英国アカデミー賞が発表された。作品賞に輝いたのは、『ノマドランド』。今作ではさらに、クロエ・ジャオが監督賞、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞、ジョシュア・ジェームズ・リチャーズが撮影賞を受賞した。主演男優賞は『ファーザー』のアンソニー・ホプキンス。助演男優賞は『Judas and the Black Messiah』のダニエル・カルーヤ、助演女優賞は『ミナリ』のユン・ヨジュン。イギリス映画賞は『プロミシング・ヤング・ウーマン』。脚本賞は『プロミシング・ヤング・ウーマン』、脚色賞は『ファーザー』だった。文=猿渡由紀『ノマドランド』公開中
2021年04月12日日曜日(現地時間)、英国アカデミー賞(BAFTA賞)がバーチャル開催された。クロエ・ジャオ監督作の『ノマドランド』が作品賞、監督賞を含む4部門を受賞。ジャオ監督は英国アカデミー賞史上、監督賞を受賞した2人目の女性であり、初の有色人種女性という偉業を達成した。なお、監督賞を受賞した初の女性は、2010年のキャスリン・ビグロー(『ハート・ロッカー』)。ジャオ監督は「この賞を、ノマディックコミュニティの人たちに捧げたいです。彼らは、生活の中に私たちを快く受け入れてくれましたから。夢、葛藤、深い尊厳について共有してくれたのです。年を重ねるということの美しさーー私たちが慈しみ、祝福すべき旅路を教えてくれたことに感謝します」とスピーチした。主演男優賞のアンソニー・ホプキンス(83)は、同賞の史上最年長受賞者となった。「テレグラフ」紙によると、本人は受賞するとは全く予想していなかったそうで、オンラインでの授賞式を見ずにウェールズのホテルで絵を描いていたという。主な受賞者・受賞作品は以下の通り。作品賞『ノマドランド』監督賞クロエ・ジャオ『ノマドランド』主演男優賞アンソニー・ホプキンス『ファーザー』主演女優賞フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』助演男優賞ダニエル・カルーヤ『Judas and the Black Messiah』助演女優賞ユン・ヨジョン『ミナリ』オリジナル脚本賞『プロミシング・ヤング・ウーマン』エメラルド・フェンネル英国作品賞『プロミシング・ヤング・ウーマン』(Hiromi Kaku)■関連作品:ノマドランド 2021年3月26日より全国にて公開© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.
2021年04月12日音楽の力がテーマの物語であり、また東宝ミュージカルの礎を築いた菊田一夫をモデルとする人物が登場したこともあってか、ミュージカル俳優が多数出演した2020年度の連続テレビ小説『エール』。なかでも主人公である裕一の幼馴染・佐藤久志を演じた山崎育三郎と、もうひとりの主人公である音の歌の先生・御手洗清太郎を演じた古川雄大は、劇中で“プリンス佐藤VSスター御手洗”として歌で対決したことなどもあり大きな話題を呼んだ。そんな山崎と古川がWキャストでタイトルロールを務める『モーツァルト!』が、本日4月8日(木)に帝国劇場で開幕する。『エリザベート』のミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)&シルヴェスター・リーヴァイ(作・編曲)の音楽、小池修一郎の訳詞・演出により、2002年に日本初演されたウィーン発のミュージカル。今やミュージカル界のトップランナーとなった井上芳雄と中川晃教の出世作としても知られ、井上&中川(2002~07)、井上&山崎(2010~14)、そして山崎&古川(2018)のWキャストにより再演が重ねられてきた。幕開けの舞台はザルツブルク。父レオポルトの英才教育を受け、5歳にして作曲の才を花開かせたヴォルフガングは“奇跡の子”と呼ばれていた。やがて成長した彼は、領主であるコロレド大司教に仕えて作曲する日々に嫌気がさし、自由を求めて旅に出る。旅先で母を亡くし、失意のうちに帰郷したヴォフルガングだったが、ヴァルトシュテッテン男爵夫人の激励と援助を受けて今度はウィーンへ。コンツタンツェと出会って結婚し、仕事も精力的にこなしていくのだが……? 天才作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの35年の生涯を、人間・ヴォルフガングと才能の化身・アマデとの葛藤の歴史として読み解く物語だ。レオポルトとコロレド大司教にそれぞれ扮するのは、初演から約20年にわたって同役を当たり役としてきている日本ミュージカル界の二大レジェンド、市村正親と山口祐一郎。ほか、コンツタンツェの木下晴香、ナンネールの和音美桜、男爵夫人の涼風真世と香寿たつきともに前回からの続投という盤石の布陣だ。『エール』を通じてミュージカルに興味を持った朝ドラファンの観劇デビューにうってつけの作品と言えるだろう。文:町田麻子公演情報ミュージカル『モーツァルト!』脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ演出・訳詞:小池修一郎(宝塚歌劇団)出演:山崎育三郎 / 古川雄大※Wキャスト木下晴香和音美桜涼風真世 / 香寿たつき※Wキャスト山口祐一郎市村正親阿知波悟美 / 遠山裕介 / 松井工 / 阿部裕 / 他【東京公演】2021年4月8日(木)~2021年5月6日(木)会場:帝国劇場【北海道公演】2021年5月14日(金)~2021年5月17日(月)会場:札幌文化芸術劇場hitaru【大阪公演】2021年5月25日(火)~2021年6月7日(月)会場:梅田芸術劇場 メインホール
2021年04月08日現在配信中のVR演劇『僕はまだ死んでない』の販売延長が決定した。さらに原案・演出のウォーリー木下からのメッセージも公開されている。コロナ禍で、劇場での有観客公演が依然として厳しい状況にある中、劇場体験の代替ではない、全く新しい演劇体験として、VR(バーチャルリアリティー)技術を用いて誕生した「VR演劇」。演劇を楽しむ醍醐味である“舞台上の観たい部分に注目しながら”かつ“舞台上の主人公の視点で”楽しめる、新感覚の演劇体験となっている。本作では舞台上の主人公の視点にVRカメラを設置して収録。劇場上演の演劇では見ることのできない、舞台上から360度ぐるりと見渡せる映像で、主人公の気持ちに寄り添うも良し、ずっとひとりの人物を追い続けるも良し。自由な視点で、何度も、幾通りも楽しむことができる。主人公・直人は、脳卒中で倒れ、自分の意思で動かせるのは眼球と瞼だけ、という状態。直人を取り囲むのは、父、兄貴分の幼馴染、担当医、離婚の話し合いが進んでいた妻。もしも、自分の大事な人が、もしくは自分自身が、倒れて生死の境をさ迷う状態になったら……。その時に人は、何を想い、何を選択するのか。目を背けがちで話題には上がりにくい、けれど誰もがいつかは迎える「人生の最期」について、エンタテインメントとして、ときにコメディタッチに描いて観客を惹き込み、構えることなく思いを巡らすことのできる作品だ。この販売延長を機に、この新しい映像体験にトライしてほしい。ウォーリー木下・コメント――この物語の出発点、着想は?この企画はまず、VRで演劇を作ろう、というところから始まりました。私自身も初めてのVRだったので色んな形のVRを体験しましたが、その中でも360度カメラのVR映像にとても惹かれました。その360度カメラを使って、円形舞台の反対、お客さんが真ん中にいて周りを役者が囲む「ドーナツ型」の舞台を作ろうと思いました。つまり、舞台上の真ん中にカメラを置くことで、真ん中にお客さんの視点がある、という形です。そのお客さんの存在を役者も感じながら話が進んでいく、また、一方的でアクションは起こせないという制約などを考え、当時ちょうど「終末医療」について勉強していたことも重なり、この物語を作りました。――映像作品でもありますが、本作を“演劇”たらしめる要素とは?昨年は、無観客配信やアーカイブの配信など、私自身も色んな演劇の配信を観ましたが、あくまでも舞台演劇を記録した映像であって、これまでいつも実際に客席で体験していた「生」の作品とはやはり違うなとも思いました。どうやったら映像配信でもより演劇に近い臨場感を与えられるか……と考える中で、「お客さんが好きなところを観ることができる」「色々な人たちが一堂に集まって、個人個人の心の中でドラマを楽しむ」というのが演劇の魅力だと思いましたが、それに近いことを、360度カメラを体験した時に感じました。それがこの「VR演劇」の、もっとも演劇らしい部分のひとつかなと思います。――完成した作品を観ていかがでしたか?「終末医療」という重たいテーマであり、ズシリとも来るのですが、広田(淳一)くんの脚本によって軽やかな人間ドラマに昇華されていて、良い意味で他人事のようにも感じられ、その距離感がVRにとても合っていたと思います。終末医療というテーマについては、広田くんと何度もやり取りしながら作り上げました。日本では終末期の患者さんなどが、自分で死、すなわち生き方を選べない状況もある……という難しい現状があり、それに対して問題提起というか、自分が将来そうなった時にどうするんだろう、とも考えていますが。それを「当事者の話にしたい」という思いが広田くんと私の中にありました。――今後、VR演劇でやってみたいことは?たくさんあります。お客さんが能動的に動くことでアクションやドラマが変わっていったり、例えばVRグローブを使ったりなど、もっとインタラクティブ(双方向)なものが作れたら、より演劇として面白くなるなと思っています。「VR演劇元年」が2020年に始まったと感じています。演劇の豊かな発展につながっていくと思いますし、いちアーティストとしてとても面白い表現だと感じています。これをどんどんブラッシュアップさせ、ここから新しいものが生まれていくのだと思います。ぜひ、怖がらずに試していただけたら嬉しいです。■配信情報VR演劇『僕はまだ死んでない』配信チケット販売: ~3月31日(水)23時59分※期間中何回でも購入可。閲覧可能期間: ~4月7日(日)23時59分まで閲覧期限:7日間配信チケット価格:3,500円(税込)<チケット販売窓口>・Blinky販売期間:~3月31日(水)23時59分購入先: 視聴期間:購入から7日間・ぴあ販売期間:~3月31日(水)23時59分購入先: https:/w.pia.jp/t/madashindenai/視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録: ・楽天チケット販売期間:~3月31日(水)22時購入先: 視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録: ・チケットペイ販売期間:~3月31日(水)22時購入先: 視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録: ・イープラス販売期間:~3月31日(水)22:00購入先: 視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録:
