5月16日・17日の2日間、東京・中野サンプラザでフジヤエービック主催の「春のヘッドフォン祭 2015」が開催された。ここでは、オヤイデ電気(小柳出電気商会)ブースにおける注目の展示を取り上げる。オヤイデ電気ブースでは、5月1日に発表したハイレゾプレーヤー「Fiio X3 2nd generation」と、5月8日に発表したCOZOYブランドのポータブルヘッドホンアンプ「Astrapi(アストラピ)」が注目を集めていた。Fiio X3 2nd generationは、2013年9月に発表したFiio X3の第2世代モデル。DACチップの変更により、DSD 5.6MHzまでのネイティブ再生に対応した。また、44.1kHz系、48kHz系の2つのクロックの搭載、アンプの改良も行われている。下位機種のFiio X1とは異なりUSB DAC機能も搭載。なお、従来機種は8GBのメモリを内蔵していたが、Fiio X3 2nd generationはメモリ非搭載。microSD/SDHC/SDXCカードをストレージとして使用する。利用可能なメモリカードの最大容量は128GBだ。Astrapiは、USBメモリサイズのUSB DACアンプ。約10gと軽量で、USBバスパワーで動作する。再生可能な音源は44.1kHz/16bitまでとなっており、それ以上の音源は再生時にダウンコンバートされる。コントローラーは装備しておらず、ボリューム操作などは接続したプレーヤー側で行う。なお、Android OSを搭載したスマートフォンでは、Galaxyシリーズのみが動作確認されているが、それ以外は検証中だ。また、OS標準のプレーヤー以外に独立したボリュームコントロールアプリが必要となっている。
2015年05月18日オヤイデ電気(小柳出電気商会)は5月8日、COZOYブランドのポータブルヘッドホンアンプ「Astrapi(アストラピ)」を発表した。発売は5月15日。価格はオープンで、推定市場価格は20,000円前後(税込)。Astrapiは、DACを内蔵したポータブルヘッドホンアンプ。スティック型形状で、サイズW17×D9×H52mm、質量10gと軽量コンパクトな筐体が特徴だ。背面にはクリップを備え、ポケットやかばんに固定できる。コントローラーは装備しておらず、ボリューム調整などの操作は接続したプレーヤー側で行う。入力インタフェースはmicroUSB、出力インタフェースはφ3.5mmステレオミニジャック。バッテリーは内蔵されておらず、USBからのバスパワーで動作する。消費電力は10mA~75mAだ。適合するインピーダンスは16Ω~100Ω。ヘッドホン出力は最大40mWで、THD+Nは0.003%(1kHz)。AstrapiのDACは44.1kHz/16bitまで対応。そのため、ハイレゾ音源の再生時は、44.1kHz/16bitにダウンコンバートされる。
2015年05月08日オヤイデ電気(小柳出電気商会)は5月1日、ハイレゾ音源に対応したポータブルプレーヤー「Fiio X3 2nd generation」(以下、X3 2nd gen.)を発表した、発売は5月15日。価格はオープンで、推定市場価格は34,000円前後(税別)。X3 2nd gen.は、2013年9月にFiioブランド初のハイレゾ対応ポータブルプレーヤーとして発売された「Fiio X3」の第2世代モデル。対応しているハイレゾ音源のファイル形式は、5.6MHzまでのDSD、192kHz/24bitまでのAPE、WAV、FLAC、ALAC、WMA、AIFF。X3はDSD2.8MHzまで(PCM変換)にしか対応していなかったが、X3 2nd genは5.6MHzまでのネイティブ再生に対応した。DACチップはWOLFSON社の「WM8740」からシーラスロジック社の「CS4398」に、アンプはアナログ・デバイセズ社の「AD8397」からテキサス・インスツルメンツ社の「OPA1642」と「LMH6643」に変更されている。X3 2nd gen.は、44.1kHz系と48kHz系の2つのクロックジェネレーターを新しく採用。音声転送時のジッターロスを低減させ、より正確な再生を実現した。接続端子はmicroUSB×1、ヘッドホン出力×1、ライン出力兼S/PDIF同軸出力×1を装備。