今回の内容は、辛い描写があります。不安を感じる方は閲覧をお控えください。■前回のあらすじエコー検査で穴の大きさを調べると、娘には手術が必要だとわかる。しかしこの病院では、小児の手術ができる医師がいないため転院することに。奇跡的に自宅から車で20分の病院を見つけ予約が取れるのだった。■いざ手術をする病院へ産後のメンタルはジェットコースターのように上下しますよね? 退院して実家から県外の家に戻るとき、病児と暮らすことより家事育児スキルがまだ0のパパと暮らすことが不安で不安で…。車の中で胸がギューっとなってボロボロ涙が出てきました。そして転院先の病院は大きな総合病院ですが、小児循環器科の人の多さは他科と比べて桁違いに多くて…。もともと患者数も多い中、子ども相手なので機嫌によってエコーできなかったり、採血に時間がかかったりするみたいです。■私、頑張れていたんだ…総合病院は検査も多く、そして何より待ち時間が長くて驚きました。13時に行って、帰ったのは17時…。それだけの人数を見ているお医者さんは本当に大変だと思いました。そして先生からの「頑張りましたね」の一言がすごく心に響いて…。しかし、また娘の状態が悪くなっていきます。次回に続く「娘と心疾患のお話」(全18話)は12時更新!※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2023年03月06日「頭が大きい?」1歳半健診で指摘されて…Upload By べっこうあめアマミ妊娠中から出産時まで、何の異常もなくこの世に生まれた息子は、1歳までは何の発達の遅れも不安もなく、すくすく成長していきました。「あれ?」と思ったのは1歳を過ぎたころ。1歳半健診のチェック項目のほとんどに〇がつかないという事態に陥りました。そしてこのころから息子の発達の遅れが目立つようになっていき、私は大きな不安にかられるようになっていきました。そして迎えた1歳半健診。身体面に異常はなく、分かりやすい困りごともないけれど、明らかな発達の遅れがある息子。そして、頭位(頭の大きさ)が大きいことが気になるという指摘を受けたのです。そこで初めて聞いたのが、「水頭症の可能性」でした。水頭症は、脳脊髄液が頭の内側に過剰に溜まってしまう病気です。まだ頭蓋骨がやわらかく組み合わさっている状態の幼児期に水頭症があるお子さんは、内側からの圧力で頭蓋骨が押し広げられ、頭が大きくなるそうです。ただ、あくまで可能性というだけで、検査しなければ分からないとのことだったので、1歳児の脳のMRI検査ができる大きな病院に紹介状を書いてもらうことになりました。発達の遅れの理由は、発達障害や知的障害だけではないUpload By べっこうあめアマミ大人ならすぐに済ませられるMRI検査ですが、ずっと動きを止めていられない1歳児が受けるとなるとそうはいきません。親子で日帰り入院し、息子が自然に眠っているときか、眠らなければ薬で眠らせて検査する、少し大がかりな検査になります。当日うまく寝てくれるように睡眠時間を少なめにして連れて行ったため、息子は不機嫌で何度も大泣きしました。しかし幸い疲れて寝てしまい、無事に検査を受けることができました。そして検査の結果は異常なし。ここで、息子の発達の遅れの理由から、「水頭症」の可能性が消えました。しかし、発達の遅れの理由として考えられるものは、それだけではありません。耳が聞こえていなくてコミュニケーションがとれない可能性もありますし、主治医はほかの病気の可能性も考えてくれていたようです。脳のMRIのほかに、聞こえの検査と、全身の代謝の検査などをしました。しかしどの検査でも、息子に異常は見つかりませんでした。それでも目の前にいる息子には明らかな発達の遅れがある。そのため、息子の通院は、ここから「様子見」というような形で始まりました。ショックだけれど納得もできた、障害の診断Upload By べっこうあめアマミそれから2年と少し経った4歳のとき、息子に知的障害を伴う自閉スペクトラム症の診断が出ました。そのころには私もさすがに、「何もないということはないだろう」とは思っていましたが、いざ診断を告げられると大きなショックを受けました。何度も泣きましたし、すぐに障害を受容できたわけでもありません。しかし、2年間という長い期間息子を診続けてくれた主治医による診断であること。そして、発達障害や知的障害以外のあらゆる可能性を潰した上での診断ということで、障害名に対しての納得感はありました。もちろん、診断の直接的な材料となったのは発達検査です。しかし、最初から発達障害、知的障害という方向だけで発達の遅れを見る前に、それ以外の病気や聞こえの問題などがないか検査するのは大切なことだと思ったのです。万が一、治療可能な病気などがあったとしたら、早期に手を打たなかったことを後悔したでしょう。ところが息子の場合、身体のどこにも異常はないから治療はできない。それが息子の障害、「知的障害を伴う自閉症」だということに、大きなショックの中でも納得はできました。病院だけでなく、息子は2歳から療育にも通っていましたし、「診断までにやれることはやった感」が、後の私の心の整理には大事だったと思います。通い続けて6年、長く診てもらっている病院がある安心感Upload By べっこうあめアマミ息子のように、服薬がなく身体障害や病気などもないお子さんは、病院にかかるべき明確な理由がないかもしれません。もちろん、必要性がなければ特に通院しなくても全く問題ありません。しかし、息子のように発語がなくて、本人との意思疎通が難しい子どもの場合、定期的に通う病院があると、体調の変化なども相談できて親としては安心です。今後何か病気が見つかったり、服薬の必要性が出てきたときにも病院探しに困らずにすみます。そして、障害がある子どもを育てていると、何かと診断書が必要になる機会がありますが、かかりつけ医があると、診断書のお願いもスムーズです。息子の通院の期間は長いですが、頻度は3、4ヶ月に1回程度です。そんなに低頻度の通院に意味はあるのかと思われるかもしれませんが、長く通い続けている病院は、親にとって頼りになる存在です。きっかけがないとなかなか難しいかもしれませんが、子育てをする上でかかりつけ医があるメリットは大きいと感じています。病院も、できれば自分の子どもと同じような障害がある子どもが多く通っていて、さまざまな検査が可能な設備が整った病院が安心かもしれません。きっかけが脳の検査だったこともあり、息子が通っているのは精神科ではありませんが、発達障害による困りごとをより具体的に相談したい場合、児童精神科を受診するのも良いと思います。地域ごとに評判の良い病院などもあると思いますので、気になる方は、情報を集めて受診してみるのもいいかもしれません。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)べっこうあめアマミさんの息子さんが、3−4ヶ月に1回定期的に通院しているのはとても良いと思います。私の勤めているクリニックにも、服薬などは必要ないけれど定期的に通院しているお子さんがたくさんいます。状態が安定している小学生や中学生は、長期休みに受診してくれています。そのたびに、お子さんの成長を一緒に楽しみ喜んでいます。当初はクリニックの診察室に入るのも嫌がっていたお子さんが、診察室に入れるようになり、一人で椅子に座れるように、聴診器も嫌がらずに当てられるようになり、と低頻度の受診でも徐々に慣れてきます。年度変わりで、学校の先生が変わっても、いつもと同じ病院やクリニックに同じ先生やスタッフがいるということで、安心して通えるというお声を聞くこともあります。お子さんの年齢が上がってくると、主治医が見つからないという声を聞くこともあります。べっこうあめアマミさんのように小児神経科に相談するのも良いですが、発達外来のある小児科、児童精神科、精神科などに相談してみましょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月23日こんにちは、小児科医の保田典子です。私生活では3人の子どもを子育て中の母です。今回は「野菜ジュース」について。離乳食が果汁からだった時代もありますが、今はなるべく子どもに果汁(ジュース)をあげないほうが良い、という時代になってきています。実は、野菜不足が心配でついつい飲ませてしまう(!?)野菜ジュースも同じです。なるべく飲ませないほうが良いと言われるようになってきています。なぜでしょうか?ジュースがダメな理由世界保健機構(WHO)などでは「幼児までの子どもには100%ジュースも糖分のとり過ぎになるとして飲ませないほうが良い」としています。糖分のとり過ぎは虫歯のリスクが高まったり、肥満のリスクが高くなるためです。 一方、フルーツそのものに関しては、食べないほうが良いということはありません。フルーツそのものであれば、食物繊維など糖分以外の物も含まれるため、栄養素の吸収も変わってくるからです(もちろん摂取目安量はありますが、そこまで厳しくしなくても良いと私は考えています)。 そのため、現在、小児科では「そもそもジュースは子どもに与えるものではない」という指導をしています。 糖分の摂取目安WHOでは、「1日の遊離糖類摂取量を総エネルギー量の10%未満に抑えましょう、5%未満だとさらに良い」と言われています。 厚生労働省健康局から出ている「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】 」によると、「遊離糖類とは、グルコースやフルクトース等の単糖類、スクロースや砂糖等の二糖類等食品や飲料の加工調理で加えられるもの、並びに蜂蜜、シロップ、果汁、濃縮果汁等に自然に存在する糖類のこと」を指します。※はちみつは乳児ボツリヌス症予防のため、満1歳までは絶対に与えないようにしてください。 例えば、1〜2歳の推定エネルギー必要量は1,000kcal程度(厚生労働省資料より)なので、5%未満とすると遊離糖類摂取量は12.5g程度が望ましいということです。 スポーツドリンク500mLだと約30g、100%ジュースでも200mLで20g、野菜ジュース720mLで約50gの炭水化物(糖質+食物繊維)が含まれています。ジュースに食物繊維はほとんど含まれていないことを考えると、このうちの“ほとんどが糖質”ということになります。 糖質はジュースにだけ含まれているわけではないので、ジュースだけで糖質の必要量をとってしまうと、明らかに糖質のとり過ぎになってしまうのです。 野菜不足を野菜ジュースで補わないで野菜をあまり食べないことが多い子どもたち。ついつい野菜不足が心配で野菜ジュースを飲ませてしまうこともあると思います。もちろん、野菜はたくさん食べてほしいものですが、野菜の栄養素よりも余計なものをとってしまっては本末転倒です。 子どもが好きな味つけにしてみたり、食感に変えてみたりなど、子どもが食べやすいようひと工夫することで、食べてくれるようになることもあります。野菜不足はしっかり野菜で補い、水分は水や麦茶を飲ませるようにしたほうがいいと思います。 とはいえ、子どもが野菜を食べてくれないというご家庭も多いと思います。わが家では子どもたちが嫌いな野菜もありますが、好きな野菜を重点的に出すようにしています。 さまざまな野菜を食べてほしいので、いろいろ出すようにしますが、食べてくれないこともよくあります。それでもめげずに出し続けることと、ビタミンは他の食べ物からもとれるので、焦らず無理して食べさせないようにしています。好きな野菜も出してあげて「おいしいね」と食事を楽しむことが大切かなと考えています。 ジュースなどの甘くおいしい飲み物の味を一度覚えると、頻繁にジュースを欲しがるようになってしまいます。小さいうちから毎日ジュースを与えてしまい、水や麦茶を一切とらなくなってしまったというケースもあります。 子どもに野菜ジュースなどのジュースを与えないという選択は、子どもに水分をとらせることに苦労したり、虫歯治療に通うことになったりと、将来的に後悔しないために今できる「ラクになる育児」の1つです。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2023年01月07日娘の2週間健診で体重があまり増えていないことを指摘され、涙したママ。助産師さんに小児科の受診をすすめられ、その足で小児科へ。私の不安を受け止め、救ってくれた医師の言葉とは?育児用ミルクを飲むのに1時間かかり、飲んだ分をすぐ吐き戻してしまう……。2週間健診で体重があまり増えていないことを医師に指摘され、「お母さん、ちゃんと頑張らなきゃ!」とつらい言葉を投げかけられて、涙したママ。 「誰かに見てもらいたい」と母乳外来へ行ってみることにしました。 助産師さんに診てもらうと…? 「心配事があるだけで、行っていいのよ。お医者さんが“大丈夫”って言ってくれると、安心できるでしょ?」 助産師さんに小児科の受診をすすめられたママ。発熱も咳もないのに、病院を受診してもいいのかな……そう悩んでいたママの背中を押してくれました。 その足で初めて小児科を受診すると、総合病院の救急外来をすぐに受診するように言われます。 「母親が“何か気になる”っていうのは、立派な検査理由です。それで怒る医者なんていないよ」 不安を受け止めてくれた医師に感謝しつつ、今度はその足で総合病院を受診することになりました。監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター こやま家2018年4月生まれの女の子さくちゃんと、2020年5月生まれの男の子あおくんを育てるワーキングママ。奇想天外な家族の様子を絵日記で描いている。