2021年02月27日ついに、VR(ヴァーチャル・リアリティ)で演劇を楽しむ時代が来た。新感覚の演劇作品『僕はまだ死んでない』がVR動画配信サービス「Blinky」で配信されている。新型コロナウイルスの感染拡大により、以前のように劇場で観劇をすることが難しい状況が続くが、コロナ禍の今だからこそ届けられる作品もあるはずということで、立ち上がった本企画。既存の演劇のオンデマンド配信作品ではなく、VR技術を用いて、映像で演劇を楽しむ作品となっている。実際に、ヘッドマウントディスプレイとイヤホンを装着して、作品を観た。場面は、壁に包まれた病室。どうやら「僕」はベッドの上にいる状態らしいと分かる。「僕」の父(斉藤直樹)や担当医(輝有子)、「僕」の友人の碧(加藤良輔)、離婚の話し合いが進んでいた妻・朱音(渋谷飛鳥)が話をしている。会話の内容から、「僕」は直人(内海啓貴)というらしく、「元通りになる可能性はないし、むしろ生き延びたことを奇跡だと思って欲しい」と言われるような状態だということが分かってきて……。そして、迫られる「終末医療」の選択。軽妙でユーモアもありながら、否応なしに、人生の最期について考えさせられる作品だ。演劇的には、360度、自由に映像が見られるのが面白い。話している相手の顔を見ることもできるし、周囲の会話を聴きながら、窓の外の風景を眺めることもできる。「直人」の体は動かないので、自分自身が俳優として舞台に参加しているような気もするし、物を言いたいのに伝えられないもどかしさも味わうなど、「直人」の意識をそのまま生きているような気もして、不思議な感覚に陥る。作品の途中、場面が切り替わり、VRならではの映像が挟み込まれる。演劇とも映画とも何かが違う、新感覚な観劇体験だった。上演時間は約1時間ほど。ヘッドマウントディスプレイでなくとも、スマートフォンやタブレット、各種ブラウザで視聴可能。7日間の閲覧期間中、何回でも見られるので、別の角度から作品を楽しんだり、映像を拡大してみたり、いろいろと楽しみ方がありそうだ。ぜひおうち時間のお供に、新しい観劇体験をしてほしい。取材・文:五月女菜穂公演情報VR演劇『僕はまだ死んでない』原案・原作・演出:ウォーリー木下脚本:広田淳一音楽:吉田能出演:内海啓貴 / 斉藤直樹 / 加藤良輔 / 輝有子 / 渋谷飛鳥 / 瀧本弦音 / 木原悠翔配信チケット販売:好評発売中閲覧期限:シリアルコード登録から1週間※最終閲覧は3月7日(日)23:59迄公式サイト: 月13日(土)より「Defiled-ディファイルド-」「Equal-イコール-」「35MM: A MUSICAL EXHIBITION」一挙配信中!一挙配信の詳細はこちら:
2021年02月16日2020年の演劇界の成果を顕彰する第28回読売演劇大賞(主催:読売新聞社、後援:日本テレビ放送網)の受賞作・受賞者が9日、明らかになった。同賞は演劇文化の振興のために1992年に創設され、選考委員のノミネート、投票委員の投票という2段階を経て、作品、男優、女優、演出家、スタッフの5部門の年間最優秀賞を決定する。このほか、新人を顕彰する杉村春子賞や、長年の功績や優れた企画を顕彰する芸術栄誉賞を設けている。大賞・最優秀女優賞には世田谷パブリックシアター『殺意 ストリップショウ』の緑川美沙役の演技、及び東京芸術劇場『真夏の夜の夢』のそぼろ役の演技が評価された女優の鈴木杏が選ばれた。最優秀作品賞には『リチャード二世』(新国立劇場)、最優秀男優賞には山崎一、最優秀演出家賞には藤田俊太郎が選ばれ、さらに世田谷パブリックシアター/東京グローブ座『エレファント・マン』ジョン・メリック役の演技が評価された小瀧望が、杉村春子賞に輝いた。選考委員特別賞には「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」が選出された。正賞はブロンズ像「蒼穹」、副賞は大賞・最優秀女優賞に200万円、その他の最優秀賞並びに杉村春子賞、芸術栄誉賞、選考委員特別賞に各100万円が贈られる。贈賞式は2月25日17時半より開催され、式典の模様は、読売新聞オンラインにてライブ中継される。○大賞・最優秀受賞作・受賞者■大賞・最優秀女優賞鈴木杏:世田谷パブリックシアター『殺意 ストリップショウ』の緑川美沙役の演技、東京芸術劇場『真夏の夜の夢』のそぼろ役の演技■最優秀作品賞『リチャード二世』(新国立劇場)■最優秀男優賞山崎一:Bunkamura『十二人の怒れる男』の陪審員3番役の演技、シス・カンパニー『23階の笑い』のヴァル役の演技■最優秀演出家賞藤田俊太郎:東宝『天保十二年のシェイクスピア』の演出、梅田芸術劇場『NINE』の演出、梅田芸術劇場『VIOLET』の演出■最優秀スタッフ賞齋藤茂男:KAAT神奈川芸術劇場『アルトゥロ・ウイの興隆』の照明、世田谷パブリックシアター「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」の照明■杉村春子賞小瀧望:世田谷パブリックシアター/東京グローブ座『エレファント・マン』のジョン・メリック役の演技■芸術栄誉賞緒方規矩子:舞台衣装デザイナーとして長年にわたり活躍し、多くの後進を育成した■選考委員特別賞「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」(世田谷パブリックシアター)○優秀賞受賞作・受賞者■優秀作品賞『天保十二年のシェイクスピア』(東宝)『ゲルニカ』(パルコ)『NINE』(梅田芸術劇場)■優秀男優賞大谷亮介:serial number『All My Sons』片岡仁左衛門:国立劇場『彦山権現誓助剣-毛谷村―』小瀧望:世田谷パブリックシアター/東京グローブ座『エレファント・マン』城田優:梅田芸術劇場『NINE』■優秀女優賞安蘭けい:TBS/ホリプロ/梅田芸術劇場/WOWOW『ビリー・エリオット 〜リトル・ダンサー〜』池谷のぶえ:パルコ『獣道一直線!』神野三鈴:serial number『All My Sons』那須佐代子:シアター風姿花伝『ミセス・クライン』、新国立劇場『リチャード二世』■優秀演出家賞詩森ろば:serial number『All My Sons』、流山児★事務所『コタン虐殺』瀬戸山美咲:世田谷パブリックシアター「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」原田諒:宝塚歌劇団『ピガール狂騒曲』眞鍋卓嗣:俳優座『雉はじめて鳴く』、名取事務所『少年Bが住む家』■優秀スタッフ賞梅田哲也:Bunkamura『プレイタイム』の構成・演出乘峯雅寛:加藤健一事務所『プレッシャー-ノルマンディーの空-』の美術、シアター風姿花伝『ミセス・クライン』の美術前田文子:梅田芸術劇場『NINE』の衣装宮川彬良:東宝『天保十二年のシェイクスピア』の作曲
2021年02月09日VR演劇「僕はまだ死んでない」が本日2月1日より配信開始された。コロナ禍で、劇場での有観客公演が依然として厳しい状況にある中、劇場体験の代替ではない、全く新しい演劇体験として、VR(バーチャルリアリティー)技術を用いて誕生した【VR 演劇】。演劇を楽しむ醍醐味である“舞台上の観たい部分に注目しながら”、かつ“舞台上の主人公の視点で”楽しめる、新感覚の演劇体験となっている。本作では、舞台上の、物語の主人公の視点に VR カメラを設置して収録。劇場上演の演劇では見ることのできない、舞台上から360度ぐるりと見渡せる映像で、主人公の気持ちに寄り添うも良し、ずっとひとりの人物を追い続けるも良し。自由な視点で、何度も、幾通りも楽しむことができる。本作「僕はまだ死んでない」の主人公・直人は、脳卒中で倒れ、自分の意思で動かせるのは眼球と瞼だけ、という状態。直人を取り囲むのは、父、兄貴分の幼馴染、担当医、離婚の話し合いが進んでいた妻。もしも、自分の大事な人が、もしくは自分自身が、倒れて生死の境をさ迷う状態になったら……。そのとき人は、何を想い、何を選択するのか。目を背けがちで話題には上がりにくい、けれど誰もがいつかは迎える「人生の最期」について、エンタテインメントとして、ときにコメディタッチに描いて観客を惹き込み、構えることなく思いを巡らすことのできる作品となっている。原案・演出をウォーリー木下、脚本を広田淳一が手がけ、キャストには、内海啓貴、斉藤直樹、加藤良輔、輝有子、渋谷飛鳥、瀧本弦音、木原悠翔が名を連ねた。VR 演劇「僕はまだ死んでない」原案・演出:ウォーリー木下脚本:広田淳一音楽:吉田能出演:内海啓貴 斉藤直樹 加藤良輔 輝有子 渋谷飛鳥 瀧本弦音 木原悠翔企画・製作:シーエイティプロデュース公式サイト: ★配信概要配信チケット:発売中〜2 月 28 日(日) ※期間中何回でも購入可配信期間:2月1日(月)18:00〜3月7日(日)23:59視聴期限7日間配信チケット価格:3,500円(税込)●チケット販売◆Blinky 販売期間:2月1日(月) 18:00〜2月28 日(日) 23:59購入先: 視聴期間:購入から7日間◆ぴあ 販売期間:1月17日(日) 18:00〜2月28日(日) 22:00購入先: https:/w.pia.jp/t/madashindenai/視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録: ◆楽天チケット 販売期間:1月17日(日) 18:00〜2月28日(日) 22:00購入先: 視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録: ◆チケットペイ 販売期間:1月17日(日) 18:00〜2月28日(日) 22:00購入先: 視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録: ◆イープラス 販売期間:1月22日(金) 18:00〜2月28日(日) 22:00購入先: 視聴期間:シリアルコード登録から7日間シリアルコード登録:
