「子どもの塾代が高すぎる」と嘆く声を聞いて……「子どもの居場所になる、激安の学習塾を作りたかった」——哲夫さんが「寺子屋こやや」を立ち上げたきっかけを教えてください。哲夫さん(以下、哲夫)きっかけは事務所の社員さんが「子どもの塾代が高い」と嘆いていたことからなんです。もちろん塾にもよるとは思いますが、小学生でも月6~7万円もかかると聞いて、これでは今は一部の裕福な家庭の子どもしか塾に行けないのでは?と思いました。もっといろんな家庭の子が通える塾があったらいいのに、と考えるようになりました。——学生時代に塾講師のバイト経験もあったんですよね。哲夫大学時代は塾講師や家庭教師、教職課程の単位をとって勉強をしていたので、ずっと教育には興味を持っていました。そこで同じような志を持つ友人に声をかけ、どんな家庭の子でも通える激安の塾を開こうという話になりました。現在は小学校3年生から中学3年生までの子どもが通っていて、後輩芸人にも手伝ってもらいながら経営しています。——小学生は3500円/月から、中学生は通い放題でも最大20,000円/月という価格設定は確かに激安だと感じます。「寺子屋こやや」はどんなスタイルの学び舎なのでしょうか?哲夫一般的な塾のように、集団で決まった時間に授業をしているわけではありません。授業や宿題などでわからないところを、その場にいる大人に聞いて個別に理解していくというスタイルの学び舎です。生徒一人ひとりが苦手な科目を克服する場、と思ってもらえたら想像しやすいと思います。「あんたはもともと賢い子やのに、なんで勉強せぇへんの?」「子どもの頃は勉強なんて嫌いでした(笑)」哲夫僕自身も小~中学生のころ、学校が終わってから近所のおばあちゃん先生に月3,000円で勉強を教えてもらっていました。そこでは家族や学校以外の大人に叱られたり、褒められたりという、貴重な経験をしました。——哲夫さんは子どものころ、勉強が好きでしたか?哲夫嫌いでした(笑)。あるとき、おばあちゃん先生に「あんたはもともと賢い子やのに、なんで勉強せぇへんの?」と言われました。そのときは「だって勉強嫌いやもん」と答えたことを覚えています。勉強をするようになったのは中学に入ってからですね。どうしても高校でサッカーの強豪校に進学したくて、そこからスイッチが入り、猛勉強しました。——小学校の時に出会ったおばあちゃん先生は、哲夫さんがスイッチさえ入ればものすごく頑張れるということを見抜いていたのかもしれませんね。哲夫どうでしょうね(笑)。でもあの言葉は、僕にとっては自信につながるものでした。その言葉をお守りにして、学生時代は勉強に向き合えていたんだと思います。——学校や家庭に心地よい居場所がなく、生きづらさを感じている子どももいます。そうしたお子さんにとって、まったく別の人間関係を築ける塾は第三の居場所になり得ますよね。「寺子屋こやや」もそうなっていると思いますか。哲夫そうですね。思春期の子どもにとって、学校が終わってからの自分の居場所があることは大事だと思います。子どもはそういう場で社会経験を積んで大人になっていきますから。それにね、夜の時間に、堂々と家の外で友達や大人と過ごしているって、ちょっと冒険っぽくてワクワクすることだと思いませんか?これからも「寺子屋こやや」が子どもたちにとって、“親に認められた冒険の場所”であってほしいと思っています。「いじめはダサイ」という空気が必要「自分ではあまり覚えてないんですが……ヒーローだったらしいです(苦笑)」——春から一番上のお子さんが小学生になります。哲夫さんが日本の教育現場に望むのはどんなことですか。哲夫とにかく“いじめ”がなくなったらいいなと思います。今も昔も先生たちも本当に忙しいと思うので四六時中、子どもを見守ることは難しいと思います。でも、相手は子ども、先生は大人ですからクラスでは受け皿の存在でいてほしいです。そのためにも先生たちの労働環境はもっと向上させるべきだと思いますし、きちんと子どもを叱れるように保護者の側にもある程度の寛容さが求められると思います。