USB DAC機能も持つ。S/PDIF同軸出力を使用した場合、DSDファイルはPCM形式にダウンコンバートされる。メモリは内蔵されておらず、ストレージにはmicroSD/SDHC/SDXCメモリーカードを使用する。利用できるカードの最大容量は128GBだ。電源は容量2,600mAhのリチウムイオンバッテリーで、一般的な家庭用コンセントを使用した場合、約3時間でフル充電される。バッテリー駆動時間は最大で約12時間。本体サイズはW57.7×D16.1×H96.7mmで、質量は135g。オヤイデ電気は、X3 2nd gen.専用のレザーケース「LC-FX3221」も同日に発売する。価格はオープンで、推定市場価格は2,000円前後だ(税別)。LC-FX3221は表面にレザー、内側にフェルトを用いたケース。操作ボタンや接続端子、液晶ディスプレイ部分はオープンで、ケースを装着した状態でも、高い操作性と視認性を確保している。
2015年05月01日2月14日、東京・中野サンプラザで「ポータブルオーディオ研究会 2015冬(ポタ研)」が開催された。ポタ研はフジヤエービックが主催し、国内外のポータブルオーディオ機器メーカーが多数出展するイベントだ。ここでは 参考出展された製品を中心に紹介していきたい。○ハイレゾプレーヤーと音圧を追求したBluetoothスピーカー - オンキヨーブースオンキヨーのブースでは、DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプ兼プレーヤーの「DAC-HA300」を参考出展した。オンキヨーが2014年12月にリリースした「DAC-HA200」は、96kHz/24bitまでのハイレゾ音源再生に対応したDAC内蔵ポタアンだったが、DAC-HA300はDSD 5.6MHzを含めた豊富なフォーマットに対応したハイグレードモデルで、プレーヤーとしての機能も搭載している。microSD/SDHC/SDXCカードも使用可能だ。2015年春の発売を目指しており、3月ぐらいに発表できればとのことだ。また、オンキヨーはポータブルBluetoothスピーカーの新モデルも参考出展した。モデル名は「SAS-200(仮)」で、2015年春の発売を目指している。コンパクトなきょうたい体で、どこまで音圧を上げられるかに挑戦したモデルということでこちらも期待が持てそうだ。オンキヨーがこのスピーカーのために開発した新ユニットはφ4cmほどのコンパクトなものだが、音圧はφ8cmのユニットに匹敵するという。アンプは、このユニットの最大振幅を引き出せるように常にコントロールされている。小さなスピーカーの場合、どうしても先に上限を決めてしまい、それ以上振れないように抑えることが多いのだが、音楽信号に合わせて、一番パワーを引き出せるように、追従しながら再生していくという。これは据え置き型のシステムで培ってきた技術をフィードバックしたものだ。○Acoustic Researchのハイレゾプレーヤーを参考出展 - フロンティアファクトリーフロンティアファクトリーブースでは、米Acoustic Researchのハイレゾプレーヤー「AR-M2」を参考出展している。AR-M2は、FLAC/ALAC/DSD/WAV/DXD/APE/AIFFなどの幅広いフォーマットに対応したハイレゾプレーヤー(DSD/DXDはPCMに変換しての再生)。DACには、バーブラウン製のPCM1794Aが採用されている。Wi-FiとBluetoothも利用可能だ。内蔵メモリは64GBで、microSDXC対応のカードスロットも装備。128GBまでのカードを使用きる。バッテリー駆動時間は約8時間。2015年4月下旬の発売を目指しているとのことだ。○インナーイヤーヘッドホンの新モデルを参考出展 - KEFKEF JAPANブースでは、インナーイヤーヘッドホン「M100」を参考出展した。M100は、2013年6月にリリースされた「M200」の下のクラスのモデルとなる。M200は低域用と高域用の2つのダイナミックドライバーを同軸上に配置していたが、M100はフルレンジのφ10mmダイナミックドライバーを採用している。