U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで決勝トーナメントに進出し、ラウンド16でFCバルセロナと対戦した、セレッソ大阪U-12。10番の石渡悠吏選手を中心に、バルサの攻撃を粘り強く跳ね返していましたが、0-3で敗れました。セレッソのみなさんは、バルサと試合をしてみて、どのようなことを感じたのでしょうか?試合後、久川直裕監督(以下、久川)と選手たちに話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:高瀬波音也)試合の感想を語ってくれた選手たち(C)高瀬波音也<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■バルサは次の目的を持ちながらボールを受けている対戦してみて分かった自分たちとの違い――バルセロナ戦の感想を聞かせてください。久川子どもたちも言っていましたが、止める蹴る運ぶという、こだわをりを持ってやっているところが出せませんでした。どれぐらい通用するかを試してもらいたかったのですが、運んだら取られるのではないかと、怖がっている部分もありましたね。バルセロナと対戦してみて止める蹴る運ぶの質の高さを実感したと語った久川監督(C)高瀬波音也――セレッソのアカデミーでは「止める蹴る運ぶ」にこだわっていますが、バルサの質に関してはどう感じましたか?久川バルサの選手は、プレーの次の目的を持ちながらボールを受けていますよね。うちの子達は、とりあえずボールを受けるといった感じで、止めるという一つのことはできるのですが、その先の二つ三つまで、意識するところが少なかったのかなと思います。あそこにボールを出したいからここに止めるとか、目的があって、そのために体の向きやボールを止める場所があるわけで、その部分で質の違いを感じました。これからの課題にしていきたいです。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■止める蹴る、運ぶのクオリティを高めるための今後の課題――止める蹴る運ぶのクオリティを高めるために、普段どのようなアプローチをしていますか?久川止める蹴る運ぶをバラバラに取り組むことも、混合させたトレーニングをすることもあるのですが、もう少し「止めて蹴る」ではなく「止めながら運ぶ」「運びながら蹴る」といったところが出せればなと。そこが今後の課題ですし、僕にとってもいい勉強になりました。――セレッソのアカデミーで目指す姿はどのようなものですか?久川一番は技術の向上です。もちろん年齢が上がればスピード、パワーも必要になってはきますが、まずは技術を向上させて、個人で戦える選手を育成したいと思っています。■ワールドチャレンジは世界を垣間見ることができる大会――去年に続くワールドチャレンジの出場ですが、大会の意義はどう感じていますか?久川ワーチャレは世界を垣間見ることのできる大会です。僕自身、ワーチャレで感じたことを子どもたちに伝えながらやってきました。大事にしていることは去年も今年も同じなので、それをどれだけ突き詰めてできるか。彼らの今後の成長に期待したいです。■選手たちはバルサとの対戦をどう感じたのかバルセロナとの試合後、選手に話をうかがいました。インタビューを受けてくれたのは中杉環くん(11番)、石渡悠吏くん(10番)、大村憲心くん(8番)、藤田大智くん(7番)、梅本淳正くん(6番)、泊樹佑くん(4番)■バルサは止める蹴る、運ぶの一つひとつが上手かった――バルセロナと試合をした感想を聞かせてください。中杉バルセロナは広がってプレーしていて、真ん中で引きつけた後にボールを戻して、次にサイドを使ったりと、常に遠くを見ながらプレーしていました。もっと縦と中を切って守備をすれば良かったです。ポジショニングの微調整が大事だと思いました。石渡バルセロナは真ん中にボールをつけて戻して、サイドに振ってから縦に突破することが多かったです。2人の間を強引に割られて危ない場面があったので、次に生かせるように頑張りたいです。大村バルサは止める蹴る、運ぶ、一つひとつのプレーが上手くて、いろんなところが見えていました。藤田一人ひとりが強くて、何人かでボールを取りに行っても抜かれるし、一つのミスが大きなピンチになってしまうので、これからはミスを少なくしていこうと思います。梅本フィジカル面が自分たちと違って、世界レベルで速かったです。自分たちが守備をしていても、バルサは集中が切れた隙を逃がさず、攻撃してきました。泊個人能力が高くて、3人で囲んでも取れないこともあったので、ひとりでも取れるようにディフェンスを高めていきたいです。■バルサとの対戦を今後どう生かすか――バルサと試合をした経験を、今後どう生かしていきたいですか?中杉ワンタッチの質を上げて、駆け引きして、一歩外れて、持ちすぎずにはたいてもう1回受ける回数を増やしていきたいです。石渡1人でも守れるように強く行って、ボールを取り切り、前に繋げられるようにしたいです。