日々、ポジティブな考え方で生きていければ幸せだけれど、人生にネガティブな出来事はつきもの。そんなときにポジティブ脳にスイッチする方法を、脳科学者の茂木健一郎さんに聞きました。■スイッチ1「最近、何が好き?」を口癖に。人に“聞く”行為は自分へのプレゼントストレスが溜まると誰かに愚痴を言いたくなるけれど、そこで、あえて聞き役に回ってみよう。「ネガティブな考えに支配されていると、視野はどんどん狭くなってしまいます。反対に、人の話を聞く時、私たちの心は開き、脳にも余裕が生まれます。相手の好きなこと、楽しいことを聞いているだけでも発想の転換になるし、今まで気づかなかったポジティブな視点をもらえることもあるでしょう。つまり“聞く”という行為は、視野を広げるチャンスを自分にプレゼントするようなものなのです」■スイッチ2何かが欠けててもいいんです。人と“幸せ条件”を比べない!ポジティブ脳の妨げになるのが、幸せには正解があると思ってしまうこと。「幸せは一人一人違うのに、自分に欠けているものがあり、それが満たされないと幸せになれない、と考える人は、いつまでも幸せを実感できません。結婚、子供など、欠けていると思えるものは、人と“幸せ条件”を比較しているだけ。幸せはもっと多面的で、正解なんてありません。あなたにとっての幸せは何か。世間一般の基準や物差しでは測れない、オンリーワンの幸せを見つけられれば、ポジティブ脳が開花します」■スイッチ3“脳内コスプレ”を楽しんで、いろんなキャラになってみる!ストレス知らずの茂木さんが実践しているのが“脳内コスプレ”。「自分のありのままでいることがラクで幸せな生き方なのですが、社会ではそうも言っていられない。相手や環境によって、違う自分を演じなければいけないこともあります。そこで役立つのが“脳内コスプレ”。その場その場で自分を切り替え、役者のように違うキャラを演じている、と考えること。無理して適応せず、自分自身はちゃんとキープした上で、『キャラを演じているんだ』と客観視する視点が生まれればラクになります」■スイッチ4ストレスでモヤモヤしたら、“90度の方向”へキュー出しを!誰しも、現状を受け入れられなかったり、感情をコントロールできない時はある。「感情を押さえ込もうとすると逆襲されます。脳を切り替えるならとにかく動くこと。何かをしていれば硬くなった脳はほぐれて、自然とバランスがとれていきます。そのためには現状と90度違うことをしてみる。例えばPCでの仕事に行き詰まった時、楽しいサイトを見てやり過ごすのは180度の転換。これでは負の行為の延長線上で、脳は切り替わりません。席を立つなど、全く別の行動をとってみるのが大事です」■スイッチ5相手の反応を見ながら、“心のお化粧”をしていこう!ありのままの自分を受け入れて、自分の長所を強みとして発揮できるのが、幸せな生き方。「でも、自分の長所は案外本人が一番気づいていないもの。そこは盲点なので、他人という鏡が必要なんです。人と関わって褒められたこと、相手が楽しそうにしていたことなど、反応を見ながら自分の魅力を察していく力を養っていきましょう。人間の色覚が、哺乳類の中でも特に発達しているのは、相手の顔色を窺うためだという説も。他人が発する良い反応を意識できれば“心のお化粧”ができますよ」◇茂木健一郎脳科学者。脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論などにも取り組む。近著に『もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」のつかい方』(学研プラス)。※『anan』2016年7月20日号より。写真・土佐麻理子文・板倉ミキコ
2016年07月15日幸せな人は、総じてポジティブである。人は生きる上で、嫌なことやつらいこと、悩むこともたくさんあるけれど、ポジティブ脳があれば乗り越えていける。脳科学者の茂木先生に、ポジティブ脳の育て方、切り替え方を学びましょう!「くよくよしないでポジティブに考えてみよう」と自分を鼓舞したり、「やる気を出せば次は頑張れるはず」と自己暗示をかけるのは、実はニセモノのポジティブだと脳科学者の茂木健一郎さん。「いわゆる“前向きな考え方”はただの我慢。脳のエネルギーを消費するだけで、行動するためのエネルギーを消耗させてしまいます。確かに、悩みや不安に直面すれば『ポジティブにならねば』と自分を奮い立たせようとするかもしれませんが、それでは一時的にモヤモヤを回避しただけ。ネガティブな感情を引き起こしている根本的な原因に向き合っていないので、ストレスは解消されません」私たちがニセモノのポジティブに陥る背景には、ネガティブな感情を悪いものと捉え、徹底的に排除しようとする思考グセがある。「無力感や自己嫌悪とか、ネガティブな感情にとらわれている自分は弱い、ダメだと烙印を押して、まるで石鹸で手を洗うかのように、心の汚れを洗い落とそうとしてしまう。こうしたネガティブ無菌志向は問題です。体と同様に、脳や心にも、善玉菌だけでなく悪玉菌のような存在が必要。ポジティブ一辺倒でなく、ネガティブな思考があることで、脳と心の免疫力がアップするものなんです」そもそも、創造的なコミュニケーションを目指し、アメリカを中心に発展してきたポジティブ心理学では、ポジティブとネガティブの心理は、切り離して考えられないものだとするのが大前提。「ネガティブな感情をきちんと受け入れた人ほど、ポジティブな感情と一体となって、ものすごいパワーを生み出している実例がたくさんあります。欠点と長所は表裏一体なので、欠点も客観視してちゃんと見つめ、受け入れられるようになれば、ネガティブな脳からポジティブ脳へとスイッチを切り替えられるはずです」ポジティブ脳に切り替えるため、重要なスイッチとなるのが、脳科学でいわれる「メタ認知」。「簡単に言えば、自分の現状を俯瞰できる、客観的に見つめる力です。感情に振り回されないで『なぜ嫌な感情に取り憑かれているのか』を客観的に分析し、自分の心の状況と原因を言葉で表せるようになると、発想の転換が生まれます。ネガティブな状況に陥っている人は、引き込み現象が起きて視野が狭まるものですが、『メタ認知』ができれば気づきがあり、脳が切り替わってくれるんです」例えば、彼氏ができたと友達に告げられて嫉妬の気持ちが芽生えたら、その感情を客観視してみる。「なぜ僻むのか。私も彼が欲しいから?だったら友達に紹介してもらえばいいかも」と、自分を俯瞰してみることで、ネガティブな感情の向こう側にあったポジティブな発想や行動につなげられる。「ポジティブ脳でいるためには、行動あるのみです。行動するのにやる気はいりません。動かず停滞していては、脳のエネルギーを無駄に消耗してしまうだけ。『自信がない』『時間がない』などと言い訳をする前に、どうして自信がないのか、時間をどう生み出すか、考える作業を続けながら、自分ができることをとにかくやってみること。目の前のことをやり続けていれば、知らないうちに脳はポジティブに変わっていきます」茂木さんに提案してもらった、具体的な脳の切り替えスイッチの入れ方を、早速実践してみよう。◇茂木健一郎脳科学者。脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論などにも取り組む。近著に『もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」のつかい方』(学研プラス)。※『anan』2016年7月20日号より。写真・土佐麻理子文・板倉ミキコ
2016年07月14日音楽教育が、子供の情緒や感受性、社会性や知能の発達にとても良い影響を及ぼすことは、すでに広く知られている事実です。また、子供たちが音楽を集中して聞くことで、言語を聞き取る能力もアップし、語彙力や語学力がつきやすくなるとも言われており、昨今ますます幼児のための音楽教室の人気があがっているようです。「音楽教室に通わせたいけれど、経済的な事情や、時間的な問題で難しい」というご家庭は、ぜひ家庭で音楽教育をしてみてはいかがでしょうか。今回は、家庭でもできる音楽教育についてご紹介したいと思います。つけっぱなしのテレビを消して、良い音楽を聞かせよう音楽教育というと楽譜を読んだり、楽器を弾いたりすることを想像しますが、 幼児期の子供にはまだまだ難しいもの。さらに楽器を演奏するにも、手が小さすぎますよね。ですから、乳幼児期はよい音楽をたくさん聞かせて、「耳つくり」をしてあげることが最も重要な音楽教育なのです。普段、リビングで子供と過ごすときなど、テレビをつけっぱなしにしているママも多いかもしれませんが、これからはテレビの代わりに良い音楽を流してみませんか。では、どんな音楽が子供にとって「良い音楽」なのでしょうか。クラシック音楽やジャズ・ポピュラー・日本の伝統音楽・童謡など、音楽といってもさまざまなジャンルがあります。もちろん、どのジャンルにもすばらしい音楽は存在していますが、子供におすすめなのが、それぞれの国の歴史とともに、長く生き続けてきたような音楽です。いくら流行しているとしても、機械的な音楽では、子供の想像力や情緒を育てることは難しいのです。手始めに、ママやパパが小さいころから聞いていた日本の昔ながらの童謡や、モーツアルトのクラシックなどの歴史ある音楽を選んで、部屋でゆっくりするときや、食事中のBGMとして流してみませんか?日常生活や遊びの中に音楽に取り入れる音楽教室ではなく、家庭で音楽教育をするメリットは、遊びや生活の一部として自然に音楽に親しめる点ではないでしょうか。子供が遊んでいるときに音楽を流してあげていると、無意識に子供の心に音楽が刻まれていきます。他にも食事中、寝かしつけの際、朝起きるときなど、その状況に相応しい音楽を選んで、自然な形で生活に取り入れていきましょう。また、子供が元気のないとき、イライラしているときは、まずは静かな音楽を流し、気持ちを落ち着けてから、活発な音楽を流すようにすると、子供たちの気持ちが明るくなったり いらだちをやわらげたりする効果があるとも言われています。このように、子供の気分を変えたり、気を紛らわせたりする手段として音楽を使ってみても良いでしょう。家族で一緒に音楽を楽しもう!子供の情緒や知能の発達に役に立つからと、一方的に子供に音楽環境を与えるだけでは、家庭での音楽教育は物足りないものになってしまいます。大切なのは、ママやパパの心にも、音楽を楽しむ余裕を持ってもらうことなのです。親子一緒に、童謡を歌ったり、音楽を聞きながらリズムを取ったりして、「音楽は楽しいものだ!」と子供が思えるようにしてあげましょう。ママやパパがピアノなどの楽器が弾けるのであれば、童謡やクラシックを演奏して子供に聴かせてあげることができますが、楽器が苦手だったとしてもハーモニカや鈴など、かんたんに演奏できる楽器を用いて、家族で歌いながら合奏するのもおすすめです。また「とんとんとんとんひげじいさん」や「いとまきまき」など、子供たちが大好きな手遊び歌を一緒に歌ったり、音楽に合わせて飛んだり跳ねたりすることも、立派な音楽教育です。このように、家族で音楽に親しみ、楽しんでいるという環境こそが、子供の音楽的感受性を育ててくれるのです。いかがでしたか?音楽が子供の心や脳に良い影響を及ぼすからといって、一方的に楽器を与えたり、子供が嫌がる音楽を聞かせようとしたりするなど、やみくもに「音楽」を押しつけることはやめましょう。子供たちが音楽に親しみを感じ、楽しめるようになってこそ、音楽が子供に良い影響を与えてくれるのです。まずは、親子で音楽を楽しみながら、子供が音楽に興味が持てるような環境づくりから始めてみましょう!
