■子どもの可能性がぐんぐん伸びる! 夏のイベント&スポット4つ子どもたちが待ちに待った夏休みがスタートします。おでかけの予定をこれから立てる方は、せっかくのお休みを利用して、各地でおこなわれる子どもの発想力を刺激するイベントやスポットに足を運んでみてはいかがでしょう。楽しめて、知的好奇心を伸ばせて、そのまま自由研究のテーマにもできる、一石三鳥な夏休みのイベント、スポットをピックアップします。■サイエンススクエア(東京都)国立科学博物館が毎年開催している、科学とふれあう体験型のイベントです。電気のひみつ、光や音のつたわりかた、摩擦×謎解きといったやさしく身近な科学から、けん玉やはんこ、万華鏡、ロボットまで実際につくってみる工作系など、子どもの好奇心を刺激するワークショップがもりだくさん。また、そのほとんどが材料費ゼロで参加できるのも魅力のひとつです。ここで学んだり、つくったりしたものを、そのまま自由研究の課題として提出することもできそうです。毎年大人気のイベントのため、参加にはウェブでの申し込みが必要で、その後抽選がおこなわれます。8月3週目の申し込みは2016年7月19日(火)17:00まで。気になる方はお早めにウェブサイトをチェックしてみてください。・ サイエンススクエア ■Tech Kids CAMP(全国主要都市)ゲームやスマホアプリに夢中になっているわが子の姿を見て、「その集中力を勉強に向けてくれたらいいのに…」と思うことはありませんか? それなら、いまはプレイする側を楽しんでいる子どもたちに、「つくる側」の視点を提案してみてはいかがでしょう。「Tech Kids CAMP」は小学生向けのプログラミング入門ワークショップで、毎年夏には3日間、5日間、7日間から選べる短期集中プログラムが組まれます。全国の主要都市で行われ、アプリ開発、2D、3Dゲーム開発、今子どもたちに大人気のマインクラフトのプログラミングまで、コースもさまざまです。普段からパソコンやゲームに慣れ親しんでいる子はもちろん、あまりいじったことがない子でも大丈夫とのこと。楽しい学びを通して、子どもたちの意外な才能が開花するかもしれません。・ Tech Kids CAMP ■こども国際フェスタ(東京都)グローバル化が叫ばれる昨今、せっかくなら子どもたちにも世界のさまざまな人々と交流するチャンスを広げておきたいものです。外務省後援で催される「こども国際フェスタ」は、そんな親の願いが実現するイベントです。夏休み中には、大使館をめぐり各国の文化や食にふれる「大使館訪問」や、各国からの留学生とふれあいながら、楽しく英語を学べる交流会、さらには5日間の国内留学などの多彩なプログラムが用意されています。夏休み中のプログラムはいずれも事前予約が必要で、参加費用は5,000円から(プログラムによって異なります)。休み明けではありますが、2016年9月3日(土)に東京・恵比寿でおこなわれるフェスタ当日は入場無料で、ワークショップも用意されます。貴重な国際交流体験は、自由研究のテーマとしてもぴったりです。・ こども国際フェスタ ■北野工房のまち(兵庫県)兵庫県・神戸市にある「北野工房のまち」は、使われなくなった小学校を「ものづくり」体験ができる施設へとうまれかわらせた、いま注目の廃校利用のスポットです。工房の名のとおり、施設内には手芸系のクラフトから、食品サンプルづくり、和ろうそくづくりなど、ここでしか体験できない手作り体験メニューがたくさん。ビーズブレスレットやぬいぐるみのアクセづくり、スノードームづくりなど、小学校低学年くらいの子でも取り組めるメニューはもちろん、話題のフルーツカービング、本格的なシルバーアクセサリーづくりなどのおとなが夢中になってしまいそうなメニューも数多く、親子そろって楽しむことができそうです。夏休み中には、「夏休み体験広場」第2弾も予定しているそう。事前にチェックしてみてはいかがでしょう。・ 北野工房のまち 長いようで短い夏休み。せっかくなら、さまざまな体験をさせてあげてあげながら、悩ましい自由研究の課題もスムーズにすすめられるよう、工夫できるとよいですね。
2016年07月16日キュリオシティは24日、東京大学 竹内研究室の研究内容である「細胞組織の人工的構築」と、研究がもたらす未来像について楽しく学べるiOS向け無料ゲームアプリ「Cell Dolls」をリリースした。「Cell Dolls」は、ERATO竹内バイオ融合プロジェクトの成果を元に、東京大学竹内昌治教授とキュリオシティが共同開発したiOS向けゲームだ。「遠い宇宙のとある星」の体を持たない魂のみの存在である住民たちに、「細胞を点・線・面に加工する竹内研の技術」で細胞人形の体を与え、様々な問題を克服していく…というストーリー。「細胞組織をつくる」で住人の身体を作るところから物語は始まり、さらに「培養肉」や「サイボーグの開発」などのシーンも登場する。それぞれの研究に必要な細胞の種類や、考えられる問題について学んでいく。操作自体はタップで細胞を集めるというシンプルなものだ。キャラクターのコレクション機能や、オンラインで得点を競うランキングも用意されている。なお、同ゲームは、日本科学未来館にて開催された「サイエンスアゴラ2015 竹内研究室ブース」にて公開したインタラクティブゲームを、機能追加した上でアプリ化したものとなっている。
2016年03月24日最近テレビCMなどで頻繁に耳にするようになってきた「電力自由化」。電力会社を自分で選べるようになるとはいえ、いったいなにを基準に選び、いつまでにどうすればいいのか分からない方も多いのでは。そこで『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』の著者で、エネルギービジネスに詳しい、RAUL株式会社代表・江田健二さんにお話をお伺いしました。■安定から競争へ。電気というサービスを高める「電力自由化」―電力自由化とは、どういうことなのでしょうか?電気を使おうと思ったら現在のわたしたちは暮らしている地域の電力会社と契約すればいいですよね。これを「地域独占」といいます。今まではこのように発電、送電、配電、売電までを、地域の電力会社が一括して担っていました。戦後、大きな目標として進められてきたのは「電力の安定供給」だったからです。その結果、日本の電力供給技術は世界的にも高い評価を受けるまでに成長しました。次は、競争し、サービスを高めていく段階なのです。2016年4月から始まる「電力自由化」は、地域独占ではなく電力事業が自由化され、消費者が選択できるというものです。たとえば東京にあるご家庭でも、関西の電力会社を選べるようになるのです。■電力自由化の魅力とリスク―生活者のわたしたちが、知っておかなければいけないことはなんでしょうか?電力自由化によって起こる利点と、懸念点を知っておくのがいいと思います。利点は、なんといっても自分に合った利用プランが生まれること。たとえば、「家を買うと10年分の電力がついてきます」というものも出てくるでしょう。他には、バラバラに住んでいる家族全員が、同じ電力会社に契約することで「家族割り」ができたり、サッカーや野球ファンが「電力を使うことでチームを応援する地産地消プラン」だったり、趣向やコミュニティ単位でアプローチするプランも出てくると思いますよ。電力自由化はイギリス、ドイツ、フランスなどのヨーロッパやアメリカではすでに導入されており、日本は先進国の中で導入に慎重な方だったといえます。いままで電力会社といえば、発電から売電まで同じ会社が行ってきましたが、これからの電力会社は、発電会社から電力を買って売電する会社のことを指すようになります。電力会社は自社発電に限らず、価格や地域、発電方法などにこだわって電力を買い付けます。つまり、ある一定の認可を受ければ誰でも電力会社になれるということ。安さだけで選んでしまっては、突然会社が倒産してしまう可能性もあるので注意したいところです。イギリスでは電力自由化に伴って、多くの電力事業を始める会社が生まれました。しかし、競争の結果ほとんどの会社が吸収合併され、現在6社くらいに集約されています。近い将来、電気だけでなくガスや携帯電話、インターネットなどたくさんのサービスが統合し、大きなエネルギーカンパニーが出てくる可能性もあるのではないかと考えています。では、どのように電力会社を選べばいいのでしょうか? 後編 では、選ぶ際の基準や、導入時期なども教えてもらいました。電力自由化に伴い予想される、とっても便利な近い将来のお話も! 後編へつづく RAUL株式会社 代表取締役社長 江田健二さんプロフィールアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年に RAUL株式会社 を設立。2016年1月25日に出版された、2016年4月からスタートする「電力自由化」(電力小売完全自由化)について、図解を交えて分りやすく解説した入門書『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』は、Amazonベストセラー1位(エネルギー一般関連書籍部門)に。一般社団法人 エネルギー情報センター 理事/一般社団法人 エコマート 運営委員
