白米は新品種が続々とデビューし、玄米や雑穀は食べやすい商品がお目見え……と、お米の選択肢がどんどん広がっている今。毎日食べるものだから妥協せず、おいしさやヘルシーさなどのこだわりを叶えるご飯をしっかり吟味しましょう。種類豊富な今こそ好みを吟味して。ここ数年の間にお米の種類はどんどん増え、個性がぶつかり合う戦国時代に突入!「白米はコシヒカリ人気の時代が続いていましたが、最近はさまざまな新品種が登場し、勢力図は少しずつ変化。しっかりめの歯ごたえ、もちもち食感など、消費者のニーズに合わせて味も食感も多様化しています」と語るのは5ツ星お米マイスターの澁谷梨絵さん。さらに、健康志向により玄米や雑穀の品揃えも充実。「味わいも機能面も毎日食べやすいように進化しています」いずれにしても、今やお米はおいしくて当たり前の時代。「選択肢の幅が広がっているので、自分の好みに合うものを見つける絶好のチャンスです」白米のおいしさを追求する人に。話題の新品種から澁谷さんがおすすめをピックアップ。味わい、食感の好みに合わせてチェックしてみて。【1:だて正夢(宮城県)】とびきりのもっちもち感に注目。「育成開始から12年を経て、昨年本格デビュー。絶妙な粘りが生むもちもち感と甘味の強さが特徴。冷めてもやわらかくお弁当に最適」。2kg¥1,360*編集部調べ(宮城県農林水産部農産環境課 TEL:022・211・2841)【2:新之助(新潟県)】おかずを引き立てるあっさり味。「上品であっさりとした味わいのなかにも、旨味がギュッと凝縮されているのがこちら。おかずの味をぐっと引き立ててくれます」。2kg¥1,500*編集部調べ(新潟県農林水産部農業総務課政策室 TEL:025・280・5289)【3:雪若丸(山形県)】粒感、弾力ともにしっかり。「粒感がしっかりとしていて弾力もあり、食べ応え抜群の山形の新ブランド。もりもりご飯を食べたい人に、迷わずこれをおすすめします」。2kg¥1,037*編集部調べ(JA全農山形ふれあい生協 TEL:023・634・8168)【4:いちほまれ(福井県)】甘味、粘り、硬さが好バランス。「コシヒカリを極めたようなお米。甘味、粘り、硬さのバランスの良さは、新品種のなかでも群を抜いていて食べやすい」。2kg¥1,200前後*編集部調べ(ふくいブランド米推進協議会事務局 TEL:03・6721・5184)美と健康が気になる人に。健やかな体づくりには、毎日食べるご飯に気を使うことも必須。そんな人におすすめの、おいしくて栄養満点の玄米&雑穀を紹介。【1:あ・ぜんまめNIPPON 十八種 穀物米(あ・ぜんJAPAN)】安心安全な雑穀米を食べたい人に。「日本雑穀アワード金賞を3年連続受賞した、味わい、栄養価、粒揃いに優れた雑穀ブレンド。無農薬・有機農法の18種類の国産雑穀を配合しています」。500g¥2,300(あ・ぜんJAPAN TEL:075・722・2340)【2:浸漬0秒で白米の食感 半生発芽玄米(発芽玄米)】水分多めで白米感覚の食べ応え。「特殊製法で半生加工されている、水分をしっかり含んだ発芽玄米。玄米特有の硬さがなく、甘味ともちもちとした粘りが魅力。GABAなどさまざまな栄養価も高い」。120g×3袋入り¥460(発芽玄米 TEL:0538・86・5321)【3:寝かせ玄米6種ミックス 24食セット(結わえる)】お手軽パックでいろんな味を。「玄米に小豆と塩を混ぜて炊き、そのまま3~4日保温してできあがる寝かせ玄米。おいしさと旨味がしっかり引き出されています」。6種類×4食セット¥6,281(結わえるお客様サポート窓口 TEL:0297・63・5565)澁谷梨絵さん5ツ星お米マイスター。雑穀エキスパート、ごはんソムリエ、薬膳インストラクター、雑穀マイスターの資格も持つ穀物のプロフェッショナル。全国各地を自ら歩き、探し出したこだわりの米を百貨店で販売。※『anan』2019年3月20日号より。写真・山口 明スタイリスト・大谷優依フードコーディネーター・田村つぼみ取材、文・野尻和代(by anan編集部)
