日生劇場が来年2023年に開場60周年を迎えるのにあわせて6月22日、60周年記念主催公演の制作発表会見が開催され、記念ロゴも発表された。会見には三島由紀夫作『午後の曳航』演出の宮本亞門、オペラ『メデア』演出の栗山民也、音楽劇『精霊の守り人』演出の一色隆司らが出席した。オペラでは、ルイージ・ケルビーニ作曲の『メデア』(演出:栗山民也)の日本初演、日生劇場では実に53年ぶりのヴェルディ作品となる『マクベス』(指揮:沼尻竜典、演出:粟國淳)、そして三島由紀夫の同名小説のオペラ化作品で、ベルリンにて1990年に初演されたドイツ語版の日本初演となる『午後の曳航』(演出:宮本亞門)の3作品を上演する。『メデア』演出の栗山は、ロシアによるウクライナ侵攻で、市民が避難していたウクライナの劇場が爆撃された事件に触れつつ「劇場というのは、人々が集い、人間について、そして世界について考え、学び、夢を見る場所だと思います」と悲痛な表情で語る。栗山民也そして『メデア』という作品について「紀元前に書かれた物語ですが、現実にいましっかりと息をしている物語であり、普遍性を感じます」と評し、本作を読むと、必ずピカソの「ゲルニカ」が頭に浮かぶと明かす。「画の中に死んだ我が子を抱きしめて空を呆然と見つめる母のスケッチがありますが、その目は縦になっています。人間の怒りと悲しみ、その究極をピカソはそう描いたんだと思います。いまの日本は、すごくわかりやすいことを受け入れる時代になってしまったと思いますが、不条理や矛盾に満ちているのが人間の姿だと思います。表と裏、悲劇と喜劇、愛することと憎むこと、正気と狂気――それが『メデア』の中心だと思います。オペラのみなさんの才能を借りて心に残る作品にしたいと思っています」と意気込みを口にした。宮本亞門『午後の曳航』演出の宮本はこれまでも『金閣寺』や『ライ王のテラス』などの三島作品を手がけてきたが「僕は三島由紀夫さんが大好きです。一切表裏を出すことなく、露骨に醜いもの、美しいものを出していくという姿に、いつも勇気をもらっています。いつかやりたかった『午後の曳航』がやっとできることに興奮しています」と笑顔で語る。そして、作品について「とても痛いです。恐ろしいです。そして美しいです。人間の本質を露骨に出している作品ですので、現代人の悩みそのものと言えるかもしれません」と語った。この他、60周年記念作品として、ファミリーフェスティヴァル2023として、上橋菜穂子のベストセラーを原作に音楽劇『精霊の守り人』(演出:一色隆司)、人気画家、絵本作家ヒグチユウコ作品の初舞台化となる舞台版『せかいいちのねこ』(脚本・演出・振付:山田うん)、日生劇場主催のバレエ公演として初の子役オーディションを実施する谷桃子バレエ団『くるみ割り人形』~日生劇場版~(芸術監督:髙部尚子)が上演される。取材・文=黒豆直樹60周年記念公演ラインアップ■NISSAY OPERA 2023『メデア』2023年5月27日(土)・28日(日)指揮:園田隆一郎 / 演出:栗山民也 / 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団■NISSAY OPERA 2023『マクベス』2023年11月11日(土)・12日(日)指揮:沼尻竜典 / 演出:粟國淳 / 管弦楽:読売日本交響楽団■東京二期会オペラ劇場 NISSAY OPERA 2023提携『午後の曳航』2023年11月23日(木・祝) ~26日(日) 予定指揮:アレホ・ペレス / 演出:宮本亞門 / 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団<日生劇場ファミリーフェスティヴァル 2023>■音楽劇『精霊の守り人』2023年7月29日(土) ~8月6日(日)原作:上橋菜穂子作『精霊の守り人』(偕成社)/ 脚本:井上テテ / 演出:一色隆司(NHKエンタープライズ)■舞台版『せかいいちのねこ』2023年8月19日(土)・20日(日)原作:ヒグチユウコ作『せかいいちのねこ』(白泉社)/ 脚本・演出・振付:山田うん / 出演:人形劇団ひとみ座、Co. 山田うん■谷桃子バレエ団『くるみ割り人形』~日生劇場版~2023年8月25日(金)~27日(日)演出・振付:谷桃子 / 芸術監督 改訂演出・振付:髙部尚子 / 出演:谷桃子バレエ団
2022年06月23日静岡県・三島スカイウォークは、「あじさい祭」を2022年6月11日(土)から7月15日(金)まで開催されます。日本一長い歩行者専用吊橋で楽しむ「あじさい祭」「三島スカイウォーク」は、富士山や駿河湾・伊豆の山並みなどを全長400mを誇る日本一長い歩行者専用吊橋の上から一望できる絶景スポットです。吊り橋を渡った先にある約7,000㎡ものあじさい散策路は、約13,000株の花が咲き、あじさいの名所としても知られています。あじさいの見頃を迎える6月中旬から7月上旬にかけて、三島スカイウォークでは「あじさい祭」を実施。期間中は、205品種13,000株ものあじさいが咲き誇り、三島スカイウォークでしか見ることのできない貴重品種「夏空」「スカイウォーク」「覇王」といったあじさいも淡い花を咲かせます。あじさいスイーツ&グラデカラードリンクもまた、三島スカイウォーク内の「森のキッチン」「ピクニックカフェ」では、あじさいをモチーフにしたおいしいメニューを期間限定で提供。森のキッチンでは、ハイビスカスクリームであじさいを表現した「あじさいパンケーキ」を、ピクニックカフェでは、カリっと焼いたワッフルとバニラアイス、さらに琥珀糖をのせた「琥珀糖のアジサイサンデー」」を展開。さらに、スカイウォークコーヒーでは、あじさいカラーのグラデーションを楽しめるドリンク「あじさいパープルフロート」を用意。おなかも心も大満足のあじさいメニューを堪能できます。【詳細】三島スカイウォーク「あじさい祭」開催期間:2022年6月11日(土)~7月15日(金)住所:静岡県三島市笹原新田313施設入場料:大人 1,100円、中高生 500円、小学生 200円 ※幼児は無料。営業時間:9:00〜17:00 ※イベントや天候により変更する場合あり。休業日:年中無休<期間限定メニュー>販売期間:6月11日(土)~7月15日(金)・森のキッチン「あじさいパンケーキ」1,100円・ピクニックカフェ「琥珀糖のアジサイサンデー」500円・スカイウォークコーヒー「あじさいパープルフロート」500円【問い合わせ先】三島スカイウォークTEL:055-972-0084
2022年06月08日静岡県・三島スカイウォークは、「あじさい祭」を2022年6月11日(土)から7月15日(金)まで開催する。日本一長い歩行者専用吊橋で楽しむ「あじさい祭」「三島スカイウォーク」は、富士山や駿河湾・伊豆の山並みなどを全長400mを誇る日本一長い歩行者専用吊橋の上から一望できる絶景スポットだ。吊り橋を渡った先にある約7,000㎡ものあじさい散策路は、約13,000株の花が咲き、あじさいの名所としても知られている。あじさいの見頃を迎える6月中旬から7月上旬にかけて、三島スカイウォークでは「あじさい祭」を実施。期間中は、205品種13,000株ものあじさいが咲き誇り、三島スカイウォークでしか見ることのできない貴重品種「夏空」「スカイウォーク」「覇王」といったあじさいも淡い花を咲かせる。あじさいスイーツ&グラデカラードリンクもまた、三島スカイウォーク内の「森のキッチン」「ピクニックカフェ」では、あじさいをモチーフにしたおいしいメニューを期間限定で提供。森のキッチンでは、ハイビスカスクリームであじさいを表現した「あじさいパンケーキ」を、ピクニックカフェでは、カリっと焼いたワッフルとバニラアイス、さらに琥珀糖をのせた「琥珀糖のアジサイサンデー」」を展開する。さらに、スカイウォークコーヒーでは、あじさいカラーのグラデーションを楽しめるドリンク「あじさいパープルフロート」を用意。おなかも心も大満足のあじさいメニューを堪能すれば、旅の思い出になりそうだ。【詳細】三島スカイウォーク「あじさい祭」開催期間:2022年6月11日(土)~7月15日(金)住所:静岡県三島市笹原新田313施設入場料:大人 1,100円、中高生 500円、小学生 200円 ※幼児は無料。営業時間:9:00〜17:00 ※イベントや天候により変更する場合あり。休業日:年中無休<期間限定メニュー>販売期間:6月11日(土)~7月15日(金)・森のキッチン「あじさいパンケーキ」1,100円・ピクニックカフェ「琥珀糖のアジサイサンデー」500円・スカイウォークコーヒー「あじさいパープルフロート」500円【問い合わせ先】三島スカイウォークTEL:055-972-0084
2022年06月06日CEDAR主催、CEDAR Produce vol.9『わが友ヒットラー』が2022年3月19日 (土) ~2022年3月27日 (日)にJすみだパークシアター倉(東京都墨田区)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 公式ホームページ 公式Twitter(@cedar_engeki) 日本を代表する小説家・劇作家 三島由紀夫が、晩年に執筆した傑作戯曲『わが友ヒットラー』。アドルフ・ヒットラーが、独裁政権を獲得する直前におきた粛清事件「長いナイフの夜」。国民を欺くため「政治的中道」をスローガンに偽りの平和を作り出すため、友人すらも粛清し思い通りのナチス・ドイツを作り始めるヒットラーの狂気がおぞましく現れる、三島の才能をいかんなく発揮した氏の代表作です。突撃隊幕僚長エルンスト・レームの男の友情と愛情、そして三島の私設自衛隊楯の会の思想が溶け交じり合い、愛と裏切りに満ちた世界が大きく時代を動かしていきます。【STORY】1934年6月。ベルリンの首相官邸。前年に政権を獲得し首相となったナチス党党首ヒットラーはと官邸に呼ばれた突撃隊幕僚長レームとシュトラッサー。そして鉄鋼会社社長クルップはそれぞれの思惑でヒットラーの演説を聞いていた。ヒットラー政権獲得から正規軍を指揮する立場にあり、ナチスの私兵の処分を考えていた。そうとは知らないレームはヒットラーの厚い友情を抱き、その処分の命令に同意して去る。レームとの会話を盗み聞きし、ヒットラーの意図に気づいたクルップは、ヒットラーを持ち上げた。シュトラッサーはレームに二人で逆にヒットラー抜きの政権を目指す策略案を提案する。そうしないと我々はヒットラーに殺されると。激しい会話の応酬の末、あくまでレームはヒットラーを裏切るよことは出来ないと聞き入れない。レームとシュトラッサーは粛清された。ヒットラーは粛清を正当化しつつ、ナチスが台頭していくことになる。アドルフ・ヒットラー役:谷佳樹エルンスト・レーム役:君沢ユウキグレゴール・シュトラッサー役:桧山征翔グスタフ・クルップ役:森田順平What’s CEDAR?演出家・松森望宏、俳優・桧山征翔の演劇ユニット。世界中に数多くありながら上演されない優れた名戯曲にスポットをあて、劇作家が綴る人間の苦悩や葛藤や愛情を丁寧に舞台上に表現する。演出の松森望宏は2012年英国シェフィールドの国際演劇祭において、三好十郎の『胎内』で最優秀演出家賞を受賞。俳優の桧山征翔は出演にとどまらず、作品のプロデュースも手掛ける。公演概要CEDAR Produce vol.9『わが友ヒットラー』公演期間:2022年3月19日 (土) ~2022年3月27日 (日)会場:すみだパークシアター倉(東京都墨田区横川1-1-10)■出演者アドルフ・ヒットラー: 谷佳樹エルンスト・レーム: 君沢ユウキグレゴール・シュトラッサー: 桧山征翔グスタフ・クルップ: 森田順平■スタッフ作: 三島由紀夫 / 演出: 松森望宏■公演スケジュール3月19日(土) 19:00▼3月20日(日) 14:00▼ / 19:00▼3月21日(月・祝) 14:00▼ / 19:00▼3月22日(火) 19:00○3月23日(水) 14:00○☆ / 19:00○3月24日(木) 14:00○3月25日(金) 14:00○ / 19:00○3月26日(土) 14:00▼ / 19:00▼3月27日(日) 14:00▼※受付開始・当日券の販売は開演の30分前、開場も30分前となります。※一般席は、公演スケジュールの▼印は土日祝料金・○印は平日割引料金となります。特典付き前方席は、平日・土日祝問わず同料金です。☆アフタートーク開催公演3月23日(水) 14:00《アフタートーク登壇者》谷佳樹、君沢ユウキ、MC桧山征翔■チケット料金特典付き前方席:7,500円 ※一般席:5,500円(土日祝)/4,500円(平日割引)(全席指定・税込)※特典付き前方席・前方2列を保証いたします。・先行販売を実施いたします。・特典として希望キャストのサイン入りブロマイドを当日ロビーにて配布いたします。(森田順平さん扱いのご予約の特典ブロマイドにサインは入りません。CEDAR扱いのご予約はサイン無しのイメージビジュアルブロマイドが特典です。)・公演中止の場合はチケット代金の払い戻し、もしくは、特典セット(詳細は中止時に発表)の引き換えを、お選びいただけます。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月17日三島由紀夫がその死の約2年前に、ヒトラーによるナチス党内の粛清事件を題材に執筆した戯曲「わが友ヒットラー」が演劇ユニット「CEDAR」(演出:松森望宏)によって上演される。初日に向け稽古が進む中で谷佳樹、君沢ユウキ、桧山征翔、森田順平が本作への思いを語った。本作のオファーを「とんでもないものが我が身に降り注いできた感覚」と語る谷。膨大なセリフを通じ、ヒットラーの葛藤や権力者としての欺瞞を体現するという難役を任されたが、稽古が始まって「ひとりで考えても意味がないって気づきました。みんなで挑んでいるという感覚が強いですし、いまは玩具を手にした子どものような気持ちでワクワクしています」と語り「演劇の面白さが直球で届く、『すごいものを観た』と肌で感じてもらえる作品になると思う」と自信を口にする。ヒトラーによる粛清の対象となる突撃隊幕僚長レームとナチス党内左派のシュトラッサーを演じる君沢と桧山。彼らが第二幕で繰り広げる1対1での激論は本作の大きな見どころ。君沢は「相手の目を見てセッションの中で生まれるものを感じています。ヒットラーへの友情が日に日に強くなっているし、それが強ければ強いほどヒットラーの決断の大きな負荷になり、この作品の醍醐味になるんじゃないかと思います。守るものがある者同士のすれ違いを届けたいです」と言葉に力を込める。桧山は第二幕でのレームとの対決を「怒涛の40分」と呼ぶ。「シュトラッサーは頭の回転が速く、言葉も巧みな男ですが、そこが一番難しいところでもある。他人を説得するには必死さだけでもダメだし、上から言えば心が離れていくけど、下手に出過ぎてもうまくいかない。あの手この手でレームの気持ちを惹きつけ続けるのがこんなに難しいのか! と感じながらやっています」と苦笑を浮かべつつ、セッションを楽しみにしている様子。森田は三島が割腹自殺を遂げた三島事件当時は高校生。「担任が突然『三島が死んだ』と言って授業が中止になったのを覚えています」とふり返る。大学時代にこの戯曲と出会い「クルップを演じたいと思った」と明かす。「なぜクルップなのか? 当時はクルップがこの3人を動かしている役だと思ったからなんですが、いま稽古をする中で常に新たな発見があって『もしかするとクルップも動かされているんじゃないか?』という思いに行き着いています。日々、全く違うものが見えてきて、まだ先があることにワクワクしています」と笑みを浮かべる。男たちがただひたすら言葉をぶつけ合う。その極上のやりとりを堪能してほしい。
