便秘や下痢のときになってしまう痔(じ)……。事前に防ぎたいけれど、なかなか人には相談しにくいものです。そこで、内科医で大阪府内科医会副会長・泉岡医院院長の泉岡利於(いずおか・としお)先生に、痔(じ)の原因と予防法についてお尋ねしました。■便秘や下痢は肛門に大きな負担がかかる――便秘や下痢のときに痔(じ)になりやすいのは、どうしてでしょうか。泉岡先生痔(じ)は、一言で言うと血流障害、血管のトラブルです。便秘や下痢になると肛門の血流、血管に大きな負担がかかり、痔(じ)になる確率も高くなります。例えば、便秘などで便が硬くなると、排便のときに肛門に圧力がかかり、出口が切れて「きれ痔(じ)(裂肛)」になります。下痢の場合は粘膜に便がたまっている状態なので、普段より肛門が刺激されて細菌感染を起こしやすくなります。また、肛門付近にある静脈叢(じょうみゃくそう)と呼ばれる毛細血管が集まった部分がうっ血してはれ上がり、「いぼ痔(痔核)」になることもあります。■アルコールや香辛料は痔(じ)の大敵――痔(じ)の予防法を教えてください。泉岡先生痔(じ)の症状が出るかどうかは、普段の生活習慣が大きくかかわります。薬や手術で治ったとしても、生活習慣を見直さなければ同じ症状を繰り返してしまいます。薬を使うことも大切ですが、何より「生活習慣を改善すること」が基本となります。また、アルコールや辛い食べ物をとりすぎると下痢や腸の炎症悪化につながることがあります。痔(じ)が気になる人は、過度の飲酒や香辛料の強い食べ物を控えるようにしましょう。ほかに、立ちっぱなし、座りっぱなしなど長時間同じ姿勢でいると肛門に圧力がかかり、血行不良を招くことから痔(じ)になりやすいと言えます。同じ姿勢を避け、血流をよくするために軽い運動やストレッチなどを心がけるようにしましょう。予防の方法を整理すると、次の6つです。痔(じ)予防のための6か条1.便秘や下痢にならないようにする2.適度な運動をする3.大量の飲酒は控える4.辛いものを頻繁にとらない5.立ちっぱなし、座りっぱなしなどの同じ姿勢を続けない6.規則正しい生活をする■痔(じ)と大腸がんでは、血の色が違う――痔(じ)と間違えやすい病気はありますか。泉岡先生痔(じ)というと、「痛い」、「血が出る」といったイメージを浮かべる方も多いのですが、実は出血もなく、痛みもない痔(じ)というものもあります。「ご本人に痛みなどの自覚症状がなく、排便時に突然、大量の血が出た。何か重大な病気かと思いあわてて来院されたが、検査の結果、体の内側にできるいぼ痔(内痔核)だった」というケースもありました。ただ、出血、腫れ、痛みなど、痔(じ)と思うような症状のなかには、大腸のトラブルが原因となって起こっている場合もあります。例えば、肛門からの出血は、「いぼ痔(じ)」や「きれ痔(じ)」のときに多い症状ですが、大腸ポリープや大腸がんの可能性もあります。それらの病気でも肛門からの出血や血便が見られることから、痔(じ)と間違いやすい疾患です。見分ける目安として、血の色があります。痔(じ)は肛門近くで出血するために採血をしたときのような鮮血になります。大腸がんなどのケースは内臓での出血のために暗い赤色になります。――ありがとうございました。痔(じ)を肛門の問題と考えるのではなく、自分の生活の根本的な生活の問題としてとらえることが、完治への近道と言えそうです。監修:泉岡利於氏。医学博士。内科医、大阪府内科医会副会長。医療法人宏久会泉岡医院院長。泉岡医院:大阪市都島区東野田町5-5-8JR/京阪電鉄京橋駅中央出口から徒歩7分TEL:06-6922-0890岩田なつき/ユンブル)【関連リンク】【コラム】ドキドキ、汗、便秘、頭痛……ストレスと疾患の境目は?【コラム】漢方医が教える。便秘プラス「ほかの何か」を治す方法【コラム】からし、ワサビ、ショウガ、ネギ。薬味には「腹やせ」効果が!
