他では見たことのないようなおもしろい商品が並ぶ全国に約80店舗を展開する〔北野エース〕。店内を歩いているだけでワクワクしてしまうそのワケを探りに〔北野エースまるい食遊館北千住店〕へ行ってきました。〔北野エース〕にしかない商品でお客さんを魅了する!〔北野エース〕の店内には他社ではなかなかお目にかかれない商品の数々が並んでいます。また店内に一歩足を踏み入れて驚くのが、他社を圧倒するほどの豊富な品ぞろえです。グロッサリーと呼ばれる日用食品を専門にそろえています。その品ぞろえたるや「よくぞここまでそろえました!」と驚かんばかりの数で、レトルトカレーだけでも300種類以上!醤油は140種類、ドレッシングは200種類……と、全国のこだわりの一品が勢ぞろいしています。著者はふだんよく〔北野エースフーズブティックマルイ上野店〕へ行くのですが、こちらはコンパクトな小規模な広さながら、とても充実した品ぞろえ。まさに店内“ところ狭し”という言葉がぴったりで、調味料からお菓子、レトルトカレー、飲料、つまみなどが並んでいます。〔北野エース〕で決まって購入するのが《大人のためのにんじんドレッシング》《大人のための贅沢なごまドレッシング》《大人のための贅沢なゆずポン酢》《有機トマトケチャップ》《からし明太子高菜》《鮭皮チップス》《パンケーキミックス》です。調味料類が切れそうになる頃に、補充をしにお店へ足を運ぶというかたちで利用をしています。でも補充のつもりが、お店へ行くと、前に訪れたときにはなかったモノがたくさんあって、あっちウロウロ、こっちウロウロ。POPに踊る文字についつい引かれ、「私も作ってみよう」と、頭のなかで妄想クッキングがはじまり、気づくとお店を1周、2周、3周……と、1時間くらい店内でショッピングを楽しんでしまっています。こういう方、多いのではないでしょうか?つい手に取ってしまうような、楽しいものがたくさん並んでいる〔北野エース〕。店頭に並べられている「満福どら焼き」を初めて見たときの衝撃たるや……好きは好きだけど、ここまでやりますか!とツッコミを入れてしまったくらいです。この《満福どら焼き》は、全国のおいしいものを味わった北野エースのバイヤーたちのアドバイスによって開発されたものです。パッケージに「KITANOSELECTION」と刻字されるプライベートブランドの商品です。こぶりで、ふっくらとした円盤状のカステラ生地のどら焼きです。こうして見ると、いたって普通のどら焼きですが……。こんなどら焼き、見たことありますか?北海道産小豆を使用したあんこたっぷりのどら焼き、というより、たっぷりのあんこにカステラ生地がのっているどら焼き。カステラ生地はオマケで、ほぼ、あんこなどら焼きです。あんこの厚みを測ったところ、3.5cmもありました。〔北野エース〕の担当者に、どうしてこのようなどら焼きを作ったのかお聞きしたところ「あんこがお好きな方のために、思う存分、楽しんでいただきたい一心でつくりました。あんこでお腹が満腹で幸せになっていただきたいと“満福どら焼き”と名付けました」とのこと。〔北野エース〕には“小売”ではなく“個売”という、お客さま個々の“ほしい気持ち”を満たすためのお店づくりをするという理念があるのだそうです。この満福どら焼きは、その心をまさに具現化したもののひとつと言えるのではないでしょうか。あんこ好きのあんこ欲を満たそうとしてくれる〔北野エース〕の“個売”の心が、あんこ同様にぎっしりと、あふれんばかりに、つまっているように思いました。〔北野エース〕のお店にはこのような商品がたくさん並んでいます。たくさん並んでいる、というよりも、並んでいる商品一つひとつに、この“個売”の心がこめられているのではないでしょうか。お店に並んでいる商品は決して安いものばかりではありませんが、他では見たことのないものに出会えるワクワク感や、アレコレと選ぶ楽しさが〔北野エース〕にはあります。店舗によってまったく異なる品ぞろえ今回〔北野エース〕を取材するにあたって、自分が今まで行ったことのないお店をリクエストしました。そして訪れた〔北野エースまるい食遊館北千住店〕。こちらはマルイの地下、食料品売り場のなかにある店舗です。〔北野エース〕の他には鮮魚、精肉、野菜を販売するお店が同居しています。北千住店を訪れ、まず店内を1周したのですが、著者が普段行っている〔北野エースフーズブティックマルイ上野店〕とはまったく様子が異なり、〔北野エース〕の看板がなければ、北千住店と上野店が同じ〔北野エース〕だということはわからないほどです。菊地店長にお話をうかがったところ「こちらの北千住店は、近所の方々が日々のお買い物をするスーパーのような感覚でご利用いただいています。肉、野菜、魚はお隣のお店にそろっています。ですので、ここはそれ以外のもので、お客さまのニーズに対応できるような品ぞろえをしています」とのこと。調味料やドレッシング、レトルトカレーの品数が豊富なのは上野店も同様ですが、北千住店は牛乳、乳製品、畜産加工品、チルド飲料、豆腐、油揚げ、納豆、練り物、漬物、生麺などが圧倒的に多いです。最初は、比較的ご年配のお客さまが多いように感じましたが、時間帯によってはベビーカーを押した若いお母さんの姿をたくさん見かけました。「品ぞろえは各店舗によって大きく異なります。たとえば、駅の中に出店するお店は、弁当や惣菜を多く取りそろえていたり、ご年配のお客さまが多いお店では和菓子が豊富だったりします」と菊地店長。なるほど、北千住店と上野店が大きく異なる理由に納得です。上野店は、観光地でもあって外国のお客さんも多く、また地下鉄とJRの乗換駅でもあるので、仕事帰りなどに、夕飯の足しになるような買い物して帰る女性、なにかおもしろいものがないかと探しに来ている女性を多く見かける気がします。お店ごとに異なるお客さんに合わせた品ぞろえを各店でしているというわけです。その品ぞろえを決めるのは、各店舗の店長さんなのだそうです。一般的なチェーンのスーパーの多くは、本部が一括で仕入れ、それを各店へ分けて店頭に並べますが、〔北野エース〕では、仕入れは各店に任せているのだとか。たしかに、お客さまの欲しいものをいちばん知っているのはそれぞれのお店です。また取材中、お客さんとスタッフの方が話をしている姿をよく見かけました。思えば〔北野エース〕はスタッフの方の数が多いように感じます。昨今、できる限りスタッフの数を少なくする食品スーパーが多いなかで〔北野エース〕は様子が少々違うようです。聞けば〔北野エース〕では、他社の2倍ほどのスタッフを売り場に配置して、お客さんが楽しんで買い物をできるように気を配っているのだそうです。お客さんとスタッフとのコミュニケーションも大切にしていて、お客さんから出た意見やリクエストなどは、すぐに品ぞろえに反映するよう努めているのだそうです。そういえば、思い出しました。上野店の陳列棚に並んでいた、見たこともない調味料にPOPが添えられていました。そしてそのPOPには「お客さまからのリクエストで仕入れました」と書かれていました。独特な陳列方法〔北野エース〕の代名詞ともいえる「カレーなる本棚Ⓡ」。このコーナーには全国津々浦々から集めたレトルトカレーが、まるで図書館の本棚のようにズラリと並んでいます。その数なんと約300種類を取りそろえているのだそうです。この「カレーなる本棚Ⓡ」が誕生するころ、時代は食事に利便性を求められるようになり、店舗で多くのレトルトカレーを取り扱うようになっていたそうです。そして〔北野エース〕が2009年に東武百貨店に出店する際、多くのレトルトカレーを、限られたスペースにいかにたくさん並べるか、お客さんに見やすく手にとってもらうにはどうすればいいのかを考えた結果、ひらめいたのが「本棚のように並べる」ことだったのだそうです。通常レトルトカレーはパッケージの表面に描かれたデザインを見せるように陳列しますが、この置き方では面積をとられ、より多くの商品を並べることができません。そこで、側面だけを見せるように陳列し、図書館で本が本棚に差し込まれているのと同じようなかたちで陳列したのだそうです。パッケージの側面だけだと、どんな商品かわかりにくいのでは?という声も当初はあがったそうですが、この“本棚”のインパクトは大きく、興味津々で棚の前で足を止める人が多く好評だったのだとか。ちなみに北千住店では、表面を見せて陳列しているカレーもいくつかあります。これはどうしてですか?と菊地店長に聞いたところ「おすすめのカレーです!」と答えが返ってきました。北千住店の店内を歩いていて、もうひとつ陳列方法で気になることがありました。それは、それぞれの陳列台の「角っこ」です。四隅に置かれている商品が高く積まれていて、賑やかな文字が踊ります。甘酒のコーナーでは《八海山麹だけでつくったあまさけ》という甘酒が高く積まれています。生菓子のコーナーでは《嵐山プリン》がにぎやかです。その対面の角にはあんみつ。こちらの角はくず餅が積まれ、むこうの角には北千住店で人気No.1の《俵がんも》が積まれています。これは人気商品だったり、お買い得の品やお店のおすすめ商品をこうして角に置いてお客さんの目に入りやすいようにしているのだそうです。「角っこ」に注目してみてください。上野店では、円筒形の陳列棚が配置されています。そこには調味料やドレッシングが多種並べられていて、限られたスペースが有効に活用されています。店舗のレイアウトは、百貨店、駅ビル、ショッピングセンターによって、また広さや地域特性などから各店ごとにさまざまな工夫をしています。店舗のデザイン開発においては、〔北野エース〕の社内の担当者が担当するのだそうです。例えば、ご高齢の方が多いお店では、店舗内を白で統一して明るくしたり、若い世代が多いお店は黒や赤を基調にしたシックな雰囲気にすることもあるのだそう。いろいろな〔北野エース〕を巡ってみるのも楽しそうですね。わからないことはコンシェルジュに相談新しくて珍しいものがたくさん並ぶ〔北野エース〕では、商品知識を備えたコンシェルジュを一部店舗に配置しています。ここ〔北野エースまるい食遊館北千住店〕でコンシェルジュを務めるのは、元・百貨店マンの綿抜さん。綿抜さんはお客さまからいろいろと相談を受けるそうです。「おいしいお味噌が欲しいんだけどどれが良いですか?」とか「ホームパーティに持っていくのに何かおすすめはありますか?」「九州の甘い醤油が欲しいんだけどありますか?」などなど。「お客さまおひとりおひとり、それぞれにお好みがあります。お客さまの求めに応じて商品をご紹介し、その商品の特性やおいしさをご説明させていただいております」と綿抜さん。せっかくなので綿抜さんに家で飲む用のお茶を一緒に探していただきました。するとなんと、綿抜さんは京都の老舗茶店で働いていた経験もあるそうで、お茶の違いや栽培法、香り、お茶のおいしい淹れ方などを教えてくれました。お茶にまつわるあれこれを交えながら、たくさんあるお茶のなかから、自分の好みや価値観、生活スタイルに合った理想のお茶を選ぶお手伝いをしてくれました。コンシェルジュがいる店舗は限られていますが、〔北野エース〕へ買い物に行き、もしコンシェルジュがいた場合は、いろいろ相談してみると、さらに楽しい買い物ができそうですね。日本酒の試飲カウンター〔ちょっと Bar〕がオープン!お店で日本酒を買うとき、みなさんはどのようにして選びますか?多くの方は、お酒に貼られたラベルから、辛口、甘口、純米、吟醸、アルコール分、原料米の品種などを見て判断されると思います。そうやって選び出したお酒を、購入する前にお店で試飲することができたらいいなあと思うことがありますよね。そんなワガママを叶えてくれる日本酒の有料試飲カウンターが〔北野エース調布パルコ店〕に4月27日オープンしました。〔北野エース調布パルコ店〕はデイリーから高級なものまで200種類以上の和洋リカーを取りそろえるお店です。そのコーナーの一角にオープンした〔ちょっとBar〕。こちらでは日本酒を試飲して、お気に入りの1本を探すことができるのだそうです。試飲できるのは、カウンターに並ぶ純米酒から純米大吟醸クラスが数種類。この中から、気になるお酒を1杯(90ml)400〜1,000円で試飲をすることができます。また3種類試飲ができるお得な利き酒セット(お猪口)600円も用意。スタッフには、日本酒のエキスパート「SAKEディプロマ」を配置し、日本酒に合うおつまみも用意しているので、いろんなお酒と合わせながら存分に試飲が楽しめます。さらに、お酒のコーナーを特に強化し〔北野酒店〕というコーナーを新設し、和洋酒約900種、日本酒は約300種類という品ぞろえ。お酒好きなら、ちょっと、ふらっと、定期的に通ってしまいそうですね。「ここにしかない」全国のこだわりの逸品がそろい、「あそこに行けばきっと何か見つかる」という期待にこたえてくれるフードマーケット〔北野エース〕。今度はどんなものと出会えるかな?〔北野エース〕行くのがますます楽しみになりました。【取材協力】●北野エースまるい食遊館北千住店●住所:東京都足立区千住3-92北千住マルイまるい食遊館B1F●営業:10:30~20:30近くの北野エースをチェックする●ライター忍章子
2018年05月27日お笑いタレントで俳優のマキタスポーツ(45)が、4月23日深夜放送のTBSラジオ「東京ポッド許可局」に出演。所属する「オフィス北野」を退所する意向だと発表した。 マキタは同社所属のお笑いタレントでコラムニストのプチ鹿島(47)、お笑いコンビ「米粒写経」のサンキュータツオ(41)とともに出演。「わたくしマキタスポーツ、オフィス北野を退所することに致しました」と発表。プチ鹿島と米粒写経も、同じく退所する意向。退所理由として会社の規模縮小によりマネジャーが不在となり、スケジュール管理等に苦慮しているためとした。 「ビートたけしさんの独立により、経営規模の縮小を余儀なくされました。そのため、今月20日に社員を一度解雇して再雇用。以前は30人いたスタッフ社員が10人ほどに減り、うちマネジャーは4人だけ。今後は森昌行社長も営業に出なければいけなくなってしまいました」(芸能プロダクション関係者) マキタによると基本的には退所の方針だが、マネジャー問題などが解決すれば残留の可能性もあるのとのこと。移籍・独立・残留などあらゆる可能性を視野に入れ、5月末までに他事務所からのオファーを待つという。マキタ、鹿島、同コンビの2人の計4人はおそらく芸能界で史上初となる”FA宣言”をしたのだ。 「新生・オフィス北野の稼ぎ頭になりそうな寺島進さんはすでに残留を表明。そしてMCなどの仕事で稼いでいる江口ともみさんも残留する方向のようです。とはいえ芸達者なマキタさん、“新聞芸人”として知られ単行本も出した鹿島さんは『たけし軍団』の面々よりも上。2人の退所はきっかけに、ほかにも“FA宣言”するタレントが出てこないか心配の声があがっていますね」(芸能記者)
2018年04月24日ビートたけし(71)の独立をめぐる内紛劇がいったん収束した「オフィス北野」だが、一部スポーツ紙が森昌行社長(65)や4人のマネジャーを含むスタッフ約10人で再出発すると報じた。 記事によると今月20日付で33人の従業員全員を退社させ、会社の規模を縮小。再雇用を募る方針だという。一時対立状態だった森社長と「たけし軍団」の騒動が収束したこともあり、10人は残留を決意。来週にはスタッフと軍団が今後について話し合う予定だ。 「軍団の面々は、『オフィス北野』のことを考えているようにテレビ番組などでアピールしていました。しかしキリのいいところで新事務所に合流すると、たけしさんがすでに公言しています。となると今後はやはり、森社長が事務所の“かじ取り”をしなければなりません」(芸能プロダクション関係者) 現在、都内の一等地に4つのフロアを借りている同社。一部報道ではたけしの移籍によって売り上げが8割以上減。マネジャーも4人しかいないとあっては、経営の大幅な“スリム化”が求められることになりそうだ。 「おそらく、事務所はビルの1フロアにまとめられるのではないでしょうか。残留を表明していた俳優の寺島進を中心に、仕事を回して行く。そんな新体制を確立するのが、再生に向けての最善策となりそうですが……」(前出・芸能プロダクション関係者) 新体制での再出発は、前途多難といえそうだ。
2018年04月20日タレントのビートたけし(71)の独立によって勃発した前事務所「オフィス北野」の“お家騒動”。4月9日に同社の森昌行社長(65)がマスコミ各社にファクスを送信し、近いうちに騒動が収束することを報告した。 「騒動の渦中、東京・赤坂にある同社のオフィスが入ったビルの前には早朝から報道各社が殺到。近隣からの通報で、警察が出動したこともありました」(ワイドショースタッフ) 騒動の最中、各スポーツ紙や民放各局のワイドショーの報道は過熱。しかしなかには驚きの誤報もあった。 フジテレビ系の情報番組「直撃LIVEグッディ!」が5日、同社の社員と名乗る男性がインタビューに答える模様を放送。しかし同社からの指摘で社員でないことが分かったため、6日の同番組内で訂正し謝罪したのだ。 「当初、森社長が指摘した際に番組の担当者は『なんでニセ社員と確認できるんですか?』と開き直ったそうです。森社長が『(顔の)網を取って見せてくれればすぐ分かる』と食い下がったところ、先方は『それはできません』と一蹴したそうです。こうした対応に、森社長は憤っているといいます」(芸能関係者)
2018年04月11日タレントのビートたけし(71)が31日をもって所属事務所「オフィス北野」を退社。4月1日からは、自ら設立した新事務所「T.Nゴン」で活動する。 一部スポーツ紙が報じたところによると、漫才コンビ「ツービート」でのたけしの相方・ビートきよし(68)と「たけし軍団」のなべやかん(47)も同日付で同社を退社。また「たけし軍団」の〆さばアタル(49)とアル北郷(46)は新事務所に移籍するという。 「〆さばと北郷は構成作家として才能を発揮し、たけしのライブをサポート。たけしにとっては欠かせないブレーンなので移籍は仕方ないでしょう。『たけし軍団』のメンバーでもガダルカナル・タカらは残留を明言していますが、態度を保留しているメンバーもいるそうです。今後、退社するメンバーも少なからず出て来そうです」(テレビ局関係者) たけしは出演したテレビ番組で、今後の活動資金のために株を処理したと告白。また3億円に及ぶ退職金を事務所に残したとも明かした。 そのため当面の運営はなんとかなりそうだが、「オフィス北野」にとって懸念事項も。じつはいま、2人の所属タレントの去就に注目が集まっているのだ。 「俳優の寺島進さんと、『たけし軍団』のメンバーであるつまみ枝豆さんの妻・江口ともみさんです。寺島さんはバイプレイヤーとして売れっ子。江口さんはMCなどもこなせるので、たけしさんを除くと事務所内での稼ぎはトップクラス。もし退社したら事務所にとってかなりの痛手です」(芸能プロ関係者) 2人の決断やいかに。
