前回にトランス脂肪酸の危険性を再検討してみたところ、どうにも「センセーショナル」という言葉の「セ」の字もなくなってしまったわけですが、もし仮に規制が米国のみならず日本にも及んだ場合、私たちの生活にどのような影響が出てくるのでしょうか。○身の回りにあるトランス脂肪酸トランス脂肪酸というのは、そもそも「代替バター」として戦時中に生み出された技術です。植物油に多く含まれるオレイン酸やリノール酸などのような常温では液体の油に対し、半固体、または固体の油脂を製造する際に用いる加工技術「水素添加」を行うと、分子の柔軟性が失われて常温で石けんのように固まる硬い油ができます。しかし、そのままではおいしくありません。そこで水素添加をすべてに施さず、脂肪酸の二重結合を一部残して柔軟性を持たせることで、バターのような質感と性質を植物油から生み出すことができるのです。マーガリンで8%、ショートニングで15%ほどのトランス脂肪酸が含まれています。コンビニエンスストアなどで、たまにかなりの高カロリー(1個あたり700~1,000kcal)のパンが売られているのを目にした方もいるでしょう。そのような製品は、サクサクとした食感を出すために大量のショートニングが使われているわけです。パン屋であっても、店によっては堂々と大量のショートニングを使ってクロワッサンを焼いていることもあるので、思いのほか、トランス脂肪酸は身の回りにあるといえます。ちなみに、バターにも7%前後のトランス脂肪酸が含まれています。トランス脂肪酸を死んでも食べたくないという人は、バターはもちろん動物性脂肪も一切摂(と)るべきではないことになります。そもそも、身の回りにトランス脂肪酸が増えたのは、動物性脂肪や動物性コレステロールを「悪玉」扱いし、一方で高リノール酸油脂を「善玉」と呼ぶキャンペーンを大々的に行い、「揚げ油に動物性油脂を使わないようにしよう」としたからです。その結果、今度はトランス脂肪酸を悪者呼ばわりしているのですから、なんとも変な話です。○チョコが食べられなくなる?現在の世界中の安全評価をアメリカ抜きで見ると、「トランス脂肪酸の規制は急務ではない」という空気があります。それでも、先日のFDAによる米国でのトランス脂肪酸全廃のニュースや、さまざまな本・雑誌の影響によって、連日のようにテレビなどで危険性を問題視されたとしたら、世間的な規制のニーズが高まってきた時点で規制されるかもしれません。ただ、いきなりトランス脂肪酸を日本から取り去ってしまうと、さまざま問題が起きるでしょう。例えば日本では夏になると、チョコレートの融点を変えるため、トランス脂肪酸を含んだ「ハードバター」というショートニングの親戚のようなものを添加して商品を安定化させています。そのため、トランス脂肪酸排除によってチョコレートは食べづらくなりますし、ケーキの価格はとても手に届かないものになる可能性が濃厚です。既にアメリカでは、そのようなトランス脂肪酸を排除した商品を販売していますが、正直、味の面では「……」とならざるを得ない物が多いです。○食品と健康の関係われわれの人生には、常に多くのリスクがあります。ストレスに飲酒、喫煙、大気汚染……。これらはすべて、健康を悪化させる確率を上げる"毒"と言えます。飲食物にも同じようなことが言えます。食品ごとに体に合う・合わないかを、自分の体をよく観察して知っておくべきです。そしてハッキリしているのは、トランス脂肪酸も含め、油脂類は過剰に摂取しないほうが健康的であるということです。それゆえ、スナック菓子類を毎日食べるのは止めるべきですし、毎食後にケーキを食べるのもよくないわけです。かといって、まったくのゼロにしてもよくありません。油脂類は必須栄養素ですから、ある程度摂取しないと体の再生に影響を及ぼし、どんどん老け衰えてしまいます。大切なのはバランスです。毎食のようにカロリーを気にしていては、楽しい人生なんて送れませんよね? カロリーの摂取は1週間単位などのようにざっくりと考えましょう。同じように、油脂も撮(と)り過ぎたら、2、3日は油分少なめのあっさり食事に切り替えるなどして、体をいたわってあげましょう。○トランス脂肪酸と賢く付き合うにはトランス脂肪酸は、日本の食品科学においてはかなり重要な働きがあります。ボロボロとした口当たりのアメリカ版トランス脂肪酸フリーのショートニングやマーガリンは、お世辞にも日本人の味覚を満足させる完成度とは言えないでしょう。