2016年03月07日「電力自由化」とは結局のところどういうことなのか、その魅力とリスクについて、エネルギービジネスに詳しい、RAUL株式会社代表・江田健二さんにお話をお伺った 前編 。後編では、気になる電力会社の選び方から、電力自由化になることで予想される、とっても便利な近い将来のお話まで伺いました!■契約の決め手は「実績」と「サポート力」―電力会社は、なにを基準に選べばいいのでしょうか。自分のライフプランやポリシーに合うものを探すのがいいと思います。インターネットで「電力」「比較」などで検索すると、各電力会社の比較サイトや口コミを確認することが出来るので、よくチェックしてみましょう。ほかのポイントでいえば、その会社の「実績」でしょうか。現在は電力自由化で新規参入の会社がたくさんあります。ですから、会社の信用度や過去の配電実績などはきちんとチェックしたいですね。また、カスタマーセンターや、お客様相談窓口がきちんとあるかも確認するといいでしょう。万が一のときに、電話で問い合わせできない、つながらないでは、一大事ですから。価格よりも、万が一の時の対応を見極めることをオススメします。また、携帯電話各社も電力自由化に参入するようなので、すでに「つきあいのある会社」で選ぶのもいいと思います。■世界中どこへ行っても、自分の部屋の環境に!?電力自由化は春に始まりますが、各社のプランが出そろうのはおそらく夏頃。それまでは様子見でいいと思います。また、自由化ですべてが切り替わるわけではなく、2~3年は現在の料金体系が維持されるでしょう。電気はこれから、どんどん自由になっていくと思います。銀行の窓口がATMからアプリになって、いまではスマートフォンから振り込みも完了できてしまうイメージですね。たとえば、友達の家に遊びに行って携帯電話の充電がなくなっても、壁の電気ソケットだけ借りれば電気代は自分で支払うことができたり、自宅で快適な温度・湿度を設定すると、世界中どこのホテルへ行っても自分の部屋ではその環境が自動的に整えられたり、といったことが出来るようになるでしょう。2020年には日本でもほとんどの家庭に「スマートメーター」が設置されます。これは、現在よりももっと詳細に電気使用量を把握できるというものです。「でんき家計簿」をご存じですか? 現在契約してる電気会社の「お客様番号」で、開設できる電気の使用量を確認できるサービスです。これによって、季節での使用量や似た家庭との電力の比較ができ、自分の「電気を使うクセ」が把握できると思います。また、スマートメーターの事前取り付けを行うと、時間ごとの電気の使用量も把握できます。―ありがとうございました!いままでなんとなく使ってきた電気。でもこの機会が、自分のライフサイクルや電気の作り方・使い方を意識するいいきっかけになりそう。まずは気になる電力会社を調査しつつ、近い将来のスマートライフに備えましょう!RAUL株式会社 代表取締役社長 江田健二さんプロフィールアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年に RAUL株式会社 を設立。2016年1月25日に出版された、2016年4月からスタートする「電力自由化」(電力小売完全自由化)について、図解を交えて分りやすく解説した入門書『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』は、Amazonベストセラー1位(エネルギー一般関連書籍部門)に。一般社団法人 エネルギー情報センター 理事/一般社団法人 エコマート 運営委員
2016年03月07日睡眠の研究は日々行われていて、新たな事実が気鋭の研究者によって解明されています。今回紹介するのは、スウェーデンの大学の研究者が昨年6月に発表した最新情報。睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気か読み解きながら、治療に効く意外なアイテムについてご紹介します。睡眠時無呼吸症候群の改善に効いたのはアレ今年6月の頭に論文で、「軽度から中度の睡眠時無呼吸症候群の患者を対象にマウスピースの有用性を調べたところ、効果は限定的で日中の眠気は改善しない」と発表されたそうです。ただ、患者の口の形に合わせて調整可能なマウスピースの場合、睡眠時無呼吸症候群が改善する傾向がみられたそうです。それでも、日中の眠気には効果がなかったと報告されています。一般的に睡眠時無呼吸症候群の治療で使われているCPAPと呼ばれるものは、有効性は高いものの、順守不良になりやすいそうです。一方でマウスピースは順守性が高く、いびきや無呼吸指数の改善には効果が認められたそうです。自分では気づきにくい病気睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が止まってしまう病気ですが、当の本人は自覚症状がなく、病気に気づきにくいと言われています。呼吸が止まっているのも一時的なので、それで目を覚ます人もいれば、そのまま寝続ける人もいるのだとか。また、自覚症状はなくても、身体には大きな負担がかかっています。というのも呼吸が止まっている間は、体内に必要な酸素が供給されないからです。そうすると、血液中の酸素濃度が低下して、それを補おうと心臓がいつもより激しく動きます。その結果、高血圧になったり、動脈硬化が進んだり、脳梗塞や心筋梗塞などの疾患を引き起こす場合もあると言われています。予防はできるの?「いつも大きないびきをかいている」と言われたことがある方は、注意が必要です。なぜなら、「いびきは無呼吸の前兆である」と言われているから。日中の眠気が原因で病院へ行くという方もいるそうですが、それが異常だと自覚できる人は患者の半数程度だという医師の声もあります。本人が自覚しにくい病気なので、「家族や同居者の声」はとても重要なものだそう。睡眠時無呼吸症候群の予防法としては、生活習慣の改善、肥満にならない、過度の飲酒を避けるなどがあります。いびきをよくかくと言われたことがある方は、早速今日からこの予防法をスタートしてみてはいかがでしょうか?photo by pixabay
2016年01月28日ロームは1月12日、大学や高等専門学校、公的研究機関に所属する若手研究者を対象にした研究公募制度を創設し、募集を開始すると発表した。対象となるテーマは、センサやパワーデバイス、無線通信など6つの分野。研究費は内容に応じて決定されるが、1件あたり200万円/年が上限で、合計20件程度を採択するとしている。2015年度内に採択し、研究期間は2016年4月に研究開始で、1~2年以内を想定している。研究テーマは以下の通り:光エレクトロニクス・フォトニクス研究分野パワーエレクトロニクス研究分野異種接合研究分野MEMS研究分野省エネLSI研究分野無線通信研究分野研究契約は単年度契約となるが、1年目末時点の状況により1年延長するかどうかが採択される。また、採択テーマの中から研究内容に応じて、研究費の増額や期間の延長などを含む発展共同研究とする精度も準備しているとのこと。採択された場合、半年に1回の研究報告会の実施と、各年度末に研究報告書の作成が求められる。なお、応募用紙は同社Webサイトより応募用紙をダウンロード、必要事項を記入の上、Eメールで提出する。書面による1次審査を通過したテーマについて応募者とローム担当者が面談の上、最終審査を実施する。応募の締め切りは2016年2月29日。
2016年01月12日防衛省は9月25日、装備品への適用面から着目される大学、国立研究開発法人などの研究機関や企業などにおける独創的な研究を発掘し、将来有望な研究の育成を目指して2015年度より開始した安全保障技術研究推進制度において9件の研究課題を採択したと発表した。募集期間は2015年7月8日から8月12日で、応募総数は109件。大学などから58件、独立行政法人などの公的研究機関から22件、そして民間企業などから29件の応募があったという。なお、今回採択された9件の研究テーマと研究代表機関は以下の通り。
2015年09月26日成り行きで引き受けた「大人の自由研究」。ラズパイを使って『スズメ激写装置』をつくるというテーマのもと見切り発車でスタートしたが、あっさりと動体検知撮影を実現した。残るは仕上げの部分、起動プロセスの自動化や写真の解像度をどうするか。肝心の被写体が不在のまま、作業は進む。○Motionの設定I氏:「さあ、いよいよ大詰めですね」海上:「環境設定に関してはそうですけど、箱はドリキャスのままですよ?」I氏:「箱とか飾り付けは好みの問題だから、いいんじゃないですかね」海上:「もうチョイ本格的に仕上げたかったんですけど」I氏:「スズメを撮影できれば企画的にはOKかな、と。そこ、押さえてますよね?」海上:「……」I氏:「おいおい……」さて、動体検知撮影システム「Motion」の設定である。まずは、/etc/init.d/motion(Motionの起動時に参照される設定ファイル)をnanoで開き、59行あたりにある「--chuid motion」の部分をDELキーで削除、Control-Xを押して上書き保存しよう。なお、カーソル位置の行番号は、Control-Cを押せば画面下部に表示される。$ sudo nano /etc/init.d/motion次に、Motionをデーモン(システムのバックグラウンドで稼働するプログラム、「サービス」と同義)として作動させるための設定を行う。nanoで「/etc/default/motion」を開き、「start_motion_daemon=no」の「no」の部分を「yes」に書き換え、Control-Xで上書き保存すれば完了だ。$ sudo nano /etc/default/motion続いては、Motionの環境設定を。設定ファイルは「/etc/motion/motion.conf」、これもやはりnanoで開き作業を行う。主要な変更点を表1にまとめたので、参考にしてほしい。行番号はControl-Cをタイプし、画面下に「Line 11/638 (1%)」などと表示される情報から確認できる。肝心の解像度だが、利用するWEBカメラにより設定できる値が異なる。第2回で選定した「iBuffalo BSW32KM04WH」に関していえば、指定した値に近い解像度を適用する仕様のようで、width=800/height=400のとき640×360、width=1200/height=800のとき1280×720、width=1280/height=960のとき1280×720という解像度が適用された。個人的には、動体検知という目的に照らすと640×360か640×480がちょうどいいと考えるが、いかがだろう。$ sudo nano /etc/motion/motion.confこれで「sudo service motion start」を実行すれば、新しい設定でMotionが動作を開始する。ただし、毎回実行するのは手間がかかるため、insservコマンドを利用してシステム起動時に自動実行されるサービスとして登録しておこう。これで、Raspberry Piに電源を投入すれば自動的にMotionが起動し、WEBカメラで動体検知撮影できるようになるはずだ。$ sudo insserv motion$ sudo service motion start○ついにアイツが飛んでくる……大団円なるか?待てど暮らせど来ぬ鳥を……と口ずさみながら待つこと6日。昼夜通して待ち続けると、手持ちぶさたで宵待草ならぬ酔待草になってしまいそうだが、スズメは夜間に行動しない。だから日没後にはシステムをシャットダウンしてベランダから撤退、バッテリーを充電して翌朝に備えるというスケジュールで進行した。それにしても、スズメは来ない。肝心なときにかぎって来ない。8月も残すところ10日となり、このままでは夏休みの自由研究という企画が台無しになってしまう。とはいえ、ベランダに餌を撒いても効果はないし、鳥獣保護法により許可なく野鳥を捕獲することは禁止されているしで、打つ手も尽きた。そんなとき、予想外の出来事が。いればうっとうしいがいなけりゃ寂しい夏の風物詩「セミ」がやってきたのだ。まさに奇跡、いつのまにかカメラに収まっている。企画の目的はあくまでスズメだが、不意にフレームインしてきた物体に反応して自動撮影するという企画趣旨は満たした。セミ、いいじゃないか。いいぞ(「孤独のグルメ」風に)!I氏:「なんか、話がうまくないですかね?」海上:「(ギクッ)」I氏:「壁にとまるのならともかく、床ですからね。それもカメラの前」海上:「(ギクギクッ)」I氏:「動体検知だと、前後の写真も撮影されてますよね。見せてもらえません?」海上:「……」I氏:「なんですか、これ。完全なヤラセじゃないですか!」海上:「黒子が写りこんだとでもいいますか」I氏:「どう見ても、あなたの手じゃないですか!」海上:「でも、手の動きはじゅうぶん動体撮影らしさが出ていますよ」I氏:「セミが動かなきゃ! ひょっとして、手にかけました?]海上:「いや、木にとまった状態で事切れていたセミを連れ帰りました」 ※実話I氏:「しょうがないなあ……でも、なにゆえにセミなんです?」海上:「この企画、今回で終わるじゃないですか」I氏:「ええ。そこそこ話題になったのは救いですよ」海上:「話題になれば続編の可能性もなくはない、と」I氏:「可能性はゼロではないかな」海上:「まだ先がある終了、完全終了ではない終了、と」I氏:「はあ」海上:「……セミ・ファイナル」I氏:「延々続けて、そのオチですか」海上:「いやあ、夏らしい企画でビールがうまい。というわけで皆さん、機会があればまたいつか!」
