意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「沖縄本土復帰50年」です。もとは独立国家。虐げられてきた歴史に目を向けて。50年前の5月15日、アメリカの施政権下にあった沖縄が日本に復帰しました。沖縄は、古くは琉球国という約450年続いた独立国家でした。明治政府は1872年に琉球国を解体し、琉球藩に。1879年には廃藩置県により、沖縄県に生まれ変わります。「富国強兵」のスローガンのもと、近代国家の仲間入りを果たそうとしていた日本。沖縄は内地とはある種、支配・従属的な関係にありました。中央から派遣された役人や軍人は、沖縄を見下し「はやく大和になれ」と押し付けます。沖縄の人々は差別や偏見にさらされ、「私たちは日本人なのだ」という強い機運を生み、太平洋戦争末期、日本を守るために玉砕、集団自決を決行します。日本で、民間人が戦闘要員として駆り出されたのは沖縄だけです。1945年、米軍は沖縄に上陸し3か月にわたり激しい戦闘が繰り広げられました。沖縄県民の4人に1人が犠牲になり、日米合わせて約20万人の被害が出ました。沖縄戦は9月7日に幕を閉じ、アメリカに統治されることに。マッカーサー元帥は、太平洋地域に拡大した日本国の影響を弱体化させるため、沖縄・南西諸島を日本から分離させることにこだわりました。当時、ソ連や中国を筆頭に共産化の波が押し寄せており、東の果ての防波堤として、沖縄を所有することはアメリカの安全保障上、大きな意味がありました。戦後、沖縄支配は日本からアメリカに移ります。やがて「島ぐるみ闘争」という、米軍支配への反対運動が勢いを増し、日本に復帰するか、独立するか、国連の統治下に置かれるべきか、沖縄住民の間でも意見が割れました。返還交渉は1969年に始まり、年末に最終合意。沖縄県内では「核抜き、本土並み」と核の持ち込み禁止、沖縄と本土が格差のないように扱ってほしいと訴えていました。しかし、裏で秘密協定が結ばれており、沖縄返還に関する費用は日本国が負担し、核の持ち込みも密約では認められていたことがのちに明らかになりました。沖縄には、いまなお米軍基地の約7割が集中しています。国家の安全保障のなかで、沖縄県民の思いを無為にしてきた歴史があることを忘れないでほしいです。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年05月21日野外音楽フェス「岩壁音楽祭 2022」が、山形県・瓜割石庭公園にて、2022年9月17日(土)に開催される。“断崖絶壁”ステージの音楽フェス「岩壁音楽祭 2022」「岩壁音楽祭」は、その名の通り“断崖絶壁”を舞台とした異色の音楽フェス。会場となるのは巨大な岩壁がそびえる採石場跡で、高さ50メートル以上の絶壁に囲まれた大迫力のロケーションでライブが行われる。実に3年ぶりの開催となる2022年のテーマは、「スペクトラム」。線引きの中で閉塞してしまう世界からなだらかな開放を目指したフェスティバルの開催を目指す。注目の出演アーティスト出演者には、“オルタナティブ・Kポップバンド”を称する韓国のヒップホップコレクティヴ・Balming Tiger(バーミング・タイガー)の中心人物Omega Sapien(オメガ・サピエン)や、フィリピンと日本にルーツを持つEna Mori(エナ・モリ)、湘南出身の23歳シンガーソングライター・さらさなどがラインナップ。国内外から気鋭のアーティストたちが集結する。出演者一覧Omega Sapien、Ena Mori、CYK、ermhoi+小林うてな、maco marets、さらさ※第1弾出演者情報。開催概要「岩壁音楽祭 2022」開催日:2022年9月17日(土) 11:00~21:00会場:瓜割石庭公園住所:山形県東置賜郡高畠町安久津チケット情報発売日:5月17日(火)料金:早割チケット 12,000円/U23チケット 7,000円 ※枚数限定※チケット情報詳細は公式サイト(を確認。
2022年05月20日NHK BSプレミアム「岩合光昭の世界ネコ歩き」などで知られる写真家・岩合光昭が野生動物の生態に迫る『岩合光昭写真展 PANTANALパンタナール 清流がつむぐ動物たちの大湿原』が、6月4日(土)より東京都写真美術館にて開催される。1986年にアフリカ・セレンゲティ国立公園に1年半滞在して撮影し写真が『ナショナル ジオグラフィック』誌の表紙を飾ることになった際、編集者から世界最大級の大湿原パンタナールの話を聞き、いつか必ず訪れたいと願っていたという岩合。後年になって ようやく念願叶い、2015年から3年半の期間に5回にわたるパンタナール撮影取材を決行。ジャガーをはじめ、オオカワウソ、パラグアイカイマン、カピバラ、アメリカバク、オオアリクイなど、多種多様な野生動物たちの生態に迫り活写した。同展では、12種類の生態系を有し、多彩な野生動物が息づく世界屈指の生命の宝庫であるパンタナールで撮影された迫力ある100点以上の作品を公開。そのいきいきとした生物多様性を、岩合光昭の真骨頂ともいえる野生動物ドキュメンタリー写真で展観する。カピバラとウシタイランチョウ(C) Mitsuaki Iwagoスミレコンゴウインコ(C) Mitsuaki Iwagoマザマジカ(C) Mitsuaki Iwago(C) Machi Iwago【開催概要】『岩合光昭写真展 PANTANALパンタナール 清流がつむぐ動物たちの大湿原』会場:東京都写真美術館 地下1階展示室会期:2022年6月4日(土)~2022年7月10日(日)時間:10:00~18:00、木金は20:00まで(入館は閉館30分前まで)休館日:月曜料金:一般800円、大学640円、高中・65歳以上400円美術館公式サイト:
2022年05月19日動物写真家の岩合光昭による写真作品を大阪・阪急うめだ本店にて展示販売。展覧会「岩合光昭 チャリティー写真展」が、2022年5月18日(水)から6月13日(月)まで開催される。岩合光昭の“ねこ”写真など約120点が集結岩合光昭は、半世紀以上にわたりライフワークとして撮影を続ける"猫”の写真作品をはじめ、表情豊かな動物たちの写真作品で人気の写真家。会場には、これまでに岩合光昭が是国の展覧会会場で開催してきた写真展の作品から人気の猫の写真作品などを選りすぐり、展示するとともに、オークション形式で販売する。「岩合光昭の世界ネコ歩き」などから出展作品は、「岩合光昭の世界ネコ歩き」「ねこ」「ねこ歩き」「ふるさとのねこ」「ねこの京都」「ねこといぬ」といった写真展出品作品から約120点がラインナップ。世界各地の猫や、日々の風景の中に佇む猫たちの、愛らしい姿を一挙に楽しめる。また、会場では、初公開となる最新作「岩合光昭の日本ネコ歩き」も特別展示される。【詳細】岩合光昭 チャリティー写真展「ねこと半世紀、いい子ばかりです」会期:2022年5月18日(水)~6月13日(月)会場:阪急うめだ本店 9階 阪急うめだギャラリー住所:大阪府大阪市北区角田町8-7入場時間:10:00~20:00、催し最終日は18:00閉場(入場は閉場30分前まで)※状況により変更になる場合あり入場料:一般・大学生 800円(600円)、小・中・高校生 600円(400円)※( )は前売料金※障がい者手帳の原本を提示した人は300円、介添え人は1人まで無料※未就学児童無料前売券販売期間:2022年4月1日(金)~5月17日(火) ローソンチケットにて販売※オークション売上げの一部は(公社)日本動物園水族館協会に寄付し、野生動物の保護活動を支援【問い合わせ先】TEL:06-6361-1381(阪急うめだ本店 代表)
2022年04月03日岩合光昭写真展 「こねこ」が、日本橋三越本店 本館7階にて、2022年2月16日(水)から2月28日(月)まで開催される。岩合光昭写真展 「こねこ」関東初開催岩合光昭写真展 「こねこ」は、動物写真家の岩合光昭が半世紀以上にわたりライフワークとして撮影を続ける“ネコ”の写真作品から、“こねこ”の写真にフォーカスして紹介する展覧会。関東では初開催となり、会場には約150点の写真が集結する。写真に写し出されているのは、日本国内をはじめ、アイスランド、イングランド、エジプトなど世界各地にて日々元気いっぱいに暮らしている子猫たちの愛らしい姿。また、子猫に加え、2022年の干支である“トラ”の写真も紹介する。展示に加え、併設のグッズコーナーでは写真集やオリジナルグッズを販売する。日本橋三越全館で“猫好き”に向けたイベントもさらに、日本橋三越本店では2月16日(水)から3月1日(火)まで全館で「222 猫好き大集合 in 日本橋三越」を開催。本館・新館各階で、猫好きに向けた限定商品などが登場する。【詳細】岩合光昭写真展 「こねこ」会期:2022年2月16日(水)~2月28日(月)※最終日は18:00閉場(入場は各日終了30分前まで)会場:日本橋三越本店 本館7階 催物会場住所:東京都中央区日本橋室町1-4-1入場料:一般 1,000円、大学・高校・中学性 800円 ※小学生以下無料※状況により、入場制限となる場合あり。※「222 猫好き大集合 in 日本橋三越」は、2月16日(水)~3月1日(火)の期間、日本橋三越本店全館にて開催。※事情により営業日、 営業時間の変更、 予定していたイベントなどが中止になる場合あり。【問い合わせ先】日本橋三越本店TEL:03-3241-3311(大代表)