2018年03月31日タレントのビートたけし(71)が3月いっぱいで所属事務所「オフィス北野」を退社し独立すると、一部スポーツ紙が報じた。 記事によると、たけしは数年前から着々と独立に向け準備。今後は一部週刊誌で愛人関係にあると報じられた18歳年下の女性と設立した事務所が窓口になる模様。またたけしの独立に伴い「オフィス北野」の森昌行社長(65)は、社名変更や業務縮小の可能性があることを示唆しているという。 「以前は森社長が唯一無二のビジネスパートナーでしたが、今は報道された女性が最良のビジネスパートナーになってしまったようです。たけしさんの独立は、『オフィス北野』にとって大打撃。『たけし軍団』の面々などは、たけしの事務所への移籍を志願するとみられています」(週刊誌記者) 渦中のたけしだが、今月5日に日本テレビ系で放送された「成功の遺伝史世界に誇る25人の日本人」に出演した際に年収を示唆する発言があった。 くりぃむしちゅーの上田晋也(47)から昨年公開映画「アウトレイジ最終章」の大ヒットについて話題を振られると、たけしは「金になんねえんだよ」と苦笑。さらに「全部税金に持っていかれるから。オレ、年間何億……10億もいかねえか、ま、そんぐらいいくんだよ、税金が」と告白したのだ。 「以前は各税務署が1,000万円以上の高額納税者を開示。それを閲覧したマスコミ各社が計算式に基づいて年収を推定し、著名人の『長者番付』として報じていました。その式に基づくと、納税額が10億ぐらいならば年収は少なく見積もっても27億円ほど。たけしさんの取り分を引いたとしても『オフィス北野』には年間数億円が入っていたでしょうから、経営危機に陥ってしまうのではないでしょうか……」(芸能デスク) たけし独立の痛手は大きすぎるようだ。
2018年03月14日北野武監督作の『アウトレイジ 最終章』で音楽を担当した鈴木慶一氏が2日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された第41回日本アカデミー賞の授賞式に出席し、最優秀音楽賞を受賞した。鈴木慶一氏撮影:宮川朋久マイクの前に立った鈴木氏は、「どうもありがとうございます。本当に驚きました」とコメント。「非常にアバンギャルドな音楽で賞をいただき本当にうれしいです。そして、その方向に『向かえー!』と後押ししてくれたのは北野監督です」と感謝の言葉を伝え、「ポップとアバンギャルドの隙間産業ならぬ狭間音楽を作って、灰になるまで走って行きたいと思います」と意気込みを述べた。また、「最後に一言だけお礼を述べさせてください」と前置きし、「音楽の道のチャンスをことあるごとに作ってくれたおふくろに感謝します。今、極楽に向かう3分の1ぐらいだと思います。だから、聞こえるでしょう。ありがとう」と母への思いで締めくくった。
2018年03月02日北野武(71)が2月24日、自身が司会を務める「新・情報7daysニュースキャスター」(TBS系)に生出演。「キタノ映画」を支えた大杉漣さん(享年66)の“早すぎる死”について初めて口を開いた。 番組では、大杉さんの特集を組んだ。冒頭では、昨年10月に「ぴったんこカン・カン」(同局)で北野と大杉さんが共演した模様を放映。北野が「浅草キッド」を歌う横で大杉さんがギターを伴奏する様子が流れると、北野は何度も目頭を押さえた。 北野が大杉さんの訃報を受けたのは「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)の収録を終えた直後だったという。 「マネージャーが『大杉漣さんがお亡くなりになりました』って俺に言うのよ。『お亡くなりになりました』はわかる。『誰が(亡くなったのか)?』。大杉漣さんはこれほど知っているのに、真っ白でわからないの。『誰?大杉漣さん?』って言ってるの」 北野は、93年に公開された映画「ソナチネ」に大杉さんを起用した経緯についても明かした。オーディションに遅れてきた大杉さんを数秒見ただけで採用した北野。「勘なんだけど、この人を使うべきだと思った」と当時の心境を語った。そして撮影が始まると、ヤクザ役の大杉さんの演技に魅了されたという。 「『全部アドリブでやって』とお願いしたら、自分でセリフを作っちゃって。それがうまくて延々やれるの」 「HANA-BI」を始め10本もの映画に大杉さんを起用した。北野は「どんな役でもやってくれた」と感謝したが、悔しそうな顔も見せた。 「いくら監督だと威張っていても、役者が支えてくれているものだとよく分かったけど、だけど早いよね」 大杉さんが最後に出演した映画も“キタノ映画”である「アウトレイジ 最終章」。北野は大杉さんの同作での役柄と、役者人生に思いを馳せた。 「申し訳ないけど死ぬ役なんだよね。すごい変な言い方だけど、俺が生かして俺が殺したみたいな妙な気になって。悲しいけど、申し訳ないなって思ってさ……」 Twitterでは北野の、大杉さんへの思いに胸を打たれた視聴者からの声が上がっている。 ≪北野武さんの大杉漣さんに対する涙に打たれてしまったな≫≪北野監督「見抜いた」「見出した」というよりは「惚れた」という感じなんですね≫≪“名匠”北野武さんと“名優”大杉漣さんの間に生まれた友情……ひしひしと伝わって来る≫ 最後まで、北野は大杉さんの死を受け入れられない様子だった。 「(今ごろ)何してるんだろう…」
2018年02月25日2月21日に急性心不全で亡くなった大杉漣さん(66)。大杉さんといえば、北野武(71)が監督を務める「キタノ映画」の常連だった。 初めてのタッグは93年の映画「ソナチネ」。同作のオーディションはわずか2秒だったという。というのも、大杉さんがオーディションの時間を1時間間違えてしまったためだ。しかし「使ってみないとわからない」と思い、北野は起用に踏み切る。 09年のインタビューで、当時を回想した北野。大杉さんのキャスティングは「成功だった」と明かしている。 「最初はそんなに出番もなかったんですけど、撮ってるうちに『この人いいな』って思って、『漣さん、悪いけど、もうちょっと出て』って言って」 あまり現場では多く言葉を交わすことはなかったというが、北野は大杉さんのことを高く評価していた。キタノ映画は一発撮りが基本。緊張感もあり、リアリティが出る。そういったシチュエーションのなかでも大杉さんにはほとんどNGがないと昨年10月のインタビューで、北野は語っている。 「キレイにセリフが言えなくても、そういう芝居に見える。実際に人がしゃべるとき、全部はっきりした言葉で、きっちり話すことなんてないし」 どんな姿であっても樣になる、大杉さんのその独特の存在感に北野は惹かれていたようだ。 しかし大杉さんの存在感に“光を当てた”のは北野だった。大杉さんは亡くなる直前、22日のインタビューで「ソナチネ」当時を回想している。同作は脚本もなく、ただ「突っ立ってて」と言われただけ。「何もせずただそこにいることは難しい」と痛感したようだが、過去にいた劇団ではそういった「沈黙」での表現を鍛えられていた。 「若い日の経験を映画で生かせた。役者としての今後に明かりが見えました」 訃報を受けた北野の様子を東国原英夫(60)は「全ての動きが止まっていた」とTwitterで表現している。その心痛は、計り知れない。
2018年02月22日関西初のやきいもフェス「神戸やきいもパーク」が、2018年2月10日(土)から12日(月・休)まで、三井アウトレットパーク マリンピア神戸にて開催される。会場には、やきいもにすると甘い蜜が出てくる「安納紅」や、栗のような甘みがクセになる幻のサツマイモ「栗こがね」、鮮やかな紫色が目をひく希少品種「桜島紫」など、個性豊かな全6品種のやきいもが集結。複数の品種を一度に楽しめる食べ比べセットも販売されるので、それぞれの味わいの違いを堪能してみてほしい。また、やきいも以外にもサツマイモを使った様々なフード&スイーツも販売。定番の大学芋やスイートポテトのほか、サツマイモポタージュなどの変り種も用意されているので、こちらも是非合わせて味わってみては。【開催概要】「神戸やきいもパーク」開催期間:2018年2月10日(土)~2月12日(月・休)時間:11:00~19:00会場:三井アウトレットパーク マリンピア神戸内 船の広場住所:兵庫県神戸市垂水区海岸通12-2
2018年02月08日●会議の末席で物語の構築をサポート映画『アウトレイジ 最終章』(公開中)に携わるスタッフたちの言葉を記録し、「アウトレイジ」シリーズ、及び北野武監督率いる北野組の魅力を探る短期集中連載「暴走の黒幕」(第1回:北野武第2回:森昌行プロデューサー第3回:音楽・鈴木慶一第4回:美術・磯田典宏)。最終回となる第5回は、『BROTHER』(01)から参加し、「アウトレイジ」シリーズ以降の北野映画でチーフ助監督を務めている稲葉博文氏。『アウトレイジ ビヨンド』(12)のラストをどのように締めくくるべきか。助監督として監督に伝えた「それだと『仁義なき戦い』ですよ」という一言がシリーズの方向性に影響を与え、大友の暴走は『最終章』で決着することとなる。北野監督が「優秀」と一目置く“右腕”が、メディア初のインタビュー取材で「北野組」と「監督・北野武」の魅力を語り尽くす。○口述の書き起こしから始まる助監督の仕事――先日、北野監督にスタッフとの接し方について話をうかがったのですが、その時に「うちの助監督は優秀だからね」とおっしゃっていました。とんでもないです。やめてください(笑)。――本当ですよ(笑)。具体的には、セリフを直してもうこともあると。お聞きになってると思うんですけど、監督は口述されるんですよ。これは本当にすごいことで。1本の作品を頭からすべて語っていくわけです。もちろんメモのようなものはいただいたりするんですが、僕が立ち会わせていただく打ち合わせでは、シーン1からすべてセリフも含めて説明されます。僕はそれを文字に起こして、齟齬があるセリフは少し直させていただいています。――まさに私のような仕事というか。言ってみればそういうことですね。聞き漏らせないので、録音もします。監督の説明が2時間ぐらいだったりすると、「今回の映画の尺はそのくらいなんだな」というのも何となく分かります。――音楽の鈴木慶一さんもおっしゃっていましたが、一堂に会しての打ち合わせなので、たまに監督のコメントが自分の担当分野についてのものなのか分からない時があると。各担当の方々もそうやって参加されているんですね。そうですね。僕も録音を後で聞き直したりしています。――具体的にどんな作業からスタートするんですか?「アウトレイジ」シリーズ、『龍三と七人の子分たち』(15)でチーフをやらせていただいています。企画が立ち上がって監督とプロデューサーが台本を作っていく過程で会議の末席に座らせてもらって、監督の話を聞いて物語の構築をサポートする役割です。1回目の打ち合わせでまとめた資料をもとに、2回目からは頭から確認していく流れです。月に1回ぐらいのペースで4~5回。そうやってシナリオを練っていきます。――北野組ならではの手法なんですか?他の映画ではあまりないと思います。――初めて担当された時、率直にどう思われましたか?北野組には『BROTHER』から参加させていただいているんですが、チーフになる前は僕の代わりをされている方がいて、そのやり方を引き継いでいます。――監督のやり方は変わってないということですね。そうですね。ただ、台本を作り上げずにその場でやっていくのが長きにわたって北野組で行われてきたことなので。僕は『BROTHER』からなんですが、その時からちゃんと台本は用意されていました。もちろん薄いんですが(笑)。――準備できることも限られていそうですね。不安になりませんか?そうですね。突然思いつかれたりすることに対応が求められる現場です。1週間で焦って準備したり(笑)。180度異なる方向転換でも、みんなついていきます。○スケジュール完了で「終わった」――音楽の鈴木さんは「引き算」の表現方法を学んだとおっしゃっていました。セリフも無駄なところはカットしていくそうですね。防波堤で軽トラが走っていくシーンがあるんですけど、軽トラの音が入ってないんですよ。これは監督が「外してくれ」と言ったから。防波堤を描く一枚画の中でいらないのは軽トラの音。つまり、音に限らず、要素として必要のないものは「画の中に存在するものでも省く」。それが北野監督のやり方です。普通なら、画の中にあるものはすべて入れたいと思いますよね。●『ビヨンド』ラストシーンで北野武に進言したこと――以前からそうなんですか?そうですね。撮り方もそうですが、常に「シンプル」を意識していらっしゃると思います。――「アウトレイジ」は北野映画で初のシリーズ。多少やりやすくなることも?ロケ場所が同じ場所になったりすると多少は楽になります。あとは「物差し」ができる。山王会の事務所がこのぐらいの広さだったら、花菱会の広さをどうすべきかとか。――北野監督は編集がいちばん楽しいとおっしゃっていました。別の作品なのですが、あるスタッフの方は試写を観てようやく自分の仕事が終わると。助監督としてはどのあたりで肩の荷が下りるんですか?どのあたりでしょうね(笑)。スケジュールを切っている立場からすると、それがすべて完了した時に「終わった」とは感じます。文字通りのクランクアップ。ただ、スケジュールは他の組よりわりと楽だと思います。みなさん空けてくださるので。そういう意味では恵まれています。――それでは助監督として一番のご苦労は?大変なこと……やっぱり天気ですね(笑)。晴れてくれればいいなといつも願っています。ただ、北野組はツイてるのでいつも晴れるんですよ。――確かに防波堤での釣りのシーンも好天。いいロケーションでしたね。防波堤は最終日の撮影でした。監督は晴れ男ですからね(笑)。とはいえ、雨が降ることも想定しないといけないので、そこの準備も含めると大変ではあります。――『ビヨンド』の時に『最終章』の構想は固まっていたそうですね。そうですね。撮影の中盤あたりから、だいたい次の作品の話がはじまります。でも僕は、「監督、まだ撮影終わってませんよ(笑)」という役割です。○「それだと『仁義なき戦い』ですよ。菅原文太と同じです」――監督はご自身を介護老人タイプとおっしゃっています(『全思考』幻冬舎文庫より)。これだけの作品を一緒に作っていくとどこかでお友だち感覚になるので、仕事上の付き合いであることを意識していると。僕もどちらかというと考え方は同じで。他の監督でもそうなんですが、シンクロすることは大事なんですが、一方で批評の目も大事だと思います。絶対的に他者の目でその作品に臨む。なあなあで監督を褒めて監督の望むことを100%やるのは実は正しくないのではないかと。僕等が加わったことで、その作品に何かしらの良い影響をもたらした時に、初めて僕らの存在価値が生まれる。どういう場所でもそうですが、「こういう考えもありますよ」と問いかけることができるのが僕の立場。それは忘れてはならないポイントです。みなさんプロの方々なので、基本的には北野組の求心力でまとまっているんですが、「一歩立ち止まって見る」という一貫した視点があります。――監督に問いかけたことで覚えていらっしゃることは?『ビヨンド』のラストシーンですね。もともと大友は、片岡の銃を受け取って葬儀会場に入っていく予定でした。僕からは、「それだと『仁義なき戦い』ですよ。菅原文太と同じです」と言わせていただいて。ロケハン先で『仁義なき戦い』を観てもらって、「こうなってます」と。――ロケハンで(笑)。どんな反応でしたか?「もう一度考えてみよう」みたいなことをおっしゃっていました。――北野監督を取材してあらためて思ったんですが、自分たちが小さい頃から観てきた方が目の前にいて、いつもなら仕事に徹することができても、そういう平常心を突き破ってくるような存在感があるというか。ただ、北野組に入ったらそんなこと言ってられないということですよね。そうですね。もちろん緊張しますよ。でも、それは置いといて(笑)。――でも、北野監督に進言するのは相当な勇気を伴いそうですね。なかなかシビレますよ(笑)。でも、監督は立場関係なく意見は聞いてくださるので。――あとはあまり怒らないとも。そうですね(笑)。基本的にはすべてスムーズです。●「アレどこにやった?」の理解力――『BROTHER』から加わると決まった時はどう思われましたか?学生時代から観ている映画監督ですし、北野組は前から参加したいと思っていたのでうれしかったです。学生時代から映画作りに関わって、いろいろな現場のお手伝いをしていたんですよね。その時にカメラマンさんに「好きな映画監督は誰なんだ」と言われて、亡くなられた監督を数名挙げたんですが、「そうじゃなくて、お前が仕事をしてみたいのは誰なんだ」と。そこで答えた方の一人が北野監督でした。――なぜ一緒に仕事をしてみたいと?それはもちろん、映画が面白いから。どうやって撮ってるんだろうとか。実際にこうして現場に入らせていただくようになって、その場その場で変わっていくのを目の当たりにした時は衝撃でしたね。今でも覚えているのは、加わって間もない頃。ものすごく前から大きなクレーンを準備していたんですよね。でも、監督が入ってきていきなり「それ、いらない」。もうね、「えっ!?」ですよ(笑)。それはすごく覚えていますね。衝撃的でした。もちろん上では話し合われていたことですけど、当時の僕はペーペーだったので。今の僕は監督の傍について、変更があってもその過程を把握しているから驚かないですけど、下の人間にとってみれば「なんでいらなくなったの?」と思うことはあると思います。今回の『最終章』でいうと、部下の2人が急きょ殺されることになったんですが、それも撮影中に決まったこと。事前に渡された台本には書かれていないことですから、当然驚きますよね。セリフも現場判断で変わって、変更があるセリフは紙に書いてキャストのみなさんに渡しています。○老夫婦のような関係を追い求めて――北野組初のシリーズものが完結。クランクアップはどのような雰囲気でしたか?通常だったらスタッフが声がけをして拍手みたいな感じですよね。花束を渡したり。それは普通にやりますよ。でも、昔から打ち上げはないんですよね。少なくとも僕が加わった時からありません。もちろん、メインスタッフと一緒に地方に行ったりした時にたまにお酒を飲むことはあります。監督も連れて行ってくださいます。これがね、緊張して酔うんですよ(笑)。そういう緊張感は作品を重ねても変わりません。――それでは最後に。助監督から見て、北野監督の魅力とは?とにかく処理能力がすごい。その上、映画以外の分野にも手を広げている守備範囲の広さというか。台本を作るときに口述で全部言ってみせるというのも、常人ではマネできません。助監督はみんなそうだと思うんですけど、監督が「アレどこにやった?」とかの「アレ」がだいたい分かる。それは老夫婦のような関係。そういうことは、助監督にとってとても大切なことだと思っています。つまり、「アレ」までには流れがあって、何が必要なのかというのを一緒にシンクロして理解している状態。それが監督と助監督の良好な関係性です。■プロフィール助監督 稲葉博文(いなば・ひろふみ)1973年2月16日生まれ。神奈川県出身。北野組には『BROTHER』(01)以降参加し、助監督としては『アウトレイジ』(10)『アウトレイジ ビヨンド』(12)『龍三と七人の子分たち』(15)に続き4作目。北野武以外にもこれまでに携わってきた監督は、廣木隆一、中田秀夫、三池崇史、滝田洋二郎、黒沢清、塩田明彦、万田邦敏、青山真治、冨永昌敬、水田伸生、瀬々敬久など多岐にわたる。近作は、『ミュージアム』(16/監督:大友啓史)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17/監督:廣木隆一)など。
