東芝は3月14日、長崎県佐世保市ハウステンボス町にある宿泊施設「変なホテル」第2期棟に納入したCO2フリーの自立型水素エネルギー供給システム「H2One」が完成し、同日に運転開始したことを発表した。同社にとって同システムの受注は今回が初となる。同システムは、太陽光発電、蓄電池、水素製造装置、水素吸蔵合金タンク、純水素燃料電池により構成されており、日照時間が長い夏季に太陽光で発電した電気の余剰電力を利用して、水素製造装置で水を電気分解し、製造した水素をタンクに貯蔵。冬季には、貯蔵した水素を利用し、純水素燃料電池で発電することにより、水と太陽光発電のみで年間を通じてホテル1棟12室分の電力を供給することができるというもの。水素を高密度で貯蔵できる水素吸蔵合金を用いたタンクを採用しており、従来のタンクサイズと比較して1/10まで小型化した貯蔵タンクによりシステムの省スペース化を実現している。
2016年03月14日神戸製鋼所は3月1日、同社機械事業部門の生産拠点である高砂製作所内に「水素ステーション総合テストセンター」を新設すると発表した。同テストセンターは、水素ステーションの実運用に近い形でさまざまな運転パターンや充填シミュレーションの検証を行い、市場ニーズに合った製品開発を進めることを目的としたもので、燃料電池自動車への充填、圧縮機、冷凍機、高圧容器などにおける各設置機器の運転データの収集、水素圧縮機の各種試験などが実施される。敷地面積は約700m2で、投資額は約5億円。完成予定は今月中旬を予定している。同社によると、将来的にはシステム全体の検証を実施するために、水素製造設備の設置も検討する方向だとしている。
2016年03月01日鳥取県、鳥取ガス、積水ハウス、本田技研工業(Honda)は1月25日、鳥取県の「水素エネルギー実証(環境教育)拠点整備プロジェクト」を推進する協定の調印式を行ったと発表した。同プロジェクトでは、水素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーで水を電気分解し水素を製造・供給するHonda独自の高圧水電解システムを採用した設備「スマート水素ステーション」を日本海側で初めて整備する。このほか、水素エネルギー利活用の省エネ・創エネによる暮らしを提案・啓発することにより、スマートハウス化と燃料電池自動車普及を促進する。具体的には、鳥取ガスグループの敷地内にスマート水素ステーションと太陽光パネルを設置し、太陽光で発電した電力から水素を作り、燃料電池自動車に供給。敷地内の積水ハウスの展示場をスマートハウス化して、燃料電池や燃料電池自動車から住宅へ電力供給を行うなど、環境に優しく、快適でスマートな暮らしを支える仕組みを体験できるようにする。また敷地内には、水の電気分解により水素を作るといった実演を行う環境教育拠点も設ける。なお、再生可能エネルギーを活用した水素ステーションと住宅、燃料電池自動車を一体整備する水素エネルギーの活用は、全国初だという。
2016年01月25日食べたくなるようなキュートな石けん『Soaptopia』登場株式会社サザビーリーグは2016年1月30日より『Soaptopia』を発売する。同社が展開する『Soaptopia』はカリフォルニアで誕生した自然ボディケアのブランドで、商品はバレンタイン限定のキュートな“デザート石けん”だ。アイテムの形も色鮮やかで、おもわず食べたくなるようなソープに仕上げられている。また1月30日~2月29日までは「バレンタインキャンペーン」で、バレンタイン石けんを含んだギフトセット購入者には、BOX料金が無料になるサービスを実施する。(詳細は同サイトまで)ソープアイテムの特徴は?期間限定のデザート石けんシリーズについて、新宿フラッグス店舗および渋谷店舗限定で扱われる【チョコレート メイク ミー ソーニー】は、甘い豊かな香りとともにビタミンEなど抗酸化の作用が強い複数の植物オイルを基盤とした、ナチュラル手作り石けんだ。アイテムの外形は、高度な保湿力のあるカカオバターおよびバニラやローズがブレンドされており、色鮮やかなナチュラルカラーで仕上げられている。他方、ソープトピア全12店舗で扱われる【ニーム オ ポリタン】は、ベルガモットやオレンジなどがミックスされた心地良い香りがボディを包んでくれる。また美肌に導く“ニームオイル”と、素肌に優しいカミツレ油が調合されており、アメリカで知られる“ネオポリタンアイスクリーム”のような完璧なデザート石けんに仕上げられている。(画像はプレスリリースより)【参考】株式会社サザビーリーグ:ブランドニュース株式会社サザビーリーグ プレスリリース (PR TIMES)
2016年01月18日川崎重工は12月21日、水や蒸気を用いずに低NOx燃焼が可能な水素専焼ドライ・ロー・エミッション(DLE)燃焼技術を開発し、ドイツで実施した燃焼試験において低NOx性能を確認したと発表した。ガスタービンでの水素燃焼は、水素の燃焼速度が速いことから燃焼が不安定になりやすく、火炎温度が高くなることから、NOxの発生量が天然ガス燃焼時の2倍近くになることが課題となっている。同社はこれらの課題を解決するため、微小な水素火炎を用いることで逆火などの不安定燃焼を抑制し、かつ低NOx燃焼を可能とするDLE燃焼の基礎研究をこれまでに実施してきた。また昨年度からは科学技術振興機構からの委託を受け、微小な水素火炎を用いたガスタービン燃焼器の開発に取り組んでいる。今回、独アーヘン工科大学の高温/高圧燃焼試験設備にて水素燃焼試験を行い、NOx発生量が大気汚染防止法のNOx規制値84ppmを大きく下回る40ppm以下になることを確認したという。同社は今後、2017年を目標に燃焼器の完成を目指すとともに、ガスタービンに搭載しての技術確立にも取り組むとしている。
