理化学研究所(理研)と東京大学は4月9日、メタボリックシンドロームに関連する分子として注目されているアディポネクチン受容体の立体構造を解明したと発表した。同成果は理研横山構造生物学研究室の横山茂之 上席研究員と、東京大学大学院医学系研究科の門脇孝 教授、山内敏正 准教授らの共同研究グループによるもので、4月8日(現地時間)付の英科学誌「Nature」オンライン版に掲載される。アディポネクチン受容体は、細胞膜に存在する膜タンパク質で、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンというホルモンによって活性化し、細胞において糖と脂質の代謝を促進し、抗糖尿病、抗メタボリックシンドローム作用を発揮する。タンパク質の立体構造を知ることは、創薬において有用とされる。特に、膜タンパク質は細胞外からの情報を細胞内へと伝達する役目を担っているため、薬の標的分子として注目されている。しかし、アディポネクチンは試料調整が難しく、その立体構造情報を得ることができていなかった。同研究では、高純度の膜タンパク質を大量に製造する手法や、結晶化手法などを使い、アディポネクチン受容体の結晶化に成功。この結晶を大型放射光施設「SPring-8」を用いてX線解析することでその立体構造を調べたところ、同受容体は現在までに知られている膜タンパク質とは異なり、膜貫通部位に亜鉛イオンを結合するなど新規の構造をしていることが判明した。今回の研究成果はアディポネクチン受容体の情報伝達メカニズムの解明につながるだけでなく、メタボリックシンドローム・糖尿病の予防薬や治療薬の開発に有益な情報となることが期待される。
2015年04月09日構造計画研究所は2月26日、建築構造物の地震時立体挙動を簡易的に検討できるプログラム「Quick-RESP」のベータ版の無料試用提供を開始したと発表した。Quick-RESPは同社が提供している構造解析プログラム「STAN/3D」や「RESPシリーズ」で培った技術を元に開発された。構造設計でよく使用されるプログラムのデータを変換し、立体振動解析を実施できるため、立体振動解析が必須ではない低層建物に対しても、設計時仮定条件の妥当性確認などに利用することができる。また、振動する様子をアニメーションにできるので、施主へのプレゼンテーションでも活用できる。ベータ版の提供期間は3月31日までとなっており、申込み後1週間試用することができる。なお、試用期間中の解析データを構造計画研究所へ提供すると、先着20名に1000円分のQuoカードがプレゼントされる。4月中旬から販売・レンタルが開始される予定で、予定価格は販売90万円/1ライセンス、レンタル8万円/1ライセンス・1週間~。また、STAN利用者向けのQuick-RESP for STANは販売30万円/1ライセンス、レンタル3万円/1ライセンス・1週間~となっている。予定価格はいずれも税抜き。
2015年02月26日フォーカルポイントは、アルミニウム製のフレームと本革張りのインナーケースの二重構造を採用したiPhone 6向け保護ケース「Just Mobile AluFrame Leather for iPhone 6」を発売した。価格は税別5,480円。「Just Mobile AluFrame Leather for iPhone 6」は、アルミニウム製のフレームと本革張りのインナーケースの二重構造を採用したiPhone 6向け保護ケース。アルミニウムフレームは端末の側面を、インナーケースは背面や周囲を衝撃から保護する。機能面では、ケースを装着している状態でも音量調節ボタンやサウンドオン/オフボタン、ホームボタン、電源ボタン、Lightningコネクタなど全てのボタンや機能にアクセス可能。音量調整ボタンと電源ボタン部分には、フレームと同じ素材のアルミニウム製パスするーボタンが採用されているため、ボタン部分も衝撃などから保護される。装着は、インナーケースを付けて、フレームをはめ込むだけで装着できる。端末に直接フレームが接触することがないため、端末を傷つけることがない。「Just Mobile AluFrame Leather for iPhone 6」のサイズ/重量は、幅約70mm×高さ約142mm×厚さ約10mm/約32g。カラーバリエーションはブラック、ブルー、グレイ、ベージュ、ピンクの5色。
2015年02月21日前回までに、更新方法とその頻度でサイトの構造を考えることを学んだりん。でも、今回の案件で必須となっている要件「スマートフォン対応」は、サイト構造にどう影響を与えるんだろう?それに、Webの制作はこちらでやるけれど、制作後の更新をするクライアント側の担当者は何人かいるし、ほかにも関わる人が何人か思いつく。役割ごとに触れる場所・触れない場所をちゃんと分離しておかないと、あとでめんどくさいことになりそう。その辺も、サイト制作経験が豊富なはやせ先輩に聞いてみることにしたのでした。彼の言う意味の分からない小ネタは豪快にスルーしつつ、今回もがんばります!おはようございます! 早速ですが、今日もいろいろと質問したいことがあります!OK牧場!○2種類あるスマホ対応の方法、それぞれのメリット・デメリットは何だろう?(また来たよ……けど、めげずにスルーする!)今回の案件って、スマートフォン対応が必須なんです。スマホ対応する場合、前回作ったサイト構造にどんな影響があるんでしょうか?そうだね。スマホ対応する場合のやり方は、大きく分けると2つかな。それぞれメリット・デメリットがあるよ。1. レスポンシブレイアウトで、同じHTMLを表示1つは、PCと同じHTMLをブラウザの表示横幅にあわせて最適なレイアウトで見せる方法だね。【メリット】1ソースなので、大規模サイトでもメンテナンスしやすいモバイルからの閲覧性を重視し始めた検索エンジンからも、推奨されているどの端末からもURLが同じなので、ソーシャルでシェアされるURLが散逸しないシンプルなサイトであればベースとなるテンプレート等を用意しておけば素早く構築できる将来、PC・タブレット・スマホとは大きく異なるサイズのネット閲覧デバイス(TVなど)が増えても、そのまま対応できる【デメリット】同じHTMLを表示するため、デザインやサイト内要素の配置をPCとスマホを考慮して作る必要がある上記の考慮をした結果、デザイン上の制限が生まれるスマホでは画面上非表示にしても、コンテンツ自体は読み込むため、無駄に容量が大きくなり表示が遅くなる場合がある画面幅による自動レイアウトなので、スマホからPCサイトのスタイルに切り替えることができない2. スマホ専用のページを生成して表示2つ目は、閲覧デバイスに合わせて動的に表示サイトを分ける、または静的に/sp/などと別階層構造を作り、スマホ専用の表示ページを出力させるようにする方法かな。【メリット】それぞれのデバイスに合わせ、デザインやレイアウトの制約がなく自由なレイアウトができるスマホでの利用シーン・用途に特化したコンテンツのみをコンパクトに表示させることができる(特に大規模サイトで有効)上記と関連して、スマホに最適化された画像や必要な情報のみを提供できるので表示速度が速い【デメリット】URLが異なる場合は、検索エンジンから重複と見なされない設定にするなど運用が複雑になる同じくURLが異なる場合は、ソーシャルでシェアされるリンクとシェア数が分散するPC・スマホ・タブレットなどデバイスごとにサイトを開発し、分岐の仕組みを用意する必要があるため、デザイン・構築コストがかかる新しい種類のデバイスがでた時に、新規で対応が必要なるほどー。Googleがレスポンシブレイアウトを推奨しているからといって、「レスポンシブレイアウト、サイコー!」とはならないのですね。そうだね。個人的な経験からすると、小中規模なWebサイトの場合はレスポンシブレイアウトで、大規模Webサイトになると別にしたほうが良いという場合が多かったかなー。例えば、遊園地や展示施設などの場合、ユーザーが、家でじっくり下調べするときにPC版を使って、スマホ版では現地でリアルタイムなイベント情報を確認する、などWebサイトの役割や運用方針によっても選択が変わるよね。昨今は、極端な話だけど「スマホでの閲覧を優先してPCはとりあえず見られればいいや」という方針もありえるので、そのWebサイトがどういうユーザーをターゲットにしているか?