2021年02月01日VR演劇『僕はまだ死んでない』が2月1日より配信される。聴き慣れない「VR演劇」という言葉だが、舞台上から360°を収録できるカメラで撮影し配信、観客は自身のスマートフォンやヘッドマウントディスプレイを使用することによって、まるで自身が主人公であるかのような視界で、観たいアングルを自由に選択して楽しむことができる新たなスタイルの演劇となっている。新型コロナウイルスの影響により、集客型の上演が難しい中で、演劇ならではの臨場感を届けたいという思いから立ち上げられた。今回上演される『僕はまだ死んでない』は、原案・演出をウォーリー木下氏、脚本を広田淳一氏が手掛け、内海啓貴、斉藤直樹、加藤良輔、輝有子、渋谷飛鳥らが出演する。壁に包まれた病室で、脳卒中で倒れ意識はあるが体が動かない主人公・白井直人(内海)の視点から家族や友人のやりとりを見つめていくこととなる。今回は、原案・演出を務めたウォーリー木下氏にインタビューし、同作で目指したものやコロナ禍の演劇について話を聞いた。○■演劇を観に来るお客さんは、解釈の楽しさを知っている――「VR演劇」というなかなか聞き慣れない形式で、今回の企画はどのようにして今の形になったんですか?これまでに演劇の公演でVRカメラを使う配信もあったのですが、今回はせっかく企画から立ち上げるので、VRカメラでしか作れない作品にしてみようと考えました。視聴者が出演者となるような形で体験できるものを作りたいと思い、いろんな案を出したんです。中には、「椅子に縛りつけられてる人質」といった案もありました(笑)。いろいろ考えるうちに、いわゆる閉じ込め症候群だと「しゃべれないけど見ることができる」状態なのではないかと思い、僕が終末医療や安楽死といったテーマに興味があったので、結び付けてみたらどうだろうと提案しました。――映像作品に近いところもあるのかな? と想像するのですが、監督のような感覚はあったんですか?稽古の時は演出家ですが、撮影の日は監督みたいでしたね。稽古中はずっと、お客さんの視点である、役者たちの真ん中にいたので、すごく嫌だったと思います(笑)。不思議な稽古でした。――映像作品だけど演劇である、というのはどういうところがポイントでしょうか?“演劇の映像作品”だと思うポイントは、お客さんが自由に見るところを決められる部分です。例えば人物が目の前にいても、横の窓を見ていることもできるんです(笑)。――例えば、好きな俳優さんをずっと見ているなんてことも可能なんですね。全然構わないです。好きな情報を得て編集し、好きな解釈を入れて、世界に1つしかない自分の作品を作れます。多分、演劇を観に来られるお客さんはみんなその喜びを知っていて、1つの解を求めているわけではないのだと思います。――主演の内海さんのファンの方は、内海さんをずっと見るようなことは難しいでしょうか?それだけはちょっと残念なんですが、自分が内海さんになった気持ちにはなれますから、なかなかできない体験です(笑)。もちろん内海さんも臨場感のある形で登場しますので、そこは楽しみにしていただければ。――台本を拝見すると、セリフに対して「【★】前の人物の台詞の語尾に重ねて言う」など、いろいろな記号が書かれていますが、これは今回の企画に合わせていたんですか?いえ、もともと広田くんの脚本がそういうスタイルなんです。とても作りやすく、今回やりたかったこともすごく合っていました。日常の会話ではしゃべる順番がきれいに分かれることはなく、しゃべっている最中に相槌を打ったりもするじゃないですか。見ている方からすると「これは本当に今そこで起こってるんじゃないか」と錯覚するような、喫茶店で隣の人が会話しているのを聞いているようなリアルさになっていると思います。○■「自分の仕事が簡単になくなるんだ」という恐怖――先ほど終末医療などについて気になっていたということでしたが、どういうところが気になっていたんですか?カメラマンの幡野広志さんが、TEDで「安楽死について検討している」という話をされていて。医療はどうしても生きることを念頭に置くものだけど、もし自分がそうなった時、死にたい時に死ねることも大事なのかなと考えさせられたんです。そこからコロナの時代になって、より自分や身内が死ぬ時のことを考えたり。弱者が見捨てられていく世界は寂しいし、答えがあるわけじゃないんですけど、深く考えたいと思うテーマでした。――コロナの時代になってから、いつ自分がどうなるかわからないという気持ちも身近なものになりました。みんな、そうですよね。ただどうも、こういうことについて考えること自体をあまり良いものとしない傾向はあるかもしれないので、今回のようなアトラクション感覚であっても、自分に置き換えられるというのは、意味があることではないかと思って作ってみました。――やはりコロナがあって、新しいものを演劇に結びつけていくという試みは増えていきましたか?僕自身はもともと、舞台があり客席があるものだけが演劇じゃない、と思ってトライしてきたので、その延長線上にある感覚です。4月〜5月の自粛中は落ち込みはしなかったんですけど、新しいことをしたいという気も起きず、ようやく夏くらいから、僕の周りのやる気がある方たちに感化されてきました(笑)。業界として風当たりも強かったですし、これから先どうやったら文化として演劇を認めてもらえるのか。きちんと演劇のことを伝えていって、また第二第三の危機がきた時にもできることを増やしていかないと、と思います。とにかく日本は演劇を見ている人が少ないので、本当に1人でも増やしていかないと。――役者さんにインタビューすると、「エンターテインメントは不要不急なものである」とダメージを受けてるのかな、と思うことがあります。一方で見ている方としては、必要なものだと思っていたので、そこまで皆さんが「不要不急」という言葉を気にしているんだと意外でもありました。みんな、単純に「自分の仕事が簡単になくなるんだ」と思ったんですよね。舞台を中心にしている俳優さんからすると、あっけなく公演中止になるし、とても怖い時代で戦々恐々としていると思います。でも見ている方が「そんなことないよ」と言ってくれることが、大きな糧にもなりますし、この作品を作るにあたって、余計なお世話だけど「役者さんの仕事をちゃんと増やさないといけないな」という気持ちもあったんです。たとえコロナで誰か陽性者が出ても、このVR演劇は永久に上演できる。今後も、他の方法も含めて色々な作戦を考えていかなきゃいけないなと思っています。――例えばチーム制にするとか…?もちろん、チーム制、Wキャスト、トリプルキャスト、アンダースタディも方法の1つです。あとは舞台上に役者が出てこなくても出ている形をとれる演劇とか、いろいろな形はあるはずなんです。37.5度出たら、もう公演が中止になるかもしれないとか、かわいそうじゃないですか。37.5度くらい、コロナにかからなくても出ることはある。それで公演中止とならないような仕組みを、作っていかないといけないですよね。――それはすごく楽しみです。ぜひ最後にメッセージもいただけたら。重たいテーマで、かつ聞き慣れない「VR演劇」というジャンルなんですけど、演劇の初心者の方でも楽しめるようになっています。見終わった後に深く考えられるところがたくさんあって、何度見ても楽しめる作品になっていますので、ぜひ1人で楽しんでください(笑)。1人でしか楽しめないので、絶対に密にならない演劇です。※配信チケットは2月28日23時59分まで、期間中何回でも購入可能となっている。閲覧は2月1日18時~3月7日23時59分で閲覧期限は7日間、配信チケット価格は3,500円(税込)。■ウォーリー木下93年、神戸大学在学中に演劇活動を始め、劇団☆世界一団を結成し、現在は「sunday(劇団☆世界一団を改称)」の代表として全ての作品の作・演出を担当。外部公演も数多く手がけ、役者の身体性に音楽と映像とを融合させた演出を特徴としている。また、ノンバーバルパフォーマンス集団「THE ORIGINAL TEMPO」のプロデュースにおいてはエジンバラ演劇祭にて五つ星を獲得するなど、海外で高い評価を得る。10ヶ国以上の国際フェスティバルに招聘され、演出家として韓国およびスロヴェニアでの国際共同製作も行う。2018年4月より「神戸アートビレッジセンター(KAVC)」舞台芸術プログラム・ディレクターに就任。2017年と2018年には手塚治虫生誕90周年記念MANGA Performance『W3 ワンダースリー』ではノンバール作品として構成・演出を、2019年と2020年にはデイヴィッド・アーモンド作『スケリグ』の演出を手掛ける。
2021年01月31日『第44回日本アカデミー賞』の優秀賞が27日に明らかになり、授賞式の司会を務める羽鳥慎一、シム・ウンギョンがコメントを寄せた。日本アカデミー賞協会が主催する「第44回日本アカデミー賞」は、昨年度に劇場公開された映画の作品賞や主演男優賞、主演女優賞、新人俳優賞などを表彰するもの。今回は2019年12月16日~2020年12月31日までに公開され選考基準を満たした作品(日本映画154作品、外国映画210作品)に対し、日本アカデミー賞協会会員(3,953名)の投票が行われた。3月19日にグランドプリンスホテル新高輪にて開催される第44回の授賞式に先立ち、正賞15部門各優秀賞、および新人俳優賞が決定。授賞式では、羽鳥慎一(昨年に続き2回目)と、外国人俳優で初の最優秀主演女優賞を受賞したシム・ウンギョン(『新聞記者』で第43回最優秀主演女優賞受賞)が司会を務め、受賞者を迎える。○羽鳥慎一 コメントこの賞は、映画に関わる今年1年の総決算、1年に1度のお祭りなんだ」と去年お伺いしました。今年もそのお祭りに進行役・サポート役として携わらせていただきます。緊張はしますが、晴れの舞台を特等席で観られるという、こんな素晴らしい機会に立ちあうことができます。普段、集うことができない第一線の俳優さんが一堂に会します。去年、「この方々はこういう関係性なんだ」と感じることができました。今年も間近ででそれぞれの俳優さんの知られざる関係性を知ることができるのがとても楽しみです。○シム・ウンギョン コメント今年も素晴らしい作品が多いので、受賞者の皆さんにお会いして、お話をお伺いするのを楽しみにしています。昨年、本当に貴重な賞をいただいて、未だに感謝の気持ちや喜びがあふれています。今年は司会者として授賞式に参加します。司会を務めるのは人生で初めてですので、しっかりと言葉を届けられるように、日本語の勉強を頑張っております。よろしくお願いします。○『第44回日本アカデミー賞』の主な受賞作品・受賞者※作品名は対象作品・優秀作品賞『浅田家!』『男はつらいよ お帰り 寅さん』『罪の声』『ミッドナイトスワン』『Fukushima 50』・優秀アニメーション作品賞『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』『映画 えんとつ町のプペル』『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』『ジョゼと虎と魚たち』『STAND BY ME ドラえもん 2』・優秀監督賞内田英治『ミッドナイトスワン』河瀨直美『朝が来る』土井裕泰『罪の声』中野量太『浅田家!』若松節朗『Fukushima 50』・優秀主演男優賞小栗旬『罪の声』草なぎ剛『ミッドナイトスワン』佐藤浩市『Fukushima 50』菅田将暉『糸』二宮和也『浅田家!』・優秀主演女優賞小松菜奈『糸』永作博美『朝が来る』長澤まさみ『コンフィデンスマンJP プリンセス編』『MOTHER マザー』倍賞千恵子『男はつらいよ お帰り 寅さん』広瀬すず『一度死んでみた』・優秀助演男優賞宇野祥平『罪の声』妻夫木聡『浅田家!』成田凌『窮鼠はチーズの夢を見る』星野源『罪の声』渡辺謙『Fukushima 50』・優秀助演女優賞江口のりこ『事故物件 恐い間取り』黒木華『浅田家!』後藤久美子『男はつらいよ お帰り 寅さん』桃井かおり『一度も撃ってません』安田成美『Fukushima 50』・新人俳優賞服部樹咲『ミッドナイトスワン』蒔田彩珠『朝が来る』森七菜『ラストレター』岡田健史『望み』『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』『弥生、三月-君を愛した30年-』奥平大兼『MOTHER マザー』永瀬廉『弱虫ペダル』(C)日本アカデミー賞協会