それともうひとつ、教員側、学校側の「いじめを容認しない」という態度はもちろん重要ですが、子どもたちの側もそうであってほしいです。僕は、いじめをやめさせるには、「イケてるやつ」が空気を変えることが必要だと思っています。ーー「イケてるやつ」が、ですか?哲夫どういう意味かというと……これは自分の子どもの頃の話なんですけどね。小学校6年生のとき、クラスに女の子が転校してきたんです。今でも覚えていますが、可愛らしい子でした。次第にクラスの目立つ女子グループに目を付けられ、陰口を言われるようになってしまいました。まあいじめですよね。さて当時の僕はサッカーが一番上手で、学年1のイケイケだったんですが……ーー学年で一番イケている哲夫さんが……哲夫その集団に向かって、「女子、おもんないことすんなよ!」って言ったそうなんです。それがきっかけでいじめがなくなった、と聞きました。——「言ったそう」「聞きました」ということは……哲夫さんは当時のことをあまり覚えていないんですか(笑)?哲夫そうなんです(苦笑)。実はこの話は大人になってから、その転校生と再会したときに聞きました。「哲夫くんのあの時の言葉に私は救われた、ありがとう」と御礼まで言われてしまったんです。当の本人は「そんなこと言ったっけ」な状態ですけど、たしかに当時の僕はイケイケでした(笑)。だからいじめ問題が勃発したら、イケてるやつが正論を言うと、空気がガラッと変わり、「いじめ=ダサい」となるんじゃないかなと思っています。だから自分の子どもも、空気を変えられるイケてるやつになってくれたらいいなって思います。笑い飯 哲夫(わらいめし・てつお)1974年奈良県生まれ。2000年に西田幸治さんと漫才コンビ「笑い飯」を結成し、2010年には『M-1グランプリ』で優勝。2014年より小・中学生に向けた格安補習塾「寺子屋こやや」の運営をスタートし、教育分野にも積極的に関わっている。著書に『がんばらない教育』(扶桑社)、『えてこでもわかる 笑い飯哲夫・訳 般若心経』(ワニブックス)など。0歳、3歳、6歳の3児のお父さん。みんなのお悩みに哲夫さんが答える!『がんばらない教育』(扶桑社)『がんばらない教育』¥ 1,540(取材・文=安田ナナ)
2024年03月05日「去年、3人目が生まれたんです。まだまだがんばらなあかん」三児の父に!——哲夫さんは芸人としてステージに立ちながら、テレビやラジオ出演、学習塾「寺子屋こやや」の運営、農業、そして子育てと非常に多忙です。現在はどのようなスケジュールで活動されているのでしょうか。哲夫さん(以下、哲夫)芸人としては主に劇場や営業、ラジオやテレビで活動していて、お寺巡りのロケなんかもあります。吉本の劇場はあちこちにあるので、いろんな場所で漫才をやっています。特に決まったスケジュールはないのですが、子どもたちの保育園の送り迎えやお風呂はできるだけやるようにしていて、寝る前にカルタやトランプで遊んだりもします。——お子さんの年齢はおいくつですか?哲夫一番上の子が6歳、次が3歳。そして昨年の9月に3人目が誕生しました。奥さんは赤ちゃんに付きっきりなので、とにかく自分が家のこともやらないと回らないですね。——第三子が! おめでとうございます。それは毎日にぎやかですね。哲夫そうなんです。3人目が生まれてさらに責任感が増しました。49歳ですがまだまだがんばらなあかんなって思っています。最近は上の2人の子をラジオの仕事現場に連れていって、収録中、現場のスタッフさんにお世話になりました。そんなに長い時間じゃなかったのに、終わって戻ると子どもたちがスタッフさんにあだなを付けたりして、すぐに仲良くなっていてびっくりしました。——お父さんと一緒に仕事をしている人など、親や保育施設の人だけでないいろんな大人に触れることも、お子さんにとって良い影響がありそうです。哲夫まさにそうで、子どもだからといって子どもだけの世界にいるのではなく、多くの大人に会っていろんな考え方があるということに触れることは社会勉強になると思います。