こんにちは。教育ライターのyossyです。近年、奨学金制度に関する報道を新聞・ニュース等で見かけることが増えました。学生時代に学費が払えずに貸与型の奨学金を利用したけれど、卒業後も返済ができずに苦しむケースが増えているというのです。では、どうして困る若者が増えているのでしょうか。その背景や、検討中の新しい奨学金制度に関してご紹介します。●奨学金問題が起こっている背景に子どもの貧困&雇用の不安定日本の学費は世界的にみても比較的高い水準にあると言われています。しかし、平均給与は下がっており、子どもの貧困が問題になっている状態。「大学まで行って学びたい」と思うと、重い負担を強いられることになるのです。教育費に困ったときに、まず思い浮かべるのが「奨学金制度」ですよね。特に、日本学生支援機構の奨学金が有名です。文部科学省によれば、実に学生等の約4割が利用している とのこと。奨学金には一部に給付型(返済の必要がないもの)もありますが、多くの人は貸与型(返済する必要があるもの)を利用しています。しかし、近年非正規雇用者が増加していることも問題になり、雇用が不安定。誰もが「卒業して働き出せば返せる」という時代ではなくなってしまいました。日本学生支援機構によれば、平成26年度末時点で、1日以上返済を延滞している人は全体の約9%。延滞のきっかけが家計の収入低下や支出増加である場合が多く、継続して延滞している理由として“本人の低所得”を挙げる人が半数以上います。少しでも状況を打開するため、日本学生支援機構は大学別に未返済率を公表することも発表(2017年度より)。奨学金返済に関して物議を醸しているのです。●所得に連動して返済額が変わる? 新たに導入が検討される奨学金制度のポイントこういった状況をふまえて、国は新たな奨学金制度の創設を検討しています。マイナンバー制度が導入されたことも手伝って、いわゆる『新所得連動返還型奨学金制度 』に関する議論を重ねているのです。いったんは、平成29年度の無利子奨学金新規貸与者から導入することを目指しています。しかし、現在でも一定の条件を満たせば、・家計が厳しい世帯の無利子奨学金を受けている学生が、卒業後に一定収入を得るまでは返済期限を猶予する制度(所得連動返還型無利子奨学金制度)・返済額を減額して返済期間を延長する制度(減額返還制度)などの救済措置があります。これでは不十分なのでしょうか?『所得連動返還型無利子奨学金制度』と『新所得連動返還型奨学金制度』は名前が似ていますね。何が違うのか、ポイントをみていきましょう。●(1)『所得連動返還型無利子奨学金制度』(現行制度)・年収300万円を超えると、収入に関わらず一定額で返還開始(一部控除あり)・学生時代の世帯(主に父母)が低所得の場合のみ適用される●(2)『新所得連動返還型奨学金制度』(平成29年度より導入が検討されている制度)・学生時代の世帯の所得状況は関係しない・所得が一定額を超えるまでは最低返還月額の2,000円を返還・一定額を超えると、所得に応じた返還額とするこれまでは、世帯の収入(主に両親の経済状況)によってそもそも適用にならないという人もいました。新制度が開始すれば、本人の経済状況のみで返済額が決定される ようになります。また、年収300万円というラインを少し超えただけで、「家計が苦しいのに定額返済しなければいけない」という状況が改善されるというわけですね。----------新制度はまだ検討中で、解決しなければいけない問題も多くありますが、困っている学生や卒業後の若者たちが、少しでも楽になってほしいものです。【参考リンク】・新たな所得連動返還型奨学金制度の創設について(第一次まとめ) | 文部科学省()・平成26年度奨学金の返還者に関する属性調査結果 | 日本学生支援機構()●ライター/yossy(フリーライター)
2016年04月30日こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。平成27年4月からスタートした『子ども・子育て支援新制度』のことはご存じの方が大半だと思います。この制度の中にはさまざまな種類の支援がありますが、中身を詳しく知っている人や実際に利用したことがあるという人は少ないのではないでしょうか。“子ども・子育て支援制度”には、一時預かりや妊婦健康診査などのサービス以外にも、“ファミリー・サポート・センター”もあります。こうした支援制度を知っておくことで、孤独になってしまいがちな子育てママの心の支えになるはずです。●地域によってさまざまな子育て支援サービス自治体によって、子育て支援サービスの内容には差があります。そうなってしまう理由は、『計画および実施の主体は自治体にあるが、制度自体は義務ではない』ということにあります。そのため、子育て支援を積極的に行っている地域とそうでない地域があるのです。しかし、その地域に住んでいなくても、近隣に住んでいるママなら利用できるという場合もあるので、自分が住んでいる地域だけでなく近隣の支援サービスにも目を通しておくようにしましょう 。地域で行われている支援の一部をご紹介します。・公共施設での“子育てひろば”の開催(青森市)・役所内に“子育てコンシェルジュ”がいる(千葉市)・NPO法人の訪問支援(役所が委託)(大阪府熊取町)・臨床発達心理士による発達・育児相談(静岡県清水区)・ミニイベント(ランチDAY・リトミックなど)の開催(愛媛県砥部町)こういった子育て支援を積極的に行っているところが769市区町村(厚生労働省:平成27年の統計)あります。これからもっと増え続けることでしょう。「子育てがしにくい」、「育児で悩んでいる」という方に少しでも手を差し伸べるために地域は少しずつ動いています。●ファミリー・サポート・センターとは厚生労働省は、ファミリー・サポート・センターを次の通りに説明しています。**********ファミリー・サポート・センター事業は、乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として、児童の預かりの援助を受けることを希望する者と当該援助を行うことを希望する者との相互援助活動に関する連絡、調整を行うものです**********わかりやすく言うと、支援を受けたい人と支援を行いたい人を結ぶ役割をする事業 ということです。どのようなサポートが受けられるかと言いますと、・保育施設までの送迎・園や学校終了後に子どもを預かる・保護者の病気や急用等の場合に子どもを預かる・病児・病後児の預かり・早朝・夜間等の緊急預かり・就学前の乳幼児がいる家庭への訪問サービス・育児相談・子育てサークルの支援などがあります。この中には費用がかかるサービス(預かり保育など)もあります。有料のサービスについては、有資格者や指定した講習を受講し終了している方がみてくれるので安心できます。●支援サービス情報の見つけ方「住んでいる地域にファミリー・サポート・センターがあるのかどうかわからない」「どうやって調べればいいの?」と情報が流れてこないという人もいるでしょう。利用できるかを知るためには、役所に電話をして確認を取ることが一番の近道 です。その他には、・ショッピングセンターなどの掲示板・自治体の公共施設の掲示板・町の広報誌などに情報が出ていることが多いです。また、ある地域では郵便局にチラシが置いてありました。買い物に出かけた際にでも、掲示板を見ておくのも一つの手だと思います。それ以外に、住んでいる地域名(周辺の大きな地域など)と「子育て支援」「ファミリー・サポート・センター」といった言葉を入れて検索をしてみましょう。これでもかなり出てきます。情報を見つけたら、一度電話をして利用状況や利用の仕方を問い合わせてみましょう。●おわりに核家族が約8割になってきている現在、誰にも頼ることができずに、お母さんが子育ての悩みを抱えている家庭が多くあることがわかっています。親に頼ることができない家庭も多いでしょう。そんなとき、力になってくれるのが地域の人たちです。昔から大事にされてきた、「子どもを地域みんなで育てる」という意識をこれからも大事にし、一緒に子どもを守り育てることに加わっていきましょう。子どもは国の宝です。その子どもを育てているお母さんもまた宝です。一人で悩まないで、みんなの手を掴んで欲しいと思います。【参考リンク】・子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)について | 厚生労働省()●ライター/桜井涼(フリーライター)●モデル/大上留依(莉瑚ちゃん)
2016年04月13日サイボウズでは、2007年に導入した「選択型人事制度」により、子育て中の女性にも活躍のフィールドが広がった。社員の働き方が年々多様化していく中で、給与評価はどのように決めているのだろうか。前編に引き続き、サイボウズ事業支援本部 人事部マネジャーの松川隆さんに話をうかがった。○残業時間数は給与額と直接関係なし給与は、「市場価値(社外的価値)」と「社内信頼度(社内的価値)」を総合的に判断して決定する仕組みだ。まず、公的統計や民間データをもとにした職種別のモデル賃金と社員個々のスキルを照らし合わせて、「この人が転職したら、大体このぐらいの金額の給与になる」といったレンジ(幅)を一人ひとり割り出して「市場価値(社外的価値)」を算出する。次に、「社内信頼度(社内的価値)」を「Action5+1」と呼ばれる同社の行動指針(1)理想への共感(2)あくなき探求(3)知識を増やす(4)心を動かす(5)不屈の身体に「公明正大」をプラスした計6つの軸にもとづいて直属の上司と複数のマネジャーが評価する。その結果を加味してレンジの上下を決め、半年に1度の評定会議で最終的な給与を決めるという流れになっている。また、給与決定後に大切にしているのが、社員へのフィードバックだ。「質問してくる社員に対しては、なぜこの給与額になったのか、具体的に今後どうすれば市場価値や社内的価値を上げられるのかをきちんと説明するようにしています」と松川さん。「選択型人事制度」の導入により、社員の働き方が多様化したが、それぞれの働き方の違いも含めて「市場価値」という社外的価値を基準に評価すること。また、徹底したフィードバックを行うことで、人事評価の公平性と納得感を高めているのだ。「選択する働き方と給与額は必ずしも比例していません。勤務時間が短くても、アウトプット(成果)によっては、残業をより長くしている人より給与が高くなることもあります。また、キャリアアップの面でも不利になることはありません」。実際に、同社では女性の管理職も増えており、10人中2人が女性。役員の中根弓佳さんは、2人の子どもを育てながら短時間勤務を利用して働くワーキングマザーだ。○多様な価値観を認め合う企業へ取材を進めていくと、同社は、いわゆる「女性に優しい企業」を目指しているわけではないことがわかった。最終的に目指すのは、「あらゆる立場の社員が活躍できる企業」だ。同社では、より多くの人がより長く働ける企業を目指し、現在もさまざまな取り組みを続けている。2012年からは副業が可能となり、転職や留学で退職しても復帰できる「育自分休暇制度」もスタート。2014年からは、「子連れ出勤制度」の試験運用も進めている。さらに、社員同士が顔を合わせる機会が少ないため、部署を越えてコミュニケーションを取りやすい仕組みもつくった。社員5人以上が集まるイベントや誕生日会、部活動などの費用を会社が助成する。お酒を飲みながらさまざまなテーマについて語り合う「仕事BAR」も定期的に開催している。同社では、このように新しく制度を導入する際にはトライアル期間を設け、社員同士が意見を出し合い改善を加えたうえで本導入する流れとなっている。「制度は与えられるものではなく、つくるものである」という文化が浸透していることも、働きやすさの一因だろう。「新しい制度が増えるごとに、完全在宅勤務の人、2つの企業で働く人、起業する人、学校に通う人など、社員個々の働き方がより多様化してきました。そうした流れの中、育児と仕事の両立は特別なことではないという風土が自然と根付いてきたように思います」と松川さん。この言葉の通り、2006年の育児休暇制度導入以来、社員の働き方の選択肢を増やしていくことで、より働きやすい環境の構築に力を注いできた同社。いずれも制度としてしっかりと定着している。最後に、今後の展望をうかがった。「当社は『100人100通りの働き方』をコンセプトに掲げています。障がい者雇用も含めて、さまざまなバックグラウンドを持った人に対して働きやすい環境づくりを目指し、今後もチャレンジを続けていきたいですね」と力強く語った。さまざまな取り組みを進化させ、文化として根付かせたサイボウズ。このように、多様な価値観を認め合い、”真のダイバーシティ”を目指すことこそが、結果的に女性の働きやすさにつながっていくのではないだろうか。【DATA】社員の男女比: 65対35平均年齢: 33.8歳正社員数: 339人育児休業からの復帰率: 100%
