日本が誇る世界的動物写真家、岩合光昭が世界の街のネコたちをカメラに収める、NHK BSプレミアムの人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」が、初の劇場版としてスクリーンに登場することが決定。ティザーポスタービジュアルと、未公開の初出し映像も収録されたティザー予告編映像が解禁された。「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙も飾った世界的動物写真家、岩合氏がネコの目線で世界中のネコを撮影し、「いいコだね」と岩合氏自らがネコに語りかける様子と共に紹介する人気ドキュメンタリー番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」。「ネコは人間とともに世界に広まった。だからその土地のネコはその土地の人間に似る!」と考える岩合氏が、世界30か国以上の国々を訪れ、そこで生活するネコの目線を通じて街を写し出す。2012年、NHK BSプレミアム特集で放送され大反響を呼び、2013年よりレギュラー番組となり現在も放送中だ。待望の劇場版では、番組ファンの間で人気の「津軽の四季」よりリンゴ農家で暮らす“コトラとその家族”を中心に、岩合氏お気に入りの世界6か国のネコたちの生きる姿を再編集。TVでは放送されなかった、選りすぐりの未公開シーンとともに、この夏に撮影予定の“コトラの子どもたち”の現在の姿も紹介。青森県・津軽の大地で、太陽を浴び真っ赤に育ったリンゴのように愛くるしく、そして力強く生きるネコたちの姿を岩合氏がカメラに収めていく。届いたティザー予告映像では、コトラの家族たちをはじめ、世界のネコたちをカメラが優しく覗き込む様子をとらえている。“猫ブームの原点にして頂点”ともいうべき、“究極の癒しと微笑み”で人々を魅了してやまないネコたちと岩合氏を、楽しみにしていて。『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち』は秋、ユナイテッド・シネマほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年04月30日「堀北は翌日仕事だと、友達の誘いを断わって台本を読み直し、早く寝てしまうタイプ。14歳で芸能界入りして以来、事務所に厳しく教育されてきた。 だが山本は、忙しいなかでも友達と遊ぶことで演技の幅が広がると考える役者。結婚生活は堀北にとって、カルチャーショックだった」(堀北の知人) 堀北真希(28)が2月いっぱいで所属事務所との契約を満了、引退を発表した。2012年のNHK朝ドラ『梅ちゃん先生』などで知られる若手実力派女優のイメージは「優等生」。 彼女が変わったのは、2015年8月、山本耕史(40)の猛プッシュに負け結婚してからだ。 「堀北は芸能界入りしてから結婚するまで庶民的なラーメンを食べたことがなかった『箱入り娘』。山本は肉味噌から手作りしたプロ顔負けのジャージャー麺を振る舞い感激させた」(堀北の知人) しだいに堀北の気持ちは、主婦として夫を支えるほうに向き、事務所が打診する仕事を断わるように。最後のドラマとなった昨年1月期の連ドラ『ヒガンバナ~警視庁捜査七課~』の現場では、終始眠そうな顔を見せた。以前の彼女では考えられないことだ。 クランクアップ直後に妊娠、出産。今年2月末の契約満了を待って引退。すっかり「山本色」に染まった堀北は、つい最近、髪を生まれて初めて茶髪にした。(週刊FLASH 2017年3月21日号)
2017年03月07日女優の堀北真希さん(28)が2月末で事務所を退社し、芸能界を引退することを発表しました。堀北さんといえば、夫である山本耕史さん(40)との「交際0日婚」が世間を騒がせたことで有名。結婚後も妊娠出産を極秘に行うなど、徹底してプライベートを明かさない姿が何かと話題にあがっていました。 そこへきて今回の突然の芸能界引退。理由は「愛する家族を守るため」というもの。なんとなく予想していた幕引きに、世間も応援ムードが多いようです。 最近ではめずらしい子育てによる人気女優の引退。残念ではありますが、彼女の引退に際し、賞賛と同時に「ママタレとして活動するよりずっと潔い」という、ママタレ批判が混じっていたことも気になります。 近年、女優もタレントも子どもを産むと“ママ”という立場をキャラクターの1つにしたママタレに転向しがちです。良いか悪いかは別として、気づけばママタレ枠は飽和気味。 それでも、子どもを持ったらママ目線を売りにする人が増え続けるのはどうしてなのか。やっていることは普通なのに“ママキャラ”希望者が後をたたない現状はなぜ生まれるのか考えます。 ■嫌がられても“ママタレ”が増える理由 振り返ると、「ママタレ」というキャラクターはいつから当たり前の存在になったのでしょう。その昔はアグネス・チャンさん(61)あたりが有名だったのかもしれませんが、今や芸能界の子持ち女性をみると、あの人もあの人もママをアピールポイントの1つにしているような……。 タレントさんであればブログで食事や子供の成長記録を公開し、女優さんであればママ役を積極的に演じ「自分も母になって演じることで、いろいろ考えさせられます」なんてコメントを発するのが定番です。 飽和状態といわれているのに、それでも女性たちがママタレ枠を目指す。その理由の1つとして、ママキャラという生き方は「特別じゃないのに特別感を見る人に与えることができる」のだと思います。 具体例を出しますと「芸能人ママが作る我が家の食卓」という情報には、特別な準備は不要でもハタから見ると「芸能人の手料理を覗き見れた」というレア感が生まれるものです。同じように「うちの子育てルール」なども“芸能人”というちょっとしたラベルがつくだけで、ただ子育てをしているだけでもレア感のある情報になりやすいもの。 日常に“芸能人ママの~”という主語をつけるだけで、今すぐ共感とレア感を生むコンテンツになるのがママタレなのです。そんな楽なら、誰しもがママタレに移行したくなるのもうなずけます。 ■なぜ引退する女性は聖女扱いなのか 忙しいママにはもってこいの、美味しい要素満点のママキャラ(笑)。飽和するからこそ一部の人から叩かれるのだと思いますが、こと芸能人の場合、堀北さんのように子育て引退(休業)する女性に対して異常なまでの称賛が集まるのも気になります。 堀北さんに対しても「でしゃばるママタレよりずっと好感が持てる」なんて上から目線っぽいコメントも集まっております。専業主婦願望の強い一般人女性に対してはおおむね冷たい目線が集まるのに、芸能人が家庭を優先して引退するとホメるのはなぜなのか……と心底疑問が残ります。 女性には今の時代、国レベルで「生め!働け!輝け!」という追い風っぽいプレッシャーがかっているわけですが、そんな追い風の裏側には「でも男以上にでしゃばるのはナシね」くらいに思っている人が多いのかな、なんて思います。 その証拠が、芸能人という“ある意味でしゃばるのが仕事”の女性たちに対するママタレ批判、そして子育て引退称賛の空気なのかもしれません。 堀北さんの引退はとても残念ですが、彼女の引退が称賛される様子には若干男の幻想すらも感じた今回の話。 とりあえず堀北さんのニュースから「清楚で多くを語らない女の評価の高さ」を痛感したわけですが、結局いつもどおり長ったらしく、ネチネチと多くを語ってしまった女の私なのでした。
2017年03月03日堀北真希(28)が28日をもって所属事務所との契約を終了し芸能界を引退した。 堀北は事務所を通じて《これまでやってまいりましたお仕事から離れることを決意致しました》とコメントを発表。15年8月に山本耕史(40)と結婚して1児のママとなったが、契約が切れるタイミングで家庭に入ることを決断した。事務所も引退理由について「家庭に専念して暮らしていきたいという、本人の思いを尊重した」と説明しているという。 そうした家庭への強い憧れの陰には彼女の育った環境が影響しているようだ。堀北の実家は、東京郊外にあった。アパートの住人は当時についてこう明かしている。「堀北家は美人三姉妹として評判でした。真希ちゃんは長女で責任感が強く、いつも妹たちの面倒を見ていました。6畳が3部屋の2DKに家族5人暮らし。仲の良いご家族で、ケンカなどの怒鳴り声は一度も聞こえてきませんでした。真希ちゃんが女優になって引っ越した後も、ご両親は6年前までここに住んでいましたよ」たとえ狭い家でも、親子5人が仲よく肩を寄せ合う――。そんな家族のぬくもりに包まれて成長した堀北は「いつか自分の家族みたいな明るく温かい家庭を作りたい!」という願いを秘めていたのだろう。 前出のコメントに続いて、堀北はこう思いを綴っている。 《現在私は母になり、愛する家族と幸せな日々を送っています。このあたたかで、かけがえのない幸せを全力で守っていきたいと思います》