2023年01月04日病院は助けてくれるところ!わが家の凸凹兄妹の兄、タケルは、小さなころからしばしば泣きすぎては呼吸困難を起こし、夜中の病院に駆け込んでいました。3歳ごろからは喘息の発作も起こすようになり、定期的に通院して呼吸器も使っていたので、病院に行けば苦しいのが治ると学習したようです。予防接種などのほかの用事で病院に行くときも、特に嫌がるそぶりを見せることはありませんでした。Upload By 寺島ヒロ小さいころからしょっちゅう病院に行っていたということは、良いことなのかは分かりませんが、注射や白衣の人を怖がったりすることもなく、むしろ「ハカセかっこいい!」と、憧れていました。大学に入って購買部で最初に買ったのも白衣だったぐらいです。病院大好き!な大きな理由タケルが病院を好きな理由はもう一つありました。それは、病院の先生や看護師さんは、タケルの「変わったところ」を受け入れてくれたということ。小さなころから「ハカセキャラ」だったタケル。幼稚園では、自分の興味のあることばかりをまくし立てるので、クラスのお友達とはほとんど対話できていませんでした。幼稚園は私立で、「良いことは見つけては大いに褒め、好ましくない行動は無視」が基本的な教育方針だったため、先生方に話を聞いてもらうこともほとんどありません。タケルのマシンガントークは「好ましくない行動」だったのです。「自分も変わった子だった」先生の寄り添い当時通っていた病院の先生は、発達障害の専門ではありませんでしたが、「こういう子どもってたまにいる。自分もそうだった」と言ってくださって、タケルの話をよく受け止めてくれました。多くの時間を割いてくれるわけではないのですが、タケルが言いたいことを短い言葉でまとめてくれて、的確に答えを返してくれていました。看護師さんや、ほかのスタッフさんも同様で、病院の機器を見たタケルが「それは何ですか?」「どういうものですか?」といちいち尋ねても嫌な顔一つせず、丁寧に教えてくれていました。Upload By 寺島ヒロ家か!?と突っ込みたくなる状態にそこまではまあ良いのですが…ちょっと困ったこともありました。タケルには何かに熱中すると、なかなかやめられないという特性もあります。病院の待合室で、ブロックやパズルなどを始めてしまうとそっちに熱中してしまい、診察室に呼ばれても行かなかったり、診察が終わっていても帰らなくなってしまうのです。Upload By 寺島ヒロ診察室に行かないときは、しばらくすると大好きな白衣の先生が待合室まで呼びに来てくれるので、手持ちの遊びから気がそれ、診察に進むことができましたが、問題は帰らないときです。正直、こちらは打つ手がなく、「お母さんお腹すいたからごはん食べよう!」などと、理由をつくっては引きずるようにして帰っていました。ごはんを理由に帰ったときは、ごはんを食べ終えると「お腹いっぱい?じゃ帰ろうか!」と言われることもしばしばあり、どっちが家なんじゃ!と、おかしかったです。自分の「陣地」じゃなくなった?プレイスペースからの卒業今に病院に住むと言い出すんじゃないか?と思うほど病院が好きだったタケルですが、10歳の誕生日を境に喘息の発作を起こすことが減り、病院に行く頻度も下がりました。そうすると、たまに病院に行っても帰りしぶるような様子も見られなくなりました。しばらく行かなかったことで、自分の「陣地」ではなくなったのかもしれませんね。優しかった先生方のことと共に、今では良い思い出です。執筆/寺島ヒロ(監修:藤井先生より)病院の先生や看護師さんとのやりとりを通じて、タケルさんの居場所になっていたのですね。喘息発作が落ち着くと共に、少しずつ病院からも卒業された様子で、タケルさんの居場所が病院以外にも広がって、世界が広がったのかもしれませんね。マシンガントークは、好きなことを人に伝えるという点では良いところで、状況に応じず話しすぎるという点では好ましくない点なのかもしれません。好きなことを人に伝えられたという、良い点に注目されたことで、病院がタケルさんの好きな場所になったのですね。
2022年12月26日腹痛に襲われたミロチさんは、総合病院へ転院になる前に、通院していた帝王切開ができない個人病院で診てもらうことに。「本当に下から出てくる? もし回旋異常が起きたら、大きすぎて裂けたら……赤ちゃんも私も、無事に帰って来られるの?」。急に怖くなったミロチさんですが、病院へ向かって……。 部屋に案内され早々に… 病院へ到着したミロチさんは、階段をのぼるのもひと苦労……。 通されたのは、前回の出産のときと同じ部屋。 助産師さんがお産セットを渡しながら「今は3〜4分間隔で痛みは弱いけど、2人目だから急に早まるかもしれない……」と続け、「便意が来たらそれは赤ちゃんだからグッと我慢して、呼び出しボタンを押してね!」と言われました。 すると、ミロチさんは息を切らしながら……「あの……出そうです」 「もう便意が、お尻の内側から蹴破ろうとしています!」 その言葉を受けた助産師さんは「ぶ……分娩台に行きましょう!」と、病院到着早々に分娩台へ上がることに! これにはパパも「展開早すぎませんか!?」と驚きを隠せませんでした。 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター ミロチ
2022年12月24日多くのママが「育児が大変! つらい!」と思うことについて、3児の母である小児科医がラクになる方法をアドバイス! ママ目線で「ここまでならラクしてOK」というポイントをお伝えします。今回は【お風呂・スキンケア編】です。服を脱がせて、風邪をひかせないように手早く洗って、服を着せて……。赤ちゃんのお世話でも特に大変なのがお風呂です。特にママひとりで入れるとなると負担も大きくなりますよね。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。今回はお風呂・スキンケア編です! ここが大変① 毎日お風呂に入れるのがひと苦労 赤ちゃんが眠ってしまった! 起こして入れるべき?ママの体調がすぐれないときや、赤ちゃんが眠ってしまったときなどお風呂に入れるのが大変な日もありますね。よほど汗や汚れが気にならなければ、毎日お風呂に入れなくても大丈夫です。ぬるま湯でしぼったタオルやガーゼで体を拭いてあげれば、さっぱりします。あせもやかぶれなど肌トラブルがある赤ちゃんは、できればサッとシャワーで流してあげるほうが良いですね。 洗浄料で洗わない日があってもOKお風呂に入ったときも、毎回洗浄料で全身を洗う必要はありません。首、わきの下、おしり、股、太ももなど汚れが溜まりやすい部位を洗えば、その他はお湯で流すだけでもある程度の汚れは落とせます。赤ちゃんの肌の状態やご機嫌に合わせて適度にラクをしましょう。 ここが大変② こまめに保湿をするのが大変 肌が乾燥していなければお休みしてもOK特にお肌が乾燥していなくて湿疹などのトラブルも起きていない赤ちゃんには、お休みする日があっても大丈夫です。冬は乾燥しやすいので、外気にさらされる顔部分はしておいたほうが良いでしょう。保湿とは、基本的に皮脂の足りない部分を補うものなので、やりすぎに注意しましょう。逆に夏に保湿をしすぎて、あせもができることもあります。特に生後3カ月までの赤ちゃんは皮脂の分泌が多く脂っぽいので、カサカサしている部位のみで大丈夫です。 お風呂での洗い過ぎが乾燥肌を招く!?赤ちゃんの肌が乾燥してしまう原因の1つが、お風呂での洗い過ぎです。汚れを落とそうとゴシゴシしすぎると、必要な皮脂まで流れてしまいます。洗浄料はたっぷりの泡で素手でやさしく洗うのが基本。冬など乾燥しやすい時期は、週に数回は洗浄料を使わない日をつくるのもおすすめです。 ここが大変③ 赤ちゃんの衣類を分けて洗うのが面倒大人の衣類と一緒に洗濯してOK肌がデリケートな赤ちゃんでない限り、生後0カ月から大人と同じ洗剤で洗っても問題ありません。大切なのは、洗剤が残らないように洗剤の適正量を守り、すすぎをしっかりすることです。 柔軟剤の選び方に注意むしろ気をつけてほしいのは、柔軟剤の選び方です。最近は香りが強く、持続しやすいタイプがトレンドですが、赤ちゃんへは刺激が強すぎる恐れもあります。使用を控えるか、無香・微香タイプを選ぶようにしましょう。 まとめお風呂やスキンケアは、お手入れをしすぎることで赤ちゃんのお肌に刺激を与えてしまう場合もあります。赤ちゃんの肌の状態が良さそうならば、1日くらいお休みしても大丈夫です。ママがゆったりした気持ちで毎日を送ることを大切にしてくださいね。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫 先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2022年12月06日現在6歳になる息子が2歳のときのことです。息子は内服が極端に苦手で、いろいろと試しても克服できずにいました。ある日、生まれたときからお世話になっている小児科医にそのことを説明したのですが、まさかの返答。今までの努力や本当につらい状況を理解してもらえず、悲しくなってしまった体験談です。内服がとにかく苦手な息子味覚がとても敏感な息子。大人にはわからないような変化にも反応します。完熟を少し過ぎたバナナや加熱しすぎたお肉などは口にしません。好き嫌いが多いというより、苦手な味付けがあるようです。 一番大変なのは内服。粉を練って小さくしても、アイスに混ぜてもだめです。「うぇっ」となってしまい、ひどいときには吐いてしまいます。風邪で薬を処方されたときは何とか飲ませようと必死に努力しましたが、どれも失敗。風邪の症状に加えて内服の苦痛が強く、息子がかわいそうでした。 小児科医のひと言が……ある日発熱があり、かかりつけの小児科を受診。風邪とのことでした。「解熱剤は坐薬でいただけないでしょうか? 薬を飲むのがどうしても苦手で……吐いてしまうこともあるので」とお願いすると、「アイスに混ぜたりしていますか? 2歳で飲めないというのは問題ですよ。ちゃんと練習しないと。お母さんがしっかりしないと、もっと重い病気になったときにお子さんが苦労することになりますよ」と先生。 今までさまざまな努力をしてきたこと、どうしてもうまく飲めないことを説明しましたが、理解してもらえませんでした。 息子や私が悪い? できないものはできない結局、粉薬が処方されました。先生の言うことは理解できますが、薬が飲めないのは甘えだと言われたようで、とても悲しい気持ちになりました。風邪で熱があって食欲もないなか、どうしても薬を飲んでくれない息子に飲ませる大変さを少しでもわかってほしかったです。 泣いて嫌がる息子の口を無理やり開けて薬を入れても、「うぇっ」と出してしまいます。ひどいときには食べ物も吐いてしまい、むしろ体力を奪っているのではないかとすら思う状態。練習しろと言われてもその方法がわかりませんでした。ただ途方に暮れながら家路につきました。 その後も息子が4歳になるまで、内服はとにかく大変でした。効果的な方法が見つからず、風邪を引くたびにとてもつらい日々を過ごしました。何とか乗り越えられたのは、年に2回ほどしか風邪を引かなかったからです。4歳を過ぎると少しずつ飲めるようになり、6歳の今では問題なく飲めるようになりました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~5歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 監修/助産師 松田玲子著者:更田未央子6歳と2歳の子を持つ母。看護師・保健師・養護教諭1種・FP3級の免許を取得。現在、高校生を対象とした学習塾の講師をしながら、FP2級を目指す。育児・教育・医療・金融・不動産について執筆中。