2016年04月05日何かとお金がかかる子育て世帯には、自治体によるさまざまな支援制度が存在することをご存じでしょうか。児童手当や出産育児一時金だけではなく、不妊治療や資金贈与、独自の助成制度を設けている自治体もあります。けれども、あまり積極的なPRをしておらず、申請も必要なため「知っていれば利用したのに」と悔しい思いをすることも…。そうならないために今回は、知っておくと役に立つ「子育てお助け制度」についてご紹介しましょう。地域関係なし! 国が定める助成制度<特定不妊治療助成金>厚生労働省は不妊に悩んでいる人のため、「体外受精」「顕微授精」といった高度不妊治療の治療費助成制度を設けています。国がすすめている事業なので、日本に住んでいる人なら、全国どこでも対象です。ただし、所得や年齢制限、申請期限などがあるために事前確認が必要。自治体によっては国の制度で上限額を上回った分をさらに補助する制度のあるところも。住んでいる自治体の不妊治療制度についても事前にチェックをいれておくといいですね。・ 不妊に悩む夫婦への支援について|厚生労働省 <教育資金贈与の非課税制度>おじいちゃんやおばあちゃんが孫のために教育資金を提供したい…。そんなときに助かる制度が教育資金の非課税贈与です。通常お金を贈与すると贈与税という税金がかかってしまいますが、この制度を利用すれば教育費に限り、1,500万円まで非課税にすることができます。平成31年3月までと制度が期間限定であることや、贈与された子どもや孫は30歳になるまでに教育資金として使いきらなければいけないなどの点に注意が必要ですが、ムダな税金を抱えないという意味では検討の余地がありそうです。・ 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置 : 財務省 あなたの住んでいる地域にもあるかも? 地方自治体独自の助成制度<引っ越し費用の助成金(東京都新宿区)>新宿区の「子育てファミリー世帯居住支援」では新宿区の内外から区内への引っ越し(ただし、民間賃貸住宅の利用に限る)で「契約時の礼金、仲介手数料の合計を最大36万円助成」「引っ越し代の実費最大20万円助成」などの制度を設けています。意外とかさんでしまう引っ越し費用を助成してくれるのはうれしいですね。・ 子育てファミリー世帯居住支援(転入転居助成):新宿区 <三世代同居の支援(千葉県千葉市)>千葉市の「三世代同居等支援事業」では「親と子と孫」を基本とする三世代家族の同居に必要な費用の一部を助成しています。貸家の場合は賃貸借契約に、持家の場合は新築・改築・購入に必要となる費用が対象です。・ 千葉市:千葉市三世代同居等支援事業 <子どもの通学費援助(東京都八王子市)>八王子市では通学区域内の学校を対象に、徒歩での通学が困難なケースや、身体的理由などでバスや電車などの交通機関を利用している小・中学生の保護者に対し、交通費を補助しています。通学定期運賃の3分の2までが補助され、対象者には学校から申請書が配付されます。学校配布の場合は申請忘れの心配がなくていいですね。・ 交通機関等利用児童・生徒通学費補助金|東京都八王子市Webサイト こうした制度の利用は申請のタイミングが事前・事後のどちらなのか、所得や家族状況が条件に見合っているかどうかなどをしっかりとチェックする必要があります。そのうえで条件を満たしていることを確認し、上手に制度を利用しましょう。
2016年03月19日こんにちは。医療カウンセラーのyoshiです。介護保険制度というのは社会的にも定着してきている現代ですが、「そもそも介護保険制度って何なのか」ということがよくわからない人もいると思います。高齢者が増えてきている日本においては、 非常に重要な制度であることは理解しておくといいでしょう。介護保険制度を理解していく上で重要になるのが、“保険者 ”“被保険者 ”“制度を利用したサービス ”になります。保険者は、主に国や市町村と考えておいて問題はありません。被保険者は、第1号保険者(65歳以上の人)、第2号保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)になります。制度を利用したサービスというのは、特定の介護施設や介護サービスなどになります。被保険者と保険者の関係は、被保険者から保険者に向けての保険料の支払いや介護保険の申請になり、保険者から被保険者に向けて保険証の交付や申請に対する認定ということになります。被保険者と制度を利用したサービスの関係は、サービスの提供と利用料の支払いになります。そして保険者と制度を利用したサービスの関係性は、保険者から介護報酬の支払いを受けるという関係になります。この3つの関係が成り立つことで、介護保険制度は社会的に機能していることになります。●介護保険制度の複雑な面は“制度によるサービス”が影響介護保険制度を利用していく場合、被保険者と保険者の関係というのはわかりやすいことが多いのですが、“制度によるサービス”に対して理解が難しくなってしまうことがあります。それは、“制度によるサービス”に関する施設やサービスが多種多様にあり、似たような名前になってしまっていることが多いからです。これを理解していくためには、ある程度、専門的な知識が必要になります。“制度によるサービス”で迷ってしまった場合、頼りになるのがケアマネージャーであり、このケアマネージャーを探したいと思った場合、市区町村の窓口 に相談をするか、地域包括支援センター という場所に相談をすることになります。【参考リンク】・介護保険制度の概要 | 厚生労働省()●ライター/yoshi
2016年03月08日東京商工リサーチは2月26日、「社会保障・税番号(通称:マイナンバー)制度に関するアンケート調査」の結果を発表した。これによると、マイナンバー制度に対する認知は高まったが、利活用が進んでいない実態が明らかになった。同調査は、2016年1月19日から1月29日にかけてインターネットによるアンケートを実施し、有効回答を得た7887社の回答を集計・分析したもの。マイナンバー法の内容についてどの程度知っているかを聞いたところ、「概ね知っている、よく知っている」が5046社(構成比64.0%)で約6割を占めた。これに「少し知っている」(2513社。同31.9%)を合わせると、「知っている」と回答したのは7559社(同95.8%)あり、9割以上に認知されていることがわかった。続けて、自社にとってマイナンバー制度の一番のメリットは何かを聞いたところ、「メリットはない」が最多の5881社(構成比74.6%)で約7割を占めた。これに、「情報管理の利便性向上」が637社(同8.1%)、「公平性が徹底される」が552社(同7.0%)と続いた。「メリットなし」は前回調査(同65.9%)より8.7ポイント増加しており、マイナンバー制度の導入とともに、メリットなしと判断した企業の比率が高まっているという。一方、「その他」の中には「まだ(社内で運用されていないから)わからない」「始まったばかりで、わからない」といった回答が145社あり、一部ではまだ把握できていないことも垣間見えるようだ。逆に、マイナンバー制度の最大のデメリットを聞いたところ、「情報漏洩のリスク」が最多の3194社(構成比40.5%)で約4割を占めた。これに、「業務の煩雑化」が1809社(同22.9%)、「業務の増加」が1802社(同22.8%)、「コスト増加」が548社(同6.9%)、「デメリットはない」が344社(同4.4%)、「その他」が156社(同2.0%)、「公平性が解消できない」が34社(同0.4%)と続いた。前回調査でもデメリットは「情報漏洩のリスク」(同53.3%)が最多だったが、構成比は12.8ポイント下がった。この結果について、同社は企業がセキュリティ強化に努めたことや、行政による広報活動で安全性への認識が広がっていることがうかがえるとしている。
2016年02月29日システムサポートは2月18日、日本オラクル株式会社が提供する「Oracle Cloud Platform」の利用企業を支援する新サービス4種の提供を開始した。提供が開始されるのは、「Oracle Cloud データベース構築支援サービス」「Oracle Cloud データベース移行支援サービス」「Oracle Cloud データベースバックアップ支援サービス」「チケットサービスfor Oracle Cloud」。Oracle Cloud データベース構築支援サービスでは、初期設定を行い、顧客の要件に合わせてデータベースを構築するほか、OS設定なども行う。価格は1データベース当たり20万円から(税別)。Oracle Cloud データベース移行支援サービスは、Oracle Databaseを利用しており、機器リプレイスを予定している企業などが想定ユーザーで、Oracle Databaseをオンプレミスや他社クラウド環境からOracle Cloud上へ移行するもの。価格は1データベース当たり120万円から(税別)。Oracle Cloud データベースバックアップ支援サービスは、Oracle Database Backup Service」を利用する企業を対象としており、顧客企業のDatabaseのバックアップに関する設計、初期セットアップからバックアップ自動化までの一連の作業を実施する。価格は1データベース当たり30万円から(税別)。チケットサービス for Oracle Cloudは、Oracle Database Cloud ServiceおよびOracle Database Backup Serviceを対象に、保守支援をチケット制で対応するもの。価格は5チケットで40万円(税別)で、半年間有効。対応時間は平日の9時から17時まで。
2016年02月19日ストレスチェックやマイナンバーなど、人事業務に大きく関わる制度の義務化が進められている。2016年上半期において人事担当者はどういった準備をし、どういった対応をしておくべきなのだろうか? 特定社会保険労務士の小岩和男氏に話を伺った。――昨年の12月から、ストレスチェック制度の実施が義務付けられるようになりました。従業員のメンタル不調を未然に防ぐための制度ですが、いま導入しようとしている企業からはどのような悩みが聞かれますか?この制度ができる前から先進的にストレス対策を講じていた企業に、混乱があるようです。例えば「これまでやっていた対策をストレスチェックに変更しなければならないのか?」といった質問をよく聞きます。ストレスチェック制度では、本人の同意を得なければ会社は結果を知ることはできません。また、ストレスチェックは従業員にとっては任意であり、強制はできません。こうしたことが、踏み込んだ対策をしたい会社にとっては悩みのタネになっているようです。ですが、ストレスチェック制度とは別の労働安全衛生法第69条第1項による任意の取り組み(トータルヘルスプロモーションプラン)であることを明確にすれば、従来実施していたメンタル調査などもストレスチェックとは別に実施することが可能です。――ストレスチェック制度では、医師などによる面接指導の実施が求められるようになります。こちらの準備については、どのような相談が寄せられていますか?「自社の産業医がメンタルの専門ではないのでどうしたらいいのか?」という相談を受けることがありますが、必ずしも産業医と面談しなければいけないわけではありません。別の専門医からも面接指導を受けることができます。ただし、その場合は自社の事業場の状況を把握していない場合も考えられますので、産業医からも就業上の配慮に関する意見聴取をしておきましょう。