先日まで全8話にわたって長女との中学受験実録シリーズをお届けしてきました、もりりんパパです。いつも読んでいただき本当にありがとうございます。今回はその総括的なお話、我が家の経験から見えてきた家庭学習での親のあり方を書くことにしました。が、その前に…。僕は前回の記事にて”特集:私がコミックライターになるまで”に参加させていただいたんですよね。その中で自身の毒親疑惑の部分、そしてそれをブログに助けられたことについて少し触れてみました。で、僕はブログやウーマンエキサイトさんでの連載を嫁さんや子ども・両親・親族等に伝えています。子どもたちの成長状況を記事で伝えることも含めて。そして、前回の話を見た長女から言われたんです。…うん。ですよね(-"-;その辺も含めて今回のお話を書き進めていきたいと思います。少しダークなお話になるかと思いますが、どうかお付き合いください。教育で毒親にならないために…僕が長女の勉強に携わりだしたのは彼女が小学3年生の頃。元々は嫁さんが宿題を見ることが多かったんです。しかし、その年の夏休みに…。ずっと様子を見ていた嫁さんがギブアップしてしまいまして。で、ここでバトンタッチをして僕が長女の勉強を見ることになったんです。勉強を見るにあたってその時点で気をつけたいと思ったこと、それは…・主役(勉強をする)はあくまで長女本人・教える側(僕)は基本静観して必要な時のみ声かけくらいでした。しかし、実際は…実際はこのような感じでした。後に長女に尋ねると、それはもう恐ろしい親だったそうです。自分でも今振り返ると…ありえない親だったかもしれません。せっかく一緒に勉強に取り組んでも思い通りに動かない子ども。時には僕は声を荒げ、物を投げてしまうことも…。それが日々続き、自分の感情がエスカレートしていくのが分かりました。これではいけない、それは分かっている。でも感情が爆発すると止まらない、止められない。勉強はきちんとして欲しい、だけど思い通りにならない。どうすればよいのか、分からない…!!まさに負のスパイラル。その流れを止めてくれたのは…。他でもない、長女からのSOSとそれを重く受け止めた嫁さんの存在でした。もちろん、嫁さんに言われてすぐに全て納得出来たわけではありません。それでも、少しづつ自分の中に落とし込んで気をつけていくようにしました。子どもは子ども、親は親。長女は僕自身ではありません。こうやって文字にしてみると当たり前のことですが、それが自分の感情がコントロール出来なくなると分からなくなり、無理強いをしていたのだと思います。まずは親である僕の…自分の気持ちに余裕を持つこと。それが出来ない時は一旦勉強をやめ、環境を変えて思い切ってリフレッシュすること。長女には長女の考えがありますし、もしかしたらだらけているように見えても実は考えがあるのかもしれません。そう気づいたのは、彼女が6年生の頃。中学受験への取り組みをしていた時でした。気づくのに時間がかかりすぎて、長女を中心に、家族には辛い思いをさせてしまったと思います。今だって、正しいと思い行っている育児や教育が、実は間違っているかもしれませんが…。最初に書いたように、長女の人生は長女が主人公。まだ全てを彼女が決めて生きていけるわけではないので、親として時に注意し、時に一緒に笑いながら今この時をともに生きているのだとは思います。でも、そんな中で親としての僕の感情が爆発してしまった時。それを一方的に攻撃的にぶつけてしまうのは違います。自分はあくまで支える側。自分の役割をきちんと考えておかないと、家庭学習にはとくに様々なリスクが潜むと感じました。親としての自身のコントロール。難しいですが…それを怠るとエスカレートし、止まらなくなっていつしか”毒親”となってしまう。大げさではなく、そう感じるようになりました。そうならないためにも、前回の記事に書いたようにブログを書くことで自分の視点を変えて行ったり。また、主役である子ども自身の心の声に耳を傾けて考えていく。そう考えながら接していくことがより良い関係性を築けるのでは…そう考えながら日々家族みんなで過ごしています。以上、前回の続きのお話でした。ここまで読んでいただきありがとうございました。
2019年08月14日「子どもの言うことを親がジャッジしてしまうと、子どもは『親にとって正しい答え』を言おうとするようになり、自分で考えることをしなくなる」と話すボーク重子さん。一人娘スカイさんが「全米最優秀女子高生」コンテストで優勝し、さらに自身も2004年に念願のアジア現代アートギャラリーをオープンさせ、現在では子育て、キャリア構築、ワークライフバランスについての講演会やワークショップを展開しているボークさんに、現在の日本の育児の現状についてもお話をうかがいました。前回、ボークさんは「グローバル社会で生き抜くスキルをつけるために、家庭での対話が重要」とお聞きしました。そこで重要となってくるパパとママの対話についてお話をお聞きします。さらに日本で問題となっているのが「ワンオペ育児」の状況。日本のママが直面する問題にボークさんは、「いたしません!」宣言というポジティブなメッセージをママに贈ってくれました。》 「英語できない親でも、グローバル時代を生き抜く力を育てられる!」 ■「パパとママの会話が子どもの手本になる!――子どもが自分の意見を表に出せるようにするためには、何が大切なのでしょうか?ボークさん:子どもの対話力をあげるには、大人が手本になるのもいい方法です。子どもにとって、一番身近な存在は、パパとママ。家族というのは最小にして最強のコミュニティですから、ここでも否定から入ってはいけません。「この材料で、カレーしかメニューが思い浮かばないなんて!」という批判的な対応だと、親の顔色を見て、ウケのいい答えを言おうとしてしまいます(※)。※リベラルアーツ的思考力の素地を作るためには、家庭での毎日の会話で十分にできるとボークさんは語ります。たとえば晩ご飯のメニュー決め。ただ子どもの意見に対して親がジャッジしてはいけないと話します。――大人にとって都合のいいことや気にいることを言ってくれる子のほうが、大人はラクだから「いい子」だと思いがちですよね。ボークさん:都合のいいことも、悪いことも、まずは否定しないことが大切です。そして、それを夫婦のやりとりで、見せてあげれば、子どもは安心します。冷蔵庫の材料を伝えて、パパも一所懸命考えて答える。ママも受け止める。そのような親のやり取りを見て、子どもは自然と学びます。パパが「肉じゃがができるね。今日は肉じゃがが食べたいな」と言ったとき、ママが面倒臭く感じても、即座に「え? 肉じゃが? じゃあ、自分で作れば?」というような反応ではなく(笑)、「たしかに肉じゃがも作れる材料だね。でも、今日は、ちょっと煮物を作る時間が足りないから、この材料を小さく切ってカレーにしようか?」などと返せばいいのです。「否定されない」、「受け止めてもらえる」、という見本をぜひ、ご夫婦でも見せてあげてください。「安全でない」と子どもが感じると、子どもは自分を見失い始めます。大人が求める答えをしてしまうのです。そうすると、自己肯定感は下がります。■「ママはどれだけやるか?」ではなく、「どれだけやらないか」――「ワンオペ育児」が多い日本だと、夫婦の会話を子どもに見せる機会自体が少ないご家庭もありそうです。ボークさん:私は「ワンオペ育児」という言葉を知ったときに、とんでもないことだと思いました。驚きとショックでプルプルしてしまったほどに。日本の女性は有能なので、やれば、ほとんどのことができてしまうんですよね。だから、ワンオペ育児もやろうと思えばできてしまう。――たとえ「ワンオペ育児」でなくても、育児中のワーママは、やることがたくさんありすぎて、あらたに何かを始めることが大変だと感じてしまうかもしれません。ボークさん:やることがたくさんありすぎて、それを整理するために、to doリストを作る方もいるかもしれませんが、to doリストは、達成感をもたらしてくれるけれど、疲れも持ってきます。だって「やらないといけないこと」が書き連ねてあるのですから。だからto doリストを見直してみてください。本当にやらなければならないこと、その中に、いくつありますか? 仕事、家事、育児、全力投球を3つもしなければならないなんて、無理です。to doリストを作ったら、作った端から消してしまいましょう(笑)。料理、洗濯、掃除……すべてを納得のいくまで行うなんて無理なのです。家族のために、子どものために、食卓においしそうな料理を並べたいと思う気持ちに嘘はなくても、美しい料理を作るためにママの笑顔が消えてしまったら、本末転倒。「買ってきたけれどおいしそうでしょ?」ってママが笑って言うほうがよっぽど、子どもはうれしいものです。■パパがいるときには、「いたしません」宣言を!――笑顔でいることが大切! それを実現するには?ボークさん:リベラルアーツ(※)を培うためには、ママが対話の時間や心のゆとりを持つことがマストです。そのためには時間を作り出すことが必要。でも1日の時間は決まっています。そんななかで笑顔を保つためにできること、それには日常のTo Do家事をどれだけ「やらないか」が勝負です。※リベラルアーツとは、「自由とは?」、「正義とは?」など問いを立てて、自分と向き合い、そこから自分の考え方や生き方についての意見を構築していくための学び掃除はお掃除ロボットを回しておけばいい。生ゴミはディスポーザーに入れればいい。パートナーが在宅しているとき、ママは家事を「いたしません」でいいんです。たとえば、日曜日の昼食の準備は「いたしません」のように。やってしまえばできることを「いたしません」と言うのには、覚悟が必要です。でも、やらないことで時間を作り、その時間は、ママが心にゆとりを持つこと、例えば「やりたいこと」に時間を使ったり、子どもとの対話に使ったりしましょう。――サボったり、手抜きでいいのでしょうか? 仕事をしているだけで罪悪感を感じるママもいる中、家事も手抜きだとさらに罪悪感を感じるママもでてきそうです。ボークさん:「女性はこうあるべき」「ママはこうあるべき」「妻はこうあるべき」「働くママはこうあるべき」など、女性に課せられたいろんな「べきが」あるなか、あえて「いたしません」というのは罪悪感や劣等感を伴うかもしれません。だから母、妻という立場ではなく、女性は、「自分でいる」ことがとても大変なんです。そう考えると、もしかしたら女性が自分でいられるというのは、生まれたときだけかもしれませんね。その後は、「女の子なんだから」と言われ続けて育ちます。どんなときも、いい娘、いい妻、いい母でいるように、そして自分のことは後回しにしていい、と訓練されていってしまう。そして、気づかぬうちに、自分でも自分にそう言い聞かせてします。国の調査によると、6歳未満の子どもをもつ夫婦の家事・育児関連時間は、男性が1時間23分(女性が約7時間34分)と圧倒的に低い状態です(※1)。そんなの私に言わせれば犯罪です(笑)。ハーバード大のリサーチ(※2)によると、「働くママに育てられた女の子は、マネージャーになる確率が高く、男の子は家事育児の時間が倍で、不幸になることなんて『ない』」というデータがあります。ママが働いているからという理由で、罪悪感を抱える必要なんてないんです。働くことが好きなら罪悪感から自由になってもっともっとエンジョイしてほしいと思います。「ママが心にゆとりを持つ」。この時間を確保するために、いますぐできることがあります。それは家族の役割を決めるということです。なぜなら家族はコミュニティーなのですから、全員参加が基本です。子どもの場合は、年齢に合わせて「家族のためにできること」をみんなで決めます。それは、たとえばお皿を下げることかもしれないし、おもちゃを自分で片すことかもしれない。パパの場合には、週末のランチとディナーと1週間に必要な食料の買い出しをするとかいかがでしょう?家族の役割を決める時に大切なルールが1つだけあります。それは「ダメ出しをしない」。ランチがまずくても、作ってくれた人に文句は言いません。子どものおもちゃの片付け方が完璧でなかったとしても、ママはやり直しをしないようにしましょう。そして大切なことは、「ありがとう」と伝えること。こうしたことを家族で習慣にして、それを繰り返していくうちに、だれもがどんどん上手になっていくのですから。「世界基準の子どもの教養」で必要なことの1つに、「誰かの役に立つ」意識を持つことがあります。それは、お子さんが家族の役割を果たしたときに、「あなたのおかげで、家の〇〇が助かった」と声かけするだけで家庭で育むことができるんです。それは、家庭からからスタートして、学校、社会と世界が広がっていきます。さらに家族の役割を決めて全員参加で助け合うことにはもう1つ利点があります。それは子どもの自己肯定感が上がるということ。誰かの役に立つことで、自分も幸せな気持ちになり、「自分ってすごいじゃない」と思え自分を認められるようになるのです。――貢献する意識を小さい頃から芽生えさせることはできそうですね。ボークさん:激動する社会を生き抜き、みずからの力で将来を切り開いていくためには、みずから課題を見つけ、考える力が必要です。考える力を培うには、意見を述べる機会をどれだけ増やせるかが鍵になってきます。そして私たちは一人では生きていけません。社会とのつながりのなかで生きていきます。だからこそ自分の意見を構築する第一歩を、そして「誰かの役に立つ」意識作りを、まずは今日から、家庭で始めてみてください。この2つを意識することは、グローバル社会で活躍するために必要不可欠になっていきます。■今回のお話を伺ったボーク重子さんのご著書 『世界基準の子どもの教養』 (ボーク重子/ポプラ社 1,600円(税抜き))ボーク重子(ぼーく・しげこ)さんICF認定ライフコーチ。アートコンサルタント。福島県出身。米・ワシントンDC在住。子育てと並行して自身のキャリアも積み上げ、2004年に念願のアジア現代アートギャラリーをオープン。2006年にワシントニアン誌上でオバマ前大統領(当時は上院議員)と共に「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。『心の強い幸せな子になる0〜10歳の家庭教育「非認知能力」の育て方』(小学館)、『「全米最優秀女子高生」を育てた教育法 世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)のほか、近著に『世界基準の子どもの教養』(ポプラ社)がある。※1.総務省 「平成 28 年社会生活基本調査」 (pdf)※2.ハーバード・ビジネス・スクールKathleen McGinn教授レポート「Working Mothers Raise More Successful Daughters and Empathetic Sons」
2019年07月31日「子どもが我慢できなくて困っている」という悩みを抱える親は多いものです。しかし、我慢には、子どもにとって良い影響をもたらすものと、そうでないものがあることをご存じですか?今回は、子どもの成長に欠かせない我慢と、子どもをダメにしてしまう我慢についてご紹介しましょう。「我慢できる子ども」は将来伸びる!生きていくうえで、我慢しなければならない場面は多々存在します。スーパーで買い物をしてレジの行列に並ぶときや、車の運転中に赤信号で止まるとき。怠けたくても学校や会社に行かなければならないときや、人間関係……。もし我慢ができなければ、多くの人に迷惑がかかったり、事故やトラブルが起こったりするのは当然。子どものうちから我慢することを覚えるのは、協調性を育てて周囲の人々と良好な関係を保つために、そして社会の一員として生きていくために、欠かせないことなのです。また、米コロンビア大学の心理学者ウォルター・ミシェルが考案した「マシュマロ・テスト」という実験では、我慢と学力に関係があることが示されています。この実験は、186人の4歳児の目の前に1個のマシュマロを置いた状態で「しばらく我慢すればマシュマロを2個食べられるけど、もし今すぐにマシュマロを食べてしまったら2個目のマシュマロは食べられないよ」と告げたあとの様子を観察し、自制心の高さを測るというもの。その結果、マシュマロを食べることを我慢して2個目のマシュマロを獲得できた子どもは、全体の2~3割しかいませんでした。そして、マシュマロ・テストを受けた子どもたちが22歳になるまで追跡した結果、当時我慢できた子どもは我慢できなかった子どもに比べて、青少年期に問題行動が少なく、アメリカの大学入試で標準的に用いられているSAT(大学進学適性試験)で平均より高い点数を取っていたことがわかったのです。また、成人後の肥満指数が低く危険なドラッグなどに手を染めていない、さらに対人関係が良好で自尊心が高いとの報告もありました。幼少期に我慢できるかどうかは、その後の人生に大きくかかわってくるといえるでしょう。しなくてもいい我慢、させてない?しかし、子どもの我慢する力を育てたいからといって、何でも我慢をさせればいいというわけではありません。文京学院大学大学院特任教授の平山許江氏によれば、子どもに我慢をさせすぎると、次第にやる気を失い、「やりたい!」という気持ちや意欲が減退してしまうのだとか。やりたがらなくなってしまった子どもに「やりなさい」と促すのは、やりたがる子どもを「やめなさい」と制するよりも難しく、成長に支障をきたす恐れもあると言います。何でもかんでも我慢をさせることは、子どもにとってストレスです。「あれもダメ」「これもダメ」と妥協させられ続けた子どもは、「どうせきっとこれもダメなんだろう」と諦めてしまい、意欲を失い、主体性が損なわれていきます。自分の欲求を我慢するのは、大人でも難しいですよね。幼い子どもにとってはもっと難しいもの。子どもの意欲を殺さずに、我慢する力を育てるためには、子どもに合わせた我慢の度合いを考え、時には我慢しなくてもいい環境を与えてあげることも大切なのです。子どもが伸びる我慢・子どもをダメにする我慢我慢のなかには、「子どもでも必ずしなくてはいけない我慢」と「子どもにとって悪い我慢」があります。しなくてはいけない我慢は、子どもが伸びるきっかけにもなる大切な要素です。まずは、子どもが伸びる我慢についてご紹介しましょう。精神科医で評論家の和田秀樹氏は、我慢が伸ばす3つの力について次のように述べています。◎こんなことをしたらカッコ悪いと考えて我慢する→社会性が伸びる和田氏いわく「おもちゃを買ってもらえないから、泣いて駄々をこねたい。でも、周りの人に笑われるから、できない」「すごく楽しくてはしゃぎたい気分だけれど、今は電車の中だからそんなことをしたら恥ずかしい」などの「こんなことをしたらカッコ悪い」という感覚が自分を高めたいという欲求につながり、我慢する力が育っていくのだそう。こうした経験を重ねるうちに、人の目を意識するようになり、社会性が育っていきます。 ◎相手の気持ちを想像して我慢する→思いやりの心が育つ集団生活を送るなかで、時に失敗を重ねながら「こんなことをしたら○○くんは怒るだろうな」「これを言ったら△△ちゃんは傷つくな」ということを覚えて、自分の感情をコントロールできるようになると、相手の立場を考えた思いやりのある行動ができるようになると和田氏は言います。親はどうしても子ども同士のケンカや争いを避けようとしがちですが、子どもはこれらを通して我慢することを覚え、思いやりの心を育てるのです。 ◎我慢することで「ひとりでできた!」という快感を覚える→自立心が育つたとえば、小さい頃はオムツが必須ですが、ある程度成長すると、一定時間我慢してからおまるやトイレで用を足せるようになりますよね。すると、親御さんが「よくできたね!」と褒めてくれます。和田氏いわく、このとき子どもは「お母さんに頼らずに自分の力でできた!」という自立の快感を味わうのだそう。子どもは、その快感をもっと味わいたいためにまた我慢し、さらに自立の快感を味わう……というループで、我慢する力と自立心を伸ばしていきます。そのため、我慢と自立には、親が褒めてあげることが欠かせません。子どもが我慢できたら、きちんと褒めてあげましょう。 一方の「子どもにとって悪い我慢」について、東京家政大学ナースリールーム主任の井桁容子氏は以下を挙げています。×大人の都合で子どもを我慢させる自宅では許していることを、ほかの人に「だらしない親だ」と思われたくないがゆえに、人前でだけ「ダメ」と叱ったことはありませんか?普段なら許していることを、イライラして「ダメ」と禁じたことはありませんか?このように、大人の都合で我慢させるのはNGです。子どもには、大人の都合はわかりません。井桁氏いわく「あるときは良いけど、あるときはダメ」と対応を変えると子どもは混乱し、その行為が良いことなのか、我慢するべきことなのかわからなくなってしまうそう。 ×威圧的に「ダメ」と我慢させる「子どものため」「しつけ」という理由でなんでも「ダメ」と我慢させたり、子どもがやりたがらないことを無理にやらせたりすることはNGです。なぜダメなのか、子どもがきちんと理解できなければ、禁止してもまた同じことを繰り返してしまうでしょう。威圧的に我慢させるのではなく、「なぜダメなのか」「なぜやらなければならないのか」を説明してあげることが大切だと、井桁氏は言います。反対に、理由を説明できないものは我慢させるべきではないと言えますね。 ×人のせいにして我慢させる「店員さんに叱られるよ」「あのおじさんが怒ってるよ」「先生はこう言ってたよ」など、第三者のせいにして叱ったことはありませんか?このように、親以外の誰かのせいにして我慢させると、子どもは「その人の目の届かないところならやっていい」と解釈してしまい逆効果です。なぜダメなのか、親自身の思いを説明してあげなければ、我慢ができるようにはなりません。 井桁氏によると、こうした悪い我慢を強いられた子どもは、無気力になったり、人間関係がうまく築けなかったり、自分の感情をうまくコントロールできなくなったりする可能性があるそう。子どもに悪い我慢をさせていないか、親は日頃の言動を振り返ってみることも必要ですね。***我慢は生きていくために大切なことではありますが、状況や言い方によっては悪影響を及ぼす場合もあります。子どもに我慢を教える際には、それが子どもにとって本当に必要な我慢なのかどうかを考えてみることも大切でしょう。文/田口 るい(参考)こどもまなび☆ラボ|我慢ができない子どもは “親の愛” を試してる!?「自制心」が育つ親の言葉こどもまなび☆ラボ|「辛抱強い子」を育てるヒント。「我慢する力」を伸ばすのは “○○上手な親” だった!PHPファミリー|子どもにさせていい我慢、わるい我慢PHPファミリー|わるい我慢をさせてない?子どもに我慢を教えるコツPHPファミリー|「我慢する力」は、どう育まれるのかPHPファミリー|子どもを我慢させる時、受け止める時東洋経済オンライン|「おやつの我慢勝負に勝つ子」が優秀なワケベネッセ教育情報サイト|小学校以降の成長のベースとなる「我慢をする力」は家庭で伸ばす!【前編】
2019年07月27日『そして父になる』『海街diary』『三度目の殺人』などの是枝裕和監督作、昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した『万引き家族』が、7月20日(土)今夜のフジテレビ系「土曜プレミアム」枠で本編ノーカット地上波初放送される。“家族”をテーマにして多くの作品を描いてきた是枝監督が、貧困と幸せ、血縁と心の絆など社会に抱いた違和感も織り交ぜて描き出した本作。昨年6月に公開されると第42回日本アカデミー賞では作品賞をはじめ最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、最優秀助演女優賞、最優秀脚本賞など、最多計8部門で最優秀賞を受賞。さらに第71回カンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)受賞のほか、第91回アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされるなど世界中で大絶賛の嵐を巻き起こした。再開発が進むなかポツンと残された古い住宅街で、家主である老女・初枝の年金を目当てに暮らす柴田家は、足りない生活費を万引きなどで稼いでいたが、冬の日、親から虐待を受ける少女・ゆりを拾い一緒に暮らし始める。しかし、ある事件をきっかけに家族の隠された秘密が明らかになっていく――という物語。息子に教えられることといえば万引きくらいしかないという、甲斐性なしの父・治を是枝作品には常連のリリー・フランキーが演じ、家族が転がり込んだ平屋の家主である祖母・初枝には故・樹木希林。母・信代には朝ドラ「まんぷく」『DESTINY 鎌倉ものがたり』などの安藤サクラ、風俗のバイトをしている信代の妹・亜紀には『ちはやふる』『勝手にふるえてろ』の松岡茉優。そのほか亜紀が勤務する風俗の常連客役で『町田くんの世界』の池松壮亮、亜紀の本当の父親役で『散り椿』などの緒形直人、ゆりの父を朝ドラ「なつぞら」も話題の山田裕貴、ゆりの母には「科捜研の女」などの片山萌美。警察官役で『止められるか、俺たちを』などの高良健吾、同じく警察官役で「ごめん、愛してる」などの池脇千鶴、駄菓子屋の店主役で『空飛ぶタイヤ』など数々の作品で知られる柄本明といった俳優陣が出演する。なお今夜の放送では是枝監督最新作となる全編フランス撮影、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークらの出演で今秋公開が予定されている『真実』の紹介と、監督からのコメントも併せて放送。注目の次回作の片鱗をチェックできる。土曜プレミアム『万引き家族』は7月20日(土)今夜21時~フジテレビ系で本編ノーカット地上波初放送。(笠緒)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2019年07月20日たまの休みくらいは、思いっ切り子どもを自然のなかで遊ばせてあげたい――。都市化が進み、誰もが多忙な時代だからこそ、そう考える親も少なくないでしょう。でも、親子ともに自然に触れる機会が減っているいま、親は子どもにどのように自然体験をさせてあげればいいのでしょうか。「プロの自然解説者」である、プロ・ナチュラリストの佐々木洋さんにお話を聞きました。アドバイスに先立って語ってくれたのは、子どもたちとの自然体験活動を通じて佐々木さんが感動したというエピソードです。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)いまもむかしも子どもたちの本質は変わらないわたしがおこなう子ども向けの活動は本当に多岐にわたっていて、それこそ虫ばかりを追いかけるようなこともあれば、ただのんびりと山を歩くということもあります。過去25年以上にわたっておこなってきた活動のなかでとくに印象に残っているエピソードをお伝えしましょう。その日、出掛けたのは干潟で、「泥んこ体験」をさせることが目的でした。幼い頃に干潟や田んぼで遊んだことがあれば、足の指と指の間を柔らかい泥が抜ける独特の感触を思い出すという人もいるでしょう。なんともいえない気持ち良さがありますよね。地方であれば、いまも干潟や田んぼで泥まみれになって遊んでいるという子どももいますが、都心部だとそうはいきません。