2011年12月31日さらに本格的な冬を迎えて乾燥やお肌のトラブルが気になる季節、なかでも特に目元のケアに悩んでいる人も少なくないのでは?冬場になるとただでさえ肌の乾燥が気になるうえに、目もとなどのデリケートゾーンの悩みは乾燥以外にもさまざまな要因から引き起こされる「むくみ」や「クマ」、「表情ジワ」と極めて複合的。できれば自分がかかえる悩みを一気に解決したいけれど、どんなアイテムで対処すれば良いのか分からない、でもできれば即効性のあるアイテムを取り入れたい、というアイケア難民におすすめしたいアイテムが皮膚科医専門医・今泉明子先生が立ち上げたメディカル化粧品『muNoahe(ミューノアージュ)』から誕生した。ミューノアージュ『リペア アイクリーム』は、7種類の肌再生ペプチドのなかでも目もとの悩みに働きかけるアセチルテトラペプチド5 や、“塗るボトックス”と言われているアセチルヘキサップチド3の2種類の「目もと専用ペプチド」を圧倒的量で高配合したアイケア最前線とも言える新アイテム。他にも5種類のペプチドを配合しつつ、高濃度や高配合でもアトピーや敏感肌でも安心して使える肌にやさしい処方がベースになっている。加えて、細胞間脂質のラメラ層と煮た構造のラメラ粒子が奥まで浸透。ラメラ粒子に配合されたペプチドがまるでシャワーのように肌の深層部で溶け出すのでぐんぐん浸透して潤いを逃さないという特長も。体感の感覚に個人差はあるものの、クリームなのにさらりとした塗りご心地を実現しながら、潤いはしっかりと閉じ込めてくれているという感覚は短期間でも実感することができる。開発者の今泉先生いわく、目元の皮膚の老化は目のまわりの筋肉だけでなく、顔のなかで唯一引き上げる動きをする額の筋肉が関係しているので、目元のケアをする際には「目の周りだけでなく、眉上までやさしく指でまわしながらマッサージすることも大切」。額の動きと関連しているなんて、始めて耳にした人も少なくないはず。攻めのアイエイジングケアを投入するとともに、筋肉の収縮を考えたマッサージを取り入れることで、万年目元の悩みも着実に解決していきたい。【開発者 今泉明子プロフィール】(皮膚科専門医 / 医学博士)日本赤十字医療センター皮膚科医、ニューヨーク ワイル・コーネル医科大学(皮膚科)にて化粧品の開発に関与。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。2007年3月より東京ミッドタウン皮膚科形成外科Noageの院長に就任。『リペア アイクリーム』容量:15g価格:¥6300*皮膚パッチテスト済みお問い合わせ:muNoage/ミューノアージュ お客様相談室:0120-260-386取材/松浦明
2011年12月20日11月12日は「皮膚の日」。日本臨床皮膚科医会によって1989年に定められたもので、皮膚についての正しい知識の普及と、皮膚科専門医療に対する理解を促進するための啓発活動を行われている。11月10日(木)には渋谷マークシティのイベントスクエアで「ひふ診断」などのイベントも行われ、渋谷エクセルホテル東急では、「皮膚の日」目前スペシャルトークショーも開催された。秋野さんは保湿を一番に考えて、朝と晩の2回、30分のスキンケアを毎日欠かさず行っている。ローションパック、ビタミン化粧水でお肌を整え、乳液、美容液、クリームをじっくり浸透するよう、3分という間隔にて適用。ローションパック時には、家庭用のイオン導入器を使っている。佐藤さんは、仕事柄、化粧をしている時間が長いことから、クレンジングに力を入れている。オイルクレンジングした後、オイルを洗い流す前に水をつけた手でオイルを乳化してお肌の奥の汚れまでしっかりと落としている。その他、お風呂上りに化粧水をつける前、オイルで肌を柔らかくし、リンパマッサージなどを行ってから化粧水をつけていく。ローションパックを3分おきに化粧水をかけるケアをしている。更には、内側からのケアとして、豆乳や野菜を多く取り入れるように心掛けているとのこと。先生方はお二人のスキンケアを高く評価。しかし、見落としがちなのが全身の皮膚。江藤先生は、「全身の皮膚を伸ばすと畳一枚分、手のひら100枚分に相当する。そのうちの手のひら2枚分のスキンケアだけでなく、その他の98%のケアも大事」と説明。適度な肌のバリアは20ミクロン=0.02ミリと非常に薄いもので、冬場は特に壊れやすい。乾燥にとって大切なのは、『水分保護バリア』。乾燥するとアレルギー症状が引き起こされやすいようだ。お風呂で体を洗う際、ナイロンタオルでこするのも、皮膚に適さないのでNG。ちなみに、お肌の皮膚が生まれ変わる周期は45日間。アカすりタオルなどで肌に傷をつけてしまうと、肌は無防備な状態になってしまう。肌が荒れると細菌やウイルスが入りやすくなり、様々な感染症やアレルギーになりやすい。あまりこすりすぎず、必要な分だけ汚れを取るように心がけることが大事だ。秋野さんは、石けんを使わず手のひらでなでるように洗っているとのこと。佐藤さんは、お風呂上りにまだ水分が残った状態でオイルを塗り、その後にタオルで拭いているそう。実は、そのやり方が一番入浴後に水分を封じ込めておくのに最適な方法らしい。温泉などに入りすぎるのもお肌の乾燥の原因になるので、入浴後15分以内のケアが大切。皮膚を乾燥したままにすると、粉がふいたようになることもあり、さらに悪化すると、かゆみが襲ってくる「アトピースキン」という状態になる。かゆみ神経が皮膚の上に上がってくるので、汗をかいたり風が当たっただけで痒くなってしまうんだとか。そうなる前に、お肌の手入れを心掛けたい。日頃のケアの積み重ねが、健康な肌には重要。皮膚のことで悩んだら皮膚科に相談だ。
