ミュージカル界のプリンス・井上芳雄と、若手実力派女優・伊藤沙莉が初共演する舞台「首切り王子と愚かな女」の上演が決定した。本作は、劇作家・演出家の蓬莱竜太と、蓬莱さんとの再タッグを待望した井上さんが、「正しい教室」以来、6年ぶりに再び手を組んで取り組む大人のファンタジー作品。魑魅魍魎が渦巻く王室を舞台に、腹に一物ある大人たちが、あの手この手で陰謀、裏切り、忖度、愛憎、競争をたくらみ、のしあがろうとしていく――。そんな欲望が先走る様子を、シニカルな笑いをまぶしながら描き出していく。井上さんが演じるのは、癇癪持ちで自分勝手、傍若無人の“首切り王子”。「すべての四月のために」以来4年ぶりのパルコ・プロデュース作品出演となる伊藤さんは、その王子に慕われ、世話係にまで上りつめた貧しい村の“愚かな女”を演じる。井上さんは「蓬莱さんが今、何を面白いと思っているのか、とても興味があります。現在の世の中だからこそ、演劇だからこそできることがあると信じて、その世界に全身で飛び込みたいです」と意気込み、伊藤さんは「いつか出演させて頂きたいとずっと思って、目標の一つにしていた蓬莱さんの作品への出演が、やっと叶う喜びと共に一気に緊張感が高まっています」と心境を明かし、「精一杯頑張ります。届けます」とコメントしている。2人のほかにも、高橋努、入山法子、太田緑ロランス、石田佳央、和田琢磨、若村麻由美が出演。初の女王役に挑む若村さんは「スタッフキャスト観客がひとつになる、劇的なる場の醍醐味を存分に味わいたいと思います」と話し、「蓬莱さんと仕事をするのは5本目」だと言う高橋さんは、「お客様の『楽しみ』の一端になれれば。観劇後にもジワる『楽しみ』になれれば、この上幸せなことはない。蓬莱さんの新作、新 PARCO 劇場、『楽しみ』な作品になるのは確実である」と語っている。そして「今、舞台に立てることを心から感謝して、防具を持たず、全力で挑みます」(入山さん)、「早く皆さんと稽古場であーだこーだ試して、ダントツに思いがけない人物をお見せしたいです」(太田さん)、「観て良かった!面白かった!と感じてもらえるように、共演者スタッフと共に創っていきたい」(石田さん)、「劇場での生のお芝居を皆様に楽しんでいただけるよう、1日1日の稽古を大事に取り組んで参りたいと思います」(和田さん)と、ほかキャスト陣も意気込んでいる。なお、東京公演のチケットは、5月8日(土)に一般前売の発売が行われる。<あらすじ>大人の寓話。時代も場所も架空の王国。雪深い暗い王国。英雄であり人格者であった先王が早くに没して20年。没後、女王は彼女に取り入った大臣に政を任せ、自分は享楽の日々を過ごし、大臣もまた甘い蜜を吸っていた。民たちは税を搾り取られ、流行り病は放置され、苦しみ、疲弊していた。その王国にはさらに、馬鹿王子がいた。何不自由なく育てられ、誰の話も聞かない、何の想像力も持たない馬鹿王子だった。気に入らないものは人であろうが動物であろうが、ことごとく首をはねた。命など王子にとって大事なものではなかった。だが、女王の寵愛を受けているため、側近たちも何も言えない。王国の未来への不安が民の中にも漂っていた。ただ、唯一この馬鹿王子に意見出来る王子専門の世話係の女がいた。この女は小さな貧しい村の出身で、そのため学も教養もない。召使いの身分から王子に上手く取り入り、王子専門の世話係にまでなった女で、いまやお妃候補とまで噂されている。女は貧しく惨めな暮らしは二度としたくなかった。女は野心に燃えていた。ある日、一人の女が反乱の疑いで投獄される。それは女の憧れの姉であり、自分と家族を捨てた憎むべき存在であった…。パルコ・プロデュース「首切り王子と愚かな女」は6月15日(火)~7月4日(日)PARCO 劇場(渋谷PARCO 8F)にて上演。ほか地方公演あり。(cinemacafe.net)
2021年03月30日劇作家・演出家の蓬莱竜太とミュージカル界のプリンス井上芳雄が、2015年の舞台『正しい教室』以来、6年ぶりにタッグを組む舞台『首切り王子と愚かな女』の上演が決定した。本作は魑魅魍魎が渦巻く王室を舞台に、腹に一物ある大人たちがあの手この手で陰謀、裏切り、忖度、愛憎、競争を企み、のし上がろうとしていく欲望渦巻く姿をシニカルな笑いをまぶしながら描く大人のファンタジー。劇団モダンスイマーズや外部作品で作・演出、映画『劇場』の脚本や配信中の人形劇ムービー『しがらみ紋次郎~恋する荒野路編~』で初監督を務め、表現の幅を広げている蓬莱が、鶴屋南北戯曲賞を受賞したパルコ・プロデュース『母と惑星について、および自転する女たちの記録』以来、5年ぶりにPARCO劇場に立つ井上と共に、黒いことを面白く、難しいことをわかりやすく、いつの世にもあり得る愚かさやおかしさを届ける。さらに本作において、井上と今最も注目を集める個性派女優・伊藤沙莉がストレートプレイで初共演。井上と言えばミュージカル界を代表する俳優の一人だが、パルコ・プロデュースによるミュージカル作品は、真向うから正統派王子役に挑んだ『シンデレラ・ストーリー』の一本だけで、ほかはストレートプレイでの出演作が続いている。個性派俳優としての彼のポテンシャルを理解し、その表現のバリエーションをさらに開拓する意味でも、あえてミュージカル界のプリンスのイメージとは異なる、俳優・井上芳雄を掘り起こしてきたパルコならではの企画で贈るのが『首切り王子と愚かな女』。そのほか、高橋努、入山法子 、太田緑ロランス、石田佳央、和田琢磨、若村麻由美という豪華俳優陣が集結した本作に期待してほしい。■作・演出:蓬莱竜太劇場に足を運ぶ、そんな行動すら以前より能動的なエネルギーが必要な時代になりました。だからこそシンプルに、観てよかった、足を運んでよかったと思ってもらえる作品を創りたい。「面白い」とは何か、井上芳雄くん、伊藤沙莉さんを中心に悩んでいこうと思います。子供が観ても面白い大人の寓話。幅の広いキャステイングなので、僕もやったことのないことに挑戦してみたいと思っています。今必要なのは「リアル」より「ファンタジー」なのかなと。どうなることやら楽しみに来てください。■井上芳雄パルコ劇場で蓬莱さんと一緒にやらせてもらうのも、もう4回目になります。毎回見事に異なる、でもそれぞれ強いイメージが残る作品でした。今回もまた新たな座組みで、新しい作品にチャレンジできて幸せです。蓬莱さんが今、何を面白いと思っているのか、とても興味があります。現在の世の中だからこそ、演劇だからこそできることがあると信じて、その世界に全身で飛び込みたいです。■伊藤沙莉いつか出演させて頂きたいとずっと思って、目標の一つにしていた蓬莱さんの作品への出演が、やっと叶う喜びと共に一気に緊張感が高まっています。しかし、こういうタイミングで蓬莱さんから生まれる作品に携われることを嬉しく有り難く思いました。精一杯頑張ります。届けます。宜しくお願い致します。■若村麻由美17歳の時にふらりと当日券で入ったパルコ劇場。無名塾公演『ハロルドとモード』のあの感動!そこから私の役者人生は始まった。思い入れ深いパルコ劇場が生まれ変わり、念願の蓬莱さんのオリジナル作品にお声掛けいただき光栄です。しかもファンタジー?女王役も初体験!デビット・ヘアの二人芝居『プレス・オブ・ライフ』(14)以来の蓬莱演出に胸が高鳴ります。スタッフキャスト観客がひとつになる、劇的なる場の醍醐味を存分に味わいたいと思います。■高橋努蓬莱さんと仕事をするのは5本目。毎回私という俳優の知らなかった部分を引き出してくれ、発見と驚きの連続だが、もっとずっと先を見ている蓬莱さんを必死に追いかけるような感覚で稽古をすることが必要。心と体と頭と神経が疲弊し、無性に酒が飲みたくなる(笑)。この1年と数ヶ月、私は生活の「楽しみ」が減少した。色んな人たちと会うことも、仕事が入っている時の外食も、自粛しなければならない。そんなこの頃。お客様の「楽しみ」の一端になれれば。観劇後にもジワる「楽しみ」になれれば、この上幸せなことはない。蓬莱さんの新作、新PARCO劇場、「楽しみ」な作品になるのは確実である。■入山法子蓬莱さんが目の前でまばたきをするたびに、私は自分が発した言葉に嘘はなかっただろうかと自問する。見られたくない部分を隠したり、守ったりすることが、全く無意味な人だからだ。いつか出させてくださいと何度も本気で言ってきたけど、いざその夢が叶うのだ!と思うと、興奮と同時に、蓬莱さんの描く人間の渦の中に素直に存在していられるか、怖さも押し寄せる。夢が夢のまま終わらぬよう、今、舞台に立てることを心から感謝して、防具を持たず、全力で挑みます。■太田緑ロランスプロットを読んだ時から、ドキドキと、ワクワクが止まりません。蓬莱さんとは4度目ですが、いつも思いがけない役を書いて下さいます。今回はずば抜けて思いがけません。ファンタジーらしく、既存の枠やルールを飛び越えた世界の中で、自分のリミッターも外して、思い切り遊びたいです。早く皆さんと稽古場であーだこーだ試して、ダントツに思いがけない人物をお見せしたいです。今の私のドキドキワクワクがお客様のものとなるために。■石田佳央まず、この作品に参加できる事を非常にうれしく思いますし、舞台に立てることに感謝します。当たり前の事が当たり前ではなくなり、観劇することも何かと大変になってしまった現在。それでも観劇してくださる方々に、観て良かった!面白かった!と感じてもらえるように、共演者スタッフと共に創っていきたいと思います。僕自身もどんな作品になるのか、とても楽しみです!どうぞご期待ください!■和田琢磨和田琢磨と申します。今回、井上芳雄さんをはじめとする、魅力的で素晴らしい方々と一緒に作品をつくる機会を頂き大変光栄に思います。劇場での生のお芝居を皆様に楽しんでいただけるよう、1日1日の稽古を大事に取り組んで参りたいと思います。【公演概要】パルコ・プロデュース 『首切り王子と愚かな女』作・演出:蓬莱竜太出演:井上芳雄 伊藤沙莉高橋努 入山法子 太田緑ロランス 石田佳央 和田琢磨若村麻由美 ほか●東京公演公演日程:2021年6月15日(火)~7月4日(日)会場:PARCO劇場(渋谷 PARCO 8F)入場料金:12,000円(全席指定・税込)※未就学児入場不可 / U-25 チケット 6,000 円(観劇時25歳以下対象、要身分証明書、当日指定席券引換 /「パルステ!」、チケットぴあにて前売販売のみの取扱い)一般前売開始 :5月8日(土)企画・製作:パルコ公式サイト: チケットに関するお問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(月〜金 12:00~15:00)公演に関するお問合せ:パルコステージ 03-3477-5858(時間短縮営業中)●大阪公演公演日程:7月10日(土)〜11日(日)会場:サンケイホールブリーゼ入場料金:12,000円(全席指定・税込)※未就学児入場不可問い合わせ : キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00~16:00 / 日曜・祝日は休業)●広島公演公演日程:7月13日(火)会場:JMSアステールプラザ 大ホール入場料金:12,000円(全席指定・税込)※未就学児入場不可問い合わせ:TSSイベント事務局 082-253-1010(平日10:00~18:00)●福岡公演公演日程:7月16日(金)〜17日(土)会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール入場料金:12,000円(全席指定・税込)※未就学児入場不可問い合わせ:ピクニックチケットセンター 050-3539-8330(平日 12:00~15:00)