健康被害に関しても、死に直結する心臓病やアルツハイマーといった重大な病気との因果関係がはっきり出ているとも言いがたいです(トランス脂肪酸を多く摂取しているということは、そもそもの脂肪の摂取量が圧倒的に多い、つまりは飽和脂肪酸こそ有害であるというすり替え論争にもなりかねないためです)。現状としては、マーガリンを避けるよりも、安価なサクサクしたパンをお菓子代わりにバクパクと食べないことの方が大切でしょう。最近は、小さなクロワッサンにチョコレートなどを詰め込んだものが大量に売られていますが、そうした「隠れショートニング」を大量に摂取することは、健康面から考えてNGだというのはハッキリと言えます。そしてトランス脂肪酸の危険性は、たばこや過度の飲酒のリスクと比べるまでもないわけです。「毎日たばこを吸ってビールを飲んでいるのに、マーガリンはちょっと……」というのは、ナンセンスだと思いませんか?とはいえ、こうした研究は日進月歩のため、常識と言われていることがコロっと変わることもあります。トランス脂肪酸が規制されてから十数年後にアメリカから肥満が一掃されて、心臓病リスクが2018年を境に急激に減っていることが確認できたとしたら、そのとき初めてトランス脂肪酸が悪かったのかどうかがハッキリ見えてくるでしょう。写真と本文は関係ありません○筆者プロフィール: くられシリーズ累計15万部以上の『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス)の著者で、近著に発売3カ月で売り上げ6万部を突破した『薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 よく効く! 得する! 市販薬早わかりガイド』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。本連載に加え、食品関連の話題をギュっと詰め込んだ新作「本当にコワい? 食べものの正体 」(すばる舎)を10月15日に上梓。無料のメールマガジン「アリエナイ科学メルマ」も配信しており、好評を博している。
2015年06月24日米食品医薬品局(FDA)は現地時間6月16日、マーガリンなどに含まれており、心臓病などとの関連が指摘されている「トランス脂肪酸」を、2018年6月までに食品添加物から全廃する方針を決めたと同局のホームページにて明らかにした。日本の厚生労働省に相当するFDAは、2013年にトランス脂肪酸の廃止方針を示し、その科学的妥当性を検討してきた。そしてこのほど、食品に使用するにあたり、「一般的に安全とは認められない」と結論付けた。食品メーカーはトランス脂肪酸を製造物から除去するにあたり3年の期限が設けられており、それまでに代わりの添加物を使うなどの対応が求められることになる見通し。FDAのStephen Ostroff長官代理は、「このアクションによって、冠状動脈性心臓病が減ることおよび、毎年数千件の命に関わる心臓発作の予防につながることが期待できます」と話している。トランス脂肪酸は、植物油を加工して作るマーガリンや、お菓子、揚げ物用の油として使われるショートニングなどに含まれている。米国では加工食品への含有量の表示が義務づけられており、使用を規制する自治体もあった。一方で、日本では摂取量の少なさにおける健康へ影響をおよぼす可能性の低さなどを理由に、表示の義務化がされていない。今回のFDAの決定を受けて、Twitter上では「気になりつつも、毎朝摂取しちゃってるなぁ。マーガリン」「トランス脂肪酸排除も真似て広まればいいのに」「とうとうトランス脂肪酸廃止の方向か。日本はどうするんだろ」など、日本での動向を気にする意見があがっている(コメントは原文)。