2017年11月13日●事故後『キッズ・リターン』の色に変化映画『アウトレイジ 最終章』(公開中)に携わるスタッフたちの言葉を記録し、「アウトレイジ」シリーズ、及び北野武監督率いる北野組の魅力を探る短期集中連載「暴走の黒幕」(第1回:北野武第2回:森昌行プロデューサー第3回:音楽・鈴木慶一)。第4回は『みんな~やってるか!』(95)以降、北野映画の世界観を担ってきた美術・磯田典宏氏。セリフや編集、音楽に対する「引き算」的思考。徹底して無駄を省く中でメッセージ性を際立たせる北野イズムは、『アウトレイジ』(10)、『アウトレイジ ビヨンド』(12)に続いて完結する3部作の美術にどのように落とし込まれているのか。監督を"異業種"時代から支え続け、『BROTHER』(01)では異国の架け橋にもなって「引き算」を貫いた磯田氏。「まぁ、いいか」の逃げ道を選ばず、「片目つぶって、やっちゃえ」の覚悟には美術部の矜持が光る。○キアヌ・リーブス共演『JM』で「これでいいのか?」――北野監督作は『みんな~やってるか!』から参加されたそうですね。そうです。その前に、監督が出演した『教祖誕生』(93)を担当したことがきっかけです。『みんな~やってるか!』はシチュエーションがとにかく多かったので、助手さんをシーンごとに担当を割り当てて、その全体を統括するのが私の役目でした。「時代劇とSFはこの人で、ハエ男はこの人」みたいに。――「監督から具体的なオーダーはない」ということが複数の方の取材から分かりました。当時はいかがでしたか?『みんな~やってるか!』の撮影中、『JM』(95)というキアヌ・リーブス主演のハリウッド映画に出演されるため監督が一度抜けたことがありました。帰ってきて、美術に関して若干のイメージ変更があったのは、ハリウッドの影響を多少受けた部分もあったのではないかと思います。『JM』はほとんどがスタジオセット。日本の貧相なセットと比較すると「これでいいのか?」と思われたんでしょう。そのような経緯でイメージ変更していったような記憶があります。当時、監督は「自分は異業種」と感じていらっしゃった頃ではないかと。監督以外のメインスタッフは、映画でそれなりに実績があるスタッフばかり。そういう人たちが用意してくれたものに対して、「文句を言うべきではない」という思いもあったのではないかと。あれだけギャグ満載の映画なので、作り込んでいくのは相当な時間がかかります。コメディ要素が強いからこそセットは中途半端なものではなくて、よりリアルに作り込まないと面白くなりません。ハエ男は当時の特撮技術でどれだけのことができるのかも踏まえて、こだわり抜きました。――これまで14作を共にされていますが、どのあたりから監督が「異業種」ではなくなったと感じていらっしゃいますか?『みんな~やってるか!』が終わって、監督は事故に遭ってしまいました。その時のリハビリで絵を描きはじめて、イラストからはじまってどんどん大きいサイズになっていって。そうやって絵を描き続けていくと、「色」にこだわりが出てくる。『みんな~やってるか!』の時は完全にわれわれにお任せというか、相談ではなくて「これでいきます」という報告みたいなやりとりでした。事故後、『キッズ・リターン』(96)は「色」へのこだわりが出た作品です。「こういう色を使いたい」みたいな、具体的な注文もありました。――北野映画には、そうしたご自身の体験が映し出されているわけですね。その後も数々の作品を経て、『アウトレイジ』ではどのようなオーダーがあったのでしょうか。もう7年も前ですからね(笑)。登場人物たちは黒系統の衣裳なので、寄り画の時に違いが出るように気をつけました。北野映画にはたくさんのヤクザが登場しますが、必ずその事務所も出てきます。組長のデスクがあれば、その背景には代紋があって。飾りも含めて、過去の映画作品などを徹底的に調べ上げて、「これまでにないもの」を目指しました。監督と美術の関係は監督からの一方的な指示ではなく、美術パートが美術設定をしていきます。関西と関東で衣裳のトーンを変えて、それにともなってバックグラウンドをどれぐらいの色に持っていこうとか。例えば寄りの画でも、「花菱会のヤクザ」というのが伝わらないといけない。すべてセットでまかないきれないので、ロケセットで内部を加工することも想定したりするので衣裳合わせのやりとりもとても重要です。○たけし絵画をすべて使った『アキレスと亀』――『ビヨンド』『最終章』で登場する張会長(金田時男)の大豪邸。彼の権力の象徴しているような画力がありました。あれ、結婚式場なんです。――えっ!? そうなんですか。張会長が韓国のフィクサーでそれなりの権力を持っているとなると、相当な広い空間を贅沢に使うというのが課題になりました。それをセットで作るとなると難しいので、撮影が可能な大豪邸、並行して結婚式場のような施設も相当な数を見ました。あの長いテーブルと細長い部屋で会長の権力を象徴的に見せたかったんです。●"引き算"の許可が必要だった『BROTHER』――北野監督はどのタイミングで現場を確認されるんですか?事前に監督と製作部が話し合って、各担当はその監督イメージをもとに候補案を上げます。監督抜きのメインスタッフで話し合ってから、ロケハンに。大豪邸で芝居に使えそうなのがどこなのか。美術のアイデアを固めたら、監督抜きで撮影や照明も含めて見に行って、最終的には「A案、B案のどちらか」みたいに絞り込み、それから監督とのロケハン。監督には私が用意したイメージスケッチを片手に現場に立ってもらいます。一連の流れは結構時間をかけてますね。披露宴会場だけを見せるわけにもいかないですから。イメージスケッチを元にそこで監督のやりたい芝居も何となく見えてきます。これまでの14本の中で印象的だったのは『アキレスと亀』(08)。監督自身が描いた絵を全部使ってあるんですよ。少年期から年代ごとに3つの画廊が出てくるんですが、監督からは「各時代の違いを出したい」というお話があって、全部任せてくださいました。各時代に合った絵の額縁を業者さんに相談して、監督からもその都度リクエストが出て。もっとも効果的なものが何なのかをじっくり監督と話し合えたのは面白かったです。それから、監督が描かれた完成形の絵とは別に途中経過の絵も用意する必要がありました。監督は自分で描くとおっしゃっていたんですが、当然作る時間がない。最終的には美術部で用意することになりました。あの作品は美術装飾的にも面白い仕事でしたね。――北野組の現場では、監督のインスピレーション次第で変更になることもあると聞きました。美術周りでそのようなことはありましたか?急きょ変更になったことで思い出されるのは、『みんな~やってるか!』の銀行強盗。銀行の中で全員警察官のシーンがありますよね。あれ、当初は予定されてなかったんです。たしか、撮影当日だったかな。監督から「全員を警察官にしたい」というアイデアがあって、警察の衣裳装具が間に合うかの勝負でした。そういう、突然のひらめき。「すぐに撮りたい」ということではなくて、「こういうことをやりたいけど、今日中に間に合うならばやりたい」みたいに気を使っていただいています。――「アウトレイジ」では?比較的スムーズでした。『ビヨンド』の花菱会は神戸でロケをやっていて、実際の建物を使っています。『最終章』の事務所はすべてセット。セットを組んだ後、芝居の都合によっての変更案は監督からいくつかありました。――大友がマシンガンで蜂の巣にするシーンがありますが、あれもセットですか?あれは実際にあるホテルです。本当はスタジオで撮った方がもっといろいろなことができるんです。消え物といわれるテーブルの上のオードブルは床に落ちるとシミになるので水っぽいものは使えません。ロケセットでは、そういう制約も出てきます。○ハリウッドスタッフ「なぜ省くのか?」――音楽の鈴木慶一さんは監督との仕事の中で「引き算」を学んだとおっしゃっていました。不自然なもの、無駄を省いていくのは今回のシリーズでも踏襲されていると思うのですが、美術において「引き算」的なやりとりはありましたか?『HANA-BI』(98)は、たしかにどんどん引いていきましたね。引き算の美術。キャラクターの個性を出すには、いろいろなものを飾っていく、つまり足していくと出やすくなるし、引いていくことによって出にくくなる。引いていった場合、個性として見せたいポイントに何を置くのかが重要になるわけです。『BROTHER』もそうです。逆に『龍三と七人の子分たち』(15)はコテコテ(笑)。龍三のキャラクターを強く出すためには必要だったんです。それぞれの世界観にもよりますが、やっぱり全体的に見ても「引き算」的なやり方だと思います。必要以上に物を飾らない。『BROTHER』の時、ハリウッドで向こうのデコレーターに「とりあえず飾ってくれ」とお願いをしましたが、加えて「引き算」があることはあらかじめ言っておかないと対応してくれません。「なぜ省くのか?」となるわけです。つまり、置かれた物をいじる許可が必要なんです。――日米合作では、そういう違いもあるんですね。そうですね。プロダクションデザイナーという肩書きで現場に立つ以上、責任もあるし権利もある。私の一言ですべてが変わることもあるんですが、向こうは各ポジションでの責任がある。「飾り終えたもの」を確認してOKだったら、もうそれは動かせないんですよ。撮影中にやむを得ず動かさなきゃいけないとなった時に、そこに置いた人から「動かす」許可をもらうことが必要なんです。でもその人は現場にいない。僕らは触れられないから、現場担当者からデコレーターに電話してもらいます。「なぜ動かすのか?」「前もって決めてたじゃないか?」みたいにこじれるわけですが(笑)。ハリウッドは、そういうシステムみたいです。最終的には北野組のやり方に従っていただきましたけどね。「もう、しょうがないね」ということなんでしょうね。●「歩いたら終わり」「やっちゃえ」の境界線――どのような流れで日米のスタッフが結集したんですか?まずは、ユニオン(ハリウッドにおける俳優やスタッフなどの労働組合)を通して助手さんを手配します。美術部は面接をして、アートディレクターとセットデザイナーを何人か。合作映画は注目度が高いから、みんな参加したがるわけですよ。そうやってみなさん実績を作って、後の仕事をとっていく。1999年当時、北野組はヨーロッパの方では有名でしたが、ハリウッドではそこまでじゃなかったと思います。面接で対象となるのは、最低でも5人。こちらからお願いしていたのは「日本人を2人、残りを外国人」だったんですが、これは通訳的な人材も必要だったから。ところが、現地スタッフは「仕事に集中したい」「私は通訳じゃない」と言うわけです。そういう流れで、全員外国人のスタッフを起用することになりました。ユニオンには各作品の撮影案内が貼り出されています。各スタッフは、それを見て自分が参加したい作品に応募します。面接は、1人につきだいたい1時間。『GODZILLA』、『スターウォーズ』、『ターミネーター』など、有名作品を手掛けてきたスタッフもいました。その中で、2人が『キッズ・リターン』を観てきて、きちんと分析していたんですよね。赤と青のジャージを着ているけど、それはどういう意味なのかとか、すごく熱心に質問されました。ただし、プライベートな質問は一切禁じられています。――それだけの文化の違いがあるわけですが、また合作映画をやりたいというお気持ちは?やりたいですね。しがらみが一切なくて、本人が自ら選んで来ているわけですから。逆にプロデューサーからは「できなかったらクビにして構わない」と。一方で、仕事ができなかったら僕のこともクビにすると宣告されていました。たしか……美術予算をオーバーしたら即クビだったかな? セットデザイナーとの打ち合わせで僕のプランを伝えて、大道具さんも決まっているからそのまま予算内にできるのかを調整してもらいます。映画のためにプロダクションの1フロアーが貸し切ってあって、撮影が進むにつれて予算が膨らんでいくと呼ばれてチェックされます。美術はお金かかりますからね。考え方次第で結果が違うのはよくある話なんですけど。全部が全部100%の力でやるとお金が足りなくなるのは日本でも同じこと。ただし、「ここぞ」という時には装飾、美術にお金をかけるタイミングが絶対に来る。片目つぶって、やっちゃえみたいな(笑)。○「監督が歩いたら終わり」の緊張感――「アウトレイジ」シリーズでもそんな場面はありましたか?張会長の長テーブルでしょうね。僕が最初に考えていた長さに、さらに2メートル足しましたから(笑)。最初は「これでなんとか行けるだろう」からスタートするんですよね。大道具との打ち合わせでも常に考えていて、何度も下見をする。「予算オーバーするかもしれない」という危機感があっても、ここで2メートル足すことによって効果的になるのであれば思い切りも必要。椅子と床の敷物を増やしたりとか、別の問題も出てくるんですけどね。ただ、ここでの「まぁ、いいか」は後々自分が後悔することになる。後悔するくらいだったら、別のセットで節約したり、調整すればいいわけです。大切なのは、「張会長をどれだけ大きく見せられるか」「空間をどのように切り取るか」です。――決められた予算内でやりくりするのは、日米問わず同じということですね。ただ、美術的には「ここはこだわらないと」というポイントが必ずある。「お金がないからしょうがない」で諦めてしまうこともありますが、結果的に映画を観た時に残念な気持ちになる。もうちょっと考えられることがあったんじゃないかな、と。美術はいちばんお金を使うところでもありますから、「金食い虫」なんて言われることもありますけどね(笑)。――監督はあまり感想や評価などを口にしないとも聞きましたが、美術に対してはいかがですか?たしかにありません(笑)。昔、監督と一緒にロケハンした時のことなんですが、車から降りた時に「ここですよ」と案内した時の反応。それがヒントでした。監督がどんどん歩いていくと画角を狭くしているということなので、監督の中では納得していない。当然、われわれは納得してもらえる場所を探すつもりではあるんですが、監督はそこで何とかしようと整理する。一時期言われていたのは、「監督が歩いたら終わり」でした(笑)。――車から降りた時が運命の瞬間なわけですね。そうそう。「監督、違う方を見てます!」とかハラハラしたのを覚えています(笑)。■プロフィール磯田典宏北野武監督作品には『みんな~やってるか!』(94)以降、14作目の参加。『のぼうの城』(11/監督:犬童一心、樋口真嗣)で日本アカデミー賞最優秀美術賞、『Dolls [ドールズ]』(02)、『座頭市』(03)で同賞優秀美術賞を受賞。近作は、『想いのこし』(14/監督:平川雄一朗)、『おかあさんの木』(15/監督:磯村一路)、『四月は君の嘘』(16/監督:新城毅彦)、『ReLIFE リライフ』(17/監督:古澤健)、『ピーチガール』(17/監督:神徳幸治)など。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会