――これからストレスチェック制度の実施に向けて準備をしていく企業に、アドバイスをいただけないでしょうかストレスチェックをいつ・どのように実施していくか、具体的な導入手順については、企業の衛生委員会等で審議する必要があります。衛生委員会等は、従業員50人以上の事業場に設置が義務付けられているものです。今回のストレスチェック制度義務化を契機に、委員会をきちんと運用して労働環境改善に役立てていきましょう。――今年の1月からは、マイナンバー制度の運用もスタートしました。こちらはどのような状況でしょうか?マイナンバーは社会保障・税・災害対策の行政事務で必要となります。企業実務で一番早く運用されているのは雇用保険で、1月1日入社からマイナンバーが必要です。安全管理措置体制を整え適切に取得しましょう。――人事担当者以外の一般社員にも、マイナンバー制度の理解は浸透しているのでしょうか?全国民に必要になる重要な制度なのですが、まだまだ理解は薄いと思います。ですから、人事担当者のみなさんには説明会の実施をお勧めしています。内閣官房が運営しているマイナンバーのWebサイトに20分ほどの紹介動画がありますから、部内ミーティングなどのタイミングで見てもらうとよいでしょう。――マイナンバーの管理については、セキュリティが非常に重要だと思いますが、情報の取り扱いについてはどのようにしていくべきでしょうか?マイナンバーガイドラインに記載されている事業規模に応じた管理体制を取りましょう。いかに漏洩しない体制づくりをしていくかがポイントです。アナログ的ですが、従業員から番号を収集する際は、100人程度の規模でしたら書面を用いることを提案しています。従業員は所定書式に自身と扶養家族の番号を記載し封入して直接人事担当部門に持参。人事担当部門は書式を鍵のかかる書庫等へ収納。マイナンバー事務処理ごとに取り出し、終了後は定位置に戻す。またその事務処理ごとの記録をきちんと取っておく。これが最も漏洩リスクが少ないやり方でしょう。また、提出されたマイナンバーが正しいかどうかを確認するために「通知カードのコピーをとっていいのか」という質問が多いのですが、これは国がOKを出しています。ただし、コピーも厳重に管理することが必要です。会社によっては、人事担当部門で確認したのちに、コピーを当人に返却しているところもあります。また、書面で回収できないような大規模企業であれば、ITシステム会社へアウトソーシングという手もあります。マイナンバー法には委託する側に監督責任があると明記されていますので、安全管理措置が適切に記載されている契約書を交わしておきましょう。――2016年の上半期において、人事担当者はどのような点に注意して業務を進めるべきでしょうか?当面はストレスチェックとマイナンバーが主な取り組み課題になりますので、この二つを粛々と進めていきましょう。また、労働基準法や雇用保険法など、大きな制度改正の動きもありますから、こちらについても情報のアンテナを立てておくことが重要です。
2016年02月15日IoT検定制度準備委員会は2月5日、IoTの普及と知識スキルを可視化する策として検定制度を開始することを発表した。同検定は技術的な視点だけでなく、マーケティング担当、サービス提供者、ユーザーなどの視点から必要となるカテゴリー、スキル要件を網羅し、それぞれの立場でIoTのシステムを企画・開発するために必要な知識があることを証明できるものとなっている。主な受験対象者は、IoTを取り入れる組織の経営者および管理者、IoT化を推進するプロジェクトの企画担当者、IoTを活用しデータ分析などを行う利用者、IoTシステムの構築・保守運用に携わるエンジニア。検定分野は、企画推進・戦略立案のための基礎知識やプロジェクトマネジメントに関する知識を問う「戦略とマネジメント」、産業システム・スマート製品に関する知識やIoT関連の標準化に関する知識を問う「産業システムと標準化」、通信関連の法律に関する知識を問う「法律」、データ送信プロトコルやWAN、LANなどに関する知識を問う「ネットワーク」、電子工学やセンサ技術に関する知識を問う「IoTデバイス」、クラウド環境や分散処理システム利用に関する知識を問う「プラットフォーム」、データベースや機械学習に関する知識を問う「データ分析」、暗号化や攻撃対策に関する知識を問う「セキュリティ」を予定している。3月より希望者および有識者に対してベータ試験が実施される予定で、詳細については後日発表される。
2016年02月05日メルカリは2月1日、新人事制度「merci box(メルシーボックス)」の導入を発表した。2月1日に創業3周年を迎えた同社は、これまでも副業の推奨やフレックス制度の導入など、各種支援を行ってきたが、今後さらなるメンバーの採用や、出産・育児をはじめとしたライフイベントを迎えるメンバーへの支援をより拡充するため、同制度の導入を決定したという。新人事制度「merci box」の概要は以下の通り。社員の家族を含めた環境の支援産休・育休支援の拡充産休・育休期間中の給与を会社が100%保障する制度。女性は産前10週+産後約6カ月間の給与を100%保障、男性は産後8週の給与を100%保障。育児・介護休暇の有償化子どもの看護および家族の介護で休暇を取得する場合は、5日間を特別有給休暇とし最大で10日間まで休暇取得が可能(1年あたり)。万が一の時のセーフティライン病気やけがの時のサポート病気やけがにより仕事ができない期間、経済面も安心して入院や治療に専念できるよう支援。全社員の死亡保険加入メルカリで働く全社員に対して死亡保険に加入することで、万が一の時に社員の家族を最大限(数千万円~)支援する。ライフイベントのサポート結婚休暇&お祝い金結婚にあわせて、特別有給休暇(5日間)とお祝い金(5万円)を支給。出産休暇&お祝い金子どもの出産にあわせて、立会いに十分な特別有給休暇(3日間)とお祝い金(10万円)を支給。慶弔時の支援万が一の不幸があった場合には、特別有給休暇(3日~7日)や弔慰金(5~10万円)でサポート。
2016年02月02日ラティス・テクノロジー(ラティス)は1月14日、製造設備や装置の開発を支援する新たなXVL/Vmechソリューションの提供を同日より開始した。同ソリューションは、製造設備の3DCADモデルを軽量なXVLで表現し、装置がどう稼働するかを動的干渉チェックで検証する新製品「XVL Kinematics Suite」と、これまで実機で検証していた制御ソフトを軽量XVLモデル上で仮想検証可能にする「XVL Vmech Simulator」の2製品が中核となる。「XVL Kinematics Suite」は、工程設計・検証、3Dデータ編集・閲覧を行うDMUツール「XVL Studio Standard」と、機構の定義・動作確認やタイミングチャートによるシナリオ動作・動的干渉チェックを行う「機構オプション」をパッケージ化したもの。3次元CADではできない大規模設備モデルの機構検証が可能となり、実機完成前にメカ設計の妥当性や制御仕様の妥当性を検証することができるようになる。販売価格は220万円(税別、ノードロックライセンス)で、年間保守費用が44万円(税別)。一方の「XVL Vmech Simulator」は「XVL Kinematics Suite」で作成された機構モデルに、モータやセンサなど制御デバイスの仮想モデルを関係付け、制御コントローラの接続設定を行うことで実装ソフトウェアの仮想デバッグを実現する。通信インタフェースは、使用するコントローラに合わせてオプション製品として提供される。また、制御デバイスとコントローラの入出力をモニタしたり強制変更(いじわるテスト)が可能なユーティリティをバンドルされた。販売価格は440万円(税別、ノードロックライセンス)で、年間保守費用が80万円。また、2製品に加えて新手法の導入に人的リソースが投入できない企業に向けて機構モデルの作成、制御ソフト検証環境の構築サービスなどを提供する「運用支援サービス」も開始。ラティスは「新製品とサービスの提供で、設備のメカ検証と制御ソフト検証を並列に進めることが可能になり、品質の高い設備の早期開発を実現することで、量産工場の垂直立ち上げに貢献します」とコメントしている。
2016年01月14日●ストレスチェック制度にどう対応していくか?いよいよ今月からストレスチェック制度が施行となった。とはいえ、すでにストレスチェックを実施したという企業は少ないだろう。むしろ、これから準備を進めていくという企業がほとんどかと思われる。従業員50人以上の事業場では、2015年12月1日から2016年11月30日までの間に、1回目のストレスチェックを実施するよう義務付けられたが、「まだ時間はある」と悠長に構えているほどの時間はない。もし、まだストレスチェック制度に対する対応方針や実施時期が決まっていないようであれば、すぐに取りかかった方がよいだろう。というのも、同制度は実施体制や運用フローが非常に複雑化しており、マイナンバー制度への対応よりも大変なように感じられる。まだ準備を進めていない企業は、これからどのように進めていけばよいのか? 11月にキーポート・ソリューションズ(KPS)は同制度に関するセミナーを開催。セミナーでは、ストレスチェック対策をより効果的にサポートする同社のソリューションと、産業医である三宅琢医師が「本音で教えるストレスチェック活用法」が紹介された。○ストレスチェック制度とは?まず、そもそも「ストレスチェック」とは何か? 厚生労働省によると、「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票(選択回答)に従業員が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査であるとしている。「労働安全衛生法」という法律が改正されて、従業員が50人以上いる事業場では、2015年12月から毎年1回、この検査を全ての従業員に対して実施することが義務付けられた。「企業としてやらなければいけないことは実施義務。従業員にアンケートに回答してもらうよう案内することが義務ということ。その結果、アンケートに回答してもらえなかったとしても、それは企業の義務ではない。そこが健康診断との違い。実施していない企業は罰則の対象となる」(三宅医師)ストレスチェック制度は従業員が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みである。三宅先生は同制度を「会社の元気度を測るもの」と述べた。同制度への実施手順として、厚生労働省からは以下の流れで進めていくように示されている。○どう運用すればよいのか?実施方法など社内ルールの策定から、ストレスチェックの実施、必要がある場合の医師による面接指導、集団分析など、やらなければいけないことはたくさんある。まず、ストレスチェック制度の導入前には事業所の衛生委員会で、ストレスチェック制度の実施方法などを決める必要がある。話し合う必要のある主な事項として、厚生労働省では下記の8点をあげている。ストレスチェックは誰に実施させるのかストレスチェックはいつ実施するのかどんな質問票を使ってストレスチェックを実施するのかどんな方法でストレスの高い人を選ぶのか面接指導の申し出は誰にすれば良いのか面接指導はどの医師に依頼して実施するのか集団分析はどんな方法で行うのかストレスチェックの結果は誰が、どこに保存するのかまた、実施体制や役割分担を決めることも必要だ。厚生労働省では実施体制の例として、下記をあげている。制度全体の担当者事業所において、ストレスチェック制度の計画づくりや進捗状況を把握・管理する者ストレスチェックの実施者ストレスチェックを実施する者。医師、保健師、厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士の中から選ぶ必要がある。外部委託も可能。ストレスチェックの実施事務従事者実施者の補助をする者。質問票の回収、データ入力、結果送付など、個人情報を取り扱う業務を担当。外部委託も可能。面接指導を担当する医師質問票に関しては、厚生労働省から57項目からなる職業性ストレス簡易調査票が公表されているが、「ストレッサー(ストレスの原因に関する質問項目)」「サポート(労働者の周囲のサポートに関する質問項目)」「ストレス反応(ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目)」の3つの要素があれば、この質問票以外のものを使用することが認められている。