2022年10月02日こんにちは。3児の母で小児科医の保田典子です。今回は、小児科医的しつけ、イヤイヤ・グズグズ対応のNG行為について。NG行為と言いつつ、私自身もよくやってしまいます。反省も込めてお伝えしたいと思います。NG1:ぐずったら「とりあえず泣き止むもの」をすぐ与えてしまう子どもがクリニックで泣いてしまったら、とりあえずスマホの動画を見せてしまう、とりあえずお菓子をあげてしまう、という親御さんがよくいらっしゃいます。子どものイヤイヤ・グズグズに対して、スマホやお菓子に関わらずすぐ何か与えてしまったり、子どもの言いなりになってしまうのは、あまりしない方がいいでしょう。 子どもはそもそも泣くものです子どもはよく泣くものですし、よくグズグズします。特にクリニックは、お子さんにとって嫌なこともいっぱいしますし、予防接種などの注射は痛いので、機嫌が悪くなったり泣いてしまう子も多いですが、別にいいんです。 子どもが学びエスカレートする可能性も子どもは賢く、すぐ学びます。「こうやったら親はすぐに言うことを聞いてくれる」と学んだら、どんどん態度がエスカレートしていくことがあります。スマホやお菓子を与える「使いどき」を親御さんがきちんと決めて、生活の主導権を握れるようにすると、後々のしつけにも良い影響があります。 スマホは「ここぞというときにだけ」与えるようにするたとえば、電車や役所など、公共の場所で子どもがグズって本当に大変! というときに、「スマホは電車に乗るときのスペシャルね♡」という感じで、ここぞというときにだけ「とりあえず泣き止むもの」を使うようにすると、より効果的だと思います(とはいえ、親がスマホをずっと見ていてお子さんは無視は、もっと避けた方がいいかなと思います)。 NG2:イヤイヤ・グズグズしている子どもへ感情的に怒る子どもがイヤイヤ・グズグズしているときに、「だから何がしたいの!」「〇〇しちゃダメでしょ!」「しょうがないでしょ!」と怒ってしまう親御さんを、よく見かけます。突然しょうもないことでイヤイヤし始めると、ため息が出ちゃいますよね。 とはいえ、このように子どもと同じ土俵に立ってしまっては何も解決しないですし、火に油を注ぐことになってしまいます。親が感情的に怒ることで、子どもはさらに泣き叫び、親は困り果てる……ということになります。 親がイライラしなくていいように対処しておく子どものグズグズは本当にどうしようもありません。なので、突然イヤイヤが始まっても慌てなくていいように、事前に対処しておいたり、時間に余裕を持ったスケジュールで行動ができると良いですね。 例えば、電車の中でかんしゃくを起こしてしまっても、時間に余裕があれば次の駅で降りることができます。時間ギリギリだと「下車すると間に合わないのに!」とますますイライラしてしまうかもしれませんね。また、ぐずりやすい時間を外して移動したり、子どもが眠くなりやすい時間に移動をすれば、外でイヤイヤの対応をしなくて済むかもしれません。子どもがグズグズしやすいポイントを把握したうえで、グズグズしないスケジューリングをすることも大事ですよ。 ぐずったら共感して抱きしめてみてぐずったときの良い対処としては、「〇〇したかったんだね」と共感して、ギュッと抱きしめてあげましょう。そのあとは落ち着くまでそうっとしてあげるか、トントンしてあげましょう。これは、公共の場所でも、子どもが泣いても大丈夫な場所でも同じです。 イヤイヤ・グズグズに対応している親御さんへ赤ちゃんや子どものイヤイヤ・グズグズは「こんなことで!?」とか「なんでここで!」という連続だと思います。周りの目が気になったり、迷惑をかけていると落ち込んだりすることもたくさんあると思います。子どもがぐずっても、慌てて「イヤイヤを止めないと!」って思わなくていいんですよ。子どものイヤイヤに付き合うのはすごく疲れてしまいますが、親の毅然とした態度が今後の親子関係に深く関わってきます。イヤイヤしたら、慌てずに「共感して」「ギュッとして」あとはあらかじめ決めたルールであやすようにしてもらうといいでしょう。そうすると、今よりもっと上手くお子さんのイヤイヤと付き合えるかもしれません。監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2022年09月05日2022年8月18日現在、Twitterでブームになっている、『#小児科はいいぞ』というハッシュタグ。同ハッシュタグを付けて公開された、小児科にまつわるエピソードに、温かな気持ちにさせられます。キュンとする子供の『ひと言』小児科医の森戸やすみ(@jasminjoy)さんは、初診をした子供のほほ笑ましいエピソードをTwitterに投稿。診察が終わった後、付き添っていた子供の母親が「最後に先生になんていうの?」とお礼の言葉をうながしたそうです。すると、その子供はじっと森戸さんの顔を見つめた後、こんなひと言を発しました。「また、あそぼうね」※写真はイメージ #小児科はいいぞ 初診した子、お母さんに「最後に(先生に)なんて言うの?」と促され私の顔をじっと見て「また、あそぼぅね」今日、私は遊んでいたのか?と思いながらニッコリ「そうね」こんなに患者さんに楽しい気持ちにさせてもらえる診療科があるだろうか?— 森戸やすみ⠒̫⃝♡* 小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK (@jasminjoy) August 16, 2022 「私は遊んでいたのか」と心の中でツッコミつつも、「そうね」と笑って答えたという、森戸さん。きっと子供にとって、その日の診察が『怖い』と感じず楽しい気持ちで受けられたからなのかもしれません。なんともかわいらしい『お別れの挨拶』に、投稿にはさまざまな声が寄せられました。・尊い…!なんか涙が出てしまいました。・かわいすぎる!小児科ならではの『ご褒美』ですね。・なんていい話。先生、子供さんに遊んでもらっていたのですね。日々、小さな命と向き合う小児科医という職業。大変なことも多い反面、子供たちに癒される、素敵な出来事もたくさんあるのでしょうね。[文・構成/grape編集部]
2022年08月18日こんにちは。3児の母小児科医の保田典子です。今回は、子どもが「痛い」と言ったときの対応についてご紹介します。単語が増えてくる1歳半以降になると、子どもは「いたい」と言うようになります。うちの子も点滴をしたあとに真似をして「いたかった!」と言う動画が残っています。 子どもが「痛い」と言い出したら何か大きな病気ではないかと心配になりますし、何度も言われると「本当なの?」と思ったりしますよね。子どもの「痛い」への対応について、お話ししたいと思います。 1~3歳の子の「痛い」は「痛い」だけじゃない「痛い」は親にとってかなりインパクトのあるワードで、子どもが言うと親の気持ちが一気に子どもに向く言葉です。そして、「痛い」というのはどんな感じが「痛い」なのか、子どもにはまだよくわからないことがよくあります。 つまり、「痛み」はよくわからないけれど、親の注目は一気に集められるんだ、ということが、この時期の子どもの感覚としてできます。そのため、「痛み」も「かゆみ」も「不快」も、すべて「痛い」と表現することもあります。 親がけがをしたときや注射したときは「痛いね」と言ったり、皮膚が赤くなっているときは「かゆそうだね」と言ったり、嘔吐してしまったときは「気持ち悪いね」と言ったりすることで、適切な表現方法を学んでいくのです。逆に、痛みがあるときでも、「いや」など違う言葉で表現することもあります。 緊急性があるのはどんなとき?子どもの怪我以外で痛みがでる場所といえば、頭、おなか、おしり、頻度は低いですが胸などです。頭痛は2歳ごろから起きることがあると言われています。 急激に発症してうずくまってしまうくらいの痛みのとき、嘔吐や発熱など他の症状もあるとき、血便などがあるとき、意識がおかしいとき、けいれんがあるときなどはすぐ受診しましょう。そこまでの痛みではないけれど、慢性的に痛みを訴えるときも一度受診をした方がいいかもしれません。 本当に痛いの?よくわからないときは?「痛い痛い」という割には元気に飛び回って遊んでいる、「痛い」と言うので受診し特に異常ないと診断されたが、やっぱりよく痛みを訴えるときなど、対処に困りますよね。 「うーん、これは痛くないんじゃ……?」と疑問に思ったとしても、「痛くないでしょ!」などと真っ向から否定せず、まずは「そっか、痛いんだね」と共感して、どこが痛いのかやさしく聞いてあげてみてください。ママやパパがゆっくり聞いてあげることで安心します。 そして、「いたいいたいの飛んでけ」のように、痛みを訴えている場所をやさしくなでてあげると、さらに安心するでしょう。 その上で、かゆそうな場合は「これ、かゆそうだね、冷やしてみようか」「〇〇っぽいね」と伝えてあげることで「そっか、これってかゆいんだ」と、「痛い」以外の表現力を学ぶ良い機会になります。上記に記載した緊急性がない場合は、まったく別のことで気を紛らわしてしまう、という対処法もあります。それもまずは「そう、痛い痛いだね」など一度共感してから、お子さんの好きなことなどを促してみて気を逸らすと良いでしょう。 痛みは積極的に治していいものです!これは大人もそうですが、痛みをがまんする必要はまったくありません。お子さんの訴える痛みが本当に頭痛や腹痛でありそうであれば、「頭痛ならしばらくすれば良くなるかも」と様子を見る必要はないのです。痛みが何回もある、しばらく続くなどあれば、受診して痛み止めや治療薬など適切な対処をしてもらいましょう。鎮痛薬はがまんせず使って大丈夫です。使う頻度が多いようであればまた受診して相談するなど、痛みに人生を左右されない生活を目指しましょう。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2022年08月16日多くのママが「育児が大変! つらい!」と思うことについて、3児の母である小児科医がラクになる方法をアドバイス! ママ目線で「ここまでならラクしてOK」というポイントをお伝えします。授乳、おむつ替え、抱っこに寝かしつけ……赤ちゃんのお世話はやることがたくさん! 「育児を楽しむ余裕なんてない」「いつもお世話や家事に追われている」と感じたら、頑張りすぎているのかもしれません。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。今回は母乳育児編です! 育児を完璧にこなすことよりママが笑顔でいられることが大事 こんにちは。さくらんぼこどもクリニックの三日市です。「育児でラクをする」というと、抵抗を持たれるお母さんもいるかもしれません。しかし、ママたちに余裕がなくなってイライラすると、赤ちゃんも不安になって泣いたりグズったりと、悪循環になってしまいます。家事や育児を完璧にこなすことよりも、お母さんが常に笑顔でいられるためにはどうすれば良いかを大事にしてください。 とはいえ、赤ちゃんのお世話をする以上、守るべきボーダーラインはあります。 第一は衛生面です。決して神経質になる必要はありませんが、やはり清潔を保つことは大事です。 もう1つは安全面です。赤ちゃんの手の届く範囲に危険な物を置いていないか、足がかりになるようなものを置いていないか、などです。衛生面や安全面に気を配るためにも、適度に息抜きをして疲れすぎないことが大切なのです。 ここが大変①:授乳の回数が多くてつらい! 3カ月以降なら「泣いたら授乳」は見直してみて生後3カ月を過ぎると、一度に飲む量も増えて授乳回数が減ってきます。もし生後3カ月以降で「泣いたらすぐ授乳」を続けているのであれば、そろそろ見直してみましょう。おっぱいを吸って泣き止むのは、おなかが空いている場合のほかに、赤ちゃんの原始反射の1つであり、物が口に入ると吸う「吸啜(きゅうてつ)反射」による場合もあります。 吸っている間は泣き止むので、「おっぱいが欲しかったから泣いていたんだ」とママが錯覚しているのかもしれません。おむつの濡れ具合やお部屋の温度を確認したり、抱っこやおもちゃであやすなどほかの方法を試してみましょう。 