2017年10月27日●『最終章』でも「この音いらない」映画『アウトレイジ 最終章』(公開中)のスタッフたちの言葉を記録し、「アウトレイジ」シリーズ、及び北野武監督率いる北野組の魅力を探る短期集中連載「暴走の黒幕」(第1回:北野武 第2回:森昌行P)。第3回は『座頭市』(03)以降、北野映画の"音"を担う音楽家・鈴木慶一に迫る。はちみつぱい、ムーンライダーズ、THE BEATNIKSなど音楽界のレジェンドともいわれる鈴木は、『アウトレイジ』(10)、『アウトレイジ ビヨンド』(12)、『アウトレイジ 最終章』の3部作で「恐怖」の新境地へとたどり着いていた。北野監督との出会いは80年代までさかのぼる。『ひょうきんスペシャル』(フジテレビ系)の侍コントに山賊役で出演。奇しくも時代劇つながりでもある『座頭市』で日本アカデミー賞の最優秀音楽賞を受賞し、「恐怖」の扉はゆっくりと開かれた。北野監督の"引き算"によって導き出された楽曲がサントラへと集約された時。鈴木は「なんだ、これは」と自ら驚愕しつつ、音楽家としての喜びも噛みしめる。○イメージは「哀しいよね」の雑談から――ついに「アウトレイジ」シリーズが完結を迎えました。鈴木さんの耳には、どのように伝わっていたんですか?世の中には「3部作」といわれるものが沢山あるので、なんとなく3作目で終わるのかなと思ってましたね。台本を頂いて、そこに「最終章」と書いてあったので「あ、終わるんだ」と。『ビヨンド』の時には何も聞いていなかったんですよ。1作目のラストで大友が刑務所で刺されたから、「これで終わり」と思いました。でも、『ビヨンド』で生きていた(笑)。次から次へと出演者が死んでいって、『ビヨンド』では大友が間違いなく生き残った。だから、次も作るのかなという予感はしていました(笑)。――ということは『最終章』よりも、『ビヨンド』の話が来た時の方が衝撃は大きかったんですね。そうですね(笑)。――そんな中で迎えた『最終章』。シリーズが終わるということに加えて、裏社会に生きる男たちの哀しみを象徴したようなメインテーマ曲でした。確かに「哀しさ」は共通認識ですね。北野監督や森昌行プロデューサーをはじめ、スタッフの間では「哀しいよね」みたいな雑談がありました。――毎作品、そのようにテーマを設定して楽曲制作に入るんですか?特に具体的な指示はないんですよ。あったとしても、例えば『龍三と七人の子分たち』(15)では「タンゴでいきたい」ぐらい。いつもイメージの元となる一言は頂いて、それに即した3~4曲を作ります。ただ、監督の耳は別のところに向いていることもあって。監督の言葉をヒントに作った数パターンの曲でも、選ばれるのは最初の一言と違っていたりもします。でも、それがいいんですよ。具体的な音を聴いてイメージされるので。――「哀しみ」といっても、かなり抽象的ですね。「哀しみ」の感じ方は人それぞれですからね。言葉にできない。だから、監督もイメージを伝えるのは難しいと思うんですよ。当然、こちらも。ではどうすればいいのか。実際に作った曲を聴いてもらうしかない。3作で共通しているのは、メインテーマがオープニングタイトル周りに使われることです。まずはそれを数曲作ることから取り掛かります。そのうちの1曲を別の場所に使ったり、結局は使わなかったりすることもあって、また作り直す時もあります。最初に台本を読んでラッシュを観る。その中で、いろいろなパターンをイメージします。こちらの考えを数種類で提示して、そのうち監督の中でヒットすれば決まる。そこから発展させています。――監督の心に響いた時は分かるものなんですか?わかりますよ。「いいね」って。――ずいぶんとあっさりですね(笑)。そうですね。1作目は今から7年前になりますが、確認の仕方も技術的にかなり進歩しました。最初はCDプレイヤーを渡して、モニターで流す映像に合わせていました。今はPCを持ち込んで、映像に貼り付けたものを流してチェックしてもらっています。そして、その場で「この音いらないかな」で間引いて消したり、伸ばしたり、繰り返したり。そうやって最終テイクに近いものを早い段階から聴いていただいています。○監督立ち会いの確認「ヒリヒリします」――北野作品は5作目ですが、監督のイメージしていることも掴みやすくなりましたか?過剰なメロディやリズムは必要ない。トゥーマッチなものは不要なんです。ドラムとベースで作るリズムを寸断してしまったりとか。あとは音響効果の柴崎(憲治)さんが、車の走る音を低音でいれたりするので、ベースもいらなくなるんですよね。通常、ベースでリズム的なノリを出すんですけど、結局はなくなるから最初から入れなくなりました(笑)。――柴崎さんとは『座頭市』(03)以降、5作品でタッグを組まれていますね。私は音楽的なところから外れて音響効果さんの領域も作ってしまうので、柴崎さんとのやり取りがとても重要なんです。作品を重ねるにつれて、柴崎さんも「この人、ここまでノイズのような音を作ってきたのか」と思われているんじゃないかな(笑)。効果音が完成するのは、制作過程での終盤です。映画は、最終ダビングでセリフと効果音と音楽を重ね合わせて、1つのサラウンドミックスを完成させるイメージ。具体的に効果音をハメていくのはそこなんです。最後の最後。そこで修正が発生するので、PCを持ち込んでその場で手直しをする必要があります。●「おしゃべりではない音楽」とは――北野作品以外では、あまりない手法なんですか?ないですね。他の映画の場合は、「これでどうでしょう」に「いいですね」みたいなやりとり。ダビングの時に当ててみて、あとは音量で調節したりしています。北野映画の場合は、音量ではなくて「この音いらない」なんです。音を除くためには、オリジナルのマルチトラックのデータ(パートごとに個別の音が収録されたもの)を持ち込まないといけない。多くの映画の場合はシステムミックスといって、リズムはリズムでバラバラに渡して「抜きたいところは抜いてください」。それを音響効果さんに任せたりすることもありますが、北野映画の場合は私やエンジニアがいて、柴崎さんともやりとりする。試行錯誤しつつ、音楽のOKが出たとしても最終的な音響効果さんとのやりとりで変更が出る場合もあるからです。最終確認にはもちろん監督も立ち会われます。30分ぐらいの1ロールを見て、修正点の指示があって、1時間ぐらいの休憩時間中にみんなでバーっと直す。ヒリヒリします。監督が私の隣に座っていて、緊張感ありますね(笑)。そうやって最終段階で急速にブラッシュアップされるのが北野映画です。――先月発売された『最終章』のサントラには、そのような苦労の末に生み出された楽曲が収録されているわけですね。サントラの収録曲で、映画に使われたのは17曲。アウトテイクが11曲です。もっとあるけど、似たような曲のアウトテイクなので。ピアノが入っているだけのようなものは省きました。本編とアウトテイクを聴き比べて「この曲が使われたのか!」みたいに楽しんでほしいですね。これまで通り、オープニングに流れるメインテーマのアレンジバージョンがエンドロールに使われています。実はメインテーマにはもっとメロディがあったんです。エンドロールに使われた曲になりましたが、「♪パパ~ン」の後にすごく隙間があるでしょ? あれは最初、繋がっていたんですよ。でも、念のためにすごく隙間がある別パターンの曲を作って聴き比べてもらいました。これは『ビヨンド』のエンディングテーマのトランペットもそうだけど、すごく間がある。同じ手法ではあるんだけど、監督はそっちを選ばれた。要するに、メロディが少ないもの。より抽象的ですし、「おしゃべりではない音楽」とでもいいましょうか。――無音にすることは勇気がいることですよね。本当にそうです。音楽を作っている身としては、無音になることが一番恐いわけで(笑)。次に出る音がどのような映像と重なるのかも重要ですから。無音とはいえ、「音」はつながっているわけですよ。そういった無音の間が湿り気のなさを演出しています。「アウトレイジ」の登場人物たちは、たまたまヤクザになってしまった人もいるでしょう。立場上、誰かを殺さなきゃいけなくなるし、どこかで責任をとらなきゃいけないところがある。何よりも大事なのは義理と人情。そういった哀しさに満ちています。打ち合わせでみんなが「哀しいよね」と言っていたのはこれで。ドライな感じを出すためには、「音を引いた方がいい」ということが分かりました。監督の言うとおりなんです。○『ひょうきんスペシャル』共演の縁――北野監督から音楽について感想を言われたことはありますか?そういう話をどこかでされているみたいですが、私に直接はないんですよ。不安ではあるんですが(笑)。確認するために映像を見ながら、監督は同時にいろいろなことを考えています。セリフ、音楽、音響効果、編集。「この車の音違うな」とか、そんな一言があるとそれが何のことを指しているのか考えます。音楽について言っているのか、音響効果について言っているのか、セリフに対して言っているのか。それを同時にしゃべる方なので。スタジオでバーっといろいろなコメントがあって、それを「俺の担当部分かな?」と気にしながら直しています(笑)。――そこで監督が話したことは何かに記録しているんですか?レコーダーに録音してあります(笑)。――最初の『座頭市』の頃からですか?いや。『ビヨンド』から録音するようになった。「監督すみません、録音していいですか」と確認して。でも、その時に言ったことでも、後日変わることもありますからね。あまり意味はないのかもしれないけど(笑)。――なぜ、『ビヨンド』から録音しようと思ったんですか?何に対しての意見やアイデアなのかをはっきりさせるために。1作目の『アウトレイジ』の時は、音楽を聴いていただいて、監督がいろいろなことをおっしゃって帰られた後に、スタッフみんなで集まって、「あのことは何に対して言っていたのか」を確認し合っていたんですよ。そんなことがあったから、録音しといた方がいいかなと。ただ、『最終章』で聞き返すことはなかったですね。ただ、セーフティーのためです(笑)。●完成したサントラ「とんでもないものを作ってしまった」――『ほぼ日刊イトイ新聞』の取材で、北野監督との出会いについて話されていましたね。『ひょうきんスペシャル』の出演が初対面だったそうですね。それ以降、ご一緒することはありませんでした。『座頭市』の時に、(オフィス北野)の森(昌行)社長が「『ひょうきんスペシャル』に出ていた鈴木さんです」と紹介してくれたんですが、「そうだった?」と言われました(笑)。『チキン・ハート』(02)という映画の音楽を担当したことがあって、その監督がかつて北野組で助監督をされていた清水浩さんだったんですが、プロデューサーでもある森社長からお声掛けいただいて、そこからオフィス北野とのおつき合いが始まりました。――北野監督との最初のタッグとなった『座頭市』は、第27回アカデミー賞の最優秀音楽賞、第36回シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀音楽賞を受賞。何か変化はありましたか?世間の評価が高まろうと、自分が次に担当する映画にどんな音楽をつけるのかが最重要で。どれだけ高く評価されたとしても、音楽というのは因果な職業なんです。次の仕事で「この人ダメだ」と言われたら、もう「ダメな人」になっちゃう。目前の映画に対してどんな音楽をつけるのか。それで手一杯だね。――なるほど。これまでバイオレンス系のヤクザ映画を担当されたことはなかったと思いますが、率直にどう思われましたか?うーん……わたしは普段からスプラッター系やホラー系ばかりを観ているので(笑)。ハッピーエンドの映画はあまり観ないんですよね。それは慣れているんですが、日本のヤクザ映画は若い時以降はあまり観てなかったので、新鮮な気持ちでした。残酷なシーンがいっぱい出てきますけど、全然平気なんですよ。痛そうだなと思うくらい(笑)。○北野武と出会って変化したこと――こうして結末を迎えたわけですが、あらためてシリーズの魅力は?バイオレンスなんだけど、脚本が非常に込み入っていていろいろな人が出てくる。覇権争いの中で、最終的に誰が残るのか。結局、インテリヤクザが残ったりして、経済が絡み合ってるよね。調子に乗ると死んじゃうし。それから、大友という人は『座頭市』の盲目の剣士・市と近いと思う。市があの宿場町に来なかったら、あんなことにはならなかった。――そうですね。大友と関わると、結果的に死んでしまう人がほとんどですからね。そうそう(笑)。殺されたり、企んでいたことが暴かれて破滅したり。大友という人がいることによって、起きなくてもいいことが起きる。でも、そこが面白いところですよね。3作目に臨む時、台本を読んで思ったのは、登場人物を思い出さなきゃいけない(笑)。誰が死んで、誰が生き残ったのか。あとは組も沢山出てきますからね。――大友じゃないですが、北野監督と出会って音楽面で変化、影響はありましたか?それはマイナスするということ。引き算。監督はひたすらマイナスしていく。私が個人的にソロで作る時も、極力過剰にならないようにしています。もちろん、過剰なものを意識する時もありますけど。常に過剰なものを作っていた気がするので、それが変わったかな。マイナスしていくことは、さっきも言ったけど恐いことなんです。ここにこんなに空間があっていいものだろうかと。例えば、湖に車が落ちるシーンありますよね? 西田(敏行)さんが「寿司でええんや」みたいにぼやいているとこ。そこはベースしか入ってない。もうちょっといろいろな音が入っていたんですけど、どんどん抜いていって、残ったのは低音のベース。サントラ盤のマスタリングで「なんだ、これは」って毎回思うんだよね。3作目のサントラは本当にアバンギャルドになってしまった。映画で使われた17曲を聴いても、「なんだこれは?」となってしまう(笑)。――確かに、1曲だけ聴いてもなかなかその場面が思い浮かびません。うん。ディテールにこだわったものが積み重なって映画になる。音楽もそうなんだけど、音楽は音だけなんだよね。音で空間を作って想像を働かせる。もともと音楽の中でもそういうことをやります。それがセリフや柴崎さんの音と絡み合って1つの作品になる。サントラではその一部分を聴けるわけで、だからものすごいアバンギャルドなんです。――ほかの映画と何かが違うと感じるのは、音楽の独特の手法も関係しているんですかね。そうだね。音楽ではない音楽。映画を作るときは共同作業なので夢中になって気づかないんだけど、サントラを作っている時にハッと気づく(笑)。これは恐ろしいものができてしまったなと(笑)。『ビヨンド』も頭のところなんて、ギターのフィードバックしか入ってないので。マイナスした結果、そうなった。でも、それこそがサントラなんですよね。――恐ろしいサントラが完成してしまったわけですね(笑)。そうそうそう(笑)。マスタリングの最終作業で、曲順を並べ変えてバランスをとって、レベルを一定にして。そんな時にハッと気づく。とんでもないものを作ってしまったと(笑)。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会■プロフィール鈴木慶一1951年8月28日生まれ。東京都出身。1972年にロックバンド・はちみつぱいを結成。1975年には、ロックバンド・ムーンライダーズを結成し、アルバム『火の玉ボーイ』(76)でデビューした。以後、30年以上にわたって精力的に活動するが、2011年に無期限活動休止を発表。2013年7月、新バンド・Controversial Sparkを結成。北野作品では『座頭市』(03)、「アウトレイジ」シリーズ、『龍三と七人の子分たち』(15)で音楽を担当している。
2017年10月20日都市型焼き芋フードフェス「品川やきいもテラス2018」が、2018年1月30日(火)から2月5日(月)まで、JR 品川駅前・品川シーズンテラス イベント広場で行われる。約3万人を熱狂させた“やきいもの祭典”「品川やきいもテラス」は、全国からスペシャルな焼き芋が集結するフードフェスティバル。2017年1月に行われた第1回目のイベントでは、10代から60代まで幅広い世代の女性を中心に、全7日間で約30,000人が来場した。全国からこだわり&人気のやきいもが15店舗第2回目となる2018年は、前回に比べて会場を2倍に拡大。出店も15店舗に拡大される。会場には北は山形県鶴岡市から南は鹿児島県西之表市まで、全国14地域から厳選された“幻の焼き芋”が並ぶ。あふれだす蜜、濃厚クリームのような食感東京・品川の焼き芋pukupukuから、“紙袋では持てないほど”あふれだすカラメル色の蜜とチーズケーキのようなモチモチ食感が特徴の「超蜜焼き芋」が登場。神奈川・藤沢の「SEAED」は、高級ようかんのように濃厚な焼き芋を品種を変えて日替わりで発売する。バラエティ豊かな品種の芋を食べ比べられる千葉・柏のおいもやさん moimoiや、蜜けんぴなどこだわりメニューも展開する東京・文京のあめんどろなど、名店が勢ぞろい。焼き芋は、濃厚クリームのような食感の「しっとり系」、 ライトな甘さの「ほくほく系」など幅広くラインナップし、中にはなかなか味わうこと出来ない希少品種も揃う。源泉直送足湯&手湯、野外こたつもまた、やきいもをゆっくり楽しめるよう会場には「道後温泉」「嬉野温泉」源泉持ち出しの「スペシャル足湯&手湯」を用意。さらにアツアツのやきいもを頬張りながら温まる「野外こたつ」も設けられる。【イベント詳細 】品川やきいもテラス 2018開催期間:2018年1月30日(火)~2月5日(月)時間:11:00~18:00会場:品川シーズンテラス住所:東京都港区港南1丁目2番70<参加予定店舗>15店舗※一部変更の可能性あり焼き芋pukupuku、Minimal Veggie、熟成やきいも専門店SAZANKA、SEAED、よっしーのお芋屋さん、おいもやさん moimoi、芋やす、石焼き芋のぐち、OIMO cafe、こだわりの石焼き芋専門店 ヒゲ商店、やきいもコロ、HAPPY GATE、芋仙人、あめんどろや、倉田屋