2017年03月01日女優の堀北真希が、2月末日をもって芸能界を引退することを発表。公式サイトでは直筆のコメントを載せ、現在幸せな家庭生活を送っていると心中を告白した。堀北さんは、2003年ごろから女優として活動をスタート。「ケータイ刑事 銭形舞」「電車男」などのドラマ出演を経て、2005年放送のドラマ「野ブタ。をプロデュース」で「KAT-TUN」亀梨和也&山下智久とヒロイン役で共演し大ブレイク。同年の映画『ALWAYS 三丁目の夕日』での演技が高く評価され、第29回日本アカデミー賞新人俳優賞。その後も数々の映画・ドラマで活躍し、2012年NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」のヒロイン役で幅広い世代からの人気を集めた。最近では、「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」での主人公役が記憶に新しい。女優として確固たる人気を誇るなか、2015年に俳優・山本耕史と結婚。翌2016年には第一子を妊娠・出産を報告した。今回、公式サイトにて「この度、これまでやってまいりましたお仕事から離れることを決意致しました」と芸能界引退を発表。理由については「現在私は母になり、愛する家族と幸せな日々を送っています。このあたたかで、かけがえのない幸せを全力で守っていきたいと思っています」と説明した。「夫とも話し合い、私の気持ちを尊重してくれました。これからも2人で力を合わせ、愛情いっぱいの家庭を築いていきたいと思います」と抱負を述べ、「いつも応援してくださったファンの皆様、お世話になりました関係者の皆様、素晴らしい14年間を本当にありがとうございました」と締めくくった。所属事務所「SWEET POWER」からは、この度の引退について「長い間応援して下さった皆様には、突然のご報告となってしまい大変申し訳ございません。デビュー以来14年、皆様のお陰でたくさんの仕事に恵まれ、感謝の気持ちでいっぱいです」「今後、家庭に専念し暮らしていきたいという本人の思いを尊重して、彼女の人生を温かく応援して頂けますと幸いです」と堀北さんを慮るコメントを寄せた。(text:cinemacafe.net)
2017年03月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「経済波及効果」です。***「広島東洋カープ優勝による経済波及効果が331億円」だとか、映画『君の名は。』のヒットで聖地に多くの人が訪れ「モデルとなった飛騨市への経済波及効果が100億円を超える予想」など、経済波及効果という言葉をよく耳にしますね。これは、何かものごとが起きることにより商品が売れ、生産者や直接の関係者の所得が増える。周辺の関連業界への好影響、さらにその人たちの消費が伸びることで、無関係の産業でも利益を生む、二次的波及までを含めた予測を指します。総務省のホームページには、経済波及効果を算出する「産業連関表」が掲載されています。この産業連関表は1936年、アメリカの経済学者のレオンチェフ博士が最初に発表。第二次世界大戦後のアメリカの経済を予測し、高い精度を示したことから、活用されるようになりました。日本の産業連関表は1951年に、当時の通商産業省によって作成されました。経済波及効果があったと報じられれば、人々の投資意欲や消費意欲を高めますよね。そうやって景気を良い方に向かわせるのはよいことなのですが、国が経済波及効果という言葉を持ち出したときには、少し懐疑的になったほうがよいかもしれません。なぜなら、推し進めたい政策を通すための説得材料として、都合のいい情報だけを流している場合もあるからです。日本銀行の算出によると、2020年までの東京五輪開催の経済効果は、訪日観光者数が約3300万人に達し、1人当たりの消費額も増加、建設投資総額は10兆円に。実質GDP成長率も'18年まで毎年0.2~0.3ポイント押し上げると予想されています。しかし、あくまで試算ですから、そこまで楽観視してよいかはわかりません。TPPに関しても、政府は日本が参加すれば、貿易が盛んになり生産性が上がり、賃金も雇用も増え、貯蓄や投資にお金が回り…と、良い循環が生まれると言っています。しかし、良い面だけでなく、農林水産省のホームページでは、農林水産物の生産減少額が1300億~2100億円と予想されています。このマイナスの経済効果の報道は、あまり聞こえてこないんですね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年11月9日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年11月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アフリカ開発会議」です。***8月に第6回アフリカ開発会議(TICAD)がケニアで開かれました。アフリカの開発支援のために、日本が世界に呼びかけて1993年に始まった会議で、5年に一度開催され、今年初めてアフリカで行われました。アフリカは人類発祥の地といわれ、ナイル文明など、豊かな文化や歴史があります。ところが19世紀に欧州諸国が肥沃な土地を奪い合うようになり、アフリカを勝手に分割統治、植民地にしてしまいました。その後、アフリカ諸国は独立しはじめますが、欧州各国によって決められた国境は、先住民族の文化や生活を無視した線引き。その問題は現在の内戦や民族紛争にもつながっています。また、アフリカはほかにも、食糧不足や干ばつ、感染症、教育を受けられない子どもたちなど、多くの問題を抱えていますね。近年のボコ・ハラムやアルカイダなど、テロ組織の暗躍も、根底にあるのは貧困や教育問題。経済を好転させることで解消される問題は多い。今年のTICADではテロとの戦いと国際協調が訴えられ、安倍総理は日本から3兆円の支援をすることを約束しました。これに対して、中国は「国連の常任理事国入りをしたい日本が、アフリカ諸国を味方につけようとTICADを政治利用している」と批判しました。近年、中国は、アフリカに携帯電話を普及させ、携帯電話による送金システムを輸出するなど、ものすごい勢いでアフリカに進出してきているんですね。水道も電気も通ってない地域で、携帯電話だけは使われているという異様な光景も。ほかにも道路や港を作る支援をし、代わりにレア・メタルの採掘権を得ようとしています。発展途上のアフリカには、たくさんのビジネスチャンスが眠っています。日本も開発支援だけでなく、民間企業がもっとアフリカと密接につながるといいのですが、距離的な問題もあり少々及び腰です。それでも、日本で消費されるバニラビーンズやカカオ豆、蚊取り線香に使われる除虫菊はアフリカ産がほとんどなんですよ。今後、アフリカと日本は、ますます結びつきが深くなっていくことでしょう。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年11月2日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年10月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「消費者物価指数」です***「消費者物価指数(CPI)」とは、全国の消費者が購入する商品やサービスの価格の変動を時系列で測るもので、5年に一度、基準年を定めて、それと比較して算出します。毎月、総務省統計局が発表しており、景気が良いかどうかの判断基準になるので、「経済の体温計」ともいわれています。消費者物価指数を見て、政府は経済政策や年金の改定などを行うのです。日本経済の最大課題は、デフレからの脱却ですよね。デフレとは、物の値段(物価)が下がると、企業の収益も下がることになるので、企業は賃金を上げられない。なので、懐の冷えた消費者は物を買うのを控えるという状態。物が売れないので企業はさらに商品を安くする…という連鎖が起きます。これがデフレスパイラルです。改善策として、政府は金融緩和を行います。日本銀行が市場にお金を多く流して、相対的に円の価値が下がる状態に誘導するのです。市場に円があふれれば、自然と円安になります。希少価値のものは値段が高くなるけれど、世の中にたくさんあるものは安くなる、というのと同じ原理ですね。日本の主要産業は輸出産業なので、円安になれば企業は儲かります。トヨタなどの輸出企業は利益を増やし、「景気は良くなった」「アベノミクスは成功した」ともいわれますが、多くの一般市民にはあまり良くなった実感がありません。そこで実態を知るのに有効なのが「消費者物価指数」です。消費者物価指数が下がっているということは、市民が前よりも物を買わなくなった(買えなくなった)ということ。2015年の基準年に対して、今年は総合的に消費者物価指数が毎月下がり続けています。これは、一部の企業が好調でも利益が社員に還元されていない(賃金が上がっていない)ということ。非正規雇用者にはもっと回ってきていませんね。政府はこの状態を認識しており、企業に対して賃金を上げるように働きかけ、消費税増税も先送りにしました。消費者物価指数が上がれば、本当に景気が良くなっているという証拠です。毎月ニュースで発表される消費者物価指数を見ながら、自分の体感景気とぜひ比べてみてください。◇ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年10月19日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年10月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ドーピング」です。***リオ五輪の開催前、ロシアの国家ぐるみのドーピング隠蔽行為が発覚し、問題になりました。世界にドーピングの衝撃が走ったのは、1988年のソウルオリンピック。100m走で、ベン・ジョンソンがカール・ルイスに勝ち、人類初9・8秒台を切るタイムを叩き出しました。