「簡単に説明すると、『ストレッサー』は過去、『ストレス反応』は現在、『サポート』は未来の評価に分けられている。この中で、国が一番重要視するように言っているのが、ストレス反応である。今、頭痛がしたり、食欲がないなど、現在の状態をハイスコアとして扱うように言われている」(三宅医師)高ストレス者の選出方法については、「何点以上の人は面接する」という基準を、企業が考えなければいけない。記入が終わった質問票は、医師などの実施者(またはその補助をする実施事務従事者)が回収する必要がある。ここで注意すべき点は、実施事務従事者は、人事権を持つ職員が携わってはいけないということ。また、結果(ストレスの程度の評価結果、高ストレスか否か、医師の面接指導が必要か否か)は、実施者から直接本人に通知される。つまり、結果は企業には返ってこない。さらに、この結果は医師などの実施者(またはその補助をする実施事務従事者)が第三者に閲覧されないように保存することになっている。「実施事務従事者は事業所の中から選ぶこともできるが、作業や管理などが多岐にわたり、さらに守秘義務を負うことになるため、実際にはなかなか難しいだろう。事務の担当が倒れることがないよう、外注を利用していくことがポイント」(三宅医師)また、実施事務従事者だけでなく、ストレスチェックの実施者を誰に依頼するかといった問題もある。通常であれば、自社の産業医に依頼するところであろうが、医師によっては断られるケースも想定される。これに対し三宅医師は、「いい産業医か、使えない産業医か、判断する機会になった」と言う。今回の法改正によって、産業医の職務は「労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査の実施ならびに面接指導の実施およびその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること」が定められた。「ストレスチェックの実施をしぶるような医師は、職務を理解していないということ」と三宅医師は指摘した。これらのフローをふまえて、ストレスチェック結果で「医師による面接指導が必要」とされた従業員から面接の申し出があった場合は、企業は医師に依頼して面接指導を実施する流れとなる。では、そもそもストレスチェックは何のために実施されるのだろうか? その解について、三宅医師は次のように回答した。「従業員にとっては、自分の健康状態を知るため。しかし一番は、企業が組織診断を行って、職場改善を行うためだ」(三宅医師)ストレスチェック制度は年に1回以上実施することが求められているが、年1回だけの実施なのであれば、職場分析が非常に重要になってくるという。この職場分析は努力義務となっており、ストレスチェックの実施者に、ストレスチェック結果を一定規模の集団(部、課、グループなど原則10人以上の集団)ごとに集計・分析してもらい、その結果から職場環境の改善を行うことが推奨されている。職場分析の重要性について、三宅医師は次のように述べた。「欝病は移る。なぜかというと、一人の従業員が休むことによって周囲にそのしわ寄せが生じる。だから組織分析が重要」(三宅医師)●産業医が教える、ストレスチェック活用法三宅医師は「風邪と一緒で年に1回測っても、ストレスチェックの意味がない。いつ実施するのかで、値が変わってくるからだ」とストレスチェック制度の問題を指摘する。○今からできる、ストレスチェック対策「組織全体が沈んでいる部門は何かが起こっているということ。早くレスキューしないと一人の問題ではなく、全体に広がっていく」(三宅医師)また、企業はこれまで以上に安全配慮義務が必要になってくるという。「労災の対象となった従業員が訴訟の対象とするのは、社長と上司。この2本立てが法曹界では当たり前のパッケージ商品となっている。つまり、自分の部下の健康状態を把握していないと、民事裁判に巻き込まれるケースがあるということ。上司が部下にしなければいけない義務が安全配慮義務である。この義務は、予見義務・結果回避義務と言われていて、『そのまま働かせていたら倒れるのはわかりますよね?』という義務。こういう義務がある以上、企業は労働者の健康状態に配慮することが必要となってくる」(三宅医師)ところが、忙しいと部下のパフォーマンスを把握することはなかなか難しい。三宅医師は「今後メンタリティやモチベーションの見える化が必要。そうでないと、安全配慮義務を守れない」と言うが、では一体、どうすればよいのだろうか? 三宅医師は今からできる予見法として、次のようにアドバイスした。「ストレス不調を起こす人は必ず、当日の遅刻・欠勤の連絡が続く。また、個人スペースがすごく汚れていたり、逆にいつも汚れているのに急にきれいになったりする。そのほかにも気分の浮き沈みなどもチェックするポイントとしてあげられるが、これらを毎日チェックしていくことは難しい。そこで、今日から始められるストレスケアの一番簡単な方法は、あいさつ。毎日あいさつをすることによって、その人の変化に気付くことができる」(三宅医師)また三宅医師は、まわりを助けるよりも、まずは「自分が元気であることが大切」と話した。「私が産業面談で社員をケアする時に聞くポイントは、『食う』『寝る』『遊ぶ』の3つ。この3つの変化しか聞かない。この3つをチェックしていれば、ほとんどの人のメンタルケアができる。自分のストレスをケアする上で大事なことは、食事や睡眠に変化がないか、また趣味を持ってもらうこと。趣味はストレス発散にもなり、また趣味をしていても楽しいと感じない時は、ストレス値が高くなっているサインになる。年に1回ではなく、日頃から自分に問いていかないと、ストレスのレベルはわからない。自分が元気でいることが、一人でもストレス値の高い社員を出さないために一番大事なこと」(三宅医師)○メンタリティを可視化するには?三宅医師が推奨する「メンタリティやモチベーションの見える化」について、KPSでは8月に、個人と組織の「気持ち」を可視化・数値化する「Willysm(ウィリズム)」の提供を開始した。同ソリューションで従業員がすることは大きく分けて3つ。まず、毎日決められた時間に自分の気持ちを「Excellent」「Well Done」「Not So Good」の3つから選択し、その日にあった幸運・幸福な出来事を3つ記入、さらに同僚に感謝の気持ちを伝えるメッセージ・プレゼントをあげる、といった3つの行動から、従業員のモチベーションを可視化するだけでなく、気持ちを前向きにする仕組みとなっている。これにより、例えば「Not So Good」が続いている従業員がいれば、年1回のタイミングでなく、適宜ストレスチェックを促し、早期改善を図ることが可能となる。12月1日からは、同ソリューションにストレスチェック制度へ準拠した「ストレスチェックサービス」機能が追加された。KPS ビジネスイニシアティブユニットのシニアコンサルタントである稲田勇祐氏は、同ソリューションについて次のように説明した。「Willysmは前向きな改善の機会、健康経営による企業価値向上につなげる一つの有効な施策と位置付けている。健康で前向きな個人を増やしていくことによって、重大疾病予備軍を減らし、休業者も減らしていくことができると考えている」(稲田氏)***組織分析から職場改善まで実施するとなると、2016年11月まで時間の余裕がないことは感じてもらえただろう。今回のストレスチェック制度を、「義務だからやる」だけではなく、ぜひ前向きに経営戦略の一つとして、しっかり考えて取り組んでもらいたい。
2015年12月21日保健同人社とヒューマネージは12月5日、12月1日に施行した「ストレスチェック制度」(労働安全衛生法の一部を改正する法律)について、企業のメンタルヘルス担当者に実施したアンケート調査の結果を発表した。同調査は両社が10月22日と27日に企業のメンタルヘルス担当者を対象に実施したもので、有効回答者数は366人。調査によると、施行1カ月前の時点においても企業の準備は進んでおらず、3割強が具体的な実施時期を決めていという結果となった。ストレスチェック義務化が施行される1カ月前となる10月末の時点において、準備状況について「ほぼ完了している」と回答した担当者は2%未満だった一方、7割以上が「検討中/情報収集中」と回答している。ストレス・チェック義務化施行の直前でも、企業の準備はなかなか進んでいない実態が明らかになった。準備状況を従業員規模別に見ると、「検討中/情報収集中」の割合は、従業員1,001人以上の企業では60.2%、従業員301人以上1,000人以下の企業では73.8%、従業員300人以下の企業では81.6%であり、規模が小さくなるほど準備が進んでいないことが分かった。ストレスチェック義務化への対応で懸念している点については、ストレスチェック実施後のフォロー体制が42.3%で最多であり、以下、規程の整備(35.8%)、高ストレス者への対応(34.4%)、担当者の業務負荷増大(30.9%)、医師面談の実施(28.1%)と続く。法律が定める「やらなければならないこと」にどう対応するかという点とともに、義務化対応を担うメンタルヘルス担当者のマンパワーについても不安を抱いていることがうかがえると両社は見る。ストレスチェックを既に導入・実施しているまたは導入を検討中の企業の担当者に対して、実際にストレスチェックを実施する時期を尋ねると、具体的な時期では「2016年4月~6月」と「2016年7月~9月」が多かった。ただし、最多は33.5%の「未定/無回答」であり、スケジュールなどの実施に関する具体的な事項はまだ検討中の企業が多いようだと両社は推測する。ストレスチェック義務化対応で外部委託先を選ぶ際に重視する点を複数回答で尋ねたところ、費用が56.8%と最多であり、以下、運用サポートの充実(45.9%)、ストレス・チェックの信頼性(43.7%)、セキュリティ体制(38.5%)、システムの使い勝手(36.9%)の順だった。委託先を選ぶ際に費用を重視することに加えて、「実施する際のサポートがどれだけ充実しているか」「ストレスチェックは科学的に信頼できるものか」「セキュリティは万全か」「スムーズに実施できるシステムかどうか」など、多岐にわたるポイントでパートナーを選定していることが分かる結果となった。これらの結果を受けて、両社が提供する企業向けEAP(従業員支援プログラム)サービスである「TEAMS」のEAPコンサルタントは「マイナンバーや新卒採用スケジュールの変更などさまざまな対応が重なるなか、ストレスチェック義務化の制度を理解し、運用体制を整えるにあたって、企業のメンタルヘルス担当者が非常に苦労していることがうかがえる」とコメントとした。外部委託先を選ぶポイントとして「『ただストレスチェックを実施するだけ』の対応では、情報漏洩など、取り返しのつかない経営リスクに直結する。堅牢なセキュリティ、科学的に根拠のあるストレスチェックを提供できることに加え、コンサルティングから業務プロセスの企画・設計・遂行までトータルにサポートできる外部パートナーを戦略的に使いながら、ぜひ、今回のストレスチェック義務化対応を組織の生産性向上へつなげてもらいたい」としている。