2022年02月03日1950年東京生まれの動物写真家、岩合光昭さんは、ライフワークとして、最も身近な動物“ネコ”を半世紀以上にわたり撮り続けています。本展では、岩合さんがこれまでに出会った世界各地域の“こねこ”たちに焦点を当てて紹介します。愛くるしく元気いっぱいに暮らす“こねこ”、その日々の冒険を約150点の作品でお楽しみください。さらに本展では、今年の干支である“トラ”の写真も紹介します。また併設のグッズコーナーでは写真集やオリジナルグッズなども販売します。三越伊勢丹オンラインストアでは2月9日(水)午前10時~3月9日(水)午前10時まで関連グッズを販売いたします。展覧会概要岩合光昭写真展 「こねこ」会期:2022年2月16日(水) ~ 2月28日(月) 最終日は午後6時閉場【入場は各日終了30分前まで】会場:日本橋三越本店 本館7階 催物会場入場料:一般1,000円 大学・高校・中学性800円(小学生以下無料・税込み)チケット購入方法はこちらから 主催:岩合光昭写真展「こねこ」実行委員会 企画制作:クレヴィス※新型コロナウイルス感染拡大予防の観点から、ご入場を制限させていただく場合がございます。岩合光昭プロフィール1950年東京生まれ、動物写真家。身近なネコを半世紀以上ライフワークとして撮り続けている。2012年からNHK BSプレミアム「岩合光昭の世界ネコ歩き」の番組撮影を開始。著書に『ねこ』『ふるさとのねこ』『岩合光昭の世界ネコさがし』『ねことじいちゃん』『こねこ』『パンタナール』『岩合さんちのネコ兄弟 玉三郎と智太郎』『虎』などがある。2019年「ねことじいちゃん」、2021年「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族」で映画監督をつとめる。222 猫好き大集合 in 日本橋三越日本橋三越本店では2月16日から3月1日まで全館で「222 猫好き大集合 in 日本橋三越」を開催します。本館・新館各階で、猫好きに向けた日本橋三越本店限定品を含む、多彩な商品をご用意し、本館1階中央ホールにはフォトスポットを設けます。2月22日の「猫の日」から28日まで本館7階で開催する恒例の「全国銘菓展」にも今年は猫をテーマにしたお菓子が集結。その他、23日~27日はスタンプラリー、22日・23日はオリジナルステッカーのプレゼントキャンペーンなど「猫の日」を盛り上げる様々なイベントを実施します。※諸般の事情により営業日、営業時間の変更、予定していたイベントなどが中止になる場合がございます。企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2022年02月02日引き続きコロナ禍にあった2021年。2022年はいったいどうなるの?読者を代表してイラストレーター・五月女ケイ子さんが堀潤さんに“世界の課題”について聞きました!テーマは「バランスが変化する世界情勢。いまこそ国際協調を!」です。コロナ禍で加速した飢餓問題。SNSを使い私たちにもできる支援を!堀潤(以下、堀):世界情勢は、2022年も深刻になるでしょう。世界的に飢餓が進んで歯止めがかからなくなっています。国連WFPによると2019年には約2700万人だった餓死寸前の飢饉に陥っている人が、直近で4500万人まで跳ね上がってしまいました。五月女ケイ子(以下、五月女):そんなに急激に!?新型コロナの影響ですか?堀:コロナと紛争ですね。コロナ禍によって生産活動が続けられなくなったり、紛争やテロにより、その土地に安心して暮らせないことも重なって、すごい勢いで増えています。飢餓が増えれば、不満はあふれます。スーダンでは再び軍事クーデターが起こり、アフガニスタンではタリバンが息を吹き返し、エチオピア、ナイジェリア、イエメン、イスラエル、パレスチナ、ミャンマーなどで混乱が起きています。さらに多くの国々で拡大すれば世界が分断しかねない状態です。五月女:どうしたらいいんでしょう?堀:先進国が経済的支援や、国と利害が対立してしまった勢力との橋渡しをするなど積極的に関わることだと思います。いまこそ国際協調。余力のある国々が世界の飢饉に目を向けて、手当てすることをやっていかないといけないと思います。五月女:2021年はアメリカがアフガニスタンから撤退して、また混乱しちゃいましたよね?堀:支援の仕方を考えなければいけないんですよね。いままでの資本主義の支援は、開発した国や企業から利益を吸い上げて、その土地には申し訳程度に分配していました。持続可能な経済にするために、その土地で業を起こして、地域の人たちにちゃんと利益が分配できるようにしないといけないんです。アフガニスタンでは医師の故・中村哲さんがそういう活動をされていました。タリバン政権も、NGOなどソーシャルセクターの活動は大事だと認識し始めています。五月女:でも、日本で生活をしていると、NGOの方々の活躍ってあまり耳に入ってきません。私たちにできることはありますか?その土地のものを買うとか?堀:それもいいですが、やはりSNSで発信することだと思います。タリバンが好き放題できないのはSNSの時代だから。タリバンに女性教育を止めさせないよう、アフガニスタンの女性たちが抗議する姿をSNSで世界中に拡散することで、権力を監視し、抑制することができます。NGOの活動を知り、それを広く知らしめることも支援の一つ。私たちはその一役を担うことができるんですね。ほり・じゅんジャーナリスト。「8bitNews」代表。「GARDEN Journalism」主宰。『モーニングFLAG』(TOKYO MX)、「ABEMA Prime」(ABEMA)ほか、レギュラー多数。そおとめ・けいこイラストレーター。オンラインストア「五月女百貨店」では、新年の商品も取り揃えている。LINEスタンプも展開。『乙女のサバイバル手帖』(平凡社)が発売中。※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子取材、文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月28日展覧会「RED 堀 清英 写真展」が、シャネル 銀座内のシャネル・ネクサス・ホールにて2022年1月19日(水)から2月20日(日)まで開催される。写真家・堀清英の創作活動を辿る展覧会「RED 堀 清英 写真展」は、写真家の堀清英に焦点を当てる展覧会。雑誌や広告等、幅広い分野で活躍し、特にアーティストのポートレイト作品で知られている堀は、詩人のアレン・ギンズバーグから多大な影響を受けている。たとえば、堀が東日本大震災後にまとめたシリーズ 「re;HOWL」は、ギンズバーグの代表作「Howl(邦題:吠える)」の冒頭の一節から触発され、現代社会にアイロニカルな視線を向けつつ作られた作品だ。一方、今回初公開となる表題作「RED」で堀が視線を向けたのは“自己の内側”。“自分とは何者か?”という問いの答えを追求する過程で、「自分自身を投影した、セルフポートレート」として、公園やごみ処理場、科学館といった様々な場所に佇む赤いワンピースの女性を写し出している。また、「RED」シリーズの他、シュルレアリスムからの影響が色濃く見て取れる1990年代以降の作品群や、創作活動の原点ともいえる手製のフォトブックなども会場に登場。三部構成での作品展示を通して、堀の創作活動、そして自己探求の過程を辿っていく。【詳細】RED 堀 清英 写真展会期:2022年1月19日(水)~2月20日(日)営業時間:11:00~19:00(最終入場18:30) ※会期中無休会場:シャネル・ネクサス・ホール住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F※入場無料※予約不要