ところが、ドーピング検査で陽性になり、ジョンソン選手の金メダルは剥奪されてしまいました。ほかにも陽性の選手が後を絶たず、これをきっかけに1991年にジョンソンの祖国、カナダでアンチ・ドーピングの機関が誕生。1999年には世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が設立されたのです。ドーピングは必ずしも、選手が故意にしているとは限りません。たまたま飲んだ薬の中に禁止成分が入っていて、引っかかるケースも。テニスのマリア・シャラポワ選手が2年間の出場停止処分になりましたが「禁止薬物とは知らなかった」と提訴しています。禁止成分は随時更新されますから、ドーピングを避けるには、選手だけでなく、チームやコーチ、医師や薬剤師も正しい知識が必要。WADAやJADA(日本アンチ・ドーピング機構)はそれぞれの立場での注意を促しています。ドーピングは、製薬会社のビジネスとも密接な関わりがあると指摘する声もあります。合法的に運動能力が上がる薬となれば、ビッグビジネスになりますよね。最近はWADAと大手製薬会社が情報を共有してドーピングを未然に防ごうとしていますが、これも諸刃の剣。規制をすり抜ける新薬が開発され、後にその成分が規制されるというイタチごっこにもなってしまいます。今回のリオ五輪で、IOC(国際オリンピック委員会)が、ロシアの参加を全面禁止にしなかったことに対して、処分が甘いという意見もありました。しかし、五輪は平和の祭典。開催期間は休戦し、人種や国境を超えて皆が参加すること、五輪を続けることに意義があります。大国ロシアが抜けてしまったら、その秩序が崩れてしまう可能性も。そもそも、スポーツとは何を競い合うものなのか?原点に立ち戻り、清い戦いを見せてほしいですね。フェアな戦いこそが感動を与えてくれます。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年9月21日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年09月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「東京都知事」です。***新しい東京都知事が、初の女性知事・小池百合子さんに決まりましたね。東京がどれほどの大都市なのか、数字の面から見てみましょう。2016年度の東京都の年間予算は、13兆6560億円。日本の国家予算総額が96兆7218億円ですから、比較しても相当な額というのがわかります。また、この東京の予算額は、スウェーデンの国家予算に匹敵する(!)規模です。GDP(国内総生産)では、東京都は2015年度見込みで92兆9000億円=約1兆1326億ドルです。世界のGDP順位を見ると、1位はアメリカ約18兆ドル。2位中国、3位日本が4兆ドル台。数字上では東京は12位に匹敵し、スペインやメキシコのGDPより勝っているのです。都市別に見ると、2014年の1位は東京。2位NY、3位ロサンゼルスと続きます。東京は経済的には、国レベルといってもいい大きさなんですね。日本の総理大臣は議会が選びますが、都知事は直接民主制によって、私たちが直接選べます。つまり、東京都知事は東京という一つの国の大統領のようなもの。また、東京には、日本の全人口の約1割が集中。大企業の本社や外国企業の5割は東京にあり、日本の税収のうちの約4割は東京から集められています。これだけの人とお金が動いている少なくないんです。たとえば、石原慎太郎さんが都知事だったとき、東京の空気の浄化のために、ディーゼル車の走行を規制しました。これにより、自動車メーカーは、世界一基準の厳しい排気ガス規制に対応できるクリーンな自動車を開発。日本の技術力を上げるきっかけになりました。石原都知事はほかにも、日本史を都立高校の必須科目にしたり、横田基地の返還要請をし、航空管制の一部を返してもらうなど独自の政策を実行していきました。近年は任期が短くて、実績を残す機会は減っていますが、都知事は日本全体にも少なからぬ影響を与える存在ということに変わりはありません。予算が膨らむ東京五輪問題や土壌汚染を抱える築地市場移転問題など、小池流改革手腕でバッサリ切り込んでいってほしいなと期待しています。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年9月7日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年09月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「イギリスのEU離脱」です。***6月にイギリスは、EU離脱の是非を問う国民投票を行い、離脱派が勝利。残留派のリーダーだったキャメロン首相は辞任し、テリーザ・メイが首相になりました。投票結果は残留派48%、離脱派52%の僅差。EU離脱の選択は、世界に衝撃を与えましたが、実はイギリス国内でも「まさか本当に離脱になるとは!」と驚きの結果だったのです。離脱に傾いた大きな理由は、難民問題。離脱派の元ロンドン市長ボリス・ジョンソンは、「難民が流れ込んだせいで国内の失業率が上がり、テロの脅威にさらされている。EUを離脱し、イギリスは主権を取り戻すべきだ」と主張しました。EU(欧州連合)とは一つの大きな国のようなものです。第一次、第二次世界大戦で大きな犠牲を払ったヨーロッパは、資源争いによる敵対をやめ、まとまる必要に迫られました。EUを立ち上げ、資源を分かち合い、関税を取り払って、人・もの・お金が自由に行き来できるようにしました。ヨーロッパ全体で協力し合うことで、安全保障と大きな経済成長を得たのです。しかし、EU加盟の恩恵は国ごとに差があります。イギリスやフランスは借金の多い国々を助ける役回りになり、経済的負担は少なくありません。また、EU内には法律があるので、国内で勝手に物事を決められない不自由さも出てきました。ジョンソンが「主権を取り戻す」と言ったのはそういう理由です。ジョンソンは有力な次期首相候補でしたが、離脱が決まると立候補を取り下げてしまいました。他にも、国民投票後に現場を退いた離脱派の政治家もいました。つまり、覇権争いのために、離脱の主張をしていた議員が少なからずいたということ。それだけ、国民の不満は募っており、支持を得るには格好のテーマだったのです。首相のなり手はなかなか見つからず、残留派だったメイが名乗りをあげます。メイ首相は22人の閣僚のうち7人に、ジョンソンを含む離脱派の閣僚を据えました。離脱のニュースの後、ポンドは下落、円高ドル高の流れに。世界経済にも影響を及ぼしています。イギリスがEUを離れ、どんな政策で問題解決していくのか世界が注目しています。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年8月31日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年08月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「核なき社会」です。***みなさんは、8月6日、9日が何の日かわかりますか?71年前のこの日、世界で初めて、原子爆弾が投下されました。8月6日は広島に、9日は長崎に。一瞬にして街は焼け焦げ、その年の12月までに広島では約14万人、長崎では約7万人の方が亡くなりました。数年後に白血病やガンを発症したり、子供に原爆症が出るケースもあり、総被害は数知れません。日本は原爆の恐ろしさを知る、唯一の被爆国なんです。現在、核保有国はアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルの9か国。これほど恐ろしい兵器を、なぜ皆持ちたがるのか?悲しいことですが、核を保有することで、敵対する国同士の抑止力になっている、というのも現実なんです。とはいえ、核兵器がこのまま増え続けたら、地球規模の危機に晒されます。2009年、オバマ大統領はプラハで、核保有国として初めて「核なき社会を目指そう」と国際社会に訴えかけました。その後、アメリカ・ロシア間では核軍縮の合意が取れ、処分後もテロリストに核兵器が渡らないよう、注意を払っています。一昨年、国連総会で「核兵器使用禁止条約」がオーストリアから提案されました。化学兵器や生物兵器は国際条約で、使用したら戦争犯罪として裁かれることになっています。それに核兵器も加えようという提案。賛成125か国、反対50か国、棄権7か国で可決されましたが、実は日本はこのとき棄権しました。日本は自国では核兵器を持ちませんが、同盟を結ぶアメリカに、中国や北朝鮮の脅威から守ってもらっている立場。その手前、賛成することができなかったと言われています。今年5月、アメリカの現職の大統領としては初めて、オバマ大統領が被爆地の広島を訪れ、平和を訴えましたね。これが実現したのも、毎年、原爆記念日に世界に向けて平和のメッセージを発信し、核保有国の首脳に手紙を送り続けた広島市の不断の努力の賜物です。原爆の惨劇を伝えられるのは、世界で日本だけです。戦争体験者が次々いなくなる今後、二度と悲劇が起こらないよう、8月6日、9日のことを私たちは忘れてはいけないと思います。