僕自身も小さいころから、両親以外に祖父母や近所の人など、さまざまな大人に触れてきました。子どもながらに「ここではこれを言うたらあかん」など、場の空気を読んで言ってはいけないことをほどよく理解しながら子ども時代を過ごしていたんじゃないかと思います。春から故郷・奈良に家族で移住自分が育った環境で子どもたちを育ててあげたい、という哲夫さん。——子育てに関して奥様と衝突することはないのですか?哲夫僕も妻も奈良の田舎で育って、比較的同じような感覚で子育てをしているので、衝突するようなことはないですね。お互い、子どもにはYouTubeを見せない、遊びと言ったら川遊び・土いじり・虫とりというような感覚が一致していて、ともすれば古臭いかもしれません。でも我が子にはそうした自然との触れ合い経験をある程度積んでほしいと思っています。この春から、故郷の奈良に移住して子育てをする予定なんです。——新生活が楽しみですね。哲夫自分の育った環境で子育てができることは本当にありがたいです。両親もすぐ近くにいるので、子どもたちにとっておじいちゃん、おばあちゃんがすぐそばにいる環境はすごくいいと思います。ご近所さんも昔から知っている方ばかり。僕が東京や大阪で仕事がある時も安心です。——慣れ親しんだ環境での子育てはリラックスできそうでいいですね。いろんな大人に触れる、自然と遊ぶ……お子さんたちを育てるうえで哲夫さんが大事にしていることは他にもありますか?哲夫実家が農家をしていたので、僕は子どものころから「ご飯粒は残さない」ということを厳しくしつけられてきました。これは我が子にも徹底しています。そして、叱るときと叱る、褒めるときはしっかり褒めます。——「褒め方が難しい」という声もよく聞きます。子どもを褒めるときのコツはありますか?哲夫よその子と比較するのではなく、その子自身の成長をしっかり褒めてあげてほしいです。たとえば、うちの3歳の子は動作が遅いことがありますが、そんな時は「1,2,3……」ゆっくりカウントするんです。先月までは靴を履くのに5秒ほどかかっていましたが、今月になって3秒で履けるようになりました。「めっちゃ早なってるやん!」と褒めまくると、得意満面の顔を見せてくれました。ちょっとしたことでもいいんです。その子の変化を褒めることは本当に大事だと思います。駆けていく我が子の後ろ姿を久しぶりに見た「子どもの考えることは、面白い!」——昨年発売された哲夫さんの新刊『がんばらない教育』(扶桑社)ではさまざまな質問に答えていますが、人のお悩みに回答するときはどんなことに気をつけていますか?哲夫目線を配ることを大事にしています。これは相談を受けるときに限らず、漫才をするときも一緒なんですが、相方にしか目線を向けない芸人がたまにいるんです。そういう人を見るとがっかりします。自分はいま誰に向けて話しているのか、ということを意識すると、おのずと相手の目を見て話すと思うんです。でも、それができていない人が最近多いように思います。——言葉を伝えたい相手をしっかり見るということは、親子の関係でも同じかもしれません。哲夫それに加えてお悩み相談の場合は、相手が求めていることは何なのかを判断し、適切な提案することを意識しています。でも芸人なので面白いこと、相手が笑顔になってくれるような話を無意識にしたくなってしまうんですよね(笑)。——パパとして、ご自身のお子さんから質問されることもありますか?哲夫真ん中の3歳の子が最近は「なんで? なんで?期」なんでしょうね、どんなことでも質問してきます。たとえばこのあいだ、「どうして車は動くの?」と聞いてきたので、僕は「エンジンがあるから」と答えました。すると次は「エンジンがあるとなんで動くの?」と聞いてきました。しばらくは子どもが質問する、僕が答えるのやり取りを続けましたが、僕も八方塞がりになってくるので(笑)、最後は「自分で考えてみ」と提案すると、3歳なりの面白い答えを出してくるんですね。こういうやりとりの時間も大事にしたいなと思います。——0歳児もいて、哲夫さんはまだまだ子育て世代ど真ん中ですね。