2021年12月23日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「親ガチャ」です。階層の固定化をどのように崩していくのか。「親ガチャ」とは、カプセル玩具やソーシャルゲームの“ガチャ”になぞらえて、親や生まれる境遇を選べない状況を表す言葉で、国会でも取り上げられました。かつては「一億総中流」といわれ、どの家庭に生まれても平準化された暮らしがありましたが、いまは大きく変わってしまいました。一般的に親の年収ごとに400万円以上ならN(ノーマル)。1000万円以上ならR(レア)。3000万円以上ならSR(スーパーレア)、400万円以下はB、C、D…と、ゲームのランキングのように、年収と職業を符号させることがネット上で流布されています。階層化をまざまざと認識させるような手法は、社会の分断を加速させてしまいます。一番の問題は、階層移動が不可能な格差が固定化されていることでしょう。これまでは、個人の努力によって、いかなる家庭に生まれようとも望む暮らしが手に入れられるチャンスがありました。ところが、いまは頑張ったところでどうにもならない状況に追い込まれています。この問題の解決には政治の力が求められます。少なくとも、「機会の均等」について対策をとるべきでしょう。日本は教育への投資がGDP比率で圧倒的に低い状況にあります。大学までは国が無償で面倒をみる、給食費は国や自治体が税金でまかなう、タブレットやパソコンなどのデジタル機器・通信環境は家庭によって差が出ないように補助していくなど、方法はいくつもあると思います。アメリカのシリコンバレーでは、難民や移民、貧困層の子供たちに民間の企業が寄付を呼びかけるなど、教育機会を与えて人材育成に力を注いでいます。日本では孫正義さんが率いる財団で、進学や留学、研究などを志す若者たちのサポートをしていますが、民間企業全体ではそういうサポートがまだ足りていません。自分たちの国を支える技能者を育てるという観点からも、必要なことなのではないかと思います。子供たちを国や社会で育成するという視点が重要なのではないでしょうか。読者のみなさんも、自分が親になったときに、子供の人生が自分の年収で決まってしまう社会でいいのか?考えていただけたらと思います。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月8日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月04日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「中国TPP加盟申請」です。中国も台湾も加盟を申し出た。行く末に注目。TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の始まりは、ASEAN(東南アジア諸国連合)や南米地域の経済連携でした。ところが、オバマ政権時にアメリカが加わることになり一気に色合いが変わりました。中国の台頭が目覚ましくなり、中国を牽制する連携が必要と、自由主義諸国の中国経済圏への対抗措置として交渉が進められるようになったのです。日本は最初は関心を示していませんでしたが、この巨大な貿易圏に入っておかなければ、将来孤立しかねませんし、最初からルール作りに参加しておいたほうがよいだろうと判断。反対意見もあるなか、民主党政権下で参加を決め、交渉を開始しました。ところが2017年、ようやく貿易交渉も合意したところに、トランプ政権が誕生し、アメリカはTPPを離脱。一気に、規模が縮小してしまいました。そこからは日本主導となり、2018年に11か国がTPPに署名しました。今年、バイデン政権になり、日本はアメリカのTPP復帰を求めていますが、バイデン大統領は静観しています。そんな折、中国がTPP加盟を申し出ました。習近平国家主席は当初からTPPに関心を持っていたらしく、米国が抜けたいまがチャンスだったんですね。中国は戦争という武力で圧力をかけることよりも、交渉のなかで自国に有利なルールを作り、中国の貿易圏に取り込むことで他国を経済的支配下におくことに注力してきました。TPPはその大きな入り口になるところでした。そこへTPP加盟を申し出て牽制に入ったのが台湾です。これには「中国は一つではなく、台湾は台湾」というメッセージが込められています。TPPの加盟には参加国全員の合意が必要です。中国を先に入れれば台湾やアメリカの加盟は不可能になるでしょう。また、台湾を先に入れれば中国を敵に回すことになり、アジア太平洋地域の緊張につながります。日本にとって頭の痛い問題なのです。TPPの先には、さらに国や地域を拡大した連携などの構想があります。政治と経済を切り離し、東アジア全体の安定につながるような交渉ができるといいのですが、そう簡単にはいかないでしょう。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月1日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年11月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「東京オリパラ」です。パラの成長を見た東京大会。認知に広がりも。東京オリンピック・パラリンピックは大会としては結果的に成功だったように思います。無観客でさまざまな制約があったにせよ、特にパラリンピックは過去の大会に比べると注目度もたいへん高く、史上最多の4403人の選手が参加しました。アフガニスタンでは開催直前に政変が起き、選手が大会に参加できず他国に逃れるという事態に。開会式では国連難民高等弁務官事務所の方が代わりに国旗を持って入場行進をし、最終的にはサポートを得て2人の出場が叶いました。女性選手も、LGBTQをカミングアウトする選手も、これまでの大会以上に参加が増えました。僕はパラリンピックの取材に関わっていましたが、会場内の感染対策は徹底していました。関係者はPCR検査を毎日無料で受けられ、毎朝専用アプリに体温を入力。それが自分のIDナンバーに紐づけられていました。誰か記入漏れがあると同じ取材グループ全員にメッセージが届き、入力を促すシステムで、すごく安心感がありました。こういうデジタル化された管理システムが街中でもできればと思います。日本のボランティアは、海外から高い評価を得ました。しかしそのバックヤードでは、1年延期により指揮命令系統や担当者の引き継ぎに不具合があり、ボランティアのみなさんに大きな負荷をかけてしまっていたようです。東京五輪は、政治的な抗議パフォーマンスが認められた初めての大会でもありました。女子サッカーなどでは試合開始前に選手が片膝をつき、女子砲丸投げの銀メダリストは表彰台で両腕をクロスして人種差別等に抗議を示しました(表彰台上でのパフォーマンスは本来は禁止)。Black Lives Matterなどの流れを受けたことが背景にあります。ミャンマーの選手の日本への難民申請が異例の早さで認定されたのも、オリパラという世界が注目する場だからできた判断だったと思います。今回、オリンピックよりもパラリンピックのほうが、理念をより体現した大会だった印象です。世界中の人々が集まり、出身国の政治状況を身近に知る機会になったのは、大きな財産になったのではないでしょうか。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年10月27日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年10月23日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「世界の気温1.5℃上昇」です。加速する温暖化。脱炭素に向けた新技術に注目。8月、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は、今後20年以内に、世界の平均気温上昇が産業革命前と比べて1.5度に達するという予測を発表しました。これは3年前の報告よりも10年早まっています。温暖化は人間の影響により起きており、そのせいで熱波や豪雨、干ばつなどの異常気象が増加。気温の上昇は2050年頃にCO2の排出をゼロにしても1.5度、ゼロにならなければさらに上がり、脱炭素対策が急務であると警告しました。日本政府は4月、2030年度には‘13年度比でCO2を46%削減すると発表しています。しかし、産業界からは、それさえ難しいという声が上がっており、再生可能エネルギーの普及促進を政府に求めています。家庭でのCO2排出量削減は66%減が必要と国は試算していますが、個人でできる範囲は限られます。電力の使用量を可視化できる「スマートメーター」も個人で新たに設置するには高額です。国は街づくりと一体化して、効率的に電力を運用していく必要があるのではないでしょうか。環境省は、‘19年より省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」をウェブで公開。