今回のテーマは、募集したお題の中から「非リア充と結婚について」である。このお題を送ってくれた人によれば、「結婚してるんだからリア充だろ!と言われ、リア充からはもちろん排除されるこの中途半端な立場を先生に語ってホスィ」(原文ママ)とのことだ。○結婚している時点で非リア充ではない?私も一貫していわゆる「非リア充」の立場から発言をしているが、先のコメントにあるように、「結婚している時点で非リア充ではない」という反論を受けることがある。そう言う連中は、徹夜で論破するほかない。それでも黙らないなら、口を馬ふんでふさいでから大外刈りをキメ、倒れた敵に背を向け立ち去ろうとした瞬間、相手は謎の爆発に巻き込まれる、いわば完全勝利を収めている。と言いたいところだが、そう言われたら「そうかもな」と思ってしまうのが実情である。それほどまでに、"非リア界"において異性の存在はご法度だ。特に「童貞」などは、非リア充の世界ではブランドに等しい(処女だと少し弱い印象だ)。童貞、ニート、友達ゼロの非リア充が全身シャネルだとしたら、既婚の非リア充など、センスのない奴が考えた「最強のファッションセンターしまむら上級コーデ」で歩いているようなものなのである。実情がどうであれ、結婚しているという一点だけで「四天王の中でも最弱の非リア充 」、もしくは「非リア充ですらない」と断じられてしまうのだ。つまり、結婚しているからには「恋愛」を経験し、それに成功しているのだから、そんなの非リア充と言えるわけがない、ということなのである。非リア充を名乗るからには重度のコミュ障でなくてはならず、特に恋愛なんて、非リア充様ともあろうお方がして良い行為ではないということなのだ。非リア充なら、異性との会話は家族に限定され、さらに徳が高まると、その家族との交流でさえ、ドアの前に置かれた「お願いだから部屋から出てきてください」等の書き置きで行われることとなる。このように、位の高い非リア充様は下々の者と安易に言葉を交わさないものなのだ。つまり、下々の者(異性)とうかつにも接触し、結婚なんかしてしまう非リア充なんて、もう下の下でしかないのだ。そういう観点から、リア充界の高僧(童貞)に「お前は非リア充ではない」と言われたら「そうかもしれません」と言うしかないのだ。しかし、そこから「結婚しているんだからお前はリア充だ」と結論をすり替えられたら、やおら立ち上がり、高僧(童貞)の脳天に唐竹割りを食らわせた後、謎の爆発で葬り去るしかない。○どちらの陣営にも入れない「既婚の非リア充」そもそも、リア充とはなんだろうか。とりあえず、海で男女混合BBQをしたり、クラブで踊ったりしているイメージはあるが、実際そういうリア充を見たことがあるのかと言われると、ない。なぜなら、海にもクラブにも行かないからだ。リア充とはそもそも生活圏が違うので、接点が全然ないのである。非リア充が嫌っているのはリア充というよりは「自分の作りだしたリア充のイメージ」であり、偶像崇拝ならぬ偶像嫌悪であることが非常に多いのだ。そのため、本物のリア充が何をしているのか見当すらつかないのだが、イメージ通り海やクラブにいるとしたら、私は結婚しているが海にもクラブにも行かないし、そもそも部屋から出ない。よって結婚=リア充という方程式は成り立たない。仮に私が、「一日に発する言葉は3フレーズ以下だし、昼休みになると私以外の女子社員が一緒にランチに行くのを横目で見送ってクリーム玄米ブランを食っており、毎日忙しいアピールをするのに余念がなく、いざ時間があくとすることがなくて空を見つめているが、結婚しているのでリア充だ」と主張したら、リア充はおろか非リア充からも笑われるだろう。このように、結婚しているだけではリア充の輪には到底入れない。しかし、非リア充の方に入ろうとしたら、前述の通り入れてもらえないか、「非リア充の中でも最も卑しい身分」みたいなわけのわからんポジションづけをされてしまうのだ。例えば、非リア充がリア充への妬みを最も爆発させるクリスマスに、非リア充陣営に入ろうとすると「お前は旦那っちとイルミネーションでも見てろよ」と、あたかも「ガキはママのおっぱいでもしゃぶってな」とでも言うかのように戦力外通告されてしまうのだ。