2016年06月08日恋は人生の喜びである半面、道を違えると、逃れがたい苦しみも生む。いま、そんな恋に悩むあなたへ。脳科学のプロが「わかっちゃいるけどやめられない」を、卒業する術、教えます。脳科学的に分析すると、終わらせるべき恋には“2種類のツラさ”が混ざっているそう。脳科学者・中野信子さんはこう分析します。【ツラい恋に陥るメカニズム】恋をすると分泌されるドーパミンの誘惑のせい。「まず一つは、彼への思いを断つと、それまで恋愛で得られていた刺激がなくなってしまうというツラさです。もう一つは、恋愛でときめいている状態自体のツラさ。恋に落ちると、脳内にはドーパミンが分泌されますが、それはとても気持ちがいい半面、食欲がなくなり、胸が詰まる感じもして、肉体的にはしんどい。そしてその恋が困難であるほどドーパミンの分泌は促され、苦しくはあるけれど、気持ちよくて諦めづらくもなるのです」とはいえ、誰もがそんな恋に陥るかというとそうではないという。「ドーパミンの感受性が低い人は、たくさんのドーパミンが分泌されないと満足できないため、いつもときめきを感じたがります。結果、恋に依存しがち。ドーパミンの感度は生まれつきのものなので変えることはできないのですが、脳の前頭前野を鍛えることでコントロールできるようになりますよ」【ツラい恋の強制終了法】前頭前野を鍛えて恋に盲目な自分とサヨナラそうした恋を終わらせるには、自分を客観視する領域である前頭前野を鍛えることが大切です。鍛え方としては、毎日10分でいいのでその日の自分を振り返ること。『彼のことを考えちゃったな』などモニタリングして。そのうちに自分の状態を把握するのが上手になり、恋に依存しがちな自分を抑えるための、理性が強くなるはず。あとは、恋愛以外の刺激でドーパミンの分泌を促すのも有効です」【TO DO】・エクストリーム系スポーツで新たな刺激と良質なリスクを両立。・仕事にバリバリ打ち込んで、周りから認められるようになる。・山登りのように、達成感のあるレジャーでドーパミンを分泌!◇なかの・のぶこ脳科学者。横浜市立大学客員准教授、東日本国際大学教授。『ワイド!スクランブル』(テレ朝系)コメンテーターなどテレビでも活躍。著書は『脳はどこまでコントロールできるか?』(KKベストセラーズ)など。※『anan』2016年5月25日号より。イラスト・佐瀬麻友子文・保手濱奈美
2016年05月22日家族との次のお出かけは「いつもとちょっと違う体験を」と考えている人におすすめしたいのが「科学館」です。普段は身近に感じることのない科学の力を体験しながら学び、遊びながら実感できるのがJR川崎駅にある東芝未来科学館。ここでは実験やショーだけでなく、映像体験型ゲームで全身を動かしながら、科学とふれあうことができます。何度もリピーターとなっているわが家、その体験をもとに科学館の魅力をご紹介しましょう。■東芝未来科学館ってどんなとこ?東芝未来科学館は「人と科学のふれあい」をテーマにした科学館です。科学の魅力を実験や実演を通じて体験できる『体験して学べるサイエンスゾーン』、東芝創業者の生涯ドラマや東芝が日本初・世界初として開発した製品展示が楽しめる『子どもから大人まで楽しめるヒストリーゾーン』などのエリアにわけられており、科学と自然にふれあえるコーナーが充実しています。目で見て、さわって、動かすなど、多くの動作をするなかで子どもの好奇心は満たされていきます。子どもが少し成長してからまた訪れれば「これわかる!」など理解できることが増えているなど、何度訪れても違う発見があっておもしろいですよ。■子どもが楽しめるスポットは?・全身運動できる映像体験型ミニゲーム入り口を入ってすぐにところにある ウェルカムゾーン では、全身を動かして操作する映像体験型のミニゲームを楽しむことができます。ゲーム好きな子どもなら一目散にかけていくこちらのコーナーは6歳の息子も大好き! 初めてのときは悪戦苦闘していましたが、2回目以降はゲームのコツをつかみ、最後に発表される点数のランキング結果に目を輝かせていました。子どもの心はここでがっちりつかまれてしまうようですね(笑)。ほかにも体を使ってできるミニゲームがたくさんあるので、ゲームがある程度1人でできる年齢のお子さんには、たまらないかもしれません。・50万ボルトの電気体験「静電気発生装置」東芝未来科学館では「静電気発生装置にふれる」という貴重な体験ができます。50万ボルトの静電気を人に帯電させると、体験者の髪の毛はじわじわと逆立ち状態に! 絶好のシャッターチャンスなので、子どもに体験させている間にブースの外から記念写真を撮りましょう。髪の毛が逆立った様子を後から写真で確認する、楽しそうな子どもの表情を見ることができますよ。・「不思議で、面白くて、ためになる」サイエンスステージ1日3~4回行われているサイエンスショーでは「見えない空気のすごい力 ひんやり! 冷たい!」「超低温のサイエンスショー」「静電気 見て・さわって・体験ショー!」などのプログラムが設けられ、普段は目にすることのない科学の不思議を体感させてくれます。知っているようで実は知らなかった科学の力を目の当たりにし、大人にとっても思い出に残るショーとなっています。 ■駅直結! 雨の日も移動が楽ちんJR川崎駅から徒歩1分の場所にある東芝未来科学館は、駅から続く通路に屋根があるため、雨の日でも濡れずに来館することができます。最先端の科学技術から、昔懐かしい家電の展示まで遊びながら学べる施設ですが、このボリュームで入場無料なのはうれしい! 小さいお子さんでもボタンを押すと音が出たり、色が変わったりする展示物を楽しんだり、サイエンスショーを見たりと、いろんな刺激を受けることができます。年齢の離れた兄弟姉妹がいるご家庭でも十分に楽しめるはずです。土日・平日どちらにいっても見どころ満載の科学館。次の家族のお出かけに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。 東芝未来科学館 〒212-8585 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地34スマートコミュニティセンター(ラゾーナ川崎東芝ビル)2F開館時間:火~金 10:00~17:30/土・日・祝 10:00~18:00入館料:無料 tel.044-549-2200
2016年05月21日こんにちは。教育コンサルタントの佐々木です。子どもを賢くしたい、頭のいい子に育ってほしい、勉強ができるようになってほしい……子どもがいる親御さんなら誰しもそう願っているのではないでしょうか。そこで、脳科学の見地から、簡単にできる子どもを賢くするコツをご紹介いたします。●(1)適度な運動頭を良くするためには、脳をよく動く状態にすること、つまり脳に血が回ること が重要です。脳に血を回すためには、適度に運動をすることが大切です。集中力が落ちたと感じたらウォーキングをしたり、片付けなど単純作業をして血流を良くしましょう。ちなみに、食後に眠くなるのは胃に血液が流れるため脳に血が回らないためです。●(2)緊張感を持たせるストレスになる程の強い緊張感はパフォーマンスを下げてしまうものですが、適度な緊張感は脳を活性化します 。人が見ているところでは下手なことができないので、一生懸命やろうとするでしょう。あるいは、「絶対に○日までに終わらせる!」という緊張感は脳のパフォーマンスを上げます。たとえば、締切の日や補習の日程に楽しい予定を入れてしまえば、絶対に落とすわけにはいかないので、必死で勉強に取り組むでしょう。●(3)締切や時間制限を設ける時間設定を必ず設けましょう。「何時間でもいいよ」と言われると、脳はだらけてしまいます。宿題をするにしても、今日中に終わればいい、いつでもいいとしてしまうのではなく、時間を決めて取り組みましょう。30分かかりそうなものであれば20分にセットするなど、かかりそうな時間より少し短くする ことで、緊張感を演出できます。キッチンタイマーや、スマートフォンのタイマー機能を使って、時間内に必ず終わらせる習慣を作りましょう。●(4)ライバルを設定する人と競い合うこと は脳の回転数を上げることに非常に役立ちます。負けたくない気持ちから、モチベーションアップも期待できます。例え難しいことだとしても、ライバルがいれば、それをできるように頑張れるものです。●(5)子どもに教えてもらう人に教えることには緊張感が伴い、脳のあらゆる場所を使って考えたり説明したりするため、脳が活性化します。受け身な講義での理解度は5%であるのに対し、人に教えることの理解度は90% と言われています。子どもを賢くしたいならこれを利用しない手はありません。お子さんに、学校で起きたことや学校であったことを説明してもらうことを習慣にすれば、脳が活性化し頭が良くなるでしょう。----------脳を活性化し回転をよくするためには、脳の血流を良くしながら、常に緊張感を持って取り組むことが大切です。自宅で実践できることがほとんどですので、ぜひやってみてくださいね。【参考文献】・『覚えない記憶術』樺沢紫苑・著●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年04月24日徹夜をしたときの頭のボーッとした感じは、明らかに脳が働いていないなと実感できるものですよね。実際に、脳と睡眠には深い関係があるので、今回はそれにまつわる研究を紹介します。最近、仕事でミスが多いなと思う人は、もしかしたら睡眠が足りていないのかもしれません。睡眠が脳に与える影響睡眠と脳には切っても切れない密接な関係があります。私たちは、仕事や勉強中の活動を始め、人の表情、駅のアナウンス、味や匂い、騒音など、五感をフル活用して、さまざまな情報感じ取っています。それらがずっと蓄積されていくと、とんでもない情報量になるので脳はパンクしてしまいます。そうならないために人間は、睡眠中に「脳にたまった情報の整理や掃除」を行うのです。脳にはそのための循環系があり、睡眠中に脳脊髄液によって老廃物を排出していると考えられています。朝起きたらスッキリしているのは気のせいではなく、実際に脳もスッキリしているからなのかもしれません。