また、ステイホームで長時間使用するようになったエアコンのサブスク化の検討も進めています。新しい省エネ機種を購入するのではなく、月額使用料を支払い、導入しやすくする狙いがあります。また、大学や公的機関のインフラを再生エネルギー100%に変えていく試みも始めようとしています。企業に対しては、太陽光パネルの設置の義務化も提案されましたが、それには森林を切り開かなければいけなかったり、台風や土砂災害により太陽光パネルが産業廃棄物になってしまうという環境負荷の問題もあり、異論が出ています。そんななか、非常に薄いフィルム状の「ペロブスカイト太陽電池」が開発されました。世界で注目の次世代型太陽電池で日本でも研究が進んでいます。将来は自分の使用するエネルギーを、身につけているものでまかなう時代になるかもしれません。新しいテクノロジーに社会的関心が高まり、研究促進の後押しになるといいなと思います。ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年10月6日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年10月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アフガニスタンとタリバン」です。タリバンの圧政を恐れ、逃げる国民。世界の監視が必要。8月16日、武装勢力タリバンがアフガニスタンのほぼ全域を制圧しました。タリバンは1996年に政権を樹立。しかし2001年、アメリカ同時多発テロの首謀者・ビンラディンを匿っているとして米軍などがアフガンを空爆、政権を崩壊させました。その後、約20年間、タリバンは駐留米軍や政府軍と戦闘状態にありましたが、前トランプ政権時に米軍が撤退することで合意。引き継いだバイデン大統領が5月から撤退を本格化させるとタリバンは次々に全土を掌握、首都を包囲されたガニ大統領は国外に逃れ、8月末の米軍の完全撤退前に政権が崩壊しました。元タリバンの兵士で、現在は現地で平和構築活動をしている方を3年前に取材したことがあります。そのときに、「シリア内戦やISの台頭など、世界の注目がアフガニスタンから外れていった。その空白(時期)が生まれると暴力が起きる」とおっしゃっていました。今回の制圧も急に進んだのではなく、ガニ政権は腐敗しており、タリバンの活動は近年活発化していたのです。旧タリバン政権は女性の教育や就労を認めず、男性家族が同伴しない外出を禁止。人権侵害だけでなく、反政府勢力となってからは無差別テロをたびたび起こすなど残虐性が増していると指摘する海外メディアもあります。復権による圧政を恐れた国民は、国外に逃れようと空港に押し寄せ、離陸する飛行機にしがみつき振り落とされて亡くなる悲劇も起こりました。そんななか、中国やロシアはいち早くタリバン新政権を支持すると表明しました。中国にとっては一帯一路構想の重要な地域なので、タリバンと良好な関係を築いておきたいのです。一昨年、アフガニスタンの緑化運動を進めていた中村哲医師が、武装勢力に殺害されました。現地には日本の人道支援に対して、強いリスペクトを持つ人が大勢います。こういうときこそ、アメリカかタリバンかではなく、市民の側に立ち、生活が安定するように関わり続けることが重要なのではないかと思います。いま現地では、激しい攻撃を受けながらも、女性たちが権利を求めて抗議活動を行っています。動向を注視しなければなりません。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年9月29日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年09月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新型コロナの治験」です。多くの治験が新薬の完成を早めます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大がなかなか収まらないなか、急がれるのは治療薬の開発です。そのために行われるのが「治験」です。治験とは、新しい治療薬の候補が開発される過程で、健康な人や患者さんに使ってもらい、効果や安全性、副作用の有無などを確かめる臨床試験のこと。体を使って調べるため、もちろんリスクを伴いますが、検査費用の負担はなく日本では何かあればすぐさま医療機関による手厚いフォローが受けられます。現在、国立国際医療研究センターの治験管理室や「生活向上WEB」で、新型コロナの治験参加者を募集しています。「生活向上WEB」の募集案内によれば、自宅で服薬しながら病院に定期的に通い、7か月にわたり経過を調べる。通院は、自宅から病院まで専用タクシーが送迎。参加することにより、薬の開発は進み、社会貢献になると記されています。ただし、治験にはデータを採るのに適した検体でなければいけません。新型コロナの治療薬候補の場合、陽性患者で症状があり、ワクチンをまだ一度も接種していない成人男女が対象になります。あらゆる治療薬の開発に治験は欠かせません。日本での治験の数は近年増えていますが、先進国のなかでは下位に位置します。アメリカなどは医療費が高額なため、無料で治療を受けられる治験を希望する人は大勢いますが、日本では一定水準の医療が保険適用で受けられるので、無理して受けようという人は限られているのです。治験の数が足りない分は、アジアの他の国のデータを活用しますが、日本人の治療には、やはり日本人による治験の結果が必要です。たとえば、海外の製薬会社で新薬が開発されても、日本人の治験結果がなかなか採れないためその薬が日本に投入されない、もしくは日本向けには開発されないという問題が起きてしまいます。このことに厚労省は危機感を抱いています。治験については、まだ一般にはよく知られていません。政府はもっと広くアナウンスするべきではないでしょうか。新型コロナの治療薬も、多くの治験データ収集が、完成に少しでも近づけることになります。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年9月22日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年09月18日新作プロジェクションマッピングショー『火影岩忍術フェスティバル』開始!© 岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ「NARUTO&BORUTO忍里」のエリアに設置された高さ11mの巨大な火影岩に映像を投影し、光と音楽の演出とともに、ナルトやナルトの仲間たちが作中に登場した忍術を披露するプロジェクションマッピングショー『火影岩忍術フェスティバル』を10月9日(土)より開始します!ショーでは、カカシの「雷切」や、サスケの「火遁・豪火球の術」など キャラクターによって繰り出される様々な忍術や、光の演出によって様々なパターンでライトアップされる火影岩をお楽しみいただけます。また、登場するキャラクターはここでしか見ることのできない完全描き下ろしで表現されており、限定オリジナルグッズも販売します。ファン必見のオリジナルプロジェクションマッピングショーを是非ご覧ください!『火影岩忍術フェスティバル』概要開始:10月9日(土)時間:日没後よりスタート※詳細は公式HPをご確認ください。料金:無料※別途入場チケットが必要になります。大人 3,300円 小人 1,200円 5歳未満 無料▲高さ約11mの巨大な火影岩に投影されるプロジェクションマッピングショー▲オリジナルグッズ A4クリアファイル※画像はイメージニジゲンノモリでは、新型コロナウイルス感染症対策の実施を徹底しております。ご協力ご理解の程よろしくお願いいたします。アトラクション入り口での体温測定、アルコール消毒/スタッフのマスク着用、必要に応じて手袋の着用、衛生チェック/座席の間隔確保・定期的な換気ホーム : © 岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年09月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「熱海土砂災害」です。突発的な災害に備えるため、住む地域を見直そう。7月、熱海市伊豆山地区にて大規模な土石流が発生し、約130棟の建物が被害に遭い、多くの死者と行方不明者を出しました。現地に行ってみると、典型的な土石流とは明らかに様子が違いました。これまでの現場では大岩や根から折れた木などが流れてきて、土は粘り気のある泥状でした。ところが今回は、土を踏むと膝まで埋まってしまうサラサラのシャーベット状で、足が掬われそうになりました。