哲夫よく「40代での子育ては大変でしょう」と声をかけられますが、僕自身は大変だとは思っていません。体力的にもまだ問題ないので、子どもの送り迎えも楽しんでいます。先日、保育園の帰りに子どもが自転車を降りて走りたいと言うので「車に気を付けて走るんやで」と言って自転車からおろしました。すると、しっかりとした足取りで走っていました。ここのところ我が子の走る姿を後ろから見ることがなかったので、「ああ、大きくなったな」と成長をつくづく感じました。人によっては、子どものやることに先回りしてなんでも「ダメ」と言ってしまう人もいるかもしれません。自転車から降りて走るなんて危ないし、早く帰りたいのに時間もかかるし、って。でも、しっかり注意してからやらせてみると、子どもの意外な一面が見えることもあるんですよね。笑い飯 哲夫(わらいめし・てつお)1974年奈良県生まれ。2000年に西田幸治さんと漫才コンビ「笑い飯」を結成し、2010年には『M-1グランプリ』で優勝。2014年より小・中学生に向けた格安補習塾「寺子屋こやや」の運営をスタートし、教育分野にも積極的に関わっている。著書に『がんばらない教育』(扶桑社)、『えてこでもわかる 笑い飯哲夫・訳 般若心経』(ワニブックス)など。0歳、3歳、6歳の3児のお父さん。みんなのお悩みに哲夫さんが答える!『がんばらない教育』(扶桑社)『がんばらない教育』¥ 1,540(取材・文=安田ナナ)
2024年03月04日山田杏奈主演『山女』が絶賛公開中の福永壮志監督による過去作品のオールナイト一挙上映が、8月25日(金)に開催されることが分かった。また、同日より1週間限定で、『山女』と短編『シルマシ』の2本立て特別上映も始まる。柳田國男の名著「遠野物語」より着想を得た最新作『山女』を手掛けた福永壮志監督。初の長編劇映画である『リベリアの白い血』は第65回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に出品され、2作目の『アイヌモシリ』は第19回トライベッカ映画祭で審査員特別賞を受賞し、『山女』は第53回東京国際映画祭を皮切りに、香港国際映画祭、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭に出品され、国際舞台でその存在感を強めている。この度のオールナイト上映で上映されるのは、過去作『リベリアの白い血』『アイヌモシリ』『シルマシ』。短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」の中で制作された『シルマシ』は、『山女』と同様に「遠野物語」にインスパイアされており、岩手県遠野市の山奥にある小さな村で、祖母の死と向き合う少女(伊藤葵)の姿を美しい映像とともに紡いだショートフィルム。『山女』とあわせて鑑賞できる貴重な機会となっている。上映期間中には、トークイベントも開催予定。詳細は後日、映画『山女』公式より発表される。『山女』+短編『シルマシ』2本立て特別上映は、8月25日(金)~8月31日(木)より、シモキタ - エキマエ - シネマ「K2」にて1週間上映。福永壮志監督作一挙オールナイト上映は、8月25日(金)シモキタ - エキマエ - シネマ「K2」にて開催。『山女』は全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:山女 2023年6月30日よりユーロスペース、シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開©YAMAONNA FILM COMMITTEE