2015年12月15日近年注目を集めている「子育て」ならぬ「孫育て」。政府も3世代同居に向けた住宅建設や親子の近居を支援する方針を示すなど、家族の支え合いによる子育て環境の整備を進めようとしている。そんな中、福井県と岡山県は、祖父母が孫の育児のために休みを取得した場合、企業に奨励金を支給する制度を今年度から導入している。制度を作ることになった背景や現状についてそれぞれ担当者に聞いた。○3世代同居率の高さが背景福井県が今年度から実施しているのは「父親・祖父母の育児休暇等取得促進奨励事業」と呼ばれるもの。父親に加えて、就学前の孫を預かる祖父母が休暇を取得した場合、企業に10万円の奨励金を支給する。条件としては、「連続する10日以上の育児休暇等を取得」または「最低5日以上の連続する育児休暇等を2回、計10日間以上取得」していることが必要となる。県がこの制度を導入した大きな背景としてあげられるのが「3世代同居率の高さ」だ。2010年実施の国勢調査によれば、福井県の3世代同居率の割合は17.6%と全国2位。幼児家庭8,348世帯を対象に県が実施した調査では、祖父母が同居もしくは車で30分以内の範囲に住む世帯は全体の90%以上にのぼっている(2012年)。担当者は「福井県は繊維、メガネなど労働集約型の製造業が盛んで、女性が働くことに抵抗が少ない。昔から同居している祖母が子どもの面倒を見てあげるという家が多かった」と回答。実際に共働き率は56.8%で全国1位(2010年実施の国勢調査による)。県が幼児家庭を対象に実施した調査によれば、保育所・幼稚園から帰宅後に幼児の面倒を見る家族として「母親」(75%)に次いで「祖母」(38%)があがっている。定年を65歳に延長する企業や、定年後もパートで働く高齢者が増加していることも制度創設のきっかけとなった。結果として、これまでに4社が奨励金を受給しているという(祖母が休暇を取得)。○「孫育て休暇」の制度化に実績一方岡山県では「孫育て休暇奨励金」という制度が導入されている。労働者が孫を養育するために1日以上の休暇を取得した場合、企業に対して5万円が支給されるというものだ。担当者は「親だけでなく、周囲の家族や地域が子育てに参画できるよう、企業に後押ししてもらいたい」とその趣旨を説明してくれた。岡山県の取り組みが福井県と違うのは、奨励金の支給条件として、企業が休暇を制度化する必要があるということだ。県ではこれまで5社に対して奨励金を支給。これに伴って各企業は「孫育て休暇」(労働者がその孫を養育するための休暇)を社内の制度として導入した。これらの企業では、社員から「孫の世話をしたい」という声が多く聞かれたという。県は「もともとニーズのある制度だったと実感している」とコメントしている。○家族だけでも、公的サービスだけでも、支えられない先進的な取り組みを進める同県。しかしいずれも「孫育て」に育児の全てを頼ろうとしているわけではない。福井県の担当者は「3世代同居率は年々減少しているし、県外から越してきた人など祖父母の助けを得られない人もいる」と指摘。平成13年から待機児童0を実現するなど、公的な保育サービスの整備にも力を入れていると話した。また岡山県の担当者も、「家族だけでも、公的サービスだけでも、育児を支えることはできない。社会総出のサポートが必要だ」と語ってくれた。さらに孫育てに関われる範囲は個人によっても異なるだろう。具体的には、「夫の介護が始まり、とてもじゃないけれど孫の面倒までみられない。3カ月に1回くらいの頻度で孫を連れて帰省してきて孫の世話を頼まれるけれど、これは食べさせてはいけないといった食事のルールやテレビ禁止など決まりごとが多くて憂鬱(ゆううつ)」(60代女性)といった声も聞こえる。「やっと子どもたちが巣立っていって、自分の時間を持てると思ったら今度は孫の世話。孫はたまに見るからかわいいのであって、日常的なサポート要員とされると正直しんどい。体力的にもつらい」(70代女性)というように、その頻度によっては大きな負担を感じる人もいるのだ。育児の負担が誰かに集中するのではなく、広く地域や社会までが支えていける環境づくりが求められている。※写真と本文は関係ありません
2015年12月15日日本マイクロソフトは11月27日、ICT活用を推進する学校への支援プログラム「Microsoft Associate Showcase School 2016 エビデンス・チャレンジ」の募集を12月1日より開始すると発表した。より広くタブレットPCの活用や校務の情報化などの実践を支援することを目的としている。このプログラムは、マイクロソフト本社が認定する教育ICT先進校プログラムで、世界中から約150校が選出される。「ICTで教育を変えたい」という強いビジョン持ち、ICTを日常的に授業に活用し、実践を広めていくことできる意思のある学校が認定されるもので、1年の任期で活動を行い、実践内容のレポートを提出する。同時に、日本市場として「エビデンス・チャレンジ」の展開も行う。この試みは、自治体における教育のICT化を進めるために、ICT導入による効果などについて、科学的根拠(エビデンス)を取る目的で行われる。マイクロソフトが持つ海外での知見を、日本で実証するプログラムとして、学校を選定する。募集期間は、12月1日~2016年1月31日。認定期間は、認定より1年間で、実践支援費10万円やエビデンス取得ノウハウ・導入サポート、教員研修や授業公開などに利用する機材の短期(数週間)貸し出しなどが行なわれる。同時に、1年間の実践を終えたMicrosoft Showcase Schoolのベストプラクティスをまとめた研修コース「タブレットPCとOffice 365を活用した教材作成と運用実践」の無償提供プログラムも用意する。
2015年12月01日キヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)は、テクノクラフトのクラウドサービス「コミュニケーション&なび」の新サービスとして、子ども・子育て支援新制度に対応した「あずかり精算なび」を2016年4月1日より販売開始することを発表した。近年の共働き世帯の増加や就労形態の多様化、保育士不足を背景とした待機児童問題の解消をはじめ、子育てを社会全体で支えることを目的に、本年4月より「子ども・子育て支援新制度」が施行された。本制度により、保護者は子どもを預けられる選択肢が増え、子育てと仕事を両立しやすくなる一方、新たに設定される認定区分に応じて利用できる施設や料金が変わるため、認定区分によりどの施設・サービスを利用できるのかを正しく認識する必要があるという。また、施設側では、市町村への申請や保護者への利用料請求のため、一時預かり・延長保育の利用状況の把握や、手記入・手計算の処理の増加により、日々の業務負担の増加が懸念されている。それに加え、慢性的な職員不足、業務過多などを解決するためにはIT活用が課題となっているとキヤノンS&Sは指摘する。こうした課題を解消すべく、新システムは、預かり時間の管理に着目した新制度対応システムとなっている。登降園時または一時預かりや延長保育開始のタイミングに時間を記録することで、預かり時間数と料金が自動で算出される。時間の記録は、園児のバッグなどに着けたRFタグ(電波を利用して、内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きする情報媒体)をRFID(電波を利用してRFタグに埋め込んだID情報を非接触で読み取る仕組み)対応のハンディリーダーで読み取ることで、スムーズな登降園と正確な記録時間の把握が可能。また、ハンディリーダーがなくても、タブレットで直接時間を入力して、運用することも可能となっている。記録したデータは、保護者への利用明細や、市町村への提出書類作成の負荷を軽減する。テクノクラフトは、幼稚園、保育園を運営しており、2011年に「コミュニケーション&なび」を提供開始した。実際の現場の先生や保護者の意見を反映し、「連絡なび」「バスなび」「出欠預かりなび」「写真コレなび」「絵本ドコなび」「名簿センター」といったラインアップをそろえ、同社によると現在約150の施設に導入されているという。幼稚園、保育園では、インフルエンザのシーズンだと、朝から園児の欠席連絡の電話が鳴り続け、ほかの業務を行えないような状況になるという。「コミュニケーション&なび」はパソコンやスマートフォンから連絡してもらうため、施設側の負担を軽減することができる。実際に、3回線必要だった電話回線を、同システムの導入によって1回線に減らした施設もあるという。「あずかり精算なび」の費用は、初期費用が1万円、年間利用料金は園児100名分までが6万9,600円、園児10名を追加するごとに、6,960円となっている。いずれも税別価格。この費用にはハンディリーダー、タグの代金は含まれおらず、また別途、導入後の設定費用、操作説明費用が発生する。なお、先行予約特典として、2016年3月末日までに「あずかり精算なび」を契約すると、初年度の年間利用料金が半額となるキャンペーンが実施される。
2015年11月27日子どもがいる家庭では何かと出費があり、気をつけないと家計が困窮しがち。食費や光熱費などをコツコツと節約しているお父さんお母さんも多いでしょう。節約は、家計の固定費を抑えるのが効果的。その中でも大きな部分を占める住居費を抑えることができれば助かりますね。子育てファミリーに対する公的な居住支援制度を利用すれば、固定費節約ができるかもしれません。○まずは住んでいる自治体の情報チェックを子育てファミリーが安心して暮らすために、住環境の問題と金銭的な問題は切っても切り離せません。子どものために住環境を改善しようとすれば家賃は上がり、家賃を下げようとすれば何かを犠牲にしなければならなくなるかもしれません。内閣府は「少子化社会対策白書(平成26年度版)」の中で、子どもが住まいやまちの中で安全・安心にくらせるように、子育てに適した住宅・居住環境の確保を図ることを挙げています。具体的には、「融資、税制を通じた住宅の取得等の支援」「良質なファミリー向け賃貸住宅の供給促進」「公的賃貸住宅ストックの有効活用等による居住の完全の確保」「公的賃貸住宅と子育て支援施策との一体的整備等の促進」、そして「街なか居住等の推進」の5点。これを受けて、様々な自治体では家賃補助や住宅購入独自の居住支援制度を実施しています。例えば、世田谷区では18歳未満の子どもがいる中堅所得層のファミリーに対し、賃貸住宅「せたがやの家(ファミリー型)」に新規入居することで月額4万円を助成する制度を実施しています(最長5年)。3LDKタイプなら家賃10万円台前半の物件が多く、また礼金・手数料、更新料は不要です。期限制限があるとはいえ、最大限に利用できれば240万円の住居費が浮くことになります。ただし世田谷区民であり、所得が一定基準以下であることなどが条件。詳しくは世田谷区および「一般財団法人世田谷トラストまちづくり」のサイトを確認してください。区内への転入助成や転居助成など、引っ越しに伴う助成を行っているのは新宿区。転入助成では、義務教育修了前の子を扶養する世帯が区外から区内の民間賃貸住宅に住み替える場合に、転居一時金および引っ越し費用を助成してくれます。助成してくれる金額は、契約時の礼金・仲介手数料の合計で最大36万円および、引っ越し代の実費で最大20万円(引っ越し荷物の搬送代で、引っ越し業者に依頼した場合に限る)の最大56万円。すでに新宿区内の民間賃貸住宅に住んでいる義務教育修了前の子を扶養する世帯が、子どもの出生や成長に伴い、区内の民間賃貸住宅に住み替える場合(面積条件あり)に家賃の差額および引っ越し費用を助成してくれるのが転居助成(最長2年間)です。転入助成も転居助成も募集数には限りがあるので、区の住宅課居住支援係まで早めに問い合わせをするようにしましょう。子育てファミリー向けの居住支援制度はここに挙げた自治体に限られたものではなく、自分の居住地の制度をチェックしてみると自分の家庭も条件に当てはまるかもしれません。より良い住環境にありながら、家賃補助を受けられたり、低家賃の住宅に住めたりできれば、家計にも安心の暮らしが実現できるのではないでしょうか。※画像は本文と関係ありません。○著者プロフィール武田明日香エフピーウーマン所属ファイナンシャル・プランナー南山大学経済学部卒業後、大手印刷会社に入社。2010年に、法人営業の仕事をしながら自己啓発のためにファイナンシャルプランナーの資格を取得。「女性がライフステージで選択を迫られたときに、諦めではなく自ら選択できるための支援がしたい」という想いから、2013年にファイナンシャルプランナーに転身。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく!トラベル!」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。お金の知識が身につく初心者向けマネーセミナー受付中(受講料無料)