5カ月になると間隔が空くから自然とラクに!また、ちょこちょこ飲むというのは、大人にしてみると常に食べているのと同じこと。そうすると空腹感がなくなり、まとまった量を飲めなくなってしまいます。次に飲むまでの時間をきちんと空けてあげることが、赤ちゃんの生活リズムを整えるためにも大切です。生後5カ月以降になり離乳食が始まると間隔も空いてくるはずなので、焦らずに取り組みましょう。 夜は起こしてまで授乳しなくてOK夜の授乳は、赤ちゃんが寝ていたら起こしてまでおこなう必要はありません。寝ている間は、赤ちゃんにとって成長するホルモンが分泌されている大切な時間。体重の増えが悪くてしっかり飲ませてくださいとお医者さんに言われない限りは、ゆっくり寝かせてあげましょう。 ここが大変②:授乳をすると体のあちこちが痛い…たくさん密着すると授乳体勢がラクに授乳の際の抱き方を工夫してみましょう。横抱きやフットボール抱き、添い乳などさまざまな授乳の体勢がありますが、いずれもポイントは、赤ちゃんと体を密着させるように意識することです。授乳の時間は赤ちゃんの様子が気になって体が離れがちになります。皮膚と皮膚が触れ合う面積が増えるほど、赤ちゃんは温もりを感じて安心するし、お母さん自身の体勢も安定してラクになります。 神経質にならず腕全体で赤ちゃんを包み込んでみてまた、特に赤ちゃんの首がすわっていない間は、首を守ろうとしてご自身の腕や手首を痛める方が多いですが、基本的にそこまで神経質になる必要はありません。手首や腕の一部でなんとかしようとせず、腕全体で包み込むようにしましょう。 ここが大変③:母乳のために毎日栄養バランスの良い食事は無理!総菜パンやレトルト食品などに頼って自炊にこだわらず、大変なときは惣菜パンやお弁当、レトルト食品に頼りましょう。極端に偏食をする人でなければ、そこまで過敏にならなくても大丈夫です。タンパク質がとれる冷奴や納豆、野菜がとれる具だくさんのスープなど、不足している栄養分を手軽に補える一品を常備・作り置きしておけば献立がラクになります。サプリは過剰摂取による健康被害が出ているケースもあり、医師としては基本的におすすめしません。栄養は食事から補給するようにしましょう。 また、栄養のほかに大切なのは水分です。母乳の約90%は水分でできており、水分が不足すると母乳の量などにも影響します。1日に2L以上を目安に、しっかり飲むように心がけてくださいね。 まとめ月齢が低いころは頻回授乳で大変な日が続きますが、生後5カ月ごろから離乳食が始まるとだんだんと授乳の回数も減り、1歳を過ぎれば卒乳へと向けて負担も減ってきます。特に母乳育児の場合はお母さんの負担が多くなりますが、ほかの家事をお父さんや家族に協力してもらうなど、少しでもラクになる方法を探してみてくださいね。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫 先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2022年07月20日ラブラドールレトリバーの探知犬の活躍で、悪名高い小児性愛者の潜伏先が発見された。米CBS NEWSなどが伝えている。約3週間前、オランダに拠点を置き、人身売買組織の摘発のために活動する団体「Free a Girl」から、米国にある同様の団体「Underground Railroad」に情報がもたらされた。児童虐待や人身売買などの罪で当局から追われていたオランダ人のジェイソン・マートマンが、メキシコに潜伏しているというのだ。Underground Railroadはメキシコの警察と連携し、マートマンをおびき出す作戦を開始した。マートマンはネット上で児童ポルノ販売や買春、人身売買といった自身の犯罪行為について公然と話していたという。そこで、Underground Railroadは「君のビジネスパートナーになりたい」とチャットルームやソーシャルメディアを使ってマートマンに接触。「僕のいるところは本当に危険だから、住所は教えたくないし、来てほしくもない。でも、ガソリンスタンドで会うことはできる」とのマートマンの誘いに乗り、待ち合わせ場所で張り込んだ。現れたマートマンは銃とコカインを所持していたため、その場で逮捕された。しかし、児童虐待の証拠となるものは所持していなかった。逮捕された現場も自宅ではなかったため、その証拠がどこにあるかもわからなかった。そこで警察は、防犯カメラ映像をたどり、マートマンが出てきたおおよその場所を特定。そこに現れたのが、米インディアナ州のK9(警察犬)アカデミーで訓練を積んだ黒いラブラドールレトリバー(黒ラブ)のヒドゥだった。ヒドゥは、フラッシュドライブやメモリーカードなどの電子機器に使われるトリフェニルホスフィンオキシド(TPPO)という物質の匂いを嗅ぎ分ける訓練を受けた探知犬だ。麻薬取引や暗号通貨での違法な取引など、最近の犯罪者はあらゆる情報をフラッシュドライブに保存していることが多いため、ヒドゥのような電子機器探知犬の需要が高まっていると、CBS NEWSは伝えている。ヒドゥは一軒のアパートに入り、洗濯物の下から携帯電話を発見。さらに、絵画の裏の壁の中にあるハードドライブの匂いも探知して知らせた。その他、複数の場所に分けて隠されていた記録装置を見つけ出し、最終的に4テラバイトを超える児童ポルノや、児童に対する性的虐待の証拠となるデータが発見され、押収されたという。
2022年06月17日こんにちは。3児の母小児科医の保田典子です。今回は、小児科医から見た「親のNG行動」についてお話ししたいと思います。そのうちの1つが、予防接種などお子さんが痛かったり、嫌がることの多い処置をするときの親御さんの対応です。お子さんの予防接種をするときの親御さんのNG対応について、紹介したいと思います。 NG行動1:子どもに伝えない予防接種は元気なときに病院に行っておこなうものなので、「あらかじめわかっている受診」ですよね。 そんな受診のときに「なぜ病院に行くか」をお子さんに伝えずに病院に連れて来る親御さんがいらっしゃいますが、これはなるべく避けてほしいなと思います。「〇〇に行くよ」など病院ではない所へ行くと騙して連れ出すのも避けたほうがいいです。もちろん、その子の特性などに合わせて対応するのは大切ですが、不意打ちで痛いことをされるのは誰でもびっくりしますし、傷つきます。 国立成育医療研究センターでは、目安として2~3歳には数時間前、4~6歳は前日、小学生以上には1週間前に伝えると良いでしょう、とアドバイスしてくれていますので、参考にしてみてください。 NG行動2:「痛くないよ」と言う注射は、多かれ少なかれ痛いものです(インフルエンザワクチン、私も痛いので嫌ですが毎年打っています)。接種の前に「痛くないよ」など、ほぼウソになってしまうことは言わないようにしましょう。これは病院だけでなく、どこでも同じです。 「ちょっと痛いんだけど、病気にならないようにするために大切なんだよ」と伝えることが大切です。 ちなみに、接種後泣くお子さんに対して「泣かないの!」と言う親御さんもいますが、小児科医としては全然泣いてOKです。だって痛いんですから。 大事なのは痛いことを共感してあげることが大切です。その上で「痛いから泣いちゃうよね」と理解してあげるほうが良いと思っています。もし、泣かなかったときは「痛いのに泣かなかったね」と褒めてあげましょう。 事前の準備で「見通し」を!子どももれっきとした1つの人格なので、何か子どもが嫌なこと、慣れていないことをするときは、注射に限らず事前説明をするようにするといいでしょう。きちんと説明し、納得まではいかずとも、しっかり予防接種をする意図を伝えてから接種に臨めるといいですね。 伝える方法としては、子どもは目で見たほうが理解できることが多いので、ひらがなが読める子には、このメモのような「目で伝えるツール」なども使えますよ。 ▲保田先生が実際に使っているメモ 病院では、「プレパレーション(準備)」と言って、これからおこなう手術や治療の手順を、画像や人形などを使ってごっこ遊びのように説明をすると、子どもの心の準備ができるので、泣くことが減ったりすることもあります。▲保田先生が実際に使っているメモ 予防接種なら、病院の受付のところから手順を遊びつつ説明できるといいですね。例えば予防接種なら、「受付→待合室で待つ→診察室に入る→問診する→診察する→消毒する→注射する→絆創膏を貼る」という感じです。 やったあとには「褒める、認める」を!今回の小児科NGは予防接種についてでした。病院はお子さんにとって嫌なことをすることが多い場所ですが、とても大切なことをする場所でもあるので、少しでも安心して受診できるといいですね。 どんなことでも、「見通し」がたつと人は安心します。もちろん、痛いことなので見通しを立てれば必ずうまくいく訳でもないのですが、親が病院での見通しを教えてくれると思うと、他の新しい場所へ行くときでも、見通しを教えてあげることでグズグズが減ることがあるかもしれません。そして、お子さんが嫌なことを頑張ったあとは、しっかり褒めてあげてください。「痛いのにがまんしたね」「あまり動かず頑張れたね」など、お子さんの頑張りをしっかり認めて、声をかけてあげてくださいね。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2022年06月13日ウーマンエキサイトをご覧の皆さま、こんにちは!7歳と4歳の姉妹を育てております、ぴなぱと申します。今回はかかりつけの小児科のお話です。わが家は今の家に住み始めた頃から、ずっと同じ小児科にかかっています。当時長女がまだ2歳前(次女は生まれてもいない)だったので、もうかれこれ6年近くお世話になっていることになります。「すこやか小児クリニック(仮名)」の先生は優しく丁寧で、内科以外の肌や目のトラブルもとりあえずここで診てもらって、必要なら専門の病院を紹介してもらうという形で今まで過ごしてきました。私は電話が苦手なので、電話ではなくネット予約できるのも助かるし、完全予約制のため待ち時間がほぼないのもうれしいです。難点を上げるなら家から若干遠いことですが、それでも車で15分くらいなのでそこまで気にはなりませんでした。そんな大好きなかかりつけ医ですが、先日困ったことに…。当日予約でも大抵どこかしらの時間は空いているすこやか小児クリニックですが、なぜかその日は朝イチの時点で午前も午後も全ての診察予約がいっぱい。完全予約制のため予約ができないと受診できません。長女は鼻水が止まらずすぐにでも薬が欲しいと言うし、横で次女も怪しい咳をしているので、どうしても今日中に病院に行きたいところ。仕方がないのでかかりつけ以外の小児科に行くことに…。うちの周りは比較的小児科が多いのですが、あえて少し遠めのすこやか小児クリニックをかかりつけ医にしているのには理由がありました。今の家に引っ越してきた頃、かかりつけ医を決めるためにいろんな小児科に行ってはみたんですが、すこやか小児クリニック以外にこれといった小児科に出会えていなかったんです。今まで行ったことがある小児科は何かしら合わない部分があって足が遠のいたため、今回はまだ行ったことのない小児科を受診してみることに。今回みたいなことがまたあるかもしれないので、もし合う病院だったらサブのかかりつけ医にしたいなという気持ちもあり、条件的にはバッチリな「ぐんぐんファミリークリニック(仮名)」に行ってみました。あとは先生との相性次第。いざ入ってみると…感染対策がすごくされている!すこやか小児クリニックは完全予約制ということもあり、元々の待ち人数が少ないので、明らかな発熱症状などがなければ隔離はされませんでした。しかしぐんぐんファミリークリニックは咳や鼻水など風邪の症状がある患者は全て隔離でした。さらに…!コロナ禍の現在、こういう対応の病院も増えているのかもしれませんが、私の知る限りではこの状況でコロナの検査ができる病院は初めてでした。その日のうちに連絡があり、結果は陰性でただの風邪でした。コロナかもと思って受診したわけではなかったのですが、もしもの場合この段階で感染が判明するのは周りのためにもとても助かります。陰性だとはっきりしていれば安心もできますしね。かかりつけのすこやか小児クリニックへの信頼は揺るぎませんが、今のこのコロナ禍に限って言えば、ぐんぐんファミリークリニックを受診してもいいかもと考えています。私の中で一番大事にしたいのは先生の腕と相性であるのに変わりはありませんが、コロナ禍においては、小児科選びの基準も少し変わるのかもなと思った出来事でした。