この脳内の整理や掃除は快適な生活を送るためには必要なことです。脳に余計な情報がパンパンに詰まったままだと脳がフル稼働できません。睡眠と脳の関係を調べる研究あれこれ睡眠と脳に関する研究というものがあります。どのようなものがあるのか見てみましょう。眠気を誘発するのはカルシウムイオン今年3月に東京大学の研究チームが発表した研究結果によると、脳内のカルシウムイオンが眠気を誘発していることを突き止めたそうです。これまで眠気の正体は明確にわかっておらず、睡眠物質なるものが存在すると考えられてきました。それを特定するために東京大学の研究チームはマウスを使った実験などを行った結果、脳へのカルシウムイオンの流入が睡眠に関係あるとわかったそうですこの研究結果が睡眠と関係があるとされるアルツハイマーなどの神経変性疾患の治療に役立つ可能性があると言われています。睡眠時間によって脳の効率が変わる睡眠時間と脳の働きの関係を調べた研究では、1日6時間の睡眠を続けた人は飲酒したときと同等のパフォーマンスしか発揮できないということがわかったそうです。被験者をグループ分けし、4時間・6時間・8時間と睡眠時間を違えて、2週間調査を続けたところ、8時間では問題なく脳が働くことが判明したと言われています。ちなみに4時間睡眠では、飲酒時と同等の6時間よりも脳の働きが悪く、検査を受けられないレベルの人もいたそうです。脳は本当に働き者睡眠には深い睡眠のノンレム睡眠と浅い睡眠のレム睡眠があります。これも脳と関係があり、レム睡眠時の脳の酸素消費量は起きているときよりも高い数値になると言われています。なぜかと言えば、冒頭でも紹介した、脳にたまった情報の整理や掃除をレム睡眠のときに行っているからです。私たちが寝ている間も、脳は日中より多くの酸素を使って一生懸命、整理整頓をしてくれるというわけです。瞬間睡眠を知ってる?ところでみなさんは瞬間睡眠という言葉をご存知ですか? 脳をクールダウンさせ、若返らせることができると言われているすごい睡眠法なんです。実はこの瞬間睡眠、みなさんも知らないうちに実践しているかもしれないのです。ランチ後、強烈な眠気が襲ってきた仕事中などに、一瞬だけ眠ってしまうことがありますよね。「いけない、いけない」と慌てて起きて仕事をすると、一瞬寝た前よりも頭がスッキリしていることがあると思います。それは気のせいではなく、一瞬でも脳は整理や掃除をしてくれているからです。もちろん、もう少し長く(数分~30分未満)睡眠をとれたら、もっとパフォーマンスが向上することは言うまでもありません。でも、仕事中はどうしても長く仮眠がとれないものですよね。そんなときは一瞬でも意図的にウトウトする瞬間睡眠を活用してみてはいかがでしょうか。photo by acworks
2016年04月20日『聞くだけで脳が目覚めるCDブック』(山岡尚樹著、あさ出版)の著者は、「超脳トレ」全脳活性プロデューサー。そう聞いただけで活動内容をイメージすることは難しいかもしれませんが、つまりは脳をより活性化させるためのオーソリティ。具体的にいえば、人の脳に秘められた潜在能力を、音、イメージ、気の力を通じた実践ワークによって引き出しているのだそうです。つまり本書においては、これまで10万人以上に実践してきたという脳トレのノウハウを凝縮しているということ。CDも付属しているので、聴くだけで無理なく効果が望めるのだといいます。■脳は3%しか使われていない!ところで著者は脳のことを、あえて「道具」だと位置づけています。いってみれば、それはスマートフォンのようなもの。いろいろなアプリが入っていて、さまざまな使い方ができるという意味です。だとすれば、一般的に「頭がいい」「デキる」「効率がいい」といわれるような人は、総じて「道具としての脳の使い方がうまい」ということになるでしょう。ところが多くの人は現実的に、「電話をかける」「メールをする」といった程度の使い方しかできていないのだといいます。せっかくの多機能を、まったく使いこなせていないというわけです。しかも一説によると、ほとんどの人が脳をわずか3%しか使えていないというのですから驚き。だとすれば必要なのは、残り97%の「脳力」をどう引き出すかということになるはずです。■右脳・左脳・間脳・脳幹の役割そこで、まずは脳の役割をおさらいしてみましょう。ご存知のとおり、脳には大きく分けると「右脳」「左脳」「間脳」「脳幹」という部位があり、それぞれ次のような役割があります。[右脳]ひらめきやイメージ力、調和などをつかさどる脳。「芸術家肌の人は右脳優位」といわれるのは、このような理由があるからです。[左脳]計算や分析が得意な脳。言語、計算、論理、理屈といった理性的で論理的なところをつかさどるわけです。[間脳]脳内ホルモンの分泌を調整し、感情の操作をつかさどる役割。[脳幹]呼吸、体温調整といった、生きるための調整を担当。本書のトレーニングにおいては、まず「右脳」を活性化させ、多くの人のなかに眠っている未使用の脳力を引き出すのだそうです。■新しい「脳力」を目ざめさせる日常生活においてほとんどの人は、左脳が優位に働いているもの。著者によれば7~8割以上の日本人が左脳優位だというデータもあるそうですから、日本人は左脳民族であるともいえるのかもしれません。左脳優位である以上は、計算、論理、理屈など、現実的に判断・実行する力をしっかり持っているということになります。では、そんな実行力ある左脳に加え、右脳を活性化するとどうなるのでしょうか?答えは次のとおり。・与えられたことだけではなく、斬新な発想、ひらめき、イマジネーションを現実的に判断・実行できる。・ひとつのことだけでなく、同時に複数のことを実行できる(効率がよくなる)。・直感力や判断力が上がり、課題・問題に対して「検討→解決」の時間が短くなる(問題解決が格段に速くなる)・ものごとを俯瞰的に見ることができ、マネジメント脳力が上がる。つまり、一般的な「デキる人」「頭がいい人」のイメージと重なっていくということです。現代人は、もともと左脳が鍛えられているもの。だからこそ、右脳や間脳、脳幹などで眠っている“新しい脳力”を目ざめさせることにより、また異なった脳力を生かすことができるということです。■聴くだけで脳が活性化する理由よくある計算ドリルなどの脳トレは、左脳中心の訓練しかできないことが難点。一方、右脳を刺激できるのが、本書に採用されている「音」のトレーニング。なぜなら脳は「音」「イメージ」「気」という3種類のアプローチで活性化できるからだそうです。「イメージ」することは、人によってうまい・下手の差があるでしょう。「気」にしても、感じられる人と、そうでない人がいるはずです。しかし「音」は、誰にとっても、耳に届く内容は同じ。また、そもそも脳に伝わるエネルギーの約90%は、耳から入ってくるといわれているのだそうです。こうしたことから、「音」は脳を活性化させるための、もっともベーシックで優れた刺激だといえるのです。*しかも、脳は何歳からでも鍛えることができるのだとか。「脳を鍛える」という発想自体があまりなじみのあるものではありませんが、音を聴いているだけで鍛えられるならば、ぜひ試してみたいところではあります。CDに収録されている音源は、クラシック、オペラ、落語までバラエティ豊か。著者のノウハウが凝縮されているだけでなく、リラックスして聴くこともできるというわけです。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※山岡尚樹(2016)『聞くだけで脳が目覚めるCDブック』あさ出版
2016年04月11日思春期に子どもから激しい反抗をされると、親は戸惑います。どうしたらよいのかと、うろたえます。脳科学から思春期の反抗について考えてみましょう。「なぜこんなに反抗するの?」という疑問が、すっきりと解消すること間違いなしです!■反抗の激しさは脳が求めていた!思春期は、第2反抗期が訪れるものとされています。ただし、反抗の度合いは人それぞれです。上の子は反抗期の訪れがはっきりしていてすぐわかったけど、下の子は「後から振り返ってみたら、あのときが反抗期だったのかな」という感じだったなど、同じ血を分けた兄弟でも反抗の度合いが違っていたということがあるのです。始まる時期についても同様です。ですから、「ほかの子に比べて反抗がひどすぎるのでは」「反抗期がいつになってもやってこない」といった親の心配は無用です。なぜなら、反抗の度合いや時期については、その子の脳が決定していることであり、脳は子どもによってみんな違うからです。親が心配してもどうにもなりません。反抗期が過ぎ去るのを、あるいはやってくるのを待つしかありません。親に「イヤだ」と反抗することをきっかけとして、前頭前野(※)は働き始めます。でも、前頭前野が働くのにどれだけ強い刺激、つまり反抗が必要なのかは、脳によって違います。逆に考えてみれば、反抗が強いということは、それだけ強い刺激を脳が求めているからにほかなりません。脳が求めた刺激が反抗というかたちで出ているなら、脳は正常に発達しているのです。反抗を続けていくうちに、言葉や態度による反抗をしなくても前頭前野が働いて、自分の力で何でもできるようになります。自分がそんな力を得たと脳が判断したとき、反抗期は終わります。なんでもそうですが、習得するには反復練習が必要です。脳が学習するにも、繰り返しが絶対に必要なのです。子どもの反抗は、脳が学習を終えるまで続きます。その終わりの時期も人によって違っていて、大学生でも、まだ反抗期にいると感じられる人もたくさんいます。(※)前頭前野とは、大脳の前頭葉の中に存在する領域で、「記憶」「思考」「創造性」「感情コントロール」などを、つかさどる脳内の最高中枢です。人間と他の動物の脳を比較した場合、大きく違うのが前頭前野で、人間の脳の部位でもっとも発達している部分です。従って、頭の良い人、発想が豊かな人、新しい物を造り出す人などは、前頭前野が発達していると考えられています。■長い反抗期、親が乗り越えるにはわが子への信頼と心の余裕が必要子どもの反抗は、脳が成長のために求めている刺激なのだ、それほど子どもの脳は成長してきているということなのだ、とわかってはいても、反抗期の子どもに毎日接していると本当に大変です。「ご飯できたよ」と声をかければ「食べない」と返される。「出かけるの?」と尋ねれば「ほっといてよ」と言われる…。まったく会話になりません。友だちとの電話中に親が通りかかれば、すっとその場からいなくなってしまう。これでは子どもが考えていることも、今置かれている状況もわかりません。そのような時親は、不安でいてもたってもいられなくなるのです。そんなとき、親はどうすればよいのでしょうか? 答えは、今まで育んできたはずの子どもとの信頼関係を信じて、ひたすら今のわが子を認めることです。何を考えているの、何をしているのと迫りたい気持ちを我慢することです。わが子を信用していればこそ、心の余裕が持てて、今の子どもの姿を受け入れられるのです。果てしなく続くように思われる思春期ですが、わが子を信じていれば、きっと乗り越えられるはずです。