2021年03月30日アイドルグループ・Snow Manの佐久間大介が、25日放送のテレビ東京系のテレビアニメ『ブラッククローバー』(毎週火曜16:25〜)第140話で声優に初挑戦することが11日、明らかになった。同作は週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載中の同名コミックのアニメ化作。魔法がすべての世界で、魔法が使えない少年アスタとライバルのユノが、魔道士の頂点“魔法帝”をめざす、冒険と成長を描いた創成魔法ファンタジー超大作となる。 2017年にアニメ化されて以来、迫力の魔法バトルシーンや個性的なキャラクターたちが繰り広げる群像劇が少年アニメの王道として注目され、現在は、原作では描かれていないオリジナルストーリーが話題を呼んでいる。Snow Manは現在第11クールのオープニングテーマ「Stories」を担当しており、同曲は2nd Single「KISSIN’ MY LIPS / Stories」に収録される。今回、メンバーの佐久間がオリジナルキャラクター“マクサ“役で声優に初挑戦することに。佐久間演じるマクサは、主人公アスタたちが住むクローバー王国の騎士団本部魔道具研究所の研究員で、今回アフレコに初挑戦する佐久間のために本人をモデルとして制作された。佐久間は芸能界屈指のアニメオタクであり、先日Snow Manの公式YouTubeチャンネルにて配信されたアニメの企画の中でも「ブラッククローバー」について熱弁していたという。○佐久間大介 コメント本当に嬉しかったです!まさか、こんなに早く僕の夢だったアニメのアフレコをさせてもらえるなんて。大好きなブラッククローバーでオリジナルキャラの「マクサ」を演じられて本当に光栄で、凄い魔法をかけられた気分でした(笑)「マクサ」は研究が大好きであり、好奇心旺盛で一生懸命な子なのでいろんな人に愛されるんじゃないかと思っています。「マクサ」がまたアスタ達と一緒に活躍できるように、今の僕ができる全力で挑ませていただきました。(C)田畠裕基/集英社・テレビ東京・ブラッククローバー製作委員会
2020年08月11日藤原竜也と鈴木亮平が、ガチの小学生役。それも、骨太な人間ドラマを描くことに定評のある劇作家・演出家の蓬莱竜太による書き下ろし、つまり2人への“あて書き”となれば、興味を抱かずにはいられない。本作『渦が森団地の眠れない子たち』は、団地が舞台。「子どもの視点で描くと、団地の世界は、戦争、恋愛、ファンタジー、ホラー、恐怖の大人たちというようなエンタテイメントに溢れていて、それを盛り込んだ群像劇、人間ドラマを描きたいという意欲です」と語る蓬莱は、自ら演出も担当。その舞台が、10月4日に開幕した東京・新国立劇場 中劇場での公演を皮切りに、佐賀・鳥栖市民文化会館 大ホール、大阪・森ノ宮ピロティホール、愛知・御園座、広島JMSアステールプラザ 大ホール、宮城・多賀城市民会館 大ホールにて上演されている。物語は、小学生の佐山鉄志(藤原)と田口圭一郎(鈴木)が住む団地で展開する。頭の回転が早く、周囲を掌握するカリスマ性に長けている鉄志と、一見おとなしいが、地頭の良さで鉄志たちを客観的に見ている圭一郎。対象的だが親友だったはずのふたりは、ある事件をきっかけに団地の王座を賭けて争うようになり……。多くの舞台に出演してきた藤原だが、蓬莱の演出を受けるのは今回が初めて。2人は普段も飲みに行く仲だそうで、そうした中で着想を得たであろう“あて書き”が、どう表現されているのか見ものだ。一方の鈴木も、蓬莱とは初タッグ。異色作となる今回、鈴木のパブリックイメージと思われる「誠実さ」や「知的さ」が作家の眼にどう映り、役へとつながったのか期待が高まる。また鉄志と圭一郎という緊張感のある関係性は、藤原と鈴木という大看板同士、かつ同学年だからこそ、いっそう楽しめること必至。鉄志たちの行動は時折短絡的で、そこはやはり“子供”なのだが、その大元にある動機は大人と同じ。いわく、見栄や保身、虚勢、欲望、そして駆け引きだ。藤原と鈴木が、それらのリアルをどう見せてくれるのか。蓬莱の自在な筆致にも注目したい。文:佐藤さくら
2019年10月04日アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)は、大阪名物の“豚まん”で有名な「551 蓬莱」とコラボレーションしたフードスウェットパーカーを、2019年9月20日(金)に発売する。フードスウェットパーカーの背面には、関西のソウルフードである「551 蓬莱」の豚まんのグラフィックを大胆にプリント。フードの形は、手包みした豚まんを表現している。また、フードを被ると、「551 蓬莱」のコマーシャルでおなじみのフレーズ「ARUTOKI(ある時)」のロゴが登場する。カラーは、豚まんのホワイトと、餡をイメージしたベージュの2色で展開。さらに、パッケージも、豚まんの箱を模したデザインが施されており、細部にまで遊び心と大阪マインドを表現した仕上がりとなっている。【詳細】551 蓬莱×アーバンリサーチ 豚まんフードスウェットパーカー発売日:2019年9月20日(金)※オンラインストアにて先行予約受付中。販売店舗:アーバンリサーチ エスパル仙台店、ルミネ新宿店、金沢百番街RINTO店、名古屋パルコ店、KYOTO ららぽーとEXPOCITY店、ルクア イーレ店、NU茶屋町店、京阪モール店、堀江店、なんばCITY店、天王寺MIO店、三宮店、ピオレ姫路店、ソラリアプラザ福岡店、アーバンリサーチ ストア ルクア大阪店、あべのハルカス店、アーバンリサーチ オンラインストア価格:8,000円+税カラー:ホワイト / ベージュサイズ:M / L(ユニセックスサイズ)
2019年09月05日藤原竜也と鈴木亮平がW主演し、劇団モダンスイマーズの蓬莱竜太が手掛ける舞台「渦が森団地の眠れない子たち」が10月4日(金)より東京公演を皮切りに、大阪や名古屋ほかにて地方公演も順次行われる。藤原さんと鈴木さんの同級生コンビが10年ぶりに舞台共演する本作は、同じ団地に住み、竹馬の友のように仲が良かったが、ささいなことから関係が崩れ、次第に団地での王座を争うようになる2人を描く新しい“団地大河ドラマ”。次第に王座をかけて争うようになる“小学生”の佐山鉄志と田口圭一郎役には、藤原さんと鈴木さんがそれぞれ決定。まさかの小学生役にTwitterでは「鈴木亮平と藤原竜也が小学生役とか、最高か」「藤原さんと鈴木さんが小学生役って凄い」「気になる…」「動揺が隠せない」と驚きの声が上がり、また公開中の小学生になりきった2人のビジュアルには「小学生役似合いすぎぃぃぃ」「思いのほか小学生役がはまっている」「くそかわいいビジュアル」「観たすぎる」と好反応。2人のほかにも、奥貫薫や木場勝己らが出演。現在、チケット一般発売中だ。舞台「渦が森団地の眠れない子たち」は10月4日(金)より新国立劇場 中劇場にて上演。※大阪ほか地方公演あり(cinemacafe.net)
2019年06月26日津田大介×椿昇がARTISTS’ FAIR KYOTOを語る!6月28日「京都アートラウンジ」開催歴史ある京都を舞台に、アーティストが主導する新しいスタイルのアートフェア「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2020(アーティスツフェア キョウト)」の開催が決定しました!( 会期:2020年2月29日(土)、3月1日(日))開催に先駆けて、「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督・津田大介さんと椿昇さんのトークイベントが開催されます。今年、行けなかった人はもちろん、来年行こうか検討している人にもおすすめ。お二人の繰り出すトークが楽しみ。実は、告知と共にすでに満席となってしまったのですが、当日はインスタで生配信も行うので、ぜひ気軽にチェックしてみてくださいね!ちなみに今年開催された「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2019」についての詳しい紹介はこちら↓ FAIR KYOTO 2019 開催の様子Photo:前端紗季ARTISTS’ FAIR KYOTO 2020に先駆けて、トークイベント「津田大介×椿昇でARTISTS’ FAIR KYOTOを語る!京都アートラウンジ」を2019年6月28日(金)に開催。ゲストに「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督・津田大介氏を招聘し、2018年から2度に亘って開催された「ARTISTS’ FAIR KYOTO 」が、アーティストと鑑賞者にもたらした変化と今後に期待されるムーブメントについて、本イベントのディレクター椿昇氏とともに、多面的な視点で掘り下げます。人気のため満席となりましたが、当日は、同時刻にインスタ生配信動画を公開。Instagramアカウント「ARTISTS’ FAIR KYOTO」からお楽しみいただけます。「津田大介× 椿昇でARTISTS’ FAIR KYOTO を語る!京都アートラウンジ」■ 日時:2019年6月28日(金) 18:30-20:30■ 会場:BnA Alter Museum 2F Cafe / Lounge■ プログラム:18:30-19:45-ディレクターズトーク「 ARTISTS’ FAIR KYOTOディレクター」椿昇、「あいちトリエンナーレ2019」芸術監督・津田大介 / 司会:松倉早星(Nue inc 代表取締役)■ 主催:京都府、ARTISTS’ FAIR KYOTO実行委員会詳しくはこちらのWEBから
2019年06月22日モダンスイマーズの蓬莱竜太が作演出を担い、藤原竜也と鈴木亮平がダブル主演を務める新作舞台『渦が森団地の眠れない子たち』。そこでビジュアル撮影中の藤原と鈴木を直撃、現在の心境を聞いた。【チケット情報はこちら】骨太な人間ドラマを、笑いとリアリティのある会話で紡ぎ出してきた蓬莱。その魅力について、「お客さんに対していろいろな変化球を投げてくるんですけど、訴えかけてくるメッセージはとても強い。物語のつくり方が非常に優れている作家さんだと思います」と藤原。また鈴木は、「セリフがとにかくうまいですよね。伝えたいことをはっきり見せるのではなく、その一歩手前、想像の余地は残しつつもしっかりと伝わる。そのバランス感覚が素晴らしいと思います」と絶賛する。藤原は2013年に蓬莱が書き下ろした『木の上の軍隊』に出演。それを機に親交を深め、今回の企画が実現したという。今回蓬莱から提案されたのは、“団地の王座を争う少年ふたりの物語”。小学生役だと聞かされたふたりは…。「特に違和感はありませんでしたね。皆さんは僕の体の大きさや顔の老け方が気になるでしょうけど、僕からは見えませんから(笑)」と鈴木。そんな鈴木を見つつ、「こんな小学生いたよね」と笑う藤原。だが「たぶん蓬莱さんは、竜也くんを見てこの設定を思いついたんだと思いますよ。だってここまで童心を持ち続けている人ってなかなかいないですから」と鈴木も笑う。内容としては、蓬莱いわく「団地の子供たちのスペクタクルものになる」と。そんな本作の主軸となる子供たちについて、藤原は蓬莱にこんなことを言われたと明かす。「“すごく力のある俳優に直接声をかけて集めるから。きっと彼らにとってもビッグチャンスになるだろうし、いい芝居をしてのし上がるための土台を僕はつくるんだ”って。それって企画として本当に面白いと思いますし、僕らにもいい化学反応が起きると思います」。さらに10年ぶりの共演となる藤原と鈴木が、いかなる化学反応を見せてくれるかも楽しみのひとつだ。「僕と藤原くんはキャリアが全然違いますから。こうしてふたりで並んでやらせてもらえるということで、自分の成長を見せられたらなと。そして竜也くんを受け止める、キャッチャー的な存在でいい仕事ができればと思っています」と鈴木。藤原も「10年ぶりの共演でがっちり組ませてもらえるということで、亮平の存在は本当に頼もしいです」と久々の顔合わせに期待を寄せていた。取材・文:野上瑠美子
2019年06月21日ジャニーズJr.内ユニット、Snow Manの佐久間大介さんが、6月14日放送の「ヒルナンデス!」(日本テレビ、11時55分~)に出演し話題になっています。佐久間さんが出演したのは、くじで引いた3色だけでショッピングをしてコーディネートを完成させるコーナー「3色ショッピング」。飯尾和樹さん(ずん)、小峠英二さん(バイきんぐ)、加藤諒さんと共に東京ソラマチで対決をしました。ファンにはお馴染みですが、佐久間さんはジャニーズきっての「アイドルオタク」を公言しています。登場するとすぐに、ピンクのサイリウムを両手に持って“オタ芸”を披露し、最後にはバク宙も。“オタク”と“カッコよさ”の融合に、出演者たちからも拍手喝采。さらにアニメグッズで溢れる自宅写真も公開。また、Kis-My-Ft2の宮田俊哉さんとは「週5でご飯に行く」仲であるとも発言。MCの山里亮太さんからも、「バイトのシフトだったら正社員」と突っ込まれていました。肝心のコーディネートバトルでは、見事に3色揃える強運っぷりを発揮し、“アニメイベント参戦コーデ“を完成させました。最後までキャラをぶらすことなく、初登場で視聴者にインパクトを残した佐久間さん。ツイッターでは、トレンド入りも果たしました。個性豊かなジャニーズJr.の中でも、ひと際キャラクターが立っている佐久間さん。今後テレビに引っ張りだこ間違いなしの注目アイドルです。文/エミチャンカパーナ画像/Shutterstock