2022年03月15日三島由紀夫作『薔薇と海賊』が2022年3月4日(金)東京芸術劇場シアターウエストにて開幕した。美しい言葉の応酬と台詞量に、気づけば夢のような世界へと引き込まれているあっという間の3時間だ(休憩2回含)。童話作家・楓阿里子(霧矢大夢)は、娘の千恵子(田村芽実)に自分の童話の登場人物であるニッケル姫の扮装をさせて暮らしていた。ある日、楓家に、自分をその童話の登場人物であるユーカリ少年だと思い込む青年・帝一(多和田任益)が、後見人の額間(大石継太)に連れられてやってくる。白いドレスのニッケル姫/千恵子に会い、帝一は大興奮し、「このお家に住みたいな」と言い出す。はじめはたしなめていた阿里子も、帝一とのめくるめく童話の世界についての会話がはずみ、ふたりは急速に心を通わせていく。霧矢は、純潔を重んじる阿里子の凛とした佇まいで存在感を放つ。対する多和田は、自分を勇気あるユーカリ少年だと信じる無邪気さをまっすぐに演じる。帝一の上下白のスーツは純真さの表れだろうか。三島由紀夫の美しいせりふが、ふたりの童話をめぐる会話の端々から零れ落ち、舞台を彩っていく。しかし楓家にはほかに、朝帰りばかりの夫(須賀貴匡)とその弟(鈴木裕樹)が暮らしており、帝一の登場によってふたりの阿里子への思いも揺らいでいく。この兄弟と、千恵子、額間、手伝いの勘次(飯田邦博)と定代(羽子田洋子)、楓家に出入りするセリ子(篠原初実)とチリ子(松平春香)などが、それぞれの人生観を吐露しながらドタバタと物語を動かしていく。その様子は滑稽で喜劇的だ。客席からは何度も笑い声が起こる。初演は1958年に文学座にて。三島由紀夫の書いた言葉は時代を感じさせるが、童話そのものみたいに彩り豊かだ。そのせりふを誠実に届けようとする俳優達により、言葉の宝石が舞台に散りばめられる。舞台は白い半透明のカーテンで囲まれ、阿里子の純潔の向こう側が見え隠れするようでもある。洗練された衣装、鮮やかで上品な照明、おとぎ話の世界から聞こえてきそうな音楽、目に焼き付く映像……ファンタジックな世界観と、各登場人物の生々しさを両立させる大河内直子の演出が、童話のような独特の世界に観客を誘う。三島自身が中心となり結成した劇団浪曼劇場が1970年に上演した際には、三島自身が客席で涙を流しながら観ていたそうだ。そして全公演が終了した2日後に命を絶った。死の直前にあえてこの喜劇を上演した三島。彼が望んだ「夢の世界」を阿里子と帝一が背負っているのかもしれないとも思える、胸に刺さる幕切れが印象的だった。上演は3月13日(日)まで。チケットぴあにて、各公演3日まで指定席前売券、各公演3時間前まで当日引換券を販売中。3/10(木)はライブ配信もあり、視聴チケット販売中。その後、大阪公演あり。【取材・文】河野桃子
2022年03月08日静岡県三島市のフランス語教室「グランゼトワール」(Les grandes etoiles)(所在地:静岡県三島市文教町/代表:宮沢 美穂)は、2022年よりオンラインレッスンを本格的に開始いたしました。グランゼトワールでは、音の基礎を固める指導を大切にし、お子様には音声学習法(フォニックス)を重視したフランス語のみでのレッスンを、初心者や学び直しの大人の方には、音声学に基づく発音トレーニングを行っています。フランス語通訳・アナウンスの経歴を持つ講師が、マスクなしでのメリットを生かしたオンラインレッスンを強化してまいります。(この企画は三島商工会議所の伴走型小規模事業者支援推進事業により実施しています)グランゼトワール Webサイト グランゼトワール 紹介動画 Les grandes etoiles_トップ◆グランゼトワールとは“etoile”とは、フランス語で「星」「バレエのプリンシパル」を意味します。受講生が人生の大きな夢や、日々の小さな一つひとつの目標に向かい、“grandes etoile”(大きな星、トップスター)として一層輝きを増すようにという願いから、教室名を「グランゼトワール」と名付けました。2018年に開業し、未就学児から社会人まで、幅広い年代の方が主にプライベートレッスンを受講しています。伝わる・聞こえるフランス語を習得するために、音声学習法(フォニックス)を重視し、バレエや料理などの留学準備、海外赴任の準備、高校の授業の補習、仏検やDELF(フランス国民教育省認定フランス語資格試験)などの対策、子供向けや親子で学べるフランス語など、目的に合わせたレッスンをご提供しております。また、通訳、翻訳、店舗での出張レッスンも承っております。◆講師 宮沢 美穂 プロフィール静岡県三島市出身Institut d'Etudes Politiques d'Aix-en-Provence(エクサンプロヴァンス政治学院)協定留学早稲田大学大学院文学研究科仏文フランス語学専攻修士課程修了外資系航空会社通訳・アナウンス工場視察通訳・翻訳、その他アテンド通訳フランステレビ局あらすじ翻訳サッカーW杯日本大会ボランティアフランス語講座講師などLes grandes etoiles_講師◆クラス内容現在、オンラインおよび対面で、下記のクラスをご案内しております。時間やレッスン料などの詳細は、公式Webサイトをご覧ください。(1) プライベートレッスン1. 入門・初級2. 中級3. 高校生4. こどものためのフランス語(入門)5. こどものためのフランス語(ペア)6. 仏検準備7. 渡航前集中レッスン(2) グループレッスンイベントレッスン ※対面市内中心部にあるフレンチレストランLa table de Kudo様にて開催。1月の「ガレット・デ・ロワ」、4月の「フランスのエイプリルフール」、7月の「フランス革命記念日」など、フランスの行事に合わせて現地の文化と語学を学べるイベントレッスン。フランス語初心者の方にも、気軽に現地のお菓子と文化を楽しんでいただける内容となっております。(3) 店舗への出張レッスン市内の清流、源兵衛川沿いにあるレストラン「ディレッタントカフェ&ワルツ」様でのシャンソンのレッスンなど。Les grandes etoiles_レッスン1◆オンラインを活用した今後の活動について既存のオンラインレッスンの一層の充実を図り、新たに受講生とフランス語圏との交流の場も設けてまいります。また、フランス語圏から三島や伊豆へ訪れてもらえるように、動画で地域の特産品や観光資源など、三島や伊豆の魅力をフランス語で紹介していく予定です。Les grandes etoiles_紹介動画◆教室概要グランゼトワール Les grandes etoiles・代表者 : 宮沢 美穂・創立 : 2018年(平成30年)1月・所在地 : 静岡県三島市文教町・事業内容 : フランス語レッスン、英語試験対策レッスン、通訳、翻訳、店舗での出張レッスン・公式サイト : お問い合わせは公式サイトのお問い合わせフォームからお願いいたします。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年02月22日「三島喜美代展」が1月29日(土)~2月8日(火)、銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM(イベントスペース)で開催される。これに併せて、マルチプル作品のオンラインエントリー販売を特設ページにて開始される。三島は1932年、大阪市生まれ。現在は十三(大阪)と土岐(岐阜)を拠点に制作を行っている。1950年代より一貫して新聞や雑誌、ダンボール、空き缶など日常に身近な“情報”を題材に制作を続けてきた作家だ。1950年代後半から1970年頃までは、新聞や雑誌などをコラージュした油彩画やシルクスクリーン作品を制作し注目される。そして70年代初めからは情報化時代や大量消費社会に潜む不安感や恐怖感を表現するため、新聞をシルクスクリーンで割れる陶に転写した今回のマルチプル作品のような立体作品を手掛けるようになった。三島作品は、日常や旅先の海外で見つけた素材を活用して作られており、一見するとゴミのようなこれらの作品は、陶器という媒体を通じて不思議な存在感を放ち、情報が大量消費される現代に問いかけてくる。本展は、缶かごやダンボールかご、BOX、さらにはマルチプル作品など、三島の代表作を集めた展覧会。卒寿を前にして、とどまることのない三島の情熱あふれる作品に触れてほしい。<マルチプル作品について>作品名:マルチプル作品『Package』『Newspaper』制作数:各30作品サイズ:『Package』:8×8.5×7(h) cm、『Newspaper』:14×11.5×10(h) cm※各作品の平均のサイズ表記となります。作品によって誤差あり。素材:セラミック制作技法:印刷制作年:2021箱素材:桐(桐箱に作家サインプリント入り)箱サイズ:『Package』:15×14.5×10.5(h)cm、『Newspaper』:19×17×13.5(h)cm価格:275,000円(税込)※全て1点ものにつき作品によってサイズが異なります。※作品により柄は異なります。柄は選べません。※送料2,200円(税込)を作品価格と一緒にお支払いいただきます。<オンラインエントリー方法>オンラインエントリーはアートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術手帖」にてご確認ください。予告ページ: 特設サイト: オンラインエントリー受付期間:1月28日(金)正午~ 2月8日(日)20:00■企画情報「三島喜美代展」1月29日(土)~2月8日(火)11時~20時※最終日のみ18:00終了会場:銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM(イベントスペース)入場:無料
2022年01月18日2022年3月に上演される舞台unrato#8『薔薇と海賊』より、キャストコメントが到着した。1958年に発表され同年、文学座が初演した『薔薇と海賊』は、虚実の夢と純愛が詰め込まれた異色のファンタジー。三島由紀夫自身がこの舞台を涙を流しつつ観ていたという逸話も残されている。童話作家の楓阿里子邸。そこに、阿里子の童話のファンで30歳の松山帝一が訪ねてくる。帝一は、自分を童話の中の主人公・ユーカリ少年だと信じている知的障害の青年で、後見人の額間に付き添われてやってきた。楓邸は童話の世界のように仕立てられ、阿里子は19歳の娘・千恵子にも登場人物のニッケル姫の扮装をさせていた。帝一はこの家にずっと住みたいと言い出し、阿里子と帝一の夢の世界のような純愛が始まる。千恵子は額間と出会い、押し込めてした本音があふれ出て来る。帝一の登場で、阿里子の夫の重政、その弟の重巳との館での生活にもひずみが生まれていくのだが……。出演者には、霧矢大夢、多和田任益、田村芽実、須賀貴匡、鈴木裕樹、大石継太、飯田邦博、羽子田洋子、篠原初実、松平春香が名を連ねた。この度、出演者の中から霧矢、多和田、田村より、公演に向けて、意気込みのコメントが寄せられている。なお、チケットの先行受付が11月19日より開始されている。<出演者コメント>■霧矢大夢初めて三島由紀夫作品に挑戦させて頂きます。「挑戦」という言葉が相応しい、役者としての意気込みと覚悟を感じています。三島の言葉に翻弄され、虚実の夢に迷い込みそうになる事が想像されますが、苦しみながらどっぷり浸りたいと思います。人との接触を遮断された日々が続き、より自分の想像力と人間力を試され、心を柔軟に、豊かにしたいと思っていました。そんな想いを思いっきりぶつけたいです!是非、劇場へ体感しにいらして下さい!お越しをお待ちしております。■多和田任益三島由紀夫さんの作品で、純愛。その世界に没頭できることが今からとても楽しみです。演出の大河内さん、共演の皆さんも初めましての方ばかりで、そこで生み出されること、いただけるであろうたくさんの刺激に備えて、しっかり準備したいと思います。■田村芽実お話をいただいた時、とても嬉しかったことを覚えています。戯曲を拝見した時は、こんな難しい作品が自分に務まるのか。と、不安な気持ちになりましたが、読み進めていくと同時に、作品の虜になり、この世界の一員になりたい。演じたい。とびこみたい!と、強く強く思いました。今回私にとっては初めての挑戦ばかりなので、この作品に、先輩方に、体当たりで挑んでいけたらと思います!【公演概要】unrato#8『薔薇と海賊』作:三島由紀夫演出:大河内直子音楽:阿部海太郎企画・製作:unrato主催:アイオーン / ぴあ日程・会場:■東京公演:2022年3月4日(金)~13日(日) @東京芸術劇場シアターウエスト(〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1)■大阪公演:2022年3月25日(金)・26日(土) @茨木クリエイトセンター大阪公演に関するお問い合わせ先:072-625-3055出演:霧矢大夢多和田任益田村芽実須賀貴匡鈴木裕樹大石継太飯田邦博羽子田洋子篠原初実松平春香入場料(東京公演):一般 6,800円 / 学生 3,800円 / 高校生以下 2,800円※学生、高校生以下は一般発売日から当日引換券での発売。公演当日、要学生証提示。<チケット発売(東京公演)>■2021年11月19日(金)昼12:00~・キャスト先行須賀貴匡 大石継太 羽子田洋子 飯田邦博 篠原初実 松平春香 ・オフィシャルHP先行 ・アイオーン先行 ・ぴあ・いち早プレリザーブ(有料会員向け先行) ■2021年12月3日(金)昼12:00~ぴあ・プレリザーブ(無料会員向け先行) ■ プレイガイド先行2021年12月10日(金)~■一般発売 2022年1月15日(土)10:00~チケットぴあ ※未就学児の入場は不可とさせて頂きます。※今後の感染症対策は感染状況や政府等の要請により変更となる場合もございます。ウエブサイトやSNS等でお知らせしますので、ご確認くださいますようお願いします。チケットに関するお問い合わせ先:チケットぴあ 0570-02-9111(10:00~18:00)公演に関するお問い合わせ先:baratokaizoku@ae-on.co.jp