2015年06月17日料理研究家・栄養士の中山桜甫氏のプロデュース株式会社ポーラは、料理研究家・栄養士の中山桜甫氏が監修した、美と健康のために、脂肪酸バランスにこだわった調理用オイル『桜甫のキレイDELIヘルシークッキングオイル』(600gX2本、3,800円(税込4,104円))を2015年6月2日に発売する。販売は、全国のポーラレディ、コスメ&エステショップ「ポーラザビューティ」約620店を含む全国約4,800店舗のポーラのお店で、カタログ販売にて取り扱う。同年2月に発売した『桜甫のキレイDELI ヘルシーベジタブルオイル』は生で食べるためのヘルシーオイルだったが、今回発売する『桜甫のキレイDELIヘルシークッキングオイル』は、料理の汎用性にこだわり、和食、洋食、中華と幅広く調理用として日本の食卓に対応している。「脂肪酸バランス」にこだわった5種の植物オイルをブレンド『桜甫のキレイDELIヘルシークッキングオイル』は、美容にも健康に良いとされる、オメガ3系、オメガ6系、オメガ9系の脂肪酸が含まれた5種の植物オイルをブレンドしている。美と健康にうれしい5種のオイルは、オレイン酸が豊富なキャノーラオイル。リノール酸やビタミンEが豊富なコーンオイル。リノール酸、オレイン酸が豊富で独特の香ばしい香りと風味が特長のごま油。シソ科のエゴマの種子から搾ったアルファリノレン酸が豊富なエゴマオイル。アマゾン熱帯地域に生息する植物の種子から採取される独特の風味が特長でアルファリノレン酸とビタミンEが豊富なインカインチオイルをブレンドしている。キャノーラオイルは、独自製法で焙煎をして加えたことで、香ばしさをプラスしているうえ、コクと深みのある味わい、素材本来の香りが楽しめるのが特徴だ。(画像はプレスリリースより)【参考】株式会社ポーラプレスリリース/日経プレスリリース
2015年05月28日日清オイリオグループは2月23日、家庭用食用油2品を発売する。○「オメガ3脂肪酸」「中鎖脂肪酸」を含む食用油新商品は、健康に役立つ食用油をそのまま飲む、飲みものに入れる、パンに塗るなど、加熱せずに生のまま日常的に摂取するという使い方に対応するもの。「日清アマニ油 145gフレッシュキープボトル」は、小さじ1杯(4.6g)に「オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)」が2.5g含まれた食用油。小さじ1杯で、成人1日当たりの摂取目安量(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」)1.6~2.4gを満たすことができるという。α-リノレン酸は、体内でつくることができず、食品から摂らなければならない必須脂肪酸で、オメガ3脂肪酸の一種。容器には、開封後も酸化を防ぎぐ二重構造の「フレッシュキープボトル」を採用。一滴からでも注げ、ピタッと止まるため、液ダレしにくく欲しい分量だけを注げる構造とした。容量は、毎日小さじ1杯を使用した際に約30日で使い切れる145g。賞味期限は1年。オープン価格(店頭想定価格1,000円前後・税込)。「日清エキストラバージンココナッツオイル 130g瓶」は、小さじ1杯(4.6g)で、中鎖脂肪酸が2.8g摂取できる食用油。中鎖脂肪酸は、ココナッツやパームフルーツに含まれる天然成分で、母乳や牛乳にも含まれ、通常の脂肪酸と比べて食後エネルギーになりやすい特徴を持つという。この特徴を活かし、医療用途や高齢者・介護食品、健康オイルなどにも使われている。ココヤシ果実の胚乳を低温で搾っただけの一番搾りオイルの中でも、ココナッツの香り立ちが豊かで、酸度の低いオイルを厳選したエキストラバージンココナッツオイル。APCC(Asian and Pacific Coconut Community)が定めるバージンココナッツオイル規格よりも厳しい規格を設け管理しているという。トーストに塗る、コーヒーやシリアルに加えるなど、そのまま使えばエキストラバージンココナッツオイルの甘い香りをストレートに味わえる。また、炒めものや卵焼き、カレーなどの加熱料理やケーキ、フレンチトーストなどのスイーツにも使用できる。容器は毎日小さじ1杯を使用した際に、約30日で使い切れるサイズとした。賞味期限は1.5年。オープン価格(店頭想定価格1,000円前後・税込)。
2015年01月20日寒くなってきましたね。エアコンやこたつが必須の季節となりましたが、厚着をしたりカイロを使ったりする他にも身体を温める方法があるって知ってますか?それは身体の中から温める方法です。例えばアイスを食べた時。口の中がひんやりとして気持ちがイイだけでなく、食べ終わってから「寒い・・・」と身体の中から冷気を感じた経験はありませんか?今回はその逆で、「身体の中から温まる食材を摂取することで快適に冬を越そう」という発想です。身体を温める食材は、冷え性改善にも効果的なので、冷え性で悩む方は必見です!今回はベジフルビューティーセルフアドバイザーの著者が「身体を温める野菜」についてご紹介します。