ミュージカルのみならず、様々なジャンルの舞台作品への出演が続く井上芳雄。次に登場するのは、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)によるKERA・MAP#010『しびれ雲』である。作品について今わかっている情報はほとんどない。でも、「未知だから面白い」と井上の表情はほころぶ。この頼もしい俳優から飛び出す言葉は、KERAの新作への期待を高めていく。井上がKERA作品に参加するのは、『陥没』(17年)、舞台稽古まで終えながら全公演中止となった『桜の園』(20年)に続いて3度目。その創作を「魔法のようだ」と表現する。「KERAさんは稽古をしながら台本を書かれることが多いと聞いていたんですが、徐々に上がってくるものが本当に面白くて。これは他のKERAさんの作品にも言えることですけど、最終的にものすごく高いクオリティで、観たことのない世界ができあがり、お客さんに喜んでもらえる。こんなことができる人がいるんだと、初めてご一緒したときはびっくりしました」。今回の『しびれ雲』も、現時点でわかっているのは、KERA・MAP#007/#009『キネマと恋人』(16年/19年)の架空の島が舞台になるということくらい。しかし、井上は楽しそうに語る。「『陥没』のときも予想とは全然違う話になりましたし(笑)。僕自身は、全くわからないで始まるなんてこんな楽しいことはないと思うんです。わからないから下準備もいらないし(笑)。『キネマと恋人』で緒川たまきさんが話されていた島の架空の方言をやらなきゃいけないかもしれませんけど、それもそのときになって頑張れば何とかなると思っています」。KERAのコメントには、小津安二郎、岸田國士、アキ・カウリスマキの名前が並ぶ。「小さな、喜び、悲しみ、驚き、嫉妬、幸せ、不幸、ぼんやりした時間を描きたい」ともある。ビジュアル写真からも、「昭和の映画みたいな匂いは感じる」とか。「なので、必要であれば小津安二郎さんの映画なども観たいと思いますし。KERAさんの作品って、ニュアンスの強弱とかちょっとしたことの積み重ねでできあがっていくイメージで、誰一人欠けてもその世界が成立しない感じがするので。カンパニーの皆さんと一緒にただただその世界に入り込んで、そこで右往左往して泣いたり笑ったりできたらと思います」。しかも、東京公演が上演されるのは、井上にとって初となる本多劇場。ミュージカルで帝劇などの大劇場に立つことの多い井上の繊細な芝居が目撃できるはず。「小劇場の下北沢のお客様と、ミュージカルの日比谷のお客様が、行き来するきっかけにもなったら嬉しいです」。舞台を愛する俳優の心からの言葉だ。(取材・文:大内弓子)
2022年08月30日オスカー、英国アカデミー賞、日本アカデミー賞など、国内外で数えきれないほどの賞を受賞し高い評価を受けている濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が、2022年の国際映画批評家連盟賞グランプリを受賞した。『ドライブ・マイ・カー』は、国際映画批評家連盟(FIPRESCI)の会員による2022年の最優秀作品としてグランプリに輝いた。最終候補には同作のほか、『リコリス・ピザ』(ポール・トーマス・アンダーソン監督)、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(ジェーン・カンピオン監督)、『Triangle of Sadness』(リューベン・オストルンド監督)、『わたしは最悪。』(ヨアキム・トリアー監督)が挙がっていた。同賞は1999年に設立。これまでペドロ・アルモドバル監督(『オール・アバウト・マイ・マザー』)、ジャン=リュック・ゴダール監督(『アワーミュージック』)、ロマン・ポランスキー監督(『ゴーストライター』)、アルフォンソ・キュアロン監督(『ROMA/ローマ』)といった偉大な監督たちが受賞。今年の最終候補に挙がっていたポール・トーマス・アンダーソン監督は、『マグノリア』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『ファントム・スレッド』で3回受賞を果たしている常連である。昨年は、『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督が選ばれた。(賀来比呂美)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年08月23日『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督の初の“短編集”として、ミニシアターを中心にヒットを記録した『偶然と想像』のBlu-rayリリースが決定した。『ドライブ・マイ・カー』が第74回カンヌ映画祭で脚本賞など4冠、米アカデミー賞で国際長編映画賞に輝き、本作で第71回ベルリン国際映画祭・銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞し、いまや世界が最も注目する監督のひとりとなった濱口監督。濱口竜介監督 Photo by Mike Coppola/Getty Images短編集となる本作は、人生を静かに、大きく揺り動かす「偶然」をテーマに、親友同士の他愛ない恋バナ、大学教授に教えを乞う生徒、二十年ぶりに再会した女友達を描く3編からなる。軽快な物語の始まり、日常の対話から一転、鳥肌が立つような緊張感とともに引き出される人間の本性、鮮やかに切り取られる人生の一瞬に、観る者は日本映画の新時代を感じることになるだろう。さらに、古川琴音、中島歩、森郁月、甲斐翔真らフレッシュな顔ぶれと、濱口組出演経験のある玄理、渋川清彦、占部房子、河井青葉ら個性豊かな俳優陣が好演。映像特典として、その出演俳優による撮影現場をふり返るインタビュー「濱口竜介と俳優たち"創作"の場をつくるために」(47分)も収録される。『偶然と想像』Blu-rayは9月30日(金)より発売。価格:5,170円(税込)発売元:NEOPA(text:cinemacafe.net)■関連作品:偶然と想像 2021年12月17日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開©︎ 2021 NEOPA / fictive
2022年08月22日タレントの井上咲楽さん(22)といえば太眉とお団子ヘアがトレードマークでしたが、日本テレビ系列のトークバラエティー番組『今夜くらべてみました』の番組内で、人生初の眉毛カットをし大変身を遂げました。美女になったと世間から反響を呼びグラビアにも挑戦するなど仕事の幅を広げている咲楽さん。先日、自身のインスタグラムに下着ショットを投稿したところ注目を集めているようです。早速チェックしてみましょう!透明感溢れる儚げな下着ショットにうっとり この投稿をInstagramで見る 井上咲楽(@bling2sakura)がシェアした投稿 「今日からGIRLS by PEACH JOHNの新ビジュアル、少しずつ載せていきます」とPEACH JOHNの妹ブランドのGIRLS by PEACH JOHNのモデルを務める咲楽さんは新作の下着を公開。草花を背景に立ち、淡いパープルの下着を着た咲楽さん。とても儚げでなんだか守ってあげたい雰囲気ですね。コメント欄には「国宝級の美しさ」「淡いパープル、上品で素敵ですね」「こうゆう色素薄い系のメイク、すっごくかわいいからもっとみたい♡」「私もこの下着が気になりますが、やはりこの先ますます綺麗になっていくさくらちゃんが一番気になります」とセクシーな咲楽さんに見惚れる声続出でした。見るたび美しさを増している咲楽さん。この美貌にして昆虫食を好んだり変顔をするなど飾らない姿も話題に。次はどんな姿を見せてくれるのか楽しみですね!あわせて読みたい🌈沢村一樹さんの息子・野村康太さんが俳優デビュー「そっくり」「ビジュが良い」と反響
2022年07月26日映画科学アカデミーが、今年新会員に招待する人々の名前を発表した。日本からは『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督、西島秀俊、プロデューサーの山本晃久、編集の山﨑梓が招待された。濱口氏は監督と脚本、ふたつのブランチから招待を受けている。またプロダクションデザインに『フォードVSフェラーリ』のマヤ・シモグチ、メイクアップアーティスト&ヘアスタイリストに『ベルファスト』のワカナ・ヨシハラの名前がある。今年招待されたのは397人。俳優では、『コーダあいのうた』のトロイ・コッツァー、『ベルファスト』のジェイミー・ドーナンとカトリーナ・バルフ、『ロスト・ドーター』のジェシー・バックリー、『ウエスト・サイド・ストーリー』のアリアナ・デボーズ、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェシー・プレモンスとコディ・スミット=マクフィー、『ラストナイト・イン・ソーホー』のアニャ・テイラー=ジョイなどの名前がある。文=猿渡由紀
2022年06月29日女優でモデルの紺野彩夏とシンガーソングライターの井上苑子が出演する、ギブソン・エピフォンの新WEB動画「Epiphone | For Every Challenge ~紺野彩夏~」最終回が、9日に公開された。同WEB動画は、ギター初心者である紺野の成長過程を追いかけるシリーズ企画。最終回となる今回は3カ月の練習の集大成として、井上とお披露目ライブを開催し、「大切な君へ」をセッションした。前回から猛練習を重ねたという紺野は、「井上さんも隣にいてくださるので、楽しくできたら」と緊張した面持ちで登場。しかし、演奏が始まると井上と笑顔を交わす余裕も見せながら、見事な演奏を披露した。ライブ終了後、紺野は「3カ月は意外とあっという間だった」と感想を述べ、「1つずつステップアップすることで、どんどん弾くのが楽しくなった」と充実した日々を振り返っていた。コメントは以下の通り。■紺野彩夏井上さんとお披露目ライブができて、とても楽しかったです。井上さんがリードしてくださったので、安心して自分らしく弾くことができました。ところどころ不安な部分はありましたが、先生や井上さんのおかげで無事に1曲弾けたことが嬉しかったので、また弾きたい曲を見つけて、いろんな曲を弾けるようになりたいなと思いました。今回のプロジェクトの集大成、ぜひ最後まで見届けていただければと思います。■井上苑子紺野さんと一緒にお披露目ライブをすることになり、はじめは私がリードしなきゃ! と思っていましたが、いざやってみたらそんなこと考えずにちゃっかり楽しんじゃいました(笑)。私の曲を練習してくださって歌まで歌ってくださってることが嬉しくて、きっと私、紺野さんの隣でニヤニヤしていたと思います。このライブを通して、ギターを始めたばかりの紺野さんはもちろん、見てくださってる皆さんにも、弾き語りっていいな。と思っていただけていたら嬉しいです。
2022年06月09日ボクシング世界チャンピオンの井上尚弥が出演する、アース製薬・ゴキジェットプロの新CM「対決」編が、31日から放送される。新CMでは、海外の路地裏を舞台に、四方八方から襲い掛かるゴキブリを井上がパンチでノックダウンしていく。テーマカラーであるグリーンのボクシンググローブをはめて現場に登場した井上。試合さながらのシャドーを見せ、スタッフが持つミットに切れ味鋭いパンチを打ち込む姿も披露した。■井上尚弥インタビュー――CM出演のオファーが来た時、どのように感じましたか?プロボクサーとしての自分自身の見せ方と、ゴキジェットプロという商品の見せ方がどう混ざり合って、どういうものが出来上がるか? と、最初に考えました。――今回の商品は“ゴキブリに逃げる隙を与えない秒速ノックダウン”というのがポイントになりますが、井上選手も相手を秒速ノックダウンするという点が同じだと思います。その秘訣を教えてください。まずトレーニングは欠かさずしっかりやる、ということは重要だと思います。やっぱり相手がいてのボクシングなので、自分にとってはKOでも判定でも、という思いはありますが、自分も秒速で倒して仕事が早い方がホッとするので、そこは少し心がけたりはしています。――井上選手はモンスターと呼ばれていますが、実はゴキブリは苦手だったりしますか?得意ではないですね……動き方だったりフォルムだったり……いいものではないなと思いますね。――やはりゴキジェットプロで退治しているのでしょうか?もちろん家には備えています。どの家庭でもゴキブリはでるものだと思うので、各家庭1本はあるものだと思います。――今回のCMの注目ポイントと今年の抱負をお聞かせください。注目ポイントは「秒速ノックダウン」ですね! ゴキブリも進化していますから。自分も今年が勝負の年なので、強豪との戦いになると思いますが、秒速ノックダウンを心がけて戦いたいと思います!