2022年05月19日こんにちは、3児のママ小児科医・保田典子です。今回は、外来でもよく質問がある耳掃除についてお話しします。 子どもの耳掃除について、「どのくらいの頻度したらいいですか?」「どのくらい深くまで入れていいですか?」など、健診や病気の診察のときなどに結構聞かれる質問です。私は「耳掃除は、しなくていいんですよ」とお答えしています。その理由をお伝えしたいと思います。 「耳掃除」しなくていい理由は?健診のみならず、中耳炎のあとの診察などでも耳掃除の質問はあります。中耳炎になると耳だれも出てくるので、耳掃除しなくちゃ、となりますよね。でも、耳掃除で中耳炎の予防ができる訳ではありません。鼻水を吸引したほうが中耳炎の予防はできます。 日本耳鼻咽喉科学会でも、 と耳掃除をしないことを推奨しています。 耳のケア、どうすればいい?「耳掃除」といっても、綿棒や耳かきを耳の穴に入れて「掃除」することはしません。ガーゼなどを指に巻いて、耳を拭きとるというイメージでケアしておけばOK。大人の指なら子どもの耳の穴の奥まで突っ込めないので安全です。お風呂や沐浴で耳の中に水が入っても大丈夫。放っておけば水も自然に排出されます。 ちなみに、私自身は耳掃除をすることがありますが、子どもが大人しくテレビなどを見ているときに(←すごく大事です。急にぶつかってきたら鼓膜を破る危険性も……!)、深くなりすぎないように綿棒でささっとおこなう程度です。本当は不織布かガーゼが良いですよ。 わが家の子どもたちは、基本的に耳掃除はしていません。親がおこなっているのを見ると、「やって〜」と言われるので、スキンシップ程度にすることがある感じです。お子さんが自分で耳かきや綿棒使うと、鼓膜を破ってしまうおそれもあるので、絶対にやめさせましょう! 耳鼻科に行くのは、どんなとき?基本、耳掃除が目的で耳鼻科を受診する必要はないのですが、下記のようなときは、耳鼻科の受診を考えましょう。●耳だれが出るとき●耳の聞こえが悪くなったと感じたとき●耳を痛がるとき●耳の違和感を子どもが訴えるとき●どうしても耳垢が気になるとき 耳鼻科を受診する時に「耳垢が気になって」と伝えると、その場で取ってもらえることもありますし、「今度受診するべきなのか」「受診するタイミング」「受診しなくて大丈夫なのか」など教えてもらえるので、それを参考にするのがいいと思います。 適切なお手入れ法を知ることが大事です人間の体は、耳に限らず「適切なお手入れ方法」があります。 1. きれいにしたほうがよいものうんちをきれいに拭く、歯磨きをする、など 2. そこまで完璧にきれいにしなくていいものせっけんを使い洗いすぎると皮脂を落としすぎてしまう耳垢も適度な量は耳を守ってくれる大事なものなので落としすぎなくて良い、などきれいにすることのメリット、デメリットを理解していると、不要なケアを減らすことができるだけでなく、お子さんの健康を保つことができます。 耳垢よりも「聞こえが悪くなっていないか」「鼻水が詰まって口呼吸になっていないか」などを毎日チェックしてあげて、心配なら耳鼻科の受診を考えてみてくださいね。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2022年04月14日このお話は作者ようみんさんに寄せられたエピソードを漫画化しています。■前回のあらすじ顔のつっぱりが気になる息子を連れて病院へ。診察の結果、脳に異常はなくステロイド治療をすることに。それでも顔の麻痺は治るまでに半年から1年かかるらしく…。トラの小児顔面神経麻痺は、原因不明と診断されました。でも、先生曰く「早期発見だと麻痺が治る確率が高くなる」そう。ゆっくりだけど、きっと元に戻る、そう思えて安心しました。次回に続く「生後3ヶ月の息子が小児顔面麻痺に」(全11話)は17時更新!本記事はあくまで筆者の体験談であり、症状を説明したり、医学的・科学的な根拠を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2022年01月24日多くのママが「育児が大変! つらい!」と思うことについて、3児の母である小児科医がラクになる方法をアドバイス! ママ目線で「ここまでならラクしてOK」というポイントをお伝えします。今回は【離乳食後編】です。 離乳食は5~6カ月ごろ(離乳食初期)〜1歳~1歳6カ月ごろ(離乳食完了期)と分かれ、段階に合わせて気をつけるポイントもたくさん。うまく進まずに悩んでいるママも多いのではないでしょうか。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いてラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。今回は離乳食後編です!ここが大変① 他のお世話に手一杯で離乳食を始める余裕がない 遅れても挽回可能! ぜひベビーフードを活用して離乳食のスタートは生後5~6カ月ごろが目安。本来はこの時期に始めるのが理想ですが、もし余裕がなくてスタートが生後7カ月ごろに遅れてしまっても大丈夫です。離乳食は5~6カ月ごろ(離乳食初期)〜1歳~1歳6カ月ごろ(離乳食完了期)と分かれ、それぞれ月齢の目安が設定されています。遅れて始めても、月齢に応じて噛む力も強くなっているので、その時点の月齢相当の段階、または少し前の段階から始めれば大丈夫です。 例えば、生後7カ月から始める場合は、おかゆも5~6カ月ごろ(離乳食初期)向けのドロドロの状態から始めなくても、7~8カ月ごろ(離乳食中期)向けの舌でつぶせる固さから慣らしていきましょう。ただし、初めての食材は1日1回1さじ(赤ちゃん用スプーン1さじ)ずつです。様子を見ながら食べさせるようにしてください。じょうずにモグモグできないようであれば、5~6カ月ごろ(離乳食初期)向けのドロドロ状態のメニューから進めましょう。 とはいえ、離乳食を始めず母乳や育児用ミルクだけでは栄養が足りなくなり、体重が十分に増えなくなってしまいます。生後7カ月ごろまでには開始するようにしましょう。 離乳食は手作りしなければならないと思うママは多いかと思いますが、そんなママはぜひベビーフードを活用してみてください。2019年、12年ぶりに改訂された「授乳・離乳の支援ガイド」(厚生労働省発表)では、離乳食の手作りが負担に感じる場合には、ベビーフードの利用をすすめています。固さや味つけの目安も参考になりますよ。 ここが大変② レパートリーがなくて同じメニューばかりになってしまう1品だけ、味つけを変えるだけでOK毎回メニューをすべて変える必要はありませんが、さまざまな食材に挑戦して食べられる物を増やすのも離乳食では大切なことです。ベビーフードやフリージング(まとめて調理して冷凍した物)を活用しながら、1品だけでも変える工夫をしてみましょう。 同じ食材でも味噌やしょうゆなど味つけを変えるだけで、バリエーションも増えます。味噌やしょうゆはごく少量であれば、7~8カ月ごろ(離乳食中期)から与えることができます。 ここが大変③ おやつを準備するのが面倒 ヨーグルトなど市販品を活用決して手作りである必要はありませんが、気をつけたいのはおやつの内容です。おやつというとお菓子をイメージしがちですが、子どもにとってのおやつは「第4の食事」です。3度の食事だけでは必要な栄養をとりきれないため、補食(食事を補う)として大切なものです。市販の物であれば、ヨーグルトや果物、チーズなどがおすすめです。 大人用のお菓子は特別なときにお菓子ならば赤ちゃん用を選びましょう。大人用のお菓子は味が濃く脂肪分やカロリーも高く、赤ちゃんには向いていません。特に甘い物は血糖値が上がりやすいため、すぐにおなかがいっぱいになり必要な量を食べることができなくなります。また急激に血糖値が下がるため、次の食事時間より前におなかが空いてしまう場合があります。1歳~1歳6カ月(離乳食完了期)以降で、旅行やイベントなど特別なときに少量のみを与える程度にしておきましょう。 まとめ赤ちゃんのお世話や自分の生活もあるなかで、手間暇をかけて離乳食を準備するのは大変なことです。手作りだから離乳食がスムーズにいくわけでもありません。つらいときはベビーフードや市販のものを活用しつつ、ママがやりやすいように進めていきましょう。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫 先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2022年01月17日多くのママが「育児が大変! つらい!」と思うことについて、3児の母である小児科医がラクになる方法をアドバイス! ママ目線で「ここまでならラクしてOK」というポイントをお伝えします。今回は【おでかけ・家事編】です。 赤ちゃんと過ごす時間も大事だけど、限られた時間で家事など他にやることもたくさん……。多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。今回はおでかけ・家事編です! ここが大変① 毎日お散歩に出かけるのが面倒大変な日は︎ベランダに出るだけで十分お散歩が必要なのは、外気に触れ刺激を受けること、日光を浴びることで免疫力を高め、骨を丈夫にするビタミンDを作るためです。それと同時に、ママの気分転換にもなります。ママの体調が悪い日や忙しい日など、逆におでかけがストレスになるようならば、ベランダで外気浴をすれば十分です。 お散歩は買い物のついでに行けばOK赤ちゃんが歩けるようになると運動量が増えるためお散歩が必要になりますが、歩き始める前ならお買い物のついでに15〜30分程度出かければOKです。日中のなるべく同じ時間に出かけると、赤ちゃんの生活リズムも整いやすくなります。 ※新型コロナウイルスの感染を避けるため、赤ちゃんを連れての買い物は感染対策を十分に講じた上で混雑時を避けていくようにしましょう。 ここが大変② 赤ちゃんが動き回るので家事ができない おんぶなら家事がはかどる&赤ちゃんもご機嫌!寝返りが始まると、途端に行動範囲が広がって目が離せなくなりますね。最近はおんぶをするママは少ないようですが、家事をするときはおんぶがおすすめです。両手が自由に使え、火や包丁を使う際も赤ちゃんの手が届きにくくなります。赤ちゃんもママと密着するので安心し、視野がいつもより広がるので喜んでくれるはずです。 まとめグズったり、寝る時間がズレたり、赤ちゃんとの生活は予定どおりにいかないものです。すべてのお世話や家事を完璧にこなせなくてもいいと割り切ることが大切。パパや家族を頼ったり、便利な家電、ネットスーパー、家事代行サービスを利用するのも手です。少しでもラクをできる方法を探してみてくださいね。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫 先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2022年01月15日こんにちは、小児科医の保田典子です。私生活では3人の子どもを子育て中の母です。今回は「野菜ジュース」について。離乳食が果汁からだった時代もありますが、今はなるべく子どもに果汁(ジュース)をあげないほうが良い、という時代になってきています。実は、野菜不足が心配でついつい飲ませてしまう(!?)野菜ジュースも同じです。なるべく飲ませないほうが良いと言われるようになってきています。なぜでしょうか?ジュースがダメな理由世界保健機構(WHO)などでは「幼児までの子どもには100%ジュースも糖分のとり過ぎになるとして飲ませないほうが良い」としています。糖分のとり過ぎは虫歯のリスクが高まったり、肥満のリスクが高くなるためです。一方、フルーツそのものに関しては、食べないほうが良いということはありません。フルーツそのものであれば、食物繊維など糖分以外の物も含まれるため、栄養素の吸収も変わってくるからです(もちろん摂取目安量はありますが、そこまで厳しくしなくても良いと私は考えています)。 そのため、現在、小児科では「そもそもジュースは子どもに与えるものではない」という指導をしています。 糖分の摂取目安WHOでは、「1日の遊離糖類摂取量を総エネルギー量の10%未満に抑えましょう、5%未満だとさらに良い」と言われています。 