2017年10月15日●「何を撮るべきか」混迷期の3作を経て映画『アウトレイジ 最終章』(公開中)に携わるスタッフたちの言葉を記録し、「アウトレイジ」シリーズ、及び北野武監督率いる北野組の魅力を探る短期集中連載「暴走の黒幕」。第2回は『その男、凶暴につき』(89)以降、全ての北野作品のプロデューサーを務めている森昌行氏(第1回:北野武監督)。『アウトレイジ』(10)、『アウトレイジ ビヨンド』(12)に続いて完結する3部作は、どのような経緯で生まれたのか。出演者と番組スタッフの関係から、やがては18作もの映画を生み出す監督とプロデューサーの関係に。北野監督と森氏は30年以上のつき合いがある中で自然と距離を取り始め、「友人」ではなく「同志」となることを選んだ。北野武の作家性を「振り子」と表現する森氏。北野映画の“黒幕”ともいえるプロデューサーは、摩擦や抵抗、重力の中で揺れ動く振り子を冷静に見つめながら、自らの喉元に刃を突きつけるがごとく決断を下していた。○「本当に撮りたいものが分からない」――作家性の強い作品からの転換が『アウトレイジ』だったと聞いています。そもそも、『アウトレイジ』はどのような経緯で生まれたなのでしょうか?敢えてプロデューサー的な発言に徹しての発言をしようと思いますが(笑)、もちろん今でも作家性は最重要視していますし、だからこそ映画祭に行くわけで。単純にエンターテイメント性を追求する映画であれば、職業監督になってしまいますよね。『座頭市』(03)以外はオリジナルで、やっぱりそこにはこだわっています。『座頭市』の後が、『TAKESHIS’』(05)、『監督・ばんざい!』(07)、『アキレスと亀』(08)。作家性といえばこれらもまさしく作家性の強い3作なのですが、もちろん評価は観る人によって変わると思います。プロデューサーというものは、ビジネスサイドとクリエイティブサイドのブリッジの役割と位置づけています。クリエイティブ面においては、この3作は私にとって決して不満足なものではなかったのですが、ビジネス的な側面から言うと、正直言って興行的な成功には至らなかった。――そうだったんですね。監督はムッとするかも知れませんし、「俺の知ったこっちゃない」と言われるかもしれないんですけど(笑)。リクープメント(費用の回収)が果たせていない。いわゆる、ビジネス面においては、正直言うと合格点が貰える状態じゃなかった。「監督・北野武の混迷期」というか。「何を撮るべきか」という、一種の模索を展開していた時期だったと思います。要するに本当に撮りたいものが分からない中で、それを探りながら作ったのがあの3作。ただし、本人がそれを3部作と言いはじめたのは、2作目の『監督・ばんざい!』が終わったあたりからで、それを聞いて「3本で終わるんだ」「何か出口が見えたんだな」と何となく予感しました。――映画作りの中で方向性が見えたと。『アキレスと亀』の主人公は、絵の才能がないのに、あると信じ込んでいた。少年期から始まって、暗中模索しながら苦しむ姿が描かれていました。あれはまさしく北野武自身でもあったのかなと。その姿こそが「出口」。成功を求めることが目的ではなくていいんじゃないか。つまり、好きなことをやっている今こそ、好きなことをやって生きていこうとしているそのことこそが許されるとしたら、それは最高の贅沢ではないかということに気づいた。つまり、生きていてなおかつやることがあるということをもってよしとするべし。いちばん大事なことは商業的な成功や、有名になること以上に、自分のやりたいことができている幸せを実感すべきじゃないか。そういう1つの結論にたどり着いたのではないでしょうか。たけしさんにそのまま同じことが言えるとは思いませんが、映画を撮れる、続けられることが「監督・北野武」にとってはいちばん重要なことなんです。混迷期の中で何を撮るべきかを探ってきた北野武自身がそこにたどりついたのではないか。これが私の推察です。そこで改めてたけしさんからアイデアがたくさん出たんですが、私としてはそこでこそ「バイオレンス・エンターテイメント」を提案したわけです。――どのような狙いがあったんですか?北野映画の出発点は『その男、凶暴につき』(89)。そして、代表作といわれるのは『ソナチネ』(93)や『HANA-BI』(98)で、ヤクザとか暴力のバイオレンス・アクションが少なからずある作品を通して北野武は1つのスタイルを確立していきました。ただ、十八番のバイオレンス・アクションを作って貰うといっても、『その男、凶暴につき』や『ソナチネ』に回帰することではありません。監督はありとあらゆるチャレンジをしてきました。しかも、『座頭市』を除いてすべてオリジナルにこだわった作品です。『キッズ・リターン』(96)や『あの夏、いちばん静かな海』(91)のように、オリジナルの様々な作風を経て築き上げられるバイオレンス・エンターテイメントは、おそらくそれまでとは別のものになるんじゃないかと。その期待感を込めて、バイオレンス・エンターテイメントを、得意のヤクザ映画という範疇に求めたわけです。ただし、監督にお願いしたのは、『ソナチネ』を作ることが目的じゃない。だから、過去作に出演してきた北野組の印象が強い役者を外すことからスタートしました。――キャスティングが重要なわけですね。たけしさんには「役者の演技を褒められても映画の価値に繋がらない」という頑なな姿勢が、初期に見られました。でもそれは逆に言うと、役者に任せられなかったということ。撮りたいものを実現するために役者に芝居されちゃかなわないという一種の、作家性たるゆえんみたいなところでのこだわりがあったと思うんですね。そこに戻らず、役者然とした人を起用してみようと、今さら北野映画が遠慮する必要もない。「『ソナチネ』のような映画を作るのではない」というのも含め、キャスティングを全面的に変えることもお願いしつつ、バイオレンス・エンターテイメントを提案したのが『アウトレイジ』でした。●「なんとかしないと」で生まれた『ビヨンド』――プロデューサーの立場がよく分かるエピソードですね。4本もリクープメントできない作品を続けてしまうと、監督が滅びてしまう。つまり、もうチャンスが与えられない。監督生命が、ひょっとしたらそこで絶たれてしまうんじゃないか。そんな危機感がありました。出資社には3本も、宣伝費が回収できるかどうかというようなギリギリの状態でも続けさせて貰えたんです。本当は2作で「待った」をかけるべきだったのかもしれない。『座頭市』後が『TAKESHIS’』。あれは「フラクタル」というたけしさんがもともと持っていたアイデアの映画化だったんですが、その脚本を衣裳担当のヨウジヤマモトさんにお見せした時に、ヨウジさんがこうおっしゃったんです。「やっぱり、アーティスティックな人はこういう作品を経ないと次のステップに行けないものなんでしょうね」。つまり混迷期を乗り越えるためには、作品を撮り続けることでしか、出口は見えない。あの3作は、出資者の方々に耐えて貰った3部作でもありました。従って4作目でもそれを繰り返すことは、「待ったなし」の崖っぷちなんですよ。いくらメディアが「世界のキタノ」と持ち上げても、あるいは映画祭に出ていようとも、ビジネスという面においての成功者ではなくなってしまう。むしろ、敗者です。これだと監督生命が絶たれてしまいます。だからこそ、エンターテイメント作品を撮るのは必然。絶対にヒットさせなければならなかったんです。もう1つつけ加えると、『アウトレイジ』はもともと3部作として構成されたものではもちろんないわけで。1作で終わる予定でした。ところが、『アウトレイジ』を公開してそれまでの3作よりは客が入ったんですが、観客動員数は『BROTHER』(01)と同じぐらいの80万人ぐらいで100万人に届かなかった。ということは、リクープメントが難しいということ。興行が終わって数字を見た瞬間に、「なんとかしないと本当に監督業が続行できなくなってしまう」という危機感があったので、『アウトレイジ』のDVDを発売する直前に監督に「2作目作りませんか?」と提案しました。これを聞いた監督は、大ヒットしたおかげだと当然思いますよね。――これは書いても大丈夫ですか(笑)?大丈夫です(笑)。これは、プロデューサーとしての発言ですから。監督を騙したわけじゃなくて、興行成績の話なので。つまり、スマッシュヒットには違いないんです。決して失敗したわけではないので。1作しか作るつもりはなかったので、大友は最後に刺されるわけですよ。あそこで映画は終わった。ただ、私が申し上げたのは、「大友の死体は映ってませんよ」と(笑)。――たしかにそうですね。見事に騙されてしまいました(笑)。大友が生きていたというスタートでも、十分成り立つんじゃないか。それで考えて貰えるのであれば、良い方向に行くはず。きっと監督も思うところがあったんでしょう。「それはそれでありだね」と、わりとすんなり受け入れてくださった。そして、DVDの発売前に『アウトレイジ2』の制作決定情報をリリースしました。一種ヒット感の醸成ですね。するとDVDの売り上げに火がつき、なおかつ『アウトレイジ ビヨンド』にまでその影響力が及んで、『アウトレイジ』を超えるヒットになりました。それこそ、”ビヨンド”したわけです。監督の中では「第3作も」となるわけですが、そこは踏みとどまって貰いました。――舵取りが細かいですね。シリーズ物の一種の宿命で、3作目は落ちるんじゃないかと。ただ何となく続けていけば、人々の関心はどんどん離れていく。そうではなくて、違う方向に一旦振った方がよろしいのでは伝えました。監督からは、いろいろ提案があったのですが。かつてたけしさんがWEBだけで公開した『ヤクザ名球会』という短編小説があって、それをベースに『龍三と七人の子分たち』(15)が生まれました。同じヤクザ映画でも「新」「旧」の話で、半グレの若造と元ヤクザの老人が戦う。そちらをやったらどうでしょうと監督にお話して納得して貰いました。でも、監督としてはそれを終えると、やっぱり「アウトレイジ」に決着をつけたいと。私は『ビヨンド』で終わっても全然問題なかった。ものすごい余韻を残した終わり方ですよね。いろいろな想像をかき立てる、北野映画らしい終わり方でした。でも、監督は大友のその後を描いて「けじめ」をつけたくなった。一種の終止符を打つという意味での「最終章」だったわけです。そうして「アウトレイジ」は、結果的に3部作のシリーズになりました。それは監督にとって都合の悪い話ではなくて、あくまでプロデューサー的な視点があってご提案申し上げたこと。監督はそれを受け入れてくださった。お互いウソをついたわけではなく、このような事情をそんなに多くの言葉を交わさず理解し合って、監督は監督の解釈をされて制作に入りました。○オリジナルで勝負する気概――まずは監督からのアイデアがあって、それに対してプロデューサーの立場から意見する。これまでの北野映画はそうやって作られてきたんですか?できれば監督がおっしゃるものをすべて叶えたいんですが、ビジネス行為である以上、ビジネスパートナーたちの同意を得ることが重要です。この作品であればなにゆえに勝算ありかというビジネススキームが、今のプロデューサーには当然求められますから。だから、保険をかける意味で原作ものが増えていると思うんですよね。ただ、うちはオリジナルで勝負しています。一からプレゼンしないといけないわけですから、それなりの説得力がないといけない。そういう意味においては私が提案したものは比較的同意の得やすい、短く説明して同意が得られるものです。そういう流れの中でものを作らざるを得ないわけです。――白竜さんがジャパンプレミアの舞台挨拶で感極まっていらっしゃるのが印象的で。監督から「北野組やってよかったね」と言われたことへの感謝の気持ちが滲み出ていました。そうですね。「アウトレイジ」シリーズを経て、『ソナチネ』とは違う色がつきました。『アウトレイジ』のキャスティングにおいて、かつて『ソナチネ』や『BROTHER』に出演した寺島進の名前が出たこともありました。私が監督にお願いしたのは、「寺島を出すのであれば、反目で出してください」と。たけしさんと相対する勢力に置くのであれば、それは新しいかもしれない。でも、たけしさん側だったら『BROTHER』に勝てない。『BROTHER』では、兄貴と慕っていたわけですから。そのインパクトを思い出させることはあっても、それ以上のインパクトは得られない。だから、寺島の起用はあきらめて頂きました。白竜さんは『その男、凶暴につき』に出て頂きましたが「アウトレイジ」とは全く異なる殺し屋(というキャラクター)。大杉(漣)さんもたくさん出ていただいてきた方ではありますが、『最終章』では見事な反目として大変なことになってしまいます(笑)。●次作でプロデューサーから外れる極論――監督とプロデューサーの関係性は、作品を重ねるごとに変わっていったんですか?私は「常に新規」のつもりです。前がどうだったからとか、それは監督としての思いが継続していても、作り手たちは「これが最後かもしれない」という気持ちで臨まないといけません。「次があるさ」的な発想でものを作るのは、クリエイティブじゃない。だから、私たちにとっては毎回が新規。たとえば今回の『最終章』においても、いろいろな面を再考します。もちろん、別の作品に繋がることもあると思いますが、作り手には「新しい映画を作る」という重みを忘れないでほしいと思っています。――先ほど、混迷期を経てのシリーズとおっしゃっていましたが、「アウトレイジ」シリーズは監督にとって何期になるとお考えですか?エンターテイメント色、観客ありきという点においては、『ソナチネ』の時代にはなかったスタンスです。ただ、もともとエンターテイナーですからね。それをそのまま素直に表現する人ではなかったという意味では、やっぱり何か吹っ切れたんじゃないかと私は思います。やっぱり客が入らないと、始まらないよねと。監督特有の頑固さは今でもありますけど、人の意見を聞かない方ではないですし、やっぱりプラスアルファの方向でみんなが出すアイデアについては、採用するかどうかはともかくとして、ちゃんと聞き耳を傾け、良いものは採用して採り入れるようになりましたから。18本もの映画を通して、作家としてのたけしさんの変化ともいえると思います。○あえて埋めない距離感――最初は番組スタッフと出演者の関係で飲みに行ったりもしていたそうですが、徐々に距離を置くようになったと聞きました。仕事上のつき合いだけでも、同志になれると。今でもその関係性は変わらないんですか?変わらないですね。ますます一緒に動かなくなりました(笑)。オフィス北野ができて30年になりますが、ずっと変わりません。その前からのつき合いもありますが、そこの距離感が埋まることはないと思います。――それはたけしさんだけですか?一種の教訓みたいになっています。同志の付き合いは、「酒を酌み交わしてこそ」ということではない。誰であれ、私はそう思っています。仕事の話をするときは、仕事のスタンス。それはどれだけ親しくても関係ありませんよね。私は、たけしさんという人と仕事においてはパートナシップは守り続けると思いますけど、それ以外のことはあまり考えないようにしています。だから続けられてるんじゃないでしょうかね。そこを一緒くたにしてしまうと、会話も成り立たなくなる。「こう言ったじゃないか」「いいってことにしようよ」と変なところで予定調和が生まれる。基本的にマネージメントする立場では「ノー」ではなく「イエス」ではあるんです。本人がやりたいことをどう実現させるか。あるいは、どういうステージを作るかというのは基本だとは思うんですが、決して「イエスマン」になってはいけない。だから、すべてにおいて「ウェルカム」ではダメなんです。もちろん、才能に対する尊敬の念はありますけども、人間同士ですからね。やっぱりすべてに肯定的ではお互いのためにならない。たけしさんは仕事に対してはハッキリものを言う方で、なあなあを許さない方。適当な説明をしていると、「ごまかすな」とお叱りを受けます。そんなことは通用しない方なので。「アウトレイジ」は結果として3作になって、本人は「『アウトレイジ リボーン』もできる」とか言ってますけど、それは冗談として(笑)。プロデューサーの立場から区切っていくことが私の仕事です。○振り子の先を見据える観察眼――過去のインタビュー(キネ旬ムック フィルムメーカーズ『北野武 TAKESHI KITANO』98年)では、監督の世界観の幅を「振り子」と表現されていましたが、これから監督としての北野武にどのようなことを期待されていますか? 「アウトレイジ」が終わる寂しさも感じつつ、今後も楽しみです。本人は「バイオレンスをやったから、次は違うもの(恋愛映画)を撮りたい」と言ってますけど、「バイオレンス」と「愛」は実は振り子の関係で、また「バイオレンス」を描く時の表現の幅にも繋がる。今でも私の中での「監督・北野武」は振り子の人です。ただし、私が「振り子」と図式化した時点で、本人にとっては嫌悪感も抱く時期なのかなと思っています。ですから、振り子に変わる、なんというか「違う宇宙を作りたい」ぐらいの気持ちでいるんじゃないかと。「掴ませない」というのは、たけしさんが昔から言っていることなんです。「例え掴まれても、俺は逃げ切る」と。だから、逃げ切った先に、どのような景色が広がっているのか、もちろん私にも読めません。ただ、再び混迷期に入るとは思ってないです。たぶん何かを掴みとって、答えを出してくれるんじゃないか。ただ、今日言っていることと、明日言っていることが違う人ですからね(笑)。そういう意味では、宇宙がいくつもある人なんです。その掴みきれない面白さというか。今まで映画に限らずいろいろな話をしてきたんですが、そこの流れにはないものを、私としては期待しています。ただし、もちろん実現可能な範囲という条件で。プロデューサーという人種の限界のようなものがあるんですよね。ビジネスサイドに片足つっこんでますから。単なるパートナーであれば、「やっちゃえ! やっちゃえ!」なんですけどね。そうはいかない。ものすごい極論ですけど、次に何かをやるとういときに、私がプロデューサーであるべきかどうかまで含めて、考えることもあるかもしれないですね。――それも新たな挑戦領域ということですね。そうです。私はそこにこだわるわけじゃないですから。次なる宇宙のためには、そんなことがあってもおかしくないんじゃないでしょうか。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会