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年8月10日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年08月05日岩合光昭のねこの写真展が、2017年も、ゴールデンウィークから6月上旬にかけて全国14会場で開催される。記事では、展覧会情報をまとめて紹介。阪急うめだ本店では“ねこと岩合さん"グッズ、そして日本橋三越本店、JR京都伊勢丹 美術館「えき」KYOTOでは“ねこの京都"グッズなどの新アイテムが登場予定。岩合光昭本人のギャラリートーク、サイン会、営業日時情報は各会場まで事前に問い合わせてみて。各店の開催概要■北海道<札幌芸術の森野外美術館> 岩合光昭写真展「THE CATS ねこ科 ねこは野生動物だ。」会期:4月29日(土・祝)~7月23日(日)トーク&サイン会:5月21日(日)、7月17日(月・祝)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:札幌芸術の森■福島県<とうほう・みんなの文化センター 3階展示室> 写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」会期 : 開催中〜5月7日(日)会場詳細:とうほう・みんなの文化センター<うすい百貨店10階 催事場> 岩合光昭写真展「ねこ歩き」会期:4月26日(水)~5月8日(月)トーク&サイン会日時:5月6日(土)午前11時〜 / 午後2時〜会場詳細:うすい百貨店■群馬県<高崎タカシマヤ6階 催場> 写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」会期:4月26日(水)~5月8日(月)トーク&サイン会日時:5月8日(月)午前11時~ / 午前2時~会場詳細:高崎タカシマヤ■埼玉県<そごう大宮店7階 催事場> 写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」会期:4月28日(金)~5月7日(日)トーク&サイン会日時:5月1日(月)午後2時30分~会場詳細:そごう大宮店■東京都<日本橋三越本店 本館・新館7階ギャラリー> 岩合光昭写真展「ねこの京都」会期:5月3日(水・祝)~5月15日(月)・ギャラリートーク5月10日(水)~14日(日) 各日 午後1時~ / 午後3時30分~(各回約30分)本館屋上ステージ[入場無料] ※雨天中止・サイン会5月10日(水)~14日(日) 各日 午後2時~ / 午後4時30分~本館7階「ねこの京都」展物販コーナー会場詳細:日本橋三越本店■千葉県<そごう千葉店6階 催事場> 岩合光昭写真展「ねこ&ねこのとけい」会期:4月28日(金)~5月7日(日)トーク&サイン会日時:5月7日(日)午後1時~ / 午後3時~会場詳細:そごう千葉店<西武船橋店7階 催事場> 岩合光昭写真展「ふるさとのねこ」会期:5月18日(木)~5月24日(水)トーク&サイン会日時:5月18日(木)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:西武船橋店■山梨県<岡島百貨店> 岩合光昭写真展「ねこ歩き 日本編」会期:5月26日(金)~6月13日(火)予定会場詳細:岡島百貨店■京都府<ジェイアール京都伊勢丹7階隣接 美術館「えき」KYOTO> 岩合光昭写真展「ねこの京都」会期:5月18日(木)~6月4日(日)サイン会:5月19日(金)、20日(土)各日 午後1時半~ / 午後3時~会場詳細:美術館「えき」KYOTO■大阪府<阪急うめだ本店9階 阪急うめだギャラリー> 岩合光昭写真展「ふるさとのねこ」会期:4月26日(水)~5月8日(月)トーク&サイン会日時:5月3日(水・祝)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:阪急うめだ本店■和歌山県<近鉄百貨店和歌山店5階 催事場> 写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」会期:5月3日(水・祝)~5月9日(火)ギャラリートーク・サイン会日時:5月5日(金・祝)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:近鉄百貨店 和歌山店■広島県<福屋広島駅前店8階 催場> 岩合光昭写真展「ふるさとのねこ」会期:4月27日(木)~5月9日(火)トーク&サイン会日時:5月4日(木・祝)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:福屋広島駅前店■高知県<高知大丸本館5階 特設会場> 岩合光昭写真展「ねこ歩き」会期:4月20日(木)~5月7日(日)トーク&サイン会日時:5月2日(火)午前11時~ / 午後2時~会場詳細:高知大丸※都合により予告なく変更、取り止めになる場合あり。
2016年07月25日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ふるさと納税」です。***ふるさと納税とは、好きな自治体に寄付をする制度です。寄付をすると、その額から2000円を引いた額が、所得税と住民税から控除されます。日本は東京が中心となり、大都市ばかりに人もお金も集まってしまっています。地方にお金が回るようにと、ふるさと納税制度は2008年に公布されました。寄付した人には地方の特産品などのお礼の品が送られます。理念は素晴らしいのですが、年々、自治体ごとの寄付金獲得競争が加速、返礼品がエスカレートして豪華になってきてしまいました。自治体の方でも返礼品が重荷になったり、返礼で受け取った金券を転売する寄付者が出てくるなど、本末転倒な事例も。公布から8年たち、そろそろ制度の見直しが必要なのかもしれません。また、ふるさと納税を使って、高額所得者が高額の寄付をし、寄付額がほとんど還付される、節税対策に使われていることを問題視する人もいます。いわば、日本のタックスヘイブンです。ただ、都市と地方の格差は広がる一方。地方は財源を得るのが本当に大変です。ですから、たとえタックスヘイブンになったとしても、地方にお金が回るのは良いことなんじゃないかと思います。最近では被災地にふるさと納税する人も増えていますね。熊本への寄付金も増えて、復興に役立っています。問題は、寄付をする側の姿勢ですね。ただの節税対策や、返礼品目当てのショッピングモールになってしまうのは残念。集まった寄付金の使い道は各自治体で公開していますので、寄付をしたら、ぜひチェックしてください。また、一度その土地に足を運んで、実際に見てきてほしいですね。都市部はどうしても消費が中心。地方が生産を支えています。農業、林業、水産業の「生産者を守る」という意識で地方を応援していきたいですね。実際に生産の現場の大変さを知ると、無駄な消費をしなくなります。日本はレストランでもコンビニでもたくさん食品を捨てていて、食品ロスが多いんです。過剰な消費から生まれる社会問題は少なくありません。生産と消費、都市と地方のいいバランスを目指していきたいですね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年7月20日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年07月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「参議院選挙」です。***皆さんは「三権分立」を覚えていますか?法律は立法権を持つ国会で作られ、法律に基づいて政治を行う内閣は行政権を、法律に基づいて裁判する司法権は裁判所にあります。これらは暴走しないように互いに監視し合う、ということになっていますが、実際は行政府と立法府が一本化しているよう。内閣が望む法案が、成熟した討議のなされないまま、数の論理で決まることが多い印象があります。国会答弁の数は与党が1割、野党が9割と割合が決まっていますから、これには反論する野党側の責任も少なくありません。大統領と上院下院が対等に、緊張感を持って存在し、常に意見を戦い合わせているアメリカとは大きく違いますね。日本の場合、総理大臣や各大臣は、立法府(国会)で議席を多く取った党内から選ばれます。また、「党議拘束」といって、党員は政党の方針に従わねばならないという規則があります。自分が所属する政党と違う意見に票を入れると、体制に逆らったと罰せられたり、党の公認を得られなくなったり、除名処分になることも。そのため、全体が数の多い与党の意見に流れることが構造的に起きてしまうんですね。国会には衆議院と参議院があって、衆議院で可決された法案を、参議院で再討議します。参議院は衆議院のように途中で解散することなく、任期は6年。半期ごとに半分の議員が選挙で選ばれます。衆議院とは別の角度からじっくり法案に取り組むことが求められています。しかし、党議拘束は参議院にもかかりますから、残念ながら、衆議院との役割の違いがあまり見えてきません。選挙前には国民が喜ぶような聞こえの良い法案が掲げられたり、結局、「選挙に勝つための政治になっていないか?」という疑問も拭えず、国民の政治離れが進んでしまいました。7月10日は参議院議員通常選挙の投票日です。代表演説やマニフェストをチェックして、ぜひ政策の中身で政治家を選んでください。日本は、お上の決定に民が従う歴史が長かったものですから、政治を政治家にまかせる慣習が染みついています。でも今、当事者意識を持って、政治家に働きかける積極性が求められているんです。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年7月13日号より。