■1.根菜類東洋医学の考え方では、食材は大きく3つに分かれています。身体を温める「陽性」の食べ物、身体を冷やす「陰性」の食べ物、陽性と陰性のバランスのとれた「中庸」の食べ物、という3種類です。つまり身体が冷えやすい冬には「陽性」の食べ物を多く摂取するのがおすすめ。でもどの食材が陽性で、どの食材が陰性かを見極めるのは大変ですよね。そこで、まずは「根菜類は陽性」と覚えておいてください。根菜類は土の中で育つため、土の上で育つキュウリやトマトのような夏野菜に比べて水分が少なく、逆にビタミンCやEや鉄などが多く含まれているのが特徴です。ただし「大根」と「ごぼう」は根菜ですが身体を冷やすと言われている食材ので、身体を温めたいという時にはこの2つには注意してください。■2.薬味「生姜」が身体を温めてくれるのは有名な話ですが、生姜以外でも身体を温めてくれる薬味はたくさんあります。例えば、ねぎやニンニク、唐辛子など。どれもスープや煮込み料理、鍋に入れると味を引き締めてくれる美味しさがあり、身体にも好影響をもたらします。「買い忘れたけど、まぁイイか!」ではなく、忘れず入れてあげてください。■3.発酵食品夏に飲むと美味しいのがビールですが、寒い冬になったら「日本酒」に変えてみてはいかがですか?実は日本酒には、冷え性を改善してくれたり、ストレスを減らしてくれたりする働きがあると言われています。その理由は日本酒が「発酵食品」だから。発酵食品には身体を温めてくれる働きがあります。他にも、発酵食品の代表である納豆や味噌、チーズにも身体を温める働きがあります。寒い冬には「根菜とねぎを入れた味噌汁」と「日本酒」をセットで覚えておいてください。■4.黒い食材白米や白砂糖は身体を冷やすと言われるのに対して、玄米や黒砂糖、黒ごまや醤油などの黒い食材は身体を温めてくれると言われています。他にも海藻のワカメ、ひじき、海苔も該当します。「うどんよりもお蕎麦」、「大豆よりも黒豆」というように、身体を温めたい時には黒い食材を意識して選んでください。■おわりに寒いと何事にもやる気が出ないだけでなく、身体が冷えると免疫が落ちて生理不順や病気にもなりやすくなるので、早めに身体を温める食材を摂取してください。(栢原 陽子/ハウコレ)
2014年12月25日ライオンは10月27日、分岐鎖脂肪酸が抗炎症成分の吸収を促進することを確認したと発表した。同研究成果は同社のオーラルケア研究所によるもので、2014年9月に開かれた「第56回歯科基礎医学会学術大会・総会」で発表された。歯周病予防を訴求した歯磨剤には、歯周組織の腫れや出血を防ぐために抗炎症成分が配合されており、その成分の効果を十分に発揮させるためには歯周組織へ吸収させることが重要となる。抗炎症成分の多くは親水性を示すため、疎水性の角化層をもつ歯周組織との親和性が低く、吸収されにくいのが課題だった。同社は今回、抗炎症成分「トラネキサム酸」を配合したモデル製剤に、各種脂肪酸を一定量配合した歯磨剤を作成し、口腔粘膜モデルを用いて抗炎症成分の膜透過量を測定した。その結果、分岐鎖脂肪酸「イソステアリン酸」が抗炎症成分の吸収促進作用を示すことを発見した。さらに詳しく調べたところ、「イソステアリン酸」は口腔粘膜のリン脂質二重膜を流動化し、外から成分を吸収しやすい環境にする効果を持つことがわかったという。同社は「今回の研究で得られた成果を応用することで、他の抗炎症成分の吸収促進の可能性、抗炎症成分の歯周組織への吸収性向上を実現する製品開発を進めていく」とコメントしている。
2014年10月29日ココナッツには必須脂肪酸といわれる飽和脂肪酸がたくさん含まれています。飽和脂肪酸は、バターやラードにも含まれていますが、子どものお腹の負担を考えると、ココナッツで摂取することが好ましいとされています。というのも、バターやラードよりも、ココナッツは融点が低く、体温でも簡単に溶けるので、お腹の中で固まらない脂として有名なのです。子どものお腹の温度はだいたい38~39度。この状態でも溶けていられるココナッツオイルで必須脂肪酸を摂取するように心がけましょう。そして、カレーのルウにも注意。実は市販のカレールウには、動物性の油脂と植物性の油脂、小麦を使ったものや米粉を使ったものまで、さまざまな種類があります。子どもの腸のことを考えると、植物性油脂や米粉を使ったカレーのルウを選ぶようにしましょう。