2019年06月14日蓬莱竜太の岸田國士戯曲賞受賞作『まほろば』が7年ぶりに上演。連綿と途絶えることのない人間の営みを、妊娠、家系、血脈など奥深いテーマを散りばめ、軽妙な4世代の女たちの会話劇に仕立てる。何気ない会話から熱く脈打つ命の尊さに触れるような驚きと普遍性に満ちた、ユーモアたっぷりの人間ドラマだ。前回までは長女ミドリの視点から描かれた物語が、今回は母ヒロコを中心に展開する。演出は劇団チョコレートケーキの日澤雄介。伝統やしきたりをギリギリ受け継ぐ“旧世代”代表・ヒロコ役を演じる高橋惠子に意気込みを訊いた。「まほろば」チケット情報「ヒロコは、本家の嫁として家を受け継ぎ守っていくため、娘たちに結婚、出産してほしいと強く思っている人。でも『神様のおぼしめし』と台詞にもあるように、命の誕生は人間の力だけではどうしようもなくて。他にも、家族が持ち込んでくる様々な問題に、親としてどう対処していくのか。たった1日の出来事が、休憩なしの2時間で一気に駆け抜けていく。その中で、本当の肉親同士のやり取りに見えないといけませんから、私も本音というか、はらわたからの叫びくらいのイメージで演じた方がいいなと。表面だけの台詞のやり取りだけでは終わりたくない作品です」演出家からはどんどんボルテージを上げてとの指示が飛ぶ。そのなりふり構わない会話の妙が共感や笑いを誘う。「笑えますよね。ヒロコは自分の代で家を途絶えさせるわけにはいかない!と使命感に燃える。それは言いすぎではと思える娘たちへの言葉も、真剣そのものだからこそ。男性作家だから客観的に観察ができるのか、各年代の女性たちの真実が描かれていると思います」。今回初のストレートプレイに挑む元宝塚歌劇団雪組トップスター早霧せいなをはじめ「美人揃いの娘たち」ともすでに息ぴったりと声を弾ませる。「ダブルキャストの子役の2人も持ち味が違っていて、11歳なのに作品の中で一番発言が大人びているのも面白いんです」上演は平成最後のタイミング。そこにも運命めいたものを感じると語る。「改元に伴い、世の中の価値観は今までになく大幅に変わっていくような気がします。一方で、変わらないものもある。例えば、妊娠、出産が3日で済むようになりましたとはなりませんよね(笑)。私も60歳を過ぎ、近頃は相手を敬う日本人のしきたりや知恵、日本語の美しさなど、良いものを後世に残したいと思うようになりました。まほろばとは素晴らしい場所という古来からの言葉ですが、蓬莱さんもそういう思いだったのかなと。何か、“忘れないでほしいことがある”と言われているような気もして。そんな思いもこの作品を通して伝えていければと思います」公演は2019年4月5日(金)から21日(日)まで東京芸術劇場シアターイースト、4月23日(火)・24日(水)は大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。取材・文:石橋法子
2019年04月05日映画『海獣の子供』が2019年6月7日(金)に全国で公開される。五十嵐大介の人気作品を映像化映画『海獣の子供』は、漫画家・五十嵐大介の同名人気作品を、映画 『鉄コン筋クリート』で第31回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞したSTUDIO4℃が映像化する作品。海中や水族館など、水の中を鮮やかに描いた原作の描写が、美しい映像と音楽で再現される。物語の主人公は、ハンドボール部に所属する中学生の琉花。ある日トラブルに巻き込まれ部活で居場所をなくした彼女が、突発的に向かった東京の夜の海で不思議な少年・海と、その彼の兄・空に出会う。この出会いが世界を変えることとなっていく。主人公の声優に芦田愛菜が抜擢物語の主役「琉花」の声優には、14歳ながら数々の映画・ドラマ・CMで幅広く活躍する芦田愛菜が抜擢された。また、琉花と共に物語の鍵を握る2人の少年「海」は、映画『リメンバー・ミー』で主人公ミゲル役の日本語吹替版声優を務めた石橋陽彩が担当する。また「海」の兄である「空」役を声優初挑戦となる浦上晟周、二人の少年の謎を追う天才海洋学者・アングラード役を映画『レディ・プレイヤー1』で青年トシロウ役を務めた青森崎ウィン、アングラードのかつての相棒で「海」と「空」を保護している海洋生物学者・ジム役を田中泯がそれぞれ演じる。※当初「空」役としてキャスティングが決定していた窪塚愛流は、変声期の影響で辞退。稲垣吾郎&蒼井優が夫婦に、その他にも豪華化キャストが集結また、「琉花」の父親・安海正明役には稲垣吾郎、母親の安海加奈子役には蒼井優を起用。稲垣は2006年公開の映画『ONE PIECE THE MOVIE カラクリ城のメカ巨兵』以来の長編アニメーション映画への出演となる。その他にも、映画『サマーウォーズ』以来の声優挑戦となる富司純子、アニメーション映画初出演となる渡辺徹など豪華キャストが集結する。主題歌は米津玄師の新曲「海の幽霊」主題歌は、米津玄師が本作のために書き下ろした新曲「海の幽霊」。米津玄師自身の作品としては初の映画主題歌となる楽曲だ。主題歌入り予告解禁!そんなファン待望の主題歌入り予告も解禁。10代のころから原作に惚れ込んで制作したというこの楽曲は、切なくも美しいメロディーと米津玄師の高く響き渡る歌声がマッチした美しい仕上がり。“大切なことは言葉にならない”という歌詞のフレーズは、映画のキャッチコピー“一番大切な約束は、言葉では交わさない”という作品テーマにも通じており、作品の世界観をより一層盛り上げるものとなっている。音楽は巨匠・久石譲が担当音楽は映画音楽界の巨匠・久石譲が担当。原作の世界を深く描き出すために、全編描き下ろしで制作された壮大な音楽は圧巻の映像美と相まって、まるで海の世界に呑み込まれそうになるほどの迫力。予告では、前半は浜辺の静けさを、後半は海の荒々しさを表現したかのような音楽とともに、3人の出逢いをキッカケに始まる海洋冒険ミステリーの一端を垣間見ることが出来る。ストーリー自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、夏休み初日に部活でチームメイトと問題を起こしてしまう。母親と距離を置いていた彼女は、長い夏の間、学校でも家でも自らの居場所を失うことに。そんな琉花が、父が働いている水族館へと足を運び、両親との思い出の詰まった大水槽に佇んでいた時、目の前で魚たちと一緒に泳ぐ不思議な少年“海”とその兄“空”と出会う。琉花の父は言った――「彼等は、ジュゴンに育てられたんだ。」明るく純真無垢な“海”と何もかも見透かしたような怖さを秘めた“空”。琉花は彼らに導かれるように、それまで見たことのなかった不思議な世界に触れていく。三人の出会いをきっかけに、地球上では様々な現象が起こり始める。夜空から光り輝く流星が海へと堕ちた後、海のすべての生き物たちが日本へ移動を始めた。そして、巨大なザトウクジラまでもが現れ、“ソング”とともに海の生き物たちに「祭りの<本番>が近い」ことを伝え始める。“海と空”が超常現象と関係していると知り、彼等を利用しようとする者。そんな二人を守る海洋学者のジムやアングラード。それぞれの思惑が交錯する人間たちは、生命の謎を解き明かすことができるのか。“海と空”はどこから来たのか、<本番>とは何か。【詳細】映画『海獣の子供』公開日:2019年6月7日(金)全国ロードショー出演:芦田愛菜、石橋陽彩、浦上晟周、森崎ウィン、稲垣吾郎、蒼井優、渡辺 徹/田中泯、富司純子監督:渡辺歩音楽:久石譲主題歌:米津玄師原作:五十嵐大介「海獣の子供」クリアファイル付き前売り券発売4月12日(金)からは、劇場購入特典付き前売り券が発売。本作のキャラクターデザイン・総作画監督・演出の重要な三役を務めた小西賢一が、制作過程の中で描いたレイアウトの作画監督修正を使用した「原画A5クリアファイル」が、チケットとセットになっている。バリエーションは、「琉花&海Ver.」と「空&アングラードVer.」の全2種類。購入窓口では、好きなデザインを選択することが可能だ。■前売り券情報発売日:4月12日(金)※3月23日(土)「AnimeJapan2019」先行発売価格:一般券1,500円(税込)販売場所各上映劇場劇場購入特典:原画A5クリアファイル※全2種(A 琉花&海Ver /B 空&アングラードVer)※ムビチケカード1枚購入につき、特典が1つ※特典は、数量限定※「AnimeJapan2019」会場購入特典は、映画『海獣の子供』B2映画ポスター(非売品)
2019年03月16日第53回岸田國士戯曲賞に輝いた蓬莱竜太の傑作『まほろば』を、新たに劇団チョコレートケーキの日澤雄介が演出。ほぼキャストも一新し、7年ぶりに上演される。そこで宝塚歌劇団の元トップスターであり、本作のミドリ役で初のストレートプレイ挑戦となる、早霧せいなに話を聞いた。『まほろば』チケット情報物語の舞台は長崎の田舎町にある日本家屋。祭りの準備に追われる母・藤木ヒロコのもと、上京していた長女・ミドリが帰って来る。次女のキョウコは、かつて父親不明のユリアを出産。この家に住みつつ、現在はマオという子供を持つ男とつき合っている。祖母のタマエを含め、6人の女性が集った藤木家。そして祭りの夜、それぞれの思いが交錯して…。早霧演じるミドリは、東京でバリバリ働きつつ、あることをきっかけに実家へと戻って来た女性。そんなミドリに、早霧は自らの姿を重ねる。「台本を読んだ時に、他人事じゃない感じがしたんです。まさに自分も長崎出身で、今東京に住んで、お仕事をしている。自分に近い部分がたくさんあるだけに、裸の私を見せているような感じになるのではないかと…。でもそこは役者の見せどころで、素の自分とは違う、あくまで“ミドリ”という役として存在できるよう、皆さんとつくり上げていきたいと思います」。本作の大きな魅力であり、それぞれの人物像を形づくる一翼を担っているのが、長崎弁のせりふだ。「これはもう完璧ですね。方言指導の方が録音してくださったものを聞いても、『あー、分かる、分かる』って(笑)。ただ私は帰省するとすぐ長崎弁に戻るのですが、ミドリはしばらく標準語のまま。きっと家族に対して虚勢を張っていることが、その標準語に表れているんだろうなと。そんなミドリが長崎弁に戻った瞬間こそが彼女の本性だと思いますし、演じる上ではとても大きなポイントだと思います」。世代も、生きてきた道のりも違う6人の女性たち。観た者の心に残るものも、きっとさまざまに違いない。「劇中に『普通』というせりふが出てくるんですが、それって何だろうと思うんです。適齢期に結婚し、子供を産み、立派に育てあげることが普通なのか。でもそうじゃない生き方にも幸せはあるんじゃないかと。そういうことを考えると、最後のミドリのセリフはシンプルが故に難しい…。ただミドリとしてしっかりと存在し、発することが出来れば、きっとこのひと言は、お客さまの心にスッと入っていくものになるではないかなと思います」。公演は4月5日(金)から21日(日)東京芸術劇場シアターイースト、4月23日(火)・24日(水)大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。チケットは3月2日(土)一般発売。取材・文:野上瑠美子
2019年03月01日今を生きる女性なら、いや、女性に限らず生きづらさを感じているなら、心に刺さるに違いない舞台が再演される。脚本は、この『母と惑星について、および自転する女たちの記録』で第20回鶴屋南北戯曲賞を受賞した蓬莱竜太。母と三姉妹の物語に込めた思いを聞いた。【チケット情報はこちら】物語の芽となったのは、脳裏に浮かんだ「三姉妹が異国で放浪している絵」だったそうだ。「じゃあ、なぜ彼女たちはさまよっているのか。きっと母親の遺骨を撒く場所を探すためで、だとするなら、大好きだった母ではなく、大嫌いな母なのではないか。そのほうが面白いと思ったんです」と蓬莱は言う。そうして生まれたのが、父親を知らず、母親らしい愛情を受けることなく育った三姉妹とその母の物語だ。毒母たる母親のもとで育った三姉妹には、“母”というものへの無意識の恐れがあり、女性としての人生に様々な迷いを抱いている。2016年の初演の舞台には、その切実さが生々しく、けれど美しく浮かび上がった。「栗山(民也)さんの演出によって、瞬間瞬間が美しく切り取られ、この戯曲をよりすばらしい世界へ押し上げてくれたなと思います」。再演では、三女に芳根京子、母にキムラ緑子の新キャストを迎え、次女の鈴木杏、長女の田畑智子が引き続き出演。「キャストが変わればまったく違う芝居になる」と蓬莱も期待する。それにしても、蓬莱はなぜ母と娘を書いたのか。「今の日本では、女性はいろんなものと戦っていて、戦わなきゃいけない量が男性より多い気がするんです。どう生きることが幸せなのかと、ファッションから結婚や出産まで、あらゆることが常に世の中から定義づけられていて。なかでも、子どもを産んで母になるということについては、産まないという選択を含め、女性が抱える大きなテーマだなというふうに感じるんですね。だから、今この日本で戦っている女性をそのまま舞台に乗せたいと思ったんです。タフさとユーモアを忘れずに戦っている女性たちへのリスペクトを込めて」もちろん、女性たちの苦しみを描いたからといって世の中がすぐに変わるわけではない。しかし、蓬莱は言う。「舞台上の彼女たちが前へ進もうとしている姿を体感して感動するだけで、きっと力になるんじゃないかなと思うんです。フィクションというのは作家が祈りを込められることが強み。そこにどんな祈りを込めるのか、そこにこそ僕が書く意味があると思っています」3月5日(火)に東京・紀伊國屋ホールで開幕したあと、高知、北九州、京都、豊橋、長崎と各地をめぐる。東京、高知、長崎公演はチケット発売中。北九州、豊橋公演は1月19日(土)午前10時、京都公演は1月27日(日)午前10時より一般発売開始。取材・文:大内弓子
