フォーカルポイントは6日、ゴルフや野球のスイングを解析するアプリ連動型3Dモーションセンサー「Zepp 2」を発売した。価格(税別)はゴルフ用、野球用ともに19,980円。Zepp 2本体のほか、ゴルフ用はグローブマウント、野球・ソフトボール用にはバットマウントが付属する。Zepp 2は、本体に加速度センサーと3軸ジャイロセンサーを2つずつ内蔵。測定したスイングデータを、Bluetooth LEによってスマートフォンやタブレットに送信し、端末側の専用アプリで保存・解析する仕組み。ゴルフ用はグローブに取り付けることでクラブのヘッドスピード、ポジション、スイングテンポ、スイング軌道などを、野球・ソフトボール用はバットのグリップエンドに取り付けてバッティング速度、ヒットゾーン時間、ヒット時の角度、スイング軌道などを解析する。専用アプリには、使用者の身長や利き手などを登録。さらに、ゴルフ用はハンディキャップ、グリップの握り方、グリップの位置、所有しているクラブ・シャフトの種類、クラブの長さといった項目を登録しておける。野球用で登録可能なのは、バッターボックスの立ち位置、バットの先端位置、所有しているバットの種類・長さ・重さなど。解析後は、個人データとスイングデータにより、正しいトレーニングプログラムを提案してくれる。プロ選手などがアドバイスする「スマートコーチ」機能を持ち、ゴルフ用にはプロゴルファーのミッシェル・ウィーやキーガン・ブラッドリー、PGAツアーコーチのリック・スミス、野球用にはMLB選手のマイク・トラウトと女子ソフトボール米国代表選手のジェニー・フィンチが登録されている。Zepp 2の本体サイズは約W25.4×D25.4×H12.3mm、重量は約6.25g(センサーのみ)。電源は内蔵バッテリーで、連続使用時間は最大約8時間、マグネット式専用USB充電器が付属する。マウント装着時の重量は、ゴルフ用が約11g、野球用が約22g。対応機種は、iPhone 4s以降、iPad(第3世代)以降、iPad mini(第1世代)以降、iPod touch(第5世代)以降で、すべてiOS 8以上が必要。および、Android 4.3かつBluetooth LE搭載のスマートフォン/タブレット。
2016年04月07日Mentor Graphicsは4月4日(米国時間)、高速デジタルプリント基板(PCB)設計における各種解析/検証ツール「HyperLynx」の最新バージョンをリリースした。「プリント基板の設計も、その複雑度が増すごとに、用いるツールについても増加し、ツール間連携に伴うセットアップ時間の増加やシミュレーションの複雑さが増すなど、処理以外の時間も増えることとなる。また、増加したツール群をつかいこなす必要もある一方で、人的リソースには限りがあり、人員不足による開発ボトルネックという課題もある」と同社Product Line Director, HyperLynxのDavid Kohlmeier氏は、現在のプリント基板設計の課題を語り、今回のバージョンアップがそうした課題の解決策につながるとした。HyperLynxは、設計者の少しでも早く解析結果を知りたい、というニーズを実現することを目指して開発が進められてきたもので、今回のバージョンアップにより、シグナルインテグリティ(SI)とパワーインテグリティ(PI)の解析のほか、3D電磁界(EM)ソルバ、高速ルールチェック機能を単一環境に統合。これにより、例えばSerDesチャネルのシミュレーションを実行した後、メニューを1つ選択するだけで、大規模な電源ネットのディカップリング解析に切り替える、といったことが可能となった。また、3Dフルウェーブを含む高度な電磁場ソルバを備えており、将来、より高速化するSerDes技術にも対応していくことが可能となったほか、3Dエンジンが緊密に統合されているため、ユーザーはフルウェーブソルバ環境の複雑な細部について学ぶ必要がなく、シグナル構造とパワー構造のジオメトリが合格基準に達していること、電磁界ポートが作成されていること、シミュレーションが実行されたこと、Sパラメータ解析の結果がタイムドメインのシミュレーションに取り込まれたことなど、すべてを自動的にチェックすることも可能となった。さらに、データを先に計算して、一時保存するといった手法を用いることで、複数の解析・検証エンジンを同時に使用しても処理性能が落ちない工夫を採用。問題を個々別々に切り分け、それぞれに最適なエンジンを自動的に割り当てることも同時に行うことで、基板のどこ場所のシミュレーションを実行すればよいのか、といったことも自動判断できるようになり、高速化と自動化の両立も可能とした。同社Business Development ManagerのDavid Wiens氏は、「製品開発の目標は、顧客に向けて、いち早く高い精度を提供するということ」とし、1つひとつのモデリングを設計者は決して見ていたくはないことを強調。細かいパラメータを気にしないで解析を実行できるようになったことで、設計者のリソースをより付加価値の高いところに持っていけるようになるとした。
2016年04月05日企業向けITサービスおよび業務受託サービスを展開するシーエーシーと医療機関を対象に心電図解析事業を展開するモリーオは4月4日、共同出資により、医療データのクラウドサービスを手がける新会社としてエムハートを同月1日に設立したと発表した。新会社はシステムの開発、各種認可の取得、心電図解析ソフトの薬事承認などを経て年内にもサービス提供の開始を予定している。CACは年金、医療、介護など社会保障領域の課題解決に貢献する事業に注力しており、特に医療分野では健康寿命の延伸が医療費の削減と社会保障の充実した豊かな社会創りにつながると考え、予防医療の普及に貢献するITサービスの事業化に取り組んでいる。一方、モリーオは、循環器専門医および通信技術者で構成される岩手医科大学発のベンチャー企業。研究開発型企業であることから、現業の心電図解析事業に留まることなく、身近、手軽に心電図検査が受診できる社会の実現を理念に掲げ、国際標準規格(MFER規格)に則った新型の心電計システムの開発に取り組んでいる。新会社は心電図解析のクラウド型プラットフォームを構築し、利便性の高い解析サービスを求める医療機関と読図の専門知識・スキルを持った解析医師・技師をネットワークでつなぎ自動解析ので技師によるデータ解析、医師による所見レポートの提供など、データの内容や医療機関の求めに応じ、異なるレベルのサービスを提供。 取り扱うデータはMFERに準拠しており、国内外の心電計メーカーの参加を計画している。また、新会社のサービスを利用する医療機関は、クラウド上の解析ソフトをランニング費用のみで利用でき、MFER準拠の複数の心電計を選択するメリットが得られるという。また、低価格、即応性、専門医の支援、および国際標準規格を備えたサービスの特徴を活かし、国内では、これまで心電図検査を導入していない中小医療機関への普及拡大と、海外では日本の高品質な医療サービスの輸出に向けた事業展開を行う方針だ。