2021年11月24日福島県三島町は、44年前にアジアの歌姫テレサ・テンが新曲「ふるさとはどこですか」のキャンペーンで訪れ、町民と交流を持った「テレサ・テンの日本のふるさと」です。この度、この素晴らしい出会いを記念して、テレサ・テンとコラボした「オリジナルCD」を製作し、11月18日から三島町観光協会及び、ネットにて販売いたします。また、販売を記念して、CDを購入頂いた方限定300名様に、当時の三島町で撮影されたテレサ・テンの貴重な写真を多数掲載した「2022年版テレサ・テンメモリアルカレンダー」をプレゼントするキャンペーンを実施します。【CD販売価格】合計2,020円(税込)内訳:CD定価1,650円(税込)/1枚送料:全国一律370円(税込)【キャンペーン期間】2021年11月18日~2021年12月28日まで【キャンペーン特典】期間中の購入者様に「2022年度版テレサ・テンメモリアルカレンダー」をプレゼント(限定300名)※メモリアルカレンダー300名様分がなくなり次第、本キャンペーンは終了となります。【CD購入方法】(1)ネット販売三島町×テレサ・テン オリジナルCD販売サイトにて、お申込フォームから受付※オリジナルCD販売サイト: (2)三島町観光協会にて直接販売※三島町観光協会〒969-7511 福島県大沼郡三島町大字宮下字宮下214-5「からんころん」内TEL:0241-48-5000【協力】財団法人鄧麗君文教基金會、ユニバーサル ミュージック合同会社三島町×テレサ・テン オリジナルCDテレサ・テン メモリアルカレンダー■三島町×テレサ・テン「オリジナルCD」、「メモリアルカレンダー」について【オリジナルCD】・44年前、三島町でテレサが歌った「ふるさとはどこですか」の他、人気曲を計4曲収録※ご注意:当時の三島町で歌われた音源を使用している訳ではありません。【収録曲】1. ふるさとはどこですか 2. 小村之戀 3. 時の流れに身をまかせ 4. 別れの予感・CDジャケットは、1977年に発売された「ふるさとはどこですか」のレコードジャケットを使用・CD歌詞カードには、44年前に町内で撮影された、テレサの貴重な写真を多数掲載【メモリアルカレンダー】・2022年度版の壁掛カレンダー(A5サイズ/オールカラー)・44年前に町内で撮影された、テレサの貴重な写真を多数掲載■テレサ・テンの日本のふるさと「三島町」1977年、まだ雪の残る3月、新曲「ふるさとはどこですか」のPRキャンペーンのため、若き日のテレサ・テン(当時24歳)が福島県三島町を訪れました。三島町がキャンペーン場所に選ばれた理由は、当時、町が全国に先駆けて実施していた「ふるさと運動」がきっかけで、「ふるさと」という言葉が、彼女と町を結ぶきかっけの言葉となりました。町民は彼女を温かくもてなし、町内ではミニコンサートが開かれ、彼女は特別町民に加入し、互いの心の交流が生まれました。今でも町には、彼女が歌ったミニコンサートの写真や会場、町民との記念写真、記念に植えた「白樺の木」が残されており、町では「テレサ・テンの日本のふるさと三島町」として、この思い出を大切に語り継いでいます。【詳細参考】福島県三島町「テレサ・テン」ゆかりの地マップ テレサ・テン歌姫音路 ミニコンサートで歌うテレサ宮下駅に立つテレサ【CD販売に関するお問い合わせ先】福島県三島町観光協会〒969-7511 福島県大沼郡三島町大字宮下字宮下214-5「からんころん」内TEL : 0241-48-5000FAX : 0241-42-7072メール : mishima@oboe.ocn.ne.jp 受付時間: 9:00~18:00(土日も受付可能) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年11月18日大河内直子が演出を務める三島由紀夫原作の舞台、unrato#8「薔薇と海賊」が2022年3月に東京芸術劇場シアターウエストにて上演されることが決定した。「薔薇と海賊」は虚実の夢と純愛が詰め込まれた異色のファンタジー。1958年に発表され、同年に文学座が初演した。三島由紀夫自身がこの舞台を、涙を流しつつ観ていたという逸話も残されている。舞台となるのは、童話作家の楓阿里子邸。そこに、阿里子の童話のファンで30歳の松山帝一が訪ねてくる。自分を童話の中の主人公・ユーカリ少年だと信じている知的障害の青年で、後見人の額間に付き添われてやってきた帝一。楓邸は童話の世界のように仕立てられ、阿里子は19歳の娘・千恵子にも登場人物のニッケル姫の扮装をさせていた。帝一はこの家にずっと住みたいと言い出し、阿里子と帝一の夢の世界のような純愛が始まる。一方、額間と出会い、押し込めてした本音があふれ出て来る千恵子。帝一の登場で、阿里子の夫の重政、その弟の重巳との館での生活にもひずみが生まれていく。三島由紀夫は本作について、「世界が虚妄だ、といふのは一つの観点であつて、世界は薔薇だ、と言ひ直すことだつてできる。しかしこんな言ひ直しはなかなか通じない。目に見える薔薇といふ花があり、それがどこの庭にも咲き、誰もよく見てゐるのに、それでも『世界は薔薇だ』といへば、キチガヒだと思はれ、『世界は虚妄だ』といへば、すらすら受け入れられて、あまつさへ哲学者としての尊敬すら受ける。こいつは全く不合理だ。虚妄なんて花はどこにも咲いてやしない。(略)」と記した。出演者には、霧矢大夢、多和田任益、田村芽実、須賀貴匡、鈴木裕樹、大石継太、飯田邦博、羽子田洋子、篠原初実、松平春香といった実力派俳優が集結。2022年3月4日(金)~13日(日)まで東京公演を行なった後、2022年3月25日(金)・26日(土)に茨木クリエイトセンターにて大阪公演が実施される。unrato#8『薔薇と海賊』作:三島由紀夫演出:大河内直子東京公演:東京芸術劇場シアターウエスト2022年3月4日(金)~13日(日)大阪公演:茨木クリエイトセンター2022年3月25日(金)・26日(土)
2021年10月15日アイドルグループ・King & Princeの神宮寺勇太が、舞台『葵上』『弱法師』 -「近代能楽集」より-の主演を務めることが14日、明らかになった。同舞台では全8編の短編戯曲からなる三島由紀夫の代表作「近代能楽集」の2編を連続上演。謡曲にも親しんできた三島が「能楽の自由な空間と時間の処理や、露わな形而上学的主題などを、そのまま現代に生かすためにシチュエーションを現代化」した作品で、能の物語を現代の設定へと落とし込みながら、現実世界を超越した能の幽玄さが違和感なく融合する独特の世界観が、演劇的にも最大の魅力となっている。『葵上』は、「源氏物語」を原典に能楽、そして近代劇へと移り変わりながらも時代を超えても変わることのない嫉妬や欲望、情念など心の内に秘められた闇を生々しくも幻想的に描いた作品で、三島自身が「一番気に入っている」と語る魂魄の劇。深夜の病院の一室を舞台に、美貌の青年・若林光(神宮寺)が入院する妻・葵の元を訪ねると、かつて光と恋仲であった六条康子(中山美穂)の生霊が現れる。『弱法師』は終末観に腰を据えた青年・俊徳(神宮寺)が、いかに大人の世界に復讐するかを軸に、滑稽にも見える両親とのやり取りと、主人公がこの世の終わりを語る長台詞、現実的なもの全てに対する敗北を表す最後の台詞が印象的な作品となっている。家庭裁判所の一室を舞台に、育ての親、生みの親という2組の夫婦が俊徳の親権を争うことから物語が始まる。演出は、ストレートプレイからミュージカル、近代古典など多方面にわたる作品を手掛け、確固たる演出力で作品を創り上げてきた宮田慶子が務める。これまでトークイベントやリーディング形式の上演で「近代能楽集」の作品を紐解いてきた宮田が、この独特の作品世界をどう表現するのか注目となっている。主演の神宮寺は舞台単独初主演となり、『葵上』では美貌の青年・若林光役、『弱法師』では戦火で視力を失った20歳の青年・俊徳役という、これまで数々の名優たちが演じてきた役に挑む。また2016年の『魔術』以来5年ぶりの舞台出演となる中山美穂が、『葵上』では光のかつての恋人・六条康子を、『弱法師』では俊徳を救おうとする調停委員・桜間級子を演じる。さらに『葵上』には、佐藤みゆき、金井菜々、『弱法師』には篠塚勝、木村靖司、加藤忍、渋谷はるかと、若手からベテランまで実力派キャストが結集した。東京公演は東京グローブ座にて11月8日~28日、大阪公演は梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて12月1日~5日。○演出:宮田慶子 コメント美しく格調高い台詞で織り上げられた三島由紀夫氏の戯曲は、同時に人間そのものに対する、冷徹で、時に辛辣なまでの深い洞察力に貫かれています。能の謡曲をもとに、その特色である「自由な空間と時間の処理」を生かして書かれた「近代能楽集」は、時を越えてなお、その演劇的輝きを失いません。『葵上』と『弱法師』は、どちらも魂の自立を求めて揺れ続ける青年がドラマティックに描かれます。一筋縄でいかないこの二人の青年に、神宮寺勇太さんが挑戦します。純粋さと毒気を描き出してくださることを楽しみにしています。そして両作品を、魅力あふれる中山美穂さんが支えてくださいます。時空を行き交う、感性を揺さぶる舞台にしたいと思います。○神宮寺勇太 コメント今回、初めて単独での主演舞台をやらせて頂く事を聞いた時、心臓のビクン! とする音が聞こえました。主演として舞台に立たせていただける喜びと、自分にどこまで出来るのかな?という思いが同時に駆け巡りました。ストレートプレイに挑戦させて頂くのも初めてですし、色んなことが初めてづくしな作品になります。『葵上』と『弱法師』の2作品の役を演じる事は、決して簡単ではないと思いますが、この2つの作品を演じ切ることができた後に演じる事の楽しさや、表現の幅が広がっているように、全身全霊で稽古に臨みたいと思います!来ていただけるお客様に今まで見た事のない、神宮寺勇太を大放出したいと思いますので、よろしくお願いします!○中山美穂 コメント長い芸能生活の中で、お芝居の舞台というのは1度しか経験が無く、正直不安でいっぱいです。古典文学から近代劇にされた三島作品2作ですから、尚更歴史の重みを感じています。人間の奥深い感情を、ストレートに演じることになると思うのですが、演出の宮田さん、キャストの皆さんと丁寧に思いを込めて演らせて頂きます。何より、足を運んで下さるお客様に満足頂ける『葵上』、『弱法師』をお届け出来るよう、努めて参ります。よろしくお願いします。
2021年09月14日藤井道人監督、上田慎一郎監督、三島有紀子監督をはじめ12人の監督が描く、12の物語からなる映画『DIVOC-12』。この度、“共有”というテーマで製作する三島監督チームの予告編が到着した。日本映画界を代表する3監督たちそれぞれの元に、9人の監督が集い、3チームごとにテーマを掲げ、映画製作を行っていく本作。藤井監督チームは“成長への気づき”、上田監督チームは“感触”、そして、三島監督チームは“共有”というテーマを掲げた。このテーマについて三島監督は「2020年から、世界中がこんなに同じことに苦しんだり、悲しんだり、少し喜んだり…同じ問題と気持ちを共有したことってないのではないか、と思いました。ある種、救いがないように思えるこの時期を共有したその先に、私たちは何を共有できるのか、できないのか、共有していきたいのか。ということをあらためて、俳優やスタッフを始めチームの監督達といろいろ話しながら作れたらいいな、と思ったことがテーマにした理由の1つです」と語っている。三島監督チームは、まず、75歳の冬海と優しい青年・歩がひょんなことから出会い、お金と安心を得るため背徳的な仕事へと車を走らせる、三島監督が手掛けた『よろこびのうた Ode to Joy』をはじめ、ポラロイドでスナップを撮り、気に入った写真は部屋に飾り、嫌いな同級生の写真などには低額をつけて川に流してストレス発散をして遊ぶ高校生2人を描く『YEN』(山嵜晋平監督)。山嵜晋平監督『YEN』一度も会ったことのない母親を探す少年・海斗と、とある女性・真実を描く『海にそらごと』(齋藤栄美監督)。“睡眠倶楽部”で暮らしている女性を描く『睡眠倶楽部のすすめ』(加藤拓人監督)といった4作。加藤拓人監督『睡眠倶楽部のすすめ』今回到着したのは、そんな4作分の映像を収録した予告編。冬海(富司純子)が歩(藤原季節)からとある仕事に誘われる『よろこびのうた Ode to Joy』の映像から始まり、ポラロイドで写真を撮って遊ぶ高校生(蒔田彩珠&中村守里)たちの姿や、海斗(高田万作)と母・真実(中村ゆり)の関係に秘密があることが感じられる映像が順に映し出される。そして、眠ることが出来なくなった人々が暮らす“睡眠倶楽部”で生活する透子(前田敦子)の行き着く先が気になる『睡眠倶楽部のすすめ』の映像で締めくくられている。併せて、どこか不安げな表情の歩と冬海、ポラロイドを川に流す2人、海斗に愛おしそうに寄り添う真実、そして見上げる透子と、各作品の場面カットも公開された。『DIVOC-12』は10月1日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:DIVOC-12 2021年10月1日より全国にて公開©2021 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc.
2021年09月02日12人の映像監督による12本の短編映画製作プロジェクト『DIVOC-12』三島有紀子監督チームの予告映像が2日、明らかになった。同プロジェクトは、ソニーグループが新型コロナウイルス感染症により世界各国で影響を受けている人々を支援するために設立した「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」を活用した支援プロジェクト。藤井道人監督チーム(テーマ:成長への気づき 志自岐希生監督、林田浩川監督、廣賢一郎監督)、上田慎一郎監督チーム(テーマ:感触 ふくだみゆき監督、中元雄監督、エバンズ未夜子監督)、三島有紀子監督チーム(テーマ:共有 山嵜晋平監督、齋藤栄美監督、加藤拓人監督)と3チームに分かれた12人のクリエイターたちが作品を制作していく。今回公開されたのは、三島監督チーム4作分の予告映像。三島監督の『よろこびのうた Ode to Joy』から始まり、歩(藤原季節)から「いい仕事あんですけど、一緒にやりませんか?」と東北弁で優しく声をかけられる冬海(富司純子)の姿が描かれ、ベートーヴェンの交響曲第9番「喜びの歌」が高らかと響き渡る中で、2人の人生への不安、そしてよろこびを予感させる映像となっている。続けて、山嵜晋平監督作品『YEN』。ポラロイドで写真を撮って遊ぶ高校生の夏希(蒔田彩珠)と冬美(中村守里)は「あの子たちほんっとうざい! -300万円!」と嫌いな人に低額をつけて仲良く笑い合うが、ある日、冬美から「帰って」という言葉が。女子高生のきらきらした若さと不安定さが感じられる内容となっている。齋藤栄美監督作品の『海にそらごと』では、生まれてから一度も会ったことのない母親の真実(中村ゆり)に会いにいったが、その生活ぶりに戸惑いを隠せない海斗(高田万作)が「恥ずかしくないの? 家族捨てて、こんな生活して」と言い放つ。「なんで嘘ついたの?」という海斗のセリフから、2人の関係に秘密があることが感じられる予告となっている。最後に加藤拓人監督作品『睡眠倶楽部のすすめ』では、「何かを忘れたまま私はここで暮らしている」と透子(前田敦子)が語り始める。透子は、様々なストレスによって眠ることが出来なくなった人々が暮らす、“睡眠倶楽部”で生活している。透子が忘れてしまった大切な何か、そして彼女の行き着く先が気になる映像となっている。各作品の場面カットも到着し、不安げな表情の歩(藤原季節)と冬海(富司純子)の姿や、ポラロイドを川に流す夏希(蒔田彩珠)と冬美(中村守里)のカット、ぎこちない海斗(高田万作)に愛おしそうに寄り添う真実(中村ゆり)の姿、広い部屋の中でどこかを見上げる透子(前田敦子)のカットなど、の不安や寂しさもありながら温もりも感じられるカットとなっている。三島監督は、“共有”というテーマについて「2020年から、世界中がこんなに同じことに苦しんだり、悲しんだり、少し喜んだり……同じ問題と気持ちを共有したことってないのではないか、と思いました。ある種、救いがないように思えるこの時期を共有したその先に、私たちは何を共有できるのか、できないのか、共有していきたいのか。ということをあらためて、俳優やスタッフを始めチームの監督達といろいろ話しながら作れたらいいな、と思ったことがテーマにした理由の1つです。チームでは作る時間を共有し、みなさまには作品を観る時間を共有していただければ幸いです。きっと、みなさまそれぞれに、〝共有〟が見つかると願っています」と語っている。(C)2021 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc. All Rights Reserved.