2019年01月18日人気漫画家・五十嵐大介原作の「リトル・フォレスト」が、新たに韓国映画としてリメイクされることが分かった。主演は『お嬢さん』で鮮烈なデビューを果たしたキム・テリ。併せて予告編とティザービジュアルも到着した。何ひとつうまくいかない人生に悩む主人公のへウォン(キム・テリ)が、全てを手放して故郷に戻ってくるところからストーリーは始まる。幼なじみと共に、四季折々の風景の中で、農業をしたり、季節にちなんだ料理を楽しみながら、日々を丁寧に過ごすうちに、自身の輝きを取り戻していく。本作は、14年に橋本愛主演で2部作品として映画化された。日本で“ロハスブーム”の火付け役ともなった『リトル・フォレスト』だが、今度は舞台を韓国に移し、イム・スルレ監督がメガホンをとる。公開された予告編では、春夏秋冬が色鮮やかに映し出され、まさに四季を味わうような料理の数々が登場する。主人公のへウォンを演じるのは、今韓国で最も注目を集める若手女優キム・テリ。パク・チャヌク監督『お嬢さん』で、1500人の中から選ばれ華々しいデビューを飾り話題となった。現在公開中の『1987、ある闘いの真実』にも出演中で、今後の活躍が期待される。本作では、明るく初々しい20代らしいキム・テリの魅力も楽しみだ。またヘウォンの幼なじみのひとり・ジェハを『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』の出演でも話題となった、リュ・ジョンヨルが演じている。予告編と共に公開されたティザービジュアルでは、田舎の一軒家の縁側に座る、ヘウォン、ジェハ、ウンスク(チン・ギジュ)の3人の姿が映し出されている。そして、新鮮な野草の天ぷらや、卵のサンドウィッチ、ハーブティーなど本作に登場する季節に合わせたロハスな料理と共に、へウォンが食事を楽しむ姿を見ることができる。『リトル・フォレスト 春夏秋冬』は2019年夏、シネマート新宿ほか全国にて公開予定。(text:cinemacafe.net)■関連作品:リトル・フォレスト夏・秋 2014年8月30日より全国にて公開© 「リトル・フォレスト」製作委員会リトル・フォレスト冬・春 2015年2月14日全国より全国にて公開© 「リトル・フォレスト」製作委員会
2018年09月14日8年にわたり新国立劇場の芸術監督を務めてきた宮田慶子の任期最後の作品となる『消えていくなら朝』が7月12日(木)に幕を開ける。脚本は、宮田が「全幅の信頼を置く」と語る蓬莱竜太による書き下ろしで、18年ぶりに顔を揃えた一家の様々な秘密が徐々に明らかになっていくさまが描き出される。6月中旬、稽古場に足を運ぶと、詩的なタイトルとは正反対の、家族の、家族ゆえの修羅場が繰り広げられていた。【チケット情報はこちら】芸術監督就任時より「複雑に枝葉を広げていった日本の演劇の歴史を体系的に捉える」というコンセプトの下、シェイクスピアからイプセン、さらには現代の海外作品の翻訳、昭和の日本の戯曲まで「時代」という縦糸を常に意識しながら作品を選定してきた宮田。だからこそ「現在地を確かめるのが目的であり、最後の作品は書き下ろしの作品で“いま”を描くと決めていた」という。そこで“いま”を描くべき脚本家として白羽の矢を立てたのが、同劇場で『まほろば』『エネミイ』を執筆し、高い評価を得た蓬莱だ。宮田は様々なキーワードを伝えながらも、最終的には「蓬莱竜太がいま、考えていることを書いてほしい」とオーダーし、そこで上がってきたのが本作。恋人(吉野実紗)を連れて久々に帰省した作家(鈴木浩介)と、彼を迎える父(高橋長英)、母(梅沢昌代)、兄(山中崇)、妹(高野志穂)のひと晩の物語である。この日の稽古場では、重点的にクライマックスのシーン稽古が行なわれていた。宗教活動に身も心も捧げてきた母が、実は家族を裏切っていた――。妹によるそんな告発から、家族それぞれが長年胸に秘めてきた思いを爆発させていく。腹をくくって母を追求する妹だが、当の本人はここでも宗教の話を持ち出し、頑として裏切りを認めない。彼女の宗教活動に人生を狂わされたと感じている父と兄は、積もりに積もった不満や怒り、やるせなさをついに爆発させる。さらには、唯一の部外者であったはずの作家の恋人までもが参戦し……。一方、終始どこか醒めた目でこの家族を観察しているかに見えた作家もまた、長年にわたり抱えてきた家族へのある思いを口にする。「家族だからって、無条件に愛さなきゃいけないの?」――劇中のそんなセリフが“呪い”のようにヒリヒリと心に響く。稽古を通じ、宮田がたびたび指摘していたのが、各人のリアクションのニュアンスと強度。父の「なんだ?」という短いひと言に対し「“聞き逃した”のではなく、“聞き捨てならない言葉が耳に飛び込んできた”感じで」と注文。また、蓬莱の脚本で特徴的な、たびたび登場する語尾の“(笑)”についても、「笑えない“(笑)”こそ蓬莱節」と語り、ショックや怒り、哀しみの大きさが伝わる発言にこそ付いている“(笑)”のニュアンスを繊細に調整しながら丁寧にシーンを作り上げていく。開けてはいけない「家族の秘密」というパンドラの箱を開けてしまった一家。最後に箱の中に残るものとは……?『消えていくなら朝』は東京・新国立劇場 小劇場にて7月12日(木)より上演。取材・文:黒豆直樹
2018年06月28日大阪のど真ん中で、大阪名物の中華料理を楽しむ大阪有数の観光地であり、大阪文化の中心地でもあるなんば。なんばを象徴する戎橋筋商店街で、ひと際目を引くカラフルなネオンが「551蓬莱 戎橋本店(ごーごーいちほうらい えびすばしてん)」の目印です。1階はお土産品などテイクアウト専用の販売スペース。2・3階はレストランです。551蓬莱と言えば、豚まんが有名ですが、本格中華料理を楽しめるレストランとしても歴史に名を刻んでいます。万国共通で楽しんでもらえる食を目指して誕生戦後まもない昭和20年に台湾出身の創業者がなんばで食堂を始めたのが551の歴史の始まりです。当初はカレーライスを販売し、一躍人気店となりました。台湾で親しまれていた饅頭を大阪人の好みにあうようアレンジして提供したのが昭和21年。これが「豚まん」の始まりです。蓬莱とは、中国語で桃源郷を意味します。そして551という印象的な店名は、ここがいちばんの語呂あわせから誕生し、国籍問わず親しめるように漢字でも横文字でもない万国共通の数字が選ばれました。大阪土産の王道! 出来立ての豚まんを楽しめる大阪を訪れたことはなくても、赤い文字で551HORAIと書かれた紙袋を見かけたことがあるという人も多いのでは。今や、大阪を代表する名物となったのが「豚まん」(170円)です。本店では、できたての豚まんを楽しむことができます。もっちりとした皮に、豚肉と玉ねぎたっぷりの餡がぎっしり詰まった豚まんは、1つ1つ手で包まれています。セイロで蒸したての熱々の豚まんは絶品。大阪に訪れたら必ず食べたい一品です。豚まんだけじゃない、本店で楽しめる本格メニュー本店では、一品料理から定食まで種類豊富な本格中華が楽しめます。なかでも人気メニューは「海鮮焼そば」。エビやイカ、ホタテなど食べ応えのある大きな海鮮具材と、つやつやの野菜が色鮮やかで食欲をそそります。焼そばに使われている麺は、小麦とたまごの旨みを生かした自家製麺。豚まんだけでない蓬莱のおいしさを、本店で体験できます。創業以来、試行錯誤を繰り返し愛され続けるお店に昭和20年の創業以来、常に時代にあわせて試行錯誤を重ねてきました。創業者の台湾人である羅邦強氏は、二人の仲間とともに食堂を開き、異国の地大阪で愛される中華料理を模索しつづけました。たどり着いたのは、お母さんが作ってくれるような家庭的な味。国籍も年齢も性別も関係なく、誰もがおいしいと思えるようにという想いが込められています。歴史を経て、戎橋本店は多くの人に愛される551蓬莱のシンボル的存在となりました。地下鉄なんば駅、11番出口より徒歩1分の場所にお店はあります。大阪の中心地にあり、観光名所でもある戎橋筋商店街内。大阪名物として有名な「豚まん」をはじめ、おいしい食を求める多くの人で連日にぎわっています。スポット情報スポット名:551蓬莱 戎橋本店住所:〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波3-6-3電話番号:06-6641-0551
2018年06月05日西武池袋本店にて、2018年4月20日(金)から5月6日(日)まで、催事「全国味の逸品会」が開催される。「全国味の逸品会」は、ゴールデンウィーク恒例の物産催事。日本全国から選りすぐったグルメを一度に楽しむことができる。期間中は、前半と後半で一部店舗を入れ替え、前半では各地の話題店が、後半では世界のスイーツを中心とした店舗が登場し、計約80のグルメ店が紹介される。4月30日(月・祝振)までの会期前半には、肉厚のビーフパティが特徴の錦糸町「シェイクツリー」のチーズハンバーガーや、鶏もも肉の一枚揚げにピリ辛スパイスをかけた「青山シャンウェイ」のスパイシーチキンなどの肉が主役のグルメが登場。また、4年連続でミシュラン(ビブグルマン)に掲載されている、5種類の地鶏を使った鶏と水のみのスープが美味しい「ラーメン屋トイ・ボックス」の醤油ラーメンや、大阪名物「551蓬莱」の点心など、行列必至の人気店のメニューも味わうことができる。5月1日(火)からの会期後半では、「旅」をテーマに世界のスイーツやグルメも展開される。「ブボバルセロナ」や「マックスブレナー」といった人気スイーツブランドのほか、ハワイで展開している「抹茶スタンド 舞妓」など、まだ国内では知られていない注目店も登場する。さらに、代官山の「カフェ ハバナ」で販売されるキューバサンドなどの実演も行われ、味だけでなく目でも楽しむことができる。【詳細】第17回 人気話題の味紀行「全国味の逸品会」期間:2018年4月20日(金)~5月6日(日) ※前半 4月20日(金)~4月30日(月・祝振)/後半 5月1日(火)~5月6日(日)※最終日は16:30にて閉場。場所:西武池袋本店本館7階催事場住所:東京都豊島区南池袋1丁目28-1出店店舗:約80店舗