2017年10月13日●音楽・鈴木慶一に頼んだ「失礼なこと」「全員悪人」の『アウトレイジ』(10)、「一番悪い奴は誰だ?」の『アウトレイジ ビヨンド』(12)。そして、北野武監督にとって18作目にしてシリーズ完結作となる映画『アウトレイジ 最終章』のキャッチコピーは「全員暴走」。日本の二大勢力だった関東・山王組と関西・花菱会の抗争後、韓国の済州島に渡った元大友組の組長・大友(ビートたけし)。日韓を牛耳るフィクサー・張会長(金田時男)のもとで平穏な日々を過ごしていたが、花菱会の花田(ピエール瀧)がトラブルを起こし、「全員暴走」の渦中へと巻き込まれていく。人気シリーズの登場人物たちを暴走させていく一方、『アウトレイジ 最終章』は18作という北野組の歴史、そして暴走とは対極にある監督論が支柱となっている。短期集中連載「暴走の黒幕」では、本作に携わったスタッフたちの言葉を記録し、シリーズと北野組の魅力を探る。第1回は監督・脚本・編集の北野武(70)。アイデアノートから生まれた描写を、"引き算"と"リアル"の音と掛け合わせて"みんな"に委ね、最後は"俺"が自由に決める。○"引き算"の選択――音楽を担当された鈴木慶一さんは、監督との仕事を通じて「引き算」を学んだと。メインテーマで数秒無音の箇所がありますが、制作者としては「恐怖もあった」とおっしゃっていました。鈴木さんが怒ってなきゃいいけど。失礼なこと言ってるんだよね。音楽を聴いて、映像を思い出す映画ってあるじゃない? そうならないようにしてくれって(笑)。「これは音かな?」でいいと。『菊次郎の夏』(99)なんかは、あの曲を聴くとすぐに映画を思い出す。『ソナチネ』(93)の曲が何かに使われてても、映画を思い出すじゃない? そうじゃなくて、ただの「音」がよかった。だから、すごく失礼なの(笑)。――サントラを聴いても、どの場面なのかすぐに分からないですよね(笑)。うん、雑音に近くてすごくよかったね。――メインテーマの「無音」はテレビでいえば「放送事故」にもなると思うんですが、鈴木さんにはどのようにオーダーされたんですか?ある程度編集が終わると、タイムカウンターが下に出るから、「何秒から何秒までの間で音楽を付けて」と伝えて、「その後は雑音で」みたいに。音楽家としては面白くなかっただろうね(笑)。腕の見せどころがないというのは、つらいんじゃないかな。――鈴木さんは、表現の幅が広がったとおっしゃっていました。ただ、監督からの感想を聞いてないから不安だとも(笑)。バイオレンス映画なので、心地良いメロディーラインとリズムは必要なかったんだよね。マシンガン撃ちまくる時に良い曲がかかっちゃうと、「遊び」になっちゃうから。もっと、「ガッシャン!」「ドッカン!」でいい。なんだか分からない音。何て言うんだろ。ソフィスティケートって言うのかな。キレイに観せるような画の映画ではないから。「この野郎!」「バカ野郎!」と言ってるだけの映画。キレイな音楽は店内で流れる音楽ぐらい。だから、雑音でいいんだよね。――「アウトレイジ」シリーズだからこそ、その「雑音」が必要だったと。映画によっては、「ここでキレイな曲」というのはあってもいいけど。「アウトレイジ」は「音」が気になると、映像にも影響してしまう。相乗効果にならないんだよ。例えば、昔だったら勧善懲悪もので善良なヤツが車で乗りつけてきたら、そこでキレイな音楽かけてもいいんだろうけど。○本物の銃声にこだわるワケ――先ほどのマシンガンのシーンにもつながるのですが、「アウトレイジ」シリーズの銃声はすべて本物と聞きました。『BROTHER』(01)の時に録音したものが使われているそうですね。アメリカで『BROTHER』を撮影した時でも、拳銃には実弾が入ってない。火薬も3分の2とか、半分とか指定があるので、実際に撃ってみても銃を撃ってる実感がない。その音がリアルじゃないからね。それで音を録り直すことになった。音効さんも凝る人だからね。トカレフとかワルサーとか全部弾詰めて、それを撃った音を録音したんだよね。――観客は実弾の音を無意識に聞いているわけですね。うん。(ガンエフェクト師の)納富(貴久男)さんと拳銃の音を聴き比べて。マニアックな人は、みんな音を聞けば分かるんだよね。結局は弾入ってないし、相手が死ぬわけじゃないんだけど、どこかで凝りたいじゃない? 音まで偽物だとつまらないよね。だから、リアルにできるものはした方がいいと思って。●スタッフの意見を聞く「俺のやり方」――それが臨場感に繋がっているんですね。こうしてシリーズを完走されたわけですが、今後の作品作りにおいてどのような影響がありそうですか?「アウトレイジ」というか、バイオレンスには結局慣れてしまったのかな。他のラーメンが売れなければ、また売れてた担々麺やればいいんだみたいなところがあって。でも、ずーっとその専門店は嫌だし。だから、「アウトレイジ」は一応3部作で終わったけど、『アウトレイジ リボーン』みたいに続けることもできる(笑)。もしやるんだったら、すごいビッグな俳優ばかりでやるけど。それはそれで面白いと思うんだよね。うまい役者の掛け合い。ただね、世界的な傾向もあって。やっぱり時代がテロとかで落ち着かない時にこういう映画はあまり向かないとも思うんだよね。ベネチアなんかでも評判良いんだけど、それは「変わりモノ」としての扱いだと思う。だから、次はあまりやったことのない、男と女の話にしようかな、なんて考えてる。○"北野ノート"に書かれていた描写――楽しみにしています。いつもアイデアをノートに書き留めているそうですね(ロッキング・オン刊行『物語』より)。「アウトレイジ」のアイデアノートには、どのようなキーワードがあったのでしょうか。相手を痛めつける描写。たとえば、水野(椎名桔平『アウトレイジ』に登場)が菜箸を耳に指したりとか。今回やろうと思ってボツにしたけど(大杉)漣さんにハチミツをかけて、山の中に置いといて虫だらけにしちゃうとか(笑)。あとは、ピアノ線引いといて首ハネるとか、いろいろそういうことを考えてる。基本的に、最終章で花菱会の会長は神山(繁)さんの予定だったの。でも、神山さんが亡くなられて(今年1月に急逝)。だから、全然関係のない娘婿を会長にしちゃうのは、わりかし前から書いてあった。直参で体張ったヤツが相変わらず頭(かしら)で、会長の座に急に関係のない野村(大杉漣)が就いて揉め出す。あとは、大友が刑事を撃ち殺して張会長(金田時男)のシマの済州島に逃げるというのは『ビヨンド』の時に決まってて。張会長は、『ビヨンド』ではあまり出番がなかったけど、最終章ではまだ使えると思ってね。大友が日本に帰って、それから復讐戦が始まる。『ビヨンド』と『最終章』の脚本は、だいたい同時にできてたんだよね。――『最終章』は、大友が釣りを楽しんでいるシーンから始まります。個人的には「大友さん、やっと平穏な日々を過ごすことができたんだ……」と感慨深いものがありました。それからいつものように面倒なことに巻き込まれていくわけですが(笑)。うん(笑)。花菱会の花田(ピエール瀧)が済州島に遊びに来て暴れて。最初は放っとくつもりだったんだけど、今度は日本で張会長が狙われはじめたからそうはいかなくなって、大友の中では「これはやんなきゃいけないな」という感じだよね。――まずは暴力描写が浮かんで「アウトレイジ」シリーズが誕生したように、『ソナチネ』もエレベーターでの襲撃や、浜辺での相撲のシーンを最初に思いついたそうですね。うん。今回でいえば、マイクロバスの中での銃撃シーンは難しかったなぁ。あれ、「誰撃ったっけ?」みたいなシーンだよね。誰が動いて、誰が撃たれたのか。画像が暗くてね。だいたい台本通りになってるんだけど、パッと見た瞬間に誰が誰を撃ったのか分からない(笑)。――わずか数秒の出来事でしたね。大杉漣さんと松重豊さんが怒り狂うシーンがツボでした。何度観ても笑ってしまいます(笑)。お笑いっていうのは、自分に関係がなければ、ものすごい怒ってる人がいると笑っちゃうからね(笑)。自分に危害さえなければ絶対面白いんだよね。ところがその矛先が自分に向くと、恐怖で逃げたくなる。ヤクザが喧嘩して殴り合っているのはついつい見てしまう。でも、「何見てんだ! この野郎!」って言われたらみんな逃げる(笑)。そういうものだね。○北野組スタッフとの距離感――『全思考』(幻冬舎文庫)には、「俺は介護老人タイプ」「怒ったり、命令したりはしない。まずスタッフに聞く」「スタッフの能力を最大限に引き出すには、これがいちばん」とあったのですが、これは今も変わらずですか?やりたいことは、ほとんど決まってるんだよね。もちろん、もっといい意見があれば採用するんだけどね。「ああ、わかった。じゃあ、そうするよ」と言いながら、俺のやり方でやる。でも、今は半々ぐらいかな。結局、カメラマンとか照明の技術的な話もあるから、「これはできませんよ」となると、それに変わる方法を聞いて「こういうのはどうでしょう?」と言われれば、「じゃあ、それで」みたいに。そんな感じで相手の意見を聞いてる。助監(督)なんか優秀だから、言葉を直してもらったりもするけどね。「ちょっと、言葉尻ヘンです」って言われることもあってね。●なぜ編集が一番楽しいのか?――スタッフとの接し方は、作品を重ねるごとにそうなっていったんですか?最初の頃は「俺に何か言うんじゃねえ」みたいな感じでやってたけど、もう18本も一緒にやってるとね。お友だち状態になっちゃってるから、「たけしさんをみんなで支えなきゃ」という感じにできるだけなるようにしてる、それで手を抜きたい(笑)。「あー、調子悪い」ってボヤきながら何もしないで、「リハーサルも見ないから勝手にやってくれ!」と言いながら、横目でチラッと見たり(笑)。そうなるといいね。――先日のジャパンプレミアのときにも、台本を渡せばみんなが見事に演じてくれるとおっしゃっていたのも、同じようなことですかね(笑)。うん。役者さんたちは、まぁスタッフもそうなんだけど「良いところ」を見せたがるんだよね。だから、渡した台本以上の演技をしようとして努力する。照明さんでも夜の撮影の時に、違う機材を持って来て、「どうですかこれ?」「明かりが柔らかくなりましたよね?」って。「こういうこと考えてたの?」と聞くと、「もう、大変でしたよ(笑)」。そういうふうに勝手に自分たちで良いものを作ろうとしてくれる。最近は、ありがたいですよ。西田(敏行)さんも塩見(三省)さんも、思った以上に役を作ってきてくれる。時々、作りすぎて間違えちゃう人もいるけどね(笑)。――映画作り以外においても、そのような接し方を心掛けていらっしゃるんですか?お笑いなんかの方では、仕事の話じゃないんだけど。真面目な話なんかしなくて、くだらねぇことばっかり言ってて、それがいつの間にかネタになったり、次の仕事のアイデアになったり。生活自体が、映画を作ったり、ライブをやったり、いろんなところに繋がってるんだよね。「晩飯」がライブで、「朝飯」が映画みたいな。そうやって生活の中に入り込んじゃってる。あまり、客観的に見ることがないんだよね。だから、いろいろな仕事をやってるんだろうね。これが疲れねーんだよなぁ(笑)。「あー! この仕事疲れた」と思うのは、たぶん時間が長い時だけ。あとは何とも思わない。――どんな仕事でもですか?うん、だいたい。まぁ、体張ってケガする可能性があるのは別だけど。もう歳だからね。――火薬田ドンとか(笑)。うん。アレなんか、結構間抜けでくだらないことが一番神経使うよね。ケガしちゃいけないから。一番真剣な演技が、一番楽だったりね。ただ真剣にしゃべればいいじゃない? 不思議なもんだよなぁ。○一番の楽しみは撮り終わってから――同じく『全思考』(幻冬舎文庫)には、「いちばん面白いのは編集」とありました。どのようなところに魅力を感じていらっしゃるんですか?子供の頃、プラモデルのキットを買うと、解説書と部品が入ってたでしょ? あれが映画でいうところの「ラッシュ」(未編集映像)。「ラッシュ」を買ってきて、それを編集することがうれしいんだよね。俺らはその部品を撮るところからやってるから、だから「早く撮っちゃえ!」と。それを編集で組み立ててるわけだから、それは面白いよね。でもね、部品の「タイヤ」がないことに気づいたりするわけよ。「タイヤがないぞ!」となれば、その代わりにハンドルをくっつけたりなんかして(笑)。わかりゃしないよそんなもんって(笑)。そんなことが結構ある。「あっ、いけね!」となっても、「どうやってごまかそうか」というのも面白い。その前のシーンから「引っ張ってきちゃえ!」みたいなこととか、編集で強調したいところを無理やりトリミングしてもうちょっと大きくならないかなとか。今は(撮影した映像を)デジタル(データにして編集)して、それをまたフィルムに直すんだよ。見切れてるところも、少しだけずらしたり。やっぱり編集がいちばん面白いよね。――撮り終わってからの方が楽しみということですね(笑)。そうそう。こいつのセリフ気に入らないから取っちゃえ! とかね(笑)。カットして、こっちのセリフから始めちゃおうとかね。自由にできる。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会■プロフィール北野武1947年1月18日生まれ。東京都出身。身長168センチ。O型。主演も務めた『その男、凶暴につき』(89)で映画監督デビュー。その後も、『3-4x10月』(90)、『あの夏、いちばん静かな海。』(91)、『ソナチネ』(93)、『みんな~やってるか!』(95)、『キッズ・リターン』(96)を世に送り、『HANA-BI』(98)は、第54回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。『菊次郎の夏』(99)、『BROTHER』(01)、『Dolls[ドールズ]』(02)に続いて、初の時代劇に挑んだ『座頭市』(03)は第60回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞。芸術家としての自己を投影した『TAKESHIS’』(05)、『監督・ばんざい!』(07)、『アキレスと亀』(08)の後、『アウトレイジ』(10)と続編の『アウトレイジ ビヨンド』(12)、『龍三と七人の子分たち』(15)。『アウトレイジ 最終章』は、18本目の監督作となる。
2017年10月08日北野武監督が裏社会の男たちの抗争を描く『アウトレイジ』シリーズの最新作『アウトレイジ 最終章』の初日舞台挨拶が10月7日(土)に都内で行われ、北野監督をはじめ、西田敏行、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、大杉漣、金田時男が出席した。人気シリーズの5年ぶりの最新作にして、最終章となる本作。関東「山王会」と関西「花菱会」の巨大抗争後、韓国に渡った大友(ビートたけし)が帰国。権力争いの真っ只中に突っ込んで行く姿を描く。シリーズへ初参加を果たした大森さんは「夢にまで見た『アウトレイジ』。いつ出番が回ってくるのかと。『アウトレイジ』『ビヨンド』と出番がなかったぞ、どうしようと思っていた」と念願だったことを告白。「ついに最終章でお呼びいただきまして、非常に感動しました」と喜びをかみしめた。「すべてのシーンに思い出がある」という西田さんは、「塩見三省とのシーンを初日に撮ったんですが」と共演者の塩見さんについて言及。「塩見は脳出血の後遺症があって、歩行も自由じゃなかった。私も頚椎を亜脱臼して、歩行が定かじゃなかった。2人とも4人くらいの人に抱えられながら対峙するシーンを撮った」と、病と戦いながらの撮影だったそう。西田さんは「監督が“大丈夫、大丈夫。ホンを変えちゃおうか”と、優しい言葉をかけてくださった。監督に恩を感じた」と北野監督の気遣いを思い出してしみじみ。北野監督は「体の悪さ具合が、撮ったときにものすごい迫力になって。これは活かさなきゃと思った」と西田さんと塩見さんの渾身の演技に心を打たれたことを明かしていた。いよいよ最終章を迎えた本シリーズ。北野監督は「恋愛ものを撮って、ちょっと俯瞰的、客観的にバイオレンス映画を見直して、次にやるときは、日本のオールスターズで(バイオレンス映画を)やりたい。全員、車代くらいで出てもらう」とさらなる意欲を吐露。完成作について「うまいまとまり方をしている。自分で編集していても、映像的にも“これはいいなぁ”と思うかなりの自信作」と晴れやかな表情を見せていた。『アウトレイジ 最終章』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2017年10月07日公開初日を迎えた映画『アウトレイジ 最終章』の舞台あいさつが7日、東京・新宿ピカデリーで行われ、北野武監督、西田敏行、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、大杉漣、金田時男が出席した。北野武監督をはじめ、西田敏行らキャスト陣が勢揃いして行われた初日の舞台あいさつ。西田が「本日は小説『アナログ』(9月に発売されたビートたけしの長編小説)の販売促進会にお出でいただきましてありがとうございます」とあいさつして会場の笑いを誘い、「毎回すべてのシーンで思い出がありますが、初日の時に塩見三省さんと2人の絡みがあって、塩見さんも脳出血の後遺症があって歩行が自由じゃなかったし、私も頚椎を亜脱臼して歩行が定かではない状況で、2人を4人の人に抱えながら対峙しました」と振り返り、塩見は「その時に監督が気を遣ってくれて、優しい言葉を掛けてくださって恩を感じました」と北野監督に感謝。『アウトレイジ』シリーズ初登場となった大森南朋は「もう夢にまで見た『アウトレイジ』にいつ出番が回ってくるのかと思いましたよ。最終章でお呼びいただいて非常に感動しました」と出演を喜び、北野作品の魅力について「今この現代でここまでヤクザをしっかりと描いている映画はないと思います」と熱く語った。最後にあいさつした北野監督は「今回は西田さんがケガをしたり塩見さんも病気になったりしましたが、最初撮った時にモノ凄い迫力で、これは生かさなければいけないなと思いました。それを見た自分が首を動かすなど、この3人は一体なんなんだと。病気グループになっちゃったよ」と笑わせるも、「上手いまとめ具合だと思っています。私の場合、評論家と喧嘩して人気がありませんが、あまり文句言う奴もいないし、自分で編集していて映像的な面でもいいなと、かなりの自信作です」と胸を張った。続けて「次の映画で恋愛ものとか息抜きではないですが、客観的にバイオレンスの映画を見直して、次やる時は日本の役者オールスターでやろうと思います。全員"車代"だけで。仲代達矢さんには500円で出てもらおうという作戦でいきますよ」と笑いを交えながらも次回作の構想を明かしていた。