大村バルサみたいに一つひとつのプレーが上手くなれるようにもっと練習して、試合で生かせるように、頑張りたいです。藤田攻撃のときにもっと落ち着いボールを回して、何人かでパスを回して、ゴール前まで行って決めきることができるようになりたいです。梅本体で劣っていても、技術で勝るために磨いていきたいです。泊バルサよりも上というか、どのチームにも通用する技術を身につけたいです。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月05日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、ベスト4に進んだ、横浜F・マリノスプライマリー。ラウンド16ではしのぎを削るライバル、柏レイソルU-12に勝利。準々決勝ではエクセレントフィートFCに逆転勝ちを収めました。準決勝では、念願だったFCバルセロナと対戦。強豪相手に真っ向勝負を挑むなど、貴重な経験をしました。ラウンド16の試合後と準決勝の後、土井孝徳監督(以下、土井)と選手たちに話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一、高瀬波音也)準決勝ではバルセロナと対戦(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■横浜F・マリノスプライマリーの育成コンセプトとはた――ラウンド16で柏レイソルU-12に勝ちました。試合の感想をお願いします。土井次のステージに進めたので良かったです。最近は守備をテーマにしていたので、相手の陣地でミスを誘ったり、ボールを奪ってチャンスに繋げる部分は良かったと思います。攻撃においてはもう少し、主導権を持ってやりたかったです。――横浜F・マリノスプライマリーの育成コンセプトはどのようなものでしょうか?土井攻撃的かつ主体的に、トップチームが掲げている「アタッキングフットボール」に繋げられるような選手を育てていければと思っています。個人では技術的にいろんなことができて、自分で考えて判断ができる選手。そして特徴を持っている。このあたりがしっかりと備わって、次のステップに進んでいくことが大事だと思っています。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■ワールドチャレンジは普段できない経験ができて、成長するきっかけになる――U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジは、世界にチャレンジする場です。どのようなモチベーションで臨んでいますか?土井この大会は11人制なので、6年生から中学生に近づいていく中で、8人制とは違う経験をすることができます。海外のチームも参加しているので、普段できないような経験ができて、選手にとって成長するきっかけにもなると思っています。海外チームとの対戦など普段できない体験ができるのは成長のきっかけになると語ってくれた土井監督(C)高瀬波音也■映像で見るだけでなく、バルサと直接対戦したからこそ分かったこと土井監督には、準決勝終了後も話をうかがいました。――FCバルセロナとの準決勝は大差(1-8)がつきました。試合の感想を聞かせてください。土井相手はバルセロナでしたが、腰が引けるのではなく、ぶつかってみようということで挑みました。それがこの大会に出た意義でもあるかなと。その結果、選手たちはまだまだだなと痛感したと思います。そのような経験ができたことは良かったと思います。――映像で見るバルセロナと、実際に試合をしたバルセロナでは、印象に違いはありましたか?土井一人ひとりの上手さがありましたね。試合をしてみて、なかなかボールが取れませんでした。個の部分で落ち着いているし、余裕がある。我々は相手からボールを奪うことにパワーを使って、攻撃でパワー不足になってしまったところもあったと思います。――改めて、ワールドチャレンジの意義について聞かせてください。土井バルサも準決勝の大きな舞台で一生懸命やってくれましたし、そういう中で選手は様々な経験ができました。それも大会に出場する狙いの一つだったので、すごく感謝しています。■選手たちはどう感じたのかラウンド16の柏レイソル戦(3‐1)後、選手たちに話を聞きました。インタビューを受けてくれたのは板東仁くん(10番)、山田湊斗くん(11番)、小川陽くん(4番)。試合の感想を語ってくれた選手たち(C)高瀬波音也■最後まであきらめない気持ちが大事――試合の感想をお願いします。板東別の大会のリーグ戦で大差で負けた相手で、チームメイトが熱を出して出られなかったこともあって、その分も頑張りました。先制点を取れたのが良かったです。山田僕は2点決めることができたのですが、クロスのときに走り込むとか、こぼれ球に対して、最後まで諦めない気持ちが大事だと思いました。小川試合前にみんなで気持ちを高めて、全員で円陣をしたり、昨日の夜もホテルでミーティングをして準備は万全だったので、勝ててよかったです。■大会を通じてチームとして成長したと感じるところ――チームの特徴、ストロングポイントはどんなところだと思いますか?