2015年11月27日Beat Communicationは11月24日、社内表彰制度システム「BEAT AWARD」の提供を開始した。従来の社内表彰制度は、Eメールやポータルサイトを利用したものが多く、現場からアイデアがうまく集まらなかったり、制度自体を活用する社員に偏りがあったりすることから、うまく機能しないという問題点があったという。このような課題を解決するために開発された「BEAT AWARD」は、全社員からアイデアを募集して成功している企業の、カスタマイズ要望から生まれた社内表彰用のパッケージサービスとなっている。本サービスは、「金銭」よりも従業員への「感謝」や「認知」というモチベーションをアップさせる仕組みを「見える化」することで、個人の潜在能力を引き出し、会社の全体的な底力を増し、強い企業作りの役に立つことを目的としたものだとしている。また、同社のコンサルティングのノウハウと、社内向けに実施してきた表彰制度実施プログラムを体系化し、これまで社内システム上で数多くの表彰制度を実施してきた実績や知見をプログラム化した、システムとリアルが一体となったサービスだという。同社は、システム提供だけを主眼に置くのではなく、企業風土を育成していくために、ソフト面からの支援も行い、さらに、経営層に対するコンサルティングサービスもオプションとして提供することで、システム以外でのサービスも実施していくとしている。
2015年11月25日FiNCは11月20日、ストレスチェック制度に対応した法人向け新ウェルネス経営サービスを提供開始した。同社では、医師による面接指導など同制度に対応したサービスを幅広く提供できるよう、全国37都道府県に1,000人以上の産業医/医師のネットワークもあわせて構築したとしている。同社のストレスチェックでは、厚生労働省準拠の57項目もしくは同社によって充実させた110項目の質問により、従業員のメンタルの状況を計測し、従業員にフィードバックする。また、高ストレス者への医師面談の勧奨から、医師面談の設定、意見書の取得などすべて同社のシステム上で完結させることができるほか、集団分析についても各社の要望に合致したものが提供されるという。スマートフォンや紙による受検にも対応しており、改善ソリューションとしてスマートフォンなどを通じたセルフケアや相談センターなどのサポートも提供される。さらに、産業医/医師のネットワーク構築により、産業医の選任支援や医師面談が必要な高ストレス従業員に対する産業医のスポット紹介なども提供される。
2015年11月24日ビデオ会議システムや音声会議システムなど、世界中で40万以上のユーザーがソリューションを利用しているポリコム。その日本法人であるポリコムジャパンでは、制度改革やオフィスの効率化などをふまえて自社製品を活用したテレワークを実践している。テレワークを支援するソリューションの提供を本業とする同社の取り組みについて取材した。○震災後、テレワークを全社員対象に自社の製品自体がテレワークを可能とするものだけに、ポリコムジャパンでは以前から海外とのやり取りや、営業スタッフ、地方にいるスタッフなどとはテレビ会議をはじめとする自社のユニファイド・コミュニケーション製品を用いてテレワークを行っていた。しかし同社が全社員規模にまでテレワークを拡大したきっかけは、2011年3月11日に発生した東日本大震災だった。震災の直後、社員全員が自宅に待機することとなったが、そうした状況下で各社員は自主的に自分のパソコンに入っているビデオ会議アプリケーションや内線を受けられるIPフォンなどを駆使して業務を継続させていった。一週間、一人も出社することなく事業を継続できたことで、テレワークの意義を改めて認識した同社では、翌4月には全社的にテレワークが行える環境を整えたのである。ポリコムジャパン ビジネスオペレーションズのシニアマネージャー、藤井浩美氏は「震災以前からテレワークを拡大したいという意向はあったのですが、オフィスにいない社員との連絡のとり方や人事面での評価をどうするのかなど課題もあってなかなか全社員を対象にするまでには踏み込めませんでした。それが震災後にいざ実践してみると、業務の滞りもなく、またオフィスにいなくても社員のプレゼンスやステータスが確認できるため、全員が“見えている”状態にできることが実感できたことから、全社展開が決まりました」と言う。社員のスケジュールはOutlookのカレンダーで社内に公開されているため、お互いに確認しながら動きを同期させることも容易に行えたという。○テレワークのための制度改革を実施ポリコムジャパンでは、全社員がテレワークを行うための制度改革として、テレワーク・フレックス制度や育児サポート関連、介護サポート関連といった3つの制度を新たに整えた。このうちテレワーク・フレックス制度は、以前から実施していたフレックス制度にテレワークに必要な要素を盛り込んだもの。全社員を対象にテレワークを許可し、上長の許可を得ることで誰でも利用が可能(総務・特定技術職は状況に応じて)としている。またコアタイム(11時~15時)以外の時間は、開始時間と終了時間について8時間の間で自由に設定可能とした。育児サポート関連の制度としては、最長1年間、育児休業を取得可能とするとともに、産前・産後の休暇や子どもの看護のための休暇も実施。このうち育児休暇と子どもの看護のための休暇は男性でも取得することが可能だ。こうした整備の拡充により、現在、育児休業からの復帰率は100%となっている。そして介護サポート関連の制度では、まず最大93日まで介護休業の期間を設け、配偶者や父母、子ども、配偶者の父母、その他会社が認めた人への介護に対して申請可能とした。これと合わせて別途時短勤務制度も整えている。○オフィススペースも50%削減ポリコムジャパンにおける、こうしたテレワークを軸とした多様な働き方の実践は、同社の「ダイバーシティ推進戦略」に基づいたものだ。「生産性の向上と業務の効率化、事業継続・リスクマネジメント、経費の削減をきっかけに、テレワーク活用を中心戦略とした柔軟な職場環境の構築を目指すのがダイバーシティ推進戦略です」と藤井氏は説明する。また同戦略に基づきテレワークを推進するための3つの柱として、先に挙げた制度改革と合わせて、インフラ・運用ルールの整備、オフィスの最適化を掲げている。このうち運用ルールとしては、Microsoft Lyncによる労働時間中のプレゼンス表示、Outlook利用でのスケジュール開示、セキュリティに関する社員の意識向上など6項目が必須として定められている。そしてオフィス最適化を象徴するのが、2014年6月9日に移転した東京・東新宿の新オフィスである。新オフィスでは、必要時のみオフィスに出勤する「テレワーク特化型」の仕事環境へとシフトするべく、フリーアドレス型のオフィスとして個々の固定デスクを廃止(技術職などの専門職を除く)。また資料など私物保管用のロッカーを設け、社員のニーズに対応しながら、仕切りのある席やオープンスペースなど用途に合わせて利用できる設計とした。「さまざまなライフステージにいる社員の自由な働き方を支援するために、これまで当社で培われてきたノウハウをベースにしながら新たなオフィス環境を構築しました」(藤井氏)社長室についても、社長が不在の際は会議室として利用可能とするなど、徹底的なオフィススペースの最適化を図った結果、前オフィス比で約50%ものスペースを削減することができた。そうして、顧客やパートナーへのサポートを強化するための「東京カスタマーエクスペリエンスセンター(TCEC)」を同オフィス内に新設することができたという。○テレワークが自然と可能になる技術の提供をポリコムジャパンの代表執行役社長、三ッ森隆司氏は、自社でのテレワークの取り組みについて次のような見解を示す。「われわれ自身が離れた場所にあるPCやモバイルからでもコミュニケーションを行うための技術手段を提供しているわけですが、それがあることで自然とテレワークやモバイルワークが実践可能なのだといった効果や意義を実感することができました。それとともに、テレワークを活用する社員自身のプロフェッショナルな業務遂行と高い意識も、テレワークを成功させるポイントであることも再認識しました」「お客さまを見渡すと、出張旅費の削減など、最初は目に見える効果を動機として当社の製品を導入いただき、その後、効果を実感しながらワークスタイル変革へと広げていくケースが多いようです。自社でテレワークを実践することで、ワークスタイルの部分に拡大していく際のサポートも充実できればと思っています」(藤井氏)今後ポリコムジャパンでは、さまざまな場所で働くことができるワークスタイルを普及していくというミッションのもと、自ら製品を活用し実践しつつ、自然とそうした働き方が浸透していくような展開を目指していくという。
2015年11月05日●日本が抱える課題世間ではマイナンバー制度に関するニュースが多数報道されているが、今年の12月から施行される重要な法律があることも忘れてはいけない。改正労働安全衛生法に基づく、ストレスチェック制度である。従業員50人以上の事業場では、今後年に1回全従業員へストレスチェックを実施し、従業員のストレスの状況について検査を行わなければならない。マイナンバー制度への対応に向けて、業務も費用も企業にとって負担が生じるなか、この法律も重荷に感じている企業も少なくないだろう。しかし、この法律の背景には、日本の経済力を高めることを目的とした政府の考えがある。10月13日、メンタルヘルス関連サービスを展開するアドバンテッジ リスク マネジメントは、ストレスチェック制度に関するセミナーを開催した。当日は同社の代表取締役社長である鳥越慎二氏が講演。当日の講演内容についてお届けしよう。○職場におけるメンタルヘルスの状況警察庁による自殺者数の調査では、総数は減少傾向にあるものの、「被雇用者・勤め人」にあたる労働者の自殺者数は横ばいで推移している。平成26年度では、総数が25,427人に対し、労働者の自殺者数は7,164人で、全体のおよそ28.2%を占める高い割合となっている。自殺の理由はさまざまであるが、「その多くが鬱状態ではないか」と鳥越氏は推測する。ちなみに、交通事故による死亡者数は平成26年度で4,113人となっている。比較すると、労働者の自殺者数は交通事故死者数の1.7倍となっていることがわかる。また、厚生労働省による精神障害などの労災補償の調査では、平成26年度の労災請求件数は1,456件、認定件数は497件、うち自殺件数は99件となっており、いずれの件数も過去最多となっている。従業員がメンタル不調などで休職・退職することによって、実は大きなコストがかかっている。休職前後の周囲の従業員が手伝う残業代や、休職中の本人への手当、周囲の業務調整、事務対応など、さまざまな場面で人件費が発生し、内閣府によると一人の従業員(年収約600万円想定)が6カ月間休職した場合に発生するコストは、422万円にのぼるという。さらに、その従業員が退職し、新たな人材を採用するためのコストは、約180万円(年収×30%で試算)だと言われている。これらの状況を受けて、政府は企業の健康経営の推奨やブラック企業の是正など、さまざまな施策を実施・検討している。●ストレスチェック制度のポイント○ストレスチェック制度の目的は?鳥越氏は、ストレスチェック制度のポイントとして次の3点を挙げた。50名以上の事業場について、医師・保健師などによる全従業員へストレスチェックを実施し、実施した医師・保健師より従業員へ直接チェック結果を返却高ストレス状態かつ申し出を行った従業員への医師による面接指導の実施面接指導の結果に基づき、医師の意見をふまえて必要に応じた就業上の措置これは、法律で定められている基本的なポイントとなる。しかし、鳥越氏も参加していたという法案公布後の審議会では、法律で触れられていない点に対して付け加えを行ったという。鳥越氏は「ストレスチェックを実施するだけでなく、ストレス問題を改善することが重要」とし、さらに3つのポイントについて説明した。まず、「企業の集団分析」である。ストレスチェックの結果を部署ごとに分析し、企業は職場環境改善のために活用するよう求められている。集団分析は努力義務とされているが、鳥越氏は「"努力義務"とは、"努力することが義務"なので、これはほぼ義務ということ。ストレスチェックを行っただけでは、改善されない。改善するためにはストレスチェックの結果を利用し、企業が努力することが必要」と説明した。