なども考慮する必要があるね。ふむふむ。ターゲットユーザーや優先度、役割などを考慮するのですね。わかりました!! 今回のクライアントの場合は、中規模なのでレスポンシブレイアウトを提案してみようと思います!○役割ごとに、できること・できないことを分離するための権限設定って?ではでは、続いてWebサイト運営をするための権限の話にもどろうか。はい! お願いします!まず、Webサイト運営に関わる人ってどういう人がいると思う?規模によると思いますが、こんな感じですかね……。Webマスターニュースなどを書くライター書かれたニュースなどをチェックする編集長Webサイトを構築する人確かに規模にもよると思うけど、そんな感じだね。さて、この人たちが全員同様に、「すべてが管理できる権限」を持って運営したら何が起こる可能性があるだろう?おそらく、記事を書くだけの人の場合あまりWebに詳しくない人もいるだろうから、間違って重要な設定変更しちゃった……みたいなことが発生する可能性があります。うんうん、そうだね。「船の先端でポーズとってただけのつもりが、うっかり面舵一杯~!! 」みたいなとこ触っちゃって、氷山にぶつかって船が沈むーみたいな感じになるよね。(そんなことあるのか? ……ともあれ、話を進めるためにそういうことにしておこう)……はい、なりますね。そういうことが起きないように、必要な人に必要な権限を与えてWebサイトを運用することが大事だよね。例えば、今回利用するCMS「MovableType.net」の権限と照らし合わせて見てみようか。【Webマスター】まず、Webマスターとなる人は、Webサイトの全体を管理する必要があるので、サイト管理者(オーナー)の設定になるね。この人は、Webサイトの全場所を触れるよ。【ライター / 編集長】次に、例えば、ニュースは複数人のマーケティング担当者が書いて、公開前のチェックをマーケティングチームの上司が編集長として行うと仮定しよう。各マーケティング担当者は、ニュースブログのライター権限をもらう。また、広報担当者は自分が書く記事のみを編集できる。ただし、記事の公開はできない。上司は、ニュースブログの編集長権限を持っているので、全員が書いた全記事を閲覧・編集でき、また、記事を公開することができる。これにより、ライター権限を持つマーケティング担当者が書いた記事を編集長権限を持った上司が確認し公開する、という流れにできるんだよね。【プロダクトページの管理者】製品ページや事例ページは、プロダクト担当者が原稿を書いて、公開権限も持つとする。この場合、プロダクト担当者が担当製品のブログ管理者としての権限をもらう。【Webサイト構築をする人】Webサイト構築中は全権限をもらい、すべての部分をいじれるようにするけれど、実際にサイトの運用がはじまったら権限を抑えて必要に応じて権限を再度付与する。といった、きめ細やかな運用ができるよ。なるほどなるほど。必要な人に必要な権限だけを与えて運用できれば、間違いのない確実な運用が可能になりますね!今回のWebサイトの運用方法も、だんだんイメージできるようになってきました。早速、これをもとに制作を進めてみます!! また分からない部分が見つかったら教えてくださいー。OKぼくじょー(シャドーボクシング)(またやってる……。そーっと去ろう)スマートフォンに対応したサイトの構造、そして担当者の役割に合わせた権限付与などがなんとなく分かってきたりん。「Webサイト制作を進めていくのに、注意することとかあるのかなぁ」など疑問に思いつつ、帰宅するのでありました。次回は、バージョン管理システムで制作履歴を保持しながらの安心・安全なサイト制作についてご紹介します。○執筆者紹介早瀬将一シックス・アパートにて、主にWebサービス型CMS「MovableType.net」の製品企画を担当しています。個人活動として、大学時代から音を中心としたインタラクティブ作品を制作。音に限らない作品やソフトウェアも作ってます。詳しくはWebで!
2015年02月17日NECは12月9日、道路橋などの構造物の内部劣化状態をカメラで撮影した表面映像から、計測・推定できる技術を開発したと発表した。同技術は、独自の超解像技術、映像・画像鮮明化技術、および4K超高精細映像高圧縮技術の開発などで培った映像・画像処理のノウハウを応用して実現したものである。具体的には、映像中の物体の微小な動き(振動)を高速かつ高精度に検出できる被写体振動計測アルゴリズムを開発した。同技術は、微小な振動の解析に必要な"カメラ画素数の100倍の解像度での動き解析"において、データ量が多く、従来時間がかかっていた解析処理を、映像圧縮などで培ったノウハウを用いて高速化した。これにより、高いフレームレートで撮影された映像の高速解析を可能とし、構造物表面の多数点の微小振動の同時計測を実現した。さらに、亀裂、剥離、空洞など、内部劣化が生じている箇所の振動パターンの違いを発見・検出できる独自の振動相関解析アルゴリズムを開発した。これにより、目視で発見できない構造物内部の劣化状態を高精度に推定できるようになったとしている。これらの技術により、カメラ映像から物体内部の劣化状態を推定できるため、点検による設備の一時停止など事業機会損失の低減が望まれる工場・プラント内の大型設備や、道路橋などの構造物インフラに加え、他の分野への応用も期待しているという。今後、同技術の実証を進め2015年度中の実用化を目指すとコメントしている。
2014年12月10日生理学研究所(生理研)などの研究グループは12月9日、遺伝性てんかんのひとつである常染色体優性外側側頭葉てんかん(ADLTE)の原因がタンパク質の構造異常に基づくことを見出し、薬剤で異常タンパク質を修復することによりてんかんが軽減することを明らかにしたと発表した。同成果は同研究所の深田正紀 教授、同 深田優子 准教授、同 横井紀彦 特任教授、北海道大学医学部の渡辺雅彦 教授、蘭Erasmus大学のDies Meijer 教授、東京大学先端科学技術研究センターの浜窪隆雄 教授らの共同研究によるもの。12月9日付け(現地時間)の米科学誌「Nature Medicine」に掲載される。同研究グループは、遺伝性側頭葉てんかんの原因遺伝子LGI1に注目し、ヒトの側頭葉てんかん患者で見られる22種類のLGI1変異を体系的に解析し、「分泌型」と「分泌不全型」の2種類に分類した。その後、「分泌型変異」あるいは「分泌不全型変異」を有する変異マウスを作成し、LGI1の変異がどのようにしててんかんを引き起こすのかを調べた。その結果、分泌型変異マウスでは、LGI1は細胞外に分泌されるが、受容体との結合が阻害されることを見出した。一方、分泌不全型変異マウスでは、LGI1がタンパク質の構造異常のため細胞内で分解されてしまい、脳の中で正常に働くLGI1が減少してしまっていることがわかった。これらの結果により、いずれの場合も、LGI1が本来の作用点である受容体と結合することができないことが、同てんかんの分子病態であると考えられるという。さらに、同研究グループは、たんぱく質の構造を修復しうる低分子化合物が分泌不全型LGI1の構造異常を改善し、分泌を促進することを突き止め、てんかん感受性が改善することを発見した。今回の成果は、タンパク質の構造異常に基づくてんかん治療に広く応用されることが期待される。
2014年12月09日坂本ラヂヲは、シリコン素材とポリカーボネート素材の2重構造で耐衝撃性のを高めたiPhone 6向けケース「FL364」を12月1日より発売する。価格は2,980円。「FL364」は、耐衝撃性に優れるポリカーボネートとクッション性の高いシリコンが2重構造になったiPhone 6向けケース。ICカードの収納ポケットを搭載しており、付属する磁気シールドシートによって電波干渉を抑え、ICカードを収納したままでの利用が可能。また、ケース本体右側面下部にはストラップホールを備えている。カラーバリエーションは、Camo、Zebra、Giraffe、Tokyo White、Tokyo Blackの5色。