2011年12月01日3月3日は耳の日、8月7日は鼻の日、10月10日は目の日……。では、11月12日は?正解はいい(11)皮膚(12)の日だそう。その記念日にちなみ、都内にて、秋野暢子さん、佐藤かよさん、日本臨床皮膚科医会の若林先生、江藤先生によるトークセッションがあったので潜入してきました。■皮膚は乾布摩擦では鍛えられない司会「秋野さん、佐藤さんは普段どういった肌のお手入れをされているのでしょうか?」秋野さん「まず、お風呂に入るときはタオルで体をこすらず、手で洗ってます。その後、時間をきっちり計って化粧水をつけてケアしてますね」佐藤さん「私は、タオルでゴシゴシこすっちゃいます。でも、入浴後は、保湿系のオイルをたっぷり体に塗ってますね」司会「先生、お二人の肌ケアを評価するといかがでしょうか」江藤先生「そうですね。秋野さんの手で洗うというのはとても良いです。皮膚は例えるなら高価な革カバンのようなもの。例えば、バーキンのカバンをごしごしとは洗わないですよね?」江藤先生「また、勘違いされている方がいるのですが、皮膚を削ると、新しい皮膚が再生したと思いがちですが、そうではありません。皮膚が生まれ変わる周期は45日と決まっています。それよりも前に皮膚を削ると皮膚の下層が丸裸の状態にさらされてしまいます」若林先生「そうですね。もっと言うと、皮膚の一番外側の表皮で水分保護バリアと呼ばれる部分の厚さは0.02mmしかないんです。1mmの50分の1。とても繊細なので、メガネふきくらい細かい目のもので大切に洗うようにしてください。また、肌を鍛えたい言われる方がよくいるのですが、皮膚は鍛えられるものではないので、誤解されないようにしてください」■お風呂上がり15分以内のケアが重要江藤先生「あと、佐藤さんがお風呂上がりにオイルでケアしているのは良いですね。肌の水分量を計る実験データがあるのですが、それによると、入浴して10分後は水分量が高く、20分後にほぼ入浴前と同じ水分量になり、1時間後には、入浴前より水分量が落ちてしまいます。つまり、入浴後15分~20分以内に保湿ケアすることが肌にとっては重要です」若林先生「さらに言うと、温泉で3回、4回と入浴される方がいるのですが、肌にとっては危険なので、先ほどの20分以内の保湿ケアを留意しながら入浴してください」司会「ありがとうございました。最後に感想などお願いします」秋野さん「乾燥は特にこれからの時期ケアが必要なので、気をつけていきたいです」佐藤さん「肌が繊細ということが分かりました。今後も十分ケアしたいです」若林先生「肌に関する間違った理解が多いので、イベントや講演など参加してください」江藤先生「皮膚に関しては皮膚科に来てもらえると、一人ひとりに合ったアドバイスができるので、気軽に訪れてください」肌については、勘違いも多いので、意識しながら正しい知識を身に付けたいですよね。ちなみに、肌全体の表面積は畳1畳分(1.6平方メートル)くらいで、総重量は8kgと体の器官では一番の重さだそうです。(COBS ONLINE編集部)【関連リンク】【コラム】1日2回シャンプーOK?皮膚科医に聞く間違いだらけの清潔習慣【コラム】虫刺され、シミ。皮膚科医に聞く。肌に跡を残さない方法とは【コラム】皮膚科医に聞く。水虫が治りにくい人の特徴とは
2011年11月10日日焼け、虫刺され、にきびなど、気が付けば肌にトラブルの跡がシミのように……。肌に残るさまざまなトラブルの跡を解決する方法はないのでしょうか。皮膚科医で、はざの皮膚科(大阪市都島区)院長のはざの比呂江先生にお話をうかがいました。■肌のトラブル跡はどれも同じ「シミ」ではない――日焼けや虫刺され、にきびなどの跡がシミのように残るのはなぜでしょうか。はざの先生「日焼けや虫刺され、にきびなどは、日常的に起こるために軽く見られがちですが、肌にとっては大きなダメージでどれも『皮膚の異変』です。シミのように残った跡は、それぞれの傷が正常に治ったときに見られる皮膚反応の一種ですから、あって当たり前。これらのトラブル跡は、どれも同じようなシミに見えますが、原因も対処方法もそれぞれ違います」――では、日焼けの跡が残るメカニズムについて教えてください。はざの先生「日焼けには2種類あります。一つは、紫外線UV-A波による『サンタン』です。紫外線を受けた皮膚が防御反応を起こし、シミの原因といわれるメラニン色素を過剰に作り出すために起こる現象で、日光を浴びてから24~72時間の間、メラニン色素の沈着が進み、皮膚が褐色から黒ずみへと変化します。もう一つは、紫外線UV-B波による『サンバーン』です。