサ「TMPV7608XBG」を2015年1月からサンプル出荷し、2016年12月から量産を開始すると発表した。同製品は、2018年に欧州で施行予定の新車安全性能評価「Euro NCAP(New Car Assessment Programme)」で要求される昼夜での歩行者衝突回避などの次世代先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)への採用を目指したもので、夜間の歩行者などの認識において、従来方式の輝度情報に加え、色情報での識別が可能な独自の新認識装置「Enhanced CoHOGアクセラレータ」を搭載することで、従来機種の昼間の認識性能と同等レベルの認識を可能にしたという。また、従来機種から実現していた歩行者や車両など事前登録した障害物の認識に加え、単眼カメラの時系列の画像情報から静止物の距離、高さ・幅の3次元情報の推定が可能となり、事前登録のない落下物・落石・土砂崩れなどの予期せぬ障害物も検知することができるようになりったという。さらに、倍精度浮動小数点演算処理に対応した8個の画像処理エンジン「Media Processing Engine」と14個の各種画像処理アクセラレータを搭載することで、最大8つの画像認識アプリケーションの同時実行が可能となったほか、画像処理エンジンとアクセラレータは、最大266.7MHzの動作周波数で駆動するため、歩行者、車両などの同時認識を50ms以内に実行することが可能だという。なお同社では、Visconti 4の使用条件で最大効率が得られるよう電圧および電流を最適化したシステム電源IC「TC9580FTG」も合わせて製品化し、2014年11月末からサンプル出荷し、2015年11月に量産を開始する予定だとしている。
2014年11月13日