専門家の調査では、「盛り土」により造成された山が崩壊し、そのまま土砂となって流れていたことが判明。この場所の、度を越した盛り土問題は県も把握しており、業者に対して指導をしていたにもかかわらず、対策が取られていなかったことが問題になっています。土石流を引き起こしたのは短時間の集中豪雨。熱海市の72時間降水量は、過去最大量の1.3倍にあたる500mm以上だったことが分かりました。明らかに気象が変わってきているため、防災基準の見直しは必須でしょう。国土交通省は大規模盛土造成地の徹底調査を行っており、全国で5万1306か所存在していると昨年3月に発表していました。しかし、自治体に対し国が安全対策の必要性を伝えても、自治体には、民間業者に販売権利を撤回する権限はありません。また、この背景には、都市近郊に人口が集中し、土地のないところに土地を造成して住宅を増やさねばならないという近年の宅地開発の流れも深く関係しています。やはり自分の身は自分で守るしかないと思います。山や川が近い、液状化が起きるかもしれないなど、自分の住む地域に災害の可能性を少しでも感じているのならば、何らかの対策を検討する必要があります。熱海の土砂崩れの第一報は、公的機関の発表より前に住民のグループラインによって、「あそこが危ないらしい」と連絡が回ったそうです。集中豪雨はすさまじい雨音のため、広報車の避難アナウンスもほとんど聞こえなくなります。予期せぬ大規模災害を即座に察知するには、地域住民の連携による防災発信が大切になります。これからは、“地方創生と防災”が、住みやすさの大きなキーワードになると思います。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年8月25日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年08月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「育休法改正」です。現場の声を反映。男性が取得しやすい制度に。改正育児・介護休業法が成立し、2022年より施行されることになりました。この改正の大きなポイントは、「男性が育児休業を取りやすくするように定めた」ということです。これまでの男性の育休取得率は7.48%、1割にも達していませんでした。さらに、取得した人のうち、7割が取った期間が1週間以内。もっと長期に、必要なときに分割して何度でも取れるようにと、現場のお父さんお母さんの声が改正案には反映されました。これは大きな前進だと思います。現在、孤立してしまうお母さんの産後うつの問題が深刻です。また、僕も経験がありますが、働く男性にしてみたら、いったん長期間休んで前線を離脱してしまったら、元のポストに戻れないのではないかという怖さもあります。さらに、休めば残業代が減ってしまいます。そういう経済的理由からも育休は取りにくいものでした。改正後は新たに出産日から8週間の間に4週間の育休を取れ、子供が1歳になるまでに女性は2回、男性は最大4回に分けて取得することが可能になります。さらに、育休取得日の半分を上限に仕事をすることも認められます。給付金は育休開始時賃金の67%が支給され、厚生年金など社会保険料が免除されるため、実質、収入の8割程度が保障されることになります。これまでは正社員だけの制度でしたが、改正法では、働いて1年未満の非正規雇用でも育休を取れるように変更されました。ある調査で男性の5人に1人が、育休を取らなかった理由を「職場が育休制度を取りづらい雰囲気だったから」と答えています。「取っていいと思っているのか?」と上司に言われ、申請できなかったという例も聞きました。そんな職場の空気を是正するため、育休取得対象の男性に、会社は制度の説明をし、取得の意向を確認をすることが義務化されることになりました。日本は有給休暇も取得率が極端に低い。けれども休みを取りやすい会社のほうが生産性が高いという数字も出ています。休むことで仕事のパフォーマンスも向上します。子供の有無にかかわらず、休みが取りやすい職場に変わっていくことを期待したいですね。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年8月4日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年08月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「LGBT法案」です。LGBTと一括りではなく個別の課題解決を。与野党合意で進められていた、性的少数派をめぐる「理解増進法案」は自民党内の強い反対を受け、今国会での提出を断念しました。オリンピック憲章では、いかなる差別も認めず、ジェンダー平等を謳っています。オリンピック開催国でありながら、この法案が成案できないというのは恥ずかしい状況だと思います。2014年のソチオリンピックでは、ロシア政府が同性愛を認めないとLGBT運動を弾圧したため、各国の首脳は抗議の意を示し、開会式の参加をボイコットしました(日本は参加していました)。自民党内でも、稲田朋美議員をはじめ、LGBT当事者と対話を重ねてきた議員はなんとか成案させようと与党幹部に詰め寄りましたが、「家族観が壊れる」など、ベテラン議員からのクレームがついて進みませんでした。もともと野党は、ヘイトスピーチや、同性愛者という理由で入居を拒否されたり、社内で差別を受けたりすることを禁止する「差別解消法案」を提出していました。それに対して自民党はLGBTの人々の実情をまず知ってもらおうと「理解増進法案」を進めていました。結局、自民党案を修正する形で与野党合意したのですが、「差別は許されない」という文言に対して、与党内の保守派が「権利を与えることで、権利を極度に主張されると訴訟が起こり、かえって分断を生む。何をもって差別とするかを定義づけないかぎり法案は認められない」と強硬姿勢を崩さず、国会提出も叶わなかったのです。たとえ法律ができたとしても、差別感情を持つ人の意識が一変するわけではありません。理解を深めるためには、対話や交流の場を増やすことが肝要なのだと思います。残念なのは、この制度を決める国会議員の中に、公表しているLGBT当事者がほとんどいないということです。議員の多様性のなさにも問題があると言わざるを得ません。最初からLGBT法案に賛成か反対か、という二択から始めるのではなく、もっと小さな主語で、性別の問題で困っているさんの課題に対処するには、どんな方法があるのか。具体策を一つずつ見出すことが、状況改善の糸口になるのかもしれません。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年7月21日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年07月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「温室効果ガス46%削減」です。環境の問題だけではなく、経済の生き残り策 。4月に気候変動サミットが開かれ、各国が温室効果ガスの削減目標を表明しました。日本は2030年度までに2013年度比で46%削減するという新たな目標を掲げ、「50%の高みに向けて挑戦を続ける」と発表。それまでの目標値は26%削減でしたから、一気に引き上げた形になります。ところが、環境問題に熱心に取り組む若い人たちが、その数字では足りないと、経産省前でハンガーストライキを行いました。パリ協定では、世界の気温上昇を産業革命前と比べて1.5°Cに抑えることを目標に定めています。そこまで効果を出すには日本は62%の削減が必要だと訴えたのです。ちなみに他国の目標値は、アメリカは2005年比で50~52%削減。EUは1990年比で55%以上減。イギリスは1990年比で78%以上減です。アメリカのバイデン大統領は、オバマ政権で謳われた、温暖化防止と経済格差是正の両方を行う経済刺激策「グリーン・ニューディール」をさらに強化し、「クリーンエネルギー/持続可能インフラ計画」に4年間で総額2兆ドルを投入すると公約で掲げました。中国は、公害により健康被害が多く出たことを機に、環境対策に積極的になり、2030年までの温室効果ガス削減目標は2005年比で65%以上削減。また、2035年の新車販売でガソリン車をゼロに。電気自動車を中心に省エネ・新エネルギー車の割合を5割にし、残りの5割もすべてハイブリッド車にすると昨年秋に発表しました。欧米や中国の削減目標値が高いのは、環境対策がこれからの経済の主戦場になると踏んでいるからです。