2014年11月30日岡山大学は、光合成による水分解反応を触媒する光化学系II複合体の構造を1.95Åの分解能で突き止めることに成功したと発表した。同成果は、岡山大学大学院自然科学研究科の沈建仁 教授(同大光合成研究センター長)、菅倫寛 助教、秋田総理 助教、理化学研究所 放射光科学総合研究センター利用システム開発研究部門ビームライン基盤研究部の山本雅貴 部長、同生命系放射光利用システム開発ユニットの吾郷日出夫 専任研究員らによるもの。詳細は11月26日(英国時間)に、英国の科学雑誌「Nature」に掲載された。藻類や植物が行う光合成の酸素発生反応は、葉緑体にある「光化学系II複合体」と呼ばれる19個のタンパク質から構成されるタンパク質複合体によって行われている。これまで研究グループは日本の温泉由来のラン藻の一種から取り出した光化学系II複合体の結晶を作成し、その構造をSPring-8の放射光X線を用いて1.9Åの分解能で解析を行い、その成果を報告していたが、X線結晶構造解析で使用するX線回折写真の撮影に必要な数秒間のX線照射の間に、水分解反応を担う触媒中心の一部がX線による放射線損傷を受け、本来の構造とわずかに異なっている可能性があったという。そこで今回の研究では、X線による放射線損傷の影響のない光化学系IIの本来の構造の解析を目指し、X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」を用いて実験が行われた。XFELは1パルスでX線回折写真を撮影でき、かつ、1パルスの継続時間が10フェムト秒と短いため、X線による放射線損傷で分子の構造変化が起こる前に、X線回折写真を撮影することが可能という特徴がある。具体的にはSACLAで開発した「フェムト秒X線結晶構造解析法」と世界最高品質の光化学系IIの結晶を作成する技術を組み合わせることで、光化学系II複合体の放射線損傷を受けていない本来の構造を、1.95Å分解能で解析することに成功。その結果、これまでSPring-8の放射光を用いて得られた構造よりも原子間の距離が0.1~0.3Å程度短くなっていることが判明したという。光化学系IIの触媒中心である「Mn4CaO5クラスター」は周りのアミノ酸が協調的に構造変化することで、周期的な5つの中間状態を経て高効率の水分解反応が行われるが、その動的メカニズムの詳細は不明となっている。研究グループでは、今回の成果について、光化学系IIの反応周期の第一状態について反応性を維持したままの本来のMn4CaO5クラスターと周辺の構造を明らかにしたものであり、太陽の可視光エネルギーを利用した水分解反応を人工的に実現するための触媒の構造基盤を提供することにつながるとしており、この反応を模倣した「人工光合成」が実現すれば、光エネルギーを高効率で電気エネルギーや化学エネルギーに変換することにつながり、エネルギー問題や環境問題、食糧問題など解決につながることが期待されるとコメントしている。
2014年11月27日岡山大学はこのほど、成体腎臓から取り出した幹細胞を用いて、試験管内での腎臓構造の再現に世界で初めて成功したと発表した。同成果は同大学病院腎臓・糖尿病・内分泌内科の喜多村真治 講師、槇野博史 病院長、杏林大学医学部薬理学教室の櫻井裕之 教授らの研究グループによるもので、11月24日(現地時間)に米・科学雑誌「STEM CELLS」に掲載された。同研究グループは大人のラットから採取した腎臓幹細胞を三次元培養することで、立体構造を持った腎臓構造体の作製に成功した。腎臓構造体は本物の腎臓の構造の最小構成単位であるネフロン構造を有しており、機能も一部確認された。成熟個体の細胞から腎臓構造体を作製できれば、創薬やオーダーメイド治療、動物愛護の観点から動物実験に変わる動物実験代替の臓器モデルになり得る可能性がある。また、幹細胞から腎臓構造再構築のメカニズムを詳細に検討することにより、腎不全の新たな治療や移植可能な臓器作製が期待されるという。
2014年11月26日大阪大学(阪大)は11月10日、有機半導体の表面では結晶内部と大きく異なる構造が実現していることを明らかにしたと発表した。同成果は、同大大学院 基礎工学研究科の若林裕助准教授らによるもの。東京大学の竹谷純一教授、堀田知佐准教授、理化学研究所の是常隆上級研究員らと共同で行われた。詳細は、「Nature Communications」に掲載された。有機半導体は安価、軽量なデバイス素材として、有機ELディスプレイなどで、すでに実用化されている。通常のシリコンの代わりに有機半導体を使ってトランジスタを作った場合、有機半導体の表面近傍数ナノメートルを電気が流れるが、このような表面付近の狭い領域で分子がどのように並んでいるかはほとんど知られていなかった。研究グループでは、高エネルギー加速器研究機構(KEK) 放射光科学研究施設 フォトンファクトリー(PF)の放射光を用い、ホログラフィの考え方を応用した特殊な解析法によって、表面付近の分子の並び方が結晶内部と大きく異なる例を発見した。さらに、この変化によって電気伝導性も表面と内部で差が出ることを理論計算によって確認したという。今回発見されたような自発的に生じる表面構造は、自己修復機能を持つ極薄膜が半導体表面に形成されることを示している。このため、利用する分子を選び、分子一層レベルで伝導性を制御することで、精密かつ安定な微細デバイス製造技術に繋がることが期待されるとコメントしている。
2014年11月13日フォーカルポイントは、ポリカーボネート製ケースとシリコンの多重構造を採用した耐衝撃性iPhone 6 Plusケース「OtterBox Defender for iPhone 6 Plus」を11月中旬より発売する。価格は税込み7,538円。「OtterBox Defender for iPhone 6 Plus」は、クリアウィンドウ付きのポリカーボネート製ケースと、各ポート部分をカバーするシリコンの多重構造を採用したiPhone 6 Plus向け保護ケース。インナーハードケースは、フロントとバックの2つのパーツで構成されており、端末を前後から挟むようにして取り付ける。スクリーン部分にはクリアプロテクターを採用し、傷や汚れを防ぎつつ、タッチ操作が行える。またホームボタン部分には特殊素材を埋め込み、ボタン部分を保護しつつ指紋認証機能「Touch ID」も使用できる。外側には、各ポート部分をカバーするアウターシリコンを装備。ポリカーボネートケースが装着された端末を衝撃から保護する。イヤフォンジャックや、サウンドボタンなどは開閉式のカバーになっており、内部への水滴や埃の侵入を防ぐ。パッケージには、ポリカーボネートを素材に使用した、ベルトクリップホルスターケースが付属。クリップ部分は360度回転するように設計されており、ベルトやバッグのストラップに好きな角度で取り付けできる。また、ベルトクリップホルスターケースはスタンドとしても使用することが可能となっている。「OtterBox Defender for iPhone 6 Plus」のサイズ/重量は、幅約90.2mm×高さ約172.5mm×厚さ約15.1mm/約169.2g。カラーバリエーションは、BLACK、GLACIER、OASIS、INK BLUEの4色。
2014年11月08日日立ハイテクノロジーズ(日立ハイテク)は10月20日、米OpGenと共同で、大規模なゲノム構造変化の発見・解析を支援するクラウドソリューション「Human Chromosome Explorer」のアーリーアクセスプログラム(EAP)を開始すると発表した。「Human Chromosome Explorer」は、日立ハイテクのCE(キャピラリー電気泳動式)DNAシーケンサ事業による豊富な経験や実績および日立グループのICT技術と、OpGenの全ゲノムマッピング技術を融合して開発したクラウドソリューション。大規模なゲノム構造変化の発見など、迅速で高精度なヒトゲノム構造解析を実現するという。今回のEAPでは、対象となる顧客に対し、全ゲノムマッピングデータやヒトゲノム構造解析ツールなどにアクセスできるポータルや、ヒトゲノムの完全な遺伝子評価結果が得られる解析モジュールを提供する。両社はEAPを経て、2015年に米国での本格的なサービス提供開始を目指しているという。次世代DNAシーケンサの普及によってゲノム構造解析の高速化が進む一方、完全なゲノム配列を解析するには多くの工程と時間がかかるとともに、ゲノム配列内での大規模な転位や欠失などといった構造変化を解析できないという課題がある。ゲノムの構造変化の多くは、がんや自閉症、アルツハイマー病などと関連しており、このような遺伝子情報は新たな治療法の開発を可能にし、将来的には患者それぞれの遺伝子情報を元にした疾病の診断や治療法決定の指針となることが期待される。