厚生労働省健康局から出ている「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】 」によると、「遊離糖類とは、グルコースやフルクトース等の単糖類、スクロースや砂糖等の二糖類等食品や飲料の加工調理で加えられるもの、並びに蜂蜜、シロップ、果汁、濃縮果汁等に自然に存在する糖類のこと」を指します。※はちみつは乳児ボツリヌス症予防のため、満1歳までは絶対に与えないようにしてください 例えば、1〜2歳の推定エネルギー必要量は1,000kcal程度(厚生労働省資料より)なので、5%未満とすると遊離糖類摂取量は12.5g程度が望ましいということです。スポーツドリンク500mLだと約30g、100%ジュースでも200mLで20g、野菜ジュース720mLで約50gの炭水化物(糖質+食物繊維)が含まれています。ジュースに食物繊維はほとんど含まれていないことを考えると、このうちの“ほとんどが糖質”ということになります。 糖質はジュースにだけ含まれているわけではないので、ジュースだけで糖質の必要量をとってしまうと、明らかに糖質のとり過ぎになってしまうのです。 野菜不足を野菜ジュースで補わないで野菜をあまり食べないことが多い子どもたち。ついつい野菜不足が心配で野菜ジュースを飲ませてしまうこともあると思います。もちろん、野菜はたくさん食べてほしいものですが、野菜の栄養素よりも余計なものをとってしまっては本末転倒です。 子どもが好きな味つけにしてみたり、食感に変えてみたりなど、子どもが食べやすいようひと工夫することで、食べてくれるようになることもあります。野菜不足はしっかり野菜で補い、水分は水や麦茶を飲ませるようにしたほうがいいと思います。 とはいえ、子どもが野菜を食べてくれないというご家庭も多いと思います。わが家では子どもたちが嫌いな野菜もありますが、好きな野菜を重点的に出すようにしています。 さまざまな野菜を食べてほしいので、いろいろ出すようにしますが、食べてくれないこともよくあります。それでもめげずに出し続けることと、ビタミンは他の食べ物からもとれるので、焦らず無理して食べさせないようにしています。好きな野菜も出してあげて「おいしいね」と食事を楽しむことが大切かなと考えています。 ジュースなどの甘くおいしい飲み物の味を一度覚えると、頻繁にジュースを欲しがるようになってしまいます。小さいうちから毎日ジュースを与えてしまい、水や麦茶を一切とらなくなってしまったというケースもあります。 子どもに野菜ジュースなどのジュースを与えないという選択は、子どもに水分をとらせることに苦労したり、虫歯治療に通うことになったりと、将来的に後悔しないために今できる「ラクになる育児」の1つです。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2022年01月11日腹痛に襲われたミロチさんは、総合病院へ転院になる前に、帝王切開ができない通院していた個人病院で診てもらうことに。「本当に下から出てくる? もし回旋異常が起きたら、大きすぎて裂けたら……赤ちゃんも私も、無事に帰って来られるの?」急に怖くなったミロチさんですが、病院へ向かって…… 部屋を案内され早々に… 病院へ到着したミロチさんは、階段をのぼるのも一苦労……。 通されたのは、前回の出産のときと同じ部屋。 看護師さんがお産セットを渡しながら「今は3〜4分間隔で痛みは弱いけど、2人目だから急に早まるかもしれない……」と続け、「便意が来たらそれは赤ちゃんだからグッと我慢して、呼び出しボタンを押してね!」と言われました。 すると、ミロチさんは息を切らしながら……「あの……出そうです」 「もう便意が、お尻の内側から蹴破ろうとしています!」 その言葉を受けた看護師さんは「ぶ……分娩台に行きましょう!」と、病院到着早々に分娩台へ上がることに! これにはパパも「展開早すぎませんか!?」と驚きを隠せませんでした。 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター ミロチ
2021年12月18日多くのママが「育児が大変! つらい!」と思うことについて、3児の母である小児科医がラクになる方法をアドバイス! ママ目線で「ここまでならラクしてOK」というポイントをお伝えします。今回は、離乳食についてです。献立を考えたり、量や硬さに気をつけたり、何かと手間のかかる離乳食。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話の中で、「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生がご紹介します。 ここが大変① 朝は忙しくて離乳食を準備できない 調理いらずの食材を活用手間をかけなくても、パンやチーズ、果物といったそのまま食べられるメニューで十分です。大人の分から取り分けられる味噌汁やスープも便利です。また、ベビーフードを活用するのもおすすめ。硬さや味つけの目安の参考にもなります。 1〜2回食の時期ならば、朝は母乳や育児用ミルクにして、昼や夕方を離乳食にすると時間にゆとりができますね。 極端な偏食ではない限り、毎食ごとの栄養バランスはこまかく気にしなくても大丈夫です。離乳食の栄養素は2~3日単位で考えます。他の食事で補いながら、バランスをとるように心がけましょう。 ここが大変② 食べこぼしが多く、後片づけが疲れる エプロン&敷物で負担を軽減服や床を汚したり、皿をひっくり返したり……赤ちゃんの食事の片づけはひと苦労ですね。とはいえ、汚れるのが嫌だからといって、すべてお母さんが食べさせるのは避けましょう。赤ちゃんがスプーンなど道具を使う経験も必要です。 ポケット付きや大きめのお食事エプロンをしたり、床に新聞紙や敷物を敷くなどの対策をすると、着替えや後片づけの負担が軽くなります。 手づかみ食べは1品だけでもOK生後9カ月ごろになると見られる手づかみ食べも、触感を養ったり、自分で食べるための練習になるなど成長に必要なことです。食べる意欲が出てきた証拠と思い、パンやバナナなど汚されにくい1品だけでもさせてあげましょう。 ここが大変③ 好き嫌いが激しく苦手な食材を食べてくれない 赤ちゃんの好き嫌いは気にしなくてもOK好き嫌いのない子に育ってほしいという思いから、心配になる気持ちもわかります。しかし、赤ちゃんの味覚は未発達で、将来的な好き嫌いにはつながりません。味覚が形成されるのは3歳ごろになります。 嫌いな物はおかゆに混ぜたり、食感を変えてみたりと工夫をしながら、気長に様子を見ていきましょう。無理に食べさせなくても、ある日突然食べるようになったりもします。 離乳食の目安量はあくまで参考程度に考えて食べる量も月齢や離乳食の進み方の目安がありますが、大人もひとりひとりで食べる量が違うように、赤ちゃんもそれぞれ違います。基本は食べたいだけ食べさせて構いません。目安量に達しなくても、体重が順調に増えているならば、その子にとっての適量と思って見守りましょう。 まとめ離乳食で疲れないために大切なのは、「離乳食は手抜きで作る」ということです。ママが一生懸命作れば作るほど、食べてもらえなかったときの不満は、つい赤ちゃんに向かいがち。お母さんが怖い顔をしてスプーンを口に持ってきたら、赤ちゃんは食事が楽しくなくなってしまいます。笑顔で食事の時間を過ごせるように、肩の力を抜いて取り組んでいきましょう。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫 先生 著者:ライター 大浦綾子
2021年12月13日多くのママが「育児が大変! つらい!」と思うことについて、3児の母である小児科医がラクになる方法をアドバイス! ママ目線で「ここまでならラクしてOK」というポイントをお伝えします。今回は【お風呂・スキンケア編】です。服を脱がせて、風邪をひかせないように手早く洗って、服を着せて……。赤ちゃんのお世話でも特に大変なのがお風呂です。特にママひとりで入れるとなると負担も大きくなりますよね。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。今回はお風呂・スキンケア編です! ここが大変① 毎日お風呂に入れるのがひと苦労 赤ちゃんが眠ってしまった! 起こして入れるべき?ママの体調がすぐれないときや、赤ちゃんが眠ってしまったときなどお風呂に入れるのが大変な日もありますね。よほど汗や汚れが気にならなければ、毎日お風呂に入れなくても大丈夫です。ぬるま湯でしぼったタオルやガーゼで体を拭いてあげれば、さっぱりします。あせもやかぶれなど肌トラブルがある赤ちゃんは、できればサッとシャワーで流してあげるほうが良いですね。 洗浄料で洗わない日があってもOKお風呂に入ったときも、毎回洗浄料で全身を洗う必要はありません。首、わきの下、おしり、股、太ももなど汚れが溜まりやすい部位を洗えば、その他はお湯で流すだけでもある程度の汚れは落とせます。赤ちゃんの肌の状態やご機嫌に合わせて適度にラクをしましょう。 ここが大変② こまめに保湿をするのが大変 肌が乾燥していなければお休みしてもOK特にお肌が乾燥していなくて湿疹などのトラブルも起きていない赤ちゃんには、お休みする日があっても大丈夫です。冬は乾燥しやすいので、外気にさらされる顔部分はしておいたほうが良いでしょう。保湿とは、基本的に皮脂の足りない部分を補うものなので、やりすぎに注意しましょう。逆に夏に保湿をしすぎて、あせもができることもあります。特に生後3カ月までの赤ちゃんは皮脂の分泌が多く脂っぽいので、カサカサしている部位のみで大丈夫です。 お風呂での洗い過ぎが乾燥肌を招く!?赤ちゃんの肌が乾燥してしまう原因の1つが、お風呂での洗い過ぎです。汚れを落とそうとゴシゴシしすぎると、必要な皮脂まで流れてしまいます。洗浄料はたっぷりの泡で素手でやさしく洗うのが基本。冬など乾燥しやすい時期は、週に数回は洗浄料を使わない日をつくるのもおすすめです。 ここが大変③ 赤ちゃんの衣類を分けて洗うのが面倒大人の衣類と一緒に洗濯してOK肌がデリケートな赤ちゃんでない限り、生後0カ月から大人と同じ洗剤で洗っても問題ありません。大切なのは、洗剤が残らないように洗剤の適正量を守り、すすぎをしっかりすることです。 柔軟剤の選び方に注意むしろ気をつけてほしいのは、柔軟剤の選び方です。最近は香りが強く、持続しやすいタイプがトレンドですが、赤ちゃんへは刺激が強すぎる恐れもあります。使用を控えるか、無香・微香タイプを選ぶようにしましょう。 まとめお風呂やスキンケアは、お手入れをしすぎることで赤ちゃんのお肌に刺激を与えてしまう場合もあります。赤ちゃんの肌の状態が良さそうならば、1日くらいお休みしても大丈夫です。ママがゆったりした気持ちで毎日を送ることを大切にしてくださいね。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫 先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2021年12月06日現在6歳になる息子が2歳のときのことです。息子は内服が極端に苦手で、いろいろと試しても克服できずにいました。ある日、生まれたときからお世話になっている小児科医にそのことを説明したのですが、まさかの返答。今までの努力や本当につらい状況を理解してもらえず、悲しくなってしまった体験談です。内服がとにかく苦手な息子味覚がとても敏感な息子。大人にはわからないような変化にも反応します。完熟を少し過ぎたバナナや加熱しすぎたお肉などは口にしません。好き嫌いが多いというより、苦手な味付けがあるようです。 一番大変なのは内服。粉を練って小さくしても、アイスに混ぜてもだめです。「うぇっ」となってしまい、ひどいときには吐いてしまいます。風邪で薬を処方されたときは何とか飲ませようと必死に努力しましたが、どれも失敗。風邪の症状に加えて内服の苦痛が強く、息子がかわいそうでした。 小児科医のひと言が…ある日発熱があり、かかりつけの小児科を受診。風邪とのことでした。「解熱剤は坐薬でいただけないでしょうか? 薬を飲むのがどうしても苦手で……吐いてしまうこともあるので」とお願いすると、「アイスに混ぜたりしていますか? 2歳で飲めないというのは問題ですよ。ちゃんと練習しないと。お母さんがしっかりしないと、もっと重い病気になったときにお子さんが苦労することになりますよ」と先生。 今までさまざまな努力をしてきたこと、どうしてもうまく飲めないことを説明しましたが、理解してもらえませんでした。 息子や私が悪い?できないものはできない結局、粉薬が処方されました。先生の言うことは理解できますが、薬が飲めないのは甘えだと言われたようで、とても悲しい気持ちになりました。風邪で熱があって食欲もないなか、どうしても薬を飲んでくれない息子に飲ませる大変さを少しでもわかってほしかったです。 泣いて嫌がる息子の口を無理やり開けて薬を入れても、「うぇっ」と出してしまいます。ひどいときには食べ物も吐いてしまい、むしろ体力を奪っているのではないかとすら思う状態。練習しろと言われてもその方法がわかりませんでした。ただ途方に暮れながら家路につきました。 その後も息子が4歳になるまで、内服はとにかく大変でした。効果的な方法が見つからず、風邪を引くたびにとてもつらい日々を過ごしました。何とか乗り越えられたのは、年に2回ほどしか風邪を引かなかったからです。4歳を過ぎると少しずつ飲めるようになり、6歳の今では問題なく飲めるようになりました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~5歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 監修/助産師REIKO著者:更田未央子6歳と2歳の子を持つ母。看護師・保健師・養護教諭1種・FP3級の免許を取得。現在、高校生を対象とした学習塾の講師をしながら、FP2級を目指す。育児・教育・医療・金融・不動産について執筆中。