また、牛乳のタンパク質も腸には負担となるようです。子どもの腸を健康に保つためにも、牛乳ではなく、ココナッツミルクや豆乳などを料理に使うようにしたいですね。■まろやかおいしい、子どもも大好きなココナッツカレーのレシピ(対象年齢:2歳~)<材料>(4人分)・にんじん 1本・さつまいも 大1本・玉ねぎ 1個・鶏もも肉 300g・ココナッツオイル 大さじ3・ココナッツミルク お好みで・カレールウ 適量・水 適量・ごはん 適量1.にんじんとさつまいも、鶏もも肉をひとくち大に切ります。2.玉ねぎは半分に切ってから、薄くスライスしておきます。3.ココナッツオイルを鍋に入れ、中火で鶏肉を炒めます。4.野菜を入れて、全体に火が通るまで炒めます。5.材料がひたるくらいに水を入れます。6.沸騰したら火を弱めます。7.カレーのルウを入れて、とろみをつけ、煮込みます。8.にんじんが柔らかくなったらココナッツミルクを入れます。9.アツアツごはんに盛りつけて完成です。市販のカレーのルウの中には、加工された油脂で作ってあるものもあります。加工された油脂は、トランス脂肪酸という人工油脂で、健康に影響があるといわれています。油の中にも体に良い油、悪い油があり、どんな油を摂るかで、神経細胞や脳細胞の膜の種類が決まってくるという話もあります。子どもの成長を考えて、摂る油の種類もしっかり見極める必要がありますね。
2014年10月18日(画像はイメージですCliff)トランス脂肪酸2014年10月1日、雪印メグミルクはトランス脂肪酸およびその他脂肪成分に関する情報をまとめ、雪印メグミルクの見解を加えた文書を発表しました。トランス脂肪酸は脂肪酸の一種で、植物油の加工や精製、調理過程において生成します。トランス脂肪酸は長期間の過剰摂取により、脂質異常症をもたらし、動脈硬化などの虚血性心疾患のリスクを高めるという報告がたくさんあります。海外での規制世界保健機関と食糧農業機関は、心臓血管系を健康に保つためには「食事からのトランス脂肪酸の摂取」をきわめて低く抑えることを勧告しています。具体的には最大でも総エネルギー摂取量の1%未満に抑えることを勧めています。アメリカ、カナダ、デンマークでは食品中に含まれるトランス脂肪酸の摂取量を表示することを法律的に定めています。オーストラリア、ニュージーランドではトランス脂肪酸の摂取量がもともと低いことから規制措置は行っていません。日本での取組消費者庁は2011年2月に「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」を公表しています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」の中で日本においては、トランス脂肪酸の摂取量は少なく、その範囲では疾患のリスクになるかどうかは明確ではないとしています。その一方、調査の中ではリスクになる量のトランス脂肪酸を摂取している人もいたことから、工業的に生産されるトランス脂肪酸の摂取量は抑えることが必要と述べていす。食品安全委員会は2006年に実施した調査に基づき、国内に出回っている食品のトランス脂肪酸含有量を公開しています。トランス脂肪酸を含む食品を取るときにはリノール酸を一緒に菅野道廣元九州大学教授の研究によると、トランス脂肪酸を含む食品を摂取する際にはリノール酸を摂取すると、トランス脂肪酸の悪影響は減ることを明らかにしています。ただし、この結果は動物実験、短期試験での検討で、長期間の観察を伴うものではありません。【参考】・雪印メグミルクプレスリリース
2014年10月06日理化学研究所(理研)は7月14日、統合失調症や自閉症などの精神疾患の発症に、脂肪酸を運搬する「脂肪酸結合タンパク質(FABP)」が関与している可能性を見出したと発表した。同成果は、理研脳科学総合研究センター 分子精神科学研究チームの島本知英研修生(お茶の水女子大学大学院生)、同 大西哲生研究員、同 吉川武男チームリーダー、山口大学の大和田祐二 教授、浜松医科大学の森則夫 教授らによるもの。詳細は、英国の科学雑誌「Human Molecular Genetics」のオンライン版に近日中に掲載される予定だという。