2015年08月24日成り行きで引き受けた「大人の自由研究」。ラズパイを使って『スズメ激写装置』をつくるというテーマのもと見切り発車でスタートしたが、大方の予想を裏切りとんとん拍子で進行中。そしてついに、WEBカメラを使った動体検知撮影に漕ぎ着けた。○Wi-Fiが途切れる?I氏:「どうなってるんですか!」海上:「はい?」I氏:「Wi-Fi化してからネットワークがすぐ切れると、読者から質問が来ましたよ!」海上:「それね。『8192cu』というドライバで動くWi-Fiアダプタで起きる現象ですよ」I氏:「型番だけ言われたって、普通の人はわかりませんよ!」海上:「『lsmod』コマンドを実行し、8192cuと表示されるかどうかでわかりますよ」I氏:「で、対策は?」海上:「以下のコマンドラインをSSHクライアントにコピペして実行、その後再起動すればOK」echo "options 8192cu rtw_power_mgnt=0 rtw_enusbss=0" | sudo tee /etc/modprobe.d/8192cu.confI氏:「……確かに、通信が途切れなくなったような。なんですか、これ?」海上:「Wi-Fiアダプタのドライバを読み込むとき、USBの省電力機構を無効化するようにしたんですよ」I氏:「じゃあ、消費電力が増えると」海上:「バッテリーのもちに大きく影響するほどではないです。たびたび通信が途切れるよりいいでしょ?」○いよいよWEBカメラを接続RaspbianをインストールしてUSB Wi-Fiアダプタの設定が完了すれば、あとはWEBカメラシステム「Motion」をインストールするだけ。Raspbianはdebian系のLinuxディストリビューションなので、apt-getコマンドを使えばかんたんにインストールできる。結論からいうと、以下の2行をSSHクライアントで実行すれば準備完了だ。$ sudo apt-get update$ sudo apt-get install motion念のため説明しておくと、1行目ではパッケージ情報が保管されているインデックスファイルを更新し、2行目でMotion本体および依存関係にあるパッケージ群をサーバからインストールしている。Motionは「ffmpeg」や「libav-tools」など映像系のプログラムに依存しているため、AにはBが必要で、Bをインストールしようと思ったらCが必要で、CにはDが必要で……といった事態に陥る。apt-getは、そんな依存関係にあるパッケージを芋づる式にインストールしてくれるのだ。なお、ときどき「Do you want to continue [Y/n]?」などと質問されることがあるが、そのときには「Y」と答えればOK。しばらく放置すれば、多数のパッケージが次々インストールされるはずだ。○ファイルを取り出す準備Motionが撮影した静止画/動画は、microSDカードの空き領域に書き込まれる。それを取り出すには、『スズメ激写装置』でファイル共有サービスを動作させておき、WindowsのエクスプローラやMacのファインダーで操作することが近道だ。しかし、『スズメ激写装置』で使うシステム(Raspbian)では、あらかじめファイル共有サービスがインストールされていないため、手動でセットアップしなければならない。利用する共有サービスは、WindowsでもMacでもシステム標準で対応していることを考慮すれば、Samba(Windowsネットワーク互換のOSSファイル共有機能)が妥当だろう。apt-getを使えば、以下の1行を実行するだけでインストールできる。$ sudo apt-get install sambaネットワーク上で共有する領域の準備も必要。「Motion」の初期値では、/tmp/motionディレクトリに静止画/動画を記録するよう設定されているため、「path=/tmp/motion」とパスを記述しておけばOK。sudoと組みあわせてnanoを起動し、Sambaの設定ファイル(/etc/samba/smb.conf)の末尾へ以下のとおり記述をくわえ上書き保存すれば準備完了だ。$ sudo nano /etc/samba/smb.conf(末尾に追加)[share]path=/tmp/motionread only=no1browsable=yesguest ok = yesforce user = pi設定を有効にするには、Sambaの再起動が必要(sudo service samba restart)。さらに、次回以降『スズメ激写装置』を起動したときSambaを自動的にスタートさせるため、起動スクリプトにもひと手間くわえておこう(sudo update-rc.d samba defaults)。$ sudo service samba restart$ sudo update-rc.d samba defaults○『スズメ激写装置』を起動、すると……これでとりあえずの準備は完了、あとはベランダに『スズメ激写装置』を置き、ひたすら待つのみ。利用するWEBカメラ「iBUFFALO BSW32KM04WH」は予想以上に広角なので、適当な方向に向けておけばおそらくだいじょうぶと思う。ただ、この暑さの中、飛んできてくれるかどうか不安なので、ちょっとしたプレゼント(ヒエとかアワとか)を用意してみた。そうそう、肝心の「Motion」の起動を忘れずに。$ sudo motion -n待つこと4時間。時折ファイルブラウザで「Motion」の撮影状況をチェックするが、特に変化なし。ベランダに置いた植物の葉の揺れか太陽が雲に隠れたことかを検知したのか、数枚の静止画が撮影されていたが、どこにもスズメの姿はない。バッテリーを使い切ったのか、通信が途絶えたところで最初の運用テストを終えた。I氏:「来ないじゃないですか!」海上:「そういわれても。動作検知は期待どおりなんですけどね」I氏:「それに、なんですか、あのドリキャスコントローラの箱は」海上:「お目が高い。Pippin@のコントローラの箱もありますよ」I氏:「そうじゃなくて。もうちょっと"らしさ"ってものがあるでしょ?」海上:「ドリキャスのなにがいけないのかと(略)」I氏:「ともかく、解像度の低さとかタイムスタンプの狂いもどうにかしてくださいよ」海上:「次回、シリーズ最終回。『スズメ激写装置』の変貌ぶりにご期待を!」
2015年08月14日自然科学観察研究会は8月12日、いまどきの小学生の「夏休みの自由研究」事情や「自然との触れ合い」についてのアンケート調査結果を発表した。調査は7月28日~31日、小学生の子どもを持つ母親600人を対象にインターネット上で行われた。「夏休みの宿題として『自由研究』は出されましたか?」と聞いたところ、「提出必須の宿題」「選択の一つとして宿題になっている」との回答がそれぞれ全体の3分の1ずつ占めていた。具体的にどのような自由研究に取り組む予定なのか聞くと、「植物観察」(11.9%)が最も多く、「昆虫観察」(6.6%)、「天体観測」(4.9%)、「生物観察(昆虫以外)」(4.9%)が続いていた。2位の昆虫観察に関し、「あなたのお子さんは『昆虫』を触ることができますか?」という質問では、「触ることができる」と回答したのが51.7%。また、「あなたご自身は『昆虫』が好きですか?」と質問したところ、「苦手」と回答したのは67.8%だった。「子どもが、自然と触れ合うことについてどう思いますか?」と質問すると、「大切だと思い、実際にそういう機会を多くつくっている」(40.5%)、「大切だと思うが、そういう機会がない/つくれていない」(55.2%)、「あまり大切だと思わない」(4.3%)という結果になった。
2015年08月13日成り行きで引き受けた「大人の自由研究」。ラズパイでつくる『スズメ激写装置』、一見順調そうに見えるが……さて。今回は、使い勝手を大きく変える「Wi-Fi化」を進める。○まずはWi-Fiの設定をうだるような暑さの昼下がり、編集部I氏から電話がかかってきた。そこまでダメ人間ではないので、ビールは注いでいない。I氏:「またチマチマと環境設定ですか!?」海上:「ハードウェアを絞り込んでいるからラクですよ」 ※:第2回を参照I氏:「コマンドはほどほどに。一般読者には難しすぎるから」海上:「PCからSSHで遠隔操作すれば、コマンド入力もコピペ対応できますよ」I氏:「とはいえ、viやemacsといったエディタでの作業は必要でしょ」海上:「扱いやすいテキストエディタ『nano』がありますから」I氏:「そうなの?」海上:「……座布団全部、って感じですかね」気を取り直して、Wi-Fiの環境設定に進もう。前回、SSHを使い有線LAN経由でリモートログインするところまで説明したが、そのままでは長いEthernetケーブルを引き回さねばならず、ベランダとはいえ屋外利用には不向き。Wi-Fi化すれば自宅のルータ/アクセスポイントだけでなく、スマートフォンをルータ代わりにできるので(テザリングを応用)、屋外へも持ち出せる。なお、第2回で紹介したUSB Wi-Fiアダプタは2.4GHz通信のみ対応するため、電波法に抵触する心配はない。Wi-Fiの設定だが、SSHでリモートログイン後、まずは「ifconfig」コマンドを実行しよう。第2回で紹介したUSB Wi-Fiアダプタであれば、システムの起動とともにモジュール(ドライバ)が読み込まれ、自動的に「wlan0」というネットワークデバイス名で認識されているはず。