2019年03月15日「日本で作られているお米は、正式に品種登録されているもので800種類以上。実際に作られているものに限っても、400種類を超えるほど多岐にわたっているんです」 そう話すのは、お米のスペシャリスト・“5ツ星お米マイスター”の澁谷梨絵さん。これまで食べてきたお米は300種類以上。炊飯実験を繰り返し、お米の味を最大限引き出す方法を研究してきた。 「お米の質は、品種改良や精米技術で恐るべき進化を遂げています。それにお米も繊細になってきているので、炊き方や保存方法も、“昔の常識は今の非常識”になっています」 ここ数年、毎年のように大手メーカーから、スチームや圧力機能などを搭載した高級炊飯器がどんどん発売されている。しかしそんな今だからこそ、「炊飯器を買い換える前に知ってほしい」と澁谷さんがお米の新常識を教えてくれた。 【1】保存は冷蔵庫の野菜室で! お米の保管場所は“暗くて、通気性がよく、涼しいところ”が一般的だが……。 「温暖化の影響で、室温はひと昔前と比べて5度以上高くなっています。22度以上の環境では虫がわきやすく、これまでのような常温保存は難しくなっています。家の中で湿度も温度も安定しているのは、ずばり冷蔵庫。野菜室に入れるのが正解です」 【2】「新米は水を少なめ」はNG おいしいご飯を炊くには、お米と水の分量の正確さが大前提。計量するとき、炊飯器の目盛りではダメだという。 「上から見た目盛りと、実際の分量との間に大さじ1杯分の誤差が出てしまうんです。水加減を指や腕を使って、目分量で量るのもNGです。お米を量るときのように、計量用のカップを使いましょう」 お米の状態や時期によって水の量を調整する必要はない、と澁谷さんは続ける。 「お米の水分量は新米も古米も15%程度と決められて出荷されています。新米だからといって、水分量はほとんど変わりません。『新米は水分量が多いから、水の量を気持ち少なめで炊くといい』と言っていたのは昔の話です」 【3】お米はとがずに“洗う” おいしく炊くには、しっかりとお米をといで、米ぬかを洗い流すのが大事だと教わった人も多いはず。 「力を込めてといではいけません。水の中で米を泳がせるように“洗う”だけ。3〜4回水を替えて繰り返し、さっと流すだけで大丈夫。精米技術が発達したことで、最近のお米に米ぬかはほとんど残っていません。お米同士をすり合わせてといでしまうと、昔よりもお米が繊細になっている分、お米が割れたり、大切な栄養分を取り除いてしまいます」 【4】炊きあがったら炊飯器の電源オフ! 炊飯器についている保温機能。ホカホカの状態が続く便利機能……だと思ったら大間違い、と澁谷さんは指摘。 「ピッと炊き上がりの合図が鳴ったら、フタを開ける前に一度電源を切るか、取り消しボタンを押してください。保温機能に移行してしまうと、湯気が保温に使われてしまい、蒸らし効果が少なくなってしまうんです。保温機能を使わないことでおいしい湯気がご飯に戻り、芯からふっくらと立ち上がります」 保温をするなら、15分蒸らした後にしよう。 【5】冷凍する場合は、冷まさずアツアツのまま 余ったご飯は、ラップに包んで冷凍保存している人も多いだろう。 「お米を炊くと、生米状態のベータ状態から、もちもちのアルファ状態になります。ただ、炊いたご飯でも時間がたつとベータ状態に戻ろうとして、味がどんどん劣化します。おいしさを保つには、アルファ状態のまま保存する必要があるんです」 それには、炊き上がってすぐにラップで包んだ後、さらにアルミホイルで包むこと。アルミホイルの遮熱性で、まわりの食材を傷めず、瞬間冷凍が可能に。空気に触れることもないので、冷凍後は1年ももつという。 朝、昼、晩ご飯……どの食事でも食卓に並ぶお米。どうせ食べるなら、おいしく炊きたいものだ。
2017年03月09日毎年2月に公開される、日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」。その道の専門家が、産地と品種ごとに炊飯した白飯を試食して、見た目・香り・味・硬さ・粘り気をチェック。総合評価で、基準米より特においしいお米が「特A」に選ばれる。全国から集まるおよそ140種類から、“特A”の太鼓判を押された品種は、44種類。 「毎年、ほぼ同じ条件で食べ比べますが、必ず仕入れの目安にしています。ひと昔前までは、20種類程度で、コシヒカリかササニシキなどの一部品種のみでしたから、新品種が特Aを取るなど、考えられませんでした。お米のレベルが全体的に底上げされている証拠でしょう。“おいしいお米=コシヒカリ”とは、一概に言えなくなってきています」 そう話すのは、これまでお米を300種類以上食べてきた、お米のスペシャリスト・“5ツ星お米マイスター” の澁谷梨絵さん。お米も、ワインの当たり年のように、その年の天候や土作りで味が変わる。「今出回っている平成28年産米は当たり外れが大きい」と澁谷さんは指摘する。 「これまでに一度も特Aを落としていないのは、『魚沼産コシヒカリ』のみ。山形の『はえぬき』は、22年間連続で特Aを取り続けましたが、今年初めて逃しました。代わりにニューフェースの神奈川県『はるみ』、広島の『あきさかり』がいきなり特Aランクになるなど、近年とは違うランキングになっています」 特Aランクには北海道から九州までと、産地が広がり、個性豊かなお米が作られている。澁谷さんが、それぞれの地域で作られるお米の特徴を教えてくれた。 