2017年10月07日テレビで思い切りバカなことをやり倒す偉大なお笑い芸人「ビートたけし」として、また世界から評価される映画監督、そして文化人として大人気の、北野武さん。10月7日より公開される18作目の監督作品『アウトレイジ 最終章』は、ヤクザの世界を描いた物語の第3弾。笑いと映画、両方で頂点を極めた武さんならではの、独特な世界観が拡がる作品です。――『アウトレイジ』は、毎回誰かが衝撃的な方法で殺されるのが、ある種観どころになっています。今回の予告編でも、とてつもないシーンが公開されていました。どれも残酷なのに、どこかにたけしさんの作るコントに通じる笑いがあるような気が…。北野:そうだね。2作目のときの、加瀬亮くんが、バッティングセンターで椅子に固定された状態で野球のボールを延々投げつけられて死ぬのなんて、おいら実際、昔『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』でやったやつだからね。ていうか、この映画に出てくる殺され方、だいたいみんなコントでやってんじゃない?(笑)――描き方が、おもしろいか、シリアスかってことですか?北野:命にかかわらないレベルで「痛い!」で終わればコントで、本当に死んでしまえば…って、死んだって描けば、殺人になるってこと。違いはそれだけなんだよ。あのね、お笑いって悪魔のようなもので、シリアスな部分には、必ず笑いが忍び寄るんだよ。分かりやすいところで言うと、例えば結婚式でブーケトスでスカートが脱げちゃったり、ケーキが落っこちちゃったり。あるいは葬式で、足がしびれて倒れたり、とか。厳粛さと笑いって、隣り合わせなんだ。――場が厳粛であればあるほど、実は笑いが忍び寄っている?北野:うん。それは死に対しても同じことで、ヤクザ映画だったら、「てめぇ、殺すぞ、この野郎!」って銃口を突きつけて、引き金を引いたら、カチャッ、カチャッ。「あれ?弾がない!」って、完全にコントだよね。笑いは常に、緊迫感とか緊張感を壊してやろうと狙ってるわけだ。――ということは、殺人場面で笑うのは不謹慎?と思っていたんですが、笑っていいんですね。北野:うん、いいのいいの。――ちなみに、北野組というのは厳粛な雰囲気なんですか?北野:うちの場合はね、俺はすごく穏やかなんだけど、スタッフが怖い(笑)。なかにはすごい迫力ある人もいるから、初めて来た役者さんとか、震え上がるみたい。で、俺が「いいよいいよ、適当で」って場を和ませたりするんだけど、なかなか緊張はほぐれない(笑)。――そういえば、『アウトレイジ』は顔のアップが多いので、顔の緊迫感も半端ないです。北野:実は、この映画に出てる人ってみんな、他の作品ではヤクザ役をやっていない人ばっかり。そういう役者がヤクザを演じて、どアップで凄むからこそ怖いし、インパクトがあるんじゃない?俺が描いているのはいわゆる現代ヤクザだから、わかりやすいヤクザ顔より、普通の顔のほうがいいわけ。今回で言うと、西田敏行さんなんて、『釣りバカ日誌』で見せている顔と全然違うじゃない。だからおもしろい。でも、もちろん顔だけで選んでるわけじゃないよ?雰囲気も大事。岸部一徳さんの場合は、とあるセリフを言わせたいっていうその1点で、出てもらったの。結果、すごく良かった。――ネタバレになるので言えませんが、落差に驚きました。北野:へへっ、そうでしょ。『アウトレイジ 最終章』関西の〈花菱会〉と、国際的フィクサー〈張グループ〉が一触即発状態に。済州島にいた大友(ビートたけし)は、決着をつけるべく帰国する。怒号と銃声が唸るバイオレンス映画の最終章。監督、脚本、編集は北野武。共演に西田敏行、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、岸部一徳ら。10/7より全国ロードショー(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会きたの・たけし1947年生まれ、東京都出身。’80年代より日本のお笑い界を牽引、俳優などでも活躍するエンターテイナー。また映画監督としては、海外でも評価が高い。※『anan』2017年10月11日号より。写真・矢吹健巳(W)(by anan編集部)
2017年10月07日作る映画は世界から愛される、名監督・北野武さん。でもその一方で、ひたすら笑いに真摯。偉くなりたいと願うその理由が、素敵です。映画の最初は4コママンガ。そこから場面を繋げていく。――毎週テレビのレギュラーを何本も抱え、生放送もありますよね。そのスケジュールの中で、どうやって映画を作っているんですか?北野:基本的に、テレビのレギュラーを1週間やったら、次の1週間は映画、またテレビ…って感じ。撮影と編集で3~4か月くらいかな。――脚本執筆にかかる時間は?北野:今回は、構想は2作目のときにすでに浮かんでいたから、台本としてまとめるのは、1週間か10日くらいでパッと作って。――ストーリーはどうやって考えるんですか?北野:ノートがあってね、そこにまず4コママンガみたいなものを描いて、台詞を書き加えつつ、こんなこと、こんなこと、こんなこと、で、終わりってまとめて、そこに枝葉をつけていくの。その枝葉の部分に、具体的な映像のアイデアを描いていって…。思いついた映像を、次のシーンにどう繋げていくかが勝負なんだよな。物理的に具現化できないシーンとかもあるし、その兼ね合いが難しい。――映画の分だけ、そういったノートがあるんですか?北野:そのはずなんだけど、だいたいいつの間にかどっか行っちゃうんだ。たまに出てくるから見返すと、「お、おもしれぇこと書いてたんだな」とか思うんだけどね。――しかし、笑いと映画、頭の中は簡単に切り替わるもの?北野:うーん、映画は台本ができちゃえば、あとは現場に行くだけだから、テレビやりながらでも全然…っていうか、テレビって、本当に仕事かな?って思うんだよね。だってただ座ってりゃいいんだもん。大したことしてないよ。――そんな!だってテレビでは、どの番組でも常に笑いを取りにいくじゃないですか。北野:笑いを商売にしているやつが、現場で「どうしよう?」なんて考えてたら、相当才能ねぇよ(笑)。最近はお笑いの学校を卒業して芸人になるやつがいっぱいいるけど、そもそもお笑いなんて普通の道じゃないんだから、学校で学ぶもんじゃないっていうの。――その中には、たけしさんに憧れてお笑い界に入ってくる人もたくさんいるのでは…。北野:だから、憧れてるうちはダメだよ。憧れるっていうのは、そいつを超せないってこと。俺を嫌いってやつのほうがいいと思うよ。「たけしのはお笑いじゃない、こういうのがお笑いだ」ってやらないと意味がない。それは映画においても同じことで、誰かに憧れて映画を作るのもダメ。俺は黒澤明監督は、敵わないし、すげえなって思うし、認めているけれど、憧れてはいない。それとは違う映画を作ろうと思ってる。すべてはオリジナリティとひらめきで、それをどう具現化するかが大事なわけ。――初監督作品である’89年に公開された『その男、凶暴につき』は、スケジュールの関係で深作欣二監督が降板したことで、急遽メガホンをとったと伺っています。戸惑いはなかったんですか?北野:もともとテレビでコントの演出をやってたからね。カメラ6台を使いながら、引きで撮って、手元撮って、ここでスイッチングして…って、自分で指示を出していたわけだから。映画はカメラが1台しかなかったから、逆に楽だったよ。モニターを見てああだこうだ言うのも同じだし。これがデカいスクリーンになるのかって、それだけしか考えてなかったね。1本目を撮ったときに、助監督に、「俺、10本撮るわ」って言ったの。でもなかなか当たらなくて、4作目の『ソナチネ』でもコケて、その頃から、世間は全然俺の映画を理解しねぇんだなって思いがどんどん強くなっていって。外国ではいくつか賞を貰ってたんだけど、全然日本ではそれを発表してくれないし。そんなこんなであの時期には、交通事故まで起こしちゃうしさ。今に至っても、日本アカデミー賞から、一度だって選ばれたことないもんね。まあ映画業界なんて閉鎖的だからさ、アメリカのアカデミー賞もそういうところが問題になって、いろんな国の人を会員にするとか言ってるけど。――誘われたらどうします?北野:行かないよ、そんなもん(笑)。――じゃあノミネートされたら?北野:『アウトレイジ 最終章』で?それはもちろん行くよ、紋つき着て、下はフルチンで(笑)。とにかく、笑わせるために行きたいね。――映画より、笑い、ですか?北野:俺が映画賞が欲しかったり、偉い人になりたいって思うのは、全部人を笑わせるためだからね。だって、ただのおじさんが転んでもおもしろくないけど、偉い人が転べばそれだけでおもしろいじゃない。俺がすごく偉くなって、「たけし、食い逃げ」とか、「たけし、万引」とか、おもしろいじゃん。ラブホテルから裸で逃げてくるとかね。そういうもののために、偉くなりたいし、映画を頑張ってるの(笑)。俺はお笑いは、芸術だと思ってるからさ。『アウトレイジ 最終章』関西の〈花菱会〉と、国際的フィクサー〈張グループ〉が一触即発状態に。済州島にいた大友(ビートたけし)は、決着をつけるべく帰国する。怒号と銃声が唸るバイオレンス映画の最終章。監督、脚本、編集は北野武。共演に西田敏行、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、岸部一徳ら。10/7より全国ロードショー(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会きたの・たけし1947年生まれ、東京都出身。’80年代より日本のお笑い界を牽引、俳優などでも活躍するエンターテイナー。また映画監督としては、海外でも評価が高い。※『anan』2017年10月11日号より。写真・矢吹健巳(W)(by anan編集部)
2017年10月07日10月7日公開の映画『アウトレイジ 最終章』のジャパンプレミアが25日、都内で行われ、北野武監督、西田敏行、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、大杉漣、塩見三省、白竜、名高達男、光石研、池内博之、金田時男、岸部一徳が出席した。北野武監督18作目となる本作は、裏社会の男たちの抗争を描いて国内外で人気を博している『アウトレイジ』シリーズのラストを飾る作品。そんな本作のジャパンプレミアに、北野監督とキャスト陣が勢揃いし、試写会前に舞台あいさつが行われた。本作が『アウトレイジ』シリーズ最後となる理由について北野監督は「長続きすれば出来たんですけど、深作欣二さんの『仁義なき戦い』シリーズになってしまう。死んだ人が出てきてしまう訳にいかないんです」と笑いを交えて説明するも、「これで一応一区切りにはなっていますが、何年か経ったら、日本の役者のオールスターでとんでもないような映画を撮ってみようと思っています」と『アウトレイジ』シリーズに続くバイオレンス映画に意欲。次回作は「小説(『アナログ』)を書いたら当たってしまったので、純愛映画をやろうと思っています」と明かしながら、「失敗すると思うので、バイオレンスの映画に戻ろうと画策しています」と話していた。その北野監督から「アドリブには困りました」と冷やかされた西田は、頚椎亜脱臼と胆のう炎摘出手術のために4カ月間入院した後に本作の収録に臨んだという。「塩見くんも脳出血で倒れ、色々と障害を抱えながらお互いリハビリをしての撮影でした。本当に2人とも初日はみんなに抱えながらの撮影で、その時は何ともいえない喜びでしたね」と塩見との撮影に感慨深げ。4年ぶりの公の場となった塩見は、時折脳出血の後遺症を感じさせながらも「北野監督とは前作に続いて仕事ができ、私にとっては最高の喜びであり、最高の時間でした。『アウトレイジ 最終章』はグッとくる映画です」と力強くアピールしていた。映画『アウトレイジ 最終章』は、10月7日より全国公開。
2017年09月26日資生堂パーラーより、ハロウィン限定スイーツ「ハロウィンショコラ」が登場。「ハロウィンショコラ」はかぼちゃ、むらさきいも、ビターのハロウィンカラークランチショコラの詰め合わせ。それぞれ、ホワイトチョコレートに“かぼちゃ”のパウダー、“むらさきいも”のパウダーを練り込んだ2種と、ビターテイストに仕上げた1種だ。パーティーの手土産やハロウィンのプレゼントにぴったりのお菓子に仕上がっている。5個入と10個入のブック型のパッケージには、シーツをかぶってお化けの練習をしている「子猫のお話」、しましまタイツで魔女に仮装している「女の子のお話」、ガイコツのボディペイントをした「コウモリのお話」、森の中で繰り広げられる「パーティーのお話」が綴られている。20個入りの丸型のパッケージには大盛り上がりの「ハロウィンのお話」が絵本仕立てで入っている。【商品詳細】ハロウィンショコラ価格(いずれの商品も限定数量に達し次第、販売終了):・ハロウィンショコラ5個入<チャーム付・本型(小)> 594円(税込)「子猫のお話」/「女の子のお話」/「コウモリのお話」※クランチチョコ3種5個入(かぼちゃ2個、むらさきいも2個、ビター1個)・ハロウィンショコラ10個入「パーティーのお話」<チャーム付・本型(大)> 1,080円(税込)※クランチチョコ3種10個入(かぼちゃ4個、むらさきいも4個、ビター2個)・ハロウィンショコラ20個入「ハロウィンのお話」<チャーム付・丸型> 2,160円(税込)※クランチチョコ3種20個入(かぼちゃ8個、むらさきいも8個、ビター4個)販売店舗:資生堂パーラー住所:東京都中央区銀座8-8-3TEL:0120-4710-04(月〜土曜日 10:00~17:00 祝日、年末年始を除く)
2017年09月21日北野武監督の映画『アウトレイジ 最終章』(10月7日公開)が9日(日本時間10日未明)、第74回ベネチア国際映画祭を締めくくる「クロージング作品」として、世界最速で上映された。上映前後には記者会見が行われ、約150媒体ものマスコミが詰めかけた。北野監督と森昌行プロデューサーが登壇した上映前の公式会見。作品の表現について話が及ぶと、「実は拳銃と一方的な暴力を除けば、現代社会の普通の企業の構造にかなり似ていて、私が演じた大友というヤクザも、古いタイプのサラリーマンであって、今の世の中では犠牲になる、というような話に言い換えることも出来ます」と説明。さらに、「エンターテインメントとしてのバイオレンス映画として考えると、古いヤクザの抗争を描くのは面白いなと思います」と独自の解釈を交え、「『アウトレイジ ビヨンド』という2番目の映画の脚本を書いた時に、3本で絶対終わるというような脚本を同時に書いていったんです」と制作秘話も明かした。また、「ダメな監督と言われたり、体を壊したこともあり、日本のエンターテインメントでは"もう終わった人"というような記事を書かれたり噂もあったり、一番自分のキャリアの中で落ち込んでいた時代があった。でもその後、ベネチア国際映画祭で立派な賞をいただいたことで、一気にエンターテイナーとしての地位に戻ることができた」という告白も。「自分のキャリアの中では、ベネチアは絶対に欠かせない自分の芸能生活の1つのエポック、事件で、いつも感謝しています」と同映画祭への思いを伝えた。その後のレッドカーペットでは、映画祭最終日にも関わらず多くの観客が集まった。熱狂の中で迎え入れられた北野監督は、自らファンのもとに駆け寄り、写真撮影やサインに応じてベネチアの人々との交流を楽しんでいた。クロージング上映後、観客は2階席に座る北野監督に向けてスタンディングオベーション。北野監督はその歓声に応えるように立ち上がって笑顔で手を振り、立ち去った後の数分間も拍手喝采が場内に響きわたっていたという。その後の会見では、「やっぱり映画って初公開するっていうのはどこの映画祭でも緊張する」と本音を吐露し、「(監督の)ファンクラブがあって、顔見知りがいたり、そういう安心もあって、ありがたいけどプレッシャーにもなっている。自分の中では賞をもらったのがここベネチアでもあるし、この映画祭はちょっと違った意味はある」と感慨深げ。前日に約60人の海外メディア記者を相手に受けた取材を「かなりみんな好意的なのでほっとした」と振り返り、「映画祭に呼ばれるくらいの価値はあるんじゃないかなと自負している」と手応えをうかがわせていた。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会(C)Kazuko Wakayama