2015年12月21日水素が「ダイエット・美容・健康」にとても効果的なのはご存知ですか??今とても注目されていて、アスリートや芸能人の方も愛用されている方がたくさんいます。では、水素にはどのような効果があるのでしょうか??水素分子は、様々な病気や老化、生活習慣病の原因とされている「活性酸素」を除去してくれます。水素を摂取すると、体内の悪玉活性酸素と水素が結びつき、水となって排泄されます。出典:すいそのぽーたる公式サイトよりそして、血液をサラサラにする「デトックス効果」もあります。身体の中に溜まっている老廃物や毒素を除去すれば、便秘解消やむくみ解消、美肌にも繋がります。代謝がUPするので、脂肪燃焼効果でダイエットにも良いですよ♪しみ、しわなどの肌トラブルが改善できて、ハリのある若々しいお肌を保ちながら健康的に痩せられるのが水素の効果です!そんな水素ですが、水素水やサプリメントとして摂取したり、水素を発生させる装置を湯船の中につける水素風呂で体に取り込むことが出来ます。水素水は一度に大量に飲まずに、こまめに飲むことが大切。1日1,5Lが目安です。出典:sarasva公式サイトより水素を発生させるスティックを水の入ったペットボトルに入れるだけ!水素のスティック出典:楽天市場より持ち運びできる水素水サーバーpocket出典:楽天市場より水素風呂は肌呼吸により全身の皮膚から吸収されて、肌の奥まで浸透していくので、高い吸収力を期待できます。さらに、口からの呼吸によって水素を取り込むことができるので、水素水より効率的に体内に水素を取り込むことができます。代謝UPで身体の芯まで温まるので冷え性の方にもオススメ。浜崎あゆみさんも自宅で愛用♪マーメイド水素 バブルバス出典:楽天市場より1か月3500円で水素風呂が自宅で使い放題!水素風呂リタライフスタートボタンを押すだけで水素が発生し、だれでも簡単に自宅で本格的な水素浴が楽しめます♪出典:水素スパ.com公式サイトより美容と健康に嬉しい効果がたくさんの水素♪是非毎日の生活に取り入れてみてはいかがですか?
2015年12月20日産業技術総合研究所(産総研)は12月11日、圧縮機を用いないで、ギ酸から高圧水素を連続的に供給する技術を開発したと発表した。同成果は、産総研 化学プロセス研究部門 マイクロ化学グループ 川波肇 研究グループ長、井口昌幸 特別研究員、再生可能エネルギー研究センター 姫田雄一郎 水素キャリアチーム付らの研究グループによるもので、12月10日付けの独科学誌「ChemCatChem」に掲載された。水素ステーションにおいて、水素の圧縮に用いる圧縮機は設備費の約30%を占めるうえ、水素の圧縮にかかるコストは、供給する水素価格の約50%に達するため、省エネルギーで低コストの高圧水素製造技術の実現が望まれている。同研究グループが今回開発した技術は、イリジウム錯体によってギ酸から水素を効率的に発生させる反応により、化学エネルギーを圧力エネルギーとして取り出して高圧水素を得るもの。ギ酸とイリジウム錯体触媒を耐圧の反応容器に入れ、80℃で反応させると容易に40MPa以上の高圧の水素と二酸化炭素のガスを連続的に発生させることができる。また、ギ酸から発生した水素と二酸化炭素からなる30MPaの高圧ガスをマイクロ熱交換器で素早く-10℃まで冷却したところ、均一相の状態から、気相と液相の2相に分離した。さらに冷却温度を-50℃まで低くして上部の気相の成分を測定すると、水素が85%となった。これは、得られた水素と二酸化炭素が超臨界流体として均一相であった状態を、一気に冷却して高圧状態へ変化させると、気相と液相の2相に分離する現象を利用している。同研究所によると、同方法を用いれば、理想的には93%にまで水素を精製することができ、将来、より迅速に冷却が可能な熱交換器の導入や、別途高圧下での二酸化炭素の吸収除去技術を併用すれば、実用に耐えうる99.99%以上の純度の高い高圧水素をギ酸から得られるとしている。
2015年12月11日東京工業大学(東工大)は11月10日、水素を高温高圧下においても周囲の物質との化学反応なく安定して保持する技術を開発し、高温高圧力下における流体水素のプラズマ相転移の観察に成功したと発表した。同成果は、同大学大学院理工学研究科の太田健二 講師と大阪大学大学院基礎工学研究科附属極限科学センターの清水克哉 教授らの研究グループによるもので、11月9日付けの英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。水素は拡散性・反応性が非常に高い元素であるため、実験のために高温高圧発生装置の内部に安定して保持し続けることが困難であった。そこで同研究グループは、宝石用ダイヤモンドを用いた高温高圧発生装置「ダイヤモンドアンビルセル」の内部に、水素を高温高圧力下においても周囲の物質との化学反応なく安定に保持するための技術開発を行い、100万気圧を超える高圧力かつ1000K以上の高温条件での水素の実験を可能とした。さらにこの技術を利用し、大型放射光施設「SPring-8」の高圧構造物性ビームライン「BL10XU」のレーザー加熱システムを使った約80~110万気圧、2650Kまでの条件での実験から、流体水素の相転移現象を明らかにした。また、BL10XUのX線マイクロビームを使用したX線回折像から高温高圧環境状態を確認。これに加え、水素試料と高圧装置との間に化学反応が起きていないことも確認した。この実験によって観察された高温高密度水素流体のプラズマ相転移は、絶縁体-金属転移に対応している可能性が高く、木星や土星などの水素を主成分とするガス惑星の内部構造やガス惑星磁場の生成メカニズムの解明につながる成果であるという。また、水素の温度圧力相関係が明らかになることで、室温付近の高い超伝導転移温度が予想されている固体金属水素の合成のための指針となることが期待される。