2023年08月09日矢野顕子の楽曲をモチーフとした深田晃司監督作『LOVE LIFE』が9月9日(金)に公開となる。この度、三戸なつめ、福永朱梨の出演が決定し、それぞれのスチール写真が公開された。また、あわせて出演が決定した森崎ウィンからのコメントも寄せられた。本作は、映画監督として海外から高い評価を得ている深田晃司監督が、ミュージシャン・矢野顕子が1991年にニューヨーク移住後に発表した初のアルバム『LOVE LIFE』に収録された同名楽曲をモチーフに、「愛」と「人生」に向き合う夫婦の物語を構想期間18年の時を経て完成させた9本目の長編作品。愛する夫と愛する息子、幸せな人生を手にしたはずの主人公・妙子に、ある日突然降りかかる悲しい出来事。そこから明らかになる本当の気持ちと彼女が選ぶ人生が描かれる。妙子を演じるのは木村文乃。木村は妙子の、嵐の前の静けさを感じさせる佇まいと爆発しそうな激情を、全身全霊で表現し、木村の新境地を体感できる意欲作ともなっている。妙子の夫、二郎を演じるのは『峠 最後のサムライ』や主演ドラマ『ダブル』(WOWOW)など、映画やドラマで活躍する永山絢斗。妙子の元夫、パクを演じるのは、ろう者の俳優・手話表現モデルとしても活躍する砂田アトム。二郎の元恋人、山崎を演じるのは、昨年、『モンスターハンター』でハリウッドデビューし、『ウェンディ&ピーターパン』で舞台に初挑戦するなど目覚ましい活躍をしている山崎紘菜。また、二郎の母・明恵には『37セカンズ』の神野三鈴、父・誠には『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』の田口トモロヲと、日本の映画界において欠かせないふたりが揃った。この度、新キャストとして、三戸なつめ、福永朱梨、森崎ウィンの出演が決定。『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』、『シノノメ色の週末』など、モデルやタレント、女優として幅広く活躍する三戸は、妙子と一緒にホームレス支援を行うNPOで働く近藤洋子を演じる。深田監督とは『本気のしるし』以来のタッグとなる福永は、二郎と同じ市役所に勤める富山文子を演じる。そして、『本気のしるし』に主演した森崎ウィンは、“意外な役どころ”で出演するという。森崎は、「なかなか同じ監督の作品にすぐに参加することはないのですが、深田監督は僕にこの役を相談するために、僕の他でやっている仕事を調べた上で求めてくださったようで感謝しております。いち監督のファンとしてこの作品がより多くの人に観てもらえるように願っております」とコメントを寄せた。深田監督が森崎をどのような役にキャスティングしたのか。ぜひ映画館で確認して欲しい。<森崎ウィンコメント全文>『LOVE LIFE』僕は1日だけ参加させて頂いたのですが、深田監督とまたご一緒できたこと、素敵な作品に参加できたことが何より嬉しかったです。なかなか同じ監督の作品にすぐに参加することはないのですが、深田監督は僕にこの役を相談するために、僕の他でやっている仕事を調べた上で求めてくださったようで感謝しております。いち監督のファンとしてこの作品がより多くの人に観てもらえるように願っております。『LOVE LIFE』9月9日(金)より公開
2022年08月10日お笑い界屈指の仏教通である凄腕漫才師、お笑いコンビ・笑い飯の哲夫。最新著書『ザ煩悩』など書籍も出版し、4月から相愛大学の人文学部に客員教授として就任するなど、仏教関係の仕事でも活躍を見せている。コンビ結成20周年を迎える節目の今年。20年のキャリアを振り返るとともに、今後の抱負を語ってもらった(※取材は緊急事態宣言の発令以前に行ったもの)。――笑い飯さんは、今年の7月に結成20周年を迎えます。20年のキャリアを振り返ると、結成当初に描いていたものとは違いますか?結成当初は、僕が仏教の仕事をするなんて、全く思ってなかったですから(笑)。その辺は思い描いていたところとは違う形に。『M-1グランプリ』も、9年決勝に行かせてもらって、9年目、最後の2010年に一応ご慈悲で優勝させていただいたんですが(笑)。あれも「もうちょっと早くに優勝できるかな?」なんて、勝手に、偉そうに思っていました。20年になって、まさかコロナウイルス、こんなに無観客になるとも思ってなかったです。――お客さんがいない中でのネタやトークは、いかがですか?