欧米の大手企業は、石炭や火力による電力に依存する企業とは取引しないと公言していますから、日本も再生可能エネルギーの比率を上げるなどの対処をしないと、このままでは世界の経済市場から日本の企業は排除されてしまいます。環境対策は、地球を守るというイデオロギー的なものから、産業の生き残り策に大きく変わったんですね。AIや再生可能エネルギーなど、あらゆるテクノロジーを駆使し、環境に負荷をかけない産業政策を、国が本格的にとる必要があるのではないかと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年6月16日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年06月12日写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」が東京富士美術館で2021年8月29日(日)まで開催される。動物写真家・岩合光昭の写真展岩合光昭は世界で活躍する動物写真家。世界的なネイチャー雑誌「ナショナル ジオグラフィック」誌では、ライオンの親子を捉えた写真で日本人写真家として初めて表紙を飾った。そんな岩合がライフワークとして撮り続けているのは、もっとも身近な動物“ネコ”だ。週刊朝日で「今週の猫」、月刊「潮」で「世界のネコたち」の連載を行っているほか、NHK BSプレミアムでは人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」を手掛けており、2021年1月に劇場版第2弾が公開された。世界で出会ったネコの作品や番組未公開映像同人気番組を写真展にした「岩合光昭の世界ネコ歩き」では、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、アジアなど世界15地域で出会ったネコたちの写真作品を中心に、番組未公開映像も加え、全209点の作品を紹介。ネコたちの愛らしい表情や仕草、一瞬の動きをとらえたチャーミングな写真を間近で鑑賞してみてはいかがだろう。詳細写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」開催期間:2021年6月1日(火)~8月29日(日)休館日:月曜日※8月9日(月・休)は開館、8月10日(火)は休館開館時間:10:00~16:00(15:30受付終了)※現在、開館時間を短縮している会場:東京富士美術館 本館・企画展示室1~4住所:東京都八王子市谷野町492-1入場料金:大人1000(800)円、大高生600(500)円、中小生300(200)円、未就学児無料※新館常設展示室も鑑賞できる※土曜日は中小生無料※()内は各種割引料金(20名以上の団体・65歳以上の来場者・同館公式LINE登録者ほか)※障がい児者、付添者1名は通常料金の半額(証明書を提示する)※誕生日当日に来館すると本人のみ無料(証明書を提示する。休館日の場合は適用できない。なお、誕生日当日の無料適用は2021年12月末をもって終了)
2021年06月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「出入国管理法改正案」です。難民は犯罪者ではない。廃案後も対応是正を求める。日本の入国管理のあり方が国際的に問題視されています。まず、難民認定率が1.2%(2020年)と、とても低い。さらに、難民申請を却下された外国人が、入国管理の施設に長期間収容されていることも問題になっています。家族と引き離され、無期限勾留のような状況で、体調を崩してもきちんとした手当てが受けられません。扱いが非人道的ではないかと、国連からも再三勧告を受けていました。今国会では出入国管理法の改正が審議されました。改正案には、難民認定手続き中は強制送還が停止されるという規定を3回目以降の申請には適用せず、本国に送還できるという変更が含まれていました。しかし、内戦や封建的な軍政から命からがら逃れてきた人を母国に送り返せば、その人は殺されてしまうかもしれません。改悪案だと、多くの人が反対の声をあげ、3月に名古屋入管施設に収容中だったスリランカ人女性が死亡し、その管理状況が問題視されたことも受け、与党は今国会での審議を断念しました。難民申請をしている人が本当に難民なのかを判定するのは確かに難しいです。パスポートはもとより、その人を証明するものがないからです。けれども、難民=犯罪者ではありません。ただ、入管庁は麻薬カルテルの一味や武装集団を入国させないよう水際を守るのが仕事ですから、入管庁の中で難民審査を行うこと自体に無理があると思います。たとえば、難民局を作り、難民なのか、虚偽の申請をする偽装難民なのかを審査できる体制を整える必要があるのではないでしょうか。日本は難民申請を厳しくする一方で、特定技能制度など、外国人労働者を受け入れる規制緩和はしてきています。労働力のためには門を開き、助けを求める人には閉ざすというのは矛盾しています。欧米には多民族、多文化の土壌があり、移民を国力に反映させる術を持っています。その点、日本は多様性を受け入れるのが不得意なんですね。廃案になっても難民に対する日本の対応は問題が残っています。もしも日本が戦争状態になり、自分が国を逃れ難民になったとしたら?と想像力を働かせて考えてみてほしいです。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年6月9日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年06月05日タレントの堀ちえみが6月1日、都内で行われたGEヘルスケア・ジャパン「ポケットエコー Vscan Air 新製品記者発表会」に出席した。グローバルヘルスケアカンパニーのGEヘルスケア・ジャパンは、ポケットサイズの超音波診断装置「Vscan (ヴィースキャン)」の最新モデル「Vscan Air(ヴィースキャン エアー)」を発売。その記者会見に口腔がんや食道がんを患って闘病生活を送り、現在も治療中の堀ちえみが登壇して病気の早期発見の大切さを説いた。これまでの経緯について堀は「2019年に口腔がんを患い、ステージ4という告知を受けました、2019年2月に手術をし、悪性の部分を取り除いた結果、舌の6割以上を取って太ももの一部を移植しました。首にも転移(食道がん)していて、エコーに命を助けていただいたと言っても過言ではありません」と説明。手術から2年3カ月が経過した現在は通院のほかにボイストレーニングやリハビリに取り組んでいるそうで、「通院は耳鼻科と口腔外科、それぞれ3カ月に1回は受診しています。経過観察で検査をし、食道がんも経過観察で半年に1回は胃カメラを飲んで再発の有無を診ていただいております。リハビリはコロナ禍なので1カ月に1回、ボイストレーニングは1週間に1回、リモートで先生に2時間ご指導していただいております」と明かしつつ、「コロナも怖いですけど、がんも進行してしまうと非常に恐ろしい病気。そちらの方も対策をちゃんとしながら検査を受けて早期発見できるようにしています。今は全然元気で、喋り方が後遺症として残ってしまいましたが、職業柄話せるように毎日最低でも15分はリハビリとボイトレをやるように心掛けています」と将来を見据えていた。堀は来年3月にデビュー40周年を迎える。「コロナ禍ということもあって事前に決められないもどかしさはありますが、歌の方は変わらず1曲でも多く歌って皆さんにご心配をお掛けした分、安心していただけるように頑張りたいと思っています」と40周年記念コンサートに意欲を見せ、ファンの前で歌うことを「一つの目標にして頑張ります。そこは実現させます!」と力強く宣言。「喋り方も含めて以前と変わってしまった部分で最初は命が助かったけどこの先どうやって生きていこうかと思ったところからスタートしました」と改めてこれまでを振り返り、「落ちるところまで落ちたから後は楽しみしかありません。今はそういう気持ちです。辛いことがありましたけど、皆さんのお陰で生かせて頂いております。瞬間瞬間が楽しいと思えますし、今は大変な世の中ですが、辛い方に目を向けるのではなく、楽しいことや素晴らしいモノに目を向けて過ごす方が同じ生きていくのであればそっちの方がお得かなと思っています」と前向きだった。