2016年04月04日オプティムは3月30日、直感的にIoT端末の制御、データ解析、AI(人工知能)、クラウドサービスと連携ができる「OPTiM Cloud IoT OS」を発表した。2016年夏頃の提供を予定している。同社では、スマートフォン・スマートデバイス管理技術分野のノウハウ・技術を応用し、2014年よりドローン・ネットワークカメラ・ウェアラブルデバイスなどを含むIoT端末の研究開発を進めている。OPTiM Cloud IoT OSは直感的かつ安全なIoT端末の管理・制御、データの蓄積・分析、クラウドサービスとの連携を可能とし、あらゆるユーザーがIoTを享受できる「新しいユーザー体験」を提供するという。サービスの特徴として、UI(ユーザーインタフェース)はデスクトップOS形式を採用し、直感的な操作が可能。IoT端末から取得した情報を蓄積し、標準搭載している接続中のIoT端末やデータをデバイスに一覧表示する「OPTiM IoT Explorer」の画面から閲覧できるほか、緊急を要する場合においても、スマートフォンに通知する設定を行える。また、OPTiM IoT Explorerで収集している機器の情報やカメラ映像分析など、さまざまな数値・映像データに対して分析を行う「OPTiM Insight」を標準アプリケーションとして提供することに加え、数値・映像データをビジュアル化して表現することで、状況の把握が可能。ウィジェットエンジンの標準搭載により、デスクトップ上で必要かつ最新の情報を常に確認できるという。さらに、画像データや各IoT端末から取得したデータに対し、OPTiM Cloud IoT OSに搭載されているAIやビッグデータ分析エンジンを駆使することで、人の手を介して行うには困難である膨大なデータを多様な角度から分析。これにより、農業分野ではドローンを用いての品種ごとに異なる害虫を検知したり、医療分野ではヘルスケアデバイスが取得したバイタルデータから病気リスクの予測や予防への活用、建築分野ではセンサーが取得したデータからビルの老朽化を予測したりするなど、さまざまな産業において応用でき、新たなアプローチを可能としている。加えて、企業が保有する情報の全てはテナントと呼ばれる空間ごとに区切られて保存。テナント内は、マルチアカウントに対応しており、組織階層、グループごとの細やかな権限管理が容易に実施できるという。そのほか、統合開発環境の「OPTiM Code」利用し、OPTiM Cloud IoT OS上で動作するアプリケーションを容易に作成することを可能とし、IoT端末やサービスを専門に販売するマーケットプレイスである「OPTiM Store」も利用が可能だ。公開予定のAPIはマルチテナントな階層管理、アプリ管理などのコアロジックを担うCore API、リアルタイムなストリームデータ、および永続化されたストリームデータのI/Oを担うMessaging / Datastore API、クラウド上でユーザープロセスを実行可能とするPaaSを担うRuntime API / OPTiM Codeとなる。また、仮想化されたコンピューター基盤上でインターネットを介し、アプリケーションサーバ・データベースを提供。これにより、クラウド上に構築されるシステムは用途に応じて自動的に拡張され、物理的な制約から開放されるとしている。
2016年03月31日情報通信研究機構(NICT)は3月30日、広域無線システムとWi-SUNによる狭域無線システムの融合実験に成功したと発表した。同研究では、国際標準IEEE Std. 802.22b (物理層運用モード2)規格に準拠した「基地局装置」および「加入者局装置」を開発。同装置を使用し、24.1km離れた2地点間において、上り回線9.7Mbps (加入者局側: 指向性アンテナ)および上り回線4.8Mbps (加入者局側: 無指向性アンテナ)のデータ伝送速度を達成した。この広域無線回線の加入者局側に接続されたWi-SUNルータを介して収集された複数の加速度センサのデータをまとめて、基地局側に常時伝送するとともに、加速度センサの値の変化に応じて、加入者局側で撮られた高精細映像を基地局側へ自動的に伝送開始する実証試験に成功した。こうしたシステムは地震が発生した際に、揺れが発生した地点の映像を自動的に遠距離の地点に伝送することで、現場状況の把握に役立てることができると考えられている。同研究では、広域無線システムの装置4台を使用し、2つの伝送区間で同一チャンネル(帯域: 4.6MHz)を用いた中継伝送を行い、総距離30km以上離れた2地点間において、2.9Mbps(上り/下り回線とも)のブロードバンド無線伝送にも成功しており、中継機能により、新たな周波数帯を使用することなく、伝送距離を伸ばすことが可能になるとしている。研究グループは今後、Wi-SUNによる狭域無線システムとWRANによる広域無線システムとの融合を進めるほか、開発した広域地域無線装置については、利用可能な周波数帯情報を有するデータベースに接続する機能や周波数チャンネルを複数まとめて利用するチャネルアグリゲーション機能の追加、対応周波数帯の拡張などを行うことで、より汎用性のあるブロードバンド無線通信システムにしていく予定だとしている。