2021年01月27日1月26日、第44回日本アカデミー賞の優秀賞が選ばれ、優秀作品賞に『浅田家!』『男はつらいよ お帰り 寅さん』『罪の声』『ミッドナイトスワン』『Fukushima 50』の5作品が選ばれた。コロナ禍による映画館休業などを考慮し、今回は2019年12⽉16⽇(⽉)〜2020年12⽉31⽇(⽊)までに公開され、選考基準を満たした作品(⽇本映画154作品、外国映画210作品)に対し、⽇本アカデミー賞協会会員(3953名)の投票が実施された。今回は⽻⿃慎⼀と、昨年外国⼈俳優で初の最優秀主演⼥優賞を受賞したシム・ウンギョンが司会を務め受賞者を迎える。羽鳥は、「今年も間近ででそれぞれの俳優さんの知られざる関係性を知ることができるのがとても楽しみです」とコメント。シム・ウンギョンは「司会を務めるのは⼈⽣で初めてですので、しっかりと⾔葉を届けられるように、⽇本語の勉強を頑張っております」と意気込みを語っている。なお、授賞式は3⽉19⽇(⾦)にグランドプリンスホテル新⾼輪にて開催される。優秀賞受賞者や新⼈俳優賞受賞者が⼀堂に会し、優秀賞の中から最優秀賞が発表される。第44回日本アカデミー賞の主な受賞結果は以下の通り。■優秀作品賞『浅田家!』『男はつらいよ お帰り 寅さん』『罪の声』『ミッドナイトスワン』『Fukushima 50』■優秀アニメーション作品賞『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』『映画 えんとつ町のプペル』『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』『ジョゼと虎と魚たち』『STAND BY ME ドラえもん2』■優秀監督賞内田英治(『ミッドナイトスワン』)河瀨直美(『朝が来る』)土井裕泰(『罪の声』)中野量太(『浅田家!』)若松節朗(『Fukushima 50』)■優秀主演男優賞小栗旬(『罪の声』)草彅 剛(『ミッドナイトスワン』)佐藤浩市(『Fukushima 50』)菅田将暉(『糸』)二宮和也(『浅田家!』)■優秀主演女優賞小松菜奈(『糸』)永作博美(『朝が来る』)長澤まさみ(『コンフィデンスマンJP ブリンセス編』)長澤まさみ(『MOTHER マザー』)広瀬すず(『一度死んでみた』)■優秀助演男優賞宇野祥平(『罪の声』)妻夫木 聡(『浅田家!』)成田 凌(『窮鼠はチーズの夢を見る』)星野 源(『罪の声』)渡辺 謙(『Fukushima 50』)■優秀助演女優賞江口のりこ(『事故物件 恐い間取り』)黒木 華(『浅田家!』)後藤久美子(『男はつらいよ お帰り 寅さん』)桃井かおり(『一度も撃ってません』)安田成美(『Fukushima 50』)■優秀脚本賞内田英治(『ミッドナイトスワン』)中野量太/菅野友恵(『浅田家!』)野木亜紀子(『罪の声』)前川洋一(『Fukushima 50』)山田洋次/朝原雄三(『男はつらいよ お帰り 寅さん』)■新人俳優賞服部樹咲(『ミッドナイトスワン』)蒔田彩珠(『朝が来る』)森 七菜(『ラストレター』)岡田健史(『望み』『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』『弥生、三月-君を愛した30年-』)奥平大兼(『MOTHER マザー』)永瀬 廉(『弱虫ペダル』)【授賞式司会者からのコメント】<⽻⿃慎⼀(第43回授賞式に続き2回⽬)>「この賞は、映画に関わる今年1年の総決算、1年に1度のお祭りなんだ」と去年お伺いしました。今年もそのお祭りに進⾏役・サポート役として携わらせていただきます。緊張はしますが、晴れの舞台を特等席で観られるという、こんな素晴らしい機会に⽴ちあうことができます。普段、集うことができない第⼀線の俳優さんが⼀堂に会します。去年、「この⽅々はこういう関係性なんだ」と感じることができました。今年も間近ででそれぞれの俳優さんの知られざる関係性を知ることができるのがとても楽しみです。<シム・ウンギョンさん(第43回授賞式にて、『新聞記者』で最優秀主演⼥優賞受賞)今年も素晴らしい作品が多いので、受賞者の皆さんにお会いして、お話をお伺いするのを楽しみにしています。昨年、本当に貴重な賞をいただいて、未だに感謝の気持ちや喜びがあふれています。今年は司会者として授賞式に参加します。司会を務めるのは⼈⽣で初めてですので、しっかりと⾔葉を届けられるように、⽇本語の勉強を頑張っております。よろしくお願いします。【「第44回⽇本アカデミー賞 授賞式」実施概要】実施⽇:3⽉19⽇(⾦)会場:グランドプリンスホテル新⾼輪 国際館パミール司会:⽻⿃慎⼀、シム・ウンギョン副賞協⼒:ブルガリ協賛:サラヤ 横井定
2021年01月27日全米映画批評家協会賞が発表された。作品賞に輝いたのは、『ノマドランド』。今作ではほかに、クロエ・ジャオが監督賞、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞を受賞した。主演男優賞は『ザ・ファイブ・ブラッズ』のデルロイ・リンドー。助演男優賞は『サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜』のポール・レイシー、助演女優賞は『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』のマリア・バカローヴァ。脚本賞は『First Cow』のイライザ・リットマンだった。文=猿渡由紀『ノマドランド』3月26日(金)公開
2021年01月11日ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)が、映画『Minari』を作品賞ではなく外国語映画賞の選考対象とすることを発表。ルル・ワン監督、フィル・ロード監督、ダニエル・デイ・キム、シム・リウなど多くの映画人から批判が上がっている。ゴールデングローブ賞の作品賞の選考対象となるには、全編を通して少なくともセリフの半分以上が英語でなければならないというルールがある。これに則り、HFPAは『Minari』を“外国語映画枠”に当てはめたのだろう。しかし、『Minari』は韓国語を話すキャラクターたちが主役ではあるものの、韓国からアメリカ・アーカンソー州に移民してきた一家を中心に描き、監督はアメリカ人のリー・アイザック・チョンだ。HFPAを批判した1人のワン監督は、「私は今年、『Minari』ほどアメリカらしい映画を観ていません。これは、“アメリカ”を舞台に、移民一家がアメリカン・ドリームを追い求める物語。英語話者であるというだけでアメリカ人だとみなす時代遅れなルールは、本当に変える必要があります」と『Minari』を作品賞の選考対象にするべきだとツイッターで主張している。『シャン・チー』(原題)でMCU初のアジア人ヒーローに抜擢されたシム・リウは、「念のために言っておきますが、『Minari』はアメリカ人のフィルムメーカーが脚本を書き、監督し、アメリカの製作会社がプロデュースしたアメリカ映画で、主役はアメリカ人、舞台はアメリカです」と『Minari』がいかにアメリカらしいアメリカ映画であるかを説いた。(Hiromi Kaku)
2020年12月24日日曜日(現地時間)、第46回ロサンゼルス映画批評家協会賞が発表された。作品賞を受賞したのは、Amazonのアンソロジー映画『Small Axe』。同協会賞の歴史において、複数の映画で構成されたアンソロジー映画が作品賞を受賞したのは初めて。同作はエミー賞や全米映画俳優組合賞などでは、「リミテッド・シリーズ」部門で選考される模様だ。主演男優賞には、今年8月に結腸がんのため43歳で亡くなったチャドウィック・ボーズマンが選ばれた。遺作である『マ・レイニーのブラックボトム』での好演が話題となっており、これから開催される数々の授賞式でのノミネーションや受賞が予想されている。主な受賞リスト作品賞受賞:『Small Axe』(スティーヴ・マックイーン監督)次点:『ノマドランド』(クロエ・ジャオ監督)監督賞受賞:クロエ・ジャオ監督(『ノマドランド』)次点:スティーヴ・マックイーン監督(『Small Axe』)主演男優賞受賞:チャドウィック・ボーズマン(『マ・レイニーのブラックボトム』)次点:リズ・アーメッド(『サウンド・オブ・メタル-聞こえるということ-』)主演女優賞受賞:キャリー・マリガン(『Promising Young Woman』)次点:ヴィオラ・デイヴィス(『マ・レイニーのブラックボトム』)助演男優賞受賞:グリン・ターマン(『マ・レイニーのブラックボトム』)次点:ポール・レイシー(『サウンド・オブ・メタル-聞こえるということ-』)助演女優賞受賞:ユン・ヨジョン(『Minari』)次点:アマンダ・サイフリッド(『Mank/マンク』)脚本賞受賞:『Promising Young Woman』(エメラルド・フェンネル)次点:『Never Rarely Sometimes Always』(エリザ・ヒットマン)(Hiromi Kaku)
