岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「鳥居強右衛門」です。大河ドラマ『どうする家康』に僕が演じる鳥居強右衛門(とりいすねえもん)がついに登場しました。ご覧になった皆さんはご存じのことと思いますが、出てきたその日のうちに死にました。1話限定の出演だったわけですが、それでも僕が登場するこの第21回は“鳥居強右衛門回”と言っていいほど、半分以上彼のエピソードで尺をとっています。鳥居強右衛門というヒーローがいたことが、とても印象に残る回になったのではないかと思います。今回、演じてみて難しいなと思ったのは突き飛ばされ方です。鳥居強右衛門という男は、主君の戦国武将・奥平信昌に忠誠を誓い、長篠城を守るために奔走する男気のあるやつなのですが、普段はだらしなくて失礼な男なんです。とにかく人にすがりつく。人にあられもなくすがりついては、突き飛ばされます。ドラマの中ではいろんな人に5回ほど突き飛ばされます。僕はきょうだいのいない一人っ子です。ケンカもせずにここまで平穏に育ってきましたので、幼少のころから突き飛ばされる経験などありません。どういうふうに体重移動をしたら突き飛ばされたときに痛くないのかもよくわからない。気づけば、僕の膝はずっと傷だらけでした。登場回数はこの1回だけですが、僕がこの作品の中でもっとも突き飛ばされているのではないかと思います。僕の受け身の取れてない突き飛ばされ具合も、皆さんに楽しんでいただけたらうれしいです。史実を見ると仏頂面で硬派なイメージの鳥居強右衛門ですが、ドラマでは監督の意向でちょっとひょうきんなキャラクターに演出されていました。それも僕に合っていたように思います。また、走ると自然に歌を口ずさむ癖があるのですが、そこもミュージシャンである僕の特性を生かしてくれたのかな、と思いました。この鼻歌は物語の中でも大事な役割を果たしているのですが、その当時にあってもおかしくないメロディラインでないといけないので、歴史の先生や歌の指導の先生監修のもと作られています。これもまた大河ドラマに出演しないとできないことだと思うので、とてもいい経験になりました。鳥居強右衛門は、地元である愛知県の新城市では今も愛されている存在です。そのイメージを崩さずに、さらに愛される存在になれたらと思って演じたので、皆さんに気に入っていただけたら、がんばって演じた甲斐があります!おかざきたいいくTVアニメ『マッシュル‐MASHLE‐』オープニングテーマの新曲「Knock Out」のシングルパッケージが好評発売中。7月には対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」を東京・京都で開催。※『anan』2023年6月14日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年06月10日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「推し活」です。この連載を読んでくれている方々にも、何かしら好きな人=“推し”がいるのではないでしょうか。みなさんは年間、推しを応援する活動“推し活”にどれくらいお金を使っていますか?いや、これはいやらしい話でもなんでもなく、アーティストとして活動するためには、どうしたって資金が必要です。アーティストに良い活動をしてもらうためには“課金”というファンの応援は必要不可欠なんです。お金を払っていただいて、CDを買ってもらう、ライブに来てもらう、グッズを買ってもらう。そういうことが、アーティスト活動をしている人のガソリンになります。なので推し活は、好きなアーティストのためになることですから、みなさんガンガンしていっていいのではないでしょうか。こういった、ファンの方が好きな対象のことを“推し”と呼ぶようになったのは、いつ頃からなのでしょうか。僕はAKB48の存在が大きかったんじゃないかなと思います。AKB48のプロデューサー・秋元康さんは総選挙というシステムを生み出し、ファンの投票で、今誰がいちばん人気があるのかランキングが分かるようにしました。それを行った結果、それぞれのファンの間で「俺がなんとか順位を上げてあげなきゃ」とか「私が彼女を支えてあげる」という意識が生まれた。“推す”ってすごく能動的な言葉ですよね。自分が自ら何かを推しているんです。強制的でも受け身でもなく、叶えたいことのために、その推進力になるために、自ら行動する。ファンという存在の自己肯定感を高めてくれる言葉なのではないかと思います。AKB48の総選挙は終わってしまいましたが、推し活という文化は残りました。今後、それがどう進化していくのかも楽しみです。個人的には、推し活がもっともっとパーソナルなものになればいいなと思います。より自分自身のために推せるようになれたらいい。たとえば、学生なら推し教科を作るとか、社会人なら推し営業先を作るとか…。僕は自分のカラダの中に推しを見つけたいです。臓器なら肝臓を推したい。先日、人間ドックを受けてまだその結果は受け取っていないのですが、肝臓の数値が悪いんじゃないかとちょっと心配なんです。だから、肝臓がんばれ!オルニチン働け!と自分の肝臓のことを推してあげたい。成績が悪いようなら、サプリとかで課金してあげたいと思います。おかざきたいいく「Knock Out」のシングルパッケージ(CD+DVD期間生産盤)が発売中。7月には対バン形式の自主企画イベントokazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」を東京・京都で開催。※『anan』2023年6月7日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年05月31日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「セルフリミックス」です。リミックスとは、既存の曲の音源データを使い、それを自由に組み替えて新しくアレンジすることです。元の楽曲の違う一面を引き出したり、構成をガラッと変えてまったく別の曲のように作り上げることができます。僕はデビュー前からミュージシャン仲間などの依頼を受け、リミックスをいろいろ手がけてきました。同期ミュージシャンのヤバTは、シングルを出すたびにオーダーをくれ、毎回、僕のリミックスをシングルにつけてくれています。ほかにも秦基博さんの名曲「鱗」をリミックスさせていただくなど、さまざまなアーティストの楽曲に関わらせていただきました。そして今号のタイトルにある“セルフリミックス”です。セルフとあるように自分の楽曲を自分でリミックスすることを指します。意外と思われるかもしれませんが、僕はこれまでセルフリミックスに手を出したことがありませんでした。今回、新曲の「Knock Out」をパッケージリリースするにあたって、カップリングをどうしようかという話になり、前々号の連載で紹介したA&Rの光永ボーイが「リミックスをやってみてはどうか」と提案してくれました。シングルパッケージには表題曲の「Knock Out」と「なにをやってもあかんわ」の岡崎体育リミックスを収録しています。なぜ、これまでセルフリミックスをしてこなかったのかといえば、ほかの方が作った曲と比べて、自分の楽曲はリミックスがやりにくいんです。自分の楽曲は、自分自身でこれがベストと思ってひとつひとつを仕上げています。ここのアレンジはこんなふうにこだわって作ったものだとか、ひとつひとつのパートに意図がある。それをわざわざ組み直すことは、し難いのです。なので、これまで自分の曲をリミックスすることを避けてきました。カリフォルニアロールってすごくおいしいです。でも、日本の寿司職人がカリフォルニアロールを発想することはなかなか難しいと思います。“寿司はこうだ”という固定観念がありますから。セルフリミックスは寿司職人がカリフォルニアロールを作るようなもの。自分が持っている既存のイメージをどのように打ち破れるかがとても大変です。…と言いつつ、今回のセルフリミックス、めちゃくちゃ固定観念を打ち破ったいいリミックスに仕上がっております。ぜひ、CDで僕の新しいカリフォルニアロールを堪能してみてください!おかざきたいいく「Knock Out」のシングルパッケージ(CD+DVD期間生産盤)を5/24に発売。7月には対バン形式の自主企画イベントokazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」を東京・京都で開催。※『anan』2023年5月31日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年05月27日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「光永ボーイ」です。光永ボーイとは、最初マネージャーの松下とA&Rの井上の2人しかいなかった岡崎体育チームに少し前に加わったスタッフ、光永太郎のことです。マンガ『遊戯王』の登場人物にペガサス・J・クロフォードというキャラクターがいるのですが、彼は主人公のことを“遊戯ボーイ”と呼ぶ。それを真似てノリで光永ボーイと呼んでいたのが定着しました。光永は僕の2歳年下。同年代で聴いてきた音楽も近く、趣味がすごく似通っていたこともあり、ぜひ彼にもチームに参加してほしいと招き入れました。熱心な岡崎体育ファンには、「宇宙と長野」という曲のエピソードで光永のことは知られていると思います。僕が昨年作った「宇宙と長野」という曲。実は、この曲は昨年シングルとしてリリースする予定でした。でも、それを止めたのが何を隠そう光永です。曲を聴いた光永から「体育さん、この曲、今じゃないかもしれないです」と言われてしまい、すっかりリリースする気になっていた僕は「今じゃないんや……」と結構なショックを受けました。でも、そうやってはっきりと「自分はこう思う」というのを言ってくれるところが、彼を迎えたいと思ったいちばん大きな理由です。今、新しくリリースするアルバムの準備をしていますが、そのタイトルも僕が候補をいくつか出してスタッフ全員で相談をしていて、「これでええか」とほぼ決まりかけていたところに、「いや、僕はこっちがいいと思います」とはっきり言ってくれた。結果、タイトルは光永が推していたものに決定しました。