紫外線によって皮膚が赤く炎症を起こす現象で、日光を浴びてから6~48時間後にヒリヒリとした痛みが最もひどくなります。発熱、水ぶくれなどの症状が起こることもあり、こうなると単なる日焼けではなく皮膚炎の一種ですから、病院での治療が必要となります」――虫刺されの跡はどうして残るのでしょう?はざの先生「虫に刺されると、かゆみや痛み、赤くなって腫れるなどの症状が起こります。この段階で正しくケアすれば、トラブルの跡はあまり残りません。一方、刺されたところをつめなどで掻(か)き、そこに細菌が入ると、症状が悪化して『二次感染』を起こします。この段階になると、傷が治っても虫刺されの跡が残ります。つまり、虫刺されの跡は『二次感染』を治療せず、放置したためにできるといえます」――肌トラブルの跡を早くきれいに治すには、病院で治療したほうがよいのでしょうか。はざの先生「シミになりやすい体質だと自覚している人は、すぐに皮膚科に来られます。皮膚反応の一種であるトラブルの跡、シミを消すとなると、その跡が何によってできたものなのか、シミになってからどれくらい時間がたっているのか、さらに個人的な体質なども含めると、個々に解決方法が違います。自宅で簡単にできる、万人に効果的な解決方法というのは、残念ながらないんですね。市販薬より皮膚科で処方した薬のほうが効果はあります」■トラブルの跡を予防する、シミを残さない方法――では、トラブルの跡を予防する方法はあるのでしょうか。はざの先生「基本はトラブルを回避する方法を考えることです。日焼け予防では、日焼け止めを塗るだけでは不十分です。日焼け跡を作りたくないなら、日傘、帽子、サングラス、長袖長ズボン、できるならマスクも着けたほうがいいですね。日焼け止めはむらなく薄く塗り、汗や水で流れるようならこまめに塗り直します」――日焼けしてしまった後の有効な対処方法はありますか?はざの先生「日焼けの直後に冷やすこと。保冷材や冷却パック、冷却ジェルなど、体の部位に合わせて使いやすいものを選んですぐに冷やしてください。赤みがある部分に冷やしたタオルを当てるだけでも症状は緩和されます。サンバーンは48時間まで悪化しますから、その前に手当てをすることが肝心です。また、赤くなるのは皮膚の炎症反応なので、その前に冷やして炎症を抑えること。これにより、シミになるのをある程度防げます」■虫刺されはできるだけ早くケアをする――虫に刺された跡を残さない方法はあるのでしょうか。はざの先生「まずはトラブルの回避です。虫刺されのひどい方は、肌の露出が少ない服装を心がけ、虫よけスプレーを携帯するといいでしょう。虫よけスプレーは目、鼻、口から吸い込まないように注意し、露出している部分にだけスプレーします。顔や首につける場合は、一度手のひらにとって塗ってください」――それでも刺されてしまったら、どうすればいいのでしょう?はざの先生「どの虫に刺された場合でもそうなのですが、早く対応すると、比較的跡が残りません。一例ですが、先日、山へ行って蚊に刺され、ひどく腫れたために診察を受けた方がいました。やぶ蚊に刺されて足が腫れていましたが、刺された翌日だったので、ステロイド剤の入ったテープを処方しただけで、2~3日できれいに治りました。もし、数日放置していたら二次感染を起こす確率が高く、熱が出るなど体調不良も現れて、皮膚はさらにひどい状態になって、跡は残っていたでしょう。この段階になると、抗生物質で治療しなければなりませんから、皮膚科を訪れてください。こういう患者さんはとても多いのですよ。また、肌トラブルの跡がいつ消えるのかは個人差があり、消えないこともあります。トラブルが起きたら、肌のダメージが最小限ですむように早めの対応を心がけてください」二次感染後も治療を受けず放置していると、ほとんどの場合、トラブルの跡が残り、「加齢とともに、シミ跡に変化する確率が高い」とはざの先生。まずは肌トラブルに至らない生活習慣を考えること。できてしまったシミや虫刺され跡は、瞬時に冷やし、放っておかないことを心がけたいものです。監修:はざの比呂江氏。皮膚科医。はざの皮膚科院長。はざの皮膚科(大阪市都島区。JR・京阪電鉄京橋駅徒歩5分。TEL:06-6354-6877)院長。大阪市都島区医師会副会長。レーザーによる抗加齢治療に定評がある。(近藤雪江/ユンブル)【関連リンク】【コラム】睡眠直前の熱風呂はNG。内科医が教える生体リズムとは?【コラム】思わずペロリと食べたくなる!?お砂糖を使ったコスメ!【コラム】クセーと言われて心底傷ついた。あなたの体臭対策は?