2020年12月21日演劇集団 円が林業のあり方にスポットを当てた、新作公演『光射ス森』が12月19日(土)に開幕する。1975年から良質な演劇作品を上演し続けてきた老舗集団「演劇集団 円」。渡辺謙や津田寛治ら演技派俳優を多く輩出してきた同集団は、さまざまなテーマや形態で、上演活動をひたむきに重ねている。今回、作・演出を担うのは内藤裕子。漫画家、噺家、政治家、藍染め職人など、少々特殊な職業の現場を舞台にした、人間味溢れる物語作りに定評がある。そんな内藤が今回採り上げるのは「林業」。木を植えた者の何代も先、子や孫の世代がようやく伐採までたどり着く、壮大なスケールの産業である。親族だけでなく、山を慈しむ者たちによって受け継がれていくこの営みの、来し方行く末を丁寧に描き出す本作。内藤は「利便性や、経済が優先される今、その森が見捨てられ、荒廃している。そこに踏みとどまり、あるいは飛び込んで、豊かな森を残そうと、懸命に生きる人々の物語を創りたい」とコメントしている。公演は27日(日)まで、東京・両国シアターXにて。文:小川志津子(チラシより)日本の国土、3分の2を覆う森林。その4割が人口林と言われている。ほとんどが戦後、復興を目指した私たちの祖父母の世代が、土にまみれ、急峻な山に苗を背負って登り植えた杉やヒノキだ。林業は思いを込め、遠い未来のために大切に木育てていく生業である。利便性や、経済が優先される今、その森が見捨てられ、荒廃している。そこに踏みとどまり、あるいは飛び込んで、豊かな森を残そうと、懸命に生きる人々の物語。演劇集団円『光射ス森』作・演出:内藤裕子出演:野村昇史 / 佐々木敏 / 岡本瑞恵 / 世古陽丸 / 石井英明 / 高橋理恵子 / 吉田久美 / 清田智彦 / 戎哲史 / 木原ゆい / 清水一雅子2020年12月19日(土)~27日(日)会場:東京・シアターX
2020年12月19日ヨーロッパ映画賞の作品賞に、デンマークの『Another Round』が選ばれた。今作ではさらにトマス・ヴィンターベアが監督賞と脚本賞(共同脚本家と一緒に受賞)、主演のマッツ・ミケルセンが男優賞を受賞している。この映画はロンドン映画祭、サンセバスチャン映画祭でも受賞しており、次のオスカーでも健闘しそうだ。女優賞は『Undine』のパウラ・ベーア、ドキュメンタリー賞はルーマニアの『Collective』が受賞した。文=猿渡由紀
2020年12月14日村上春樹の短編小説「ドライブ・マイ・カー」が映画化。同作は第94回アカデミー賞にて日本映画初となる作品賞、脚色賞に加えて監督賞、国際長編映画賞にノミネートされる快挙を達成。そして、2022年3月28日(月)に開催された第94回アカデミー賞 授賞式にて、国際長編映画賞を受賞した。日本映画が同部門を受賞するのは滝田洋二郎監督の『おくりびと』以来13年ぶりだ。村上春樹の短編小説が「ドライブ・マイ・カー」映画化村上春樹が2013年に発表した短編小説「ドライブ・マイ・カー」。舞台俳優の家福(かふく)を主人公に、亡き妻の記憶が呼び起こす深い喪失感と仄かな希望を綴ったこの物語を、『寝ても覚めても』(カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品)、『スパイの妻〈劇場版〉』(ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞)で脚本を担当した気鋭・濱口竜介が映画化する。登場人物/キャストかねてから『ドライブ・マイ・カー』の映画化を切望していたという濱口のもとに集まったのは、実力を備えた豪華キャスト達。『サイレント・トーキョー』『奥様は、取り扱い注意』の西島秀俊を主演に、『ロマンスドール』の三浦透子、『さんかく窓の外側は夜』の岡田将生、『ノルウェイの森』の霧島れいかが、メインキャラクターを演じる。主人公・家福悠介(西島秀俊)舞台俳優・演出家。脚本家の妻・音と満ち足りた日々を送っていたが、秘密を残したまま妻は死去。そして、演劇祭で演出のため、愛車のサーブで広島へと向かう。そこで、寡黙な専属ドライバーみさきに出会う。家福の希望へと一歩踏み出す心の機微を、西島秀俊が繊細に表現する。渡利みさき(三浦透子)主人公・家福の愛車を運転するドライバー。寡黙でありながら、芯のある女性。みさきと過ごすことで、家福は目を背けていたあることに気づかされていく…。⾼槻耕史(岡田将生)家福の妻・音と親密そうな気配を漂わせる 俳優。物語を大きく動かすキーパーソン。家福⾳(霧島れいか)秘密を抱えたままこの世を去った、家福の妻。脚本家。日本映画史上初、第94回アカデミー賞で作品賞&脚色賞にノミネート映画『ドライブ・マイ・カー』は、第94回アカデミー賞にて作品賞・脚色賞・監督賞・国際長編映画賞の全4部門にノミネート。作品賞・脚色賞にノミネートに日本映画がノミネートされるのはアカデミー賞史上初の快挙となり、映画史に新たな歴史を刻む作品となった。なお、監督賞ノミネートは1986年の黒澤明監督映画『乱』以来、国際長編映画賞は2019年の是枝裕和監督映画『万引き家族』以来となる。第94回アカデミー賞で国際長編映画賞『おくりびと』以来13年ぶり3月28日(月)開催の第94回アカデミー賞 授賞式で、映画『ドライブ・マイ・カー』は国際長編映画賞を受賞。日本映画が同部門を受賞するのは滝田洋二郎監督の『おくりびと』以来13年ぶりだ。<濱口竜介監督 国際長編映画賞 受賞コメント>Thank you very much. Ohh..You are the Oscar.アカデミーの皆さまへ感謝いたします。ヤヌスフィルムとサイドショウとワーナーメディア150とシネティック、この映画をアメリカに持ってきてくれてありがとう。ここにいる出演者のみなさんに感謝します。⻄島秀俊さん、岡田将生さん、霧島れいかさん、パク・ユリムさん、ジン・デヨンさん、アン・フィテさん、ソニア・ユアンさんおめでとうございます!また、ここに来れなかった出演者のみなさんにも感謝します。特に赤いSAAB900を見事に運転してくれた三浦透子さんに感謝します!みなさん獲りました!第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞なお、第74回カンヌ国際映画祭では、日本映画として初となる脚本賞を受賞。また授賞式を前に発表された同映画祭の独立賞である国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞も獲得した。国際映画批評家連盟賞を日本映画が受賞するのは黒沢清監督『回路』以来20年ぶり。また、AFCAE賞は、これまでにパルムドール受賞作『パラサイト 半地下の家族』などの受賞歴がある名誉ある賞だ。第79回ゴールデングローブ賞で非英語映画賞受賞(旧外国語映画賞)また第79回ゴールデングローブ賞においては、<非英語映画賞受賞(旧外国語映画賞)>を受賞。日本映画として、同映画賞の外国語映画賞にノミネートされる日本映画は、是枝裕和監督『万引き家族』(2019)以来3年ぶりの出来事であり、受賞は62年ぶりだ。第56回全米批評家協会賞では、作品賞、監督賞(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の2作品に対して)、脚本賞、主演男優賞の主要4部門を受賞。第45回日本アカデミー賞8部門で優秀賞第45回日本アカデミー賞では、作品賞を含む最多8部門で最優秀賞を獲得し、賞レースを席巻した。<映画『ドライブ・マイ・カー』あらすじ>舞台俳優であり、演出家の家福悠介。彼は、脚本家の妻・音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻はある秘密を残したまま突然この世からいなくなってしまう――。2年後、演劇祭で演出を任されることになった家福は、愛車のサーブで広島へと向かう。そこで出会ったのは、寡黙な専属ドライバーみさきだった。喪失感を抱えたまま生きる家福は、みさきと過ごすなか、それまで目を背けていたあることに気づかされていく…。◆作品詳細映画『ドライブ・マイ・カー』公開日:2021年8月20日(金) TOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー監督・脚本:濱口竜介出演:西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいか原作:村上春樹「ドライブ・マイ・カー」2013年初出、短編小説集『女のいない男たち』(文春文庫、2014年)所収配給:ビターズ・エンド
2020年11月01日関西の劇団が集まって芝居を繰り広げ、演劇人の新たな才能の発掘の場となる「関西演劇祭2020~お前ら、芝居たろか!」が開催される。フェスティバル・ディレクターで芸人、役者、映画監督の板尾創路、スペシャルサポーターで演出家の西田シャトナー、映画監督の行定勲、実行委員長で女優の羽野晶紀らが大阪市内で会見し、思いを語った。「関西演劇祭 2020 ~お前ら、芝居たろか!~」チケット情報昨年初めて開かれた関西演劇祭2019は大好評のうちに終了。板尾は「今年は新型コロナウイルスの影響があり、開催が危ぶまれましたが、みなさんのお力や気持ちがあってできることになりました。ホッとしたのとうれしさと、いろんな思いが混じっています。万全の予防対策を取り、ぜひ、成功させたい」と力を込める。西田は「この祭は未来に向けて作られている。劇団や観客も心ブレずに未来を見続けてほしいです」。行定も「立ち止まっている時に文化に触れることは、これからの人生にとって意義があることだと思います」と、それぞれ熱く話す。また今年の実行委員長には、かつて関西に演劇ブームが起きた1980~90年代に、劇団☆新感線の看板女優として活躍した羽野を抜擢。「37年前に小劇場でお芝居を一生懸命やっていて、それをきっかけに今は芸能界で幅広くお仕事をさせていただいています。本当にやっていて良かったと思いますし、あれ以上にしんどいことはなかったから、大人でおばさんになったけど(笑)、今の私があります。関西の劇場は原点であり土台。その証人として応援したい」とエールを送る。同祭の特色は、各公演後に審査員や観客が、演者に質問や感想を話せる時間を設けるティーチイン形式をとる。板尾は「さっきまで芝居をしていた役者に、あれはどういう気持ちでどんな意味?なんて聞けますか。そういうことが聞けちゃう機会はなかなかない」。羽野は「劇場は夢を与える場なので、そんなタネ明かししてもいいの?とびっくりした。でも、演者とお近づきになれるのは今の時代ならでは。私も芝居のどのシーンを一番稽古したのか聞いてみたい」と期待する。今年は関西の劇団を中心に、東京を含めて10劇団が参加。行定は「関西の演劇は濃いというイメージがありますが、それに対してほかの劇団がどうアピールしてくるか楽しみ」だという。東京在住のため、関西の劇団をよく知らないという羽野は、ユニークだと思う劇団名を問われ、「みんな、思い入れを込めてる名前ですねぇ」と言いながら、高知の幡多弁を使った、ばぶれるりぐるを挙げた。また、劇団 右脳爆発については、「荒くれものな感じですやん。爆発してへんかったらほんまに怒るで(笑)」と会場を笑わせた。1公演に2劇団が参加し、配信も予定されている。コロナ禍を吹き飛ばすような各劇団の爆発を期待したい。「関西演劇祭2020~お前ら、芝居たろか!」は、11月21日(土)~29日(日)、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて開催。チケット発売中。取材・文:米満ゆう子