2016年04月09日前編 では、脳が子どもから大人へと成長していく段階について説明しました。後編では、子どもが思春期の反抗期を迎えるとき、親としてどのような心構えをしておけばよいのかについて解説します。■思春期は親としての責任から解放される兆しあらゆることに反抗し、親も何かと悩む思春期ですが、この思春期にも必ず終わりが来ます。そうなってみると初めてわかることですが、思春期を通り過ぎたわが子は、もう「子ども」ではありません。ですから、思春期の終わりとともに子育てが終わると言ってもよいでしょう。とはいえ、日本では成人するのは20歳ですし、成人した後もしばらくは親元で学生を続けていることが多いでしょう。そうなると、実質は、子どもが自分の力でお金を稼げるようになるまでは、親は責任を持たなければなりません。でも、わが子がどんどん成長・発達していくに伴って、子ども自身が自分の行動に責任を持たなければならなくなってくるはずです。それと比例するように、親としての責任を少しずつ、子ども側へ移行していかなければなりません。言い換えてみれば、子どもの脳が大人になればなるほど、子育ての責任がなくなってくるということです。そう考えてみたら、思春期は親としての責任の終わりが近づいている時期とも言えますね。思春期真っただ中のわが子を見て思い悩むなんて、もうしなくていいのです! むしろ「もうすぐこの責任から解放されるのね!」と喜んでもいいくらいです。昔はよく、初潮を迎えた女の子のために赤飯を作り、みんなでお祝いをしたと言います。脳が最後の転機を迎える思春期は、まさに初潮を祝うように喜びたいものなのです。それほど、脳にとっては大切で、大きな転機だと言えます。思春期の反抗は、それまでの変化とは違って、夫婦ともにつらく感じることが多いでしょう。そんなとき、ぜひ思い出してほしいのです。「思春期が来るということは、もう子育てのゴールが近づいているということなのだ」と。きっと「思春期、反抗期が来てよかったね」という気持ちになれることでしょう。■子どもが思春期を迎える前に、見直すべきは夫婦関係余談ですが、この思春期の時期に夫婦間でトラブルが起こることも多いようです。「これまでお前は何をしてきたんだ!」と夫が妻を責めるわけですね。こうならないようにするためには、子どもが生まれたと同時に、夫を父親へと育てていく妻の努力が必要なのです。思春期にあるこのような夫婦のトラブルは、これまでの夫に対する教育がうまくいかなかったということを表しているのです。思春期には、子育てに関して夫婦がどうやって力を合わせていったかを問われる時期とも言えますね。世の中のお母さんたちにはぜひ、思春期の厳しいときになって夫に心外な言葉を言われないよう、子どもが幼いうちから、父親育てを頑張っていってもらいたいと思います。
2016年04月07日親の仕事はいつでも大変ですが、もっとも試練と感じられるのが思春期の反抗の時期でしょう。今までは素直だったのに、この頃は親のいうことになんでも反抗して、扱いづらい…そんな悩みを誰もが抱えています。ちょっと視点を変えて、脳科学から思春期に訪れる反抗を考えてみませんか? 理屈がわかれば、子どもの反抗に悩むことがなくなり、むしろ喜べるようになるかもしれません。■大人になるまでに脳は3回の転機を迎える子どもの脳は、生まれてからずっと休むことなく、大人の脳へと成長していきます。でも、ただ少しずつ成長していくだけでなく、周りから見ても「おや? 今までと違うぞ」と感じるような転機が訪れるときがあります。脳の転機と言われる時期は、以下の通りです。・反抗期と呼ばれる2歳頃・何となく不安定になる9歳~10歳頃・第2反抗期と呼ばれる思春期これら3回の転機を経て、脳は大人になるのです。つまり、脳の成長は一定速度ではなく、3回の転機には急激で大きな変化が現れるのです。脳の成長は、カニの脱皮に似ていると言われることがあります。カニは大きくなるために脱皮を繰り返しますが、脱皮中や脱皮したばかりのカニの味はあまりおいしくない、ということをご存じですか?カニは甲羅のまま大きく成長するのではなく、成長するときに脱皮して一回り大きくなります。従って、脱皮中や脱皮したばかりのときは、甲羅だけサイズが大きくなっているため、中身はスカスカ状態で、あまりおいしくないのです。子どもの脳の転機はちょうどこの脱皮に似ていて、脳が転機の真っただ中、あるいはその直後であるとき、子どもは大人にとって、ちょっと扱いづらくなるのです。■脳の転機を経て、心と体は大人へと近づいていくとはいっても、この転機は、脳にとっては必要不可欠です。カニの身がおいしくなるために脱皮が必要なように、脳にとっても転機は必要で、それを経て子どもの心と体は大人へと近づいていくのです。2歳の頃に起こる反抗期は、ほかの人と違う「自分」を自覚することができた証です。9~10歳頃に起こる不安定さは、脳が大人の脳へと移行していることを表しています。そして、思春期と同時に起こる反抗期は、心も体も大人になる時期になったことを意味しているのです。親にとってもそうですが、子どもにしてみてもこの3回の転機は、なかなかにハードなものです。それでも子どもは全力でそれにぶつかって、確実に大人に近づいていくのです。反抗期を含めた3回の脳の転機には子どもが扱いづらくなりがちで、親としてはイライラすることもあるでしょう。しかし、脳も体も心も成長しているシグナルであり、成長という視点で見ると喜ばしいことと言えます。< 後編 へ続く>
2016年04月07日【ママからのご相談】小学校4年生になる息子がいます。すでに勉強が嫌いになってしまったようで、宿題を自分からやろうとしません。やる気が出るまで時間がかかります。やる気を出すにはどうしたらいいですか?●A. まずは動きましょう。ご質問ありがとうございます。教育コンサルタントの佐々木です。勉強が苦手な子の学習指導を専門にしています。一度勉強を嫌いになってしまった子どものやる気を引き出すのはとても難しいですよね。そこで今回は、脳科学に基づいたやる気の出し方 をご紹介します。●行動しないとやる気は出ない黙って座っていたり、ゴロゴロしたりしているうちはやる気が出ないのです。アメリカの脳神経外科医のペンフィールドは、体を動かすと脳も動き出し、次第にやる気が出てくる という考えを示しています。脳は変化に対応して動くため、止まっていては変化が起きないのです。そこで、脳にスイッチを入れる方法を2つご紹介します。●脳のスイッチを入れる方法●(1)手を動かす子どもに勉強させたいなら、まずは落書きでもいいのであれこれ書いて、手を動かしてみましょう。手の準備運動ですね。動くと脳は元気になります。やる気に関わっているのは、大脳辺縁系の中にある側坐核という場所。ここを刺激することでやる気が出てきます。まずは手先を動かしてみましょう。脳科学ではこれを『作業興奮 』と呼んでいます。お子さんが勉強にやる気を出せないようなら、こう声を掛けてみてはどうでしょうか。「まずは片付けからはじめてみようか」「5分でいいからやってみよう」「一緒に鉛筆を持ってみようか」「絵でも描いてみる?」運動する前に体操をして体を温めるのと同じように、勉強のやる気を上げるためにも脳のウォーミングアップ をしましょう。●(2)やるべきことを書き出すやるべきことが多いと脳は拒否反応を起こし、やりたくないという感情が先立ってしまいます。これではやる気は起きません。お子さんがなかなか動き出さないなら、しなければならないことを話し合い、できるだけ細かく書き出してみましょう。「漢字を覚える」では抽象的なので、「漢字を○回書く」「教科書を○回音読する」というように、数字を交えて 具体的に行動できるよう細かく書き出します。細かく書き出せば、いままでぼんやりしていた不安の全貌が見えてきて、不安がなくなるだけでなくやることが見えていきます。細かく書き出した中で一番簡単なことから取り組んでみましょう。書き出し作業もそうですし、簡単なことから取り組むのもそうですが、とにかく手を動かすこと が大切です。手を動かすことで、やるべき事が見えてきます。『つれづれなるままに、日くらし、硯にむかひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ』徒然草の有名な序文ですが、まさにその通り、とりあえず硯に向かう、つまりペンを握ることが大切なのです。“勉強”というと机に向かって静かにカリカリと……そんな絵が浮かぶかもしれませんが、いきなり走り出して怪我しないように、勉強も準備運動から始めましょう。お子さんと一緒にペンを持って、手を動かしてみてくださいね。【参考文献】・『大人の脳科学常識 頭が冴えわたる脳の鍛え方』トキオ・ナレッジ(著)●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年04月06日小学3年生~4年生というと、年齢にすれば9歳~10歳になりますね。実はこの頃の子どもたちの脳は、あるポイント地点に到達しています。この時期を境として、その前と後とでは、脳が少し違ってくるのです。いったいどう違ってくるというのでしょうか。それを知ると、わが子への働きかけをどうしていったらよいのかが、よくわかるのです。■9歳~10歳で大人の脳へと切り替わる!生まれてから3歳くらいまでは、脳の発達の度合いはとても急激です。