この確認ができれば、最初の関門はクリアだ。ネットワークデバイスとして認識されていれば、以下のコマンドラインをPCのテキストエディタへコピー&ペーストし、「○○」部分を接続するWi-Fiアクセスポイント名に、「△△△」部分を接続用パスワードにそれぞれ置き換え、さらにそれを端末画面(SSHクライアント)へコピー&ペーストしよう。もちろん直接入力してもいいが、コマンド入力に不慣れな場合は無理をしないほうがいい。これで、Wi-Fiアクセスポイントの設定は完了だ。wpa_passphrase "○○" "△△△" | sudo tee -a /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf続いてはIPアドレスの設定を。現在、家庭で利用されているルータ(兼Wi-Fiアクセスポイント)の多くにはDHCPサーバが用意されており、アクセスポイントに接続したクライアントに対しIPアドレスを貸し与える機能がある。IPアドレスは固定でも構わないのだが、『スズメ激写装置』は接続のつど変わる可能性がある変動型のほうが好都合なのだ。その理由は、冒頭にも挙げた「テザリング」。iOSにしてもAndroid OSにしても、テザリング子機(本稿の場合『スズメ激写装置』)に対しIPアドレスを割り振ってくれるため、変動型のほうが運用はラクなのだ。それに、利用するLinuxディストリビューション「Raspbian」は、AvahiというBonjour互換のIPアドレス自動設定機能がデフォルトで稼働しているため、変動型でも不便はない。というわけで、いよいよ「nano」を使いネットワークの設定ファイルを編集する。ファイルは「/etc/network/interfaces」、これを引数として与え実行すればいい(変更には管理者権限が必要なのでsudoを使う)。初期設定でいろいろ定義されているが、それをすべてクリアしたうえでリスト1の内容をコピー&ペーストしよう。有線LANポートはケーブルを接続しないかぎり使わず、ふだんはUSB WI-Fiアダプタで通信するための設定だ。Control-Xとタイプすると、画面下に「Save modified buffer」と確認のメッセージが表示されるので「y」をタイプし、続いて現れる「File Name to Write: /etc/network/interfaces」ではそのままreturnキーを押せばいい。これで、IPアドレスの設定は完了だ。$ sudo nano /etc/network/interfacesリスト1:/etc/network/interfacesauto loiface lo inet loopbackallow-hotplug eth0iface eth0 inet dhcpallow-hotplug wlan0iface wlan0 inet dhcpwpa-conf /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.confiface default inet dhcp○ついでにテザリングの設定もこれでWi-Fiの設定はひとまず完了。動作確認のためにも、いちどシステムを停止させ、Ethernetケーブルを抜いたうえで(USB Wi-Fiアダプタだけで)起動するかテストしてみよう。システム停止のコマンドは以下のとおり、Raspberry Pi前面の緑色LEDが10回点滅したことを確認のうえ、電源(USB micro-B)ケーブルを引き抜くこと。$ sudo halt次回Raspberry Piの電源をオンにすると(スイッチがないのでケーブルを接続するのだが)、DHCPサーバから貸し出されたIPアドレスがUSB Wi-Fiアダプタに割り当てられ、そのIPアドレス経由でリモートログインできるようになる。ただし、前述したとおり接続のつど変更されることがあるため、OS Xの場合は以下のとおりBonjour名を指定したほうがいい。Bonjour名はiOSのSSHクライアントアプリ「Serverauditor」でも利用できるので、念のため。$ ssh pi@raspberrypi.local最後に、テザリングの設定を。以下のとおり管理者権限でnanoを起動し、リスト2の内容を追加しよう。ssid行にはスマートフォンの名称を、psk行にはテザリングで使うパスワードを入力すればいい。/etc/network/interfacesのときと同じ要領で上書き保存すれば設定完了、次回システムを起動したときには手もとのスマートフォンがWi-Fiアクセスポイント代わりとなる。なお、テザリングを使う場合、Raspberry Piの電源を入れる前にスマートフォン側で受け入れ体制を準備しておくこと。たとえばiPhoneの場合、『設定』の「インターネット共有」画面にあるスイッチを有効にしたうえで、その画面を表示したまま待機していれば確実だ。$ sudo nano /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.confリスト2:/etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.confに追加network={ssid="Shinobu6" ←スマートフォンの名称psk="suzumechan" ←テザリングのパスワードkey_mgmt=WPA-PSK ←暗号化方式}I氏:「なんだかんだ、ここまで順調じゃないですか」海上:「もうWi-Fiで遠隔操作できるし、スマホがあれば外へ持ち出せるし」I氏:「残る課題はカメラのセットアップと動体検知ですかね」海上:「ですね」I氏:「スズメが飛んでこなかったときのオチも考えといてくださいよ」海上:「(泣)」I氏:「これがほんとのスズメの涙とか、そういうオチはいりませんから」海上:「……(バレたか)」
2015年08月11日成り行きで引き受けた「大人の自由研究」。ラズパイを使って『スズメ激写装置』をつくるというテーマは決めたが、さて。今回は、避けては通れぬ「Linuxのインストール」を進めたい。○味気ない作業だけれどマイナビニュースの担当編集から電話がかかってきた。今回はいやな予感があったので、ビールの用意はしていない。I氏:「ひとつ、お願いなんですけど」海上:「はあ」I氏:「Linuxのインストール、工夫して書いてもらえません? それ自体面白くないので」海上:「避けては通れないんですけどね」I氏:「なんか、こう、自動化みたいなことをすれば?」海上:「どのみち、味気ない単純作業になりますよ」I氏:「そこは、ほら、自由研究らしく創意工夫で」海上:「どうにもなりませんって」I氏:「創意工夫で」と、相変わらずの無茶振りだが、確かにいまどきのLinuxのインストールは面白味がない。特にRaspberry Piの場合、ダウンロードしたLinuxのイメージファイルを解凍、microSDカードに書き込むだけの作業で完了してしまう。とはいえ、Linuxの経験が浅いユーザにとってハードルが高い作業ではあるし、避けて通ることは不可能。端折ってしまうと、カメラのセットアップもうまく行かない……。一理あるな、ということで可能なかぎりGUIで事を進めることに決めた。WindowsとOS Xとでは利用するツールが変わってしまうが、利用する「Raspbian」(Raspberry Pi財団推奨のDebain系Linuxディストリビューション)をWEBブラウザでダウンロードしておき、デスクトップに移動しておくという準備作業を完了しておけば、あとはOS X/Windowsそれぞれの項目に分岐してインストールを進められる、という目算だ。なお、microSDカードは書き込み可能な状態にしておくこと。他用途で使用済のmicroSDカードを流用する場合、すべての領域に書き込めないこともあるため、SDカードフォーマッターで初期化しておこう。書き込めないなど問題が生じる場合は、オプション設定で「論理サイズ調整」をオンにしてからフォーマットを実行すること。これは、OS X/Windowsとも同じだ。○OS Xの場合OS Xには「dd」というデバイスからデバイスへ直接データコピーするコマンドが標準装備されているため、イメージファイルを書き込むための専用ツールを用意する必要はない。しかし、ターミナルでコマンドを実行するスタイルを敬遠するユーザが少なくないことから、GUIツールを使うことにした。まず、microSDカードを装着していない状態から以下に示すフリーソフトウェア「Pi Filler」を起動しよう。その後、画面の指示に従いmicroSDカードを装着、書き込むイメージファイル(2015-05-05-raspbian-wheezy.img、ZIPファイルを解凍したもの)を指定しよう。microSDカードが消去される旨を確認するメッセージが表示されたあと、管理者権限行使のためのパスワードを入力し数分待つと、Raspbianの起動ディスクが完成する。Pi Filler○Windowsの場合Windowsでの作業には、「DD for Windows」がお勧めだ。イメージファイルの選択からmicroSDの指定まですべてGUIで処理できるうえ、メッセージやメニューが日本語化されているので操作に戸惑うことがない。管理者として起動することさえ忘れなければ、つまずくことなくRaspbianをインストールできるはずだ。手順はかんたん、起動後に「ファイル選択」ボタンをクリックしてRaspbianのイメージファイル(事前に解凍しておくこと)を、続いて「ディスク選択」ボタンをクリックして対象ディスクにmicroSDを指定し、「<<書込<<」ボタンをクリックすればOK。これで数分ほど待てば、Raspbianの起動ディスクが完成する。なお、書き込む直前には「対象ディスクより小さなイメージファイルが指定されていますが、よろしいですか?」や「ディスクサイズが4GByteを超えています。よろしいですか?」と確認されるが、いずれも「はい」と答えてかまわない。DD for Windows○まずは起動、ただし操作は「SSH」で完成したmicroSDをRaspberry Piのスロットに差し込み、USB micro-Bケーブルをつなげば「Raspbian」が起動する。HDMIポートにディスプレイを、USBポートにキーボードとマウスをつなげば、Linuxマシンとして使えるRaspberry Piの完成だ。しかし、目指すのはあくまで『スズメ激写装置』。キーボードもマウスも不要、撮影用のUSBカメラと遠隔操作用のWi-Fiアダプタさえあればいい。そこで、若干難易度は高いが、最初から「SSHクライアント」を使い遠隔操作することをお勧めしたい。幸いRaspbianはデフォルトでDHCPサーバとSSHサーバが有効なため、ルータ/HUBとEthernetケーブルをつなげばただちにIPアドレスが割り当てられる。SSHで遠隔操作するためには、Raspberry Piに割り当てられたIPアドレスを知る必要があるが、それには「Fing」というスマートフォンアプリが便利だ。同じLANに接続した状態でアプリを起動し、製造者情報欄に「Raspberry Pi Foundation」とある行を見れば、IPアドレスがわかる。遠隔操作の開始は、OS XならばTerminalで「ssh pi@IPアドレス」(ユーザ名は「pi」、パスワードは「raspberry」)を実行すればOK。Windowsならば「RLogin」などの端末アプリケーションを入手しておこう。SSHクライアントはスマートフォン向けにもいくつか公開されているが、iPhone/Android版ともに無償の「Serverauditor」あたりがお勧めだ。I氏:「今回、これだけですか?」海上:「ですね」I氏:「"山"も"落ち"もないじゃないですか!」海上:「Linuxのインストールという大命題をクリアしましたから」I氏:「インストールがひとつの山、そういいたい?」海上:「落ちをつけたいのはやまやまなんですけどね」I氏:「……次回の件で、またすぐ電話しますから(ガチャッ)」海上:「おちおちビールも飲めんな」