連れて行った子どもたちは幼稚園の年長さんたちで、ひとりも干潟で遊んだ経験はありませんでした。当然、子どもたちはおっかなびっくりです。しかも、「汚れるとお母さんに怒られる」なんて思っている子どももいて、なかなか泥んこになりません(笑)。ところが、ある男の子が転んで泥だらけになっちゃった。すると、その瞬間、子どもたちが一斉に「わーッ!」と叫んで泥まみれになって遊びはじめたのです。わたしは、その光景を見ていて子どもたちにかけられた「現代の呪文」が解けた瞬間だと思いました。いまもむかしも子どもたちの本質は変わりません。ただ、いまの子どもたちは自然に触れる機会が激減しているというだけなのです。「ついに子どもたちの『本能』に火がついた」と、感動したことを強く覚えていますね。擬人化して虫への恐怖心を取り除く子どもたちが自然に触れる機会が減っていることを思えば、子どもを自然に親しませるには親などまわりの大人が工夫してあげることも必要かもしれません。虫が苦手だという子どもも多いものです。虫の怖さは人によってさまざまでしょうけど、ひとつは「自分でコントロールできない」ということが考えられます。自分で飼っている犬などのペットなら、その行動もある程度コントロールできますし、行動の予測もできるでしょう。でも、触った経験のない虫の場合はどんな動きをするのかがわかりません。だから怖いのです。だとしたら、それこそペットのように思わせてあげればいいのです。自然体験が少ない子どもなら、おとなしくて危険でもないダンゴムシでも触れないという子どももいます。そういう子どもにはダンゴムシに親近感を持たせてあげましょう。何匹かのダンゴムシがいたら、「どのダンゴムシが好き?」と聞いてみる。ダンゴムシを怖がる子どもなら、「いちばんちっちゃいダンゴムシ」なんて答えるかもしれません。そうしたら、「お父さんはこの大きくて格好いいヤツがいいな」「大きさがちがうから、もしかしたら親子かな?」なんて話してみる。いわば、擬人化するというわけです。そうすると、子どもは自分が選んだダンゴムシに親近感を持ちはじめます。他の虫には触れなくても、「『僕の、わたしのダンゴムシ』なら大丈夫」というふうに虫への意識が変わっていくのです。そうすれば、徐々に他の虫に対しての恐怖心も和らいでいくはずです。「子どもと一緒に体験する」という意識また、以前と比べて自然体験が減っているのは、大人も変わらないかもしれません。そういう親が子どもに自然体験をさせようとすると、つい「もっと勉強してから」と思ってしまいがちです。とくに教育熱心な親の場合、全部勉強してから教えようと考える真面目な人が多いのです。でも、そんなことをしているうちに子どもはどんどん成長してすぐに親と一緒に外で遊ぶような年齢ではなくなってしまいます。大切なことは「子どもと一緒に体験する」という意識です。公園で子どもに「この花、なに?」と聞かれて、その場で答えられなくてもなんの問題もありません。「なんだろうね?」「うちの近くにもあるかな?」なんて答えて、帰宅してから子どもと一緒に調べればいいのです。子どもとは、親が上から下に向かって教え諭すだけの対象ではありません。親もわからなくて知らないことであれば、子どもと同じ目線に立って一緒にワクワクドキドキしながら学んでみてはどうでしょうか。また、「同じ目線」という意味でいえば、実際の目線の高さを親子で交換することもおすすめします。親子で散歩をしているとき、子どもは目ざとく虫や花を発見しますよね。もちろん、目がいいということもあるのですが、それは子どもの目線が物理的に低いからです。地面に近いのですから小さな花にも気がつきますし、草木の葉の裏に隠れている虫も見つけられるというわけです。そこで、親が実際に子どもと同じ高さで周囲の自然を見てみる。逆に、子どもを抱っこしてあげて大人の目線から見える風景を味わわせてあげる。きっと、親子ともに新たな発見や感動があるはずですよ。『ナンコレ生物図鑑 あなたの隣にきっといる』佐々木洋 著/旬報社(2015)■ プロ・ナチュラリスト 佐々木洋さん インタビュー一覧第1回:「自然だし、仕方ない」現代の恵まれた子どもたちが“自然体験”から学ぶ重要なこと第2回:「虫が怖い」はこうして克服。ダンゴムシすら触れない子に、親は何をすればいい?第3回:自然観察=現場検証!?生き物の“痕跡”探しから始まる、都会でもできる自然体験(※近日公開)第4回:カブトムシやクワガタが採り放題!夏休みに親子で作る“スーパーバナナトラップ”(※近日公開)【プロフィール】佐々木洋(ささき・ひろし)1961年9月30日生まれ、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。公益財団法人日本自然保護協会自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などさまざまな立ち場で自然解説活動をしたあと、「プロ・ナチュラリスト 佐々木洋事務所」を設立。「自然の面白さや大切さを多くの人とわかち合い、そのことを通じて自然を守っていきたい」という思いのもとに、25年以上にわたって、自然観察指導、自然に関する執筆・写真撮影、講演、テレビ・ラジオ番組の出演・企画・監修、エコロジーツアーの企画・ガイド等の活動をおこなう。著書に『ぼくはプロ・ナチュラリスト 「自然へのとびら」をひらく仕事』(旬報社)、『モリゾー・キッコロ 森へいこうよ! 会える! 虫図鑑』(宝島社)、『「調べ学習」に役立つ水辺の生きもの』(実業之日本社)、『よるの えんてい』(講談社)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年07月14日共働き家庭が増え、親も子どもも忙しいいま、子どもが自然に触れる機会は以前と比べて減りつつあります。そもそも、幼いうちから自然に触れることは、子どもになにをもたらしてくれるのでしょうか。お話を聞いたのは、佐々木洋さん。職業は「プロ・ナチュラリスト」で、ご本人いわく「プロの自然解説者」です。まずは、プロ・ナチュラリストの仕事内容から語っていただきました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)老若男女を相手に自然の面白さを説く「自然解説者」わたしの仕事は「プロ・ナチュラリスト」です。耳にしたことがあるという人はあまり多くないかもしれません。というのも、これはわたしが商標登録をしているもので、一般的に広く知られた職業ではないですからね(笑)。仕事の内容をひとことでいえば、「プロの自然解説者」です。活動にはいくつかの柱があります。まずは幼稚園や保育所、小学校などで授業の一環として自然の大切さや面白さを話すというもの。それから、各地のホールなどでおこなう講演会や講習会。これらにはただ話をするだけではなく、実際に自然のなかで自然観察の指導をおこなうというものもあります。それから、書籍などの執筆活動に、テレビやラジオ番組の企画、出演です。講演会や講習会の対象は子どもたちということもあれば、子持ちかどうかにかかわらず大人の場合もあるし、外国人ということもある。場所、対象によって内容もさまざまですね。そもそもなぜわたしがこの仕事をはじめたかというと、単純に自然が好きだったということに尽きます。でも、学生時代の専門は英語音声学でした。学生の頃は英語を使った仕事をしようと考えていたのですが、自然の世界が懐かしくて戻ってきたという感じですね。わたしの出身は東京ですが、都内とはいえ河川敷がすぐそばにあって自然豊かな場所でした。その原風景がわたしをこの仕事に導いてくれたのです。「ありのままの自分でいい」と思わせてくれる自然の多様性いまの子どもたちは、かつてと比べて自然に触れる機会が圧倒的に減っていると感じています。とはいえ、自然の豊かさそのものは以前とほとんど変わっていません。都内であっても動物も虫もたくさんいて季節の草花も豊かに咲き誇るのに、それに触れる機会が減っているだけなのです。それが本当に残念でならない……。とくに幼児期から自然に触れることは子どもにたくさんのものを与えてくれます。それこそ、その「効能」には枚挙にいとまがありませんが、なかでもわたしが大切だと思っている3つの効能をお伝えします。第一に「多様性を知る」ということ。子どもは自分が好きなことであれば大人以上に熱心に知識を蓄えていきます。新幹線が好きな子どもであれば、どんな新幹線でもひと目見れば名前を答えることができるでしょう。でも、自然だとそうはいきません。どんなに虫が好きな子どもでも、幼稚園の園庭にやって来るすべての虫の名前をいうことはできないでしょう。わたしにも無理です。なぜかというと、それだけ多くの種類の生きものがいて、多様性に富んでいるのが自然というものだからです。しかも、もっといえば、それらのいろいろな生きものにはなにひとついらないというものもありません。人間からは嫌われることが多いカラスだって、自然界では食物連鎖の一部を担ってしっかり役に立っています。この意識は人間教育にもつながるものです。人はそれぞれすべてちがっていて、しかもちがっていていい。ありのままの自分を受け入れて力強く人生を歩むためには、幼い頃に自然を通じて多様性を知るべきなのです。思いどおりにならないなかで最大限の創意工夫と努力をするふたつ目の効能は、「究極の癒やしを与えてくれる」ということ。大人のみなさんだって、仕事や人間関係でストレスがたまれば、海を見たくなったり森のなかを散歩したくなったりすることもあるでしょう。これは子どもにもあてはまることです。子ども自身が大人のように意識しているかどうかは別として、自然のなかで受け取る癒やしが子どもの心をほぐして健やかに育ててくれるのです。3つ目は、「思いどおりにならないことがあると知る」こと。いまの子どもたちはかつてと比べて物質的には恵まれていますし、大人も以前ほど厳しく怒らなくなりました。ともすれば、そういう環境にある子どもは「なんでも思いどおりになる」と感じてしまいそうですが、自然だけはいまもむかしも変わらず思ったとおりにはなりません。どんなに丹精を込めて植物を育てても花を咲かせてくれないということもあります。「昨日、アゲハチョウを見た!」という友だちの話を聞いてその場所に行ってみても、今日は見つからないということもあるでしょう。そこで、子どもは子どもなりに「自然だし、仕方ない」と「あきらめる」ことを知ります。この「『あきらめる』ことを知る」ということが重要なのです。「あきらめる」というと、努力をやめるというイメージを持つかもしれませんが、そうではありません。努力や、それからお金などではどうにもならないということもあるのが世のなかです。自分がなんでも支配できるわけではないということです。仕事をしている大人でもそうですよね?人間関係などさまざまな要素が絡む仕事では、ひとりの人間が思いどおりにできることは限られています。でも、その制約のなかで最大限の創意工夫と努力をする。「どうすれば花を咲かせられるか」と考える。自然と触れるなかで得るその姿勢こそが、子どもを大きく成長させてくれるはずです。『ナンコレ生物図鑑 あなたの隣にきっといる』佐々木洋 著/旬報社(2015)■ プロ・ナチュラリスト 佐々木洋さん インタビュー一覧第1回:「自然だし、仕方ない」現代の恵まれた子どもたちが“自然体験”から学ぶ重要なこと第2回:「虫が怖い」はこうして克服。ダンゴムシすら触れない子に、親は何をすればいい?(※近日公開)第3回:自然観察=現場検証!?生き物の“痕跡”探しから始まる、都会でもできる自然体験(※近日公開)第4回:カブトムシやクワガタが採り放題!夏休みに親子で作る“スーパーバナナトラップ”(※近日公開)【プロフィール】佐々木洋(ささき・ひろし)1961年9月30日生まれ、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。公益財団法人日本自然保護協会自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などさまざまな立ち場で自然解説活動をしたあと、「プロ・ナチュラリスト 佐々木洋事務所」を設立。「自然の面白さや大切さを多くの人とわかち合い、そのことを通じて自然を守っていきたい」という思いのもとに、25年以上にわたって、自然観察指導、自然に関する執筆・写真撮影、講演、テレビ・ラジオ番組の出演・企画・監修、エコロジーツアーの企画・ガイド等の活動をおこなう。著書に『ぼくはプロ・ナチュラリスト 「自然へのとびら」をひらく仕事』(旬報社)、『モリゾー・キッコロ 森へいこうよ! 会える! 虫図鑑』(宝島社)、『「調べ学習」に役立つ水辺の生きもの』(実業之日本社)、『よるの えんてい』(講談社)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年07月13日我が子が、果たして順調に言葉や文字を覚えてくれるだろうか――。幼い子どもを持つ心配性の親なら、そんな不安を抱えているかもしれません。そこで、発達心理学を専門とし、『しまじろうのわお!』(テレビ東京)などの幼児教育番組や幼児向け教材の監修を行っている静岡大学情報学部客員教授の沢井佳子先生に、言葉や文字を子どもに効果的に教える方法を聞きました。まずは、その前の段階、まだしゃべらない子どものコミュニケーションについて教えてもらいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)赤ちゃんのときの動作に言葉を覚える前兆を見るまだしゃべらない子どもでも、あとあときちんと話せるようになるかどうかを確認する方法があります。その方法は、生まれて間もない赤ちゃんの段階でもできることです。対話の基本はキャッチボールのように交互に話すことですよね?Aさんが話しているときはBさんが聞く。そして、Aさんが話し終わったあとでBさんが話す。それと同じことが赤ちゃんの行動にも見られるのです。親が「○○ちゃん、かわいいね」というと、赤ちゃんは親を見てじっとしている。そして、いい終わったあとに自分の手足を動かす。こういう答えるような動作が見られるようでしたら、心配ありません。こうした行動から、その子どもには対話へと発達するベースが備わっていることがわかるのです。また、2、3歳になってもなかなかしゃべらないとなると、やはりおうちのかたは心配でしょう。その段階になるまでに、発達上の問題がないかをチェックする方法があります。赤ちゃんは1歳になる前頃から「指さし」をするようになります。あるいは、はっきりとした指さしをしなくても、親が見る方向を一緒に見ます。たとえば、お母さんが犬を見て、「あ、ワンワンがいるよ」といったとします。その言葉を聞いて、子どもはお母さんが見ている方向を見る。これは「共同注視」と呼ばれます。別のパターンとしては、親の前でテレビを見ていた子どもが、ある場面で親のほうを振り返るということもあります。これは、まだしゃべれなくても、「面白いよね?」「お父さんも見ているよね?」と伝えようとしているということで、「社会的参照」と呼ばれ、他の霊長類にはあまり見られない、人間の子ども特有の行動です。これらは「前言語的コミュニケーション」と呼ばれる行動で、いわば「言語のもと」といえます。こういう行動が見られるようであれば、言葉が出てくるのは時間の問題。心配の必要はありません。ひらがなを覚えるための第1ステップは「音節分解」こうして子どもがしゃべるようになると、熱心な親なら五十音を順に書かせるなどして幼い子どもにひらがなを覚えさせようとするかもしれません。でも、残念ながら、しゃべりはじめたばかりの子どもにいきなり文字を覚えさせることにはあまり意味がないのです。なぜなら、まずは「聞き取る」ことが大事だからです。その視点から、ひらがなを読む、覚えるために必要となる準備として「音節分解」があります。たとえば、「たぬき」という文字を覚えるにも、まずは「た・ぬ・き」と音節ごとに分解できる必要があります。幸い、日本語のひらがなは一部の例外を除いて1音節に1文字が対応しています。英語の場合、「ノック」という1音節の発音の言葉でも文字にすると「knock」と5文字にもなる。つづりを覚えるのがやっかいですよね。英語と比較しても、日本語の「ひらがなの読み」は幼児にとって学習しやすいのです。言葉や文字の勉強というと、つい紙と鉛筆でするものをイメージしてしまいます。でも、紙と鉛筆では音節という概念を学ぶことは簡単ではありません。目と耳と口と動作を通して、音節の区切りを学ぶことが大切です。この音節分解を学ぶためには、わたしが監修したものも含めて音声や映像で教えるビデオ教材がありますから、そういうものをご覧になるとわかりやすいでしょう。注意してほしい点は、「音節分解ができなくても文字が読めるように見える」子どもがいるということ。電車が好きな子どもなら、「とうきょう」という駅名標のひらがな表記を見て「トーキョー」と声に出すことがあります。ただ、それはきちんとひらがなを読んでいるわけではなく、「とうきょう」という文字の連なりを絵のようなまとまり(パタン)として記憶し、それに「トーキョー」という音をペアにして覚えているに過ぎないのです。そこで勘違いして、「うちの子はもうひらがなが読めている」なんて思ってはいけません。まずは音節分解ができるようになること。それができてから、本当に、ひらがなという表音文字を読む……という言葉の学習がはじまるのです。とくにオノマトペの学習に有効な「実況中継」そして、子どもの語彙を豊かにしてあげたいのなら、親が「実況中継」するということをぜひ心がけてください。いまこの瞬間に起きていることを、いちいち言葉で表現して、目の前の出来事を実況中継するのです。そうすることで、紙と鉛筆で書くという学びでは得られない、生活の感覚の「実感」を伴って子どもが言葉を覚えることにつながります。これは、とくに擬態語や擬音語などのオノマトペ(※)を子どもが学ぶ際にはとても有効な手段です。たとえば、子どもがご飯を食べているときに口のまわりを汚してしまったなら、「口のまわりが『べたべた』になっちゃったね」「水で洗ったら口のまわりが『さっぱり』して『さらさら』になったね」というふうに言葉で実況するのです。そうすると、子どもの脳には「べたべた」「さっぱり」「さらさら」という言葉の音が、べたべたの触覚などの、ライブの身体感覚を伴って入っていきます。これらの感覚は紙と鉛筆で学べるものではありません。紙と鉛筆を用意してわざわざ勉強をするという場面をつくらなくてもいいのです。親が実況中継をすれば、日常のなかで子どもは、微妙なニュアンス、感覚の違いとともに言葉をどんどんと覚えていくのですから。※オノマトペ:自然界の音や声、ものごとの状態や動きなどを象徴的に表した語。擬態語、擬音語、擬声語など■ 静岡大学情報学部客員教授・沢井佳子先生 インタビュー一覧第1回:“○歳だからこれができないとダメ!”その思い込みから親を解放する「発達心理学」入門第2回:幼い子どもの言葉が格段に豊かになる、親から子への「実況中継」という方法第3回:「10まで言えるのに、5個が数えられない」?未就学児への“数”と“時間”の教え方(※近日公開)第4回:「非認知能力」という名称の流行が生んでしまった“誤解”と“困った副作用”(※近日公開)【プロフィール】沢井佳子(さわい・よしこSAWAI, Yoshiko)1959年生まれ、東京都出身。チャイルド・ラボ所長、静岡大学情報学部客員教授。認知発達支援と視聴覚教育メディア設計を専門とする。学習院大学文学部心理学科卒業。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。同大学院人間文化研究科博士課程単位取得退学。専攻は発達心理学。幼児教育番組『ひらけ! ポンキッキ』(フジテレビ)の心理学スタッフ、文教大学人間科学部講師などを経て現職。他に、日本こども成育協会理事、人工知能学会「コモンセンス知識と情動研究会」幹事、日本子ども学会常任理事などを務める。幼児教育シリーズ『こどもちゃれんじ』(ベネッセコーポレーション)の「考える力」プログラム監修、幼児教育番組『しまじろうのわお!』(テレビ東京系列/2016年国際エミー賞子ども番組部門ノミネート、2019年アジアテレビ賞受賞)の監修など、多様なメディアを用いた幼児向け教材やテレビ番組の制作におけるコンテンツ開発に携わっている。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年07月10日最近よく耳にする「毒親」。毒親とは、名前のとおり子どもにとって毒になる親、害悪になってしまう親、という意味の言葉です。具体的には、子どもに必要以上の圧力を加える親のこと。そうすることによって、子どもが成長してから生きづらさを感じるようになってしまいます。しかし、子どもから毒親と言われてしまう親のほとんどは、自分が毒親であることを認識していません。それどころかむしろ、「子どものために頑張ってきたのに…」という親も多いもの。今回は、オンラインで育児相談なども行っている心理カウンセラーの筆者が、10年後に子どもから「毒親認定」されないために、幼少期から気をつけておきたいポイントを紹介します。子どもの決断を妨げないで「毒親」と呼ばれてしまう親が必ずやっていることがあります。それは、子どもの決断を妨げ、親の決断を押しつける行為です。例えば、子どもに「誕生日だから、あなたの好きなおもちゃを買ってあげる」と言って、おもちゃ屋さんに連れて行きます。子どもはAというおもちゃを選びますが、親がBのほうが良いと思った場合、「AよりもBがいいわよ。頭もよくなるし役に立ちそう。ねえ、Bがいいわよね?」と誘導したり、場合によっては「どうしてAなんて選ぶの!Bのほうがいいに決まっているでしょう!」などと怒ったりして、子どもにBを選ばせる…。これはほんの一例で、生活の中で同様のことはいくらでも起こり得ます。時には進路や友達選びなど、子どもにとって非常に重要な局面で、子どもの選択より、親の選択を優先させることも。このとき親は、子どもにとってよりよいルートを選んであげているつもりなのです。しかしこうしたことが続くと、子どもは「自分自身で決断することは悪いことなのだ」「親の言うことを聞けば、親が自分をほめてくれる、認めてくれるのではないか」と、自らの意志を抑えつけ、相手の顔色を見て生きるようになります。子どもの失敗を恐れないでさきほどのおもちゃの例や、進路、友達選びのように、本来は子どもがするべき選択を親が代わって行ってしまうような時、親には「かわいい子どもに、失敗をさせたくない」という心理が働いています。親にとって、子どもの失敗はかわいそうで、胸が痛むものです。また、親が理想とするような方向にわが子が進んでくれるといいな…という気持ちもあるでしょう。そこで、親は子どもに代わって、よりよいと思われる決断をしてあげるのです。ところが、子どもは失敗によって多くを学ぶものですし、それどころか目の前の失敗を、将来的に大きな成功につなげていくこともよくあります。反対に、幼少期に親が決断を代行することで、子どもが大切な学びの機会を失ったり、自分の決断に自信をもてなくなったりすることのほうが、子どもにとっては大きな失敗であると言えます。長い目で見れば、目の前のことは失敗してもよい、それこそが子どもにとっての成功であると考えなくてはなりません。親の仕事は、目の前の選択を成功させることではなく、子どもを自分の意志と学びとによって、しっかりと選択できる大人に育てることです。ヒステリックに子どもを否定しないで子どもの選択を尊重するといっても、時には子どもを導いてあげなくてはならないことが、確かに存在します。そんな時に心がけたいのは「ヒステリックにならない」ということです。自分は毒親に育てられた…と自覚する人の中には「事あるごとに親がヒステリックになるのがイヤで、自分の気持ちを親に正直に話すことができず、すべてガマンして過ごした」と言う人がたくさんいます。親と子どもは別の人間ですから、親の気持ちと子どもの気持ちが違うのは当たり前です。その時、ヒステリックになって子どもの気持ちを親に従わせれば、子どもは「自分の意見は、主張してはいけないものだ」ととらえるようになり、そのまま自己主張のできない大人に成長していきます。子どもの選択において、子どもの気持ちにしっかりと耳を傾けることは不可欠です。そのうえで、子どもの選択や気持ちを尊重してあげられない理由を話すとよいでしょう。親が声を荒らげ、大きな声で子どもの意志を力任せにつぶすことだけは、絶対にしてはならないのです。常に一歩後ろから、可能性を信じて!目の前の選択肢からひとつを選ぶ、生きることはこの繰り返しです。子どもでも大人でも、間違った選択肢を選ぶことはあります。それによって「これはダメだった!他の選択肢じゃなくちゃ、いけなかったんだ!」と知り、次の選択の機会には、以前とは違う選択をしていけるようになります。子どもには、そうした成長の可能性が常に秘められているもの。親は一歩後ろから子どもの選択を見守り、子どもが転んでしまったら、起きられるように手助けしてあげればよいのです。親が応援してくれている、自分の選択を尊重してくれていると感じれば、子どもはそれだけで自信をもつことができます。反対に、親が自分の選択をまったくアテにしていないと感じれは、子どもは自信を失い、自分のことを「ダメな子」だと思い込み、どんどん自分の可能性をつぶしていきます。子どもがそのことに気づいた時、「うちの親って毒親だったんだ…」と認識するでしょう。一方で、毒親の中にはヒステリックなだけでなく、暴力で子どもの意志を抑えつけたり、育児放棄をすることによって子どもの声をまったく聞かないといったパターンもあります。共通しているのは子どもの気持ちを尊重しないということ。子どもの話を聞き、「そうだよね」と共感することで、親は子どもにとって、安心できる存在でいられます。「あなたのためよ」という言葉で、子どもの意志をむりやりにつぶしていないか、常に親が自省することで、よい親子関係を築いていけることでしょう。<文・写真:ライターあん茉莉安>