2021年06月02日2012年からNHK BSプレミアムで放送されている『岩合光昭の世界ネコ歩き』。世界中の愛くるしいネコたちの一瞬の動きや表情、ネコを通して見える素敵な世界は、9年間にもわたりネコ好きな人々の心を鷲掴みにしてきた。そのロケ中に撮影された写真209点を紹介するのが本展『写真展 岩合光昭の世界ネコ歩き』だ。「本展は番組開始3年の節目から企画されていたもの。当館では美術館をより身近で楽しい場所だと感じてもらえる企画に力を入れているのですが、本展はその意図にふさわしく、6年間も練り上げ今年開催できる運びになったのです」(東京富士美術館学芸員・西野正恵さん)動物写真家の岩合光昭氏は19歳の時に、父・岩合徳光氏に同行したガラパゴス諸島でその大自然を目の当たりにして父と同じく動物写真家を志し、1979年には「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。世界的に知られる『ナショナルジオグラフィック』の表紙を2度飾るなど、その作品は国内外で高い評価を得ている。大自然に育まれた野生動物の姿を追う一方で、人々の暮らしの傍らで飄然と逞しく生きるネコにも眼差しを向け、その何気ない一瞬をとらえた写真は、多くの人々の心を惹きつけてきた。本展では、パリに始まり、欧州、アフリカ、南北アメリカ、アジア、最後に沖縄と世界15地域を取り上げ、ネコをテーマにほぼ地球を一周する構成に。これは番組で放送された地域の中から、視聴者に人気のあった地域や特徴的なネコ、岩合氏のお気に入りのネコが登場する地域が選ばれた結果だという。会場では各地の雰囲気に合わせた展示空間の演出にもこだわり、ネコを通じて土地の人や風景が楽しめる。さらに岩合氏のネコへの愛情を深く感じられるよう、ネコに向けて彼が語った印象的な言葉を各所で紹介する。「ネコを美しく撮るためには背景となる土地の風土が大切。だから常に背景を気にしながら撮っている」と岩合氏。厳しい環境にあっても一生懸命生きようとする健気な姿、生命力の強さ、子育てに奮闘する母ネコの母性など、どんな情勢にも負けない世界のネコの姿は、見ている私たちを勇気づけてくれるはずだ。たとえブタでも、私はあなたが大好き。グァランゲティ♂(生後5か月)とブタのローリー♀(生後6か月) ウルグアイ ©Mitsuaki Iwagoハワイでバカンスを楽しんだ二匹の思い出。ラバ♀(2歳半)とイヌのスヌーピー♀ ハワイ ©Mitsuaki Iwago夜市にも臆せず出かける招きネコ。台湾 ©Mitsuaki Iwagoアパルトマンからの景色がお気に入り。ソシソン♂7歳 パリ ©Mitsuaki Iwago『写真展 岩合光昭の世界ネコ歩き』東京富士美術館東京都八王子市谷野町492‐16月1日(火)~8月29日(日)月曜(8/9は開館)、8/10休一般1000円ほかTEL:042・691・4511緊急事態宣言延長にともない、6月1日(火)より当面の間、時間短縮の措置により、以下の時間で開館しています。詳しい情報は公式HPでご確認ください。開館時間:10:00-16:00(15:30受付終了)休館日:月曜日※『anan』2021年6月2日号より。取材、文・山田貴美子(by anan編集部)
2021年05月31日漫画家のセモトちかさんによる、不倫を描いた漫画『サレタガワのブルー』。漫画配信アプリ『マンガMee』で上位を獲得するなど、人気を見せています。そんな『サレタガワのブルー』がテレビドラマ化決定!発表にはネット上でも歓喜の声が上がりました。主人公・田川暢役を演じるのは俳優の犬飼貴丈さん。またW主演で、田川藍子役を演じるのは、2021年3月にアイドルグループ『乃木坂46』を卒業した堀未央奈さんです。2人のポスタービジュアルを、原作者のセモトちかさんが描いたオリジナルイラストも公開されています。『サレタガワのブルー』は、愛妻家のイケメン夫が、妻に不倫をされることから始まる新感覚不倫エンターテインメント作品。主人公・田川暢(たがわのぶる)はイケメン、デザイナーで高収入、愛妻家の誰もが羨むイイ夫。大好きな妻・藍子(あいこ)に尽くし、家事に仕事に努力を惜しまない。藍子も家事一切を仕切ってくれる暢に優しく、ラブラブな2人。一見幸せそうな夫婦生活を送っていた暢だが、ある事実を目の当たりにする。彼が見たのは職場の上司との不倫を全力で楽しんでいる藍子の姿だった…。「まさか藍子さんが…そんなはずはない…」優しく可愛らしい藍子が自分を裏切るはずがない。だがそんな願いは届かなかった…修羅場を迎え、自分の欲望に忠実に生きる藍子に、復讐を決意する暢。「いい女はね、自分の望みは確実に全部叶えるの」暢に、史上最凶の不倫妻を裁くことはできるのか!?ドラマイズム「サレタガワのブルー」ーより引用原作者の、セモトちかさんは「田川暢役の犬飼貴丈さんはまさに思い描いていたご本人だった」と、配役が決まった時には驚きと感動で声が出たといいます。また、堀未央奈さんについても、「撮影現場でプロ根性を見た」と絶賛。ドラマ『サレタガワのブルー』は、TBS・MBSで同年7月13日の深夜から放送です![文・構成/grape編集部]
2021年05月22日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「Z世代」です。世界中で抱える問題。解決の鍵となるZ世代。バブル世代と氷河期世代は「X世代」、‘80~‘90年代半ばに生まれたゆとり世代は「Y世代」、‘90年代半ば~2010年代初めに生まれた若者たちは「Z世代」と呼ばれています。Z世代に注目が集まるきっかけとなったのは、人権運動家のマララ・ユスフザイさんや環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんの登場でしょう。ティーンエイジャーが、人権や地球環境が脅かされている窮状をSNSを通じて訴え、それらを守ろうとするアクションは世界で同時多発的に起こりました。そうして、経済至上主義とは別の新しい幸福の価値観を広げていきました。日本のZ世代は、小学生~中高生の多感な時期に東日本大震災や原発事故を体験しています。義務教育課程で環境や人権、SDGsについて学び、働き方は会社員ベースから、フリーランスベースに移行しつつあります。国や集団に属さずに、強い個として生き抜く新自由主義者がフィーチャーされた時代を経て、人々は戦いに疲れてしまいました。さらに自然災害が頻繁に起こり、景気は回復せず、格差は広がるばかり。個人の力ではどうしようもない状況に陥っています。そんな背景のもと、多様な個が足りない部分を補填し合い、困難を共に乗り越えようとする「コミュニタリアニズム(共同体主義)」がZ世代に広がっていきました。社会環境は目まぐるしく変化しています。人権や環境部門に積極的でない企業は投資の対象にならなくなり、SDGsというゴールを目指さねばなりませんが、大人たちは策がなく困っています。以前、ベンチャー企業と大手企業をマッチングさせる取り組みを取材したとき、大企業の社員はZ世代の新しい感性や価値観をサービスに取り入れようと、熱心に若い起業家たちの意見を聞いていました。これまでは若者の意見といえば、流行物やギャル語など、トレンドとして取り上げられる程度でした。しかし、今後は、デジタルネイティブのZ世代から新しい知見を学び、大人は資本やマーケットを若者に提供するなど、ウィンウィンの関係を築く必要があると思います。互いに協力しなければ乗り越えられそうにない問題が世界に山積みなのです。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年5月26日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年05月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「米中外交」です。体制の違いにより対立が顕著に。注視が必要です。アメリカの外交政策を、国際協調から「アメリカ第一主義」に大きく方向転換したトランプ前大統領。バイデン大統領は2月の演説で、「アメリカは戻ってきた」と世界に向けてメッセージを発し、再び協調体制に戻すこと、失われた同盟関係を修復することを宣言しました。問題は対中国です。就任前には「弱腰になるのでは?」と推測する声がありましたが、それを覆すかのようにバイデン政権は中国に強い姿勢を示しています。人種や宗教によって差別することは許さないと、新疆ウイグル自治区や香港、東南アジアに対する中国の挑発的な支配姿勢を批判。「中国の経済的虐待に立ち向かう」「人権や知的財産、グローバルガバナンスに対する中国の攻撃を押し返す」などと表現しました。中国への強硬姿勢は、トランプ時代と変わりませんが、バイデン大統領は「アメリカの国益となる場合は、中国政府と協力する用意がある」と付け加えることも忘れませんでした。しかし、米中関係は日に日に緊張感を増しています。3月に行われた米中外交トップ会談では、人権に反する中国の行為を非難したアメリカに対し、「内政に干渉する行為には断固として反対」と、中国側は強く反発しました。中国は自らを民主国家と謳いますが、民主主義の定義が私たち自由主義国とは異なり、最終決定権はすべて中国共産党にあります。