2021年10月03日こんにちは。3児の母小児科医の保田典子です。今回は、小児科医的しつけ、イヤイヤグズグズ対応のNG行為について。NG行為と言いつつ、私自身ももよくやってしまいます。反省も込めてお伝えしたいと思います。NG1:ぐずったら「とりあえず泣き止むもの」をすぐ与えてしまう子どもがクリニックで泣いてしまったら、とりあえずスマホの動画を見せてしまう、とりあえずお菓子をあげてしまう、という親御さんがよくいらっしゃいます。子どものグズグズ、イヤイヤに対して、スマホやお菓子に関わらずすぐ何か与えてしまったり、子どもの言いなりになってしまうのは、あまりしない方がいいでしょう。 子どもはそもそも泣くものです子どもはよく泣くものですし、よくグズグズします。特にクリニックは、お子さんにとって嫌なこともいっぱいしますし、予防接種などの注射は痛いので、機嫌が悪くなったり泣いてしまう子も多いですが、別にいいんです。 子どもが学びエスカレートする可能性も子どもは賢く、すぐ学びます。「こうやったら親はすぐに言うことを聞いてくれる」と学んだら、どんどん態度がエスカレートしていくことがあります。スマホやお菓子を与える「使いどき」を親御さんがきちんと決めて、生活の主導権を握れるようにすると、後々のしつけにも良い影響があります。 スマホは「ここぞというときにだけ」与えるようにするたとえば、電車や役所など、公共の場所で子どもがグズって本当に大変!というときに、「スマホは電車に乗るときのスペシャルね♡」という感じで、ここぞというときにだけ「とりあえず泣き止むもの」を使うようにすると、より効果的だと思います(とはいえ、親がスマホをずっと見ていてお子さんは無視は、もっと避けた方がいいかなと思います)。 NG2:イヤイヤグズグズしている子どもへ感情的に怒る子どもがイヤイヤグズグズしているときに、「だから何がしたいの!」「〇〇しちゃダメでしょ!」「しょうがないでしょ!」と怒ってしまう親御さんを、よく見かけます。突然しょうもないことでイヤイヤし始めると、ため息が出ちゃいますよね。 とはいえ、このように子どもと同じ土俵に立ってしまっては何も解決しないですし、火に油を注ぐことになってしまいます。親が感情的に怒ることで、子どもはさらに泣き叫び、親は困り果てる……ということになります。 親がイライラしなくていいように対処しておく子どものグズグズは本当にどうしようもありません。なので、突然イヤイヤが始まっても慌てなくていいように、事前に対処しておいたり、時間に余裕を持ったスケジュールで行動ができると良いですね。 例えば、電車の中でかんしゃくを起こしてしまっても、時間に余裕があれば次の駅で降りることができます。時間ぎりぎりだと「下車すると間に合わないのに!」とますますイライラしてしまうかもしれませんね。また、ぐずりやすい時間を外して移動したり、子どもが眠くなりやすい時間に移動をすれば、外でイヤイヤの対応をしなくて済むかもしれません。子どもがグズグズしやすいポイントを把握したうえで、グズグズしないスケジューリングをすることも大事ですよ。 ぐずったら共感して抱きしめてみてぐずったときの良い対処としては、「〇〇したかったんだね」と共感して、ギュッと抱きしめてあげましょう。そのあとは落ち着くまでそうっとしてあげるか、トントンしてあげましょう。これは、公共の場所でも、子どもが泣いても大丈夫な場所でも同じです。 イヤイヤグズグズに対応している親御さんへ赤ちゃんや子どものイヤイヤ・グズグズは「こんなことで!?」とか「なんでここで!」という連続だと思います。周りの目が気になったり、迷惑をかけていると落ち込んだりすることもたくさんあると思います。子どもがぐずっても、慌てて「イヤイヤを止めないと!」って思わなくていいんですよ。子どものイヤイヤに付き合うのはすごく疲れてしまいますが、親の毅然とした態度が今後の親子関係に深く関わってきます。イヤイヤしたら、慌てずに「共感して」「ギュッとして」あとはあらかじめ決めたルールであやすようにしてもらうといいでしょう。そうすると、今よりもっと上手くお子さんのイヤイヤと付き合えるかもしれません。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2021年09月30日東京衛生病院の小児科医、私生活では3児のママでもある保田典子先生のコラム。今回は子どもの安全対策後編「やけど」と「誤嚥、誤飲」のお話です。 こんにちは、3人の子どもを子育て中の小児科医、保田典子です。今回は、子どもの安全対策について。コロナ禍で家にいることが多くなった今、もう一度気をつけたいことを私の体験談を踏まえて、お話ししたいと思います。 子どもの死亡原因1歳以降の子どもの死亡の大きな原因の1つ、「不慮の事故」。実際には、動きが活発になってくる生後9カ月ごろから、赤ちゃんはさまざまな危険に自ら突っこんでいくことが多くなっていきます。子どもから1秒たりとも目を離さない、というのは不可能なので、子どもの事故は多かれ少なかれ必ず起こります。ポイントは、「命の危険がない事故にするという工夫」です。 家の中で気をつけたい、命に危険が及ぶような事故とは、溺水、やけど、窒息が多いかなと思います。転倒で頭を強くぶつけることにも気をつけたいですね。後編は「やけど」と「誤嚥、誤飲」のお話です。 危ない事故3:やけどやけどもいろいろありますが、気をつけたいのは広範囲のやけどになるようなものです。やかん、お味噌汁、炊飯器の蒸気などには、特に気をつけましょう。 電気ケトルの転倒事故が多いよく拝見するのは、電気ケトルが倒れて大やけどをしている症例です。ケトルは転倒してフタがガバッと開いてしまうものがあります。これから買う予定のある方は、転倒対策がしてあるケトルを購入することをおすすめします。 使用後は、手の届かないところへケトルにしても、お鍋などにしても、使っているときに目を離さないのもそうですが、調理が終わったらコンロの奥に置くようにしています。奥に置いておけば、万が一倒れたときも頭から熱湯をかぶることはないからです。(もちろん、ケトルのお湯はすぐ使い切る、お鍋や揚げ物油もすぐお皿などに移すのが基本です)。 テーブル下に引っ張れるテーブルクロスは使用しないダイニングでは、お味噌汁やスープなどをかぶるおそれがあるので、下から引っ張れるテーブルクロスの使用は避けましょう。わが家ではランチョンマットを使用しています(ランチョンマットも手が届けば引っ張ってしまうのですが、うちはみんな猫舌でぬるいスープしか出さなかったので使っていました)。 危ない事故4:誤嚥、誤飲誤嚥、誤飲もよくある事故です。まだ1人目の子どもが0歳のとき、お菓子のプラ袋のカケラを食べて、喉にくっついてしまって、オエオエさせてしまったことがあります……。すごく苦しそうで反省したにもかかわらず、2人目でも同じことをやってしまって、反省しました。 約4cm以下の物は誤飲の可能性がある母子健康手帳にも書いてありますが、約4cm大の物は赤ちゃんの口を通ってしまいます。これは、トイレットペーパーの芯とほぼ同じ大きさです。ペットボトルのフタで窒息してしまったという事故もよく聞きます。電池など誤飲すると危険な物を中心に対策していきましょう。 ツルッとした食べ物の誤嚥食べ物で誤嚥(ごえん:気管支に入ってしまうこと)に気をつけたいものは、こんにゃくゼリーやミニトマト、ぶどうなどツルッとしたものです。ミニトマトやフルーツは薄皮を剥いて刻むなどして小さく切ってから食べさせるようにしましょう。 気をつけたいタバコの誤飲喫煙率の低下とともに事故の頻度も減ってきましたが、タバコを食べてしまったというお子さんがよく受診されます。タバコを吸ったらすぐに捨てるなどし、まだ吸っていないタバコは引き出しの中など、絶対に子どもの手が届かない場所にしまう習慣をつけましょう。また、缶などの容器に水を入れてタバコを消火する親御さんがいますが、タバコが溶けた水を誤飲した場合、命に関わるので絶対にやめましょう。 安全対策のポイントを決めて、完璧を目指さない1歳弱から3歳未満までの赤ちゃんは、危険意識がないわりに行動力はすごくあるので、事故を経験しない子はいないくらい安全対策は大変です。 「今はハイハイしかしていないからテーブルの上なら安全」ということはありません。ハイハイしかしていなくても何かを踏み台にして登ってしまうこともありますし、昨日できなかったことが今日できるようになって事故につながる、ということもあります。 子どもの周りは危険がいっぱいですが、何でも安全にしてしまうと危機管理能力も育たないと考えています。子どもに自分で失敗しながら学んでほしいので、大怪我や危険な事故の可能性を予防しつつ、命に関わらないものは、ある程度「しょうがない」と腹をくくって子育てしています。完璧は目指しませんでした。子ども自身にさまざまな体験をさせて学んでもらいながら、親も子も成長していけるといいなと思っています。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2021年09月25日こんにちは。3児の母小児科医の保田典子です。今回は、子どもが「痛い」と言ったときの対応についてご紹介します。単語が増えてくる1歳半以降になると、子どもは「いたい」と言うようになります。うちの子も点滴をしたあとに真似をして「いたかった!」と言う動画が残っています。 子どもが「痛い」と言い出したら何か大きな病気ではないかと心配になりますし、何度も言われると「本当なの?」と思ったりしますよね。子どもの「痛い」への対応について、お話ししたいと思います。 1~3歳の子の「痛い」は「痛い」だけじゃない「痛い」は親にとってかなりインパクトのあるワードで、子どもが言うと親の気持ちが一気に子どもに向く言葉です。そして、「痛い」というのはどんな感じが「痛い」なのか、子どもにはまだよくわからないことがよくあります。 つまり、「痛み」はよくわからないけれど、親の注目は一気に集められるんだ、ということが、この時期の子どもの感覚としてできます。そのため、「痛み」も「かゆみ」も「不快」も、すべて「痛い」と表現することもあります。 親がけがをしたときや注射したときは「痛いね」と言ったり、皮膚が赤くなっているときは「かゆそうだね」と言ったり、嘔吐してしまったときは「気持ち悪いね」と言ったりすることで、適切な表現方法を学んでいくのです。逆に、痛みがあるときでも、「いや」など違う言葉で表現することもあります。 緊急性があるのはどんなとき?子どもの怪我以外で痛みがでる場所といえば、頭、おなか、おしり、頻度は低いですが胸などです。頭痛は2歳ごろから起きることがあると言われています。 急激に発症してうずくまってしまうくらいの痛みのとき、嘔吐や発熱など他の症状もあるとき、血便などがあるとき、意識がおかしいとき、けいれんがあるときなどはすぐ受診しましょう。そこまでの痛みではないけれど、慢性的に痛みを訴えるときも一度受診をした方がいいかもしれません。 本当に痛いの?よくわからないときは?