2019年07月07日元号が平成から令和に変わりましたが、生活や気持ちに変化はありましたか? 昭和や平成の時代を生きてきたパパママにとって、令和は子どもたちが生きていく新たな時代だという印象もあるかもしれません。そんな令和時代を生きる子どもたちに対して、親たちはどのようなことを望むのか、今回は少し未来に目を向けてみたいと思います。■令和時代に親が子どもに望むこととは?アンケートでは、令和時代を生きる子どもに親が望むことについて聞きました。その結果、1番多かったのは「失敗しても立ち直れて成長できること」、2位は「自分の力で道を切り開けること」でした。パパやママたちの8割以上が、子どもたちに「失敗しても立ち直る力」と「切り開く力」をつけてほしいと期待しているようです。Q.令和時代を生きる子どもに親が望むことは? ・失敗しても立ち直れて成長できること 46.0%・自分の力で道を切り開けること 38.9%・世界の人とつながり協同できること 5.6%・AIに負けない考える力を持つこと 3.3%・その他 3.0%・特にない 3.1%■令和キッズに望むこと1、「失敗しても立ち直る力」4割を超える親たちは、「失敗しても立ち直れて成長できること」と答えました。パパやママたちがもっとも重視している「失敗しても立ち直る力」とは、一体どのようなものなのでしょうか。「新しい時代こそ、失敗してもいいのでいろいろなことに挑戦してほしい。そして、失敗してもリカバリーしやすい時代になってほしい」(三重県 40代男性)「今後、失敗だけでなく壁にぶち当たったり、試練もあると思います。それを乗り越える力をつけてもらいたいです」(神奈川県 40代女性)「自分で道を切り開いていってほしいけど、その途中で失敗もあるでしょう。そのまま沈むのではなくて、立ち直る過程で成長してくれたらきっと宝物になるはず」(和歌山県 40代女性)「失敗や挫折をしても、それを糧にできるような大人になってくれたらいいなと思います。『人生楽なことばかりじゃない』って自分なりに学んでほしい」(岩手県 40代女性)小学生ぐらいになると、失敗を恐れる子どもが多くなるように感じます。さらに、親たちもできるだけ子どもが傷つかないようにと行動しがち。どんなに親が先々の不安を取りのぞいたとしても、子どもが成長していけば、そうもいかなくなるでしょう。筆者自身も、小学校に入学した長男が徐々に親と離れて過ごす時間が増え、それと同時に失敗して落ち込み乗り越える様子を、できる限り見守らなければと考えているところです。「『レジリエンス』という困ったことが起こっても負けない折れない心を持つことが大事」と最近よく耳にします。同じように、子どもが失敗して、そこからどう乗り越えて自分の学びとしていくかを重視している親は多いようです。「自分で考える。失敗をこわがらずにチャレンジをする。そうして、自分でやったことに責任を持ってほしい」という声も寄せられました。子どもがいつか自立するときのために、「失敗することの大事さ」そして「失敗から立ち直る力」を願う親たちの思いが伝わってきます。■令和キッズに望むこと2、「自分で道を切り開く力」2番目に多かったのは、「自分の力で道を切り開けること」でした。「子どもたちには、何でもいいので『これ!』と見つけたら、遠回りでもいいから貫いてほしい」(愛媛県 30代女性)「なんでもチャレンジしてほしい。親としては、心配になるところをぐっと我慢し、子どもを信じて見守っていきたい。でも、困ったことがあったら相談してほしい」(富山県 40代女性)「考えて実行して、評価してまた実行してと、自分の力で前に進む勇気と決断力を持ってほしい」(神奈川県 40代女性)そのほか、「周りに流されることなく、自分の思いを貫けるような強い人になってほしい」という意見もありました。親からみて「こんな人になって欲しい」という願いはもちろんあるでしょう。でもその願いと同じ、もしくはそれ以上に、「自分はどうしたいのか」をしっかり考え、そして行動する人になってほしいという思いがあるようです。また、「勉強ができる頭がいい子ではなく、生き抜いていける頭のいい子になってほしい」という声も。自分の進むべき道を見つけ、その道を切り開いていく、そうした強さを子どもたちに身に付けてほしいと思っているパパやママが多いようですね。■令和キッズに望むこと3、「他人と協調して生きる力」「人は1人では生きていけないから、必ず人との関わりは出てきます『見極める目』を持ってほしい。いい仲間を作ってほしいですね」(神奈川県 50代男性)「仲間と協力すること、人を思いやる心を持てる優しい人間であってほしい。自分だけでじゃなく、誰かが失敗したら助けてあげれる人になってほしいです」(北海道 30代女性)これまで見てきた回答とは異なり、自分だけでなく、周りの人とのかかわりを重視している親からのコメントが多くありました。■令和キッズに望むこと4、「多様性のある社会で活躍できる力」「これからの子どもは世界と対等に戦っていく必要があるので、いい意味でズルく立ち回れるスキルを身に付けてほしいと思います」(神奈川県 50代男性)「日本国内に留まらず、いろいろな世界を見てほしい。価値観や文化の違いなどがあるなかでも自分を見失わず信じる未来に向かってくれたらと思っています」(神奈川県 40代女性)またほかには、「これから進むAI化をうまく使い、日本だけでなく世界の一員として大きく羽ばたいてほしい」という声もありました。「グローバル社会」という言葉を聞くようになり、もう何年もたちます。これからの子どもたちは、さらに海外でも活躍できる力を身に付けてもらいたいという思いを抱く親もいるようです。■令和キッズに望むこと5、「あたり前の幸せな社会」寄せられたコメントには、「平成が終わったから」、「令和になったから」ではなく、子どもたちにはいつの時代でも元気いっぱいでいてほしいという内容も多く見られました。「幸せになってほしい、幸せでいてほしい。時代は変わっても親が子どもの幸せを願う思いだけはずっと変わらない」(神奈川県 40代女性)「健康で平和に暮らしていってくれれば、それでいいです。これだけで充分です」(福島県 40代女性)「いまを精一杯生きてもらいたいです。今ある平和を大事にしてもらいたい。当たり前に感じていることがあたり前ではなくなることもあるのだから」(奈良県 40代女性)「子どもたちが健康であること。世の中が平和であること」、いまさらながらあたり前で、そしてとても大切な願いに気付かされるとともに、あまりに多くを子どもに求めすぎてないかという戒めにもなりそうな声です。あらためて身が引き締まる思いになります。■令和ママ、パパはどう子どもと向き合うべきかそれでは、親自身はどのようにあるべきなのでしょうか?「子どもにどうのこうのではなく、まずは親、大人が変わらない限り子どもも変わらない。親の背を見て子どもは育つと言うように、自分も含めて大人がもっとちゃんと生きたい」(三重県 40代女性)親が生きてきたなかで大切に培ってきた価値観、そして変わりゆく時代に対応するために親自身も変化していく必要があると感じる価値観。AIの登場によって、今後はますます時代の変革が激しくなり、親が子ども時代に常識だったことも、変わっていく可能性があります。そんなときにはガチガチの頭で子どもを押さえつけるのではなく、多様性を受け入れながら、従来の考え方にしばられずに、柔らかい頭で対応していきたいとも思います。ワンオペ育児だったり、三歳児神話といった昔ながらの価値観がまだ残っている育児、そして男性の育児休暇取得が進まない会社といった価値観については、いまの親世代が子どもに残さないようにしたいことのひとつではないでしょうか。最後に、こちらのコメントも紹介したいと思います。「健やかに、豊かに、人生を生きてほしい。そのために、自分を磨く努力をし、結果を残し、人生の終わりに『良かった』と言える人生であれば、それでいいと思う」(愛媛県 40代女性)はたして、自分は子どもにどんな人生を送っていってほしいのか…。時代が変わっても変化しない思い、そして新しい時代だからこそ親も見つめ直したいこれからの子どものこと。「令和キッズが大人になったとき、どんな社会になって欲しいのか」未来に思いを馳せてみること。それは、もしかしたら親も今一度、自分の生き方も考えてみるチャンスになるのかもしれませんね。Q.令和時代を生きる子どもに親が望むことは?アンケート回答数:4908件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2019年06月30日赤ちゃんのころとは違い、言葉や態度でわが子とコミュニケーションがとれるようになってくると、さまざまな問題が出てくるようになります。そのほとんどは、「どうして親の気持ちをわかってくれないの?」「自分の子どもなのに考えていることがわからない……」といった、お互いのことを理解し合えない悩みなのではないでしょうか。しかし、たとえ親子であっても、“ひとりひとり違う人間” だということを忘れてはいけません。子どもをひとりの人間として認め、親自身もまた自分の気持ちを正直に見つめ直すことで、親子の関係は劇的に改善されるのです。今回は、『親業』プログラムをベースにした、すぐに役立つ「親子コミュニケーション」のコツをお伝えします。“良い親子関係” を作るための「親教育」プログラム『親業』という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。簡単に言うと、「親としての役割は、ひとりの人間を生み、養い、社会的に一人前になるまで育てる仕事に携わること」という考え方を基にした「親教育プログラム」を意味します。1960年代、アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士は、非行少年たちの治療に携わっていました。治療を進めていくうちに、問題児が出るのは問題親がいるからであるとの視点を明確にし、子への適切な接し方を親に教えることで、問題が起こる芽をつむことができるという結論に達したのです。そのような経緯で開発されたのが『親業訓練』です。カウンセリング、学習・発達心理学、教育学など、行動科学の研究成果を基礎にしているこのプログラムは、親としての役割を効果的に果たすための具体的な方法を教えてくれる講座として発展していきました。通常、子育てとは「子どもがいかに育つか」ばかりに重点がおかれています。対して「子どもが育つうえで親がいかに関わるか」と親の側に焦点を当てている『親業訓練』は、今では子育てに悩む世界中の親御さんたちから支持されるようになったのです。親業訓練は親も子も変える!親業訓練では、次の「3つの柱」をベースにしてプログラムを進めていきます。■親業訓練の3つの柱1. 聞くこと(能動的な聞き方)子どもが心を開いて本当の気持ちを親に話すように接し、悩みや問題を抱えていたら自分自身で解決できるように手助けをする。2. 話すこと(わたしメッセージ)親が子どもに自分の気持ちや考え方を率直に伝える。3.対立を解く(勝負なし法)子どもの欲求と親の気持ちがそのままでは折り合わない場合、どのように解決するかを考える。親が一方的に自分の意見を押しつけるのではなく、また子どもの欲求にいつも応じてしまうのでもなく、お互いに納得できるように解決へと導く。では、親業訓練を経て、親と子それぞれにどのような変化が見られるようになるのでしょう。■親業訓練による子どもの変化1. よく勉強するようになった。2. 親に対してより受容的になり、拒否的でなくなった。3. 自尊心が高まった。4. 学業不振であった子どもたちが充分な成績を取るようになった。■親業訓練による親の変化1. 親としての自信が高まった。2. 親と子の相互理解度・相互信頼度が高まった。3. 自分自身のことがよくわかるようになった。4. 子どもに対する信頼と自立を許す気持ちが高まった。アメリカでは親子関係を改善し、青少年犯罪や非行を予防するプログラムとして効果的であることが認められている『親業訓練』。その効果が確かなものであることがうかがえます。12のパターンに要注意!子どもが悩んでいたり不安を感じていたりするとき、90%以上の親がしている対応を、ゴードン博士は12の型に分類しました。それらはすべて、子どもの考える力を育てるのに効果がないとされている対応です。たとえば、子どもが学校から帰ってきて、「隣の席の子に貸した消しゴムが返ってこなかった……」と落ち込んだ様子を見せたとき、どのような言葉をかけてあげますか?おそらく次の12パターンのどれかに当てはまるのではないでしょうか。1.命令・指示「明日、そのお友だちに『返して!』って言いなさい!」2.脅迫・警告「またなくしたの!?次なくしたらもう買わないからね!」3.説教「返し忘れてるだけかもしれないよ。お友だちのことを悪く言うのはよくないんじゃない?」4.提案・助言・忠告「明日、『返して』って言ってみて、だめだったら先生に言ってみたら?」5.講義・論理による説得「その場で『返して』って言えないのも悪いんじゃない?誰だって後から言われたら嫌でしょう」6.非難・批判「なんですぐ物をなくすの!人のせいにしないの!」7.同意・賞賛・ご機嫌とり「嫌だったのを我慢したんだね、えらいよ」8.侮辱・悪口・はずかしめる「あなたが弱虫だから意地悪したくなったんじゃない?」9.分析・解釈「その前に、そのお友だちの嫌がることをしたんじゃないの?」10.同情・なぐさめ・激励「そのお友だちひどいね。そんな子のことは気にしなくていいよ!」11.尋問・質問、原因・動機・理由を探る「返してって言わなかったの?」12.ごまかし・皮肉「その話は後で聞くから、まずは宿題をやろうか」「え?なんでダメなの!?」と思った方も多いはずです。たしかにこの12パターン以外の言葉はなかなか思いつきませんよね。ではいったい、なにがよくないのでしょうか。じつは、この12の型、すべて「親の意見」であることに気づきましたか?この型にのっとって発せられた親の言葉によって、子どもは次のようなメッセージを感じ取ってしまうそう。「私の気持ちはたいしたことないと思ってるんだ」「私がどんな気持ちでいるか気にしてないんだ」「問題は隣の子じゃなくて私だと思ってるんだ」そして、そのようなメッセージを感じ取った子どもは、次のような反応を示すといいます。・これ以上話しても無駄だと黙り込む・防衛的で反抗的になる・自分はだめだ、劣っていると感じる・自分を変えなければならないと圧力を感じる・自分では解決できないと思われていると感じる・自分は信用されていないと感じる・イライラする・反撃したくなるでは、親業をベースにした理想的な対応とは、どのようなものなのでしょうか?理想的な聞き方・伝え方親業インストラクターとして活動中の松永美佐寿さんによると、「大事なのは、親から命令や提案、忠告、非難などのメッセージを出すのではなく、子どもからのメッセージを聞くこと」だそう。■「能動的な聞き方」の例「そうか」「ふーん」「そうだったんだ」と、うなずいたり相槌をうったりして穏やかに聞くように心がけましょう。それだけでも、子どもは話しやすくなり、つらい気持ちを吐き出すことができます。たとえば、子どもが「学校へ行きたくない」と言っているとき、松永さんによると次のような聞き方を心がけるといいそうです。子「もう学校イヤだ」親「学校へ行くのがイヤなんだね」子「だって給食が嫌いなんだもん」親「給食が嫌いなんだ」(※子どもの言葉を繰り返す)子「残すと叱られるから」親「給食を全部食べないと叱られて、それがイヤなんだね」(※理解したことを自分の言葉で言い換える)子「当番の人に減らしてって言えばいいんだけど、○○くんが意地悪して減らしてくれないの」親「○○くんが減らしてくれないから残すことになって叱られちゃうんだね。それはつらいね」(※気持ちをくむ)「学校へ行きたくない」と言われると、反射的に「何言ってるの!そんなこと言わないで早く行きなさい!」と叱ってしまったり、「どうして?なにがあったの!?」と過度に心配して責めるような口調になったりしてしまいがちです。しかし、まずは子どもの気持ちを肯定的に受け止めてあげることが大事。上のようなやりとりを重ねることによって、子ども自身が自分の気持ちに気づいて自発的に答えを出す力が育まれます。■「わたしメッセージ」の例次に、子どもが行動を変える気になる効果的な「わたしメッセージ」をご紹介します。次の3つの要素を盛り込むことを意識するのがポイントですよ。1. 子どもの具体的な行動(非難しない)2. わたしへの影響(行動が与える影響)3. わたしの感情(率直な気持ち)たとえば、子どもが脱いだ服や靴下をそのままにしているとします。ついイラっとして強い口調で叱ってしまいそうですが、次のように伝えてみてはいかがでしょうか。「○○くんが脱いだ洋服や靴下を床に置きっ放しにしていると(←具体的な行動)、すぐに掃除機がかけられなくて(←わたしへの影響)、部屋が片づかなくて困っちゃうな(←わたしの感情)」相手への非難や命令の要素はいっさい入っていませんが、このメッセージを受け取った子どもは、自分の行動が親にどんな影響を与えてどんな気持ちにさせているのかがはっきりわかるはずです。命令されてイヤイヤ動くのではなく、自分から行動を変えようとするので、子どもにとっても親にとってもストレスなく問題を解決することができるでしょう。***『親業講座』とは、悩みながら手探りで育児をしている親御さんたちに、方向性を提示してくれる「コミュニケーション訓練」です。今はインターネットにたくさんの情報があふれています。それらの情報に振り回されているうちに、自分の子育てに自信がなくなってしまうことも。そんなときは、このプログラムを参考にしたコミュニケーションを意識してみましょう。きっと親子の関係がこれまでとは違うものになるはずです。(参考)親業訓練協会|おやぎょうとは親業 親だって人間!|親業とは?All About|親子関係に効く!親業を知っていますか?親の学校プロジェクト|子育てコラム⑨「お決まりの12の型」を知っていますか?親業・親子コミュニケーション【キッズドアスタイル】|子どもを支援する基本はまず聴くこと親業・親子コミュニケーション【キッズドアスタイル】|子どもを支援する基本はまず聴くこと
2019年06月30日ある日のことでした。幼稚園のバスから降りた途端、これまで我慢していたのが切れたかのように、息子が泣き始めて、抱きついてきました。理由を聞いてみると、「首が痛くて回らない」とのこと。■親の目が届かないところで起こる事故その日は遠足で、大きな公園に遊びにいっていました。息子曰く、これまで幼稚園では、転んで血が出た程度のケガしかしていなかったので、少し焦ってしまいました。また、息子の言うケガの状況の説明がどれだけ正確なのかがわからない…。■「首が回らない」治療はどうなる?「首から落ちるって、大丈夫なの…?」右側に首が回らないらしく、また、直立した状態で見ると顔が傾いていました。整形外科に行き、いろんな角度からレントゲンを撮ってもらった結果、「環軸椎回旋位固定」かもしれないとのことでした。医師によると、「『環軸椎回旋位固定』は、顔を上下左右に向けるときの軸となる部分が亜脱臼することにより起こる」ということで、息子のように顔が傾くのだそう。ただ、そこまで深刻なものではなく、「適切な処置をするとちゃんと治っていく」とおっしゃっていただき、安心しました。そして1週間後、再度レントゲンと目視で見ていただき、「まだ少しだけ頭は傾いているものの、このまま自然に治っていくだろう」と言われ、ほっと胸をなでおろしました。結果としてはそこまでひどいものではなかったですが、“目の届かないところでの事故”は怖いと思った出来事でした。■ケガをした!? そのとき子どもはどうする? 幼稚園の対応は?幼稚園は、ケガの翌日はお休み。その連絡をするときに、先生に息子のケガや診察の結果をお伝えしたところ、幼稚園の先生は今回のことを把握していなかったことがわかりました。たしかに、多くのやんちゃな園児たちを、数名の先生たちが細かくすべて把握するのは難しいだろうと思います。子ども同士のケンカやケガはよくあること。私もそういった状況を理解していたので、とくに先生を責める気持ちは起こりませんでした。しかし、先生たちは親の心配する気持ちを汲み取ってくれ、次のように言っていただけました。また、幼稚園にも今後何かあったときには教えていただけるようお願いをしました。幼稚園では、すぐに先生たちの間でも情報を共有していただき、また園児に向けても、「昨日こんなことがあった」と話してくださったということです。「どういったことが危ないのか」、「してはいけないこと」など、今後、園児に同じことが起こらないように伝えてくれたとのことで、そんな園の対応には感謝の気持ちでいっぱいです。これからどんどん親の目が届かないところに行ってしまう子どもたち。これからもこういうことは何度も起こると思います。親としては心配ですが、心配してばかりもいられないので、「何かあったときに子どもはどうすればいいのか」、話せる良い機会になりました。それでも、子どもの身に何も起きませんように!毎日元気に家を出て、元気に家に帰ってくるのを毎日祈るばかりです。※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2019年06月28日子どもが親の意見に対して口答えしたり、反抗的な態度を取ったりするようになると、「もしかしたらうちの子、反抗期?」と思うパパママは多いことでしょう。今回、「子どもの反抗期」についてアンケートを取ったところ、「反抗期の時期」や「反抗期がある、ない」については、必ずしも一律ではなく、子どもによって異なってくることがわかりました。まだ子ども自身が小さくて反抗期はまだ先と思うパパママも、なんとなく気になるこの話題。すでに突入している人たちからお子さんの反抗期の態度、親が取った対応などを聞きながら、乗り越えるコツについて考えてみたいと思います。■「子どもの反抗期」7割以上があると回答アンケートでは、子どもに反抗期があったかどうか聞きました。その結果、「小学校低学年から高校生までの間に反抗期があった」と答えた人はあわせて74.4%となり、7割以上の親が子どもの反抗期を経験していることがわかりました。また、「まだ反抗期になっていない」と答えた人は23.3%で、その回答の裏には「これから反抗期を迎えるだろう」という予測も含まれていると考えられそうです。一方、「反抗期はなかった」と答えたのはわずか6.2%で、多くのパパやママたちが子どもの反抗期を経験しているか、もしくはこれから迎えるだろうと考えているといえそうです。Q.子どもに反抗期あった?小学校低学年であった 15.1%小学校高学年であった 18.4%中学生であった 20.5%高校生であった 20.4%まだ反抗期になっていない 23.3%反抗期はなかった 6.2%わからない 8.2%その他 5.1%■反抗期の特徴1、暴言、暴力「反抗期」と一口に言っても、実際に子どもとの具体的なやり取りは、家庭によって異なります。今回いただいたエピソードから多かった反抗期で起こる子どもの態度を3つにまとめました。まずは、親にとってもっとも過酷と思える暴言、暴力に関するエピソードです。「中学のとき喜怒哀楽が激しくなって、私に対していつも怒っていましたね。『お母さんにしかあたれないんやな』と理解していました」(三重県 50代女性)「高校受験前は反抗期が一番ひどかった。朝、『おはよう、今日はゆっくりだね』と言っただけで『死ね』と言われていました。最高に険悪でしたが、高校になったら落ち着きました」(東京都 40代女性)「高校生の息子とバトル。ああ言えばこう言う、みたいな言葉戦がエンドレス。口だけは達者!」(神奈川県 40代女性)「小学校5年生くらいから中学3年生までありました。一番ひどかったのは中学生のときで、『食器棚のガラスは割る』、『ドアに穴を開ける』、『壁に足跡のへこみをつける』など大変でした」(千葉県 40代女性)理由もないのに「死ね」と言われたり、家の中を壊されたりという、驚きの体験談が寄せられていました。ほかにも、「高校生になった娘とは毎日口ゲンカが絶えなかった」というコメントもあり、反抗期の子どもたちはなかなか手ごわそうです。■反抗期の特徴2、会話が成立しない暴言、暴力はなくても、話してくれない、会話にならないといった、「子どもとのコミュニケーション」がスムーズにできなくなったという声も多く寄せられました。「次男が中学3年のときに突然反抗期が始まり、いつもニコニコして明るかったのに一切しゃべらなくなり、その変貌ぶりにとても悲しい思いをしました」(大阪府 50代女性)「娘が小5から中2までひどかった。何もかもにつっかかり、文句をつけて人のせいにする、そして無視される日々。『人が真面目に話してるんだから聞けー』って叫びながら戦ったこともあります」(青森県 30代女性)「中3の反抗期は最悪。受験の大事な時期なのに、志望校を決める話し合いすらできませんでした」(千葉県 50代女性)こうした子どもの変化は、親としてもなかなか認めたくないと感じてしまうもの。また受験、進路を決める時期といった子ども自身の将来を考える上で大切なときに、話さえできなくなると、親も焦ったり、追い詰められたりと言った気持ちになるのかもしれません。■反抗期の特徴3、親の言うことを聞かない「こうしなさい、ああしなさい」など、親が子どもに対して指示したことは、かえってやりたくないというのは、子どもの反抗期の特徴的な態度と言えるかもしれません。「男の子ですが小5で反抗期に。怒られるとわかっていることをして、怒られるとふてくされる」(千葉県 30代女性)「上の子は小2ですが小1から反抗期。毎日の宿題や家庭学習、日々の最低限の片付けや生活習慣などについてケンカばかりで、情けないですが母親をやめたいと思ってしまうほどです」(北海道 40代女性)「うちの子は『うん、わかった』と返事はいいのですが、言ったことはやらず、行動は反抗的です。いろんな反抗期があるんだな~と勉強になりました」(茨城県 40代女性)自分が子どもだった頃を思い返してみれば、その気持ちも理解はできそうですが、親となってみると自分の話をまったく聞いてもらえないと、悲しく感じたり、イライラしてしまったりするものですよね。■反抗期はいつから? いつまで?また、「反抗期の時期」については、「小学生」と答えた人があわせて3割余り、「中高生」と答えた人が約4割という結果になりました。アンケートの選択肢にはありませんでしたが、期間をまたいで反抗期が長期に渡って続いたという声も多くありました。「長女は、年長で2人目ができてからずっと反抗期だった気がします。高校生になって少し落ち着いたかな」(広島県 50代女性)「小学校高学年から高校3年のいまに至るまで、ずっと反抗期が続いています。家庭に平和はいつ訪れるのでしょう…」(静岡県 50代男性)「14歳の息子、もともとあまのじゃくで言うことを聞かないし、ああ言えばこう言うので、いつが反抗期なのかわかりません」(千葉県 40代女性)そもそも、反抗期とそうではない時期というのは、子どもの性格の違いや親自身の感じ方の違いなどもあるため、明確に線引きできるものではありません。ただ、そのなかでも長期間にわたって反抗期が続いていると感じている親たちは多かれ少なかれ、「いつ終わるかわからない」というストレスを抱えていることは想像がつきます。さらに、「兄弟間でも反抗期の有無や反抗期の時期が異なっているため、回答はしぼれない」というコメントも複数ありました。子どもの反抗期を一括りにして説明することの難しさをあらためて感じるとともに、兄弟間でもまったく異なる成長をしていくのだと気づかされます。■反抗期は必要!? 「反抗期はない」も不安一方で、反抗期がないがゆえの悩みを持つ親もいるようです。「長男が高校生、次男が中学生、長女が小学生のとき、私にガンが見つかった。みんなで落ち込み、見つかった当初は私は泣いてばかり。主人は自分の仕事が一番で、手術日以外は病院に来てくれませんでした。それを見ていた子どもたちだから、もしかしたら反抗する機会がなかったんじゃないかとも思います」(神奈川県 40代女性)「4年生、2年生、年長の三兄弟がいますが、まだ反抗はなく、それどころか言い返すことさえしないので心配。私は愛情を注いでいるつもりですが、『怖いのかな』とか、仕事で帰りが遅かったりするので『甘えたいのかな』とか。逆に悩みどころです」(島根県 40代女性)「反抗期は子どもが親にきちんと気持ちをさらけ出せているということ」、「愛されていることがわかっている証拠」などと言われることもあります。