2015年08月06日ワコムは、親子でペンタブレットを使いLINEスタンプ作りを体験するワークショップ「親子で楽しむ自由研究"LINEスタンプ作り"にチャレンジ!」を、東京都・渋谷のLINE 渋谷オフィスにて開催した。これは小学4年生から6年生とその保護者を対象としたイベントで、ペンタブレットで自由に描いた絵をスタンプにしようというもの。(※作成後、スタンプの販売にはLINEの審査および承認が必要になる)。会場となったLINEオフィスには多くの参加者が訪れ、和やかな雰囲気の中、夏休みらしく元気な子供たちの笑顔で賑わった。LINEスタンプ担当の渡辺氏によると、現在販売されているスタンプの数は、40点を1セットとしてなんと15万セット以上。日本のみならず世界中でさまざまなスタンプが制作され、使われているという。作成にあたり渡辺氏は「スタンプは会話やコミュニケーションを盛り上げたり、相手に気持ちを伝えやすくするためのツールです。LINEのやりとりの中ではそれ自体を単体で使用するというよりも、会話の返事などに多く使われる傾向があります。それをふまえ、作成する際は単純に「ケーキ」や「鉛筆」など「絵」を描くのではなく、「OK!」「いまいく~!」「えっ?」など、文字(表情)を加えるのがオススメです」とアドバイスした。さらに、「普段自分が交わしている会話を思い出してシチュエーションに合ったスタンプを作ると、よりたくさんの人に使ってもらえると思います」とも語った。40点の一つひとつをいかに魅力のあるもの=「使いやすいもの」にするかが、人気のあるスタンプを作る秘訣となりそうだ。講師はフリーランスとしてデザインやWebサイト制作を行っているイラストレーター・テラダヒデジ氏。自身が飼っているフレンチブルドックをモチーフとした「ブル男はフレンチブルドッグ」というスタンプシリーズが人気のクリエイターだ。今回参加者が行ったのは、あらかじめ用意された既存の写真(フレンチブルドッグのブル男)にレイヤーを重ね、上からペンで画像をなぞっていき、絵を完成させるというもの。線を整えた後に、着彩用のレイヤーを作成、色や文字をのせていくと完成となる。テラダ氏は、「ペンタブレットは老若男女を問わず誰でもすぐに使える、というのが最大の魅力です。今回、子供たちにも『ペンタブレット』という新しい『道具』に触れてもらいましたが、ペンタブレットは子供達が自由に創造性を発展させていくツールとしてたくさんの可能性を秘めていると思います。柔軟な発想で楽しくスタンプをつくってほしいですね」と語った。ワークショップに家族3人で参加した山口さんは、「普段家で液晶ペンタブレットを使っているので興味があり参加しました。自分でもスタンプを販売しているのですが、ペンタブレットで作成したことがなかったので、新しい刺激やヒントになればと思います。子供達も日頃からペンタブでお絵かきを楽しんでいるのでこういう機会があって嬉しいです」と、参加するきっかけなどを話してくれた。そして山口さんの長女、小学3年生のなつほちゃんは「ペンタブレットはレイヤーで色を塗るのが楽しいです。消す時も消しゴムのかすが出ないし綺麗に消えるから気持ちがいい」と笑顔で答えてくれた。今回のワークショップで使用されたのは、コミックイラスト向けソフト「CLIP STUDIO PAINT PRO」が付属した「Intuos comic」。徹底的にイラストやコミックを描きたい人に向いているモデルだ。子供たちは初めてのぺンタブレットに最初はとまっどっていたものの、すぐになじんでスタンプ作成を楽しんでいる様子。参加者の中には夏休みの自由研究でLINEスタンプを作ろうと思ってきた、という家族や「初めてつかったけど、ニンテンドーDSみたいで思っていたより簡単。すごく楽しい」といった声も聞かれ、夏休みのよい思い出作りができたようだった。
2015年08月04日成り行きで引き受けた「大人の自由研究」。ラズパイを使って『スズメ激写装置』をつくるというテーマは決めたが、さて。実は企画自体も成り行き進行、ポイントを抑えつつも大雑把な流れで研究は進もうとしていた。○必要なパーツを集めようマイナビニュース編集部から電話がかかってきた。これはきっと、ラズパイの件だな。それにしても、なぜ申し合わせたかのようにビールを注いだタイミングで電話をかけてくるのか……I氏:「どうなってるんですか!」海上:「はあ?」I氏:「原稿の件ですよ。読者の記憶に残っているうちに続きを掲載しないと!」海上:「わかりました、わかりましたよ。明日には着手しますから」I氏:「遅い! 最近の学校は、8月中に新学期が始まるんですよ!?」海上:「じゃあなんですか、必要なパーツ集めをいますぐ始めろ、と?」I氏:「この前、通販で一式揃えられるって言っていたじゃないですか。今夜中に注文すれば、明日か明後日には届くでしょ?」海上:「まあそうだけど」I氏:「じゃあ、ヨロシク(ガチャン)」というわけで、夜の夜中に『スズメ激写装置』づくりに必要なパーツ選定を開始。ラズパイの最新型「Raspberry Pi 2 Model B」は当然として、問題は残りのパーツだ。結論から言うと、WEBカメラに「iBUFFALO BSW32KM04WH」、USB Wi-Fiアダプタに「PLANEX GW-USNANO2A」、microSDカードに「SanDisk SDSDQUAN-008G-G4A(海外リテール版)」、ケースやケーブルなど他の品々はあり合わせのものを流用することに。Raspberry Pi 2本体とケースは国内正規代理店のオンラインショップ、WEBカメラなど他の製品はAmazonや楽天で注文した。WEBカメラWEBカメラは、UVC(USB Video Class)に対応した製品を選ぶこと。理由は単純、UVCは多くのOS/カメラアプリケーションでサポートされており、原則ドライバ不要で動作する。Raspberry Pi上で動作するLinuxも例外ではなく、USBポートにカメラの端子を差し込めば認識され、撮影が可能になる。Raspberry Pi対応をうたう製品は(おそらく)存在しないが、UVC対応と記載されていればほぼ確実に動作する。ただし、UVCはカメラ撮影時におけるUSB通信を保証するための規格。扱える動画フォーマットや静止画フォーマットに関する定義はあるが、ホスト側がカメラの性能に追従できるかどうかの保証はなく、オートフォーカスなどの付随機能も動作するとはかぎらない。UVC対応は絶対条件として、画素数やフレームレートなどカメラに搭載されたイメージセンサの性能と、カメラ自体の大きさ/取り回しのよさを基準に製品を選ぶといいだろう。筆者が「iBUFFALO BSW32KM04WH」という製品を選んだ理由だが、UVC対応は当然のこととして(製品WEBページに記載はないが、パッケージには「UVC対応」のシールあり)、スタンドの角度調整やクリップ状に変形できるレイアウトの自由度を考慮した。画素数も320万画素と、スズメの羽毛がくっきり写りそうなレベル。価格も量販店で1,600円程度という水準、CPは申し分ない。USB Wi-FiアダプタRaspberry Pi 2 Model Bには、10/100BASE-TのEthernetポートが1基装備されているが、これは使いたくない。電源(モバイルバッテリー)とつなぐUSB micro-BケーブルとWEBカメラのケーブルは仕方ないとして、USB Wi-Fiアダプタを用意すればEthernetケーブルの取り回しを考えずにすむ。千円ほど出費は増えることになるが、設置場所の自由度は格段に増す。ここでケチってはいけない。USB Wi-Fiアダプタは、ふだん音楽再生用に利用しているRaspberry Piとまったく同じものを購入した。理由は単純、すでに運用していて勝手を知っているからだ。ドライバがRaspbian(『スズメ激写装置』で使う予定のOS)に収録されていることも確認済なので、Wi-Fiアクセスポイントを登録する程度で通信できるようになる。なお、Raspbianには数種類のUSB Wi-Fiアダプタ用ドライバが同梱されているが、そのドライバで稼働するチップのうちRealtek RTL8192CUは「PLANEX GW-USNANO2A」や「I/O DATA WN-G300UA」に、Ralink RT8070は「BUFFALO WLI-UC-GNM」や「Planex GW-USMicroN」に採用されていることを確認している。いずれも親指大の大きさでジャマになりにくいので、今回の自由研究にぴったりといえる。microSDカードどのmicroSDカードでも構わない……ことはないのがRaspberry Piだ。microSDカードは相性問題が多数報告されているため、動作確認が済んだ製品を選ぶことが思わぬトラブルを避ける鉄則といえる。筆者が「SanDisk SDSDQUAN-008G-G4A(海外リテール版)」を選択したのは、こちらのWEBサイト(リンクで動作報告があったことにくわえ、自分自身がすでにオーディオ用途で運用した実績があるからだ。Raspberry Pi 2ではSDHC/SDXCカードも利用できるが、高速規格のUHS-I(Ultra High Speed)には対応していないため、敢えて価格が高いUHS-I対応カードを選ぶ必要はない。ただし、カードのアクセス速度はシステムの起動時間やその後のファイルアクセス、ひいてはシステムパフォーマンスに影響するため、よりスピードクラスが大きいカードを選ぼうmicroSDカードには、2、4、6、10という4段階の速度規格(スピードクラス)があり、数値の大きいほうがより高速にデータアクセスできる。傾向としてClass 4よりは6、6よりは10のほうが高めだが、4GBや8GBといったカード容量であれば価格差はわずかだ。バッテリーバッテリーは、手近にあった「DE-KDD005AA」に決めた。これはどこかで……そう、au/KDDIが2013年秋の対象機種の予約でプレゼントしていたポータブル充電器だ。非売品のため迷ったが、バッテリー容量(2,500mAh)・出力(5V/1A)・ボディカラーいずれも今回の要求スペックを満たしており、大きさ(7×4×2.2cm)と重量(85g)も塩梅なことから、類似製品を買うまでもないと判断したのだ。I氏:「写真見ましたけど、ただつなげただけですかね?」海上:「ですね」I氏:「本当に動くんですよね?」海上:「たぶん」I氏:「たぶんじゃ困るんですよ、たぶんじゃ」海上:「そんなことより、問題はスズメが飛んでくるかどうかで」I氏:「その成り行き任せな性格、ホントどうにかしてくださいよ」海上:「雀百まで踊り忘れず、っていいますからね。あれ? もしもし。もしもーし!」