2015年11月11日有名人御用達のドクターが開発株式会社フォーネイションは、2015年11月16日(月)に水素美容液「H2パフォーマンスバスコスメティック(以下、バスコスメ)」を発売する。同製品は、有名人御用達のアンチエイジングドクターが開発し、医療現場でも使用されている全身美容液。水素には高い抗酸化作用があり、最近では「水素水」や「水素サプリ」などにも注目されている。しかし、肌に対して水素の効果を期待するには「肌に近くに水素を投与する」ことが重要だという。肌だけでなく全身に効果あり!バスコスメの使い方は簡単。バスコスメを、お湯を張ったバスタブに入れるとマイクロバブル(細かい泡)が発生。湯を混ぜると泡は消えて白濁するが、この状態が水素が湯船に行き渡った「ナノバブル」の状態。その湯船に浸かることで、皮膚から水素が浸透し、骨に至るまで効果を発揮するとのこと。その効果は以下の通り。1皮脂への効果:体臭・加齢臭の除去2角質/髪への効果:くすみの除去、育毛・発毛効果3表皮組織への効果:小じわ、シミ4真皮への効果:たるみ5皮下組織/毛細血管への効果:ダイエット、糖尿病6筋肉/靭帯への効果:筋疲労からの回復、腱鞘炎7骨/関節への効果:骨粗鬆症、関節炎、リウマチ(引用:プレスリリースより)肌への効果だけではなく全身美容に役立つ「バスコスメ」、興味がある人は試してみては。(画像はプレスリリースより)【参考】・株式会社フォーネイション プレスリリース/PR TIMES
2015年11月09日オンラインショップ「ARIGATO GIVING」はこのほど、コーヒー成分が入った石けん「サボン コレクシオンノワール カフェ(洗顔石けん)」(1,944円)を発売した。同商品は、フランスのコスメブランド「cousu de fil blanc(クズ ド フィル ブラン)」の手作り石けん。伝統的なノウハウを尊重し、熟練の職人が工房で手作りしている。同ブランドの商品は、植物由来のオーガニックオイル、クレイ、高山で採取したはちみつ、精製オイル、海藻など天然由来で高品質の原材料しか使わずに、保湿成分として加えている。そうすることで、幸せを感じる香りを楽しむとともに、香りを肌で感じることができるという。同商品は、朝の目覚めのために、コーヒー成分を入れた洗顔石けん。刺激的な香料や成分の良さを引き出すため、独自の処方で作っており、使用すると少し甘いような香りにしばらく包まれるという。少し刺激を感じ朝から活動的な気持ちになるため、朝早くのミーティングや朝活など朝から活動的に動くときにおすすめとのこと。また、配合しているアラビアコーヒーノキ種子(スクラブ成分)は、肌の表面の古い角質をやさしく洗い流す働きがあるとしている。着色料・パラベンは不使用。※価格は税込
2015年10月10日東京大学は9月17日、高効率太陽電池の電力で水を電気分解するシステムを構築し、太陽光エネルギーの24.4%を水素に蓄えることに成功したと発表した。同大学によれば、世界最高効率だという。同研究成果は同大学の杉山正和 准教授、藤井克司 特任教授、宮崎大学の西岡賢祐 准教授らの研究グループによるもので、科学誌「Applied Physics Express」に掲載された。水素は自動車などのクリーンな燃料として今後の需要増大が見込まれているが、現在は化石燃料から製造されている。太陽光から効率よく低コストで水素を生成する技術の開発が望まれているが、これまでの光触媒を用いた手法では、太陽光から水素へのエネルギー変換効率は10%未満だった。10%を超える変換効率を達成した例としては、集光型太陽電池と水の電気分解装置の組み合わせを用いたオーストラリアのグループの22.4%という記録があるが、これは実験室内の模擬太陽光源で得られた結果だった。今回の研究では、新型の高効率集光型太陽電池に高分子膜を用いた水の電気分解装置を接続し、実際の太陽光下で安定的に水素を製造することに成功し、変換効率24.4%という世界最高記録を樹立した。新型の集光型太陽電池は、光学系の設計を改良した住友電気工業の集光型太陽光電池をTHKの高精度太陽追尾架台に搭載することで、発電効率31%を達成した。この集光型太陽電池を電気分解装置の電流電圧特性を考慮して直列接続数を最適化することで、発電した電力をほぼ損失ゼロで電気分解装置に導入できたことが今回の結果につながったとしている。今後、集光型太陽電池の発電効率は35%まで向上すると考えられており、その場合水素への変換効率は28%に達する見込みだ。今回の研究で用いた太陽電池と電気分解装置は市販されていることから、設置条件に合わせた設計により太陽光から24%の高効率で水素を製造することが既存技術で実現可能であることが示されたかたちとなる。研究グループは、今後太陽光由来の水素がエネルギー源として本格的に普及するには、集光型太陽電池の一層の効率向上と低コスト化、日照条件に合わせて太陽電池と水の電気分解装置の接続を逐次最適化する回路の開発が必要であるとしている。
2015年09月17日ノービル・インストルメントは8月28日、モバイルバッテリとAC-USB充電器、ニッケル水素充電器が一体となった「MIXJUICE(UP0051B-05PA)」を発表した。発売は10月10日。販売価格は6,800円(税込)。MIXJUICEは、モバイルバッテリとUSB充電器付きACアダプタ、ニッケル水素充電池の充電器としての機能を1台にまとめた複合型充電器。モバイルバッテリ用として、2,400mAh×2本の単3形ニッケル水素充電池が付属する。出力は5V/0.5A。電池は交換可能で、単3形と単4形に対応。アルカリ電池も使用できる。ACプラグを備えており、一般的な家庭用コンセントに接続すれば、AC-USB充電器として利用可能だ。100~240Vの電源に対応し、出力は5V/1A。スマートフォンなどを充電できるほか、ニッケル水素充電池の充電も可能。MIXJUICEをコンセントにつないだまま、スマートフォンなどとニッケル水素充電池を連続で充電できる。本体サイズはW75×D70×H21mm、重量は85g(電池含まず)。USBケーブルは付属しないため、ユーザーが別途用意する必要がある。