こうした考えを聞いてしまうと、「反抗期がないことが心配」と、悩みを抱えてしまう場合もあるのかもしれませんね。あればあるで大変な反抗期、されどなければないで心配な反抗期、つくづく子どもの反抗期とは、親の悩みのタネだと言えそうです。■反抗期を経験した親たちから学ぶことそれでは、子どもの反抗期をどのように乗り越えればいいのか、コメントをもとに考えてみましょう。▼子どもとあえて距離をとる「何を話しても無視でしたが、中学に入ったらピタッと反抗期が終わった。反抗期の子どもにはかまわないのが1番だと思います。その方が早くその時期を抜け出せる気がしています」(新潟県 40代女性)子どもたちがコミュニケーションを拒否する場合、親は干渉せずに、あえて距離をとる。子どもが中学、高校生といった場合には、この対処を選択する人は多いかもしれませんね。子どもが自立を考えるような気もちでの反抗期の態度であれば、この対処もある一定の効果が期待できそうな気はします。ただもし、子どもが学校などで悩んでいる場合に起こっている感情の不安定さだったことを考えてしまうと、親としても決断するのは難しそう。また「子どもには子どもの人生がある」と十分わかっていても、親がはたして距離を取ってしまうことが本当にいま現在良いことなのか、悩む親が多い気がします。▼根気強く子どもと向き合う「息子がちょっとづつ反抗し始め、いつか笑って話せるようにと思いつつ、子どもの間違ったところには命懸けでぶつかり合う覚悟で向かっています」(千葉県 50代女性)「長女とは中学生のときに取っ組み合いのケンカをしました。社会人のいまはお互い1番信頼できる関係です。ストレス解消として、『家に帰ってあたれるところがある』というのはいいのではと思います。取っ組み合いでも大ゲンカしてでも子どもがそれで発散できたらいいと思います」(埼玉県 50代女性)「根気強く子どもと向き合って話し、体ごと真剣に受け止めてあげることが大切。親になるための試練でもあるので、親子としての絆を深めるためには必要な過程だと思う」(北海道 50代男性)子どもがいくら反抗的な態度だったとしても、「間違っていることは間違っている」とはっきり言葉で伝える。ときには体でぶつかって、子どもと向き合うと心がけている。という真正面から子どもと向き合う親からのコメントもありました。子どもとぶつかり合うのは、親の時間、体力、精神力が必要となってきます。場合によっては、真正面からぶつかり合うことで、お互い消耗してしまうこともあるかもしれません。それでも、「子どもとは向き合う」を重視している声が聞かれました。▼「命令」ではなく「提案」をする「『~しなさい』という指示ではなく、『~しよう』と提案するよう意識しました。提案だと、受け入れるかどうかを子どもに委ねることになり、子どもは『やるかやらないかを自分で選んだ』という気持ちを持てるし、結果の責任も自分になります。そして、うまくいかなかったときに、『だから言ったじゃない』と言わないようにしています。そうすると、子どもなりに次から気を付けるようになります」(埼玉県 30代女性)子どものためだからと、ついつい「あれしなさい、これしなさい」と、命令口調になってしまう。これは日々自覚しながらも、あらためようと思っている親も多いのではないでしょうか?自分が子どもの立場になってみると、命令ばかりされては、なかなか行動に移せないとわかります。さらに「子どものため」と言いつつ、それは「親の都合」「親の責任転嫁」だったりすることも…。コメントのように、「提案」とすることで、「決めるのは子ども」と実感させることは、とても大切なことだと思えます。ただ、どこまで任せられるのか、結局何もしなかった場合にどこまでなら「子どもの決めたこと」を通せるのか。親としての度量の深さも問われていると言えそうです。▼子どもに寄り添う「自己主張できるのはすばらしいこと。本人の言い分をまずは聞いてあげたいです」(東京都 40代女性)「まずは言い分を聞いてあげたい」、「子どもにとっていい距離を模索している」など、子どもに寄り添いたいと考えているパパやママからの声が集まりました。反抗期とは言っても、これまで親子で築いてきた時間がなくなってしまうわけではありません。たしかにその関係性が変わることもあるかもしれませんが、それも子どもの成長の証と認められると、あらたな親子関係を模索していくことができるのかもしれません。ここまで、子どもの反抗期について考えてきました。子どもによって反抗期の有無、その大小や種類は異なっていて、大変な思いを抱えているパパママがたくさんいることがわかりました。そして同じだけ、いえもっと多くの子どもが自分の感情のゆれや大人になっていく体と精神のギャップに悩んでいるのかもしれません。記事中では反抗期について種類を分類して、対処法についても考察しましたが、目の前にいる子どもにはここで挙げたような方法がうまくいかない場合も多いことでしょう。そして日々の摩擦で、悩んでいるパパやママもいるかもしれません。最後に、こちらのコメントもご紹介します。「反抗期の娘、なかなか毎日がハードです。お母さんだって人間だもの、参考書どおりの対応がいつもできるわけじゃない。その代わり自分に余裕があるときは思いきり甘やかすし全力で一緒に遊ぶ! 子どもの心の成長に寄り添えていたらいいな」(岩手県 20代女性)日々、トゲトゲした感情に触れていて、疲弊してしまっているパパママもいるでしょう。「反抗期の親のNG行動」「反抗期のやってはいけない接し方」といった情報をみながら、日々格闘している人も。そんなときには、一度パパママも子どもと真正面から向き合うことを横に置いてしまってもいいかもしれません。家のなか全体がギスギスして、金切り声だけが響いている環境というのは、やっぱり親も子も苦痛でしょう。それならまずは自分の元気を取り戻すことに注力して、日々をリセットしてみるのも悪くはないのではと思います。反抗期は、親子関係をあらためて考えなおす「試練の時」という気もします。寄せられたエピソードのなかには、「子どもが巣立つときが必ず来るから、いま一緒にいる時間を大切にしたい」といったコメントもありました。もう一度、親子関係を構築することで、子どもはより自立した大人へ、親も手を繋いで守ってきた子どもとの子離れへと進んでいかれるのかもしれませんね。Q.子どもに反抗期あった?アンケート回答数: 5324件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2019年06月23日「食育」への関心が高まるなか、「親元を離れたときに困らないように……」と考えて、子どもを料理教室に通わせている親が増えています。でも、調理経験によって子どもが得るのは、調理の知識や技術だけではない――。そう語るのは、食育、家族社会学を専門とするお茶の水女子大学生活科学部非常勤講師の松島悦子先生。では、松島先生が考える「調理経験によって子どもが得られるもの」とはどんなものでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)料理は子どもの自己肯定感と自己効力感を高める「食育」とひとことでいってもその中身は幅広いもので、「実際に調理をする」ということも含まれます。いま各地で子ども向けの料理教室やイベントが開かれていることを見ても、食育の重要性を親が強く意識していることがうかがえます。また、子ども向けの料理教室やイベントのニーズの高まりの背景にはジェンダーに関する価値観の変化もあるように思います。いまは男女問わずに料理ができる人が尊敬されるようになってきて、古くからある「料理は女性の役割」という偏見がなくなってきました。だからこそ、男の子であれ女の子であれ、子どもに料理を学ばせようとする親が増えているのではないでしょうか。もちろん、調理経験は子どもにさまざまなものをもたらしてくれます。多くの手順がある調理は「小さな成功体験」を積み重ねる作業ですから、自己肯定感を高めることになる。そして、「目標を達成できる!」という「自己効力感」も高めることになります。以前、わたしが中高生を対象に行った調査では、「普段、料理をする」という子どもは、料理をしない子どもに比べてチャレンジ精神や達成感、工夫する楽しさ、人に食べてもらうよろこび、褒められるよろこびなどを強く感じていて、自分の性格を肯定的にとらえるだけでなく、将来の夢を持つといった生きるうえでの積極性が強いことがわかりました。日本人の子どもたちは、外国の子どもたちと比べ自己肯定感が顕著に低いことが問題とされています。でも、料理をして小さな成功体験を積めば、自己肯定感と自己効力感を高められると推測できるのです。調理は成功体験を積み重ねるプロセスそれから、調理経験が子どもにもたらすもっとも重要なものとしては、問題解決能力が挙げられます。変動が激しいこれからの時代は、さまざまな問題が次々に立ち現れるでしょう。いままでのように知識と技能を習得するだけでは、それらの問題を乗り越えることはなかなか難しいはずです。そこで求められるものこそ、問題解決能力です。その力は、実際に問題を解決して成功体験を重ねることで得られます。調理というのは、わずかな時間でその一連のプロセスを完結できる素晴らしいものなのです。どんな料理をつくるかという課題を決めて、レシピや調理の手順という計画を立てる。その計画を実行してつくった料理を食べれば、美味しかったかどうかという評価、振り返りもできる。仮に失敗や反省すべきことがあれば、それは「次」への課題になります。しかも、その「次」は、それこそ翌日にだって試せるものです。成功体験を重ねるというプロセスを、どんなことよりも手っ取り早く家庭でもできるものが調理なのです。小学生くらいの子どもなら、それこそ目玉焼きをつくるという簡単なものでいいでしょう。子どもが一生懸命に目玉焼きをつくってくれたなら、つくってくれたことを褒めてあげてください。そして、「ありがとう」と感謝し、「美味しい」と褒めて、もし改善すべきところがあれば「今度はこうしようね!」とアドバイスしてあげましょう。目玉焼きのような簡単な料理をつくることであっても、先にお伝えしたプロセスを子どもはしっかり経験することになります。「興味を示したとき」が子どもに料理をさせるチャンス!子どもの発達はそれぞれ個人差がありますから、調理を経験させるべき適正年齢というものはありません。「子どもが調理に興味を示したとき」が、そのチャンスだと思ってほしいのです。料理をしている親の姿をじっと見つめたり、「やらせて」といってきたりする子どももいます。そのタイミングは、早い子どもなら2、3歳くらい。ピークは5歳頃です。もちろん、いくらそのタイミングがきたからといって、調理をするには多少の危険も伴いますから、親が忙しい平日に無理をして調理をさせる必要はありません。週末にでも時間をつくって、親自身がゆったりした気分でいられるときに子どもに調理をさせてみるのがいいでしょう。最初にやらせるのは、本当にちょっとしたもので構いません。調理器具を使ってなにかをかき混ぜるといったことでも、小さな子にはハードルが高いことなのです。最初は手を使ってレタスをちぎるとか、クッキーのうえにレーズンやアーモンドを乗せる、ハンバーグの種をこねるといったことがいいでしょうね。そのときのポイントは、あれやこれやと口出しをしないこと。危ないことをしようとした場合は別ですが、しっかり手順を教えたらあとは極力見守ってほしい。そうでないと、調理への興味を失いかねないからです。小学校に上がる頃になって危険性が理解できるようになったら、包丁やコンロを使った調理にも挑戦させてあげてください。大切なのは、子どもの成長を親がしっかり観察すること。ひとつできるようになったら、次は「ちょっとだけ難しそうなこと」をさせてあげることで、得られる達成感や次へのモチベーションも高まっていくはずです。ただ、そうした調理経験が子どもにもたらす「効果」に親が期待するのもわかりますが、わたしとしては別の視点も持ってほしいと思います。親子で料理をつくるときには、相対するのではなく基本的に横に並びますよね?狩りをして生きていた時代の名残なのでしょう。相対する相手に対しては、人間は本能的に「敵」だとみなします。一方、横に並ぶ相手は「味方」、大事な存在だとみなすのです。つまり、親子が同じ方向を見て並び、おしゃべりをしながら料理をつくることは、親子の絆を深めることになる。きっと、親子の関係をより良くしてくれるはずです。『白熱教室 食生活を考える』松島悦子 他 著/アイ・ケイコーポレーション(2016)■ お茶の水女子大学生活科学部・松島悦子先生 インタビュー一覧第1回:「食育=食生活の教育」ではない!?常識を超えた、食育の“真のねらい”第2回:「家族で食べたい」と素直に言えない子どもたちに、親がすべき“食事の場”づくり第3回:子どもに「調理」をさせるメリット。料理をする子・しない子の“内面”の大きな違い第4回:「父親のかかわり」で食は2倍豊かになる!料理が苦手でもできる食育の方法とは?(※近日公開)【プロフィール】松島悦子(まつしま・えつこ)お茶の水女子大学生活科学部非常勤講師。専門は食育、家族社会学、消費者科学。お茶の水女子大学家政学部食物学科卒業、同大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了、博士(社会科学)。東京ガス都市生活研究所勤務、お茶の水女子大学食育プロジェクト講師、和洋女子大学家政学群准教授を経て現職。著書に『子育て期女性の「共食」と友人関係』(風間書房)、『白熱教室 食生活を考える』(アイ・ケイコーポレーション)、『食物学概論』(光生館)、『消費者科学入門』(光生館)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月19日2005年に食育基本法が制定されたこと、また、教育意識そのものの高まりもあって、子どもを持つ親の「食育」への関心は高まっています。ただ、食育、家族社会学を専門とするお茶の水女子大学生活科学部非常勤講師の松島悦子先生は、その傾向を歓迎しながらも、「懸念している部分もある」と語ります。それは、「孤食」をめぐる問題でした。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)子どもの好き嫌いに表れる食育意識の高まりここ十数年で「食育」への意識はかなり高まったように思うのですが、それは「子どもの好き嫌い」のデータにも表れています。30代、40代といういまの親世代が子どもの頃に嫌われていた食べものというと、ピーマン、セロリ、ナス、アスパラガス、グリーンピース、トマト、シイタケ……などが横並びで挙げられていました。ところが、いま、子どもたちがいちばん苦手としているのは、ニガウリ。いわゆる、ゴーヤだというのです。その嫌われ方は断トツで、ある調査データによれば2番目に嫌われているナスは小学生の9.4%が苦手としているのに対し、ニガウリはなんと27.5%の小学生が苦手としています。なぜこんな変化が起きたのでしょう?沖縄料理ブームによってゴーヤが全国的に浸透したことも理由のひとつとして考えられますが、健康志向が高まるなか、子どもに対して親が積極的にゴーヤを食べさせようとしているのだろうと推測されます。また、給食でも頻繁にゴーヤが出されるようになったということもあるでしょう。なぜゴーヤを子どもに食べさせたいのか?それは、ゴーヤが持つ栄養価の高さや病気の予防効果などにあります。ニガウリは、沖縄の伝統的な野菜のひとつで、ゴーヤチャンプルやてんぷらなどの料理で食されています。果実や種子には、ビタミンCやポリフェノールといった抗酸化物質や各種生理活性物質が多く含まれることから、古くから薬用として糖尿病予防などに用いられてきました。近年の研究では、血糖低下作用や脂質代謝調節作用、抗がん作用、抗炎症作用などの生理作用を有することが次々報告されています。また、特有の苦み成分は、食欲増進効果など、様々な生理作用があるといわれています。食育への意識が高まっている親たちが、健康への期待を込めてゴーヤを子どもに食べさせようとした結果、独特の苦味があるゴーヤが嫌われてしまったようなのです。ゴーヤと同様のことはレバーにもいえます。いまの親世代が子どもの頃と比べて、レバーが苦手という子どもの割合が増えているのです。これもまた、栄養豊富なレバーを親が子どもに食べさせようとした弊害なのでしょう。研究者としては面白く感じられて興味深いことですが、食育に対する関心が高まるなかでの結果としては、皮肉なものです。「孤食」の拡大は時代の流れによる必然?食育への関心が高まることは歓迎すべきことですが、わたしは懸念も抱いています。それは、「孤食」をめぐる問題……。孤食とは、現在はNPO法人食生態学実践フォーラム理事長である足立己幸先生が1983年に出版された『なぜひとりで食べるの 食生活が子どもを変える』(日本放送出版協会)の内容がテレビ放映されたことによって広まった言葉で、文字通り、「ひとりで食べる」食事形態を指すもの。当時は、高度経済成長期を経て、大型冷蔵庫や電子レンジが普及した時代でした。さらに、美味しい冷凍食品がどんどん登場し、お惣菜やお弁当を買ってきて家などで食べる「中食」という選択肢も登場したことで、子どもひとりでも食事ができるようにもなった。加えて、2000年代以降でいえば、共働き世帯が急激に増えたことも孤食の傾向に拍車をかけている要因だと見ることができます。しかも、いまは親も子どももすごく忙しい時代です。働き方改革が推進されているとはいえ、やっぱり長時間労働を強いられている親は多いですし、子どもだって小学校5、6年生になればお弁当持参で塾に通っている。そうなると、家族全員で食事をする機会は必然的に減っていきます。そんな時代にあって、家族がそろって食事をする「共食」に対して、「孤食は良くないものだ」ととらえられがちです。でも、これは時代の流れによる必然のことであり、わたしは「いい、悪い」の問題ではないと思っています。「共食」はその頻度より中身が大切それなのに、食育への意識が高まった結果、子どもに孤食をさせることに対して親が必要以上に罪悪感を抱いたりプレッシャーを感じたりするようになれば、それこそ問題ではありませんか?職業にはさまざまなものがあります。看護師など就業時間が不規則な職業もあるし、夜間に働いている親だっているでしょう。では、そういう親のもとに育ち、孤食をしがちな子どもがみんな健全に育たないかというと、そんなわけはありませんよね。もちろん、家族がそろって食事をする場合には必然的に品数が多くなり栄養面で優れているとか、家族の会話によってコミュニケーション能力が育つといったように共食のメリットはたくさんあります。ただ、共食については、その頻度というより中身が大事なのです。いつも家族全員がそろって食事をしたとしても、誰かがスマホをいじっていれば共食とはいえません。会話がなければ家族関係が良くなることも子どものコミュニケーション能力が育つこともないでしょう。つまり、共食の頻度が減っているいまだからこそ、週末など家族が集まれるときの食事をいかに楽しい場にするかということを意識してほしいのです。先述の足立先生が小学生を相手に行ったグループインタビューで、子どもたちは興味深いことを答えています。子どもたちは、「家族全員で食事をしたいと思っている」「でも、親にはそれをいわない」のだそうです。なぜならば、幼いながらも親が忙しいことをきちんとわかっているからです。その健気な思いを考えれば、家族みんなで食事ができる限られた時間こそスペシャルなものにしてあげてほしいですね。『白熱教室 食生活を考える』松島悦子 他 著/アイ・ケイコーポレーション(2016)■ お茶の水女子大学生活科学部・松島悦子先生 インタビュー一覧第1回:「食育=食生活の教育」ではない!?常識を超えた、食育の“真のねらい”第2回:「家族で食べたい」と素直に言えない子どもたちに、親がすべき“食事の場”づくり第3回:子どもに「調理」をさせるメリット。料理をする子・しない子の“内面”の大きな違い(※近日公開)第4回:「父親のかかわり」で食は2倍豊かになる!料理が苦手でもできる食育の方法とは?(※近日公開)【プロフィール】松島悦子(まつしま・えつこ)お茶の水女子大学生活科学部非常勤講師。専門は食育、家族社会学、消費者科学。お茶の水女子大学家政学部食物学科卒業、同大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了、博士(社会科学)。東京ガス都市生活研究所勤務、お茶の水女子大学食育プロジェクト講師、和洋女子大学家政学群准教授を経て現職。著書に『子育て期女性の「共食」と友人関係』(風間書房)、『白熱教室 食生活を考える』(アイ・ケイコーポレーション)、『食物学概論』(光生館)、『消費者科学入門』(光生館)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月18日子どもがつらいことや、何らかの問題を抱えていたら、絶対に助けてあげたい、守ってあげたいと思っている親はたくさんいます。しかし現実には、子どもが親になかなか助けを求めないため、そのSOSが伝わりにくいことも。今回は心理カウンセラーの筆者が、いざという時に子どもから「助けて!」というヘルプサインを出してもらうためのポイントを、3つピックアップしました。苦しいことやつらいことは少しでも早い段階で教えてほしいと願う親が、普段から気をつけておきたいこととは?「まず子どもの主張を聞く」ように心がける普段、子どもに接するとき、自分が言うべきことを言うことと、子どもの主張を聞くこと、どちらを優先していますか?たとえば子どもがきょうだいケンカをしているとき、事情はともかくケンカをやめさせなくては…と、まず怒ってしまうのは、よくあることです。しかし、事情も聞かれず、最初に抑え込まれた子どもは、「怒られた」ということに対して強い印象を持ってしまうため「ママやパパは私の話を聞いてくれない」と感じてしまいます。1度だけではなく、いつもそうだったら?子どもは最初から、親に自分のことを話そうとはしなくなってしまうでしょう。子どもを怒るときや注意をするときには、まず子どもの言い分を聞くことを心がけてください。もし先に親が言いたいことを言ってしまったとしても、あとから必ず、子どもが言いたいことは何だったのかを聞く時間をとるようにするとよいでしょう。注意する声は、音量を控えめにするママやパパに怒っているつもりがなくても、大きな声で注意されたというだけで、子どもは「怒られた!」と感じます。大人が思っているよりも、子どもは大人の大声に対して威圧感を感じているものです。まして怒るときに四六時中怒鳴っていては、子どもはそれを避けようとし始めます。トラブルにひとりで立ち向かうことの恐怖よりも、トラブルを大人に打ち明けて怒鳴られたらどうしよう…と思うことが先にくるのです。結果的に子どもが大人にトラブルを隠そうとしてしまい、大人が気づいた時には大ごとになっていることも…。こうした事態を避けるためには、日常的に小さめの音量で子どもと対話をする必要があります。特に子どもを怒るときには音量を小さくするよう心がけて。大人が大声を上げることは、子どもの声を消し、遮ることを意味します。「あなたの味方だよ」と寄り添う子どもが友達とケンカをして、家に帰ってくることはよくあります。その話を聞いたとき、あなたはどのような反応をしていますか?たとえば「○○くんが、ぼくを叩いた!」といったときには「でもあなたも○○くんが叩くようなことをしたんじゃないの?」などと言ってしまいがちではないでしょうか。毎回それでは、子どもは「何を言っても、ママはぼくが悪いって言う。ぼくの味方ではないのだ」という受け止め方をするようになります。子どもが友達とトラブルを起こしたと聞いたときは、まず子どもを疑うような言い方をするのではなく「叩かれる前に何があったの?」という聞き方をするのがおすすめです。そして、わが子に非があった場合はそれを指摘した上で、ケンカをした子どもの心情にも一定の理解を示す必要があります。実際、親の理解を得ることで子どものトラブルが減るケースも。親はつい子どものケンカや失敗を責めがちですが、「あなたの味方だよ」と寄り添う姿勢が大切です。「いつでも言いなさい」と常日頃から言っておきましょう親の目が届かない場所に出かけるようになった子どもには、どのようなトラブルも起こり得ます。いざという時、「SOS」を出してもらうためには、親の側にそのSOSを聞く気持ちがあることを、常日頃からわが子に知らせておくことが大切です。また、子どもにいつもと違う様子がないかを意識して見ておくことも必要です。たとえば、いつもならハッキリ言うことをモゴモゴと言いよどんだり、今まで聞かなったようなことを聞いてきたりするときは、「困ったことがあったら、いつでも言うのよ」と声をかけるチャンスですよ!3つのポイントを押さえつつ、「ママやパパはあなたの味方だよ」と直接的な言葉を用いて語りかけることで、子どもはいざというときに助けを求めることができるようになっていくでしょう。<文・写真:ライターあん茉莉安>