2020年10月23日昨年、福島と原発の歴史を問い直した『福島三部作』で社会問題に鋭く切り込み、岸田國士戯曲賞と鶴屋南北戯曲賞をダブル受賞した劇作家・演出家の谷賢一。演劇界の次代を担う存在として注目される彼の新作舞台『人類史』が10月23日(金)よりKAAT神奈川芸術劇場にて開幕する。その作品のキャッチコピーには“人類200万年の歴史を2時間で駆け抜ける!”とあるが、一体どんな作品なのか?その内容を谷は「『人類史』とは大きく出たが、要は人類がどう成長し、繁栄して来たかを描く一つの成長物語。なぜ人類は他の生物を圧倒し得たか? どのように文化やコミュニケーションを発展させてきたか?その変遷をエラ・ホチルドの振付によるダンスと志磨遼平(ドレスコーズ)の作曲による音楽、そして演劇で描き出す」とコメントする。舞台は今から約200万年前。まだサルの一種に過ぎなかった人間は、肉食動物に追い回され、両手両足を使って地べたを這い回り、木の実や虫を食べて暮らしていた。それがある時、二足歩行を始めたことで道具・言語・火などを手に入れ、またたく間に文明を開花させ動物界の頂点に。やがて高度な社会を形成し、ついには科学の力により宇宙の仕組みにまで到達することになるが、その驚異の発展を支えたのは“想像力”、見えないものを見る力だった……。物語は、数万年単位で時間を跳躍しながら進んでいき、どの時代・どの場所にも、同じ顔・姿をした若い男、若い女、老人が登場する。この3人を演じるのは、東出昌大、昆夏美、山路和弘だ。200万年の時間経過の中で様々に移り変わっていくキャラクターを演じわけ、その存在感を活かし物語を牽引する東出、数々のミュージカルで活躍し、今作で演劇作品に本格的に挑戦する昆、そして高い演技力と舞台での安定感に定評のある山路。ほか、演劇と身体表現を融合させる試みを体現する重要な役割は、谷と振付のエラがオーディションで選んだ16名の俳優・ダンサー達が担う。言葉・身体・音楽を駆使して描き出す、人類の歴史を紐解く壮大な叙事詩。ダイナミックな新しい演劇の誕生に期待したい。KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『人類史』作・演出:谷賢一音楽:志磨遼平(ドレスコーズ)振付:エラ・ホチルド10月23日(金)~11月3日(火)会場:KAAT 神奈川芸術劇場 ホール文:伊藤由紀子
2020年10月23日アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーが、2024年の第96回アカデミー賞から適用する、作品賞についての新しい応募資格を発表した。「Academy Aperture 2025」と銘打った、多様性と包括性を推進する新基準に基づいたものだという。アカデミーの会長デヴィッド・ルービンとCEOのドーン・ハドソンの声明によれば、新基準は「私たちの業界において、長く続く促進剤となり、本質的な変化になるだろう」と自信を見せている。作品賞の応募資格は、大きく分けて4つ(基準A~D)あり、そのうち少なくとも2つをクリアしていなければならない。また、基準A~Dの中にも複数の条件があり、これらの1つないしは全てを網羅しなければならない。たとえば基準A「スクリーン上の表現、テーマ、物語」には、A.1からA.3までの条件があり、そのうち2つを満たしていることが必要だ。A.1は主演または重要な助演俳優の少なくとも1人がアジア人、黒人、ラテン系、その他少数民族であること。A.2は二番手または脇役の少なくとも30パーセントが、「女性、少数民族、LGBTQ+、障害者」の2つを占めていること。A.3はストーリー展開、テーマ、物語が「女性、少数民族、LGBTQ+、障害者」に沿った内容であること。その他、出演者だけでなく、スタッフや見習い生、インターンなどについても条件を明示し、全体的にまさに「多様性と包括性を推進する」内容となっている。(Hiromi Kaku)
2020年09月09日テレビ界のエミー賞(Emmy)、音楽界のグラミー賞(Grammy)、映画界のオスカー(Oscar)、演劇界のトニー賞(Tony)。世界で権威のあるこれら4つの賞を制覇した人物は、それぞれの頭文字を取って「EGOT」と呼ばれている。これまで「EGOT」を達成したのは、オードリー・ヘプバーン、ウーピー・ゴールドバーグ、ジョン・レジェンドら15人だったが、日曜日(現地時間)、『リトル・マーメイド』や『美女と野獣』『アラジン』の作曲家アラン・メンケンが16人目として仲間入りを果たした。デイタイム・エミー賞の「子ども向け番組、ライフスタイル番組、アニメ番組」部門の受賞者が発表され、メンケンが「ラプンツェル ザ・シリーズ」の「Waiting in the Wings」でオリジナル歌曲賞を受賞したのだ。すでにオスカーは8回、グラミー賞は11回の受賞歴があったメンケンは、2012年にトニー賞を受賞し、残すはエミー賞だけに。(30年以上前にエミー賞で名誉賞を受賞したことがあるが、これは対象とされていない)。2013年、2016年にノミネートされるも受賞とはならず、王手をかけてから8年越しで今回ついに「EGOT」を達成した。メンケンもツイッターで「『ラプンツェル・ザ・シリーズ』に携わってくれたすべての人を誇りに思います。私としてはついにEGOTのステータスを手に入れることができました。(実は、エミー賞は80年代にハワード・アッシュマンと名誉賞をもらったことがあるけど)なんと言えばいいのかな。光栄に思うし、うれしいし、恐れ多いです」と喜びをシェアしている。(Hiromi Kaku)■関連作品:美女と野獣 2014年11月1日よりTOHOシネマズスカラ座ほか全国にて公開© 2014 ESKWAD - PATHE PRODUCTION - TF1 FILMS PRODUCTIONACHTE / NEUNTE / ZWOLFTE / ACHTZEHNTE BABELSBERG FILM GMBH - 120 FILMSアラジン(2019) 2019年6月7日より全国にて公開© 2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
2020年07月28日舞台「演劇の街をつくった男」が、6月19日(金)から21日(日)まで東京・小劇場B1で上演される。【チケット情報はこちら】「演劇の街をつくった男」は、東京・下北沢にある8つの劇場を運営する本多一夫の足跡をたどった書籍「『演劇の街』をつくった男 本多一夫と下北沢」を原作とした作品。とくお組の徳尾浩司が脚本・演出を手がけ、現代の下北沢で演劇を始めた若者が、タイムスリップして「演劇の街」の始まりに出逢うというオリジナルストーリーとなる。なお本公演は、ライブ動画配信サービス・PIA LIVE STREAMにて有料ライブ配信される。配信チケットは発売中。■本多劇場グループ PRESENTS ACALINO TOKYO「演劇の街をつくった男」日程:6月19日(金)~21日(日)会場:東京都 小劇場B1脚本・演出:徳尾浩司出演: 石川啓介/大部恵理子/笠井里美/杉山圭一/とみやまあゆみ/中薗菜々子/野川雄大/林雄大 /本多一夫(特別出演)
2020年06月15日講談師の神田伯山のYouTubeチャンネル「神田伯山ティービィー」が、第57回ギャラクシー賞テレビ部門フロンティア賞を受賞したことが1日、放送批評懇談会ホームページで発表された。同チャンネルは、2月の真打昇進を機に襲名した、神田松之丞改め神田伯山が「何としても講談の面白さを知ってもらいたい」と立ち上げた。襲名披露パーティから披露興行まで、口上や高座の映像だけでなく楽屋の風景までもが臨場感たっぷりに編集され、約1カ月間リポート動画として、興行の翌日に毎日配信された。選考理由として、「撮影は芸人仲間の落語家たち。芸人同士だからこそ撮れる楽屋での芸人たちの姿は茶目っ気たっぷり。これまでテレビや寄席の現場では知ることができなかった寄席演芸の世界を魅力的に伝え、貴重な記録映像となっています。現在チャンネル登録者数は12万9千人、ユニーク視聴者数は126万人にのぼり、講談界に新風を吹き込む新しい映像コンテンツとして注目されています」としている。
2020年06月01日株式会社パルコが運営するPARCO劇場が、演劇をはじめとするライブエンタテインメントの魅力をオンラインで伝えるプロジェクト「PARCO STAGE @ONLINE」の始動を発表した。「PARCO STAGE @ONLINE」では、演劇を「観る」「参加する」「もっと知る」という3つの柱から、PARCOプロデュース過去作品のオンライン配信や、PARCO劇場ゆかりのアーティストや気鋭のクリエイターとコラボしたオンラインならではの作品公開、視聴者参加型の講義スタイルのオンラインイベントやワークショップの開催や、 演劇がさらに楽しくなるプログラムを配信。これらを通じて、演劇の魅力やPARCO劇場の魅力を発信する。「観る」コンテンツ第1弾では、「『転校生』オンライン同窓会~卒業生にまた会える~」と題し、2019年上演の「転校生」(作・平田オリザ、演出・本広克行)の本編フル映像をYouTube にて無料プレミア公開。同公演は、21世紀に羽ばたくネクストスター俳優を発掘するべく、21人の出演者をフルオーディションで選抜し、これまで2015年と2019年に上演してきた高校生群像劇となっている。また、演劇に「参加する」「もっと知る」コンテンツ群を「PARCO THEATER ACADEMY」と総称し、第1弾に「戯曲を読むということ〜朗読劇『ラヴ・レターズ』を通して〜」を6月中旬に公開。演出家の藤田俊太郎が、朗読劇の金字塔である『ラヴ・レターズ』を精読することを通じて、「戯曲を読むということ」の神髄を語る。スペシャルゲストには「こけら落としスペシャル」で497回目のアンディとメリッサを演じた井上芳雄、坂本真綾も登場。視聴者からも幅広く質問を受け付け、出演者が回答するコーナーも設けられる予定だ。「観る」コンテンツ第1弾:『転校生』オンライン同窓会~卒業生にまた会える~●配信URL: ●配信期間第一週「転校生」2019 年女子校版:6月6日(土)15:00~プレミア配信/配信終了後〜6月13日(土)14:59 までアーカイブ視聴可能第二週「転校生」2019 年男子校版:6月13日(土)15:00~プレミア配信/配信終了後〜6月20日(土)14:59 までアーカイブ視聴可能※本編の上演時間は、女子校版・男子校版ともに 75 分程度「もっと知る」コンテンツ第1弾:戯曲を読むということ〜朗読劇『ラヴ・レターズ』を通して〜●配信期間:6月中旬配信予定●出演者:藤田俊太郎/ゲスト:井上芳雄、坂本真綾