2015年08月29日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7月10日、アルハイテックが朝日印刷より協力を得るかたちで、アルミ系廃棄物から水素を発生させ発電に利用するシステムの有効性検証に着手すると発表した。これは、アルハイテックが独自開発したたアルミ系廃棄物からアルミを分離し水素を発生させ、発電に利用するシステムの有効性を産業界で検証することを目的としたもので、これまで一貫したシステムとすることを目指して乾留炉と水素発生装置の開発が進められてきたが、今回、実用化のめどが立ったことから、朝日印刷が提供する工場敷地に規模を拡大した装置を新たに設置し、工場から出る紙・アルミ・プラスチックの複合材製品の端材を利用した実動工場におけるシステムの検証を開始するという。計算では、アルミ系廃棄物900tを処理した場合、原油換算で約450kL、電力量換算で約170万kWhの省エネが可能になるとしており、CO2排出削減量も年間約1,200tと、一般家庭2,680軒分の月間排出量に相当するという。なお、今後は、年内に装置を完成させ2016年から運用を開始する予定で、得られる成果をもとに検証を行い、製品としての完成度を高め、導入顧客となりうる印刷工場、パッケージ工場、金属工場などに対し、装置販売やリース、運用支援、特殊アルカリ溶液の販売、装置メンテナンスなどのソリューションの展開を図っていきたいとしている。
2015年07月10日トヨタ自動車(トヨタ)、日産自動車(日産)、本田技研工業(ホンダ)は7月1日、水素ステーションの整備促進に向けた支援策を発表した。3社は今年2月に水素ステーションの整備促進に向けて支援策を共同で推進することに合意しており今回の発表はそれを踏まえたものとなる。具体的には、3社は政府による水素ステーションの運営支援と協調し、水素供給ビジネスへの参入を決めたインフラ事業者に対して、水素ステーションの運営経費の一部を支援するとともに、同取り組みの周知を図り新規参入を促していくとしている。運営費の支援は水素供給・利用技術研究組合(HySUT)への資金拠出を通じて行われ、支援割合は1/3かつ1基あたり年間1100万円を上限に、同日より2015年度分の申請を受け付ける。さらに3社は、水素ステーションに関するニーズやステーション稼働履歴といった情報の活用や、水素ステーションの利便性の向上、燃料電池自動車や水素に対する理解促進および認知度の向上についてインフラ事業者と共同で取り組んでいくとしている。
2015年07月01日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は6月9日、海外の未利用エネルギーを利用して水素を製造・貯蔵・輸送し、日本国内での利用を目指す水素エネルギー利用システムの技術開発プロジェクトを開始すると発表した。同プロジェクトは、本格的な水素社会の実現に向けた取り組みという位置づけで、海外における褐炭、副生水素などの未利用エネルギーからの水素製造、ならびに液化水素輸送システムなどによる大規模水素サプライチェーン構築、そして水素を燃料とした発電システム技術の開発を行おうというもの。具体的には2020年に豪州などから日本へ水素を輸送し、水素発電などで利用するシステムを実証し、2030年ころに商業ベースで大規模な水素エネルギー利用システムの確立を目指すとするほか、燃料電池の次の需要として、水素燃料によるガスタービン発電システムの技術開発も行っていく予定としている。今回採択されたのは以下の4つのテーマ。予算は、4テーマ合計で平成27年度単年で20.5億円を予定している。「未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業」(川崎重工業、岩谷産業、電源開発)2. 「有機ケミカルハイドライド法による未利用エネルギー由来水素サプライチェーン実証」(千代田化工建設)3. 「水素CGS活用スマートコミュニティ技術開発事業」(大林組、川崎重工業)「低炭素社会実現に向けた水素・天然ガス混焼ガスタービン発電設備の研究開発」(三菱日立パワーシステムズ、三菱重工業)(1)の実証事業は、豪州の未利用エネルギーである褐炭を用いて水素を製造し、貯蔵・輸送・利用までを一体化した液化水素サプライチェーンの構築を目指すというもの。6年間のプロジェクトで、実現に必要な「褐炭ガス化技術」、「液化水素の長距離大量輸送技術」、「液化水素荷役技術」の研究開発を実施する予定としている。(2)の実証事業は未利用資源から製造した水素を、有機ケミカルハイドライド法を用いて消費地まで輸送し、需要家に対し水素を供給するサプライチェーンの運用を目指すというもの。6年間のプロジェクトで、第1期(2年)と第2期(4年)に分け、第1期にて水素サプライチェーンの運用に必要な基盤技術の検証に向けたスケールアップ検討、触媒の耐久性検討、総合運用の検証などを行い、第2期は、それらの結果を踏まえて実施内容を決定するとしている。(3)の実証実験は、水素を燃料とする1MW級ガスタービンを有する発電設備(水素CGS)を用いて、地域レベルでの「電気」「熱」のエネルギー効率利用を目明日新エネルギーシステム(統合型EMS)の技術開発・実証を行おうというもの。3年間のプロジェクトで、水素・天然ガス混焼ガスタービンの燃焼安定性の検証、双方向蒸気融通技術の確立、統合型EMSの経済的運用モデルの確立を目指すとしている。(4)の実証実験は、既存の発電所に適用可能な水素・天然ガス混焼ガスタービンの燃焼器の研究(200~300MW超がターゲット)から、水素混焼プラントの基本設計の確立を目指すというもの。4年間のプロジェクトで、安定的な水素・天然ガス混焼運転のために、燃焼解析の高度化、要素試験、単缶燃焼器実圧燃焼試験などに取り組み、機器の改良設計・シミュレーション、水素混焼プラントの基本設計を行う予定としている。なお、今回の取り組みは経済産業省が掲げる「水素・燃料電池戦略ロードマップ」のフェーズ2に位置づけられるもので、プロジェクト参加各社は、来るべき水素大量消費時代に向けて、しっかりとした水素インフラの構築を実現していきたいとコメントしている。