2022年05月31日女優でモデルの紺野彩夏とシンガーソングライターの井上苑子が出演する、ギブソン・エピフォンの新WEB動画「Epiphone | For Every Challenge ~紺野彩夏~」vol.5が、18日に公開された。同WEB動画は、ギター初心者である紺野の成長過程を追いかけるシリーズ企画。紺野は楽曲「大切な君へ」を練習中で、第5弾となる今回は同曲を歌う井上と初共演を果たす。講師としてサプライズ登場した井上に、驚いた表情を見せる紺野。井上から選曲の理由を聞かれると、「もともとすごい好きな曲で、ギターが印象的だった」と思い入れの強い一曲であることを明かした。その後、コツなどを教えてもらいながら、井上とともに演奏を披露。そして最後には、井上から「お披露目ライブを私と一緒にしませんか?」と提案を受け、喜びをあらわにする。コメントは以下の通り。■紺野彩夏井上さんの曲は元々大好きだったので、お会いできてとてもうれしかったです。動画の中で、弾き方やライブに向けてのコツなどをたくさん教えていただけてとても勉強になりました! お披露目ライブも一緒に出演してくださるということで、今からとても楽しみです。まだまだ課題がたくさんありますが、井上さんのアドバイスをもとにもっともっと練習できればと思います!■井上苑子お話をいただいたときは、紺野さんがギターを弾かれるということに驚きもありましたが、10年以上弾き語りをしている身としては、仲間が増えるような感覚で、とても嬉しかったです! そして、私の曲を練習してくださるというのが1番驚きでした。デビュー当時から知ってくださってるなんて……。レクチャーをするということはなかなかないので、新鮮で、手探りですが、紺野さんが、"お披露目したい! 自分の演奏を誰かに聞いて欲しい!"と思えるぐらいギターを好きになってもらえたらな、と思っております。
2022年05月18日『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督の『偶然と想像』が、4月6日にフランス全土で公開され、わずか3週間足らずで動員が10万人を突破する大ヒット。フランス版ポスタービジュアルが到着した。昨年開催された第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)に輝き、フランス国内プレミア上映のナント三大陸映画祭では最高賞〈金の気球賞〉・観客賞のW受賞、第17回CineFestミシュコルツ国際映画祭では最高賞にあたる〈エメリック・プレスバーガー賞〉を受賞するなど、昨年日本で公開されるやBunkamuraル・シネマで連日満席が続出、傑作と称賛する反響を呼んだ本作。『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞に輝いたことで本作の注目度もより一層高まり、現在は20か国以上の国と地域で上映決定、40以上の映画祭に出品となった。日本国内では2021年12月17日(金)の公開から動員数は7万人を超え、現在も4か月以上の大ヒットロングラン中。本作の公開館Bunkamuraル・シネマでの上映が5月5日(木)で終了する。フランスでは観客動員10万人を突破した(2018年公開、濱口竜介監督『寝ても覚めても』はフランスの最終動員が約10万人)。今回解禁となったフランス版ポスタービジュアルは、白を基調とした日本版とは全く異なり、第2話「扉は開けたままで」の奈緒(森郁月)が中心に大きく描かれ、パープル一色で構成された鮮明で印象的なポスターとなった。さらに韓国でも5月4日(水)より公開が決定。本作の第1話に出演している玄理が韓国での本格的活動を目指し、韓国公開に合せて訪韓も予定されている。『偶然と想像』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:偶然と想像 2021年12月17日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開©︎ 2021 NEOPA / fictive
2022年05月02日村上春樹の短編を映画化した島秀俊主演、濱口竜介監督最新作『ドライブ・マイ・カー』が第94回「アカデミー賞」国際長編映画賞を受賞した。この映画史に残る快挙を記念し、4月5日(火)に、東京・千代田区の日本記者クラブで凱旋記者会見が行われ、濱口竜介監督と主演の西島秀俊、本作のプロデューサー・山本晃久が出席した。日本映画がアカデミー賞の国際長編映画賞(旧称:外国語映画賞)を受賞するのは、映画『おくりびと』(滝田洋二郎監督)以来13年ぶりの快挙。栄誉の象徴であるオスカー像を手にして登場した濱口監督は「これだけ多くの国に作品が受け入れられたということを、驚きを持って受け止めている」と戸惑いつつも、広く支持された理由については「(原作の)村上春樹さんの物語が持つ普遍性にあると思う」と村上文学の高いドラマツルギーにあると分析する。さらに受賞の瞬間についての感想を問われると「どう言ったらいいのかわからないというのが根本にある。直前に至るまでにオスカーというものが自分の人生に関係するとは思ってもいなかったので、どう振る舞っていいのかわからなかった」と率直な感想を吐露した。また今回の快挙は自身のキャリアにおいてあくまでも「通過点であったらいい」と言うが、受賞の際のスピーチには若干の反省があるようで「僕がサンキューと言ってしまったがために会場の音楽が流れてしまって、その先の言葉が言えなかった。もし次にチャンスがあるならば、今回の教訓を活かしたい」とはにかむ。亡き妻への喪失感を抱える舞台俳優で演出家の家福悠介を演じた西島。「応援していただいたみなさんの力のお陰で素晴らしい体験をさせていただきました。現地でも『美しい映画だった』と言っていただきました。この魂の救済の映画が国や言語の壁を越えて人々の心に大きく響いたことを実感しました」と喜びを噛みしめ、山本プロデューサーも「小さくささやかな現場から始まったこの作品が数々の賞とアカデミー賞を経てみなさんのもとに戻ってきました!」と凱旋を報告した。本作は国際長編映画賞だけでなく作品賞、監督賞、脚色賞にもノミネートされている。濱口監督は「前日にノミネート者たちとのディナーがあり、スティーヴン・スピルバーグ監督やポール・トーマス・アンダーソン監督と同じテーブルになりました。なんでこんなところにいるのだろうか?という気持ちになった」と夢心地だったことを回想。映画で世界を目指す後進に向けては「このような機会(アカデミー賞ノミネートや受賞)が今後も続いてくれれば日本映画にとってはありがたいこと。世界の目が今アジア映画や日本映画に向いていることは今回の経験でわかったので、世界を目指すのならば野心を持ってやってもらいたい」とエールを送った。現地で授賞式に参加した西島は「アカデミー賞の場に行くまでは緊張するだろうと思っていたけれど、意外に緊張しなくて今日の方が緊張しています」とジョークを交える。授賞式前日には敬愛する映画監督であり俳優のジョン・カサヴェテス監督のお墓参りに行ったそうで「その時に自分の中でも驚くくらいに心が動いた。かつて濱口監督も観ていたジョン・カサヴェテス監督の特集上映から約20 年の時を経てロスに降り立ち、カサヴェテス監督のお墓に行き『明日アカデミー賞に出るんだ』と感じ入るものがありました」としみじみ。アカデミー賞という貴重な場に同席した栄誉については「素晴らしい作品という偉大な魂が僕をここに運んでくれたんだと思いました」と喜びを噛みしめた。濱口監督の演出術を「丁寧に時間をかける現場だった」と語る西島は「今回の演技は説明を排除した演技で、観客の皆さんとの共同作業で作り上げるような演技でした。自分の信じる演技を見つめ直し、勇気を出してやろうと演じた記憶があります。その演技を各国の皆さんに見てもらえたことは希望であり、素晴らしいこと」と回想。その結果「自分の信じる演技をやるしかない」という結論に達したという。そして後輩たちに向けて西島は「僕よりもはるかに才能のある日本の若い俳優さんも多いので、みなさんが自分の信じる演技を突き詰めていったその先には、信じられないようなことが起こるのではないか。今回僕が体験したことは若い俳優さんたちに会ったら伝えていきたいと思うけれど、僕程度の俳優が行けたので、みなさんにも可能性があるはずです」と謙遜交じりに後進の活躍に期待を込めた。本作は、これまでに第74回「カンヌ国際映画祭」にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞。その後「ゴールデングローブ賞」非英語映画賞、「インディペンデント・スピリット賞」国際映画賞、「クリティクス・チョイス・アワード(放送映画批評家協会賞)」外国語映画賞、「ニューヨーク映画批評家協会賞」作品賞、「ロサンゼルス映画批評家協会賞」作品賞・脚本賞・監督賞次点、「ボストン映画批評家協会賞」にて西島秀俊の最優秀男優賞を含む4冠、「米批評家協会賞」では作品賞とアジア初・主演男優賞を含む主要4部門での受賞など、世界中で90以上の賞を受賞している。『ドライブ・マイ・カー』ロングラン公開中