2011年11月03日湿度が高い日本では、水虫の人口率が高いと言われています。ある製薬会社が実施した水虫に関する調査によると、20歳~35歳の女性でも、4割の人が「過去に水虫に悩んだことがある」と回答しています。そこで、水虫の見分け方、原因、対策や感染経路、防ぐことはできるのかなどについて、皮膚科医で、はざの皮膚科院長のはざの比呂江先生にお話をうかがいました。――若い女性でも、水虫の症状で来院されることはありますか?はざの先生「もちろん、あります。原因はさまざまですが、やはり、仕事をしている女性に多いです。靴を履く時間が長いこと、まだ寒くない時期でもブーツを履いていた、冷え性だからと足を温めて靴下を履き替えなかったなどの例がありますが、男女共通で多いのが、フィットネスクラブでうつされたようだ、というパターン。あるフィットネスクラブでは、『忘れ物第一位は水虫の薬』というデータもあるそうです」――そもそも、水虫とは何なのでしょうか?はざの先生「カビが原因でおこる皮膚病のことです。皮膚には3種の層がありますが、一番外側の角質層に寄生するカビを『白癬菌(はくせんきん)』と呼び、これが水虫の正体です。白癬菌は、寄生する場所によって呼び方が変わり、足にできる「足白癬」を、通称「水虫」と呼んでいます。――水虫にはパターンがあると聞きます。どのように分類されるのでしょうか。はざの先生「足水虫は、大きく3つの種類に分かれます。足の指の間にできる『趾間型(しかんがた)』が一番多いパターンで、白くふやける、赤くただれて皮がめくれる、かゆみが出るタイプです。足の裏、足の周囲など床や靴底に接触する部位にできる『小水疱(すいほう)型』は、赤い小さな水ぶくれのような水泡ができます。かゆみが強いです。足の裏全体にできる『角化型(かくかがた。角質増殖型)』は、足の裏や周囲が硬く白っぽくなってガサガサになり、皮膚がめくることがあります。角化型は水虫とは気付きにくく、皮がめくれてパラパラと落ちるため、家族への感染の原因になることが多いタイプです」――なぜうつるのでしょうか。感染に関する注意点を教えてください。はざの先生「白癬菌は、皮膚とともにはがれ落ちて床に散らばることがあります。ほかのだれかがそれを踏むなどすると、移る可能性があります。家族に水虫の人がいる場合は、うつる可能性が高いと考え、お風呂のバスマット、スリッパの共有は避けてください。また、スポーツジム、ビジネスホテルのスリッパ、ゴルフ場のバスマットも要注意です」――水虫なのか、皮膚の変化なのかを発見するコツを教えてください。はざの先生「かゆくて、発酵したようなにおいがある場合は、水虫の可能性が高いです。日ごろ、あまりかぶれにく場所にできた皮膚の変化は、足の裏や指の間ではなくても、かゆくてにおいがする場合は、水虫を疑ってください。自分の足の裏から感染することがありますから」――「夏の海岸をはだしで歩くと水虫が治る」とよく言われますが、本当ですか?はざの先生「水虫の程度や歩き方によりますが、がんばって歩くと、軽減します。というのも、水虫はカビですから、湿った不潔な場所に発生しますが、乾燥と60度以上の温度に弱いのです。だから、夏の海岸の高温になった砂には弱いわけです」――水虫は治りにくいと言われますが、本当のところはどうなのでしょうか。はざの先生「生活習慣を変えないと治りません。カビですから。癖になるという人も多くいらっしゃいますが、水虫が癖になっているのではなく、水虫を完治できない生活習慣が癖になっている、と考えてください」――自分で簡単にケアする方法はありますか?はざの先生「お風呂からあがって清潔な状態の足にドライヤーをあて、足の指と指の間をよく乾かすことです。その後に薬を塗ります。くれぐれも、ドライヤーの使い過ぎによるやけどには注意してください。余計に痛いですよ。水虫は、見た目にただれている場所の外側にも菌がいる可能性が高いので、薬を塗るときには広範囲に塗るようにしてください。何よりも大事なのは、生活習慣を変えることです。最低、足は清潔にする努力をしてください。いくら薬を塗り続けても、また一日中同じ靴を履いて足を蒸らしていると、当然、治りません。予備のソックスを持ち歩いて、1日に2~3回は履きかえるようにします。それに、職場にも靴やスリッパを持参して、こちらも頻繁に履きかえるようにしてください。また、ゴルフ場、フィットネスクラブなど、外出先にも薬を持参し、運動後は足を洗ってドライヤーで乾かしてから正しく塗ることです。間違っても、さっきまで履いていた靴下をもう一度履くというようなことはしないでください。水虫が喜ぶだけですから」――皮膚科に行ったほうがよい場合、タイミングを教えてください。はざの先生「市販薬を1週間試してもまったく効果がない場合は、ほかの病気の可能性もあります。水虫は、水虫だと判定するのが難しい面があるので、水虫かどうかわからない場合は、皮膚科に相談してください。また、頻繁に再発する人は、皮膚科で生活習慣改善のアドバイスを受けたほうがいいでしょう。それを機に完治した、という人も多くいます」水虫が治らなかったり完治しないのは、水虫という菌がしつこいだけではなく、自分の生活習慣に原因がある――。ギクッ、思い当たります。靴下と靴を履きかえる、毎日となるとこれがなかなかできないのかも。でも、これを機に、ぜひ始めてみたいと思います。監修:はざの比呂江氏。皮膚科医。はざの皮膚科(大阪市都島区。JR・京阪電鉄京橋駅徒歩5分。TEL:06-6354-6877)院長。大阪市都島区医師会副会長。レーザーによる抗加齢治療に定評がある。(白川一郎/ユンブル)【関連リンク】【コラム】1日2回シャンプーOK?皮膚科医に聞く間違いだらけの清潔習慣【コラム】皮膚科医が教える。節電しながら「体感温度-3度」【コラム】「セレブ」って何なの!?みんなのイメージを教えて!