2015年06月09日川崎市と東芝は4月21日、両者が川崎市臨海部の公共施設「川崎市港湾振興会館および東扇島中公園」(以下、川崎マリエン)で設置を進めてきた再生可能エネルギーと水素を用いた自立型エネルギー供給システム「H2One(エイチツーワン)」が完成し、実証運転を開始したと発表した。「H2One」は、太陽光発電設備、蓄電池、水素を製造する水電気分解装置、水素貯蔵タンク、燃料電池などを組み合わせた自立型のエネルギー供給システム。太陽光発電設備で発電した電気を用い、水を電気分解することで発生させた水素をタンクに貯蔵し、電気と温水を供給する燃料電池の燃料として活用する。水と太陽光のみで稼働できるため、災害時にライフラインが寸断された場合も、自立して電気と温水を供給が可能。周辺地域の帰宅困難者の一時滞在施設に指定されている川崎マリエンにおいては、貯蔵した水素を使い、300名に約1週間分の電気と温水を供給できるという。また、コンテナ型パッケージとなっているため、トレーラーでシステム自体を被災地に輸送することもできる。2021年3月31日まで行われる実証運転では、災害時を想定した水素BCPシステムおよび平常時の水素エネルギー・マネジメント・システムの有効性の検証とシステム全体の高効率化を進める。そのうえで、さらなる水素備蓄機能の強化による、完全地産地消型のエネルギー供給システムとしての展開を予定している。
2015年04月21日トヨタ自動車は13日、燃料電池自動車(FCV)やFCVの燃料である水素についての情報発信施設「TOYOTA MIRAI ショールーム」を、17日に東京都港区にオープンすると発表した。「TOYOTA MIRAI ショールーム」は、将来の水素社会の実現に向けて、FCVや水素を身近なものと感じてもらうことを目的に、岩谷産業が運営する「イワタニ水素ステーション芝公園」に併設する水素ステーション内併設型のFCVのショールーム。同ショールームでは、FCV「MIRAI(ミライ)」展示や試乗車両を用意するほか、映像などを使って車両や水素の特長などを紹介する。
2015年04月13日東芝は4月6日、府中事業所内に水素エネルギー研究開発センターを開所したと発表した。同社グループは2020年度に水素関連事業で売上高1000億円を目指しており、新センターの開所はその一環となる。同センターでは高効率に水と電気から水素を生成する新開発の固体酸化物形電解装置を設置し、太陽光発電システムや燃料電池など他の機器と組み合わせ、実用化に向けた検証を行っていく。また、顧客ニーズを把握するための当社水素関連技術の展示スペースとしても活用する。同社はさらに水素関連事業の拡大を図る方針で、具体的には今年度以降、離島・遠隔地など発電コストが高い地域向けに、再生可能エネルギーから水素を生成して再び電力として利用する「地産地消型」エネルギー供給システムを実用化し、当該地域における電力の低コスト化および安定供給の実現を目指す。また、2025年を目途に、海外での大規模風力発電などにより安価に生成した水素を国内に輸送し、水素ガスタービン発電所で発電を行う水素サプライチェーンの構築を計画している。
2015年04月07日東北大学金属材料研究所の高木成幸助教と同大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の折茂慎一教授らの研究グループは、水素と結合しにくいと考えられてきたクロムに7つの水素が結合した水素化物の合成に成功したと発表した。今回の研究成果は、日本原子力研究開発機構、高エネルギー加速器研究機構、豊田中央研究所との共同研究によるもの。金属元素の中には、単独では水素と結合しにくい元素群(=ハイドライド・ギャップ)が存在する。一方、これらの元素は錯体水素化物を形成することで多くの水素と結合することができる。唯一の例外がめっきやステンレス鋼などに用いられるクロムであり、単独でも、また錯体水素化物においても、いずれも水素とは結合しないと考えられてきた。今回研究グループは、水素が特定の対称性をもってクロムの周りに配置するとき、一般的な金属元素よりも多くの水素が結合した錯体水素化物が形成されることを理論的に予測した。具体的には第一原理計算を用い、まずはクロムと水素が結合する可能性を詳しく調べた。その結果、クロムの周りに7つの水素が双五角錐状に配置したとき、クロムと水素が強く結合することが分かった。また、これにより形成されるCrH7イオンともう1つの水素原子が3つのマグネシウム(Mg)原子から電子を受け取ることで、錯体水素化物Mg3CrH8を形成することが分かった。クロムとマグネシウム、水素によって構成される最も一般的な化合物の組み合わせは、金属クロム(Cr)とマグネシウム水素化物(MgH2)、水素ガス(H2)の混合物であり、予測されたMg3CrH8がこの混合物よりも安定であれば合成の可能性を示すことができる。同研究ではマグネシウム水素化物、金属クロム、水素ガスの混合物(3MgH2+Cr+H2)およびMg3CrH8の安定性を第一原理計算により評価し、錯体水素化物Mg3CrH8の合成が可能であるとの結論に達した。以上の理論予測を受け、金属クロムとマグネシウム水素化物との混合粉末(Cr+3MgH2)を5万気圧700℃の水素流体中にて4時間保持し、予測された錯体水素化物の合成を試みた。そして大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)にある中性子高強度全散乱装置(NOVA)にて試料の中性子回折測定を実施した。理論予測された構造からシミュレートしたプロファイルと比較すると、ピーク位置、強度ともに非常に良い一致を示すことから、理論予測通りクロムに7つの水素が結合したCrH7イオンを含む錯体水素化物Mg3CrH8の合成に成功したことが示された。同研究により、クロムが他の一般的な金属元素よりも多くの水素と結合することが実証され、長年の課題であったハイドライド・ギャップが克服された。理論計算によると、クロムにはさらに多くの水素と結合できる能力が秘められており、7つの水素のみならず、8つ結合したCrH8イオンや、9つ結合したCrH9イオンなどを含む錯体水素化物の合成が期待できる。今後はさらなる水素の高密度化を進め、新たに合成された錯体水素化物の水素貯蔵や超伝導などの物性・機能性の評価研究を広範に推進していくという。なお、今回の研究成果は、水素を高密度に含む水素化物の探索に向けて新たな指針を提示する重要な成果として、ドイツ科学雑誌「Angewandte Chemie International Edition」に受理され、2015年3月13日(現地時間)にオンライン掲載された。