2つめは、「相談窓口の案内」である。ストレスチェックを行った結果、高ストレス判定を受けた従業員は、その後会社に対して医師による面接指導の申し出を行う必要がある。「高ストレス状態の人が、果たして自分で申し出をするものか?」と鳥越氏は疑問を投じる。そこで、医師面談とは別にカウンセリングなどが受けられるような環境の整備をすることが、推奨されている。3つめは、「労働基準監督署への報告」である。企業はストレスチェックの実施日・チェックを受けた人数・フォロー状況を、労働基準監督署に報告することが義務付けされている。「この報告内容によって規制や取り締まりは行わないとされているが、十分に注意した方がよい。政府はこの報告内容をブラック企業対策の参考にすると考えられる」と鳥越氏は促す。「ストレスチェック義務化の目的は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止が主な目的であって、ストレスチェックをすることが目的ではない。この目的のために、ストレスの原因となる職場環境の改善を行うことが、企業が求められている対応である」(鳥越氏)●ストレスチェック制度で求められる対策○企業と従業員、双方に求められる対策ストレスチェック制度の実施にあたり、企業が行わなければならないこととして、まず、衛生委員会などで調査審議を行い、社内規定を定め、従業員に周知する必要がある。また、実施する医師は誰にするのか、帳票の回収やデータ入力など、ストレスチェック結果を出力するまでの情報を扱う実施事務従事者を誰にするのかなど、体制を決めていく必要もある。鳥越氏は「事業者はストレスチェック制度に対する基本方針を決める必要がある。それによって、対応の仕方が変わってくるからだ」と話す。今回の法令に遵守するレベルで考えるのであれば、ストレスチェックの実施と医師面接の実施を行えばよい。しかし、メンタル不調者の未然予防も考えるのであれば、前出の外部相談窓口の設置についても検討する必要が出てくる。さらに、メンタルヘルス対策にとどまらず、組織改善や活性化をはかり、企業の生産性を向上させようと考えるのであれば、しっかりとした組織分析・改善施策の実行が必要となってくる。また「企業だけでなく、従業員も意識を変える必要がある」と鳥越氏は話す。「政府が推奨するストレスチェックに関する57の質問項目はNIOSH職業性ストレスモデルを参考にしてつくられている。しかし、このモデルにあって、ストレスチェック推奨項目に欠けているのが、『個人的要因』に関するチェックだ。個人の性格などを抜きにしてストレス対策を進めても、効果が出ないケースがある。ストレスは客観的には存在しないもの。個人の受け止め方によってストレスに変わる。従業員も刺激に強くなるために努力する必要がある」(鳥越氏)鳥越氏は、ストレスチェック制度の実施にあたって「自分の会社がどういった対応をするのか、従業員は会社を判断するきっかけになる」と言う。きちんと運用できる体制で、従業員の期待に応える制度運用を行うことが、望まれる。
2015年10月21日日立製作所は、企業などの事業者に対して12月から義務化される「ストレスチェック制度」に基づく業務を支援する「従業員健康管理クラウドサービス/ストレスチェック」を、10月15日から販売開始することを発表した。新サービスは、ストレスチェックの実施や面接指導、ストレスチェック結果の集計・分析など、ストレスチェック制度に基づく一連の業務を支援するクラウドサービス。従業員によるストレスチェックの質問票への回答だけでなく、未回答者の把握や催促、回答結果に基づく面談実施の推奨をクラウド上で行うことができるようになっている。また、従業員が面談希望や検査結果の開示に関する同意の有無を登録することも可能としている。問診項目は厚生労働省が推奨する項目以外の質問を追加できるほか、事業者の情報セキュリティポリシーに合わせてデータの保管場所を変更できるなど、ニーズに応じて柔軟な設定を行うことができるという。さらに、新サービスは企業の定期健診向けの「従業員健康管理クラウドサービス」のオプション機能としても利用することができ、「従業員健康管理クラウドサービス」の基本機能である健診管理・面接管理・就業制限管理の各機能と組み合わせることで、心と体の両面から従業員の健康管理を行うことを可能としている。価格は基本月額費用が10万円~、従量月額費用が一人あたり20円で、いずれも税別価格。初期導入費用が別途必要となる。サービス提供開始時期は12月1日となっている。
2015年10月14日いよいよマイナンバーの通知カードの送付が始まります。また、マイナンバー制度のもうひとつの番号、法人番号の通知、公表も始まり、ここからマイナンバー制度がスタートします。その一方で、内閣府が9月に公表した世論調査では、マイナンバー制度について「内容まで知っていた」と答えた人の割合が43.5%と5割にも満たない現状が明らかになっています。そのほか民間企業などの調査結果では、マイナンバーの取り扱いが必須となる中小企業の取り組みの遅れも明らかになってきており、平成28年1月から利用が開始されるマイナンバー制度がスムーズにスタートできるのか懸念の声もあがっています。今回は、最新の情報を整理、確認してみましょう。○通知カードの送付および個人番号カードの交付申請最新情報整理総務省のお知らせ「個人番号の通知に係るスケジュールについて」によると、マイナンバー通知カードの「お届けの時期」について「概ね10月中旬~11月中を予定」としています。住民票を有するすべての個人(約1億2,800万人)にマイナンバーを付番した後、世帯単位(約5,600万世帯)に簡易書留で送付するわけですが、これだけの数の簡易書留が送付されること自体、前代未聞のことですので、さすがに一時期に集中して送付することは難しく、1カ月以上の時間をかけての送付となってしまいます。また、簡易書留での送付ですので、届け時本人不在の場合は再配達が必要となったり、土日に地区の郵便本局へ引き取りにくる人が殺到したり、受取人不在のまま市区町村まで返送されるものも多数でることが想定されています。返送されたマイナンバーの通知カードは再送付が行われることになっているようですが、住民票を有するすべての個人がマイナンバーを受け取るまでには相当の混乱が起きてしまうことが予想されます。送られてくる通知カードですが、図1のように、マイナンバーの通知カードと個人番号カードの交付申請書が一体となった様式で送られてきます。通知カードは氏名、住所、生年月日、性別の個人4情報とともにマイナンバーが記載されています。顔写真が掲載されていないため身元確認には使用できませんが、番号確認が必要なシーンでは個人番号カードを取得するまで、この通知カードを使用することになりますので、大事に保管しておく必要があります。また、個人番号カードを申請する場合は、この交付申請書書に顔写真を添付して書面で申請するのが基本ですが、パソコンから指定のWebサイトに進み、申請書に記載されている「申請書ID」を入力して申請する方法や、申請書下部のQRコードをスマートフォンで読み取ってWebサイトへ進み申請する方法なども用意されています。○法人番号の通知・公開法人番号の通知・公開のスケジュールも法人番号の付番機関である国税庁より、図2のとおり公表されています。こちらも10月下旬から11月中くらいの期間に通知書が発送されるとともに、国税庁の法人番号公表サイトに法人名称・所在地・法人番号の基本3情報が公表される予定です。法人番号は公表される番号ですから、いつでも入手可能ではありますが、取引先などの法人番号を記載しなければならない書類の提出時期までには、確実に入手できるように段取りだけはつけておく必要があります。○今年中にマイナンバーを収集するために考慮しておくことこの連載では、中小企業のマイナンバー取り扱いの入り口となる従業員などからのマイナンバーの収集を、マイナンバーが送付される10月から11月にかけての期間で行うことを提案してきました。それは、来年の年末調整時期以前にもマイナンバーの利用が必要となるケースもあること、また来年のこの時期に収集しようとすると必ず通知カードを失くした従業員や扶養親族が出てくることが想定されることを考慮した提案でした。先に見たとおり、市区町村によっては送付時期が11月下旬までかかってしまうことや、最初の送付で受け取れず再送付を待たなければならない従業員も出てくることを想定すると、従業員などからの収集に12月までかかることは想定の上で、収集スケジュールを組み直す必要があります。すでに、従業員へのマイナンバー提供依頼の案内や収集したマイナンバーの安全管理措置など必要な準備を整えている場合は、通知カードが手元に届いた従業員から順次収集していくほうが、一斉に収集することにくらべると非効率のようでも実際的な対応方法といえます。また、現時点でマイナンバー制度への対応準備が充分にできていない中小企業の場合は、あわてて従業員などからのマイナンバーの収集を始めるのではなく、マイナンバーの利用分野である税や社会保障の専門家である税理士や社会保険労務士に相談して、まず制度への理解を深めるとともに、自らの企業規模に応じた方法として、これら外部の専門家にマイナンバーの取り扱いも委託する方向で相談していくことが、対応準備の近道となります。そのうえで、信頼できる税理士などにマイナンバーが必要となる源泉徴収票作成業務とあわせてマイナンバーの取り扱いを委託する場合は、税理士事務所と企業との役割分担を決め、企業がうけもつ役割に応じて安全管理措置を講じてから、従業員などからのマイナンバーの収集を開始しても、遅くはないのではないでしょうか。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年10月13日育児に悩んだり、子育てに疲れたりした時は、子育て講座に参加してみるのがおすすめです。主催は自治体だったり民間団体だったり、さまざまですが、講座に参加して話を聞くことで新しい気づきが得られ、子どもと向き合える力も戻ってきます。今回はそんな子育て講座で聞いた話から、子どもの心の育て方をまとめてみました。子育てで最も大切なことは「自信を育てる」こと!子育て講座では、「子どもの自信」や「自己肯定感」「自尊感情」を育てることが、子育てで最も大切だ、と教えられます。「自分には価値がある」「自分ならできる」「自分が好き」という心を育てる、ということです。中には「自信は生きる力の土台」だと言う先生も。自信がないと、「何をしてもうまくいかない ⇒ チャレンジできない」というサイクルになってしまうのに対し、自信が育つと、「きっとうまくいく ⇒ チャレンジできる」と、人生がどんどん良い方向に動き出します。では、子どもの自信を育てるにはどうすればいいのでしょう? ポイントは以下の3つだそうです。<子どもの自信を育てる3つのポイント>ほめるスキンシップ関心をもって話を聞く 加えて、栄養学の先生によると、食事の記憶も「自尊感情」を育てるのに一役を担うのだとか。毎回栄養バランスの整った、手間ひまかけた食事でなくても、「仕事が忙しいのに、おにぎりは必ず作ってくれた」といった、心のこもった食事の記憶は「愛された記憶」として定着し、子どもは生きている価値を感じるというのです。なお、自尊感情が順調に育っているかどうかの指針として参考になるのが、「イヤイヤ期」。「イヤ、イヤ!」と自我を通そうとするのは、自分に自信がついてきた証です。「こんなにすごい自分が、なんで欲しいものを買ってもらえないの?」という気持ちの表れだそうです。つまり、「イヤイヤ期」は、親が子どもを上手に育ててこられた証拠と言えそうです。 穏やかな心を育み、社会に適応できる子どもを育てるために自分に自信があっても、「攻撃性」の高い子どもに育ってしまうと、社会で上手に生きていくことができません。そんな時に参考にしたいのが、子育て講座でよく話題にあがる「セロトニン」の話。「セロトニン神経」は穏やかな心を育むのに大切な神経で、これが不足していると、姿勢や寝起きが悪かったり、ストレスが我慢できなかったり、コミュニケーションを苦手に感じるようになるそうです。セロトニン神経の発達には、見つめるほほ笑む話しかけるほめる触れる、なでてあげる「歩行・呼吸・咀嚼」などのリズム運動太陽の光を浴びる が、効果的。