2022年04月05日映画『ドライブ・マイ・カー』の凱旋舞台挨拶イベントが5日に都内で行われ、西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいか、濱口竜介監督が登場した。同作は村上春樹の同名短編小説に惚れ込んだ濱口竜介監督の最新作。妻を失い、喪失感のなかで生きる舞台俳優・家福と、寡黙な専属ドライバー・みさきという孤独な2人が、愛車サーブを通して出会い、一筋の希望にたどり着くまでを描く。第74回カンヌ国際映画祭で日本映画として初となる脚本賞を受賞した同作は国内外の様々な賞を席巻し、第64回アカデミー賞 国際長編映画賞に輝いた。授賞式の場に立った濱口監督は「気持ちを落ち着けてなんとかスピーチをしなきゃと出て行って、自分もできるだけ短くしたいと思っていたので冒頭部分は英語でと思っていたら、大体冒頭部分で終わってしまったんですけど……『Thank you』というのが早すぎたんです。その場にいた俳優さん、いなかった俳優さんにも感謝をつ会えられたので良かったと思います」と振り返った。スティーブン・スピルバーグ監督とも写真を撮っていた濱口監督は「エレベーターを待っていたらスピルバーグさんがすっと通って行かれたので、自分は怖気付いていたんですけど周りから『行きなさい』みたいな。それで『ご一緒できて光栄でした』と話しかけたら、『ドライブ・マイ・カー』について「改めて素晴らしい映画だった、賞にふさわしい映画だった』とおっしゃていただいて、夢のような体験でした。子供の頃からスピルバーグ監督の映画を見てきたので、そんなことがあるんだと思いました」と状況を語る。同じくその場にいた西島も「ポール・トーマス・アンダーソン監督が『素晴らしかった』とおっしゃったり。ジェーン・カンピオン監督が岡田くんに『Bad boy』と言って、悪い男をすばらしく演じたと伝えてらっしゃったり」と明かすと、岡田は苦笑。「『そうです』と思いましたけど、この作品をちゃんと見てくれた上でおっしゃってくれてたので、本当に嬉しかったです」と喜んでいた岡田は、「僕は授賞式前にインタビューで『コーダ あいのうた』が好きだと言っていたら、トロイ・コッツァーさんとお話しする時間があって、通訳さんと手話の通訳さんと4人だったんですが『日本の手話と違うから、こうやってやるんだ!』と興奮しておしゃべりされてるので、何も聞けなかった。それで呼ばれてしまったので去ったんですけど、すごく貴重な時間でした」と明かした。トロイ・コッツァーと写真を撮っていた霧島も「そんなにたくさんお話しできなかったんですけど、目の前にいらっしゃったので。『コーダ あいのうた』は劇場で見て本当に恥ずかしいくらい大泣きしたくらい好きな作品でしたので、ガッと捕まえて、自己紹介して『ドライブ・マイ・カー』に出ていますということを説明して『好きな映画です。美しい映画だと思いました』とお伝えしたら、本当に嬉しそうに笑ってらっしゃって、お写真お願いしました」と楽しんでいたようだった。濱口監督が「どこを見ても伝説みたいな人がいて、ウィル・スミスさんがそこを通って行ったりとか……」と言うと、会場はざわつく。「ビル・マーレイさんがいたり、楽屋裏に入って行ったらコッポラ監督とロバート・デ・ニーロとアルパチーノが準備をしていて『何なんだこの世界は』と思いました」と豪華な思い出を振り返った。この日は実際にオスカー像も登場し、「意外と重いものでしで、2年前にポン・ジュノ監督が片手で軽々上げてたので、監督の筋力がすごいなと思いました」と語る。授賞式にいなかった三浦がその場で持つこととなったが「『重い重い』と言われてたから、そんなに重くなかったです」とその場の笑いを誘うと、濱口監督は「筋力がめちゃめちゃあるのかな」とコメントしていた。
2022年04月05日濱口竜介監督作品の特別上映会が、2022年4月2日(土)より、東京のユーロスペース、ポレポレ東中野、シアター・イメージフォーラムで開催される。上映作品は『PASSION』『親密さ』『ハッピーアワー』。『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督の特別上映会『ドライブ・マイ・カー』で日本映画史上初のアカデミー賞作品賞ノミネートを果たし、国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督。そんな彼の自主制作作品からメジャーデビューに至るまでの作品を上映してきた東京のミニシアター3館が、アカデミー賞での功績を祝し、濱口竜介作品の特別上映会を実施する。濱口竜介監督の初期の代表作『PASSION』(2008)はユーロスペース、コアな濱口ファンを生み出した『親密さ』(2012)はポレポレ東中野、5時間半という長尺にも関わらずヒットを記録した『ハッピーアワー』(2015)はシアター・イメージフォーラムで、それぞれ公開された作品。この3作品が、各シアターに凱旋することになる。映画『PASSION』あらすじ結婚間近の果歩と智也を祝う席上、智也の過去の浮気が発覚し…。男女5人が揺れ動く一夜を描いた群像劇。第56回サン・セバスチャン国際映画祭、第9回東京フィルメックスに出品された濱口竜介の初期代表作。映画『親密さ』あらすじ「親密さ」という演劇を作り上げていく過程をフィクションとして演じる前半と、実際の上演を記録し映画として構成した後半の二部構成で描かれる青春群像劇。映画と演劇の学校「ENBUゼミナール」の映像俳優コースの修了作品としてスタートした企画。映画『ハッピーアワー』あらすじ30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人は、なんでも話せる親友同士だと思っていた。純の秘密を知るまでは……。市民参加のワークショップから誕生した作品で、ほとんどのキャストが演技未経験者という挑戦作。【詳細】濱口竜介監督作品特別上映 ミニシアター合同特別ウィーク・映画『PASSION』公開時期:2022年4月2日(土)〜4月15日(金)連日19:00会場:ユーロスペース(東京都渋谷区円山町1−5)料金一律:1,500円・映画『親密さ』公開時期:4月2日(土)、4月9日(土)各日24:10よりオールナイト上映会場:ポレポレ東中野(東京都中野区東中野4丁目4−1)料金一律:2,000円・映画『ハッピーアワー』公開時期:4月2日(土)〜4月8日(金)連日13:00より会場:シアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区渋谷2丁目10−2)料金一律:3,000円
2022年04月02日先日行われた第94回アカデミー賞にて国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』の監督、濱口竜介の作品を特別上映する企画「濱口竜介監督作品ミニシアター合同特別上映ウィーク」の開催が決定した。今回の上映企画では、初期の代表作『PASSION』(’08)をユーロスペース、コアな濱口監督作品ファンを生み出した『親密さ』(’12)はポレポレ東中野、5時間半という長尺にも関わらず、大ヒットした『ハッピーアワー』(’15)はシアター・イメージフォーラムにて上映。3作品が再び聖地に凱旋することになる。なお、話題作『ドライブ・マイ・カー』は、人気作家・村上春樹の短編小説「女のいない男たち」(文春文庫刊)に所収されている1篇の映画化。西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生らが出演。同作は現在、各劇場にて再上映が順次行われている。「濱口竜介監督作品ミニシアター合同特別上映ウィーク」は4月2日(土)よりユーロスペース、ポレポレ東中野、シアター・イメージフォーラムにて開催。(cinemacafe.net)
2022年03月30日「特撮」のリアリティはこうして生まれた!?『生誕100年 特撮美術監督 井上泰幸展』に注目します。東京湾から襲来するゴジラ、デパートの屋上に舞い降りるラドン。昭和の子どもたちが胸躍らせた怪獣映画の破壊シーンがすべて手作りだったと聞くと驚くかも?「CG映画のなかった時代、戦争や怪獣、自然災害によって破壊される市街地など実写では撮影不可能な場面をミニチュアセットや模型を使って撮影したのが特撮(特殊撮影)と呼ばれる手法です。1954年公開の『ゴジラ』をはじめ、特撮の先駆者といわれる円谷英二監督を支え、監督が描くイメージを“実装”する役割を果たしたのが美術監督の井上泰幸さんでした」(東京都現代美術館学芸員・森山朋絵さん)徹底したロケハンと綿密なスケッチをもとに実景に忠実なセットを作り上げ、数々の名場面に貢献したほか、自ら設計した撮影所のプールで模型を使った海戦シーンを撮影、波起こし機を考案するなど、新しい手法を果敢に切り開くパイオニアでもあった。本展ではそうした業績とともに、井上さんの「表現者」としての個人史にもスポットを当てる。「太平洋戦争で片足を失い帰国した井上さんは、紆余曲折を経て28歳で大学に入り、バウハウスで学んだ山脇巌氏のもとでデザイン教育を受けています。初期の作品からは、テクノロジーを戦争ではなく芸術に向けられる喜びが伝わってきますし、同時代の前衛美術グループ〈実験工房〉が舞台パフォーマンスの装置に電飾やプラスチックなど、新しい素材を進んで用いた“総合芸術”の姿勢とも共通するかもしれません」会場ではスケッチや図面、ミニチュアなど数百点に及ぶ資料や貴重なメイキング画像が見られるほか、「昭和の特撮が令和の技術で蘇る」(森山さん)さまも見逃せない。『日本海大海戦』(1969)で使われた戦艦三笠の6mの模型も原寸大の3D画像で会場に登場する。また『シン・ゴジラ』(2016)で特撮美術監督を務めた三池敏夫氏が『空の大怪獣ラドン』(1956)の名場面、福岡・天神のデパートにラドンが舞い降りるセットを復元。このセットのみ限定で写真撮影OKなので、ぜひ自分だけの特撮シーンを!福岡・岩田屋周辺ミニチュアセットのメイキング写真、「空の大怪獣ラドン」(1956)より©TOHO CO., LTD.CGがかつて苦手としていた物体の重みを感じさせる空気感が特撮の強み。地元のデパートに本当に怪獣が舞い降りたかと九州の子どもたちを驚かせた名場面の撮影風景。怪獣・建造物設定対比図、「モスラ対ゴジラ」(1964)より©TOHO CO.,LTD.名古屋のテレビ塔、天守閣、ゴジラ、モスラの大きさの比率を示した手描きの図面。万能潜水艦アルファ号 デザイン画、「緯度0大作戦」(1969)より©TOHO CO., LTD.戦時中、海兵団に所属した井上さんは海戦ものを得意とした。この潜水艦は肖像写真で井上さんが手にしている模型と同じ「アルファ号」。いのうえ・やすゆき1922年生まれ。円谷英二(1901‐1970)のもと、特撮美術スタッフの一員としてキャリアを本格的にスタート。井上に学び協働した三池監督に加え、庵野秀明監督、樋口真嗣監督ら最前線で活躍するクリエイターたちに大きな影響を与える。2012年没。井上泰幸 アルファ企画にて、1994年 撮影:斎藤純二『生誕100年 特撮美術監督 井上泰幸展』東京都現代美術館 企画展示室 地下2F東京都江東区三好4‐1‐1開催中~6月19日(日)10時~18時(入場は17時30分まで)月曜休一般1700円ほかTEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※『anan』2022年3月30日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2022年03月29日西島秀俊主演、村上春樹の短編を映画化した濱口竜介監督最新作『ドライブ・マイ・カー』が、第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞。授賞式を終えたばかりの濱口監督や西島さん、岡田将生、霧島れいかが日本メディア向けの共同記者会見に出席し、喜びをコメント。合わせて、授賞式にはスケジュールの都合により参加できなかった三浦透子からもコメントが到着した。まず、率直な感想を聞かれた濱口監督は、「ありがとうございます!嬉しいです!ノミネートされることだけでも本当にすごいことだと思っていたので、こうして受賞ができるとは本当に思っていなかった。