2016年03月30日テクトロニクスは3月29日、ハイブリッドSDI/IPメディア解析プラットフォーム「Prism」を発表した。放送業界では、オールIPインフラへの移行が進められているが、既存技術やワークフローを移行するためには巨額の投資が伴うため、段階的な移行が行われている。この移行段階では、SDIとIPのハイブリッド設備を管理するエンジニアやオペレーターは従来手法との一貫性を持ち、新たな種類の問題点を確認できるテスト/モニタリングソリューションが必要となる。こうした課題に対し、PrismはSDIとIPの両方の信号タイプを診断し、相関付けることで、エラーの根本的な原因がIP層か、コンテンツ層かをすばやく特定することができる。同製品について同社は「Prismは、放送局やコンテンツ・クリエータがIP設備を構築するために欠かせないツールです。新しい解析フォームに加え、このような新しい変化において、お客様が既存のワークフロー、能力、インフラを活用できるようにお手伝いすることがテクトロニクスの使命であると認識しています。Prismは、まったく新しいソフトウエア定義解析プラットフォームであり、移行終了後のニーズにも柔軟に対応可能な、将来性のあるソリューションです」と説明している。なお、Prismは2016年夏の販売を開始する予定。
2016年03月29日シャープマニファクチャリングシステムは3月29日、FA(ファクトリーオートメーション)用画像処理ソフトウェア「IV-S70シリーズ(IV-S72J/IV-S71J/IV-S70J)」を2016年6月より発売すると発表した。工場の生産ラインでは、カメラで撮影した画像をもとに対象物の位置決めや傷などを調べる外観検査、各種計測などを行う画像処理が活用されている。同社は、約20年にわたって、カメラインタフェースと処理部、外部インタフェースを専用のハードウェアで一体型し、ソフトを内蔵した筐体型モデルの提供を行ってきた。同シリーズは、 同社が2014年に発売した筐体型モデル「IV-S300シリーズ」の高速画像処理技術をベースにソフトウェア製品として開発したもので、市販のPCやUSBカメラ、モニタなどと組み合わせることで、安価にFA用途で求められる画像処理を実現する。ニーズに合わせて、IV-S300Mの全モジュールに対応したフルパッケージ「IV-S72J」、IV-S72Jから文字検査モジュールを省いた拡張パッケージ「IV-S71J」、IV-S71Jから各種モジュールを省いた基本パッケージ「IV-S70J」の3ラインアップを用意。いずれも画像サンプリング方式は256階調(8ビット/画素)で、Basler製100万画素モノクロ/カラーカメラおよび東芝テリー製の30万画素モノクロ/200万画素モノクロカメラに接続することが可能であることが確認されている。同社では、今後、接続可能なカメラの種類を増やしていく予定としている。価格はIV-S70Jが5万円(税別)、IV-S71Jが7万円(同)、IV-S72Jが10万円(同)としているが、検証用のお試し版フリーソフト「IV-S72JF」も2016年4月に配布される予定(初回配布は2016年9月30日までの使用期間限定版となる予定)だという。
2016年03月29日システム・テクノロジー・アイは3月29日、マイクロソフトが提供するクラウド版グループウェア・サービス「Office 365」とシステム・テクノロジー・アイの学習管理システム「iStudy Enterprise Server」をクラウドにより連携させるサービスを2016年5月より順次提供すると発表した。。「iStudy Enterprise Server」は集合研修管理やeラーニングの実践、学習結果管理、受講案内など、人材育成に必要な機能をすべてパッケージ化されている。大規模ユーザーへの対応として複雑な組織管理ができることに加え、システム・テクノロジー・アイが持つ200以上の学習コンテンツを利用することが可能。独自のコンテンツを作成することもでき、柔軟な社内教育や研修環境の実現に貢献するという。連携の第1弾となるサービスとして、Excel Online上で学習コース情報の「iStudy Enterprise Server」への一括登録を可能とするモジュールをOffice ストアにて提供する。Office 365ユーザーは同モジュールを無償で利用することができ、教育計画を設計後に個別入力するといった煩雑な作業の軽減を見込める。今後は、マイクロソフトのクラウド型認証基盤 「Azure Active Directory」を利用した、「Office 365」から「iStudy Enterprise Server」へのシングルサインオンによる研修の受講、テストの開催などの予約情報の「Outlook Online」スケジュールへの登録といった連係機能を順次開発していくという。また、「iStudy Enterprise Server」のインフラを、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」へ移行する計画。
2016年03月29日キヤノンは3月28日、眼科機器である光干渉断層計「OCT-HS100」を用いて、網膜の血流の状態を可視化し、血管形態を描出する画像処理技術「OCT Angiography」のオプションソフトウエアを4月7日より発売すると発表した。OCT Angiographyは、光干渉断層計で取得した網膜の断層画像から血流情報のみを抽出し、血管像を再構築することで眼底の血管形態を描出する画像処理技術。造影剤を使用しないため、アレルギー反応を引き起こすリスクを伴わずに、網膜や脈絡膜血管内の血流の状態を可視化できる。OCT Angiographyの画像は、毎秒約7万本の高速スキャンにより最短約3秒の検査時間で取得できるため、被検者の負担を軽くすることに加え、目が動くことによる画像への影響が軽減され、高精細な画像を得ることができる。また、縦分解能3μmという解像度により、網膜血管網を高画質に3D表示でき、立体情報の把握が可能となっている。なお、4月7日~10日に仙台国際センターで開催される「第120回 日本眼科学会総会」の器械展示会にてOCT Angiographyのデモが実施される予定。
2016年03月28日日本IBMは3月22日、北海道システム・サイエンス(HSS)の次世代シーケンスによる受託DNA解析を行うインフラ環境として、IBMのクラウド「SoftLayer」が採用されたと発表した。HSSは、次世代シーケンサーであるIlluminaの「HiSeq2500」「MiSeq」、Pacific Biosciencesの「PacBio RSⅡ」を用いた高速DNAシーケンスを実施している。次世代シーケンスは現在、一人あたりのヒト遺伝子の解析を数日で行うことが可能になっており、これに伴い、1台の次世代シーケンサーからは短時間に膨大な解析結果が出力され、2008年当時に比べてデータ量は約10倍に増えているという。SoftLayerは、必要なときに必要なIT資源を利用できるハイパフォーマンスクラウドサービス。今回HSSは、東京データセンタおよび世界の多拠点にあるデータセンタを利用し、メモリが最大3TBまで使用できるベアメタルサーバ、グローバルの高速ネットワークサービス、ファイアウォールなどといったSoftLayerのさまざまなサービス・機能を活用することで、インフラ構築に取り組んでいくとしている。HSSは、遺伝子データを処理するDNA解析案件をSoftLayer環境で実施することにより、これまで1年程度の期間を必要とするような大規模解析の納期を3カ月程度に短縮することを見込んでいる。