2015年03月20日東芝は3月18日、英国スコットランド・ファイフ州で2020年まで実施される、大規模水素実証試験に参画すると発表した。同社が海外で水素に関する実証試験に参加するのは今回が初めて。同試験ではすでに設置されている750kW風力発電設備と30kW水電解装置に加え、200kW太陽光発電設備、60kWと250kWの水電解装置、水素貯蔵タンク、水素ステーション、燃料電池を新たに設置する。これらの設備で得られたエネルギーを水電解装置によって水素に変換・貯蔵し、水素ステーションを通じて25台の業務用ハイブリッド車両に供給するほか、燃料電池で再び電力として施設に供給する。東芝は電気の需給予測に基づく水素の製造・貯蔵の最適管理を行う「水素EMS」を提供し、システム全体の制御を担当するとのこと。同社は「再生可能エネルギーによる発電システム、水電解装置、燃料電池やそれらを制御する水素EMSなどグループ内に有する技術を活用し、水素が実現するCO2を排出しない持続的で安心安全快適な社会を目指し、今後も国内外で様々な取り組みを進めていきます」とコメントしている。
2015年03月18日産業技術総合研究所(産総研)は3月6日、多孔質の酸化タングステン(WO3)などを積層した半導体光電極を用いて、太陽光エネルギーで水を分解し、水素製造と同時にさまざまな高付加価値の化学薬品を効率良く製造する技術を開発したと発表した。今回、タングステン酸イオンを含む溶液を導電性ガラスにスピンコートし焼成する簡便な方法で成膜した多孔質の酸化タングステン膜の半導体光電極を作製。膜厚を厚くし、さらに光散乱を有効利用しながら光吸収効率を大きくすることで、水素と同時にさまざまな高付加価値の酸化剤を効率良く製造できた。光電極と対極との間には逆反応を防ぐためにイオン交換膜を配置。酸化剤としては、硫酸水溶液(HSO4-)から過硫酸(S2O82-)、食塩(NaCl)水溶液から次亜塩素酸塩(ClO-)、炭酸塩水溶液から過酸化水素(H2O2)、ヨウ素酸塩(IO3-)を含む水溶液から過ヨウ素酸塩(IO4-)、三価セリウム塩(Ce3+)を含む水溶液から四価セリウム塩(Ce4+)などを含む水溶液が効率良く製造できた。S2O82-、ClO-、H2O2に関しては、これまでの報告の中で最も高い性能が得られた。またIO4-およびCe4+生成はまったく新規な反応となる。これらの反応はいずれも、酸素発生の酸化還元準位(1.23V(RHE))よりも正に大きく、太陽光エネルギーの有効利用にもつながる。特に、硫酸水溶液中での過硫酸製造の場合、酸素発生は観測されず、酸化生成物の過硫酸への選択性はほぼ100%であった。通常、この電気化学反応を従来の金属電極で進行させるには2.1V以上の電圧が理論上必要だが、光電極を用いれば0.6Vからでも反応を進行することができる。太陽光エネルギーを、補助電圧をかけながら水素と過硫酸の化学エネルギーに変換・蓄積するための、光電極の性能指数である太陽光エネルギー変換効率(ABPE効率)は従来の約1.6倍となる2.2%であった。なお、同技術の詳細は、3月15日~17日に横浜国立大学で開催される電気化学会第82回大会で発表される。
2015年03月09日トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業の自動車メーカー3社は2月12日、燃料電池自動車用の水素ステーションの整備促進に向けた支援策を検討し、共同で取り組むことに合意したと発表した。水素を燃料とする燃料電池自動車の普及のためには、魅力ある商品の提供はもとより、水素ステーションの整備が重要であり、現在、インフラ事業者による取り組みが鋭意進められているが、燃料電池自動車の導入初期においては、水素ステーションの設置・運営は容易ではない。これに対し、政府は、2014年6月に策定した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を踏まえ、燃料電池自動車の普及のためには水素ステーションの整備が早急に必要であるとして、補助金による水素ステーションの設置支援に加え、燃料電池自動車の新たな需要創出活動を推進するために水素ステーションの運営支援などを含む施策の拡充を決定した。こうした状況から、自動車メーカー3社は、ユーザーの利便性を確保し燃料電池自動車の普及を後押しするため、政府およびインフラ事業者だけではなく、政府の補助金による支援のもと、自動車メーカーとしても、ロードマップの実現に向けて水素ステーションの整備促進に取り組むことが必要であるとの認識を共有し、今後、水素ステーションの運営に係る費用の一部負担などの具体的活動の検討を進めていくという。
2015年02月17日JX日鉱日石エネルギーは12月25日、神奈川県海老名市に商用水素ステーション1号店を開所するとともに、水素販売価格を1キログラム当たり1000円(税別)にすることを決定したと発表した。今回、Dr.Drive海老名中央店において、サービスステーション一体型の水素ステーションとして、水素の販売が開始された。同店では、燃料電池自動車への水素充填をはじめ、洗車やタイヤ交換などのカーメンテナンスを行うことが可能。同社は今年度内に、東京、神奈川、埼玉、千葉および愛知の1都4県に合計11カ所(単独型水素ステーションを含む)の水素ステーションを順次開所し、水素販売を開始していく。水素販売価格は、先般販売が開始された燃料電池自動車と同クラスのハイブリッド車に必要なガソリン代と同等の水準に設定したという。