2015年07月29日夏休みの自由研究で、作りたかったが実現できなかったものがある。それは「電子工作」。モーターによる駆動部があり、スイッチを押すと麦球が光る程度のものだが、いかんせん小遣いが足りなかった。しかしいまは……大人なりに多少の余裕がある。そうだ、いまなら往時を超えるなにかを作れるはずなのだ。○きっかけは一本の電話マイナビニュース編集部から電話がかかってきた。妙だな、急ぎの原稿は昨日送ったはずだけど……電話口は予想どおり担当編集I氏、「いやあ、暑いですね! 夏ですね!」などとのたまっている。いいから早く要件を言ってくれ、キーンと冷えたビールを飲むところなのだから。I氏:「夏といえば!」海上:「はあ?」I氏:「自由研究でしょう!」海上:「ああ、小学生の夏休みの宿題ね」I氏:「なにか作ってみませんか?」海上:「貯金箱とかモーターで動く意味不明物体とか? なんでオッサンの俺が?」I氏:「いやだなあ、とぼけちゃって。アレを使うんですよ、アレを」海上:「アレって?」I氏:「いまが旬のラズパイですよ、ラ・ズ・パ・イ。得意でしょ?」Raspberry Piか。確かに、ここ半年ほど、時間を見つけてはラズパイをイジり倒している。特に、ラズパイをオーディオに活用しようと勝手に命名したプロジェクト「ラズパイ・オーディオ」は、勢い余って電子書籍を出してしまうなど仕事にも影響しはじめた(Amazon Kindleストアで好評発売中!)。だからといって、なぜ夏休みの自由研究なんだ?I氏:「この前、熱く語ってたじゃないですか。いろいろできるって」海上:「そりゃ、まあ。カメラとか計測器とか、周辺機器もいろいろあるし」I氏:「小さくて低消費電力でそこそこパワーがあって、なにより安いですしね」海上:「初期費用はトータルで1万円もあればじゅうぶんかな」I氏:「ほら。自由研究にピッタリじゃないですか。大人の夏休みの自由研究!」海上:「俺に夏休みはないっての」○『スズメ激写装置』を作りたい!という経緯で引き受けてしまった、「ラズパイで大人の夏休みの自由研究」なる珍妙な企画。ラズパイを使うことだけは決まっているものの、最終的になにを作ればいいというのか。オーディオ企画は他誌で進めているから無理で、監視カメラはヒネリがないしそもそも欲しくない。タッチパネルを付けたところで、スマートフォンやタブレットには見た目も操作性も適わないだろう。そこへスズメが1羽飛んできた。ソファーから見えるベランダの床に、ときどき遊びにやってくるかわいいヤツだ。しかしスズメは野性が強く人に慣れない。近くでカメラを構えようものなら、気配を察知して飛び去ってしまうほどだ。まてよ。これだ。目立たない場所にカメラを設置しておき、動体に反応して撮影を開始するようにすればいいのだ。幸い、Linuxには「Motion」というオープンソースのWEBカメラシステムがあり、都合のいいことに動体検知機能を備えている。我が家のベランダに飛んでくる小動物はスズメくらいなものだし、スズメが活動するのは昼間だから光量の心配もいらない。飛んできたスズメに反応して自動的にパシャリ、これですよ。Raspberry Pi向けには、GPIOという40ピンの拡張スロットに接続するタイプのカメラもあるのだが、リボンケーブルなので取り回しが悪くなるし、基盤もレンズ部もむき出しだから後々面倒なことになりそう。USBカメラのほうが安くて取り回しもかんたん、大人だからここは楽をさせてもらいたい。スズメにも反応するんじゃないかな? たぶん。試してないけど。心は少年だから先々のことは気にしない。海上:「てなわけで、『スズメ激写装置』を作りますよ!」I氏:「……もう少し、なんかこう、あるでしょ? グッとくる絵面というものが」海上:「スズメのかわいさたるや(以下略)」I氏:「ああ、もう、わかりましたよ。スズメでいきましょう、スズメで」○そもそも「Raspberry Pi」って?作りたいものはなんとなくわかったけれど、そもそもRaspberry Piって何? 本当にだいじょうぶなの? という声が編集部のある東京・竹橋方面から聞こえてくるので、かんたんに説明しておこう。Raspberry Piは、英国のラズベリーパイ財団が開発および仕様を定義する、ARMアーキテクチャを採用の小型コンピュータ。いわゆるパーソナルコンピュータに求められる機能はカードサイズ(67.6×30mm)の基板にすべて実装されており、4基のUSBポートやGPIOポート(40ピンの入出力端子)で機能を拡張できる。電源はUSB Micro-Bで供給、モバイルバッテリーを使えることがポイントだ。最新モデルは2015年春発売の「Raspberry Pi 2」で、CPUに900MHz/4コアのARM Cortex-A7を採用、メモリはLPDDR2 SDRAM 1GBを積む。初代Raspberry PiはARM 1176JZF-S 700MHz/シングルコア、512MB RAMと、画像処理を任せるには若干心もとない仕様だったが、スマートフォン級の処理性能を持つ最新モデルであれば動体検知や動画撮影も余裕でこなせる。OSにはLinuxを使うつもりだ。間もなくMicrosoftからRaspberry Pi 2対応の「Windows 10 IoT Core」が正式リリースされる予定だが、カメラシステムの管理にGUIは必要ないし、動体検知可能な撮影システムがリリース直後のOSにあるとは思えない。「Motion」を利用できるくLinuxのほうが確実だ。SSHでリモートログインしていくつかコマンドを実行できればそれでじゅうぶん、撮影した静止画/動画はLAN経由で取り出せばいい。さて、次回は『スズメ激写装置』に必要な部品の調達を行う。果たして動きのすばやいスズメを撮影できるのか? 動きの鈍いハムスターあたりでお茶を濁そうとしているのでは? そんな疑念を払拭すべく、諸々検証しながら自由研究を進めていきたい。
2015年07月23日マルコメはこのほど、味噌の手作りキット「オリジナルみそ手づくりキット」を発売した。○夏休みの自由研究や食育にも商品化の背景にあるのは、味噌がどのように作られているかや、原料を知らない人の増加。また、和食の基本である味噌の魅力や発酵熟成の過程に触れる機会が少なくなっていることがあるという。同商品は、家庭で、子どもでも手軽に味噌づくりに挑戦できるよう、大豆・米・塩や種みそなどの必要な材料や容器をセット。気温25~30℃の、日の当たらない場所で熟成させた場合、仕込みから約1カ月で完成。約1.6kg(みそ汁約100杯分)の味噌が出来上がる。同商品には2種類の冊子が付く。ひとつは、味噌の仕込み方、みそ汁の作り方、味噌についての説明などを掲載した「取扱い説明書」。もうひとつは、味噌の仕込みのスタート時から、4週目の出来上がりまでの観察内容を記録できる「おみその観察ノート」となる。味や香り、色を確認しながら、好みの熟成度まで発酵させることで自分だけの味噌が完成する。さらに付属のシールに好きなタイトルや絵を描いて保存容器の透明カップに貼れば、世界に一つだけのオリジナル味噌になるという。商品内容は、加熱調理済大豆が1袋、塩1袋、乾燥米こうじ1袋、種みそ(料亭の味 無添加)1個(375g)、保存容器・フタ各1個、おみそづくりタッパー1個、輪ゴム・ビニール袋各1個、取扱説明書1冊、観察ノート1冊、シール(タッパー・保存容器用)1枚となる。参考価格は、2,500円(税込・通販は送料別途)。販売は、全国のスーパー・ホームセンターなどと、マルコメオンラインショッピングサイトとなる。
2015年06月19日国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は6月15日、国立循環器病研究センター(国循)が9月から実施する予定の肺がん手術後の転移を抑える臨床研究に関する付随研究を実施する共同研究契約を締結したと発表した。高リスク肺がん手術に対して、術中より3日間、心臓から分泌されるホルモンであるヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)を持続投与することによって、術後急性期における心肺合併症を有意に軽減でき、術後慢性期における肺がんの再発を有意に軽減することが国循によって報告されている。これは、hANPが血管内皮細胞に働き、血管接着分子を抑制することで、がん細胞の血管への接着を防ぎ、がん転移を防いでいると考えられており、国循は9月から肺がん手術後の転移を抑える臨床研究を開始する予定だ。ATR佐藤匠徳特別研究所の河岡主任研究員の研究グループが実施する予定の研究では、臨床研究で得られた肺がん病理組織を用い、網羅的遺伝子解析を実施することで、hANPの作用機構を解明することを目指す。また、同研究によって、新たな予後マーカーや創薬ターゲットが発見されることも期待される。
