仲村トオル主演の『行きずりの街』が、先日より開催中の第15回釜山国際映画祭にて上映され、仲村さんと阪本順治監督がトークイベントおよびティーチインに出席。公式上映が行われると、すぐに韓国での劇場公開が決定した。1992年の「このミステリーがすごい!」(宝島社主催)で第1位に輝いた志水辰夫の小説を映画化。仲村さんはかつて、将来を嘱望された教師だったが教え子との結婚をスキャンダルとして追及されて学園を追われ、いまは郷里で塾講師をしている男・波多野を熱演。行方の分からなくなった元教え子の消息を追って再び東京に足を踏み入れた波多野が、彼女の失踪の背後にある陰謀を明らかにしていく姿が描かれる。仲村さんは過去に『ロスト・メモリーズ』、『青燕』といった韓国映画に出演した経験があり、特に『ロスト・メモリーズ』では韓国で最も権威のあるとされる映画賞・大鐘賞助演男優賞を外国人で初めて受賞。その名は韓国でも知れわたっており、今回、ビーチで開催されたイベントでも、ハングルや英語で「お帰りなさい!」などと書かれたうちわを持った熱狂的なファンから大きな声援を送られていた。仲村さんは韓国入り後、イベントの前に『ロスト・メモリーズ』で共演したチャン・ドンゴンと5年ぶりに再会したそうで、今年5月のドンゴンの結婚と先ごろの第1子誕生を祝福し、プレゼントを手渡したという。仲村さんはイベント後「釜山国際映画祭には『青燕』以来5年ぶり、2回目の参加です。前回は韓国映画で来ましたが、今回は日本映画でここに来ることが出来ました」と笑顔で語り、ドンゴンとの再会については「『ロスト・メモリーズ』では本当によく飲みに行き、朝まで付き合わされたこともありましたね(笑)。ドンゴン氏が出演した『グッドモーニング・プレジデント』(※日本では今年7月公開)の役柄から、『きみが大統領になるとは思わなかったよ』と冗談を言ったら大笑いしていました。『ロスト・メモリーズ』公開時に『また共演したいけれど、お互いそれぞれの国でがんばって、いつかどこかの国際映画祭で作品を持ち寄って再会できたらいいね』と話していたのがついに叶いました。僕にとって記念すべき日になりました!」と共演時の思い出に触れつつ、喜びを語ってくれた。また、韓国の新興の配給会社「マウンテンピクチャーズ」は、公式上映が行われると即刻、本作の買い付けを決定。「韓国映画にはない雰囲気が感じられ、夢を見ているような気分にさせられた」とは同社CEOリ・ゼ・シク氏の弁。映画祭は15日まで開催。熱く、厳しい韓国の映画関係者をうならせた『行きずりの街』は11月20日(土)より全国にて公開。■関連作品:行きずりの街 2010年11月20日より全国にて公開© 2010「行きずりの街」製作委員会第15回釜山国際映画祭 [映画祭]■関連記事:釜山の観客の熱烈歓迎に深津絵里「クセになりそう!」宮崎あおい&大竹しのぶに韓国人ファン熱狂「ステキ!」、「カワイイ!」と声援安藤政信が釜山登場!米中合作アクションコメディで天才料理人を熱演ハズレなし!「映画館大賞2010」まもなく発表中谷美紀が選ぶ「1本」は?来年の東映は『ゼブラーマン2』セクシー衣裳から『桜田門外ノ変』まで注目作ズラリ!
2010年10月15日1991年度の「このミステリーがすごい!」第1位を獲得した「行きずりの街」(志水辰夫著・新潮文庫刊)が仲村トオルと小西真奈美を主演に迎えて映画化されることが決定した。かつては教職にあったが、卒業した教え子との結婚をスキャンダルのように扱われ、高校を追われ、離婚にまで追い込まれた主人公・波多野。現在は郷里で塾の講師をしていたが、東京で音信不通となった教え子を捜すべく、再び東京に足を踏み入れる。この失踪事件の背後に、かつて自分を学園から追放した男たちがいることに気づいた波多野は、捜査のためにあるバーへ。そこで、かつての妻・雅子と12年ぶりに再会する。失われた時を取り戻そうとする2人。そして、彼女の助けもあって波多野は徐々に事件の核心へと近づいていく…。メガホンを握るのは、人間の持つ泥臭さや感情を浮き彫りにする演出で『魂萌え!』、『カメレオン』、『闇の子供たち』と近年も話題作を次々と世に送り出している阪本順治。企画者には、仲村さんの映画デビュー作である『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズの生みの親であり、松田優作作品や、「あぶない刑事」シリーズなど、数々の話題作をものしてきた黒澤満が名を連ねている。波多野役の仲村さんは「(製作プロダクションである)セントラル・アーツは別名“黒澤(満)撮影所”というか、ここは僕にとっては“実家”のようなところ。ここに、いったい何人の恩人と呼べる人がいるんだろう、と改めて思う日々です。役者としてド素人だった僕は、この人たちに『許してもらい』、『誤魔化してもらい』ながら仕事をし、いままで何とか生き延びてきたんだなと実感してます。でも、役者を始めて24年、来年は25年目を迎えるので、『もうガキじゃないんだぞ』という緊張感もあります。これからも多くの質の高い仕事をすることが、ふるさとへの、恩人の方たちへの恩返しになるんじゃないかと…と感慨に浸ってしまうわけにもいかないので(笑)、とにかく、この作品の日々の現場を、目の前にあることを頑張っていこうと思ってます」と並々ならぬ決意を語る。波多野のかつての教え子であり、別れた妻でもある雅子を演じる小西さんは「阪本順治監督は、以前からお仕事をご一緒したかった監督だったので、真摯な気持ちで臨みたいと思いました。阪本監督は、役者の感情や温度を大切に撮影して下さいますし、仲村トオルさんはそれを大きく受け止めて下さるので、毎シーン良いものが出来ていることを感じています」と手応えを明かす。「しっとりとした、それでいてハードな」作品に仕上げたいと語る阪本監督。66万部を売り上げた傑作ミステリーをどのように描き出すのか?失われた時間と、自らの誇りを取り戻すための男の孤独な闘いはどこへ向かうのか――?『行きずりの街』は10月末にクランクアップ予定。2010年秋、全国にて公開。■関連作品:行きずりの街 2010年秋、全国にて公開© 「行きずりの街」製作委員会
2009年10月17日