M100のドライバーは、オンイヤー型ヘッドホン「M500」に近いもので、ネオジウムマグネットなどが使用されているとのことだ。また、M200では、軸の根元部分にツイーターが配置されていたため、その部分が太くなっていたが、M100ではストレートな形状となり、装着性も向上している。iPhoneに対応した3ボタンのリモコンマイクも装備。カラーは、ゴールド、ブルー、ホワイト、ブラックの4色だ。なお、発売時期は未定となっている。○アユートは「AK500N」の試聴会を開催アユートは、Astell&Kernの据え置き型プレーヤー「AK500N」の試聴会を開催。据え置き型プレーヤーのAK500Nをなぜポタ研で? と思う方もいるだろうが、AK500Nはバッテリーを内蔵しており、下の写真のようにポータブルで使用することもできるらしい。また、オヤイデ電気(小柳出電気商会)のブースでは、2月6日に発表された、USB DAC搭載ポータブルヘッドホンアンプ「E17K」を初披露している。
2015年02月15日オヤイデ電気(小柳出電気商会)は2月6日、「FiiO」ブランドのUSB DAC搭載ポータブルヘッドホンアンプ「E17K」を発表した。発売は2月13日。価格はオープンで、推定市場価格は24,000円前後(税別)。E17Kは、USB DACを搭載したポータブルヘッドホンアンプ「E17」と「E07K」の後継モデル。スクロールホイールを新たに搭載し、メニュー操作をスムーズに行える。TREBLE/BASSをそれぞれ10段階でレベル調整可能だ。DACチップにはテキサス・インスツルメンツ社製のPCM5102、アンプにはOPA1642とLMH6643を採用。USB接続では96kHz/32bitまでのPCMファイル、2.8MHzまでのDSDファイルの再生に対応する。また、SPDIFでは最大192kHz/24bitまでの再生が可能だ。適合するヘッドホンのインピーダンスは16Ω~300Ω(推奨インピーダンスは16Ω~150Ω)。出力は、16Ω負荷時で160mW、32Ω負荷時で200mW、300Ω負荷時で60mWとなっている。入出力端子として同軸デジタル音声入力×1、microUSBポート×1、ヘッドホン出力×1、ライン入出力×1を装備する。内蔵バッテリーの容量は1,500mAhで、最大約15時間の連続駆動が可能だ。約3.5時間(5V/1Aで充電を行った場合)でフル充電される。本体サイズはW62.2×D12.8×H104.1mmで、質量は110g。
2015年02月06日オヤイデ電気(小柳出電気商会)は1月9日、FiiOブランドより、ポータブルヘッドホンアンプ「E12A」を発表した。発売は1月16日。価格はオープンで、推定市場価格は25,000円前後(税別)。E12Aは、ハイパワーヘッドホンアンプ「E12」をIEM(イン・イヤー・モニター)向けにチューンしたカスタマイズモデル。E12は、16Ω負荷時は600mW、32Ω負荷時は880mW、300Ω負荷時は160mWというハイパワーが特徴の製品だ。E12Aでは、オペアンプをテキサス・インスツルメンツ製の1611Aから、新日本無線のMUSES02に変更。また、チップレイアウトやフレーム材質などが変更されている。パワーは、16Ω負荷時が420mW、32Ω負荷時が400mW、300Ω負荷時が60mWとノーマルのE12よりも低下しているが、S/N比が115dB以上と、E12の110dB以上から向上。歪率は、E12の0.005%未満から0.003%未満へと向上した。入出力端子はE12と同様に、アナログのAUDIO INとヘッドホン出力のみ。適合インピーダンスは16~300Ω。バッテリーが強化されており、連続駆動時間は、E12の約12時間から約20時間に延ばされた。本体サイズはW65.5×D125×H14.5mmで、質量は166g。