そして3歳過ぎになるとややゆっくりとした速度で脳は発達していきます。そのまま行くのかというとそうではなく、子どもの脳は9~10歳ころにもう一度変化をみせるのです。学校での実例から見ても、9~10歳ころ、つまり小学3~4年生の頃というのは、子どもの学習という視点から見ても変化の兆しが表れる時期です。また、発達心理学の立場からは、このころを「9歳半の節」と名付けています。つまり、この頃の子どもたちはそれまでとはどこか違った様子を見せるようになるというのです。この時期の子どもたちの脳は、大人の脳に移行していく時期を迎えているのです。■子どもの脳と大人の脳の違いでは、大人の脳と子どもの脳というのは、どう違うのでしょうか。そもそも脳にとってのエネルギーは、血液から来ています。脳を使うと血液循環のスピードが速まり、それに伴ってエネルギーもたくさん脳に取り込めるのです。エネルギーを脳に取り込むには、酸素が必要です。大人の場合、血液循環のスピードが上がったとき、それに準じて酸素もたくさん取り入れられるようになるかというと、実はそうではないのです。ですから、エネルギーが脳に取り入れられる量が一定に決まっているということになります。なぜこんな仕組みになっているのかは定かではありませんが、突然血液量が増えてしまうことによって血管に圧力がかかり、詰まりを生じたり切れたりしないようになっているとも考えられています。しかし、この仕組みは、子どもの脳には当てはまりません。子どもの場合は、血液循環のスピードが上がるに従って、取り入れられる酸素の量も増えていきます。ということはつまり、脳を使えば使うほど、脳に必要なエネルギーをどれだけでも得ることができるということになります。子どもの脳はこのような素晴らしい仕組みになっています。ですから、子どもの脳である時は、どんどんと脳を鍛える学習(漢字の書き取り、音読、計算問題など)をするのにもっともふさわしい時期と言えるのです。では、いつまでが子どもの脳と言えるのか。それがズバリ、9歳~10歳ころ、学年で言えば小学校3~4年生の頃なのです。移行の時期には男女差があり、女子は男子より6ヶ月ほど遅れてやってきます。■9歳~10歳くらいの子どもの変化に対して心の余裕を持つ方法小学校3年生~4年生のころになると、脳はもう子どもではありません。大人の脳へと移行していくのです。まだまだ子どもに思える小学校3年生~4年生ですが、脳は確実に大人へと切り替わっていくのですね。さて、この時期の子どもたちを見ていると、それまでとはちょっと違うように見えることがあります。「何だか最近、生意気な口を利くようになってきた」「どうも落ち着きがないのよね」などと、どことなく漂う不安定感に気づかれる方もいるでしょう。それはもしかしたら、大人の脳へと移行していくことから来るのかもしれません。反抗期を迎えた子どもも、今までとはちょっと違った様子を見せますが、それとこの時期の変化とは、少し異なっています。いつも一番近くで子どものことをよく見ている親であれば、きっとその違いがわかることでしょう。さあ、ここまで読んでいただければ、あなたの子どもが小学校3年生~4年生になり、今までとはちょっと違った雰囲気を見せ始めた時、「大人の脳へと変化しているのだ、確実に成長しているんだな」と、少し余裕を持って受け止めてあげられるでしょう。大人の脳へと順調に移行していけば、脳の働きはより潤滑なものとなり、ついに思春期へと向かっていくのです。
2016年04月05日NECと大阪大学は4月4日、大阪大学の吹田キャンパス内に「NECブレインインスパイヤードコンピューティング協働研究所」(以下、協働研究所)を本年4月1日に開設し、脳科学の研究に基づく新しいコンピューティング(脳型コンピューティング)技術に関する共同研究を開始した。両者は研究所の開設により情報通信研究機構の脳情報通信融合研究センター、理化学研究所の生命システム研究センターと連携強化を通じ、新しい情報通信産業を創出する「脳情報科学活用型」産業イノベーション拠点を構築する。近年、少子高齢化による労働力不足の深刻化と、IoT(Internet of Things)のさらなる拡大によるデータ量の爆発的増加がグローバル規模で進む中、これからのICT技術には省エネルギー性と柔軟な適応性に優れた人と地球にやさしい、新しいコンピューティングの発想が求められている。協働研究所では、脳が持つ優れた環境適応力、認識力、判断力、ならびに高効率な消費電力性など、脳の特性に学ぶ新しい情報処理技術として脳型コンピューティングの研究を開始する。この考え方のもと、NECと大阪大学が協働し、情報科学、脳科学の最先端の知見を融合することで、新しい脳型コンピューティングシステム(Brain-Inspired Computing System)の実現を図る。さらに、協働研究所では、これらのイノベーション活動を支え、学術・産業の両面で事業化を推進する人材(アントレプレナ)の育成に中長期的な視点で取り組む。これまでNECは、大阪大学と情報通信研究機構の共同による脳情報通信融合研究センター、ならびに、分子レベルでの動態シミュレーションにおいて世界的にみてもトップクラスの理化学研究所の生命システム研究センターと個別に共同研究を進めてきたが、その連携をさらに強化していく体制が整った。研究所長は大阪大学大学院 特任教授の柳田敏雄氏、副研究所長は大阪大学大学院情報科学研究科 教授の村田正幸氏、NEC 主席技術主幹の加納敏行氏の2人、人員は3人を含め、計12名(2016年4月1日時点)。
2016年04月04日人間には「男性脳」と「女性脳」の脳タイプがあるって知ってた?男女脳のメンタリスト、DaiGoさんによれば、脳タイプの判別の仕方は簡単。右手を見て、薬指と人差し指を比較して。薬指のほうが長ければ男性脳、人差し指のほうが長い、もしくはほぼ同じであれば女性脳なんだそう。「女だから、あたりまえ?いえいえ、そうではありません。女性でも男性脳の傾向が強い人は約10%、男性でも女性脳の人は約15%もいます。ただ1つ確かなのは、男性脳と女性脳では、生物学的に『脳』の仕組みに大きな違いがある、ということです」(DaiGoさん)女性脳の特徴は、「共感が大事。同時進行もOK。感覚的。プロセス重視。頷きながら聞く。シェアしたがる」。男性脳の特徴は、「競争が好き。ひとつに集中。論理的。結論重視。黙って聞く。独占したがる」とのこと。「その違いは、右脳と左脳をつなぐ『脳梁』と呼ばれる神経の太さに表れます。右脳は『直感』や『感性』を司ります。左脳は『言語』や『思考』を司ります。つまり、右脳と左脳の連絡がスムーズで両方の脳をバランスよく使えるのが、女性脳。女性は感情(右脳)を言葉(左脳)で表現する『おしゃべり』がとても得意なのです。一方、男性脳は、会話をするとき左脳しか使えません。そう、もうお分かりですね、“伝えること”は本来、女性脳の得意分野です。女同士の高度なコミュニケーションにおいては、その力が最大限に発揮されます」(DaiGoさん)ということは、男性脳相手の仕事や恋愛の場面ではどうなる?「上司や彼氏が、“典型的な男性脳”の場合、彼らは、女性脳の考え方や行動を理解することが難しいかもしれません。さらに言えば、男性脳と女性脳の発想の違いは、日常のコミュニケーションで『すれ違い』を生む原因になるでしょう。互いに全く悪気がない場合でも、です。それって残念だと思いませんか?」とDaiGoさん。まずは、男性脳と女性脳の違いを理解するところから始めてみましょう。※『anan』2016年3月30日号より。写真・土佐麻理子文・瀬尾麻美
2016年03月26日ウーマンウェルネス研究会はこのほど、健康情報サイト「ウェルラボ」にて「ストレス太りの解消法」についての情報を公開した。同サイトでは、脳科学者の篠原菊紀氏が、脳をだまして食欲やストレス、ドーパミンをコントロールする方法を解説している。食欲をコントロールする方法としては、「食への期待をごまかす」「食事の満足度を上げる」「副交感神経を優位にする」ことが有効だという。「今すぐにチョコが食べたい! 」と思ったら、コンビニなどに買いに走るのではなく、有名ショコラティエなどの高級品をイメージし、明日食べると決めることをすすめている。一時的な欲求がおさえられるだけではなく、「出かける手間がかかる」「手に入りにくく高価」であるため、おのずと食べる回数が減るという。食欲を感じたときは、緑茶を飲むのも有効とのこと。いったん高まった食への期待が緑茶の苦味を感じることによって遮断され、食べすぎ防止になるという。また、緑茶に含まれる茶カテキンには、脂肪燃焼効果もあるため、日常的に飲む飲料としても適しているとしている。そして食事の満足度を上げる方法としては、よりおいしく感じるように「おいしい」と言いながら食べることや、誰かと一緒に食べることを挙げる。誰かと食事をすると1人で食べるより時間がかかるため、満腹感を得やすいという。お腹がいっぱいなのに「もっと食べたい」と思ったときは、食事のしめくくりとして、コーヒーを飲むことも有効とのこと。コーヒーの苦味が脳に伝わることで食事の満足度が高まるとともに、食事の終わりの合図となり、「もっと食べたい」という欲求が遮断され、食べ過ぎ防止になると解説。また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸というポリフェノールを摂取することで、脂肪燃焼効果も期待できる。日頃から、高濃度クロロゲン酸配合のコーヒー飲料を飲むこともおすすめとのこと。なおストレスそのものを解消するためには、副交感神経を優位にして、リラックスすることも大切であるという。日中は温熱シートなどでリラックスし、夜はぬるめの炭酸入浴で身体を温めてから就寝すると、副交感神経が優位になり、心身ともに休まるとのこと。