2016年07月11日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「待機児童」です。***条件を満たし、入所申請をしているにもかかわらず、保育所に入れない「待機児童」の数は2015年4月の段階で約4万5000人。キャンセル待ちの多さに諦めて、最初から申請していない家庭もあるので、潜在的な待機児童数を含めるとその数はもっと多くなるでしょう。待機児童問題は、保育所の数を増やすだけでは解決にはなりません。というのも、保育士さんの数が足りないんですね。保育士の資格を持ちながら現場を離れた「潜在保育士」の数は全国で約80万人。離職した大きな理由は、賃金の低さと言われています。保育士の賃金は、35歳平均で月額21.9万円。全産業の平均は33.3万円ですから、かなり下回っています。安倍総理は4月に一億総活躍社会の一環として、保育士の賃金を2%、月額約6000円アップを宣言。潜在保育士をなんとか呼び戻そうと対策を立てています。保育所が足りないのは、近隣の反対により建てられないというケースもあります。「子供の声がうるさい」といったクレームも聞きますが、それだけではなく、道が狭くて、子供の送り迎えの車や自転車が来ると住民の移動ができないという切実な理由も。街づくりやインフラ面から抜本的に変えなければいけません。また、保育所開設の規制緩和も必要でしょうね。企業内に保育施設がもっと開設できれば助かりますよね。待機児童問題は、すぐには解決しないでしょう。これから就職や転職を考えている方は、育児休業のあるなしだけでなく、バリエーションをチェックしてみてください。1年フルに休めなくても、時短で働ける時期を長く取れる方がありがたい場合もあります。今から約100年前に母性保護論争が起きました。女性解放運動家の平塚らいてうは「子供を産み育てることは国のためでもあるから、国が保護するべき」と主張。対して歌人の与謝野晶子は「女性は男性にも国にもよりかかるべきじゃない。自立して稼ぎなさい」と意見しました。子育てのお金は、国か個人、どちらが出すべきなのか。子供は誰のものなのか?100年前の論争の答えはまだ出ていないんです。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月22日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月19日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「タックスヘイブン」についてです。***タックスヘイブンとは日本語で「租税回避地」。税金を免除、またはとても低い税率にして、海外資本を獲得している国や地域のことを指します。ヨーロッパの小国、モナコ公国やサンマリノ共和国、カリブ海の英領ヴァージン諸島やケイマン諸島などが有名です。それらの国や地域が税率を下げるのは、もともと産業や鉱物資源がなく、税金をとる先がないからなんですね。海外企業を誘致できれば、雇用が生まれ、富裕層が集まれば消費が活発になり、その地域の利益につながります。企業にとってみれば、世界に展開するのに、本拠地をタックスヘイブンに登記し、収益を集約できれば、国によって税率が異なることを気にせず、円滑に取引が進められます。必ずしも誰しもが税金逃れのために使っているわけではないんです。ただ、麻薬や人身売買、テロ、政治家の汚職などのマネーロンダリング(資金洗浄。口座を転々とさせて、資金の出所を不明確にする)の温床になりやすいのも事実。北朝鮮やロシアなど、欧米諸国から経済制裁を受けている国のお金のやり取りに使われているともいわれています。4月に「パナマ文書」がニュースになりました。パナマの法律事務所から、タックスヘイブンを利用する企業の、過去40年分の膨大なデータが流出。それによると、約21万の企業の関係者リストのなかに、プーチンや習近平、アイスランドの首相など、国の要人も含まれていました。文書はドイツの新聞社と国際調査報道ジャーナリスト連合に送られ、現在詳しく調べている最中ですが、リストのデータベースは誰でも見られるよう5月にネット上で公開されました。タックスヘイブンに集められた企業の税逃れ額は、約500兆円あるとか。それらが国税として支払われれば、社会保障に使えますよね。日本では早い時期からタックスヘイブン対策税制を設け、法人税率20%以下の国に登記している会社は、国税庁に届け出ることになっており、国内の子会社から、相応の税がとられています。世界の格差問題につながるテーマ。今後、各国がどう対策をとるのか、要注目です。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月15日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月14日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「一億総活躍社会」についてです。***去年の10月に第3次安倍改造内閣が発足したときに内閣は「一億総活躍社会」というプランを掲げました。安倍政権の経済目標の一番大きい規模のものって、何だかわかりますか?それは2020年までに日本のGDPを600兆円に引き上げるというものです。現在、日本のGDPは500兆円前後。‘80年代の後半に400兆円の大台を突破し、約15年かけてやっと500兆円になりました。バブル期を含んだ成長ですから、今から4年で約100兆円を上げるというのは、簡単ではない数字なんですね。GDPを上げるには方法は2つ。移民に積極的に働いてもらうか、国内に眠っている労働力を掘り起こすか。安倍さんは保守派ですから、移民の受け入れにはあまり積極的ではありません。そこで、女性やお年寄り、障害のある方、難病の方などでも、働ける人を総動員して、国の経済成長を促したいと考えているんです。バブル崩壊後、リーマンショックの起きた2008年頃までは、働きたくても働き口がない、という状況でした。けれども今、日本は人手不足です。サービス産業、製造業、介護や医療の現場で働き手を求めています。「一億総活躍社会」は言い換えてみれば「一億総労働社会」。少子高齢化で、働く年代の人口が減っているのに歯止めをかけたいんですね。今後は定年も延び、年金の受給開始年齢も引き上げられるでしょう。ただ、見方を変えれば悪いことばかりではありません。家庭、地域、職場で個性を生かした多様な働き方を社会全体で支援する。男性女性、障害のあるなし、年齢に関係なく、皆がいきいきと働ける社会を目指すということ。これから日本の労働環境が大きく変わるのかもしれませんね。政府は緊急政策として、「希望出生率を1.8」「介護離職ゼロ」を掲げ、保育や介護のサービスの拡大を目指しています。今、日本では、働いても生活が楽にならないという貧困の問題がありますね。一億総動員はするものの、市場原理にのまれて、ただ安い賃金で働かされ、ちっとも暮らしが豊かにならない、というふうにならないことを祈りたいですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年5月18日より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年05月15日40年に渡り動物を撮影してきた岩合光昭によるねこの写真展が、2016年6月上旬にかけて全国で開催される。■写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」開催場所:福屋 広島駅前店、そごう千葉店、新潟三越、大丸京都店NHK BSプレミアムの番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」が写真展に。岩合がヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、アジアなど世界15地域で出会ったネコたちの写真作品を中心に、番組未公開映像を加え、およそ200点を展示。ネコたちの愛らしい表情や仕草、一瞬の動きをとらえた愛らしい作品に出合えるはず。■岩合光昭写真展「ふるさとのねこ」開催場所:さくら野百貨店 青森本店青森県津軽地方を舞台に、1年かけて子ネコと人との暮らしを撮影。花咲く春、夏の祭り、リンゴ実る秋、深く長い冬。津軽の四季とともに、そこで生きる子ネコのたちの物語をみることができる。■岩合光昭写真展「ねこ」開催場所:ちより街テラス(高知市)、まるひろ川越店、山陽百貨店(姫路市)岩合光昭の40年以上に及ぶ写真家人生の中で、日本国内外を問わずに撮り続けてきた作品を一堂に集めた展覧会。旅先で出会ったネコたちとあたかも会話を交わしながら撮影したような作品には、自由で愛らしく、誇り高い“ねこ”たちが映し出され、見るものに温かい気持ちを運んでくれる。■岩合光昭写真展「ねこ歩き」開催場所:近鉄百貨店 和歌山店、泉北タカシマヤ(堺市)、鳥取大丸近年訪れた国々や日本のネコたちの新作を中心に展示。素直でへそ曲がり、大胆で臆病、甘えたがりで素っ気ない、ネコたちとの出会いの旅を作品を通して体感できる。