2015年01月09日12月20日~21日の期間開催された「ポタフェス2014」。当記事では、その中から新製品を中心に、注目ブースの展示内容を紹介していく。○低価格ハイレゾプレーヤーとIEM専用ヘッドホンアンプ - オヤイデオヤイデ(小柳出電気商会)ブースでは、話題の低価格ハイレゾプレーヤー「FiiO X1」を展示。FiiO X1は、上位モデルからUSB DAC機能、デジタル音声出力、DSD再生機能を省いて低価格化したモデルだ。オープン価格で、12月22日現在、同社のショッピングサイトでの販売価格は21,600円(税込)。ハイレゾプレーヤーの中では現在最安価となっているが、価格だけではなく音質の評価も高い。ヘッドホンアンプ「E12」の特別仕様モデル「E12A」も参考出展されている。E12Aは、E12をIEM専用にカスタマイズしたモデル。適応するインピーダンスは150Ωまでとなっているが、オペアンプをテキサス・インスツルメンツ社製の1611から新日本無線のMUSES 02に変更するなど、表現力を向上させている。発売時期などは、現時点では未定。○IEMコンディショナーとComplyの新製品 - エントリー・ジャパンエントリージャパンのブースでは、IEMの性能をキープして保管するためのIEMコンディショナー「ドライ&ストア」を展示。ドライ&ストアは、専用の乾燥剤とファン、ヒーターにより、IEMを乾燥させて、コンディションを整える製品。254nm(ナノメートル)の医療用紫外線ランプも装備しており、雑菌の繁殖も抑えることができる。同社によると、IEMが水没した場合でも復活させることができるという。標準タイプの「Global II Model」と、紫外線ランプを省いて小型化した「Zephyr Model」の2タイプがラインナップされる。本来、補聴器向けの製品だったが、IEM用に改良し、オーディオフロアで取り扱われるようになる。また、同社が販売しているComplyイヤーチップのうち、「Tsxシリーズ」は、これまで入荷が不定期で、国内での供給体制が整っていなかった。同社によると、これが改善され、12月初めからようやく順調に入荷するようになったとのことで、今後は普通に店頭に並ぶようになるらしい。さらに同社では、スポーツ用のイヤーチップを春頃にリリースするという。発表は2015年1月に米国で開催される「2015 International CES」で行われる。製品は、現行のSシリーズに防水用の内栓を取り付けたものとなる予定だ。○重低音が魅力のワイヤレスヘッドホン - SOL REPUBLICSOL REPUBLICブースでは、ワイヤレスヘッドホン「TRACKS Air」を展示。TRACKS Airは、モトローラと共同開発したBluetoothユニットを装備したモデル。通常のBluetoothユニットの使用可能範囲は20m程度だが、TRACKS Airの場合、約50mの遠距離でも通信が可能だ。もちろん、日本国内で認証を受けており、安心して使うことができる。ワイヤードモデルと同様に、左右のユニットと、樹脂製のヘッドバンドの3ピースに分離する。Bluetoothユニットやバッテリーなどは右側のユニットに内蔵されており、左右のユニットは、ヘッドバンド内側にある導電部分を使って接続される。○最新の欧州デザインを取り入れたB&O PlayのスピーカーとヘッドホンB&O Playブースでは、新製品のBluetoothスピーカー「BeoPlay A2」や、ヘッドホン「BeoPlay H2」を展示。BeoPlay A2とBeoPlay H2は、ヨーロッパの最新デザインの流れを取り込んだ製品。やわらかなフォルムと実用性、堅牢性を兼ね備えているのが特徴だ。BeoPlay A2はデンマークのデザイナーCecilie Manz(セシリエ・マンツ)がデザインした製品で、BeoPlay H2は同じくデンマーク出身のプロダクトデザイナーJakob Wagner(ヤコブ・ワグナー)が製品のデザインを行っている。○ヘッドホンメーカーとしての40年の歴史を展示 - オーディオテクニカブースオーディオテクニカは、1974年にヘッドホンの製造を始めてから2014年でちょうど40周年を迎えた。ブースでは、それを記念して過去の銘機が展示されている。左の製品が、1974年に発売されたコンデンサーヘッドホン「AT-705」で、右の製品は1985年に発売された「ATH-M7PRO」。残念ながら、これらの製品は経年劣化もあり、試聴は不可能ということで、ガラスケースに入れられていた。その横では、40周年の集大成モデルとして発売されたポータブルヘッドホン「ATH-MSR7」と、その限定モデル「ATH-MSR7LTD」を展示。