2015年06月16日キヤノンマーケティングジャパンは、夏休みの自由研究に役立つ期間限定の体験型イベント「キヤノンキッズパーク 2015~自由研究はキヤノンにおまかせ!~」を7月18日から開催する。いずれのイベントも小学生を対象としており、参加は無料だ。夏休みの自由研究向けの工作などを体験できる親子向けイベント。<夏休み科学実験教室<と<夏休み職業体験教室<、<夏休み特別教室<、<夏休み自由研究教室<などのイベントが用意され、光の特性について学びながら工作できたり、ショールームスタッフや修理スタッフの仕事を体験できたり、デジタル一眼レフカメラでの撮影にチャレンジできたりする。開催場所は東京・品川のキヤノンホールSおよびキヤノンプラザS(いずれもキヤノンSタワー内)、銀座のキヤノンデジタルハウス銀座(キヤノンプラザ銀座内)、愛知・名古屋のキヤノンデジタルハウス名古屋(キヤノンMJ名古屋支店内)、大阪・梅田のキヤノンデジタルハウス梅田(キヤノンMJ大阪支店内)。イベントにより開催日程は異なる。詳細はキヤノンの特設サイトを参照のこと。
2015年06月01日武田薬品工業(武田薬品)と国立がん研究センター(国がん)は5月8日、研究開発に関する契約を締結したと発表した。両社は今後、研究者や医師の交流を促進し、がんの発症メカニズムなどの基礎研究を進展させ、得られた成果を臨床開発研究へ応用していくことで新たな治療オプションの探索を進めていく。また、武田薬品は、国がんが進めている産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業「SCRUM-Japan」に参画する。「SCRUM-Japan」は全国の医療機関と製薬企業とが協力して実施するがん遺伝子異常スクリーニング事業。同事業で構築される遺伝子情報と診療情報を合わせたデータベースにアクセスすることで、新たな医薬品の研究開発を加速させることができるとしている。武田薬品は「国がんの臨床研究における知見と、当社の保有する技術基盤を融合させることで、より早く、革新的な治療を患者様と医療関係者の皆様にお届けできるものと期待しています」とコメントしている。
2015年05月11日産業技術総合研究所(産総研)は5月7日、2015年5月1日付で人間と共栄する情報技術に取り組む「情報・人間工学領域」の3つ目の研究センターとなる「人工知能研究センター」を設立したと発表した。同センターは、国内外の大学、企業、公的機関と連携して、実社会のサービスから得られる大規模データを活用しながら先進的な人工知能技術の研究開発を推進することを目的として設立されたもの。人工知能の実用化やベンチャー企業の創出と基礎研究の進展の好循環を生むプラットフォームの機能を果たし、これにより基礎研究と実サービスとのギャップを縮め、インパクトのある人工知能技術の研究開発を目指すとしている。具体的には、人間との親和性が高く、人間と相互に理解しあえる人工知能の実現をめざす目的基礎研究と、成果をスピーディに実社会の多様な課題に適用するための人工知能フレームワークの研究開発を行っていくとしており、主要な目的基礎研究として、人間の脳の情報処理原理に関する最新の神経科学の知見を包括的にとりいれた、人間の脳に近い脳型人工知能、および、実世界の大量のデータにもとづくデータ駆動型の人工知能とWeb上の大規模な知識グラフなどにもとづく論理的・形式的な知識駆動型の人工知能を融合して、大量かつ多様な実世界のデータを深く理解し、人間の意思決定を支援するデータ・知識融合型人工知能の研究を行っていくとしている。また、人工知能フレームワーク上で要素技術を統合した先進中核モジュールを実装して、製造業やサービス産業などの幅広い分野での産学連携による実サービスから得られる大規模なデータを使った実証研究を行っていくほか、研究用データセットなど、人工知能技術の研究の基盤となるリソースの整備も行っていくとのことで、幅広い用途での人工知能技術の有用性を提示していくことを目指すとしている。
2015年05月08日トムソン・ロイターは4月16日、日本の研究機関ランキングを発表した。同ランキングは、同社のデータベースに収録されている世界の研究機関情報から、後続の研究に大きな影響を与えている論文(高被引用論文)の数を指標としている。総合1位となったのは東京大学で、2位には京都大学、3位に大阪大学がランクインした。理化学研究所などの研究開発法人がトップ10に3機関含まれており、大学共同利用機関法人が2機関含まれた。また、日本の高被引用論文数が世界のトップ6に入っている分野は化学、免疫学、材料科学、生物学・生化学、物理学、分子遺伝学、植物・動物学の7分野となった。主なランキング表は以下の通り。
2015年04月16日イギリスにあるリンカーン大学の主任研究員サラ・エリス教授が、猫に関する研究を発表した。それは、猫がどこをなでられるのが好きか?というものである。この研究結果によると、猫には確実に"なでスポット"があるという。動物たちは、動物本来の行為を人間にも求めているはずだと考えられてきた。では、猫へ愛情表現したい時は、猫がそうするように、猫をペロペロとなめないとけないのか?大丈夫、そんなことはない。だがネコ科の動物たちの友好的な行為には体のある特定の部分が関係している。それは、臭線と呼ばれる臭いを出す器官で、口周り(あご、頬)、目と耳の間、そして尻尾の付け根まわりの3カ所にある。○猫がなでられて喜ぶ場所はアゴ・頬、目と耳の間この研究では生後6カ月から12歳までの34匹の猫を対象に行われた。実験を開始する前に、実験者は猫になれる時間が与えられた。テストの対象は、先ほど述べた3カ所(口まわり・目と耳の間・尻尾の付け根)の臭腺部分と、その他の体の5カ所(頭の頂点、首の後ろ、背中の上部、背中の中部、胸と喉)の計8カ所である。条件を一定にするため、体をなでる順番はランダム、なでるときは二本指で各部分を15秒間だけ、とルールを設定した。また、猫はいつでもその場を去ることができる。実験者の手がしっぽに近づくにつれ、否定的な行動が目立った。つまり、しっぽの近くは人間になでられるのはあまり好きじゃないのだ。第二の実験では、20匹の猫が使われ、飼い主が決められた順番通りに猫をなでた。ひとつは頭から背中を経てしっぽへ、もうひとつは反対の順番だ。この実験に関しては、なで方は特定していない。二本指でも手のひらでも好きなようになでてもらった。そうすると、逃げた猫は3匹のみになった。この実験でも、なでる順番に関わらず、猫はしっぽの近くを触れられるのを嫌がった。これらの実験から、飼い主はしっぽの付け根周辺を触るべきではないということがわかった。その代わりに、顔や顎、目と耳の間をなでると猫はとても喜ぶようだ。カラパイアブログ「カラパイア」では、地球上に存在するもの、地球外に存在するかもしれないものの生態を、「みんなみんな生きているんだともだちなんだ」目線で観察している。この世の森羅万象、全てがネイチャーのなすがままに、運命で定められた自然淘汰のその日まで、毎日どこかで繰り広げられている、人間を含めたいろんな生物の所業、地球上に起きていること、宇宙で起きていることなどを、動画や画像、ニュースやネタを通して紹介している。
2015年04月08日名古屋大学(名大)はこのほど、同大学工学部・工学研究科および関連研究科が研究室情報を集約したWebコンテンツ「研究室図鑑」を作成し公開したと発表した。同サイトでは名大の工学系領域に所属する多数の研究室情報を集約し、一元的に検索・比較参照できる。工学系への進学を希望する人はもちろん、研究に関心を持っている民間企業や研究機関などに情報発信していくことを目的としている。「研究室図鑑」では2月16日現在、ノーベル賞を受賞した天野浩 教授の研究室を含む102の研究室の情報を公開しており、今後も続々と公開していく予定となっている。
2015年02月20日2月21日、東京・秋葉原のツクモパソコン本店4F特設会場にて、店頭スペシャルイベント「DIYパーツ 自由研究発表します!」が開催される。時間は13時から17時まで。2014年9月に開催した第1回に続く2回目のイベント開催で、今回は「昭和」をテーマにPCパーツメーカー各社がユニークな自作PCを披露し、作品コンセプトや製作での苦労などを発表する。現時点で参加が決まっているのは、AMD、ASUS、アスク、GIGABYTE、MSI、テクニカルライター高橋敏也氏。また、第1回イベントではメーカーのみの展示だったが、今回は一般ユーザーがカスタマイズした自作PCも紹介するという。イベントの後半では、発表会に参加するメーカーによる座談会も開催する。このほかイベントの詳細については、ツクモパソコン本店のブログを参照してほしい。
2015年02月17日富士フイルムは2月3日、フランスの公的研究機関であるBIOASTERと、エボラ出血熱の迅速診断システムに関する共同研究契約を締結したと発表した。今回の共同研究では、富士フイルムのウイルス高感度検出技術と、BIOASTERが作製、評価するエボラウイルスの抗体を用いることで、遺伝子検査と同等の診断能力を有し、簡便、迅速、小型で運びやすい診断システムの技術を確立することを目指す。エボラ出血熱を封じ込めるには、治療薬やワクチンの実用化だけでなく、感染者を初期段階で発見し、感染経路を遮断する初動の対策が重要となる。そのため、感染の疑いが報告された場所で、簡便かつ迅速に診断を行うための技術や製品が求められている。
2015年02月03日遺伝子研究への協力者を募集女性の健康情報サイト「ルナルナ」が遺伝子研究を開始する。研究を開始するに伴い、スマートフォンアプリ「ルナルナ」、「ルナルナ ファミリー」の会員を対象に、同研究に協力してくれる人を募集している。「ルナルナ」は、女性専用の健康情報サイトで、株式会社エムティーアイが運営している。この遺伝子研究は、同社の子会社、株式会社エバージーンと医療法人社団薬善会つくば国際臨床薬理クリニックが共同でおこなう。つくば国際臨床薬理クリニックは、20年の伝統を持つ観音台クリニックから引き継ぎ、2010年3月に新たに先進技術を加えて開設された臨床試験受託専門医療機関だ。女性の健康情報サイトを運営する株式会社エムティーアイとは株式会社エムティーアイは、ルナルナシリーズを運営している企業だ。このルナルナシリーズは、「ルナルナ」「ルナルナ ファミリー」があり、女性が携帯で体調管理が簡単にできるサイトになっており、登録者は既に600万人を超えている。サイト登録者は、生理日を毎月入力すれば、具体的にダイエットや美容などの役立つ情報を提供してくれる。同サイトは、妊活・出産・育児までをトータルでサポートをでき、ライフステージにあわせて活用することができる。「ルナルナ」は、今回の遺伝子研究の成果を活かして、女性が今よりも元気でキラキラと輝くことができるように健康情報サイト充実させていくようだ。(画像はルナルナHPより)【参考】・ルナルナ・医療法人社団薬善会つくば国際臨床薬理クリニック