僕はソロアーティストなので、自身の判断が合っているのかどうか、とまどうことがあります。そういうときに「これがいいと思う」と、はっきり言ってくれるスタッフが何人もいるのは本当に心強いです。実はタイトルも光永のファーストネームである太郎から『TARO』とつけよかな、と半分本気で思っていたこともあったのですが、これも却下だと光永に言われました。最新シングル『Knock Out』のA&Rも光永がメインで手がけ、ジャケ写やPVのアイデアなども出してくれた。次のアルバムも光永を中心に制作や宣伝の準備などが着実に進んでいます。岡崎体育のカラーを彼がどのように広げてくれるか楽しみです。彼は会社員なので他のアーティストも兼務していますが、僕のことを主に考えてほしいなと思ってます。おかざきたいいくTVアニメ『マッシュル‐MASHLE‐』オープニングテーマの新曲「Knock Out」が好評配信中。シングルパッケージが5/24発売に。7月には対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」を東京・京都で開催。※『anan』2023年5月17日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年05月15日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ダンスミュージックの傾向と対策」です。ダンスミュージック、特にEDMの流行はチェックするようにしています。EDMとは、エレクトロ・ダンス・ミュージックの略で、広い意味で解釈するとシンセサイザーやサンプラーなど電子機器を使って作られたダンスミュージック全般のことを指します。ただ、日本ではEDMという言葉がレイブやダンスフェスカルチャーとともに広まっていて、ノリやすく踊りやすいダンスポップミュージックを総じてEDMというカテゴリーとして扱うようになっていると理解しています。登場してから10年以上が経過していて、EDMのスタイルも変化してきています。以前は四つ打ちのビートが強くゴリッとしているものが主流でしたが、2020年代になるとストイックで音数が少ないものが増えてきました。顕著な例として、ダブステップEDMのオーソリティ、スクリレックスというDJの方がいますが、彼の最新アルバム『Don’t Get Too Close』を聴くと、とてもシンプルでクール。音数が少なくて、スタイリッシュ。そこにオートチューンのラップが入っているような感じ。そういうものが今の欧米のダンスミュージックの主流になっているんだと驚かされます。BPMも10年前とテンポが変わっています。以前は160~170くらいで縦飛びしやすい速さのEDMが覇権を握っていた。でも、今のEDMはBPM125~135くらい。上に上にとジャンプする時代は終わり、どちらかというとゆるく体や頭でリズムを刻む感じに変わっていっているのでは、と思います。最新の流行の変化をいち早く察知し、自分の音楽制作にも取り入れられたらと思っています。例えば、今、ドラムンベースも再注目されています。ドラムンベースは1990年代にイギリスで誕生した、速いテンポの変則的なドラムビートにベースが強調されたブレイクビーツサウンドのこと。以前は疾走感があって攻撃的なサウンドという印象でしたが、今はムーディだったりチルっぽいドラムンベース曲も生まれている。アレンジの自由度や解釈の幅が広がっているんです。チキンラーメンは普通に食べてもおいしいけれどアレンジで汁なしにしてもいいし、甘いスイーツっぽくしてもいい。既存のメニューに対してどんな新しい味、食べたことがない味を表現できるか。今の音楽家にはそれが求められています。時代を牽引できるのはそういうことができるアーティスト。僕もそうありたいです。おかざきたいいくTVアニメ『マッシュル‐MASHLE‐』オープニングテーマの新曲「Knock Out」が好評配信中。シングルパッケージが5/24発売に。7月には対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」を東京・京都で開催。※『anan』2023年5月3日‐10日合併号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年05月02日学校行事が近付くと、家でいろいろと持ち物の準備をする必要があります。体育祭の場合、弁当や体操服のほか、出し物があれば必要な小物まで用意しなければなりません。ぴんこ(pinkocolor)さんは、次男のエピソードをInstagramで紹介しました。高校生の次男は、体育祭に向けて、あるものを買おうとしていたのですが…。体育祭で、応援団として演舞を披露する次男。団長として、メンバー全員に「軍手を用意するように」と連絡をしていました。しかし、応援団の人たちがよく着用している手袋は、作業用の丈夫な軍手ではありません…。手の動きが遠目でも見える白手袋なのです!次男の勘違いで、危うく応援団の演舞が、建設現場などで行われる『作業前のラジオ体操』のような光景になるところでした。知っているつもりの衣装も、事前確認は欠かせませんね![文・構成/grape編集部]
2023年04月26日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「周年イベント」です。来月、アルバム『BASIN TECHNO』でメジャーデビューして、7周年を迎えます。3年後の10周年の時に何をしよう?とそろそろ考え始める時期なのですが、実は2022年が“岡崎体育”として活動開始10周年だったんです。それは触れることもなく終わったな、とまず思ってしまいます。まあ、僕はソロアーティストなのでバンド結成みたいな決定的瞬間がなく、ひとり勝手に始めたことなので誰かと分かち合うとかもないのですが……。以前、誕生日パーティが苦手という話をしましたが、節目の周年イベントもそれに似た感覚があります。自ら声をかけて、みなさんに集まっていただいて、「お祝いして!」とお願いすることに抵抗があります。なんなら、お客さんが主催してくださったらいいのにとさえ思います。会場を押さえて、みんなでイベンターとかスタッフの役もしてくれて。カメラも照明もPAもお客さん……。それであれば、みんなに呼んでいただいて、お祝いしてもらうことに納得ができます。でもそんなライブはありえないでしょう。僕がちゃんと声をかけて周年イベントを企画しないといけない。だから、“祝ってもらう”という視点を変えることが大事かなと思いました。そもそも、祝ってもらおうというのって図々しくないですか?周年イベントとは、これまでの10年なら10年、僕を支えてきてくれた人たちに「ありがとう」を言う場所ではないか。自分が音楽をやってごはんを食べていけるのは、僕だけの力では成しえなかったことです。支えてくれるスタッフさんがいてくれたからこそだし、そして僕の音楽を聴いてくれて、ライブに来てくれるファンのみなさんがいてくれたからこそ。10年もの長い間、僕についてきてくれてありがとう、という場所を作ればいいのではないかと思いました。そこで、まずは「ありがとう」という楽曲を用意することから始めます。岡崎体育には意外にも感謝ソングがありません。なので、10周年を迎える2026年までに必ずや、ありがとうの歌を作りたいと思います。これはいい宿題ができました。岡崎体育の活動としては、10年よりもっと先を見ていきたいと思っています。10周年は一つのセーブポイント。そこを越えて20年、30年とどこまで行けるのか。みなさんに見守ってもらえるためにも「ありがとうの歌」をちゃんとお届けしたいと思います!おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu “TECHNIQUE”」Vol.3、4を7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年4月26日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年04月25日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ジャンプアニメの主題歌」です。この度、4月7日より放送が始まったTVアニメ『マッシュル‐MASHLE‐』の主題歌を担当させていただいております。『マッシュル‐MASHLE‐』は週刊少年ジャンプで好評連載中の、甲本一先生によるアブノーマル魔法ファンタジー作品です。今回その作品がアニメ化されたんです。…いや~長かったです。それこそLiSAさんの「紅蓮華」をはじめ、同じレコード会社のアーティストたちがジャンプアニメの主題歌を次々と手がけているのに、僕にオファーがまわってくることが、ずーっとなかったんですから。小学生からジャンプを読み始めて、33歳になってやっとです。主題歌のタイトルは「Knock Out」といいます。主人公は、魔法の世界を舞台にしていながら魔法が一つも使えないヤツ。でも筋肉がめっちゃあって拳ひとつで成り上がっていきます。そんな主人公にかけてタイトルを考えました。ジャンプといえば“友情・努力・勝利”がメインスローガン。で、またそのテーマとロックバンドのサウンドってなぜかめちゃくちゃ相性がいいんです。過去のジャンプアニメの名曲たちを思い出してみてください。頭に流れてきたサウンドは、だいたいロックサウンドなんじゃないかなと思います。それを意識して、僕もバンドサウンドにしました。作品のテンションもアクションあり、ギャグあり、バトルありのジャンプらしいスピード感あるものなので、それに合うオフェンシブなロックナンバーがいいなと、ラウドロックシーンを牽引するハードコアバンドPaleduskのDAIDAIさんにアレンジをお願いしました。あえてはずしてジャズやEDM調のアレンジを狙っても…と一瞬思いましたが、「いや、そうじゃないやろ、今回はジャンプだぞ、王道のセオリーに則ってやるべきだ」と、このエネルギッシュな楽曲を生み出すことができました。本作を手がける前にも、僕はポケモンのテーマソングなどを手がけさせていただいたことがあります。その時も感じていましたが、アニメの主題歌って子どもたちが聴いてくれる…というだけでなく、さらには海外にたくさんいる日本のアニメファンたちにも聴いてもらえるんです。