■岩合光昭ミニ写真展「ねこのとけい」開催場所:十字屋山形店、大宮タカシマヤ“ネコの一日“を楽しめる約50作品で構成されたミニ写真展。朝起きて、ご飯を食べる。昼寝し、散歩して夜は寝る。作品を通して、自由気ままなネコたちの一日を楽しめるはず。■岩合光昭写真展「ネコライオン」開催場所:日本橋三越本店写真展「ネコライオン」では、岩合がとりわけ多くの時間を割いて撮影をしているネコとライオンにフォーカス。約180点の作品を通して、人間と共生するネコ、野生に生きるライオン両者の共通点や差異を伝えていく。また、各展併設される物販エリアでは、会場限定のオリジナルグッズを多数用意。ねこの作品をあしらった各種ブロックメモ、コースターなどがラインナップする。【イベント詳細】■写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」・福屋 広島駅前店 会期:2016年4月21日(木)~5月4日(水・祝)・そごう千葉店 会期:4月22日(金)~5月5日(木・祝)・新潟三越 会期:4月26日(火)~5月8日(日)・大丸京都店 会期:4月27日(水)~5月9日(月)■岩合光昭写真展「ふるさとのねこ」・さくら野百貨店 青森本店 会期:4月22日(金)~5月8日(日)■岩合光昭写真展「ねこ」・ちより街テラス(高知市) 会期:~5月2日(月)・まるひろ川越店 会期:4月27日(水)~5月2日(月)・山陽百貨店(姫路市) 会期:4月27日(水)~5月5日(木・祝)■岩合光昭写真展「ねこ歩き」・近鉄百貨店 和歌山店 会期:4月26日(火)~5月4日(水・祝)・泉北タカシマヤ(堺市) 会期:4月27日(水)~5月9日(月)・鳥取大丸 会期:4月27日(水)~5月9日(月)■岩合光昭ミニ写真展「ねこのとけい」・十字屋山形店 会期:4月28日(木)~5月4日(水・祝)・大宮タカシマヤ 会期:4月27日(水)~5月9日(月)■岩合光昭写真展「ネコライオン」・日本橋三越本店 会期:5月25日(水)~6月6日(月)■岩合光昭写真展「津軽のねこ」・ノエビア 銀座本社ビルギャラリー 会期:~7月1日(金)※物販会場なし。
2016年04月21日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会の時間」。今回のテーマは「ブラック企業」。***ブラック企業とは、労働基準法に明らかに違反している会社のことを言います。残業の未払いや過重労働の末、不当に解雇されるとか、労災隠しなどなど。ただ実際には、たとえサービス残業が多くても、その分ボーナスの上乗せや、休日の優遇などのフォローがあったり、将来のキャリアアップにつながる場合は、働き手はブラック企業とは考えませんよね。問題なのは、そういうフォローが何もなく、働き手の未来を潰してしまうような企業です。最近はSNSなどの発達で、ブラック企業問題が明るみに出るようになりました。牛丼チェーンの『すき家』のように、それをきっかけに労働環境が改善されたケースもあります。『すき家』では、深夜に「ワンオペ(ワンオペレーション)」という、たった一人で仕入れから調理、接客までを行うシステムを導入し、24時間営業の店舗を広く展開しました。しかし、長時間トイレにも行けず、明らかな過重労働。深夜には強盗に入られるトラブルも多発。従業員のSNSでの悲鳴が世に広まり、株主らの忠告を受け、『すき家』はいくつかの店舗を閉め、深夜営業も制限しました。もしもあなたが、不当に過重労働を強いられている、労働基準法に大きく反していると思われたら、一人で抱え込まずに誰かに相談してください。会社内部の通報窓口も企業側にたっていて、あてにならない場合もないとは言い切れないので、第三者機関に相談することをお勧めします。会社に労働組合がない人のためのユニオンや、「派遣ユニオン」など正社員でない人のためのユニオンもあります。今は「ブラック企業大賞」が毎年発表されていますし、厚生労働省も長時間労働など、年に3回以上勧告をした大企業の名前は公表すると発表しました。企業もいきすぎると自分の首を絞めかねません。とはいえ、人件費を抑えて利益をあげようとするのが企業の常…。もしも、割に合わないと思うならば、心身を壊してしまう前に他を探したほうがよいでしょう。自分の将来につながるかどうか考えてみてください。幸い、今は人手不足。今いるところが全てではないはずです。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月23日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年03月21日堀北真希を主演に迎え、檀れい、知英らが出演のドラマ「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」。ドラマも終盤に差し掛かった本作だが、先日主演の堀北さん、檀さん、DAIGOらが無事クランクアップを迎えたことが明らかとなった。政府の女性登用の機運に乗って、女性犯罪者及び女性被害者対策を目的に設置された非公式の課・警視庁捜査七課。メンバーは、外見は美しいが男性刑事たちを出し抜く一癖も二癖もある女たち。彼女たちは、美しくもその根に猛毒を持つ花“ヒガンバナ”と揶揄される。物語はこの捜査七課を舞台に繰り広げられる――。本作は、昨年10月に金曜ロードSHOW!特別ドラマ企画にて放送していた「ヒガンバナ~女たちの犯罪ファイル~」が新たに連続ドラマ化されたもの。主人公の刑事・来宮渚役の堀北さんをはじめ、檀さん、知英さん、高梨臨、YOUらが続投。さらに渚の過去のカギを握るキーマンとしてDAIGOさんが出演している。ドラマも終盤に入り、残すところあと2話となった本作。撮影現場では、クランクアップとなる定食屋「さくら」でのシーンが撮影されていた。先にアップしていた一課係長・黒田役の木本武宏も現場に駆けつけ、監督やプロデューサーから俳優陣に花束が贈呈された。キャストたちは無事終了した撮影に、喜びもひとしおの様子。定食屋「さくら」のさくらさん役・大島蓉子は「(出演は)一回くらいかな?と思っていたら、最後まで出させていただいて、もう二度と会えないようなすごい人ばっかり!ありがとうございました。もしPART2があったらよろしくおねがいします」と話し、捜査一課長・北条光佑役の平山浩行は「途中でキャラクターが変わってしまったんですけれども、おかげでこのように楽しくできました。ありがとうございました」と振り返った。また渚の過去を握る謎のフリージャーナリストから、最後はなぜか定食屋「さくら」の従業員になっていた菊池謙人役のDAIGOさんは「本当に7年ぶりの連ドラで素敵なみなさんと共演させていただいてほんとこの素敵な作品に携わることができて。わかりやすく言うとIYって感じですよね!」とお決まりのDAIGO語で感想を述べると、木本さんから「IYってなに?」とすかさずツッコミが。DAIGOさんは「生(I)きてて よ(Y)かった!」と満面の笑みでこたえた。さらに渚とは衝突しながらも最高のバディとなった峰岸雪乃役の檀さんは「11月20日からのインで今日まで本当に長丁場みなさんお疲れ様でした。臨ちゃんと知英ちゃん、YOUさんはあと1日撮影が残っていて、花束持ってないのは悲しいんですが…冬のドラマの撮影ということでみなさん体力的にもすごく大変で辛かったと思います」とインフルエンザにより、YOUさんが撮影に参加することができず残念そうな様子もみせていた。最後に、壮絶な過去とシンクロという特殊能力を抱え、事件解決へ強い使命感を持つ渚役を演じきった主演の堀北さんが「年が明けてからは特に本当にあっという間でした。スタッフのみなさんの大きな愛情に包まれて最後まで頑張れたと思います。ありがとうございました!」とその場を締めて終了した。残りわずかとなった本作だが、物語はいよいよ衝撃のクライマックスへ突入していく…。“ヒガンバナ”たちの活躍は、最後まで見逃せない。「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」は毎週水曜日22時~日本テレビにて放送。(cinemacafe.net)