2021年09月02日静岡県の三島スカイウォーク・あじさい散策路のあじさいが、2021年6月中旬から7月中旬頃にかけて見ごろを迎えます。あじさいの名所「三島スカイウォーク」「三島スカイウォーク」は、全長400mを誇る日本一長い歩行者専用吊橋であり、富士山や駿河湾・伊豆の山並みなどを橋の上から一望できる絶景スポット。吊り橋を渡った先の北エリアにある約7,000㎡のあじさい散策路は、あじさいの名所としても知られています。あじさい散策路は、2017年に5,000株を植樹して以降、徐々に株数を増やし、今では205品種13,000株が咲き誇るエリアに。ここでしか見ることができな貴重なオリジナル品種「スカイウォーク」や「覇王」、「夏空」といった品種を観賞することもできます。2021年の見ごろは6月中旬から7月中旬頃。撮影スタンドも複数設置されているので、スマートフォンなどで記念撮影を楽しむこともできます。“空色”濃厚ソフトクリームもまた、5月29日(土)にオープンした新施設「スカイウォーク ソフトクリーム(SKYWALK SOFTCREAM)」では、空色ソフトクリーム「そらソフト」も販売。富士山麓の牧場「いでぼく」の協力のもと、希少価値が高いブラウンスイス種の牛乳を使用したソフトクリームとなっており、ミルクの濃厚な味わいを楽しむことができます。【施設概要】場所:三島スカイウォーク住所:静岡県三島市笹原新田313施設入場料:大人 1,100円、中高生 500円、小学生 200円 ※幼児は無料。営業時間:9:00〜17:00 ※イベントや天候により変更する場合あり。休業日:年中無休※2021年のあじさいの見ごろは、6月中旬~7月中旬頃。【問い合わせ先】三島スカイウォークTEL:055-972-0084
2021年06月20日静岡県の三島スカイウォーク・あじさい散策路のあじさいが、2021年6月中旬から7月中旬頃にかけて見ごろを迎える。あじさいの名所「三島スカイウォーク」「三島スカイウォーク」は、全長400mを誇る日本一長い歩行者専用吊橋であり、富士山や駿河湾・伊豆の山並みなどを橋の上から一望できる絶景スポット。吊り橋を渡った先の北エリアにある約7,000㎡のあじさい散策路は、あじさいの名所としても知られている。あじさい散策路は、2017年に5,000株を植樹して以降、徐々に株数を増やし、今では205品種13,000株が咲き誇るエリアに。ここでしか見ることができな貴重なオリジナル品種「スカイウォーク」や「覇王」、「夏空」といった品種を観賞することもできる。2021年の見ごろは6月中旬から7月中旬頃。撮影スタンドも複数設置されているので、スマートフォンなどで記念撮影を楽しむのも良いかもしれない。“空色”濃厚ソフトクリームもまた、5月29日(土)にオープンした新施設「スカイウォーク ソフトクリーム(SKYWALK SOFTCREAM)」では、空色ソフトクリーム「そらソフト」も販売。富士山麓の牧場「いでぼく」の協力のもと、希少価値が高いブラウンスイス種の牛乳を使用したソフトクリームとなっており、ミルクの濃厚な味わいを楽しむことができる。【施設概要】場所:三島スカイウォーク住所:静岡県三島市笹原新田313施設入場料:大人 1,100円、中高生 500円、小学生 200円 ※幼児は無料。営業時間:9:00〜17:00 ※イベントや天候により変更する場合あり。休業日:年中無休※2021年のあじさいの見ごろは、6月中旬~7月中旬頃。【問い合わせ先】三島スカイウォークTEL:055-972-0084
2021年06月04日長女の「ゆかり」、次女の「かおり」、三女の「あかり」そして四女「うめこ」の、「ゆかり四姉妹」として話題にロングセラーの「ゆかり」を生んだ三島食品のふりかけが、今じわじわ話題に。「ゆかり」の3人の妹、そして満を持して誕生した弟の「ひろし」!? 生産が追いつかないほどの人気の理由と、マネしたい食べ方アイデアを聞きました。■「ゆかり」は名前のつもりではなかった今年の2月にふりかけの新商品、「ひろし」が発売されるやいなや、「『ゆかり』『かおり』『あかり』『うめこ』の四姉妹のとなりに見知らぬ男が加わった……」とSNSで話題に。それがきっかけとなり、「ひろし」は品切れが続出するほど爆売れし、発売からたった2か月で年間の販売目標をあっさりクリアした。話題になることを狙ってのネーミングかと思いきや、三島食品広報の佐伯俊彦さんは、「商品名がここまで話題になるとは、全く想像していなかった」と話す。「『ひろし』は日本三大漬け菜のひとつである広島産の広島菜を100%使用した混ぜご飯の素。原材料の広島菜から『ひろし』と名づけました」(佐伯さん、以下同)そもそも、四姉妹と言われている「ゆかり」シリーズの商品名も、女性名を意識してつけたものではなかった。「それぞれの原材料の色や特徴にちなんだ言葉を、親しみやすいひらがな3文字で表したものでした」ところが2〜3年前に1人のSNSユーザーが、ふりかけ売り場に並ぶ「ゆかり」「かおり」「あかり」の写真とともに「ゆかりは三姉妹だった」と呟いたことから、ふりかけ界では知らないものがいないほどの有名姉妹に。「突然話題になったときは驚きもありました。しかし当時『三姉妹』として認知されるようになったことで、相関図を考えたりキャラクターイメージを想像されたりなど、商品により親しみを持っていただくことができ、結果的に大変ありがたいことでした」ちなみに、「私の名前もそんなすてきな『ゆかり姉弟』の一員に加えたい!」という方のために、三島食品は「ふりかけ4姉妹メーカー」というアプリも開発ずみだ。これはデジタル上で、希望の名前と配色の「ゆかり姉妹」パッケージ風画像を自由に作れるアプリで、三島食品のウェブサイトから簡単に楽しめる。一時はアクセス集中でアプリが停止するほど話題に。こういった面白みのある取り組みも、「ゆかり姉弟」が消費者に愛される理由のひとつだ。■「ひろし」はもともと「ひろこ」の予定だったさらに昨年には、姉妹の末っ子としてカリカリ梅が原料の「うめこ」が誕生。「実は『ひろし』は、前年に発売した『うめこ』の売れ行きが好調だったことから『ひろこ』と名づけられることに9割方、決まっていたんです」しかし、商品名の最終的な打ち合わせの場で、「うめこ」の名づけ親でもある社長から「『ひろこ』は何か違う気がするので、ここはひとつ『ひろし』にしてはどうか」という鶴のひと声が。晴れて「ひろし」誕生の運びとなった。「当時社内では男性名はどうなのかという意見もあったようです。しかし、商品の原材料で、会社の所在地である広島県の特産品でもある広島菜をもっと世間にアピールしたい、そのためにもシンプルに原料名を印象づける『ひろし』と名づけようよという社長の意見を聞き、多くの社員が賛同。初の男性名の商品の誕生に至りました」「ひろし」はそんな社長をはじめとした三島食品社員の郷土愛あふれる思いが込められた名前だったとは……。なんだか聞いただけでもほっこり心が温かくなってくる。これが“ひろし”です…!●パッケージは、瀬戸内海のイメージと広島菜をアレンジしたデザインに。●当初は「ひろこ」となる予定だったが、社長の鶴のひと声で「ひろし」に。●青菜の混ぜご飯の素「菜めし」もあるが、「ひろし」は名前のとおり広島県産の広島菜だけにこだわった。●原材料は広島産の広島菜100%。浅漬けを調味し、乾燥させている。■コト価値をもたらした「ゆかりペンスタイル」数年前に大きな話題となった、ペン型の容器に入った「ゆかりペンスタイル」の誕生にも、そんな三島食品らしさ全開のちょっとゆるくて面白いいきさつが。「前社長は『ゆかり』が好きで、どこへ行くにも持ち歩いていたのですが、既成の袋や瓶だとかさばるので、資材担当者が見つけたペン型の容器を『ゆかり入れ』として愛用していました」そのペン型容器に入れた「ゆかり」を持ち、前社長が夜の街へお酒を飲みに行った時のこと。焼酎に「ゆかり」をふりかけようと、胸ポケットからそのペンを取り出したところ、周りにいた女性たちが「なにそれ?かわいい!」と大盛り上がり。その様子を見た前社長は、これは「ゆかり」の名のとおり人と人との“縁”をつなぐいい商品になる!と直感。採算を無視して限定発売へと踏み切った。結果、ペンスタイルは大ヒット。ふりかけとしての価値だけでなく、「コト価値」をもたらしてくれる商品として「ゆかり」のブランド力を高めるきっかけとなった。■異業種からの誘いが絶えない人気者に成長話題性のある自社商品にとどまらず、最近は「コップのフチ子」で知られるカプセルトイメーカー「キタンクラブ」とのコラボポーチが発売されるなど、異業種と「ゆかり」のユニークなコラボレーションも続々登場している。そこで気になるのは、次なる人物の登場。佐伯さんに今後の展望について聞くと、「ご期待はいただいているので、企画チームが動いてはいますが、今は未定です。ただ社長は、やる気満々ですよ」「ひろし」に次ぐ、名前も味もジワる新商品に期待だ。■三島食品広報・佐伯さんおすすめ超簡単アレンジレシピ●ひろしとニンニクバターのパスタ「ひろし」のうまみで味つけ不要!茹でたパスタをニンニクとバターで軽く炒めてから「ひろし」としらすを適量加え、サッとあえれば完成。「ひろし」のうまみとシャキッとした歯ごたえが、後を引くおいしさ。●ふりかけ三姉妹の3色ポテサラいつものポテサラが“映える”一品にポテトサラダを3つに分け、それぞれに「ゆかり」「かおり」「あかり」をお好みの量ふりかけるだけ。市販のポテサラでももちろんOK!〈取材・文/中村明子〉
2021年05月30日現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、没頭できる趣味もなく、多忙な彼に会えないと何もすることがなくて自暴自棄に陥った26歳女性。彼にも疎まれてしまい、破局の危機を感じる彼女に、三松先生が強烈なアドバイスをしてくれます!美奈子(26歳)“趣味レス女”やることないと命取り。連続LINE攻撃でフラれるかもの危機【レスなひとびと】vol. 118土曜日の朝9時。目は覚めたけれど、デートのない休日。起きてすぐ誠司からのLINEを確認したあと、Instagramを開く。骨格ウェーブに合うワンピース、ブルベに合うプチプラリップ…出てくる投稿を寝そべったままだらだら見続ける。何時間経った?目が疲れたのでいったんやめようと画面を暗くする。暗い画面に顔が映る。むくんでいるじゃないかー。目ヤニついたまま、髪はボサボサ。気分ダウン。ひとりで過ごす休日は長い。起きてから眠るまで、全部ひま。はあ、今日は何しようか。ひとりが楽だって感じる人もいるけど、美奈子は逆だ。本当に何をして過ごしたらいいかわからないのだ。料理、ゲーム、動画鑑賞、どれも時間を忘れるほど夢中になれない。ひとつだけ興味を持てることといえば、誠司からのLINE通知を待つことくらい。彼が唯一の推しなのだ。彼といると自分が特別な人間のように思える。「かわいいね」って言われて、無敵気分になれちゃう。でもひとりでいるとどんどん自信がなくなってくる。私ってつまらない女か?趣味もなく、ひとり時間を充実して過ごせない自分。中身のない人間みたいで嫌いだ。休日、洗濯後はやることがなくなり彼にLINEしてしまうのだ。「誠司、何してる?」既読はつかない。仕事が忙しいって言っていたけど、2時間経ってもつかない。1Kの部屋で、息が詰まりそうになる。誰かを家に呼ぼうかな。でも彼以外に会いたい人っていない。どんどんつまらない女になっていくような気がする。壁のシミを見つめながら、自暴自棄突入。もはや、誠司のことしか浮かばない。追撃LINEに加えて、電話もしてしまう。5度目の電話に出た彼は「仕事がすっごく忙しいんだ。ちょっと勘弁してほしい。美奈子はなにか趣味とかないのかよ」。速攻切られる。やってしまった。‟重い女”の代表入り。振られる。嫌われる。息が苦しい。鏡を覗くと、顔までブサイクになっていた。【三松さんからのコメント】恋に落ちると夢中になって、彼のことしか考えられない女性、いますよね。夢中になれるのはすっばらしいこと。恋なんか無駄って冷めてる人よりずっと人間的でいいじゃない。でも、忙しい彼に一方的な連絡をし続けてしまうのは危険。うっとうしがられる。自分の世界を持ってない人って魅力半減です。没頭できる趣味があればいいですが、美奈子さんのように、どうにもこうにも動けない場合。やれることがひとつあります。それは、彼が好きだと言っているものについての研究。(彼ナシの場合は友達のでもいい)彼が筋トレオタクなら、タンパク質多めの料理の特訓をしてみる。三島由紀夫が好きなら、三島由紀夫の本を順に読んでみる。Awesome City Clubが好きなら、曲を聴きまくってハモれるようにしてみる。結局彼のことかよ、と思うかもしれませんが、それでよし。どうせ、それ以外はやる気にならないんだから、いっそ極める作戦で。次に会った時に話そう歌ってみようと思いながら、新しいことを学ぶ。グイっと吸収していけるはず。恋してる時って、最高の学習チャンスなのです。TBS日曜劇場の「ドラゴン桜」観てますか。興味がなくても本質を考えるって、深い教えを桜木先生が伝えてくれました。まさにそれ。彼がなぜそれを好きなのか、ルーツを知る。彼の顔が浮かべばできてしまう。彼もきっと「俺たちってもしかして趣味合う?」とうれしくなる。好きなことの話題を振ってもらうと誰しも心を開きます。万が一、彼と別れても料理の腕や文学知識、カラオケのレパートリーは持ってて損ナシ。あ!もちろんエッチのテクニックもね。次のモテにつながる。学びは無駄になりません。彼キッカケではじめたことが、My趣味になったという報告も多数です。お酒好きの彼のために、簡単おつまみを研究していたら楽しくなり、YouTubeでおつまみチャンネルを始めたなんて話も。ハッピーね。「趣味レスで、ひとり時間をグズグズ過ごすな。『ドラゴン桜』を観て、全てのことの本質を考えてみろ。彼との恋愛の意味も見えてくるかもよ」三松真由美恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。©vitranc/Gettyimages文・ 三松真由美
2021年05月20日女優の有村架純が、舞台『友達』で7年ぶり2度目の舞台に出演することが19日、明らかになった。同作は安部公房が自身の小説『闖入者』をベースにした戯曲。ある夜、ひとりの男(鈴木浩介)の日常に見知らぬ「9人家族」の足音が忍び寄る。祖父(浅野和之)、父母(山崎一・キムラ緑子)、3人兄弟(林遣都・岩男海史・大窪人衛)、3人姉妹(富山えり子・有村架純・伊原六花)から成る9人家族は、それぞれに親しげな笑みを浮かべ、口々に隣人愛を唱えながら、あっという間に男の部屋を占拠してしまう。男は何が何だかわからないまま、管理人(鷲尾真知子)、警官(長友郁真・手塚祐介)、婚約者(西尾まり)、弁護士(内藤裕志)と、次々に助けを求め、この不条理な状況説明を試みるが埒があかない。しかも、彼らは、どんどん「家族の論理」に加勢していく流れに…。シス・カンパニーと、NHK よるドラ『きれいのくに』脚本でも注目を集めている気鋭の劇作家・演出家 加藤拓也が、『たむらさん』(2020年10月上演)に続きタッグ。1967年(昭和42)に青年座で初演され、同年の「谷崎潤一郎賞」を受賞、三島由紀夫をして「安部公房氏の傑作」と言わしめた作品に挑む。不条理な状況に追い込まれていく「男」を演じる鈴木浩介に迫るのは、安部公房スタジオ出身の浅野和之、硬軟自在な演技で魅了するキムラ緑子、第28回 読売演劇大賞最優秀男優賞に輝く山崎一が率いる謎の3兄弟・3姉妹たち。中でも、ドラマ『姉ちゃんの恋人』での共演が人気を呼んだ有村架純と林遣都が、今度は小劇場空間で家族として登場する。有村は、2014年『ジャンヌ・ダルク』以来7年ぶり2度目の舞台出演となる。加えて、岩男海史、大窪人衛、富山えり子、伊原六花、内藤裕志、長友郁真、手塚祐介、西尾まり、鷲尾真知子と盤石な布陣が実現した。東京公演は9月、大阪公演は10月上旬を予定している。