2018年03月25日あつた蓬莱軒とは?“ひつまぶし"発祥の店と言われる「あつた蓬莱軒(あつたほうらいけん)」は、名古屋市熱田区で料亭としてスタートした明治六年創業の老舗。最高級の備長炭で香ばしく焼き上げる職人技、明治より140年継ぎ足された秘伝の絶品タレは、創業時から守られてきたものだ。現在は、名古屋市に4店舗を構えている。ひつまぶしを入れる器"おひつ"には誕生秘話がある。出前が多かった明治初期、出前の容器を回収する際に、よく空の丼が割れてしまっていたため、割れない木の器を考案。大きなおひつに数名分の鰻丼を入れて出前をする様になったという。食べる側としては、大きな鰻ばかりを先に取ってしまい、いつもご飯が残ってしまいがちな鰻丼。そこで、鰻を細かく切ってご飯と混ぜて提供したところ、それが大ヒットに。ちなみに、おおきな"おひつ"で、鰻とご飯を"まぜる(まぶす)"。これが"ひつまぶし"の名前の由来と誕生の歴史だ。”ひつまぶし”の美味しい食べ方「ひつまぶし」には、自分の好みに合わせて、全部で4通りの楽しみ方があるという。1. 一膳目はそのまま鰻の味を食す2. 二膳目は薬味をプラス3. 三膳目はお茶漬けにする4. 最後は一番気に入った食べ方で締めるホテルニューオータニ(東京)でフェアホテルニューオータニ(東京)では、 2018年10月13日(土)と14日(日)の2日間限定で、「あつた蓬莱軒」を招聘するフェアを開催する。本店の総料理長・武藤俊吾が実際に腕を振るい、本店と同じ味を提供する。第二の名物、とろける“鰻巻き玉子”も「あつた蓬莱軒」で“ひつまぶし”に続く名物こそ、“鰻巻き玉子”。玉子と合わせるダシの量が多いため、本店でも数名の調理人しか巻けないという、職人の技が光る一品だ。ふわとろの玉子焼きは箸で持つのもやっとの柔らかさで、玉子の中心に巻き込む鰻の蒲焼きの甘辛さが後を引くおいしさ。今回のフェアでは、本店より玉子焼き職人が来館し、この人気メニューを楽しめる。店舗詳細あつた蓬莱軒 本店住所:愛知県名古屋市熱田区神戸町503TEL:052-671-8686あつた蓬莱軒 神宮店住所:愛知県名古屋市熱田区神宮2-10-26TEL:052-682-5598あつた蓬莱軒 松坂屋店住所:愛知県名古屋市中区栄3-30-8松坂屋名古屋店南館10FTEL:052-264-3825あつた蓬莱軒 松坂屋地下店住所:愛知県名古屋市中区栄3-16-1松坂屋名古屋店本館B1F(ごちそうパラダイス内)TEL:052-264-3761ホテルニューオータニ(東京)でのフェア日程:2018年10月13日(土)、14日(日)時間:ランチ 11:00~14:30 / ディナー 17:00~19:30 ※最終入場※予約は各30分毎に定員30名。場所:ホテルニューオータニ(東京) 宴会場「シリウス」「アリエス」(ガーデンコート 宴会場階)住所:東京都千代田区紀尾井町4-1料金:ニューオータニクラブ会員 8,000円 / 11,000円、一般 8,500円 / 11,500円※料金はいずれも、 税金・サービス料別。予約・問い合わせ先:03-3221-2857(KATO’S DINING & BAR直通 9:30~22:00)
2016年11月04日「何年も前から蓬莱(竜太)さんに“一緒にやりましょうよ”と言い続けて、今回ようやく実現したんです」そう向井理さんが話すのは、4作目の主演舞台『星回帰線』のこと。向井さんが出演した’08年の映画『ガチ☆ボーイ』の原作が、蓬莱さんが脚本・演出を手がける劇団の舞台だったことから、「共演者に誘われて観に行くように」なり、かれこれ7~8年。「劇団公演の打ち上げに参加して、少しずつ蓬莱さんとの距離を縮めていった」とか。スマートな物腰からクールな印象を受けるけれど、じつは熱い人なのかも!?「自分と同じ方向を向いてくれそうな方…それが監督やスタッフさんでも、そういう人と出会うとうれしくなっちゃうんですよね。それで“こういうことやりたいですよね”って話したり。結局その人と仕事をするのが好きってことなんですけれど」蓬莱作品に惹かれる理由は、「わかりやすくないところ」だとか。「日常の延長線上にある物語なのに、誰も気づかないうちにちょっとずつ、でも確実に物事が掛け違っていって、気づいたら後戻りできないところにきている。その日常が破綻していく様が会話劇で繰り広げられるんですけれど、丁寧に描かれていて見事なんですよ。ただ、演者としてはセリフを着実に積み上げていかなきゃいけないし、観る側としても一瞬たりとも目が離せないだけに覚悟がいる。そういうヒリヒリした時間が味わえるのも好きなんですよね」そんな向井さんにあてて蓬莱さんが書いたのは、真っすぐな心を持った青年。しかし、彼のその正直さが、周りの人々の悪感情を引き出し、人間関係が崩壊していく。「物語は普通じゃない方向へと展開していくんですが、そこに描かれているのは、人間であれば誰しもが身に覚えのある、普通のエゴを持っている人たちなんです。この物語が、どうなるか、いまから楽しみです。ただ期待値が高いぶん、プレッシャーもあるんですよね。あんなにやりたいって言ってたくせになんだよ、って言われないかって(笑)」舞台出演は、なんと3年ぶり。「本当は1年に1回くらいはやりたいんですけどね。というか、やらなければいけない気がするんです。僕のようなタイプの俳優は、自分で自分に負荷をかけないとダメなんだろうな、と。毎回、幕が開くたびに、もう二度とやらないって思うくらい怖い。なのに、千秋楽が終わると達成感を覚えて、またやりたくなるんです。まあ、なんだかんだ言いながらも、結局好きなんでしょうね」◇むかい・おさむ俳優。1982年生まれ、神奈川県出身。'06年にデビュー。近作にドラマ『神の舌を持つ男』(TBS系)、連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK)。バンドカラーシャツ¥22,000Tシャツ¥11,000(共にFACTOTUM/ファクトタム アパルトメントTEL:03・5459・9779)◇家業を継ぐことに悩んだ三島(向井理)は、かつての恩人・藤原(平田満)に誘われ、北海道の工房を訪ねる。理想的なスローライフに思えた生活は、次第に崩れはじめ…。10月1日(土)~30日(日)作・演出/蓬莱竜太出演/向井理、奥貫薫、野波麻帆、高橋努、岩瀬亮、生越千晴、平田満池袋・東京芸術劇場 シアターウエスト全席指定7500円U-25チケット4000円(25歳以下対象、要証明書)パルコTEL:03・3477・5858愛知、札幌、新潟、京都、広島、北九州、鹿児島公演あり。※『anan』2016年9月28日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・イトウケンタヘア&メイク・外丸 愛(SOF)インタビュー、文・望月リサ
2016年09月22日パルコ・プロデュース公演『悼む人』からは4年ぶり、向井理が蓬莱竜太作・演出『星回帰線』に出演することが決まった。劇団『モダンスイマーズ』を率いて、外部にも次々と話題作を生み出している蓬莱。向井は以前から蓬莱作品の大ファンだそうで、今回は念願かなってのプロジェクトだ。舞台『星回帰線』チケット情報モダンスイマーズの作品は、ほぼ観ていると言う向井。少人数で描く濃密な世界観に惹かれるのだとか。「日常を描く話が好きなんですが、蓬莱さんの作品は日常から生まれるちょっとしたズレから、思わぬことが暴かれていく。伏線の張り方やその回収の仕方も絶妙です。笑いもあって、エンタテインメントとしてのバランスもおもしろい」。ふとした会話から人間関係にひそむ愛憎を浮かび上がらせる蓬莱、その作風はスリリングで骨太だが、人を愛おしく見つめる情感にあふれている。そして今回はとある地方都市、様々な問題を抱える人々の共同生活が描かれる。スローな暮らしぶりは一見、楽園のように見えるのだが…。「特殊な設定だけど、描かれるのは日常。舞台という非日常空間で日常を覗き見しているような感じです。派手なアクションなどないなか、言葉と体を武器に人間性や関係性を変化させていく…。どうなることか、緊張感があります」。舞台が好きで、自身でもよく観に行く。観客の集中力や想像力を刺激するような作品が好きな演劇ファンだ。「観客のリアクションがダイレクトに伝わるライブ感に惹かれます。それと舞台は、稽古を通して100回、200回と膨大な数のセリフを言う。セリフを大事にしている気持ちになるのも魅力かな」。しかし、その緊張感はやはり「怖いもの」だとか。「初日の幕があくとき、毎回、やらなきゃよかったって思います。でも、千秋楽が終わるとまたやりたくなる。それが舞台の魔力です。中毒性ありますね、パンチドランカーみたい(笑)」。しかも、今回は熱望していた蓬莱作品、共演も濃密な劇世界にふさわしいツワモノが揃った。やるからには、「観客の心に爪痕を残すような作品にしたい」と、静かな闘志を見せてくれた。共演は、奥貫薫、野波麻帆、高橋努、岩瀬亮、生越千晴、平田満。公演は10月1日(土)プレビュー公演、2日(日)から30(日)まで東京芸術劇場 シアターウエストにて上演。その後、豊橋、北海道、京都を含む全国7か所を巡演する。チケットは8月21日(日)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは、8月4日(木)午前11時まで有料会員向けインターネット抽選先行「いち早プレリザーブ」を受付中、8月3日(水)午前11時より無料会員向けインターネット抽選先行「プレリザーブ」受付予定。取材・文/大西美貴
2016年08月01日『BECK』『パラダイス・キス』『信長協奏曲』や「S -最後の警官-」 に出演し、先日スタートしたドラマ「神の舌を持つ男」では主演を務めるなど、映画にドラマと引っ張りだこの俳優・向井理。この度、向井さんがかねてより熱望していた劇作家・蓬莱竜太との初タッグが実現した舞台「星回帰線」の上演が決定した。かつての恩人に呼ばれ、地方にある恩人の家を訪ねる三島(向井理)。そこには天体を観測しながら、自給自足の生活を営む生活があった。美しい自然の中、社会生活に疲れた人達との共同生活。三島はそこが楽園に思えた。その中に溶け込み受け入れられる三島。しかし、そのことで施設の代表である恩人からの嫉妬を受けることになる。次第にそのひずみは顕著となり、施設に集まるそれぞれの人間関係を複雑にしていく。いつの間にか、かつての恩人と対立することになる三島。何故こうなったのか。何故そうなるのか。留まることも、去ることも許されず、「人間」に巻かれていく…。本作は、劇作家・蓬莱さんが、自ら率いる「モダンスイマーズ」の最新作「嗚呼いま、だから愛。」、休館前の現パルコ劇場では最後の新作舞台となるパルコ・プロデュース公演「母と惑星について、および自転する女たちの記録」に続いて贈る、期待の書き下ろし最新作。三島の成長記であり、人間たちの繋がりを描く物語だ。出演者には、向井さんをはじめ、今期ドラマ「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」や連続テレビ小説「とと姉ちゃん」に出演中の奥貫薫、先日放送スタートした「時をかける少女」に出演する野波麻帆、「S -最後の警官-」では向井さんと共演も果たした高橋努。そのほか、岩瀬亮、生越千晴 、平田満と、ドラマや映画だけでなく演劇界でも活躍する実力派俳優が結集している。かねてより蓬莱竜太作・演出の舞台への出演を熱望していたという向井さんは、今回の決定に「年に1本は舞台をやりたいと思いながら、気がつけば前回から3年が経っていました。3年ぶりの舞台が、何年も前からずっと一緒にお仕事をしたいと話していた蓬莱さんの作・演出で叶うということで、自分にとっては本当に念願の舞台です」と喜ぶ。また、「蓬莱さんの作られる、日常の延長の中の会話で世界が動いていくのにどこか違和感があって、いつの間にか日常がゆるやかに破壊されて、また再生されていくような独特の世界観が面白くて、出来上がった作品からは、役者と演出家がしっかり組んで稽古を積み上げたことが伝わってくる土臭さというか…いつかこの世界の中に入ってみたいと思っていました」と蓬莱作品を熱く語った。対する蓬莱さんは「キャスト陣は信頼出来る人しかいないので、とても楽しみです。東京では小劇場で演じてみたいという向井くんのチャレンジグな姿勢に僕も乗りました」と語り、本舞台については「内容としては、なんでこんなとこに来てしまったんだろうと、人間関係でどんどん大変なことになっていく“巻き込まれ型向井くん”をお届けしたいと思っています。滑稽だけど胸がヒリヒリするような舞台にします」とコメントを寄せた。パルコ・プロデュース公演「星回帰線」は10月1日(土)~30日(日)、東京芸術劇場 シアターウエストにて上演。※地方公演:豊橋、札幌、新潟、京都、広島、北九州、鹿児島にて公演あり。(cinemacafe.net)