これは、本当にうれしいことです。「Knock Out」も日本だけでなく、いろんな国の方々に愛してもらえる曲になればいいなと思っています。みなさん、ぜひTVアニメ『マッシュル‐MASHLE‐』を見てくださいね。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.3、4を7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年4月19日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年04月15日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「脚本家」です。3月まで放送されていた、バカリズムさん脚本の日テレ系列のドラマ『ブラッシュアップライフ』が面白くて、どっぷりハマっていました。きっかけは、マネージャーの松下に「第5話にドラマの衣装合わせで自己紹介するシーンがあり、それが業界あるあるでめっちゃ面白いから見てほしい」と言われたんです。衣装合わせでスタッフ陣が俳優を取り囲んで一人ずつ「照明のです」などと順番に自己紹介していくんですが、それをちょっと面白く皮肉っています。これ、本当にドラマの現場で行われていて、「そんないっぺんに言われて…覚えられる人いる?」と個人的にやや疑問に思っていた慣習だったので、めちゃくちゃ共感してしまいました。わざわざ集まって名乗っていただくより、例えば初回の撮影時だけ全員名札をつけてくれた方がよっぽど覚えられるのにな…とかこっそり思っていたので、このシーンめちゃくちゃわかるわーと思いましたし、そういう場面に目をつけてドラマで描こうと思う視点がバカリズムさんらしくて感動しました。ドラマは1話まで遡って最終話まで拝見しました。安藤サクラさん演じる主人公の近藤麻美は僕と同じ1989年生まれ。なので、当時流行っていたものとか、ドラマで使用される流行ソングなどをリアルに感じられたのも見ていて面白かったです。でも、やっぱりすごいと思ったのは、バカリズムさん独特の着眼点。さきほどの自己紹介のシーンのように普通だったら見過ごしがちな、日常や社会のひとコマの中に潜む可笑しみや情感を捉えて、心がハッとするシーンを描くのが天才的だと思います。もう一つ印象的だったのは、幼稚園児たちがカゴに入れられて散歩に行くシーン。僕もあのカゴに入った園児たちの無力な可愛さに思うところがあったので、あぁこれをこんなシーンとして描くことができるなんて、ドラマって面白いなと感じました。僕も日々の感想をツイッターでつぶやいたりしていますが、そういうものをノートにまとめておいて、一つの脚本に落とし込んで描けたらいいなと思いました。ただ、僕はやはり自分の視点以外で描けないので脚本は難しいかもしれません。バカリズムさんは女性目線もしっかり描き切る。あのアングルの広さこそが人気の秘訣なのではないかと思います。僕も40代くらいになったら視野が広がって、もっと女友達同士の会話とか理解できるようになるのでしょうか。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.3、4を7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年4月12日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年04月08日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「審査員」です。2月に『NHKのど自慢チャンピオン大会2023』に、IKKOさん、中川翔子さん、井上芳雄さんに続く審査員のひとりとして参加させていただきました。僕にとって人生初の審査員です。これまでほとんど賞レースに参加したことのない人間なので、審査された経験もそんなにない中で、まさかの審査をする側です。しかも“チャンピオン大会”。各地のチャンピオンが集まる決勝です。この大会をきっかけに、プロの歌手になりたいと思って出ている方もたくさんいらっしゃる。その人たちの人生を左右するかもしれないという自覚のもと、真摯に審査をさせていただきました。とはいえ、僕なんかが歌唱のテクニックやクオリティをジャッジしていいのか?というのはあったので、僕は僕らしい視点で採点をしたいなと思いました。僕は審査員の中で唯一のシンガーソングライター。歌を作る側の立場で、「作り手だったらこの曲をどう歌ってほしいと思うだろう」と想像しながら審査をしました。繰り返しますが、チャンピオン大会なので歌はみなさん上手なんです。だからこそ、ビブラートや、しゃくりの入れ方がうまいとか、ピッチが正確などテクニック的なことよりも、その先にある“曲への理解”を見たいと思いました。曲を作った人の「ここで盛り上げたい、ここを聴かせたい」という気持ちをどれだけ酌んで歌ってくれているか、というところですね。加えて、そこに付随してくるステージング。ステージに立つパフォーマーとして、その人自身がどれだけステージを楽しめているか、お客さんに歌を届けられているかどうかも、一つの基準とさせていただきました。審査では、番組側からは「こうしてほしい」というお願いをされることもありませんでした。なので、本当に僕の自由意思で点数を付けることができました。審査員としてのコメントをふられた際もそれぞれ良かったと思った部分を伝えたつもりなので、出演された方の心に何か残るものがあればいいなと思います。審査全体でこうすればよかったなと思うことは、トップバッターの方。トップバッターってどうしてもその後の基準になるからプレッシャーですよね。でも、Vaundyくんの「怪獣の花唄」を歌われてトップバッターらしい勢いがあってとても良かった。残念ながら入賞されなかったのですが、僕に権限があったら“トップバッター・オブ・ザ・イヤー”をあげたかったです。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.3、4を7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年4月5日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年04月02日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「仕事としてのゲーム」です。趣味でよくミュージシャン仲間とオンラインゲームをしていますが、最近はゲームのお仕事をいただく機会も増えました。ゲーム大会の解説として参加させていただいたり、ゲームをプレイする様子をお届けするテレビ番組に出演したり。仕事でゲームをやる場合は何か変わるのかというと、特に変わるところはありません。ゲームはどんな状況で、どんな方々とやってもただ楽しい。ゲームをすることで報酬が発生するとしても、普段通りに僕はやりたいと思っているので、何か特別に意識することはありません。テレビ東京系列の『有吉ぃぃeeeee!』では、サッカーゲームの『FIFA』で有吉JAPANの一員として参加させていただいています。この番組は、いいプレイをするとみなさんがめちゃくちゃ褒めてくれるのでとても気持ちがいいです。「名波浩に匹敵する名司令塔だ」とか言われて、とにかく気分がいい。そういうみんなでワイワイ言いながらプレイする感じも、よく考えたら小学生の頃から友達とやっていることとずっと同じだなと思い至りました。その延長線上に、大人になったらこんな素敵な仕事があるなんて思いもしませんでしたが、幸せなことだなと感じています。そう考えると、子どもの頃からゲームをやり続けたことが今の僕の生き方を形作っている。そもそも、僕が音楽制作を始めたのもニンテンドーDSの音楽ゲーム『大合奏!バンドブラザーズ』があったからです。ここまでゲームに育ててもらったんだから、創作活動でゲームに恩返しができたらともよく思います。いつかゲーム音楽を手がけてみたいですね。以前から架空のゲームサントラを作りたいという構想は持っていたんです。ゲーム、特にRPGゲームのサントラは、膨大な楽曲が必要です。陽気な曲、バトルシーン、悲しい場面などさまざまな楽曲を用意しないといけません。またRPGの音楽は“ここはどこなのか”を判別するための大事な要素で、同じシーンでは同じ曲がかかり続けます。街の音楽、洞窟のちょっと不気味な雰囲気など特定の場所感のある要素を入れつつ、でもずっと同じ曲がかかっていてもしんどくならない、ループ感覚のセンスも必要です。いや、考えるほどに難しいなと思います。ドラクエの名曲たちを生み出した、すぎやまこういち先生ほどは作れないとしても、いつか自分の能力を試してみたいと思っています。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.3、4を7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年3月29日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年03月25日岡崎体育が新曲「Knock Out」を2023年4月8日(土)0:00にリリース。同日より放送が開始されるテレビアニメ『マッシュル-MASHLE-』のOP曲となる。岡崎体育の新曲「Knock Out」岡崎体育は、京都府宇治市出身の男性ソロプロジェクト。2016年に発売したアルバム『BASIN TECHNO』でメジャーデビューし、同アルバム収録の楽曲「MUSIC VIDEO」の世界観が話題となり人気に。2022年にはヤバイTシャツ屋さんと初コラボの楽曲「Beats Per Minute 220」のリリースでも話題を集めた。そんな岡崎体育の新曲「Knock Out(ノックアウト)」は、ラウドロックシーンを牽引するハードコアバンド、PaleduskのDAIDAIがアレンジを担当。ヘヴィなメタルコア・サウンドを基調としたエネルギッシュで疾走感のあるトラックと、岡崎体育らしさ満載のウィットに富んだリリックが特徴だ。TVアニメ『マッシュル-MASHLE-』のOP曲になお、楽曲「Knock Out」は2023年4月より放送開始のアニメ『マッシュル-MASHLE-』のOP曲に。アニメ予告PVでは楽曲の一部を聴くことが出来る。岡崎体育コメントこの度、マッシュルの主題歌を担当させて頂くことになりました岡崎体育です!イェェェェイ!!ヴゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!レッツゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!初めてジャンプアニメの主題歌を担当するので、ドキドキワクワクで歌いました!日本全国、いや全世界をどつきまわすようなインパクトでブッ飛ばしていきたいですね!アニメも主題歌も全部全部お楽しみに!!!詳細岡崎体育 新曲「Knock Out」配信日:2023年4月8日(土)0:00~※テレビアニメ『マッシュル-MASHLE-』のOP曲。■テレビアニメ『マッシュル-MASHLE-』放送開始日:2023年4月8日(土)0:00~各局にて©甲本 一/集英社・マッシュル製作委員会