2021年05月19日第161回芥川賞を「むらさきのスカートの女」で受賞した今村夏子のデビュー作「こちらあみ子」が実写映画化。井浦新、尾野真千子が主人公・あみ子の両親役を演じることが決定した。「こちらあみ子」は第26回太宰治賞と第24回三島由紀夫賞をW受賞した、芥川賞作家・今村夏子のデビュー作。2021年7月に原作の舞台でもある広島オールロケにてクランクイン予定となっており、主人公・あみ子役をはじめ、あみ子の好きなのり君、同級生の坊主頭、あみ子のお兄ちゃんの孝太など、子どもたちの主要キャストはなるべく自然体で純粋さや素直さを表現するべく、演技経験の有無を問わずオーディションにて選考している。監督・脚本は、主に『まほろ駅前狂騒曲』『セトウツミ』『光』『日日是好日』などの大森立嗣監督をはじめ、日本映画界を牽引する監督たちの現場で助監督を務めた森井勇佑。自身が映画化を熱望していた本作品で監督デビューを果たす。さらに、いつも家族を見守るあみ子の父役に井浦新、書道教室の先生で、お腹には赤ちゃんがいる母役に尾野真千子が決定。実力派の2人が、オーディションで選ばれる子どもたちと共に本作の繊細で色彩豊かな世界観を創り上げる。なお、本作の製作応援を目的としたクラウドファンディング(MOTION GALLERY)も実施。森井監督は柔らかなリズムを持つ広島弁にも惚れ込み、作者・今村さんの出身地であり、原作の舞台でもある広島で撮影することを目指している。森井監督とスタッフに縁のある大森立嗣監督、野尻克己監督、今泉力哉監督からも応援コメントが到着した。本作で監督デビュー、森井勇佑監督コメント僕がHi8のビデオカメラで遊び始めたのは、中学1年生の頃でした。友達3人くらいと「男プロダクション」と名乗り、高校を卒業するまで30本ほど遊びで映画を撮りまくりました。たいていの友達はカメラの前に立つだけで恥ずかしくて笑ってしまいます。でもそんな中でなぜか、ほとんど笑わずカメラ前で堂々と立っていられるヤツがいました。そいつはぶっきらぼうで、ときどき奇行もするので、学校では浮いた存在でした。でも映画に出るのはすごく好きだったようで、「次は何をとるんや」「映画はとらんのか」としょっちゅう催促されました。今思えば、そういうヤツだったからこそ、存在が面白く、僕らも映画を撮りつづけたのだと思います。「こちらあみ子」をはじめて読んだ時、僕はあみ子のことを友達のように感じました。あみ子は面白いヤツです。その面白さをみんなに伝えたい。それは僕が中学生のときに思ったことと、きっと地続きなんだと思います。それ以来、この小説を映画にしたいと強く思い続けてきました。あみ子という存在は、映画で撮るべきだと思ったのです。「こちらあみ子」が初監督作品になることは、自分にとっては必然的なことだと感じています。覚悟を持って挑みます。と同時に、最高に嬉しいです。ワクワクして仕方がありません。縁ある大森立嗣監督や今泉力哉監督から応援コメントも大森立嗣監督森井は僕の映画の助監督をやっていて、映画を支えてくれていました。映画が本当に好きで、彼は映画に救われているように僕には見えました。映画監督になったら、今度は映画を、救ってください。自分のことはさておいて、映画に携わる人や、観客に向けて、愛を注いでください。だけど、その前に皆様からの応援が必要なようです。次は彼が映画を通して皆様に愛を降り注ぎます。野尻克己監督森井勇佑は映画を愛するとても純粋な私の後輩だ。純粋な後輩が天才作家、今村夏子のデビュー作で監督デビューする。純粋と天才の掛け算。デビュー作とデビュー作の掛け算。誰からも歓迎される映画がこの世に出るに違いない。余談だが、私の人生を賭けたデビュー作の助監督を森井に三度頼んだが三度断られた。この間、断った理由を聞くとヘラヘラ笑って「覚えていません」と言われた。そういう憎めない人間だ。そういう憎めない人間の人生を賭けた監督デビュー作。誰からも愛される映画がこの世に出るに違いない。今泉力哉監督小説「こちらあみ子」が映画になると聞いた。見たいです。監督は同じ原作者である今村夏子さんの映画『星の子』で助監督を務めていた森井勇佑さん。撮影を、私が何度もご一緒した岩永洋さんが担当すると聞いた。おふたりは日本映画学校時代からの知り合いらしい。広島での主演オーディションの情報を聞き、わくわくした。すでに本気でいい映画にしようという気持ちが見える。クラウドファンディングの成功を影ながら祈っております。多くの人が支援してくださいますように。『こちらあみ子』第2回目のオーディションは5月下旬にロケ地広島にて開催予定。7月、広島オールロケにてクランクイン予定。(text:cinemacafe.net)
2021年05月11日俳優の井浦新、尾野真千子が、映画『こちらあみ子』に出演することが11日、明らかになった。同作は『むらさきのスカートの女』で第161回芥川賞を受賞した今村夏子のデビュー作で、第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞をW受賞した同名小説の実写映画化作。ちょっと風変わりな女の子・あみ子の純粋で素直な行動を通し、奇妙で滑稽で、でもどこか愛おしい人間たちのありさまを生き生きと描く。本作は2021年7月に原作の舞台でもある広島オールロケにてクランクインを予定。主人公、あみ子役をはじめ、あみ子の好きなのり君、同級生の坊主頭、あみ子のお兄ちゃんの孝太など、子どもたちの主要キャストは純粋さや素直さをなるべく自然体で表現するべく、演技経験の有無を問わずオーディションにて選考しており、第2回目のオーディションは5月下旬にロケ地・広島にて開催を予定している。監督・脚本は、主に大森立嗣監督をはじめ、日本映画界を牽引する監督たちの現場で助監督を務めた森井勇佑。自身が映画化を熱望していたこの作品で監督デビューを果たす。今回明らかになったのは、いつも家族を見守る父役の井浦新と、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母役の尾野真千子。日本映画界を牽引する実力派の2人が、オーディションで選ばれる子どもたちと共に本作の繊細で色彩豊かな世界観を創り上げる。また、今作の製作応援を目的としたクラウドファンディング(MOTION GALLERY)の実施も決定した。○森井勇佑監督 コメント僕がHi8のビデオカメラで遊び始めたのは、中学1年生の頃でした。友達3人くらいと『男プロダクション』と名乗り、高校を卒業するまで30本ほど遊びで映画を撮りまくりました。たいていの友達はカメラの前に立つだけで恥ずかしくて笑ってしまいます。でもそんな中でなぜか、ほとんど笑わずカメラ前で堂々と立っていられるヤツがいました。そいつはぶっきらぼうで、ときどき奇行もするので、学校では浮いた存在でした。でも映画に出るのはすごく好きだったようで、「次は何をとるんや」「映画はとらんのか」としょっちゅう催促されました。今思えば、そういうヤツだったからこそ、存在が面白く、僕らも映画を撮りつづけたのだと思います。『こちらあみ子』をはじめて読んだ時、僕はあみ子のことを友達のように感じました。あみ子は面白いヤツです。その面白さをみんなに伝えたい。それは僕が中学生のときに思ったことと、きっと地続きなんだと思います。それ以来、この小説を映画にしたいと強く思い続けてきました。あみ子という存在は、映画で撮るべきだと思ったのです。『こちらあみ子』が初監督作品になることは、自分にとっては必然的なことだと感じています。覚悟を持って挑みます。と同時に、最高に嬉しいです。ワクワクして仕方がありません。○大森立嗣監督 応援コメント森井は僕の映画の助監督をやっていて、映画を支えてくれていました。映画が本当に好きで、彼は映画に救われているように僕には見えました。映画監督になったら、今度は映画を、救ってください。自分のことはさておいて、映画に携わる人や、観客に向けて、愛を注いでください。だけど、その前に皆様からの応援が必要なようです。次は彼が映画を通して皆様に愛を降り注ぎます。○野尻克己監督 応援コメント森井勇佑は映画を愛するとても純粋な私の後輩だ。純粋な後輩が天才作家、今村夏子のデビュー作で監督デビューする。純粋と天才の掛け算。デビュー作とデビュー作の掛け算。誰からも歓迎される映画がこの世に出るに違いない。余談だが、私の人生を賭けたデビュー作の助監督を森井に三度頼んだが三度断られた。この間、断った理由を聞くとヘラヘラ笑って「覚えていません」と言われた。そういう憎めない人間だ。そういう憎めない人間の人生を賭けた監督デビュー作。誰からも愛される映画がこの世に出るに違いない。○今泉力哉監督 応援コメント小説『こちらあみ子』が映画になると聞いた。見たいです。監督は同じ原作者である今村夏子さんの映画「星の子」で助監督を務めていた森井勇佑さん。撮影を、私が何度もご一緒した岩永洋さんが担当すると聞いた。おふたりは日本映画学校時代からの知り合いらしい。広島での主演オーディションの情報を聞き、わくわくした。すでに本気でいい映画にしようという気持ちが見える。クラウドファンディングの成功を影ながら祈っております。多くの人が支援してくださいますように。
2021年05月11日12人の映画監督による12本の短編映画製作プロジェクト『DIVOC-12』より、三島有紀子監督チームのキャスト陣が発表。さらに、各作品のタイトルも明らかになった。同プロジェクトは、『新聞記者』の藤井道人監督、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督、『幼な子われらに生まれ』の三島有紀子監督という3名が中核となって映画製作を牽引していく。“共有”というテーマで製作する三島監督の作品タイトルは『よろこびのうた Ode to Joy』。主演は『椿の庭』で14年ぶりに主演を務めた富司純子、『his』『佐々木、イン、マイマイン』『くれなずめ』に出演する藤原季節の2人が務める。そして、三島監督チームには、山嵜晋平監督、齋藤栄美監督、加藤拓人監督が参加しており、山嵜監督の『YEN』(ワイイーエヌ)では、『朝が来る』で数々の映画賞を受賞した蒔田彩珠が主演し、共演には、『アルプススタンドのはしの方』の中村守里が決定。齋藤監督の『海にそらごと』では、中村ゆりと、オーディションでその座を見事掴み取り本作で銀幕デビューを果たす高田万作が主演。さらに、一般公募から選ばれた加藤監督の『睡眠倶楽部のすすめ』には、前田敦子が主演する。<キャストコメント>●富司純子新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、数々の映画製作が延期や中止になり、携わるスタッフ、俳優、関係者の仕事が無くなり生活に困窮しているのが現状です。そんな中、有志が映画製作に取り組むお話を頂き、喜んで参加させて頂きました。三島監督はじめ、スタッフがコロナ感染に神経を使い無事に撮り上がりました作品です。皆、映画が好きな人々が集まりました。皆の映画への情熱を感じて下さればこの上ない喜びです。●藤原季節この作品のことを思い出そうとすると頭が真っ白になります。夢中でした。このコロナ禍において僕たち俳優もまた、とてつもない緊張感に晒されて生きています。いつ仕事がなくなるかわからない。新人が作品にチャレンジ出来る機会も減ってきたように思います。このプロジェクトで三島組に出逢い、頭が真っ白になるような喜びを味わいました。この映画は出逢いの映画でもあります。まさに僕にとっても出逢いとなった、この映画を届けたいです。●蒔田彩珠脚本を読んだ時、短い物語の中にも、沢山の意味が込められていると思いました。どんなに親しい仲でも、共有できない想いがあったり、自分にしか分からない気持ちの整理の仕方があったり。この作品を観てくださった方に、作品を通して伝えたいこと、が少しでも多く伝わったらいいなと思います。●中村守里コロナ禍で世界中が戦っている今ですが、作品作りを通して発信し続けることは大事なことだと、エンターテイメント界の一端にいる私も感じています。このプロジェクトに参加出来ること、感謝いたします。今回起用して下さった関係者の皆様、改めてありがとうございます。山嵜監督の『YEN』は短編映画ならではの洗練された脚本です。そこに自分がどんな風にはまっていけるのか、監督の期待に応えられるのか、楽しみながら試行錯誤して撮影に挑みたいと思っています。楽しみにしていてください!●中村ゆり以前の生活とは変化した昨今、沢山の過去の価値観の見直しを世界中がしている中で、孤独を感じる時も、新たな気付きがあったりする時もあります。こんな今だからこそ、人間のふとした優しさや温もりを感じれるような作品にしたい想いで、監督と沢山のお話をしながら作品に向き合っています。●高田万作初めて映画制作に参加させていただきます。今回の作品は、とても自分らしさを求められる作品だと思っています。立ち居振る舞いや後ろ姿だけで役の生い立ちまでを伝えられるような演技が出来るように、映画の世界の中に入り込みたいと思います。初めての経験ばかりで不安もありますが、とても楽しみです。自分の素を信じて、勝負したいと思います!!!!よろしくお願いします。●前田敦子皆で力を合わせて、一つになって大きな作品を作るということが今、必要なことだと感じているので、このプロジェクトで監督3人がそれぞれチームを作って、新しい世界に導いてくださるのはすごく素敵なことだと思いました。加藤監督の作品に携わらせていただいてとても嬉しいです。『DIVOC-12』は2021年、全国にて公開予定。※高田万作の「高」は、正しくは「はしごだか」(cinemacafe.net)■関連作品:DIVOC-12 2021年公開予定