2016年03月09日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「人工知能(AI)」です。***人間の知能的な働き、学習、推測、判断などをコンピューターが行う人工知能。身近なところでは、googleやFacebook、iOSのSiriなどで、次の行動を予測し、興味のありそうな情報をあげて提案するというのは、AIの技術によるものです。コンピューターが大容量を計算できるようになったため、過去のデータを蓄積し、それを瞬時に計算・分析。データ量が多いほど、より正確な予測が可能になります。私たちがGoogleやFBを無料で使えるのも、代わりに、検索結果や写真などの大量の情報をAIに与えて、より賢くなるよう、トレーニングし続けているからなんですね。株取引でも、プロの投資家が儲け続けられるのは、株の値動きをAIが判断して、的確な売り買いをしているからなんですよ。人工知能の発達は予想以上に早く、「人工知能が人を追い抜いて、支配する世界が来るかもしれない」とスティーブン・ホーキング博士は警鐘を鳴らしています。ビル・ゲイツさんも昨年取材した時に「医療、医薬品の開発には極めて有効に働くだろう。でも、労働部門では多くの仕事が失われることになるので、対策をしないと取り返しがつかなくなる」と話していました。オックスフォード大学でAIを研究するマイケル・A・オズボーン准教授は、702の業種について将来どれだけ自動化されるかを調べたんです。すると10~20年の間に、アメリカの総雇用者の47%が自動化されるリスクがあると、衝撃的な発表をしました。今後、電話オペレーターや保険の審査、レジ、ホテルの受付、薬を処方するなどの簡単な医療サービスはとって代わられるでしょう。介護の現場でも、感情に左右される人間よりも、献身的に働くAI搭載のロボットの方がよいという説があります。また、過去の判例を分析すれば弁護士や検事もAI化が可能に。軍事ロボットも開発されていますし、今後はAIを使う側の倫理観が問われますね。将来、機械に仕事を奪われる不安に怯えるのではなく、じゃあ、人にしかできないことは何だろう?と考えることが、新しい価値を生むチャンスになるかもしれません。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月9日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2016年03月02日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「GDP」です。* **この連載でも頻繁に出てくるGDP。正式名称は「Gross Domestic Product」で、国内総生産と訳されます。国内で、一定期間内に新たに生み出された商品やサービスの付加価値の合計を指し、経済成長を測る指標になります。りんご農園にたとえると、初年度の収穫が50個だった。翌年、ビニールハウスを作り100個に増やした。するとGDPは2倍ということ。収穫の半分をジャムにして、りんごのまま売るより利益をさらに上げたら、その分GDPに反映されます。何の工夫もせずに同じ個数しか収穫できなかった場合は、経済成長ゼロとなるのです。GDPには名目GDPと実質GDPがあり、物価の変動を反映させたものが実質GDP。GDPが2期連続して下がると、景気後退と判定されます。現在、世界のGDP1位はアメリカ。2位が中国、日本は3位。日本はずっとベスト3に入る経済大国でした。ただし、これは国全体の話。日本の1人当たりの名目GDPは、3万6000ドルで前年比6%減少。1996年には主要国中3位でしたが、2000年代から下がり続けて現在20位。上位にはルクセンブルクやノルウェー、スイスが入っています。資源を持っていたり、金融サービスに長けていると上位に入りやすい。ちなみにアメリカは7位。シェールガスを持っていますし、莫大な利益を生む新しい金融商品も開発しています。政府が規制緩和をして、新しい産業が生まれやすくしていることも功を奏していますね。対して日本は、開発できる資源には限りがあり、広い意味でのサービス業が中心です。デフレだと、サービス業全体が安価競争になり、懸命に働いても得られる利益が少ない。また、GDPはドル計算なので、円安も不利になっています。国の経済成長を促すには、個々の変革も大切です。あなたは前年に比べ、新しい付加価値を生む何かをしましたか?収入の一部を使って英会話学校に行くことが、転職時に役立って高いお給料をもらえようになるかもしれません。投資信託を始めるでも何でもいいんです。未来のための自己投資が、経済の成長につながるかもしれません。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月2日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年02月27日独特の色彩感覚が魅力のケーキを作り続けるパティシエール岩柳麻子が新店・パティスリィ アサコ イワヤナギ(PATISSERIE ASAKO IWAYANAGI)を東京・世田谷(東京都世田谷区等々力4-4-5)にオープンした。岩柳は服飾の学校で染色デザインを学んだ後、フランスに赴き独学でケーキの勉強を積んだシェフパティシエ。2005年には、武蔵小山に自身がシェフパティシエとして構える「パティスリィ ドゥ・ボン・クーフゥ(patisserie de bon coeur)」をオープンした。その独特の色彩感覚が注目されており、年に2回の新作コレクションを発表するなど新しいアウトプットにも取り組んでいる。「ケーキづくりで最も大切にしているものはリズム」と言う岩柳。パティスリィ アサコ イワヤナギでは、素材、味覚、食感、配色、構成のリズムによってひとつの物語となるようなケーキづくりを行っていく。旬の果物を用い、季節の移ろいが感じられる四季に根ざしたケーキや、バター香る焼きたての焼き菓子などが展開される。自身の名を冠したショップをオープンするにあたり岩柳は「新たな出会いに心を躍らせ、まだ見ぬケーキに思いを馳せる。その人が求める、その物の魅力を引き出す、ケーキをカタチにしていきたい。それが目の前に現れたときには、思わず食べずにはいられなくなる。そんな誰かが幸せそうに頬張る姿を思い浮かべながら、思い出に残るケーキをお届けできるよう、私にしかつくれないケーキを追求していきます」とコメントしている。
2016年01月26日堀北真希主演の日テレの新ドラマ「ヒガンバナ ~警視庁捜査七課~」の今年最初の収録が1月4日(月)に行われ、堀北さんをはじめ、檀れい、知英、高梨臨、YOU、大地真央らが参加。撮影の合間に6人が報道陣の取材に応じ、新年の抱負などを語った。2014年10月に単発ドラマとして放送され、好評を博した「ヒガンバナ~女たちの犯罪ファイル~」が連ドラ化。警視庁刑事部に新しく設置された部署で、女性刑事だけで構成されることから本庁の男性刑事から「ヒガンバナ」と呼ばれる「捜査第七課」の面々の活躍を描く。取材はスタジオ内の捜査第七課のセットで行われた。堀北さんは1月13日(水)の第1話放送を前に「このドラマで今年のいいスタートが切れるように頑張りたいです」と意気込みを口にする。昨年、山本耕史と入籍して初めて迎えたお正月については「家族に会いに行ったりしてました。いつも、お正月休みは何もしないので、ゆっくりと過ごせました」と明かす。結婚したことで「家族が増えて、そこが楽しいところだと思います」と笑顔を見せた。大晦日には、同局の名物番組で「ダウンタウン」らが出演する「絶対に笑ってはいけない名探偵24時」に本作から堀北さんと高梨さんが、ドラマの設定のままで“刺客”として参戦!めったにない機会だが、堀北さんは「自信がなくて、ずっと(高梨さんに)励ましてもらってました。次のセリフと段取りで頭がいっぱいで…」と苦笑交じりに述懐。高梨さんも「いっぱいいっぱいでした。一発本番なので緊張してドキドキしたままでした」と振り返った。プライベートで今年、挑戦したいことを問うと、堀北さんは「ペットを飼ったことがないので飼いたい。イグアナとかカメレオンが好きなんですが、難しそうなので犬がいいかと」と語った。夫の山本さんも犬が好きで「見ると『かわいいね』と言ってるので」と微笑んだ。以前から爬虫類好きを公言している堀北さんだが、山本さんの反応・興味はイマイチなのだとか…。堀北さん演じる渚は、過去のある経験から他人の悪意に過剰に反応したり、被害者の感情にシンクロするなど特殊能力を持つが、今回の連ドラで「なぜ特殊能力を持っているのか?その過去が明かされていく」と予告。渚は悪意に触れると毒舌になるが、堀北さん自身、ヒガンバナのような“毒”を内包しているかと尋ねると「ありますよ(笑)。外にはあまり出さないですけど…。みなさんが思ってるよりももっと黒い部分があります」と語っていた。「ヒガンバナ ~警視庁捜査七課~」は1月13日(水)21時より放送開始。(text:cinemacafe.net)
2016年01月05日クレヴィスはこのほど、年末年始に全国各地で開催される岩合光昭氏の写真展情報を発表した。「写真展『岩合光昭の世界ネコ歩き』」は、NHK BSプレミアムの番組『岩合光昭の世界ネコ歩き』の写真展で、年末年始は「東武百貨店 船橋店」(千葉県船橋市・~12月30日)、「名古屋三越 栄店」(愛知県名古屋市・12月26日~2016年1月11日)にて開催される。岩合氏がヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、アジアなど世界15地域で出会った猫の写真作品を中心に、番組未公開映像を加えたおよそ200点で構成する。なお、「名古屋三越」では12月26日と2016年1月6日の各11:00および14:00にギャラリートークとサイン会も行う。岩合氏の最新の写真展となる「岩合光昭写真展『ふるさとのねこ』」は、「そごう大宮店」(埼玉県さいたま市・2016年1月1日~11日)で開催。2016年1月2日・5日の各11:00と14:00には、ギャラリートークとサイン会が行われる。青森県津軽地方で、同氏が1年かけて子猫と人との暮らしを撮影した作品を展示する。来場者が累計100万人を突破したという「岩合光昭写真展『ねこ』」は、「小田急百貨店新宿店」(東京都新宿区・12月27日~2016年1月6日)と「京阪百貨店守口店」(大阪府守口市・12月23日~2016年1月5日)、「あわぎんホール 徳島県郷土文化会館」(徳島県徳島市・~12月27日)、「テレピアホール」(愛知県名古屋市・~12月23日)で開催。「小田急百貨店新宿店」では12月29日・30日の各11:00・14:00に、「京阪百貨店守口店」では12月24日・25日の各11:00・14:00にギャラリートークとサイン会を行う。「岩合光昭写真展『ねこ歩き』」は、「東急百貨店吉祥寺店」(東京都武蔵野市・12月27日~2016年1月6日)と「一畑百貨店 松江店」(島根県松江市・12月27日~2016年1月12日)にて開催。「東急百貨店吉祥寺店」では12月28日、「一畑百貨店 松江店」では12月27日の各11:00・14:00にギャラリートークとサイン会を開くとのこと。約50点の作品で構成された「岩合光昭ミニ写真展『ねこのとけい』」は、「岡島百貨店」(山梨県甲府市・12月27日~2016年1月19日)で開催される。なお、今後の写真展会期情報はクレヴィスの公式サイトにて随時公開されるとのこと。