バイデン大統領は、中国が民主国家に変わることを期待していたのですが、体制の違いは露わになるばかり。3月末の記者会見でバイデン大統領は「21世紀における民主主義と専制主義のどちらが機能するかの闘い」と発言し、対立を極めました。習近平国家主席は、オバマ政権のころには「G2」として、中国とアメリカで世界の秩序を作ることを呼びかけていました。ところがトランプ政権になり対立関係に。本音ではビジネス上で繋がっておきたい両国ですが、不当逮捕や弾圧が日常的に行われる国相手では安心して投資はできません。今後、たとえば台湾をめぐり、米中関係がさらに悪化した場合には、日本の米軍基地から中国にプレッシャーをかける可能性も。他人事ではいられないのです。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。新しい朝の報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~8:00)が放送中。※『anan』2021年4月21日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年04月16日世界的動物写真家・岩合光昭が満を持して自身で監督した『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩きあるがままに、水と大地のネコ家族』。この度、ナレーションを務める中村倫也とのトーク映像が解禁された。ネコの目線で世界の街角のネコを撮影するNHK BSプレミアム「岩合光昭の世界ネコ歩き」の劇場版となる本作。SNSには「かわいいの渋滞」「癒ししかない素敵な映像」「骨抜きにされてきました」「逞しく生きるネコ達の姿や家族愛にも感動して涙が出てきた」など、あるがままに生きるネコ家族に癒されまくる感想が溢れている。そんな本作からこの度到着したのは、新型ウィルス感染拡大防止のため残念ながら中止となった公開記念舞台挨拶に登壇予定だった中村さんと岩合監督のトーク映像の一部。撮影やナレーションの裏話、お気に入りのネコやお気に入りのシーン、タイトルに込めた思いなどを語っており、岩合監督がナレーションを務めた中村さんの声について「ネコが喜ぶ声」とコメントする一幕も。この全容は1月29日(金)より全国の上映劇場(一部劇場除く)にて限定上映される。『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩きあるがままに、水と大地のネコ家族』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩きあるがままに、水と大地のネコ家族 2021年1月8日より全国にて公開©「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き2」製作委員会 ©Mitsuaki Iwago
2021年01月26日全国公開中の『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』。この度、コロナ禍のため中止となった公開記念舞台挨拶に登壇予定だった、中村倫也と岩合監督のトーク映像の一部が公開された。世界的動物写真家・岩合光昭がネコの目線で世界の街角のネコを撮影し“ネコも楽しめるネコ番組!?”として話題となったNHK BS プレミアム『岩合光昭の世界ネコ歩き』。2017年には『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち』、2019年には岩合が初監督を務めた映画『ねことじいちゃん』が公開され、いずれも大ヒットとなった。本作は、岩合が満を持して監督を務める『岩合光昭の世界ネコ歩き』の劇場版第2弾。ミャンマーのインレー湖で寄り添いながら暮らすネコとヒトの家族、北海道の牧場でまっすぐ生きる母ネコ、オスネコ、子ネコの姿から、ネコたちの愛と絆の物語を描く。公開された映像では、撮影やナレーションの裏話、お気に入りのシーン、タイトルに込めた想いなどが語られる。すでに映画を観た人はもちろん、これから映画を観る人も楽しめる内容だ。なお本トーク映像の全貌は1月29日(金)より全国の上映劇場(一部劇場除く)にて限定上映される。詳しくは公式サイトの劇場情報ページを確認してほしい。『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』全国公開中
2021年01月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「子供・若者白書」です。自己肯定感の低い若者たち。長所を伸ばせる社会に。内閣府が毎年国会に提出している「子供・若者白書」。2019年に発表された「日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~」が話題になりました。これは‘18年の冬に7か国の13~29歳の男女を対象に行われた調査で、国際競争力や結婚観、自ら切り拓く力など、日本の国力に関わる若者の実態を知ることが目的で行われました。この結果、日本の若者は他国の若者と比べて、自己肯定感が低い傾向にあることがわかりました。「自分自身に満足しているか」という問いに対して、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を含め、イエスと答えた若者は、日本は5割に届きません。ところがアメリカは「そう思う」が57.9%。肯定的回答を合わせると、欧米諸国はほぼ8割を超えています。「自分に長所があると感じているか」という問いには、「そう思う」と断言する日本の若者はわずか16.3%。他の6か国は日本の倍近く、さらにそれ以上の高い割合で「そう思う」と答えています。日本の若者の自己肯定感の低さは、自分は役に立たないと感じる「自己有用感」の低さが関わっているようだと内閣府は分析しています。一方で、家族に大切にされていると感じる若者は多く、海外留学や海外居住を求める割合は低い。堅実で謙虚な優しい日本の若者像が浮かび上がりました。なかでも気になったのは、「よく嘘をつくか」という問いに7割の若者が、つかないと答えている一方で、「人は信用できないと思う」という設問に肯定的回答をした割合が5割以上。これは、政府のモリカケ問題や桜を見る会の問題、ブラック企業やいじめを隠蔽しようとする学校など、社会に対する不信感の表れなのではないかと思います。「うまくいくかわからないことに意欲的に取り組むか」という設問にはイエスとノーの回答がほぼ半々でした。成功体験の有無が影響しているのかもしれません。1月11日は成人の日。若者たちがそれぞれの特性に応じて活躍できる環境を、社会として作るべきではないでしょうか。若者のみなさんには、とるに足らない人間なんていないのだから、好きなことを追求して長所を伸ばしていってほしいと思います。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が昨年公開された。※『anan』2020年1月13日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年01月09日世界的動物写真家・岩合光昭が贈る珠玉のネコ映画『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』。今回、ミャンマーで湖上生活を送るネコの家族が披露する見事な水泳シーンが解禁となった。一緒に暮らすヒトの家族の釣りに同行するネコの家族。次々に引き上げられるイキのいい魚を前にネコたちがじっとしているわけがなく、つい湖に落ちそうになる瞬間も。岸が近づいてくると子ネコたちに泳ぎのお手本をみせる母ネコのメーワーと、ためらうことなく水中へダイナミックなダイブをみせる父ネコのエーワー。息子のグェと娘のシュエも負けじと水中へ。小さな頃に水中に落ちて助けを求めて鳴いていたか弱きシュエはどこへやら。たくましく成長したネコの家族の姿に思わずホッコリする映像となっている。『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩きあるがままに、水と大地のネコ家族』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩きあるがままに、水と大地のネコ家族 2021年1月8日より全国にて公開©「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き2」製作委員会 ©Mitsuaki Iwago
2021年01月08日