2019年06月15日ここぞというときに学力をぐんと伸ばす子。東大などの難関大学に合格する子。困難なときも自分で道を切り開いていける子。そういった子どもと、そうではない子どもの違いって、いったい何だと思いますか?その答えは “家庭”にありました。さっそく、詳しくご紹介しましょう。子どもの伸びしろは家庭環境で決まる?入塾テストがないにもかかわらず、中学受験の第一志望合格率が7割以上、大学受験では難関大への合格率が8割以上という進学塾 VAMOS(東京・吉祥寺)を主宰している富永雄輔氏は、受験コンサルタントとしてこれまで2,000人以上の親と接してきた経験から、次のように述べています。そもそも、「伸ばしやすい子」とはどういう子なのでしょう?それは、十分な「伸びしろ」が準備されている子です。「伸びしろ」とは、さらに成長する余地であり、可能性のこと。しっかりと「伸びしろ」をつくられた子どもは、きっかけさえ見つかれば、飛躍的に学力を伸ばしていきます。そして、その「伸びしろ」を育てるのはそれぞれのご家庭なのです。(引用元:富永雄輔(2017),『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』, 文響社. )親の心がけ、幼少期からの家庭での習慣、休日の過ごし方、環境づくりなどが、子どもの「伸びる」「伸びない」に関係しているということ。なにげなく過ごしている家庭での日々が、じつはとても大切なのです。1. まず心がけたい「心休まるおだやかな家庭」「陰山メソッド」に代表される基礎学力の向上や、『徹底反復シリーズ』をはじめとする教材開発などで知られる教育者・陰山英男氏はこう述べています。私は教員時代に毎年何十件と行っていた家庭訪問で、子どもの性格と家庭の雰囲気の関係を考えるようになりました。そうして振り返っていきますと、やはりおだやかな心地よさが感じられる家庭のお子さんは成績がいい子が多く、また年齢相応のしっかりとした話し方のできるお子さんが多いということが改めて感じられたのです。(引用元:ベネッセ教育情報サイト|陰山英男氏に聞く!子どもの学力を伸ばす勉強法・習慣とは?)また、これまで多くの子どもや親たちに指導を行なってきた「花まる学習会」代表の高濱正伸氏も、「家族関係の良さが子どもの安心感の源泉」であり、「家族で心からくつろげて安心できる家である」ことが、伸びる子を育むうえでとても大切なことだと指摘しています。両親は共働き、子どもは習い事や塾で忙しい……今はそんな毎日を過ごすご家庭も多いのではないでしょうか。だからこそ、家の中では家族全員が心から落ち着ける空間、良好なコミュニケーションが取れる雰囲気を意識的につくっていくことが必要かもしれません。伸びる子のベースには、「家庭で得られる安心感」があることを忘れないようにしたいですね。2. 伸びる子の親の褒め方伸びる子の親の特長として、「褒め上手である」こともかなり大きなポイントのようです。たしかに、褒められることで子どもは自信がつき、自己肯定感を高められる――というのは、よく聞く話ですよね。ただし、褒めすぎは要注意だそう。というのも、伸びる子は常にもっともっと上に行きたいという上昇志向を持っているから。子どもを伸ばしたいなら、この “ハングリー精神” は不可欠なのだそうです。たとえば、算数で80点の壁をなかなか超えられなかった子どもがいるとしましょう。努力の甲斐あって、85点を取ることができたとしたら、どんな褒め言葉をかけてあげますか?目標よりさらに5点高い85点を取れたのだからおおいに褒めてもいいのですが、ある親御さんはこう言ったのだそうです。「よく頑張ったね。さあ、これで90点を目指す準備ができたじゃない!」これこそ、絶妙な褒め言葉。85点を取れたことはしっかり褒めていますが、その先にも目を向けさせるような言葉です。褒めるのはもちろん必要ですが、時に大事なのは、「それはまだゴールではない」と子どもに感じさせることなのです。ほかにも、伸びる子の親の傾向として、以下に挙げた行動が挙げられるようです。ぜひ参考にしたいですね。■「勉強(宿題)しなさい」と言わない■テストの結果、成績の上下に一喜一憂しない■家族の目の届く場所(リビングなど)で勉強させる■平日も休日も生活リズムを崩さない■家庭菜園をする■お手伝いをしっかり任せる■無駄なものを家におかない■収納のしつけをする■子どもと一緒に図書館、劇場、美術館、博物館、科学館などに行く3. こんな環境づくりでさらに伸びる子に家の中にちょっとした “仕掛け” をつくって、家族みんなで楽しむこと。これも、伸びる子が育つ家庭の特長です。ポイントは、“自然と視界にはいってくるもの” “手を伸ばしやすい場所にある”です。ただし、強制はせず、うまくいけば儲けものくらいの感覚で試してみてくださいね。■ファミリーライブラリーを作る伸びる子の特長のひとつとして、“読書好き” あるいは “多読だった時期がある” が挙げられるようです。読書が子どもに良い影響を与えるのは、もはや周知の事実ですよね。問題は、「どうやったら読書好きになるのか」ではないでしょうか。そこで試していただきたいのが、「ファミリーライブラリー」。ファミリーライブラリーとは、いつでも目に入るところ、手に取りやすい場所に、親自身が読みたい本、親が子どもに読んでほしい本、子ども自身が読みたい本などを棚などに並べておくこと。そのうち何冊かは、表紙を向けて並べておくのが効果的だとか。そうすることで、子どもの視覚に訴えやすく、瞬間的に手を伸ばすようになるのだそう。さらに、親もなにげなく本を手に取ることが増えるでしょう。親の読書する姿を日常的に子どもに見せることも、子どもを読書好きにさせると言われています。子どもと一緒に調べものができるように、本の近くに辞書や辞典、世界地図、地球儀を置くのもおすすめです。■覚えたいことを紙に書いて貼る四字熟語、歴史の年号、英単語、漢字……覚えなくてはいけないことが増えてきたら、紙に書いて「トイレの壁」や「冷蔵庫のドア」に貼っておきましょう。そうすることで、記憶に残りやすくなり、ひとつやふたつは無意識のうちに覚えてしまうものなのだとか。メディアで活躍中の山口真由さんも、著書『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55』の中で、「何かを記憶として定着させたいとき、毎日、何度か必ず行く場所に貼っておくのが効果的」だと言っています。また、山口さんはもっと効果的な方法として、「覚えたことを親子の会話の中で声に出してアウトプットする」と書いています。ポイントはゲーム感覚で楽しむこと、だそうですよ。***どれも、ちょっとした親の心がけや工夫でできてしまうことばかりでしたね。でも、そんななにげない些細なことが、知らず知らずに子どもに大きく影響を与えることは間違いないようです。ぜひ幼少期から家庭で取り入れてみませんか。文/鈴木里映(参考)富永雄輔(2017),『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』,文響社高濱正伸,相澤樹(2018),『あと伸びする子はこんな家で育つ』,大和書房ベネッセ教育情報サイト|陰山英男氏に聞く!子どもの学力を伸ばす勉強法・習慣とは?Business Journal|学力の高い子ども、親の習慣や家庭環境に「共通の傾向」…文科省調査で判明東洋経済ONLINE|「勉強しなさい!」が不要な子の”家庭内習慣”山口真由(2018),『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55』,学研プラス
2019年06月15日幼い子どもを抱える親の悩みのひとつに、公共の場で子どもが騒いでしまうということがあります。また、子どもが小学生くらいになれば、勉強やスポーツに辛抱強く取り組む子どもになってほしいと願うはずです。その悩みを解決し、願いをかなえる子どもの「我慢する力」はどうすれば育むことができるのでしょうか。発達臨床心理学、保育学、児童学を専門とする東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかり先生に、アドバイスをしてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「生理的な我慢」は強いるべきではない「我慢」にもいくつかの種類があります。ひとつは「自己抑制」という意味での我慢。これは、なにかいいたいことややりたいことがあっても、自分で判断をして「この場ではいわないほうがいい」「やらないほうがいい」と自分を抑えることです。そういう意味での我慢は社会生活を営むうえでとても大切なものですから、幼いときからさまざまな経験を通して徐々に教えていくとよいでしょう。一方で、とくに幼い子どもの場合は、「生理的な我慢」を強いるべきではありません。トイレに行きたくなってしまう排泄欲などはその代表的なものです。そういう我慢を無理にさせると健康にも害が及ぶことがあります。たとえば電車に長時間乗らなければならないときなどは、乗車前にトイレに行かせるとか途中でトイレ休憩を取るなど、親が工夫してあげる必要があります。それらの工夫は、子どもにとって必要なルールを覚える訓練にもなります。たとえば、幼稚園や保育所のなかには、お昼ご飯の前に子どもたち全員をトイレに行かせるというところもあります。これには、食事中にはなるべくトイレには行くべきではないというマナー、ルールを教えるという意味も込められているのです。生理的な我慢を強いるべきではないといっても、野放しにしてしまっては問題です。まずはきちんとルールを学ばせる。そのうえで、どうしても体の具合が悪いときなどは遠慮しないできちんと親や保育者に伝えるということを教えることが大切です。無理な我慢をさせないように親が工夫する先にお伝えした自己抑制という意味での我慢についても、あまり幼いときから無理に我慢させることは注意が必要です。というのも、子どもは幼稚園や保育所での集団生活を通じて、徐々に自己抑制を学んでいくからです。3歳児たちの入園式では、どの子どもも落ち着きがありません。でも、3年後の卒園式では、みんなが静かにできて見違えるほどに成長した姿を見せてくれるものです。そう考えれば、電車やレストランなど、静かにしていてほしい場所に幼い子どもを連れて行く場合には、親の側が工夫するべきではないでしょうか。3歳くらいまでの幼い子どもは、走ってはいけない場所や静かにしておかないといけない場所というものがそもそもわからないのですから、まずはそういう場所にはなるべく連れて行かないという選択をすることを考えてほしいですね。どうしても行かなければいけないというときなら、短時間で済ませることも選択肢となります。または、静かなレストランで食事をするならば、お父さんとお母さんのどちらかが子どもに絵本を読んであげるとか、子どもを抱いて外に連れ出してあげるというふうに、両親が交代で子どもを見るということもできますよね。片方が子どもを見ているあいだに、食事は済ませればいいのです。あるいは、いまならキッズスペースを設置しているような子どもを連れて行きやすいような工夫をしているお店もありますから、そういうところを選ぶことも検討すべきことです。そもそも、親の都合で幼い子どもに我慢をさせることはなるべく避けるべき。なぜなら、3歳くらいまでの幼い子どもに無理やり我慢をさせたり、「ダメ!」とむやみに禁止したりすると、自発性が伸びなくなるからです。そのくらいの子どもにはなるべく伸び伸びとできる環境を用意してあげるように意識してほしいですね。「褒める」ことが子どもを我慢強くするその後、子どもが成長して小学生くらいになれば、勉強やスポーツなどに一生懸命に取り組める我慢強い子どもになってほしいですよね。そういう子どもに育てるためのポイントは、やはり「褒める」こと。子どもが我慢強くなにかに取り組めたとしたら、「頑張ったね!」「よく我慢できたね!」と褒めてあげて、「本当は遊びたかったのにね」と子どもの気持ちに寄り添ってあげましょう。我慢できたことを褒められた子どもは、我慢することに意味があると気づくようになります。同時に、褒めることは子どもの達成感を高めることにもなります。なにかを成し遂げれば、子どものなかで達成感は生まれますが、親に褒められることがその達成感をさらに高めてくれる。その体験を経て、子どもは自信を持って「次も頑張ろう」と思えるようになります。親などまわりの大人が褒めてあげることの重要性は、子どもには自分で自分を褒めることが難しいという点にあります。大人であれば、自分を客観視して「今日は頑張ったから自分にご褒美をあげよう」ということもできます。でも、子どもにはそれが難しいのです。だからこそ、子どもが我慢強くなにかに取り組んだのなら、たくさん褒めてあげて、「頑張って我慢してよかった」と感じさせてあげてください。『保育の心理学 実践につなげる、子どもの発達理解』井戸ゆかり 編著/萌文書林(2019)■ 東京都市大学人間科学部教授・井戸ゆかり先生 インタビュー一覧第1回:あなたの子どもは大丈夫?絶対に見過ごしてはいけない「自己肯定感」低下のサイン第2回:「失敗を恐れない力」の育て方。子どもに「挑戦したい!」と思わせる、効果抜群な言葉かけ第3回:「辛抱強い子」を育てるヒント。「我慢する力」を伸ばすのは“○○上手な親”だった!第4回:「先生に言いつけるよ」がダメな理由。自己主張できない子が育つ“4つのNGなしつけ”(※近日公開)【プロフィール】井戸ゆかり(いど・ゆかり)東京都出身。東京都市大学人間科学部教授。専門は発達臨床心理学、保育学、児童学。学術博士。横浜市子育てサポート研修講師、渋谷区子ども・子育て会議会長などを務める。二児の母。著書に『子どもの「おそい・できない」にイライラしなくなる本』(PHP研究所)、『「気がね」する子どもたち-「よい子」からのSOS-』(萌文書林)、編著に『保育の心理学Ⅱ 演習で学ぶ、子ども理解と具体的援助』(萌文書林)』、監修書に『1さいのなあに? のびのび育つ! 親子ふれあい絵本』『2さいのなあに? 「知りたい」がいっぱい! であい絵本』(ともにPHP研究所)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月14日ウーマンエキサイトで人気連載中のモチコさんの記事 「『あの子、嫌い』という子どもの発言…親はどこまで口出していいの?」 には、ある日突然、娘ちゃんが幼稚園のお友だちのことを「嫌い」と言い出してしまったエピソードについて書かれていました。保育園や幼稚園は集団生活の始まりの場所です。小さな子ども同士だから、けんかやトラブルが起きることは当然だと思います。だけど、いきなり「嫌い」という強い言葉が出てくると大人はびっくりしてしまいますよね。そこで今回のアンケートでは、子どもの発言に悩んだことがあるかどうか。また、子どもの発言に関するエピソードについて聞いてみました。■子どもの発言に悩んだことあるが、約8割!子どもの発言に悩んだことがあるかアンケートを実施したところ、一番多い回答が「とてもある」48%、そして「たまにある」33%と続きました。上位の回答を合わせると、約8割の人が悩みを抱えているという結果に。「少しだけある」も合わせると、今回のアンケートでは87%もの人が、子どもの発言を気にしていることがわかります。Q1.子どもの発言にどう答えるか悩んだことはありますか?とてもある 48%たまにある 33%少しだけある 6%ほとんどない 7%その他 6%集団生活はお友だちと遊んだり、家庭ではできないことを経験できたりなど、たくさんのメリットがあります。しかし、家庭という小さな集団で生活してきた子どもにとっては、個人差はあるといえストレスを感じることもあるでしょう。お友だちとのけんかだったり、自分の思うようにできないことへの憤りだったり…。それらが子どものなかで積もることによって、大人がドキッとするような発言につながっていることもあるかもしれません。では、保護者の方は、子どものどんな発言に悩んでいるのでしょうか? 具体的なエピソードを見てみましょう。■「あの子、嫌い!」友だちへの拒絶に悩む親たち集団生活が始まると子どもにも人間関係ができ、そうなると「合う」「合わない」といった相性の問題からも避けては通れないのだと思います。大人であれば、「必要以上に関わらないようにする」などといった対策を自分で取ることができます。また、「嫌い」などの強い言葉を本人に言うこともないでしょう。でも、子どもはまだ発達の途中ということもあり、お友だちとの距離感を見誤ってしまうこともしばしばあるようで…。「3歳の息子の話です。遊ぶ女の子とはケンカが絶えず、会うと必ず揉めます。家でたまに『●●ちゃん嫌い!』とか『●●ちゃんにはコレ貸さないよ〜』と言うので、何とも言えずどうしたものかと思います。女の子に拒否されてしまう息子を見ると親としても悲しくなるので、息子がそう言うのもわからんでもない。ただ、仲良く遊べるときもあるのですが…」「年少のときから仲の良い双子の友だちがいるのですが、その子たちが、娘とケンカすると『キライ!』『もう遊ばない!』『嫌な子!』と言われることが。うちの娘は悲しそうな顔で何も言わず、泣くことを我慢していました。ケンカの原因はうちの娘にも悪い部分もあるので、『次から気をつけようね』という言葉がけしかできませんでした」「このあいだまで、『○○ちゃん大好き!』って言っていたのに、最近は『○○ちゃんはもう飽きた!』って言うんです。嫌い怖いもそうですが『飽きた!』はさすがに良くないし、お友だちに直接言わないように言いましたが、伝わってない様子…」仲良く遊んでいたのにちょっとしたことでタイミングが合わなくなったり、相手の拒否が強すぎてもめたり…。そんなとき、まだそんなに語彙の多くない子どもは「嫌い」という言葉で自分の感情をなんとか表そうとしているのかもしれません。「うちは小学4年生になりますが、同じように、『●●ちゃん嫌い!』と言ったり、芸能人も『この人嫌い』」とハッキリ言っちゃうので、わざわざ嫌いな人言わんでエエよと伝えてます。あまり聞きたくないですよねぇ。でも翌日に遊んで、『やっぱそんな嫌いじゃないわ』なんてケロッと言ってて、同じだなぁと思いました!」汚い言葉や気持ちよくない言葉を子どもが使ったときに、その言葉が相手を傷つけることは伝えていきたいところです。でもモチコさんのエピソードと同じように「嫌い」と言っていても、すぐまた一緒に遊んでいたというコメントも寄せられました。あまり深刻にならなくてもいいのかもしれませんが、でも、もしかしたら、なにか困りごとのサインという場合もあるかもしれない…。考え出すと止まりません!そして、本当にお友だち同士で問題が起こっている場合であっても、どこまで親が口を出していいのかも悩ましいところです。■子どもがだれかと比較するのは親が原因!?大人が不安に感じる子どもの発言は「嫌い」という言葉以外にもあります。たとえば、できる子とできない子を比べたり、友だちを「悪い子」だと断定したり…。小学生くらいのお子さんになってくると、あえて相手を傷つけるような言葉を使うこともあるようで、みなさん悩まれている様子…。どのように子どもの発言と向き合っていくのがいいのでしょうか。「幼稚園のとき『●●ちゃんはあれができなかった』『●●くんが怒られた』というマイナスな発言を聞くようになりました。きっとそこまでには何か理由があると思うけど、何だかモヤモヤ。でも考えたら親である私が『このあいだはこれできたのに、何でできなかったの?』など、他人や過去のことと比べる言葉をたくさん使っていたからだと気付きました。それからはなるべく褒めることを優先するようにしています。『いろんな子に優しくできると、すてきだよね!』など、なるべく具体的に」「わが家の息子は甘えん坊。できることも『ママ~お願い』とかわいく頼んで来ることもしばしば…。そこでまわりの大人が『4歳でしょ? できないの?』など言ってたら、ある日『●●くん、5歳なのにおしゃべりできないんだよ?』と…。成長のスピードはそれぞれだと言うことをわかりやすく伝えましたが、ドキッとさせられた発言でした」ご紹介したエピソードは、子どもの発言から、叱り方など親の側の普段の発言について考えさせられたというパターンです。子どもを注意するとき、ついつい「あの子はこんなこともうできているよ」とできる子を引き合いに出してしまったり、「昨日はちゃんとできたでしょ!」と過去と比較してしまったり…。子どもは良いことも悪いことも、どんどん吸収していきます。それこそ、小さい子どもは善悪の判断もあいまいで、覚えた言葉をただ使いたいだけという側面すらあるかもしれません。だから大人のほうこそ、普段の言い方を気をつけなければ…とあらためて感じました。「ある日、息子が『●●君な、悪い子やねん』と、その子のことを家で話し始めました。『だってな、みんなが座ってるときに立ってるし、並ばなアカンときに並んでないねん』と。少し返答に迷いましたが『じゃあ、息子はなにもかも全部カンペキにできる? 先生に注意されたりしない?』と聞くと、『あ、ホンマや、僕と一緒や!』と妙に納得した顔をしていました。このときは『みんな同じなんだよ』と教えてみました」「できることとできないことがあるのはみんな同じ」であり、「得意不得意は人それぞれ」…。大人になった今だからそう思えますが、成長途中の子どもにとっては、いろいろ経験して学ぶことのひとつなのだと思います。■子どもにとっての味方でいるために。親ができることは?ただ、家庭内で思ったことをなんでも言えるのは、子どもにとって悪いことではないような気がします。小学生、中学生と成長をしていって、もっと困ったことに直面したとき、相談をしてもらえないほうが親はつらいのではないでしょうか。ただ、「嫌い」という言葉はあまり聞いていて気持ちがよくない言葉。だから「どうにかしたい」と思うのもわかります。親はそのとき、どんな対応ができるのでしょうか?▼子どもなりの思いを聞く。嫌いは苦手野菜と一緒?「子どもには子どもなりの思いがあっての発言だと思うので、母親としては一旦は受け止めたいとおもいます。家の中でだけは、本音で話させてあげたいので」「うちも『嫌い』って言うときありました! とりあえず子どもの気持ちを肯定してあげます。そのあと話の前後の繋がりで相手目線からのお話をし、その子のいいところを聞いてます。嫌いじゃなくて苦手って言えるように誘導したり…小さいころは、苦手野菜と同じような感覚かなと」「まずは親の主観を挟まず、しっかり聞いてあげるように心がけてます。同じトラブルが数回あったとき、はじめて、対処方法を一緒に考えたり、先生に相談したりするようにしてます。子どもは、幼いうちは気まぐれで大人が思うほど、深刻な問題は少ないように思います。8年育児をしてきて、いまだからこそ、そう思います。幼少期は、小さなことで、いちいち振り回されてました」苦手野菜と同じような感覚の「嫌い」。これは、少し気がラクになりますね! まずは、子どもの主張に耳をかたむけることが、基本であって一番大切なことなのかも。▼子どもの言葉に親ができる具体策はある?子どもの発言に対しての具体的な対応案もいろいろと寄せられました。「いろんなところから仕入れてくる言葉のなかでも、相手に対して攻撃的な言葉は、やはりドキッとします。年長になった娘に、きちんと意味が説明できるように、私が昔に使っていた分厚い辞書を手元に置くようにしました。本が好きな娘には良かったようです。なぜなぜにも答えられ、親も助かっています。きちんと意味をわかって言葉を使える、相手にどんな風に届くのかを想像できるような大人に育って欲しいです」「習いごと先に苦手な子がいたようです。行きたがらないので『●●くんが苦手なの?』って聞いたら、『うん』と言ったので、曜日を変更しました。苦手な子がいるからといって、習い事まで嫌になるのは私もどうなのかなぁと思ったので」子どもの性格や普段の親子関係から、家庭にあった対応ができるのは理想的だなと思いました。習いごとなど、時間や曜日を変更することが可能な場合は、一度離れてみるという手もありますよね。子どもはたくさんの言葉をテレビやお友だちからインプットして、使ってみようとしますよね。だから、家庭ではできるだけ気持ちいいポジティブな言葉を使ってみると、子どももどんどん使ってみるような気がします。逆に、自身が子どものころ頭ごなしに「そういうことは言っちゃダメ」と注意され、傷ついたというエピソードもありました。「私が幼稚園のころ、母に『(私が)イヤって言ってることやるから、●●ちゃん嫌い』と話をしました。しかし母は私に『そういうこと言っちゃダメ!』とひと言。私は『そうなの? そうしたら先生にお話してみたらどうかな? でもお友だちに嫌いなんて言ったら悲しむよ』などの言葉が返ってくると思っていたのですが、まさかの返し。母は私の味方ではないのかとトラウマになってしまいました。自分の子どもには、同じ思いをさせないようにしたいと心から思いました」自分が子どものころに親から受けた対応って、けっこう覚えているものなんですよね…。それに納得がいっていなければなおさらです。家族に弱いところを見せられたり、愚痴が言えたりするのは、きっと家庭が安全地帯になっている証拠の気がします。まずは自分の気持ちを吐露できる場を作れていたことで親としての第一関門は突破できたと思えると、少し気持ちも落ち着きそう。子どもの意見にはしっかり耳を傾けつつ、必要なときにはアドバイスをし、基本的には見守ってあげられる…。こんな親を目指したいところだけれど、でもこれらは、大人同士のつきあいだって簡単なことじゃないですよね。「あの子、嫌い」は、子どもが家庭から外に踏み出していくなかで出会うチャレンジの1つかもしれません。人付き合いは一生続いていく課題でもあり、力にもなる。だから親子で一緒に、成長していかれるといいですね。Q1. 子どもの発言にどう答えるか悩んだことはありますか?回答数:206Q2. 子どもの発言についてエピソードやご意見を教えてください回答数:46アンケート集計期間:2019/3/21~4/18