2014年12月29日東芝とIHIは12月25日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「海洋エネルギー技術研究開発 - 海洋エネルギー発電システム実証研究」の共同研究先に採択され、水中浮遊式海流発電システムの実証研究に着手すると発表した。水中浮遊式海流発電システムは、対向回転する双発式のタービンを装備した発電設備を海底から係留して海中に凧のように浮遊させる仕組み。共同研究では、IHIがタービン、浮体などの製造を行い、東芝が発電機や変圧器などの電気機器を製造する。両社は2017年度までに実海域における発電実証に取り組み、近い将来に海洋エネルギー発電技術を実現し、ゆくゆくは海洋エネルギー産業の新規創出と、エネルギーセキュリティの向上に貢献することを目指すとしている。
2014年12月25日NPO法人である日本ユニバーサルデザイン研究機構は11月7日、同日付で組織名を「実利用者研究機構」へ変更すると発表した。同機構は2003年に法人化して以来、通称「ユニ研」として活動を行ってきたが、「活動の中心が『実際の利用者(リアルユーザー)』であることを明確にするため」、組織名の変更を決めたという。8月の社員総会で名称変更を決定しており、10月に所轄官庁へ届け出、2015年2月までに登記も完了する予定としている。新しい略称は、「JITSUKEN(実研)」で、コンセプトコピーは「マジョリティ+マイノリティ。つかう人、ぜんいん。」。なお、組織名の変更にともなって「使いやすさ検証済」の認証マークも変更される。UDコーディネータ資格の認定カードについては、古い認定カードであってもそのまま利用できるとしている。
2014年11月10日日本にはいろいろな研究施設があり、自分が知らないだけで、ある特定の分野を徹底的に研究している人達というのは確かに存在します。睡眠科学もその1つ。今回はこの組織がどのような活動をしているのか紹介したいと思います。日本睡眠科学研究所という組織がある「日本睡眠科学研究所」という組織をご存知ですか?知っている! という方はかなりの睡眠マニアに違いありません。ほとんどの人はまだご存知ないかと思いますが、この研究所を運営する母体であれば知っているという方はたくさんいると思います。その母体とは西川産業株式会社。そうです、あの「ふとんの西川」が1984年に設立したのが日本睡眠科学研究所だったのです。西川産業の「睡眠への質」へのこだわりは当時から凄まじく、「健康は睡眠から、快適な睡眠を提供するのが寝具業界の使命である」という考えのもと徹底的に快適な睡眠を求めていったと言われています。母体は「ふとんの西川」当時、「睡眠を科学する」という発想は非常に前衛的だったそうです。そこで社員だけでなく、大学教授など外部スタッフも招き入れ、業界初の取り組みとしてスタートしました。睡眠の質を上げるためであれば睡眠環境(部屋や寝具)を改良することが頭に浮かびますが、この研究所の凄いところはそこにとどまらず、「寝床内(しんしょうない)」と呼ばれる身体と寝具の間にできる空間をも科学で分析し、研究したというところかもしれません。本当に徹底していますよね。この研究所の結果をもとに西川の寝具は開発され、ユーザーの手元に届けられているのだそうです。4つの研究活動現在、日本睡眠科学研究所の研究活動は下記の4つに定めています。1. 睡眠整理の研究2. 寝室環境の研究3. 寝床内の研究4. 寝具の研究開発1は科学の観点から眠りを解明する研究のこと。どうしたら人はより良い眠りを得ることができるのかを解き明かしているのだそうです。2は快適な寝室環境を解明する研究です。寝室環境といっても、広さや色、照明、湿度など条件はさまざま。それら一つひとつを解析しています。3は身体と寝具の間の温度や湿度などのベストな数値を研究するというもの。4は新しい技術や素材を用いた寝具開発の研究です。今後どのような最新研究が進められていくのか、睡眠に興味のある方は注目してみては?Photo by Nic McPhee
2014年11月09日25の大学・研究機関で構成される「大学研究力強化ネットワーク」は9月3日、参加大学などの研究担当理事などが集う全体会議を開催し、これまで進めてきた研究力向上に向けたタスクフォースの概況などを話し合った。また、併せて、研究大学の課題、ネットワークの意義や役割についての記者向け説明会が行われた。同ネットワークは、日本の大学の研究力の向上によるイノベーションの加速や地域への貢献を実現するためには、一部のトップレベルの大学ではなく、科学技術の基盤を支える30程度の大学の研究群による全体の研究力の強化が不可欠という趣旨のもと、自然科学研究機構が世話役となって設立されたもので、参加研究機関が研究基盤を強固にすることを踏まえ、力を合わせて日本の研究力を高めていくことを責務とし、2014年3月5日に第1回の全体会議が開催されて以降、全体会議の下に運営委員会ならびに複数のテーマごとにタスクフォースを作り、運営を行ってきた。こうしたネットワークが形成された背景には、日本の大学に向けた研究開発資金の投資が諸外国に比べて低いということが挙げられる。特に対GDP比で見た場合の研究予算の伸びは海外に比べて低く、比率としては横ばい、ないしは若干の下降気味だが、その一方でアジア・太平洋地域、特に中国が急速に伸びており、アジア諸国が猛烈な勢いで研究・開発力を強化している。また、もう1つの指標として、論文数のシェアを見ると、直近では日本は以前の3位から5位に落としている一方、中国が2位に入ってきていることがあげられる。特に論文誌の格ともいえるインパクトファクターの値が高い論文誌への掲載数が相対的に低下しているという。こうした状況と、日本における研究資金の各大学や研究機関への配分比率はどうなっているかというと、トップクラスの大学などの比率が高く、トップである東京大学を100%とした場合、10位でその15%、20位になると6%とかなり低い額となる。では諸外国はどうか、というと、米国と英国を例にとると、10位では米国が36%、英国でも35%、20位になっても米国が26%、英国17%と、日本と傾斜配分に差が生じていることがわかる。ちなみに、米国はトップ研究機関が1400億円、英国が180億円、そして日本は220億円という金額であり、米国はともかく、予算規模が似通った英国であっても、英国の方がはるかに中堅層に手厚く配分が行われていることがある。この結果として、各大学の論文数シェアを見ると、トップ4の累計シェアの比率はほぼ英国と同じだが、それに次ぐ1%以上を占める大学の割合は日本が13、英国が27と、明らかに状況が異なっていることがわかる。こうした事実を踏まえ、日本全体として研究力を高めていくためには、ある程度の数の大学や研究機関が相応の支援を受ける必要性があるというのがネットワークとしての基本的な考え方となる。また、こうした提言などを行う組織的なものとして、RU11(学術研究懇談会)やURA(リサーチアドミニストレーター)ネットワークがあるが、同ネットワークでは、そうした既存のネットワークとの連携も今後、積極的に行い、大学・研究機関として、本当にどの程度の資金が何に必要なのか、といったことの情報共有などを図っていくとする。しかし、当然、大学や研究機関への資金の大半は税金であり、それを必要だから言い値で欲しい、というのは無理だということえ、行うべきところは共同して行うなど、相互の連携を強化していき、それでも必要となるところを行政に働きかけを行っていくための組織が同ネットワークということになる。同ネットワークでは、「決して国に予算をくれ、という話をするわけではなく、研究力を強化するために、何をするべきかということを問題として話し合う場。例えば、基盤的な光熱水料や消費税の増税、円高に伴う影響、そうした大学や研究機関で共通した問題などをシェアして、政策課題として掲げていくほか、若手の人材育成をどのように行っていくべきか、研究設備を効率よく整備するためにはどうするべきか、これについては、大型の研究設備を例え作ったとしても、その維持・運用にもランニングコストがかかるといった問題もある。そして個々の大学固有の問題などもあり、それらを具体的に話し合うのがこのネットワークという場の意義」とする。現在、同ネットワークにて動いているタスクフォースは以下の4つだという。国際連携国際情報発信キャリアパスコンプライアンス同ネットワークは、決して決定事項に強制力があるわけではなく、あくまで全体的なスキームなどを話し合う場であり、その内容を各研究機関ごとに持ち帰り、独自の運用に生かしていくというものとなっている。また、決して、現在のメンバーだけで運営を行っていく、というわけではなく、ネットワークが有用である、ということが見えてくれば、参加を表明する大学も増えてくると思っているとのことで、ネットワークとしては、そうした大学が増えることを期待したいとしている。なお、同ネットワークの会合に参加していた日本学術振興会の理事である渡邉淳平氏は、今回のネットワークについて「学術振興会は国側の組織だが、大学を中心とした研究の支援を行っている。日本は頭脳で勝負していく科学技術立国でなければいけない。そうした中で、研究力の中心となる大学という現場を見ていると、このままで大丈夫か、という心配があり、こうしたネットワークができ、それが研究力の強化に少しでもつながることになれば」と歓迎していることを表明。現時点での参加大学が22校にとどまったのは、文部科学省の予算の問題なとの兼ね合いがあったためだろうとし、「RU11はトップの大学たちが先駆けて活動してきた組織。しかし、それらトップの11大学だけで、日本の先進的な科学技術を支えきれるということは難しく、それを支えるための組織として、このネットワークが活動していってもらえれば」とした。また、「将来的には30大学、40大学とどこまで参加大学が増加するかは不明だが、日本の科学技術を支えるという自負を持った大学たちが、新たな取り組みを開始させたことは、科学技術立国を標榜する日本が人材の面を含め、今後のテクノロジー・サイエンスの分野にとってプラスに作用するはずだ。特に現在の日本は、研究費用、人、そして研究設備、すべての問題が山積となっている。しかし、そうしたインプット部分がいかに成果物である論文というものにつながるか、というのを目で見えるようにすることは難しく、そこを根本的に見直しことを世に問うのであれば、今、現状、こういう状況で、これがこのまま進めば、こうなっていく、ということをわかりやすく、広く世間に示す必要があり、それがひいては政策にもつながってくる。同ネットワークはそうした大学の実情というところに突っ込んだエビデンスを実態を示していってもらいたい。このままでは本当に大学が駄目になるという危惧を学術振興会で仕事をしながら思っており、こうした組織で、そういった具体的な活動をしてもらうことには大きな意義があると思っている」とし、今後の活動にエールを送っていた。
2014年09月26日