2014年10月20日SCREENホールディングスのグループ会社であるSCREENセミコンダクターソリューションズは10月6日、MEMSを中心とした立体構造を持つ電子デバイスなどに対応するレジスト塗布装置「80EX スプレーコータ」を発表した。近年、MEMSなどの省電力、高性能、超小型化に対応した電子デバイスは、スマートフォンやウェアラブル端末、医療関連機器などへの搭載が進んでおり、需要が拡大している。しかし、これらの製造には、より複雑で立体的な基板構造が必要となるため、レジストなどの塗布工程において、従来のスピンコート方式では立体の段差部で膜切れが発生することなどが課題となっていた。そこで今回、立体構造を持つ電子デバイスに対応した「80EX スプレーコータ」を開発した。同装置は、レジストや保護膜の塗布にスプレーコート方式を採用することで、従来方式では困難だった段差部への均一性の高い塗布を可能にした。また、塗布現像装置として実績のある「80EX」の高速搬送システムや複数処理ユニットの採用によって、高い生産性を実現するとともに、薄型ウェハや表裏両面への塗布に対応するなど、実用性の高い装置となっている。なお、すでに販売を開始している。
2014年10月07日大塚家具はこのほど、家具転倒防止器具「耐震アトラスネオ」、家具転倒・移動防止システム「グリップフロア」、「家具転倒防止機能を備えた隅木構造」での特許取得を発表した。○天井と家具を面で支え転倒を防止家具転倒防止器具「耐震アトラスネオ」は、天井と家具を「面」でしっかり支える設計の家具転倒防止器具。一般的に流通している同様の器具が振動実験を行っていない、若しくは震度6弱までの実験が多いのに対し、震度6強~7相当の実際の地震波を再現した振動実験で効果を実証した。居室の美観を損ねないシンプルなデザインで、2013年度のグッドデザイン賞を獲得。締め過ぎ防止機能搭載で簡単に取り付けられる。価格は1万5,120円~(税込み)。○家具の移動を抑えて転倒を防止倒れない家具家具転倒・移動防止システム「グリップフロア」は、家具転倒の大きな原因として、振動により家具が移動することに着目。家具底部(台輪)の空間に耐震吸着マットを取り付けたパネルをセットし、押し付けることで家具を床面に強力に吸着させ、家具の移動、転倒を防止する。取り付け・取り外しが簡単で、繰り返し何度でも設置が可能。家具や家屋を傷つけず、 器具が外から見えないため、家具のデザインに影響することもないという。震度7相当の実際の地震波を再現した振動実験で効果を実証した。価格は1万7,280円~(税込み)。同社オリジナルユニット収納「Shin」専用オプションとして販売中だが、今後は他商品への導入を予定している。○家具を底面に吸着させ転倒を防止「家具転倒防止機能を備えた隅木構造」は、家具底部(台輪)の補強部材として一般に設けられている「隅木」部分に耐震吸着マットを貼り付けることで、家具を床面に吸着させ、家具の転倒、移動を防止する仕組み。家具や家屋を傷つけず、また家具のデザインに影響することもないという。粘着するために必要な貼り付け面積を確保すると同時に、家具の移動等の際に、耐震吸着マットを剝がすことができる構造を発案し、現在小型家具向けに開発を行っているという。価格、発売時期は未定。
2014年08月11日米Applied Materials(AMAT)は7月7日(米国時間)、3Dチップ構造に対応したCVD(化学気相成長)装置「Applied Producer XP Precision」と、CMP(化学機械研磨)装置「Applied Reflexion LK Prime」を発表した。2つの装置は、プレシジョンマテリアルズエンジニアリング(精密材料技術)のノウハウを生かし、将来の3Dデバイス製造における課題を解決する。CMP装置の「Applied Reflexion LK Prime」は、ナノメートルレベルの精度が要求されるFinFETおよび3D NANDなどのアプリケーションで優れたウェハ研磨性能を発揮する。これらの新しいデバイス構造においては、最大10工程のCMP工程が追加される可能性があり、同装置はこれらの新工程における要求項目に対応するため、6つの研磨ステーションと、8つの洗浄ステーションを備えている他、先進的なプロセス制御機能を搭載する。また、精度の高いCMP処理により、オンウェハ性能とスループットを改善する。さらに、プロセスモジュールの増加により、多くのアプリケーションでウェハのスループットが倍増し、生産性も最大100%向上するという。CVD装置の「Applied Producer XP Precision」は、各層においてナノメートルレベルの膜厚制御を可能にし、ウェハ全面にわたって優れたCD均一性を実現している。この性能を支えているのは、独自のチャンバデザインと、温度、プラズマ、ガスフローなどの重要なパラメータを調整するユニークな機能である。こうした柔軟な技術により、高品質で欠陥率の低い異なる膜を交互に形成し、ウェハ内、ウェハ間、層間で抜群のストレス制御と成膜プロセス均一性を発揮してゲート性能を高め、デバイスのバラつきを抑えるとしている。
2014年07月09日今回のテーマは「機体構造の保全・構造管理・寿命管理」である。これも機体がらみの話なので、機体関連の話がいろいろ出てきたところで、あわせて取り上げておこうと思う。○飛行機の寿命は何で決まる?モノにはみんな、何かしらの「寿命」がある。では、その「寿命」はどうやって決まるのだろうか。たとえば、構造的にはまだまだ使えるものであっても、商品性がなくなったとか、陳腐化してユーザーがソッポを向くとかいう理由で、商品としての寿命が尽きてしまう場合がある。そこで鉄道車両でよく行われているように、(物理的な)寿命の中途で延命を兼ねたリニューアルを行い、商品性の維持を図るケースもある。ただ、飛行機の場合にはこうしたケースは多くないようだ。飛行機の場合、飛べなければ仕事にならないので、その「飛ぶ」ための機能を実現する主翼、あるいは人やモノを収容する胴体部分の構造強度が最大の問題になる。飛行に際してはさまざまな負荷がかかるし、機内を与圧していれば、飛行の際にかかる負荷に加えて機体内外の圧力差による負荷も発生する。そうした負荷が機体構造材を劣化させて、使用に耐えない状態になると「寿命」である。そして、「寿命」を示す具体的な指標としては、「累計飛行時間」が用いられることが多い。だから、激しい機動飛行を行う戦闘機は旅客機よりも寿命が短い。飛行に際して機体にかかる負荷が桁違いだからだ。戦闘機の寿命は一般的に、累計飛行時間4,000~8,000時間ぐらいとして設計するから、2時間のフライトを2,000~4,000回やれば終わりである。その旅客機でも、頻繁に離着陸する機体は機体内外の圧力差が変動する回数が増えるので、それだけ機体構造材が劣化しやすくなる。つまり、累計飛行時間が同じであったとしても、国内線で頻繁に離着陸を繰り返している機体と、国際線で少ない離着陸しかやっていない機体とでは、当然ながら前者の方が寿命が短い。ボーイング747が日本国内線専用のSRモデルを用意した所以だ。逆に、飛行に伴う構造負荷が少なく、かつ機内を与圧していない、たとえばヘリコプターや軽飛行機は長持ちするといってよいだろう。○しかし実際には……と、ここまでは理屈・建前の話である。実際のオペレーションでは、負荷のかかり方も、離着陸の回数も、個々の機体ごとに差が生じるのは避けられない。そして、機体構造に負荷がかかる原因がいろいろある以上、その原因ごとの比率の軽重によって機体構造の劣化状況に違いが生じることもまた、避けられない。にもかかわらず、機械的に「累計飛行時間がこれこれに達して設計上の上限を超過したので、用途廃止にします」というのは、いささか不経済な話だ。そこで、個々の機体ごとに運用状況や構造材の劣化・疲労状況を監視してデータをコンピュータで管理することで、ギリギリいっぱいまで使い倒そうという考え方が出てきた。その典型例が、軍用機の世界で広く用いられている「機体構造保全管理プログラム(ASIP : Aircraft Structural Integrity Program)」である。