また、この冬好調な女性向けのヘッドホン「ATH-UN1」「ATH-FW55」も注目を集めていた。○デザインだけではない、女性向けのヘッドホン - Skullcandy女性向けのヘッドホンには、デザインやサイズだけを変更したモデルが多い。Skullcandyのブースに展示されている新製品「Knockout」は、優れたデザイン性だけにとどまらず、本質ともいうべきサウンドも、女性向けのチューニングが行われているヘッドホンだ。同社では10,000人の女性にリサーチを実行。その結果、女性は男性よりも刺激的な高域を嫌う傾向があり、またバックグラウンドノイズを男性の約10倍強く感じるという結果が出たという。Knockoutは、そういった女性の聴感に合わせたチューニングのドライバーを採用。また、側圧を弱めにすると同時に、ハウジングの角度を変えることで、装着性も確保している。さらに、イヤーパッドには、ファンデーションなどが付きにくい素材を採用しているという。
2014年12月23日オヤイデ電気(小柳出電気商会)は12月8日、コンパクトハイレゾプレーヤー「FiiO X1」を発表した。発売は12月19日。価格はオープンで、推定市場価格は20,000円前後(税別)。FiiO X1は、ハイレゾ音源に対応したポータブルプレーヤー。同社では「FiiO X3」や「FiiO X5」などのハイレゾプレーヤーをリリースしているが、FiiO X1はそれらに比べて、よりコンパクトでリーズナブルな製品だ。再生可能なハイレゾ音源のファイル形式はWAV、FLAC、APE、ALAC、WMAで、WMAは48kHz/24bitまで、それ以外は192kHz/24bitまで再生可能だ。MP3やAACなど、通常のプレーヤーが対応している非ハイレゾ音源も利用できる。なお、上位モデルとは異なり、DSDの再生には対応していない。メモリは内蔵されておらず、ストレージにはmicroSD/ SDHX/ SDXCメモリーカードを使用する。利用できるカードの最大容量は128GBだ。製品には8GBのmicroSDHCメモリーカードが付属している。DACチップはテキサス・インスツルメンツ製の「PCM5142」を採用。オペアンプにはインターシル製の「ISL28291」を採用している。接続端子は、3.5mmステレオミニジャック×1系統とUSBポート×1基を装備。3.5mmステレオミニジャックは、スイッチによりヘッドホン出力とライン出力を切り替えて使用できる。ヘッドホンの推奨インピーダンスは16~100Ωで、16Ω負荷時の出力は100mW、32Ω負荷時は65mW、300Ω負荷時は8mWとなっている。周波数帯域は20Hz~20kHzで、歪率は0.004%(1kHz)。USBポートは充電専用で、上位機種とは異なりUSB DAC機能は搭載していない。電源は内蔵のリチウムイオン充電池で、容量は1,700mAh。フル充電の場合、約12時間の連続再生が可能だ。本体サイズはW57×D14×H96.6mmで、質量は106g。
2014年12月08日●ゼンハイザーの密閉オーバーヘッド型やアユート「AK240」Blue Note仕様など10月25日と26日、東京の中野サンプラザで、フジヤエービックが主催する「秋のヘッドフォン祭2014」が開催された。メーカー各社が、ブースで最新のヘッドホンやヘッドホンアンプなどを展示。メジャーブランドの製品だけでなく、普段はあまり目にする機会がないブランドの製品も聞き比べることが可能。ヘッドホンやヘッドホンアンプの最新事情を知るのにはもってこいのイベントとなっている。ここでは、当日初公開となった製品や会場で発表が行われた製品、開発中モデルの参考出展を中心に、筆者が気になったプロダクツをいくつか取り上げていきたい。○MOMENTUMと同じ密閉オーバーヘッドでも方向性が違うURBANITEシリーズゼンハイザージャパンのブースでは、10月24日に発表したURBANITE(アーバナイト)シリーズなどを国内初公開している。URBANITEシリーズは、密閉オーバーヘッド型のヘッドホン。ノーマルのURBANITEとヘッドセットのURBANITE XLがラインナップされている。