2016年07月13日蓬莱竜太作、栗山民也演出による舞台『母と惑星について、および自転する女たちの記録』が7日、PARCO劇場にて開幕した。今夏で一時休館となる劇場の最後の新作は、母親に対する三姉妹それぞれの記憶から、家族の在り方を問う愛憎劇だ。志田未来(三女・シオ役)、鈴木杏(次女・優役)、田畑智子(長女・美咲役)、斉藤由貴(母・峰子役)の実力派女優の競演で、“亡き母の遺骨とともに旅する三姉妹”の設定のもと、母と娘の葛藤の物語が展開する。初日前日に行われた最終舞台稽古での会見で、三姉妹を演じる女優陣は「母が観たらどう思うのか、気になる」と語り、斉藤からは「子どもが観たらショックを受けるかも(笑)」といった言葉が出たほどに、母娘の関係性に深く斬り込んだ衝撃の舞台が立ち上がった。【チケット情報はこちら】三女シオの独白から始まった序盤では、異国を旅する三姉妹の珍道中が愉快に描かれる。訪れた国は、どうやら旅のひと月前に亡くなった母親が行きたがっていた場所らしい。だが母の遺骨を持ってきた理由は、けして穏やかな追慕だけではない。いまだ解けない怒りや悔恨の入り交じった感情で母を振り返る時、場面は過去の出来事へと転換する。現実の旅と過去の回想を繰り返すなかで、三姉妹は母へのわだかまりや受けた傷をお互いにぶつけ合い、今直面している苦悩、秘密を明らかにしていく。父親不在の家で娘三人と実母を養ってきた母・峰子は、自らの欲望のままに奔放に生き、娘たちに厳しく当たる。斉藤は、娘を持つ母親とは思えない妖艶な美しさを振り撒きながら、その傍若無人なふるまいの中に、不器用な愛情を巧みに潜ませていく。“長女への期待”という呪縛に苦しみ、虚勢を張りながらも弱さ、粗忽さがこぼれ落ちる美咲。田畑は人間の脆さ、愛しさを表情豊かに、真摯に伝えてくる。優が抱える母との思い出は姉と妹ほどの深刻さはなく、どこか滑稽でもある。鈴木は軽妙な表現で緊迫した空気を救い、現実の悩みに前向きに立ち向かう姿で観客の共感を誘う。母との関係に一番こじれた根を生やしているのがシオだ。幼い頃は思いを口にできずに泣くばかりだったシオが、死の直前の母に対して、親子の立場が逆転したかのように激しい怒りをぶつける。ハッとさせられるほど険しい顔つきを見せた志田の、シオの成長を鮮やかに表出した力にうなる。母への嫌悪が自らの恋愛、結婚を迷わせたと思い込み、「自分は普通の女じゃない」と悩む三姉妹。「母に似ている」という言葉で攻撃し合った姉ふたりが、いつしかその思い出を嬉しそうに語る姿に嫉妬するシオ。オンナたちの面倒臭い、こんがらがった感情は、身に覚えがあり過ぎて胸のうずく人も多いはずだ。そんな繊細なドラマを生み出した蓬莱の視点にあらためて驚嘆するとともに、生にもがく三姉妹への栗山の温かな眼差しを、敬虔な空気の漂う美しいラストシーンに痛感。演劇ファンに愛された劇場のラストを飾るにふさわしい、余韻をいつまでも留めておきたい秀作だ。公演は7月31日(日)までPARCO劇場にて上演。その後、宮城、広島、福岡、大阪を周る。取材・文:上野紀子
2016年07月08日PARCO劇場一時休館を前に、最後の新作となる舞台『母と惑星について、および自転する女たちの記録』が7月7日(木)、開幕する。蓬莱竜太(作)と栗山民也(演出)のタッグで立ち上がる本作は、母と三姉妹、それぞれの記憶から家族の在り方をみつめる愛憎劇だ。志田未来(三女・シオ役)、鈴木杏(次女・優役)、田畑智子(長女・美咲役)、そして斉藤由貴(母・峰子役)の豪華な顔合わせによる女優競演が話題となっている。“亡き母の遺骨とともに旅に出た三姉妹”の設定のもと、母と娘の心の闘いがどのように描き出されていくのか。開幕間近となったある日の稽古場を覗いた。舞台『母と惑星について、および自転する女たちの記録』チケット情報稽古場いっぱいに設置されたセット、その舞台面は奥に向かって緩やかに上がる傾斜となっている。志田、鈴木、田畑の三姉妹が舞台袖の位置にスタンバイし、一幕から立ち稽古が始まった。姉妹それぞれの独白台詞に、演出の栗山は目を閉じて集中して聴き入っている。時に首を振りながらも芝居を止めることなく、演出助手に小声で指摘部分を告げていく。序盤で描かれる三姉妹の“異国の珍道中”では、テンポのよい台詞の掛け合いにそれぞれの性格が浮かび上がってきて面白い。しっかり者のようで思わぬ失敗にアタフタする美咲を、田畑が表情を豊かに変えてチャーミングに表現。次女の優は、姉と妹の動向を眺めて楽しんでいるような楽観的な素振りが笑いを誘うが、鈴木はその裏に隠し持つ苦悩を巧妙にちらつかせていく。姉ふたりに比べて三女のシオは、その表情から感情の揺れを読み取り難く、謎めいた存在だ。だが志田の朴訥な振る舞いからは、いかにも末っ子らしいマイペースさがにじみ出ていて微笑ましい。ちぐはぐなようで濃いつながりを確かに感じさせる三姉妹のやりとりは、小気味良く響く長崎の方言も相まって家族のあたたかみを伝えてくる。旅立つ前に亡くなった母親への追憶をきっかけに、場面は過去へと転換する。母親役の斉藤が舞台に現れるや、三姉妹の呼吸に緊張が走った。怒りや戸惑いや後悔の混ざった、母とのやるせない思い出が反すうされる。自分が母親であることに釈然としない、そんな表情をたたえた斉藤が醸し出す浮遊感は、この先のミステリアスな展開を期待させる吸引力がある。一幕半ばまで通したところで芝居は止められた。栗山は椅子を舞台面まで持ち出して、女優4人と至近距離で向き合って座り、ここまでの注意点をこと細かに語り出した。「生活感が絶対に出てしまう言葉ってあるじゃない?」「大きい声じゃなくて、魂を込めた声で」「笑えるところはおおいに笑わせないと。これは探っていく芝居だからね」。食い入るように栗山を見つめ、その言葉にうなづき、時にその場で瞬時に演じてみせる女優たち。見事に色合いの違う魅力と、確かな実力をたずさえたこの4人が探り出す家族の姿、その答えを、名残惜しい劇場空間とともにじっくりと味わいたい。公演は7月7日(木)から31日(日)まで。取材・文上野紀子
2016年07月04日以前『バラ肉のバラって何?誰かに教えたくてたまらなくなる”あの言葉”の本当の意味』を取り上げたことがありますが、その続編というべきが、『サランラップのサランって何?誰かに話したくてしかたなくなる“あの名前”の意外な由来』(金澤信幸著、講談社)。「フマキラーのフマ」「ククレカレーのククレ」「スターバックスコーヒーのスターバックス」「歌舞伎町の歌舞伎」「コービー・ブライアントのコービー」など、おなじみの商品名、会社名、地名、人名の由来を明かしたものです。「へー、なるほど!」と驚きの連続である本書から、数字に関連したトピックスを引き出してみたいと思います。■1:SHIBUYA109の「109」ってまずは簡単なところから。渋谷駅前に1号店を、そして全国的にも100店舗以上を展開するSHIBUYA109といえば、日本国内だけでなく、海外の若い女の子にも人気。1号店ができたのが昭和54年(1979年)だといいますから、すでに30年以上の歴史があることになります。そんな109を運営しているのは、東急モールズデベロップメントという会社。いうまでもなく東急グループの一員で、つまり109は「東急→とうきゅう→10(とう)9(きゅう)」という語呂合わせなのです。また、営業時間の「午前10時〜午後9時」を表してもいるのだとか。■2:スリーエム ジャパンの「スリーエム」って住友スリーエム株式会社は、平成26年(2014年)9月1日で住友電工とアメリカの3Mが合併を解消したため、3M社の100パーセント子会社に。そこで社名も「スリーエム ジャパン株式会社」となりました。ところで、この「スリーエム」とはなんなのでしょう?アメリカでは現在「3M Company」となっていますが、かつては省略形ではなく、正式な名称を社名としていたのだそうです。それは、「Minnesota Mining and Manufacturing Co.」で、直訳すると「ミネソタ鉱山製造」。現在はさまざまな分野の化学・電気素材をつくる多国籍企業として知られていますが、この名が示すとおり、もともとはミネソタの鉱山で鉱石を採掘する会社として創業したのです。■3:「551蓬莱」って肉入り中華まんじゅうは、関東では肉まんですが、関西では豚まん。そして関西で豚まんといえば、やはり551蓬莱です。同店のCMから豚まんという名称が広がったといいますから、その影響力は絶大です。551蓬莱は、大阪市中央区に本店のある中華料理の販売・飲食店。関西2府4県にお店があるのだそうです。店名の「551」は、創業当時、電話番号が551番だったことに由来したもの。そこに、「ここがいちばんを目指そう」という意味も与えられているのだといいます。■4:エフエムナックファイブの「ナックファイブ」って埼玉県を放送エリアとするFMラジオ局といえば、エフエムナックファイブ(通称NACK5)。もともとの正式名称は「エフエム埼玉」で、ナックファイブは愛称でしたが、平成13年(2001年)に正式名称もナックファイブと変更されたのだそうです。この「ナックファイブ」とは、同局の周波数である79.5から取られたもの。ラジオ局では放送のなかで周波数をアナウンスすることがよくありますが、社名に周波数を使っているのは同社だけだとか。■5:ロックバンドの「U2」ってアイルランド出身のU2は、世界的なロックバンドとして有名。アメリカの経済誌「フォーブス」が2011年6月に「世界でもっとも稼いでいるミュージシャン」に認定したことでも知られています。U2というバンド名はシンプルで、どんな国の人にもおぼえやすい名前。意味については「第二次大戦時のドイツの潜水艦Uボート2から」、「アメリカの偵察機U2から」、あるいは「you too」からなどの説がありますが、いずれもメンバーが否定しているのだそうです。そしてメンバーによると、「U2に意味はなく、名前候補リストにあったなかで、ましなものを選んだだけ」。このことについてギタリストのジ・エッジは「ひとつの文字とひとつの数字だから、いいやすくおぼえやすい」と、そしてヴォーカリストのボノは、「U2の魅力はそのあいまいさにある。解釈の仕方は無限大だろ」と語っているといいます。*このように、ちょっと意外なエピソード満載。「商品名・ブランド名」「社名・団体名・学校名」「地名」「人名・グループ名」とジャンルも多岐にわたっており、ひとつひとつが短くまとめられているので、空いた時間にリラックスして楽しむことができるでしょう。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※金澤信幸(2016)『サランラップのサランって何?誰かに話したくてしかたなくなる“あの名前”の意外な由来』講談社
2016年06月17日スタイリストの伊賀大介氏が、TOKIO・長瀬智也主演映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2016年6月25日公開) の劇中ロックバンド・地獄図(ヘルズ)をモチーフにしたTシャツのデザインを監修し、21日から発売されることが16日、明らかになった。本作は宮藤監督の完全オリジナル作品で、舞台に選ばれたのは地獄。地獄専属バンド・地獄図のフロントマンで、地獄農業高校の軽音楽部顧問の赤鬼・キラーK(長瀬)と、17歳の若さで地獄に落ち、大好きなクラスメイト・ひろ美(森川葵)に会いたい一心で生き返りを目指す、関大助(神木隆之介)の地獄めぐりの様子を描く。地獄図は、キラーK(ボーカル&ギター)、大助(ギター)、邪子(清野菜名/ベース)、COZY(桐谷健太/ドラム)らで構成。メンバーが劇中で演奏する楽曲は、サウンドトラック『TOO YOUNG TO DIE! 地獄の歌地獄』(6月22日発売)に収録される。映画主題歌は、THE MAD CAPSULE MARKETS(活動休止中)のKYONO、物語の中で重要な曲「天国」は元NUMBER GIRLでZAZEN BOYSの向井秀徳が、それぞれ作曲を、パンクバンド・グループ魂の一員としても知られる宮藤監督が作詞を担当している。そんな地獄図をモチーフにしたTシャツのフロントには、"HELLポーズ"をキメる鬼を大きくプリント。背面には、「DEMOLITION TOUR (破壊ツアー)」の文字と共に「等活地獄」「黒縄地獄」などさまざまな"地獄"がバンド名のように並んでおり、夏フェスや対バンツアーの物販などで売られていそうな、リアリティあるデザインに仕上がっている。このデザインを監修したのが、『真夜中の弥次さん喜多さん』(05年)から本作まで宮藤監督作品の全ての衣装を手がけてきた伊賀氏。「こりゃ、ヤるならとことん本丸攻めないといかん!」と気合を入れたという伊賀氏は、「ヤバいTシャツ刷りました!」と自信を見せる。続けて、「現世の方々にもライクアおすそ分けでブルーとピンク」と紹介しながら、劇中に登場する、現世で罪を犯した人間が地獄に落ちてきた姿・MOJAになぞらえて「さぁ、これで貴方も真のMOJAじゃ!」と力強くアピールしている。宮藤監督も「過去に作った中でも断トツに情報量の多いTシャツ」と断言。「裏も表もギチギチに描き込まれていますが、意外と誰でも着こなせる感じ」と安堵を誘いつつ、「もともと長瀬くん扮するキラーKと亡者が劇中で着る衣装用だったのですが、欲しがる関係者があまりに多く、スタッフの数だけ作って配り、さらにこの度、晴れて商品化することになりました」と制作の背景を明かした。Tシャツは21日より、ヴィレッジヴァンガードのオンラインストアや主催フェス「30th VILLAGE VANGUARD presents V.V.Rocks ~Sing Your Song! 2016~」(フェスでは5月22日限定)、商品をデザインしたメーカー・ハードコアチョコレートのオンラインショップやAmazonのハードコアチョコレートのページ、そして東京・東中野のヘッドショップで発売。価格は2,778円(税別)で、サイズはXS、S、M、L、XLの5種類がラインナップされている。なお、6月11日からは全国18のヴィレッジヴァンガード店舗でも発売される。(C)2016 Asmik Ace, Inc. / TOHO CO., LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku Inc. /KDDI CORPORATION / GYAO Corporation