2019年06月03日「子どもの理科離れ」――。もう何年も前から聞かれる言葉です。では、「国語」の場合はどうなのでしょうか?とくに、子どもの頃に国語が苦手だったという親御さんの場合、自分の子どもも国語を敬遠するようにならないかと心配していることでしょう。お話を聞いたのは、全国国語授業研究会会長や教育出版国語教科書編著者も務める筑波大学附属小学校の青木伸生先生。国語に対する子どもの接し方の現状、さらに、子どもを国語嫌いにさせないための方法を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)二極化している子どもの国語好きと国語嫌いいま、子どもたちの国語に対する好き嫌いは、二極化しているように感じますね。国語が好きな子どもは自分でどんどん本を読んでいますし、逆に教科書の文字を見るのも嫌だという子どももいます。その差が大きく広がっていくと、後者の子どもは学年が上がるほど身につけるべき国語力を取り返すのが難しくなりますから、とても心配しているところです。子どもの国語離れを進行させないためにも、教科書のつくり手もいろいろと工夫はしています。お子さんがいる人なら、以前と比べていまの教科書はイラストや写真が豊富ですごくカラフルになっていることはご存じでしょう。というのも、いまの子どもは生まれながらにして映像などさまざまに刺激的な情報のなかで生きていますから、教科書にもある程度の刺激がないと心が惹かれないからです。ただ、入り口はそれでもいいとは思いますが、そこからいかに文字に意識を向けさせるかということが重要な課題だと感じています。読むことそのものの面白さや楽しさといったものを感じられないと、学年が上がり、教科書がシンプルになって文字が増えたときに拒絶反応を起こしかねないからです。もちろん、そうさせないための努力は小学校でもしています。たとえば、図書室で教員が読み聞かせをして、その本に関連する別の本をみんなで探して読むといった、「図書」の時間の活動もそのひとつ。「今回は昔話を探そう」「『繰り返し』があるお話を探そう」といったふうに、あるテーマを持って読むことの面白さを感じさせるための活動です。教科書の「本の紹介コーナー」に注目こういうことが必要となっている背景には、家庭環境が以前と変わってきたことも大きいように思いますね。いまは誰もがスマホやタブレットを持っています。それらの端末で本を読んでいる親御さんの家庭なら、以前の一般家庭より本や雑誌の数は減っている。新聞を取っていないという家庭も多いでしょう。そうすると、家庭で子どもが文字に触れる機会も自然に減っているはずです。だからこそ、子どもを国語嫌いにしたくないのであれば、家庭でいかに本に親しませるかということが大切になります。そのスタートとしては、やはりむかしながらの絵本の読み聞かせがいちばんでしょうね。親御さんのひざに抱えられて絵本を読んでもらえれば、子どもは間違いなく本に興味を持つようになります。お父さん、お母さんに絵本を読んでもらったという記憶は強く残るものです。みなさんにも、そういう記憶がある人も多いのではないですか?その経験によって、子どもは本の面白さに惹かれるようになっていきます。子どもがもう少し大きくなって小学生になったら、国語の教科書に注目するのもおすすめです。というのも、学習指導要領自体が読書に力を入れているため、いまの教科書には「本の紹介コーナー」がたくさんあるからです。たとえば、宮沢賢治の作品のページなら、宮沢賢治の他の作品がいくつも紹介されています。気に入った作家や作品に関連する作品、シリーズ作品を読んでいくというのは、まさに本が好きな人間の典型的な読書法ですよね。そういったことを教科書が手助けしてくれているわけですから、それを活用しない手はありません。読書を通じた「親との対話」でもっと本が好きになるまた、小学生になってひとりで本を読めるようになったからといって、親が「これを読んでごらん」と押しつけるだけということは避けましょう。そうではなく、子どもが自ら興味を持って読む本に対して、親御さんもしっかり興味を示してあげてほしいのです。日常の読書によって子どもがさらに本に興味を持てるかどうかは、そういった場面での「親子の対話」によって大きくちがってきます。子どもが音読をしてくれたのなら、思ったことを子どもに伝えてみてください。「いま読んでもらったお話、お父さんも子どもの頃に読んだよ」とか「子どもの頃に読んだときと感じ方がちょっとちがったなあ」といったささいなことで十分です。子どもは「むかし、お父さんも読んだんだ」とか「お母さんはそういうふうに思ったんだ」といったことを感じます。そうやって、自分が本を読んだことでお父さんやお母さんがなんらかの反応を示してくれたのなら、子どもは「もっと上手に読みたい」と思うものですし、さらには、自分なりの感想を持っていないと「お父さんやお母さんとちゃんとお話ができないぞ」とも思うもの。親がきちんと反応を示すことで、子どもは本の中身をもっときちんと読もうとするようになるのです。このようにして親と対話をしながら本に親しむうち、子どもはセリフのいいまわしや物語の伏線といったものに自分なりに面白さを感じられるようになっていきます。それは、「自ら発見する」ということに他なりません。これまでの学校の勉強にありがちだった受け身の姿勢ではなく、能動的な姿勢を手に入れるということなのです。その姿勢こそが、国語という教科に限らず、のちのちの学力の向上につながるということは容易に想像できるのではないでしょうか。『青木伸生の国語授業 3ステップで深い学びを実現! 思考と表現の枠組みをつくるフレームリーディング』青木伸生 著/明治図書出版(2017)■ 筑波大学附属小学校教諭・青木伸生先生 インタビュー一覧第1回:子どもの主張はくみ取らなくていい!親だからこそできる、我が子の国語力アップ法第2回:「宿題の定番」になるのも頷ける。意外だけどすごく重要な「音読」の4つの狙い第3回:「文字を見るのも嫌!」子どもを国語嫌いにさせないために、親がすべき低学年からの工夫第4回:作文力アップも期待できる!文章の読み方の新習慣「フレームリーディング」とは(※近日公開)【プロフィール】青木伸生(あおき・のぶお)1965年生まれ、千葉県出身。東京学芸大学卒業後、東京都の教員を経て現在は筑波大学附属小学校教諭。全国国語授業研究会会長、教育出版国語教科書編著者、日本国語教育学会常任理事、筑波大学非常勤講師なども務める。近年はフレームリーディングの専門家としても注目を浴びる。『ことばの事典365日』(小峰書店)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで説明文の授業づくり』(明治図書出版)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで文学の授業づくり』(明治図書出版)、『ゼロから学べる小学校国語科授業づくり』(明治図書出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月30日「がんは今や珍しい病気ではなくなった」とよく言われます。だからこそ「もし自分ががんになってしまったらどうしよう」と、頭を悩ませてしまう人は多いでしょう。とくに、子を持つパパやママの場合、子どもの将来のことが何よりも気になるだろうと思います。そこで、子育て世代のがん患者を対象にした調査をもとに、親ががんになったときに子どもの教育計画にどう変化が起こったのか見ていきます。■子育て世代がん患者の教育費への影響は?「子育て世代のがん患者における教育費に関する調査」報告書(「一般社団法人キャンサーペアレンツ」と「ライフネット生命保険」共同調査)によると、最初のがん告知を受けたときに不安に感じたこととして、「家族への影響」と答えた人が8割以上となりました。またがんり患による子どもの教育費に影響があると答えた人は、5割強近くとなりました。Q.がんに罹患したことで、子どもの進路など教育計画に影響はあったか?影響があった 22.1%今後影響があると考えている 31.7%影響はなかった 53.5%■収入減でも「教育費は抑えたくない」思いがんにり患したときに、教育費への影響があると答えた人が5割いますが、別の質問では、実際に「教育費を抑えた」と回答したのはわずか2割足らずでした。コメントからも、親たちが教育費を抑えずに、試行錯誤している様子が伝わってきます。「本当は公立に行ってほしかったが、受験対策や入ってからの役員などフォローが難しいと思い、私立の学校を選びました。教育費は抑えられなかった」(46歳女性)「教育費、本当は抑えるべきなんだろうけど、中学受験に向けて必死に頑張っている子どもに、塾を辞めてほしいとは言えなかった」(39歳女性)「子どもたちの教育費用だけは抑えたくなかったので、学費や塾代などは貯蓄から回しました」(45歳女性)また調査によると、がんのステージによって教育費への影響は異なっており、ステージ1の人の場合では、支出を抑えたのは9.7%。一方、ステージがあがってくると、2割を超えるようになります。■「進路への影響」に不安を抱える親たち子どもへの影響を少なくしたいと考える親は多いでしょう。しかし、教育費は子どもを持つ世帯すべてにとって、大きな課題です。調査によると、がん告知後、平均して2割程度、世帯収入が下がるとあります。がんになったことで「子どもの進路などの教育計画に影響があった」という人たちの具体的な声を紹介します。「都立高校を受験させ、予備校も行かせず、学費保険を中途解約して治療費に充てた」(52歳女性)「がんにならなければ、パートから正社員へと考えていた時期でした。手術、抗がん剤治療の期間が長かったため、正社員で働くことは諦めました。子どもの大学進学については、自宅から通える範囲の公立校を目指してもえるようにと話をしました。塾にも通っていません」(41歳女性)さらに、「今後影響があると考えている」人たちからは、次のようなコメントが寄せられました。●塾に入れてあげられない●私立進学は難しい●進学時期の教育費が貯蓄ではまかなえず、体調がどこまで働ける体に戻れるか不安●今後のお金がどれくらいかかるかわからず、子どものための貯蓄ができるか不安「教育費を抑えたくない」という気持ちの一方で、実際には経済的な理由からなかなか思うようにいかないという親の歯がゆさが感じられます。■もし、がんになったときお金は? それでは、がんになった場合、どのような支援を受けて、収入の減少を補えばいいのでしょう。Q.がんにり患したことで、金銭面の支援を受けたものは?※複数回答あり1位 民間の保険会社からの給付金 72.6%2位 親からの金銭的な援助 35.7%3位 傷病手当金 31.4%~以下略~全体の7割の人たちは、民間の保険会社からの給付金を利用し、親(祖父母)からの支援を受けた人も約35%と、2番目に多い結果となりました。保険の給付金というと、「治療費に使う」というように考えてしまいますが、実際には自身や家族の生活水準を保つために使ってもいいものです。例えば、家事代行を頼むために使うなど、使い道の観点を変えてみてもいいかもしれません。■子育て世代ががんと教育費に向き合うにはお金、治療法、家庭内の貯蓄など、情報を知っていることで対応が変わってくることもあります。万が一のときについて、家族や夫婦間でも話しあっておくことだけでも違ってくるのではないでしょうか。たとえば、貯蓄、生活費、保険など、さまざまな観点で家計を見直したり、場合によってはファイナンシャルプランナーに相談してみたり。もし、病気になったときには家族だけで抱え込まずに、祖父母や周りの人たちの力を借りることが大切なのだと、今回の調査結果をみて思いました。もしもがんになって途方に暮れてしまったら、子育て世代のがん患者を支援する団体や仕事面や精神面など、さまざまな支援の窓口があります。ここまで、子育て世代ががんになった場合に教育費とどのように向き合っていくべきか考えてきました。実際に病気と闘いながら子育てをするのは大きな苦労があるのだと身につまされるとともに、今自分にもきっとできることがあるのだと、気づかされます。「もしそうなったらどうするのか」といった不測の事態への対応を考えながらも、日々子どもたちとの生活を大事にしていきたいですね。「子育て世代のがん患者における教育費に関する調査」キャンサーペアレンツの会員(子どもをもつガン患者)398名へのインターネットによる調査(一般社団法人キャンサーペアレンツ×ライフネット生命保険共同調査)<参考>キャンサーペアレンツ:こどもをもつがん患者同士でつながるためのSNS
2019年05月30日親になって「変わった」感じるのはどんなところ?子どもが生まれて、それまでの自分の生活や考え方が一変したという人も多いのでは。あんふぁんWebの「どっちだポン!」コーナーでリサーチしたところ98.3%の人が「親になって自分は変わったと思う」という結果に。以前と違うところを具体的に聞いてみました。自分のことより子どもを優先■ 買い物に行っても子どもの服ばかりに目が行くようになり、自分の物に対しての物欲がなくなった。食べ物にしても子どもも食べることを考えて辛い物を食べなくなったり、何をするにも子ども第一になっていた。旦那のプライオリティが下がった(笑)。(まりりんさん/34歳)■ 自分優先・自分中心で生きてきましたが、優先順位が変わり、どんな時も娘を優先・娘を中心に生活するようになりました。 自分の好物のおかずは娘にあげ、デザートもドリンクも娘にあげ、心は満たされるけどお腹はいまいち満たされない外食(笑)。娘のお出かけの準備に時間がかかって、自分はスッピン&帽子だったり(笑)。毎朝メイクに1時間かけられていた頃の自分が懐かしいです(笑)。(あーちゃんmama★さん/35歳)■ 妊娠してから食べ物が、できるだけ油っこくない物や和食に嗜好が変わってきた。また離乳食も食材選びから作り方まで、調べるようになった。 一人の時は何も考えず、コンビニで済ませたり、結婚当初もできあいのもので済ませていたのに、子どもには手作りをなるべく食べさせたい気持ちがある。(しずママさん/35歳)すぐに涙腺が崩壊する■ 子どもたちにつきあわされて見に行ったプリキュアの映画にさえ、ウルウルくるようになった。(あんあんママさん/36歳)■ 親になり、確かに涙もろくなりました。自分のどもはもちろんかわいいけど、まわりの子どももかわいいと思うようになりました。(ももぱんさーさん/34歳)■ 「母は強し」なんてウソだと思いました。 子どもが生まれてから、私は本当に弱くなったと思います。こんなに心配症ではなかったし、こんなに怒りっぽくなかったし、こんなに涙もろくなかったし。でも、子どもがいなかった時代に戻りたいと思わないのが自分でも不思議です。 自分の時間も、心の余裕もないけれど、ある意味、満たされてるんだと思います。(てるママさん/37歳)■ 子ども向けのアニメをみて、まっすぐなセリフに感動しています。忘れていた何かを思い起こさせてくれます。(みゆままさん/37歳)■ 子どもがらみの事件・事故に敏感になった。自分の事として考えちゃう。(Kさん/41歳)驚くほどに規則正しい生活に■ 親になる前は日付がかわるぐらいの時間まで毎日テレビを見ていたのに、今では子どもと一緒に20時には布団に入り、20時半には寝る日々。 自然に朝5時前には目覚め、早寝早起きの健康的なリズムが身に付きました。 (アポロさん/35歳)■ 時間にルーズだったけど、15分前行動ができるようになった(笑)。(びゅう16さん/42歳)■ 9時就寝5時起きの朝型の生活になった。(まちこさん/36歳)怒りに震える経験は初めて…■ 冷静沈着なタイプだと思っていたのですが、子どもが大きくなるにつれ、 イライラすることが増え、「怒りに震える」という表現を体感したのも 子どもが生まれてから。どうせ変わるなら、良い方向に変わりたかった…(涙)。(Miaさん/40歳)■ あまり怒らない自分が、子どもにこんなに大きな声を出して怒るんやって思いました。(ピロさん/33歳)■ こんなに怒りっぽくなかった!!独身のころは毎日が楽しくて仕方なかったけれど、今は無難にコトを済ませる事だけを考えてしまう、、、窮屈といえば窮屈。(みみさん/32歳)■ イライラしてしまうことがつい増えるようになった。 涙もろくもなった。(ゆかたくさん/39歳)ある意味“大きく”なった■ 大人に対してあまり怒らなくなった。(ほのぼのさん/39歳)■ 自分でいうのもなんですが、懐が深くなったというか、許容範囲が広くなりました。大体の事柄について、普通受け止められるようになりました。(ママさんランナーさん/39歳)■ 生活が一変するのは当然ですが、精神的に強くなりました。 人づきあいが苦手だったけど、子どものためにママさんと協力して行事のお手伝いをしたり、PTAの役員をやったり。 行列や人混みが苦手でも、子どもが風船ほしい、といえば並んだり。はーい!と手を挙げたり。 良い意味で図太くなりました。(のんさん/46歳)■ 仕事などで、人に対して待てるようになった。(やまさん/38歳)よくも悪くも…自分の違う側面を知った■ 占いや恋愛ドラマに心ひかれなくなった。前はすごく真剣に見ていたのに(笑)。今は「ふーん」と他人ごとな感覚。(ゆうさん/32歳)■ 独身時代騒いでる子どもが大嫌いだったが、親になり騒いでいる子どもが嫌いなのではなく、それを注意しない親が大嫌いということに気づいた。(匿名さん)■ 激変しました。産む前はまったく子どもというものに興味がなかった私。産んで育て始めたら、子どもってこんなにかわいくておもしろいのか!と。湧いてくる愛情に自分がビックリ(笑)。(りんりんさん/38歳)■ 変わりました!手作りケーキとか焼くようになったし。から揚げもあげるようになった!自分でもびっくりの変化ですw(みかこさん/33歳)投票期間/2018年10月31日〜11月13日<あんふぁんWeb編集部>
2019年05月28日我が子には、あらゆる教科を得意になってほしいというのが親の理想でしょう。でも、多様化が進むこれからの社会に出たときに求められる力の筆頭としてコミュニケーション能力が挙げられるいま、それにつながるであろう「国語力」をとくに伸ばしてあげたいと考える親御さんも増えています。全国国語授業研究会会長や教育出版国語教科書編著者も務める筑波大学附属小学校の青木伸生先生に、まずは「そもそも国語力とはなにか」というお話から伺いました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)国語力はあらゆる学習のベースになる国語力とひとことでいっても、いろいろな階層があると思います。実生活のなかでの国語力というと、文章の内容をきちんと把握する力、自分の伝えたいことを表現できる力などになるでしょうか。小学校における国語力にもいくつかの要素が含まれます。たとえば、物語のテーマを自分なりに感じ取れる力。説明文なら、筆者のいいたいことをつかみ、それに対して読者として自分の考えを返す力。また、ある程度の語彙を持ち、どんな言葉をどんな場面で使えばいいかという言語感覚を身につけているかどうかも小学生にとっての国語力に含まれるでしょう。これらの国語力は、とくに小学校低学年から身につけていくことがとても重要です。というのも、国語以外のあらゆる教科でも学習のためのベースとなるのが国語力だからです。国語力が欠けていると、自分の意見をわかりやすく発表できませんし、重要な内容をノートにまとめることもできません。理科の実験授業でも、実験結果をまとめ、それを基に考察する際に必要となるのは国語力です。また、国語と対極にあると思われがちな算数であっても、国語力がなければ文章題で述べられている状況をイメージできないということにもなります。問題のなかで「リンゴが3個あって、そのうち2個を太郎君が食べて、花子ちゃんがミカンを5個持ってきた」というような文章があったとして、描かれている内容をきちんと把握してその状況を思い浮かべられなければ問題を解くどころではありませんよね。本当なら算数を得意教科にできる能力を持っていて、ドリルのような単発の計算は得意な子どもであっても、国語力が伸び悩んだがために本来の能力を発揮できないということにもなりかねないのです。国語力アップのために読書で得られる重要な要素国語力はあらゆる学習のベースとなります。そうすると、親御さんなら子どもの国語力を伸ばしてあげたいと考えますよね。もちろん、小学校でもわたしたち教員はさまざまな工夫を凝らして子どもたちの国語力アップに努めています。でも、家庭でもできること、それから親御さんだからこそできることもあるのです。ひとつは「読書」です。ただ、残念ながら、テストで高得点を取るためという意味での国語力と読書はそれほど直接的にはつながるものではありません。テストというものは、問われたことに対して的確に答えていくという対応が求められます。「文章のここがポイントで、このことを聞かれている、だからこう答えればいいんだ」というようなある種のテクニックが必要とされますから、一定の練習をしなければなりません。ですから、とにかく読書が好きでたくさん本を読んでいる子どもであっても、意外とテストでは高得点を取れないということもあるのです。でも、読書をしていれば、国語力を高めるための重要な要素を得られることは間違いありません。そのひとつは語彙です。それから、物語の展開のパターンや表現技法といったものも子どものなかにどんどん蓄積されていきます。あとは、それらをどう使えば実際のテストで高得点を取れるのかというところをわたしたち教員が授業で教えてあげれば、一気に成果を出すことができるはず。そのためにも、読書好きになるように家庭でもできる限りの工夫をしてほしいですね。親子の会話で子どもにたくさん考えさせるそして、子どもの国語力アップのため、「親御さんだからこそできること」が「親子の会話」です。なぜ親子の会話が重要かというと、教員と子どもの場合だと、子どもの言葉を教員がくみ取ってしまうことが多いからです。授業をスムーズに進めるためといったこともあって、子どもの言葉がちょっとあいまいであっても、教員は「こういいたいんだね」と、子どもがいわんとしていることを整理してしまうのです。でも、親ならそういうことをする必要はありませんよね。子どもの言葉が本当にわからなければ、「なにをいっているかわからないよ」とストレートにいってあげられます。そうすると、お父さんやお母さんに自分のいいたいことを伝えるために、子どもは言葉を探したり、選んだり、いい方を変えるなどして必死に考えることになる。子どもの国語力アップのためには、そういう場面がとっても大事なのです。逆に、子どもに成長が見られてすごくわかりやすい表現をしたという場合なら、「いまのいい方はすごく良かったよ」といったふうに褒めてあげてください。そうすれば、その表現が子どもに定着していくことになるはずです。ひとつ注意をするなら、親だからこそ教員以上に子どものいいたいことをくみ取れてしまうということ。他人ならなにをいっているかわからない、子どもがぼそっとつぶやいたようなことも、親ならわかるということは多いものです。そこで、「ああ、こういいたいのね、こうしてほしいんだね」とくみ取ってしまうと、先に伝えたような子どもが必死に考えるということが起こりません。そういう意味では、子どもの国語力を伸ばしてあげたいと思うのなら、「ものわかりの悪い親」になるという考えが必要かもしれませんね。『青木伸生の国語授業 3ステップで深い学びを実現! 思考と表現の枠組みをつくるフレームリーディング』青木伸生 著/明治図書出版(2017)■ 筑波大学附属小学校教諭・青木伸生先生 インタビュー一覧第1回:子どもの主張はくみ取らなくていい!親だからこそできる、我が子の国語力アップ法第2回:「宿題の定番」になるのも頷ける。意外だけどすごく重要な「音読」の4つの狙い(※近日公開)第3回:「文字を見るのも嫌!」子どもを国語嫌いにさせないために、親がすべき低学年からの工夫(※近日公開)第4回:作文力アップも期待できる!文章の読み方の新習慣「フレームリーディング」とは(※近日公開)【プロフィール】青木伸生(あおき・のぶお)1965年生まれ、千葉県出身。東京学芸大学卒業後、東京都の教員を経て現在は筑波大学附属小学校教諭。全国国語授業研究会会長、教育出版国語教科書編著者、日本国語教育学会常任理事、筑波大学非常勤講師なども務める。近年はフレームリーディングの専門家としても注目を浴びる。『ことばの事典365日』(小峰書店)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで説明文の授業づくり』(明治図書出版)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで文学の授業づくり』(明治図書出版)、『ゼロから学べる小学校国語科授業づくり』(明治図書出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月28日小学校に入学した子どもが長男や長女の場合、学校生活に伴って、子どもたちはもちろん、親もいくつもの初体験をすることになります。そのなかで、「子どもが宿題をやりたがらない」「子どもの通知表があまり良くなかった」など、さまざまな悩みや不安に直面することでしょう。そういった場合、どう対処すればいいのでしょうか。子どものやる気を引き出す独自の授業で注目され、「教育の鉄人」とも呼ばれるカリスマ教師・杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)先生にアドバイスをしてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)一緒に宿題をやれば親の言葉の重みが変わるまず重要なのは、なにごとも「子どもと一緒に」という考え方を持つこと。子どもが宿題をやりたがらないのなら、「ちゃんとやりなさい」なんていって子どもにやらせるのではなく、一緒にやってあげればいいのです。同じ「ちゃんとやりなさい」でも、実際にやった人がいえば、言葉の重みがちがってくるのは明白です。スポーツでも同じですよね。炎天下で一緒に汗を流している人が「頑張ろう」というのと、ただ日陰で涼んでいる人がいうのでは、いわれる側が受け取る意味はまったくちがってきますよね。そもそも、子どもにとってはひとごとのように頭ごなしに怒られることがいちばん嫌なものです。「ちゃんとやりなさい!」といっている親御さんは「子どものため」だと思っていることでしょう。では、そういうときに自分の言葉を録音して聞いてみてください。わたしは実際にある親御さんにそうしてもらったことがあります。すると、自分の言葉を聞いたその親御さんは「これは自分じゃない」なんていうんです。自分はしつけをしている、子どもに大切なことを教えているつもりなのに、客観的に見ればただ怒鳴っているだけということは珍しくありません。もちろん、「子どものため」と思っているのは本当なのでしょう。でも、怒鳴り声ではその気持ちは子どもには伝わらないのです。愛を押しつけているだけではただのストーカーです。子どもに「お父さん、お母さんに愛されている」と思わせてあげてください。話を宿題に戻しましょう。実際に子どもの宿題をやってみれば、親御さんなりになんらかの感想を持つはずです。たとえば、「塾に通わせていることを考えると宿題が多過ぎる」「子どもの負担になっているのではないか」と思うこともあるでしょう。そういう場合、親子で話し合ったうえで、宿題を減らせないかと担任教師に相談してみてはどうでしょうか。おそらく、いまの時代の教員ならかなり柔軟にそういう相談にも対応してくれるように思います。家庭によって教育方針はちがいますし、子どもが目指す進路もそれぞれですから、わたし自身も各家庭とやり取りをしてなるべく要望に応じられるよう心がけています。通知表が良くなければ親が通知表をつけるさて、宿題に続いて親御さんの悩みの種となるのが通知表ではないでしょうか。その評価によってつい一喜一憂してしまいますよね。あまり評価が良くなかった場合には、親として子どもにどう接してあげればいいのかと頭を悩ませてしまうはずです。ただ、通知表はあくまでひとりの教員による評価に過ぎず、それが絶対のものではありません。だとしたら、親御さん自身が子どもの通知表をつけてあげればいいのではないでしょうか。「先生はこういっているけど、お母さんはあなたのこういうところはもっといいと思うよ」という具合に。そもそも、通知表というひとつの評価にとらわれる必要はありません。もし親が通知表の結果を気にし過ぎることになれば、子どもも結果だけを気にするようになってしまいます。そうすると、子どもは「結果を出さないと怒られる」と思って、なにかしらのズルをするということだって起こり得ると思うのです。親が通知表の結果だけにとらわれるということは、子どもに対して「結果を出さないとあなたを応援しないよ」というメッセージを送ること。そうではなくて、「結果が出なくてもあなたを愛している」というメッセージを送ってあげなければなりません。そうでないと、子どもは親の前でも等身大の自分を出せなくなりますからね。そもそも、親自身も完璧ではありませんし、あらゆることに秀でている人間なんていません。長所も短所もある等身大の子どもを愛して、プレッシャーにならない程度に期待して応援してあげてほしいと思います。褒めて伸ばすには実感が必要ただ、あまりに褒め過ぎることには注意も必要です。最近は「褒めて伸ばす」ことが注目されています。「叱ることは子どもを否定することだけど、褒めることは子どもを肯定するからいいんだ、やる気を引き出すんだ」なんていわれます。でも、褒めるも叱るも、子どもに外から刺激を与えて良い方向に導く行為という点では同じものです。それなのに、「褒めるのがいいから」と褒めてばかりいると、褒められないとなにもしない子どもになってしまうこともあるのです。褒めるということはじつはすごく難しいし、なんでもかんでも褒めればいいというものではありません。では、褒めると叱るをどう使いわければいいのでしょうか?その基準は、「実感に従う」ことで見えてきます。たとえば、漢字の書き取りをするにも、子どもと一緒にやってみてください。パソコンやスマホで文章を作成することで、手書きをすることが減っている大人の場合、いくつも漢字を書くうちに手が痛くなってくることもあるでしょう。そうすると、「お母さん、もう手が痛くなってきちゃった」「あなた、すごいね」なんて褒め言葉が自然に出てくるはずです。そういう「実感」が伴っている、つまり「心からの言葉」は子どもにきちんと響きます。叱る場合も同様です。もし子どもが、倫理的、人間的に良くないという問題を起こしてしまったら、親は「反省してほしい」と心から思って叱るものです。