2016年03月24日実は男女のすれ違いは「男性脳」「女性脳」の2つの脳タイプの違いが原因になっていることも。男女脳のメンタリスト、DaiGoさんによれば、脳タイプの判別の仕方は簡単。右手を見て、薬指と人差し指を比較して。薬指のほうが長ければ男性脳、人差し指のほうが長い、もしくはほぼ同じであれば女性脳なんだそう。メンタリストのDaiGoさんが具体的なシチュエーションをもとに、脳タイプによる考え方の違いを解説します!■SCENE1彼氏とのすれ違い女性脳の彼女:「Jちゃん(同僚)、彼氏と旅行したんだって。ハワイだって」男性脳の彼氏:「へーそうなんだ。いま、部署が忙しい時期だったんじゃなかったっけ?」女性脳の彼女:「……」(そのあと不機嫌に)男性脳の彼氏:「……」(Jのせいで、彼女、仕事量増えたりしてるのかな。かわいそうだな)この会話、察しのいい人なら「私もハワイに連れていってほしい」と女性側が暗に言っていることがわかるはず。でも、男性脳の人は言葉をその通りに受け取る傾向があるため、このような勘違いが起こるのも、ある意味当然。男性脳の前では直截的な表現を心がけて。■DaiGoさんの解説女性脳はダイレクトな表現をあまり好みません。本心をズバッと伝えるのはやや苦手なのです。そのため、女性脳同士の会話では、会話の中身が、気づけば“状況報告”ばかりになっているパターンが多々あります。まるでネットの“まとめサイト”のような…。会話しているにもかかわらず、いちばん伝えたいことの“核心”を絶対に明かさないまま話が進行していくという、ある意味、超高度なコミュニケーションです。これを男性脳が理解するのは至難の業。“裸の付き合い”“腹を割って話す”という言葉があるように、男性脳のコミュニケーションは女性が思う以上に直球勝負なのです。■SCENE2上司とのすれ違い男性脳の上司:(一度頓挫しかけたプロジェクトについて)「あの時はどうなるかと思ったけど、成功してよかったな!」女性脳の部下:「あ…ありがとうございます。(部長はあの時の私の失敗をやっぱり気にしているのかな。落ち込むな~)」褒められているにもかかわらず、「あの時はどうなるかと思ったけど」というネガティブな前置きのほうが気になるのは、想像力の豊かな女性脳らしい感情の読み取り方。でも残念ながら、男性脳の人にこうした高度な嫌みを言える発想はありません。ご安心を!■DaiGoさんの解説先日、とある企業の社長から、「部下を褒めるのって難しいですね」と相談されました。そうなんです、特に、男性脳の上司が女性脳の部下を褒めるのは苦労します。なぜなら、女性脳の場合、相手の言葉を、素直に“文字通り”には受け取りません。自分に対しての言葉を、すぐ拡大解釈して一喜一憂してしまう。いわゆる、深読みする、というやつです。特に女性脳は男性脳に比べて思考が広がりやすい傾向が。例えば、カップルがケンカをした時に、女性が関係のない過去の話を突然持ち出してきたりするのも、この拡大解釈が一因です。◇ダイゴ人の心を読み、操る技術“メンタリズム”を駆使するメンタリスト。テレビや雑誌で活躍するほか、外食系企業のコンサルや研修も手掛ける。※『anan』2016年3月30日号より。写真・土佐麻理子文・瀬尾麻美
2016年03月24日こんにちは。医療カウンセラーのyoshiです。みなさんは脳についてどの程度知っているでしょうか。脳というと、生き物の中心、重要な器官、体の司令塔のようなイメージがあると思います。しかし、脳というのはまだまだ解明できていない部分が多く、 非常に複雑な臓器、器官となっています。これまでも多くの研究がされてきていますが、その中でも結論というのは二転三転してしまっているのです。それくらい解釈が難しく、正確な結論に至ることができていません。逆に言ってしまうと、脳が持つ可能性というのはとても大きなものであると考えることができます。脳細胞は減り始めたら増えることはないと言われていますが、1998年の段階でスウェーデンのエリクソン博士によって、高齢になっても脳細胞は増えていく ということがわかっています。脳の持っている大きな可能性というのは日常生活でも重要になりますが、障害を負ってしまった場合、非常に大きな意味を持ってくることがあります。●大脳の半分がなくなってしまう可能性がある脳の半分がなくなってしまう、大脳の半分がなくなってしまうとなると、それは生命の維持に大きな支障をきたすのではと思ってしまいますが、大脳の半分がなくなっても人は生きていける場合が多くあります。難治性のてんかんの手術では、大脳の半分を切除する方法が効果的と言われています。小児に限定しますが、大脳を半分切除してしまっても残りの半分が適応をしていき、障害というのを非常に小さくしてしまえるのです。大人であっても、脳に関する病気によって能力を一時的に消失してしまったとしても、リハビリによって回復をしていくこともあります。なくなった分を残された脳が補うことで、苦手が得意になる ということもあるようです。まだまだ研究段階ではありますが、脳の可能性というのはとてつもなく大きいことがわかり、その可能性こそが脳の病気に対する大きな将来性につながっているとも言えます。【参考リンク】・大人でも脳細胞は新生する | 日経サイエンス()●ライター/yoshi
2016年03月15日親は誰しも皆、わが子の脳の発達にとって良いことをしたい、と考えているでしょう。そのために幼い頃から子どもを塾や教室に通わせたり、学習教材を買い与えたりするのです。でも、お金を使わず、かつ、もっとも脳の発達にとって大切となることを見落としている人が多いのです。それは、「コミュニケーション」です。親子のコミュニケーションほど脳を発達させるものはない!子どもの脳の発達について書かれた本には、たいてい「コミュニケーション」という言葉がたくさん書かれてあります。赤ちゃんに対する言葉かけ、幼児に対する読み聞かせ。それらは脳の発達に欠かせないものであり、そこにはいつも「コミュニケーション」という言葉が付いて回ります。そう、脳の発達のキーワードとなるのは、コミュニケーションなのです。逆に考えてみると、コミュニケーションなしでの事柄は、どんなに脳に良いと言われていることであっても、脳をそれほど発達させないということです。特に乳幼児と呼ばれる子どもたちにとって、一番その脳を発達させてくれるものは、親によるコミュニケーションなのです。実際、たくさんの研究結果によって、「幼少期にたくさん親から声をかけてもらった子どもは、将来よい子どもになる」ということが明らかになっています。脳の発達に良いからと、多くの親が、幼稚園に通い出すころから教室や塾などで何かを習わせます。それはそれでよいでしょう。でも、他人からのアプローチよりも親からのアプローチのほうが、子どものやる気を十分に引き出せるため、「いろいろ通わせたものの、あまり子どもに変化が見られないのよね…」なんてこともあるのです。習い事で親子のコミュニケーションの時間を減らしては本末転倒さらに危惧すべきところは、まだまだ親子のコミュニケーションが必要な時期に、貴重な時間を習い事で消費してしまうということです。習い事を始めれば、そこにいる時間だけでなく、送り迎えにも時間をとられて、ゆったりとした親子のコミュニケーションの時間がかなり減ってしまうのは否めません。では何も習わず、家で親子が一緒にいるだけでよいのかというと、それもちょっと違います。一緒にいても会話をせず、ただ教育メディアを見ているだけなら、子どもの脳にはコミュニケーションによる刺激は与えられません。家族そろっての食事時も、テレビをつけ、皆がそちらを向いて黙って食べているなら、それはコミュニケーションのある風景ではないのです。< 後編 に続く>(子育ての達人)
2016年02月28日豊橋技術科学大学(豊技大)は2月12日、脳の表面に貼り付けられる柔らかさを持った無線電力伝送デバイスを実現したと発表した。動物が手足を動かすと脳の神経細胞から微弱な神経電位が生じる。この神経電位の解析は、ヒトとロボットをつなぐブレインマシンインターフェースの実現に向けて盛んに研究されている。現在は主にワイヤを用いて脳表面に埋め込まれた電極から神経電位の計測が行われているが、頭蓋骨の開口部から感染症を引き起こす懸念があるなど、長期間にわたって脳の信号を観測するためには生体内に完全に埋め込む無線神経インターフェースの開発が求められている。今回の研究では、シリコン基板による高機能かつ小型な回路チップを、厚さ10μmのフレキシブルフィルムに実装する手法を開発。同手法を用いることで、整流器チップとフィルムアンテナを一体化した無線電力伝送デバイスを製作した。同デバイスは5mm×27mmの面積で、シリコン基板による回路面積が全体の3%を占めている。そのため、大部分がフレキシブルフィルムで構成されており、脳の形状に対して柔軟に密着することが可能だという。また、同デバイスを水槽に浸して、10cmの距離で無線電力を伝送することに成功した。埋め込みデバイスに無線電力を供給することで、さまざまな回路を駆動することが可能となる。研究グループは今後、シリコンチップにさらなる回路機能を搭載することで無線で脳の信号を取り出すことを目指すとしている。
2016年02月12日三井住友銀行は26日、エヌ・ティ・ティ・データ(以下NTTデータ)と脳科学技術の金融分野への応用を通じたイノベーションの創出を目的とした包括契約を締結したと発表した。○脳科学を活用したサービスの実用検証を進める脳科学とは、生物の認知や行動に関する脳のメカニズムを研究する学際的な研究分野で、近年では、人間の経済的な意思決定の特性も脳の機能・構造に基づいているという最新の研究成果を踏まえ、金融・経済分野への応用について関心が高まっているという。三井住友銀行によると「お客さまをより深く知り、お客さまの真のニーズに沿ったサービスを提供するため、脳科学技術に知見のあるNTTデータおよびNTTデータ経営研究所と協働し、脳科学を活用したサービスの実用検証を進めることとした」としている。現在想定している応用範囲例は、顧客の潜在ニーズを把握し、顧客毎に最適な商品・サービスの提供と資産運用を始める顧客へ安心かつ快適に利用してもらうための助言サービスなど。今後も三井住友銀行は、新たな技術、サービスアイデアをオープンに取り入れながら、顧客により一層、価値のあるサービスを提供していくとしている。