すでに旦那っちとはイルミネーションを見てはしゃぐような関係ではない。かといって、旦那っち以外の異性とイルミネーションを見ようとしたら新たな問題に発展する。つまり、独身者よりもクリスマスを楽しむ術を封じられている状況にも関わらず、結婚しているというだけでリア充/非リア充どちらの陣営にも入れないのだ。だからこそ「結婚してるからリア充だ」と言われたら「違う」と声を大にして言うのだが、ここでも高僧(童貞)に「いや、でも結婚してるから俺よりはリア充だ」と言われたら、結局「んーーーー!そうかも!」と言わざるを得ないのである。このように、非リア充寄りの既婚者が、「自分はリア充か非リア充か」問答に巻き込まれた場合、言論で相手を説き伏せるのはもはや不可能なのだ。よって、そういう話題になったら無言で相手にタックル、その後速やかに爆破へともっていくのが一番てっとり早いのである。カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。連載作品「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~2巻まで発売中、9月18日よりWeb連載漫画「ヤリへん」を公開開始。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は10月6日(火)昼掲載予定です。
2015年09月29日サンクチュアリ出版はこのほど、書籍『非リア充の心理学』(原題『困ったココロ』/さくら剛 著/税別1,300円)に関連して、「非リア充」に関する意識調査の結果を発表した。調査は4月26日、20代の未婚男女100名を対象に行われた。○男女69%が「自分は非リア充」と回答自分は「非リア充」「リア充」のどちらだと思うか尋ねたところ、約7割が「非リア充だと思う(48人)」「やや非リア充だと思う(21人)」と回答した。「Facebookやインスタグラムなど、若者の必須ツールであるSNSには、仲間と楽しく過ごす「リア充」写真が多く投稿されている印象があるが、実際には予想を大きく上回る7割もの人が、自分は"非リア充"だと感じている実態が明らかとなった」と調査では分析している。○"非リア充"を感じる瞬間は「1人のとき」続いて、自分が"非リア充"であると思う瞬間はどんな時か、自由回答で答えてもらったところ、最も多かった回答は「友達がいない(52%)」だった。具体的には、「休日1人でいるとき」や「家にまっすぐ帰るとき」、「遊ぶ相手がいないとき」などで、中には「同窓会に呼ばれなかったとき」という悲しいエピソードを持つ人もいた。また、「恋人がいない(21%)」と回答した人も多く、「カップルを見たとき」や「バレンタインデーやクリスマスのとき」に"非リア充"を実感するとのことだった。そのほか、「お金がない(7%)」、「仕事が充実していない(7%)」、「1人で趣味に没頭している(5%)」といった回答が並んだ。○リア充に必要なものは「友達や恋人」「リア充に必要なものは何だと思いますか?」と質問したところ、「友達」や「恋人」が圧倒的多数となり、やりがいのある仕事やお金も大事だが、現代の若者にとっての人生の充実は、人間関係の充実があってこそという結果となった。
2015年05月16日こんにちは、ぽこひろです。リア充の恋愛マニュアルを謳うハウコレですが、読者のなかには当然非リアの女子もいるはず。しかし、若いうちになかなか開き直って「私はモテないよー」と言うことは難しいですよね。リア充の友達に混じって会話に参加するにも男子と話すにも、彼氏はいなくてもせめてモテてはいる体(てい)でいたいと思う人も少なくないはず。そこで今回は、20代男子30人に「『あ、この子リア充っぽいなー』と思う女子の発言」について聞いてみました。■1.「バイト先でお客さんに口説かれてさー」「接客しててお客さんによく口説かれたり、あとはビラ配りとかしてて『お店行くから連絡先教えてよ』とか言われる女子は、俺の中では基本モテてるって認識。なんの根拠もないけど、でも、合ってる感じしない?」