2017年09月12日北野武の監督18作目となる最新作『アウトレイジ 最終章』が、9月9日(現地時間)、第74回ヴェネチア国際映画祭のクロージング作品として世界最速上映が実施され、圧巻のスタンディングオベーションに北野監督も笑顔を見せた。裏社会の男たちの抗争を描いた究極のバイオレンス・エンターテインメント『アウトレイジ』シリーズは、北野監督が初めて手掛けたシリーズプロジェクト。前作から5年の月日を経て最新作となる最終章が完成、ヴェネチア国際映画祭のクロージング上映がワールドプレミアとなった。実は北野監督と本映画祭の関わりは深く、これまで第54回にて『HANA-BI』が最高賞となる金獅子賞、第60回にて『座頭市』が監督賞にあたる銀獅子賞を受賞。また、『アウトレイジ』シリーズとしては、第1作目『アウトレイジ』が第63回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて上映、第2作目『アウトレイジ ビヨンド』が第69回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門にて上映されている。上映前に行われた公式記者会見には、約150ものマスコミ媒体が駆けつけ、北野監督と森昌行プロデューサーが登壇。はじめに、本作で表現したようなちょっと時代遅れのヤクザを語る映画、そしてバイオレンス表現の変遷について質問が及ぶと、監督は「自分の描くつもりでいるヤクザ映画というのは実は、拳銃と一方的な暴力を除けば、現代社会の普通の企業の構造にかなり似ていて、私が演じた大友というヤクザも、古いタイプのサラリーマンであって、いまの世の中では犠牲になる、というような話に言い換えることも出来ます。エンターテインメントとしてのバイオレンス映画として考えると、古いヤクザの抗争を描くのは面白いなと思います」と説明。続けて、「『アウトレイジ ビヨンド』という2番目の映画の脚本を書いたときに、3本で絶対終わるというような脚本を同時に書いていったんです」と本作の制作秘話も披露した。また、今回で9作目の作品上映となり、関わりが深いヴェネチア国際映画祭について、「自分にとっては、ダメな監督と言われたり、体を壊したこともあり、日本のエンターテインメントでは“もう終わった人”というような記事を書かれたり、うわさもあったり、一番自分のキャリアの中で落ち込んでいた時代ですが、その後、ヴェネチア国際映画祭で立派な賞をいただいたことで、一気にエンターテイナーとしての地位に戻ることができた」とコメント。「自分のキャリアの中では、ヴェネチアは絶対に欠かせない自分の芸能生活の1つのエポック、事件で、いつも感謝しています」と感慨深げに記者たちに向けて語る姿が印象的だった。その後のレッドカーペットでは、映画祭最終日の上映にも関わらず、異例の数の観客が会場に詰めかけ、大熱狂で迎え入れられた監督は、自らファンの元へ駆けより、写真撮影やサインに快く応じ、ファンとの交流を楽しんでいた。そして、待望の世界最速上映となったクロージング上映後には、2階席に座る監督へ向けて大喝采のスタンディングオベーションが送られ、監督も立ち上がり、手を振りながら満面の笑顔。鳴り止まない拍手と歓声は、監督が去った後も数分間に渡って続き、大盛況でワールドプレミアを終えた。さらに、上映後に行われた記者会見では「やっぱり映画って初公開するっていうのはどこの映画祭でも緊張する」と、本作の初上映の感想を述べた監督。ヴェネチアは「(監督の)ファンクラブがあって、顔見知りがいたり、そういう安心もあって、ありがたいけどプレッシャーにもなっている。自分の中では賞をもらったのがここヴェネチアでもあるし、この映画祭はちょっと違った意味はある」と、自信でも思い入れは特別の様子。この前日には約60人の海外メディア記者を相手に受けたそうで、「かなりみんな好意的なのでほっとした」とふり返り、「映画祭に呼ばれるくらいの価値はあるんじゃないかなと自負している」と、さらに力強い言葉で締めくくっていた。『アウトレイジ 最終章』は10月7日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年09月11日北野武監督が、裏社会の男たちの抗争を描いた『アウトレイジ』シリーズの、前作から5年の月日を経て迎える最新作『アウトレイジ 最終章』。北野監督の18作目となる本作の公開を記念して、これまでの北野映画全17作品の歴史を“女子高生でも1分で学べる”ふり返り特別映像が公開された。発売が決定しているのは、既発の『キッズ・リターン』『アウトレイジ』『アウトレイジ ビヨンド』『龍三と七人の子分たち』に加え、これまでBlu-ray化されていなかった『その男、凶暴につき』『3-4X10月』『あの夏、いちばん静かな海。』『ソナチネ』『みんな~やってるか!』『HANA-BI』『菊次郎の夏』『BROTHER』『Dolls』『座頭市』『TAKESHIS’』『監督・ばんざい!』『アキレスと亀』の13作品が新たに登場。最新作『アウトレイジ 最終章』公開直前に、『アウトレイジ』シリーズの復習だけでなく、北野監督作品全てをブルーレイで復習することができる。そして今回公開されたのは、女子高生でも北野映画の歴史が1分で学べるPV!映像では、1989年の監督デビュー作『その男、凶暴につき』以来、全世界を魅了し続け世界各国で様々な賞を獲得してきた北野監督が作り上げた各作品の名シーンとともに、中間テストの範囲が”たけし”と聞いたイマドキ女子高生たちが、「え!たけしって、範囲広くない!?」「映画結構やってるし、映画祭とか賞取りすぎ」「復習しなきゃ~」とリアルな会話が繰り広げられる。また、過去作だけでなく、もちろん最新作『アウトレイジ 最終章』の劇中シーンも盛り込まれ、実にユニークな映像となっている。『アウトレイジ 最終章』は10月7日(土)より全国にて公開。北野武監督<13作品>Blu-rayは9月27日(水)よりリリース開始。(cinemacafe.net)
2017年09月08日受験シーズンには学生でいっぱいになる「北野天満宮」京都市上京区にある「北野天満宮(きたのてんまんぐう)」は、平安時代の中頃である天暦元年に建てられた神社といわれています。文武両道の優れた才能を持っていたとされる菅原道真が祀られている神社で、その神聖なるパワーは学問の神様という別名がついているほど。天神さんや北野さんという通称名もあり、全国に存在する天神さんの総本山としても知られています。北野天満宮がもっともにぎやかになるのは受験シーズン。全国各地から菅原道真がもつパワーを得ようと、学生たちが集まります。お牛さんのイラスト入り絵馬に願いを込める「北野天満宮」では様々なお守りやお札が販売されています。その中でも一願成就のために訪れる方にとって外せないのが、お牛さんのイラスト入り絵馬。サインペン付きの祈願絵馬に自分の願いを書き込み、願いを込めながら奉納しましょう。絵馬を掛ける場所には、願いごとの成就を手助けするといわれる「一願成就所牛舎」があります。お牛さんと呼ばれる牛を撫でることで、願いごとの成就が後押しされるといわれています。季節によって表情を変える境内の姿は神秘的神聖な場所である「北野天満宮」には、様々な自然の風景が凝縮されています。梅園が有名な神社としても知られていますが、新緑の時期にはさわやかな緑色が印象的な青もみじも見頃です。鶯橋という名の朱色をした橋と、青々と生い茂った青もみじは、人々の心を奪うような色のコントラストを見せてくれます。少し汗ばむような初夏の時期に、自然の涼しさを感じることも。心をホッと落ち着かせるのにぴったりの場所です。お参りだけでなく、自然の風景を眺めるのにもおすすめの「北野天満宮」。四季折々の変化を楽しむことができるので、どの季節に訪れても飽きることのない場所です。近くに立ち寄る際は、ぜひ境内を散策してみてください。スポット情報スポット名:北野天満宮住所:京都市上京区馬喰町 北野天満宮社務所電話番号:TEL:075-461-0005 FAX:075-461-6556
2017年08月04日北野武監督18作目となる最新作『アウトレイジ 最終章』が、8月30日(水)よりイタリアにて開催される「第74回ベネチア国際映画祭」の“クロージング作品”に決定。また、公式上映には北野監督が参加予定となった。関東「山王会」vs関西「花菱会」の巨大抗争後、大友(ビートたけし)は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)の下にいた。そんな折、取引のため韓国滞在中の「花菱会」幹部・花田がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。これをきっかけに、国際的フィクサー「張グループ」vs巨大暴力団組織「花菱会」一触即発の状態に。激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。時を同じくして、その「花菱会」では卑劣な内紛が勃発していた…。『アウトレイジ』シリーズは、北野監督が初めて手掛けたシリーズプロジェクトで、裏社会の男たちの抗争を描いた究極のバイオレンス・エンターテインメント。2010年の『アウトレイジ』、2012年の『アウトレイジ ビヨンド』は、累計興収22億円超を記録。そんなシリーズが、前作から5年の月日を経てついに最終章を迎える。キャストには、前作に引き続き「大友組」元組長・大友役のビートたけし、関西最大の組織「花菱会」幹部・西野役の西田敏行のほか、塩見三省、名高達男、光石研、中村育二、松重豊、白竜らが出演している。そしてこの度、本作が世界最速で上映されるワールドプレミアとして、「第74回ベネチア国際映画祭」開催最終日である9月9日(土)授賞式後、映画祭の締めくくりに上映されることが決定。北野監督は、「映画祭のクロージング作品として『アウトレイジ』シリーズの最終章とはまさにぴったり、願ったり叶ったりだね。いつものことながら観客の反応が楽しみだな」と喜びを語り、森昌行プロデューサーは「招待作品の中でもオープニング作品と並ぶクロージング作品という格別な扱いをして頂いたことを素直に喜んでおります。今回の招待は改めて北野作品の海外での人気を象徴するものと受け止めております」とコメントしている。また、北野監督とベネチア国際映画祭の関わりは深く、これまでに第54回ベネチア国際映画祭にて『HANA-BI』が最高賞である金獅子賞、第60回ベネチア国際映画祭にて『座頭市』が監督賞にあたる銀獅子賞を受賞。『アウトレイジ』シリーズとしては、1作目の『アウトレイジ』が第63回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて上映、続く『アウトレイジ ビヨンド』は、第69回ベネチア国際映画祭コンペティション部門にて上映されており、今回の決定で3部作全てが世界三大映画祭にて上映される快挙となった。『アウトレイジ 最終章』は10月7日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年07月27日北野武監督の最新映画『アウトレイジ 最終章』が、8月30日よりイタリアで開催される第74回ベネチア国際映画祭のクロージング作品として上映されることが27日、明らかになった。『アウトレイジ』シリーズは、北野監督によるシリーズプロジェクトで、裏社会の男たちの抗争を描いたバイオレンス・エンタテインメント。2010年に『アウトレイジ』、2012年に『アウトレイジビヨンド』が公開され、累計興収22億円超を記録している。これまでもシリーズ第1作の『アウトレイジ』が、第63回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて上映、第2作目『アウトレイジビヨンド』が第69回ベネチア国際映画祭コンペティション部門にて上映されており、今回の決定により、3作品すべてが世界三大映画祭で上映されることになった。今回の決定を受けて、北野監督は「映画祭のクロージング作品として『アウトレイジ』シリーズの最終章とはまさにぴったり、願ったり叶ったりだね。いつものことながら観客の反応が楽しみだな」と喜び、森昌行プロデューサーも「招待作品の中でもオープニング作品と並ぶクロージング作品という格別な扱いをして頂いたことを素直に喜んでおります。今回の招待は改めて北野作品の海外での人気を象徴するものと受け止めております」とコメントを寄せている。『アウトレイジ 最終章』は、ビートたけし演じる主人公の大友が、関東の山王会と関西の花菱会の巨大抗争後、韓国に渡り、フィクサーの張会長のもとに身を寄せる。そこに、韓国出張中の花田(花菱会)がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。これをきっかけに、張会長 vs 花菱会という一触即発の様相を呈する中、花菱会では内紛が勃発。そんな中、大友が日本に戻ってくる、というストーリーが展開する。
2017年07月27日実写映画『銀魂』と同じキャスト、スタッフで贈るdTVオリジナルドラマ「銀魂-ミツバ篇-」。7月13日(木)、同作に出演する吉沢亮と北乃きいによるトークショーとプレミアム先行試写会が、大阪・阪急うめだホールにて開催。LINE LIVEでも生中継された。本作は、真選組の“ドS”剣士・沖田総悟(吉沢さん)と姉・ミツバ(北乃さん)の関係を中心に描いた、「銀魂」きっての“泣けるエピソード”「ミツバ篇」をdTVがドラマ化。この2人のほか、坂田銀時役の小栗旬、真選組局長・近藤勲役の中村勘九郎、鬼の副長・土方十四郎役の柳楽優弥も出演し、脚本・監督は映画本編同様、福田雄一が務めている。冒頭、「銀魂-ミツバ篇-」の予告映像が流れる中、吉沢さん、北乃さんが登場すると、会場に押し寄せた360名から歓喜の声が!まず、沖田を演じた吉沢さんが、「超ドSで淡々と毒を吐く腹黒い役でした。でも、姉が大好きで大好きでたまらないという仮面の裏に隠れている不器用な部分や真選組を想う気持ちが、dTVのミツバ篇にはギュッと入っていると思います」と役どころを語り、続いて、弟を溺愛している姉・ミツバを演じる北乃さんは「おしとやかで病弱ですが、芯がぶれない女性だと思います。声のトーンを高くしたり、テンポを遅くして、アニメと似せるよう努力しました」とコメント。撮影の様子を聞かれると、吉沢さんは「北乃さんとは1日しか被らなかったんです」と答え、北乃さんも「取材やキャンペーンでは1日一緒だったりして、変な感じでした(笑)。お互い人見知りなので、イベントや取材で仲が縮まって良かったです(笑)」と語った。そんな中、主演を務める小栗さんをはじめ、真選組の一員である柳楽さん、勘九郎さんからのコメントVTRも到着。MCから、「小栗さんから『ミーツバ』みたいなのはありましたか?」と聞かれた北乃さんは、「それは見てからのお楽しみで」と答え会場を沸かせた。続いて、本作の見どころの1つでもある柳楽さんとの殺陣シーンについて、吉沢さんは、「剣闘のシーンで練習中に稽古用の木刀で思いっきり柳楽さんの頭を叩いてしまって、僕が死ぬかと思いました(笑)。優しい方だったので許してくれましたが、本当に気をつけてやりました」と冷や汗もののエピソードを明かし、「劇場版ではひたすらバズーカを撃っているだけだったので、dTVのミツバ篇では沖田の殺陣のシーンができてとても良かったです」と語った。一方、辛いものが大好きなミツバを演じる北乃さんは、喫茶店でのコミカルなシーンについて「咳き込むところは、芸能界14年してきて、やったことがないような初めての顔をしました。ファンとかいなくなってもいいやと思うくらい振り切ってやりました(笑)」と笑顔で明かす。ドラマの劇中では、北乃さんが小栗さん、柳楽さんと激辛せんべいを食べるシーンがあるが、本イベントでは、「食べていない」という吉沢さんの前にリアル激辛せんべいが登場。吉沢さんは役柄にちなんで「姉上、食べます!」と宣言、勢いよくかぶりつくも、「痛いです。いますごく攻撃されてます!」と苦悶の表情に…。ちなみに、この激辛せんべいはイベント来場者へのお土産としても配られた。さらに、2人の姉弟愛について、吉沢さんが「姉弟というより恋愛感覚で演じました。独占欲の強い彼氏みたいな感じで」と語るも、北乃さんは「完全に弟でしたね!」ときっぱり。「普段はドSだけど、姉の前ではころっと変わるのが本当に可愛かったです」と話し、会場を沸かせた。そんな仲のよい(?)2人に、5つの究極の質問にAかBで答える相性診断テストを実施。5問中、最後の「明日世界が滅びるとしたら?」では一番悩む様子を見せた2人は、吉沢さんが「A(家族と過ごす)」、北乃さんが「B(好きな人と過ごす)」と分かれたものの、それ以外は全て同じ回答に。3番目の質問で「完璧に磨かれるなら、ファッションセンスより笑いのセンス」と揃って答え、「福田さんの撮影はすごく分かりやすくて、面白ければ監督は爆笑するし、つまらなかったら反応しない。すごく素直な方です。福田さんを笑わせた者勝ちみたいな感じです」と吉沢さんが語ると、北乃さんも「福田さんの反応がないときはすごく反省します」と賛同し、楽しげな現場の様子に触れた。最後にそれぞれ、「ユニークなシーンもありつつ、人間くさい部分もあり感動できると思いますので最後まで見ていただきたいです」(吉沢さん)、「小道具や衣装など、細かいところまで再現していて、プロの集団で作り上げた作品なのでみなさんにも満足していただけると思います」(北乃さん)と見どころを語り、会場が歓声であふれる中、イベントは終了した。dTVオリジナルドラマ「銀魂-ミツバ篇-」は7月15日(土)よりdTVにて独占配信。7月14日(金)より福田監督、小栗さん、柳楽さん、吉沢さんの貴重なトークが見られる特別番組も配信。『銀魂』は7月14日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:銀魂 2017年7月14日より全国にて公開(C) 2017「銀魂」製作委員会
2017年07月14日俳優の吉沢亮と北乃きいが13日、大阪で行われたdTVオリジナルドラマ『銀魂-ミツバ篇-』(7月15日配信開始)プレミアム先行試写会に登場した。同作は、漫画家・空知英秋が『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中の同名コミックのドラマ化で、パラレルワールドの江戸を舞台に、宇宙からやってきた"天人(あまんと)"と侍・坂田銀時(小栗旬)の間に起こるさまざまな事件を描く。7月14日から公開される映画版『銀魂』と同キャスト・同スタッフで、全3話のdTVドラマ版が製作された。吉沢は普段はドSだが姉の前では良い子になってしまう、真選組の一番隊隊長・沖田総悟を演じ、北乃は弟を溺愛する姉・ミツバを演じた。吉沢は「姉が大好きで大好きでたまらないという仮面の裏に隠れている不器用な部分や真選組を想う気持ちが、dTVのミツバ篇にはギュッと入っていると思います」と役柄について語った。撮影の様子を聞かれると、吉沢は「北乃さんとは一日しか被らなかったんです」と明かし、北乃は「取材やキャンペーンでは1日一緒だったりして、変な感じでした(笑)。お互い人見知りなので、イベントや取材で仲が縮まって良かったです(笑)」と答えた。激辛好きという設定のミツバだが、劇中で出てきた激辛せんべいを「食べていない」という吉沢に、北乃は「私、持ってます!」と取り出して渡す。吉沢はためらいを見せたが、「姉上食べます!」と勢い良く激辛せんべいを食べ、「痛いです。今すごく攻撃されてます!」と苦悶の表情を見せた。一方、自称・辛いもの好きの北乃は「わたし大丈夫です」と答える余裕を見せる。この激辛せんべいはイベント来場者へのお土産としても配られた。また吉沢は「4人兄弟で姉がいないので、(ミツバに対して)兄弟というより恋愛感覚で演じました。独占欲の強い彼氏みたいな感じで」と胸キュン発言。それに対し北乃は「完全に弟でしたね!」ときっぱり返し、「普段はドSだけど、姉の前ではころっと変わるのが本当に可愛かったです」と語った。
2017年07月13日