2021年04月30日スマホやパソコンなど、現代はデジタルなものに囲まれる生活が中心となっていますが、こんなときだからこそ本の良さを再認識している人も多いのでは?そこで、本好きにはたまらない話題のドキュメンタリーをご紹介します。『ブックセラーズ』【映画、ときどき私】 vol. 375世界最大の規模を誇るNYブックフェア。そこには、業界で有名なブックディーラーや書店主、コレクターなど、幅広い人たちが集まっていた。そして、本を愛する彼らが本に対する思いや魅力を語り始める。さらに、ビル・ゲイツによって2800万ドル(約28億4千万円)という史上最高額で競り落とされたダ・ヴィンチのレスター手稿やボルヘスの手稿、『不思議の国のアリス』のオリジナル原稿など、さまざまな希少本も多数登場。誰よりも本を愛するブックセラーたちの実態とは?本の世界を支え続けている“素晴らしき裏方”であるブックセラーたちのリアルな声をもとに、業界の裏側や希少本の真髄に迫っている本作。今回は、こちらの方にお話をうかがってきました。D・W・ヤング監督これまでにサウス・バイ・サウスウエストやバンクーバー国際映画祭など、世界各地の映画祭で作品を発表しているヤング監督。ブックディーラーの叔父と叔母を持つ監督だからこその視点で、本作を手掛けています。そこで、本の魅力や業界に女性が必要な理由などについて、語っていただきました。―今回は、本作のプロデューサーであるダン・ウェクスラーさんからの提案がきっかけだったそうですが、監督も親戚にブックディーラーがいらっしゃるので、以前から本を題材にしたいという思いもあったのではないでしょうか?監督確かに、叔父と叔母がブックディーラーということもあって、もともとそういう部分はあったかもしれませんね。ただ、ダン本人が映画プロデューサーでありブックセラーでもあるので、彼の実体験を聞いて非常に面白い題材だと感じたというのが大きかったと思います。あとは、僕の妻でもう1人のプロデューサーでもあるジュディス・ミズラキーが大学で英文科専攻だったこともあって、以前から本に興味があったことも後押しになりました。そういった理由から我々夫婦のなかでも、自然にこのテーマで撮りたいという気持ちが自然と芽生えていったように思います。―これまで外から見ていた本の世界に、実際に踏み込んでみてどのようなことを感じましたか?監督叔父と叔母を通して覗き見をしているようなところがあったので、まったく知識がなかったわけではありませんでしたが、ダンのオフィスに行くようになってから知ることは多かったです。そのなかでも特に希少本に関して初めて気がついたのは、ただの本ではなく、幅広い可能性を持っているんだということ。それから希少本の場合、本の周りにあるものにまで価値が生まれることには驚きました。たとえば、映画でも紹介していますが、『アニーよ銃をとれ』のモデルとしても知られている有名なカウガールのアニー・オークレイは、本と合わせて手袋も高く評価されているんです。そんなふうに、本の周りにあるものにまで豊かさが生まれ、歴史的なものとして大事に扱われていることは発見でした。日本の本や映画からも影響を受けている―では、監督にとって本はどのような存在ですか?監督僕はコレクターではないので、あくまでも純粋に読者として本を楽しんでいます。ただ、本が好きでつい買ってしまうので、どんどん積みあがっている状態です(笑)。―ananwebでは以前『ニューヨーク公共図書館』でフレデリック・ワイズマン監督にも取材をしたことがあり、5000冊はあるとおっしゃっていた本棚の一部を見せていただきましたが、監督もそうなるかもしれませんね。監督そうですね。ワイズマン監督はいま90歳くらいなので、きっと僕もこのままいけばその歳で4000冊くらいはいけるんじゃないかなと。でも、彼はアメリカ人のなかでもちょっと特殊なほうだと思いますけどね(笑)。―(笑)。では、監督の人生を変えた本にはどのような作品がありますか?監督年代によっても影響を受けている本は変わっているので1冊を選ぶのは難しいですが、子どもの頃に好きだったのは『指輪物語』。大人になってからは、サミュエル・ベケットの戯曲にも非常に感銘を受けました。あとは、作家のスーザン・ソンタグからも大きな影響を受けているので、彼女の言葉は映画の冒頭にも使わせてもらっています。―ちなみに、監督のコレクションのなかに日本の作品もあれば、どのような作家がお好きか教えてください。監督村上春樹は外せないですが、三島由紀夫をはじめ、ほかにも何名か日本の作家の作品は読んでいます。そういった作品を通して、日本に対する印象を得ることもありますが、本よりもどちらかというと日本の映画のほうから影響を受けているところはあるかもしれません。小津安二郎、溝口健二、黒澤明はもちろんですが、好きな作品としては、日本の裏社会を描いているヤクザが主人公の篠田正浩監督作『乾いた花』が挙げられます。いまは本に対する危機感よりも希望のほうが大きい―劇中で「将来は映画『ブレードランナー』のようなテクノロジーが進化した世界になり、本がなくなってしまうかもしれない」という不安を抱いている方のお話もありましたが、監督にもそういう危機感はありますか?監督僕にも100年先のことはわかりませんが、たとえみんなが宇宙に行けるようになる時代になっても、本は残るんじゃないかなと思っています。可能性として言えるとすれば、いまは日常生活のなかにある本がもしかしたら将来は本自体が“物珍しい対象”になってしまうようなことはあるかもしれないですね。ただ、僕はこの映画を作る前よりも作った後のほうが、そういった危機感よりも本には希望を感じるようになりました。―それはなぜでしょうか?監督この作品は、すでにアメリカやさまざまな国で公開されましたが、思っていたよりも多くの方が観てくださいました。その様子を見て、みなさんのなかに本に対する興味があることを感じられたからです。―とはいえ、いまは本離れが進んでいますよね。監督から本の良さを伝えるとすれば、どんなことですか?監督実際に本を持つことによって、自分の人生に“マーキング”できるのが魅力だと思います。たとえば、本棚の前を通りかかったときにふと置いてある本が目に入ると、過去にその本を読んだときのことを思い出しますよね?電子ブックだと、読み終わった瞬間に終わってしまうかもしれませんが、実物があるとそういう楽しみ方もできますし、人間というのは体を使って何かをすることで脳に働きかけ、そして学ぶことができるものですから。それは書店を訪れるときも同じで、書店に行くと探すつもりがなかった本や知るはずもなかった本と出会うことができますが、実際に本のビジュアルを目にするのと電子ブックでは、頭が認識するスピードが違うはずです。そんなふうに、実物の本は電子ブックに比べて、読んでいる人と複雑な関係性を結ぶことができるので、人生とより深い関わりを持てると思います。これからの業界には女性がもっと必要になってくる―なるほど。確かに本ならではのメリットですね。監督ただ、僕は必ずしもアンチテクノロジーというわけではありません。電子ブックやオンラインでもいろいろな幅広い知識を得られますし、大事なツールであることには間違いないですからね。なので、大切なのは両方をうまく使っていくことだと思っています。―バランスが大事かもしれませんね。また、本作では女性ブックセラーや本の業界における女性の立場などについても触れています。女性たちが本の世界に与えた影響についてはどうお考えですか?監督彼女たちは、非常に大きなエネルギーを業界に与えてくれたと思っています。なぜなら、女性が入ってきたことによって、「どうすれば女性のブックセラーを増やせるか」とか「どうやってビジネスに変化をもたらし、女性に貢献できるのか」といった話を彼女たちから学ぶことができたからです。本の世界には、変化することを認めたがらない人たちがいたのも事実。でも、そんななかで男性にはないような視点を持つ女性たちがいろいろな提案をしてくれたおかげで、新たな可能性を開拓し、これまでとは違う層に訴えることができた感じています。それは、女性ブックセラーだからこそできたことではないかなと。そういった意味でも、この業界には映画に出てくるような女性たちが今後もどんどん増えていく必要があると思っています。本でしか味わえない経験があることを知る普段見ることができないブックフェアの裏側から貴重な本の数々まで、知られざる世界を垣間見ることができる珠玉のドキュメンタリー。本を手にしたときにしか味わえない有意義な時間を得るために、まずは本作で本の魅力を再確認し、書店の楽しみ方についても学んでみては?取材、文・志村昌美本が読みたくなる予告編はこちら!作品情報『ブックセラーズ』4月23日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開配給・宣伝:ムヴィオラ、ミモザフィルムズ© Copyright 2019 Blackletter Films LLC All Rights Reserved
2021年04月22日女優・冨士眞奈美が古今東西の気になる存在について語る当企画。第3回は1951年より東京・新宿三丁目に構える名店『どん底』について。「青春のアジトだった」と回想する楽しい思い出の数々。三島由紀夫「最近は、俺ですら予約しないと入れないよ」■著名人が通う店『どん底』2020年の2月に亡くなったオーナーの矢野智さんが笑いながら教えてくれた姿が忘れられない。ロシア民謡酒場『どん底』が時代を超えて愛されている何よりの証拠。なんでも若い人の間でも昭和レトロな雰囲気が楽しいらしく、人気を呼んでいるそうね。名前こそ『どん底』だけど、その存在は見上げるくらい大きいのだと、改めて思う。私が初めて『どん底』を訪れたのは18歳のとき。当時は、NHKの専属女優だったころで、俳優座養成所へも研究生として通っていた。お酒を飲んではいけない年齢だったけど、仲間とどこ吹く風で毎晩のように『どん底』へ通い、アルコール入り飲料を飲んでいた、はず。時効だから許してちょうだい。店名である『どん底』の由来は、智さんが舞台芸術学院の1期生で、『どん底』の舞台が最後の舞台になるかもしれないから『どん底』にしたらどうだ、とアドバイスされたことによるという。最低からの出発だからあとは上がっていくだけ。俳優座の研究生が数多く通っていたのも納得で、新人女優だった私にとっても心強い響きを持っていたのだと思う。俳優座養成所の仲間とは本当によく飲んだなぁと昨日のことのように思い出す。その中には養成所の先輩でルームシェアもしていた大山のぶ代もいた。『どん底』にも一緒に行ったけど、彼女はお酒が飲めない。ドラえもんはお酒を飲めない──そう考えると腑に落ちるところがあって、のちのち彼女が子どもたちに夢を与えるドラえもんで本当によかったんだなって思う。■有名人がこぞって通う出会いの場いろいろな人と出会った場所でもあった。三島由紀夫さん、青島幸男さん、野坂昭如さん、ハナ肇さん……。名だたる方々がお見えになって、『どん底』なんて店名にもかかわらず、その響きとは無縁な人たちがお酒を酌み交わす姿は、しゃれっ気があって面白かった。親友である岸田今日子、吉行和子とも行ったけど、ひとりでも、お金があってもなくても出かけた。私たちが通っていたころは“どんカク”と呼ばれていた「どん底カクテル」、梅酒のサイダー割りだったかな。50円で飲むことができたから、新人や研究生にとっては心だけじゃなくて財布にも優しかったのね。卵から著名人まで作家、画家、歌手、ダンサー、彫刻家、大学の先生……多士済々とはこのことで、実ににぎやかで、みんながさりげなく飲んでいる心地よいお店だった。年末になると、お店の人だけで忘年会をするんだけど、そんな場にも参加しちゃって、飲んでは寝ての繰り返し。眠くなるとソファで横になって、また起きて飲む。興が乗りすぎて、燃え盛るペチカにオーナーがジャケットを投げ入れたり、ウオツカを降りそそいで手を叩いて喜んでいるうちに火の手が大きくなってしまったりとさんざんなこともあった。私の結婚披露宴も『どん底』だった。失敗。あれも思い出これも思い出。人生は帳尻が合えば万々歳。『どん底』はマドリードにスペイン店があるのだけれど、オーナーの智さんがスペインから戻るたびに、岸田用、吉行用、私用にお土産をプレゼントしてくれた。センスいいし、面倒見がいい人。尊敬できる人だった。スペイン店には、司馬遼太郎さんや結婚する前の三浦友和さんと山口百恵さんも婚前旅行で訪れていたらしいんだけど、ホント、どこが『どん底』なのよ。智さんは亡くなってしまったけど、その遺志を娘さんが継承しているから、きっとこの先も時代の生き証人のようなお店として存続していくと思う。心を許せるアジトのようなお店があると、人生ってより彩りが豊かになる。ふじ・まなみ静岡県生まれ。県立三島北高校卒。1956年NHKテレビドラマ『この瞳』で主演デビュー。1957年にはNHKの専属第1号に。俳優座付属養成所卒。俳人、作家としても知られ、句集をはじめ著書多数。《構成/我妻アヅ子》
2021年03月27日何かと騒々しい日常生活を送っているときこそ、映画にどっぷりと浸りながら違う世界へと誘われたいと思うもの。そこで、今回オススメするのは、ある宿命を背負った女性の激しくも切ない愛の物語を描いた注目作です。『水を抱く女』【映画、ときどき私】 vol. 368ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネは、小さなアパートで暮らし、博物館でガイドとして働いていた。ある日、恋人のヨハネスが別の女性に心移りしてしまったことを知り、悲嘆にくれていたウンディーネ。そんな彼女の前に、愛情深い潜水作業員のクリストフが現れる。数奇な運命に導かれるように、惹かれ合うふたりだったが、次第にクリストフはウンディーネが何かから逃れようとしているような違和感を覚え始めるのだった。そして、彼女はついに「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して、水に還らなければならない」という自らの宿命に直面することに……。本作のモチーフとなっているのは、“水の精 ウンディーネ”の神話。古代ギリシャ時代からさまざまな作品にインスピレーションを与えてきた題材で、アンデルセンの『人魚姫』をはじめ、チャイコフスキーやドビュッシーといった芸術家たちを虜にしてきたテーマです。そこで、同じくウンディーネの物語に魅了されたこちらの方にお話をうかがってきました。クリスティアン・ペッツォルト監督これまでにベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞するなど、ドイツの激動の歴史を描く社会派として知られているペッツォルト監督。今回は、多くの天才アーティストたちに愛されてきた神話の魅力や日本映画から受けている影響などについて語っていただきました。―「水の精」を描いたこの作品を皮切りに、「火の精」と「地の精」という神話をテーマにした“精霊三部作”を作ろうとお考えのようですが、きっかけから教えてください。監督実は以前から、1度は三部作を作りたいと思っていました。ただ、僕はもともと怠けやすい人間なので、口に出さないと動けないタイプなんですよ。なので、今回は自分が働くための理由になると思って、最初から「三部作にする」と宣言しました。僕は一旦口にしたことは守るタイプですからね。そうやって言うことで自分にとって“足かせ”のような意味もあるんですよ(笑)。―そんな背景もあったんですね。