2020年06月01日新型コロナウイルスの感染拡大による政府からの自粛要請により、演劇、ライブハウス、クラブ、小規模映画館(ミニシアター)などで存続困難な状況が発生するなか、「演劇緊急支援プロジェクト」「SaveOurSpace」「SAVE the CINEMA プロジェクト」の3団体が5月22日、衆議院第一議員会館で「文化芸術復興基金」の創設を提案し、関係省庁に対して統一の要望書や署名を提出した。「コロナ時の補填のみならず、コロナ終息後の復興支援の土台として、強く要請する」ことを目的に、3団体は共同で「#WeNeedCulture」と銘打ったプロジェクトを立ち上げ、同基金の創設を提案。3団体を代表し、日本劇作家協会会長を務める女優の渡辺えりが統一要望書を文化庁に提出し、「演劇、ミニシアター、ライブハウスの人たちが一丸となり、熱い思いを込めて要望書を送らせていただいた。ぜひお読みいただきたいと思います」と訴えた。その上で渡辺は「演劇もミニシアターも、そうですけど、大事なのは人材育成。もの作りには多くのスタッフが必要ですし、それを育ててきたのがライブハウス、ミニシアター、演劇なんです」と力説。人材の育成をさくらんぼの栽培に例え「田畑はすごく手間がかかるが、その木を育てて、一緒に収穫して実を食べる感覚で、手を取り合い、支え合って頑張っていきたい」と協力を誓った。会見に参加した映画監督の諏訪敦彦は、関係省庁とのやり取りについて「具体的な回答には至らなかったが、何かが動いていくのではないかという機運を言葉の端々に感じた」と見解を示し、「この1カ月半ほど、いろんな意味で勇気づけられている。普段会うことのない人たちが、いてもたってもいられず、ふっと自然と集まった」と前向きな発言。また、ユーロスペース支配人の北條誠人氏は「今年に関しては、3月から5月の売り上げはほとんどない」と厳しい現状を明かし、「アクリル板や消毒液など、興行組合の(再開に向けた)ガイドラインに従って、感染拡大防止の準備をする」と6月以降の営業再開を視野。「基金で、劇場の持続を支援いただきたい」と話していた。▽以下、会見出席者【演劇緊急支援プロジェクト】渡辺えり(劇作家・演出家・俳優/オフィス3○○/ (一社)日本劇作家協会会長)詩森ろば (劇作家・演出家/serial number/TOKYO 演劇人の会 代表)西川信廣 (演出家/文学座/(公社)日本劇団協議会 会長)福島明夫 (製作/青年劇場/(公社)日本劇団協議会)【SaveOurSpace】スガナミユウ (LIVEHAUS/SaveOurSpace)加藤梅造 (ロフトプロジェクト社長)【SAVE the CINEMA プロジェクト】諏訪敦彦(映画監督)北條誠人(ユーロスペース支配人/ (一社)コミュニティシネマセンター理事)▽以下、各プロジェクトの公式サイト【WeNeedCultrue 公式HP】 (要望書・ステートメント掲載)【演劇緊急支援プロジェクト公式HP】 公式Twitter: 【SaveOurSpace 公式HP】 公式Twitter: 【SAVEtheCINEMA公式HP】 公式Twitter: 取材・文=内田涼
2020年05月22日文:大島幸久(ぴあ水先案内人・演劇ジャーナリスト)「緊急事態宣言」の延長発令を受けて、演劇界も新たな計画変更を余儀なくされている。4月から5月にかけて予定していた公演が中止、あるいは延期という主催者にとっては泣いても泣き足らない姿を想像すると胸が痛む。しかし——。今月に入ってパタリと止まっていた情報が届き始めた。とりあえず、「水先案内人」としては延期を知らせる情報を「番外編」でおしらせしよう。公演中止となった前進座5月国立劇場公演チラシ。2021年5月の上演を目指す劇団前進座の会報「月刊・前進座」によれば5月9日開幕予定だった5月国立劇場公演『操り三番叟』『俊寛』『たが屋の金太』は来年5月、劇団創立90周年記念として上演する心づもりという。また、『ひとごろし』や全国巡演の『東海道四谷怪談』、秋の『残り物』などは年内開催を模索中だ。劇団四季『コーラスライン』より撮影:下坂敦俊次は劇団四季。全国公演予定だった『コーラスライン』は中止したが、来年5月以降の全国公演を目指す。既に発表された5、6、7月の連続3ヶ月、歌舞伎座での「十三代市川團十郎襲名披露公演」の延期は、来年同5~7月に上演されるのが有力だ。4月に上演予定だった劇団民藝『どん底~1947・東京~』は8月の上演を目指す(5/19現在)新劇では劇団民藝が4月9日から予定していた『どん底~1947・東京~』(紀伊國屋サザンシアター)は8月の上演を目指して検討中だ。劇団文学座では、4・5月アトリエの会『熱海殺人事件』は全公演が中止となった。今年は作者つかこうへいの没後10年だから断腸の思いだろう。演出の稲葉賀恵は「文学座通信」の中で「皆様に安心してこの作品の誕生に立ち会っていただけるその日まで、今しばらく時間を頂けたら、と思います」と記し、心機巻き直しを練っているようだ。また、6月に予定していた『昭和虞美人草』も上演の可能性を検討しているという。加えて劇団の俳優が出演予定だった本多劇場『サンシャイン・ボーイズ』、演劇集団プラチナネクスト『どんぶりの底』、シアタートラム『4』、ザ・スズナリなどでの『富島松五郎傳~無法松の一生~』、さらに俳優座劇場『美しきものの伝説』の公演延期も伝えていた。虚構の劇団は延期上演の可能性を探りつつ『日本人のへそ』公演の中止を決めた座・高円寺からは再演の可能性を探りながらの中止として虚構の劇団『日本人のへそ』、JACROW『鶏口午後』、チーズtheater『THE VOICE2020』、劇団扉座『お伽の棺~三つの棺』を知らせてくれた。大阪の南河内万歳一座は東京で6月3日から予定した『ラブレター』を来年の同時期頃に延期するという葉書連絡。座長の内藤裕敬は「本当、スンマセン! その分、来春の爆発は、ハンパないからな!」と意気軒昂のメッセージが来た。演劇人の心意気、ここにありーと、それぞれがヤル気満々だ。とりあえず、皆さん、コロナにはご用心を!プロフィール大島幸久(おおしま・ゆきひさ)東京都生まれ。団塊の世代。演劇ジャーナリスト。スポーツ報知で演劇を長く取材。現代演劇、新劇、宝塚歌劇、ミュージカル、歌舞伎、日本舞踊。何でも見ます。著書には『名優の食卓』(演劇出版社)など。鶴屋南北戯曲賞、芸術祭などの選考委員を歴任。「毎日が劇場通い」という。
2020年05月19日ついに最終回を迎えてしまった『鬼滅の刃』。テレビアニメ化で盛り上がり、原作漫画はシリーズ累計発行部数2,500万部を突破し、最終回でファンの熱量も現在ピークに。アニメ『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』(10月16日公開)の公開を楽しみに待ちたいが、その前に、舞台『鬼滅の刃』レビューを試みた。新型コロナウイルス感染予防のためたくさんの演劇が中止や延期になっているなかで、配信(dアニメストア×新体感ライブCONNECT ※配信は6月30日まで)を見て演劇を応援しようと思う企画だったが、最終回記念も込みでお届けします。舞台版は原作漫画の1~4巻くらいまでを描いている。大正時代、主人公の少年・竈門炭治郎(小林亮太)の家族が鬼に殺された。深い哀しみのなか、たったひとり残った妹・禰豆子(高石あかり)は鬼になってしまい、彼女を救うため炭治郎は鬼と闘い続ける。炭治郎が鱗滝左近次(高木トモユキ)に弟子入りして鬼殺隊に入るまでが1幕。2幕目は大正ロマンあふれる浅草で鬼ながら鬼の欲望(人を食う)を抑制して生きている医師・珠世(舞羽美海)と出会い、禰豆子を助ける希望を見出すところまで、休憩をのぞいて2時間30分ほど。舞台だと1幕と2幕の間に休憩が入るが、配信ではノンストップ。それでも疲れを感じないで一気に見ることができた。○■映像だけでなく、アナログの見せ場もはじまりは、炭治郎が雪山を下りていく場面。「人生には空模様があるからな」というセリフを噛み締めながら深い雪を踏みしめていく炭治郎の姿が描かれる。原作もアニメも血まみれの禰豆子を背負って必死の形相の炭治郎からはじまりインパクトがあるけれど、舞台は時系列順になっていて、地道な生活者の姿から描かれる。そして事件が起こり、漫画やアニメの冒頭の場面へ――。斬っても斬っても次々現れる鬼との最初のアクションは、禰豆子が目覚め、炭治郎を襲う場面。このとき炭治郎は後ろにすっと下がる動きが多い。小林亮太はすごくなめらかに後ろに下がる。後ろに下がることは意外と大変な気がするが足腰が鍛えられているんだなあと思う。反対に禰豆子の高石あかりは激しく攻撃的だ。手足が長くて豪快に動く。18歳の若さで動いて叫んで力強い。そこに割って入ってくる冨岡義勇(本田礼生)。彼は炭治郎とも禰豆子とも違い静かな一撃に力がある。「笑止千万」「笑止千万」と歌い上げるところ(セリフと歌詞合わせて6回言った)が盛り上がった。ここで注目したいのは、禰豆子が不利になる炭治郎をかばって義勇に立ちふさがるところ。2人がぶつかり合うストップモーションを肉体でしっかり表現して見せた。この舞台、映像を多用して、めくるめく背景の変化や、原作漫画やアニメでは絵による自由な表現力で描かれる鬼の様々な魔力を表現し、その高い技術にも目を奪われるのだが(映像:大鹿奈穂)、それだけに頼っていない。要所要所、アナログの人間の力で見せているのである。そのひとつが、このストップモーション。これが印象的に決まったあと、テーマ曲がかかって、出演者が全員出てきて映像におけるタイトルバックになる。○■構成の妙に、演劇好きも納得その後、炭治郎は鱗滝左近次に弟子入りして訓練を積んでいく。箱や丸太みたいなものが次々出てきてそれを避けていく炭治郎。不思議な雰囲気の漂う(この作品、炭治郎以外はみんな不思議な雰囲気がするけども)、錆兎(星璃)と真菰(其原有沙)にも助けられ、炭治郎は長い長い期間、訓練を続ける。前述のアスレチック場面をはじめとして、「死ぬほど鍛える。結局それ以外にできることはないと思うよ」というセリフがリアルに響く大変そうな訓練場面は、「俺は刀を振り続けた」と歌で半年の大変さが説明される。「より強く より速いほうが勝つ」ということで炭治郎の動きが強く速くなっていく。アクションでは、黒子が俳優の飛ぶ動きを補助することで躍動感がアップする。アナログの力といえば、水の映像が出たときに、布も使って立体感を出すところも良かった。とにかく裏方が頑張っている。背景を変えるために複数の板を素早く動かし、照明も素早く変化しているところなんかも演劇好きには堪らない(美術:松生紘子、照明:吉枝康幸)。