2016年01月27日三井住友銀行は1月26日、NTTデータと脳科学技術の金融分野への応用を通じたイノベーションの創出を目的とした包括契約を締結したことを発表した。近年、人間の経済的な意思決定の特性も脳の機能・構造に基づいているという最新の研究成果を踏まえ、金融・経済分野への応用について関心が高まっている。こうした背景を踏まえ、同行は、脳科学技術に知見のあるNTTデータおよびNTTデータ経営研究所と協働し、脳科学を活用したサービスの実用検証を進めるとしている。脳科学が想定されている金融サービスの応用範囲例として、「潜在ニーズを把握し、顧客ごとに最適な商品・サービスを提供」「資産運用を始める顧客へ安心かつ快適に利用できる助言サービス」が挙げられている。同行は2014年に、自然言語解析と学習機能を備えた質問応答システムであるIBMのWatsonをコールセンター業務に取り入れるなど、ITを活用した取り組みを積極的に進めている。
2016年01月27日トムソン・ロイターは1月19日、科学研究の各分野において高い影響を持つ科学者を論文の引用動向から分析した「高被引用論文著者(Highly Cited Researchers)」を発表した。同レポートは同社のアナリストが、学術文献・引用索引データベース「Web of Science Core Collection」および統計データベース「InCites Essential Science Indicators(ESI)」を用いて作成したもので、過去11年間の引用データをもとにした「高被引用論文著者(Highly Cited Researchers)」と「2015年に最も注目を集めた研究者(Hottest Researchers)」をそれぞれ選出した。「高被引用論文著者」部門は2003年1月から2013年12月までの11年間にデータベースに収録された論文を分析対象としており、全世界で3000名の科学者が選出され、日本の研究機関からは京都大学の山中伸弥 教授など約80名が選ばれた。一方、「2015年に最も注目を集めた研究者」部門では2012年から2014年にデータベースに収録された論文の中から顕著な被引用数を持つ論文(ホットペーパー)を発表し、最も注目を集めた研究者19名を選出。最も多くのホットペーパーを持つとされたのは米Broad Institute of MIT and HarvardのStacey B. Gabriel氏だった。日本の研究者は選出されなかった。なお、同社は同レポートについて、ESIの分野別に分析・抽出をしているため著名な研究者でも研究内容が融合的であり、分野が複数に渡っている場合などは、各分野で設定されたしきい値に高被引用論文数が達せず、選出から漏れる場合があるとしているほか、あくまで今回の選出基準の定義によるものであり、研究者の評価を損ねるものではないとしている。
2016年01月19日フロリダ州政府柑橘(かんきつ)局はこのほど、「グレープフルーツの脳機能に与える影響」についての研究結果を発表した。ホットグレープフルーツジュースを摂取すると、脳が活性化し集中力がアップすることがわかったという。同研究は、杏林大学 医学部 精神神経科学教室の古賀良彦教授に協力を依頼して行った。被験者は、22~23歳の健康な男女6名(男性4名、女性2名)。被験者には、「水(常温10℃以下)」「グレープフルーツジュース(常温10℃以下)」「ホットグレープフルーツジュース(約60℃)」の3種類を3分間かけて摂取してもらい、その後クレペリン検査用紙を用いて1桁の数字の足し算を実施した。実験の結果、計算問題達成数は、ホットグレープフルーツジュースを摂取した時が一番多くなることがわかった。常温の水と常温のグレープフルーツジュースの間には、大きな差は見られなかった。計算中は、光トポグラフィー検査装置を用いて、脳の血流量も測定。グレープフルーツジュース摂取の場合は、常温、ホットどちらでも、前頭葉の脳血流量が増え、脳が活性化する様子が観察できた。常温では、立ち上がりが速く(効果がやや弱い)、ホットではじわじわと立ち上がり効果が持続するという違いも明らかとなった。古賀教授は、常温で摂取したときの立ち上がりが早いのは「(常温ゆえに)素早く覚醒度が上がりサッパリ感を感じさせるためと考えられる」と見解を述べた。実験の終わりに、被験者に体感アンケートを実施。その結果、ホットグレープフルーツジュースは、「落ち着き」「気分」の2項目で、水や常温グレープフルーツジュースより高い評価が得られた。古賀教授はこれらの結果から、「ホットグレープフルーツジュースには、落ち着いて気持ち良く勉強できる雰囲気や状況を作るはたらきがあるのでは」と推測している。また、受験生が勉強前や勉強の合間にホットグレープフルーツジュースを飲むことは、集中力を高めて勉強の効率を上げるという点からおすすめであるという。また、「コーヒー・紅茶の場合はカフェインによる覚醒効果が期待できますが、摂(と)りすぎると眠りにくくなるなど、生活リズムが乱れる可能性もある。ビタミンCが豊富で低GI食品でもあるグレープフルーツを使ったホットジュースは、受験生の健康をサポートするという面からも有効といえるでしょう」ともコメントしている。
2015年12月17日ぴあはこのほど、脳ヨガのやり方を本とDVDで紹介した新刊『白澤卓二と間々田佳子の脳活顔ヨガで活性脳&若顔・小顔』(1,058円・税込)を発売した。同書では、ベストセラーとなった『100歳までボケない101の方法』の著者・白澤卓二氏と、顔のたるみとシワを防ぐ「顔ヨガ」シリーズの著者・間々田佳子氏が開発した「脳活顔ヨガ」を紹介している。脳活顔ヨガは、手指を使った体操に顔ヨガを組み合わせたもの。1日3分、1日1ポーズでも、顔のアンチエイジングや脳の活性化が見込める一石二鳥の健康体操であるという。同時に2つの動きをすると脳は活性化し、その効果は脳の活動を「見える化」する光トポグラフィでも実証されているとのこと。「脳活顔ヨガ・基本編」では、「ムンクでダイヤモンド体操」「舌だしやぐらの体操」「でか目のオニ体操」「ひょっとこあやつり人形体操」などを紹介している。そのほか、「脳活顔ヨガ・応用編」、身体全体を使い、だれでも楽しくできる「顔脳活ヨガぱんぱん体操」も収録した。同書は全国書店、ネットショップのほか、「BOOKぴあ」でも販売している。
2015年12月08日アメリカの国立神経疾患・脳卒中研究所によると、世の中には400以上もの神経疾患が存在するそうです。脳にまつわる病気は珍しいものではないのです。でも、私たちは自分の脳についてどれだけのことを知っているでしょうか?『BUSTLE』では、最新の研究から明らかになった、脳にまつわる意外な事実を紹介しています。テレパシーの実現から、胃腸と脳の意外な関係まで、脳に関する知識をアップデートしておきましょう。■1:脳は感情によって記憶力を増すニューヨーク大学の研究によれば、記憶力は感情によって高まるのだといいます。とても嫌なことがあったとき、恐怖を感じたとき、またはうれしいことがあったとき、脳が刺激され、記憶力が高まるのです。たとえば震災のとき、どこでなにをしていたかよくおぼえていたり、初恋のことを忘れなかったりするのはこのためです。これはマウスを使った実験でも実証されていますこうした効果は、カウンセリングなどの技法の研究に役立てられているのだそうです。■2:胃腸の働きは脳に影響するカリフォルニア大学のエメラン・メイヤー博士により、人間の脳と内臓の間には深い関係があることがわかりました。内臓、特に胃腸の働きが鈍くなっているときは、うつなどの精神的な病気になりやすいという研究が発表されたのです。また、胃腸に善玉菌が増え、消化がスムーズに行われているときには脳の働きもよくなるのだそう。4週間善玉菌のサプリメントを摂取した人は、落ち込んだ気持ちややる気が出ないといった精神的な症状を感じることがなかったといいます。「最近なんだか調子が出ない……」という人は、胃腸の調子を整えてみるのもひとつの手です。■3:妊娠中は脳に変化が現れる妊娠中には、体だけではなく脳にも変化が現れます。妊娠中は、脳の記憶や感情をつかさどる部分が物理的に大きくなるのです。子どもが生まれてからもしばらくその状態は続きます。これは、妊娠によるホルモンバランスの変化によるもの。こうした働きにより、妊娠すると、赤ちゃんや周りにいる人と強いつながりを感じることができるようになるのだと考えられています。■4:脳が成長しきるのは25歳脳は、法的に大人になる20歳では、まだ成長しきっていないことが最新の研究から判明しました。特に、感情や行動をコントロールする部分の成長が未熟なままなのだといいます。25歳くらいまでは感情的になりやすく、プレッシャーなどにも弱い期間が続きます。脳の成長には意外と時間がかかるようです。■5:顔を認識できない病気は実在する「人の顔と名前がおぼえられない」といった記憶力の問題ではなく、人の顔を「顔」として認識できない、記憶できない、という病気があります。「相貌失認(そうぼうしつにん)」と呼ばれる脳障害の一種で、人口の2.5%ほどが苦しんでいると考えられています。自分の顔も認識できないため、日常生活に支障をきたす病気です。これは、脳の紡錘状回(ぼうすいじょうかい)と呼ばれる部分の機能に問題があった場合に起こると考えられています。相貌失認の人は相手の顔を認識できないため、相手の体格、におい、話し方や声などで誰と話しているかを推測するのだそうです。■6:テレパシーは実現可能?テレパシーは実現不可能なものではなさそうです。2013年にワシントン大学で、テレパシーを現実に近づける装置の実験が行われました。その装置は、脳波を他の人に送信し、受信した人の手がその考えに呼応するジェスチャーをするというものでした。単純な思考ならば伝わったといいます。研究者はコンピューターの通信技術に応用しようと考えているようですが、人の脳とコンピューターをつなぐ技術はまだ研究途中のようです。*まだまだわからないことも多い脳。科学の発展にともなって、どんどん仕組みが明らかになっていきます。今後の研究からも目が離せません。(文/スケルトンワークス)【参考】※Surprising Facts About The Human Brain-BUSTLE