URBANITE XLは、ノーマルのURBANITEに比べて一回り大きなサイズだ。同社の密閉オーバーヘッド型ヘッドホンというと、「MOMENTUM」シリーズがヒットモデルとなったとなっているが、URBANITEは、サイズ的にも価格帯的にも「MOMENTUM On-Ear」に近い製品だ。ただし、ターゲットとしている層は異なり、MOMENTUMシリーズが大人向けのデザインとサウンドであるのに対して、URBANITEシリーズは、それよりも若い層を狙ったモデルだという。直線を多用したデザインに加えて、サウンドはより低域のパワーが感じられ、クラブサウンドなどの再生に向いている。また、CXシリーズの新ラインナップも国内初展示。現行のCXシリーズは、同社のカナル型イヤホンの中では定番となっているモデルだ。新しいラインナップは、「CX 1.00」「CX 2.00」「CX 3.00」「CX 4.00」。4モデルとも低域再生能力が高められている。○Blue Note75周年を記念したハイレゾ音源75枚が付属するプレーヤーアユートのブースでは、10月8日に発表した「Astell&Kern AK240 ブルーノート 75周年記念エディション」を国内初公開。同モデルは、同社と今年75周年を迎えるジャズレーベルのBlue Noteとコラボした製品。ブルーノートをイメージしたブルーのカラーを採用。Blue Noteのロゴも入れられている。AK240には、Blue Noteを代表する75枚のアルバムを192kHz/24bit、または96kHz/24bitで収録。今回初めて24bit化された音源も含まれている。また、75枚ジャケットと、それをディスプレイするためのスタンドも付属。ジャケットを75枚並べると、サイドにはBlue Noteのロゴが表示される。パッケージには、75周年のメモリアルブックも含まれている。また、beyerdynamicとコラボしたヘッドホンも参考出展。ベースになっているモデルは「T5p」で、Astell&Kernの「AK100II」「AK120II」「AK240」でのバランス接続用に、プラグを2.5mmの4極タイプに変更。また、サウンド面でもAstell&Kernのプレーヤーにマッチするようにチューニングが施されている。○デノンサウンドを楽しめるプレミアムポータブルヘッドホンディーアンドエムホールイディングスブースでは、25日に会場で発表会を行ったMusic Maniacシリーズのヘッドホン3モデルを展示。φ40mmドライバーを採用したオーバーイヤータイプの「AH-MM400」、同じくφ40mmドライバーを採用するオンイヤータイプの「AH-MM300」、φ30mmドライバーを採用する御イヤータイプ「AH-MM200」の3モデルだ。φ40mmドライバーは、「フリーエッジ・カーボン/ペーパー・コンポジット振動板」を採用。スピーカーの振動板のようにエッジを備えており、より正確なピストンモーションを実現している。AH-MM400のイヤーカップには楽器にも使用されるアメリカンウォールナット材を採用。AH-MM300とAH-MM200のイヤーカップは、GFRP製だ。3モデルとも折りたたみが可能なポータブルモデルだが、ハンガー部分やスライダー部分に肉厚のアルミ素材を使用。耐久性と防振性を高めている。AH-MM300は11月下旬発売で、他の2モデルは12月上旬発売。価格はいずれもオープンで、推定市場価格は、AH-MM400が39,800円前後、AH-MM300が29,800円前後、AH-MM200が19,800円前後(いずれも税込)。●エンジニアが使用しているイヤホンや5年ぶりの新製品となる高遮音性モデル○iBasso Audioのチーフエンジニアがチューニングに使用しているイヤホンヒビノインターサウンドブースでは、同社が取り扱っているiBasso Audio社の未発表製品が3モデル参考出展されていた。1つめの製品は、超小型USB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ「D-Zero MKII」。Android端末やiPhoneなどとUSBケーブルで接続して、ハイレゾ音源を手軽に再生できる製品だ。カードサイズよりも一回り大きい程度のコンパクトボディで、質量は98g。