航空自衛隊のF-4EJファントムII戦闘機が未だに現役を続けていられるのは、ASIPによって細かく寿命管理を行っていることと、それを受けた整備補修サイドの努力のおかげだ。といっても、早いところ後継機のF-35Aが出揃って欲しいところだが……おっと、閑話休題。その辺の考え方をさらに推し進めると、機体構造材にかかる負荷データを常に収集し続ける、という考え方につながる。そこで登場するのが、HUMS(Health and Usage Monitoring System)だ。つまり、機体構造材の各所にセンサーを取り付けておいて、飛行の際にかかる負荷データを収集・記録する。そのデータを地上のコンピュータに取り込んで管理することで、より精確な構造管理・寿命管理を行えるという仕組みだ。近年では、このHUMSによる構造管理体制が整っていることをアピールして、売り物にしている機体も存在する。それぐらい、「一度買った機体は寿命いっぱいまで使い切りたい」というユーザー側のニーズがあるということなのだろう。○それでも駄目なら替えてしまえここから先は余談である。ASIPを使おうがHUMSを使おうが、機体を飛ばしていればいつかは寿命が来る。しかし、予算上の理由などでおいそれと代替ができなかったらどうするか。そこで登場するのが延命改修である。といっても、エンジンや電子機器なら外してすげ替えれば済むが、機体構造はどうするか。実は、老朽化した機体の機体構造材をすげ替えた事例は案外とたくさんある。具体例をいくつか挙げてみよう。B-52爆撃機 : 機体外板を張り替えF/A-18戦闘機 : 中央部胴体をまるごと新品に交換P-3C哨戒機 : 主翼や尾翼の構造材を新品に交換(一部は外板の張り替えのみ)AH-1W攻撃ヘリ : 胴体の前半部だけ新品に交換「そこまでして使うのか」と呆れられそうだが、何かの事情があって新品を買えなければ、こうするしかない。面白いところでは、空中接触事故を起こして損傷したF/A-18の前部胴体を、カナダで発生した中古同型機(こちらも事故機)の前部胴体と交換した「ニコイチ・ホーネット」の事例がフィンランドにあった(ちなみに現地では「フランケンホーネット」といった)。これで使える機体が1機増えて万々歳……と思ったら、完成からほどなくして墜落事故を起こして、今度は本当に喪失してしまうという悲しいオチがついた。○執筆者紹介井上孝司IT分野から鉄道・航空といった各種交通機関や軍事分野に進出して著述活動を展開中のテクニカルライター。マイクロソフト株式会社を経て1999年春に独立。「戦うコンピュータ2011」(潮書房光人社)のように情報通信技術を切口にする展開に加えて、さまざまな分野の記事を手掛ける。マイナビニュースに加えて「軍事研究」「丸」「Jwings」「エアワールド」「新幹線EX」などに寄稿しているほか、最新刊「現代ミリタリー・ロジスティクス入門」(潮書房光人社)がある。
2014年06月30日東北大学は5月27日、カーボンナノチューブにフラーレンが取り込まれた分子ピーポッドの固体状態の詳細な構造を解明したと発表した。同成果は、同大・JST ERATO磯部縮退π集積プロジェクトの磯部寛之教授らによるもの。詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)」のオンライン版に掲載される。筒状の分子内に球状の分子が、あたかも"さやえんどう"のような形で入った炭素性物質ピーポッドは、1998年に初めて発見されて以来、その独特の分子形状や特異な物性に興味をもたれて研究されてきたが、原子の配列まで含めた精密な分子構造はいまだ解明されていなかった。研究グループでは、ごく最近、単純な構造をもつ分子ピーポッドを開発し、分子運動が活発な溶液状態で、中に取り込まれたフラーレンが、抜け出ることができないほど強固に捕捉されていること、またチューブ内部で回転していることを見出していた。さらに、今回の研究では、通常の分子ならば動きを止めてしまう固体状態であっても、分子ピーポッドの内部にあるフラーレンが"くるくる"と回転していること、分子構造を精密に解明できる高輝度X線回折による分析から、カーボンナノチューブ分子の筒の内部には極めて"つるつる(平滑)"な曲面が存在することを明らかにした。また、内部が"つるつる"であることが、内部のフラーレンが"くるくる”と回転するための重要な構造要素であることが分かった。今回の発見が、固体中でも滑らかに回転するナノサイズの機械(分子機械)の自在設計を可能とするために重要な基盤となる知見であるとコメントしている。
2014年05月28日京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は、iPS細胞の初期化の過程として、ヒトの体細胞は、中胚葉や内胚葉の細胞のもととなる「原条」と呼ばれる構造の細胞に似た状態を経て初期化されることを明らかにしたと発表した。成果は、CiRAの高橋和利講師、同・山中伸弥教授、スタンフォード大学の田邊剛士研究員(元CiRA)らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間4月24日付けで英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。ほ乳類の発生過程で現れる溝の様な構造。マウスの場合、発生開始から6~7日目に見られ、この部分で細胞の形態が変化し、中胚葉や内胚葉の細胞のもとになる。山中因子ともいわれる、初期化因子因子「OSKM」こと「OCT3/4」、「SOX2」、「KLF4」、「c-MYC」を含む転写因子を発現させると、分化した体細胞が多能性を獲得するが、その効率は決して高くない。この効率の悪さの要因として、OSKMの添加に加えて、「初期化の障壁を取り除く」あるいは「未だに知られていない2次的なイベントが必要である」と考えられてきた。それらを明らかにすることで初期化効率の改善が期待されるわけだが、集団の中で大部分を占める初期化されそこなった細胞が各種解析結果において大きなノイズとなり、初期化の分子機構を研究する上で障壁となっていた。そのため、iPS細胞へと初期化される過程にある細胞の中で起きているイベントを捕まえることはとても難しいのが現状だったのである。昨年、高橋講師らは細胞表面の抗原(タンパク質)である「TRA-1-60」を指標に初期化途中の細胞を集めるという手法を開発。ヒトの細胞の内、OSKM誘導によって生じたTRA-1-60陽性細胞がiPS細胞へと初期化される途中段階の細胞であることを示すことに成功した。また、TRA-1-60陽性細胞の動態解析から、初期化の開始段階ではなく、その後の成熟過程がボトルネックとなって初期化の効率を決めていることも明らかにしている。しかし、実は初期化途中の細胞の特徴についてはまだほとんどわかっていないという。そこで今回の研究では、真正なiPS細胞の候補である途中段階の細胞としてTRA-1-60陽性細胞を集め、遺伝子発現についての解析を実施したのである。「ヒト線維芽細胞(HDF)」にOSKMを作用させてからさまざまな日数において、iPS細胞へと初期化される途中の段階であるTRA-1-60陽性の細胞(d3~d49)が回収され、それらの遺伝子発現が調べられた。比較として、もとのHDF細胞に加え、初期化が終わったiPS細胞(iPSC)やES細胞(ESC)、さらにiPS/ES細胞から少し分化させた細胞の「内胚葉(EN)」、「中胚葉(ME)」、「神経外胚葉(NE)」、「原条様中内胚葉(PSMN)」についての解析が行われた。すると、初期化途中の段階の細胞、特に20~49日目の細胞はPSMNにとても似ていることが明らかになった。また、初期化の途中にあるTRA-1-60陽性細胞ではPSMNに特徴的なマーカー遺伝子の「BRACHYURY(T)」、「MIXL1」、「CER1」、「LHX1」、「EOMES」などが一過的に活性化していることが確認されたとする。一方でほかの系統の細胞に特徴的なマーカー遺伝子は一時的に活性化することはなかったという。これらの結果から、TRA-1-60陽性細胞が初期化の後半でPSMNと似た遺伝子発現をしていることがわかったというわけだ(画像)。以上の結果から、iPS細胞へと初期化される際には、原条の様な状態を経ていると考えられるという。逆に原条の状態を誘導すると、初期化の効率が高くなることが予想されるとする。そこで原条に関連する転写因子をいくつかOSKMと同時に誘導したところ、FOXH1を利用した場合にできるiPS細胞のコロニー数が飛躍的に増加することが確認された。また、FOXH1の機能を「RNA干渉法」により抑制すると、iPS細胞のコロニー数も対応して減少。これらの結果からFOXH1が初期化を促進することがわかったのである。今回の成果により、TRA-1-60を目印として初期化の途中にある細胞を捕まえる戦略により、初期化途中の細胞がPSMNと似た状態を経ることが明らかにされた。このPSMNに似た状態が次第に変化して、iPS細胞へとさらに初期化されるというわけだ。初期化過程の研究を進めることで、iPS細胞のより強固な樹立を可能にすることができると考えられるとしている。