「痛い痛い」という割には元気に飛び回って遊んでいる、「痛い」と言うので受診し特に異常ないと診断されたが、やっぱりよく痛みを訴えるときなど、対処に困りますよね。 「うーん、これは痛くないんじゃ……?」と疑問に思ったとしても、「痛くないでしょ!」などと真っ向から否定せず、まずは「そっか、痛いんだね」と共感して、どこが痛いのかやさしく聞いてあげてみてください。ママやパパがゆっくり聞いてあげることで安心します。 そして、「いたいいたいの飛んでけ」のように、痛みを訴えている場所をやさしくなでてあげると、さらに安心するでしょう。 その上で、かゆそうな場合は「これ、かゆそうだね、冷やしてみようか」「〇〇っぽいね」と伝えてあげることで「そっか、これってかゆいんだ」と、「痛い」以外の表現力を学ぶ良い機会になります。上記に記載した緊急性がない場合は、まったく別のことで気を紛らわしてしまう、という対処法もあります。それもまずは「そう、痛い痛いだね」など一度共感してから、お子さんの好きなことなどを促してみて気を逸らすと良いでしょう。 痛みは積極的に治していいものです!これは大人もそうですが、痛みをがまんする必要はまったくありません。お子さんの訴える痛みが本当に頭痛や腹痛でありそうであれば、「頭痛ならしばらくすれば良くなるかも」と様子を見る必要はないのです。痛みが何回もある、しばらく続くなどあれば、受診して痛み止めや治療薬など適切な対処をしてもらいましょう。鎮痛薬はがまんせず使って大丈夫です。使う頻度が多いようであればまた受診して相談するなど、痛みに人生を左右されない生活を目指しましょう。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2021年08月31日こんにちは。3児の母小児科医の保田典子です。今回は、小児科医から見た「親のNG行動」についてお話ししたいと思います。そのうちの1つが、予防接種などお子さんが痛かったり、嫌がることの多い処置をするのときの親御さんの対応です。お子さんの予防接種をするときの親御さんのNG対応について、紹介したいと思います。 NG行動1:子どもに伝えない予防接種は元気なときに病院に行っておこなうものなので、「あらかじめわかっている受診」ですよね。 そんな受診のときに「なぜ病院に行くか」をお子さんに伝えずに病院に連れて来る親御さんがいらっしゃいますが、これはなるべく避けてほしいなと思います。「〇〇に行くよ」など病院ではない所へ行くと騙して連れ出すのも避けたほうがいいです。もちろん、その子の特性などに合わせて対応するのは大切ですが、不意打ちで痛いことをされるのは誰でもびっくりしますし、傷つきます。 国立成育医療研究センターでは、目安として2~3歳には数時間前、4~6歳は前日、小学生以上には1週間前に伝えると良いでしょう、とアドバイスしてくれていますので、参考にしてみてください。 NG行動2:「痛くないよ」と言う注射は、多かれ少なかれ痛いものです(インフルエンザワクチン、私も痛いので嫌ですが毎年打っています)。接種の前に「痛くないよ」など、ほぼウソになってしまうことは言わないようにしましょう。これは病院だけでなく、どこでも同じです。 「ちょっと痛いんだけど、病気にならないようにするために大切なんだよ」と伝えることが大切です。 ちなみに、接種後泣くお子さんに対して「泣かないの!」と言う親御さんもいますが、小児科医としては全然泣いてOKです。だって痛いんですから。 大事なのは痛いことを共感してあげることが大切です。その上で「痛いから泣いちゃうよね」と理解してあげるほうが良いと思っています。もし、泣かなかったときは「痛いのに泣かなかったね」と褒めてあげましょう。 事前の準備で「見通し」を!子どももれっきとした1つの人格なので、何か子どもが嫌なこと、慣れていないことをするときは、注射に限らず事前説明をするようにするといいでしょう。きちんと説明し、納得まではいかずとも、しっかり予防接種をする意図を伝えてから接種に臨めるといいですね。 伝える方法としては、子どもは目で見たほうが理解できることが多いので、ひらがなが読める子には、このメモのような「目で伝えるツール」なども使えますよ。 ▲保田先生が実際に使っているメモ 病院では、「プレパレーション(準備)」と言って、これからおこなう手術や治療の手順を、画像や人形などを使ってごっこ遊びのように説明をすると、子どもの心の準備ができるので、泣くことが減ったりすることもあります。▲保田先生が実際に使っているメモ 予防接種なら、病院の受付のところから手順を遊びつつ説明できるといいですね。例えば予防接種なら、「受付→待合室で待つ→診察室に入る→問診する→診察する→消毒する→注射する→絆創膏を貼る」という感じです。 やったあとには「褒める、認める」を!今回の小児科NGは予防接種についてでした。病院はお子さんにとって嫌なことをすることが多い場所ですが、とても大切なことをする場所でもあるので、少しでも安心して受診できるといいですね。 どんなことでも、「見通し」がたつと人は安心します。もちろん、痛いことなので見通しを立てれば必ずうまくいく訳でもないのですが、親が病院での見通しを教えてくれると思うと、他の新しい場所へ行くときでも、見通しを教えてあげることでグズグズが減ることがあるかもしれません。そして、お子さんが嫌なことを頑張ったあとは、しっかり褒めてあげてください。「痛いのにがまんしたね」「あまり動かず頑張れたね」など、お子さんの頑張りをしっかり認めて、声をかけてあげてくださいね。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2021年08月29日多くのママが「育児が大変! つらい!」と思うことについて、3児の母である小児科医がラクになる方法をアドバイス! ママ目線で「ここまでならラクしてOK」というポイントをお伝えします。今回は【母乳育児編】です。授乳、おむつ替え、抱っこに寝かしつけ……赤ちゃんのお世話はやることがたくさん! 「育児を楽しむ余裕なんてない」「いつもお世話や家事に追われている」と感じたら、頑張りすぎているのかもしれません。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。今回は母乳育児編です! 育児を完璧にこなすことよりママが笑顔でいられることが大事 こんにちは。さくらんぼこどもクリニックの三日市です。「育児でラクをする」というと、抵抗を持たれるお母さんもいるかもしれません。しかし、ママたちに余裕がなくなってイライラすると、赤ちゃんも不安になって泣いたりグズったりと、悪循環になってしまいます。家事や育児を完璧にこなすことよりも、お母さんが常に笑顔でいられるためにはどうすれば良いかを大事にしてください。 とはいえ、赤ちゃんのお世話をする以上、守るべきボーダーラインはあります。 第一は衛生面です。決して神経質になる必要はありませんが、やはり清潔を保つことは大事です。 もう1つは安全面です。赤ちゃんの手の届く範囲に危険な物を置いていないか、足がかりになるようなものを置いていないか、などです。衛生面や安全面に気を配るためにも、適度に息抜きをして疲れすぎないことが大切なのです。 ここが大変①:授乳の回数が多くてつらい! 3カ月以降なら「泣いたら授乳」は見直してみて生後3カ月を過ぎると、一度に飲む量も増えて授乳回数が減ってきます。もし生後3カ月以降で「泣いたらすぐ授乳」を続けているのであれば、そろそろ見直してみましょう。おっぱいを吸って泣き止むのは、おなかが空いている場合のほかに、赤ちゃんの原始反射の1つであり、物が口に入ると吸う「吸啜(きゅうてつ)反射」による場合もあります。 吸っている間は泣き止むので、「おっぱいが欲しかったから泣いていたんだ」とママが錯覚しているのかもしれません。おむつの濡れ具合やお部屋の温度を確認したり、抱っこやおもちゃであやすなどほかの方法を試してみましょう。 5カ月になると間隔が空くから自然とラクに!また、ちょこちょこ飲むというのは、大人にしてみると常に食べているのと同じこと。そうすると空腹感がなくなり、まとまった量を飲めなくなってしまいます。次に飲むまでの時間をきちんと空けてあげることが、赤ちゃんの生活リズムを整えるためにも大切です。生後5カ月以降になり離乳食が始まると間隔も空いてくるはずなので、焦らずに取り組みましょう。 夜は起こしてまで授乳しなくてOK夜の授乳は、赤ちゃんが寝ていたら起こしてまでおこなう必要はありません。寝ている間は、赤ちゃんにとって成長するホルモンが分泌されている大切な時間。体重の増えが悪くてしっかり飲ませてくださいとお医者さんに言われない限りは、ゆっくり寝かせてあげましょう。 ここが大変②:授乳をすると体のあちこちが痛い…たくさん密着すると授乳体勢がラクに授乳の際の抱き方を工夫してみましょう。横抱きやフットボール抱き、添い乳などさまざまな授乳の体勢がありますが、いずれもポイントは、赤ちゃんと体を密着させるように意識することです。授乳の時間は赤ちゃんの様子が気になって体が離れがちになります。皮膚と皮膚が触れ合う面積が増えるほど、赤ちゃんは温もりを感じて安心するし、お母さん自身の体勢も安定してラクになります。 神経質にならず腕全体で赤ちゃんを包み込んでみてまた、特に赤ちゃんの首がすわっていない間は、首を守ろうとしてご自身の腕や手首を痛める方が多いですが、基本的にそこまで神経質になる必要はありません。手首や腕の一部でなんとかしようとせず、腕全体で包み込むようにしましょう。 ここが大変③:母乳のために毎日栄養バランスの良い食事は無理!総菜パンやレトルト食品などに頼って自炊にこだわらず、大変なときは惣菜パンやお弁当、レトルト食品に頼りましょう。極端に偏食をする人でなければ、そこまで過敏にならなくても大丈夫です。タンパク質がとれる冷奴や納豆、野菜がとれる具だくさんのスープなど、不足している栄養分を手軽に補える一品を常備・作り置きしておけば献立がラクになります。サプリは過剰摂取による健康被害が出ているケースもあり、医師としては基本的におすすめしません。栄養は食事から補給するようにしましょう。 また、栄養のほかに大切なのは水分です。母乳の約90%は水分でできており、水分が不足すると母乳の量などにも影響します。1日に2L以上を目安に、しっかり飲むように心がけてくださいね。 まとめ月齢が低いころは頻回授乳で大変な日が続きますが、生後5カ月ごろから離乳食が始まるとだんだんと授乳の回数も減り、1歳を過ぎれば卒乳へと向けて負担も減ってきます。特に母乳育児の場合はお母さんの負担が多くなりますが、ほかの家事をお父さんや家族に協力してもらうなど、少しでもラクになる方法を探してみてくださいね。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫 先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2021年07月01日娘の2週間健診で体重があまり増えていないことを指摘され、涙したママ。助産師さんに小児科の受診をすすめられ、その足で小児科へ。私の不安を受け止め、救ってくれた医師の言葉とは?育児用ミルクを飲むのに1時間かかり、飲んだ分をすぐ吐き戻してしまう……。2週間健診で体重があまり増えていないことを医師に指摘され、「お母さん、ちゃんと頑張らなきゃ!」とつらい言葉を投げかけられて、涙したママ。 「誰かに見てもらいたい」と母乳外来へ行ってみることにしました。 助産師さんに診てもらうと…? 「心配事があるだけで、行っていいのよ。お医者さんが“大丈夫”って言ってくれると、安心できるでしょ?」 助産師さんに小児科の受診をすすめられたママ。発熱も咳もないのに、病院を受診してもいいのかな……そう悩んでいたママの背中を押してくれました。 その足で初めて小児科を受診すると、総合病院の救急外来をすぐに受診するように言われます。 「母親が“何か気になる”っていうのは、立派な検査理由です。それで怒る医者なんていないよ」 不安を受け止めてくれた医師に感謝しつつ、今度はその足で総合病院を受診することになりました。監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター こやま家2018年4月生まれの女の子さくちゃんと、2020年5月生まれの男の子あおくんを育てるワーキングママ。奇想天外な家族の様子を絵日記で描いている。
2021年06月19日