2016年05月18日蓬莱竜太作、栗山民也演出の『母と惑星について、および自転する女たちの記録』が7月に上演される。再開発計画によって一時閉館することが決まったパルコ劇場における、最後の新作舞台だ。描かれるのは、3姉妹と母の愛憎物語。三女を演じる志田未来と母に扮する斉藤由貴が、意気込みを語った。【チケット情報はこちら】今回の顔合わせは、昨年の『オレアナ』で初舞台を踏んだばかりの志田にとって、とても心強いものだったようだ。「斉藤さんはとても尊敬する女優さんです。斉藤さんが現場に入られると現場にいい空気が流れるんです。舞台はまだまだわからないことだらけなので、いろいろ学んでいけたらと思っています」(志田)。斉藤も、「間違いなく、稀有な演劇体験ができると思います」と期待する。テレビドラマ『小公女セイラ』と『信長のシェフ』での共演経験から、志田の女優としての才能を嗅ぎとっていたからだ。「役の感情をきちんと自分の感情とリンクさせて、ひと言ひと言に魂を込められる。そんな女優の種を持っている人だなと感じていたので、今回もきっと、演技の光合成みたいなことが起きるんじゃないかと楽しみなんです」(斉藤)。そんな実力派のふたりが演じるのは、確執のある娘と母だ。しかも、物語は母親が亡くなったところから始まる。「今回の役は好きだなと思った要素がふたつあるんです。最初から死んでいること。そして、娘たちに最低な母親だと思われていること。どんな人物で何があったのか、ワクワクしますよね(笑)」(斉藤)。娘のほうも、3姉妹それぞれに事情を抱えている。「まだ完成台本がないのでわからないんですけど、母に対しても3人それぞれ違う思いがあったりするようなんです。脚本の蓬莱さんは、母という存在から“命”を考える作品にしたいとおっしゃっていました。そして、そのなかに笑いもあるコメディにしたいと。稽古でいろいろ探っていけたらなと思います」(志田)。斉藤が付け加える。「きっと、私は娘たちにひどい振る舞いをするのだと思います。娘にもさまざまな問題や悩みがあるのでしょう。でも、最終的にはろ過してろ過して、ものすごく純粋な愛情のひと雫が現れる気がします。それをお客さまに持って帰ってもらえたら」(斉藤)。ふたりの言葉からは、作品に役に、丁寧に向きあおうとする真摯な思いがのぞく。次女の鈴木杏、長女の田畑智子が加わって、女優たちはどんな母娘を見せるのか。現パルコ劇場の締めくくりにふさわしい、愛おしい作品になりそうだ。舞台『母と惑星について、および自転する女たちの記録』は7月7日(木) から31日(日)まで、東京・PARCO劇場で上演。その後、宮城、広島、福岡、大阪を周る。東京公演のチケット一般発売は5月14日(土)午前10時より。取材・文:大内弓子
2016年05月13日2014年3月に第1弾公演『オズからの招待状』を上演したPONKOTSU-BARON project。約2年ぶりとなる第2弾公演で『回転する夜』の上演が本日発表となった。『回転する夜』(作:蓬莱竜太)は2007年7月にモダンスイマーズで上演された作品で、引きこもりの青年が夢のなかの過去と現在を行き来し社会への恐怖心を克服する姿を描いた全編石川弁の骨太作品である。とは言ってもファンタジー感はまったく感じない、リアルな社会性のある名作である。2012年2月にウォーキング・スタッフでは朗読劇(演出:和田憲明)で上演されており、本公演の演出も2012年の朗読劇から引き続き、和田憲明が担当する。第22回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した2014年ウォーキング・スタッフ公演「304」と同じく、作・蓬莱竜太、演出・和田憲明のタッグが再び手を組んだ本作。出演はPONKOTSU-BARON project第1弾と同様に赤澤 燈西島顕人味方良介安川純平など、2.5次元舞台をはじめ、ミュージカル、映画などで活躍する若手俳優陣。役者の嘘を感じさせない生きた芝居・リアルな空気感を追求した演出に定評がある、和田憲明と、若手俳優陣でどんな作品を作り出すのかも非常に興味深い。PONKOTSU-BARON project 第2弾 『回転する夜』チケット情報作:蓬莱竜太コメント「回転する夜」を書いたきっかけは高熱を出したからだ。強めの風邪薬を飲んで眠った僕はひどい悪夢を見た。長い長い悪夢からなんとか抜け出し目を覚ました。疲労困憊だった。ところが時計を見ると三分しか経っていないのだ。とても困惑した。朝を二度と見れないような錯覚に陥った。この物語の主人公はある夜から抜けられないでいる。悪夢の中を彷徨い、朝は近づかない。もしかして誰にでもあるのかもしれない。未だに脱出できないある日の記憶が。もう一度リベンジ出来るならどうしますか?演出:和田憲明コメント正直、今回の企画でこの作品を上演するのには迷いがあった。蓬莱君という作家は、私にとって大事な存在の一人だ。そんな彼の作品を演出させてもらう時には、いつも以上にプレッシャーがかかる。それを出会ったばかりの若い役者たちとやる。さらに、彼らはどうやら、ストレートプレイの経験がないと言う。でも今はこの作品で良かったと思っている。私が蓬莱作品に出会った頃、その頃の作品群に共通して強く流れていた思い、それは今の彼らだからこそ、より共有できるのではないか。そんな挑戦になればいい。今はそう思っている。公演は2015年1月30日(土)から2月7日(日)まで紀伊國屋サザンシアターにて上演される。チケットの一般発売は12月20日(日)10時開始となる。
2015年11月20日できたばかりのアニメーション制作会社の処女作が、アカデミー賞にノミネートされた――そんな鮮烈な話題で一躍注目を浴びたのが、堤大介氏とロバート・コンドウ氏の共同監督によるオリジナル短編アニメーション映画『ダム・キーパー』。『トイ・ストーリー3』や『モンスターズ・ユニバーシティ』のアートディレクターをつとめたふたりが、ピクサーから独立してはじめて発表した作品だった。まるでこの展開自体がアニメの中の出来事であるかのような、ドラマチックなエピソード。それに惹かれて、同賞の授賞式開催地の米国、堤監督の母国・日本など各国のメディアが注目(もちろんそこにマイナビニュースも含まれる)。はた目には順風満帆に見えるが、同作の監督のひとり・堤大介監督が絵の道を志したのは、何と大学に入ってから。絵を仕事にしている人としては、かなり遅まきのスタートだ。今回は、活動の拠点であるアメリカを離れ来日していた堤大介監督に、ロングインタビューを敢行。堤氏が絵の道に進んだきっかけから、世界に名だたるピクサーに在籍しながら独立した理由、日本のアニメーション制作会社と協業する理由などについて聞いていく。全3回に分けてお届けする本インタビュー。第1回は、堤氏がなぜ、アメリカのアニメーション業界で働くに至り、世界最高峰のスタジオとも言えるピクサーを飛び出し、独立したのか。そのいきさつに迫った。――最初に、これまでの経歴、堤さんが絵を仕事として選んだきっかけについて、お話しいただけますでしょうか。高校生まで日本で暮らし、日本の学校に通っていて、ずっと野球に取り組んでいました。学生のころもらくがきをするのは好きだったんですが、まわりにうまい友人が何人かいて、特に、仲が良かった子はものすごく上手で。だから、自分が絵の道に進むというのはまったく考えていなかったですね。きっかけは、高校卒業後にアメリカ留学したことでした。それまで野球一筋、受験勉強というものに取り組んでこなかったので、そこから受験をして、日本の大学へ進むのは難しく、自然に留学という道を選びました。――例えば一浪して日本の大学に進むという選択もあったと思うのですが、アメリカ留学を選ばれたのはなぜですか?その当時、留学ブームであったという時代背景もありましたが、母親の方針に影響を受けたところが大きいです。彼女は日頃「しなさい」と言う方ではなかったのですが、「高校を卒業したら、とりあえず家を出てください」とは言われていました。皆がみんなそうではないですが、日本では大学受験のために必死に勉強して、入学したらサークルに入って遊ぶというような印象もあり、それを母はあまりよく思っていなかったようです。また、僕の姉も留学していたこと、留学すれば受験勉強をしなくて済むという打算もあって、渡米することを決めました。――英語は勉強してから渡米されたのでしょうか?野球部の引退後に時間があったのでTOEFLの勉強こそしましたが、アメリカに行った当初はまったく話せませんでしたね。いまだに覚えているのは、留学したてのある時、「ピザを食べたい」と思って、テイクアウトのピザ屋に行ったんです。店員さんに「ピザ」と伝えたら、一切れだけ買うつもりが、超巨大な物が丸ごと出てきてしまって…。ですが、「間違っている」と言うこともできず、やむを得ずそのまま受け取って、自転車だったので片手でかついでどうにか持ち帰りました。そのくらい、英語はできませんでしたね。――現地で生活される中で、どんどん身につけていかれたんですね。僕は極端な性格なので、やるときはとことんやる方で、野球にも熱中して取り組んでいました。なので、英語も渡米してからですが、とことん身につけようとしました。しゃべれないとどうにもならないだろう、と。留学当初は同じ日本人の留学生とはまったくしゃべりませんでしたね。仮にしゃべるとしても日本語ではなく英語で話しかけるという、今考えれば嫌な学生だったと思います。正直後悔している部分もあるのですが、そういう極端なことをしていた時期もあるくらい、英語を身につけようと必死でした。――それまでずっと野球一筋だった堤さんが絵を志すきっかけになったのは何だったのでしょうか?語学学校時代、地域に開放されていた絵のクラスで、地元のおばあちゃんに褒められたことが絵を志すきっかけでした。ですが実際に美大へ進んだら、僕はクラスの中で画力が一番下なんです。当然ですよね、絵を始めたのが遅すぎたんです。しかも、僕が取っていたクラスの先生は名物先生で、クラスからよく生徒を追い出したりしていました。僕もまさにそのターゲットにされて、2度彼のクラスから追い出されたことがあります。――そんな仕打ちを受けて、絵をやめたくなったりはしなかったのでしょうか?それまでずっと野球をやっていたこともあって、良薬口に苦しといいますか、ラクだったらダメな気がしてしまうところがあって。例えるなら、あまり興味がなかった女の子にそっけなくされて追いかけてしまうみたいなもので、逆に見返してやろうと思って取り組んでいました。その方はすごく有名な方で、その先生の授業の映像が教材ビデオとして売られることもあるくらいです。そのビデオはクラスの上位から代表3人を選んで指導するというもので、最終的に僕はその代表に選ばれました。でも、彼は僕をクラスから追い出したことは覚えてないと思うんですよ。選出したタイミングで、「最初は無理だと思ったが、よくぞここまで」というような、指導者としてのコメントも特になく(笑)。学習過程の終盤では、僕の絵が良い例として使われたりしていたので、いつの間にか認めてくれていたんでしょうね。ただ、僕はその先生について、指導者としては失格だと思っているんです。でも、ダメな先生だから生徒は学べない…というのはおかしいですよね。「いい先生に恵まれなかった」という言い訳で、自分が損するのは嫌じゃないですか。ダメな先生からだって得られるものは絶対にあります。彼はアーティストとしては本当にすごい人で、盗めるところは盗めるようにがんばりました。――少し話はそれてしまうのですが、奥さまが宮崎駿さんのご親戚ということを耳にはさんだのですが、アニメ業界を目指されたきっかけは、宮崎駿さんと何か関係はありますか?いいえ、関係はないです。妻は確かに宮崎さんの親戚ですが、彼女とは小学一年生のころの同級生で、僕がまだ「宮崎アニメ」を観た事がない時に出会っているんです。