ありがたいことだと思っています」と感謝。オスカー像を手にした濱口監督は「重いです(笑)。ポン・ジュノ監督が2年前に取ったとき、片手で軽々と持ち上げられていたので、意外と軽いのかなと思っていた。重かったのでびっくりしました」と改めて語った。西島さんは「会場でたくさんの方に『この作品を観た、素晴らしかったよ』と言って頂いて。改めてこの作品が、国や言葉を越えていろんな人の心に深く響いたんだなと会場ですごく感じました。とても幸せです」と明かすと、霧島さんも「素直に心から嬉しい気持ちでいっぱいです。たくさんの方におめでとうと言って頂いて、どれだけたくさんの方の心に届いたのかということが実感できて、本当に、本当に嬉しいです」とコメント。濱口監督も「スティーヴン・スピルバーグ監督から『おめでとう。この映画にふさわしいものだ』と言って頂きました。スピルバーグさん自身もこの映画がとても好きだと言って頂けて、本当にすごい日だなと思いました」と感慨いっぱいの様子。岡田将生「あの場にいれたことがよかった」そして岡田さんは「あの場にいれたことがよかったなと思いますし、『ドライブ・マイ・カー』とタイトルが言われた時にみんなで立ち上がって、みんなで抱きしめあってるその瞬間は一生忘れない出来事なんだろうなと思ってます」とコメント。作品の名前が呼ばれたときのことについては「監督のこの凄い才能がもっともっと世界に広まってほしいなと、いち映画ファンとして思っているので本当に嬉しくて、濱口監督おめでとうございますという気持ちでいっぱい」と西島さん。岡田さんは「本当に、こんなことがあるんだなあ、と。素直に体が反応して、心が動いて。皆さんと喜びを分かち合えたのは本当に良かったなと、その瞬間に思いました」と語り、霧島さんも「すごく緊張していたのですが、耳に入ってきた瞬間に感情が素直にわーっと溢れてきて、体も反応してしまいました」と喜びを明かした。「『時間をかける』ということは大事なこと」と監督日本映画が国際長編映画賞(旧称:外国語映画賞)を受賞したのは、2009年開催の第81回、滝田洋二郎監督作『おくりびと』が受賞した以来13年ぶりの快挙となる。日本の映画界にとって本作が今後どんなものになるか、という質問に「それは、今後の皆さんが決めてくださればいいなと思っています。ただ、プロデューサーの方たちの尽力のおかげあって準備にとても時間をかけることができたのはとても貴重なことだったと思っています」と濱口監督。「いわゆる商業映画というものを作って2本目ですが、みなさんが準備の大切さというものを理解して作ってくださったということは感じていて、準備に時間をかけたことによってこういう結果が得られているということは言いたいですし、参考にしてやってみたいという方がいてくれたらそれはすごくありがたいと思います」と言う。「この『時間をかける』ということは大事なことで、その意志さえあれば、急き立てられるように仕事をすることもないし、お互いをリスペクトするような環境も生まれやすいと思う。これは映画界だけに限らないことで、『このことに価値があるんじゃないか』と思うことを時間をかけてやる、ということができたら、それは今より少し幸せなことなんじゃないか。そういう実例だと思っている」と監督は思いを明かした。三浦透子「スピーチ届きました。胸がいっぱいです」国際長編映画賞の受賞、本当におめでとうございます! 皆さんの姿、とてもかっこよかったです。『ドライブ・マイ・カー』という作品に関われたこと、誇りに思います。改めて、この作品から頂いた全ての出会いと経験に、心から感謝申し上げます。濱口さん、スピーチ届きました。胸がいっぱいです。なお、本作は国内外の賞レースの盛り上がりに合わせ、日本国内でも8月20日の公開から7か月が過ぎた今も、各地でロングラン上映が続いている。公開館数は115館からスタートし、今後公開が決定している上映館も含め、3月28日現在で総計405館の劇場で上映されており、興行収入は3月27日時点で8億8893万50円となった。そして芸術分野の優れた活動を顕彰する、第72回芸術選奨文部科学大臣賞に濱口監督が選出。文化庁長官表彰(国際芸術部門)に、芸術各分野において国際的に活躍し、特に顕著な成果をあげた個人として西島さんと濱口監督の両名が決定している。『ドライブ・マイ・カー』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年03月28日第94回アカデミー賞授賞式が3月28日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が国際長編映画賞に輝いた。日本映画の同賞受賞は『おくりびと』以来13年ぶり、2作目となる(当時は外国語映画賞)。昨年のカンヌ国際映画祭で日本映画として史上初となる脚本賞を受賞。加えて、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の独立賞も受賞し、4冠獲得の偉業を果たした本作だが、それは快進撃の序章に過ぎなかった。その後もニューヨーク映画批評家協会賞の作品賞、ワシントンD.C.映画批評家協会の外国語映画賞、ボストン映画批評家協会賞の作品賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞の作品賞、ゴールデングローブ賞の非英語映画賞、全米映画批評家協会賞の作品賞、トロント映画批評家協会賞の作品賞、インディペンデント・スピリット賞の外国映画賞、放送映画批評家協会賞の外国語映画賞、英国アカデミー賞(BAFTA映画賞)の非英語作品賞など、名だたる映画賞で賞を獲得。先日発表された第45回日本アカデミー賞では、作品賞をはじめ、8部門で最優秀賞を手にした。第94回アカデミー賞では国際長編映画賞に加えて、日本映画として初めて、作品賞、監督賞、脚色賞(濱口竜介、大江崇允)にノミネート。鮮やかに“走り”続けた本作が、ついに大本命と目されていた国際長編映画賞の受賞に至った。村上春樹による短編小説を映画化した本作。主人公である演出家の家福(西島秀俊)は、愛する妻と満ち足りた日々を送っていたが、その妻は秘密を残して突然この世を去ってしまう。2年後、演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦透子)と出会う。行き場のない喪失を抱えて生きる家福は、みさきと過ごす時間を通して、あることに気付かされていく。(英語で)ありがとうございます。(手に抱えたオスカー像を見ながら)あなたがオスカーですね(笑)。アカデミーのみなさまに感謝申し上げます。(映画会社の名を挙げ)『ドライブ・マイ・カー』をアメリカへと持ってくることができました。ありがとうございます。(終了のBGMに)ちょっと待ってください!ここにいる俳優のみなさんにも感謝申し上げます。(日本語で)西島秀俊さん、岡田将生さん、霧島れいかさん、ジン・デヨンさん、パク・ユリムさん、ソニア・ユアンさん、アン・フィテさんおめでとうございます。そして、そして!ここに来られなかった全ての俳優のみなさんにも感謝いたします。特に赤いサーブ900を運転してくれた三浦透子さんに感謝します。(日本語で)みなさん獲りました!ありがとうございます!(text:cinemacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年03月28日●井上公造氏の芸能リポーター卒業「ショックでした」芸能リポーター・井上公造氏が、今年3月いっぱいで芸能リポーターを卒業する。井上氏のものまねキャラ“井上小公造”で知られるお笑いコンビ・女と男の市川義一は、本家の卒業をどう受け止めているのか本人にインタビュー。気になる井上小公造の今後や、井上小公造キャラによって激変したという芸人人生についても話を聞いた。井上氏は昨年12月に自身のYouTubeチャンネルで、今年3月末で出演中の全レギュラー番組から卒業すると発表。約7年前から自律神経の不調に悩まされていたことを明かし、「ちょっと体を休めたい」と話した。市川は、「やっぱりショックでした」と発表を聞いた時の心境を明かしつつ、「体調があまり良くないというのは聞いていたので、ゆっくりしていただきたいです」と気遣う。井上氏の卒業が迫ってきた今の心境も尋ねると「寂しいというのが一番ですが、完全な引退ではないので、また公造さんと一緒にできることもあるのかなと」と答えた。市川は4月以降も井上小公造のキャラは続けていくという。「僕ってあまり『井上公造さんですよね』って言われないんです。『井上小公造さんですよね』って。新たなキャラクターが生まれてきているので、ものまねを辞めるもなにも、井上小公造というキャラクターなので、と思っています」。そして、「長州小力さんみたいな新たなキャラクターという認識です」と続け、「もともとコロッケさんが大好きで。コロッケさんってオマージュしていて、似ているというより面白い。僕も面白いほうにしたいと思っています」と語った。市川が井上小公造を始めたきっかけは、芸人仲間の声だった。「15年くらい前にテレビ局で公造さんとすれ違ったときに周りの芸人が『顔似てるやん』って。僕自身、言われるまで気づいていなくて」。そこから漫才で相方のワダちゃんが「公造さんや」といじるようになり、『笑いの金メダル』で市川と共演した渡辺徹が井上氏に「顔似ている子がいるよ」と教えたことから、井上氏がすぐに市川を取材。「食事会も開いてくださって仲良くなりました」と、井上氏との交流が始まった。その後、先輩芸人・サバンナの番組の前説にて、「井上公造さんに顔が似ているんだからモノマネしたらええんちゃう?」とサバンナの高橋から提案され、「あのですね」と初めてものまねに挑戦。その後、「すごい芸能人のどうでもいいニュースをやったらどうや」という高橋のアイデアから今の形が誕生した。披露するスクープには「僕なりの“しょうもない度”の基準がある」とのこと。「皆さんのSNSやインタビュー記事などを見て、プライベートなところでチョイスするのが僕なりのスクープの集め方。そのしょうもなさを喜んでいただけるのが一番ありがたい」と話した。ちなみに、オレンジの衣装と黄色のメガネは15年前の井上氏の宣材写真を参考にし、それをずっと続けている。「今、公造さんはこんな格好していませんが、自分の中で小公造をやるよっていう切り替えになりますし、イメージの植え付けにもなるので」。●井上小公造で知名度アップ! お笑いだけで生活できるように小公造を始めてから知名度がアップ。「関西では市川という名前で覚えてくれていますが、関西以外の市川という名前を知らない方からも『井上小公造さんや』って声かけられるようになりました」。