(大学生/21歳)お客さんに連絡先を聞かれる、口説かれる、いい意味でからかわれる、これらはどれもモテのバロメーターと言ってもいいでしょう。やはり初対面で男性からなにかしらのちょっかいを出されるというのは、それなりのリア充感が出ますよね。しかもバイト先のことなら、ウソでもばれません!■2.「え、とっくに振っちゃったよ(笑)」「『そういえばお前、彼氏とどうなん最近?』とか聞いて、『え、とっくに別れたよ。つまんなくて振ったの笑』とか言われると、ちょっとはチャラいなーとは思うけど、モテるんだな、とも思わざるをえないよね」(販促/26歳)彼氏ができても、そこまで依存せずしがみつかず、「違う」と思ったらサクッと次に行くのはまさにリア充のなせる技。むかし、「私がうどんを食べたいのに彼氏はそばで、『運命の人じゃないんだ』と思って別れたの」と豪語した女子に出会ったことがありますが、すさまじいモテオーラを感じました。みなさんも明日から、「彼氏振ったよ」を口癖に。■3.「◯◯ちゃんにに彼氏作ってあげようよー」「女子独特の行動だとは思うけど、友達の恋を応援してる女子は、なんか高みの見物って感じ。自分は余裕なんだろうね」(フリーター/25歳)少しその友達を見下している感じが出てしまい、そういうのが嫌いな男子には不評を買うかもしれませんが、いずれにせよリア充と思わせることができるのは間違いないでしょう。男子からの評価と、リア充認定、どちらをとるか。■4.「うわー、まただ。無視しよ。しつこいんだよねー」「男子からたくさんLINEが来ていて、ウザがっている女子いるじゃん? あれはモテてる感じはするよね。でも、『こいつとは付き合えないな』とも思うよ」(大学生/22歳)一般的に、男子をLINEの返信待ちの状態にしている女子は、モテていると思われるでしょう。逆に、速攻で返信してしまうと好かれたい感というか、必死感が出てしまいます。■おわりにいかがでしたか?「そもそもリア充のふりをしてなんの意味がある?」という疑問もありえますが、人間は形から入る生き物です。パリを歩けばパリジェンヌの気分になってきますし、東京を歩けば都会の女っぽくなってくるもの。リア充的発言・言動を心がけることで、徐々に「イイ女」に近づく可能性だって、低いとは言い切れないと思うのです。(川上ぽこひろ/ハウコレ)
2015年02月28日リア充女子のみなさんは、きっと色んな男子からアプローチを受けることがあると思いますが、イケメン男子からならイイですけど、そうとは限りません。ときに「ブサイクのくせになにコイツ?」なんてヤツからアタックされることもあるはず。そんなときに「近寄んなっっっっっっ!」と拒絶してしまうのは、リア充らしくありません。リア充女子なら、他の人からのイメージも守らなければいけませんし、どんな男子にも平等に接してあげたいですよね。そこで今回は、元No.1キャバ嬢のナナミ・ブルボンヌさんに「ブサイク男子の上手な褒め方」について聞いてみました。■1.「髪型めっちゃオシャレ!」「顔がイマイチな人に限って、髪型はめっちゃ完璧に決めてるんですよ。もうヘアカタログか!ってくらいに。だからそこを褒めるのがいいと思うよ」わかるー(笑)。イケメン男子は逆にナチュラルで無造作な髪型なんだよね。私はそれが一番タイプです。ブサメンは髪型にすごく力をいれてしまうんでしょうね。だったら、そこを褒めるしかないでしょう。ホストみたいな髪型とか私絶対無理だけど。■2.「いい匂いするよねぇ」「あとは匂い。香水とかつけてたらなおさらだし、そうじゃなくても褒めていい。『私、匂いフェチなんだよねー』とかまで言えたら100点だよ」思うんですけど、「フェチ」ってとっても便利な言葉ですよね。無条件にその人のことを褒められる言葉っていうか。こういうときみたいに、他に褒めるところがないときに「○○フェチ」って言っちゃえば、それっぽく聞こえますもんね。■3.「目がカッコいい」「顔って掛け算なの。だからどこかのパーツが0点だと顔全体が0点なんだけど、ブサイクな人も目だけ見たら超イケメンてことはよくある話。その人の顔のパーツで、唯一整ったパーツを探してべた褒め!これに限ります」顔が掛け算、なんか笑っちゃっいました。たしかに言われてみればそうかもしれません。