2016年03月22日富士通研究所(富士通研)は3月15日、ゲノム上の変異情報と疾患や生活習慣などによる環境情報との関連性をデータベース上で解析する際に、従来手法に比べて約400倍高速に処理できる技術を開発したと発表した。現在、ゲノム医療の進展により、ゲノム・遺伝情報と臨床・環境情報を組み合わせて解析することで、遺伝要因と環境要因の関連性を探索する研究が行われている。このような研究では多様な角度から解析するためにゲノム情報をデータベースに格納して処理するが、膨大な規模のゲノムデータを扱うため、処理に時間がかかるという課題があった。たとえば10万人の母集団データに対し、個人差の要因となる「バリアント」と呼ばれる変異箇所のひとつについて集計すると、既存のオープンソース・データベースソフトを用いた場合、約1秒の時間がかかることが同社の調査によってわかっている。したがって、1000万箇所のバリアントの集計を10万人規模の母集団で行うとすると、約120日かかる計算になる。今回同社は、データベース上でゲノム情報の高速な集計処理を可能にするデータ構造「ゲノム型」とその処理方法を開発した。ゲノム型は1人のゲノム情報をデータベース上の1列(カラム)で格納するデータ構造で、各バリアントの情報を固定ビット長にコード化して格納する。バリアントを1列に格納することにより、ひとつの問い合わせで同時に集計することが可能になり、1バリアントあたりの集計処理性能が大幅に向上する。また、バリアントの大半は、計算機上で2ビット長のコードに置換することができるが、3ビット以上の複雑なコードに置換されるバリアントも多数ある。したがって、従来は複数のビット長が存在する可変長データを扱う必要があったが、今回同社は、このような可変長データを、固定ビット長構造を崩さずに格納して集計処理する方式を考案し、高速な集計処理を実現。さらにバリアントのコード化により、文字列でバリアントを格納する場合に比べ、ゲノム情報サイズが1/16に削減されるため、数十万人規模の大規模データについてもインメモリで高速に処理することが可能となっている。同社は今後、さらなる集計処理の高速化および運用上必要となる機能の実装を進め、医療機関との共同研究、倫理審査を経て、同社ヘルスケアシステム事業本部のソリューションに適用する予定であるとしている。
2016年03月15日三菱電機とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は3月3日、監視カメラシステムに、映像解析技術(人工知能による人間の動作検知など)やクラウド・ネットワークなどのサービスを組み合わせた新たなソリューションの提供において協業すると発表した。今回の協業で、三菱電機は「高性能・高品質の監視カメラシステム」「防犯、インフラ設備監視でのシステム構築のノウハウ」「光通信、無線通信、映像解析における高度な技術力」といった強みを生かす。NTT Comは、「ネットワークを含めたクラウドサービス」「AIによる動作検知など映像解析技術」といった強みを生かす。例えば、NTT Comは映像解析において、人間の「動作」を理解する新しい人工知能「時系列Deep Learning」を開発し、映像データから、「きょろきょろしている」「しゃがんでいる」「ものを置いている」などの動作を高精度に検知することに成功している。こうした両社の技術を活用して、防犯だけでなく、さまざまな用途に応じた映像データの解析を可能とする「映像解析プラットフォーム」(仮称)の提供が検討されている。2016年度上期から小売店舗や金融店舗など実フィールドでの実証実験を開始し、映像解析の実用性の確認やネットワークを含めたシステムの最適化を検討し、実サービスの提供を目指す。
2016年03月03日○ライフサイエンスに特化した画像解析サービス東京大学 本郷キャンパスの一角にある「アントレプレナープラザ」には、同大学との関わりが深いベンチャー企業が集う。そのうちのひとつが、ライフサイエンス分野の研究者に向けた画像解析サービスを提供するエルピクセルだ。画像解析を利用した技術には、衛星データや地理情報を解析するための技術や、製品や部品の個体を識別する技術などさまざまなものがあるが、同社はライフサイエンス分野の画像解析に特化しているのが特徴だ。エルピクセル 代表取締役 島原佑基氏は、「ライフサイエンスだけでいいのか? とよく言われますが、医療、製薬、農業など、ライフサイエンス業界は、それだけでGoogleのような会社が作れてしまうほど、とても広い。むしろ絞りきれていないと感じているくらいです」と説明する。大学院時代に「メンブレントラフィック」という細胞内の物質輸送システムに関する研究を行っていたという島原氏。研究室では、顕微鏡で観察される細胞内のタンパク質や脂質の動きを画像にして解析するソフトウェアを開発していた。生物系の研究者は数学が苦手で、画像処理も不得意だという人が多く、研究室ではたくさんの共同研究が行われていたという。「そのニーズに耐え切れず、会社にした」(島原氏)というくらい、その需要は大きい。「現在、学術論文の9割には画像が掲載されていると言われています。三大科学誌『Nature』、『Science』、『Cell』の過去3年分を調べたところ、一番多い画像は電気泳動の結果を撮影した写真でした。また、蛍光顕微鏡、および蛍光ではない顕微鏡で撮影した画像がそれぞれ4割くらい。重複しているものも考慮すると、全論文の半分程度は顕微鏡画像が載っているといえるでしょう。生物学者と顕微鏡画像の処理は、切っても切れない関係にあります」(島原氏)ライフサイエンスに精通していて、なおかつ画像処理に明るい人材は少ない。同社はAdobeと共に研究者向けの画像処理の講義を行っているが、そこで約3300名の参加者に対し「画像処理は必要ですか?」と質問したところ、約9割は必要であると答えたという。しかしながら、「大学で画像処理を学ぶ機会はありますか?」