2023年03月25日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「大河の撮影が始まってます」です。前回、大河ドラマ『どうする家康』に出演させていただくことになった経緯を紹介させていただきましたが、実際の撮影が着々と進んでいます。今回は僕にとって初の時代劇。いろんなことが初体験です。最初に大変だったのは、かつら合わせ。僕はちょっと頭の形が特殊らしく、なかなか合うかつらがありませんでした。いくつも試しました。NHKには、過去の大河ドラマで使用したいろんな方のかつらの型が残されています。それを次々と出しては僕の頭にかぶせてくれます。通常は5分もかからず終わる作業だそうですが、僕に合うかつらの型がまったく見つからず30分以上もかかりました。最後、ある俳優さんが使っていた型がいちばん合うということで、それを調整して使わせていただくことになりました。僕と同じ、頭の形がちょっと変わっている俳優さんがいらっしゃってよかったです。大河は史実を元にしているので、当然ですがモデルとなる人物がいます。それも今回、僕にとっては初挑戦です。その人のイメージを崩さないようにしないといけません。足軽である鳥居強右衛門(とりい すねえもん)らしく見せるためには、僕の肌は白すぎるなと思い、自主的に日焼けサロンにも行ってみました。走るシーンでは裸になることもあるようなので、体も赤黒く焼けていないとおかしい。でも、日焼けサロンが初体験すぎて。知識ゼロの状態で行ってしまったので見事に焼きムラができてしまい、結局、白い部分は日焼けメイクをしていただくことになりました。また、大河の撮影では事前にリハーサルをするのも新鮮でした。通常ドラマの撮影は、当日にドライ(演者のリハーサル)をして、カメリハ、本番という流れでやることが多いですが、大河は数日前から準備をして撮影日に挑みます。確かなクオリティを保つために、ここまでするのかと驚くことばかりです。撮影スタジオもすごいです。NHKには、たくさんのLEDパネルを組み合わせて作った最新の撮影装置があります。LEDの巨大なディスプレイに映像を映し出し、それを背景にして演技をします。数年前まではグリーンバックで演じて、あとからCG合成をしていたそうですが、今はリアルな戦国時代の風景があるところで演技できる。これは、気持ちを入れやすくてありがたいです。こういった最新の技術を体感しながら仕事ができるのも、とても幸せなことだなと感じています。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.3、4を7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年3月22日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年03月18日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「大河のオファーが来た!」です。NHK 大河ドラマ『どうする家康』に私、岡崎体育が出演させていただくことが公式に発表されました。これまでにも、NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)やTBSの日曜劇場といった、歴史と話題性のある作品に出演させていただきましたが、まさか“大河”のオファーまでいただけるなんて驚きです。最初にこのお話を伺ったときには、信じられませんでした。だって「こんな太っているやつ、今回の作品の時代におるの?戦国の乱世にこんなに栄養摂れてる奴が居てええんかな?」と…。最初は心配になりましたが、ありがたく受けさせていただくことにしました。僕が演じるのは、三河北部・奥平家の地侍、鳥居強右衛門(とりい・すねえもん)。「長篠の戦い(1575年)」で大活躍した足軽で、今でも彼の地元の愛知県新城市では英雄として崇められている存在です。ドラマでは「名もなきヒーロー、戦国版“走れメロス”」と謳われています。ふだんは“ろくでなし強右衛門”と呼ばれるほど、やる気も勇気もない男なのですが、武田軍に攻め込まれ絶体絶命というピンチのときに、長篠城を救うために岡崎城の家康のもとまで走っていき、国のために必死で助けを請う役目を果たします。オファーを受けたときにいちばん迷ったのは、史実通りに描かれるとしたら、最後にほぼ全裸の磔(はりつけ)のシーンがあるということ。強右衛門が磔にされた絵「鳥居強右衛門磔図」というのがあり、それを再現するとしたら、国民の前であらわになった姿を見せないといけません。『anan』でもセミヌードしか披露していないというのに…。岡崎体育のわがままボディを国民のみなさんにお見せしてよいものか?と悩みましたが、それ以上にこんなにドラマティックな役柄を演じられるチャンスは他にないと思い、決断いたしました!案の定、監督からは「痩せてください」とダイエットのお願いをされました。リハーサルで初対面した松本潤さんにも「痩せないとね!」と愛のある叱咤激励をいただきました。かくして『DCU』のとき以来のダイエットを始めることにしましたが、大誤算だったのは年末年始を挟んだことです。縁起物は食べないといけません。だって、縁起物ですから。一体、僕がどんな鳥居強右衛門になったのか。果たして武士らしい姿で大河の大舞台に立てるのか。期待して待っていていただけたらと思います。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.3、4を7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年3月15日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年03月11日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「加山雄三さんに学ぶこと」です。昨年、歌手の加山雄三さんが、2022年でコンサート活動を引退することを発表され、ニュースで話題になりました。85歳の決断だそうで、アーティスト活動は今後もされていくとのことでした。そのニュースを見て、なんか、とても勇気をいただいたんです。ここのところ、俳優の仕事をいただいたり、バラエティに呼んでいただいたり、本職である音楽以外で評価していただくことが多かった。でも、自分の本筋は音楽だ。その道を大事にしないといけないぞ、という太い道筋を加山さんに示していただいたように、勝手に思いました。80歳を過ぎてもギターを持って歌うって、すごいことだと思うんです。シンプルに憧れます。だから、僕も加山雄三さんみたいになりたい!とマジで思いました。80を過ぎてもパソコンひとつを携えてステージに立ち続けたいと思います。そのためにはまず、もっと魅力的なステージをしないといけないなと思います。この人のステージを観たい。そう思ってもらえるアーティストでい続けなければいけない。僕たちの仕事には定年がありません。だからやろうと思えばいつまでもできます。でも、いつまででもできることと、みんなに観たいと思ってもらえるアーティストでいることはまた別の話です。ニュースを見て、加山さんは今、どんなステージパフォーマンスをされるんだろう、どんな感じで歌を歌われるのだろうと興味が湧きました。僕はやるんだったら、興行としてお見せできるものをとことんまでやりたいと思っています。もちろん赤字を出したくはないし、黒字のライブを80過ぎまでやりたい。でもライブは、たくさんの人に動いてもらわないとできません。そのためには、何歳になってもいろんな世代のみなさんに愛されるアーティストを目指さないと。これはなかなか大変なことです。もちろん、体力も必要です。ファンのみなさんの応援も。たまにツイッターなどで「死ぬまで音楽やります!」と書くこともあります。それに対して「体育くんが80歳のとき、わたしは102歳か。ライブには足を運べないかもしれないけど応援しているよ」と返事をくれた方がいました。今は、そんな言葉が大きな支えですね。今の人たちには死ぬまで聴いていてほしいなと思うし、この瞬間に生まれた赤ちゃん、これから生まれてくる子たちにもいい音楽と思ってもらいたいです。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.3、4を7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年3月8日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年03月04日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「最新ホラー音楽事情」です。「最近、ホラー多ない?」と思います。Netflixなどの海外ドラマもホラー要素のあるものがウケているなと思っていましたが、気づけば韓国のドラマも、日本のドラマもホラーやバイオレンス要素のあるものが話題です。僕は、ホラーもバイオレンスものも実は苦手。でも、職業上、話題になっているエンターテインメント作品はできるだけ観たいなと思っているので、かなり気合を入れて、腹に力を入れつつ観るようにしています。でも、あまりに刺激が強すぎると途中で離脱したりもします……。ホラー作品において、音楽や音響は恐怖を増幅する役割があります。