この神話は古代ギリシャ時代から現代まで、多くの芸術家が魅了されています。そこまで長年にわたって多くの芸術家を惹きつける魅力は何だと思いますか?監督ドイツでウンディーネが人気を集めたのは、産業革命の頃。自然が破壊され、人間に支配されるようになると、自然は“エネルギーの供給源”として見られるようになりました。そういったときにドイツロマン派の人たちから「自然の魔術的な力が失われないようにしたい」といった声が上がり、自然に対する憧れとしてウンディーネがテーマとして生まれたんです。そういったこともあって、ロマン派の絵画などには、自然回帰に関する内容の作品があるんですよ。映画では、曖昧な記憶を描くほうがおもしろい―監督はこのテーマを取り上げるうえで、意識したことはありますか?監督ウンディーネというのは、男性の視点から描かれているんですが、僕はエロティシズムの対象として描いたりするような男性目線のウンディーネにしたくないということだけは気をつけました。―もともと監督も幼い頃からウンディーネの神話はご存じだったそうですが、あらゆることを間違って記憶されていたそうですね。ただ、記憶が曖昧だからこそ、それが監督の想像力を刺激するような部分もありましたか?監督そうですね。僕はその曖昧さこそがおもしろいところだと思っています。なぜなら、オリジナルの文学をそのまま再現するような映画は非常に退屈な作品になってしまいますからね。それよりも、曖昧な記憶について語るほうが興味深いものになるはずです。映画というのもまた、記憶なんですよ。たとえばこの作品では、水中の世界を描いていますが、僕は潜水ができないので、本物の水中の世界に入ったことはありません。それでも、すべて僕らが想像するわけです。今回、水中のシーンはすべてスタジオに作ったものですが、そこで作られた水中の海藻や廃墟の壁などは実際にあるものを再現したわけではなく、想像をもとに作りました。そんなふうに、記憶や想像をもとに作るほうが僕は好きなんです。―ウンディーネについての物語で、何か参考にされた作品はありましたか?監督先ほども言ったように、男性目線ではなく、女性の視点からウンディーネを描きたかったので、それに近かったのは、1961年に出版されたオーストリアの詩人で小説家のインゲボルク・バッハマンによる『ウンディーネが行く』という小説。この本を読んだときに、インスピレーションを受けました。撮影前は、小津作品を毎回観るようにしている―日本でも、三島由紀夫や手塚治虫といった巨匠たちがウンディーネをモチーフに取り入れた作品を描いていますが、日本の作品は読まれましたか?監督それらの作品は手に取っていませんが、撮影に入る前にキャストたちと水や海岸に関するいろいろな映画を観るなかで、小津安二郎や北野武の作品を観ることはありました。そのなかでも僕にとって重要な作品は、小津安二郎の『晩春』。父と娘の関係を描いた物語で、特に自転車に乗って海に向かっていくシーンが非常に印象的な映画です。この作品は今回に限らず、僕が映画を作る際にはほぼ毎回観るようにしています。―それはどういった理由からでしょうか?監督以前『東ベルリンから来た女』という作品を撮るときにも、キャストたちと一緒に観ましたが、『晩春』からは古いものと新しいものが共存した世界をたくさん学べるからです。たとえば、アメリカが戦勝国であることがわかるような英語の標識が映されているいっぽうで、がんばって生きて行こうとする若い世代や父と娘という日本の家族についても描かれていますよね。そのバランスが絶妙なので、僕は映画を撮る前に観るようにしている作品のひとつです。いつの時代でも共感できるものは愛―非常に興味深いです。監督はこれまでの作品も今回も愛についての物語を描いているとコメントされていますが、映画で愛を描きたいと思う理由について教えてください。監督愛にはいろいろな愛があって、時代によっても異なるところはありますが、それでも共通しているところがあるので、いつの時代でも誰もが共感できるものだと感じているからです。―確かに、愛にはそういうところがありますね。監督ちなみに、愛を毎回描いてはいますが、僕は映画のなかでセックスシーンを描くのが好きではありません。もしかしたら、若い頃に映画館でセックスシーンのある映画を観たあとに、家で両親からそういう気配を感じて恥ずかしい思いをしたことが理由かもしれませんが……。ただ、今回の作品では1か所だけ、そういったシーンを入れました。なぜかというと、あそこではただ2人が裸でじゃれあっているのではなく、水中というメタファーに繋がっているからです。自分でもすごくいいシーンになったと感じています。―非常に素敵なシーンだと思うので、ぜひ注目していただきたいですね。また、主演を務めたパウラ・ベーアさんとフランツ・ロゴフスキさんのおふたりも素晴らしかったですが、現場での様子はいかがでしたか?監督彼らとは『未来を乗り換えた男』でも仕事をしていますが、2人ともほかの俳優にはないようなやり方で演じるのが興味深いところです。新しく飼う猫を初めて家に連れてきたときの様子を思い浮かべてほしいのですが、猫は新しい飼い主の家のなかで、居場所を探そうとしますよね?そんなふうに、この2人は見つめ合ったり、間合いを取ったりしながら感覚的な距離感を見つけていき、お互いのことを信頼していくのです。そこで生まれる大きな集中力を見たときに、すごい俳優たちだと感じました。2人の愛が芽生える瞬間を見てほしい―監督が観客にオススメしたいシーンはありますか?監督彼女のアパートでプレゼンの練習をしているところがありますが、あのシーンを撮ったときは、夜の素敵な景色も切り取れたので、2人の演技も含めてぜひ見逃してほしくないところですね。あとは、冒頭で水槽が割れるシーン。ガラスの破片や金魚、海藻などがばーっと散らばり、まるで波打ち際のように水が押し寄せる瞬間に、愛が芽生えるので、僕個人としてもすごく好きなシーンです。―では、今後はどのような作品を予定されているのか、最後に教えてください。監督次回作は、炎に関する「火の精」の物語で脚本もほぼできあがっています。ただ、俳優たちが触れ合うようなシーンを撮れるのは、来年になると思うので、撮影は少し先になるかもしれません。舞台はバルト海で、若者のグループがそこで夏を過ごしているのですが、森林火災が発生してしまいます。最初は楽しそうに始まるものの、徐々に彼らの心のなかにも燃え盛る炎があり、最後は……といった感じですね。その次は刑事モノを撮って、さらにその次は大地をテーマにした「地の精」の作品を撮ろうと考えてるところです。ちなみに、大地の作品に関しては、ニュー・ジャーマン・ シネマのような作品ではなく、宮崎駿監督の作品のような雰囲気を出せたらいいなと思っています。魅惑的な世界観の虜になる!内に秘めた激しさと繊細な感情を表現している俳優陣の見事な演技と美しい映像、そして官能的な愛の物語から目が離せない本作。ミステリアスなウンディーネの魅力を前にすれば、まるで湖の底へと引きずり込まれるような感覚に陥るはずです。取材、文・志村昌美息を飲む予告編はこちら!作品情報『水を抱く女』3月26日(金)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開配給:彩プロ© SCHRAMM FILM/LES FILMS DU LOSANGE/ZDF/ARTE/ARTE France Cinéma 2020※3月27日(土)新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺にてクリスティアン・ペッツォルト監督のオンライントークショー開催決定!(ともに18:50回の本編上映後実施)
2021年03月25日渡辺謙主演、宮沢氷魚共演で注目を集めながら、昨年、わずか10回きりの上演となった舞台「ピサロ」が5月15日(土)~6月6日(日)アンコール上演されることが決定した。「ピサロ」(原題:ザ・ロイヤル・ハント・オブ・ザ・サン)は16世紀、167人の寄せ集めの兵を率いて、2400万人のインカ帝国を征服した、成り上がりのスペインの将軍ピサロの物語。「アマデウス」「エクウス」などで、トニー賞最優秀作品賞、ニューヨーク劇作批評家賞など数多くの賞を受賞した英国を代表する劇作家ピーター・シェーファーによる傑作戯曲。2020年3月、PARCO劇場オープニング・シリーズ第1弾公演として華々しく開幕する予定だったが、コロナ禍により初日を延期、45回予定のところ、わずか10回の上演となっていた。今回、観劇が叶わなかった多くの方々のリクエストに応え、2021年5月にアンコール公演が決定。日本初演は36年前の1985年PARCO劇場。当時まだ無名だった渡辺さんがインカ帝国の王・アタウアルパを演じ、観客に鮮烈な印象を残した。昨年、渡辺さんは、自身に「俳優を一生の仕事とする」覚悟を決めさせる1本となった本戯曲に、タイトルロールとして帰還。スケールと情熱を湛え、人間存在の深みを共感させる素晴らしい演技を披露した。ピサロに対峙する太陽の子・インカ王アタウアルパ役を演じたのが宮沢さん。2018年、三島由紀夫最後の長編小説を舞台化した「豊饒の海」でも進境著しい演技をみせた宮沢さんが挑んだアタウアルパは、その気品と風格が舞台に輝きをもたらした。そして1年後の本年5月、渡辺さん、宮沢さんに加え、栗原英雄、大鶴佐助、長谷川初範、外山誠二ら実力ある俳優陣が再び結集。演出は、英国ロイヤル・バレエで長く活躍し、「ウィンド・イン・ザ・ウィローズ」で2014年ローレンス・オリヴィエ賞ベスト・エンタテイメント賞を受賞したウィル・タケットが担当。「必ずリベンジ公演するぞと皆と話しておりました」という渡辺さんは、「念願が叶い、再びこの難敵と向かい合う機会を得ました。ウィル・タケットのダイナミックな演出の舞台を是非ご覧下さい」とコメント。宮沢さんも再上演を喜び、「再演できる奇跡とまた舞台の上に立てる喜びを噛み締めながら毎公演頑張ります。沢山の困難を乗り越え、パワーアップしたこの作品をぜひ観に来て下さい」と期待を寄せる。そして、演出ウィル・タケットは「多くの方々にとって困難な一年ではありましたが、演劇が、観客の皆様へもたらす力を、パルコのような製作者が信じ続けているということに、私は大いに勇気づけられました」とコメント。「この作品の為に、またあの多くの出演者たちが結集し、創作を共にできるかと思うと、興奮を抑えきれません。寛大で、素晴らしい俳優である渡辺謙氏が見せる、驚異的なピサロの演技は、皆を触発しますし、共演者も卓越したパフォーマンスを見せてくれます」と語り、「視覚的な驚異をも伴う、大きな旅路の物語の中、演者達ひとりひとりが、人間の魂の持つ強さや脆さを、鮮烈に描き出してくれることでしょう」と再結集に自信を見せている。PARCO PRODUCE 2021「ピサロ」は5月15日(土)~6月6日(日) PARCO劇場にて上演。(text:cinemacafe.net)
2021年03月01日ドイツを代表する名匠クリスティアン・ペッツォルト監督の最新作で、第70回ベルリン国際映画祭・銀熊賞(最優秀女優賞)と国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)をW受賞した『水を抱く女』から、日本版予告編とメインビジュアルが解禁となった。本作は、「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して、水に還らなければならない」という、切ない宿命を背負った女の物語。妖艶なウンディーネを『婚約者の友人』のパウラ・ベーア、心優しいクリストフ役には『希望の灯り』のフランツ・ロゴフスキが演じている。今回解禁された日本版予告編は、パウラ演じるベルリンの都市開発を研究する歴史家で、博物館でガイドとして働くウンディーネが恋人に別れを告げられ、「愛していると言って。あなたを殺したくない」と答える場面から始まる。そして、フランツ演じるクリストフとの衝撃的な出会い。激しく惹かれ合っていく2人だったが、ある日彼女は突然姿を消してしまう…。“その男は知らなかった。彼女の逃れられない宿命を”というナレーションが意味する彼女の切ない愛の形とは?2人の愛のゆくえがバッハの旋律と水のようにたゆたう映像美とともに描かれていく。本作のモチーフは、古くから多くのアーティストたちにインスピレーションを与えてきた、“水の精・ウンディーネ(オンディーヌ)”の神話。アンデルセンは童話「人魚姫」を書き上げ、チャイコフスキーはオペラ、ドビュッシーは楽曲を創作した。また、ゲーテが「ドイツの真珠」と絶賛したロマン派のフリードリヒ・フーケが発表した傑作小説「ウンディーネ」は、近年再評価されている三島由紀夫の「仮面の告白」にも登場。ジャン・ジロドゥの戯曲「オンディーヌ」から手塚治虫「七色いんこ」(「オンディーヌ」)、劇団四季「オンディーヌ」などが生まれるなど、天才たちを魅了し続けてきた物語だ。ペッツォルト監督は、「『東ベルリンから来た女』『あの日のように抱きしめて』『未来を乗り換えた男』と同様に、本作は愛についての物語です。しかし、それら過去作は不可能な愛、傷ついた愛、あるいは発展を予想させる愛について語っています。今回は愛がどのように発展していき、心にどのように残っていくのかを描きたかったのです」と語っている。予告編と併せて解禁されたメインビジュアルは、「愛が終わるとき、哀しき殺意のとき」というコピーとともに、男の肩越しにこちらを見つめるウンディーネの視線が印象的な1枚に仕上がっている。『水を抱く女』は3月26日(金)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:水を抱く女 2021年3月26日より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国にて公開© SCHRAMM FILM / LES FILMS DU LOSANGE / ZDF / ARTE / ARTE France Cinéma 2020