という質問に"YES"と答えたのはたったの3%。画像処理について教えられる人材が大学にほとんどいないというのが現状だ。そこで同社は画像処理に関して、Webでの情報発信やeラーニング教材の開発も行っている。ライフサイエンスの分野において、画像処理技術の需要にサービスの供給が追いついていないのは、日本だけでなく海外でも同様だ。島原氏は「世界中に教育活動を行っていきたい」と、画像処理に関する教育活動についても積極的な姿勢を示している。現在、同社の主力事業は、研究機関・企業との共同研究やシステムの受託開発だというが、今年の夏には画像解析のデファクトスタンダードとなるような、クラウド上で利用できるソフトウェアをリリースする予定だ。ライフサイエンスにおける画像解析は案件ごとに特化しており、ソフトウェアとして一般化することは難しいという印象だが、島原氏は「最初からすべてを解決しようとは思っていません。細胞個数のカウントの自動化、細胞面積の計測、動きのトラッキングといったニーズの大きいところから、まずは広げていきたいと思っています」と説明している。○大学発ベンチャー、成功の秘訣は?大学発ベンチャーのなかでも東京大学発の企業は日本で一番多く、現在約200社程度が存在している。しかしながら、一時期のベンチャーブームが過ぎ去り、ピーク時には年度あたり約250社まで増えた大学発ベンチャーの新設数は、2013年度時点で52社にまで減少。ここ数年は横ばい傾向にある。大学発ベンチャー設立のハードルはどこにあるのだろう。「事業化の大きなハードルは“人”ではないでしょうか。私は起業する際にあまりハードルを感じなかったのですが、その理由は周りに強力なパートナーがいたから。逆に、それがなければうまくいかなかったと思っています」(島原氏)同じ研究室の助教とポスドクと共に同社を立ち上げた島原氏だが、「3人とも副業として会社を始めたのも成功の要因として大きかったのでは」と分析。1年目は3人全員が人件費ゼロで活動し、結果的に利益の一部を大学へ寄付するまでになったという。「仕事はひとつにしなければいけないとか、副業はダメだとか、日本の人は変にまじめなところがありますが、飲み会やスポーツに費やしている時間を、おもしろいことをやるという感覚でビジネスに当ててもよいのではないでしょうか」(島原氏)こうして“カジュアル”に起業したというエルピクセルだが、着実に成長を続けている。同社の目標は、大学と企業の架け橋となるような研究所を作ることだ。この研究所について島原氏は、「触媒を与えると軌道に乗るようなすばらしい技術は周りにたくさんあります。我々がまずきちんと成功して、そこから得られたノウハウを持って、技術シーズの活用をエンカレッジしていけるようになったらおもしろいですね。大学発ベンチャーのハードルはすごく高い。アカデミアから企業に行くことに抵抗を感じる人が多いのが現状です。研究者にとって、ベンチャー企業は大学よりも自己実現できる良い場所だということをきちんと示して、ここに来れば優秀な研究者たちが集まっているんだと思ってもらえるような場所にしていきたいです」と語る。同社サービスへのニーズは日本国内のものだけにとどまらない。海外からも引き合いが多く、近々ジョイントベンチャーを立ち上げ、海外拠点を作る予定だ。エルピクセルの今後のさらなる飛躍に期待したい。
2016年02月24日パナソニックは2月15日、成田空港にてウェアラブルカメラと位置測位技術を活用したインタラクティブ警備システムの実証実験を行うと発表した。同システムは、人が多く集まる場所を狙ったテロなどの凶悪犯罪や混雑による雑踏事故に対する警備の強化を目的に、ウェアラブルカメラやスマートフォンなどを活用し、警備員の位置と現場映像を防災センターでリアルタイムに集中管理・確認。問題発生時に迅速で的確な対応を可能にする。また、警備に関連する画像やテキストメッセージなどの情報を警備員のスマートフォンに配信・共有することで、正確な情報伝達を行い効率的な警備を実現するとしている。実証実験の概要はウェアラブルカメラなどを装着したパナソニック社員および成田空港の警備員が空港内を移動し、位置測位精度の検証やシステムの有効性の確認を行う。実施期間は2月22日~3月4日まで、実施場所は第2旅客ターミナル1F~4F(一般エリア)となる。2月22日~同26日までは位置測位精度やウェアラブル映像伝送など技術検証を行い、同29日~3月4日の期間で実際の警備員で運用し、ウェアラブルカメラの使用感などを含めシステムの有効性など運用検証を実施する。
2016年02月15日日立製作所は2月8日、COBOLで構築されたシステムのJavaベースのシステムへの移行をワンストップで支援する「COBOLマイグレーションサービス」を2月16日から提供開始すると発表した。同サービスは、日立とレッドハットの製品を組み合わせ、COBOLからJavaへの移行に伴うシステムの現状分析から構築、移行後の運用・保守までを全面的に支援するもの。日立が提供する、ソフトウェアのリソース管理・解析を行うアプリケーション・ライフサイクル・マネジメント(ALM)システム、プログラムの自動生成やテストの自動化を行うアプリケーションフレームワーク「Justware」、レッドハットが提供するビジネスルール・マネジメントシステム(BRMS)「Red Hat JBoss BRMS」から構成されている。具体的には、ALMシステムによりCOBOLで構築された既存システムの設計情報や機能などを解析し、業務上の規則や判断基準などを設定する業務ルール部分と、業務ルールに応じたシステム実行処理を行う業務アプリケーション部分を抽出。その解析結果を基に、業務ルール部分を「JBoss BRMS」で管理すると同時に、業務アプリケーション部分については「Justware」でJavaベースのプログラムを自動生成する。この一連の作業により、従来は手作業で行われてきた既存システムの詳細な分析やプログラミングなどの作業が大幅に削減されるという。同サービスは、現行分析をサポートするフェーズ「現行システム資産分析支援サービス」、構築フェーズをサポートする「システム構築支援サービス」、運用/保守フェーズをサポートする「システム利用状況分析支援サービス」から構成される。価格は個別見積もり。