怖い怖いと怯えているときに「カチャン…」と何か小さな音がするだけでも、人は異常にびくっと怯えてしまうものです。どんな聴覚情報を効果的に使うかはホラー作品にとってとても重要です。僕は、大学時代の卒業研究で映像と音楽の密接さについて論文を書いていて、もともと映像と音楽の関係性に興味があります。音楽には長調(メジャー)と短調(マイナー)があり、通常、恐怖や不安、悲しみを演出するのは短調の音楽といわれています。ただ、最近のホラー作品を観ていると、この通説と変わってきているなと感じます。どういうことかというと、恐怖をもっとも煽りたい、観客に悲壮感を突きつけたいというときにこそ、明るい長調の曲を使うという演出が増えてきているように思うんです。童謡は明るい長調の曲が多いです。そんな童謡の歌を伴奏なしで少女がハミングで歌うと、なんかめちゃくちゃ怖い。そういう感じです。よい例が、韓国ドラマ『イカゲーム』。「だるまさんがころんだ」で動いてしまうと射殺されてしまう。その緊張感の中で小さな女の子の声で「だるまさんがころんだ~」と響く。恐怖の音楽とは真逆の少女のかわいらしい声です。そのかわいらしい声が死と表裏になっていると気づくと得体の知れない恐怖感が増します。不協和音は、調和しない不安定な音が人の不安感を誘うといいます。明るい音楽と恐怖の映像というのは、まさにその効果を視覚と聴覚でやっているのではないかと思います。映像と音楽が合わない。その違和感が人をどうしようもなく不安にさせるのではないでしょうか。これはホラー作品特有の音楽演出の考え方で面白いなと思います。ラブロマンスの作品では、どう考えてもやらないほうがいいと思います。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベント「okazakitaiiku purezentsu“TECHNIQUE”」Vol.3、4を7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年3月1日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年02月25日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「B.LEAGUE公式テーマソング」です。日本の男子プロバスケットボールリーグ、B.LEAGUEの公式テーマソング「Insane(B.LEAGUE version)」を配信リリースさせていただきました。僕が毎週火曜日にレギュラー出演している『おはスタ』(テレビ東京系)で共演している、声優の木村昴さんとお笑い芸人のアイクぬわらさんをフィーチャリングボーカルとしてお迎えして、3人でパフォーマンスをしています。二人のラップがめちゃくちゃかっこいいです。スバにぃ(木村さん)とは以前、『おはスタ』のテーマソング「モーニンググローリー」で共演しているので、そのラップスキルの高さは承知していたのですが、今回もう一人のメンバーである、ぬわちゃんもめちゃくちゃいい味を出してくれました。バスケの本場はアメリカですから。やっぱりニューヨーク生まれ、シアトル育ちのぬわちゃんのネイティブ感が乗ると楽曲がグッと引き締まる感じがします。このテーマ曲の制作は「ぬわちゃんも参加してくれるならやります」と制作会議で言ったほど、僕は彼に参加してほしかった。僕たっての希望でできたスペシャルなユニットなんです。できあがってみて、その考えはやはり間違いなかったなと思っています。また、いつも1人なので3人で作るというのもとても勉強になりました。スバにぃのラップの書き方や言葉の持っていき方はさすがやなと思うところがたくさんあったし、ぬわちゃんに英語部分の作詞を助けてもらってありがたかったです。B.LEAGUEのオールスター戦では3人でステージにも立ちました。おそろいのユニフォーム衣装を着てパフォーマンスをするのはグループのクルー感がありとても楽しかった。ビースティ(・ボーイズ)みたいでめっちゃかっこいい…とこっそり思っていたので、またいつかこの奇跡のユニットで一緒にやりたいです。オールスター戦に呼んでいただいたので、B.LEAGUEの試合も楽しむことができました。バスケは学生時代の体育の授業でやったくらいでプロの試合を観るのは初めてのこと。いや、めちゃくちゃ面白かったです。こんなに客席が近いんだということにまず驚き、ここまで臨場感のあるスポーツは他にないんちゃうかなと思いました。今、巷では映画『THE FIRST SLAM DUNK』も話題になっていますし、僕の楽曲もバスケットボールブームの一助になれたら、こんなにうれしいことはないですね。おかざきたいいく対バン形式の自主企画イベントokazakitaiiku purezentsu “TECHNIQUE”」Vol.3、4を7/5・6に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で、Vol.5、6を7/22・23に京都・宇治市文化センター 大ホールで開催。※『anan』2023年2月22日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年02月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「リバイバルブーム」です。過去のヒット曲がまた脚光を集める“リバイバルブーム”が話題です。倖田來未さんが歌った「め組のひと」や広瀬香美さんの楽曲が、TikTokなどでティーンたちを中心にブームになっています。過去の曲を今の若い人の感性で選んでいるのが特徴ですが、ダンスがしやすいノリのいい曲や、メロディや歌詞がキャッチーな曲をうまいこと見つけてくるものだな、と感心しています。面白いと思う一方で、ティーンたちの消費スピードの速さにも恐れおののいています。すごいスピードで音楽を吸収して自分たちのカルチャーに取り込んでいっている。これもまた、音楽のストリーミングサービスが当たり前で、いつでもいろんなジャンル、時代の楽曲にアクセスできる今の世代ならではの音楽の楽しみ方なのではないでしょうか。それに、若い子たちが新鮮だと思って流行らせた曲が社会現象となり多く聴かれるようになると、上の世代も懐かしいとまた聴くようになる。若い子たちが起こしたムーブメントはいろいろな世代に伝播していきますから、いい曲が再び広く聴かれるようになるのは、とてもいいことなのではと思っています。もちろん僕の曲もそうなれたらいいなと思うことがあります。何十年後かに、あのとき流行った曲としてリバイバルされたら最高です。正直に言えば、いま子供向け番組に出て子供たちに発信をしているのは、その伏線を張っているようなところもあります。子供たちに岡崎体育という存在を認識しておいてもらいたいんです。だって、その子たちがいずれクリエイターになったり、レコード会社に入ったり、広告代理店、テレビ局、大企業に勤めるようになるかもしれない。そのときに「岡崎体育っておもろい人おったな」と思い出してもらい、楽曲を使ってもらったり、キャスティングしてもらえたらこんなにいいことはない。常日頃からそんな先々を考えて、虎視眈々と子供たちに元気と笑顔をお届けしています。とは言いつつも、リバイバルヒットは本当に難しいことだと思います。まず、そもそもみんなに知ってもらっている楽曲でないといけない。その上で、時が経ってから「やっぱりこれ、いい曲だったな」と2段階認証してもらう必要があるのですから。こんなの最初から狙ってできることじゃない。だからこそ、リバイバルヒットはすごいことなんです。おかざきたいいく岡崎体育、木村昴、アイクぬわらのスペシャルユニット「岡崎体育 featuring 木村昴&アイクぬわら」による〈B.LEAGUE 2022‐23 SEASON公式テーマソング〉「Insane(B.LEAGUE version)」が配信中。※『anan』2023年2月15日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年02月11日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ポケモン主題歌」です。2月1日、『ポケットモンスター』の歴代主題歌をまとめたベストアルバム『ポケモンTVアニメ主題歌 BEST OF BEST OF BEST 1997‐2023』が発売されました。『ポケットモンスター サン&ムーン』シリーズで僕が手がけた、「キミの冒険」「ポーズ」「ジャリボーイ・ジャリガール」「心のノート」の4曲も収録されています。僕は7歳のときからポケモンを見て育っている現役のポケモン世代です。僕が住んでいた宇治では、小学生当時ポケモンを放送していたテレビ東京は映らなかったんです。なので、離れて暮らしていた父に録画を頼み、VHSのビデオテープをわざわざ郵送してもらいそのテープを繰り返し繰り返し見ていました。ポケモンは現在、新シリーズ『ポケットモンスター めざせポケモンマスター』を放送中。これは、ピカチュウとサトシの“最終章”が描かれる物語。25年にわたり主人公を務めたサトシ編が終わりを迎えるんです。サトシとお別れしないといけないことをまだ寂しく感じていますが、その集大成的なアルバムに名を連ねることができたのは、長年ポケモンを愛してきたひとりとして、本当に幸せだなと感じています。しかも、収録曲のラインナップをよく見てみると、僕はサトシの次くらいに歌っている回数が多いんです。いや、サトシこと松本梨香さんが歌っている曲がもちろんダントツで多いのですが、その次点となるのが岡崎体育か中川翔子さんか……なのではないでしょうか?これは、めちゃくちゃうれしいことですね。収録曲の中で、思い出深い好きなポケモンソングといえば「タイプ:ワイルド」です。ポケモンの代表曲である「めざせポケモンマスター」の作詞・戸田昭吾さんと作曲・たなかひろかずさんコンビによる名曲で、個人的にはこれを超える曲はないのでは?と思うほど完成された曲。まずイントロのギターフレーズがいいんです。それに歌詞も最高です。“このスニーカーも いまでは 世界中 さがしてもみつからない 最高の ボロボロぐつさ!”という歌詞が子供心にむちゃくちゃ刺さったことを覚えています。自分がポケモンの曲を作れるとなったときも、まず最初にこの曲のことを考えました。