ようは、バランスが大事ってことですよね。「目がキレイ(ただし他は0点)!」私も覚えておこうかな。■4.「身長差いいよね、私たち」「ちょっとでも背が高い男性がかたくなに信じてるのが、男女の身長差は最重要、の法則ね。10~20センチくらいあったら『私たちって身長差ちょうどよくない?』って言っておけば相手は大喜び」だいたいの男子だったら、まあ170センチくらいはあるから誰にでも言えちゃう便利なセリフですね。身長差ってよく言うけど、あんなのぶっちゃけ全部、「ただしイケメンに限る」なのにね・・・■5.「声がめっちゃセクシー」「顔が全然な人に限って、声が低くて渋いことが多いんだよね。顔が邪魔して気付きにくいんだけど(笑)。匂いフェチのときみたいに、『声聞いただけでゾクゾクしちゃうー』とか言ってご覧」たまにいますよね、目を閉じたらすごいイケメンなのになーみたいな人(笑)。これも、「私声フェチなんだよね」って言ったらOKな感じもします。やっぱり「フェチ」って便利な言葉。■おわりにどうでしたか?これらのセリフを覚えておけば、もうみなさんはどんな男子でも必ず褒めてあげられます。どんな男子にでもモテを振りまく。それでこそリア充ですよ!(遣水あかり/ハウコレ)
2014年11月11日欲望渦巻く女史の世界。そして、自己顕示欲が渦巻くSNSの世界……。連休明け、Facebookやツイッターをのぞくと、そこはもうリア充たちの巣窟で、これでもか!というほど、彼氏や友達と楽しそうにしている写真がアップされていることってありますよね。「なんでみんなこんなに完璧で、幸せな人生を送っているのだろう……」ネガティブで下ばかりむいている非リア充な私は、SNSにあふれる「幸せです!」アピールにわりと本気でヘコみます。しかし今回、「負け美女研究家」として有名な犬山紙子さんのアニメ新書“犬山紙子のキレイごとじゃ終わらない!” を見て、リア充っぽく見えている人も、意外と大変な思いをしていることがわかりました。スタイル抜群で、ファッションも攻め系!SNSには生活臭のカケラもなく、お高いシャンパンで乾杯して騒いでいても、「スッピンは地味」というコンプレックスをもっていたのです。リア充女史もアゲていこうと思えば、バッチリメイクで武装して、服もビシッと決めて、ヒールを履いてネイルもして、果てはお口のエチケットにいたるまで、すみずみまで気を配っているし、他力本願ではなく、自分の力で強くなっていこうとしていることを教えられました。考えてみると、リア充も非リア充も、同じ女史であり人間なので、コンプレックスがあって当然です。それに人って、得てして「悪い状態の時の自分」を周りに見せないものなので、SNSが「隣の芝生は青い」状態になっているのは、普通のことなのかもしれませんね。歯ブラシのブランドである「リーチ®」の新キャンペーンでは、“女性の自信”をテーマにしたデジタルアニメーション「大人女子のためのアニメ新書」シリーズを展開しています。ネガティブで下を向いてばかりいる私に力をくれた第1回目の“女の自信は顔に出る?”篇は、以下で観ることができます。よかったらひとの「コンプレックス」とやらをのぞいてみてはいかがでしょうか。「リーチ®」のブランドコンセプトは女性なら誰もが意識しておきたいこと、つまり「口元の自信があなたを変える」です。口元のケアをしっかりすることで、自信が持てるようになり、明るく快活な印象を与えることができますよね。動画を観終わった後、お口のケアをしたら、「今日も“いい女”で元気にいこう!」と思えてくるから不思議です。動画は今後も更新されて行くようですので、次作もどうぞご期待ください!※参考: リーチ®(ジョンソン・エンド・ジョンソン)「大人女子のためのアニメ新書」Photo by Pinterest