2016年02月09日米Synopsysは2月3日(現地時間)、シミュレーション管理/結果解析のための検証環境を、同社が提供する回路シミュレータ「HSPICE」「FineSim」「CustomSim」に標準機能として搭載したことを発表した。2016.03バージョンから提供開始となる。同検証環境では、温度、電圧などのシミュレーション条件セットアップと、それらの条件を組み合わせたシミュレーションの自動実行およびモンテカルロ解析が可能。また、同社のグラフィカル波形ビューワ「Custom WaveView」との統合による波形解析や業界標準のTCLスクリプトによるリグレッションテストの自動化が可能となる。さらに、バッチモードシミュレーションのための先進のジョブ分散/モニタリング機能や、チャート出力、統計解析、ヒストグラム、統計分布図などの検証結果ビジュアル化/データマイニング機能、Web表示のためのHTMLベースのドキュメント化をはじめとする詳細なレポート生成機能も備えている。これにより後付でサードパーティ製のアナログ検証環境を組み込む必要はなくなる。サムスンのSystem LSI Business 部門では、FineSimにおける同検証環境を評価使用し、今後のアナログ設計プロジェクトでの採用を決めているという。
2016年02月04日電通とパナソニックは、スポーツ競技映像素材に、選手のバイタルデータ(生体情報)、スポーツ画像解析によって得られる競技解析データ、スポーツ科学による分析情報などを付加・統合する「プレミアム・スポーツコンテンツ」を活用した事業開発に向け、業務提携を行うと発表した。電通が得意とする「クリエーティブ表現技術・サービス設計」と、パナソニックが得意とする「映像機器・センサー技術・映像解析技術」を組み合わせてつくる「プレミアム・スポーツコンテンツ」を活用した事業開発に向け協業する。協業するのは、データを元に躍動感・緊迫感・感動シーンを演出した映像などの「プレミアム・スポーツコンテンツ」を、放送・通信や映像エンターテインメントに活用するパッケージの制作・販売を行うスポーツ放送・通信、エンターテインメント分野と、制作した「プレミアム・スポーツコンテンツ」を、競技や育成レベルの向上のために各スポーツ団体やフィットネスクラブなどに提供するスポーツ強化分野。両社は2020年を照準に、映像とデータをフル活用して新しいスポーツ体験をつくるソリューションの開発・事業化を目指す。
2016年02月04日ZMPは2月3日、センチオーダーの位置計測が可能な高精度位置計測システム「RTK Position-Z」の最新ソフトウェアをリリースしたと発表した。同システムは、フィールド内に固定する基準局と、車両などに搭載する移動局、アンテナや補正信号送受信機、およびビューワアプリケーションなどのソフトウェアがセットとなっているもので、GPSとGLONASSに対応し、RTK(リアルタイムキネマティック)によりセンチオーダーの位置計測が可能。今回リリースされた最新版のソフトウェアでは、衛星の捕捉状況に加えて無線(Zigbee)によるRTK補正データの取得状況をリアルタイムで表示できるようになり、計測環境の調査・構築がスムーズに進められるようになった。また、計測データを地図上へ重畳表示させることが可能となり、三次元表示を行うビューワも付属する。RTKのための補正データは、無線(Zigbee)による配信と、新たにAndroid端末を利用したインターネット経由での配信にも対応した。価格は、基準局・移動局セットが210万円(税別)から、追加移動局セットが110万円(税別)となっている。
2016年02月04日箱根登山鉄道は、2015年10月10日より、「デジタル列車無線システム」の運用を開始したことを発表した。同システムには、NECのデジタル無線システムが採用されている。列車無線システムは、列車に搭載された無線装置を、基地局経由で指令所と接続することにより、情報伝達などを行うシステム。同システムは、デジタル無線を採用することで、伝送路上で音声にノイズが発生しても受信側で修正が可能になっている。これにより、ノイズに強く通話品質の変動が少ない安定した音声通話を実現する。さらに、無線伝送の音声信号にデジタル暗号処理をかけることにより、通信の秘匿性も向上するという。また、複信方式を採用することにより、音声の送信・受信が同時に行えるため円滑な情報伝達が可能となる。そのほか、中央制御装置・基地局間や各基地局間をつなぎ、信号を伝送する「アプローチ回線」に関して、既設の通信メタルケーブル設備を活用することにより、列車無線専用の光ケーブルなどの新設が不要となるとしている。
2016年02月03日東大発のベンチャー企業・エルピクセルは1月22日、ライフサイエンス研究に特化した論文画像不正対策のための類似画像検出システムを開発したと発表した。同社は2014年から論文の画像切り貼りや加工などの不自然な箇所を検出するソフトウェア「LP-exam Pro」を販売している。今回開発されたシステムでは、ライフサイエンス研究分野の画像特有の特徴量を有効に利用し、一部ディープラーニングも活用することで、高精度の類似性画像検索システムを実現。切り取りや回転処理などを施した場合も検出可能となっている。
2016年01月22日情報通信研究機構(NICT)は1月14日、大量のデータを暗号化したまま複数のグループに分類できるビッグデータ向け解析技術を開発したと発表した。今回、データを暗号化した状態でロジスティック回帰分析を高速に行う手法を世界で初めて開発した。新技術はNICTが開発していた準同型暗号技術である「SPHERE(スフィア)」と機械学習の1つであるロジスティック回帰分析技術を組み合わせることで実現。新技術は暗号化した状態でデータを分類できるため、個人情報などの機微な情報を安全に効率よく分類することが可能になる。応用例の1つとして、新技術を用いて健康診断などのデータから病気の判定を行う際にデータ処理を行う第三者にデータの内容を開示することなく、プライバシーを保護できるようになると期待されている。また、大量のデータを暗号化したまま複数のグループに分類することを可能とし、高速化の要となる技術は関数の近似とデータ処理の分割の2点となる。最初にNICTはロジスティック回帰分析中に含まれる複雑な関数を単純な多項式で近似し、準同型暗号と組み合わせることで現実的な時間で動作する方式を考案。次にロジスティック回帰分析に含まれる計算をデータ加工処理と集計処理の2つの部分に分割し、データ加工をあらかじめデータ提供者側で行うことで高速化を進めた。これら2点の改良と同機構が開発したSPHEREを組み合わせることで、大量のデータを暗号化したままでロジスティック回帰分析を行うことが可能となり、シミュレーションではサーバ上で1億件のデータを30分以内で分析可能であることが確認できた。さらに、米UCI機械学習リポジトリ(カルフォルニア大学アーバイン校のWebサイトで公開されているデータベース)で公開されている実験用データを用い、新技術によりデータを暗号化したままロジスティック回帰分析を行った結果と、暗号化せずに分析した結果がほぼ一致することを確認した。新技術を用いることで、クラウドサーバなどを用いてデータの分類を行う際、データに含まれるプライバシー情報がサーバ管理者に漏えいすることを防ぐことができるという。