お客さんがいない分、すべるっていうことがないんですよ。だから、むちゃむちゃできるっていうのは、強みだったりしますね(笑)。――『M-1』で優勝を達成するまでの9回のチャレンジで、支えになっていたものは何だったんでしょう?根拠のない自信っていうやつですよね。ただただ「俺めっちゃおもろい」って思い続けるっていうことですね(笑)。「どう考えても、俺が日本一面白いんだ」って。みたいなことを、勝手に無根拠で信じるという。――西田さんとコンビとして歩んでいく中で、危機はありましたか?特に、辞めるっていう話にはなっていないですかね。――客観的に見ると、笑い飯はどういうコンビだと思いますか?小田和正さんと佐藤竹善さんが組んではったPLUS ONEというユニットの「クリスマスが過ぎても」という歌があって、それをカラオケで入れるんですが、誰も「知らん」って言うんですよ(笑)。(皆が)知らん歌を歌い続けるのが趣味だったりするんですけど、それが笑い飯だと思っています。誰も覚えていないっていうのは、どやねんと思うんですが(笑)。(PLUS ONEの)お二人ともめっちゃ声きれいで、そんなすごいユニットがあったんですよね。(笑い飯は)2人ともめっちゃおもろいんですよ。その2人が組んでいるという、勝手な考えなんです(笑)。――個人として、コンビとしての、今後の野望は?コンビとしては、関西でずっとやらせてもらっていて、漫才というものがすごく好きで、劇場というものがすごく大きな存在なんです。年齢的にも、まあ中堅になってきたのかなと思うんです。この先、もうあと何年もしたら「師匠」って言われる年齢になってくるんか…というような考えの域の及ぶ年齢になったなと思いますね。だから、すごいおじさんやのに、めちゃめちゃ変なことを言っている二人やなっていう、年齢がいい振りにできるようなコンビになっていくんだなと思います。個人としては、ほんまにありがたいことに、仏教のお仕事をさせてもらっていて。本を出すのは『ザ煩悩』で7冊目なんですけども、他に吉本の芸人で7冊も出している人って、松本(人志)さんくらいちゃうか? みたいな話を聞いたことがあって。又吉(直樹)も、他の媒体ではいっぱい出しているけど、一冊の本としてはそこまで出してないかもわかんないみたいな話を聞いたんですよね。だから個人としては、ぶっちぎりで本を出している芸人になれればなあと(笑)。あと、三島由紀夫さんが亡くなって50年で、今年はいろいろなことをやられるみたいですけど、三島由紀夫さんが亡くなったのが45歳で、今、僕45歳なんですよね。で、50年経っているので、11月25日に、とりあえず市ヶ谷駐屯地に行こうかなと。何をするかとは決まっていませんが、11月25日、三島由紀夫さんの御命日には、市ヶ谷駐屯地に行こうと思います(笑)。――哲夫さんのファンが集まっちゃうかもしれませんね(笑)。そこで仏教講座ができたら。あのバルコニーから、お客さんを集めて、仏教講座をやれたらなって。で、皆から「降りろー!!」って言われて「黙って聞けえ!!」って言おうかなと思います(笑)。罰当たるわ(笑)。■哲夫(笑い飯)1974年12月25日生まれ。奈良県出身。吉本興業所属。2000年7月に相方の西田幸治と笑い飯を結成。Wボケ漫才で繰り出す個性的なネタを武器に『M-1グランプリ』決勝に9度進出し、ラストチャンスとなった2010年に悲願の初優勝を果たし、全国区の知名度を獲得。これまでに仏教関連の本では『えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経』『ブッダも笑う仏教のはなし』などを出版。