小公造が広く知れ渡るようになった最初のきっかけは、サバンナ高橋が出演していた『芸人報道』に10年以上前に出演したこと。そこから、『笑っていいとも!』や『スッキリ』、さらに井上公造がレギュラー出演している各地の番組に出演。そして、約4年前に『ウチのガヤがすみません!』に出演するようになり、注目を集めると、若い人たちからも「小公造さんや」と声をかけられるように。さらに、『ザワつく!金曜日』への出演も反響が大きいという。「公造さん、小公造のおかげで多くの方に知っていただけた。たまに子供が『絶対言わないでくださいよ』ってものまねしてくれるのがうれしいですね」と声を弾ませる。「絶対言わないでくださいよ」というお馴染みのフレーズは、井上氏が言っていたものではなく市川が生み出したもの。「『〇〇さん、最近……』って話すより、『〇〇さんなんですけど、これ絶対言わないでくださいよ。実は最近……』と言ってから話したほうが、『なんやねん!』ってなるので」。小公造キャラで活躍の場が広がると、芸人の仕事だけで生活できるように。「『ウチのガヤがすみません!』と『ザワつく!金曜日』によっていろんな方に認識していただけなと。飛躍的に東京の仕事もいただけるようになり、営業のお仕事も増えて、お笑いだけでご飯を食べていけるようになりました」。「公造さんのおかげで飯を食わしてもらっています。人生変わりました」と感謝を述べ、「小公造というキャラクターは、漫才にも入れられるし、ロケでも使える。営業先の宴会でも、身内ネタを事前に仕入れて言うとウケるので、小公造はどこでも役立ちます」と、万能ぶりも説明する。まさに芸人人生の転機となった井上小公造キャラ。「いろんな転機がありましたが、公造さんのものまねをするようになったことが一番大きいですね。小公造をやってなかったら今の僕はたぶんないので。東京の番組にほとんど出てなかったと思います」としみじみと語った。●ハワイ取材の夢「公造さんと2人で芸能人を待ち構えたい」小公造の活躍を井上氏も喜んでいるそうで、「『相方さんと漫才頑張ってください』って、小公造に間違えられた。お前もすごくなったな」と報告してくれたこともあるという。井上氏の卒業について「やっぱり不安はあります。今までちょこちょこ番組に呼んでいただいていますが、これからも呼んでもらえるのか……」と本音も吐露。だが、芸能人のくだらないスクープを披露する井上小公造というキャラクターとして知ってくれている人も多いので成立するのでは、と期待も込めて考えている。「本家の公造さんを知らない子供が僕を見て笑ってくれることもありますし、井上小公造として認知してくださっている方もいるので大丈夫かなと。テレビに今あまり出ていない(アントニオ)猪木さんや長嶋茂雄さんのモノマネをされている方もいますし、小公造というキャラクターとして楽しんでもらえたら」。井上氏の卒業後、より頑張らねばという思いもあるという。「4月以降、小公造をもっと頑張って、小公造がもっと売れれば、本家の公造さんもまた出てくれると思うんです。そうやって呼び戻すというか、また共演したいです」。さらに、「僕は1つ、公造さんとの夢がありまして。12月31日、1月1日のハワイの取材に2人で行きたいんです。ハワイの空港で、2人で芸能人を待ち構えたい。芸能人の方も、公造さんと小公造がいたら笑ってくれると思うので(笑)。公造さんも『やろうやろう』と言ってくれているので、コロナが落ち着いたらやりたいです」と、ハワイでの芸能人直撃取材の夢も明かした。3月14日には、井上氏と小公造、さらにレイザーラモンRG、サンケイスポーツ記者の森岡真一郎氏を加えた4人で、東京・ルミネtheよしもとにてイベント「RGが90分あるあるを歌い続け、井上公造と井上小公造とサンスポ森岡が90分芸能ニュースを言い続ける会…これ絶対言わないでくださいよ?!」が開催される。関西で過去に2回開催された4人による企画。観客参加型のイベントで、セットにずらりと芸能人の名前を書き、観客が選んだ芸能人について4人がトークを展開する。「RGさんのあるある、井上小公造のどうでもいいスクープ、そして公造さんと森岡さんのガチのスクープ。この4つが絡み合うのがすごく楽しくて、最高なんです!」。自身が楽しみにしていることを尋ねると、「今回は50個くらいの芸能人のネタを用意する予定ですが、僕だけ事前に用意していて3人は即興。RGさんはネタなのでその場で考えて作りますが、公造さんと森岡さんはスクープなので嘘は言えない。関西でやったときに小公造みたいにどうでもいいスクープを言うときがあって、それが面白くて(笑)」と話し、「そこも楽しんでいただけたら」とアピールした。■市川義一(いちかわ・よしかず)1980年9月26日生まれ、大阪府出身。2003年にワダちゃんとお笑いコンビ「女と男」を結成。井上公造氏のモノマネキャラ“井上小公造”としても活躍している。ファイナンシャルプランナーや家電製品アドバイザーなど、40以上の資格を持つ。また、市川と同じ名前であることから、出身地ではない兵庫県市川町のふるさとPR大使にコンビで任命された。
2022年03月09日2022年3月7日、俳優で、声優としても活躍していた、井上倫宏さんが亡くなっていたことが分かりました。63歳でした。サンケイスポーツによると、井上さんは食道がんのため、同年2月28日に自宅で亡くなったとのことです。井上倫宏氏(いのうえ・のりひろ=俳優、本名則弘=のりひろ)2月28日午後4時58分、食道がんのため相模原市の自宅で死去、63歳。サンケイスポーツーより引用井上さんは、舞台を中心に活動しながら、大河ドラマ『徳川慶喜』(NHK)の稲葉正邦役や、テレビドラマ『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)に出演。洋画の吹き替えや、テレビアニメ『MASTERキートン』(日本テレビ系)で平賀=キートン・太一役を務めるなど、優しい穏やかな声でも人々を魅了していました。突然の訃報に、ネット上では「信じられない」「大好きでした」「あの声が聞けないのはさびしい」など、悲しみの声が上がっています。井上さんの姿や声は、数々の作品の中で生き続けるでしょう。ご冥福をお祈りいたします。[文・構成/grape編集部]
2022年03月07日西島秀俊が主演を務めた、濱口竜介監督の最新作『ドライブ・マイ・カー』が全国ロングラン公開中だ。この度、本作が「第94回アカデミー賞」ノミネーション発表にて作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の全4部門にノミネートされたことを受け、濱口監督がオンライン会見を開いた。物語は主人公の俳優であり演出家の家福が主人公。彼は愛する妻と満ち足りた日々を送っていたが、妻は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。2年後、演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会った。そして行き場のない喪失を抱えて生きる家福は、みさきと過ごすなかであることに気付かされていく。本作は既に「第74回カンヌ国際映画祭」にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞したのち、「ゴールデングローブ賞」非英語映画賞、「ニューヨーク映画批評家協会賞」作品賞、「ロサンゼルス映画批評家協会賞」作品賞・脚本賞・監督賞次点、「ボストン映画批評家協会賞」にて西島秀俊の最優秀男優賞を含む4冠、「米批評家協会賞」では作品賞とアジア初・主演男優賞を含む主要4部門での受賞など、世界中で既に50以上の賞を受賞。また国内外のメディアが選ぶ、2021年ベスト作品でも次々上位にランクインしている。主演の西島秀俊は「New York Times」や「Vanity Fair」、「Slant Magazine」にてベストパフォーマーのひとりに選出されており「The Film Stage」では1位を獲得。共演の三浦透子もベストパフォーマー12位に選ばれているほか、先日発表されたイギリス版「VOGUE」では注目の25人のひとりに選出されるなど、本作キャストにも世界中から注目が集まっている。さらに『ドライブ・マイ・カー』旋風はアメリカに留まらず、イギリスでは「第42回ロンドン映画批評家協会賞」でも、日本映画として初めての脚本賞受賞、さらに外国語映画賞は周防正行監督の『Shall we ダンス?』(1996年)以来のダブル受賞を果たした。現地3日ノミネーションが発表された「英国アカデミー賞(BAFTA賞)」では、監督賞、脚色賞、非英語映画賞と3部門にノミネートされている(授賞式は現地時間3月13日予定)。また、韓国では去年12月23日の上映以来、観客動員数5万人を突破(1月31日時点)するなど世界各国から高い注目を集めている。国内でも、第34回日刊スポーツ映画大賞で作品賞と主演男優賞、第76回毎日映画コンクールで日本映画大賞(作品賞)と監督賞、第95回キネマ旬報ベスト・テンではキネマ旬報ベスト・テン第1位(日本映画作品賞)、読者選出日本映画監督賞、助演女優賞、日本映画脚本賞、日本映画監督賞と全5冠。8月の公開から6カ月近く各地でロングラン上映が続く盛況ぶりだ。<濱口竜介・コメント>ベルリン国際映画祭参加のために乗っていた飛行機を降りたら、米アカデミー賞に4部門ノミネートされていて、心の底から驚きました。作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞へのノミネート、信じられないような気持ちで未だにいます。ただ、確実に言えるのは原作者・村上春樹さんの物語が持つ普遍性がこの評価の根底にはある、ということです。心から愛する誰かを失ったとしても人生は続いていく。その人生は苛酷だけれど、ほんのひとつまみの希望もないわけではありません。ただ、この物語世界を身体化し、具現化する俳優たちの負担は計り知れないものがあったと思います。西島秀俊さんをはじめとする役者の皆さんの誠実な役への取り組みにも、この場を借りて敬意と感謝を表したいと思います。このノミネートがきっかけで俳優陣の素晴らしい演技、そしてそれを支えたスタッフたちの仕事がより多くの観客の目に触れることを願っています。<大江崇允・コメント>一番に思い出したのは、濱口竜介監督、山本晃久プロデューサーと初めて三人で飲んだ夜でした。その時、おそらく今日を想像した人はいませんでした。まさかこんなに遠くまで縁が繋がるものかと、映画の持つ力に本当に驚きました。この賞も、これまで同様スタッフ全員のものだと思います。そのスタッフ一人一人と繋がれたことが僕の一番の幸運です。<山本晃久・コメント>我々映画人の多くが、子供の頃に初めて観たのはアメリカの映画だと答えるでしょう。わたしもその一人でした。物語はドラマチックで、映像や音は迫力と躍動感に満ち、俳優たちはみな魅力的でした。世界中に影響を及ぼした映画史を持つアメリカは、まさに映画の王国です。そんな国の最高峰である米国アカデミー賞でノミネーションを果たせたことは、まさに夢のような出来事としか言いようがありません。濱口竜介監督、そして一緒に映画をつくりあげた素晴らしい仲間たちと共に、『ドライブ・マイ・カー』を選んでくださったアカデミー会員の皆さんへ、心から感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。本作を選んでくださり、本当にありがとうございました。『ドライブ・マイ・カー』公開中