2011年09月30日この夏、気象庁では、熱中症への注意を呼びかけるため、「高温注意情報」の呼びかけを開始するとか。節電を心がけつつも、知恵をふりしぼって少しでもほてった体を冷やしたいものです。そこで、クーラーや冷たい食べ物ばかりに頼らず、涼しさをキープするためのポイントについて、はざの皮膚科(大阪市都島区)院長のはざの比呂江先生にお話をうかがいました。■首の後ろに冷却スプレーをかける――ほてった体を素早く、簡単に冷やすにはどうすればよいのでしょうか。はざの先生 「手軽なのは、『冷却スプレー』と、『扇子かうちわ』を使う方法です。冷却スプレーを首の後ろ(頚椎・けいつい)にシュッとかけて、扇子やうちわであおぐ。それだけでずいぶん涼しく感じることができます。真夏などは、全身が熱いと錯覚しがちですが、実は顔がほてっていたり、頭が熱くなっていたりするなど、部分的に熱さを感じている場合が多いのです。正しい場所を適切に冷やせば、短時間で簡単に冷却効果が得られるでしょう。首の後ろを冷やすと、瞬間的に体感温度がマイナス3度ぐらいという感覚になります。冬場はここを温めると全身が温まります。ただし、冷やしすぎ、温め過ぎは健康に害が出ることがあるので、注意してください」――首の後ろ以外にも、冷やすと効果的な場所はありますか。はざの先生 「ワキの下、ひじの内側、ひざの裏、足の付け根など、皮膚の上から血管に触れやすいところを冷やすと効果的です。冷えたペットボトルや保冷剤、冷やしたおしぼりを2~3分、首や首の後ろ、ワキなどにあてるだけでスッと汗がひきます」■1日1回、汗をかくことを習慣にする――汗をかかずにいられる方法はないでしょうか。はざの先生「汗は体温を調節するという役割があるので、汗をかくことは体にとっては良いことです。無理に汗を抑えず、1日1回は思いっきり汗をかくことを習慣にしてください。これこそが、体温調節機能を活発にして夏場を乗り切るための健康のこつです。汗をかくことで、アドレナリンというホルモンが分泌され、リラックス効果も得られます。運動や、半身浴などで気持ち良い汗をかけば、気分がリフレッシュできるのもそのためです。辛い食べものを食べて、汗をかくもの良いでしょう」汗を抑えるのではなく、汗をかいてリフレッシュする――。朝の早い時間や夕方に汗をかいて、シャワーで洗い流して気分をリフレッシュさせるなど、ヘルシーな夏の過ごし方を考えたいものです。■室内の設定温度は26~27度に外は暑いのにオフィスや商業施設の中はクーラーが効き過ぎて寒いくらい……、体調を崩してしまう、ということもあります。――「設定温度は高めに」という話をよく聞きますが、どのようにすればよいのでしょうか。はざの先生 「自宅やオフィスのクーラーの設定温度は何度になっていますか。最低温度で風量は最強ということにはなっていませんよね。一度、確認してください。クーラーをガンガン稼働させたオフィスで、女性がカーディガンを羽織ったり、ひざ掛けをしながら仕事をしていたりする光景を見ることがありますが、あれは不自然な風景です。夏のシーンではありません。仕方がないことはあるでしょうが、解決策として、節電をきっかけに、オフィスの設定温度を上げるべきです。男性と女性では体感温度が異なります。筋肉量の多い男性は、代謝が良いので暑く感じやすい。室内の設定温度は、26~27度くらいが良いでしょう。それで暑すぎて仕事に集中できないということはありません。これまで、オフィスの冷房が効きすぎていて、慣れていないだけです。1日1回汗をかいて、体を順応させていってください」■オフィスには観葉植物を――そのほかにも暑さを忘れられる方法はありますか。はざの先生 「室内に観葉植物を置くことも効果的です。観葉植物には、気持ちをリラックスさせる効果があるので、同じ室温でも、観葉植物があるだけで1~2度ほどは涼しく感じることがあります。オフィスには観葉植物を置くことをおすすめします。クーラーに頼らず、涼しさがキープできれば、疲労感、頭痛、肩こり、腰痛、腹痛、食欲不振、便秘、下痢、不眠などの症状がみられるいわゆる冷房病の予防にもなります。節電に直結して、まさしく一石二鳥の効果があるでしょう」はざの先生に教えていただいた「涼しさキープ術」は、気軽に取り入れられる内容ですぐにでも始められそうです。早速、冷却スプレーとうちわの準備、室内の設定温度のチェックから始めたいと思います。監修:はざの比呂江氏。はざの皮膚科院長。はざの皮膚科は大阪市都島区。JR・京阪電鉄京橋駅徒歩5分。TEL:06-6354-6877(岩田なつき、井上樹里/ユンブル)【関連リンク】【コラム】皮膚科医に聞く。ストレスと大人ニキビの関係【コラム】1日2回シャンプーOK?皮膚科医に聞く間違いだらけの清潔習慣【コラム】医師100人に聞きました「電気を使わない夏バテ対策」