2016年01月14日京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は1月13日、米AlpacaDBから、画像認識モデル作成サービス「Labellio」を譲り受け、KCCSによる運用を2016年1月19日から開始することを発表した。Labellioは専門知識や特別な環境がなくても簡単にディープラーニングによるオリジナルの画像認識モデルを作成できるクラウドサービス。ユーザーは用意した画像をLabellioにアップロードするだけで画像認識モデルを作成できる。作成した画像認識モデルは、さまざまなシステムの開発に活用できるという。例えば、工場などで製品の良品・不良品を目視で判断している場合、Labellioを活用すれば、画像認識の専門知識がなくても良品・不良品を自動で判断するシステムの開発が可能になる。KCCSは、世界トップクラスのディープラーニングの技術を持つAlpacaの画像認識技術を取り入れるとともにAlpacaと連携を図ることで、AI技術を強化していくという。また、AI関連のベンチャー企業や大学研究室などとの提携を通じ、AIを活用したプラットフォームサービスの拡充を目指すとのこと。
2016年01月13日メタップスは12月17日、エム・データが保有する「TVメタデータ」と連携し、メタップスが提供するアプリ解析ツール「Metaps Analytics」上で、テレビ番組とCMデータを可視化し、テレビと動画の最適なマーケティングを支援する統合分析機能を追加した。TVメタデータとは、関東(東京)・中部(愛知)・近畿(大阪)のテレビ局で放送されたテレビ番組やCMをテキストデータとしてデータベース化したもの。「番組データ(番組放送内容)」「CMデータ(広告出稿内容)」「アイテムデータ(番組で紹介された商品情報)」「スポットデータ(番組で紹介された店・宿・観光地などの情報)」の4つで構成され、ローデータサービスのほかに、ランキングコンテンツや調査・集計・分析などのレポートサービス、分析結果を基にしたコンサルティングサービスなどを提供する。なお、これらのデータは、データ入力センターに専属オペレーターを配置し、オリジナルのデータ入力システムから、24時間365日、「いつ」「どこで」「何が(誰が)」「どのように」「何秒間(何回)」放送されたかを入力し生成している。今回の連携により、Metaps Analytics上にて、TVメタデータを基にテレビ番組とCM及び動画の相関を可視化し、統合的に分析することが可能に。Metaps Analyticsを導入するアプリでは、DAUや課金金額などの行動データを掛け合わせるなどの多角的な視点から分析することができる。例えば、1GRP(出稿量と視聴率を基にした放送広告枠の定量指標)投下あたりの想定インストール数や、テレビ番組に取り上げられた場合のアクティブ率の変化、テレビ番組とCM及び動画の想定リーチ数などが把握できるようになり、マーケティング予算の最適な配分の意思決定が可能となった。
2015年12月18日国立がん研究センターは16日、これまで生検や手術で採取した組織等を用いて行っていた網羅的なゲノム異常の解析を、血液でも高精度に行える新たな手法を開発し、さらに血液からも進行膵臓がんの約30%に治療標的となり得る遺伝子異常を検出したと発表した。現在、がんにおける治療標的遺伝子異常の探索には、主に外科的に切除した手術材料や内視鏡的もしくは超音波下に採取した組織が用いられているが、がんの占居部位や病状悪化等で生検が困難な場合もある。また、がん組織に針を直接刺して組織を採取する組織生検は患者の負担が大きく、出血などの合併症の危険性も伴っている。そのため、患者への負担が少なく、複数回の検査も可能な血液や体液(尿など)を用いた網羅的ながんゲノム解析は、新しいがん分子診断法として期待されていた。しかし、血液検体から得られる遊離DNA(cell-free DNA、以下cfDNA)は少量で、さらにそのうちがん由来のcfDNAは極めて微量であるため、網羅的なゲノム解析を高精度に行うことは、これまでほとんど実現していなかった。今回発表された同研究では、組織生検等により膵臓がんと診断された患者の血液を用い、膵臓がんに高頻度に異常がみられる遺伝子と、治療標的となり得る遺伝子を含めた膵臓がんのゲノム異常を、低侵襲な検査法である血液(約5ml)から検出する方法について検討。その結果、新たに開発した前処理法を次世代シークエンサーによる解析前に用いることにより、少量(10ng)のcfDNAからも網羅的なゲノム解析を行うことが可能であると確認し、さらに治療標的となり得る遺伝子などの変異14例(約30%)を検出した。同研究で用いた解析方法は、膵臓がんに限らずあらゆる固形がんで可能であり、また、生検が困難な患者や薬剤耐性獲得変異など経時的な複数回の検査が必要な場合にも有用と考えられ、通常の組織生検よりも患者負担が少ない網羅的ゲノム解析手法として臨床応用が期待される。また、これまで分子標的薬の開発が進んでいない膵臓がんにおいても、がんの遺伝子異常に基づいた個別化治療が有効である可能性が示唆され、今後さらに検出感度を向上させることで、治療標的の探索だけでなく、難治がんの早期診断への応用も期待されるという。
2015年12月17日野村総合研究所(NRI)は、テキストデータ解析ツール「TRUE TELLER(トゥルーテラー)」に搭載するテキスト解析エンジンを刷新し、12月15日から最新版の提供を開始すると発表した。新たなエンジンは、特許出願中の新技術をテキスト解析に適用することにより、従来利用していたエンジンと比べて、最大11.7倍の高速化を実現し、今回、新たに開発した意味解析・感性解析機能を搭載した。その結果、解析精度が従来比1.6倍に向上したという。NRIは新エンジンを、テキストデータ解析ツール「TRUE TELLERテキストマイニング」および「TRUE TELLER FAQナレッジ」のエンジンとして活用すると共に、多様化する業務システムへの適用など、テキスト処理のさまざまな分野に展開していくという。