2014年12月26日最近、燃料としての「水素」に関するニュースを見かけるようになった。例えば、トヨタ自動車は世界で初となる量産型燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」の発売を開始した。また、JX日鉱日石エネルギーは商用の水素ステーションの1号店を開所するとのことだ。そもそも水素とはどのようなエネルギーなのか。水素は“究極のエコエネルギー”と評されている。何が“究極”なのかというと「環境へのやさしさ」「膨大に存在する資源」「貯蔵や運搬の容易さ」などがあげられるようだ。まず「環境へのやさしさ」という点について。学校の理科で「水素と酸素が結合すると水になる」と教わった記憶があるかと思うが、水素を用いた燃料電池でも原理は同じらしい。化石燃料を用いてエネルギーを作る際には二酸化炭素が排出されるため、地球温暖化等の問題につながるとされているが、それと比較すれば、排出されるものが水だけというのは、はるかに環境にやさしいといえるだろう。厳密にいうと現状では「水素」自体を製造する過程において二酸化炭素は排出されているらしいが、いずれ太陽光や風力などの再生可能エネルギーで生産できれば、二酸化炭素を一切排出しないということも可能だという。また、「膨大に存在する資源」という点においては、資源枯渇が問題視される化石燃料などと比較しても、水素は採掘の必要もなく、水さえあれば生み出すことができる。水だけでなく、石油やバイオマス、下水汚泥など様々な物質の中にも含まれており、地球が存在する限り尽きることのない無限の資源といわれているとのこと。日本のようにエネルギー資源に乏しかったとしても水素エネルギーの活用が進めばこれを解消することができるかもしれない。最後に「貯蔵や運搬の容易さ」が挙げられる。貯蔵・運搬の難しい電気に比べて、水素エネルギーは気体、液体、個体とあらゆる形で貯蔵可能らしく、例えば、夏に作った水素を冬にエネルギーとして使ったり、災害時のエネルギーとして備蓄したりと、様々な活用を進めることができるようになるとのことだ。また天候などに左右されやすく貯蔵が難しい太陽光、風力などの再生可能エネルギーを水素エネルギーに変換しておけば貯蔵が可能となるそうだ。○水素社会に向けた動き実は日本では水素エネルギーを活用する「水素社会」の実現への動きがすでに始まっている。経済産業省では、技術面、コスト面、制度面、インフラ面での課題は多くあるとしているものの、「水素社会」実現に関しては前向きに動いているようである。燃料電池自動車等への活用はもとより、エネルギーを消費する分野の多くに対応する可能性があり、大幅な省エネや環境負荷の低減に大きく貢献できる可能性があるとしている。事実、同省は、2013年12月に「水素・燃料電池戦略協議会」を立ち上げており、今後の水素エネルギーの利活用のあり方について、検討を行っているという。今年6月には水素社会実現に向けた「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を取りまとめており、それによると燃料電池自動車や公共交通への燃料電池バスの導入などを目標に掲げており、2015年度内には水素供給場所を100カ所の確保が目標として掲げられている。こういった動きは今後ももちろん続いていき2020年の東京オリンピックには関連して世界に水素エネルギーの可能性をアピールしていきたいとしている。トヨタ自動車取締役副社長の加藤久光氏は燃料電池自動車「MIRAI」の発表会の中で、水素は資源の少ない日本でも製造でき、社会構造そのものを変えるインパクトのあるエネルギーと評した上で、「MIRAI」を普及させることが自動車会社のできる社会のイノベーションへの貢献と考えていると述べていた。「水素社会」が現実となるには、まだ長い年月がかかるだろうが、今後の動向に注目したい。
2014年12月25日東京工業大学は12月22日、火星の地下に新たな水素の貯蔵層が存在することを発見したと発表した。同成果は同大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻の臼井寛裕 助教らによるもので、2015年1月15日付(現地時間)の欧州科学誌「Earth & Planetary Science」に掲載される予定。近年、約30億年より古い地質体を中心に、多くの流水地形や多種類の含水粘土鉱物が相次いで発見され、火星がかつて液体の水が存在しうるほど温暖で湿潤な環境にあったことが示唆されている。一方、現在の火星では少量の氷が発見されるのみであり、「いつ・どのように」水が火星の表面から失われ、現在「どこに・どのような形態で・どのくらい」存在しているのかははっきりとした結論が出ていない。臼井助教らは、今回、二次イオン質量分析を用いた低汚染での水素同位体分析法を開発し、火星隕石の衝撃ガラスに含まれる微量な火星表層水成分の高精度水素同位体分析に世界で初めて成功したという。その結果、その表層水成分がマントル中に保持されている始原的な水および大気中の水蒸気のいずれとも異なる、中間的な水素同位体比を保持することがわかった。臼井教授らは、この中間的な水素同位体が、液体の水の循環が活発であった約40億年前の水の水素同位体比を反映していることから、当時の水が氷か含水鉱物として火星地殻内部に取り込まれたというモデルを提示した。さらに、地下に取り込まれた取り込まれた水の貯蔵量は当時の海水量に相当するという計算結果も示した。今回の研究で、現在でも火星には大量の水素が氷あるいは含水鉱物として地下に存在していることが示され、地下の水素を利用した火星生命が存在している可能性が示唆されたという。研究グループは、今後、地下水素の存在地域や存在量を厳密に特定するには、火星探査によるグローバルなリモートセンシング観測が必要となるとしている。