2020年05月25日東京・白金のOUR FAVOURITE SHOP内にあるOFS galleryで、キギ(KIGI)の渡邉良重が小説家・福永信とともに作り上げた新作絵本『しんじゅのこ』の刊行記念展示を、11月28日から12月25日まで開催する。絵本『しんじゅのこ』(リトルモア刊 1,800円)は、大人絵本の名作『ブローチ』の渡邉良重、小説家・福永信がともに作り上げた新作。近年ふたたび注目が集まる「びわ湖真珠」に着想を得て描かれた少女と真珠の物語。シンプルで優しい絵、くりかえされる「問い」と「答え」の心地よいリズム、時間の尊さをつつみこんだマスターピースとなっている。解説冊子「びわ湖真珠ができるまで」が付く。また、本物の「びわ湖真珠」一粒をパッケージした『しんじゅのこ【限定版】 びわ湖真珠 ひとつぶ付き』(リトルモア刊 3,800円)も登場。封入される「びわ湖真珠」は、琵琶湖の固有種、池蝶貝から生まれる淡水真珠。核を入れず、すべてが真珠層でできている「無核真珠」は、びわ湖真珠の代名詞であり、一つとして同じ形はなく、独特の美しさと照りで輝く。生産者の知恵と努力、琵琶湖の自然に育まれ、6年の歳月をかけて完成する。オリジナルケースは、バスク3層構造により、断面まで白さを追求。角度により様々な表情を見せる銀の箔押し印刷で、清らかで上品な輝きを包みこんだ特別仕様。真珠の絵本と、一粒の真珠。物語が現実につながる夢の限定版は、今年を特別にする1冊になるはず。OFS galleryでの展示イベントでは、『しんじゅのこ』の紹介に加え、渡邉がこれまで手がけた絵本の原画を展示。『しんじゅのこ【限定版】 びわ湖真珠 ひとつぶ付き』も販売する。12月7日・8日の13時から17時には、会場に神保真珠商店が登場し、「出張真珠加工会」を開催。会場で絵本『しんじゅのこ【限定版】』を購入するか、購入した同絵本と真珠を持参すれば、付属された真珠のアクセサリー加工をその場で依頼できる。【書籍情報】絵本『しんじゅのこ』え:渡邉良重、ことば:福永信ブックデザイン:渡邉良重出版社:リトルモア190mm×190mm/上製/48ページ価格:本体1800円絵本『しんじゅのこ【限定版】 びわ湖真珠 ひとつぶ付き』え:渡邉良重、ことば:福永信デザイン:渡邉良重出版社:リトルモア絵本:190mm×190mm/上製/48ページ、オリジナルケース:外寸215mm×205mmセット内容:絵本『しんじゅのこ』、びわ湖真珠一粒、解説冊子『びわ湖真珠ができるまで』、箔押しオリジナルケース入り価格:本体3800円【イベント情報】絵本『しんじゅのこ』刊行記念展会期:11月28日〜12月25日会場:OFS gallery(OUR FAVOURITE SHOP内)住所:東京都港区白金5-12-21時間:12:00〜19:00(最終日は17:00まで)休館日:月・火(祝日を除く)
2019年11月19日お金と同じで、筋肉も十分な蓄えがないと、老後がとても不安に……。破綻してしまわないよう、今から老後に必要な“筋肉貯金”を蓄えよう!「今や人生100年時代に突入しましたが、日常生活を支障なく過ごせる“健康寿命”は平均寿命より10~15年短いです。高齢者が自立した生活を送ることが困難となってしまう原因には転倒や関節疾患などがありますが、それらのリスクは筋力が高ければ和らげることができます。すなわち、健康寿命を延ばすには、筋肉の老化を防ぐことが不可欠なのです」こう語るのは、近畿大学生物理工学部准教授の谷本道哉先生。8月27~30日に放送され話題になった『みんなで筋肉体操』(NHK総合)の指南役を務めて注目を浴びた筋肉のエキスパートだ。「’02年に鹿屋体育大学前学長の福永哲夫先生が、筋肉を蓄えることの重要性を“貯筋”という表現で提唱されました。近年は“筋肉貯金”という言い方が定着しています。老後に備えて、お金だけでなく、筋肉量もきちんと貯めておくことが、いくつになっても快適に過ごせることにつながっていきます」筋肉量は30歳前後をピークに減り始め、50~60代で急激にそのスピードが増す。体重を支える太ももの筋肉では80代の平均はピーク時の半分にまでなってしまうという。加齢による筋肉量の低下は、要介護のリスクになると谷本先生は警鐘を鳴らす。「ただし、筋肉は何歳から鍛えても増えてくれる頼もしい存在。日ごろまったく運動の習慣がない人であっても、今からでも、“筋肉貯金”を立て直すことが可能です」
2018年09月28日