2015年12月21日猫好きの間ではあまりに有名な写真家岩合光昭さん。私も何度か写真展に行きました。岩合さんは動物写真家なので猫以外の作品もたくさんありますが、特に猫、そしてネコ科に思い入れが強いそうです。岩合さんの写真展の動画版とも言えるのがこの番組「世界ネコ歩き」です。各地の風景と共に地元の猫を同時に楽しめる番組。人気が出ないわけがありません。その人気は人間だけでなく猫にも及び、 猫視聴率ナンバーワンとも言われています。飼い主さんと一緒に画面に夢中になる日本の猫達。この番組は、なぜ猫を惹きつけるのでしょうか。○まさに猫目線まず、(岩合さんの作品を見たことがある方はご存知だと思いますが)、まさに猫の目線に立ってカメラを回しています。そしてカメラワークも猫の動きに合わせています。これが、猫を惹きつける理由の1つです。当然ですが、他の旅番組でここまで猫目線の番組はありません。番組の中では、岩合さんが地面に寝っ転がって撮影する姿を見ることもできます。日本の猫達も猫目線で世界を旅している気分になっているのでしょう。「まるで冒険している気分だにゃ」とワクワクしているのかもしれません。○猫がいる場所=猫が好きな場所第二に、猫が好きな場所が映るということが理由として挙げられます。見晴らしの良い高い所や、自分は隠れることができるけど猫からは視野が確保できるような場所を猫は好みます。そして、猫が好きな場所というのは世界共通なようで、このような場所にいる猫が番組内でよく登場します(岩合さんは、多くの経験からどんな場所に猫が隠れているのか知っているのでしょう)。番組を見ている日本の猫たちは、「あー、良い休憩場所だにゃ」と羨ましく思っているのかもしれません。○ストーリー性がある世界ネコ歩きの中では、1つの画面の中に複数の猫が同時に登場することもあります。猫が鳴くと人間向けに「オス猫が好意を持っているようです」などの解説が入りますが、猫は猫語がわかりますので画面の中で繰り広げられるストーリーを把握しています。日頃人間のドラマばかり流されている猫からすると「この番組はストーリーわかるにゃ」といったところでしょうか。猫に野次馬根性があるかわかりませんが、室内に住んでいる猫にとって猫同士のドラマを見るのも良い刺激になるのでしょう。○まとめ「世界ネコ歩き」はある意味猫の密着ドキュメンタリー番組ですので、猫が夢中になるのも当然のことかもしれません。現在月に1本のペースで新作が放送されているようです。私もこの番組のファンで新しい地域の猫に会えるのを楽しみにしています。■著者プロフィール山本宗伸獣医師。Syu Syu CAT Clinicで副院長を務め、現在マンハッタン猫専門病院で研修中。2016年春、猫の病院 Tokyo Cat Specialistsを開院予定。猫に関する謎を掘り下げるブログnekopediaも時々更新。
2015年12月16日道とん堀が運営する「お好み焼 道とん堀」は9日、「のび~るチーズ豚玉」を全国の道とん堀店舗で販売開始した。○チーズとお餅で「のび~る」お好み焼きに同商品は、まるで"トルコ風アイス"のように伸びるお好み焼き。伸びのいいモッツァレラチーズと旨みとコクのあるゴーダチーズをブレンドした"のびやすいシュレッドチーズ"と"チェダーチーズ"を練り込んだ「チーズのようなお餅」を生地の間にはさみ、お好み焼きの定番「豚玉」を「のび~る豚玉」にアレンジした。メインの具材には、豚肉だけでなく、肉かす・ホルモン入り豚挽き肉を入れた、肉汁たっぷりの豚玉を採用。通常のお好み焼きよりも柔らかい「ふわとろ生地」を使用し、生地には「角切り餅」をふんだんに入れ、ふんわりモチモチした食感にすることで、全体をバランスよく仕上げたという。価格は1,058円(税込)。販売店舗は、お好み焼 道とん堀全店(熱狂道とん堀、お好み焼肉 道とん堀、道とん堀笑天、海外店舗を除く)。また、同商品の発売に合わせ、プレゼントキャンペーン"君はどこまでのばせるか!?「のび~るチーズ豚玉」 のび~るチャレンジ"を実施。「のび~るチーズ豚玉」を伸ばしている画像を、TwitterまたはFacebookに「#のび~るチーズ豚玉」というハッシュタグをつけて投稿すると、30名に賞金1万円(1人あたり)が当たる。実施期間は、 12月9日~2016年4月4日を予定。
2015年12月10日東京都・新宿の小田急百貨店新宿店(本館)は、動物写真家・岩合光昭の写真展「ねこ」を開催する。会期は12月27日~2016年1月6日(1月1日は休館)。開場時間は10:00~20:30(日曜は20:00まで、12月31日は18:00まで、1月6日は19:00まで)。入場料は一般700円、高大生500円、中学生以下無料。同展は、動物写真家・岩合光昭氏が、40年以上にわたるライフワークとして撮り続ける国内外の表情豊かな「ねこ」の写真約180点を展示するもの。若き日の岩合氏と一緒に暮らしたネコ「海(かい)ちゃん」や、ネコ島として知られる田代島で撮影した「ハートのしっぽ」シリーズなどから精選した作品を展示するほか、写真集やDVD、人気の写真を使用した3Dフィギュアやステーショナリーなどのグッズも販売される。また会期中、新宿店本館2、6、8、10階に設置する「ねこスタンプ」をすべて集めた写真展入場者先着3,000名に、岩合氏撮影のネコがデザインされた、毛並みのような手触りの特製「もこもこファイル」(B6サイズ)がプレゼントされる。また、会期中「自慢のねこ写真展」として、会場に設置された専用のボードに、来場者が持参したネコの写真(L版)を展示する企画を実施(先着順、1人2枚まで、展示スペースが埋まり次第終了)。応募者には「ねこ」ポストカードがプレゼントされる。そのほか、関連イベントとして「岩合光昭氏 ギャラリートーク&サイン会」が開催される。開催日時は12月29日、30日の各日11:00~と14:00~。トーク終了後、会場にて購入の書籍類に岩合氏がサインをする(各回300名/1人3冊まで)。整理券の配布時間は10:00~と12:30~となっている。また、写真撮影特設コーナーとして、本館2階に岩合氏撮影のねこの大型パネルと写真が撮れるフォトスポットが登場するということだ。
2015年12月09日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「日米同盟」です。* **日米同盟とは、日本とアメリカの同盟関係のこと。日米安全保障条約が基本になっています。日米同盟の歴史は、第二次世界大戦にまで遡ります。日本は戦争に負けたあと連合国軍のGHQに占領されました。そして1951年にサンフランシスコ平和条約が結ばれ、民主主義国家として主権を回復します。そのとき、日本軍を再編するかどうかが問題になったのですが、GHQのマッカーサーが許可しませんでした。日本が軍隊を作らないかわりにアメリカ軍が日本を守ることになり、他国の軍隊は撤退。このとき、「日米安全保障条約」が結ばれました。ところがそれは、米軍が日本を治めるという不平等な内容だったんですね。その後、本来の主権を取り戻そうと、’60年に改定。「日米地位協定」が結ばれました。集団的自衛権を使って、引き続きアメリカ軍は日本を守る。そのかわり日本は米軍に土地を無料で提供する。しかも、基地内の事件を日本の司法は裁くことができません。これも不公平と、反米、反戦運動がさかんになりました。学生のデモ隊と警官が衝突する「安保闘争」のニュース映像はみなさんもご覧になったことがあるでしょう。その後アメリカは何度か軍の撤退を匂わせたんですが、実は撤退してほしくない事情が日本にはあった。というのも米軍がいるおかげで、日本は防衛費をかけずに経済成長に集中できたんですね。また、米軍が日本にいるということでロシア(旧ソビエト)や中国、北朝鮮など周辺諸国に対して抑止力になっていました。’78年からは通称「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)として、日本に駐留する米軍の経費の一部を日本が持つという気遣いもはじめました。戦後70年たってもアメリカの傘下にあり、強く言えない立場のままでいいのか、という意見もあります。でも、日米関係を本当にフェアにしようとしたら日本は軍隊を持ち、危険にさらされながら自分で身を守らなければいけなくなります。少ない財政のなかから、それだけの軍事費を何を削って捻出すればいいのか?日米同盟は、「日本を誰が守るか」という問題に直結する、いままさに転換期にきているんですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年12月9日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年12月07日