2015年12月15日野村総合研究所(NRI)は12月15日、テキストデータ解析ツール「TRUE TELLER(トゥルーテラー)」に搭載するテキスト解析エンジンをNRIが開発した高精度・高速なものに刷新し、最新版の提供を開始した。TRUE TELLERは「TRUE TELLER テキストマイニング」「TRUE TELLER VOICEダイジェスト」「TRUE TELLER FAQナレッジ」のソリューション群で構成しており、コールセンターへの問い合わせやアンケートへの回答など顧客から寄せられる膨大なテキストデータを数値化・分析し、商品開発やサービスの改善などに役立てることが可能なNRIが開発したテキスト解析ソリューション。2001年に提供を開始し、企業の経営課題・業務課題の解決を支援している。最新版の主な特長として特許出願中の新技術をテキスト解析に適用することにより、従来利用していたエンジンと比べて最大11.7倍の高速化を実現。解析速度の高速化により、例えばコールセンターにおける会話記録など社内に蓄積された大量の音声データやSNS、ブログといった膨大なソーシャルデータを、効果的かつタイムリーに分析できる。また、新たに開発した意味解析・感性解析機能を搭載し、解析時に発生するノイズを除去する性能は維持しつつ、解析精度が従来比1.6倍に向上し、より正確な分析が可能となった。さらに、これまで手作業での追加対応が必要であった新語・造語の辞書登録を自動化。これにより、流行語や俗語なども解析することが可能になり、テキスト解析の質や柔軟性を向上させている。NRIは新エンジンをテキストデータ解析ツール「TRUE TELLERテキストマイニング」および「TRUE TELLER FAQナレッジ」のエンジンとして活用するとともに多様化する業務システムへの適用などテキスト処理のさまざまな分野に展開し、それを通じてビッグデータを活用した経営課題の解決を支援していく考えだ。なお、価格はTRUE TELLER テキストマイニングで1ライセンスあたり600万円(税別、追加1ライセンス100万円)~。
2015年12月15日日立公共システムは、自治体における人事評価業務の効率化を支援する「ADWORLD 人事評価システム」を開発し、12月10日から販売開始することを発表した。提供開始は2016年6月の予定。同システムは、自治体特有の運用ルールに対応できる機能を豊富に備え、人事担当者の作業負荷軽減だけでなく、評価の有効活用から施策の策定までをトータルで支援するものとされている。各職員が自身のパソコンから目標や評価結果を入力できるため、評価票の配布・回収は不要となる。入力したデータはシステムに集約されるので、集計作業をスムーズに行うことが可能となっている。また、評価結果の集計および履歴管理機能の活用により、適切な人材配置や昇給・昇格への反映、能力に応じた研修計画の策定など、職員のモチベーションアップにつながる人事施策の策定も可能としている。そのほか、複数の職種・役職に応じた評価票、評価項目メンテナンス機能、現業職向けのExcel台帳一括取込機能など、自治体独自の運用ルールに対応した機能が実装されているという。なお、同システムは日立グループ各社の自治体向け製品およびサービス群を統合・体系化して提供するソリューションである「日立 自治体ソリューション ADWORLD」のラインアップとして販売される。
2015年12月09日Twitterは12月7日、PCブラウザ版のTwitterにおいて、ツイートに添付した画像の表示レイアウトを変更し、画像をトリミングせず全体表示するようになった。iOS版やAndroid版には、12月8日現在適用されていない。これまで、ツイートに添付した画像はクリックすることで全体表示できたが、タイムライン上ではトリミング表示されていた。また今回のアップデートにより、複数の画像を添付した場合は、1枚の画像を大きく表示し、他の画像をサイドに配置するよう変更した。
2015年12月08日ネオジャパンは12月3日、オンプレミス型のビジネス向けWebチャットシステム「ChatLuck(チャットラック)」を提供開始した。同システムは、PCやスマートフォンを用いて、メンバー間でリアルタイムのチャットが行えるほか、ファイルの共有、タスク・スケジュールの管理、アンケートの収集・集計などの機能が搭載されている。また、メンバーの在席状況の確認や、無料の音声・ビデオ通話、PC画面の共有といった標準機能のほかに、システム管理面では、ユーザーや組織の一括管理から、社内外ユーザーのアクセス権限管理、ファイルのダウンロード制限、ログのエクスポート、削除データの保全などの機能も備えている。買い切り型の2種類のライセンスが用意されており、利用するユーザー数に応じた「ユーザーライセンス」(作成できるルーム数:上限なし、登録できるユーザー数:購入したユーザー数)は、100ユーザー36万円~(税別)、1,000ユーザーは360万円~(税別)利用できる。最大10ルームまで作成できる「ルームライセンス」(作成できるルーム数:10ルーム、登録できるユーザー数:上限なし)は、15万円(税別)となっている。
2015年12月03日日立製作所(日立)は12月2日、コンピュータを活用した工業製品の開発を行う際の解析モデル作成作業の一部を自動化するソフトウェア「HICAD/CADAS CAE Modeling Platform」を開発し、製造業向けに12月7日から提供開始すると発表した。同ソフトウェアでは、過去に作成した部品の三次元CADデータとそれに対応する解析モデルなどに関する詳細な情報をデータベース化。データベース内の情報をもとに、新たに作成する部品と類似した形状の部位を検索し、三次元CADデータとそれに対応する解析モデルなどの情報を抽出し、これらの情報をもとに、さまざまな部位の解析モデルを自動的に生成する。同社によると、同ソフトウェアの開発にあたっては、本田技術研究所の協力のもと実証実験を行い、樹脂部品の開発工程における解析モデルの作成工数を30%以上削減できたという。価格は800万円(税抜)からとなっている。
2015年12月02日