2014年07月04日SNSの普及で、簡単に他人が普段の生活でどんなことをしているか知ったり、目にしたりすることができるようになりましたよね。そんな中で「リア充(リアルな生活が充実していて幸せなこと)」なる言葉も生まれ、リア充をめざして色々なイベントに参加したり出会いの場を持ったりと、忙しい毎日を送る方も多いと思います。でも気を付けて! リアルの生活を「自分のために」充実させるのはいいことですが、「他人にリア充であることを見せるため」といったように、本来の目的を見失うと、自分で自分を苦しめてしまうことがあります。心理学で「イラショナルビリーフ」というものがあります。これは例えば「一流企業に就職しないと一生苦労する」「結婚しないと老後孤独で惨めになる」といったように、周囲の人からの刷り込みや本人の願望などから発生する非論理的な思い込みです。以前、子供の私立小学校受験で希望が叶わなかったことを気に病んでいる方のお話を伺ったことがあります。お子さんはとてもいい子ですし、その方自身も素敵な女性なのに、ある小学校と縁がなかったというだけで「自分は子育てに失敗した、ダメな家庭だ」とおっしゃるのです。しかしよくよく話を聞いてみると「セレブな家庭は子供を有名私立小学校に通わせているものだ」→「それが叶わなかった自分はセレブと周りから思われない」というイラショナルビリーフをお持ちで、その考えが本人を苦しめていることがわかりました。普段、同じような価値観を持つ集団のなかで生活されているために、なおのことそう感じてしまったのかもしれません。「恋人がいるほうが幸せと思われるから、早く彼を作りたい」「友達がみんな結婚して自分一人残されるのは淋しいから、早く結婚したい」……。「周囲、他人」に対して「自分はこんなに幸せだ」とアピールするために生きようとしたら、その台本に合わないことが起こった場合、自分で自分を追いつめてしまいます。あなたは、誰のために幸せな人生を送りたいのでしょうか。もちろん、あなた自身のためですよね。私はリア充だ! と他人に声高に叫ぶ必要はありません。他人の生活や価値観を必要以上に気にする必要もありません。「努力しているのに何だか疲れるなあ」「望んでいたものが手に入ったのに、何だか嬉しくないなあ」と感じることがあったり、自分が周りにどう思われているのか気になったりするときには、じっくり「本当に自分が欲しいものは何なのか」を考えてみてくださいね。
2013年09月26日●ライナーノーツで貸しレコード店に大行列ペルノ・リカール・ジャパンは5月27日、東京都港区の六本木アカデミーヒルズ49にて、「シーバスリーガル18年ゴールドシグネチャー・ビジネスセミナー2013」を開催した。セミナーでは、「CHIVAS18 Gold Signature Awards 2013 presented by GOETHE 審査員選考部門」を受賞した、エイベックス・グループ・ホールディングス 代表取締役社長 CEOの松浦勝人氏が登壇。創業から約20年で音楽ソフト市場No.1の地位を獲得するに至った同社の歴史を紐解きながら、自身の理念や価値観を紹介した。本稿では、業界裏話が多数明かされた講演の様子を簡単にご紹介しよう。○ライナーノーツで貸レコード店に行列松浦氏の実業家としてのキャリアは、日本大学経済学部在学中に創設した株式会社ミニマックスから始まるという。学生時代に貸レコード店「友&愛」でアルバイトをしていた同氏は、その経営者から共同出資による新会社設立を持ちかけられる。父親から800万円の出資を取り付け、友&愛経営者の出資金800万円と合わせて資本金1600万円でミニマックスを立ち上げた。ミニマックスでは、貸レコード店「友&愛」の上大岡店を経営する。扱っていたレコードのほとんどはダンスミュージック。半ばそちらの専業店として差別化を図るが、「レコード自体はどこで借りても同じもの。さらなる付加価値を付けなければビジネスとしては成り立たない」(松浦氏)との考えから、仕入れてきたレコードにライナーノーツ(音楽の紹介文)を付けてレンタルをはじめた。「レコードの見た目はどれもほとんど違いがなく、ラベルにも曲名や作曲者名などの基本情報しか書いてないため、お客さんはどれを借りてよいのか判断しづらい。どんな音楽なのか紹介してあげたら便利だろうと、ライナーノーツを作りはじめた」(松浦氏)このライナーノーツが会員の支持を得て、上大岡店は圧倒的な売上げをあげる。当時の人気について松浦氏は「店舗は13坪と非常に狭いうえに2階にあった。オープン前はお客さんが来るか心配だったが、オープンして間もなく人でいっぱいになった。