僕なりの「タイプ:ワイルド」が作りたいと、それを目指そうと思って制作したことを覚えています。おかざきたいいく岡崎体育、木村昴、アイクぬわらのスペシャルユニット「岡崎体育 featuring 木村昴&アイクぬわら」による〈B.LEAGUE 2022‐23 SEASON公式テーマソング〉「Insane(B.LEAGUE version)」が配信中。※『anan』2023年2月8日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年02月05日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「反抗期」です。ロック少年のイメージといえば、反骨精神や若さゆえの衝動みたいなものがあるのではないかと思います。“大人はわかってくれない”的なことや“学校の窓ガラスを割る”的なことって、10代の心情を歌う曲ではひとつの常套句となっているのではと思うのですが……「僕の中にはないなぁ」っていつも思います。だって、学校の勉強も、先生も、大人のことも普通に好きだったので。10代のころ、世の中の仕組みに納得いかないことなんかひとつもなかったんです。全部、納得していた。そんなわけで、僕には非行に走るような反抗期がありませんでした。中学2年の時、全校集会で在校生が新入生に部活の紹介をした時のことを思い出します。卓球部の部長が部活紹介をしないといけない場面で突然、学校に対する不満を壇上でぶちまけたんです。たぶん、部長はそれをずっと言いたくて胸の内に溜めていたのでしょう。先生たちが慌ててステージにあがって彼を取り押さえていた。僕はそれをただ見ていました。まるで「金八」みたいな衝撃のシーンや、こんなことあるんや、と体育館で三角座りしたまま思いました。3年生たちは「そうだそうだ!」という感じで興奮していましたが、2年生の僕は一切そういうことを思っていなかったので、「この学校、いいと思うけどな……」と心の内で思っていた。それくらい環境に苛立ちや不満を持つことがなかったんです。どうしてそうだったのかと振り返ると、やはりおじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らしていたからではないかと思います。相当愛されているという自負があるのと、家族が多いとやはりそこに守られている、属しているという強い連帯の意識が芽生えます。強いロープで結ばれている安心感があると人は反抗しようなんて思わないのではないでしょうか。そういうマインドで育ったからこそ実家暮らしも長かったのだと思います。反抗してないですから現状維持でいいですし、実家に住んでいたら家賃もかからず経済的で合理的です。よく世の中では実家男子は独立心がなく結婚するにはちょっと……なんて言われますが、とんでもないと思います。家族に愛されてないと成立しないし、愛情をきちんと理解できる男性であることは間違いない。長い目で将来のことを考えるなら、反抗知らずで平和主義の実家男子こそ結婚向きなのではないでしょうか。おかざきたいいくキャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の追加公演が、1/29東京、2/11沖縄で開催される。岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナのライブ音源が配信中。『anan』2023年2月1日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年01月28日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「歌詞の覚え方」です。ミュージシャンの方はみなさん、自分の持ち歌の歌詞をどのように覚えているのでしょう。実は僕は歌詞を覚えるのがとても苦手です。自分で書いているのですが全然覚えきれません。ほかのミュージシャンの方と比べて比較的歌詞の分量も多いほうなのではと思いますし、そもそも歌詞にストーリー性や意味がないことが多いので、とにかく覚えにくいです。韻を踏むためや語呂合わせ的な歌詞も多いので、それもあってどっちが1番でどっちが2番かよくわからなくなります。ライブでよくやる定番の楽曲でも間違えることがあります。それこそ一発撮りでパフォーマンスを披露する「THE FIRST TAKE」で「エクレア」を披露した時も歌詞を間違えました。僕には珍しい真剣なバラード曲なのに……。ライブでもちょいちょいそういう間違いがあります。でも、本心を言えばできるだけ間違えたくない。当然、そう思っています。なので、久しぶりにライブでやる曲などは、その前夜に必ず練習をするようにしています。楽曲を何度も聴いて、歌いまくります。それしか覚える方法はないと僕は思っています。ポイントは寝る前にやることです。人は寝ている間に、インプットした内容を脳の中で整理して記憶を定着させます。だから、寝ないでがんばるとかライブが始まる直前に覚えるよりも、寝る前に入れておいたほうがいい。これ、受験勉強と同じシステムです。徹夜の一夜漬けは効率が悪いです。それよりも、時間を決めて前日にしっかり勉強してちゃんと寝る。これで脳から引き出したい時に情報をすっと引き出せるようになります。それでも覚えておけないこともあります。大きな箱でのライブではプロンプターという歌詞を流してくれるモニターが用意されていることが多いです。それは本当にありがたいです。ふとしたことで歌詞が飛んでしまった時など、パッと見て確認できるのでアクシデントを防ぐことができます。最近では、タブレットに歌詞を入れてそれを手元に置いておくミュージシャンもいるとか。歌詞は絶対に覚えたほうがいいに決まっていますが、こういう救済措置があれば助かるというのも事実です。でも、小さなライブハウスには当然そんな設備はありません。なので、今回のライブハウスツアーではめちゃくちゃ歌詞の間違いが多かった気がします。おかざきたいいくキャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の追加公演が、大阪、東京、沖縄で開催される。岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナのライブ音源が配信中。※『anan』2023年1月25日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年01月21日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「憧れの時代」です。いまの時代、音楽ストリーミングサービスの普及で、自分が生まれる前の(時代の)楽曲に簡単に触れることができます。20年前だとか、それよりもっと前の曲がリバイバルでブームになることも多いですよね。いろいろな楽曲に接していると、その年代に僕が生まれていたらどんな感じだったんだろうと思うことがあります。この時代にミュージシャンとして活躍してみたかったな~と思うのはバブルのころ。世間が浮かれていてCDも売れに売れていた’80~’90年代です。その興奮をミュージシャン側で体感してみたかったなというのはあります。CDが売れていたということは印税もいまよりもっと多く入るはず……。そうしたら、すごい自宅スタジオとかを作れたのかなと思うと、ちょっとワクワクしますね。みんなの音楽の聴き方もいまとはちょっと違っていたんじゃないかなとも思います。主にCDで聴いていたわけで、いまのストリーミングサービスのように手軽に聴く感じとはまた違っていたと思う。音楽がすごく大事に聴かれていた最後の時代なんじゃないかなと思うんです。そういう時代の感覚もちょっといいなと思います。でも、そうやって具体的に想像していくと、その時代に岡崎体育がメジャーデビューするのはなかなか難しかったかもしれないなとも思います。DTMなんて発想がまずない時代ですし、いまみたいに楽器を持たずに気軽に音楽を作れる環境はなかったわけです。作曲をするにも、才能や技術、資金力が必要だったわけで。それに比べるといまは、パソコン1台あればけっこう何でもできる。恵まれています。僕はやはり、いまの時代だからこそ日の目を見ることができたミュージシャンなんだなと思います。いまの技術を持っていけるなら、戦国時代や江戸時代に音楽活動をするのもいいですね。江戸時代はまだ音階やスケールなど日本古来の伝統の中で音楽をやっている時代。そこにグローバルなジャズやポップスのコード進行を持ち込んだら「なんだこの天才は!?」と崇められるのではないかと思います。もはや“神”と呼ばれるのでは?江戸時代に行って音楽の神になるのもいいですね!これは、もっとも売れる可能性があります。それこそバブル時代なんて比ではないのではないでしょうか。殿のお気に入りになったらすごい褒美がいただけそうです。おかざきたいいくキャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の追加公演が、大阪、東京、沖縄で開催される。岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナのライブ音源が配信中。※『anan』2023年1月18日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年01月14日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「今年の抱負」です。この号は2023年1回目の号だということなので、今年の抱負を語っておきたいと思います。なにはともあれまずは新しいアルバムをリリースしたいと思います。そのために僕はお正月休みも返上して、新曲制作に取り組みたいと思っています。……いや、初詣に出かけたり、お雑煮を食べたりしてちょっとは休んでいるかもしれませんが、基本的には休み返上でアルバムに入れる新曲をたくさん作りたいと思います。2022年は、いろいろなジャンルのお仕事をやらせてもらえるようになった一年でした。バラエティもドラマもありましたし、TVCMも話題になる作品に参加させていただき、なんだか自分のこととは思えないくらい、すごいことだったなと感じています。どのお仕事も楽しくやらせていただきました。