統合失調症は、幻覚や幻聴、妄想などさまざまな精神症状が現れる疾患で、自閉症は対人コミュニケーションの障害、限定的な行動や興味などの特徴がみられる疾患として知られているが、近年の研究から、「脂肪酸」がそうした疾患の発症に関与している可能性があるという説が注目されるようになってきた。脂肪酸は、脳の正常な発達に必須な物質だが、水分となじまない性質であるため、細胞内の働くべき場所で働くためには、その移動を補助する「脂肪酸結合タンパク質(FABP)」の役割が重要とされている。FABPは10種類以上の近縁タンパク質の総称であり、これまで研究グループは、死後脳の研究から、その内の1つで、主に脳で働く「FABP7」の発現量が統合失調症患者の方が上昇していること、ならびにFABP7を作る「FABP7遺伝子」が統合失調症の原因遺伝子の1つであることを報告していた。しかし、ヒトの脳ではFABP7だけでなく「FABP3」と「FABP5」も発現していることから、今回の研究では、FABP7、FABP3、FABP5の3つが、統合失調症や統合失調症と遺伝的・臨床的な関連性が報告されている自閉症とどのように関係しているのかを調査したという。FABP7と同様にFABP3とFABP5の発現量を正常対照群と統合失調症患者の死後脳とで比較したところ、統合失調症患者ではFABP5の発現量が上昇しているほか、生存している統合失調症患者の血液細胞ではFABP5の発現量が低下している、自閉症患者の死後脳ではFABP7の発現が上昇している、そしてFABP3はどの試料においても、正常対照群との差が見られない、ということが判明したという。また、2097人の統合失調症患者と316人の自閉症患者のサンプルを用いて、実際にFABPの機能異常を引き起こすような遺伝子変異があるのかを調べたところ、8種類の変異(2種類のフレームシフト変異と6種類のミスセンス変異)を発見。これらの変異がFABPにどのような機能的異常を引き起こすのかを調べたところ、2種類のフレームシフト変異タンパク質は、どちらも細胞内で異常な分布を示すと同時に壊れやすい性質を持つことが判明したほか、6種類のミスセンス変異タンパク質のうち2種類の変異では、いくつかの脂肪酸に対する結合特性が変化しており、変異を持つ患者の細胞中の脂肪酸の働き方に異常がある可能性が示唆されたとする。これらの結果を踏まえ、Fabp遺伝子が脳の働きにどのような役割を果たすのかの解明を目指し、3種類のFabpをそれぞれノックアウトさせたマウスを用いて、精神疾患に関連する行動試験も実施。その結果、Fabp3ノックアウトマウスは新しいものに対する興味が低下していること、Fabp7ノックアウトマウスは活動性が高い一方で不安を感じやすいことが観察され、これらの行動が統合失調症や自閉症で見られる特徴と一致していることが示されたという。なお、研究グループは今回の成果を踏まえ、FABP5の発現量と脂肪酸量の変動を組み合わせて検査することでより正確なバイオマーカーとして利用できる可能性が出てきたとする。また、一部の統合失調症患者や自閉症患者では脳の発達期に脂肪酸機能の不全があることが示唆されたことから、脳の発達期である妊娠期や乳児期・幼児期に適切な量と質の脂肪酸を摂取することや、遺伝的な要因によって引き起こされる脂肪酸機能不全であってもそれを補う適切な量と質の脂肪酸を摂取することで、そうした症状を予防できる可能性が示されたとするほか、発症後でも、脂肪酸の適切な摂取が症状の軽減に有効である可能性が考えられると説明しており、今後、どの脂肪酸をどの程度、どのぐらいの期間・時期に摂取すれば症状を軽減できるのかを明らかにすることで、新たな治療法の確立につながると期待できるとしている。
2014年07月14日株式会社低糖良品は6月5日、小麦粉ゼロ、砂糖ゼロ、トランス脂肪酸ゼロの大豆バー「ソイズケアバー」を発売。糖質制限食(低糖質食品)の同社セレクトショップ・低糖良品で販売する。同製品は、手軽に持ち歩け、しかも一本で満足感を得られる。そのため、糖質制限、栄養療法、糖質制限ダイエット、炭水化物抜きダイエットを実践する人の、外出中の食事に最適だ。しっとりとした味わいのチーズ味で、内容量30g、価格2,160円(12本セット)。同社は2011年12月に同サイトをオープン。3月にソイコム株式会社と提携し、5月より糖質制限食(低糖質食品)である大豆製品の販売している。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月05日