2014年04月25日武蔵野銀行は27日、埼玉県・特定行政庁11市(※1)が進めている、耐震化支援策(※2)に対応するため、むさしの「耐震対策支援融資」の取扱いを開始した。同商品では、埼玉県・特定行政庁11市の「建築物耐震化補助事業(戸建住宅を除く)」の助成対象となる、本社ビルや工場、アパート・マンションなどを持っている法人・個人の顧客を対象に、建築物の耐震診断や耐震改修を行うための資金を、通常よりも低減した金利にて利用することができる。今後も同行は、埼玉県との連携を強化し、大規模地震に強いまちづくりを積極的に支援していくとしている。事業用不動産を持っている法人・個人事業主の顧客の対象商品融資対象者は埼玉県または特定行政庁11市より耐震改修にかかる補助金交付決定通知(補助金の交付決定が分かる書面)を受領している法人・個人事業主の人使いみちは自社所有建物の耐震診断・耐震改修工事を行うために必要な設備資金融資金額は1百万円以上(1百万円単位)で、融資期間は1年超20年以内(据置期間は最長1年以内)賃貸用不動産を持っている個人の顧客の対象商品融資対象者は融資年齢満20歳以上で、原則、同行指定の保証会社の保証が受けられること、そして埼玉県または特定行政庁11市より耐震改修にかかる補助金交付決定通知(補助金の交付決定が分かる書面)を受領していること使いみちは自社所有建物の耐震診断・耐震改修工事を行うために必要な設備資金融資金額は1百万円以上300百万円以下(10万円単位)で、融資期間は30年以内(据置期間は最長1年以内)【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月29日カタログハウスは、「震度7のあらゆる揺れにも耐えられる商品」をテーマに、独自の耐震テストを現在販売中の大型家具に実施。このほどその結果を発表した。この耐震テストは、今年、文部科学省の研究チームの調査により、東京湾北部を震源とする首都直下型地震の震度予測が6から7に引き上げられたのを受けて実施したもの。テストは、商品の耐震度を徹底検証するため、考えられる限りの厳しい条件を設定。大型家具は、揺れから家具を守るために部屋の隅に置くことがよいとされているが、より厳しくリアリティーのある検証となるように、家具を隅には設置しなかった。家具と壁との接触面を最低限にするために、家具の背面のみを壁につけるだけにとどめた。また、揺れの再現は、日本国土開発株式会社が開発した三次元振動台が行った。揺れのタイプは、直下型地震としては近年最も激しく、東日本大震災よりもさらに建物への被害を及ぼしやすい揺れを含んだ新潟県中越地震の地震波「小千谷波形」を再現した。家具の揺れを軽減させる設置方もあえて避け、家具そのものの耐震性を実験した。その結果、全7点中4点が、震度7の揺れにも耐え、残り3点に関しても、震度6弱の振動に耐えられることがわかった。実験結果は、『週刊通販生活』で見ることができる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月09日橋梁を構成する部材の一つに「支承」があります。橋梁は、温度変化の影響による主桁や主構(上部構造)の伸縮を吸収したり、耐震性を向上するために、上部構造と橋台及び橋脚(下部構造)を、変形を吸収する部材を介して支持するのが一般的です。この部材を支承と呼び、回転や伸縮のような上部構造の変形を吸収して、荷重を下部構造に伝達する役割を果たしています。また、「ジョイント(伸縮装置)」は、橋梁の端部に設置する伸縮を考慮した隙間です。これも橋の温度変化による伸縮を調整するための部材で、車両のスムーズな走行を促します。地震発生時には、高速道路の路面だけではなく、このような支承やジョイント部分が壊れることがあります。支承が破壊した場合、代替えとして上部構造と下部構造の間に仮受架台を設置します。支承が壊れていると、大きな余震が発生した際に橋梁のずれを制限することができず、大きな段差のような有害な変形が生じてしまう場合があります。このため、仮受架台を設置して対処します。ジョイント部が壊れた場合には、その部分に舗装合材を入れて平坦性を確保します。仮受架台、ジョイントの復旧が完了すると、緊急車両や一般車両の通行が可能となります。壊れた支承やジョイントは、補修工事または取替工事を行います。地震動によらずとも、支承は常時においては全ての死荷重を支えながら、活荷重や温度変化による移動・回転を繰り返すという非常に過酷な部材である上に、地震時においては、地面の揺れは、ほぼ支承を介して上部に伝えられるため、橋梁の部材の中でも最も衝撃を受ける部分となっています。よって地震の影響を大きく受けるため、損傷例が非常に多い箇所です。地震による衝撃を吸収しながら上部に伝えるのも支承の機能であるため、地震による上部構造の損傷のほとんどが支承で生じていると考えられています。ジョイント部もまた、橋の伸縮を調整するという役割に見られるように、路面の変化の影響を大きく受けることから、損傷が多い箇所です。橋梁においては、路面と、それを支える支承及びジョイントが揃って復旧して、やっと本復旧といえます。橋梁の保全技術の向上を目指し、様々な工法や素材の開発が進められています。NEXCO中日本が橋梁5協議会と『大規模災害時における応急復旧に関する協定』を締結するなど、今後も橋梁の維持・補修は、ますます必要かつ重要となっていくでしょう。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月09日あなたが今住んでいる住居は、大きな地震が起きても倒壊の恐れはないでしょうか?2011年の東日本大震災以降、建物の「耐震性」に関して重視する方が多くなりました。そこで、「マイナビ賃貸」では、住宅建築や購入のアドバイザー、アネシスプランニング株式会社代表取締役の寺岡孝さんに、震災に強い住宅選びについて教えていただきました。■「耐震等級」って何?まずは、物件の耐震構造についてですが、確認するポイントは「耐震等級」で、この数値は地震に対する“建物の強さ”を表しています。「『耐震等級』とは、『住宅性能表示制度』の項目の一つで、『住宅性能表示制度』とは、天災や火災に対する物件の耐久力などを、国が定めた客観的な数値で図る制度のことで、中でも3段階にランク付けされている『耐震等級』は、等級1の住宅は数百年に一度発生する地震(東京では震度6強~7程度)に、等級3だと等級1の1.5倍の地震に耐えられることを示します。つまり、この数値が高ければ高いほど、震度6強~7程度の地震に対する住宅の強度が増すので、お部屋選びの際には、できれば等級3、少なくとも等級1の物件がいいのは間違いありません」(寺岡さん)■「制震」と「免震」、何が違う?次にチェックしたいのが“建物の構造”についてです。その物件が災害に強いつくりになっているかどうか、「骨格の仕組み」を読み取ります。建物の災害への対策構造は、大きく分けて「耐震」、「制震」、「免震」の三つが挙げられます。耐震……基本的な骨組みを強化して、建物が地震の力に耐えられるようにする構造方法。大多数の建築物はこの構造でつくられており、標準的な構造だと言えます。制震……耐震構造でつくられた、強い骨組みの内部に、外からの揺れの力を弱める装置を組み込む構造方法。地震エネルギーを吸収するつくりになっています。免震……建物の根っこの部分に、クッションのような装置を組み込む構造方法。骨組みを強くする耐震・制震と比べ、特殊な装置で揺れを受け流すため、ほとんど建物に揺れが伝わりません。■まずは不動産会社に確認してみよう!