だけど、叱る理由が「世間体が悪いから」といったものなら、やはり子どもには響きません。「褒めるのがいい」なんて言葉を鵜呑みにして小手先のテクニックのようにただ褒めるのではなく、親御さん自身の実感や心を持って、子どもに接してください。『たし算ひき算 10マス計算ドリル 左利き用』杉渕鐵良 著/学研プラス(2019)■ 東京都公立小学校教諭・杉渕鐵良先生 インタビュー一覧第1回:先取り学習はこうやれば効果的。「就学前学習ってどうなの?」に“教育の鉄人”が回答!第2回:「ちゃんと宿題やりなさい!」に効果がない理由。子どもに“響く”声かけの方法とは?第3回:子どもを「読書好き」にするきっかけの作り方。国語力アップの決め手は家庭にある!(※近日公開)第4回:算数の力は“楽しく”伸ばす!地味で単純な「四則計算」を笑うほど面白いものにする工夫(※近日公開)【プロフィール】杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)1959年生まれ、東京都出身。東京都公立小学校教諭。小学校教諭となって7年目に子どもたちのやる気を引き出す独自の授業「ユニット授業」を開発。その成果により、「教育の鉄人」と呼ばれ、2011年には「ユニット授業研究会」を設立。若手教員の指導にあたる他、講演のために全国各地を飛び回っている。『小学校教師だからわかる 子どもの学力が驚くほど上がる 本物の家庭学習』(すばる舎)、『全員参加の全力教室2 燃える! 伸びる! 変わる! ユニット授業』(日本標準)、『1日1枚5分でできる 漢字パズル』(すばる舎)、『自分からどんどん勉強する子になる方法』(すばる舎)、『子どもが授業に集中する魔法のワザ!』(学陽書房)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月25日親であれば、訪れる前から気になるのが子どもの反抗期ではないでしょうか。すでに反抗期を迎えた子どもとの接し方に悩んでいるという人も多いはずです。そこで話を伺ったのは、アンガーマネジメントの専門家であり、「キレやすい子ども」をテーマにした著書も多い早稲田大学教育学部教授・本田恵子先生。反抗期とはいったいどういうものなのか?その意義も含め、反抗期の子どもとの接し方についてアドバイスをもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)子どもに訪れる3つの反抗期子どもの反抗期には大きく3つの段階があります。ひとつは3歳くらいで訪れるもの。いわゆるイヤイヤ期と呼ばれるもので、これは自我が出てきたことによるものです。もちろん、自我がなければひとりの人間としてきちんと成長していくことなんてできませんから、イヤイヤ期は親としては歓迎すべきものでしょう。次が10歳頃の反抗期。これはさまざまな試行錯誤をして創造力が伸びる時期だからこそ出てくる反抗です。この時期にはルールで縛りつけ過ぎないように注意しなければなりません。「こうしたほうがいいよ」と親の理想を押しつけると、お手本どおりの解答はできるけど、独自性がない子どもに育ってしまうからです。独自性がないまま育つと、作文を書くにも、綺麗だけど面白みはない、どこかの誰かが書いたような文章しか書けなくなる。「個性が大事だ」とよくいわれますが、そう願うのなら、この時期の子どもには思い切り自由に発想力や創造力を働かせてあげてほしいのです。そうさせるうち、子どもは自分で自分なりのルールをつくるようになっていくでしょう。最後が14、15歳で訪れる反抗期です。反抗期というと、一般的にはこの時期のものをイメージするでしょう。この時期の反抗は、親などの大人や世のなかの価値観に対する反抗で、それらに対して「なぜ?」と疑問を持ち、その解決を通じて大人になっていくわけです。そういう意味でも、とくに14、15歳の反抗期にある子どもには、自分としっかり向き合ってくれて「世のなかとはこうだ」と答えてくれる大人の存在が必要です。そういう大人に対して子どもは自分の論理をぶつけて話し合う。そうしていきながら、大人になるために重要な道徳性や倫理を学ぶのであって、反抗してあたりまえなのです。対立するふたりのあいだに仲介者が入る対立解消法先に10歳頃の反抗期には、思い切り自由にさせてあげることが大切だとお伝えしました。ですが、親からすれば子どもに反抗されるのですから、「話し合いが必要だ」という場合もあるでしょう。でも、14、15歳の子どもとはちがって、10歳の子どもの場合は言葉が未熟なので、自分の論理をきちんと表現できないということもあります。そういう場合には、誰かがあいだに入ってあげるという対立解消の方法があります。仮にお父さんと子どもが対立しているのなら、お母さんがあいだに入って仲介する。こういう親子間の対立の場合、よくよく見てみると揉めているのは「方法論」だけという場合もよくあるケースです。たとえば、「子どもの成績を上げたい」と、お父さんは「あの塾に行くべきだ」と主張しているとします。それに対して、子どもは「別の塾に行きたい」「通信教育を受けたい」と主張しているといった具合です。この場合、「成績を上げたい」という目標はお父さんも子どもも共通しています。そうであるのなら、仲介者であるお母さんが「目標は共通している」ということを指摘して、お父さんと子どもを向かい合わせることができますよね。子どもは親の思いどおりには育たないここまでですでにおわかりとは思いますが、反抗期というのは子どもの成長に欠かせないものであり、あってあたりまえのものです。逆にいえば、反抗期がなければ「うちの子は大丈夫かな」と不安になってしまうかもしれませんね。でも、なかには本当に穏やかに育って反抗期がないという子どもも存在します。それは、子どもの欲求を上手に親が受け止めていた場合です。そういうケースにあてはまるかどうかはともかく、反抗期がないからと不安になる必要はありません。ただ、代わりに自分の言動はつねにチェックしてほしい。大切なのは、子どもの意見をきちんと聞いているかということ。子どもがなにかをいいだしたときに、子どもの言い分を最後までさえぎらずに聞いているか。それだけは意識的にチェックしてください。なぜ子どもの言い分を聞くことが大切なのか。それは、子どもをひとりの人格を持つ人間として考えることの証明だからです。親が自分の思いどおりに子どもを育てようとするのではなく、子ども自身がどのように育ちたいのかということをちゃんと受け止めることが大切です。子どもというのは、親の思いどおりには育ちません。子どもは親とは遺伝子もちがいますし、子どもをめぐる友だちや学校などの環境の影響も大きく受けます。それこそ、ジャガイモという同じ材料であっても、それをコロッケにするのか肉じゃがにするのかを決めるのは子ども自身なのです。そういう意味では、きちんと「自分で決められる」子どもに育てることこそ親が重視すべきことだと思うのです。自分で選んで自分で判断する――その力を子どもにつけてあげることこそ、親にとっての大事な役割だと思います。『キレやすい子へのアンガーマネージメント―段階を追った個別指導のためのワークとタイプ別事例集』本田恵子 著/ほんの森出版(2010)■ 早稲田大学教育学部教授・本田恵子先生 インタビュー一覧第1回:子どもが「キレやすい」人間に育ってしまう、“絶対にNG”な親の振る舞い方第2回:意外と言いがち!子どもがますます反抗する、親のフレーズ3パターン第3回:「10歳の反抗期」に親がすべきこと。子どもは親の思いどおりには育たない!【プロフィール】本田恵子(ほんだ・けいこ)早稲田大学教育学部教授。中学、高校の教員を経験したあと、教育現場にカウンセリングの必要性を感じて渡米。アメリカにて特別支援教育、危機介入法などを学び、カウンセリング心理学博士号取得。帰国後にスクールカウンセラー、玉川大学人間学科助教授等を経て現職。学校、家庭、地域と連携しながら、児童、生徒を支援する包括的スクールカウセリングを広めている。2000年代からは、矯正教育の専門家を対象としたアンガーマネジメント研修の講師も務める。著書に『改訂版 包括的スクールカウンセリングの理論と実践』(金子書房)、『脳科学を活かした授業をつくる 子どもが生き生きと学ぶために』(みくに出版)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月23日子どもが成長してきて親と離れて行動することが増えると、事件や事故に巻き込まれないか、心配になります。ニュースなどで子どもが巻き込まれてしまったり、被害に遭った事件には心痛める人も多いことでしょう。今回は、不審者への対策についてのアンケート調査から、子どもたちの身の安全を守るために、親である私たちには何ができるのか、考えてみたいと思います。■不審者対策を子どもに伝えている親は7割アンケートでは、子どもに不審者の見分け方を教えているかどうか聞きました。その結果、「とにかく逃げる・ついて行かないように教えている」、「教えている」と答えた人があわせて69.8%となり、約7割が不審者への対処を子どもに伝えていることがわかりました。一方で、「不審者の見分け方がわからない」と答えた人も13.8%いて、その対策に難しさを感じている親も一定数いるようです。Q.お子さまに不審者の見分け方を教えていますか?とにかく逃げる・ついていかないように教えている 40.3%教えている 29.5%不審者の見分け方がわからない 13.8%教えていない 11.3%子どもに任せている 3.9%その他 1.3%■「逃げる、ついていかない!」これに尽きるのか?子ども自身が身の危険を感じた場合に、「とにかく逃げる、ついていかない!」と伝えているという4割の人たちの思いを聞いてみましょう。「『知らない人にはついて行かない』と教えてます。変だなって思ったら、防犯ブザーを鳴らして逃げるように伝えてます」(東京都 30代女性)「『お菓子をあげるからおいで』などと言われても近づかないのはあたり前で、それでもしつこく、手などを捕まれたりした場合などのとっさの対処の仕方、逃げ方を小学校に入学する前から教えています」(北海道 40代女性)「いきなり名前を聞かれる、道を聞かれて案内させるなど、自分の体験をもとに子どもに危険性を伝え、『全速力で人がいっぱいいる所や交番に逃げろ!』と教えています。相手はこちらの善意を逆手に取ってくるので、『知らない人には善意は持たないでいい』と、悲しいですが教えました」(神奈川県 30代女性)「『こういう人が不審者だよ』と、固定観念を植えつけるのも逆に心配です。知らない人にはついていかない、人通りが少ない所には行かない、何か起こりそうになったら大きな声を出して逃げる。これに尽きるかと思います」(神奈川県 40代女性)不審者への対策として、「ついていかないこと」「危ないと思ったらとにかく逃げること」、この2つは小学校でもよく言われていることですね。ただどんな人が不審者なのか。どんな行動が危険なのか。これを子どもが理解することはとても難しいだろうと思います。■「親以外は信用するな!?」不審者の見分け方に戸惑う親たちそこで「どんな人が不審者なのか伝えている」という意見を見ていきましょう。「最近は不審者だけに気をつければいい訳じゃないので、『不審な感じじゃなくてもついていかない』ように言ってあります!」(徳島県 30代女性)「子どもが遊びに夢中になっているときは、周りのことを気にもしていないので、一緒に公園にいるときに、親なりに注意してほしい人を、理由を伝えて教えます。怪しい人は、目の動きなど、人と違う行動をとるので、自然とわかるようになります」(茨城県 40代女性)「『基本的に親以外は信用するな』。親以外の大人と二人きりになるな。自分が少しでもモヤッと感じたら、その人からすぐに離れろ。知っている人でも、ご近所さんでも、仲良しの近所のおじさんでも一緒など、細かに教えています」(東京都 40代女性)「かわいいおもちゃや犬を見せてくれる人、ゲームの話やプレイをしてくれる人、あいさつしてくれる近所の顔見知りの人など、優しそうな人のなかにも悪い人はいるんだよということ。車に乗せようとする、一緒についてくる、どこかへ連れていこうとする 、すぐそばに近づいてくるという場合は逃げるようにということ」(東京都 40代女性)どの意見も、不審者がどんな人か断定するということではなくて、親の経験にもとづく情報や肌で感じる危機感によって、慎重に判断するよう促していることがわかります。このほかにも、「知っている人でも親の許可なくついていかない」という声もあり、面識のあるなしに関わらず、できるだけ広範囲の人に警戒するように伝えている親は多いようです。たしかに、これまで子どもが犠牲になった悲しい事件の中には、もともと面識のあった人や近所の人による犯罪もあるため、用心を重ねる親たちの気持ちにも、納得できます。また「顔だけで不審者だとは判断はしないように伝えている」という声も見られました。「夫が作業着で公園にいたら、不審者と間違えられた」など警戒しすぎたことによる誤解が招いたエピソードも複数あり、なかなか簡単に不審者を見分けることが難しい現状が伝わってきます。■「不審者の見分け方を子どもに教えない」その背景とは?「教えていない」、「子どもに任せている」と回答したのは、約15%の親たち。そして、「不審者の見分け方がわからない」と答えた人も、約14%という結果でした。あわせて約3割の人たちが、積極的に不審者の見分け方を教えていないという現状ですが、危機感を抱いていないというわけではないようです。「知っている人でも犯罪を犯す嫌な世の中ですので不審者の見分け方などどうやって教えて良いのかわかりません」(千葉県 40代女性)「娘は小学生の頃、知らない人に声を掛けられて逃げてきたことがありますが、パッと見ただけで怪しい人だって判断できた訳ではなかった」(神奈川県 30代女性)「『人を見かけで判断する』っていうことではなく、“不審な行動での見分け方”があるのなら学びたい」(鳥取県 40代女性)「娘が不審者に会いました。それまで、『知らない人に声をかけられたら逃げなさい』としか教えていなかったが、最近の不審者は不審者には見えない。また、『人には親切にしなさい』と教えているのに、『これからは疑って生きなさい』とも言えず、どうやって教えたらいいのか悩みます」(千葉県 40代女性)どうやら、多くの親は不審者への対策を教えたいが、どう教えていいかわからないという悩みを抱えていることがわかりました。たしかに、黒づくめの服にサングラス、怪しい行動といった“いかにも”の人だけが危ないわけではありません。どちらかというと、多く寄せられた「大人の自分でも不審者の見分け方なんてわからない」というのが本音だろうと思います。子どもにとって警戒心を抱かせない人、よく見かける人がじつは…といった場合には、親としてどう子どもにどう教えればいいのか本当に悩みます。じつは筆者も小学1年生になったばかりの子どもに、不審者に関する話をまだしていません。それでなくても、親と初めて離れて一人で行き帰りする登下校を、不安にさせたくないという気持ちもあります。そして、素直な気持ちで道行く人たちにあいさつをしている今の様子を見ると、はたしてその子どもの良さを奪ってもいいのかと、悩む気持ちもあります。人を信じ、親切にすることの大切さも教えたい、一方で、そうした子どもたちの善意を悪用した事件が起きているのも事実なので、悩みは深まるばかりです。■子どもの防犯対策、親子でできることは?それでは、子どもの安全を確保するために、親にできることとはどのようなことなのでしょうか。いくつか、コメントから得られたヒントをご紹介します。▼不審者に出会ったら店や家に逃げこむ「知らない人に話しかけられても、むやみに話をしない。ついてきたら近くのお店や家に入る」(福島県 40代女性)「子どもでは悪い人の見分け方はわからないので、とりあえずついていかない、追いかけられたら逃げる、それは教えています。もし追いかけられたら、どこでもいいから近くの家に逃げ込んで助けてもらうように言ってあります」(徳島県 40代女性)逃げると言っても、自宅や学校まで離れた場所で不審者に遭遇してしまう場合もあります。店や民家に逃げこむことができるという選択肢も教えてあげると、子どもも安心できそうですよね。全国的には「こども110番の家事業」という、子どもたちが事件や事故に巻き込まれないように、学校やPTA、町内会など地域の人たちが行っている活動もあります。事件に巻き込まれそうになったり、危険を感じた子どもが逃げ込んできたときに、安全に保護し、警察などの関係部署に連絡してくれます。<こども110番の家事業とは>「こども110番の家事業」に参加している家、参画しているお店(コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、郵便局など)にはステッカーが店先や玄関に貼られています。子どもには、「子ども110番の家」という役割、どんなことをしてくれるのかを伝え、通学路、散歩しているときなど、普段から子どもたちにステッカーが貼られているところを教えておくことも1つの子どもを守る策だと思います。万が一というときに子どもが行動できるかもしれません。ちなみに「子ども110番の家」ではこんなことを聞かれるそうです。もちろん焦っていたり、緊張していたりですべて話せる子は少ないでしょう。でも日常生活のなかで伝えておけば、心に少しだけでも留めておけるのではと思います。こども110番ってなぁに?「なにをはなしたらいいの?」●どんなことがあったのか●時間 場所●犯人(不審者)の年齢 身長 体格 髪型 服装●車 バイク 自転車等の乗り物 ナンバー 色●どちらの方向に逃げて行ったのか●自分の住所 名前 学校 学年 連絡先の電話番号警察官が来るまで「子供110番の家」の人が守ってくれますのでゆっくり落ち着いて話しましょう。出典: 静岡警察署 ▼不審者に出会ったときの対処法を細かく伝えておく「知らない人が道を訪ねたら『知りません』と答えてその場を去るよう言っています。あと、『お母さんがけがをしたから病院まで連れていってあげる』などと言われてもついていかないように言っています」(愛媛県 20代女性)「犬がケガをしているから一緒に助けて」といった子どもの純粋で優しい心を利用することも考えられます。具体的にどのように話しかけられるか想定して、対処法を細かく伝えるというのも、親にできることかもしれません。不審者がどのように近づいてくるかはわからないものの、よくあるケースを想定して子どもとやり取りしておくと、子どもにも伝わりそうですね。▼停まっている車の側は通らない「『停まっている車のすぐそばは通るな』と言ってあります。連れ込まれたりするかもしれないので」(神奈川県 40代女性)駐車している車に近づかないということは、簡単に伝えることができます。交通安全の面からも、停まっている車は突然動いて危険なので、普段から近寄らないことを徹底して教えたいところ。▼できるだけ一人で歩かない「とにかく知らない人は、見ない、近付かない、怪しいと思ったら、逃げる。できるだけ1人で歩かない」(千葉県 40代女性)筆者の子どもも小学校に入学してから、同じマンションの同学年の子たちと一緒に登下校しています。ただ、場合によっては、無理にだれかと一緒に行動するのは難しいこともあるでしょう。そうしたときも、子どもに普段から声掛けをして、できるだけ1人にならないように意識させておくことが大切かもしれませんね。▼子どもの行動をできるだけ把握する「子どもには『どこに出かけるか』は必ず言ってもらい、何時に帰るかも聞いておく。心配だと思ったら、親バカだと思われるかもしれないけど迎えにいく」(大阪府 40代女性)「1ヶ月くらい前に近所で不審者が出たので、ほぼ毎日迎えに出ています。何かあってから、私自身が後悔したくないし、子どもに嫌な思いをさせたくないので、できる限り迎えにいこうと思っています」(兵庫県 40代女性)子どもが大きくなってくると自立心も芽生え、親も安心感が根付いてくるため、どこまで子どもの行動を管理するかどうかというのは難しいところです。親自身の気持ちと、子どもの気持ちにもよるため、親子で話しながら、どのように見守るかそれぞれの家庭で個性が出るポイントかもしれません。▼対処法を一緒に考えて話し合う「子どもには『こういう人には気を付けなさい』とは教えていません。とにかく知っている人も含め、だれにもついていってはいけないと教えています。あとはいざ怖い目に遭いそうになったとき、遭ってしまった時の対処法を教えたり一緒に考えたりしています」(千葉県 30代女性)不審者への対策は、親自身も手探りで行っている現状がありそうです。子どもに降りかかる危険をすべて、親が取りのぞいてあげることは難しいかもしれません。ただ、パパやママにもできることはありそうです。おそらく、その対策法は子どもの性格や生活環境、親の仕事や祖父母の存在の有無など、各家庭によって大きく異なると思います。自分たちは子どもの防犯についてどのように対策をするのか、一度家族で話し合ってみるのもいいかもしれません。いつかは子どもも大人になり、自分でじぶんの身を守るすべを考える日が訪れますが、その日まで、しっかりと子どもたちを守ってあげたいですね。Q.お子さまに不審者の見分け方を教えていますか?アンケート回答数: 6453件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2019年05月19日子供にウソをつかれたら、親はショックですよね。子供が何度もウソをつくことに不安を感じて、叱った経験があるかもしれません。安心してください、子供はウソをつくものです。しかし、子供がウソをつくことに対して、親が何も対応をしないわけにはいきません。子供がウソをついたとき、親はどのように対応すればよいのでしょうか。今回は、子供のウソの種類と対応策について紹介します。子供はウソをつくもの子供はウソをつくものです。そもそも、大人ですらウソをつくのですから、子供がウソをつくことは自然なことですよね。臨床心理士の井上序子さんは、ウソをつく子供について次のように述べます。嘘をついたことがわかっても、嘘をつく悪い子というように性格に原因を求めるのではなく、「何があるのだろう」と考えてあげることが大切です。(引用元:大阪市|【第9号】「子どもの嘘~どう対応する?」臨床心理士・精神保健福祉士井上序子)その子の性格が悪いから、ウソをつくわけではありません。大切なのは、どうして子供がウソをつくのかという原因をわかってあげることです。では、どうして子供はウソをつくのでしょうか?ここからは、ウソの原因とそれぞれの原因に応じた対応策を3つ紹介します。子どもがウソをつく原因1:事実と空想の区別がつかない子どもがウソをつく原因の1つ目は、子どもが事実と空想の区別をつけられないことがです。実は、ウソは心理学的に高度な技術。したがって、子供がウソをつくようになったということは、それだけ子供が成長したということを意味します。井上さんは、子供の成長とウソの関係を次のように説明します。子どもは2歳半頃から嘘をつくようになります。これより幼い頃は、空想や願望を話すことはあっても、嘘をついているという意識はないことが殆どです。3歳頃になると自分の言っていることが現実とは異なっていることや、嘘をつく目的を意識できるようになります。違う見方をすると知能が発達しているということです。(引用元:同上)つまり、心理的な発達が不十分な2歳半までのウソに、「事実を偽ろう」という意識はありません。そして、成長すれば、事実と空想は区別できるようになります。なので、2歳半までの子供のウソに対して過度に敏感になる必要はありません。大人がしっかりと子供を見守って話を聞き、子供の言葉が空想なのか事実なのかを判断しましょう。子どもがウソをつく原因2:かまってほしい子どもがウソをつく原因の2つ目として挙げられるのは「もっとかまってほしい」という気持ちです。子供の中には、親にかまってほしいがためにウソをつく子がいます。具体的には、お腹が痛くもないのに痛いと言ってみたり、学校での出来事を実際より大げさに表現したりしてしまうのです。こうしたウソの原因は、子供とのスキンシップ不足。仕事が忙しくなると、ついつい子供との会話やスキンシップが減ってしまうかもしれません。また、妹や弟ができると、上の子にかまってあげられる時間が減ってしまうでしょう。すると、子供は寂しくなってウソをついてしまうのです。こうしたウソへの対応はシンプル。子供との会話や、スキンシップの時間をつくってあげるとよいでしょう。子どもがウソをつく原因3:自分の身を守りたい子供がウソをつく最大の原因は「自分の身を守りたい」という気持ちです。具体的には自分の失敗を「〇〇くん/ちゃんのせいで、こうなった」と、友達のせいにしたり、まだやっていないのに「宿題はやったよ」と言ったりするウソが当てはまります。こうしたウソを聞くと、ウソをやめさせるために厳しく叱ってしまいたくなりますが、それは逆効果。懲罰的な環境では、上手なウソをつく子供が育ってしまう可能性があるのだそう。心理学者であるTalwarさん(マギル大学)とLeeさん(トロント大学)の論文によると、西アフリカの懲罰的な学校に通う3〜4歳の子供たちは、懲罰的ではない学校に通う子供達よりもウソをつく傾向がありました。したがって、子供が保身のためにウソをついた場合は、子供を追い詰めるほど叱らないほうがよいのです。教育評論家の親野智可等(おやのちから)さんは次のような対処法を紹介します。子どもの愚痴、失敗談、要求、わがままなども、門前払いせずに、まずは共感的に聞いてあげましょう。もちろん子どもの要求に対して、最終的には「ノー」と断る場合もあります。でも、そういうときも、まず取り敢えずは共感的に聞いてあげることが大切です。このように共感的で寛容な親なら、子どもは親を信頼して安心して生きられます。ウソをつく必要もなくなり、正直になんでも言えるようになります。(引用元:親力|親が寛容なら子どもはウソをつく必要がなくて正直になる)どんな言葉でも、子供の言葉をまずはしっかりと聞いてあげるようにしましょう。そうすることで子供は安心して正直な言葉を話せるようになりますよ。***いずれのウソの場合も、常に厳しく叱ることはよくありません。まずはきちんと子供の言い分を聞き、冷静に「自分の身を守るようなウソはよくない」など、よくないウソが存在することを伝えてあげましょう。また、子供が3〜4年生になってくると、ウソに合わせて自分の行動を変えられるようになるため、ウソは見破りにくくなります。それまでに子供とウソについて話し合ってみるとよいかもしれません。文/村瀬裕一(参考)大阪市|【第9号】「子どもの嘘~どう対応する?」臨床心理士・精神保健福祉士井上序子親力|親が寛容なら子どもはウソをつく必要がなくて正直になるAll About|子どもにうそをつかせないための親の心得5カ条All About|嘘つきは泥棒のはじまり?子どもの嘘に気づいたらTalwar, Victoria and Kang Lee (2011), “A Punitive Environment Fosters Children’s Dishonesty: A Natural Experiment”, Child Development, Vol. 82, Issue 6, pp. 1751–1758.