あるとき、利用客が途絶えたと思ったら、階段下で大家さんが入場制限していた」と振り返る。次第に、その人気ぶりを知った友&愛 他店の経営者が偵察に来るようになる。しかし、「当時の貸しレコード店経営者はあくまで経営者でしかなく、ほとんどは音楽に詳しくなかった」(松浦氏)ことから、「良いレコードを仕入れられないし、ライナーノーツがポイントと知っても、それを作ることができなかった」(松浦氏)という。そこで、他店舗からレコードの仕入れも頼まれ、1枚500円のライナーノーツを付けて卸すようになり、大きなビジネスになっていった。○気付いたらレコード会社にレコード卸し業のような仕事を始めて間もなく、友&愛の他店の店長たちから、新会社設立を持ちかけられたという。このとき設立されたのがエイベックス・ディー・ディー株式会社。松浦氏はそのときの想いを「自分の会社があったので、別に新会社に参加する必要もなかったが、しつこく誘われたので仕方なくやることにした(笑) 」と回顧した。当時は、ちょうどレコードからCDに移る過渡期にあり、エイベックス・ディー・ディーでは海外から多くのCDを輸入し、それを貸しレコード店に卸していた。アメリカやイギリスのみならず、ドイツやイタリア、ベルギーなどからも購入。あまりにもたくさんのCDを買うため、「自分でレーベルも持っているのではないかと勘違いされ、販売権の売り込みを受けた」(松浦氏)。売り込みを受けるうちに、「権利を買ってCDを出してみようという気になった」(松浦氏)という。これがレーベルとしての始まりになる。しかし、「うまくいった前例が1つもなかった」こともあり、周囲から大反対を受けた。「貸しレコード店のメンバーからも、エイベックス・ディー・ディーのメンバーからも絶対にやめろと言われた。それでも若かったからやってしまった(笑)」と勢いに乗って音楽出版事業を始めたことを明かした。>> 「ジュリアナ東京」収録曲、実は……●「ジュリアナ東京」収録曲、実は……○コンピレーションアルバムに自作曲を織り交ぜる音楽レーベルとして、「SUPER EUROBEAT」シリーズなどのコンピレーションアルバムを国内にリリースした松浦氏。このあたりから松浦氏の商才がさらに輝きはじめる。松浦氏は、コンピレーションアルバムの中に自分たちで制作した曲を混ぜてリリース。さらに、当時絶大な人気を誇ったディスコ「ジュリアナ東京」や「マハラジャ」と提携し、店名をCDタイトルに掲げたアルバムも販売する。ディスコ店名CDは、実際の店舗で流れている曲を収録したアルバムとして売り出したが、CD制作の前にエイベックス・ディー・ディーが作った曲を店舗で流してからそれを収録するという手法をとり、自作曲の普及を図った。さらにこれらのCDには各ディスコ店の入場チケットも添付。「普通にチケットを買うより、CDの方が安かった」(松浦氏)と言い、こちらも売上増を後押しした。なお、このとき自作曲の作曲者やエンジニアを務めていたのは、貸しレコード店のメンバー。自作曲にはジュリアナ東京で頻繁に流されていたバブル時代を象徴するものなどもあるが、「そのほとんどは、身内だけで作ったもの。エイベックス・ディー・ディーがあった町田に急造した8坪のスタジオで制作していた」(松浦氏)だという。松浦氏はこの当時の裏話として、「当時はトランスが流行しはじめたため、印象的なワンフレーズを作れば、それを繰り返すだけで一曲ができた」こと、「このときの作曲者がその後、浜崎あゆみの曲を作ることになって大ヒットをいくつも生み出した」こと、「作曲者が日本人名だと拒絶されるので、外国人っぽい名前にしていた」こと、「ジュリアナ東京のCDでは9%のロイヤリティをジュリアナ東京に支払っており、一番利益が大きかったであろう」ことなども明かし、会場を笑いに包んだ。○CDのCMを流した革命児松浦氏は業界に革命を起こしている。それは、CDを告知するTVCMを流したこと。SUPER EUROBEATやジュリアナ東京のCDを紹介するCMを深夜にしつこいほど流した。「当時の音楽は、ドラマやCMとのタイアップで売り込むケースがほとんど。しかし、ダンスミュージックがふさわしいタイアップはあまりない。