「『耐震等級が高く、かつ免震構造』という好条件の物件は、探すだけでも一苦労で、それは、ほとんどの賃貸物件で耐震等級の表示がないからです。また、免震構造は、耐震構造に比べ建設コストがかかりますので、地盤の弱い場所では採用されない場合もあり、なかなか普及に至っていませんね」(寺岡さん)それでは、地震に強い住まいはどうやって探せばよいのでしょう?賢い選び方はありますか?「まずは不動産会社に、住宅性能評価を受けた物件かどうか直接聞くことでしょう。また、1981年以降の建築基準法による新耐震設計に該当するかどうかも確認しておくべきです。つまり、同年に東北を襲った宮城県沖地震以降に定められた『新耐震設計基準』でつくられた建物ならある程度の安全が担保されている、ということです」(寺岡さん)物件を探すときは、インターネットで築年数や種別・構造などをあらかじめ確認しておくことがおすすめです。そこで、コレ!という物件を見つけたら、実際に内見をおこない、直接、不動産業会社に住宅性能評価など、耐震について積極的に聞いてみましょう。きっと、今以上に納得のいく住まい選びができるはずです。取材協力:アネシスプランニング株式会社代表取締役の寺岡孝さん(文・エフスタイル)【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月05日あなたが今住んでいる住居は、大きな地震が起きても倒壊の恐れはないでしょうか?2011年の東日本大震災以降、建物の「耐震性」に関して重視する方が多くなりました。そこで、「マイナビ賃貸」では、住宅建築や購入のアドバイザー、アネシスプランニング株式会社代表取締役の寺岡孝さんに、震災に強い住宅選びについて教えていただきました。■「耐震等級」って何?まずは、物件の耐震構造についてですが、確認するポイントは「耐震等級」で、この数値は地震に対する“建物の強さ”を表しています。「『耐震等級』とは、『住宅性能表示制度』の項目の一つで、『住宅性能表示制度』とは、天災や火災に対する物件の耐久力などを、国が定めた客観的な数値で図る制度のことで、中でも3段階にランク付けされている『耐震等級』は、等級1の住宅は数百年に一度発生する地震(東京では震度6強~7程度)に、等級3だと等級1の1.5倍の地震に耐えられることを示します。つまり、この数値が高ければ高いほど、震度6強~7程度の地震に対する住宅の強度が増すので、お部屋選びの際には、できれば等級3、少なくとも等級1の物件がいいのは間違いありません」(寺岡さん)■「制震」と「免震」、何が違う?次にチェックしたいのが“建物の構造”についてです。その物件が災害に強いつくりになっているかどうか、「骨格の仕組み」を読み取ります。建物の災害への対策構造は、大きく分けて「耐震」、「制震」、「免震」の三つが挙げられます。耐震……基本的な骨組みを強化して、建物が地震の力に耐えられるようにする構造方法。大多数の建築物はこの構造でつくられており、標準的な構造だと言えます。制震……耐震構造でつくられた、強い骨組みの内部に、外からの揺れの力を弱める装置を組み込む構造方法。地震エネルギーを吸収するつくりになっています。免震……建物の根っこの部分に、クッションのような装置を組み込む構造方法。骨組みを強くする耐震・制震と比べ、特殊な装置で揺れを受け流すため、ほとんど建物に揺れが伝わりません。■まずは不動産会社に確認してみよう!「『耐震等級が高く、かつ免震構造』という好条件の物件は、探すだけでも一苦労で、それは、ほとんどの賃貸物件で耐震等級の表示がないからです。また、免震構造は、耐震構造に比べ建設コストがかかりますので、地盤の弱い場所では採用されない場合もあり、なかなか普及に至っていませんね」(寺岡さん)それでは、地震に強い住まいはどうやって探せばよいのでしょう?賢い選び方はありますか?「まずは不動産会社に、住宅性能評価を受けた物件かどうか直接聞くことでしょう。また、1981年以降の建築基準法による新耐震設計に該当するかどうかも確認しておくべきです。つまり、同年に東北を襲った宮城県沖地震以降に定められた『新耐震設計基準』でつくられた建物ならある程度の安全が担保されている、ということです」(寺岡さん)物件を探すときは、インターネットで築年数や種別・構造などをあらかじめ確認しておくことがおすすめです。そこで、コレ!という物件を見つけたら、実際に内見をおこない、直接、不動産業会社に住宅性能評価など、耐震について積極的に聞いてみましょう。きっと、今以上に納得のいく住まい選びができるはずです。取材協力:アネシスプランニング株式会社代表取締役の寺岡孝さん(文・エフスタイル)
2012年10月05日テーラーメイドゴルフが展開する「アディダスゴルフ」はこのほど、”ベアフット(裸足)”シューズ理論に着目して開発された軽量構造フットウェア「crossflex(クロスフレックス)」を発売した。「crossflex」では、足首、足、指の可動域を高めることで正しい歩行運動を促し、より高度な筋肉の動きと関節の安定化を導き出す”ベアフット”シューズ理論に着目。継続して着用することでバランス感覚と安定感を養い、より自然な動作、グリップ力、柔軟性を導き出すゴルフシューズだ。ソール本体には高弾力で柔軟性に富んだEVA樹脂を採用し、高いクッション性と屈曲性を両立。アウトソールには六角形ポッドのアダプタブル・トラクションを搭載。あらゆる地面状況にも適応し、足もとを安定させ、高いグリップ力とクッション性を提供する。アッパー部には、反吸水性メッシュ製アッパー「CLIMAPROOF」を採用し、通気性と防水性を両立。ランニングをベースに開発されたパフォーマンス系ラスト、”スーパーノヴァ”がフィット感とともに前足部の自由度を高める。カラーは3色、サイズは24.5~28cmで展開、価格はオープンプライス。さらに、”ベアフット”コンセプトを踏襲した「puremotion(ピュアモーション)」モデルも同時に販売を開始する。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月10日JR東海は28日、東海道新幹線車両の定期検査・修繕を行う車両基地(車両所)4カ所の耐震化を行うことを発表した。工事費は約43億円を予定している。東海道新幹線の地震対策については、東京の総合指令所の機能が損なわれた場合に備えての第2総合指令所の新設、土木構造物の耐震補強、脱線・逸脱防止対策、地震防災システムの機能強化などに取り組んできた。さらに車両の全般検査を行う浜松工場をはじめ、電力・信号・通信といった重要な電気関係機器を収容する施設も耐震化を進めることに。今回の発表によれば、耐震化を行うのは大井車両基地(東京都品川区)、三島車両所(静岡県三島市)、名古屋車両所(名古屋市中村区)、鳥飼車両基地(大阪府摂津市)の4カ所。各施設の検修庫については、「ブレース補強」「方杖補強」などの工法で耐震補強を行う。工期は今年7月から2015年6月までの予定。信号扱所が入っている建物も耐震化が図られることになり、三島車両所の事務所は建て替えられ、名古屋車両所の事務所も耐震補強を実施する。工期は今年7月から2015年12月まで。三島車両所の電源室と鳥飼車両基地の通信機器室も耐震補強を行い、工期は今年7月から2013年9月までの予定となっている。これらの工事により、東海道新幹線の駅や列車運行に関わる建物はすべて耐震化されるとのこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月29日デサントは3月末より、シーソーのような構造を用いた特殊なソール「モーションクラッチ」で体重移動をスムーズにし、前に進みやすいランニングシューズ「MEF / Mechanical Energy Flow(メカニカル・エナジー・フロー)」を販売開始する。「MEF / Mechanical Energy Flow」は「力学的エネルギー流動」の意。力学的エネルギー流動とは、運動エネルギーの流れを止めることなく、スムーズで効率のよい身体の動きを促進する力学を応用した理論。これに基づき、選手としてもコーチとしてもオリンピック参加経験があり、現在はランニングやウォーキングの指導者として活躍する園原健弘氏の監修の下、同シューズが開発された。エントリー層から中級層のランナーのトレーニング用に最適なシューズとなっている。