2011年07月27日つめが伸びると気になってつい深づめになるまで切ってしまう、足のニオイは消臭スプレーでごまかす、伸びた鼻毛は抜きとる……まだまだあります、無意識にしている「清潔習慣」。でもちょっと待って、その習慣、クセ、本当に大丈夫なのでしょうか?実は問題あったりして……?そこで、はざの皮膚科院長のはざの比呂江先生に、「これらの清潔習慣は正しいのか」をジャッジしていただきました。■キレイ好きなので1日2回シャンプーするキレイ好きな礼二君(29歳/会社員)。朝シャン&夜シャンと1日2回のシャンプーを欠かさず、また、休みの日には、朝、昼、晩と洗髪を繰り返す。先生、これはOKでしょうか?はざの先生「ダメです。シャンプーをすればいいというものではありません。シャンプーのしすぎは頭皮を傷め、フケの原因にも。正しくは、次のように洗ってください。1.低刺激のシャンプー剤を使う。2.シャンプーを直接頭につけないで、手にとって泡立ててから使う。3.つめを立てて頭皮をごしごし洗わないで、指の腹でもみ洗いをする。4.お湯でよく洗い流す。洗い残しは最悪で、頭皮のトラブルのもとになります。5.リンスやトリートメント剤は、頭皮にはつけずに、髪にもみこむだけにする。6.よくすすぐ。7.タオルドライではごしごしと頭皮を刺激せず、ポンポンと頭にタオルを置く感覚で。8.ドライヤーは高温の熱を同じ個所にかけ続けないこと。この方法の特徴は、「刺激を与えすぎないようにすること」です。これで2週間ほど様子を見て、症状が回復しないなど気になる場合は皮膚科に相談をしてください。頭皮の異常なども含め、適切な処方を行ってくれます」洗いすぎはダメですね。頭皮にはそっと、やさしく触れるようにしましょう。■つめが伸びるのがキライ。いつも深づめ状態つめをかむ、むしるクセがある、つめは仕事の作業や家事の邪魔になるから深づめのほうがいい、という人が周囲にけっこういます。これはOKなのでしょうか?はざの先生「ダメです。絶対ダメ!つめはモノをつかむためにあります。人間はつめをなくしたら、握力が格段に下がるというデータがあります。それに、深づめだと指先からばい菌が入って炎症を起こし、化膿(かのう)した状態になる『ひょうそう』になる人も多いんですね。そうなると、飛び上がるほど痛みます。足の指で中程度の症状になれば、靴を履くこともできません。つめの長さの理想は、『手のひら側から指先を見たときにつめが出ていない、手の甲(こう)側から見たら指先の肉が出ない状態』です。特に、つめの両角(もろずみ)を切り過ぎないようにしてください。深づめの予防には、つめをつめ切りでカットするのではなく、『つめ用のやすり』でこすることです。実践してみてください」確かにやすりを使うと、指先の肉がガードして深づめになるまで削ってしまうことがありません。■鼻毛が伸びて恥ずかしいので抜いています取引先の男性(29歳)の田中氏が、鼻毛についてこう言います。「小さいときから鼻毛が鼻の外へ出て困っていた。切る程度では追いつかない。マナーのためにも、3日に1回は抜いています」。先生、そうなのでしょうか?はざの先生「ダメです。鼻は呼吸をする部位です。気管支にほこりやばい菌が入るのを防ぐという役割があるのですから、抜いてしまってはその役割が果たせません。また、抜いたあとに生えてくる毛が鼻の粘膜を傷つけて炎症を起こすこともあります。ですので、外へ出てきたら、その分だけ切るようにすればいいでしょう」■足のニオイは、どうしたらいい?足のニオイが気になる裕樹君(27歳/公務員)。どうしたら良いか分からずごまかしているそうだが……。はざの先生「足のニオイの原因は、足の古い角質にニオイ菌が繁殖したり、汗が靴の中で蒸れてしまったりすることにあります。靴を履く時間が長い場合は、時々は靴を脱いで足を風にさらし、足の指を伸ばすなどして指の間の汗を飛ばしてください。洗う環境があれば、水で洗います。私がビジネスマンたちにおすすめしているのは、マイソックスを持ち歩いて、1日に2~3回ほど履き変えること。これだけで随分と足のニオイは軽減されるでしょう。水虫の対策、予防にもなります」■制汗剤はかければかけるほどよい?はざの先生「やみくもに何種類ものスプレーを何度もつけずに、体質に合った1本を選んでください。つける前にはできればシャワーをするか、難しければ、ぬれタオルなどで汗をふきとります。さらに、スプレータイプの制汗剤は、同じ部位に3秒以上吹きかけないようにしましょう。それ以上かけてしまうと、薬剤が肌につく量が多くなり、汗腺の穴を防ぎかねません。また、帰宅後にはすぐにふき取るようにして、お風呂では洗い流すようにしましょう」体質や目的に合ったタイプを選ぶ、そして、つけすぎないことがポイントです。これまで、深く考えずにこれでよいと解釈していた清潔習慣の数々。はざの先生のアドバイスのおかげで、思い込みが多いことに気付きました。今後は、正しい清潔習慣を身に付けたいものです。監修:はざの比呂江氏。はざの皮膚科院長。大阪市都島区医師会副会長。レーザーによる抗加齢治療に定評がある。はざの皮膚科は大阪市都島区。JR・京阪電鉄京橋駅徒歩5分。TEL:06-6354-6877(阪河朝美/ユンブル)【関連リンク】毎朝のデオドラントでワンランク上のビジネススタイル【コラム】これからの季節「足のニオイ」を防ぐには【コラム】古本、靴下……あなたがなぜかかいでしまうにおいは!?