ならば、自分たちでCMを作って流すのが、世間に認知される方法として一番簡単なのではないかと考えた。当時は音楽”作品”をCMで流すのは御法度という風潮もあったが、思い切ってやってみたところ、翌日から売上げがものすごく伸びた」(松浦氏)その後、CD購入者を無料で招待するダンスイベント「avex rave」を東京ドームで開催。ディスコブームの中、「スーパーお立ち台」などが大きな話題を呼び、5万人が集まった。現在では決して珍しくない、CD購入者を対象とした特別イベントだが、avex raveが初の試みだったという。「この当時の社員は30人から50人くらい。会社の所在地はまだ町田市。そんな企業が5万人も集めたのは感慨深かった。ちなみにスーパーお立ち台に上がれるチケットは非売品で、社員がディスコに行って、かわいい女性に配っていた(笑)」(松浦氏)>> ELT、浜崎あゆみ、EXILEのデビュー秘話●ELT、浜崎あゆみ、EXILEのデビュー秘話○ELT、浜崎あゆみ、EXILEのデビュー秘話こうして音楽レーベルとしての足固めを進めていった松浦氏。小室哲哉らの活躍で、"エイベックス"という企業がその後大きくなっていったのはご存知のとおりである。そうした中、松浦氏は1997年から自身でもアーティストのプロデュースを始める。その理由については「小室さんが威張って仕方がなかったから(笑)」と笑いを誘った後、「小室さんがいなくなったときの会社への影響度を考えて」と経営リスクを考慮しての選択だったことを明かす。「やり方は見ていたので自分でもできるのではないかと思えた」と、当時の心境を語った。講演では、自身がプロデュースしたアーティストのデビュー秘話も紹介。Every Little Thingに関しては、「ある日、持田香織が”TRFになりたい”と、母親と一緒にやってきた。歌声がZARDのようだったので、『友&愛』上大岡店の元店長で、当時、某スタジオの電話番をしていた五十嵐充(後にELTにメンバー入り)に曲を作らせ、毎週日曜日に収録してデモテープを送らせた。小室さんや織田哲郎さんには採用してもらえなかったが、いけるかもと思い、自分でプロデュースすることにした」と説明。浜崎あゆみについては、「元々は、かわいいと評判だったベルファーレの店員。芸能事務所にも所属していたが、エイベックスでやりたいと言い、事務所をやめた。当時すでにドラマやグラビアにも出ていたので、1年間ニューヨークに行かせて、昔のイメージを断ち切り、アイドルっぽさが表に出ないようにした」と明かした。さらに、EXILEのリーダーHIROについても「ZOOのメンバーとして活躍していたが、それ以前から『友&愛』上大岡店の常連客として付き合いがあった。ZOOの解散後にプロデュースのお願いに来たので、『最終的にものにできるかどうかは自分次第』と忠告した上で、チャンスをあげた。TRFでダンサーとボーカルの仲が悪くなっていくのを見ていたので、ダンサー中心でユニットを組まないと、将来的に後ろに追いやられる可能性があるというアドバイスもした(笑)」と、デビューのきっかけを振り返った。こうした例を挙げた後、松浦氏は「ご覧のように内輪でのプロデュースが多い。よく見れば身近なところにも才能があるということ(笑)」とコメント。そしてプロデュース成功の秘訣については、「最後までアーティストを信じてあげること」との考えを示した。○映画を映画館だけで流していても儲からないエイベックス・グループは、2009年にNTTドコモとともに動画配信サービス「BeeTV」をスタート。スマートフォンの普及に合わせて急激に会員数を伸ばし、音楽CDの売れない現代において同社の売上げを下支えしている。BeeTVを始めた経緯について松浦氏は次のように語る。「CDが売れなくなることも見越して、映画の配給にもチャレンジしてきたが、成功したのはレッドクリフなどごくわずか。映画は、やりはじめると引き込まれてしまうが、ビジネスの仕組み的にもうからない。そこで、映画館以外で流せるスクリーンを探し、行き着いたのが携帯電話だった。