USB以外に、アナログのステレオミニジャックの入力端子を装備している。2つめはハイブリッドイヤホン。BA(バランスド・アーマチュア)ドライバー×3基にダイナミック型ドライバー×1基を使用したモデル。このイヤホンは、iBasso Audio社のチーフエンジニアが製品の音決めをする際に使用しているもの。カスタムイヤモニターなど市販の製品を試してみたのだが、どうも納得がいかないということで、自ら作作り上げてしまったのがこのイヤホンで、それをそのまま製品化するというものだ。全帯域でバランスの取れたモニターサウンドを実現している。3つめは、アナログ入力のみを装備したポータブルヘッドホンアンプ「P5」だ。電源電圧を高くしたことで、高い駆動力を実現しているという。3製品のうちD-Zero MKIIに関しては、うまくいけば年内に発売できるかもしれないが、それ以外の製品は発売時期が未定だという。○Etymotic Researchが5年ぶり新製品 - フランジ型イヤーピースで高い遮音性完実電気のブースでは、Etymotic Researchの「MK-5」を初公開。MK-5は、Etymotic Researchとしては5年ぶりの新製品。φ6mmのネオジウムドライバーを使用したコンパクトなイヤホンで、フランジタイプのイヤーピースを装備しており、高い遮音性を実現している。再生周波数帯域は20Hz~15kHzで、インピーダンスは32Ω、感度は120dB SPLとなっている。また、同社が取り扱うシュアの最新イヤホン「SE112m+」と、オンイヤー型ヘッドホン「SRH144」「SRH145」も展示。SE112m+は、シュアのエントリークラスイヤホンの「SE112」に、リモコンマイクをプラスしたモデル。10月23日発売予定だ。SRH144とSRH145は、シュア初のオンイヤー型ヘッドホン。折り畳みが可能なポータブルモデルだ。SRH144はセミオープン型でSRH145は密閉型。11月下旬に発売予定だ。いずれもネオジムマグネットを採用したφ36mmのドライバーを使用している。SRH145には、リモコンマイクを備えた「SRH145m+」もラインナップされる。○FiiOブランドのコンパクトなハイレゾプレーヤーオヤイデ(小柳出電気商会)ブースでは、コンパクトハイレゾプレーヤー「FiiO X1」を参考出展。DACチップにテキサス・インスツルメンツ製の「PCM5142」を採用。192kHz/24bitまでのハイレゾ音源に対応している。記録メディアはmicroSD/SDHC/SDXCメモリーカードで、最大128GBにまで対応する。ヘッドホンの推奨インピーダンスは16~150Ω。出力端子は3.5mmステレオミニジャックで、ヘッドホン出力だけでなく、ライン出力に切り替えて使用することも可能だ。本体サイズはW57×D14×H96.6mmとコンパクトで、質量は106g。電源は内蔵のリチウムイオン充電池で、フル充電の場合で約12時間の連続再生が可能だ。なお、FiiO X1の発売時期や価格などについては、未定となっている。○レギュラーモデルの「Edition5」タイムロードブースでは、Ultrasoneの「Edition5 Unlimited」が発表された。2013年11月に行われた「秋のヘッドフォン祭2013」の会場で、555本限定モデル「Edition5」が発表されている。Edition5 Unlimitedは、そのEdition5のレギュラーモデルだ。Edition5は、直接音と間接音を調和させ、3次元的な音の広がりを実現する「S-logic EXテクノロジー」が採用されたヘッドホン。イヤーカップには、数千年間埋まっていた樫の木が使用されている。非常に高価(493,500円)であったにもかかわらず、既にメーカー在庫はなくなっており、流通在庫のみとなっているという。Edition5からのおもな変更点は、イヤーカップをほかのEdition シリーズと同じルテニウムコーティング素材に変更した点。樫の埋もれ木からルテニウムコーティング素材に変更したが、Edition5と同じ音がでるようにチューニングされているという。11月下旬発売予定で、希望小売価格は320,000円(税別)。
2014年10月27日