板東みんなが声出すところや、1対1で体を張ってプレーするところです。山田同点になっても先に失点せず、得点に繋げられるチームワークです。小川プロもやっているアタッキングフットボールです。攻撃をして、ボールを奪われてもすぐ取り返して、また攻撃するところです。――今大会、成長していると感じるところは?板東暑い中でも走ってゴール前に顔を出したり、ピンチのときはみんなでカバーしてディフェンスをすることです。山田点を取ることです。先制した後に追いつかれちゃったけど、その後、逆転できたのは成長できたところだと思います。小川これまでは失点するとネガティブな感じになることもあったのですが、この大会では先制点を取って、追いつかれても冷静に、みんなで助け合って、話し合ったから逆転できたと思います。そこが成長できたところかなと思います。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月04日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、昨年に続き二度目の来日を果たしたユベントス。予選リーグは3引き分けに終わりましたが、下位トーナメントではバルサアカデミージャパン選抜、サンフレッチェ広島ジュニアを相手に、2連勝で大会を終えました。イタリアの名門ユベントスでは、育成年代の指導に対し、どのような考え方を持っているのでしょうか?チームを率いるマッシミリアーノ・マルキオ監督(以下マルキオ)に話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)ワールドチャレンジに2年連続出場のユベントスアカデミー(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■ユベントスのアカデミーにいても全員プロになるわけではない――4日間、大会に参加した感想を聞かせてください。マルキオ選手たちにとって、とても素晴らしい経験になりました。日本まで来ることは、人生で何度も起こることではありません。今回、来日した選手全員がプロになるわけではない中で、人生経験という意味でも素晴らしい経験ができたと思っています。チームは8月16日に集まり、数回のトレーニングしかできませんでした。日本まで長時間の飛行機移動があり、コンディション調整も難しい面がありました。彼らにとって、11人制サッカーをするのは初めてなので、日本のチームに比べて準備面で難しく、厳しい戦いになるというのが、去年、そして今年を通じた感想です。初めての11人制と長時間フライトによるコンディション調整に苦戦したが、随所に強さ・上手さを見せたユベントスアカデミー(C)新井賢一――ヨーロッパの人は日本の夏が苦手だと思いますが、実際に体験してみてどうですか?マルキオ確かに暑いですが、イタリアもだんだん暑くなってきたので、言い訳にはなりません。実際、35度の気温の中で練習をしてきました。この年代の子達はアジアで試合をするのが初めてなのですが、湿気がありますね。当然、それにも順応しなければいけませんが、これだけ長い飛行機移動は経験したことがないので、その影響はあったのかなと思います。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■日本のチームの技術、戦術、個人のクオリティなどすべてレベルが上がってきている――日本で多くのチームと対戦しましたが、どのような印象を受けましたか?マルキオ技術、戦術、個人のクオリティ、全てのところでレベルが上がってきていると感じました。3位決定戦でヴィッセル神戸の試合を見ましたが、素晴らしいサッカーをしており、しっかりとした準備をしてきたチームだと思います。バルセロナに関しては、クオリティが高く、個々の技術に優れており、どの大会に行っても結果を残す、素晴らしいチームだと思います。■ユベントスのアカデミーとしてU-12年代で大事にしていることサッカーを通じた人間形成を大切にしていると教えてくれたマルキオ監督(C)新井賢一――ユベントスのアカデミーとして、この年代で大切にしていることは何ですか?マルキオサッカーを通じた人間形成を大切にしています。その意味でも、このような海外の大会に参加できることは素晴らしく、積極的に参加したいと思っています。選手にとっては、ピッチ内での振る舞いはもちろん、このような経験を通じて、人として成長していってほしいと願っています。――この年代からトップまで上がることのできる選手の割合はどのぐらいなのでしょうか?マルキオ当然、アカデミーからトップチームへの道のりは長く、険しいのですが、ユベントスにはU-23チームがあり、現在は2003年、2004年生まれのアカデミー出身者たちがそこでプレーしています。その面から考えると、徐々に育成が実ってきていると感じています。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年08月30日