2014年12月22日東京ガスは12月18日、東京都練馬区に既存の天然ガススタンドと併設する商用の水素ステーション「練馬水素ステーション」を開所した。同日、開所式が行われた。同社はこれまで実証事業として、「千住水素ステーション」(東京都荒川区)と「羽田水素ステーション」(東京都大田区)の建設・運転を行ってきたが、経済産業省の「水素供給設備整備事業費補助金」の採択を受け、燃料電池自動車の一般販売開始に合わせるため、2013年7月より練馬ステーションの建設工事に着手してきた。練馬水素ステーションは、同社が設置している天然ガススタンド「練馬エコ・ステーション」に水素ステーションを併設するもの。水素ステーションと天然ガススタンドを併設することで、維持管理コストの低減、敷地の有効利用などのメリットが期待できる。また、練馬水素ステーションは、別な場所で製造した水素を蓄ガス設備で受け入れ、燃料電池自動車に供給する「オフサイト方式」を採用している。
2014年12月19日富士通は12月15日、燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションの位置や稼働情報などをリアルタイムに把握することができる「水素ステーション情報管理サービス」を自動車会社に向けて提供し、同日より運用開始すると発表した。同サービスは、位置情報を活用したクラウドサービス「FUJITSU Intelligent Society Solution SPATIOWL」を基盤とした、水素ステーション情報を統合的に管理するシステム。事業者登録された水素供給事業者の協力の下、収集された固定式・移動式水素ステーションの位置や稼働状況などの情報を、燃料電池自動車の利用者のカーナビゲーションやスマートフォンなどの端末にて活用できる情報として提供する。同社は、トヨタ自動車の燃料電池自動車「MIRAI」の発売に合わせ、同サービスの運用を開始する。トヨタ自動車は、MIRAI向けのI「T-Connect DCMパッケージ」で提供されるナビ専用アプリApps「水素ステーションリスト」と、スマホアプリ「Pocket MIRAI」上で、水素ステーション情報を提供する。
2014年12月16日本田技研工業は15日、パッケージ型「スマート水素ステーション」を福岡県北九州市の「北九州市エコタウンセンター」内に設置し、開所式を行ったと発表した。式典には、北九州市長の北橋健治氏、岩谷産業専務取締役の牧瀬雅美氏、本田技研工業取締役専務執行役員らが出席した。今回設置されたのは、同社独自技術であるコンプレッサーが不要な高圧水電解システムを採用し、高圧水素タンクから充填ノズルまでの主要構成部位をパッケージ型に収納した「スマート水素ステーション」。パッケージ化により、設置工事期間と設置面積の大幅な削減が可能となっている。北九州市エコタウンセンターにおいては、敷地内の太陽光パネルによって発電された電力を使って水素を製造しており、将来的には風力発電などの多様な再生可能エネルギーを取り入れたCO2排出ゼロの水素製造も視野に入れているという。同社は現在、燃料電池自動車「FCXクラリティ」を用いて「北九州スマートコミュニティ創造事業」における共同実証実験として、燃料電池自動車から家庭への電力供給(V2H : ビークルトゥホーム)や、蓄電池への継ぎ足し充電(非常用V2L : ビークルトゥロード)を行っている。今後は、今回設置したスマート水素ステーションによって、製造過程においてCO2排出ゼロの水素を供給することで、エネルギーの地産地消を実現するV2H・非常用V2Lの実証試験を進めていくとしている。
2014年12月15日東北大学は12月9日、3次元構造を持つグラフェンによる高性能な水素発生電極を開発したと発表した。同成果は、同大 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の伊藤良一助教、陳明偉教授らによるもの。詳細は、ドイツの科学雑誌「Angewandte Chemie International Edition」に近日中に掲載される。水素はクリーンなエネルギー媒体として期待され、製造、輸送および貯蔵のそれぞれの面から技術開発が進められている。その中で、水素ステーションなどで水素を"その場発生"させて供給する方法に注目が集まっているが、そのための水の電気分解法にはエネルギー利用効率の向上や電極の小型化などの課題がある。また、水素発生用電極材料としては、白金が最も優れているが、コストが高いことから白金に変わるニッケルなどの代替材料の開発が望まれている。研究グループは、平板電極と比べて単位触媒体積あたりの表面積を500倍程度まで増大させ、かつ、窒素と硫黄を少量添加した3次元ナノ多孔質グラフェンの作製に成功し、その電極特性を測定した結果、水素発生電極として機能することを見出した。さらに、この電極は現在白金代替金属として期待されているニッケルと同等の電気エネルギーで水素を発生することが分かったという。今回の成果は、貴金属を含めた金属元素を含まない3次元ナノ多孔質グラフェン電極の有効性を示したものである他、その多孔性構造から大きな表面積を持つため、電極および装置の小型化につながる可能性を示唆するものであり、今後の水素利用促進に貢献することが期待されるとコメントしている。
2014年12月11日岩谷産業とセブン-イレブン・ジャパンは12月10日、店舗併設に関する包括合意書を締結し、2015年に、東京都と愛知県に水素ステーションとセブン-イレブンの併設店舗を順次オープンすると発表した。セブン-イレブン店舗では、純水素型燃料電池を活用した店舗の環境負荷低減に関する実証実験を行い、小売店舗における燃料電池活用の将来性について検証する。両社は、「商品」「サービス」「クリーンエネルギー」を1カ所で提供することができる地域インフラとしての拠点づくりを目指していく。岩谷産業は今年7月、国内で初めてとなる「商用水素ステーション」が兵庫県尼崎市に完成している。
2014年12月11日