2022年02月09日先日行われた「第94回アカデミー賞」ノミネーション発表を受けて、4部門にノミネートした『ドライブ・マイ・カー』の監督・濱口竜介が、本日2月9日、オンライン会見にて現在の心境を明かした。西島秀俊主演、村上春樹の短編を映画化した本作。8月より公開され、6か月近く各地でロングラン上映が現在も続く、盛況ぶりを見せている。日本のみならず、世界中で話題になっている本作。カンヌ国際映画祭にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞したのち、ゴールデングローブ賞非英語映画賞、ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞作品賞・脚本賞・監督賞次点、ボストン映画批評家協会賞にて西島秀俊の最優秀男優賞を含む4冠、米批評家協会賞では作品賞とアジア初・主演男優賞を含む主要4部門での受賞など、世界中で50以上の賞を受賞。そして、この度の「第94回アカデミー賞」では、作品賞をはじめ、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞と、全4部門にノミネートされている。ベルリン国際映画祭参加のため、渡独中の濱口監督は「飛行機を降りたら、米アカデミー賞に4部門ノミネートされていて、心の底から驚きました」と心境を明かし、「確実に言えるのは原作者・村上春樹さんの物語が持つ普遍性がこの評価の根底にはある、ということです。心から愛する誰かを失ったとしても人生は続いていく。その人生は苛酷だけれど、ほんのひとつまみの希望もないわけではありません。ただ、この物語世界を身体化し、具現化する俳優たちの負担は計り知れないものがあったと思います。西島秀俊さんをはじめとする役者の皆さんの誠実な役への取り組みにも、この場を借りて敬意と感謝を表したいと思います。このノミネートがきっかけで俳優陣の素晴らしい演技、そしてそれを支えたスタッフたちの仕事がより多くの観客の目に触れることを願っています」とコメントしている。また、濱口監督と共同脚本を手掛けた大江崇允も「まさかこんなに遠くまで縁が繋がるものかと、映画の持つ力に本当に驚きました」とノミネートにびっくりしたという。プロデューサーの山本晃久は「まさに夢のような出来事」と話し、「濱口竜介監督、そして一緒に映画をつくりあげた素晴らしい仲間たちと共に、『ドライブ・マイ・カー』を選んでくださったアカデミー会員の皆さんへ、心から感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。本作を選んでくださり、本当にありがとうございました」と感謝を述べた。『ドライブ・マイ・カー』は全国にて公開中。(cinemacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年02月09日2月8日(現地時間)に第94回アカデミー賞ノミネーションが発表され、濱口竜介監督が村上春樹の短編を映画化した『ドライブ・マイ・カー』が、「国際長編映画賞」と「脚色賞」、「監督賞」「作品賞」の4部門にノミネート。日本映画が「国際長編映画賞」にノミネートされたのは『万引き家族』(第91回アカデミー賞)以来3年ぶり、「作品賞」のノミネートは初となる。第74回カンヌ国際映画祭にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞したのち、第56回全米批評家協会賞では作品賞、監督賞(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の2作品に対して)、脚本賞、主演男優賞(西島秀俊)の主要4部門を受賞。先日発表された第79回ゴールデン・グローブ賞では非英語映画賞を受賞、第42回ロンドン映画批評家協会賞では非英語映画賞、脚本賞の2部門での受賞。これまで数々の賞を受賞し、世界中で高い評価を得ている。授賞式は2022年3月27日(現地時間)に開催される。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年02月08日第95回キネマ旬報ベスト・テン表彰式が2日に都内で行われ、三浦透子、鈴木亮平、濱口竜介監督、原一男監督、 立川志らく(コメント映像)、佐藤忠男(コメント映像)、河合実、和田庵、尾野真千子、役所広司、大江崇允が登場した。74回カンヌ国際映画祭で日本映画として初となる脚本賞を受賞し、第79回 ゴールデン・グローブ賞 非英語映画賞(旧外国語映画賞)、第56回 全米批評家協会賞 作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞、第87回 ニューヨーク映画批評家協会賞など北米を中心に様々な賞を受賞している『ドライブ・マイ・カー』が同賞でも5冠を達成。日本映画作品賞、助演女優賞(三浦)、日本映画監督賞(濱口監督)、日本映画脚本賞(濱口監督、大江)、読者選出日本映画監督賞に輝いた。評価について、濱口監督は「これほど広がっていくことには、とても驚いています。特にアメリカで受け入れられるなんて想像しなかったのことなので驚きですし、心から嬉しく思っています」と心境を吐露。受け入れられた理由については「物語そのものの普遍性ということなんじゃないでしょうか。村上春樹さんが長編においてよくテーマにされている喪失と、そこからどうやってもう一度希望を手に入れるのかということを指針として、村上春樹さんの物語世界をどう展開していくかを考えていたので、物語の普遍性が受け入れられているのではないかと思います」と分析する。制作のC&Iエンタテインメント 代表 久保田修氏は「日本だけでなくヨーロッパでもアメリカでも受け入れられているのは、それだけコロナだったり、分断とか格差とかいろいろなことがあって、再生というか治療というか癒やしというか、そういったものを求めていたんだな」と予想する。「もちろんいい映画なんですけれども、世界的に受け入れられるというのは当然、我々は作ってる段階では想像してなかった」と振り返った。8日には米国 アカデミー賞のノミネーションも発表されるが、期待について聞かれると、濱口監督は「そういうことがあったらありがたい」と言いつつ、「賞の場で言うのはなんですけど、賞によって作品が変わるわけではないので。自分達が何ができたのかできていなかったのかを、心に留めておくのが1番大事なことかなと思います。それでもし素晴らしいことがあれば、それはご褒美みたいなものだと思います」と語った。○第95回 キネマ旬報ベスト・テン 受賞一覧日本映画作品賞 『ドライブ・マイ・カー』外国映画作品賞 『ノマドランド』文化映画作品賞 『水俣曼荼羅』主演女優賞 尾野真千子(『茜色に焼かれる』『ヤクザと家族 The Family』により)主演男優賞 役所広司(『すばらしき世界』により)助演女優賞 三浦透子(『ドライブ・マイ・カー』『スパゲティコード・ラブ』により)助演男優賞 鈴木亮平(『孤狼の血 LEVEL2』『燃えよ剣』『土竜の唄 FINAL』により)新人女優賞 河合優実(『由宇子の天秤』『サマーフィルムにのって』『偽りのないhappy end』により)新人男優賞 和田庵(『茜色に焼かれる』により)日本映画監督賞 濱口竜介(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』により)外国映画監督賞 クロエ・ジャオ(『ノマドランド』『エターナルズ』により)日本映画脚本賞 濱口竜介、大江崇允(『ドライブ・マイ・カー』により)特別賞 佐藤 忠男(70年以上の評論活動を通して日本の映画文化の発展に貢献をされた功績に対して)読者選出日本映画監督賞 濱口竜介(『ドライブ・マイ・カー』により)読者選出外国映画監督賞 クロエ・ジャオ(『ノマドランド』により)読者賞 立川志らく(連載『立川志らくのシネマ徒然草』により)
2022年02月02日西島秀俊主演、濱口竜介監督が村上春樹の短編を映画化した『ドライブ・マイ・カー』が、1月9日(現地時間)に発表された第79回ゴールデン・グローブ賞にて非英語映画賞(旧外国語映画賞)を受賞したことが分かった。第74回カンヌ国際映画祭にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞したのち、第94回米国アカデミー賞国際長編映画賞部門ショートリストに選ばれている本作。先日発表された、第56回全米批評家協会賞では作品賞、監督賞(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の2作品に対して)、脚本賞、主演男優賞(西島秀俊)の主要4部門を受賞。数々の賞を受賞し、世界で高い評価を得ている。濱口竜介監督今回のゴールデン・グローブ賞では、『Compartment No. 6』(フィンランド、ドイツ、ロシア)、『Hand of God -神の手が触れた日-』(イタリア)、『A Hero』(フランス、イラン)、『Parallel Mothers』(スペイン)、そして日本から『ドライブ・マイ・カー』がノミネートされていた。米アカデミー賞の前哨戦としての注目されるゴールデン・グローブ賞だが…アカデミー賞の前哨戦の1つである、ゴールデン・グローブ賞。賞の権限を司る「ハリウッド外国プレス協会」ことHFPA(=Hollywood Foreign Press Association)の会員の中に黒人が一人もいなかったことが公になり、また、元会長の人種差別的な発言も明るみとなった。これを受け、俳優のマーク・ラファロやスカーレット・ヨハンソンはHFPAを批判するほか、トム・クルーズは受賞したゴールデン・グローブ像を全て返還し、HFPAに対する抗議の意を示した。そのほかHFPAの会員が、授賞式チケットを外部の人間に違法売買しているというスキャンダルも出ている。