2015年11月24日笑うことは健康にも繋がると言いますが、笑顔のとき、私たちの頭の中では何が起こっているのでしょうか?脳医学に詳しく、株式会社「脳の学校」の代表も務める医師・加藤俊徳先生に話を聞いてみました。怒るとそのことで頭がいっぱいになるけど、笑っているといろんなことを許容できるという感覚、覚えがある人も多いのでは?「怒っている時に比べて、笑っている時の脳内の酸素使用量は少ない。笑いは脳の余計な部分を使わず、脳にとって楽な状態なんです。笑いで脳はニュートラルな状態になり、複数の事態に対応できるように。笑った後は自然とやる気や集中力も上がります」加藤先生によると、運動系の脳番地内で占める面積がいちばん大きいのは、顔面と連動している部分なのだとか。「手や足を少し動かすよりも、顔を動かして表情を作るほうが、脳にとっては大きな運動をしたほどの脳活動になります」笑顔は体の一部の動きにすぎないけど、脳からすれば大きな動き。いろいろな笑い方をして表情を動かせば、脳への良い刺激に。「思い出し笑いは記憶系脳番地を、冗談を聞いて笑うのは聴覚系脳番地を使うというように、笑い方によって別々の部位が感情系脳番地に繋がっていきます。笑いは脳内の各機能間の連関を強めるのに非常にいい行為。逆に言えば、目や耳など違う入り口で笑いを起こすようにすると、脳の成長に繋がります」日々意識的に笑おうとすることで感覚を研ぎ澄まし、脳を元気にしよう。◇かとう・としのり医師、医学博士、株式会社「脳の学校」代表。記憶や感動など異なる機能を司る脳の部位を「脳番地」と呼び、脳の成長方法を研究。※『anan』2015年11月18日号より。(C)jordanchez
2015年11月11日科学技術振興機構(JST)は11月10日、全国の中学生がチーム対抗で科学的思考力や技能を競う「第3回 科学の甲子園ジュニア全国大会」を2015年12月4日から6日までの期間、東京都・江東区のBumB東京スポーツ文化館で開催すると発表した。科学の甲子園ジュニアは、中学生を対象に、「科学好きの裾野の拡大」、「未知の分野に挑戦する探究心や創造性に優れた人材の育成」、「考える力とコミュニケーション能力の育成」の3つを目的に開催されるもの。全国大会には、各都道府県ごとに実施されてきた予選大会(代表選考会)を経て選出された47チーム(1チーム6名構成)が参加。各地の代表選考会には、総計2万3000名(前回大会は約2万1000名)を超す生徒のエントリーがあり、内訳は、学年としては2年生が67.3%、1年生が32.7%、性別としては、男子が66.2%、女子が33.8%となっているほか、校種別で見た場合、国立が2.6%、都道府県立および市町村立が92.2%、私立が5.1%となっている。これを、全国大会282名のみで見た場合は、1年生が8.5%、2年生が91.5%、男子が85.5%(241名)、女子が14.5%(41名)、国立が28.0%、都道府県立が16.0%、市町村立が24.8%、私立が31.2%となっている(各都道府県選抜チームは、複数の中学校の生徒で混成されたチームも多数ある)。競技概要としては、理科・数学などの複数分野において、実生活・実社会との関連・融合領域に配慮して出題され、生徒の修得済みの知識に加え、競技に新たに示された情報を活用して課題を解決するとしているほか、実技競技は、ものづくりの能力、コミュニケーション能力などを用いてチームで協働して課題解決するの能力を競うとしている。ちなみに、2つある実技競技のうち1つは、事前公開競技として2つの事前課題が出されている。その競技名は「組み合わせ回路」で、いわゆる「AND回路」「OR回路」「NOT回路」を用いたデジタル回路を理解するというもの。事前課題の1つ目が論理回路を論理式を使って、単純化できるようにするというもので、2つ目は、論理回路を実際に組立できるようにするというもの。これらを踏まえて、競技当日は、提示される仕様に従って、回路の組み立てを行うこととなる。参加は都道府県別の47チームだが、混合チームが多いため、参加校数は79(前回大会は80)となっている。また、長野県チームは前回と同じメンバーで構成されているほか、京都府立洛北高等学校附属中学校から参加する3名も前回と同じメンバーであり、香川県チームは全国最多の5校混成チームといったように、各チームともに色々と特色がある構成となっている。
2015年11月10日東京・北の丸公園にある科学技術館は10月23日、1964年の開館以来の来館者数が累計で3000万人に達したと発表し、併せて記念式典を開催した。2007年5月に2500万人を達成しており、約8年で500万人が来場したこととなる。記念すべき3000万人目は、神奈川県在住の小学2年生の男児を伴った2組の家族。同日開催された記念式典にて、2015年7月より館長に就任した2001年のノーベル化学賞受賞者でもある野依良治氏より、同氏直筆のメッセージが記されたサイン入り色紙と花束が贈られた。また、2名の男児には副賞として、知育玩具「アイキューキー」ならびに「生涯有効の科学技術館入館チケット」が進呈された。館長の野依氏は、「本日、式典に参加してくれた2名の男児が3000万人ではあるが、それまでにたくさんの来館者がいたからこそ達成できた数字。そうしたこれまで来館してくれた人たちにも感謝したい。日本は産業立国であり、これがなければ国として成り立たない。国土も狭く、資源も少ないが、科学の力は本当にすごい。21世紀以降で見れば、ノーベル賞受賞者数は米国に次いで2位。英国やドイツなどの科学大国よりも高い評価を受けているのは誇ってよいこと。科学がもとになって技術が生み出される。そのためにも、それを生み出していく人を育てていく必要がある」という観点から科学技術館が若い人の育成に向けた役割の一翼を担ってきたと説明。また、開館と時を同じくして開催された東京五輪にも触れ、「当時は新幹線が開通し、テレビが普及を始めるなど、人々のライフスタイルが変化し始めた。近年の五輪を見ても、科学と技術の塊。そうした意味でも、2020年の東京五輪も、技術革新の機会である」とする一方で地球が有するエネルギー資源が、人間の社会活動により消費され続けることによる枯渇懸念や気候変動にも言及。「今の人々の生活は、資源やエネルギーを、来館してくれた子供たちのさらに先の世代から許可なく借りて使っている、いわば借金生活の状態。そうしたことを踏まえて科学を考えなければいけない。科学からエネルギーや資源に関する技術が生み出されていくことで、限られた地球の中で人類が継続して生きていくために貢献していけるのではないかと思っている」とし、「若い人たちがそういったことを知ったうえで、たくましく、しなやかに生きていってもらいたい。科学技術館としてもそうした子供たちの力になっていきたい」と今後の科学技術館の向かうべき方向性を示した。さらに同氏は今回の3000万人という数にも言及。「ここで終わりではなく、これからどうするかというのがある。私としては、今後10~20年で3000万人(累計6000万人)を達成し、そうして来館してくれた子供たちの中から新たな技術が生み出されていく、そうした手伝いを科学技術館として進めていきたい。子供たち、頑張って」と未来を担う子供たちにエールを送ってくれた。なお、科学技術館では来館3000万人達成を記念して、2015年10月24日から同年11月23日までの土・日・祝日に来館する子供たち(4歳から高校生まで)を対象に、各日先着100名に、50周年記念マークと科学技術館の名前を入れたフィールドノート(野帳)を記念品としてプレゼントするキャンペーン行うとしている。
2015年10月23日「ココナッツオイルが脳に働く」と話題になっていますが、実はもっと脳にいいオイルがあるのをご存知ですか?それは、オリーブオイルにニンニクを漬け込んだ「アホエンオイル」。毎日の料理にかけるだけで、脳がすっきりすると話題を呼んでいます。■ニンニクに含まれる成分「アホエン」って?温めた植物油にニンニクを漬け込んだときにだけ抽出できる成分を「アホエン」といい、生のニンニクにはほとんど含まれていません。アホエンは活性酸素を減らすほか、脳の活性化、記憶力アップに効果があるといわれています。さらに、免疫力を高め、ガン細胞の分裂を抑える効果、白血病や皮膚ガンなどのガン細胞の増殖を抑制する効果などを含め、以下のような科学的効果の報告があるとされています。・脳年齢の若返り・動脈硬化の予防・活性酸素の抑制・美肌効果・肝臓保護作用・抗菌作用・ぜんそく予防・コレステロール値の正常化・尿酸値を下げる・中性脂肪が下がる・γ-GTPが正常になる■簡単で続けやすいアホエンオイルのパワー「アホエン」は生のままのニンニクを食べたり、高温で煮たり焼いたりする料理では摂取できません。ニンニクの匂い物質であり、アホエンの素「アリシン」は約50℃の油に溶かすことで、抽出できる成分だからです。また、無臭ニンニクにはアホエンの素となるアリシンが含まれないので、臭いがある通常のニンニクを選びましょう。(1)ニンニク3かけを細かく刻む(2)オリーブオイル(エキストラバージンタイプがおすすめ)150mlを耐熱容器に注ぎ、水を張った鍋に入れて湯煎で温める(3)オリーブオイルが50℃になったら耐熱容器を鍋から出して、(1)を加える(4)そのまま24時間置き、こし器でニンニクを濾す。(5)密閉容器に入れて冷暗所で保存し、1ヶ月以内に使い切るオリーブオイルを使う理由は、オリーブオイルの脂肪酸が悪玉コレステロールを減らす効果やビタミンEなどの栄養素が高いためです。気になるニンニクの匂いは控えめですが、しっかりした風味やコクがあるので、幅広い料理に合うのも特徴です。加熱はせず、料理の仕上げにサッと一振りして、料理にかけて1日1杯のアホエンオイルを摂取しましょう。*身近な食材で簡単につくれて、どんな料理とも相性が良い万能オイルなので、無理なく、毎日摂取できるのがうれしいですね。(文/Marico Taguchi)【参考】※篠浦伸禎(2012)『脳神経外科医が実践するボケない生き方』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2015年10月19日