藤原竜也が『青い春』、『空中庭園』の豊田利晃監督の次回作『I’M FLASH!』に主演。松田龍平と共演を果たしていることが明らかになった。豊田監督と言えば松田さん主演で松本大洋の漫画を映画化した先述の『青い春』が激賞され、その後も『空中庭園』、『蘇りの血』と異彩を放つ個性的な作品を発表。今年のゴールデンウィークには瑛太主演で窪塚洋介らも出演する、アメリカの爆弾魔“ユナボマー”をモチーフにした『モンスターズクラブ』の公開も控える日本映画界の“異端児”。以前より監督の作品のファンで、数年前より親交もあった藤原さんは、インタビューなどでもたびたび豊田作品に出演したいという思いを吐露しており、今回、念願かなって主演を務めることとなった。藤原さんが演じるのは、新興宗教団体“ライフイズビューティフル”の若き三代目教祖・吉野ルイ。そのカリスマ性でマスコミにもたびたび取り上げられ、注目の的となっていたが、ある夜、ミステリアスな美女・流美を乗せて車で飛ばしていたところ、バイクとの接触事故を起こしてしまい、流美は植物状態に…。若きカリスマが起こした事故にマスコミは群がり、ほとぼりが冷めるまでルイはやくざ崩れの3人のボディガードと共に南海の孤島に避難することになる。そこでルイはある決断を下すが、それは教団の陰謀を明らかにすることに…。やがて魔の手が忍び寄り、ボディガードたちをも巻き込み衝撃の結末を迎える。3人のボディガードを演じるのは松田龍平、永山絢斗、仲野茂。松田さんにとっては『ナイン・ソウルズ』以来、8年ぶりの豊田作品出演となる。永山さんは初の豊田組参戦。兄の瑛太さんは豊田作品の常連だが、永山さんが独特の空気感を放つ豊田作品でどんな存在感を放つか楽しみなところだ。ほかに教団内で強い権限を誇る、ルイの母を大楠道代、教団を継がずに性転換したルイの兄を北村有起哉が、そしてルイの母に絶対服従の秘書を『ナイン・ソウルズ』にも出演している板尾創路が演じている。『蘇りの血』に続いてスタイリストを伊賀大介が務めており、衣裳も注目を集めそう。「今回の作品は僕にとって豊田利晃監督と出会ってからの念願でした」と語る藤原さん。「撮影期間や撮影環境は本当に大変なものでしたが、スタッフ・キャスト不眠不休で走り抜けました。いまこの時代にオリジナル脚本で勝負できる喜びや、豊田組常連であり同世代の俳優としてぜひ共演をしてみたかった松田龍平くんと対峙できる喜びを噛みしめながら全身全霊で挑みました。また、俳優としてもいままでの経験を根底から覆されるくらいの壁にもぶつかりました。不安な反面で出来上がりがとても待ち遠しいですし、きっと新しい藤原竜也が観られると思います」と作品への強い思い、己の新たな一面について語ってくれた。松田さんは「久しぶりの豊田組でしたが、楽しんで撮影が出来ました。藤原くんを始め、今回が初めての共演になるキャストの方も多かったので、より新鮮な気持ちがしました。アクションシーンも見応えのあるものになっていると思います」と自信をのぞかせる。そして豊田監督は「竜也とはいままでずっと映画を撮りたいとお互いに話し合ってきました。2011年の3月、震災から一週間後ぐらいに呑んだときに『グダグダ言ってないで、とにかく年内に一本、一緒に映画を作ろう』と約束しました。その約束を果たすことが出来ました。竜也の新しい魅力を引き出せたのではないかと思っています。それをご覧いただけたらうれしく思います。龍平とは8年ぶりの映画でしたが、時間が経った気がしませんでした。ついこの前、一緒に仕事をしたような居心地の良さがありました。たぶん、僕と龍平との距離感が会ったときからいままで変わっていないのかもしれません。龍平は映画に向かう姿勢が以前よりもストイックになってきたと思いました」と2人について語る。撮影は昨年の9月、10月に全編沖縄ロケで行われた。完成は4月を予定。辰年に藤原“竜”也、松田“龍”平のコラボレーションが実現!また『I’M FLASH!』というタイトルが意味するところは?『I’M FLASH!』は9月、公開予定。■関連作品:モンスターズクラブ 2012年GW、ユーロスペースほか全国にて公開© GEEK PICTURES■関連記事:瑛太が「おれを出せ」と直談判!豊田利晃監督が最新作の秘話を明かす
2012年01月10日瑛太、窪塚洋介らをキャストに迎えた豊田利晃監督最新作『モンスターズクラブ』が開催中の第12回東京フィルメックスで11月23日(水・祝)に上映され、豊田監督が観客とのQ&Aに登場した。『青い春』、『空中庭園』などで知られる豊田監督の最新作で、全米を騒がせた爆弾魔“ユナボマー(本名:セオドア・ジョン・カジンスキー)”の事件に着想を得たという本作。世間から隔絶された山奥でたった一人、爆弾を作り、日本の社会に送りつける青年の前に自殺したはずの兄が現れる。兄に導かれ、家族の真実を知った青年がたどる数奇な運命を描き出す。今年2月に山形県で撮影されたという本作。監督は「撮影中に瑛太のお父さんが亡くなったり、その後に震災があったりして、僕と瑛太にとって特別な作品になりました」と挨拶。瑛太さんとは『青い春』、『ナイン・ソウルズ』、『空中庭園』に続き4度目のタッグとなるが「3分ほどの短い短編を作っていたんですが、それを聞きつけた瑛太から直接『おれを出せ!』と電話がかかってきました。産休で休んでいた時期だったらしいけど、飽きたみたいで『早く現場に入りたい』ということでした」と出演の経緯を説明した。編集作業のさなかに東日本大震災が起こったとのことで「(震災の影響で)内容は変わってはいないのですが、見え方は違ってくると思う。映画は世の中や社会を否定する男の話で、ちょうど3月頃、原発のことやTV局に対する批判が高まってた時期だったので、よりメッセージが伝わるんじゃないか。こんなときにこういう映画を作っていいのか?という思いはあったけど、それは観る人が決めてくれればいいと思ってます」と思いを語った。本編のラストには渋谷のスクランブル交差点が登場するが、このシーンについて監督は「僕のデビュー作の『ポルノスター』はスクランブル交差点で始まるので、そこで雪を降らせて終わるのも面白いかなと思いました。雪降らして撮ってたら警察が来たので、逃げて終わりました」とゲリラ撮影だったことを明かした。ユナボマーの事件に関して「爆弾や(山奥の)小屋の描写以外に直接的な影響はない」と言いつつ「ユナボマーにも観てもらいたい」と語るなど、大胆な発言で客席を沸かせていた。『モンスターズクラブ』は2012年GW、ユーロスペースほかにて公開。■関連作品:モンスターズクラブ 2012年GW、ユーロスペースほか全国にて公開© GEEK PICTURES
2011年11月24日