1996年からゴールデングローブ賞授賞式を放送しているNBC局は事態を重く見て、2022年の授賞式の放送を取りやめることを発表。Amazon、Netflix、ワーナーメディアはHFPAとは「仕事をしない」と表明している。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年01月10日『ドライブ・マイ・カー』が米映画賞を席巻し、世界がいま最も注目する映画作家・濱口竜介の最新作『偶然と想像』。東京での封切館となるBunkamuraル・シネマでは、日本映画のロードショーは1989年の開館以来初となる。この度、各話ごとのキャストから、それぞれの見どころや濱口監督とのエピソードが語られたコメント動画が到着した。第71回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した本作は、その後、海外映画祭への招待が続き、9月にハンガリーで開催した第17回CineFestミシュコルツ国際映画祭では最高賞にあたるエメリック・プレスバーガー賞を受賞、さらに国内では第22回東京フィルメックスでオープニングを飾り、観客賞を受賞。さらに先日、フランス・ナントで1979年から開催されている「ナント三大陸映画祭」に出品され、グランプリ(金の気球賞)・観客賞を受賞した。コメント動画は、第1話『魔法(よりもっと不確か)』に出演した古川琴音、中島歩、玄理の3名からスタート。それぞれ本作の見どころを聞かれ、芽衣子(古川琴音)と和明(中島歩)のシーンで、「芽衣子が和明に言ったあるセリフを言いたかった。映画史上に残る暴言!」と玄理さん。続けて古川さん、中島さんは「いつからそうなったの?」「3話ともみなさんが驚く内容の映画です」と語る。また現場では人気恋愛リアリティ番組「バチェラー」が話題になり、その概要を濱口監督に話したところ「監督が大笑いして椅子から転げ落ちた!」と当時をふり返るひと幕も。第2話『扉は開けたままで』で大学教授・瀬川を演じた渋川清彦は「計3日間撮影日があって、20分近くの長回しのシーンがある。1日目は半分以上長回しのシーンを撮って、2日目、3日目もその長回しのシーンを最初から撮った。そこでさすがだなハマちゃん!シビれました」と明かす。そして、濱口作品初出演の甲斐翔真は「演技指導、レッスンのような、こんな世界もあるんだと言う片鱗を見た気がした。ご一緒できたのがとても嬉しいです」と初めての濱口組での思いを語った。第3話『もう一度』に出演した占部房子、河井青葉は本作を「コメディ、SF、愛、ユーモア、いろんなジャンルが含まれている。3話とも違う話だが、どの話もないような、でも日常に起こり得るようなお話」だという。また撮影現場では「監督の提案で、現場では腰が据わるので“四股”を踏んでから撮影をスタートしていた」と濱口監督ならではの思い出をふり返っている。『偶然と想像』はBunkamura ル・シネマほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:偶然と想像 2021年12月17日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開©︎ 2021 NEOPA / fictive
2021年12月18日井上道義&読売日本交響楽団によるマーラー『大地の歌』が、2022年1月28日(金)に、東京芸術劇場コンサートホールにて開催される。井上道義は、マーラーの交響曲第8番『千人の交響曲』(2018年)と交響曲第3番(2019年)で、国内外から著名ソリストを集めただけでなく、史上初となる首都圏音楽大学の合同コーラスを結成。常にベストを追求しチャレンジ精神を忘れない”老青年”マエストロ、井上が読売日本交響楽団を指揮し、続編として交響曲『大地の歌』を取り上げる。ソリストには、第3番に続き井上が全幅の信頼を寄せるアルトの池田香織。そして、テノールに、2020年当劇場での『ラ・トラヴィアータ』(アルフレード役)で日本人離れした圧倒的な声量と音楽性を披露した宮里直樹をキャスティングし、万全の布陣で臨む。さらにマーラー同様、20世紀を代表するシンフォニストの一人、シベリウスによる最後の交響曲である第7番、ケルン放送交響楽団とブルターニュ交響楽団、東京芸術劇場の共同委嘱作品となる藤倉大“Entwine”をプログラミング。 “Entwine”は今回が有観客としては世界初演となる。チケットは現在発売中だ。■公演概要「東京芸術劇場Presents読売日本交響楽団演奏会」日程:2022年1月28日 (金)19:00 開演(ロビー開場 18:00)会場:東京芸術劇場 コンサートホール曲目:藤倉大:Entwine (日本初演)*ケルン放送交響楽団・ブルターニュ交響楽団との国際共同委嘱作品シベリウス:交響曲第7番 ハ長調 op.105マーラー:『大地の歌』*アルト、テノール独唱と大オーケストラのための交響曲*歌詞:ハンス・ベトゥゲの詩集『シナの笛』から指揮:井上道義アルト:池田香織テノール:宮里直樹管弦楽:読売日本交響楽団
2021年12月03日西島秀俊を主演に迎え、三浦透子、霧島れいか、岡田将生らを迎えて村上春樹の短編を映画化した濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』が、全米映画賞シーズンの皮切りとなる第31回ゴッサム・インディペンデント映画賞にて最優秀国際映画賞を受賞した。ゴッサム・インディペンデント映画賞(通称「ゴッサム賞」)は、米独立系映画の製作に携わる人々を支援するインディペンデント・フィルムメーカー・プロジェクト(IFP)主催の映画賞。日本時間11月30日、ジョナサン・レイモンド、ジミー・フェイルズ、カタリーナ・サンディノ・モレノ、エリザ・ヒットマン、オリオン・リーが審査員を務めるなか、アメリカ・ニューヨークで行われた授賞式へ濱口監督が参加し、「感動して、胸がいっぱいです」と喜びを語った。また本作は、既報通り第94回米国アカデミー賞国際長編映画賞部門日本代表となっており、世界中から大きな注目を集めている。11月24日より公開されたニューヨークで好スタートを切り、12月3日からはロサンゼルスでの公開も決定。今回のゴッサム・インディペンデント映画賞受賞でアカデミー賞への期待がさらに高まった。今年7月に第74回カンヌ国際映画祭で日本映画史上初となる脚本賞ほか全4冠を獲得した後も、トロント、サン・セバスチャン、ニューヨーク、ロンドン、釜山などの国際映画祭への出品が相次ぎ、ポン・ジュノ監督、アルノー・デプレシャン監督、アピチャッポン・ウィーラセクタン監督ら名匠たちからも絶賛を受けている本作。シカゴ国際映画祭(シルバー・ヒューゴ審査員賞、観客賞)、アジア太平洋映画賞(作品賞・脚本賞)、デンバー映画祭(最優秀作品賞[クシシュトフ・キエシロフスキ賞])と世界の映画祭での受賞を重ねている。日本でも公開されるや「大傑作!美しいラストシーンに涙がこぼれた」「今年No.1!」「時間を忘れて見入ってしまった」「観るたびに発見がある、3回見ても足りない!」など、SNSでは熱量のある口コミとリピーターたちの感想が溢れ、8月の劇場公開から約3か月、各地でロングラン上映が続いている。濱口竜介監督受賞コメント本当にありがとうございます。驚いています。この物語を与えてくれた村上春樹さんに感謝します。村上春樹さんの世界を表現するということが、自分にとって新たなチャレンジになりました。そして、今まで自分が描いたことがないような物語を描くことが出来たと思っています。今まさにニューヨークでもやっています。ぜひここにいる皆さんも見て頂けたら嬉しいです。その配給を可能にして私をここに呼んでくれたSideshowとJanus Filmsにも感謝します。そしてこの栄華を作らせてくれたプロデューサー達、素晴らしい演技を見せてくれた役者たち、役者たちの演技を最高の環境を作って助けてくれたスタッフ達にも感謝します。胸がいっぱいです。ありがとうございました。Thank you very much!!『ドライブ・マイ・カー』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2021年11月30日濱口竜介監督が手掛けた映画『ドライブ・マイ・カー』と『偶然と想像』が、「第57回シカゴ国際映画祭」にてシルバー・ヒューゴ審査員賞&シルバー・Qヒューゴ賞をそれぞれ受賞したことが分かった。北米で最も古い歴史を持つ映画祭の一つである「シカゴ国際映画祭」。第94回米国アカデミー賞国際長編映画賞部門日本代表となっている『ドライブ・マイ・カー』は、西島秀俊を主演に迎えた、村上春樹の短編の映画化。同映画祭では、International Competition部門にて第2席である、シルバー・ヒューゴ審査員賞を受賞した。8月の公開から約2か月、各地でロングラン上映が続く盛況ぶりを見せている本作は、全米映画賞シーズンの皮切りとなる米ゴッサム・アワード Best International Feature へのノミネートも決定。第74回カンヌ国際映画祭で日本映画史上初となる脚本賞ほか全4冠を獲得した後も、トロント、サン・セバスチャン、ニューヨーク、ロンドン、釜山などの国際映画祭への出品が相次ぎ、現在、47の国と地域で配給が決定するなど、世界中から大きな注目を集めている。同じく濱口監督作品である『偶然と想像』は、古川琴音、中島歩、玄理、渋川清彦らが出演する短編集。すでに、第71回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞を受賞、第22回東京フィルメックスでは、オープニング作品となっている。今回「シカゴ国際映画祭」では、Outlook Competition部門にてシルバー・Qヒューゴ賞を受賞した。W受賞の快挙を成し遂げた濱口監督は、今回の受賞に関して「私自身、驚きながら見ていた素晴らしい役者の演技をそのまま届けることができた」(『ドライブ・マイ・カー』)、「実際にその人物の人生を歩んできたと感じられるような説得力のある形で演じていただいた」(『偶然と想像』)とコメントし、「作品の魅力を発見してくださった審査員の皆様に感謝したい」と喜びを表している。『ドライブ・マイ・カー』は全国にて公開中。『偶然と想像』は12月17日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会偶然と想像 2021年12月17日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開©︎ 2021 NEOPA / fictive