同シューズはアッパーデザインの異なる全3型で、スポーツ専門店などにて順次販売を開始する。価格は3型それぞれ1万2,390円、1万1,340円、1万1,025円。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月29日マンションを探すとき、また、自分が住むマンションが地震に強いのかどうかは、どこを見ればわかるのでしょうか。不動産の広告では、「耐震構造」、「免震構造」、「制震構造」などということばをよく目にしますが、これらはいったいどう違うのでしょうか。そこで、構造設計一級建築士の笘谷修作(とまたに・しゅうさく)氏に、「耐震構造」・「免震構造」の違いや、地震に強いマンションの見分け方をおたずねしました。■外観、内観を見て分かるポイントとは――地震に強いマンションかどうか、外観、内観から分かるポイントはありますか。笘谷氏マンションの造りは、大きくは、A.鉄筋コンクリート造など(鉄筋の場合はRC造、鉄骨鉄筋の場合はSRC造と言う)、B.鉄骨造(S造) の二つがあります。建設費が高くてグレードの高いマンションはAとなります。分譲マンションは、ほぼAです。賃貸マンションではAとBがあります。また、階数によって、5階程度までの「低層系」、6~15階程度の「中高層系」、それ以上の「超高層系」の三つに分かれます。さらに、Aの低層系では柱・梁のある構造と、柱・梁のない「壁式構造」に分かれます。――地震への対応は、それぞれどのようになるのでしょうか?笘谷氏4つのポイントがあります。ポイント1 B.鉄骨造は、A.鉄筋コンクリート造に比べて地震時の揺れは大きくなります。ただし、一般の人がAかBかを見分けるのは難しいと思います。ポイント2 A.鉄筋コンクリート造などの場合は壁式構造であるか否かを確認してください。この構造は地震に強く、過去の震度6クラスの地震であまり被害を受けておりません。一応安心してよいかと思います。ポイント3 A.鉄筋コンクリート造の場合で壁式構造でない建物については、外観での判断は難しいのですが、一つの目安として、「柱の太さ」があります。太い方が地震に強いと言えます。また、1階の短辺方向(縦、横の長さで短いほう)に壁のない構造で、旧耐震設計基準(1981年6月以前の建築法。後述)の場合は注意をする必要があると思われます。ポイント4 低層系の場合は、壁の多い建物は安心感があります。つまり、地震の揺れに一番強いのは、「A.鉄筋コンクリート造など」でかつ「低層系」かつ柱・梁のない「壁式構造」です。Bは低層から高層まで幅が広いですが、一般的に建物の揺れはAより大きくなります。――部屋のなかで、構造的に地震に強い場所はありますか。笘谷氏A.鉄筋コンクリート造の場合は、隣り合った住戸の境目にある壁が耐力壁(15cm程度のコンクリート製の壁)となっており、地震時にこの壁がくずれて床が落下するようなことはまず考えられません。したがって、隣の住戸を仕切っている壁付近は安全な空間となりますので、家具、電気製品などの衝撃を受けないような対策をしておいて、壁のそばにいるのが良いと思います。――地震が起こったときに気をつけるべき場所はありますか。笘谷氏1階が柱のみの構造(1981年6月以前の設計で1階に壁がない場合)では、1階への避難は気をつけてください。また、エレベータホールが建物本体の外にある場合や、外部階段は揺れが収まるまで近づかない方がよいでしょう。■耐震構造の種類をチェック――「耐震構造」、「免震構造」、「制震構造」の特徴を教えてください。笘谷氏耐震構造とは、文字通り、地震に耐える構造ということです。そのなかで免震装置、制震装置のついていない建物を、総称として「耐震構造」と呼んでいます。国内にあるほとんどの建物が「耐震構造」となります。「免震構造」とは、地震のときに建物にかかる水平方向の力を低減し、地震のエネルギーを「免震層」という1階床下に組み込んだ積層ゴムなどの装置に集中させる造りです。地震時の揺れを1階床下で吸収するため、揺れは小さくなり、家具の倒壊や建物が被害を受けることはほとんどありません。ただし、免震装置が高額なため、建設費が高くなります。強い地震を受けた後は免震装置の修理、メンテナンスに別途の費用がかかるなど、分譲マンションの場合は修繕積立金が高くなることがあります。「制震構造」は、建物にかかる水平方向の耐震強度は「耐震構造」と変わりませんが、地震による建物の変形を小さくするための装置を取り付けています。この構造は主に超高層建物に取り付ける場合が多く、一般の中高層マンションでは見られません。制震装置を取り付ける必要性が少ないからです。高層階の揺れをある程度抑えるため、家具の倒壊や建物が被害を受けることが少なくなりますが、建設費はやや高くなります。――高層階になるほど揺れが大きくなるのはなぜでしょうか。笘谷氏各階の床が揺れで移動する量は、地盤の水平移動量にその階の移動量を加算した値になります。つまり、下の揺れがどんどん上に伝導していくイメージです。例として、地盤が30cm移動し、各階が3cm移動した場合、10階建てでは1階が30cm、10階では57cmとなります。階が上に行くほど床の移動量が大きくなるため、当然、揺れは大きく感じられます。――「高層マンションやビルは揺れたほうがいい」といいますが、本当でしょうか。笘谷氏 建物は揺れないに越したことはありません。免震構造が良いと考えるのは、揺れが小さいからです。現在のマンション設計の主流はある程度の揺れを考慮していますが、これは揺れた方が良いのではなく、揺れても壊れないように建物に粘りを持たせた設計法だからです。――高層階より、低層階のほうが安全なのでしょうか。笘谷氏必ずしも、低層階のほうが安全とはいえません。地震時に建物に加わる水平力は建物の重さに比例します。低層階の方が重いので、より大きな力が加わります。そのため、地震による建物被害は一般的には低層階の方が多くなります。高層階では揺れは大きいのですが、構造体の被害は少なくなります。■法律の制定年を知って、築年数で確認――築年数で地震対策について判断することはできますか。笘谷氏1981年6月に建築基準法が改正され、「震度6~7の地震でも建物が倒壊しない耐震性能を求める」という「新耐震基準」が施行されました。よって、同年同月以降に設計されたかどうかが一つの判断材料です。また、阪神・淡路大震災の地震被害を受けて1995年12月に「耐震改修促進法」が制定されました。この法律は1981年6月以前に設計が完了した建物に対して、耐震診断、耐震補強計画を促進するために作られました。現在全国の公共施設などではこの法律に基づいて耐震診断、耐震補強計画を進めています。次に、2000年6月に建築基準法が改正され、さらに、2007年に起こった「耐震強度偽装事件(いわゆる姉葉事件)」を受けて、2008年末には「新建築士法」が施行されました。新しい国家資格である「構造設計一級建築士制度」が創設され、「一定規模以上の建築物の構造設計について、構造設計一級建築士が自ら設計を行うか、構造設計一級建築士に構造関係規定への適合性の確認を受けることが義務付けられる」ことになりました。つまり、2009年以降に設計されたマンションはひとまずは安心だといえます。阪神大震災の例でわかることは、震度6強、震度7クラスの地震が起きたときに命を守ることです。このような非常に強い地震に対して命を守るためには、建物の崩壊(柱がつぶれて生存空間が失われる)、倒壊(倒れてしまう)を起こさないマンションを選ぶことです。壁式構造の建物は建設年度にかかわらず、1981年以前のものを含めて大丈夫だと思います。壁式構造でないマンションは1981年以後の設計が良いと思います。マンションの「見た目」、「構造」、「耐震構造の種類」、「築年数」をチェックすることで、その物件の「地震に耐える力」を知ることができると分かりました。どの確認方法も、誰もが少し意識をすれば簡単にできることばかり。マンションを買う、借りるときの重要なポイントです。監修: 笘谷修作氏。一級建築士、構造設計一級建築士、有限会社トマタニ構造設計(千葉市稲毛区)・代表取締役。(阪河朝美/ユンブル)【関連リンク】【コラム】女子の一人暮らしは危険だらけ!マンションでチカンが潜む場所は【コラム】マンションと一戸建て色々な要素で比較してみた【コラム】知られざるタワーマンション生活!高層階住民の声を集めてみた
2011年04月13日