当時はまだフィーチャーフォンしかなかったが、すでに海外ではiPhoneが発売されており、スマートフォンが普及することは間違いない情勢だった」BeeTVは貸しレコード屋と同じ会員ビジネス。松浦氏にとっては経験のある分野。「まずは会員を増やさないと話にならない。コンテンツよりも、会員を増やすことを優先して、サービスの拡充を図った」と注力ポイントを語った。さらにエイベックス・グループでは昨年、ソフトバンクモバイルとともに動画配信サービス「UULA」も開始。BeeTVと同様のサービスをソフトバンクユーザーに対しても開始している。○常識を知らないから革新を続けてこられたこうした講演の締めくくりに、松浦氏は、「時代や環境が移り変わっても変わらないこと」と題して、以下の3つの考えを紹介した。誰もやらない。だからエイベックスがやるいつも、すべてに疑問を抱く「何でだろう?」業界の常識は非常識特に強調したのが、「業界の常識は非常識」。音楽業界初の試みを続けてこられたのは、「常識を知らなかったからというだけ」と理由を分析する。しかし、「知らなかったからこそ自由に挑戦できた」と続け、昨年開始したUULAに関しても、「ドコモと一緒にやっているのに、ソフトバンクと始めるなんて考えられないと言われたが、これも携帯キャリア業界の常識を知らなかったからこそできたこと」と振り返る。そのうえで、「現在はエイベックスの常識が業界の常識という雰囲気になり、非常識なことがやりづらくなっている。若手も過去のやり方に倣っているような風潮があり、保守的になりつつある。そんな状況のなかで怖いのは、まったく異なる業界から挑戦してくるケース。例えば、IT出身の企業が音楽業界で革新を起こすなんていうのも今後十分に起こりうる話」と語り、聴講者に対してチャレンジを促しつつ、エールを送った。
2013年06月02日日々の生活が充実していることを指す言葉「リア充」。皮肉の意味で使用されることもありますが、何をもって「リア充」とするのか微妙なところもあったりしませんか?マイナビニュース読者にアンケートで「リア充の定義」をお聞きしました。調査期間:2011/9/28~2011/10/3アンケート対象:マイナビニュース会員有効回答数 1,000件(ウェブログイン式)■仕事「自分の好きなことを仕事にしている」 (32歳/男性)「仕事に熱中している」(25歳/男性)「定時に帰ることができている」(28歳/女性)「仕事が充実している=リア充」と考える人は多いよう。一方で、必ずしも仕事に打ち込むことだけが「リア充」でなく、きっちりと仕事をこなして定時に上がるということを「リア充」ととらえる向きも一部にはあるようです。■ライフスタイル「スポーツジムに通っている」(50歳/女性)「彼氏・彼女がいる」(28歳/男性)「愛犬の散歩をしている」(27歳/男性)「幸福そうな感じ=リア充」ということでしょうか。何となく分かるような気はしますが。■飲み会「仕事終わりに飲み会がいっぱいある」(25歳/女性)「女子会を頻繁に開いている」(28歳/女性)「コールがある飲み会に参加する」(23歳/男性)「コミュニケーションの充実=リア充」ととらえる人もいるようです。確かに、社交性が高い人の方が「リア充」っぽい気はします。■デジタルライフ「facebook中毒」(36歳/男性)「ブログにいっぱい書くことがある」(29歳/女性)「携帯のデータフォルダに友達との写真がいっぱい入ってる」(20歳/女性)今やデジタルライフも大切な「リアル」の要素。「リア充」というネット的な言葉が、リアルを経由してネットに回帰するというのは、ちょっと興味深いですね。そもそも、「リア充」の人はいわゆる「リア充」的行動を何も考えずにできているというのもあるわけで、「リア充って何だろう……」と悶々(もんもん)と考えるような状況そのものが何となく「リア充」でないように感じてしまったのは気のせいでしょうか。いつになったら自分が「リア充」になれるか分かりません。(萩原雄太/かもめマシーン+プレスラボ)【関連リンク】【コラム】26歳で初めて恋人ができた!そんな幸せ絶頂の彼に密着取材【コラム】好きな人に彼女がいるかを見抜く方法~持ち物編~【コラム】苦い××デビューの思い出
2011年11月20日