2021年02月02日現在、全国に100万人いると推測されるひきこもり。近年、中高年層が増加しており、内閣府は一昨年初めて40歳以上が対象の調査結果を公表した。一般的には負のイメージがあるひきこもり。その素顔が知りたくて、当事者とゆっくり話してみたら……。(ノンフィクションライター・亀山早苗)※写真はイメージです上田真人さん(39)のケースある日、東京下町の古本屋の2階で『コロナ禍に生きる、居場所を求める人が人と繋がり続ける為の本・文学』という会が開かれた。数人が集まってコロナ禍で読んだ小説や写真集を紹介し、それについてみんなで語り合う。カミュの『ペスト』やプルーストの『失われた時を求めて』の話題が出たかと思うと、元ひきこもりだった男性が当時の話を始めたり……と話題は豊富で自由だ。この会を主宰したのは、上田真人さん(39)。過去にひきこもった経験をもつ。そのとき恋愛エッセイや心理学の本に助けられたという彼は、今もこうして本がらみのイベントを行っている。本のみならず、上田さんの芸術・文化への興味は深い。仕事のかたわらさまざまな活動を続ける上田さんだが、「人生の方向性が見えてきたのは30歳を越えてからですね」と穏やかに言った。■父と母は上司と部下のような関係上田さんはサラリーマンの父とパートで働く母のもと、長女に次ぐ第2子として生まれた。「両親とも複雑な家庭で育ったらしいんです。父は親が離婚して母親に引き取られ、苦労したようです。母は親ではなく、幼稚園を経営するクリスチャンの家庭で育てられた。そんな父と母が職場で出会って結婚したんです。母は熱心なクリスチャンだったので、父もクリスチャンになって。僕も子どものときはよく教会に行っていましたね。大きくなったら何になりたい?と聞かれ、『牧師さん』と答えて周りの大人に喜ばれていました」父と母は上司と部下のような関係に彼には見えたという。父親のいない家庭で育った父は、おそらく「こういう家族が理想的だ」というイメージがあったのだろう。一家でよくドライブに出かけたりもしたが、父親中心にまとまるのが暗黙の了解だった。「父が家で食べるのが好きだったので、外食なんてまったくしませんでした。しかも家族は絶対に一緒に食べないとダメなんです。家のことは母に任せきり。母もパートで働いていたから大変だっただろうなと今になると思いますね。母が何かミスをすると父が上司のように怒るんです」親に虐待されたことはない。ただ、典型的な家庭像を望む父とそれに従っている母を見て「何か違う」と思いながら育った。「姉が摂食障害で苦しんでいた時期があったので、やはりどこか家族関係が歪んでいたのかなぁとは思います。僕自身は小・中学校のころはごく普通で、中学ではサッカーをやっていました。でも高校入学後、山田かまちを好きになって、それを周りで理解してくれる友人がいなくて(笑)」山田かまちは、1960年に生まれ、17歳で夭逝後、詩や絵画などが遺族によって発表されて人気を博した人物。絵や詩文は少年から青年へと向かう心の揺れや魂の叫びに満ちており、その“孤独”に上田さんは憧れたという。ちなみに私は高校時代に三島由紀夫にハマり、「好きで生まれてきたわけではないのだから、最後は自分の選択で人生を終わらせるべきだ」という考えに固執して学校へ行けなくなった時期がある。10代の心は非常に脆く繊細なのだと思う。「高校時代は休み時間、いつも図書室で本を読んでいました。『若きウェルテルの悩み』とか。美術部だったので淡々とひとりで絵を描いたり詩を書いたり。友人との交流もトラブルもなかったです。でも、誰かと一緒に落ち着ける“居場所”が欲しいなぁと感じていましたね」■恋愛トラブルと将来への不安目標もなく、やりたいこともない。大学へ行く必然性も感じなかったが、やることがないため一浪して、ある有名私立大学へ進んだ。学生時代は音楽にハマってヒップホップを楽しんだりもした。一方で、親にあまり経済的負担をかけまいと、朝からコンビニやティッシュ配りのバイトもした。バイトと大学と趣味で多忙になったことに加えて、将来の不安が急に重くのしかかってきて、ある日ふと、バイトをサボってしまう。さらに、中学時代の同級生と一緒にやっていたフットサルチームでトラブルが起きる。マネージャーの女性を好きになり、断られても何度も告白し、それが仲間にバレて総スカンを食ったと彼は感じていた。高校、大学とあまり友人に恵まれなかった彼にとって、中学時代の友人は大切な存在だったが、その一件で自分がしでかしてしまったことなのに人間不信となった。「なんだか、何もかもどうでもいいというか気力がなくなってしまったんです。大学はなんとか卒業したけど就職する気にもなれず、そこから4年近くひきこもりました。両親には“働かないのか”とよく言われていましたね。ネットを使って音楽関係の器材を安く仕入れて売ってみたり、ホームページを作るショップをネット上に作ったりしたんですが、儲けはほとんど出なかった」■自助グループの心地よい距離感何をしたらいいのか、何をしたいのか。彼は苦しい思いを抱えながら暗中模索していた。そんな息子をみて、母親はひきこもりについて勉強を重ねていたようだと彼は言う。「姉は短大を出て隣町で就職、ワンルームマンションで暮らしていたんです。結婚してその部屋が空いたので、そこに住めと親に言われて。親子で少し距離をとったほうがいいと母が考えたようです。ネットビジネスはうまくいかないのでやめましたが、やはり外で働くことはできない。そのとき依存したのが本ですね。女性向けの恋愛エッセイや心理学関係の本を、図書館やネットカフェで読みあさっていました。依存症関係の本からカウンセリングにつながり、とある自助グループを紹介されたんです」それが25歳を過ぎたころ。本しかすがるものがないのはよろしくないと自分でも感じていた時期だった。人と接するのは怖くもあったが、「とりあえず、行くだけ行ってみた」という。最初に参加したミーティングで、自己肯定感をもてないのは自分だけではない、さまざまな生きづらさがあると知った。それから徐々に上田さんはそのグループにのめり込んでいく。「ひとり暮らしで昼夜逆転生活になり、ミーティング以外は何もしない生活が続きました。そういう話をミーティングで相談すると““朝、散歩するといいんじゃない?”と言われる。だけど誰かが“一緒に散歩しましょう”とは言わない。その距離感が僕にはちょうどよかったんですよね。実際、朝、散歩してみると1日が長い。当時はミーティングに出ることだけを目標として暮らしていました」そのころ、母から誕生日に手紙をもらった。彼は8月下旬の残暑厳しい日の昼に生まれたのだが、母はその日のことだけを綿密に書いていた。暑くて出産までに時間がかかり、大変だったけど生まれてとてもうれしかったこと。その手紙を読みながら、彼は「ただ涙が止めどなく、こんなに涙って出るものなのかと不思議に思いながら声を出して泣いた」という。もし育ててきたことを恩着せがましく書かれたら、彼の心は動かなかっただろう。「それまで、母の思いどおりにしなければ愛されないという思いが強かったのかもしれない。でも、母は母なりに愛してくれていた。父は威張っていたけど、それは家族を思っていたから。ストレスで家族に八つ当たりしがちだったのかもしれない。そう思いました」彼の中で何かが少しずつ溶けていった。生活費や自助グループへ行く交通費などは親がかりだった。客観的に見ると、上田さんの親は少しずつ彼の意識を変えるよう努力してきたのではないかと思う。うまく距離をとりながら、息子をゆっくり見守ってきたのではないだろうか。■仲間との和解、自立への一歩ところが27歳のころ、親に「もうお金がない」と言われる。自助グループに行けなくなったら困る。彼は初めて「自分が何をしたいのか」を真剣に考え始めた。「環境問題にすごく関心があったんです。農薬に利用されている化学物質の危険を訴えた『沈黙の春』の著者、レイチェル・カーソンに憧れました。彼女は生物学者だけど、僕は今から生物学者にはなれない。でも、もしかしたら環境を守るための樹木医にはなれるかもしれないと考えたんです」知的障害者と農作業をする福祉関係の仕事があると自助グループの仲間に聞き、実務経験を得るために彼は飛びついた。さらに「ひきこもり」に特化した自助グループを仲間と立ち上げる。ここから上田さんの人生はうまく転がり始めた。「最初に行った自助グループのおかげですね。僕はいつも自分にダメ出しする気持ちが強かったんです。でも自分に対して肯定的になる、自分のよさを見つけるセルフケアを意識するようになって、自分を徐々に受け入れ認められるようになった。そうしたら何か人のためにできないかと考えられるようになったんです」同時に過去へのこだわりにも訣別したい思いが強まり、29歳のとき、当時のフットサル仲間のもとへ赴いて謝罪した。ところが、仲間たちはほとんどそのことを覚えていなかったし、気にしていなかった。過剰反応して、自分から距離をとっていたとわかったのだ。過去の人間関係を取り戻したことが、彼の心を安定させた。■就職・結婚を叶え、人を救う立場へそれから9年。さまざまなことがあった。母と姉が相次いで病気で鬼籍に入った。団地の自治会長をしながらひとりで暮らしている父を、上田さんはときどき連絡をとりながら逆に見守る立場になった。仕事では、樹木医を目指していたものの福祉関係の勤務先でパン作りの担当になってしまい、夢が頓挫。だが、仕事をしながら、彼は自分が本当に望んでいるものに気がついたようだ。2019年春、専門学校に1年間通った末に精神保健福祉士の資格をとり、精神障害者施設に転職。さらに同年7月に、5年間の交際を実らせ、ひと回り年下の女性と結婚した。「収入面を考えると、なかなか結婚に踏み切れなかったんですが、精神保健福祉士の資格をとって方向性がはっきり見えてきたので、やっとプロポーズできました。結婚してよかったと思います。親をはじめ、いろいろな人から無償でもらったものを、次の人に無償で与える機会を得たような気持ち。そういう存在に自分がなれるのかな、と。子どもはいらないと思っていたけど、僕みたいに親の文句ばかり言ってきた人間がどういう親になるのか楽しみなので(笑)、子どもをもつのもいいかなと思っています」ひきこもり経験者としての活動も多岐にわたる。自分が主宰する当事者会もあるし、冒頭で紹介した本を媒介にしたイベントも定期的に行っている。上田さんには1年数か月にわたって断続的に会ってきたが、会うたびに存在感が増していくのを感じていた。じっくりと自分を見つめながら着実に充実感を得ている様子がわかる。饒舌なタイプではないが、さまざまな文化・芸術への造詣の深さ、新しいものへのアンテナの鋭さにも学ぶ点が多い。また彼は『暴力的“ひきこもり支援”施設問題を考える会』を共同で立ち上げ、いわゆる「引き出し屋」の問題も提起し続けている。「これからも、僕はトラウマや居場所の欠如からひきこもった人たちに何か発信していけたらと思っています。YouTubeで始めた“居場所をくださいチャンネル”はそのひとつです」自分の経験を糧にして、そこからさまざまな助けとなる雫を周りに振りまいているように見える上田さん。彼自身はクリスチャンではないのだが、敬虔なクリスチャンだった母の思いが彼の血肉になっているのかもしれない。かめやま・さなえ1960年、東京生まれ。明治大学文学部卒業後、フリーライターとして活動。女の生き方をテーマに、恋愛、結婚、性の問題、また、女性や子どもの貧困、熊本地震など、幅広くノンフィクションを執筆
2021年01月31日ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞した『東ベルリンから来た女』や、『あの日のように抱きしめて』『未来を乗り換えた男』などで知られるドイツの名匠クリスティアン・ペッツォルト監督の最新作『Undine』が邦題『水を抱く女』として、2021年3月26日(金)より公開が決定した。■天才たちを惹きつけた魅惑的な“水の精”の神話がモチーフドイツの激動の歴史を描き続けてきたペッツォルト監督の新作は、「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して水に戻る」という宿命を背負った美しき“水の精・ウンディーネ(オンディーヌ)”の神話がモチーフ。この魅惑的な神話は、古くから多くのアーティストたちにインスピレーションを与えてきた。アンデルセンは童話「人魚姫」を書き上げ、チャイコフスキーはオペラ、ドビュッシーは楽曲を創作した。また、ゲーテが「ドイツの真珠」と絶賛したロマン派のフリードリヒ・フーケが発表した傑作小説「ウンディーネ」は、現代でも読み継がれている。近年、再評価されている三島由紀夫の「仮面の告白」にも登場している。■ベルリン国際映画祭&ヨーロッパ映画賞で女優賞神秘的なウンディーネを妖艶に演じたのは、フランソワ・オゾン監督『婚約者の友人』や、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督『ある画家の数奇な運命』などの注目作に出演している若き実力派パウラ・ベーア。本作でベルリン国際映画祭とヨーロッパ映画賞にて女優賞受賞という快挙を成し遂げた。心優しい潜水作業員のクリストフ役にはダンサーや振付師としても活躍する『希望の灯り』のフランツ・ロゴフスキ。この主演のふたりは、ペッツォルト監督の前作『未来を乗り換えた男』にも出演しており、稀有な才能の親密な再タッグが、濃密な映像世界へと観客を誘引。 ベルリンでは銀熊賞(女優賞)と国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞をW受賞した。■ストーリーベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ。彼女はアレクサンダー広場に隣接する小さなアパートで暮らし、博物館でガイドとして働いている。恋人のヨハネスが別の女性に心移りし、悲嘆にくれていたウンディーネの前に、愛情深い潜水作業員のクリストフが現れる。数奇な運命に導かれるように、激しく惹かれ合うふたり。幸せで無垢な新しい愛を大切に育むも、彼女が必死に何かから逃れようとしているような違和感をクリストフが感じとったとき、ウンディーネは再び自分の宿命と直面することになる…。『水を抱く女』は2021年3月26日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2020年12月24日戦後の日本文学界を代表する三島由紀夫没後50年となる今年。9月、日生劇場において4日間限りで『MISHIMA2020』が上演された。彼の人生、作品、思想に刺激を受ける4名の演出家、加藤拓也、熊林弘高、長久允、野上絹代が、それぞれの目線で演出する三島作品をオムニバス形式で上演。2020年に旭日小綬章を受章した麻実れい、世界的ダンサーでありながら本作で圧倒的な芝居を見せつけた菅原小春をはじめとする、日本の第一線で活躍する才能あふれる俳優とクリエイティブスタッフが集結。原作の魅力を受け継ぎながらも、現代の視点で『真夏の死』『班女』『憂国』『橋づくし』の新たな4作品を生み出した。【動画配信】三島由紀夫没後50周年企画「MISHIMA2020」 追加アンコール配信 チケット情報さらに本公演ではライブ配信を実施。クリエイティブディレクターを鈴木健太(劇団ノーミーツ)が務め、劇場の臨場感ともまた違った映像ならではの熱気、スピード感で、三島の世界へと引き込んだ。ライブ配信の好評を得て、公演終了の3日後にはアンコール配信がスピード決定。徐々に『MISHIMA2020』の熱は広がり、そしてこのたび、三島由紀夫の命日となる11月25日より“追加アンコール配信”が2週間限定でスタートした。また、今回の追加アンコール配信は、作品をより深く堪能できるようにと、1作品ごとに視聴可能。 本編終了後、演出家のスペシャルインタビューやWEB上で上演脚本が視聴できる特典付きだ。お得な2本セット、4本セットの販売に加え、 公演プログラム付きのチケットも販売。さらに公演サイトでは、未公開舞台写真も公開。様々な角度から、新たな“三島”を楽しんでほしい。
2020年11月26日