でも、僕の肩書はミュージシャンです。なので2023年こそ「シンガーソングライター、岡崎体育ここにあり」というところを見せていきたいです。ここ最近思うのは、デビューから6年も経つといろいろなことが見えてきます。そうすると僕みたいな性格だといろんな人の顔色を窺ってしまう。ファンはこんなネタ曲が好きなのかなとか、クライアントが求めているのはこんな感じの曲かな、とか。それに合わせて、ある程度リクエストに応えられるくらいにはできるようになってきていると思います。一方で、昔の曲はどれも粗削りですが本気の想いや勢いみたいなものが詰まっていたんじゃないかなと思います。先日、ある新曲をスタッフに聴いてもらったら「昔の岡崎くんの音が戻ってきた」と言われてうれしかったんです。世間の顔色や売れ筋を考えず、自分の心の底から湧いた感情やアイデアそのままの曲をリリースできるようになりたい。してみたいことをストレートに、実直にできる一年にできたらいいなと思います。個人的にそれ以外でやってみたいことは……、もう少し普通の服を着られるようになりたいです。もう太っていることがしんどいなと思うようになりました。そうです、真剣にダイエットをしたいと思います!できれば運動をたくさんして健康的にやせたいですね。健康も大切ですから、それが実現できたら2023年はもっとうまくいく気がします。2023年の岡崎体育もどうぞよろしくお願いします!おかざきたいいくキャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」の追加公演が、大阪、東京、沖縄で開催される。岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナのライブ音源が配信中。※『anan』2023年1月11日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年01月07日岡崎体育の連載、「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「孫」です。デビューして間もないころ、ソニーミュージック内で韓国の方とコラボレーションしてみないかという話がありました。その方はどうやら“韓国国民の孫”といわれている方らしく、日本を代表するおじいちゃん、おばあちゃん子である僕が選ばれたのかなと思いました。ま、実現することはなくその話はなくなったのですが……。でも、“孫”って言葉が僕はすごく好きです。“国民の孫”という冠も僕が欲しい称号のひとつです。今の芸能界、音楽業界で僕より孫っぽい人いないと思いますがどうでしょうか?僕は根っからのおじいちゃん、おばあちゃん子です。一緒に暮らしていたことが大きいと思います。たくさん甘やかされて育ちましたし、おじいちゃん、おばあちゃんとのエピソードを語ることも多いので、そういうイメージを持たれているだろうなと思います。おばあちゃんには楽曲に参加してもらったこともあります。僕がミュージシャンとして活躍していることもとても喜んでくれています。おばあちゃんは、ご近所さんとの井戸端会議で「お孫さん、ご活躍ですね」と言われるととてもうれしそうにしている、と母からよく聞きます。そういう時は、いい祖父母孝行ができているなとほっとします。今は離れて暮らしていますが、京都でテレビのレギュラー番組を持っているので月に1回は帰省します。今もなお、相当身近な孫だと思います。おじいちゃんはすでに他界しているのですが、おばあちゃんとは帰ればいろいろな話をします。最近の流行りは、おばあちゃんにクイズを出すこと。一緒にテレビを見ながら「おばあちゃん、このCMに出ている女優さんは誰?」と、流れてきたものに合わせてクイズを出しています。なので、最近の会話は8割クイズです。おばあちゃんは、面倒だなと実は思っているかもしれませんが、それでも孫の出すクイズだから「誰やったっけな」と考えてくれます。でもそれが、おじいちゃんやおばあちゃんとうまく話すコツかなと思います。同じ目線で話すとどうしてもズレが生じる。だったらこっちが教えてあげるでもいいし、逆に歴史に詳しいとか、おじいちゃんやおばあちゃんの得意分野があるならその話を聞いてあげてもいい。寄り添ってあげることでいい温度感で話せる空気につながる。孫マエストロとしては、もっと全国の孫たちにおじいちゃん、おばあちゃんとの時間を大切にしてもらいたいです。おかざきたいいく現在、17道府県で18公演を行うキャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」開催中。1月と2月に追加公演決定。岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナのライブ音源が配信中。※『anan』2022年12月28日‐2023年1月4日合併号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年12月26日学生のころ、生理を理由に水泳の授業を休んだことがあるという女性は多いと思います。私は中学生のとき生理で水泳の授業を休もうとした際、体育教師にの対応に少し嫌な思いをしたことがあって……。 先生も「正直に理由を言っていい」という気づかいからで、悪気があって言ったわけではないことはわかっています。それでも思春期の私にとっては、「生理だろ?」と言われたことが恥ずかしくてたまりませんでした。また、授業に出たくないわけではないのに生理を理由に休まないといけないことにもモヤモヤしていた私。義務教育中は難しいかもしれませんが、生理の生徒も気にせず体育の授業を受けられる制度があればいいなと思った経験でした。 原案/りょうさん作画/おみき監修/助産師 松田玲子 ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!
2022年12月21日岡崎体育の連載、「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「追加公演」です。現在、僕は全国17道府県18か所のライブハウスを回る「JAPAN TOUR」を開催中です。その公演に大阪、東京、沖縄の3か所の追加公演が決定しました。追加公演とは何か、と考えると個人的には規模の大きなアンコールのようなものかなと思っています。ツアーは、スタートしてから各所を巡り公演を重ねていくことでステージがどんどん成長していくものです。こうしたほうがいいという肉付けがされ、不要なものは削ぎ落とされて洗練されていく。ツアーが終わると全体の総括をします。セットリストはこれが盛り上がったなとか、このMCはウケなかったなとか、良かったところ悪かったところが見えてくる。そういった総括で出てきた修正点を調整した完全版が追加公演では観られると思います。より完成度の高い、そのツアーの最終形態ライブ、それが追加公演なのではないかと思います。一方で、追加公演でガラッと内容を変える場合もあります。実はこれもアリだなと思っています。ライブって何度も通ってくださる方もいる。すべての公演を追いかけて“全通”してくれる熱心なファンの方もいる。そういう何回も観てくれる方のために、新しい内容を加味したいという気持ちもあります。自分が観客だとしても追加公演があるとうれしいですね。行きたいと思っても会場が遠かったり、チケットが取れず行けなかったりしていた時に、もう1回チャンスがあるかも!となる追加公演はとてもありがたいと感じるもの。今回の僕の追加公演も、みなさんがそんな気持ちでいてくれたらうれしいです。追加公演が決まった沖縄は、デビューしたばかりの2017年に石垣島でライブをしたことがありますが、それ以来となります。沖縄本島でのライブは初めてなので、どんな感じになるのか楽しみにしています。それに、公演はすべて年が明けてからです。となると、僕のおみくじの結果が気になってきます。初詣では必ずおみくじを引きますので、その結果次第でライブのテンションも変わってくるでしょう……。実はこのところ、僕はおみくじで“凶”ばかり引いています。京都のロケ番組で引いたおみくじも、家の近所で引いたおみくじも凶だった。できることなら大事な追加公演の前のおみくじは“大吉”を引きたいところです。大吉が出るように今から神様にお願いしておきたいと思います!おかざきたいいく現在、17道府県で18公演を行うキャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」開催中。1月と2月に追加公演決定。岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナのライブ音源が配信中。※『anan』2022年12月21日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年12月16日岡崎体育の連載、「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「フランスパンゲーム」です。新型コロナウイルスの感染予防対策として、日本国内のライブでは公演中の歓声や歌唱は控えるようにお願いをしています。コールアンドレスポンスのような、こちらの呼びかけに応えていただくことが難しくなっている。声でのやりとりができないと、せっかく対面しているのにコミュニケーションがちょっと不足しているように演者も観客も感じているのではないかと思っています。そこで、僕は声を出さなくてもステージと客席の生のやりとりを楽しめる楽曲を考えました。以前、少しだけその計画をこのコラムでもご紹介した「フランスパンゲーム」です。すでに完成していて、夏フェスをはじめいくつかのライブで披露させていただいています。ルールは、すごくシンプルで簡単です。ビートに合わせて僕が「フランス」と歌ったらお客さんは“パン”と1回手を叩く。「食べすぎておなか」と歌ったら“パンパン”と2回手を叩く。これだけです。いわゆるリズムゲーなんですが、あまりそれをライブでやる人はいなかったんじゃないかなと思います。ひっかけで「焼きそば」とか「クリーム」とか出てきます。そこで、焼きそば“パン”と手を叩きたくなりますが、叩いてはいけません。ひっかけです。最初はそういうルールを確認するチュートリアルから始めて、だんだんテンポを上げていきます。そうすると意外と難しいんです。