2011年06月26日就職、転職、引っ越しなどで環境が変わったときや、残業が続いて忙しすぎる、社会不安が大きいような状況のとき、ひどく肌が荒れる、ニキビが急増したなどという経験はありませんか。ストレスと大人ニキビの関係ついて、皮膚科専門医で小林皮フ科クリニックの小林照明院長にお話をうかがいました。■大人ニキビの原因とは大人ニキビとはそもそも、どうしてできるのでしょうか?小林先生は、こう説明します。「大人ニキビも思春期ニキビも、できるメカニズムは同じです。思春期のころから、男性も女性も、男性ホルモンが増えてきたり、ホルモンバランスが乱れやすくなります。また皮膚が定期的に入れ替わる「角化」のリズムも乱れやすくなります。『ホルモンバランスの乱れ』による皮脂の過剰分泌と『「角化」のリズムの乱れ』による毛穴の閉鎖が進むとニキビが生まれやすくなり、さらにニキビ菌が増えやすくなります。ニキビ菌は毛穴にたまった皮脂を栄養にして増えていき、その結果、毛穴の壁が破れて炎症がさらに拡大し、赤みが強くなったり膿(うみ)を持つような状態に進んでいくことも多いのです」■ニキビそのものがストレスになる大人ニキビができるのには、ストレスがかかわっているのでしょうか?小林先生は、「『季節の変わり目』、『脂っこいモノを食べた』、『便秘』、『不摂生な生活』、『睡眠不足』などのストレスがかかるとホルモンのバランスが崩れます。その崩れが皮脂の分泌を高めることになって、先ほどのニキビができるメカニズムに結びつくわけです。当然、ニキビは発生しやすくなります」と言います。たしかに、生活環境の変化や社会不安な状況は、睡眠不足や疲労、ストレスに直結します。「それがニキビを生む一因になっています。また、ニキビそのものがストレスになることもあるわけです。放っておくと、シミになる、赤みがとれない、肌が隆起や陥没したりするなど、ニキビあとに悩むことはよくあるんです。それらのストレスを取り除くためにも、皮フ科医は、まずはニキビケアのポイントや、正しいスキンケアの方法を指導します」(小林先生)■大人ニキビはあとに残りやすいではここで、小林先生に「自分でできるスキンケア」を教えていただきましょう。1 1日2回以上、次の正しい洗顔を行います。特に、汗をかいたらすぐに洗顔を。気温が高い夏は皮脂と汗が混じってニキビを悪化させるので注意してください。<洗顔法>(1)蒸しタオルで毛穴を開かせておくと、毛穴の奥の汚れや皮脂が出やすくなります。(2)36℃~40℃の人肌程度のぬるま湯で顔を素洗いします。(3)石けんをよく泡立てて、泡で皮脂や汚れを包んで乳化させ、泡といっしょに落とします。その際、人さし指と中指の腹で円を描くようにして、次の順に力を入れずに軽くマッサージします。額→こめかみ→まゆ→鼻→目のまわり→ほお→口のまわり→あご→首すじ泡をころがすイメージで洗いましょう。肌に負担をかけないために、ごしごしとこするなど力を入れないようにします。(4)最後の洗い流しが重要です。こめかみ、あご、首すじに石けんを残さないようにたっぷりのお湯で繰り返し、流しましょう。(5)人さし指で、鼻の横、ほお、額を下から上へなぞり、さらっと指がすべる感じであればOK。ぬるっとして指に脂分が残る感じがしたら、まだ洗い足りない証拠です。再度その部分を泡で洗ってからよくすすぎましょう。(6)柔らかいタオルで、肌の上から軽く抑えるようにふきます。<ガーゼ洗顔法>皮脂の多い部分や、白ニキビ、黒ニキビにはガーゼを使った洗顔を行います。「ガーゼの布を利き手の人さし指に一重に巻き、指先のガーゼにニキビ用の石けんをつけてよく泡立てます。ニキビ部分をその泡で、力を入れずに、円を描くように洗ってください。直線で洗うと汚れがとれないし刺激が強いので、かえって肌に負担になることもあります」と小林先生。この方法は、症状の改善が見られたら毎日は行わずに週に2~3回だけにして、上の洗顔法だけを1日2回行うようにします。ガーゼ洗顔をしすぎると皮膚が刺激を受け、皮脂の分泌が盛んになってしまうことがあるからです。この方法は、断水下などで水が貴重なときにも応用が利きます。ガーゼやコットンに水を適量含ませて、円を描くように顔をなぞります。なぞる順番は、上の<洗顔法>の(3)に習ってください。2 ストレスをためない生活を心がける。就寝前に趣味の時間を持つなどして、リラックスタイムをつくる。3 夜ふかし、睡眠不足は大敵。4 食事は1日3回、分量の比率として、朝が3、昼が2、夜が1の割合が理想。夜9時以降の食事は避ける。5 ヘアスタイルに注意。前髪で額を隠したり、ほおやあごに毛先がかかったりすると肌を刺激してニキビを悪化させる原因になります。6 ほおづえをつくクセをやめる。手がほおにつく部分のニキビが悪化します。オフィスのデスクや部屋のソファなど、ほおづえをしやすい場所の近くに鏡を置いてチェックするというような工夫をしてください。7 日やけに注意。日やけをすると皮膚の角化が高まってニキビを悪化させます。帽子や日傘は必須です。8 ニキビを指でつぶしたり、こすったりしないようにします。ニキビあとが残る原因になります。薬を塗っておくと触らなくなるはずですが、とにかく触れないことが重要です。「当たり前のことのようですが、これらを丹念に行うことがニキビ予防、またニキビあとの予防につながるんです」と言う小林先生。皮膚科へ行くタイミングについて尋ねると、「ニキビあとを残さずに治すには、赤くなってきたり膿(う)んだりする前の段階で行くことです。目安としては、顔全体に10個ほどのニキビができて正しい洗顔をしても2週間以上消えない場合などです。診断の上、適切な処方薬や化粧品を指導します。一番の注意点は、大人ニキビは、ストレスフルな生活を送っている人の場合、なかなか完治せず、あとを残してしまうということです。早めに皮フ科に行くことで予防できることが多いのです。大人ニキビにかかわらず、ストレスでかぶれる、ひどいクマ、くすみなどの肌荒れを起こした場合、ひとりで鏡を見て悩んでいるよりも、皮膚科へ相談するほうが解決は早いでしょう」とアドバイスします。ニキビ、肌荒れは悪化すると人前に出たくなくなることもあります。正しいスキンケアに取り組んで、きれいになることで心の内にもアプローチをかけていく。これが肌のトラブル解消への近道のようです。監修:小林照明氏。皮膚科専門医。医学博士。小林皮フ科クリニック・皮フとビタミン研究所(院長。(阪河朝美/ユンブル)【関連リンク】【コラム】大人ニキビができる原因【コラム】大人ニキビの予防法6つ【コラム】乾燥?枕?意外に知られていなかったニキビの原因を追求
2011年04月23日