2幕に出てくる、朱紗丸(西分綾香)による手毬攻撃もアナログテクが使われ、矢琶羽(星乃勇太)の不可視の矢印(ベクトル)も映像と黒子が操る赤い布とのコラボになっていた。極めつけは、元十二鬼月・響凱(高木トモユキ二役)の鼓屋敷場面。回転する部屋は映像だけど、そこでも黒子が大活躍する。ここまでで2時間くらい。本番では休憩がはさまっていたにしても、俳優たちは休む間もなく動き回っている。アクションしながらセリフを言ったり歌ったり、相当なカロリーを消費しているはず。とりわけ小林亮太はほぼ出ずっぱり。当然水分補給はしてるだろうけど酸素吸入器も使っているんじゃなかろうかと心配になってしまう。そんな過酷な場面にもかかわらず、嘴平伊之助(佐藤祐吾)を見て「なんだこの男は イノシシの皮をかぶって日輪刀をもってる」という説明セリフや、我妻善逸(植田圭輔)の歌う「眠ると強くなる男 我妻善逸」という説明歌など、ふと冷静になる瞬間もあるという面白さ。原作が主人公のモノローグが多くて、心情や状況をそこで説明しているところを演劇ではセリフや歌やいろいろ工夫してメリハリをつけているように感じる(脚本・演出:末満健一)。よくできた構成。○■主演・小林亮太の闘いを見守る炭治郎には様々な負荷がかかりまくり、2時間超えたところで、おお来たか! とばかりに見てる方の感情もマックスに跳ね上がる。まさにクライマックス。「おれはずっと我慢してきた」「己を鼓舞しろ」「がんばれ炭治郎」「俺はやれるやれる」「成し遂げる男だ」と自分で自分を応援。そう、炭治郎はこの2時間、ずっと孤独なのである。助けてくれる人もいるけれど、家族を亡くし、禰豆子のためにたったひとりで闘ってここまで来た。とにかく自分を信じてやりきるしかないのである。そんなキャラクターと同じく、演じる小林亮太も2時間ずっと頑張ってきた。ここで最後に力を振り絞らされる。よく言うところの、雑巾を絞って最後の一滴まで絞って、なお絞るみたいなことを小林亮太はやるのである。2時間前、登場してきたときは、声がとても繊細で、優しい少年そのものだった炭治郎。「禰豆子」と呼ぶときの慈愛に満ち溢れた声が染みる。闘うとき全身に力を入れたら声が変わってしまいそうにもかかわらず、極力優しい声を保っていた炭治郎が、ここに来て、繊細さを残しつつ、たくましく成長した、闘う男の声ものぞかせる。最初の頃に(禰豆子との闘いであったとはいえ)後ろに下がり気味だった炭治郎はここではぐいぐい前に前に出て剣を振るう。注目作の舞台版の主演に大抜擢された小林亮太は現在21歳。年齢的にはもう少年ではないとはいえ、少年を客観視しながら演じるにはいい時期のような気がする。舞台版『パタリロ』のビョルン&アンドレセン役や『僕のヒーローアカデミア The”Ultra”Stage』の爆豪勝己役など近年目覚ましい成長を感じる。3、4月の舞台公演が中止になってしまったことが残念だが、7月の『PLUS ULTRA ver.』に期待する。炭治郎が雪の中をひとりで歩くところからはじまって、彼の精神の成長が技の成長と合わせてじょじょにじょじょに上昇していて大爆発する流れを2時間30分ノンストップで体感できただけで映像配信を見てよかったと思えた。「死ぬほど鍛える 結局それ以外にできることはないと思うよ」のセリフに尽きる舞台である。盛りだくさんで満足感たっぷり!
2020年05月18日エミー賞を主催する「テレビジョン・アカデミー」が、2021年3月から適用される新しいルールを発表した。先月末に「映画芸術科学アカデミー」がアカデミー賞のルールを変更したことが大きく影響した模様。今年は新型コロナウイルスの影響でほぼ全ての映画館が営業中止になったため、「映画芸術科学アカデミー」は、アカデミー賞のノミネート資格を得るための条件「ロサンゼルス郡で7日間以上上映しなければならない」というルールを一時的に廃止。劇場公開日を設定していた作品なら、デジタル配信のみでの公開でも可能と決定した。「テレビジョン・アカデミー」は声明文の中で、「映画芸術科学アカデミー」が発表したこのルール変更を支持すると表明した上で、「アカデミー賞にノミネートされた作品は、エミー賞では選考対象外とする」というエミー賞側のルール変更も明らかにした。ここ数年、特にドキュメンタリー作品の「映画」と「テレビ」の境界線があいまいとなっており、アカデミー賞とエミー賞のどちらにもノミネートされたり、受賞するという作品が増えている。昨年は「ナショナルジオグラフィック」の長編ドキュメンタリー映画『フリーソロ』がアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を獲得し、エミー賞でも7部門受賞を果たした。(Hiromi Kaku)
2020年05月08日菅田将暉が日本演劇界を代表する演出家・栗山民也と初タッグを組み、話題を呼んだ衝撃の舞台「カリギュラ」のDVD化が決定した。「異邦人」「ペスト」の作者でも知られるアルベール・カミュの傑作戯曲「カリギュラ」。世界初演は1945年という作品が、まるで現代を風刺するかのように鋭く、鮮やかに、2019年11月より東京・新国立劇場を皮切りに久留米、神戸、仙台で上演。主演の菅田さんは、本作で第27回読売演劇大賞の杉村春子賞と優秀男優賞のW受賞を果たした。主演・菅田将暉は「ものすごい直感の皮膚感覚を持っている」稽古を進めるうちに、演出の栗山氏は菅田さんを「非常に論理的でいながら、一方でものすごい直感の皮膚感覚を持っている」と感じたという。稽古は、初タッグとは思えない、想像以上のクリエイションを重ねたものとなったようだ。また、菅田さん演じるローマ帝国皇帝カリギュラに父を殺され、憎みながらもカリギュラの苦悩や狂気を理解する若き詩人シピオンには、役者として目覚ましい成長を続ける高杉真宙。最後までカリギュラを支えぬくエリコンには、確かな演技力で舞台・TVドラマ・映画で活躍する谷田歩。冷静な判断力を持ち、クーデターの中心人物としてカリギュラと対峙するケレアには、様々な演出家から引く手あまたの橋本淳。そして、カリギュラの残虐な行為を受け入れるほど彼を愛するセゾニアに、栗山作品への出演も多く、数々の演劇賞受賞歴を持つ秋山菜津子。この刺激的で危険な美しさに満ちた作品を創り上げるにふさわしい実力派が集結。DVDには舞台を完全収録した本編に加え、特典映像として、フォトコール記者発表や大千穐楽カーテンコール(仙台)を収録。さらに一部販売店(アスマート、amazon、セブンネット、タワーレコード、TSUTAYA、トップコート、ホリプロ、楽天ブックス)にて、購入者特典(舞台写真)がある。DVD「カリギュラ」は8月19日(水)より発売。価格:6.000円+税発売元:ホリプロ販売元:ポニーキャニオン(text:cinemacafe.net)
2020年04月30日第43回日本アカデミー賞の授賞式が6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、最優秀主演男優賞を受賞した松坂桃李が登場した。昨年の第42回日本アカデミー賞では、最優秀助演男優賞を受賞した松坂。今年は映画『新聞記者』で最優秀主演男優賞に輝いた。優秀主演男優賞を受賞した菅田将暉と並ぶと、実は連絡先も知らないという2人の関係について「不思議な感覚なんですよね。僕はライバルという風にも思ってますし、同じ事務所の一人として、同志とも思ってますし」とコメントする一幕も最優秀賞の受賞が発表されると、驚いた様子で登壇し、「ハードルが高い役だなと思いましたが、ウンギョンさんと一緒にお芝居をすることがで きて最後まで駆け抜けることができました」とコメントすると、最優秀主演女優賞を受賞したシム・ウンギョンも見守った。『新聞記者』はさらに、作品賞も受賞。松坂は「ここにいないスタッフとも、喜びを分かち合いたい」と喜び、ウンギョンは「計り知れません。本当に光栄です」と笑顔を見せた。○最優秀主演男優賞 松坂桃李 コメントこの作品は僕の知る限りでは実現するまでに二転三転四転、五転くらいおそらく色々なことがあって、それでもこの作品をしっかりと映画を見てくださる方に届けたいという人が一致団結し、藤井監督の舵の元、撮影を終えることができました。僕自身も、10年ちょっと(俳優を)やってきて、ハードルが高い役だなと思いましたが、ウンギョンさんと一緒にお芝居をすることがで きて最後まで駆け抜けることができました。何より、「この作品で頑張ってこい」「行ってこい」と行ってくれた事務所のマネージャーさん、社長含めて後押ししてくれて嬉しい気持ちでいっぱいです。今日という日を糧に、また新たに作品の一部に自分がちゃんとなれるようにいけたらと思っております。今回は本当にありがとうございました。■最優秀賞受賞リスト作品賞…『新聞記者』監督賞…武内英樹(『翔んで埼玉』)主演男優賞…松坂桃李(『新聞記者』)主演女優賞…シム・ウンギョン(『新聞記者』)助演男優賞…吉沢亮(『キングダム』)助演女優賞…長澤まさみ(『キングダム』)アニメーション作品賞…『天気の子』外国作品賞…『JOKER』新人賞…岸井ゆきの、黒島結菜、吉岡里帆、鈴鹿央士、森崎ウィン、横浜流星(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月06日UK版トニー賞といわれるオリヴィエ賞のノミネーションが発表された。映画やテレビ界でも活躍中の俳優がノミネートされている。演劇部門の「主演女優賞」には、大人気ドラマ「Fleabag フリーバッグ」のフィービー・ウォーラー=ブリッジ(舞台版「Fleabag」)、MCU作品のペギー・カーター役でお馴染みのヘイリー・アトウェル(「Rosmersholm」)、「ドクター・フー」のシャロン・D・クラーク(「Death of A Salesman」)、『ダイアナ』のジュリエット・スティーヴンソン(「The Doctor」)がノミネートされた。フィービーは昨年から「Fleabag フリーバッグ」で受賞続き。今年はついにゴールデングローブ主演女優賞を獲得した。この勢いのままオリヴィエ賞の受賞なるか?同じく演劇部門の「主演男優賞」には、ジェームズ・マカヴォイ(「Cyrano De Bergerac」)、『ハリー・ポッター』シリーズでドビーの声を演じたトビー・ジョーンズ(「Uncle Vanya」)、『4 FOUR』のウェンデル・ピアース(「Death of A Salesman」)、「Fleabag フリーバッグ」の神父役や「SHERLOCK」のジム・モリアーティ役で知られるアンドリュー・スコット(「Present Laughter」)がノミネートされた。※括弧内の作品が、今回の舞台作品名。オリヴィエ賞の授賞式はロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで4月5日に行われる。(Hiromi Kaku)
2020年03月04日