2021年10月25日第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞するなど、国内外から注目を集める映画作家・濱口竜介の最新作となる短編集『偶然と想像』の劇場公開が2021年12月17日(金)よりBunkamuraル・シネマほかにて全国公開されることが決定。東京での封切館となるBunkamuraル・シネマでは、1989年の開館以来日本映画のロードショーは初となる。本作は、ベルリン国際映画祭の後も海外映画祭への招待が続き、9月にハンガリーで開催した第17回CineFestミシュコルツ国際映画祭では最高賞にあたるエメリック・プレスバーガー賞を受賞するなど快挙を果たしている。また、一足先に公開された海外からは、「今年のベスト映画の中でも最良の1本にして、美しき人生賛歌。」(フィルム・ステージ)、「軽やかであると同時にシリアス。わたしたちの人生がいかに些細なことで正しい、あるいは間違った方向に進むのかについて考えさせられる。本当に楽しく、爽快な映画体験」(ガーディアン)など、絶賛のコメントが数多く寄せられている。ベルリン映画祭授賞式では、「一番の見どころはと問われたら“役者の皆さんの演技”だ」と答えた濱口監督。連続テレビ小説「エール」や「コントが始まる」など話題作に出演し、圧倒的な存在感を放つ古川琴音をはじめ、中島歩、森郁月、甲斐翔真らフレッシュな顔ぶれが濱口作品に初出演。そして濱口組出演経験のある玄理、渋川清彦、占部房子、河井青葉ら個性豊かな俳優陣が集結。併せて解禁となった日本版ポスターは、イタリア版ポスターに使用されたイラストを採用したデザイン。3つの短編に出演する、それぞれの登場人物が軽やかなタッチで描画されており、「偶然」をモチーフとした物語の中で、人のどんな本音、思惑が垣間見られるか期待が高まる。なお、本作は12月17日(金)からの劇場公開と同時にオンライン公開も決定。配給のInclineが新しく開設する配信プラットフォーム「Reel」(読み:リール)にて、全国での劇場公開期間限定で有料配信を行う。『偶然と想像』は12月17日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2021年09月28日俳優の井上真央さんにとって3年ぶりとなる出演CMが、2021年9月14日から放送され話題を呼んでいます。井上真央、3年ぶりのCM出演に反響テレビドラマ『キッズ・ウォー』(TBS系)や『花より男子』(TBS系)など、2000年代前半に人気女優の仲間入りを果たした井上さん。今回、植物性乳酸菌飲料『ラブレ』シリーズのイメージキャラクターに起用された井上さんは、当時と変わらぬ美貌だけでなく、テレビでは初となる歌声も披露しています。コンスタントに映画やドラマに出演している井上さんですが、年に1~2本のペースなこともあってか、今回のCMで「久々に見た」という印象を受けた人は少なくない様子。また、2021年で34歳となった井上さんですが、20代前半のようなあどけなさも感じさせる容姿に「変わらない」「相変わらずかわいい」と絶賛の声が寄せられています。・井上真央ちゃん、久々に見たな~!『キッズ・ウォー』の時と変わらないかわいさ。・あの井上真央がもう30代半ばとは…時が流れるのは早いな。・歌がうまくてびっくり。2021年の秋からは、テレビドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室 -』(日本テレビ系)への出演も決定している井上さん。再び、井上さんの演技を見られることに心を躍らせるファンは多いことでしょう。[文・構成/grape編集部]
2021年09月20日第一線で活躍する濱口竜介監督に、作品に込めた思いや共感を呼ぶ映像表現について伺いました。心揺さぶる映像エンタメのヒミツに迫ります。カンヌ国際映画祭脚本賞で、日本映画界初の快挙を達成!Getty Imagesフィクションとわかっていても、スクリーンの中に確かにその人が存在し、生きている。『ハッピーアワー』『寝ても覚めても』など濱口竜介監督の生み出してきた物語は、そう思わせてくれる。言葉と役者の身体表現によって、人間の“わからなさ”を訳することを続けてきた彼は、今年ベルリン国際映画祭で、『偶然と想像』が銀熊賞に輝く。そして、村上春樹の短編集『女のいない男たち』に収録された「ドライブ・マイ・カー」の映画化で、第74回カンヌ国際映画祭の脚本賞を受賞。世界が注目する村上春樹作品の映画化だが、原作に“移動”や“演じること”など自身がこれまで扱ってきたテーマと近しいものを感じ、これなら映画にしやすいと思ったという。「役者さんが生きている瞬間があり、それがちゃんと映っていたのではないかと。村上さんにも文章を逐一映像化することはできないと最初にお伝えしました。村上さんにとっての文章は私にとっての役者さん。テキストはドラマを進めるとともに演技を助けるためにもある。役者さんがある状況を生きる境地に達すれば、自分としては成功でした」「役者が生きている瞬間」に立ち会うための環境づくりは、緻密な作業の積み重ねだ。濱口監督が実践する、感情的なニュアンスを乗せることなく脚本を読み込む「本読み」も、役者がテキストを身体化し、撮影本番で初めて感情の動きを見せるための地盤となっている。主人公・家福が演出する戯曲「ワーニャ伯父さん」を多言語演劇で行うというオリジナルの設定を加えた理由も、役者がシンプルにいい演技ができる方法になるだろうと考えたからだ。「基本的に、コミュニケーションは言葉を介して意味情報を伝達し合うことが多い。でも実際、使っている声には、言葉の意味とは異なるたくさんの身体的な情報が含まれていたりする。意味を細かく聞き取れることは非常に便利な側面もありますが、相手の声を聞いたり、身体を見たりしたほうが自然と演技が出てくるのではないかと思って。多言語劇の場合、それぞれ自国語しかわからない状況なので、意味によるやりとりは発生しません。単なる音の固まりとしか聞こえなくなる。意味という回路が絶たれることでかえって身体の情報が浮き出てくる。例えば、外国映画を字幕で観ているほうが、観客が登場人物を捉えやすい場合があるように、いい演技が生まれやすい状況を実現するための設定でした」同じ言葉を使っていてもわかり合えないこともあれば、違う言語同士でも、認識を共有できる瞬間はある。言葉は不完全なツールだが、言葉を用いた先に言葉以上の何かが生まれるという希望が本編には描かれる。「言葉で埋められるものは確かにある。不必要なすれ違いを避けるためにも、できるだけ繊細に細分化して伝え合えたほうが誤解は生まれにくい。一方で、どれだけ細かく言葉にしても言語化できない、身体的なことや感情も含めたすごく大きい領域が必ずあって。そのわからなさの輪郭のようなものを確かめるために言語化をしなくちゃいけないことはあります。言葉にできないところまで突き詰めた先に、“わからない”ということがわかり合えることがあるんじゃないでしょうか。もしお互いにそれを認識できたとしたら、通じ合うとは違うかもしれないけど、共存することはできるかもしれない」長尺と言われがちな濱口作品だが、役者たちが抱く違和感や嘘っぽさを丹念に取り除き生まれた物語は、ずっと観ていたくなるものだ。「キャラクターたちが言葉を使わずにわからなさを超える可能性があるとすれば、その境地に達するまでの準備が必要でした。役者さんの負荷をできるだけ少なくするためには、キャラクターの行動原理をしっかり構築する必要がある。今回は原作を読みながら掴んだキャラクターの核があります。進めたいドラマはあるので、こういう面が出てきてほしいという思いもあったりするのですが、行動原理があるから無理矢理動かすことはできなくて。キャラクターの話さなさ、動かなさと出合いながら、無理のないように取り組んでいくと、削ぎ落としても3時間はかかってしまいました(笑)」ストリーミング配信公開が増えつつあるが、映画館での上映を前提につくり続けたいという思いはある。「大画面で大音響で観客と映画が向かい合う。その集中力の中でしか見えてこないものを頼りに映画をつくっているところはあって。映画館で上映されるときに言い訳をしなくていいものをつくりたいですね。あと映画館って、わからないものに付き合わされる環境だから。細かくはわからなくても、わからないなりにある部分は身体に入ってくるというか。映画館では、わからなさともっと繊細に付き合える感覚はあります」『ドライブ・マイ・カー』村上春樹の短編「ドライブ・マイ・カー」をメインに、「シェエラザード」「木野」の要素も取り込み再構築。舞台俳優で演出家の家福(西島秀俊)はある秘密を残したまま妻が他界してから、喪失感を抱えながら生きている。2年後、演劇祭のために向かった広島で、寡黙な専属ドライバーみさき(三浦透子)と過ごすうち、あることに気づかされていく。©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中濱口さん注目の映像作品『Benedetta(原題)』17世紀のイタリアで同性愛者として裁かれた修道女の物語。「修道院の中のえげつない権力争いの話で、ポール・ヴァーホーヴェン監督作品は主題だけ見ると下品さのようなものを感じるのに、なぜか上品で非常に清々しく、生きる勇気をもらえる」。日本公開未定。©Guy Ferrandis - SBS Productions『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』現代アメリカ映画を代表する女性映画監督ケリー・ライカートが2016年に発表した群像劇。「配信で観たのですが味わい尽くせなかったような感覚があります。映画館という環境を必要とする映画をつくる監督だと思うので、特集上映を劇場で観るのが楽しみです」デジタル配信中DVD¥4,180 発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント ©2016 Clyde Park, LLC. All Rights Reserved.『宝島』『女っ気なし』で知られるギヨーム・ブラック監督が、自身もよく遊びに来ていたというパリ北西のレジャー・アイランドを舞台にしたドキュメンタリー。「元々能力のある監督だと思っていましたが、どうやって撮ったのかがわからない内容で、ドキュメンタリーの境界が無性に気になる作品」。MUBIにて配信中。はまぐち・りゅうすけ1978年12月16日生まれ、神奈川県出身。『ドライブ・マイ・カー』で日本映画で初めてカンヌ国際映画祭脚本賞(大江崇允との共同脚本)ほか、全4冠に輝く。ベルリン国際映画祭で銀熊賞受賞の『偶然と想像』は12月公開予定。※『anan』2021年9月15日号より。取材、文・小川知子(by anan編集部)
2021年09月09日