どのワードをどこで入れ込むかは、その場その場で僕の即興で考えています。なので、会場の反応次第で難易度も変わります。どこの会場でやってもみんな楽しんで参加してくれてよかったなと思っています。ライブに来られた方の中に教育実習生の方がいたらしく、実習で行った小学校で「フランスパンゲーム」をやってみたという報告をいただきました。小学生たちもめちゃくちゃ楽しんでくれたそうで、先生へのお礼の手紙が「『フランスパンゲーム』が楽しかった」でいっぱいだったそうです。なんだか僕もうれしくなりました。その先生が学校でどういうふうにやったのかはわかりませんが、上手に演出してくれたんやろなと思います。老若男女誰でも楽しめるものになっていると確認できてよかったです。これをきっかけに小学生の間で大ブームになって「花いちもんめ」とか「だるまさんが転んだ」のような伝承ゲームのひとつとして「フランスパンゲーム」も受け継がれていったらいいなと願っています。おかざきたいいく現在、17道府県で18公演を行うキャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」開催中。1月と2月に追加公演決定。岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナのライブ音源が配信中。※『anan』2022年12月14日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年12月10日岡崎体育の連載、「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「遅刻」です。自分のいいところは時間を守ること、遅刻をしないことだと思っています。いえ、思っていました。最近、少しそこにあぐらをかいていると自戒しているので今回はこのテーマを取り上げたいと思いました。ミュージシャンなんて時間にルーズでも怒られないのでは?と世間の方は思ってくださっているかもしれません。待ち合わせに5分、10分遅れて登場するのがシンガーソングライターというものだろう、くらいおおらかに思ってくださっているかもしれない。でも、そうだからこそ、僕は時間厳守でいきたいと、どんな場面でも早めの行動を心がけるようにしていました。しかしそれが最近どうにもままなりません。5分、10分遅れてしまうことがちょくちょくあります。これはどうしてそうなっているのかと原因を尋ねられたら明らかに理由はわかっています。そう完全に僕の“慢心”です。5分、10分遅れてもまあ大丈夫だろう。そういう慢心が出てきている証拠です。これはいけないと己に警鐘を鳴らしているのですが、なかなか改善できずに苦労しています。まず何がいけないって、まだ都内の交通事情を把握することができていません。僕は自分で車を運転します。なのでどの道を選ぶか、混雑状況を考えて何時に出るべきか。判断は自分でしますが、その読みがなんか甘い。いや、東京どころではなく、先日久しぶりに奈良のネバーランドというライブハウスでライブをしたのですが、実家からそこまでの混雑状況を把握できず40分も遅刻してしまいました。読めない交通渋滞や事故によるトラブルというのは、まああっても仕方ないことですが、仕事をオファーしてくれた方からしたら「そんなことは知らんがな」です。大事なのはきちんと定時に体を持っていくこと。それを他人任せにせず、自分で考えるようにしないと。ミュージシャンは世話をしてくれるスタッフがいるので、他人に甘えがちかもしれません。それが僕の慢心にもなっていると思います。でも、スタッフも甘やかしすぎはいけないと思っているのか、この間は北九州からひとりで飛行機に乗って帰りなさいと言われました。飛行機くらい乗れますが、でも何かあったら…とヒヤヒヤしました。マネージャーの松下もすごく不安だったそうです。スタッフが不安を感じず、ひとりで飛行機にきちんと乗れるシンガーソングライターになりたいです。おかざきたいいく現在、17道府県で18公演を行うキャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」開催中。1月と2月に追加公演決定。岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナのライブ音源が配信中。※『anan』2022年12月7日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年12月03日岡崎体育の連載、「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「擬態」です。前回、サインについての話をしましたが、ごはんを食べに行った時などにお店の方にサインを求められることもあります。サインを欲しいと思っていただけるということは、僕に好印象を持ってくれているという証し。とてもうれしいし、光栄なので喜んでサインを書かせていただいています。僕なんかでよければ、といつも思います。サインをする時は「これ誰?」とならないように、サインの脇に楷書で“岡崎体育”と書くようにしています。自分もお店に飾ってある有名人のサインを見るのが好き。「こんな方も来ているんだ」と知ることが楽しいので、せっかくなら誰が来たかわかるといいなと、自らわかりやすくさせていただいています。とはいえ、僕は出先でサインを求められることはそれほど多くはありません。それは多分、僕の擬態がうまいからだと思います。ここで紹介してしまうとこの手法が使えなくなってしまうのですが、あえて僕の編み出した技を紹介すると、僕はプライベートではヒップホップのミュージシャンがしているような18金のチェーンネックレス……を模したステンレスのネックレスをしています。そうすると、一見、ぶりんぶりんのヒップホップ大好きなガタイのいいお兄ちゃん風に見えるんです。岡崎体育のパブリックイメージと18金(風)のチェーンネックレスをしている男って真逆の存在だと思いませんか?なので、人は「あの人、岡崎体育っぽいけど、岡崎体育があんなネックレスをするわけない」と、その人自ら可能性を打ち消してくれるんです。サングラスとか帽子だとあきらかに何かを隠している雰囲気が出てしまいます。でも、ネックレスはそれが出ない。目立つアイテムを投入することで個性を消すという逆転の発想です。その結果、ネックレス一本で、僕はそんなに変装をせずとも、街中で声をかけられることがとても少ないです。ちなみになぜ本物の18金チェーンネックレスではないかというと、本物を買おうと見に行ったのですが、とにかく高すぎて……。これは、変装のためだけには払えないと尻込みしてしまったためです。お店に試着のサンプル用に使っている2980円のステンレスのチェーンネックレスがあったので、これでええわ、となりました。さすがに本物のヒップホップアーティストのようにはできませんでした。おかざきたいいく現在、17道府県で18公演を行うキャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」開催中。1月と2月に追加公演決定。岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナのライブ音源が配信中。※『anan』2022年11月30日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年11月25日岡崎体育の連載、「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「サインをたくさん書くコツ」です。以前、僕のサインのルーツについてこのコラムで紹介したことがあったと思います。僕のサインは、名前の最初の“岡”の字と最後の“育”の月の形だけ読める感じになっています。この2つが成立していれば、間は多少ぐしゃぐしゃっとしていても“岡崎体育”と読めるのではないか、という「はじめと終わりよければすべてよい」という形をとらせていただいています。間のぐしゃぐしゃはけっこうフリースタイルなので、そのときの気分やテンションなどで書き方が変わります。そのフリースタイルのおかげで、かなりスピーディにサインを書くことができます。なので僕のサインは、同じようですべて違う。もし比べる機会があるようでしたら、比べてみていただけるとわかると思います。すべて一点ものです。CDをリリースしたときなど、サインを大量に書かないといけない場面というのがミュージシャンにはあります。そのとき、もっと簡素でシンプルなサインにしておけばよかったなと思うこともあります。通常、サインというものは同じ形で書けるものでないといけないですよね。その人が書いた、という証しなので。同じもの、かつスピーディにできあがるものと考えたときに、お相撲さんの手形のサインはとても合理的だなと思いました。以前、白鵬関にお誕生日に手形の色紙をいただいたことがあります。大きな手形のサインはそれだけでまずかっこいいです。手形は形が変わりませんから、その人だけの証しとなります。色紙にバンバンと手形を押していくというスタイルも、ひとつひとつ名前をサインペンで書くよりスピード感があってよさそうです。でも、手をいちいち洗わないといけないし、色紙でないと対応ができないことを考えると、あまりミュージシャン向きではなさそうにも感じます……。以前、ヤバTはアルバムのキャンペーンの一環で予約をしてくれた方全員にサイン入りジャケットを贈るという企画をしました。その数なんと4万3000枚。3人全員でサインを入れたそうです。これは腱鞘炎になるレベル。ヤバTのサインにはバンドのイメージキャラクターであるタンクトップくんのイラストも描かれます。それもひとつひとつ4万枚以上描いたのかと思うと頭があがりません。僕にもてっくんというキャラクターがいますが、僕がサインにてっくんを描くことは永遠にないと思います。おかざきたいいく現在、17道府県で18公演を行うキャリア最多公演数となるワンマンツアー「JAPAN TOUR」開催中。1月と2月に追加公演決定。岡崎体育ワンマンコンサート「BASIN TECHNO」@さいたまスーパーアリーナのライブ音源が配信中。※『anan』2022年11月23日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2022年11月19日