「北海道の『ふっくりんこ』は、どっしりとした味わいで、ツヤ感と大きな粒感が魅力。高知県西などで作られる『にこまる』は、冷めてもおいしく食べられます。熊本の『ヒノヒカリ』は、あっさりした味で、どんな料理にも合わせやすい。最近はモチモチするお米より、さっぱり系のお米が人気です」 好みのタイプのお米を見つけるには、地域の特色をヒントにしてほしい、と澁谷さんは語る。 「一般的に、北海道は味がしっかりしていて、硬めのお米が好きな人に向いています。というのも、新鮮な刺身を丼にするなど“乗っけもの文化”や味の濃いものと合わせる文化が根付いているため、ご飯も負けないくらい、しっかりした味わいなんです。東日本は軟らかいお米が多く、コシヒカリであってもみずみずしい品種が多いのが特徴ですね。一方で、西日本はさっぱり、しゃっきりしたお米が豊富です。九州地方も、さっぱり味のお米が多く作付けされています。九州は気候の関係上コシヒカリが作りにくく、さっぱり味の代表格である『ヒノヒカリ』を作っていた歴史があるからでしょう」 とはいえ、何を選べばいいのかわからないという人は、地元の土地で作られる“地産地消米”を食べ比べるのがおススメだという。いろんな種類のお米を食べ比べして、自分だけの“運命のお米”を見つけよう。
2017年03月09日パナソニックは10月上旬、新米の銘柄食べ比べセミナー「Wおどり炊き 新米マイスター・チャレンジ」を開催した。「5つ星お米マイスター」である米のプロ・澁谷梨絵氏が今年イチオシの新米、銘柄ごとの味の違い、新米のおいしい炊き方を伝授してくれた。○2014年の新米トレンドは?まずはじめに、2014年の新米トレンドについて澁谷氏がレクチャーしてくれた。米のおいしさは天候に大きく左右されるのだが、2014年の傾向は「西低東高」。西日本では長雨と日照不足の影響を受けた産地もあったが、東日本では昼夜の寒暖差が激しく、天候も良好だったことから、例年以上の豊作になったそうだ。ちなみに、澁谷氏のオススメは「にこまる」という品種。目隠しをした食べ比べを何度行っても、いちばんおいしかったのが、この「にこまる」だったという。新米というと、気になるのはその炊き方ではないだろうか。「新米は水分が多いから古米より少なめの水で炊く」という方法はよく聞くが、実はこれは正しくないそうだ。米の水分量は1年を通して基本的に14.5~15.5%で安定しており、新米と古米でたいした差がない。そのため、水は普段どおりの量で炊くのが正解だ。また、浸水時間については新米の時期では2時間がベストだそう(冬場は1時間、夏場は30分)。ただし、最近の高機能炊飯器では米への浸水を促して時間を短縮しつつ、おいしく炊く機能も付いている。○自分好みの米を探してみよう!米にはいまや多くの銘柄があり、味や食感、粘りなど、銘柄によって大きく異なる。そこでセミナーでは、実際の食味試験にならった食べ比べが行われた。どんな銘柄がそろっているのかわからない状況で食べ比べをするというものだ。"基準米"となるのは真ん中に位置する新潟県産コシヒカリ。筆者の好みは青いシールの山形県産ミルキークイーンであった。ミルキークイーンはもちもちの食感が特徴の品種だ。そのほかは緑のシールが秋田県産あきたこまち、赤のシールが宮崎県産コシヒカリ、黄色のシールが茨城県産ひとめぼれ。あきたこまちとひとめぼれはさっぱりとした味わいで、歯切れのよさが特徴だ。また、コシヒカリといえば粘りが強いイメージだが、宮崎県産のものは新潟県産に比べてもっちり感が少なく、口ざわりがなめらか。同じコシヒカリなのに、産地によってここまで変わるのかと驚いた。○好きな銘柄に合うおかずは?米の味わいのちがいによって、もちろん合うおかずというのも変わってくる。たとえば、もちもち食感で甘みの強いミルキークイーンにはあっさりとした味付けのもの、しゃっきり食感でさっぱりしたひとめぼれには濃い味のものが合う。会場で用意された組み合わせは、「新潟県産コシヒカリ+鮭のほぐし身」「秋田県産あきたこまち+明太子」「宮崎県産コシヒカリ+岩のり」「茨城県産ひとめぼれ+牛ときのこのしぐれ煮」「山形県産ミルキークイーン+秋なすのさっぱり漬け」。ご飯はすべて「SR-SPX104」の「銘柄炊き分けコンシェルジュ」機能を使用して炊いたものだ。同じ米といえど、銘柄によって水分量や粘りなどが異なり、産地によってもその味にかなり個性が出るということがわかった。それらをボタン1つで炊き分けられる炊飯器が1台あれば、多様な銘柄の米を試す際にも便利だ。銘柄炊き分けコンシェルジュだけでなく、「もちもち」「しゃっきり」などの食感によって炊き分ける機能ももちろんある。同じ米でもその日のおかずによって炊き分けられる楽しみがあるというのは「SR-SPX104」の大きな魅力だろう。
2014年10月06日