(編集注:当時、スタジオジブリ開設前で、宮崎駿氏はまだ『となりのトトロ』等オリジナルの劇場アニメーション制作を開始する前だった)なのでキャリアの開始には関わりはありません。僕にとって、宮崎さんはただただ憧れている、神様のような存在です。――では、何をきっかけにアニメーション制作に携わることを決めたのでしょうか?僕がアニメ業界に入ったきっかけは、絵を描いてアメリカに残るにはどうしたらいいか?と考えた結果でした。会社で働かないとビザが下りないので。絵が描ければいいやという安易な気持ちで始めたものの、初めてみたらもうとにかく面白くて。個人でやるより、チームで取り組む方が自分に向いているなと感じました。――就職された後、ピクサーへの転職を遂げ、トイ・ストーリー3でアートディレクターを務めるなど、外から見ればこれ以上ない、非常に華々しい職歴であったと感じます。またご家族がいらっしゃる状況で独立を決断するのは相当な勇気が必要であったと想像します。それにも関わらず、ピクサーを去って会社を興した理由はどこにあったのでしょうか?ピクサーから離れないと、これ以上成長できないと感じたからです。とはいえ、ピクサーに残っていたら成長できなかったかというと、そんなことはなかったと思います。ピクサーで取り組んでいたことは、もちろん大変な仕事でしたから。でも、自分の可能性に大きな賭けをするなら今やらないと、トライできなくなると考えたんです。アメリカの場合、一度アニメーション作品の制作に入ると3年程かかります。なので、次の作品に参加していたら、家族の状況で言えば、息子が小学校に入るタイミングになります。もろもろのことを考えて、今しかないと。――著名クリエイターの直筆イラストを1枚のスケッチブックに描きこんでもらう「スケッチトラベル」など、ピクサー在籍時も意欲的なプロジェクトを実行されていましたが、それでもなお、会社を離れた理由をお伺いしたいです。スケッチトラベルやトトロの森保全などのプロジェクトを通じて、自分で人をまとめて物事を動かすことが好きだと気がつきました。これらは仕事の傍ら取り組んできたプロジェクトですが、どこかで「自分の力を本当の意味で試してみたい」、つまりフルタイムで自分のプロジェクトをやりたいという願望が芽生えたんだと思います。「ダム・キーパー」の制作も、本業のかたわらで取り組んだことです。毎日がチャレンジで。本当に大変な思いをしました。何かプロジェクトを動かす時、ふつうは準備万端でやりたいものですが、この作品は準備どころではなく、やってみて初めて問題が発覚するような、その繰り返しだったんです。これまでピクサーではアートディレクターの仕事に専念していたので、短編とはいえ映画にまつわるすべてを作っていくのは初めてで、次々と噴出する問題をひとつずつクリアにしていくうちに、どんな問題がやってきても、その時に考えればいいやという覚悟ができてくるんです。そうして瞬時に問題を解決できる「筋肉」のようなものが備わってくると、日々自分がそこで成長しているということが感じ取れる、ということに気がついたんです。ジムで体を鍛える時も、筋肉を極限までいじめることで、回復したときに筋肉が増えるのと同じで、極限まで無理だということを克服したときに、次のレベルに行けるんです。そうした経験をする中で、ピクサーの仕事では、問題を克服する筋肉を養う機会が無くなってきていることが分かってしまったんです。僕は7年、ロバートは12年ピクサーに在籍していて、ふたりとも社内ではそれなりの評価をもらっていました。もちろん簡単な仕事ではないですが、こうすればできるというような自信も出てきて、会社の方も、このふたりに任せればできるというような雰囲気になっていて、だからこそ、挑戦とは遠いところにいると感じることが多くなりました。――その「気づき」を促した決定的な出来事は何かあったのでしょうか?『ダム・キーパー』を作るため、僕たちは3カ月間会社から休みをもらったんですが、所定の期間だけでは終わらなかったので、制作途中にピクサーの仕事に復帰したんです。戻った初日、ピクサーの景色がそれまでとはまったく変わって見えました。ピクサーは制作スタッフが仕事をしやすいよう、あらゆるものが整っているいわば「理想郷」で、それまでのチャレンジの日々とはあまりに対照的でした。この体験が、独立への決意につながったと感じています。もちろん、それからすぐに辞めたわけではなくて、悩みました。それに、家族である妻のサポートがなければ絶対に決心できなかったと思います。――共同設立者で、ピクサー在籍時も共に『ダム・キーパー』を制作していたロバート・コンドウさんも、同じタイミングで独立を決意されていたのでしょうか。ロバートは本当に優秀なクリエイターですから、僕としては一緒に起業できたらという願いはありました。ですが正直なところ、彼が一緒に来てくれるかどうか、いざ話を持ちかけるまで分かりませんでした。というのも、彼はカリフォルニアで生まれ育ち、卒業後の最初の仕事がピクサーで…という、大きな変化を選んで来なかった人でしたから。あとでロバートに聞いたら、僕が誘わなければ辞めなかったと言っていました。――ピクサーという大企業を辞するにあたって、やはり「引き際」というのはどの会社でも難しいこととは思いますが、スムーズに進行できましたか?ふたりとも責任ある仕事を任されていましたし、特に僕は次の映画の制作に入っていたので、ある程度時間をかけて引き継ぎをしました。社内の雰囲気という意味でも、僕が辞めるといった時に、多くの同僚が納得してくれました。実は、僕は退職の直前、社長から直々にメンターシップを受けていました。なので、彼に直接辞意を伝えたのですが、「分かっていた」というようなことを言っていただけました。メンターシップは将来のピクサーのリーダーを育成するためのプログラムなので、その時間を無駄にしたと叱責されてもおかしくない状況だったのに。僕らは『ダム・キーパー』を作っている時、ピクサーの近所にあるとても小さな、そして到底キレイとは言えない小さな部屋を借りて、そこで制作を行っていました。社長はそこへも足を運んでくださって、「今が一番大切な時間だから、大切にしなくてはいけない」と言ってくださいました。ピクサーのような大きな会社であれば、メンターシップのような特別な機会でもなければ、社長と密にコミュニケーションを取ることは大変難しいですから、とても貴重な経験になりました。そして、メンターシップを通じて、自分が彼のようになるためには、現状のままでは無理だということを痛感しました。社長をはじめ尊敬しているクリエイターたちはどこかでリスクを冒して、自分に対してチャレンジしている。そして、その裏には自らへの「なぜ」創るのかという問いかけがあり、その理由を明確にして動いている。だからこそ僕は独立したんです。取材協力:ほぼ日刊イトイ新聞撮影協力:音と言葉“ヘイデンブックス”(HADEN BOOKS)
2015年11月13日井上芳雄が主演する舞台『正しい教室』が3月21日にZeppブルーシアター六本木で開幕した。ミュージカル界のプリンスが、気鋭の演出家・蓬莱竜太とともにガッツリと骨太なストレートプレイに挑む注目作。前日の20日には井上、共演する鈴木砂羽、近藤正臣が意気込みと見どころを語った。舞台『正しい教室』チケット情報井上が蓬莱の書いたストレートプレイをやりたい、とラブコールを送ったことから実現した今回の作品。とある地方の小さな町、小学校の6年2組の教室に、かつて一緒に学んだ同級生たちがやってくる。現在はその学校で教師をやっている元クラス委員長の男の企画で、事故で息子を亡くしたかつてのマドンナを元気付けようと同窓会が開かれるのだ。思い出話に花を咲かせる同窓生たちだが、そこに厳しい指導で生徒たちに嫌われていた当時の担任教師がやってきて空気は一変。険悪なムードの中、思いもよらない過去の出来事が次々と暴かれていく…。会見では井上が「僕は本当にやりたいと熱望して、今回の舞台をやらせてもらった。出来上がった台本もとても面白いと思いましたし、何度も何度も繰り返す百本ノックのような蓬莱さんの稽古も楽しかった」と振り返ると、嫌われ者のかつての教師を演じる近藤は「俺は苦しかったよ…」とポツリ。「もっと嫌われて、もっと嫌われてと繰り返されて…。物語のためだからいいんだけど、やっぱり精神的にキツかった!」と言う近藤に、マドンナ役の鈴木も「私の役もかなり傷が深い役。舞台上に居ながらずっと黙っているという、あまりこういう役をやらないので、家でも悶々としていました」と明かす。負けじと元委員長役の井上も「僕もどんどん状況が悪くなるという役なので、追い詰められていきました。この稽古に入ってからずっと胃の調子が悪かった(笑)。この役のような大ピンチになることはそうそうない!」と苦労をアピール。とはいえ「やっている方は大変ですが、観る方は「ちょっと笑えるミステリかな」くらいの気持ちで気楽に、でも注意深く観てください」と近藤が楽しみ方を伝授。井上も「僕らと一緒に同窓会に参加するくらいの気持ちで観に来てください。思いもよらない体験が待っていると思います」、鈴木も「同窓会というテーマは皆さんにも近しい話題だと思います。その題材が蓬莱さんの手で迫力のある会話劇になりましたので、とても見応えのある舞台です」とそれぞれ見どころを語った。どんでん返しの連続から、各々が隠していた裏の顔が見えてくるスリリングな物語。ひと筋縄ではいかない物語を楽しんで欲しい。六本木公演を経て、3月24日(火)には愛知・名鉄ホール、3月26日(木)には福岡国際会議場 メインホール、3月28日(土)には大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。その後ふたたび東京に戻り4月2日(木)から19日(日)にPARCO劇場で上演される。チケットはいずれも発売中。
2015年03月24日井上芳雄と鈴木砂羽。活躍中の俳優ふたりが、蓬莱竜太の作・演出舞台『正しい教室』で初共演を果たす。注目の出会いは、過去に蓬莱作のミュージカル『TRIANGLE』シリーズを経験している井上が「次はぜひ、蓬莱さんの書いたストレートプレイをやりたい」と熱望したことから始まった。その意欲を受けた蓬莱は、かねてより気になる存在だったという女優、鈴木を井上の相手役に指名。かくして、同窓会という興奮のシチュエーションで繰り広げられる、大人の物語が動き出した。舞台『正しい教室』チケット情報「同窓会で再会した人たちの会話を聞くうちに物事がどんどん転がっていって、夢中になるままにクライマックスへと上り詰めます。蓬莱さんの書く台本はどんでん返しの繰り返しで、本当に見事なんですよね。意表をつく展開で、あらためて巧みな作劇だなと感じます」(井上)。井上が演じるのは“かつて委員長だった男”。対する鈴木は“かつてマドンナだった女”。時を経て再会した学友たち、そして当時、生徒に煙たがられていた先生(近藤正臣)も姿を現して……。スリリングで、可笑しくせつない人間模様が描かれていく。「ひさしぶりに故郷に戻ってきた、都落ちした女性ですね(笑)。その人物像は蓬莱さんの見たい鈴木砂羽なのかもしれなくて、どんな新しい発見があるのか楽しみです」という鈴木に対し、井上は「蓬莱さんはいつも“その人のパブリックイメージではないものを演じてほしい”と言っているんですよね。僕の役はかつては委員長で、今は教師になっている男。でも真っ当な道を歩んでいるふうに見えつつ、実は闇がある人物みたいです」と作家の思惑を探る。ひと筋縄ではいかないキャラクター同士のぶつかりあいが期待できそうだ。「井上さんは“華のある人”という印象。蓬莱さんとも初めての仕事になりますが、何かピンとくるものがあったんですよね。インスピレーションによる出会いは大切。必ず新鮮な驚きと勉強を得られますから。私にとって舞台は、たとえ転んだとしても何らかの気づきをもらえる場所ですね」(鈴木)「さまざまな出来事が起こっても最終的には温かい眼差しが向けられる、それが蓬莱さんの生み出すドラマです。同世代なので考えていることがなんとなくわかるんですよね。日々懸命に生きる中、絶望するでもなく、根拠のない希望を持つでもない。でも、どう先に進んでいくか、とにかく自分たちは考え続けよう。そういった蓬莱さんの真摯な視点を感じ取っていただけたらと思います」(井上)ミステリータッチに揺さぶられ、骨太ドラマに泣き笑う。蓬莱ワールドに挑む実力派ふたりの奮闘をぜひ劇場で見届けたい。3月21日(土・祝)からの東京・Zeppブルーシアター六本木公演を皮切りに、東京・PAROCO劇場(4月2日(木)~19日(日))ほかで公演。取材・文:上野紀子
2015年02月06日