こう見ると、「子どもの自信を育てる」のも、「セロトニン神経の発達を促す」のも、「ほめる」「なでる」など、当たり前のことのように思える愛情表現の積み重ねなのだとわかります。教育よりも「ヒマが大切!?」心と同様に、子どもの脳もどんどん鍛えてあげたいもの。「子どもの教育のため」と、おもちゃを次々に買い与えているご家庭も多いのではないでしょうか。しかし、先生たちの講義を聴いていると、与えることが決して良い結果を導くとは限らないようです。ある先生は、「英才教育より、ヒマが大切」「意欲はヒマと退屈から生まれる」と言います。与えられ過ぎると、子どもは使いこなすことに忙しくなり、自ら学ぶ力や工夫が減るからだそうです。また、「求めているのに与えない」ことも、「求めてもいないのに与えすぎる」ことも良くないそう。与えすぎると、「何事にも受け身」の子どもに育つ危険性が。かわいいわが子に、いろいろと買ってあげたい気持ちを、時にはぐっとこらえて、子どもの様子を観察しながら、本当に必要なものを適切なタイミングで与えるよう、工夫してみては?無関心より、怒ったほうが何倍もいい!子どもは大人の真似をして育ちます。親が幸せでポジティブでないと、子どもだけが前向きに育つことは難しいでしょう。子育て講座の先生たちも、最後にはたいてい「親がまず幸せに!」と発破をかけてくれます。自尊感情の豊かな子どもを育てるために、「私の子どもだから大丈夫」というぐらい自分に自信を持って、と諭してくれた先生もいます。また、子どもが思いやりのある子どもになるには、親が、「怒り」も含めて、さまざまな感情を子どもに見せてあげることも必要だと説く先生も。子どもに「怒ってしまった」と、落ち込むこともあるかと思いますが、「無関心」より何倍もいい!というぐらい、おおらかに考えたほうがよさそうです。まずは自分が、失敗も落ち込みも笑い飛ばして、子どもとたくさん触れ合ってはいかがでしょうか。(滝 亜紀)
2015年10月11日オービックビジネスコンサルタント(OBC)は9月18日、企業が行う初めてのストレスチェック制度の準備に対応したオールインワンサービス「OMSS+ストレスチェックサービス」を同月24日から同社の販売パートナーを通じて発売すると発表した。同サービスはOBCの業務サービスとして年間利用型で提供し、価格は税別でProfessionalタイプ(実施者・相談センターIT受検/分析)は9万5000円(社員数100名まで、人事奉行所有のOMSSユーザーの場合)~。同サービスは厚生労働省のガイドラインに則ったサービス設計をしており、法令完全準拠。専用導入運用ガイドでは企業に必要な体制構築の手順や準備書式を提供し、IT受検サービスでは「職業性ストレス診断簡易票」をベースに、57問・23問・80問の設定が可能。努力義務となっているストレス状況の組織分析は厚生労働省が提唱する「仕事のストレス判定図」に沿って、企業全体、組織のストレス状態を把握でき、努力義務となっている職場環境改善の指標として利用できる。また、メンタルヘルスに精通した専門医を実施者として提供し、実施者はITによって収集された診断結果を総合的に判断し、高ストレス対象者と面接勧奨などを適切に判定。実施結果に対して、実施者は企業の状況を適切に分析し、改善ポイントやアドバイスをレポート。さらに、利用企業の総合的なサポートするために相談センターを設置し、対応するスタッフは産業保健に精通した事務スタッフ・産業カウンセラー・社会保険労務士などのプロ集団が総合的に対応。相談は体制構築・書面作成・ストレス実施・分析など多岐に渡る内容に対応し、初めての制度対応・ストレスという未経験な内容に対し相談することが可能で従業員からのストレス診断結果に関する直接のお問い合わせに対応する。
2015年09月18日NECは9月16日、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の開始に伴い、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から、全国の地方公共団体(7月時点で1743団体)の個人番号カード(ICカード)交付窓口で、本人確認に利用される「個人番号カード交付窓口用顔認証システム」を受注したことを発表した。同社によると、顔認証システムが全国の地方公共団体において統一的に導入されるのは、今回が初めての事例となるという。本システムは、地方公共団体の窓口において個人番号カードの交付を希望する住民に対し、来庁者と個人番号カードの顔写真を照合、もしくは、来庁者と個人番号カード交付申請書の顔写真を照合するもの。これにより、地方公共団体における個人番号カード交付時のなりすまし対策などに対して有効だとしている。同社によると、採用されたシステムには、同社の顔認証エンジン「NeoFace」を活用しているという。
2015年09月16日NECは9月14日、山梨県甲州市から、社会保障・税番号制度(以下、マイナンバー制度)を扱うすべての住民基本台帳システム端末約160台のセキュリティ強化に向け、顔認証セキュリティソフトウェア「NeoFace Monitor V2」を受注したと発表した。甲州市は2016年1月のマイナンバー制度運用開始に合わせ、同ソフトウェアの利用を開始する予定。「NeoFace Monitor V2」は、顔認証エンジンをベースに、顔認証によるPCログオン、ログオン中の利用者の常時監視を可能とするソフトウェア。端末を複数の職員で共有する場合でも、利用者を個人単位で認証し、いつ誰がアクセスしたという利用履歴が確実に残るため、職員の不正利用への心理的な抑止効果も期待できる。常時監視機能により、端末利用者の離席をすぐに検知して自動で画面をロックするとともに、ログオン中に未登録ユーザーが着席した場合も検知して画面をロックする。これにより、未登録ユーザによる不正利用を確実に防ぐ。
2015年09月15日日本IBMは9月10日、2014年9月の開始から1年を迎えた国内のスタートアップ企業を支援するインキュベーション・プログラム「IBM BlueHub(ブルーハブ)」に、新たな外部有識者となる3社を迎え、計6社とのパートナー体制を強化すると発表した。今回の提携により、同プログラムでは、IMJ Investment Partners(IMJIP)と協力し、同プログラムの選考を経て参加するスタートアップへの出資検討と東南アジアでの事業化のメンタリングを通じて、支援するという。IMJIPは同プログラム初のインベストメント・パートナーとなる。トーマツ ベンチャーサポートは、同社が行っている地方スタートアップ企業へのオンライン・メンタリングに、IBMのアナリティクスやIoTのスペシャリストを講師として派遣することによって、地方スタートアップ企業を支援。アライアンス・パートナーとなるスカイランドベンチャーズは、テクノロジー・スタートアップ企業の創出を運営コンセプトとするコワーキングスペース「#HiveShibuya(ハイブシブヤ)」を通じて、エンジニアリング・デザインのミートアップやワークショップなどの活動を行い、海外進出を目指すスタートアップ企業を支援。IBM BlueHubは開始以来、参画するパートナーが拡大してきた。今回のIMJIPとの連携により、同プログラムでは、スタートアップ企業の事業拡大を目的とする、包括的な経営支援も可能になったとしている。同プログラムは、パートナー各社と協力しながら、大学など教育機関との連携を視野に展開する予定としており、開発者向けに提供するクラウド・プラットフォーム「IBM Bluemix(ブルーミックス)」やクラウドサービス「SoftLayer(ソフトレイヤー)」などの、IBMのテクノロジーの提供とIBMの人材を通じて、起業を支援していく構えだ。
2015年09月11日すでに報じられている通り、2016年(平成28年)1月から「マイナンバー制度」がスタートします。正式名称は、「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成25年5月31日法律第27号、通称「番号法」)に基づいた「社会保障・税番号制度」。社会保障と税に関する行政手続きで利用するため、日本に住民票を持つ個人全員に対し、12桁の「個人番号」が付与されるというものです。結果として各個人の所得を正確に把握できるようになり、公平な税負担、社会保障の的確な提供などの効果が期待できるとか。また、行政機関・自治体等のさまざまな確認作業の負担も軽減されることになるといいます。とはいえ、私たちにとっては不安なことだらけ。そこで基礎知識を得るために読んでおきたいのが、『これ1冊でできるわかる 小さな会社のマイナンバー制度やるべきこと、気をつけること』(村阪浩司著、あさ出版)です。「Part 1 マイナンバー制度の基本を押さえる」から、「これだけは知っておきたいキーワード4つ」に焦点を当ててみます。■1:「個人番号」先に触れたように、マイナンバー制度においては住民票を持つ全国民に12桁の個人番号が指定されることになります。そして原則的に、一度指定された個人番号は生涯変わらないのだといいます。間もなく2015年10月以降に通知カードが配布され、さらに希望者には2016年1月以降、個人番号カードが交付されるそうです。ちなみにこれは写真つきなので、申請者の個人番号の確認だけでなく、身元確認にも有効。■2:「法人番号」法人番号とは、「国の機関、地方公共団体、会社法その他の法令の規定により設立の登記をした法人」、あるいは労働組合やマンションの管理組合などの「上記以外の法人又は人格のない社団等であって、法人税・消費税の申告納税義務または給与等に係る所得税の源泉徴収義務を有することとなる団体」に指定されるもの。難しい表現ですが、つまりは各種法人や団体のための番号です。■3:「特定個人情報」特定個人情報とは、個人番号や、「個人番号に対応する符号」を含む個人情報のこと。ちなみに「個人番号に対応する符号」というのは、個人番号に対応し、個人番号に代わって用いられる番号や記号などで、しかも住民票コード以外のものを指すのだといいます。■4:「特定個人情報ファイル」特定個人情報ファイルは、「個人番号や個人番号に対応する符号」をその内容に含む個人情報ファイル。民間の企業の場合は、個人情報保護法に定める「個人情報データベース等」と同じ意味だそうです。*これが、マイナンバー制度の基本的な部分。これを踏まえたうえで、会社の仕事がどう変わるのかを、本書ではわかりやすく解説しています。なんらかのかたちで自分自身にも関わってくる問題ではあるので、本書でしっかりと知識をつけておきたいところです。(文/印南敦史)【参考】※村阪浩司(2015)『これ1冊でできるわかる 小さな会社のマイナンバー制度やるべきこと、気をつけること』あさ出版
2015年09月07日アライドアーキテクツは9月2日、SNSプロモーション総合支援プラットフォーム「モニプラ」において、企業が運営する公式YouTubeチャンネルのファン獲得を支援するサービスの提供を開始した。導入第一弾として、森永製菓の「キョロちゃんのムービーを見てチョコボールを当てよう! キャンペーン」を同日よりスタートしている。「モニプラ」は、SNSを活用したキャンペーンを基点に、Webプロモーションの成果向上をワンストップで支援するASPサービス。FacebookやTwitter、Instagramなど国内主要SNSのユーザーを対象に、写真コンテストやユーザー投票、アンケート調査などのWebキャンペーンを安価かつ容易に開催することができる。新サービスは、Webキャンペーンという間口の広いプロモーション施策と企業の「公式チャンネル」を掛け合わせることで、幅広いターゲットに向けて効率良く動画コンテンツを訴求することが可能となる。また、不特定多数のWebユーザーではなく、キャンペーンの応募ユーザー(=もとよりサービスに興味・関心を持つ消費者)を公式チャンネルへ呼び込むため、より高いプロモーション効果が期待できるという。さらに、応募ユーザーの情報はモニプラのデータベースに蓄積されるため、動画視聴後の商品・サービスに対する好意度の変化の計測など、動画を基点とした長期的なマーケティング施策に繋げることも可能だ。
2015年09月03日