2019年05月19日英会話にダンス、プログラミング、スポーツクライミングなど、親世代が子どものころにはあまりなじみのなかった習い事や遊びの数々。教育制度の改革で「やらせた方がよいのかしら」と思う一方で、自分に知識がないジャンルは、一歩踏み出しにくいですよね。でももしかしたら、子どもの「好き」や「得意」がそこに隠れているかも。未知のジャンルに飛び込むときの心構えとその世界、ちょっとのぞいてみました。自分が子どものころに経験しなかった習い事や遊びで子どもに“挑戦させた”もの、これから“させてみたいもの”は?(※複数回答)1位英会話…228人●英語に緊張しないようにと思って始めましたが、狙い通りになっています。(39歳・4歳児のママ)2位体操…179人●幼稚園のお遊戯でもひときわ目立ち存在感があります。曲が流れると勝手に踊り出し、「創作」ができるように。(42歳・5歳児のママ)3位ダンス…167人●できないことに何度も挑戦する意欲が身に付き、集中力が上がりました。(33歳・4歳児のママ)4位プログラミング…153人●打ち込むのにアルファベットが必要なので、自分でアルファベットを書く練習も始めました。(42歳・4歳児のママ)5位空手…95人●マナーや礼儀、気遣い、力を付けることの目的などを学べています。(33歳・6歳児のママ)※アンケートは2019年2月6日~3月5日、あんふぁんWebで実施。(有効回答数503)挑戦させるときの考え方ママが経験したことのない習い事や遊びにトライさせるときの心構えやポイントを、コーチングのプロ・谷亜由未さんに聞きましたQ 親が教えられないことを習わせても大丈夫?A 分からないことを教えてくれるのが「先生」です親が教えられないからこそ「習い事」。子どもが分からないことは、先生に聞けば良いのであって、それを心配する必要はありません。一方、「分からない」ことは、今やインターネットや書籍でいくらでも調べられます。「分からない」という思い込みの枠の外し方は簡単ですよ。Q 将来、役に立つかを考えるべき?A 生活力と結び付けてはダメ親は「将来、それでお金を稼げるかしら?」と生活力に結び付けて考えがちですが、やりたいこと、好きなことは、その人にとって「生きる喜び」につながります。「将来」のゴールを就職で考えるのではなく、その後の子どもの人生まで見据えて、長いスパンで考えて。Q いつまで続けさせるべき?A 子どもの「続けたい」を優先しましょう「やりたい」「好き」が見つかったら、子どもは「続けたい」というサインを出すもの。「まだ始めたばかり」「これをやらせたい」という親の執着心は捨て、次々と新しいことに挑戦させましょう。「コレだ」というものを早く見つけさせることこそが、大切だと思います。Q させてみたいことが近所でできませんA まずはネットワーク作りを今はインターネットで誰とでもつながれる時代。都会で刺激を受けさせたいと思う人もいれば、田舎で思い切り走り回らせたい、と考える人も。情報を多く持つ信頼できる人とつながることができれば、そのネットワークから情報を得たり、相互に行き来をすることも可能に。価値観に縛られず子どもを信じて「応援する」これからは、何が生まれるか分からない時代。AIが発達すれば、仕事は減り、“遊びの時代”が来るといわれています。どこに住み、何をするかも自由。親は、いろいろな世界を子どもに見せてイメージを広げさせることが大切になってきます。「こうなってほしい」と願うのはいいけれど、その通りにはなかなかなりません。子どもは、思いもよらないものにハマることも。これまでの価値観に縛られず、子どもを信じて、応援しましょう。お話を聞いた人:谷亜由未さんプレシャス・マミー代表取締役会長。学習教室の運営を経て、2006 年に起業。コーチング、インプロを使った企業研修のほか、PTA セミナーや子育て講座で講演。子どもが塾なしで東京大学に合格したのを機に、子育てのノウハウとコーチングをミックスしたプログラムを確立。2010 年同社を設立。ママの人生を考えるセミナーや講演に飛び回るイラスト/柴田ケイコ「分からない」から『一緒にやってみます』来年度から小学校でスタートのプログラミングプログラミング教室に親子で参加した関根玲美さん(30歳)と奏輔くん(4歳)。ゲームを楽しんだ後、教えられた通りにタブレットの上をスイスイと指を走らせる奏輔くんに、玲美さんはびっくり。「私は頭が固く、教えるなんて想像もできません。でも、一緒にトライしてみたら意外と私も夢中になれました」豊かな発想力を育み、人としても成長できる「冷蔵庫に象さんを入れる方法を考えてみましょう」。プログラミング教室ではじめに出された課題、あなたならどう答えますか?「絵を描いて入れる」「漢字を置き換えて“冷象庫”にする」どれも正解。このなぞなぞのような問いに答えるには、思考力が必要です。「プログラミングを学ぶことで、このような“思考力”が鍛えられます」と親子で一緒に学べるプログラミング教室「ファミプロ」を主宰するSunQの代表取締役社長・斉藤靖さんは話します。2020年度(2021年1月)から大学入試センター試験が廃止。記述式問題が増加し、論理的思考力が重要視されるように。「物事を教えることが中心の教育の時代から、自ら学んで問題を解決し創造する、イノベーションを起こせる人を育成する時代に。ゼロから生み出すだけではなく、もともとあるものを組み合わせるのもイノベーションです。豊かな発想力や想像力を持つ人が、AIの時代で勝てる人材と言われています。プログラミングという未知のものを通して、チャレンジする力や成功体験、達成感を味わって、人間としても成長していけるのではないでしょうか」(斉藤さん)また、親が興味を持って一生懸命トライする姿を見せることで、子どもの刺激にも。「分からない」「知らない」ではなく、一緒にやってみようという気持ちも大切なのかもしれませんね。奏輔くんがドローンに目を輝かせる一幕も。この後、ドローンに「上昇して空中で止まり、下降する」というプログラミングを施し、成功しました取材協力/ファミプロ「分からない」から『見守っています』オリンピックの新種目としても注目のスポーツクライミングボルダリングに出合い「これだ!」幼いころから体操や木登りが大好きだったという平野夏海さん。現在は、スポーツクライミングの代表選手として、国内外で活躍する日々です。小学校4年生のときにバラエティー番組でボルダリングを見て「やってみたい」と思い、ジムで体験したのがきっかけ。夏海さんは「これだ」と思い、お母さんの美奈子さんは「好きならやってみたら?」と後押ししたそう。「幼稚園入園前は運動が得意ではなく、心配していたので、幼稚園の体操教室に入りたいと言い出したのはうれしい驚きでした。『やりたい』と言い出したのを“今度ね”と言わず、すぐにやらせたのが良かったのかもしれません」。口出しできないからこそ良かったスポーツクライミングは、美奈子さんにとっては未知の世界。「分からないことは、同じクライマーや先生に相談させ、私はそばで見守るだけです。私の子どもですが、私と同じではありません。私の視野にはないものが、本人には見えているのかも。経験者なら口出ししたくなる場面でも、私にはできません。でもそれが、かえって彼女にとっては良かったようです。私は、本人が一度『やる』と決めたことを応援するだけです」とニッコリ。「ボルダリングは、他のスポーツと違ってやることが決められていない。自分の頭で考えるのが楽しいし、達成感があります」と、夏海さん。「目標は、ワールドカップでボルダリングとリードの両方で優勝すること」。そんな夏海さんの挑戦を、美奈子さんは頼もしそうに見つめます。※スポーツクライミングには、登る速さを競う「スピード」、登り切った回数を競う「ボルダリング」、登る高さを競う「リード」の3種目があります撮影/盛田ちふみ平野夏海さん2002年東京都生まれ(16歳)。10歳からボルダリングを始め、11歳から選手として大会に出場。「アジアユース選手権2018」では、ボルダリングとリードで優勝など多くの大会で入賞し、第4期JMSCAオリンピック強化選手に選出
2019年05月15日子どもが大きくなってくると、少しずつ社会性を身に付けていって子ども同士の関わりが増えていきます。その関わり合いのなかで、ときには子ども同士が喧嘩することもあるでしょう。そんなとき、親としては関与すべきかどうか、するとしてもどこまで関与すればいいのか、悩ましいところです。今回は、子ども同士の喧嘩について考えてみたいと思います。■子どもの同士の喧嘩。「親子で話し合う」が6割アンケートでは、子ども同士の喧嘩にどこまで関与するか聞きました。その結果、「子どもと話し合う」と答えた人が6割となり、子どもと話し合って解決を促している親が多いとがわかりました。また、「学校・園の先生などに話を聞く」、「相手のお子さまや相手の親と話し合う」と答えた人も2割を超えていて、親以外が介入する場合もあるようです。Q.お子さま同士の喧嘩…どこまで関与する?お子さまと話し合う 60.0%学校・園の先生などに話を聞く 22.4%関与しない 8.0%相手のお子さまや相手の親と話し合う 5.4%その他・わからない 4.2%一方、「関与しない」や「その他・わからない」と答えた人はあわせて約12%にとどまり、9割近くの親が何らかの形で子ども同士の喧嘩に関わっているようです。■「まずはわが子の話を聞く」その裏にある親の思いは?6割の親は、まずは子どもと話し合うと回答しました。その思いはどんなところにあるのでしょうか。「口を挟まず、まずはわが子の話をじっくりと聞きます。そして信じてあげること。親子の信頼関係がちゃんと築けていると、子どもは悪い事も含め正直に話してくれます」(千葉県 40代女性)「話を聞くことは大切。ただ、言い分を100%信じたり偏った見方をしたりはしないように心がけています」(千葉県 40代男性)「普段からの子どもの様子を見て少しおかしかったら話しかける。または向こうから話しかけてきたらじっくり聞いてあげる」(茨城県 40代女性)親がまずしていることは、「子どもから事情を聞く」ということ。とくに小さいうちは、「親に自分の気持ちをわかってほしい」という気持ちも強いように感じます。だから気持ちに共感したり、ただ話を聞いてほしいだけということも多いかもしれません。このほか、「“おはよう、ごめんねをセットにすると素直に謝れるよ”などとアドバイスする」、「子ども同士で解決できそうなら首を突っ込まない」という意見もありました。もちろんそれでは解決しないこともあるでしょう。親としては、その話の内容を踏まえて、その次にとる対処の仕方を決めているようです。子どもの話だけを聞くと、「うちの大切な子が…」と、つい守りたくなってしまう気持ちが沸きあがるのはどの親も同じ。ただ、そうなると喧嘩の本質や解決は難しくなってしまうときもありそうです。子どもの話だけを無条件に信じるのではなく、客観的な視点をもつことも親には求められているように思います。ただ、子どもの年齢や性格によっては、子どもから喧嘩の内容を話してくれないことも。普段と様子が違っていたら声をかけるなど、子どもだからと言って無遠慮に聞くのではなく配慮も必要となってくるようです。■「学校に中に入って欲しい」親が期待していること喧嘩になったら、子ども以外に話を聞ける相手として、子どもの通う保育園や幼稚園、そして学校の先生たちがまず頭に浮かびますよね。さらには、当事者である相手の子どもや親と話し合いをするという人もいるようです。まずは喧嘩について園や学校に話を聞くという親たちの声を聞いてみましょう。「子どもの喧嘩に親が入ると、親同士でこじれる。子どもの受け止め方や相手の意見も聞くため先生に中に入ってもらいました。子どもの言い分と相手の言い分は違うことが多いので」(宮崎県 50代女性)「わが子はやられる方で、帰り道にカバンを引っ張られることが続いたので、学校の担任へ連絡をしました。次の日、担任からその子へ注意してくれておさまりました。まだ1年生なので、小さい事でも耳を傾け対処できることはしています」(北海道 40代女性)「息子が幼稚園のとき、3~4人のグループからいじめられていました。ある日顔に大きな傷をして帰ってきました。そこで幼稚園の先生に、『息子も含めて園児たちの行動を良く見てほしい』とお願いに行きました」(千葉県 50代男性)「子どもの話を聞いて、場合によっては先生に報告します。嫌なことを言われてからかわれたのが、本人にとってはとてもつらかったようです。先生方も、すぐに対処してくれて本当に感謝の気持ちで一杯でした」(福島県 40代女性)どの親も、いきなり園や学校へというよりも、事実を把握したあとで学校に事情を聞き、関与の必要があればお願いするという対応をとっているようです。「親が介入することで問題を大きくしてしまうのではないか」、「でも子どもだけでは解決は難しい」といった揺れる思いを抱えた親たちが、園や学校に対応を希望しているという状況がわかります。そのほか、「子どもの話は聞くが、自分に都合の悪いことは言わないし、話も曖昧(あいまい)なので、学校や園に状況を聞く」という声もありました。子どもがまだ幼い場合や、本当のことを言っているかわからない場合に、先生たちの助けを得たいと考える親は多いようです。実際に筆者の小学1年生の長男が、弟と兄弟喧嘩をしたときに自分に都合のいいように嘘をつくことが最近あります。それも成長の証、そうした知恵がついてきたのだなと思います。しかし反面、友だちと喧嘩になったときには注意して様子を見なければと思いました。自分の子どもの言葉を信じたい気持ちはもちろんありますが、「一度先生の意見を聞いてみる」もモヤモヤを抱えたままよりは、ひとつの策として有効かもしれません。■喧嘩した相手の子や親との話し合いで解決するためにはまた、なかには喧嘩相手の子どもやその親と直接話をしたという方もいました。「喧嘩した子同士に話を聞いてから、親としてアドバイスを出してあげる。解決しないときは、お互いに謝らせる」(北海道 40代女性)「子どもは嘘をつくものです、そして素直です。基本的に“喧嘩は両成敗”と思っているので、相手と相手の親も交えてみんなで話をするべきだと思います。 親なら『自分の子どもがされたこと』だけでなく、『してしまったこと』も知っておくべきだと思います」(徳島県 30代女性)「親がすぐに出て行ってもわからないことばかりなので、両方の話を聞いてから考えます! 子ども同士の話し合いも大切だと思うし、仲直りがしたければ話し合いのなかで、素直に“ごめんなさい”と言う言葉が出ると思います。だから見守る気持ちも大事だと思います」(神奈川県 30代女性)多かったのは、「自分の子どもと相手の子どもの両方の意見を聞いて、解決に導く」という声でした。相手の親子との関係によってはそれができない場合もありますが、普段から交流があれば、そうした機会を持つのもひとつの選択肢ですよね。お互いに言い分は違っていても、意見をすりあわせることができていけば、仲直りに向かう道しるべとなるかもしれません。■「子どもの喧嘩は子ども同士で解決」関与しない親たちの思いとは一方、子ども同士の喧嘩には関与しないという親の声も寄せらました。「木の上から立って見ると書いて“親”です。のこのこ木の上から降りて手をかけるような真似はしません。話くらいは聞いてあげます」(埼玉県 40代男性)「子ども同士の喧嘩は、子ども同士で解決させる。それも勉強です。何でもかんでも親がしゃしゃり出て解決しないと困るようじゃ、情けない」(北海道 40代女性)「基本子どもの揉め事には関与しません。『手を出されても、自分から出すことは絶対しない』ということだけ徹底しています」(鹿児島県 30代女性)「子ども同士の喧嘩は、自分たちで解決するようにさせています。大人が関わると話が大きくなったり揉めたりするし、大人にばかり頼ってしまうと困るので。自分で考え解決できる力を身につけてほしいです。その後のフォローはきちんとします」(石川県 40代女性)関与しないという親も、その多くが子どもたちのために、「あえて喧嘩に介入しない」と決めていることがわかります。また、基本的には関与しないが、「内容や年齢、怪我の度合いや相手の親による」という声もありました。けがをしたり、させてしまった場合、相手の親が介入してきた場合などは、対処法を考えるという親もいるようです。また、「子どもの社会が構築されているところに親が出ていくと、子どもが迷惑する」という声も寄せられていて、子ども自身の生きていく道をあえて邪魔しないという考えをもとに、喧嘩の行く末を見守る親の愛情が感じられます。■「いじめ」と「喧嘩」の違いは? 親はどう関わればいいのかさまざまな意見が寄せられた、子どもの喧嘩にどこまで親が介入するかという今回のテーマ、正解はあるのでしょうか。「いじめと喧嘩は別物です。喧嘩や子ども同士のトラブルだったら、まずはわが子の話を聞いて、その上で学校担任へその日のうちに電話して、相手の子にも事情を聞いてくれるようお願いします。いじめだったら逆に最初から親が入らないと解決しません。ただ、いずれにせよ冷静に対応しないと。わが子を信じることも大事ですが、相手の子の話も聞かないで自分の言い分ばかり押し付けてはいけないと思います」(山形県 40代女性)「基本は子どもの話を聞きながら、そっと怒りを鎮めたりアドバイスをしたりして、極力本人が解決できるように後押しですね。話を聞くだけだと、“自分が100%正しくて間違っていなかった”と、思い込んでしまうからです。また、親同士は、普段から話しやすいように顔を合わせたら挨拶をして、雑談できるくらいに心掛けています。これも何かあったときに相談や話し合いをしやすくするためです」(神奈川県 40代女性)「子ども同士の問題は、子ども同士で解決できるようになるのが一番いいと思います。ただ、トラブルがあったときには、わが子以外からも情報を集められるように注意しています。普段から、子どもの友だちや、お母さんたちとも気軽に話せる関係をつくっておくこと、わが子がほかの子に何かしてしまったときには、些細なことでも早めに相手に連絡を取っておくように心がけています。『こんな事があったみたいなんだけど、聞いてる~?』などの事実確認をすることで、双方の情報を共有できたり親同士で子ども同士のやりとりを見守ることができると思います」(北海道 40代女性)ここまで、子どもの喧嘩への親の関わり方について考えてきました。さまざまな声が寄せられていて、同じ親とはいえ、いろいろな価値観が存在しているのだと実感させられます。まずはそうした価値観の多様性を認めたうえで、子ども同士の喧嘩をどう受け止めてあげればいいのか考える必要性がありそうです。また、喧嘩に関与する場合には、「喧嘩の当事者はあくまでも子どもたち」というスタンスを持つことが必要ということがアンケートのコメントから伺えます。子どもがどう解決してほしいと願っているのか、また親が出る場面なのかなどは、慎重に見定めることも大切な要素なのかもしれません。ただし、喧嘩といじめはあくまで別物。いじめだったときは、さらに慎重に、でもできるだけ早く、子どもが親の助けを必要としているかどうか、学校に相談に行くかなど見極めないといけないでしょう。子どもたちが今後社会に出ていくとき、意見が異なる人、嫌なことをする人にはきっと出会うでしょう。そんなときにどう解決すればいいのかを子ども時代で学べていることも、大人になって対処するときに役立つと思います。スルーしてやりすごす力、自分の気持ちを言う力など、対応は子どもの個性によっても異なるでしょう。社会に子どもを送り出すために何ができるかは、親としても大事な課題となりそうですね。どのレベルであれば親は関与した方がいい、もしくはそもそも介入するべきなのかは、はっきりとした答えは導き出せないのだろうと思います。でも喧嘩になる、ならないといった状態の前から、子どもに寄り添うこと、何かあったときは相談体制が取れるということを感じていてもらうことが、普段から親にできることなのかもしれませんね。Q.お子さま同士の喧嘩…どこまで関与する?アンケート回答数: 10932件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2019年04月28日「子育ては完璧じゃなくていい。毎日ご飯を作る余裕なんてないから、お惣菜や出前の日もある。でも、それでいいと思うんです。子どもたちが思っているほど親は立派じゃないということを見せることも大事。私はいつも “そのままの私” で体当たりしてきました」と語る小川菜摘さん。2人の息子さんもそれぞれ成人し、ようやく子育て一段落。改めて、駆け抜けた日々を振り返り子育てのお悩みに答えます。【読者からのお悩み】担任教師からいじめの標的になっている息子。親は何ができる?息子が通う中学校の担任が息子を目の敵にしていて、息子に対してだけ高圧的な態度をとるそうです。ついには学校に行きたくない、と言うようになりました。なにか特別な理由があるわけでなく、「返事の仕方が生意気だ」「目つきが悪い」など、ただのいじめの標的のような感じになっています。学校にかけあったのですが、部活の顧問としても実績があり、校長先生その他からとても尊敬されているせいか、とりあってもらえません。転校させるしかないのでしょうか?【小川さんからのアドバイス】心を病むほど無理はさせないで。ときには逃げたっていいんです。[ 画像が省略されました ]先生がいじめのような態度を取るなんて……心配ですよね。先生や学校側がどうお考えなのかがわからず、回答が難しいお悩みなのですが、学校にかけあってもどうしても改善されないのであれば、私が相談者さんの立場だったら転校させると思います。今通っているのが私立中学か公立中学かわかりませんが、いずれにしても「どうしてもこの学校でないといけない」という理由はないと思います。いじめによる自殺がたびたび報道されています。最悪の場合……想像したくもないことですが、心を病んでしまう環境に居続けることは息子さんにとってダメージが大きいかと思います。学校ってそこまで無理やりがんばって行く場所ではないと思うんです。ほんとうに辛かったら、我慢しなくていい、逃げたっていい。公立中学であっても、自治体に相談すれば隣の中学に越境通学できる場合もあるようです。越境できなければ引っ越さなくてはならないため、お金がかかるという問題も生じますが、でも、何よりもまず息子さんを守ってあげてほしいと思います。ただ、その前に、やはり息子さん以外の人からも話を聞く必要がありますね。たとえば同じクラスのお子さん数人から様子を聞くことはできるでしょうか?決して、息子さんのことを疑っているわけではありませんが、事実確認をするためにも、お子さんの言い分だけを聞くのではなく事実を俯瞰してみることも必要かもしれません。私も過去に、事実とはまったく違うのに「うちの子だけ仲間はずれにされている」とクレームを入れた親御さんを間近で見たことがあり。複数の意見を聞いて事実関係を明らかにすることは、先生の責任を問う上でも必要なことだと思うんです。私が相談者さんの立場であれば、まずは複数の生徒から話を聞く、その結果をもって改めて学校に訴える、それでも学校側が改善しようとしなければ転校させる、という順序で動くと思います。最近の小川さんおニューの豹柄スニーカー!!ヘビロテ決定!笑PROFILE26歳で結婚、28歳で第1子、31歳で第2子を出産。小川菜摘Natsumi Ogawa東京都出身。1978年『ゆうひが丘の総理大臣』でデビュー後、文学座演劇研究所入団。数々のテレビドラマや映画に出演。Photo:Reiko TohyamaText:Yukiko AnrakuComposition:Shiho Kodamaあなたのお悩み募集中!2人の男の子を育て、家事に、仕事にと奮闘した経験を持つ大先輩である小川菜摘さんに「親にも話せない悩みをこっそり相談したい」「自分では解決できない悶々とした感情を諌めることができない」などなど、心に引っかかっていることについて小川さんと一緒に考えてみませんか?※子どもの性別、年齢は問いません。※子どもが生まれてからの夫婦間のお悩みや、親との関係性など。※お母さんだけでなくお父さんからのお悩みも募集中です。お問い合わせありがとうございます。
2019年04月27日我が子の成功を願わない親はいません。ただ、ひとことで「成功」といっても、解釈は人それぞれでしょう。認知科学の専門家で、人の学習について研究をしている慶應義塾大学環境情報学部教授の今井むつみ先生は、成功とは「自分で自分が幸せだと思えること」と定義づけます。そして、自らを成功に導くには、「言葉の学習を通じて思考力を高める」ことが重要だと語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)子どもの言語学習には学びのエッセンスがたくさん詰まっているまずはわたしが行なっている研究内容についてお伝えします。専門としている「認知科学」は取り扱う分野がたいへん広く、人に関する科学的な研究のすべてともいえます。なかでもわたしがいちばん関わってきたのは、「人の思考や知識の在り方」、そして「学習」です。たとえば、脳のなかに知識はどういうかたちであるのか、知識というのは学びによってどう変わっていくのか、といったことです。その問題に実証的にアプローチするために、主に「子どもの言語の学習」を中心に据えて研究しています。なぜなら、子どもが言語を学習して自分のものにしていく過程には人の学びのエッセンスが凝縮されているからです。大人が外国語を学ぶ場合、「教えてもらう」「覚える」ということが基本ですよね。でも、赤ちゃんが言葉を覚えるプロセスはまったくちがう。大人が話している言葉を理解できないところからはじまり、入ってくる刺激を分析し、大事なことを発見していく。それこそが、学びの純粋なかたちといえます。子どもの言語の学習を研究することで、大人の学習にとってもすごくたくさんの示唆を得られるのです。思考力育成にシフトしつつある学校教育では、本題に移りましょう。親であれば、誰もが子どもの「成功」を願います。でも、その「成功」とはどんなことでしょうか?これは、科学的観点ではなく、人としての視点からの考えになりますが、成功とは「自分で自分が幸せだと思える」ことではないでしょうか。たとえば周囲からはうらやましがられるようなセレブであっても、本人が幸せだと思っていなければ、成功しているとはいえません。世間の基準ではなく、あくまでも自分の主観で幸せだと思い、自分に価値や意味を見出すことができる。また、自分がしていることをもっと深めていきたいと思えて、それが楽しい、生きがいだと思える人こそ成功しているといえるとわたしは考えます。子どもを成功する人間に育てるには、あたりまえですが教育が重要となります。いま、日本の公教育は過渡期にあるように感じます。有名大学に入って大企業に就職するというような古い成功モデルをまだ持っている人も少なくないですが、それに疑問を持ちはじめている人も増えているように思うのです。わたしがかかわっているある自治体の学校では、全国学力調査の結果ではなく、「どれだけ本質的に子どもが深く学べるか」といったことを重視し、教育改革をおこなっています。学力を測るためのアセスメント、評価基準として、「覚えただけの知識」を問うのではなく、思考力を問うようなものをつくっています。そのアセスメントは、子どもの順位づけをするようなものではありません。子どものさまざまな資質を多角的に見ると同時に、資質同士がどのように関係して子どもの思考力、学力をかたちづくっていくのかを理解するためのものです。思考力を高めるためには知識も重要多くの人は、思考力と言葉の力は別物と考えていると思います。しかし、認知科学、学習科学の研究の成果は、言葉の力が思考力の発達に大きな役割を果たしていることを示しています。言葉こそ思考の道具、思考するためにいちばん重要なものだからです。しかし、誤解しないでほしいのは、言葉が大切だといっても、ただ闇雲に語彙のサイズを大きくする、つまり知っている単語の数を増やせばいいわけではありません。子どもは言葉の学習を通じて考える力を高めていきます。言葉の理解のプロセスには思考が存在します。人が知らない言葉に出会ったとき、人はその言葉が使われた文脈にある知っている言葉を手掛かりに、この新しい言葉は「きっとこういう意味だ」という推論をする。その推論の連鎖によって、はじめて新しく出会った言葉の意味を知るのです。つまり、子どもが新しい言葉に多く出会うことは、たくさんの推論の連鎖を経験し、推論力、思考力を深めるということに他なりません。周囲にただ教わるのではなく、自分で意味を見つけた言葉をたくさん知っている子どもというのは、持てる知識を使って、新しい知識を生み出す練習、経験を重ねているということになるのです。これからの時代を生きていく子どもたちは、そういった経験を重ねて思考力を深めておく必要があります。というのも、いまの社会は10年後にどうなっているのか、なにが主流になっているのかが誰にもわからないからです。いま現在主流のものを覚えても、それが10年後に使える保証はありません。とはいえ、誤解してほしくないのは、決して知識が不要というわけではないということです。新しい言葉の意味を推論によって知るプロセスにもいえることですが、新しい情報に注目するにも、いま持っている知識というフィルターをとおしておこなうからです。知識は必要です。でも、さまざまなことをただ覚えただけでは意味がありません。知識をどう使って新しい知識をつくり出していけるか、ということが大切なのです。まさにいま現在、過渡期にある日本の公教育ですが、それこそ学びの基本的な姿勢がつくられる幼稚園や小学校の学習は、そういう視点でのものが中心になっていってほしいですね。『科学が教える、子育て成功への道』キャシー・ハーシュ=パセック、ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ 著今井むつみ、市川力 翻訳/扶桑社(2017)■ 慶應義塾大学環境情報学部教授・今井むつみ先生 インタビュー一覧第1回:我が子の「成功」を願う親が、絶対に伸ばしてやるべき子どもの“力”第2回:小さな子どもが喜ぶ「デジタル絵本」に、実は“学びの効果”は期待できない(※近日公開)第3回:「コミュニケーション能力を重視しすぎ」な親が、犯しかねない過ちとは(※近日公開)第4回:家庭での学びが「アクティブ」で「プレイフル」になる、いちばんの方法(※近日公開)【プロフィール】今井むつみ(いまい・むつみ)慶應義塾大学文学部西洋史学科卒、慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了、ノースウェスタン大学心理学部博士課程修了。1993年より慶應義塾大学環境情報学部助手。専任講師、助教授を経て2007年より教授。専門は認知・言語発達心理学、言語心理学。とくに語彙(レキシコン)と語意の心のなかの表象と習得・学習のメカニズムを研究している。著書に『学びとは何か――<探求人>になるために』(岩波書店)、『言葉をおぼえるしくみ 母語から外国語まで』(筑摩書房)、『ことばの発達の謎を解く』(筑摩書房)など。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年04月25日